図面 (/)
課題・解決手段
本開示は、金属コンポーネント(50)を製造するための方法に関し、この方法は、 − 金属コンポーネント(50)の形状の少なくとも一部を画定するカプセル(5)を提供する工程(100)、 −金属材料(7)をカプセル(5)内に配置する工程(200)、 − カプセル(5)をシールする工程(300)、 − 所定の圧力及び所定の温度で所定の時間にわたりカプセル(5)に熱間等方圧加圧法を施す工程(400)、−任意選択的に、カプセル(5)を除去する工程(500)を含み、金属材料(7)が、金属粉末からなる少なくとも一つの事前製造されるコヒーレント体(1、2、3、4)を含み、金属粉末の少なくとも一部が、金属粉末が事前製造されるコヒーレント体(1、2、3、4)としてまとまるように圧密化され、且つ事前製造されるコヒーレント体(1、2、3、4)の少なくとも一つの部分が、付加製造に続いて金属粉末の重畳層を配置することにより製造されることを特徴とする。
概要
背景
熱間等方圧加圧法(HIP)は、ニアネットシェイプ及び高性能材料からなるコンポーネントを製造するために好適な方法である。HIPでは、カプセルは、コンポーネントの形状を画定し、一般に鋼薄板から製造される。このカプセルが金属又は複合粉末を充填されて高温及び高等方圧に曝されることで、金属粉末が冶金的に結合し、鍛造と同様の強度を有する密度の高いコンポーネントが得られる。
熱間等方圧加圧法は、異なる材料からなる領域を有するコンポーネントを製造するために適している。一般に、このようなコンポーネントは、粉末形態の異なる材料をカプセル中に加えることにより製造される。したがって、各個別の材料の所望の特性を獲得するために、異なる粉末の混合を避けることが極めて重要である。
異なる粉末をカプセル内に位置させる一般的な技術は、粉末充填の間に充填テンプレートを使用し、次いでカプセルをシールする前にテンプレートを除去することである。この技術の欠点は、テンプレートを除去するときに粉末分離を制御することが非常に困難であることである。この技術は、異なる粉末領域の大きさ及び幾何学的形状に関しても極めて制限されている。
異なる材料からなる領域を有するコンポーネントの製造を容易にするために、複数の試みがなされてきた。例えば、国際公開第2010/114474号は、ポリマー材料及び金属粉末からなる構成部分を製造した後にHIPカプセル内の選択された領域に配置する方法を示している。しかしながら、成功裏に運ぶことが証明されているものの、この方法は、構成部分中のポリマー材料をHIPに先立って除去する必要があるため、長時間を必要とする。この方法は更に、カプセル内に炭素に富む残留物を生じさせうる。
したがって、本発明の一の態様は、先行技術の一又は複数の問題を改善又は少なくとも克服する金属コンポーネントの製造方法を獲得する。
特に、本発明の一の態様は、HIPによる金属コンポーネントの効果的な生産を可能にする方法を獲得する。本発明の更なる態様は、異なる材料からなる領域を有する金属コンポーネントの製造方法を提供する。
定義:
「金属材料」は、金属であるか、又は金属と非金属相若しくは粒子の複合物である材料を意味する。限定しないが、金属の例は、純金属又は複数の金属及び他の要素からなる合金、例えば鋼である。複合材料の一例は金属基材であり、これは、限定しないがWC、TiC、TaC、TiNといった硬質粒子又は限定しないがNi、Co、Fe、Crといった金属基中の硬質相を含む。
本明細書において使用される「金属粉末材料からなるコヒーレント体」又は「コヒーレント体」は、損傷させることなく手動で、即ち手により扱うことを可能にするために十分な強度を有する構成部分を意味する。
概要
本開示は、金属コンポーネント(50)を製造するための方法に関し、この方法は、 − 金属コンポーネント(50)の形状の少なくとも一部を画定するカプセル(5)を提供する工程(100)、 −金属材料(7)をカプセル(5)内に配置する工程(200)、 − カプセル(5)をシールする工程(300)、 − 所定の圧力及び所定の温度で所定の時間にわたりカプセル(5)に熱間等方圧加圧法を施す工程(400)、−任意選択的に、カプセル(5)を除去する工程(500)を含み、金属材料(7)が、金属粉末からなる少なくとも一つの事前製造されるコヒーレント体(1、2、3、4)を含み、金属粉末の少なくとも一部が、金属粉末が事前製造されるコヒーレント体(1、2、3、4)としてまとまるように圧密化され、且つ事前製造されるコヒーレント体(1、2、3、4)の少なくとも一つの部分が、付加製造に続いて金属粉末の重畳層を配置することにより製造されることを特徴とする。
