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課題

本発明は、免疫賦活作用を有し、免疫賦活剤、特にアジュバントとして有用な化合物、当該化合物を含む組成物、及び、当該化合物と抗原を含むワクチンの提供を目的とする。

解決手段

式(I):[式中、各記号は、本明細書で定義した通りである。]で表される化合物を少なくとも1種含む、免疫賦活剤。

概要

背景

ワクチンには病原体弱毒化した生ワクチン、病原体を不活化した全粒子ワクチン、病原体を分解して特定の成分だけを抽出、精製したスプリットワクチンがある。この中でスプリットワクチンは、その免疫賦活能を高めるために、アジュバントと呼ばれる化合物組成物を添加する必要がある。また、近年研究開発が進んでいる粘膜ワクチン癌ワクチンやある種のアレルギーに対するワクチンでも、その効果の発現にはアジュバントの添加が必要だと言われている。国内で承認されているアジュバントとしては、現状、沈降性アジュバントとしてアルミニウム塩水酸化アルミニウムゲル等)、油性アジュバントとしてスクアレン、そもそも免疫原性があるグラム陰性菌細胞壁外膜の構成成分であるリポ多糖LPS改変体であるMPLがある。世界レベルでのアジュバント研究開発でも、CpGやPoly I:Cなどに由来する核酸、Toll−like receptor(TLR)を活性化するバクテリア構成成分の改変体や免疫系を刺激するサイトカイン類の改変体などに着目して進んでいる。しかし、国内承認済み、研究開発途上にあるものを含めて、これら既存のアジュバントには次のような課題があった。

沈降性アジュバントのアルミニウム塩では、インフルエンザHAワクチン口蹄疫ワクチンなど、いくつかのワクチンでアジュバント効果疑問が呈されている。また、アルミニウム塩は安全性の面からも、接種部位に肉芽形成がしばしば見られること、高IgE血症を引き起こすことなどが知られている。また、スクアレンなどの油性アジュバントでは、乳化による粘性の増加により接種時に疼痛が起きたり、体内に分散しにくく接種部位に留まる性質を持つことから接種部位が硬結したりすることがある。一方、MPLは免疫原性を持つLPSの改変体ゆえに、ワクチンとの同時接種により強い炎症反応惹起したり、疼痛や発熱を伴ったりする場合がある。さらに、開発途上にあるアジュバントにおいても、アレルギー誘導や強い炎症反応、発熱の惹起など、安全性に課題があるとされる。また核酸アジュバントでは、医薬品として合成する際の課題、例えば、有効なアジュバント効果を奏することができるとされる鎖長まで化学合成することが困難であることなど、新たな課題が浮上している。このようにアジュバントでは、有効性と安全性を兼ね備えることが求められているが、従来の国内承認済み及び研究開発途上にあるアジュバントではそれらの要求を完全には満たしていないのが現状である。

一方、米国アレルギー感染症研究所(NIAID)では、ワクチンアジュバントの安全性について次の12点を挙げている。1)自己免疫応答を誘導しない、2)ヒト抗原交叉反応性をもつ抗原を含まない、3)アレルギー性過敏反応を誘発しない、4)化学的に純粋に合成されるべきである、5)発癌性を持たない、6)目的とする免疫応答以外は誘導しない、7)生体内で速やかに代謝されるべき物質であるべきである、8)接種方法に関わらず安全であるべきである、9)催奇形性生殖毒性を持ってはならない、10)一年以上の保存安定性を持つべきである、11)目的に沿って選択されるべきである、12)低い頻度で発生し得る副反応受容されるべきである。また、欧州のワクチン審査担当機構であるEMEA(European Medicine Agency)によるガイドラインでは、非臨床のアジュバント単独毒性試験として、1)接種局所組織傷害肉芽腫形成、2)過敏性反応アナフィラキシー、3)発熱、4)全身毒性、5)生殖機能毒性、6)遺伝毒性(合成アジュバントのみ)を挙げている。米国、欧州で共通する部分、しない部分はあるが、少なくともこれから開発されるワクチンアジュバントはこうした要求を満たすべきと考えられる。

これまでに免疫調節作用を有する化合物として、例えば、特許文献1〜7及び非特許文献1〜4に記載の化合物が報告されている。特許文献1の実施例25には、下記一般式(I)のR3及びR4に対応する基がウンデシル基(C11アルキル基)である化合物が開示されているが、当該化合物は一般式(I)で示される化合物とは異なり、またそのアジュバント活性は十分とは言えない。特許文献2の実施例3には、一般式(I)のR3及びR4に対応する基が不飽和炭化水素基(C17アルケニル基)である化合物が開示されているが、当該化合物も一般式(I)で示される化合物とは異なり、またそのアジュバント活性は十分とは言えない。特許文献3の表1及び2には、一般式(I)のR3及びR4に対応する基が、ケト基又は水酸基置換された長鎖アルキル基(C35アルキル基)である化合物が開示されているが、当該化合物も一般式(I)で示される化合物とは異なり、更に当該化合物について生理食塩水等における分散性の検討は全くなされてなく、当該化合物をα−シクロデキストリンと組み合わせることにより分散性を改善し、その効果を高めることも一切報告されていない。
特許文献7には、ワクチンアジュバントに使用し得る化合物の合成中間体として、N,N’−ビスヘキサデカノイル)−L−シスチンジ−tert−ブチルエステル(一般式(I)のR3及びR4に対応する基がC15アルキル基の化合物)が開示されているが、その免疫調節作用については全く報告されてなく、免疫賦活剤やアジュバントとしての使用を示唆する報告も一切なされていない。またN,N’−ビス(ヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(一般式(I)のR3及びR4に対応する基がC15アルキル基の化合物、CAS登録番号:73793−92−7、非特許文献1記載)及びN,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(一般式(I)のR3及びR4に対応する基がC17アルキル基の化合物、CAS登録番号:121074−91−7、及び、896442−54−9、非特許文献2記載)は、いずれも既知の化合物であるが、これらも免疫調節作用について全く報告されてなく、免疫賦活剤やアジュバントとしての使用を示唆する報告も一切なされていない。

一方、非特許文献4には、フィトール及びその誘導体のアジュバント活性を評価した結果が報告されている。当該文献には、細胞増殖阻害アッセイにおいて、フィトールを溶解するためにβ−シクロデキストリンを使用したことが記載されているが、抗原特異的な抗体産生の評価においてはβ−シクロデキストリンは使用されていない。またα−シクロデキストリンについては、非特許文献4に記載も示唆もされていない。

概要

本発明は、免疫賦活作用を有し、免疫賦活剤、特にアジュバントとして有用な化合物、当該化合物を含む組成物、及び、当該化合物と抗原を含むワクチンの提供を目的とする。式(I):[式中、各記号は、本明細書で定義した通りである。]で表される化合物を少なくとも1種含む、免疫賦活剤。なし

目的

1)自己免疫応答を誘導しない、2)ヒト抗原と交叉反応性をもつ抗原を含まない、3)アレルギー性過敏反応を誘発しない、4)化学的に純粋に合成されるべきである、5)発癌性を持たない、6)目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

一般式(I):〔式中、R1及びR2は、同一又は異なって、それぞれC1−6アルキル基を示し;R3及びR4は、同一又は異なって、それぞれC12−37アルキル基を示し;X1は、−O−、−NR5−(式中、R5は、水素原子又はC1−6アルキル基を示す)又は−S−を示し;X2は、−O−、−NR6−(式中、R6は、水素原子又はC1−6アルキル基を示す)又は−S−を示す〕で表される化合物を少なくとも1種含む、免疫賦活剤

請求項2

R1及びR2が、それぞれメチルである、請求項1記載の免疫賦活剤。

請求項3

X1及びX2が、それぞれ−NH−である、請求項1又は2記載の免疫賦活剤。

請求項4

R3及びR4が、同一又は異なって、それぞれC12−35アルキル基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の免疫賦活剤。

請求項5

R3及びR4が、同一又は異なって、それぞれC12−30アルキル基である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の免疫賦活剤。

請求項6

一般式(I)で表される化合物が、N,N’−ビスヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス[5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチルオクタノイル]−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス(トリデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス(トリアコンタノイル)−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス(2−テトラデシルヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス(2−オクタデシルエイコサノイル)−L−シスチンジメチルエステル、及び、N,N’−ビス(ドコサノイル)−L−シスチンジメチルエステルからなる群より選ばれる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の免疫賦活剤。

請求項7

一般式(I)で表される化合物が、N,N’−ビス(ヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス[5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)オクタノイル]−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス(トリデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、及びN,N’−ビス(トリアコンタノイル)−L−シスチンジメチルエステルからなる群より選ばれる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の免疫賦活剤。

請求項8

α−シクロデキストリンを更に含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の免疫賦活剤。

請求項9

α−シクロデキストリンを更に含み、且つ、R3及びR4が、同一又は異なって、それぞれC29−37アルキル基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の免疫賦活剤。

請求項10

当該剤がアジュバントである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の免疫賦活剤。

請求項11

請求項1〜10のいずれか1項に記載の免疫賦活剤及び抗原を含有する、ワクチン

請求項12

一般式(I):〔式中、R1及びR2は、同一又は異なって、それぞれC1−6アルキル基を示し;R3及びR4は、同一又は異なって、それぞれC12−37アルキル基を示し;X1は、−O−、−NR5−(式中、R5は、水素原子又はC1−6アルキル基を示す)又は−S−を示し;X2は、−O−、−NR6−(式中、R6は、水素原子又はC1−6アルキル基を示す)又は−S−を示す〕で表される化合物を少なくとも1種、及びα−シクロデキストリンを含む、医薬組成物

請求項13

R1及びR2が、それぞれメチルである、請求項12記載の医薬組成物。

請求項14

X1及びX2が、それぞれ−NH−である、請求項12又は13記載の医薬組成物。

請求項15

R3及びR4が、同一又は異なって、それぞれC29−37アルキル基である、請求項12〜14のいずれか1項に記載の医薬組成物。

請求項16

一般式(I)で表される化合物が、N,N’−ビス(ヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス[5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)オクタノイル]−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス(トリデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス(トリアコンタノイル)−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス(2−テトラデシルヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス(2−オクタデシルエイコサノイル)−L−シスチンジメチルエステル、及び、N,N’−ビス(ドコサノイル)−L−シスチンジメチルエステルからなる群より選ばれる、請求項12〜14のいずれか1項に記載の医薬組成物。

請求項17

一般式(I):〔式中、R1及びR2は、同一又は異なって、それぞれC1−6アルキル基を示し;R3及びR4は、同一又は異なって、それぞれC12−37アルキル基を示し;X1は、−O−、−NR5−(式中、R5は、水素原子又はC1−6アルキル基を示す)又は−S−を示し;X2は、−O−、−NR6−(式中、R6は、水素原子又はC1−6アルキル基を示す)又は−S−を示す〕で表される化合物(但し、N,N’−ビス(ヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス(ヘキサデカノイル)−L−シスチンジ−tert−ブチルエステル及びN,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステルを除く)。

請求項18

R1及びR2が、それぞれメチルである、請求項17記載の化合物。

請求項19

X1及びX2が、それぞれ−NH−である、請求項17又は18記載の化合物。

請求項20

R3及びR4が、同一又は異なって、それぞれC12−35アルキル基である、請求項17〜19のいずれか1項に記載の化合物。

請求項21

R3及びR4が、同一又は異なって、それぞれC12−30アルキル基である、請求項17〜20のいずれか1項に記載の化合物。

請求項22

R3及びR4が、同一又は異なって、それぞれC29−37アルキル基である、請求項17〜19のいずれか1項に記載の化合物。

請求項23

N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス[5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)オクタノイル]−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス(トリデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス(トリアコンタノイル)−L−シスチンジメチルエステルN,N’−ビス(2−テトラデシルヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス(2−オクタデシルエイコサノイル)−L−シスチンジメチルエステル、及び、N,N’−ビス(ドコサノイル)−L−シスチンジメチルエステルからなる群より選ばれる化合物。

請求項24

N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス[5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)オクタノイル]−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス(トリデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、及び、N,N’−ビス(トリアコンタノイル)−L−シスチンジメチルエステルからなる群より選ばれる化合物。

請求項25

一般式(I):〔式中、R1及びR2は、同一又は異なって、それぞれC1−6アルキル基を示し;R3及びR4は、同一又は異なって、それぞれC12−37アルキル基を示し;X1は、−O−、−NR5−(式中、R5は、水素原子又はC1−6アルキル基を示す)又は−S−を示し;X2は、−O−、−NR6−(式中、R6は、水素原子又はC1−6アルキル基を示す)又は−S−を示す〕で表される化合物を少なくとも1種、及び抗原を含有する、ワクチン。

請求項26

R1及びR2が、それぞれメチルである、請求項25記載のワクチン。

請求項27

X1及びX2が、それぞれ−NH−である、請求項25又は26記載のワクチン。

請求項28

R3及びR4が、同一又は異なって、それぞれC12−35アルキル基である、請求項25〜27のいずれか1項に記載のワクチン。

請求項29

R3及びR4が、同一又は異なって、それぞれC12−30アルキル基である、請求項25〜28のいずれか1項に記載のワクチン。

請求項30

一般式(I)で表される化合物が、N,N’−ビス(ヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス[5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)オクタノイル]−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス(トリデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス(トリアコンタノイル)−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス(2−テトラデシルヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス(2−オクタデシルエイコサノイル)−L−シスチンジメチルエステル、及び、N,N’−ビス(ドコサノイル)−L−シスチンジメチルエステルからなる群より選ばれる、請求項25〜27のいずれか1項に記載のワクチン。

請求項31

一般式(I)で表される化合物が、N,N’−ビス(ヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス[5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)オクタノイル]−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス(トリデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、及びN,N’−ビス(トリアコンタノイル)−L−シスチンジメチルエステルからなる群より選ばれる、請求項25〜29のいずれか1項に記載のワクチン。

請求項32

皮下投与及び鼻腔投与からなる群より選ばれるルートにより投与される、請求項25〜31のいずれか一項に記載のワクチン。

技術分野

0001

本発明は、優れた免疫賦活作用を有し、免疫賦活剤、特にアジュバントとして有用な化合物、当該化合物を含む組成物、及び、当該化合物と抗原を含むワクチンに関する。

背景技術

0002

ワクチンには病原体弱毒化した生ワクチン、病原体を不活化した全粒子ワクチン、病原体を分解して特定の成分だけを抽出、精製したスプリットワクチンがある。この中でスプリットワクチンは、その免疫賦活能を高めるために、アジュバントと呼ばれる化合物・組成物を添加する必要がある。また、近年研究開発が進んでいる粘膜ワクチン癌ワクチンやある種のアレルギーに対するワクチンでも、その効果の発現にはアジュバントの添加が必要だと言われている。国内で承認されているアジュバントとしては、現状、沈降性アジュバントとしてアルミニウム塩水酸化アルミニウムゲル等)、油性アジュバントとしてスクアレン、そもそも免疫原性があるグラム陰性菌細胞壁外膜の構成成分であるリポ多糖LPS改変体であるMPLがある。世界レベルでのアジュバント研究開発でも、CpGやPoly I:Cなどに由来する核酸、Toll−like receptor(TLR)を活性化するバクテリア構成成分の改変体や免疫系を刺激するサイトカイン類の改変体などに着目して進んでいる。しかし、国内承認済み、研究開発途上にあるものを含めて、これら既存のアジュバントには次のような課題があった。

