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技術 下肢に逆流を生じる疾患を治療するための人工弁

出願人 マレティ,オスカー
発明者 マレティ,オスカー
出願日 2015年5月14日 (5年6ヶ月経過) 出願番号 2017-513376
公開日 2017年6月22日 (3年4ヶ月経過) 公開番号 2017-516612
状態 特許登録済
技術分野 補綴
主要キーワード 弾性圧迫 開放フラップ 最大曲率半径 可動フラップ 弁フラップ 予防装置 ニュートン流動 縫合点
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (7)

課題・解決手段

人工弁(1)であって、生体適合性材料から作製されたフラップ(2)と、生体適合性材料または生体吸収性材料から作製されたステント(3)とを備え、該ステント(3)が、任意の閉曲線または多角形の形状の目(3”)を有するメッシュ(3’)を備えること、および前記フラップ(2)が、自体の対向面に長軸方向に並んだ縫合点の対(6)によって前記ステント(3)に縫合されていることを特徴とする人工単尖弁(1)。

概要

背景

下肢静脈系は複雑な系であり、動脈伴行静脈によって形成される深部静脈系、伏在静脈とその分枝を代表とする表在静脈系、およびこれら2つの静脈系をつなぐ系(下腿後部の筋肉にとって特に重要な筋肉内静脈に富んだ血管網穿通静脈とで構成される)からなる。これらの静脈系のいずれにおいても、重大な慢性静脈還流不全発症するような生理病理学的変化が起こりうる。

深部静脈系の疾患は、治療が困難であり、これに関連する表在静脈系疾患や穿通静脈疾患に対する処置を行っても極めて一時的にしか効果が示されず、このような点において特に深刻である。さらに、下肢静脈系は単一の系として機能し、一部分の変化が他の部分に広く伝わる。特に、大きな静脈瘤は深部静脈系を拡張させ、その静脈弁の相対的な機能不全を起こすことがあり、静脈瘤自体が完治して初めて拡張や機能が回復することが知られている。すなわち、静脈瘤とは、表在静脈系に起因して過剰な負荷がかかったことによる深部静脈系の可逆的機能不全であると言い換えることができる。これとは逆方向の静脈瘤では、深部の逆流によって穿通静脈が拡張し、表在静脈系の拡張が起こる。この場合、穿通静脈を結紮しても、深部静脈における病変が別の穿通静脈を拡張し続けるため、一時的な結果しか得られない。

