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技術 三機能性抗原結合分子

出願人 アッフィメッド・ゲー・エム・ベー・ハー
発明者 リトル,メルヴィンツコフクスキー,オイゲネエーゼル,マルクスヴァイヒェル,ミヒャエルガントケ,トルステンロイシュ,ウーヴェエルヴァンガー,クリスティナレガル,ファブリーチェ
出願日 2015年4月12日 (5年8ヶ月経過) 出願番号 2016-562499
公開日 2017年6月1日 (3年6ヶ月経過) 公開番号 2017-513476
状態 特許登録済
技術分野 ペプチド又は蛋白質 化合物または医薬の治療活性 抗原、抗体含有医薬:生体内診断剤 微生物による化合物の製造 突然変異または遺伝子工学 微生物、その培養処理
主要キーワード 可変結合 最終サンプル 生産収率 領域対 発現力価 分子重量 エスケープ ゲルイメージ
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図面 (4)

課題・解決手段

本発明は、三重特異性抗原結合分子であって、前記抗原結合分子は少なくとも四価であり、第1抗原エピトープに対する特異性を有する抗原結合部位、第2抗原エピトープに対する特異性を有する抗原結合部位および第3抗原エピトープに対する特異性を有する2つの抗原結合部位を含む三重特異性抗原結合分子ならびに腫瘍療法のための医薬品としてのその使用に関する。

概要

背景

二重特異性、すなわち二機能性の抗体は、2つの異なる治療標的と闘うため、または2つの別個の機能を実施するために使用できる。そのような抗体は、例えば、特定の標的細胞に向かう免疫エフェクター細胞、例えばT細胞またはNK細胞動員するために使用できる。様々な抗体フラグメントベースとする分子は、公知であり、例えば癌療法のために開発中である。

二機能性および二量体の抗体は、抗体可変領域だけを使用して構築できる。例えば、VHおよびVL領域間のリンカー配列は、それらがフォールディングすることができない程度まで短縮することができ、分子内様式で相互に結合する。例えば二から十二個の残基のそのような短いリンカーは、scFv分子の前記のフォールディングを防止し、様々なポリペプチド鎖相補的可変領域間の分子間VH−VL対合好都合であり、二量体「ダイアボディ」を形成する(非特許文献1(Holliger et al.,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90,6444−6448))。そのようなダイアボディは、各々が別の抗体のVL領域に短いリンカーによって接続された1つの抗体由来のVH領域からなる、2つの一本鎖ポリペプチド融合生成物非共有結合によって得られる二機能性抗体のために使用できる。

特許文献1(国際公開第03/025018号パンフレット)は、その構造が少なくとも4つの結合領域を備える同一の一本鎖ポリペプチドによって形成される、二重特異性および多量体抗原結合分子を開示している。

概要

本発明は、三重特異性抗原結合分子であって、前記抗原結合分子は少なくとも四価であり、第1抗原エピトープに対する特異性を有する抗原結合部位、第2抗原エピトープに対する特異性を有する抗原結合部位および第3抗原エピトープに対する特異性を有する2つの抗原結合部位を含む三重特異性抗原結合分子ならびに腫瘍療法のための医薬品としてのその使用に関する。

目的

例えば、グリシンおよびセリン残基を含むリンカーは、一般にプロテアーゼ耐性を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
1件

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請求項1

三重特異性抗原結合分子であって、前記抗原結合分子は少なくとも四価であり、第1抗原エピトープに対する特異性を有する1つの抗原結合部位、第2抗原エピトープに対する特異性を有する1つの抗原結合部位、および、第3抗原エピトープに対する特異性を有する2つの抗原結合部位を含む三重特異性抗原結合分子。

請求項2

前記抗原結合部位の各々はVH/VL対からなり、第1VH/VL対のVHおよびVL領域は相互に非共有結合しており、前記非共有結合したVHおよびVL領域の各々はペプチドリンカーまたはペプチド結合によって前記第1VH/VL対に並列して位置する第2VH/VL対の別のVHもしくはVL領域に結合している請求項1に記載の三重特異性抗原結合分子。

請求項3

前記VH/VL対の前記VH領域はペプチドリンカーまたはペプチド結合によって前記VH/VL対のVH領域に結合させられ、前記第1VH/VL対の前記VL領域はペプチドリンカーまたはペプチド結合によって前記第2VH/VL対のVL領域に結合させられている請求項2に記載の三重特異性抗原結合分子。

請求項4

前記分子は、各ポリペプチドが相互に連結した少なくとも4つの抗体可変領域を有する、第1ポリペプチドおよび第2ポリペプチドを含む抗原結合ポリペプチド二量体であり、(a)前記第1ポリペプチドは、約12個以下のアミノ酸残基リンカーによって相互に連結された第1および第2抗体可変領域、ならびに、抗体可変軽鎖領域(VL)と連結された抗体可変重鎖領域(VH)を有する一本鎖Fv抗原結合ユニットを含み、前記抗体可変重鎖領域(VH)および前記抗体可変軽鎖領域(VL)は、第1抗原結合部位に会合することができ、前記第1または第2抗体可変領域はペプチドリンカーによって一本鎖Fv抗原結合ユニットと連結されている、(b)前記第2ポリペプチドは、約12個以下のアミノ酸残基のリンカーによって相互に連結された第1および第2抗体可変領域を含み、前記第1および第2抗体可変領域ならびに一本鎖Fv抗原結合ユニットは抗体可変重鎖領域(VH)と連結された抗体可変軽鎖領域(VL)を有し、前記抗体可変軽鎖領域(VL)および抗体可変重鎖領域(VH)は第2抗原結合部位へ会合することができ、前記第1または第2抗体可変領域はペプチドリンカーによって前記一本鎖Fv抗原結合ユニットと連結されている、(c)前記第1ポリペプチドの前記第1抗体可変領域は、前記第2ポリペプチドの前記第2抗体可変領域と第3抗原結合部位に対して会合する、(d)前記第1ポリペプチドの前記第2抗体可変領域は、前記第2ポリペプチドの前記第1抗体可変領域と第4抗原結合部位に対して会合する、(e)前記4つの抗原結合部位のうちの2つは、同一抗原に対して特異的である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の三重特異性抗原結合分子。