0003

沈降性アジュバントのアルミニウム塩では、インフルエンザHAワクチン口蹄疫ワクチンなど、いくつかのワクチンでアジュバント効果疑問が呈されている。また、アルミニウム塩は安全性の面からも、接種部位に肉芽形成がしばしば見られること、高IgE血症を引き起こすことなどが知られている。また、スクアレンなどの油性アジュバントでは、乳化による粘性の増加により接種時に疼痛が起きたり、体内に分散しにくく接種部位に留まる性質を持つことから接種部位が硬結したりすることがある。一方、MPLは免疫原性を持つLPSの改変体ゆえに、ワクチンとの同時接種により強い炎症反応惹起したり、疼痛や発熱を伴ったりする場合がある。さらに、開発途上にあるアジュバントにおいても、アレルギー誘導や強い炎症反応、発熱の惹起など、安全性に課題があるとされる。また核酸アジュバントでは、医薬品として合成する際の課題、例えば、有効なアジュバント効果を奏することができるとされる鎖長まで化学合成することが困難であることなど、新たな課題が浮上している。このようにアジュバントでは、有効性と安全性を兼ね備えることが求められているが、従来の国内承認済み及び研究開発途上にあるアジュバントではそれらの要求を完全には満たしていないのが現状である。

0004

一方、米国アレルギー感染症研究所(NIAID)では、ワクチンアジュバントの安全性について次の12点を挙げている。1)自己免疫応答を誘導しない、2)ヒト抗原と交叉反応性をもつ抗原を含まない、3)アレルギー性過敏反応を誘発しない、4)化学的に純粋に合成されるべきである、5)発癌性を持たない、6)目的とする免疫応答以外は誘導しない、7)生体内で速やかに代謝されるべき物質であるべきである、8)接種方法に関わらず安全であるべきである、9)催奇形性生殖毒性を持ってはならない、10)一年以上の保存安定性を持つべきである、11)目的に沿って選択されるべきである、12)低い頻度で発生し得る副反応受容されるべきである。また、欧州のワクチン審査担当機構であるEMEA(European Medicine Agency)によるガイドラインでは、非臨床のアジュバント単独毒性試験として、1)接種局所組織傷害肉芽腫形成、2)過敏性反応アナフィラキシー、3)発熱、4)全身毒性、5)生殖機能毒性、6)遺伝毒性(合成アジュバントのみ)を挙げている。米国、欧州で共通する部分、しない部分はあるが、少なくともこれから開発されるワクチンアジュバントはこうした要求を満たすべきと考えられる。

0005

これまでに免疫調節作用を有する化合物として、例えば、特許文献1〜7及び非特許文献1〜4に記載の化合物が報告されている。特許文献1の実施例25には、下記一般式(I)のR3及びR4に対応する基がウンデシル基(C11アルキル基)である化合物が開示されているが、当該化合物は一般式(I)で示される化合物とは異なり、またそのアジュバント活性は十分とは言えない。特許文献2の実施例3には、一般式(I)のR3及びR4に対応する基が不飽和炭化水素基(C17アルケニル基)である化合物が開示されているが、当該化合物も一般式(I)で示される化合物とは異なり、またそのアジュバント活性は十分とは言えない。特許文献3の表1及び2には、一般式(I)のR3及びR4に対応する基が、ケト基又は水酸基置換された長鎖アルキル基(C35アルキル基)である化合物が開示されているが、当該化合物も一般式(I)で示される化合物とは異なり、更に当該化合物について生理食塩水等における分散性の検討は全くなされてなく、当該化合物をα−シクロデキストリンと組み合わせることにより分散性を改善し、その効果を高めることも一切報告されていない。
特許文献7には、ワクチンアジュバントに使用し得る化合物の合成中間体として、N,N’−ビスヘキサデカノイル)−L−シスチンジ−tert−ブチルエステル(一般式(I)のR3及びR4に対応する基がC15アルキル基の化合物)が開示されているが、その免疫調節作用については全く報告されてなく、免疫賦活剤やアジュバントとしての使用を示唆する報告も一切なされていない。またN,N’−ビス(ヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(一般式(I)のR3及びR4に対応する基がC15アルキル基の化合物、CAS登録番号:73793−92−7、非特許文献1記載)及びN,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(一般式(I)のR3及びR4に対応する基がC17アルキル基の化合物、CAS登録番号:121074−91−7、及び、896442−54−9、非特許文献2記載)は、いずれも既知の化合物であるが、これらも免疫調節作用について全く報告されてなく、免疫賦活剤やアジュバントとしての使用を示唆する報告も一切なされていない。

0006

一方、非特許文献4には、フィトール及びその誘導体のアジュバント活性を評価した結果が報告されている。当該文献には、細胞増殖阻害アッセイにおいて、フィトールを溶解するためにβ−シクロデキストリンを使用したことが記載されているが、抗原特異的な抗体産生の評価においてはβ−シクロデキストリンは使用されていない。またα−シクロデキストリンについては、非特許文献4に記載も示唆もされていない。

0007

特開平4−230359号公報
特開昭59−219262号公報
特開昭63−264444号公報
特開昭62−63600号公報
特表平5−507705号公報
特開平11−302250号公報
特開平5−186419号公報

先行技術

0008

Cybulla, J. et al.,Biochemical and Biophysical Research Communications 1980, 92(4),1389−96
Zeelen, F.J.et al.,Recueil des Travaux Chemiques des Pays−Bas et de la Belgique 1958, 77(3),267−72
Roth, A. et al., Bioconjugate Chem., 2004, 15, 541−553
Y. Aachoui et al., Cellular Immunology 271 (2011) 308−318

発明が解決しようとする課題

0009

本発明の目的は、免疫賦活作用を有し、免疫賦活剤、特にアジュバントとして有用な化合物、当該化合物を含む組成物、及び、当該化合物と抗原を含むワクチンを提供することである。

課題を解決するための手段

0010

本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記の一般式(I)で示される化合物(以下、本発明化合物又は化合物(I)と称することもある)が、IgE抗体の産生を誘導することなく、抗原特異的なIgGサブクラス抗体産生を増強できるという優れた免疫賦活作用を有することを見出した。
また本発明者らは、化合物(I)について更なる研究を行っていたところ、アシル基の鎖長が長くなるにつれて、生理食塩水における溶解性及び分散性が低下する傾向があることを見出した。本発明者らは、この低下した分散性を改善すべく鋭意検討した結果、α−シクロデキストリンを加えることで、分散性を顕著に改善でき、更には、驚くべきことにその抗原特異的なIgG1サブクラス抗体産生の増強作用(免疫賦活作用)までも向上させ得ることを見出した。
本発明者らは、これらの知見に基づいてさらに研究を進めることによって本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。

0011

[1]一般式(I):

0012

0013

〔式中、
R1及びR2は、同一又は異なって、それぞれC1−6アルキル基を示し;
R3及びR4は、同一又は異なって、それぞれC12−37アルキル基を示し;
X1は、−O−、−NR5−(式中、R5は、水素原子又はC1−6アルキル基を示す)又は−S−を示し;
X2は、−O−、−NR6−(式中、R6は、水素原子又はC1−6アルキル基を示す)又は−S−を示す〕
で表される化合物を少なくとも1種含む、免疫賦活剤。
[2]R1及びR2が、それぞれメチルである、[1]記載の免疫賦活剤。
[3]X1及びX2が、それぞれ−NH−である、[1]又は[2]記載の免疫賦活剤。
[4]R3及びR4が、同一又は異なって、それぞれC12−35アルキル基である、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の免疫賦活剤。
[5]R3及びR4が、同一又は異なって、それぞれC12−30アルキル基である、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の免疫賦活剤。
[6]一般式(I)で表される化合物が、
N,N’−ビス(ヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス[5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチルオクタノイル]−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(トリデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(トリアコンタノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(2−テトラデシルヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(2−オクタデシルエイコサノイル)−L−シスチンジメチルエステル、及び、
N,N’−ビス(ドコサノイル)−L−シスチンジメチルエステル
からなる群より選ばれる、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の免疫賦活剤。
[7]一般式(I)で表される化合物が、
N,N’−ビス(ヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス[5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)オクタノイル]−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(トリデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、及び
N,N’−ビス(トリアコンタノイル)−L−シスチンジメチルエステル
からなる群より選ばれる、[1]〜[6]のいずれか1つに記載の免疫賦活剤。
[8]α−シクロデキストリンを更に含む、[1]〜[7]のいずれか1つに記載の免疫賦活剤。
[9]α−シクロデキストリンを更に含み、且つ、R3及びR4が、同一又は異なって、それぞれC29−37アルキル基である、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の免疫賦活剤。
[10]当該剤がアジュバントである、[1]〜[9]のいずれか1つに記載の免疫賦活剤。
[11][1]〜[10]のいずれか1つに記載の免疫賦活剤及び抗原を含有する、ワクチン。
[12]一般式(I):

0014

0015

〔式中、
R1及びR2は、同一又は異なって、それぞれC1−6アルキル基を示し;
R3及びR4は、同一又は異なって、それぞれC12−37アルキル基を示し;
X1は、−O−、−NR5−(式中、R5は、水素原子又はC1−6アルキル基を示す)又は−S−を示し;
X2は、−O−、−NR6−(式中、R6は、水素原子又はC1−6アルキル基を示す)又は−S−を示す〕
で表される化合物を少なくとも1種、及び
α−シクロデキストリンを含む、医薬組成物
[13]R1及びR2が、それぞれメチルである、[12]記載の医薬組成物。
[14]X1及びX2が、それぞれ−NH−である、[12]又は[13]記載の医薬組成物。
[15]R3及びR4が、同一又は異なって、それぞれC29−37アルキル基である、[12]〜[14]のいずれか1つに記載の医薬組成物。
[16]一般式(I)で表される化合物が、
N,N’−ビス(ヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス[5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)オクタノイル]−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(トリデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(トリアコンタノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(2−テトラデシルヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(2−オクタデシルエイコサノイル)−L−シスチンジメチルエステル、及び、
N,N’−ビス(ドコサノイル)−L−シスチンジメチルエステル
からなる群より選ばれる、[12]〜[14]のいずれか1つに記載の医薬組成物。
[17]一般式(I):

0016

0017

〔式中、
R1及びR2は、同一又は異なって、それぞれC1−6アルキル基を示し;
R3及びR4は、同一又は異なって、それぞれC12−37アルキル基を示し;
X1は、−O−、−NR5−(式中、R5は、水素原子又はC1−6アルキル基を示す)又は−S−を示し;
X2は、−O−、−NR6−(式中、R6は、水素原子又はC1−6アルキル基を示す)又は−S−を示す〕
で表される化合物(但し、N,N’−ビス(ヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス(ヘキサデカノイル)−L−シスチンジ−tert−ブチルエステル及びN,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステルを除く)。
[18]R1及びR2が、それぞれメチルである、[17]記載の化合物。
[19]X1及びX2が、それぞれ−NH−である、[17]又は[18]記載の化合物。
[20]R3及びR4が、同一又は異なって、それぞれC12−35アルキル基である、[17]〜[19]のいずれか1つに記載の化合物。
[21]R3及びR4が、同一又は異なって、それぞれC12−30アルキル基である、[17]〜[20]のいずれか1つに記載の化合物。
[22]R3及びR4が、同一又は異なって、それぞれC29−37アルキル基である、[17]〜[19]のいずれか1つに記載の化合物。
[23]N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス[5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)オクタノイル]−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(トリデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(トリアコンタノイル)−L−シスチンジメチルエステル
N,N’−ビス(2−テトラデシルヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(2−オクタデシルエイコサノイル)−L−シスチンジメチルエステル、及び、
N,N’−ビス(ドコサノイル)−L−シスチンジメチルエステル
からなる群より選ばれる化合物。
[24]N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス[5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)オクタノイル]−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(トリデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、及び、
N,N’−ビス(トリアコンタノイル)−L−シスチンジメチルエステル
からなる群より選ばれる化合物。
[25]一般式(I):

0018

0019

〔式中、
R1及びR2は、同一又は異なって、それぞれC1−6アルキル基を示し;
R3及びR4は、同一又は異なって、それぞれC12−37アルキル基を示し;
X1は、−O−、−NR5−(式中、R5は、水素原子又はC1−6アルキル基を示す)又は−S−を示し;
X2は、−O−、−NR6−(式中、R6は、水素原子又はC1−6アルキル基を示す)又は−S−を示す〕
で表される化合物を少なくとも1種、及び
抗原を含有する、ワクチン。
[26] R1及びR2が、それぞれメチルである、[25]記載のワクチン。
[27] X1及びX2が、それぞれ−NH−である、[25]又は[26]記載のワクチン。
[28] R3及びR4が、同一又は異なって、それぞれC12−35アルキル基である、[25]〜[27]のいずれか1つに記載のワクチン。
[29] R3及びR4が、同一又は異なって、それぞれC12−30アルキル基である、[25]〜[28]のいずれか1つに記載のワクチン。
[30]一般式(I)で表される化合物が、
N,N’−ビス(ヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス[5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)オクタノイル]−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(トリデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(トリアコンタノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(2−テトラデシルヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(2−オクタデシルエイコサノイル)−L−シスチンジメチルエステル、及び、
N,N’−ビス(ドコサノイル)−L−シスチンジメチルエステル
からなる群より選ばれる、[25]〜[27]のいずれか1つに記載のワクチン。
[31] 一般式(I)で表される化合物が、
N,N’−ビス(ヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス[5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)オクタノイル]−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(トリデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、及び
N,N’−ビス(トリアコンタノイル)−L−シスチンジメチルエステル
からなる群より選ばれる、[25]〜[29]のいずれか1つに記載のワクチン。
[32]皮下投与及び鼻腔投与からなる群より選ばれるルートにより投与される、[25]〜[31]のいずれか一つに記載のワクチン。

発明の効果

0020

化合物(I)は、抗原特異的なIgG1サブクラス抗体産生の増強作用(免疫賦活作用)を有するので、免疫賦活剤として有用である。特に、化合物(I)は、従来のアルミニウムゲルアジュバントと同等かそれ以上の免疫賦活作用を有し、且つ、IgE抗体の産生を誘導することがなく、従来のアルミニウムゲルアジュバントで課題となっているアレルギー誘導活性がほとんどないため、効果的で且つ安全なアジュバントとなり得る。
また本発明によれば、生理食塩水に容易に溶解又は分散し得る、化合物(I)を含む医薬組成物が提供される。当該医薬組成物は、抗原特異的なIgG1サブクラス抗体産生の増強作用(免疫賦活作用)に優れ、免疫賦活剤として用いられ得る。