従って、下肢に生じた逆流性疾患の検査は静脈系全体を調べることによって行われ、病的であれば、深部静脈系を治療することを目的とした処置がなされる。一般に、深部静脈系の逆流は、生理的に逆流を防ぐ構造として機能する弁が変化したことによって生じる。このような弁には先天的な変化が見られるか、あるいは後天的に変化を起こしている。先天的な変化としては、構造が変化していることによる機能不全や、弁自体の欠損が考えられるが、機能不全が最も一般的である。2つの内膜フラップからなる弁が上向きに開口することによって袋状の形態となり、静脈流が生理的な流れと逆にならないようにしているが、これらのフラップが血液を閉じ込める機能を発揮せず、両方向に血液が流れてしまうことがある。これは原発性弁閉鎖不全と呼ばれることがある。別の症例として、フラップは存在するが形成不全を起こしている場合もある。また、フラップが萎縮して全く存在していない場合もあるが、これはさらにまれである。これらの症例では一般に、重篤な慢性静脈還流不全を若年で発症し、経年的にさらに悪化して静脈血栓症併発する可能性がある。これに対して、後天的な弁の変化は血栓形成による病変に起因し、血栓症候群一種である。血栓後症候群は先天性静脈瘤よりも頻度が高く、深部静脈系に広範囲な静脈血栓症が生じ、それに伴った内因性線溶過程によってバイパスへの流入が起こることに起因する。この結果、静脈は主要な血行路を再確保できるが、通常、弁は完全に損傷を受け、線維性の壁肥厚に取り込まれる。逆流の程度は、通常、表在静脈系と穿通静脈の変化に関連し、逆流の程度によっては重篤な慢性静脈還流不全を引き起こし、潰瘍再発を伴う。表在静脈系に対する手術や、物理補助弾性下)を使用した穿通静脈の治療によって慢性静脈還流不全を制御できる場合、深部静脈逆流を現状のまま維持することができる。しかしながら、重篤な症状によって支障をきたすような特定の症例では、深部の逆流自体を治療するための外科的手術が必要となる場合がある。下肢への栄養補給の変化に深部静脈逆流が大きく関わっていることは、Lintonによって1931年に既に明らかにされている。Lintonは治療法として大腿静脈の結紮を提案しており、血流を遮ることが逆流自体にとって好ましいという考えを示している。同様の考えに基づいて、Bauerは1955年に膝窩静脈の結紮を提案している。この治療を受けた患者には重篤な合併症報告はなく、症状は改善したが、ほとんどすべての患者は二次的な副作用によって再発を起こし、逆流を示したため結紮の効果は失われた。これらの治療法よりも最近になって心臓弁手術が実施され始めた。1968年にKistnerによって初めてヒトの心臓弁手術が行われた。この症例は原発性弁閉鎖不全であった。Kistnerの術法は、後に他の研究者らによって改良され、現在もこの種の疾患に対して広く実施されている。現行の方法では、超音波カラードプラ静脈造影によって、機能していない弁の弁洞の位置を確認した後、静脈切開術により弁に直接到達する手術を行う。通常、逸脱した弁フラップ緊張させて上方に吊り上げることによって、正常な形態と特定の機能を弁フラップに再度付与する。Kistner法は大変注意深く行われる繊細な術法である。ほとんど場合において結果は極めて有望であり、多くの場合、難治性栄養性病変が治癒する。

しかしながら、この術法では静脈路内に1つの弁しか再建できず、下肢のホメオスタシスを維持するためには、術後に補助的な処置(軽い歩行運動弾性圧迫浮腫予防装置)がさらに必要とされる。Kistner法によって先天性の弁疾患を処置することが可能であるとしても、先天性形成不全や先天性萎縮、および血栓症後の後天的な弁疾患に対して同じ術法を適用することはできない。これらの疾患、特に、頻度の高い血栓症後の弁疾患の治療に当たっては2種類の術法が提案されている。1つはKistnerによって1978年に提案された大腿移所術、もう1つはTaheriによって1982年に提案された自家移植である。

大腿移所術は興味深い術法であり、表在大腿静脈を切開し、深大腿静脈の末端部または正常弁の上流にある伏在静脈の末端部と吻合させることによって行われる。

大腿移所術は魅力的でよく機能する術法であるが、半数以上の患者には行うことができない。その主な理由として、深大腿静脈はその第1のセクションにおいて機能不全を起こしていることが多く、伏在静脈は機能不全を起こしているか、既に切除されていることが挙げられる。

Taheriによって提案された自家移植は、正常弁を有する腋窩静脈の一部を上肢から引き出した後、端々吻合によって膝窩静脈内に移植することによって行われる。この術法では、腋窩静脈が、機能している弁を有していることを事前に確認することが必要である。しかしながら、静脈同士の大きさの違いや、上肢の動きが制限されることへの患者の抵抗感から、この術法はまれにしか行われない。

さらに、静脈壁を切開して新しい弁を作製することも可能であるが、この外科的手術は、数施設においてのみ限られた症例に対してしか行われていない。

上述した様々な術法が適用できない症例に対する治療方法が研究されており、大腿静脈の大きさの縮小凍結保存弁の移植、ステントに設けた弁の移植などの様々な方法が開発されている。

初めに挙げた2つの方法では満足な結果は得られなかったが、ステントに設けた弁を移植する方法は現在、実験段階にある。

特に、現在までに設計された弁は、弁が正常に機能しないこと、および弁洞に血栓が形成されることを主な2つの要因として、実験でも臨床研究でも満足な結果が得られていない。