目的
異なる粉末をカプセル内に位置させる一般的な技術は、粉末充填の間に充填テンプレートを使用し、次いでカプセルをシールする前にテンプレートを除去することである
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 1件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
金属コンポーネント(50)の製造方法であって、−金属コンポーネント(50)の形状の少なくとも一部を画定するカプセル(5)を提供する工程(100)、−金属材料(7)をカプセル(5)内に配置する工程(200)、−カプセル(5)をシールする工程(300)、−所定の圧力及び所定の温度で所定の時間にわたりカプセル(5)に熱間等方圧加圧法を施す工程(400)、−任意選択的に、カプセル(5)を除去する工程(500)を含み、金属材料(7)が、金属粉末からなる少なくとも一つの事前製造されるコヒーレント体(1、2、3、4)を含み、金属粉末の少なくとも一部が、金属粉末が事前製造されるコヒーレント体(1、2、3、4)としてまとまるように圧密化され、且つ事前製造されるコヒーレント体(1、2、3、4)の少なくとも一つの部分が、付加製造に続いて金属粉末の重畳層を配置することにより製造されることを特徴とする、方法。
請求項2
事前製造されるコヒーレント体(1、2、3、4)が付加製造により製造される、請求項1に記載の方法。
請求項3
金属粉末が焼結により圧密化される、請求項1又は2に記載の方法。
請求項4
事前製造されるコヒーレント体(1、2、3、4)の全体が、焼結された金属粉末からなる、請求項3に記載の方法。
請求項5
事前製造されるコヒーレント体(1、2、3、4)の表面部分が、圧密化された金属粉末からなる、請求項3に記載の方法。
請求項6
事前製造されるコヒーレント体の表面部分の金属粉末が、溶融に続いて冷却されることにより圧密化される、請求項1又は2に記載の方法。
請求項7
事前製造されるコヒーレント体(1、2、3、4)が、金属粉末(10)を含有するシェル(9)であり、このシェル(9)が溶融及び圧密化された金属粉末からなる、請求項5又は6に記載の方法。
請求項8
付加製造が3Dプリンティングである、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
請求項9
金属材料(7)が少なくとも二つの事前製造されるコヒーレント体(1、2、3、4)を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
請求項10
金属材料(7)が少なくとも三つの事前製造されるコヒーレント体(1、2、3、4)を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
請求項11
金属材料(7)がルース金属粉末を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
請求項12
金属コンポーネントが、バルブディスク(52)及びバルブステム(53)を含むバルブスピンドル(50)であって、−カプセル(5)がバルブディスク(52)の少なくとも一部を画定し、−金属材料(7)が、バルブシート(1)、コアヘッド(11)を含むコア体(2)、クラッド層(4)及びコアヘッド(11)上に配置される緩衝層(3)からなり、ここで、バルブシート(1)、緩衝層(3)及びクラッド層(4)の少なくとも一つが、金属粉末から事前製造されるコヒーレント体である、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
請求項13
バルブシート(1)、緩衝層(3)及びクラッド層(4)のうちの少なくとも二つが、金属粉末からなる事前製造されるコヒーレント体である、請求項12に記載の方法。
請求項14
残りの金属材料(7)がルース金属粉末である、請求項12又は13に記載の方法。
請求項15