図面の簡単な説明

0021

実施例1における、N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ23:一般式(I)のR3及びR4に対応する基がC17アルキル基の化合物)のアジュバント活性の評価試験の結果を示すグラフである。「OVA」はOVA単独投与群を示し、「SZ23」はSZ23添加群を示し、「(CyssOMe)2」はシスチンジメチルエステル添加群を示し、「ISA」はイソステアリン酸添加群を示し、「ISA+(CyssOMe)2」はシスチンジメチルエステルとイソステアリン酸の混合物添加群を示す。
実施例2における、N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ23:一般式(I)のR3及びR4に対応する基がC17アルキル基の化合物)のアジュバント活性の評価試験の結果を示すグラフである。「Control」は生理食塩水単独投与群を示し、「OVA」はOVA単独投与群を示し、「ALUM」は水酸化アルミニウムゲルアジュバント添加群を示し、「2.56」はSZ23;2.56μmol添加群を示し、「0.256」はSZ23;0.256μmol添加群を示し、「0.0256」はSZ23;0.0256μmol添加群を示す。
実施例3における、N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ23:一般式(I)のR3及びR4に対応する基がC17アルキル基の化合物)のアレルギー誘導活性の評価試験の結果を示すグラフである。「Control」は生理食塩水単独投与群を示し、「OVA」はOVA単独投与群を示し、「ALUM」は水酸化アルミニウムゲルアジュバント添加群を示し、「2.56」はSZ23;2.56μmol添加群を示し、「0.256」はSZ23;0.256μmol添加群を示し、「0.0256」はSZ23;0.0256μmol添加群を示す。
実施例4における、N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ23:一般式(I)のR3及びR4に対応する基がC17アルキル基の化合物)とN,N’−ビス(ドデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ24:一般式(I)のR3及びR4に対応する基がC11アルキル基の化合物)とのアジュバント活性の比較試験の結果を示すグラフである。「Control」は生理食塩水単独投与群を示し、「OVA」はOVA単独投与群を示し、「SZ23」はSZ23添加群を示し、「SZ24」はSZ24添加群を示す。
実施例5における、N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ23:一般式(I)のR3及びR4に対応する基がC17アルキル基の化合物)のヒト単球細胞株への免疫賦活効果の評価試験の結果を示すグラフである。
実施例6における、N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ23:一般式(I)のR3及びR4に対応する基がC17アルキル基の化合物)のマウスマクロファージ株細胞(RAW)への免疫賦活効果の評価試験の結果を示すグラフである。
実施例7における、N,N’−ビス(ヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ22:一般式(I)のR3及びR4に対応する基がC15アルキル基の化合物)のアジュバント活性の評価試験の結果を示すグラフである。「Control」は生理食塩水単独投与群を示し、「OVA」はOVA単独投与群を示し、「SZ22」はSZ22添加群を示し、「SZ23」はSZ23添加群を示す。
実施例8における、N,N’−ビス(トリデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ34:一般式(I)のR3及びR4に対応する基がC12アルキル基の化合物)、N,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ35:一般式(I)のR3及びR4に対応する基がC17アルキル基の化合物)及びN,N’−ビス(トリアコンタノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ36:一般式(I)のR3及びR4に対応する基がC29アルキル基の化合物)のアジュバント活性の評価試験の結果を示すグラフである。「OVA」はOVA単独投与群を示し、「SZ34」はSZ34添加群を示し、「SZ35」はSZ35添加群を示し、「SZ36」はSZ36添加群を示し、「SZ23」はSZ23添加群を示す。
実施例9における、N,N’−ビス[5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)オクタノイル]−L−シスチンジメチルエステル(SZ23’:一般式(I)のR3及びR4に対応する基がC17アルキル基の化合物)のアジュバント活性の評価試験の結果を示すグラフである。「OVA」はOVA単独投与群を示し、「SZ23」はSZ23添加群を示し、「SZ23’」はSZ23’添加群を示す。
実施例10における、N,N’−ビス(リノレオイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ28:一般式(I)のR3及びR4に対応する基がC17アルケニル基の化合物)及びN,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ35:一般式(I)のR3及びR4に対応する基がC17アルキル基の化合物)のアジュバント活性の評価試験の結果を示すグラフである。「control」はOVA単独投与群を示す。
実施例11における、N,N’−ビス(2−テトラデシルヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ37:一般式(I)のR3及びR4に対応する基がC29アルキル基の化合物)とN,N’−ビス(2−オクタデシルエイコサノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ38:一般式(I)のR3及びR4に対応する基がC37アルキル基の化合物)の分散性検討試験の結果を示すグラフである。
実施例11において調製した各サンプルの攪拌後の写真である。
実施例12における、N,N’−ビス(2−テトラデシルヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ37:一般式(I)のR3及びR4に対応する基がC29アルキル基の化合物)とN,N’−ビス(2−オクタデシルエイコサノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ38:一般式(I)のR3及びR4に対応する基がC37アルキル基の化合物)の分散溶媒(1%βCD添加生理食塩水、5%αCD添加生理食塩水)の検討試験の結果を示すグラフである。
実施例13における、N,N’−ビス(2−テトラデシルヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ37:一般式(I)のR3及びR4に対応する基がC29アルキル基の化合物)とN,N’−ビス(2−オクタデシルエイコサノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ38:一般式(I)のR3及びR4に対応する基がC37アルキル基の化合物)のアジュバント活性の評価試験の結果(生理食塩水時、5%αCD添加生理食塩水時)を示すグラフである。「control」はOVA単独投与群を示す。
実施例14における、N,N’−ビス(ヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ22:一般式(I)のR3及びR4に対応する基がC15アルキル基の化合物)、N,N’−ビス(トリデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ34:一般式(I)のR3及びR4に対応する基がC12アルキル基の化合物)、N,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ35:一般式(I)のR3及びR4に対応する基がC17アルキル基の化合物)及びN,N’−ビス(トリアコンタノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ36:一般式(I)のR3及びR4に対応する基がC29アルキル基の化合物)のアジュバント活性の評価試験の結果(5%αCD添加生理食塩水時)を示すグラフである。「control」はOVA単独投与群を示す。
実施例15における、N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ23:一般式(I)のR3及びR4に対応する基がC17アルキル基の化合物)及びN,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ35:一般式(I)のR3及びR4に対応する基がC17アルキル基の化合物)のアジュバント活性の評価試験の結果(5%αCD添加生理食塩水時)を示すグラフである。「control」はOVA単独投与群を示す。
実施例16における、N,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ35:一般式(I)のR3及びR4に対応する基がC17アルキル基の化合物)及びN,N’−ビス(ドコサノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ66:一般式(I)のR3及びR4に対応する基がC21アルキル基の化合物)のアジュバント活性の評価試験の結果(5%αCD添加生理食塩水時)を示すグラフである。「control」はOVA単独投与群を示す。
実施例17における、N,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ35:一般式(I)のR3及びR4に対応する基がC17アルキル基の化合物)のマウスへのインフルエンザワクチン鼻腔投与における血清サンプルのIgG1サブクラス抗体産生の評価試験の結果を示すグラフである。「FluVac(−)」「FluVac(+)」はそれぞれインフルエンザワクチン投与なし群、インフルエンザワクチン投与群を示す。
実施例17における、N,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ35:一般式(I)のR3及びR4に対応する基がC17アルキル基の化合物)のマウスへのインフルエンザワクチン鼻腔投与におけるHI(Hemagglutinin Inhibition)タイター評価試験(赤血球凝集抑制試験)の結果を示すグラフである。「FluVac(−)」「FluVac(+)」はそれぞれインフルエンザワクチン投与なし群、インフルエンザワクチン投与群を示す。
実施例17における、N,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ35:一般式(I)のR3及びR4に対応する基がC17アルキル基の化合物)のマウスへのインフルエンザワクチン鼻腔投与における鼻腔洗浄液中のIgA抗体産生評価試験の結果を示すグラフである。「FluVac(−)」「FluVac(+)」はそれぞれインフルエンザワクチン投与なし群、インフルエンザワクチン投与群を示す。
実施例17における、N,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ35:一般式(I)のR3及びR4に対応する基がC17アルキル基の化合物)のマウスへのインフルエンザワクチン鼻腔投与における鼻腔洗浄液中のIgG抗体産生評価試験の結果を示すグラフである。「FluVac(−)」「FluVac(+)」はそれぞれインフルエンザワクチン投与なし群、インフルエンザワクチン投与群を示す。

0022

本発明の免疫賦活剤は、下記一般式(I)で表される化合物を少なくとも1種含む。

0023

式(I):

0024

0025

〔式中、
R1及びR2は、同一又は異なって、それぞれC1−6アルキル基を示し;
R3及びR4は、同一又は異なって、それぞれC12−37アルキル基を示し;
X1は、−O−、−NR5−(式中、R5は、水素原子又はC1−6アルキル基を示す)又は−S−を示し;
X2は、−O−、−NR6−(式中、R6は、水素原子又はC1−6アルキル基を示す)又は−S−を示す〕

0026

以下、一般式(I)の各基について説明する。

0027

一般式(I)におけるR1及びR2は、同一又は異なって、それぞれC1−6アルキル基である。

0028

R1及びR2における「C1−6アルキル基」とは、直鎖又は分岐鎖炭素原子数1〜6のアルキル基を意味し、例えば、メチル、エチルプロピルイソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチルネオペンチル、1−エチルプロピルヘキシルイソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル等が挙げられる。中でも、安価で入手し易い観点から、C1−3アルキル基が好ましく、メチルが特に好ましい。

0029

R1及びR2は、同一であっても又は異なってもよいが、同一であることが好ましい。

0030

R1及びR2の好ましい態様としては、同一又は異なって、それぞれC1−3アルキル基(例、メチル等)である。

0031

一般式(I)におけるR3及びR4は、同一又は異なって、それぞれC12−37アルキル基である。

0032

R3及びR4における「C12−37アルキル基」とは、直鎖又は分岐鎖の炭素原子数12〜37のアルキル基を意味し、例えば、ドデシルトリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシルヘプタデシル、2−ヘプチルデシル、4,6,6−トリメチル−1−(1,3,3−トリメチルブチル)ヘプチル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル、エイコシルヘンイコシル、ヘンエイコシル、ドコシルトリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、2−テトラデシルペンタデシル、トリアコンチル、ヘントリアコンチル、ドトリアコンチル、トリトリアコンチル、テトラトリアコンチル、ペンタトリアコンチル、ヘキサトリアコンチル、ヘプタトリアコンチル、2−オクタデシルノナデシル等が挙げられる。
一態様として、R3及びR4は、同一又は異なって、それぞれC12−35アルキル基であってもよい。中でも、C12−32アルキル基が好ましく、C12−30アルキル基がより好ましい。具体的には、C12アルキル基、C13アルキル基、C14アルキル基、C15アルキル基、C16アルキル基、C17アルキル基、C18アルキル基、C19アルキル基、C20アルキル基、C21アルキル基、C22アルキル基、C23アルキル基、C24アルキル基、C25アルキル基、C26アルキル基、C27アルキル基、C28アルキル基、C29アルキル基又はC30アルキル基が、より好ましい。IgG1サブクラス抗体産生の増強作用に特に優れることから、C12−21アルキル基又はC28−30アルキル基が特に好ましい。例えば、C12アルキル基、C15アルキル基、C17アルキル基、C21アルキル基又はC29アルキル基が、特に好ましい。
また本発明の剤が、後述するように、化合物(I)に加え、α−シクロデキストリンを更に含む場合、R3及びR4は、同一又は異なって、それぞれC12−37アルキル基(例えば、C12アルキル基、C13アルキル基、C14アルキル基、C15アルキル基、C16アルキル基、C17アルキル基、C18アルキル基、C19アルキル基、C20アルキル基、C21アルキル基、C22アルキル基、C23アルキル基、C24アルキル基、C25アルキル基、C26アルキル基、C27アルキル基、C28アルキル基、C29アルキル基、C30アルキル基、C31アルキル基、C32アルキル基、C33アルキル基、C34アルキル基、C35アルキル基、C36アルキル基又はC37アルキル基)でよいが、C29−37アルキル基である場合により効果的で好ましい。具体的には、C29アルキル基、C30アルキル基、C31アルキル基、C32アルキル基、C33アルキル基、C34アルキル基、C35アルキル基、C36アルキル基又はC37アルキル基が、より効果的で好ましい。

0033

R3及びR4は、同一であっても又は異なってもよいが、同一であることが好ましい。

0034

R3及びR4の好ましい一態様としては、同一又は異なって、それぞれC12−35アルキル基である。
R3及びR4の好ましい他の態様としては、同一又は異なって、それぞれC12−32アルキル基(より好ましくはC12−30アルキル基、特に好ましくはC12−21アルキル基又はC28−30アルキル基)である。具体的には、C12アルキル基、C13アルキル基、C14アルキル基、C15アルキル基、C16アルキル基、C17アルキル基、C18アルキル基、C19アルキル基、C20アルキル基、C21アルキル基、C22アルキル基、C23アルキル基、C24アルキル基、C25アルキル基、C26アルキル基、C27アルキル基、C28アルキル基、C29アルキル基又はC30アルキル基が、より好ましい。
また本発明の剤が、化合物(I)に加え、α−シクロデキストリンを更に含む場合のR3及びR4の好ましい一態様としては、それぞれC29−37アルキル基である。

0035

一般式(I)におけるX1は、−O−、−NR5−(式中、R5は、水素原子又はC1−6アルキル基を示す)又は−S−である。

0036

R5における「C1−6アルキル基」は、上述のR1及びR2における「C1−6アルキル基」と同義であり、その具体例及び好適な態様も同様である。

0037

X1の好ましい態様としては、−NR5−(式中、R5は、水素原子又はC1−6アルキル基を示す)である。

0038

X1のより好ましい態様としては、−NH−である。

0039

一般式(I)におけるX2は、−O−、−NR6−(式中、R6は、水素原子又はC1−6アルキル基を示す)又は−S−である。

0040

R6における「C1−6アルキル基」は、上述のR1及びR2における「C1−6アルキル基」と同義であり、その具体例及び好適な態様も同様である。

0041

X2の好ましい態様としては、−NR6−(式中、R6は、水素原子又はC1−6アルキル基を示す)である。

0042

X2のより好ましい態様としては、−NH−である。

0043

好適な化合物(I)の一態様としては、
R1及びR2が、同一又は異なって、それぞれC1−3アルキル基(例、メチル等)であり、
R3及びR4が、同一又は異なって、それぞれC12−37アルキル基(より好ましくはC12−35アルキル基)であり、
X1が、−NR5−(式中、R5は、水素原子又はC1−6アルキル基を示す)であり、
X2が、−NR6−(式中、R6は、水素原子又はC1−6アルキル基を示す)である化合物(I)であり、
より好適には、
R1及びR2が、それぞれメチルであり、
R3及びR4が、同一又は異なって、それぞれC12−37アルキル基(より好ましくはC12−35アルキル基)であり、
X1及びX2が、それぞれ−NH−である
化合物(I)である。

0044

好適な化合物(I)の他の態様としては、
R1及びR2が、同一又は異なって、それぞれC1−3アルキル基(例、メチル等)であり、
R3及びR4が、同一又は異なって、それぞれC12−32アルキル基(より好ましくはC12−30アルキル基、特に好ましくはC12−21アルキル基又はC28−30アルキル基)であり、
X1が、−NR5−(式中、R5は、水素原子又はC1−6アルキル基を示す)であり、
X2が、−NR6−(式中、R6は、水素原子又はC1−6アルキル基を示す)である
化合物(I)である。

0045

より好適な化合物(I)としては、
R1及びR2が、それぞれメチルであり、
R3及びR4が、同一又は異なって、それぞれC12−32アルキル基(より好ましくはC12−30アルキル基、特に好ましくはC12−21アルキル基又はC28−30アルキル基)であり、
X1及びX2が、それぞれ−NH−である
化合物(I)である。

0046

好適な化合物(I)の具体例としては、
N,N’−ビス(ヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス[5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)オクタノイル]−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(トリデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(トリアコンタノイル)−L−シスチンジメチルエステル
N,N’−ビス(2−テトラデシルヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(2−オクタデシルエイコサノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(ドコサノイル)−L−シスチンジメチルエステル
等が挙げられる。

0047

化合物(I)は、N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス[5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)オクタノイル]−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス(トリデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス(トリアコンタノイル)−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス(2−テトラデシルヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、又は、N,N’−ビス(2−オクタデシルエイコサノイル)−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス(ドコサノイル)−L−シスチンジメチルエステルがより好ましく、N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス[5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)オクタノイル]−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス(トリデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス(トリアコンタノイル)−L−シスチンジメチルエステル、又は、N,N’−ビス(ドコサノイル)−L−シスチンジメチルエステルが特に好ましい。

0048

なお、N,N’−ビス(ヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス(ヘキサデカノイル)−L−シスチンジ−tert−ブチルエステル及びN,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステルを除く化合物(I)(例えば、N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス[5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)オクタノイル]−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス(トリデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス(トリアコンタノイル)−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス(2−テトラデシルヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、N,N’−ビス(2−オクタデシルエイコサノイル)−L−シスチンジメチルエステル、及び、N,N’−ビス(ドコサノイル)−L−シスチンジメチルエステル等)は、新規化合物である。

0049

(化合物(I)の合成)
以下、化合物(I)の製造法について説明する。
化合物(I)の製造法の例として、代表的な製造法を以下に述べるが、製造法はこれらに限定されない。