本発明を説明する前に述べておくが、生理学的には、弁は、自体が存在する位置やその上下と同じ太さを有する円筒断面には挿入されておらず、血管が生理的に膨大した部分、すなわち「弁洞」と呼ばれる部分に挿入されていることには注意されたい。近年、この生理的な膨大部重要性は、B−Flow法を用いたインビボ研究によって十分に証明されている。これらのインビボ研究では、上行する血流の速度が低下することによって元に戻ろうとする力が生まれ、その力が弁上にかかり、中央方向から側方へと作用することによって弁が閉鎖することが示されている。具体的には、血流が上行しているとき、弁は開放と閉鎖の中間の状態で位置し、弁洞の形態のみに基づいて発揮される力を介して同じ血流によって閉じられる。

現在までに設計されてきたステントに設けた弁では、この重要な仕組みは考慮されていない。従って、弁は正常に作動せず、その弁洞が血流で洗われないため、弁は固定された位置のままであり、弁洞に血栓が早期に形成されてしまう。

概要

人工弁(1)であって、生体適合性材料から作製されたフラップ(2)と、生体適合性材料または生体吸収性材料から作製されたステント(3)とを備え、該ステント(3)が、任意の閉曲線または多角形の形状の目(3”)を有するメッシュ(3’)を備えること、および前記フラップ(2)が、自体の対向面に長軸方向に並んだ縫合点の対(6)によって前記ステント(3)に縫合されていることを特徴とする人工単尖弁(1)。

目的

従って、下肢に生じた逆流性疾患の検査は静脈系全体を調べることによって行われ、病的であれば、深部静脈系を治療することを目的とした

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

人工弁(1)であって、生体適合性材料から作製されたフラップ(2)と、生体適合性材料または生体吸収性材料から作製されたステント(3)とを備え、前記ステント(3)が、任意の閉曲線または多角形の形状の目(3”)を有するメッシュ(3’)を備えること、および前記フラップ(2)が、自体の対向面に長軸方向に並んだ縫合点の対(6)によって前記ステント(3)に縫合されていることを特徴とする人工単尖弁(1)。

請求項2

前記ステント(3)のメッシュ(3’)の断面が、任意の閉曲線または多角形であることを特徴とする、先行する請求項に記載の人工単尖弁(1)。

請求項3

前記ステント(3)のメッシュ(3’)の目(3”)の形状が平行四辺形であり、前記メッシュ(3’)の断面が円形であることを特徴とする、請求項1および2に記載の人工単尖弁(1)。

請求項4

前記ステント(3)のメッシュ(3’)の目(3”)の形状が楕円形であり、前記メッシュ(3’)の断面が円形であることを特徴とする、請求項1および2に記載の人工単尖弁(1)。

請求項5

前記ステント(3)のメッシュ(3’)の目(3”)の形状が平行四辺形であり、前記メッシュ(3’)の断面が長方形であることを特徴とする、請求項1および2に記載の人工単尖弁(1)。

請求項6

前記フラップ(2)が、ウシ心膜ヒツジ心膜またはブタ心膜から作製されたものであり、前記ステント(3)がニチノールから作製されたものことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の人工単尖弁(1)。

請求項7

前記フラップ(2)が、ウシ心膜、ヒツジ心膜またはブタ心膜から作製されたものであり、前記ステント(3)が生体再吸収性材料から作製されたものであり、該生体再吸収性材料が、ポリ乳酸PLA)、ポリグリコール酸PGA)またはポリジオキサノンPDS)であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の人工単尖弁(1)。

請求項8

前記目(3”)の平均直径が3mm〜5mmであり、前記弁(1)の長さが1.5cm〜2.5cmであり、該弁の最大曲率半径が3mm〜10mmであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の人工単尖弁(1)。

請求項9

前記目(3”)の平均直径が4mmであり、前記弁(1)の長さが2cmであり、該弁の最大曲率半径が5.5mmであることを特徴とする、先行する請求項に記載の人工単尖弁(1)。