コア体(2)が鍛造体である、請求項12又は13に記載の方法。
請求項16
技術分野
背景技術
0002
熱間等方圧加圧法(HIP)は、ニアネットシェイプ及び高性能材料からなるコンポーネントを製造するために好適な方法である。HIPでは、カプセルは、コンポーネントの形状を画定し、一般に鋼薄板から製造される。このカプセルが金属又は複合粉末を充填されて高温及び高等方圧に曝されることで、金属粉末が冶金的に結合し、鍛造と同様の強度を有する密度の高いコンポーネントが得られる。
0003
熱間等方圧加圧法は、異なる材料からなる領域を有するコンポーネントを製造するために適している。一般に、このようなコンポーネントは、粉末形態の異なる材料をカプセル中に加えることにより製造される。したがって、各個別の材料の所望の特性を獲得するために、異なる粉末の混合を避けることが極めて重要である。
0004
異なる粉末をカプセル内に位置させる一般的な技術は、粉末充填の間に充填テンプレートを使用し、次いでカプセルをシールする前にテンプレートを除去することである。この技術の欠点は、テンプレートを除去するときに粉末分離を制御することが非常に困難であることである。この技術は、異なる粉末領域の大きさ及び幾何学的形状に関しても極めて制限されている。
0005
異なる材料からなる領域を有するコンポーネントの製造を容易にするために、複数の試みがなされてきた。例えば、国際公開第2010/114474号は、ポリマー材料及び金属粉末からなる構成部分を製造した後にHIPカプセル内の選択された領域に配置する方法を示している。しかしながら、成功裏に運ぶことが証明されているものの、この方法は、構成部分中のポリマー材料をHIPに先立って除去する必要があるため、長時間を必要とする。この方法は更に、カプセル内に炭素に富む残留物を生じさせうる。
0006
したがって、本発明の一の態様は、先行技術の一又は複数の問題を改善又は少なくとも克服する金属コンポーネントの製造方法を獲得する。
0007
特に、本発明の一の態様は、HIPによる金属コンポーネントの効果的な生産を可能にする方法を獲得する。本発明の更なる態様は、異なる材料からなる領域を有する金属コンポーネントの製造方法を提供する。
0008
定義:
「金属材料」は、金属であるか、又は金属と非金属相若しくは粒子の複合物である材料を意味する。限定しないが、金属の例は、純金属又は複数の金属及び他の要素からなる合金、例えば鋼である。複合材料の一例は金属基材であり、これは、限定しないがWC、TiC、TaC、TiNといった硬質粒子又は限定しないがNi、Co、Fe、Crといった金属基中の硬質相を含む。
0009
本明細書において使用される「金属粉末材料からなるコヒーレント体」又は「コヒーレント体」は、損傷させることなく手動で、即ち手により扱うことを可能にするために十分な強度を有する構成部分を意味する。
0010
本発明によれば、上記態様の少なくとも一つが、
金属コンポーネント50の形状の少なくとも一部を画定するカプセル5を提供する工程100;金属材料7をカプセル5内に配置する工程200;カプセル5をシールする工程300;カプセル5に、所定の圧力及び所定の温度で所定の時間にわたり熱間等方圧加圧法を施す工程400;任意選択的に、カプセル5を除去する工程500を含み、金属材料7が、金属粉末からなる少なくとも一つの事前製造されるコヒーレント体1、2、3、4を含み、金属粉末の少なくとも一部が、金属粉末が事前製造されるコヒーレント体1、2、3、4にまとまるように圧密化されており、事前製造されるコヒーレント体1、2、3、4の少なくとも一つの部分が、付加製造に続いて重畳された金属粉末の層を配置することにより製造されることを特徴とする、金属コンポーネントの製造方法によって獲得される。
0011
付加製造は、金属粉末からなる個別の層を、上下に連続して配置して予備成形体を形成する技術である。この技術は、複雑な幾何学的形状の構成部分の製造を可能にする。上述又は後述に規定される本発明の方法によれば、付加製造は3Dプリンティングでもよい。
0012
本発明によれば、事前製造されるコヒーレント体1、2、3、4の複数の部分は付加製造により製造され、例えば事前製造されるコヒーレント体1、2、3、4の二つ又は三つの部分が付加製造により製造される。上述又は後述に規定される本発明の更なる実施態様によれば、事前製造されるコヒーレント体1、2、3、4は付加製造により製造され、即ち前記事前製造されるコヒーレント体1、2、3、4のすべてが付加製造により製造される。