0050

化合物(I)の中でも、R3とR4が同一である化合物(Ia)は、例えば、下記反応式Aまたはこれに準ずる方法を用いて製造することができる。

0051

0052

[式中、R3aは、R3またはR4と同義であり、その他の記号は上記の定義の通りである。]
化合物(Ia)は、化合物(a)を化合物(b)と縮合剤の存在下にて反応させることにより製造することができる。
化合物(b)の使用量は、化合物(a)1当量に対して、通常1.5〜10当量、好ましくは2〜4当量である。
縮合剤としては、例えば、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−シクロヘキシル−3−モルホリノエチルカルボジイミド、1−シクロヘキシル−3−(4−ジエチルアミノシクロヘキシル)カルボジイミド、1,3−ジエチルカルボジイミド、1,3−ジイソプロピルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド等のカルボジイミド類またはその塩等が挙げられる。
縮合剤の使用量は、化合物(a)1当量に対して、通常1.5〜10当量、好ましくは2〜4当量である。
本反応は、所望により塩基の存在下で行ってもよい。
塩基としては、例えば、水酸化アルカリ金属類(例えば、水酸化リチウム水酸化ナトリウム水酸化カリウム等)、水酸化アルカリ土類金属類(例えば、水酸化マグネシウム水酸化カルシウム等)、炭酸アルカリ金属類(例えば、炭酸ナトリウム炭酸カリウム等)、炭酸水素アルカリ金属類(例えば、炭酸水素ナトリウム炭酸水素カリウム等)、有機塩基類(例えば、トリメチルアミントリエチルアミンジイソプロピルエチルアミンピリジン、4−ジメチルアミノピリジンピコリン、N−メチルピロリジンN−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアニリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、テトラメチルグアニジン等)、有機リチウム類(例えば、メチルリチウムn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等)、リチウムアミド類(例えば、リチウムジイソプロピルアミド等)等が挙げられる。
塩基の使用量は、化合物(a)1当量に対して、通常1.5〜10当量、好ましくは2〜6当量である。
さらに、本反応は、所望により、縮合促進剤の存在下で行ってもよい。
縮合促進剤としては、例えば、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)またはその水和物等が挙げられる。
縮合促進剤の使用量は、化合物(a)1当量に対して、通常0.01〜10当量、好ましくは1〜4当量である。

0053

また、本反応では、化合物(b)の代わりに化合物(b)の混合酸無水物を用いてもよい。該混合酸無水物は、例えば、まず、化合物(b)とクロ炭酸アルキル(例えば、クロロ炭酸メチルクロロ炭酸エチル、クロロ炭酸イソブチル)等とを塩基の存在下に反応させることにより得ることができる。

0054

本反応は、反応に不活性な溶媒中で行うことが好ましい。このような溶媒としては、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば、エーテル類(例えば、1,4−ジオキサンテトラヒドロフランジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテルジイソプロピルエーテルエチレングリコールジメチルエーテル)、エステル類(例えば、ギ酸エチル酢酸エチル酢酸ブチル)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、ジクロロメタンクロロホルム四塩化炭素トリクロロエチレン)、炭化水素類(例えば、ヘキサンベンゼントルエン)、アミド類(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド)等が挙げられる。これらの溶媒は、2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
反応温度は、通常、−80〜150℃であり、好ましくは、10〜100℃である。
反応時間は、通常、0.5〜48時間であり、好ましくは、10〜30時間である。

0055

一方、化合物(I)の中でも、R3とR4が異なる化合物(Ib):

0056

0057

[式中、R3bはR3と同義であり、R4bはR4と同義であり、その他の記号は上記の定義の通りである。]
を得る方法としては、例えば、上記反応式Aと同様の方法により、化合物(a)とR3bCOOHおよびR4bCOOHの混合物とを反応させ、R3とR4が同一の化合物との混合物として得る方法、あるいは下記工程(1)〜(3)により得る方法等が挙げられる。

0058

(1)化合物(a)のX2に保護基を導入した化合物を、上記反応式Aと同様の方法により、R3bCOOHと反応させる工程;
(2)得られた化合物を脱保護する工程;および
(3)得られた化合物を、上記反応式Aと同様の方法により、R4bCOOHと反応させる工程。

0059

保護基はペプチド化学等で一般的に用いられるような保護基を用いればよく、保護基の導入方法あるいは除去方法としては、自体公知の方法を用いればよく、例えば、Protective Groups in Organic Synthesis、John Wiley and Sons(1980)に記載の方法等に準じて行うことができる。
なお、化合物(a)は、市販されているものを容易に入手でき、あるいは自体公知の方法またはそれに準ずる方法に従って製造することもできる。例えば、X1又はX2が−NH−である化合物(a)は、システインアルキルエステル酸化剤等の存在下において反応させ、それらのチオール基ジスルフィド結合を形成することによって製造することができる。自体公知の方法、例えば、J. Org. Chem.,60(11),pp.3266−3267(1995)に記載の方法を使用することができる。システインジアルキルエステルは、例えば、アルキルが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、iso−ペンチル、n−ヘキシル、iso−ヘキシル等である市販品として容易に入手できる。例えば、X1又はX2が−O−である化合物(a)は、前記の方法において、3−メルカプト乳酸アルキルエステルを、システインアルキルエステルの存在下で使用することにより製造することができる。3−メルカプト乳酸アルキルエステルは、例えば、アルキルが、メチル、エチル等である市販品として容易に入手できる。

0060

R3とR4が異なる化合物(I)を得る他の方法としては、例えば、1)アシル基が異なる2種のアシルシステインを、これらのチオール基がジスルフィド結合を形成するように酸化剤等の存在下にて反応させる方法、2)アシルシステインのチオール基に、チオール基とジスルフィド結合を形成し得る官能基(例、ピリジンスルフェニル基等)を導入した化合物を、異なるアシル基を有するアシルシステインと反応させる方法、3)シスチンの2個のアミノ基に対し、それぞれ異なるアシル化剤等を用いて異なるアシル基を導入する方法等が挙げられる。
前記1)の方法は、例えば、国際公開第2009/143299号に記載の方法等に準じて行うことができる。前記2)の方法のうち、アシルシステインのチオール基に、チオール基とジスルフィド結合を形成し得る官能基(例、ピリジンスルフェニル基等)を導入する工程は、例えば、ACS Chemical Biology,8(6),pp.1283−1290(2013)に記載の方法等に準じて行うことができ、該工程により得られた化合物をアシルシステインと反応させる工程は、例えば、国際公開第2010/147831号に記載の方法等に準じて行うことができる。前記3)の方法は、例えば、Heterocycles,52(1),pp.425−442(2000)に記載の方法等に準じて行うことができる。

0061

上記のような方法により生成した化合物(I)は、例えば、カラムクロマトグラフィー再結晶溶媒洗浄等の通常の分離手段により単離、精製することができる。

0062

化合物(I)が、光学異性体立体異性体位置異性体回転異性体を含有する場合には、これらも化合物(I)として含有されるとともに、自体公知の合成手法、分離手法(濃縮溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、再結晶、溶媒洗浄等)によりそれぞれを単品として得ることができる。例えば、化合物(I)に光学異性体が存在する場合には、該化合物から分割された光学異性体も化合物(I)に包含される。

0063

光学異性体は自体公知の方法により製造することができる。具体的には、光学活性な合成中間体を用いる、又は、最終物のラセミ体を常法に従って光学分割することにより光学異性体を得る。

0064

化合物(I)は結晶であってもよく、結晶形が単一であっても結晶形混合物であっても化合物(I)に包含される。結晶は、自体公知の結晶化法を適用して、結晶化することによって製造することができる。

0065

化合物(I)は、水和物、非水和物溶媒和物無溶媒和物のいずれであってもよい。

0066

同位元素(例、2H、3H、13C、14C、15N、35S)等で標識された化合物(I)も、本発明化合物に包含される。

0067

化合物(I)は、抗原特異的なIgG1サブクラス抗体産生の増強作用(免疫賦活作用)を有するので、免疫賦活剤として有用である。本発明の免疫賦活剤(以下、単に「本発明の剤」と略記することがある)は、化合物(I)そのものであってよく、あるいは、化合物(I)を、薬理学的に許容し得る担体等を用いて製剤化することにより得られるものであってもよい。

0068

本発明の剤が含有してもよい薬理学的に許容し得る担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が用いられ、固形製剤における賦形剤滑沢剤結合剤崩壊剤液状製剤における溶剤溶解補助剤懸濁化剤等張化剤緩衝剤無痛化剤等として配合される。また必要に応じて、防腐剤抗酸化剤着色剤甘味剤等の製剤添加物を用いることもできる。

0069

本発明の剤は、化合物(I)に加え、α−シクロデキストリンを更に含んでよい。本発明の剤は、α−シクロデキストリンを更に含む場合、化合物(I)の分散性が改善し、更には、驚くべきことにその抗原特異的なIgG1サブクラス抗体産生の増強作用(免疫賦活作用)までも向上し得る。化合物(I)のうち、R3及びR4で示されるアルキル基の炭素原子数が12以上37以下(例えば、C12アルキル基、C13アルキル基、C14アルキル基、C15アルキル基、C16アルキル基、C17アルキル基、C18アルキル基、C19アルキル基、C20アルキル基、C21アルキル基、C22アルキル基、C23アルキル基、C24アルキル基、C25アルキル基、C26アルキル基、C27アルキル基、C28アルキル基、C29アルキル基、C30アルキル基、C31アルキル基、C32アルキル基、C33アルキル基、C34アルキル基、C35アルキル基、C36アルキル基又はC37アルキル基)であればよいが、特に、化合物(I)のうち、R3及びR4で示されるアルキル基の炭素原子数が29以上のものと29未満のものの分散性を比較すると、前者は後者に比べて生理食塩水等における分散性が低い傾向にあり、従ってR3及びR4が、同一又は異なって、それぞれC29−37アルキル基である化合物(I)を含む本発明の剤の場合、化合物(I)に加え、α−シクロデキストリンを更に含むことがより効果的で好ましい。但し、α−シクロデキストリンの添加によるより良好な効果を得るために、本発明の剤が更にα−シクロデキストリンを化合物(I)に加えて含むとしても、R3及びR4は、同一又は異なって、それぞれC12−37アルキル基であり、好ましくはC12−35アルキル基である。特にC12−32アルキル基が好ましく、C12−30アルキル基がより好ましい。具体的には、C12アルキル基、C13アルキル基、C14アルキル基、C15アルキル基、C16アルキル基、C17アルキル基、C18アルキル基、C19アルキル基、C20アルキル基、C21アルキル基、C22アルキル基、C23アルキル基、C24アルキル基、C25アルキル基、C26アルキル基、C27アルキル基、C28アルキル基、C29アルキル基又はC30アルキル基が、より好ましい。IgG1サブクラス抗体産生の増強作用に特に優れることから、C12−21アルキル基又はC28−30アルキル基が特に好ましい。例えば、C12アルキル基、C15アルキル基、C17アルキル基、C21アルキル基又はC29アルキル基が特に好ましい。

0070

本発明の剤が、化合物(I)に加え、α−シクロデキストリンを更に含む場合、好適な化合物(I)としては、
R1及びR2が、同一又は異なって、それぞれC1−3アルキル基(例、メチル等)であり、
R3及びR4が、同一又は異なって、それぞれC12−37アルキル基であり、
X1が、−NR5−(式中、R5は、水素原子又はC1−6アルキル基を示す)であり、
X2が、−NR6−(式中、R6は、水素原子又はC1−6アルキル基を示す)である化合物(I)であり、
より好適には、
R1及びR2が、それぞれメチルであり、
R3及びR4が、同一又は異なって、それぞれC12−37アルキル基であり、
X1及びX2が、それぞれ−NH−である化合物(I)である。
また、更に、より効果的である観点で、本発明の剤が、化合物(I)に加え、α−シクロデキストリンを更に含む場合、より一層好適な化合物(I)としては、
R1及びR2が、同一又は異なって、それぞれC1−3アルキル基(例、メチル等)であり、
R3及びR4が、同一又は異なって、それぞれC29−37アルキル基であり、
X1が、−NR5−(式中、R5は、水素原子又はC1−6アルキル基を示す)であり、
X2が、−NR6−(式中、R6は、水素原子又はC1−6アルキル基を示す)である化合物(I)であり、
更に好適には、
R1及びR2が、それぞれメチルであり、
R3及びR4が、同一又は異なって、それぞれC29−37アルキル基であり、
X1及びX2が、それぞれ−NH−である化合物(I)である。

0071

本発明の剤が、化合物(I)に加え、α−シクロデキストリンを更に含む場合の好適な化合物(I)の具体例としては、
N,N’−ビス(ヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス[5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)オクタノイル]−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(トリデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(トリアコンタノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(2−テトラデシルヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(2−オクタデシルエイコサノイル)−L−シスチンジメチルエステル、及び、
N,N’−ビス(ドコサノイル)−L−シスチンジメチルエステル
等が挙げられ、
更に、より効果的である観点で、
N,N’−ビス(2−テトラデシルヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(2−オクタデシルエイコサノイル)−L−シスチンジメチルエステル
等が挙げられる。

0072

本発明においてα−シクロデキストリンとは、6個のD−グルコースがα1→4結合で環状構造を形成してなる環状オリゴ糖をいう。

0073

本発明において用いられるα−シクロデキストリンは、誘導体の形態であってもよい。そのような誘導体としては、α−シクロデキストリンの骨格を有するものであれば特に制限されないが、例えば、α−シクロデキストリンに、メチル化等の化学修飾マルトシル化等の酵素修飾を施した誘導体等が挙げられる。

0074

本発明において用いられるα−シクロデキストリンは、例えば、澱粉をシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼによって酵素変換すること等によって製造できるが、それに限定されるものでなく、自体公知の方法で製造すればよい。また市販品を用いてもよく、簡便であることから好ましい。

0075

本発明の剤における化合物(I)とα−シクロデキストリンとの重量比(化合物(I):α−シクロデキストリン)は、特に制限されないが、1:0.0002〜2.0000が好ましく、1:0.002〜0.2がより好ましい。

0076

本発明の剤の剤形としては、例えば、錠剤糖衣錠フィルムコーティング錠舌下錠口腔内崩壊錠を含む)、カプセル剤ソフトカプセルマイクロカプセルを含む)、顆粒剤散剤トローチ剤シロップ剤乳剤懸濁剤等の経口剤;及び注射剤(例、皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤、点滴剤)、外用剤(例、経皮製剤軟膏剤)、坐剤(例、直腸坐剤、膣坐剤)、ペレット、点滴剤、点眼剤、経剤(吸入剤)等の非経口剤が挙げられる。また、これらの製剤は、速放性製剤または徐放性製剤などの放出制御製剤(例、徐放性マイクロカプセル)であってもよい。

0077

本発明の剤を経口剤とする場合は、必要により、味のマスキング腸溶性あるいは持続性を目的として、コーティングを行ってもよい。コーティングに用いられるコーティング基剤としては、公知の各種コーティング基剤が挙げられる。

0078

本発明の剤は、製剤技術分野において慣用の方法、例えば、第十六改正日本薬局方に記載の方法等により製造することができる。

0079

本発明の剤は、成人用に加えて、小児用の製剤とすることもできる。

0080

本発明の剤の投与対象は、免疫系を有する動物であれば特に制限されず、例えば、ほ乳類(例、ヒト、マウス、ラットウサギイヌネコウシウマブタサル等)、鳥類(例、ニワトリ、アヒルガチョウ等)等が挙げられる。本発明の剤は、これらに対し、経口的または非経口的(例、局所、直腸、静脈投与)に安全に投与することができる。

0081

化合物(I)の、抗原特異的なIgG1サブクラス抗体産生の増強作用(免疫賦活作用)のメカニズムは明らかでないが、後述の実施例に示されるように抗原提示細胞(例、単球細胞、マクロファージ、樹状細胞等)に作用し、その細胞増殖を促進することにより、抗原特異的なIgG1抗体産生を増強していると考えられる。従って本発明の剤は、抗原提示細胞の増殖促進剤として有用である。