請求項10

下肢に逆流を生じる疾患の治療方法において使用するための、請求項1〜9のいずれか一項に記載の人工単尖弁(1)。

技術分野

0001

本発明は医療分野に関する。より詳細には、本発明は、静脈系、典型的には下肢静脈系に移植される新規人工弁であって、下肢に逆流を生じる疾患によって変化した血流生理的血流に戻すことができる人工弁に関する。

背景技術

0002

下肢静脈系は複雑な系であり、動脈伴行静脈によって形成される深部静脈系、伏在静脈とその分枝を代表とする表在静脈系、およびこれら2つの静脈系をつなぐ系(下腿後部の筋肉にとって特に重要な筋肉内静脈に富んだ血管網穿通静脈とで構成される)からなる。これらの静脈系のいずれにおいても、重大な慢性静脈還流不全発症するような生理病理学的変化が起こりうる。

0003

深部静脈系の疾患は、治療が困難であり、これに関連する表在静脈系疾患や穿通静脈疾患に対する処置を行っても極めて一時的にしか効果が示されず、このような点において特に深刻である。さらに、下肢静脈系は単一の系として機能し、一部分の変化が他の部分に広く伝わる。特に、大きな静脈瘤は深部静脈系を拡張させ、その静脈弁の相対的な機能不全を起こすことがあり、静脈瘤自体が完治して初めて拡張や機能が回復することが知られている。すなわち、静脈瘤とは、表在静脈系に起因して過剰な負荷がかかったことによる深部静脈系の可逆的機能不全であると言い換えることができる。これとは逆方向の静脈瘤では、深部の逆流によって穿通静脈が拡張し、表在静脈系の拡張が起こる。この場合、穿通静脈を結紮しても、深部静脈における病変が別の穿通静脈を拡張し続けるため、一時的な結果しか得られない。

0004

従って、下肢に生じた逆流性疾患の検査は静脈系全体を調べることによって行われ、病的であれば、深部静脈系を治療することを目的とした処置がなされる。一般に、深部静脈系の逆流は、生理的に逆流を防ぐ構造として機能する弁が変化したことによって生じる。このような弁には先天的な変化が見られるか、あるいは後天的に変化を起こしている。先天的な変化としては、構造が変化していることによる機能不全や、弁自体の欠損が考えられるが、機能不全が最も一般的である。2つの内膜フラップからなる弁が上向きに開口することによって袋状の形態となり、静脈流が生理的な流れと逆にならないようにしているが、これらのフラップが血液を閉じ込める機能を発揮せず、両方向に血液が流れてしまうことがある。これは原発性弁閉鎖不全と呼ばれることがある。別の症例として、フラップは存在するが形成不全を起こしている場合もある。また、フラップが萎縮して全く存在していない場合もあるが、これはさらにまれである。これらの症例では一般に、重篤な慢性静脈還流不全を若年で発症し、経年的にさらに悪化して静脈血栓症併発する可能性がある。これに対して、後天的な弁の変化は血栓形成による病変に起因し、血栓症候群一種である。血栓後症候群は先天性静脈瘤よりも頻度が高く、深部静脈系に広範囲な静脈血栓症が生じ、それに伴った内因性線溶過程によってバイパスへの流入が起こることに起因する。この結果、静脈は主要な血行路を再確保できるが、通常、弁は完全に損傷を受け、線維性の壁肥厚に取り込まれる。逆流の程度は、通常、表在静脈系と穿通静脈の変化に関連し、逆流の程度によっては重篤な慢性静脈還流不全を引き起こし、潰瘍再発を伴う。表在静脈系に対する手術や、物理補助弾性下)を使用した穿通静脈の治療によって慢性静脈還流不全を制御できる場合、深部静脈逆流を現状のまま維持することができる。しかしながら、重篤な症状によって支障をきたすような特定の症例では、深部の逆流自体を治療するための外科的手術が必要となる場合がある。下肢への栄養補給の変化に深部静脈逆流が大きく関わっていることは、Lintonによって1931年に既に明らかにされている。Lintonは治療法として大腿静脈の結紮を提案しており、血流を遮ることが逆流自体にとって好ましいという考えを示している。同様の考えに基づいて、Bauerは1955年に膝窩静脈の結紮を提案している。この治療を受けた患者には重篤な合併症報告はなく、症状は改善したが、ほとんどすべての患者は二次的な副作用によって再発を起こし、逆流を示したため結紮の効果は失われた。これらの治療法よりも最近になって心臓弁手術が実施され始めた。1968年にKistnerによって初めてヒトの心臓弁手術が行われた。この症例は原発性弁閉鎖不全であった。Kistnerの術法は、後に他の研究者らによって改良され、現在もこの種の疾患に対して広く実施されている。現行の方法では、超音波カラードプラ静脈造影によって、機能していない弁の弁洞の位置を確認した後、静脈切開術により弁に直接到達する手術を行う。通常、逸脱した弁フラップ緊張させて上方に吊り上げることによって、正常な形態と特定の機能を弁フラップに再度付与する。Kistner法は大変注意深く行われる繊細な術法である。ほとんど場合において結果は極めて有望であり、多くの場合、難治性栄養性病変が治癒する。