0013
上述又は後述に規定される方法に使用される事前製造されるコヒーレント体1、2、3、4は、破損の危険なく取り扱うことができる。これにより、事前製造されるコヒーレント体を、高い精度でHIPカプセル内に位置させることが可能となり、異なる材料からなる複数の構成部分、例えば二つ以上の構成部分がカプセル内に配置されるとき、異なる材料が混合する危険がない。
0014
事前製造されるコヒーレント体1、2、3、4の全体が、焼結された金属粉末からなっていてよい。したがって、事前製造されるコヒーレント体1、2、3、4全体が、焼結によって圧密化されていてよい。焼結は、事前製造されるコヒーレント体に十分な強度を獲得するために有効な方法である。更に、適切な焼結温度を選択することにより、最終焼結体に、ルース金属粉末の多孔性とほぼ一致する多孔性が得られる。したがって、ルース金属粉末がカプセルに充填されるときも、焼結体は収縮して、ルース金属粉末と等価な方式で変形する。このことにより、最終コンポーネントに均一で予測可能な変形が得られる。
0015
一代替例によれば、事前製造されるコヒーレント体1、2、3、4の表面部分のみが圧密化される。したがって、事前製造されるコヒーレント体1、2、3、4の表面部分は圧密化された金属粉末からなることになる。
0016
更に、一代替例によれば、付加製造に続いて金属粉末及び接合剤の重畳層を配置する前に、事前製造されるコヒーレント体1、2、3、4の表面部分に接合剤が添加される。接合剤は、例えば焼結を実施する前の熱処理により、除去することができる。
0017
一代替例によれば、事前製造されるコヒーレント体の表面部分の金属粉末は、溶解させた後に冷却することにより圧密化される。更に、上述又は後述に規定される本発明の方法によれば、事前製造される構成部分1、2、3、4の一部、例えば表面部分は、レーザービーム又は電子ビームの照射を使用することにより圧密化される。
0018
上述又は後述に規定される方法は、バルブディスク52及びバルブステム53を含むバルブスピンドル50の製造に利用することができ、この場合、
−カプセル5はバルブディスク52の少なくとも一部を画定し;
−金属材料7は、バルブシート1、バルブディスク52の内部を画定するコアヘッド11を含むコア体2、クラッド層4及びコアヘッド11上に配置される緩衝層3からなり;
ここで、バルブシート1、緩衝層3及びクラッド層4の少なくとも一つは、金属粉末からなる事前製造されたコヒーレント体である。
0019
一代替例によれば、バルブシート1、緩衝層3及びクラッド層4のうちの二つが、金属粉末から事前製造されるコヒーレント体であり、残りの金属材料はルース金属粉末でよい。これにより、異なる材料からなる三つのコンポーネントを含む比較的複雑な設計を有するバルブスピンドルが、異なる材料が混合するリスクなしに製造されうる。事前製造される構成部分は好ましくは焼結され、これが結合されていない粉末と組み合わされることで、HIPバルブスピンドルの均一で予測可能な変形を生じさせる。
0020
例えば、少なくともバルブシート1と緩衝層3は金属粉末から事前製造されるコヒーレント体であり、クラッド層4はルース金属粉末である。別の構成では、少なくともバルブシート1とクラッド層4が金属粉末から事前製造されるコヒーレント体であり、緩衝層3がルース金属粉末である。別の構成では、少なくとも緩衝層3とクラッド層4が金属粉末から事前製造されるコヒーレント体であり、バルブシートがルース金属粉末である。別の構成では、少なくともバルブシート1、緩衝層3及びクラッド層4が金属粉末からなる事前に成形されたコヒーレント体である。
0021
コア体2も、金属粉末から事前製造されるコヒーレント体とすることができる。しかしながら、コア体は、固体の金属材料の鍛造により製造されてもよい。
0022
上述又は後述に規定される本発明の方法によれば、バルブシート1及び/又は緩衝層3及び/又はクラッド層4は、金属粉末を焼結することにより事前に製造され、この場合焼結は金属粉末の融点を下回る温度及び大気圧で実施される。コア体2が金属粉末からなる事前製造される構成部分である場合、コア体2は焼結してもよい。