0082

化合物(I)は、後述の実施例に示されるように優れたアジュバント活性を有していることから、本発明の剤は、アジュバントとして有用である。
本発明において「アジュバント」とは、抗原と組み合わせることで抗体産生の増大、免疫応答の増強を起こす物質の総称である。

0083

本発明の剤をアジュバントとして用いる場合、その剤形は、例えば、水性又は非水性(例、油性等)の溶液、懸濁液、エマルション等であってよい。これらは、化合物(I)と薬理学的に許容し得る担体(例、溶剤、懸濁化剤等)とを混合し、例えば、手振り機械的振盪超音波分散ホモミキサーによる分散、自己乳化、膜乳化、D相乳化法真空乳化法、超高圧乳化法等の方法により調製できる。

0084

本発明の剤は、他のアジュバントと併用してもよい。他のアジュバントとしては、例えば、フロイント不完全アジュバント(Freund’s Incomplete Adjuvant)、フロイント完全アジュバント(Freund’s Complete Adjuvant)、微粒子(例えば、尿酸結晶シリカ、水酸化アルミニウムゲル、ポリスチレンアスベスト二酸化チタン、黒酸化ニッケル等)、リポ多糖類(LPS)、モノホスホリル脂質A(MPLA)、フラジェリンコレラ毒素Bサブユニット(CTB)、β−グルカンキトサンサポニン、スクアレン、α−ガラクトシルセラミドリポペプチド(例、Pam2CSK4、Pam3CSK4等)、リポソーム、核酸(例、ssDNA、dsDNA、ssRNA、dsRNA、CpG、ポリイノシンポリシチジル酸Poly(I:C)等)、プロバイオティクス乳酸菌(例、ラクトバチラスプランタルムラクトバチルスカゼイ、ラクトバチラスラクティス等)、サイトカイン(例えば、インターロイキン−1、インターロイキン−2、インターロイキン−7、インターロイキン−12、インターロイキン−15、インターロイキン−18、TNF−α、GMCSF、IFN−α等)等が挙げられる。

0085

本発明は、本発明の剤(又は化合物)及び抗原を含有するワクチンも提供する。本発明のワクチンに含まれる化合物は、本発明の剤に含まれる化合物(I)と同様のものを用いてよい。本発明のワクチンが含有してもよい化合物の例としては、本発明の剤に含まれる化合物として例示したものと同様のものが挙げられる。

0086

本発明において用いられる抗原は、免疫反応を誘導し得る物質であれば特に限定されないが、例えば、アレルゲン、病原体抗原、生体内の自己抗原腫瘍抗原等が挙げられる。

0087

本発明において用いられるアレルゲンは、花粉アレルゲン食物アレルゲン、又はハウスダストアレルゲンであり得る。花粉アレルゲンとしては特に制限されないが、例えば、スギ花粉アレルゲンヒノキ花粉アレルゲン、ブタクサアレルゲン、カモガヤアレルゲン等が挙げられる。食物アレルゲンとしては特に制限されないが、例えば、カゼインラクトアルブミンラクトグロブリンオボムコイドオボアルブミンコンアルブミン等が挙げられる。ハウスダストアレルゲンとしては例えば特に制限されないが、例えば、ダニ類アレルゲン、ネコアレルゲン等が挙げられる。

0088

本発明において用いられる病原体抗原は、病原性ウイルス抗原、病原性微生物抗原、又は病原性原生動物抗原であり得る。病原性ウイルス抗原としては特に限定されないが、例えば、ヒト免疫不全ウイルスHIV)、肝炎ウイルス(例、A型、B型C型D型及びE型肝炎ウイルス等)、インフルエンザウイルス単純ヘルペスウイルス西ナイル熱ウイルス、ヒトパピローマウイルスウマ脳炎ウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス(例、HTLV−I等)、ポリオウイルス水痘帯状疱疹ウイルスムンプスウイルスロタウイルスノロウイルスRSウイルス麻疹ウイルスエボラウイルス等のウイルスの抗原が挙げられるが、特にインフルエンザウイルスの抗原が好ましく用いられる。病原性微生物抗原としては特に制限されないが、例えば、病原性細菌(例、ヘモフィルスB型インフルエンザ菌(Hib)、肺炎球菌破傷風菌ジフテリア菌百日咳菌コレラ菌サルモネラ菌チフス菌クラミジアミコバクテリアレジオネラ等)、病原性酵母(例、アスペルギルスカンジダ等)等に発現している抗原が挙げられる。病原性原生動物抗原としては特に制限されないが、例えば、マラリア住血吸虫等に発現している抗原が挙げられる。

0089

本発明において用いられる生体内の自己抗原としては特に制限はされないが、例えば、アルツハイマー病やクロイツ・フェルトヤコブ病等の神経疾患におけるアミロイドβプリオン動脈硬化症高血圧症等の循環器疾患におけるApoB100、アンジオテンシンIアンジオテンシンIII型糖尿病気管支喘息等の自己免疫アレルギー疾患におけるインスリンIL−5;慢性関節リウマチにおけるIL−6、TNF−α等が挙げられる。

0090

本発明において用いられる腫瘍抗原は、上皮性及び非上皮性腫瘍を含む固形腫瘍の抗原、又は造血組織における腫瘍の抗原であり得る。固形腫瘍抗原としては特に限定されないが、例えば、MART−1/Melan−A、Mage−1、Mage−3、gp100、チロシナーゼチロシナーゼ関連タンパク質2(trp2)、CEA、PSA、CA−125、erb−2、Muc−1、Muc−2、TAG−72、AES、FBP、C−レクチン、NY−ESO−1、galectin−4/NY−CO−27、Pec60、HER−2/erbB−2/neu、テロメラーゼ、G250、Hsp105、点変異ras癌遺伝子、点変異p53癌遺伝子、癌胎児性抗原等が挙げられる。造血組織における腫瘍(例、白血病)の抗原としては特に限定されないが、例えば、proteinase 3、WT−1、hTERT、PRAME、PML/RAR−a、DEK/CAN、シクロフィリンB、TEL−MAL1、BCR−ABL、OFA−iLRP、Survivin、idiotype、Sperm protein 17、SPAN−Xb、CT−27、MUC1等が挙げられる。

0091

本発明のワクチンは、経口投与筋肉内投与経皮投与、皮内投与、皮下投与、腹腔内投与気管内投与、鼻腔投与(経鼻投与)、眼内投与、内投与、直腸投与静脈内投与小腸内投与及び吸入投与からなる群から選択されるルートにより投与され得、特に、皮下投与又は鼻腔投与(経鼻投与)投与が好ましい。

0092

本発明のワクチンにおける抗原の含有量は、ワクチンとして機能する有効量であればよく、当該量は当業者であれば、例えば実験動物を使用する試験等に基づき、過度実験を必要とすることなく決定することができる。具体的には、本発明のワクチンにおける抗原の含有量は、通常1〜100μgである。

0093

本発明のワクチンにおける本発明の免疫賦活剤の含有量は、例えば抗原の種類、投与対象、投与形態及び投与ルート等に応じて適宜調節すればよく特に制限されないが、経口投与、筋肉内投与、経皮投与、皮内投与、皮下投与又は腹腔内投与の場合は、通常2μg〜20mgであり、好ましくは20μg〜200μgである。気管内投与、鼻腔投与(経鼻投与)、眼内投与、膣内投与、直腸投与、静脈内投与、小腸内投与又は吸入投与の場合は、通常0.01μg〜1mgであり、好ましくは0.1μg〜100μgである。

0094

本発明のワクチンは、本発明の免疫賦活剤及び抗原に加え、薬理学的に許容し得る担体を含有してもよい。本発明のワクチンが含有してもよい薬理学的に許容し得る担体の例としては、本発明の剤が含有してもよい薬理学的に許容し得る担体として例示したものと同様のものが挙げられる。

0095

本発明のワクチンは、さらに他のアジュバントを含有してもよい。当該他のアジュバントの例としては、本発明の剤と併用し得るアジュバントとして例示したものと同様ものが挙げられる。

0096

本発明のワクチンの剤形の例としては、本発明の剤の剤形として例示したものと同様のものが挙げられる。

0097

本発明のワクチンは、製剤技術分野において慣用の方法、例えば、第十六改正日本薬局方に記載の方法等により製造することができる。例えば、本発明の剤と所望の抗原とを混合し、必要により乳化又は分散させること、或いは、所望の抗原を含有するワクチンに本発明の剤を添加し、必要により乳化又は分散させること等により調製することができる。

0098

本発明のワクチンの投与対象は、免疫系を有する動物であれば特に制限されず、その例としては、本発明の剤の投与対象として例示したものと同様のものが挙げられる。

0099

本発明のワクチンの投与は、単回投与であってよく、又は複数回の連続投与であってもよい。本発明のワクチンを連続投与する場合、投与期間は特に限定されず、例えば抗原の種類、投与対象、投与形態及び投与ルート等に応じて、適宜設定すればよいが、通常1〜90日間の範囲であり、好ましくは1〜30日間の範囲である。

0100

本発明のワクチンを対象に投与することにより、アレルギー症、感染症又は腫瘍等を予防又は治療することができる。

0101

本発明は、化合物(I)及びα−シクロデキストリンを含む医薬組成物(以下、単に「本発明の組成物」と略記することがある)も提供する。

0102

本発明の組成物に含まれる化合物(I)は、本発明の剤に含まれる化合物(I)と同様のものを用いてよいが、α−シクロデキストリンによって分散性が改善し、抗原特異的なIgG1サブクラス抗体産生の増強作用が向上するという効果がより顕著に発揮され得る点で、R3及びR4が、同一又は異なって、それぞれC29−37アルキル基である化合物(I)が好ましい。但し、α−シクロデキストリンの添加によるより良好な効果を得るために、本発明の組成物が化合物(I)及びα−シクロデキストリンを含むとしても、R3及びR4は、同一又は異なって、それぞれC12−37アルキル基であり、好ましくはC12−35アルキル基である。特にC12−32アルキル基が好ましく、C12−30アルキル基がより好ましい。具体的には、C12アルキル基、C13アルキル基、C14アルキル基、C15アルキル基、C16アルキル基、C17アルキル基、C18アルキル基、C19アルキル基、C20アルキル基、C21アルキル基、C22アルキル基、C23アルキル基、C24アルキル基、C25アルキル基、C26アルキル基、C27アルキル基、C28アルキル基、C29アルキル基又はC30アルキル基がより好ましい。IgG1サブクラス抗体産生増強効果に特に優れることから、C12−21アルキル基又はC28−30アルキル基が特に好ましい。例えば、C12アルキル基、C15アルキル基、C17アルキル基、C21アルキル基又はC29アルキル基が特に好ましい。

0103

本発明の組成物に含まれる好適な化合物(I)としては、
R1及びR2が、同一又は異なって、それぞれC1−3アルキル基(例、メチル等)であり、
R3及びR4が、同一又は異なって、それぞれC12−37アルキル基であり、
X1が、−NR5−(式中、R5は、水素原子又はC1−6アルキル基を示す)であり、
X2が、−NR6−(式中、R6は、水素原子又はC1−6アルキル基を示す)である化合物(I)であり、
より好適には、
R1及びR2が、それぞれメチルであり、
R3及びR4が、同一又は異なって、それぞれC12−37アルキル基であり、
X1及びX2が、それぞれ−NH−である化合物(I)である。

0104

また、更に、より効果的である観点で、本発明の組成物に含まれるより一層好適な化合物(I)としては、
R1及びR2が、同一又は異なって、それぞれC1−3アルキル基(例、メチル等)であり、
R3及びR4が、同一又は異なって、それぞれC29−37アルキル基であり、
X1が、−NR5−(式中、R5は、水素原子又はC1−6アルキル基を示す)であり、
X2が、−NR6−(式中、R6は、水素原子又はC1−6アルキル基を示す)である化合物(I)である。
本発明の組成物に含まれる更に好適な化合物(I)としては、
R1及びR2が、それぞれメチルであり、
R3及びR4が、同一又は異なって、それぞれC29−37アルキル基であり、
X1及びX2が、それぞれ−NH−である
化合物(I)である。

0105

本発明の組成物に含まれる好適な化合物(I)の具体例としては、
N,N’−ビス(ヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス[5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)オクタノイル]−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(トリデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(トリアコンタノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(2−テトラデシルヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(2−オクタデシルエイコサノイル)−L−シスチンジメチルエステル、及び、
N,N’−ビス(ドコサノイル)−L−シスチンジメチルエステル
等が挙げられ、
更に、より効果的である観点で、
N,N’−ビス(2−テトラデシルヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル、
N,N’−ビス(2−オクタデシルエイコサノイル)−L−シスチンジメチルエステル
等が挙げられる。

0106

本発明の組成物に含まれるα−シクロデキストリンは、本発明の剤に含まれ得るα−シクロデキストリンと同様のものを用いてよい。

0107

本発明の組成物における化合物(I)の含有量は特に制限されないが、0.1〜99.9重量%が好ましく、1〜99重量%がより好ましい。

0108

本発明の組成物におけるα−シクロデキストリンの含有量は特に制限されないが、0.005〜20重量%が好ましく、0.05〜5重量%がより好ましい。

0109

本発明の組成物における化合物(I)の含有量とα−シクロデキストリンの含有量の重量比(化合物(I):α−シクロデキストリン)は特に制限されないが、1:0.0002〜2.0000が好ましく、1:0.002〜0.2がより好ましい。

0110

本発明の組成物は、化合物(I)及びα−シクロデキストリンに加え、薬理学的に許容し得る担体を含有してもよい。本発明の組成物が含有してもよい薬理学的に許容し得る担体の例としては、本発明の剤が含有してもよい薬理学的に許容し得る担体として例示したものと同様のものが挙げられる。

0111

本発明の組成物の剤形の例としては、本発明の剤の剤形として例示したものと同様のものが挙げられる。

0112

本発明の組成物は、製剤技術分野において慣用の方法、例えば、第十六改正日本薬局方に記載の方法等により製造することができる。

0113

本発明の組成物の投与対象の例としては、本発明の剤の投与対象として例示したものと同様のものが挙げられる。

0114

本発明の組成物は、化合物(I)とα−シクロデキストリンとが分離されて包装されたキットの態様で提供されてもよい。

0115

本発明の組成物は、抗原特異的なIgG1サブクラス抗体産生の増強作用(免疫賦活作用)を有し、例えば、免疫賦活剤等として用いてよい。

0116

以下に、合成例及び実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの合成例及び実施例により限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。また、本発明において使用する試薬や装置、材料は特に言及されない限り、商業的に入手可能である。

0117

〔合成例1〕
N,N’−ビス(ヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ22)の合成
パルミチン酸(900mg、3.51mmol)に対し、N,N−ジメチルホルムアミド(7.4ml)、L−シスチンジメチルエステル塩酸塩(500mg、1.47mmol)を室温にて加えた後、氷浴を用いて冷却した。得られた混合物に対し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(673mg、3.51mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(538mg、3.51mmol)、トリエチルアミン(0.82ml、5.9mmol)を加え、氷浴を外して室温にて撹拌した。撹拌開始から1時間後と2時間後にそれぞれN,N−ジメチルホルムアミド(3.7ml)を追加し、室温にてさらに19時間撹拌した。10%クエン酸水溶液(40ml)を加えて反応を停止した後、トルエン(200ml)で2回抽出を行った。合わせた有機層飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(40ml)、15%食塩水(30ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後、濾過を行い、濾液減圧濃縮した。得られた粗生成物をヘキサン(20ml)でスラリー洗浄し、N,N’−ビス(ヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(874mg、1.17mmol、収率80%)を白色固体として得た。
1H−NMR(400MHz, CDCl3)δ: 0.88(t, 3H, J=6.8 Hz), 1.25−1.30(m, 24H), 1.64(m, 2H), 2.25(t, 2H, J=7.3 Hz), 3.19(dd, 1H, J=5.1 Hz, 14.2 Hz), 3.22(dd, 1H, J=5.1 Hz, 14.2 Hz), 3.77(s, 3H), 4.88(dt, 1H, J=7.4 Hz, 5.1 Hz), 6.40(d, 1H, J=7.4 Hz).
ESIMS(m/z): 745.6([M+H]+), 767.5([M+Na]+), 783.5([M+K]+).