0005

しかしながら、この術法では静脈路内に1つの弁しか再建できず、下肢のホメオスタシスを維持するためには、術後に補助的な処置(軽い歩行運動弾性圧迫浮腫予防装置)がさらに必要とされる。Kistner法によって先天性の弁疾患を処置することが可能であるとしても、先天性形成不全や先天性萎縮、および血栓症後の後天的な弁疾患に対して同じ術法を適用することはできない。これらの疾患、特に、頻度の高い血栓症後の弁疾患の治療に当たっては2種類の術法が提案されている。1つはKistnerによって1978年に提案された大腿移所術、もう1つはTaheriによって1982年に提案された自家移植である。

0006

大腿移所術は興味深い術法であり、表在大腿静脈を切開し、深大腿静脈の末端部または正常弁の上流にある伏在静脈の末端部と吻合させることによって行われる。

0007

大腿移所術は魅力的でよく機能する術法であるが、半数以上の患者には行うことができない。その主な理由として、深大腿静脈はその第1のセクションにおいて機能不全を起こしていることが多く、伏在静脈は機能不全を起こしているか、既に切除されていることが挙げられる。

0008

Taheriによって提案された自家移植は、正常弁を有する腋窩静脈の一部を上肢から引き出した後、端々吻合によって膝窩静脈内に移植することによって行われる。この術法では、腋窩静脈が、機能している弁を有していることを事前に確認することが必要である。しかしながら、静脈同士の大きさの違いや、上肢の動きが制限されることへの患者の抵抗感から、この術法はまれにしか行われない。

0009

さらに、静脈壁を切開して新しい弁を作製することも可能であるが、この外科的手術は、数施設においてのみ限られた症例に対してしか行われていない。

0010

上述した様々な術法が適用できない症例に対する治療方法が研究されており、大腿静脈の大きさの縮小凍結保存弁の移植、ステントに設けた弁の移植などの様々な方法が開発されている。

0011

初めに挙げた2つの方法では満足な結果は得られなかったが、ステントに設けた弁を移植する方法は現在、実験段階にある。

0012

特に、現在までに設計された弁は、弁が正常に機能しないこと、および弁洞に血栓が形成されることを主な2つの要因として、実験でも臨床研究でも満足な結果が得られていない。

0013

本発明を説明する前に述べておくが、生理学的には、弁は、自体が存在する位置やその上下と同じ太さを有する円筒断面には挿入されておらず、血管が生理的に膨大した部分、すなわち「弁洞」と呼ばれる部分に挿入されていることには注意されたい。近年、この生理的な膨大部重要性は、B−Flow法を用いたインビボ研究によって十分に証明されている。これらのインビボ研究では、上行する血流の速度が低下することによって元に戻ろうとする力が生まれ、その力が弁上にかかり、中央方向から側方へと作用することによって弁が閉鎖することが示されている。具体的には、血流が上行しているとき、弁は開放と閉鎖の中間の状態で位置し、弁洞の形態のみに基づいて発揮される力を介して同じ血流によって閉じられる。