0023
接合剤を、事前製造されるコヒーレント体1、2、3、4の表面部分を避け、事前製造されるコヒーレント体1、2、3、4の他の部分に添加してもよい。事前製造されるコヒーレント体1、2、3、4の他の部分への接合剤の添加の作用は、事前製造されるコヒーレント体1、2、3、4を手で取り扱うことができるようにするためであり、即ち前記コヒーレント体は、損傷させることなく手で取り扱うことができる。
図面の簡単な説明
0024
本発明の方法の主要な工程を示す概略図である。
本発明の方法により得られるコンポーネントの概略図である。
本発明の一実施態様による事前製造される構成部分の概略図である。
本発明の方法の主要な工程の順序を示すフロー図である。
実施例
0025
上述及び後述に規定される方法について、バルブスピンドルの形態の金属コンポーネントの製造に関して以下に詳細に説明する。本発明の方法の主要な工程の一般的順序を図6のフロー図に示す。
0026
記載される実施態様は、2工程船舶用ディーゼル機関のためのバルブスピンドルの製造に関する。しかしながら、これは本発明を限定するものではなく、本発明の方法がすべての種類の金属コンポーネント、例えばインペラー、燃料ノズル、ローターシャフト及びストレスメーターリングの製造に適していることを理解されたい。
0027
図4は、本発明の方法により得られるバルブスピンドル50の断面を示す概略斜視図である。バルブスピンドル50は、ステム53及びバルブディスク52を含む。バルブディスクは平坦な上面54を有し、この上面はエンジン内でシリンダー室に対向する。平坦面54は排出面とも呼ばれる。断面に見られるように、バルブスピンドル50はコアヘッド11を有するコア体2を含み、コアヘッド11はバルブディスク52の内部を形成するようにバルブディスク52と一体となっている。コア体2は、バルブスピンドルのステム53を形成するステム部12も含む。バルブスピンドル50は更に、バルブシート3、緩衝層1及び耐腐食性クラッディング4を含む。緩衝層1は、コア体上に配置される。特に、緩衝層1は、コアヘッド11上の、コアヘッド11と耐腐食性クラッディング4の間と、バルブシート3とコアヘッド11の間に配置され、コアヘッド11から耐腐食性クラッディング4への又はバルブシート3への炭素の拡散を防ぐ。炭素は、クラッディング及びバルブシート3の耐腐食性及び機械特性に悪影響を有する。耐腐食性クラッディング4は、緩衝層とバルブシートを覆い、バルブスピンドル50のバルブディスク52の外表面を形成する。
0028
本発明の方法の第1の工程100(図1参照)では、バルブスピンドルの外形又は輪郭の少なくとも一部を画定するカプセル5が提供される。カプセル5は、例えばプレス法又は回転成形により適切に成形された後溶接された鋼薄板から製造される。好ましくは、鋼薄板は、炭素含有量の低い鋼、例えば、0〜0.09wt%の炭素含有量を有する低炭素鋼から製造される。カプセルに適した鋼の例は、SSAB社から市販されている鋼DC04、DC05又はDC06である。このような鋼は、バルブスピンドルに最小限の炭素拡散を供するため適性である。これら鋼種の更なる利点は、酸中における酸洗いにより容易に除去可能なことである。カプセル5は、円形の断面を有し、バルブスピンドル50のステム53の形態を有する下部円筒状部分からなる。カプセル5の上部はバルブスピンドル1のバルブディスク52の形態を有している。
0029
第2の工程200(図2参照)では、カプセル内に金属材料7が配置される。金属材料は、バルブシート1、コア体2、緩衝層3及びクラッド層4から構成される。
0030
バルブシート1は、市販の合金Inconel718から製造される。この材料は、高い靱性、高い硬質、及び良好な耐腐食性を有する。他の適切な材料には、モリブデン、クロム、ニオブ、アルミニウム又はチタン元素のうちの一又は複数を含むニッケルベース又はコバルトベースの合金といった析出硬化型合金が含まれる。バルブシートに適した合金の他の例は、Ni40Cr3.5NbTiである。
0031
予備成形されるコア体2は、0.15〜0−35wt%の炭素含有量を有する合金鋼から製造することができる。事前成形コア体に適した鋼の一例は、市販のSNCrW鋼である。事前成形コア体2は、付加製造を用いて製造してもよい。事前成形コア体2は、鍛造によっても製造されうる。