0118

〔合成例2〕
N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ23)の合成
イソステアリン酸(999mg、3.51mmol)に対し、N,N−ジメチルホルムアミド(9.8ml)、L−シスチンジメチルエステル塩酸塩(500mg、1.47mmol)を室温にて加えた後、氷浴を用いて冷却した。得られた混合物に対し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(673mg、3.51mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(538mg、3.51mmol)、トリエチルアミン(0.82ml、5.9mmol)を加え、氷浴を外して室温にて20時間撹拌した。10%クエン酸水溶液(30ml)を加えて反応を停止した後、酢酸エチル(100ml、50ml)で抽出を行った。合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(30ml)、15%食塩水(30ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後、濾過を行い、濾液を減圧濃縮した。得られた粗生成物をヘキサン(50ml)でスラリー洗浄し、N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(738mg、0.92mmol、収率63%)を淡黄色固体として得た。
1H−NMR(400MHz, CDCl3)δ: 0.87(m, 6H), 1.25−1.30(m, 24H), 1.43(m, 2H), 1.58(m, 2H), 2.12(m, 1H), 3.18(dd, 1H, J=5.2 Hz, 14.1 Hz), 3.23(dd, 1H, J=5.4 Hz, 14.1 Hz), 3.77(s, 3H), 4.87(dt, 1H, J=7.4 Hz, 5.3 Hz), 6.40(d, 1H, J=7.4 Hz).
ESIMS(m/z): 801.6([M+H]+), 823.6([M+Na]+).

0119

〔合成例3〕
N,N’−ビス[5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)オクタノイル]−L−シスチンジメチルエステル(SZ23’)の合成
5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)オクタン酸(1.14ml、3.52mmol)に対し、N,N−ジメチルホルムアミド(9.8ml)、L−シスチンジメチルエステル塩酸塩(500mg、1.47mmol)を室温にて加えた後、氷浴を用いて冷却した。得られた混合物に対し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(673mg、3.52mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(538mg、3.52mmol)、トリエチルアミン(0.82ml、5.9mmol)を加え、氷浴を外して室温にて18時間撹拌した。10%クエン酸水溶液(50ml)を加えて反応を停止した後、酢酸エチル(50ml)で2回抽出を行った。合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50ml)、水(50ml)、15%食塩水(50ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後、濾過を行い、濾液を減圧濃縮した。得られた粗生成物をヘキサンでスラリー洗浄し、N,N’−ビス[5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)オクタノイル]−L−シスチンジメチルエステル(541mg、0.68mmol、収率46%)を白色固体として得た。
1H−NMR(400MHz, CDCl3)δ: 0.87−0.92(m, 24H), 0.96−1.92(m, 11H), 3.13−3.24(m, 2H), 3.76(s, 3H), 4.85−4.87(m, 1H), 6.36−6.41(m, 1H).
ESIMS(m/z): 801.8([M+H]+), 823.9([M+Na]+), 835.8([M+Cl]−).

0120

〔合成例4〕
N,N’−ビス(ドデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ24)の合成
ラウリン酸(705mg、3.52mmol)に対し、N,N−ジメチルホルムアミド(9.8ml)、L−シスチンジメチルエステル塩酸塩(500mg、1.47mmol)を室温にて加えた後、氷浴を用いて冷却した。得られた混合物に対し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(675mg、3.52mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(476mg、3.52mmol)、トリエチルアミン(0.82ml、5.9mmol)を加え、氷浴を外して室温にて18時間撹拌した。10%クエン酸水溶液(30ml)を加えて反応を停止した後、酢酸エチル(100ml)で2回抽出を行った。合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(40ml)、15%食塩水(20ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後、濾過を行い、濾液を減圧濃縮した。得られた粗生成物を酢酸エチル20mlでスラリー洗浄し、N,N’−ビス(ドデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(365mg、0.58mmol、収率39%)を白色固体として得た。
1H−NMR(400MHz, CDCl3)δ: 0.88(t, 3H, J=6.9 Hz), 1.26−1.32(m, 16H), 1.60−1.68(m, 2H), 2.26(t, 2H, J=7.6 Hz), 3.18(dd, 1H, J=5.2 Hz, 14.2 Hz), 3.23(dd, 1H, J=5.1 Hz, 14.2 Hz), 3.77(s, 3H), 4.88(dt, 1H, J=7.5 Hz, 5.1 Hz), 6.44(d, 1H, J=7.4 Hz).
ESIMS(m/z): 633.2([M+H]+), 655.3([M+Na]+).

0121

〔合成例5〕
N,N’−ビス(トリデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ34)の合成
トリデカン酸(755mg、3.52mmol)に対し、N,N−ジメチルホルムアミド(9.8ml)、L−シスチンジメチルエステル塩酸塩(500mg、1.47mmol)を室温にて加えた後、氷浴を用いて冷却した。得られた混合物に対し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(675mg、3.52mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(476mg、3.52mmol)、トリエチルアミン(0.82ml、5.9mmol)を加え、氷浴を外して室温にて17時間撹拌した。10%クエン酸水溶液(30ml)を加えて反応を停止した後、酢酸エチル(100ml)で抽出を行った。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(50ml)で2回、15%食塩水(20ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後、濾過を行い、濾液を減圧濃縮した。得られた粗生成物を酢酸エチル(20ml)でスラリー洗浄し、N,N’−ビス(トリデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(630mg、0.95mmol、収率65%)を白色固体として得た。
1H−NMR(400MHz, CDCl3)δ: 0.88(t, 3H, J=6.9 Hz), 1.25−1.32(m, 18H), 1.60−1.68(m, 2H), 2.26(t, 2H, J=7.6 Hz), 3.18(dd, 1H, J=5.2 Hz, 14.2 Hz), 3.23(dd, 1H, J=5.1 Hz, 14.2 Hz), 3.77(s, 3H), 4.88(dt, 1H, J=7.5 Hz, 5.1 Hz), 6.44(d, 1H, J=7.4 Hz).
ESIMS(m/z): 661.5([M+H]+), 683.5([M+Na]+).

0122

〔合成例6〕
N,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ35)の合成
ステアリン酸(1.00g、3.52mmol)に対し、N,N−ジメチルホルムアミド(9.8ml)、L−シスチンジメチルエステル塩酸塩(500mg、1.47mmol)を室温にて加えた後、氷浴を用いて冷却した。得られた混合物に対し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(675mg、3.52mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(476mg、3.52mmol)、トリエチルアミン(0.82ml、5.9mmol)を加え、氷浴を外して室温にて23時間撹拌した。10%クエン酸水溶液(30ml)を加えて反応を停止した後、酢酸エチル(1000ml)を加え、沈殿を濾過した。濾別した固体を酢酸エチル(30ml)で洗浄し、N,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(543mg、0.68mmol、収率46%)を白色固体として得た。
1H−NMR(400MHz, CDCl3)δ: 0.88(t, 3H, J=6.9 Hz), 1.25−1.34(m, 28H), 1.60−1.68(m, 2H), 2.26(t, 2H, J=7.6 Hz), 3.17(dd, 1H, J=5.1 Hz, 14.2 Hz), 3.23(dd, 1H, J=5.1 Hz, 14.2 Hz), 3.82(s, 3H), 4.87(dt, 1H, J=7.4 Hz, 5.1 Hz), 6.42(d, 1H, J=7.7 Hz).
ESIMS(m/z): 801.6([M+H]+), 835.5([M+Cl]−).

0123

〔合成例7〕
N,N’−ビス(トリアコンタノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ36)の合成
L−シスチンジメチルエステル塩酸塩(100mg、0.29mmol)に対し、1,2−ジクロロエタン(2.9ml)、メリシン酸(319mg、0.70mmol)を室温にて加えた後、氷浴を用いて冷却した。得られた混合物に対し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(135mg、0.70mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(95mg、0.70mmol)、トリエチルアミン(0.16ml、1.2mmol)を加え、氷浴を外して75℃にて19.5時間撹拌した。反応混合物を濾過し、濾別した固体をヘキサン/酢酸エチル(1/3)、10%クエン酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水で洗浄し、N,N’−ビス(トリアコンタノイル)−L−シスチンジメチルエステル(229mg、0.20mmol、収率69%)を淡黄色固体として得た。
1H−NMR(400MHz, CDCl3)δ: 0.88(t, 3H, J=6.9 Hz), 1.25−1.38(m, 52H), 1.59−1.64(m, 2H), 2.37(t, 2H, J=7.7 Hz), 3.17(dd, 1H, J=5.5 Hz, 14.5 Hz), 3.24(dd, 1H, J=5.1 Hz, 14.4 Hz), 3.82(s, 3H), 4.92(dt, 1H, J=7.4 Hz, 5.4 Hz), 6.94(d, 1H, J=7.7 Hz).
ESIMS(m/z): 1138.3([M+H]+).

0124

〔合成例8〕
N,N’−ビス(2−テトラデシルヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ37)の合成
L−シスチンジメチルエステル塩酸塩(250.0mg、0.74mmol)に対し、ジクロロメタン(4.9ml)、2−テトラデシルヘキサデカン酸(796.9mg、1.76mmol)を室温にて加えた後、氷浴を用いて冷却した。得られた混合物に対し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(337.4mg、1.76mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(237.8mg、1.76mmol)、トリエチルアミン(0.41ml、2.94mmol)を加え、氷浴を外して室温にて22時間撹拌した。10%クエン酸水溶液(30ml)を加えて反応を停止した後、ジクロロメタン(100ml、50ml)で抽出を行った。合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(40ml)で2度洗浄し、水(30ml)、15%食塩水(30ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後、濾過を行い、濾液を減圧濃縮した。得られた粗生成物をジエチルエーテル(20ml)でスラリー洗浄し、N,N’−ビス(2−テトラデシルヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(546.1mg、0.48mmol、収率65%)を白色固体として得た。
1H−NMR(400MHz, CDCl3)δ: 0.88(m, 6H), 1.25(m, 48H), 1.40(m, 2H), 1.60(m, 2H), 2.11(m, 1H), 3.16(dd, 1H, J=5.2 Hz, 14.2 Hz), 3.24(dd, 1H, J=5.5 Hz, 14.4 Hz), 3.77(s, 3H), 4.86(dt, 1H, J=5.4 Hz, 7.4 Hz), 6.40(d, 1H, J=7.5 Hz).
ESIMS(m/z): 1138.2([M+H]+)

0125

〔合成例9〕
N,N’−ビス(2−オクタデシルエイコサノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ38)の合成
L−シスチンジメチルエステル塩酸塩(100.0mg、0.29mmol)に対し、ジクロロメタン(2.0ml)、2−オクタデシルエイコサン酸(397.8mg、0.69mmol)を室温にて加えた後、氷浴を用いて冷却した。得られた混合物に対し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(135.0mg、0.69mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(95.1mg、0.69mmol)、トリエチルアミン(0.16ml、1.16mmol)を加え、氷浴を外して室温にて17時間撹拌した。10%クエン酸水溶液(10ml)を加えて反応を停止した後、ジクロロメタン(60ml)で3度抽出を行った。合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(60ml)で2度洗浄し、水(60ml)、15%食塩水(60ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後、濾過を行い、濾液を減圧濃縮した。得られた粗生成物をヘキサン(20ml、50ml)でスラリー洗浄し、N,N’−ビス(2−オクタデシルエイコサノイル)−L−シスチンジメチルエステル(262.0mg、0.19mmol、収率66%)を白色固体として得た。
1H−NMR(400MHz, CDCl3)δ: 0.88(m, 6H), 1.25(m, 64H), 1.42(m, 2H), 1.63(m, 2H), 2.12(m, 1H), 3.16(dd, 1H, J=5.2 Hz, 14.1 Hz), 3.24(dd, 1H, J=5.4 Hz, 14.1 Hz), 3.76(s, 3H), 4.86(dt, 1H, J=7.4 Hz, 5.3 Hz), 6.40(d, 1H, J=7.4 Hz).
ESIMS(m/z): 1362.4([M+H]+)

0126

〔合成例10〕
N,N’−ビス(リノレオイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ28)の合成
L−シスチンジメチルエステル塩酸塩(500mg、1.47mmol)に対し、N,N−ジメチルホルムアミド(9.8ml)、リノール酸(1.12g、3.51mmol)を室温にて加えた後、氷浴を用いて冷却した。続いて1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(673mg、3.51mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(538mg、3.51mmol)、トリエチルアミン(0.82ml、5.86mmol)を加えた後、氷浴を外して室温にて20時間撹拌した。10%クエン酸水溶液(30ml)を加えて反応を停止した後、酢酸エチル(30ml)を用いて2度抽出を行った。合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(40ml)、15%食塩水(30ml)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後、濾過を行い、濾液を減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)によって精製した後、ヘキサンから再結晶することで、N,N’−ビス(リノレオイル)−L−シスチンジメチルエステル(450.4mg、0.57mmol、収率39%)を白色固体として得た。
1H−NMR(400MHz, CDCl3)δ: 0.89(t, 3H, J=6.9 Hz), 1.27−1.37(m, 14H), 1.64(m, 2H), 2.05(m, 4H), 2.26(t, 2H, J=7.6 Hz), 2.77(t, 2H, J=6.7 Hz), 3.18(dd, 1H, J=5.2 Hz, 14.2 Hz), 3.23(dd, 1H, J=5.0 Hz, 14.2 Hz), 3.77(s, 3H), 4.88(dt, 1H、J=7.4 Hz, 5.1 Hz), 5.28−5.42(m, 4H), 6.39(d, 1H, J=7.4 Hz).
ESIMS(m/z): 793.5([M+H]+), 815.5([M+Na]+).

0127

〔合成例11〕
N,N’−ビス(ドコサノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ66)の合成
L−シスチンジメチルエステル塩酸塩(250mg、0.73mmol)に対し、N,N’−ジメチルホルムアミド(5ml)、ベヘン酸(597mg、1.75mmol)を室温にて加えた後、氷浴を用いて冷却した。得られた混合物に対し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(336mg、1.75mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(237mg、1.75mmol)、トリエチルアミン(0.41ml、2.92mmol)を加え、氷浴を外して室温にて20.5時間撹拌した。反応混合物に酢酸エチル(50ml)を加えて濾過し、濾取した固体を酢酸エチル/ヘキサン(1/1、50ml)でスラリー洗浄した。その後、得られた固体を酢酸エチル(100ml)に溶解し、10%クエン酸水溶液(50ml)および水で洗浄し、有機層を濃縮した。得られた固体を酢酸エチル/ヘキサン(3/2、40ml)で再度スラリー洗浄し、N,N’−ビス(ドコサノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ66) (307mg、0.34mmol、収率46%)を白色固体として得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ: 0.88(t, 3H, 6.8Hz), 1.25(m,36H), 1.62(m,2H), 2.25(t, 2H,J=7.6Hz), 3.18(dd, 1H,J=5.2Hz, 14.4Hz), 3.23(dd, 1H,J=5.2Hz, 14.2Hz), 3.77(s, 3H), 4.87(dt, 1H,J=5.2Hz, 7.5Hz), 6.40(d, 1H,J=7.2Hz).
ESIMS(m/z): 913.7([M+H]+).