0014

現在までに設計されてきたステントに設けた弁では、この重要な仕組みは考慮されていない。従って、弁は正常に作動せず、その弁洞が血流で洗われないため、弁は固定された位置のままであり、弁洞に血栓が早期に形成されてしまう。

発明が解決しようとする課題

0015

ここで、この大きな問題を解決するために、本質的に2つの可能性が考えられる。すなわち、静脈の弁洞の生理的膨大部を再現したステントを作製すること、および新規の弁をこの膨大部に挿入することが挙げられる。あるいは、別の方法で血栓形成と非可動性を解決する。特に、弁装置が満たすべき最も重要な特徴は、可動であること(弁は可動でなければならず、固定されていてはならない)、および、弁洞、すなわち弁と静脈壁との間に形成される空間が循環血液で洗われることである。この洗浄作用は血液が戻ろうとすることによって行われる。従って、従来、静脈の弁洞が膨張しないために血液が戻らなかったことに鑑みて、本願の産業上の発明は、以下に詳細に説明するように、弁の可動性に対する要求と弁洞の洗浄とを満たす新規装置を提供することを目的とする。

0016

弁フラップに逆方向の力がかかることで弁が可動となること、また、弁洞に血流がないと、偶然に生じた力で逆流になる場合を除き、弁フラップは実質的に固定されたままであることには注意されたい。逆流防止作用は、2つのフラップ(二尖弁)、3つのフラップ(三尖弁)または1つのフラップ(単弁)を有する弁によって形成される弁機構によって発揮できることもここに明記しておく。単尖弁は、二尖弁や三尖弁と同等に逆流防止に有効であることから、以下に説明するように、単尖弁を使用して本発明の目的を達成している。

0017

静脈の支流、すなわち主となる静脈路に沿って挿入される側枝の内部に弁が位置し、主血流が速度を上げたり速度を落としたりするのに従って、吸引メカニズムおよび血流の加速によって静脈支流が空になること(ベンチュリ効果)は重要である。

0018

生体内の弁は、静脈の弁洞から直接延びた静脈支流を有しておらず、上述したように、弁洞の洗浄は上行する血流が戻ってくることで行われる。これらの事実を踏まえるとともに、数学的モデルを使用することによって、上記疾患の治療に使用するための、生理的血流を回復できる弁装置の設計および提供が可能となった。

課題を解決するための手段

0019

本願は、血流によって適切に洗浄される弁洞を有し、かつ可動である弁を得るために医療分野において使用される新規かつ革新的な装置に関する。具体的には、本願は、ステントに縫合された、単尖弁の形態の弁装置、すなわち1つのフラップで形成された弁装置に関する。これにより、挿入部位に応じて設計された非常に革新的な弁が提供される。

0020

さらに、本発明の弁は、現在まで提案されてきたような、連続した血管壁部分に位置するものではなく、大きな静脈支流などの側副静脈から延びて交差するように適切に設計されている。この方法によれば、この大きな静脈支流の弁洞は常に洗浄されるため、血栓形成のリスクを回避することができる。さらに、本発明の弁は逆流を防ぐことができる。上記の大きな静脈支流は、対向する側壁に向かって弁フラップを開放したまま維持する。弁フラップがこのような空間配置にあることで逆流防止作用を発揮することができる。すなわち、上方からの血液の流れが発生すると、その血流の力全体が開放フラップにかかり対向する側壁の方向へと導かれる。また、静脈支流に逆流しようとする血液があっても、静脈支流は機能している弁を備えているため、逆流はここで止められるであろう。さらに、対向する側壁に向けられた弁フラップが、障害のある静脈における正常な血流を阻害するというリスクも避けられ、このことは、本発明の弁の機能をシミュレートするために用いた数学的モデルによって示されている。