0032
緩衝層3は、コア体2のヘッド11の上に配置される。緩衝層3は、コアヘッド11の上側と縁部を覆う。緩衝層3は、0〜0.09wt%の炭素含有量を有する低炭素鋼からなっていてよい。緩衝層は更に、12〜25wt%、例えば14〜20wt%の量のクロムにより合金化することができる。緩衝層に適した一の材料は、市販の316L鋼である。原理上、緩衝層は、コア要素から炭素を吸収し、クロムに富むカーバイドの形成により緩衝層中の炭素に結合する。緩衝層は、コア要素とバルブシートの間に連続層を形成するために十分な厚さを有さなければならない。緩衝層の厚さは更に、コア要素中の炭素量及びエンジンの動作条件に左右され、例えば緩衝層の厚さは2〜10mm、例えば3〜7mmの範囲でなければならず、例えば3mm又は5mmである。
0033
緩衝層3の上にはクラッド層4が配置される。クラッド層4はバルブディスク52の排出側4及び周辺部分を形成する。クラッド層は、高度に耐腐食性の合金から製造される。この合金は、Cr、Nb、Al及びMoを含むニッケルベースの合金とすることができる。クラッド層に適した合金の例は、市販の合金Ni49Cr1Nb又はInconel657である。
0034
本開示によれば、バルブシート1、コア体2、緩衝層3及びクラッド層4の少なくとも一つは、コヒーレント体としてまとまるように圧密化された金属粉末から事前製造されるコヒーレント体である。つまり、構成部分1、2、3、4は、損傷させることなく手で取り扱うために、即ち手で掴んでカプセル内に配置するために十分な強度を有する。構成部分1、2、3、4の各々は、金属粉末から事前製造されるコヒーレント体とすることができる。二つ又は三つの構成部分1、2、3、4を、金属粉末から事前製造されるコヒーレント体とし、一又は複数の残りの構成部分をルース粉末、即ち接着又は接合されていない粉末として提供することも可能である。使用される金属粉末は、上述した通りである。したがって、バルブシート1は、Inconel718のルース粉末からなっていても、又は圧密化された粉末からなっていてもよい。緩衝層3は316L鋼の粉末からなっていてよく、クラッド層4は、ルースな又は圧密化されたInconel657の粉末からなっていてよく、コア体は、ルースな又は圧密化されたSNCrWの粉末からなっていてよい。しかしながら、典型的には、コア体は、SNCrW鋼のような鋼の固体片を鍛造することにより製造される。
0035
事前製造されるコヒーレント体1、2、3、4の少なくとも一つの部分は、3Dプリンティングといった付加製造により製造される。本発明の一実施態様によれば、事前製造されるコヒーレント体1、2、3、4のうちの複数を、付加製造により製造することができる。また別の実施態様によれば、事前製造されるコヒーレント体1、2、3、4は、付加製造により製造される。
0036
一般に、付加製造では、構成部分は、互いに上下に重ねられる金属粉末と接合剤の混合物からなる個別の層により組立てられる。接合剤は構成部分から除去され、構成部分はコヒーレント状態に焼結される。付加製造が3Dプリンティングである場合、3Dプリンティングは、例えばExone Inc.から市販されている3Dプリンター「Exone M−Print」で実施することができる。
0037
構成部分1、2、3、4は、焼結される場合、金属粉末の融点を下回る温度に加熱される焼結炉内に配置される。焼結は、構成部分が高密度化することを避けるために、大気圧又は減圧下で低い焼結温度において実施される。正確な温度は、問題となる各金属材料に応じて決定されなければならない。焼結の間、金属粉末粒子の接触表面は互いに接着し、冷却後に事前製造されるコヒーレント体が獲得される。焼結されるため、構成部分は多孔性であり、即ち60〜80vol%、例えば65〜75vol%の気孔率を有する。焼結された事前製造される構成部分の気孔率は、焼結温度の影響を受けうる。更に、構成部分1、2、3、4が接合剤を含む場合、この接合剤は、焼結に使用される炉と同じ炉を用いることにより、又は別個の脱接合設備を用いることにより、除去することができる。
0038