0128

(2)アジュバント活性試験
〔実施例1〕N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ23)のアジュバント活性の評価試験
週齢雌性BALB/cマウスを群分け(N=6)した後、各群に対し、マウス1匹あたり(1)抗原として生理食塩水に溶解した卵白アルブミン(OVA)10μg(OVA単独投与群)、(2)生理食塩水に溶解したOVA10μg及びアジュバントとしてN,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ23)2.56μmol(水酸化アルミニウムゲルアジュバントに換算して0.2mg相当)(SZ23添加群)、(3)生理食塩水に溶解したOVA10μg及びシスチンジメチルエステル((CyssOMe)2)2.56μmol(シスチンジメチルエステル添加群)、(4)生理食塩水に溶解したOVA10μg及びイソステアリン酸(ISA)5.12μmol(イソステアリン酸添加群)、(5)生理食塩水に溶解したOVA10μg、(CyssOMe)22.56μmol及びISA5.12μmol(シスチンジメチルエステルとイソステアリン酸の混合物添加群)を、それぞれ背部皮下投与して、一次免疫を実施した。1週間後、上記(1)〜(5)と同様の溶液を再度、背部皮下投与し、二次免疫を実施した。二次免疫の2週間後に、麻酔下にて全採血脾臓採取を実施し、得られた血清サンプルについて抗OVA特異的IgG1サブクラス抗体の測定を行った。実施例1、並びに下記の実施例2、4、7〜10及び13〜16における抗OVA特異的IgG1サブクラス抗体の測定方法は以下のとおりである。

0129

〔抗OVA特異的IgG1サブクラス抗体の測定方法〕
96ウェルプレートに5μg/mlOVAを1ウェルあたり100μlずつ加え、一晩4℃にてインキュベートした。インキュベート後、1ウェルあたり200μlのPBS−T(PBS(リン酸緩衝生理食塩水)+0.05%(v/v)Tween20)にて3回洗浄し、1ウェルあたり100μlの5%FCSウシ胎児血清)/PBS溶液にて室温で1〜2時間、ブロッキングした。その後、1ウェルあたり200μlのPBS−Tにて3回洗浄し、1ウェルあたり100μlの希釈済みの血清サンプルもしくはコントロールとして同量の5%FCS/PBS溶液を添加し、37℃にて1時間インキュベートした。その後、1ウェルあたり200μlのPBS−Tにて5回洗浄し、1ウェルあたり100μlの希釈済みのビオチン化抗マウスIgG1抗体を添加し、37℃で45分インキュベートした。その後、1ウェルあたり200μlのPBS−Tにて5回洗浄し、1ウェルあたり100μlの希釈済みの抗ビオチン−HRP抗体を添加し、さらに37℃で30分インキュベートした。その後、1ウェルあたり200μlのPBS−Tにて5回洗浄し、1ウェルあたり100μlのTMB基質溶液を添加し、室温にて10〜15分反応させた。その後、1ウェルあたり50μlの反応停止液(2N硫酸溶液)を加えて呈色反応を停止させ、マイクロプレートリーダーを用いて吸光度ODValue=450nm)を測定した。

0130

結果を図1に示す。

0131

図1に示される結果から明らかなように、SZ23添加群(図中:SZ23)の抗OVA特異的IgG1サブクラス抗体産生は、OVA単独投与群(図中:OVA)に比べて有意に増加した。この結果から、N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ23)にはアジュバント活性があることが確認された。また、シスチンジメチルエステル添加群(図中:(CyssOMe)2)、イソステアリン酸添加群(図中:ISA)及びシスチンジメチルエステルとイソステアリン酸の混合物添加群(図中:ISA+(CyssOMe)2)の抗OVA特異的IgG1サブクラス抗体産生は、OVA単独投与群と有意な差は見られなかった。これらの結果により、シスチンジメチルエステルとイソステアリン酸を縮合して得られるN,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ23)に、アジュバント活性があることがわかった。

0132

〔実施例2〕N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ23)のアジュバント活性の評価試験
8週齢雌性BALB/cマウスを群分け(N=6)した後、各群に対し、マウス1匹あたり(1)抗原として生理食塩水に溶解した卵白アルブミン(OVA)10μg(OVA単独投与群)、(2)生理食塩水に溶解したOVA10μg及びアジュバントとしてN,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ23)2.56μmol(水酸化アルミニウムゲルアジュバントに換算して0.2mg相当)(SZ23;2.56μmol添加群)、(3)生理食塩水に溶解したOVA10μg及びSZ23;0.256μmol(SZ23;0.256μmol添加群)、(4)生理食塩水に溶解したOVA10μg及びSZ23;0.0256μmol(SZ23;0.0256μmol添加群)、(5)生理食塩水に溶解したOVA10μg及び水酸化アルミニウムゲルアジュバント2.56μmol(0.2mg)(ALUM添加群、陽性対照)、(6)生理食塩水(生理食塩水単独投与群)を、それぞれ背部皮下投与して、一次免疫を実施した。1週間後、上記(1)〜(6)と同様の溶液を再度、背部皮下投与し、二次免疫を実施した。二次免疫の2週間後に、麻酔下にて全採血、脾臓採取を実施し、得られた血清サンプルについて抗OVA特異的IgG1サブクラス抗体の測定を行った。結果を図2に示す。

0133

図2に示される結果から明らかなように、SZ23;2.56μmol、0.256μmol及び0.0256μmol添加群(図中:2.56、0.256及び0.0256)の抗OVA特異的IgG1サブクラス抗体産生は、いずれも、OVA単独投与群(図中:OVA)に比べて有意に増加し、ALUM添加群(図中:ALUM)と同程度であった。これらの結果から、N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ23)は、水酸化アルミニウムゲルアジュバントと同程度のアジュバント活性を有することが確認された。

0134

〔実施例3〕N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ23)のアレルギー誘導活性の評価試験
実施例2で得られた血清サンプルについて抗OVA特異的IgE抗体の測定を行った。抗OVA特異的IgE抗体の測定方法は以下のとおりである。

0135

〔抗OVA特異的IgE抗体の測定方法〕
DSファーバイオメディカル株式会社製のDSマウスIgEELISA(OVA)キットを用いた。プロトコールを以下に簡単に示す。
血清サンプルおよび検量線作成用標準試薬緩衝液を加えて希釈し、撹拌後、室温で10分間静置する。IgEキャプチャー抗体が予め結合したプレートにサンプルおよび標準液を加え、撹拌後、室温で60分間静置する。洗浄液で3回洗浄し、HRP標識OVAを加えて、室温で30分間静置する。洗浄液で3回洗浄し、基質液を加えて、暗所室温にて30分間静置する。反応停止液を加えて撹拌し、直ちに吸光度(ODValue=450nm)を測定する。

0136

結果を図3に示す。

0137

図3に示される結果から明らかなように、既報どおりALUM添加群(図中:ALUM)の抗OVA特異的IgE抗体産生は、OVA単独投与群(図中:OVA)に比べて有意に増加した。これに対し、SZ23;2.56μmol、0.256μmol及び0.0256μmol添加群(図中:2.56、0.256及び0.0256)では、いずれも抗OVA特異的IgE抗体産生の増加は観察されなかった。これらの結果から、N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ23)は、接種によるアレルギー誘発が課題となっている水酸化アルミニウムゲルアジュバントと比較して、アレルギー誘導活性が低いことが明らかとなった。

0138

〔実施例4〕N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ23)とN,N’−ビス(ドデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ24)とのアジュバント活性の比較試験
8週齢雌性BALB/cマウスを群分け(N=6)した後、各群に対し、マウス1匹あたり(1)抗原として生理食塩水に溶解した卵白アルブミン(OVA)10μg(OVA単独投与群)、(2)生理食塩水に溶解したOVA10μg及びアジュバントとしてN,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ23)2.56μmol(SZ23添加群)、(3)生理食塩水に溶解したOVA10μg及びN,N’−ビス(ドデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ24)2.56μmol(SZ24添加群)、(4)生理食塩水(生理食塩水単独投与群)を、それぞれ背部皮下投与して、一次免疫を実施した。1週間後、上記(1)〜(4)と同様の溶液を再度、背部皮下投与し、二次免疫を実施した。二次免疫の2週間後に、麻酔下にて全採血し、得られた血清サンプルについて抗OVA特異的IgG1サブクラス抗体の測定を行った。尚、SZ24は、特開平4−230359号公報に開示されている。結果を図4に示す。

0139

図4に示される結果から明らかなように、SZ23添加群(図中:SZ23)の抗OVA特異的IgG1サブクラス抗体産生は、OVA単独投与群(図中:OVA)に比べて有意に増加した。一方、SZ24添加群(図中:SZ24)の抗OVA特異的IgG1サブクラス抗体産生は、OVA単独投与群と有意な差は見られなかった。これらの結果は、公知であるN,N’−ビス(ドデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ24)に比べて、本発明のN,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ23)のほうが、アジュバント活性が高いことを示している。

0140

〔実施例5〕N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ23)のヒト単球細胞株への免疫賦活効果の評価試験
ヒト単球細胞株THP−1を3.0×105cells/mlの濃度で96ウェルプレートに播種し、37℃、5%CO2の条件下で3時間インキュベートした。その後、N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ23)を、最終濃度が4nM、400nM、4μMになるように添加し、24時間培養した。THP−1の培養には、RPMI−1640にFBS(最終濃度10%)、ペニシリン(最終濃度100U/ml)、ストレプトマイシン(最終濃度100μg/ml)を添加したものを維持培地として用いた。継代は3日に一回行った。24時間培養後、CCK−8試薬(cell counting kit−8、同仁化学社製)を各ウェルに10μlずつ添加し、37℃、5%CO2の条件下で2時間インキュベートした。その後、マイクロプレートリーダーを用いて吸光度(ODValue=450nm)を測定した。各ウェルの吸光度を培地のみを添加したウェルの吸光度で除したものを、Stimulation Index(SI)と定義し、当該SIを用いて細胞増殖を評価した。結果を図5に示す。

0141

図5に示される結果から明らかなように、N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステルを最終濃度が400nM、4μMになるように添加したウェル(図中:SZ23 400nM、SZ23 4μm)において、培地のみを添加したウェル(図中:Mediumu)に比べて有意な細胞増殖が見られた。この結果は、N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ23)には、単球細胞の増殖を促進させ、活性化する作用があることを示唆している。

0142

〔実施例6〕N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ23)のマウスマクロファージ様株細胞(RAW)への免疫賦活効果の評価試験
マウスマクロファージ様細胞株RAWを3.0×105cells/mlの濃度で96ウェルプレートに播種し、37℃、5%CO2の条件下で3時間インキュベートした。その後、N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ23)を、最終濃度が4nM、400nM、4μMになるように添加し、24時間培養した。RAWの培養には、DMEM(High Glucose)にFBS(最終濃度10%)、ペニシリン(最終濃度100U/ml)、ストレプトマイシン(最終濃度100μg/ml)を添加したものを維持培地として用いた。継代は3日に一回行った。24時間培養後、CCK−8試薬(cell counting kit−8、同仁化学社製)を各ウェルに10μlずつ添加し、37℃、5%CO2の条件下で2時間インキュベートした。その後、マイクロプレートリーダーを用いて450nmの吸光度を測定した。各ウェルの吸光度を培地のみ添加したウェルの吸光度で除したものを、実施例5と同様に、Stimulation Index(SI)と定義し、当該SIを用いて細胞増殖を評価した。結果を図6に示す。

0143

図6に示される結果から明らかなように、N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステルを最終濃度が4nM、400nM、4μMになるように添加したウェル(図中:4nM、400nM、4μM)において、培地のみを添加したウェル(図中:Medium)に比べて有意な細胞増殖が見られた。この結果は、N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ23)には、マクロファージの増殖を促進させ、活性化する作用があることを示唆している。

0144

〔実施例7〕N,N’−ビス(ヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ22)のアジュバント活性の評価試験
本試験は、N,N’−ビス(ドデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ24)に代えて、N,N’−ビス(ヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ22)を使用したこと以外は、実施例4と同様の手順で行った。結果を図7に示す。

0145

図7に示される結果から明らかなように、SZ23添加群(図中:SZ23)及びSZ22添加群(図中:SZ22)の抗OVA特異的IgG1サブクラス抗体産生は、それぞれOVA単独投与群(図中:OVA)に比べて有意に増加した。これらの結果から、N,N’−ビス(ヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ22)も、N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ23)と同様にアジュバント活性を持つことがわかった。

0146

〔実施例8〕N,N’−ビス(トリデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ34)、N,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ35)及びN,N’−ビス(トリアコンタノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ36)のアジュバント活性の評価試験
本試験は、N,N’−ビス(ドデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ24)に代えて、N,N’−ビス(トリデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ34)、N,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ35)及びN,N’−ビス(トリアコンタノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ36)を使用したこと以外は、実施例4と同様の手順で行った。結果を図8に示す。

0147

図8に示される結果から明らかなように、SZ34添加群(図中:SZ34)、SZ35添加群(図中:SZ35)及びSZ36添加群(図中:SZ36)の抗OVA特異的IgG1サブクラス抗体産生は、それぞれOVA単独投与群(図中:OVA)に比べて有意に増加した。これらの結果から、N,N’−ビス(トリデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ34)、N,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ35)及びN,N’−ビス(トリアコンタノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ36)も、N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ23)と同様にアジュバント活性を持つことがわかった。

0148

〔実施例9〕N,N’−ビス[5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)オクタノイル]−L−シスチンジメチルエステル(SZ23’)のアジュバント活性の評価試験
本試験は、N,N’−ビス(ドデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ24)に代えて、N,N’−ビス[5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)オクタノイル]−L−シスチンジメチルエステル(SZ23’)を使用したこと以外は、実施例4と同様の手順で行った。結果を図9に示す。

0149

図9に示される結果から明らかなように、SZ23’添加群の抗OVA特異的IgG1サブクラス抗体産生は、OVA単独投与群(図中:OVA)に比べて有意に増加した。これらの結果から、N,N’−ビス[5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)オクタノイル]−L−シスチンジメチルエステル(SZ23’)も、N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ23)と同様にアジュバント活性を持つことがわかった。

0150

〔実施例10〕N,N’−ビス(リノレオイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ28)及びN,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ35)のアジュバント活性の評価試験
本試験は、N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ23)及びN,N’−ビス(ドデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ24)に代えて、N,N’−ビス(リノレオイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ28)及びN,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ35)を使用したこと以外は、実施例4と同様の手順で行った。結果を図10に示す。

0151

図10に示される結果から明らかなように、SZ35添加群(図中:SZ35)の抗OVA特異的IgG1サブクラス抗体産生は、OVA単独投与群(図中:control)に比べて有意に増加したが、SZ28添加群の抗OVA特異的IgG1サブクラス抗体産生はOVA単独投与群(図中:control)に比べて有意に増加しなかった。これらの結果から、N,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ35)の方が、N,N’−ビス(リノレオイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ28)よりも、高いアジュバント活性を持つことがわかった。

0152

(3)分散性検討試験
〔実施例11〕N,N’−ビス(2−テトラデシルヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ37)とN,N’−ビス(2−オクタデシルエイコサノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ38)の分散性検討試験
N,N’−ビス(2−テトラデシルヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ37)およびN,N’−ビス(2−オクタデシルエイコサノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ38)0.256μmolをそれぞれジルコニアビーズ入りの2mLのチューブ分取し、生理食塩水または5%α−シクロデキストリン(以下、単にαCDとも称する)添加生理食塩水を1mL加えて撹拌した。その後、マイクロプレートリーダーを用いて吸光度(ODValue=650nm)を測定し、分散性の指標として濁度を算出した。濁度の測定方法は以下の通りである。

0153

〔濁度の測定方法〕
SZ37およびSZ38 0.256μmolをジルコニアビーズ入りの2mLのチューブに分取し、それぞれ生理食塩水または5%αCD添加生理食塩水を1mL加えて6000rpmで1回あたり3.15秒間の条件で3回激しく撹拌した。その後、200μLずつ96ウェルプレートに分取し、マイクロプレートリーダーを用いて吸光度(ODValue=650nm)を測定した。またコントロールとしてカオリナイト1mgを蒸留水1Lに溶解し、マイクロプレートリーダーを用いて吸光度(OD Value=650nm)を測定した後、その吸光度(OD Value=650nm)を濁度1と定義し、各サンプルの濁度を、カオリナイトの測定値との比から算出した。

0154

結果を図11に示す。また、攪拌後の各サンプルの写真を図11に示す。

0155

図11に示される結果から明らかなように、5%αCD添加生理食塩水で分散したSZ37およびSZ38の濁度は、生理食塩水で分散したSZ37およびSZ38の濁度よりも、有意に高値であった。図12の写真からもわかるように、生理食塩水で分散できなかったSZ37およびSZ38は、5%αCD添加生理食塩水で均一に分散できていることが確認できた。