0021

より詳細には、静脈支流の血流を測定した数学的モデルによると、障害のある静脈における完全な閉鎖は一時的にしか起こらないことが示された。閉鎖により主静脈自体の圧力が上昇し、この圧力上昇により弁が開放し、血液が正常に流れる。従って、数学的モデルによれば、主となる静脈路と静脈支流との間で達成される生理的血流と完全に一致する競合血流が主静脈と静脈支流とによって形成されることが示された。さらに、本発明の弁の使用においては、静脈支流は弁洞から延びており、弁洞の近傍に位置する。

0022

従って、大きな静脈支流などの側副静脈から延びて交差するように挿入できる適切に設計された単尖弁を提供することによって、弁洞を洗浄するという目的を完全に達成することができ、これによって、血栓形成を防ぎ、可動フラップを得ることができる。また、本発明の弁の移植後、本発明の新規な弁フラップは、主となる静脈路内において静脈支流の血流を正常とする位置に維持され、これによって、逆流が起ころうとするときにこれを防ぐことができることも重要な特徴である。これは、ステントに弁を縫合した単純かつ特有のシステムによって達成される。上述した構成と、これによってフラップが半開状態に常に維持されることから、ねじれと機能不全が抑えられる。

0023

本発明の弁の作製に有用な材料として、経皮的挿入により心臓弁を形成するために既に広く用いられているウシ心膜が好ましいが、その他の生体適合性材料も使用できる。従って、ステントと生物組織との組み合わせのような、既に広く試験され使用されている2つの構造物を連結し、大きな静脈支流から直接延びて交差するようにこの連結した構造物を配置し、フラップを特定の方法でステントに縫合することによって、静脈生理に要求される血流力学的な特性を満たし、かつ下肢に血液の逆流を生じさせる疾患を治療できる弁を得ることができた。本発明のステントは、血流を妨げないような目の粗いメッシュを備えた構造物であることが好ましい。

図面の簡単な説明

0024

本願の産業上の発明である人工弁1の概略図である。この図は、フラップ2およびステント3を備える弁1を示しており、この弁は、静脈100と側副静脈200との間の接合部300の高さにある静脈100の内部に挿入できるような大きさ、形状、および空間配置に構成されている。図中の矢印10および矢印20は、静脈100の心臓方向および下肢方向をそれぞれ示している。この図においては、ステント3がメッシュ3’から形成されていることも示されており、メッシュ3’は平行四辺形の形状の目3”を有する。
人工弁1を備える静脈100の斜視図であり、人工弁1は側副静脈200との接合部300の高さにある静脈の内部に移植されている。この図では、側副静脈200の血流の方向が強調されている。この血流の方向は矢印30で示されている。図から明らかなように、血液が矢印30で示された方向に流れることによって、フラップ2で規定される弁洞4が常に洗浄される。従って、弁洞4には血液が滞留せず、ひいては血栓形成を防ぐことができる。この図では、側副静脈200に存在する弁洞5’および弁洞5”を備える生体内弁5も示されている。この弁5は正常に機能している。
図2に類似しているが、人工弁1のフラップ2の可動性を強調した図である。フラップ2の可動性は、矢印30と矢印40とで示される血流によって達成される。矢印30および矢印40は、側副静脈200からの血流の方向および静脈100からの血流の方向をそれぞれ示す。
先の図2および図3に類似しているが、接合部300の高さにある静脈に移植された人工弁1によって、矢印50の方向で示される血液の逆流を防ぐことができることを強調した図である。
接合部300の高さにある静脈100の内部への人工弁1の移植を示す斜視図である。この図では、弁1のフラップ2がステント3に縫合されていることが示されている。この縫合は特殊なものであり、フラップ2の対向面に長軸方向に並んだ縫合点の複数の対6で表されている。
静脈200が連結した正常静脈100の概略図であり、生体内の弁が示されている。この図では、生体内の弁は二尖弁であること、および単尖弁である本発明の人工弁1とは異なり、接合部300の高さに弁は存在しないことが示されている。