別の実施態様によれば、事前製造されるコヒーレント体は、金属粉末を含有するコヒーレントシェルである。図5は、第2の実施態様によるコヒーレント体、この場合クラッド層4の概略図である。構成部分4の外表面全体は、一定容量の金属粉末10を包囲するコヒーレントシェル9に圧密化されている。シェルの厚さは、構成部分の寸法に応じて、例えば1〜3mmである。シェル9は金属粉末を保持する容器を形成する。製造方法に応じて、シェルによって包囲される金属粉末は、結合されていない金属粉末又は焼結される金属粉末とすることができる。
0039
シェルの形態の事前製造されるコヒーレント体は、3Dプリンティングによって、即ち金属粉末からなる別個の層を互いに上下に重ねることによって製造してもよい。しかしながら、この場合、最終的構成部分の外表面のみが圧密化されるように層の周囲のみにレーザー焼結が施される。このために適したマシンは、EOS GmbHから市販されているEOS M 400である。この場合、シェルは、焼結されたコヒーレントな金属粉末からなり、シェルによって包囲されるこの金属粉末は、結合されていない金属粉末であり、即ち焼結されていない。
0040
電子ビーム(EB)溶融に続いて冷却することにより層の周囲の金属粉末を圧密化することによってシェルを形成することも可能である。これは、Arcam AB社から市販されるArcam Q20装置において獲得することができる。この場合、シェルは、溶融及び圧密化されたコヒーレントな金属粉末からなり、シェル内の金属粉末は、電子ビーム法により生成される熱により低度に焼結される。
0041
金属粉末材料1、2、3、4からなる事前製造されるコヒーレント体をカプセル5内に配置した後、カプセルは、カプセルの上に蓋6を配置することにより閉鎖される。蓋はカプセルに溶接されて、カプセルは減圧される。最後に、カプセルは溶接によりシールされてすべての開口部が閉じられる。溶接後、カプセルは気密でなければならない。
0042
第3の工程300では、充填されたカプセルに対し、所定の圧力及び所定の温度で所定の時間にわたり熱間等方圧加圧法が施され、金属材料が高密度化される。HIPの間、事前製造されるコヒーレント体1、2、3、4及びカプセル5は互いに冶金的に結合し、それにより密度が高く拡散接合したコヒーレントなHIP金属コンポーネントが獲得される。
0043
充填及びシールされたカプセル5は、これによりHIPチャンバー80内に配置される(図3参照)。HIPチャンバーは、ガス、例えばアルゴンガスにより、500barを上回る等方圧に加圧される。一般に、等方圧は900〜1200barである。チャンバーは、形成される溶融材料又は相の融点のうち最も低い温度より低い温度に加熱される。温度が融点に近い程、溶融材料及び望ましくない層が形成されるリスクが高い。したがって、HIPの間の炉内の温度は可能な限り低くなければならない。しかしながら、低温では、拡散プロセスの速度が低下し、材料は残留多孔性を含むこととなり、粒子間の冶金的結合が弱くなる。したがって、温度は、溶融材料の融点のうち最も低い融点、例えば900〜1150℃、又は1000又は1150℃より低い、100〜300℃であることが好ましい。HIPの間にカプセル内の材料間に起こる拡散プロセスは時間依存性であり、したがって長時間が好ましい。長すぎる時間は、例えば粒子成長又は層の過剰溶解により、HIP材料の特性を低下させうる。好ましくは、HIP法は、問題となるコンポーネントの断面積に応じて、0.5〜4時間の時間にわたって実施されるべきである。
0044
任意選択的工程500では、HIP及び冷却後、カプセル5と蓋6を金属コンポーネント50から、例えば酸洗い又は機械加工により除去する。
0046
例えば、金属粉末からなる完全な事前製造コヒーレント体を製造する代わりに、構成部分、例えばバルブシートを、複数の区画に分けて製造し、それらをカプセル内に配置することも可能である。3Dプリンターは構成部分の最大サイズに限界を有するため、これは大きなコンポーネントを製造するときに必要であろう。
0047
固体の、即ち鍛造されるコア体2が使用されるとき、コア体はカプセルの一部とすることもできる。この場合、カプセルは、例えばカプセルの底部を形成する固体のコア体2に溶接される。
技術視点だけで見ていませんか?
この技術の活用可能性がある分野
分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成