0156

〔実施例12〕N,N’−ビス(2−テトラデシルヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ37)とN,N’−ビス(2−オクタデシルエイコサノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ38)の分散溶媒の検討試験
SZ37およびSZ38を分散する際に、分散溶媒によって分散状態が異なるかどうかを検討した。実施例10と同様にしてSZ37およびSZ38を1%β−シクロデキストリン(以下、単にβCDとも称する)添加生理食塩水または5%αCD添加生理食塩水を加えて撹拌後、マイクロプレートリーダーを用いて吸光度(ODValue=650nm)を測定し、分散性の指標として濁度を算出した。濁度の測定方法は実施例11の通りである。結果を図13に示す。

0157

図13に示される結果から明らかなように、5%αCD添加生理食塩水で分散したSZ37および、SZ38の濁度は、1%βCD添加生理食塩水で分散したSZ37およびSZ38の濁度よりも有意に高値であった。この結果は、1%βCD添加生理食塩水よりも5%αCD添加生理食塩水を用いたほうが、分散性が高いことを示している。

0158

(4)アジュバント活性試験
〔実施例13〕N,N’−ビス(2−テトラデシルヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ37)とN,N’−ビス(2−オクタデシルエイコサノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ38)のアジュバント活性の評価試験
8週齢雌性BALB/cマウスを群分け(N=6)した後、各群に対し、マウス1匹あたり(1)抗原として生理食塩水に溶解した卵白アルブミン(OVA)10μg(OVA単独投与群)、(2)生理食塩水に添加したOVA10μg及びアジュバントとしてN,N’−ビス(2−テトラデシルヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ37)0.256μmol、(3)生理食塩水に添加したOVA10μg及びN,N’−ビス(2−オクタデシルエイコサノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ38)0.256μmol、(4)5%αCD添加生理食塩水に溶解又は分散したOVA10μg及びSZ37 0.256μmol、(5)5%αCD添加生理食塩水に溶解又は分散したOVA10μg及びSZ38 0.256μmolを、それぞれ背部皮下投与して、一次免疫を実施した。1週間後、上記(1)〜(5)と同様の溶液又は分散液を再度、背部皮下投与し、二次免疫を実施した。二次免疫の2週間後に、麻酔下にて採血を行い、得られた血清サンプルについて抗OVA特異的IgG1サブクラス抗体の測定を行った。結果を図14に示す。

0159

図14に示される結果から明らかなように、5%αCD添加生理食塩水で分散したSZ37およびSZ38を投与した群の抗OVA特異的IgG1サブクラス抗体産生は、OVA単独投与群(図中:control)に比べて有意に増加した。一方、生理食塩水で分散したSZ37およびSZ38を投与した群の抗OVA特異的IgG1サブクラス抗体は、OVA単独投与群(図中:control)に比べて有意な増加は見られなかった。この結果から、N,N’−ビス(2−テトラデシルヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ37)とN,N’−ビス(2−オクタデシルエイコサノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ38)をアジュバントとして用いるためには、生理食塩水ではなく5%αCD添加生理食塩水で分散することが好ましいことが確認された。

0160

〔実施例14〕N,N’−ビス(ヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ22)、N,N’−ビス(トリデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ34)、N,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ35)及びN,N’−ビス(トリアコンタノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ36)のアジュバント活性の評価試験
8週齢雌性BALB/cマウスを群分け(N=6)した後、各群に対し、マウス1匹あたり(1)抗原として5%αCD添加生理食塩水に溶解した卵白アルブミン(OVA)10μg(OVA単独投与群)、(2)5%αCD添加生理食塩水に溶解又は分散したOVA10μg及びN,N’−ビス(ヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ22) 0.256μmol、(3)5%αCD添加生理食塩水に溶解又は分散したOVA10μg及びN,N’−ビス(トリデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ34) 0.256μmol、(4)5%αCD添加生理食塩水に溶解又は分散したOVA10μg及びN,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ35) 0.256μmol、(5)5%αCD添加生理食塩水に溶解又は分散したOVA10μg及びN,N’−ビス(トリアコンタノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ36) 0.256μmol、を、それぞれ背部皮下投与して、一次免疫を実施した。1週間後、上記(1)〜(5)と同様の溶液又は分散液を再度、背部皮下投与し、二次免疫を実施した。二次免疫の2週間後に、麻酔下にて採血を行い、得られた血清サンプルについて抗OVA特異的IgG1サブクラス抗体の測定を行った。結果を図15に示す。

0161

図15に示される結果から明らかなように、5%αCD添加生理食塩水で分散したSZ22、SZ34、SZ35、SZ36の抗OVA特異的IgG1サブクラス抗体産生は、OVA単独投与群(図中:control)に比べて有意に増加した。この結果から、N,N’−ビス(ヘキサデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ22)、N,N’−ビス(トリデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ34)、N,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ35)及びN,N’−ビス(トリアコンタノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ36)を5%αCD添加生理食塩水で分散したものにもアジュバント活性があることが確認された。

0162

〔実施例15〕N,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ23)及びN,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ35)のアジュバント活性の評価試験
8週齢雌性BALB/cマウスを群分け(N=6)した後、各群に対し、マウス1匹あたり(1)抗原として5%αCD添加生理食塩水に溶解した卵白アルブミン(OVA)10μg(control群)、(2)5%αCD添加生理食塩水に溶解又は分散したOVA10μg及びSZ23 0.256μmol、(3)5%αCD添加生理食塩水に溶解又は分散したOVA10μg、SZ35 0.256μmolを、それぞれ背部皮下投与して、一次免疫を実施した。1週間後、上記(1)〜(3)と同様の溶液又は分散液を再度、背部皮下投与し、二次免疫を実施した。二次免疫の2週間後に、麻酔下にて採血を行い、得られた血清サンプルについて抗OVA特異的IgG1サブクラス抗体の測定を行った。結果を図16に示す。

0163

図16に示される結果から明らかなように、5%αCD添加生理食塩水で分散したSZ23、SZ35の抗OVA特異的IgG1サブクラス抗体産生は、control群(図中:control)に比べて有意に増加した。この結果から、5%αCD添加生理食塩水で分散したN,N’−ビス(2−ヘプチルウンデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ23)にも、N,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ35)と同様にアジュバント活性があることが確認された。

0164

〔実施例16〕N,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ35)及びN,N’−ビス(ドコサノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ66)のアジュバント活性の評価試験
8週齢雌性BALB/cマウスを群分け(N=6)した後、各群に対し、マウス1匹あたり(1)抗原として5%αCD添加生理食塩水に溶解した卵白アルブミン(OVA)10μg(control群)、(2)5%αCD添加生理食塩水に溶解又は分散したOVA10μg及びSZ35 0.256μmol、(3)5%αCD添加生理食塩水に溶解又は分散したOVA10μg、SZ66 0.256μmolを、それぞれ背部皮下投与して、一次免疫を実施した。1週間後、上記(1)〜(3)と同様の溶液又は分散液を再度、背部皮下投与し、二次免疫を実施した。二次免疫の2週間後に、麻酔下にて採血を行い、得られた血清サンプルについて抗OVA特異的IgG1サブクラス抗体の測定を行った。結果を図17に示す。

0165

図17に示される結果から明らかなように、5%αCD添加生理食塩水で分散したSZ35、SZ66の抗OVA特異的IgG1サブクラス抗体産生は、control群(図中:control)に比べて有意に増加した。この結果から、5%αCD添加生理食塩水で分散したN,N’−ビス(ドコサノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ66)にもアジュバント活性があることが確認された。

0166

(5)鼻腔インフルエンザワクチンアジュバントとしての評価試験
〔実施例17〕N,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ35)の鼻腔インフルエンザワクチンアジュバント活性の評価試験
8週齢雌性BALB/cマウスを群分け(N=6)した後、各群に対し、マウス1匹あたり(1)生理食塩水、(2)抗原として生理食塩水で希釈したインフルエンザワクチン(インフルエンザHAワクチン「生研」、デンカ生研株式会社)20μl(インフルエンザワクチン単独投与群)、(3)生理食塩水で希釈したインフルエンザワクチン20μl及びアジュバントとしてN,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ35)0.55μg、(4)生理食塩水で希釈したインフルエンザワクチン20μl及びアジュバントとしてN,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ35)1.64μg、(5)生理食塩水で希釈したインフルエンザワクチン20μl及びアジュバントとしてN,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ35)4.92μgを、それぞれ鼻腔投与して、一次免疫を実施した。2週間後、上記(1)〜(5)と同様の溶液を再度、鼻腔投与し、二次免疫を実施した。二次免疫の2週間後に、麻酔下にて全採血、鼻腔洗浄を実施した。そして、得られた血清サンプルについて抗インフルエンザIgG1サブクラス抗体の測定およびHIタイターアッセイ(赤血球凝集抑制試験)を行った。鼻腔洗浄液は、マウスの胸部を開き気管を露出させて切開後アトム静脈カテーテル節付を挿入し1mLの生理食塩水を注入した。そして、から出てきた液を10000gで3分間遠心後、上清回収し、これを鼻腔洗浄液サンプルとした。鼻腔洗浄液サンプルについては抗インフルエンザIgA抗体およびIgG抗体の測定を行った。測定方法は以下のとおりである。

0167

〔抗インフルエンザIgG1サブクラス抗体、抗インフルエンザIgA抗体およびIgG抗体の測定方法〕
96ウェルプレートに0.5μg/mlのインフルエンザワクチン(インフルエンザHAワクチン「生研」、デンカ生研株式会社)を1ウェルあたり100μlずつ加え、一晩4℃にてインキュベートした。インキュベート後、1ウェルあたり200μlのPBS−T(PBS+0.05%(v/v)Tween20)にて3回洗浄し、1ウェルあたり100μlの5%FCS/PBS溶液にて室温で1〜2時間、ブロッキングした。その後、1ウェルあたり200μlのPBS−Tにて3回洗浄し、1ウェルあたり100μlの希釈済みの血清サンプル、鼻腔洗浄液サンプル、およびコントロールとして同量の5%FCS/PBS溶液を添加し、37℃にて1時間インキュベートした。その後、1ウェルあたり200μlのPBS−Tにて5回洗浄し、1ウェルあたり100μlの希釈済みのビオチン化抗マウスIgG1抗体、IgA抗体およびIgG抗体を添加し、37℃で45分インキュベートした。その後、1ウェルあたり200μlのPBS−Tにて5回洗浄し、1ウェルあたり100μlの希釈済みの抗ビオチン−HRP抗体を添加し、さらに37℃で30分インキュベートした。その後、1ウェルあたり200μlのPBS−Tにて5回洗浄し、1ウェルあたり100μlのTMB基質溶液を添加し、室温にて10〜15分反応させた。その後、1ウェルあたり50μlの反応停止液(2N硫酸溶液)を加えて呈色反応を停止させ、マイクロプレートリーダーを用いて吸光度(ODValue=450nm)を測定した。

0168

〔HIタイターアッセイ〕
本アッセイは、「インフルエンザウイルスHI試薬「生研」」のプロトコールに従って行った。まず、血清サンプル中の非特異的インヒビターを除去するため、血清サンプルおよびHI抗血清(A/カリフォルニア/7/2009(H1N1)、血清対照)100μlにRDEレセプター破壊酵素、デンカ生研株式会社)を300μl加え、37℃で一晩インキュベートした。その後、56℃で60分間加温してRDEの反応を止め、その後PBSを600μl加えた。これに、50%に希釈したニワトリの赤血球浮遊液を50μl加え、十分混和後、常温(15℃〜25℃)に60分間静置した。これを900gで5分間遠心し、上清を回収し、これをHIサンプルとした。次に、HIアッセイで使用するHA抗原量を決定するため、HA抗原(A/カリフォルニア/7/2009(H1N1))とニワトリの赤血球を以下のように混合した。まず、96ウェル丸底プレートにPBSで5倍に希釈したHA抗原(A/カリフォルニア/7/2009(H1N1))を50μl加え、これにPBSを50μlに添加し、10倍希釈液とした。次に、この10倍希釈液をPBSで20倍、40倍、80倍、160倍、320倍、640倍、1280倍と段階的に希釈し、これらすべてのウェルにPBSで0.5%に希釈したニワトリの赤血球浮遊液50μlを加え、どの希釈倍率まで赤血球の沈殿が生じないか観察した。今回は、80倍希釈で沈殿が観察され、HA価は1:80(80HA/50μl)であった。本HIタイターアッセイでは、4HA/25μlの抗原液を用いるので、抗原液を10倍希釈して使用することにした。
96ウェル丸底プレートに、PBSで10倍希釈した上記で調整したHIサンプル25μl加え、これを10倍希釈液とした。次に、この10倍希釈液をPBSで20倍、40倍、80倍、160倍、320倍、640倍、1280倍と段階的に希釈し、これらすべてのウェルにHA抗原(A/カリフォルニア/7/2009(H1N1))25μlを加え、室温(15℃〜25℃)で30分間静置した。その後、赤血球の沈殿の観察を行った。80倍まで赤血球の沈殿が観察された場合は、HI抗体価を80とした。

0169

血清サンプル中のIgG1サブクラス抗体産生の評価結果を図18に、血清サンプル中のHIタイター評価試験の結果を図19に、鼻腔洗浄液中のIgA抗体産生の評価結果を図20に、鼻腔洗浄液中のIgG抗体産生の評価結果を図21に示す。

0170

図18に示される結果から明らかなように、SZ35添加群(図中:SZ35 0.55μg、1.64μg、4.92μg)の血清中の抗インフルエンザIgG1サブクラス抗体の産生は、インフルエンザワクチン単独投与群に比べて有意に増加した。この結果から、N,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ35)にはインフルエンザワクチンに対してアジュバント活性があることが確認された。

0171

図19に示される結果から明らかなように、SZ35添加群(図中:SZ35 0.55μg、1.64μg、4.92μg)の血清中のHI抗体価は、インフルエンザワクチン単独投与群に比べて有意に増加した。この結果から、N,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ35)添加によって、インフルエンザワクチンに含まれる抗原であるA/カリフォルニア/7/2009(H1N1)に対する抗体産生が増強されることが確認された。

0172

図20に示される結果から明らかなように、SZ35添加群(図中:SZ35 4.92μg)の鼻腔洗浄液中の抗インフルエンザIgA抗体の産生は、インフルエンザワクチン単独投与群に比べて有意に増加した。この結果から、N,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ35)は、投与部位鼻粘膜上にインフルエンザワクチンに対するIgAを誘導するアジュバントであることが確認された。

実施例

0173

図21に示される結果から明らかなように、SZ35添加群(図中:SZ35 4.92μg)の鼻腔洗浄液中の抗インフルエンザIgG抗体の産生は、インフルエンザワクチン単独投与群に比べて有意に増加した。この結果から、N,N’−ビス(オクタデカノイル)−L−シスチンジメチルエステル(SZ35)は、投与部位の鼻粘膜上にインフルエンザワクチンに対するIgGを誘導するアジュバントであることが確認された。

0174

本発明化合物は、抗原特異的なIgG1抗体産生の増強作用(免疫賦活作用)を有するので、免疫賦活剤として有用である。特に、本発明化合物は、従来のアルミニウムゲルアジュバントと同等かそれ以上の免疫賦活作用を有しており、さらに、本発明化合物は、IgE抗体の産生を誘導することがなく、従来のアルミニウムゲルアジュバントで課題となっているアレルギー誘導活性がほとんどないため、効果的で且つ安全なアジュバントとなり得る。さらに、粘膜上にIgA抗体産生を誘導し、かつ、血中のIgG抗体産生も増強することから、本発明化合物は現在研究開発が進んでいる粘膜ワクチンアジュバントにもなりうる。

0175

本出願は、日本で2014年4月25日に出願された特願2014-091142及び2015年2月27日に出願された特願2015-039593を基礎としており、それらの内容は本明細書に全て包含されるものである。

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