実施例

0025

本明細書において先で繰り返し述べたように、本発明は、血液の逆流を生じる疾患を有する対象に移植される新規の人工弁1を提供する。より詳細には、本願の産業上の発明は、弁洞において必然的に生じる血液滞留による血栓形成のリスクと逆流とを防ぐことを目的として、適切に設計されて作製された人工弁1に関する。本発明の人工弁1はフラップ2をさらに備え、フラップ2が備える可動性によって静脈内の生理的血流が変化することはない。また、これらの機能を発揮すると同時に、血液が逆流するリスクも回避することができる。これらの目的は、大きな静脈支流などの側副静脈200への移植に適した形状と大きさとを有する弁1を設計することによって達成された。より具体的には、本発明の人工弁1は、生体適合性材料から作製されたフラップ2を備える単尖弁であり、フラップ2は特定の方法でステント3に縫合されている。また、ステント3も、本発明の目的を達成するために必要な特性を弁1に付与できるように適切に設計されている。

0026

さらに詳細には、弁1は、弁の機能不全によって血流が変化した静脈100と側副静脈200との間の接合部300に適するような空間配置に構成されており、機能不全を有する前記弁は、人工弁1の移植部位から比較的離れた位置にあってもよい。この特定の接合部に移植された弁1は、フラップ2と、フラップ2によって規定される静脈内弁洞4とが、側副静脈200から上行してくる血流によって常に洗浄されるように構成されている。

0027

一例として、静脈100と、この静脈100に連結した側副静脈200とを備える場合、人工弁1はこれら2つの静脈の接合部300に移植される。従って、弁フラップ2は、静脈100の内部において血流の方向に延び、これによって、弁洞4は側副静脈200から上行する血流によって常に洗浄されることとなる。この空間配置において、弁フラップ2は、正常な可動性を有するように配置されているため、静脈100内の生理的血流が確保され、静脈100の内部で逆流が起こらない。さらに、逆流のリスクは、この新規なフラップ2の可動性によって促される静脈100内部の正常な血流のみならず、正常に機能している弁を内部に備える静脈支流200の血流に押されることよっても回避される。

0028

既に上述したように、人工弁1が正常に機能した場合の有効性は、数学的モデルを用いて検証された。具体的には、シミュレーション流体-構造連成FSI)解析により行われた。血液のパラメーターおよび弁1の構造特性のパラメーターとしては、以下を用いた。

血液:
密度:1060Kg/m3
動的粘度:0.035ポアズ
ニュートン流動
速度または圧力による粘度への影響は無視する
等方性

弁の構造特性:
この数学的モデルで試験した材料では、構造的な臨界は見られなかった。さらに、得られた流体力学機能スキーム予測と一致した。

0029

直径6〜20mmの静脈に人工弁1を移植した場合の特定の一実施形態における、人工弁1の特性を一例として以下に示すが、これに限定されない。

ステント:
材料:ニチノール
重量:1〜4g(例えば2.5g)
メッシュ3’の目3”の平均直径:3mm〜5mm(例えば4mm)
ステント3が備えるメッシュ3’の目3”の形状:平行四辺形
メッシュ3’の断面形状:長方形または円形

フラップ:
材料:ウシ心膜、ヒツジ心膜ブタ心膜またはその他の生体適合性材料

弁:
弁の長さ:1.5〜2.5cm(例えば2cm)
最大曲率半径:3〜10mm(例えば5.5mm)

0030

別の実施形態においては、本発明の人工弁1は移植の有効性を高めるような構造特性を有している。具体的には、いくつかの実施形態では、ステント3は、生体適合性かつ生体再吸収性を有する材料から作製されており、例えば、ポリ乳酸PLA)、ポリグリコール酸PGA)およびポリジオキサノンPDS)などの材料(ただしこれらに限定されない)から構成されており、かつ/またはステント3のメッシュ3’の目3”の形状は任意の閉曲線または多角形であってもよく、ステント3を構成するメッシュの断面も同様に任意の閉曲線または多角形であってもよいが、メッシュ3’の目3”の形状は楕円形である。

0031

本発明の人工弁1の特定の一実施形態において、例えば、メッシュの目3”の形状は楕円形であり、メッシュ3’の断面は円形であるが、これに限定されない。

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