請求項5

三重特異性抗原結合分子であって、前記分子は請求項4に記載の抗原結合ポリペプチド二量体であり、(a)前記第1ポリペプチドは、約12個以下のアミノ酸残基のリンカーによって相互に連結された第1および第2抗体可変重鎖領域(VH)、ならびに、抗体可変軽鎖領域(VL)と連結された第3抗体可変重鎖領域(VH)を有する一本鎖Fv抗原結合ユニットを含み、前記第3抗体可変重鎖領域(VH)および抗体可変軽鎖領域(VL)は、第1抗原結合部位に会合することができ、前記第1または第2抗体可変重鎖領域(VH)は、ペプチドリンカーによって前記一本鎖Fv抗原結合ユニットと連結されている、(b)前記第2ポリペプチドは、約12個以下のアミノ酸残基のリンカーによって相互に連結された第1および第2抗体可変軽鎖領域(VL)、ならびに、抗体可変重鎖領域(VH)と連結された第3抗体可変軽鎖領域(VL)を有する一本鎖Fv抗原結合ユニットを含み、前記第3抗体可変軽鎖領域(VL)および抗体可変重鎖領域(VH)は、領域(VL)に会合することができ、ペプチドリンカーによって前記一本鎖Fv抗原結合ユニットと連結されている、(c)前記第1ポリペプチドの前記第1抗体可変重鎖領域(VH)は、前記第2ポリペプチドの前記第2抗体可変軽鎖領域(VL)と第3抗原結合部位に対して会合する、(d)前記第1ポリペプチドの前記第2抗体可変重鎖領域(VH)は、前記第2ポリペプチドの前記第1抗体可変軽鎖領域(VL)と第4抗原結合部位に対して会合する、(e)前記4つの抗原結合部位のうちの2つは、同一抗原に対して特異的である、三重特異性抗原結合分子。

請求項6

前記第1ポリペプチドの前記第1および第2可変領域、ならびに、前記第2ポリペプチドの前記第1および第2可変領域は、3〜9個のアミノ酸残基を有するリンカーによって連結されている請求項4または5に記載の三重特異性抗原結合分子。

請求項7

前記第1ポリペプチドの前記第2可変領域および前記一本鎖Fvユニット、ならびに、前記第2ポリペプチドの前記第2可変領域および前記一本鎖Fvユニットは、2〜35個のアミノ酸残基を有するリンカーで連結されている請求項4〜6のいずれか一項に記載の三重特異性抗原結合分子。

請求項8

前記第1ポリペプチドの前記一本鎖Fvユニットの前記可変重鎖領域および前記可変軽鎖領域、ならびに、前記第2ポリペプチドの前記一本鎖Fvユニットの前記可変軽鎖領域および前記可変重鎖領域は、12個以上のアミノ酸残基を有するリンカーで連結されている請求項4〜7のいずれか一項に記載の三重特異性抗原結合分子。

請求項9

前記2つの一本鎖Fvユニットの前記第1および第2抗原結合部位は、前記同一抗原に対して特異的である請求項4〜8のいずれか一項に記載の三重特異性抗原結合分子。

請求項10

前記第1および第2ポリペプチド間の会合によって形成された前記第3および第4抗原結合部位は、前記同一抗原に対して特異的である請求項4〜9のいずれか一項に記載の三重特異性抗原結合分子。

請求項10

前記同一抗原に対して特異的である前記2つの抗原結合部位は、T細胞またはナチュラルキラー(NK)細胞上に提示される抗原に対して特異的である請求項1〜9のいずれか一項に記載の三重特異性抗原結合分子。

請求項11

前記抗原は、CD3、CD16またはCD16Aである請求項10に記載の三重特異性抗原結合分子。

請求項12

前記他の2つの結合部位は、同一細胞上の2つの異なる抗原に対して特異的である請求項10または11に記載の三重特異性抗原結合分子。

請求項13

前記細胞は、腫瘍細胞である請求項12に記載の三重特異性抗原結合分子。

請求項14

前記2つの異なる抗原は、CD19、CD20、CD26、CD29、CD30、CD33、CD200、CD267、EGFR、EGFRvIII、HER2、HER3、IGFR、IGF−1R、Ep−CAMPLAP、トムゼン・フリーデンライヒ(Thomsen−Friedenreich:TF)抗原、MUC−1(ムチン)、CD5、IL4−Rα、IL13−R、FcεRIおよびIgE、gpA33、MHCI/ペプチド複合体からなる群から選択される、請求項13に記載の三重特異性抗原結合分子。

請求項15

第1抗原結合部位および第2抗原結合部位は、ナチュラルキラー(NK)細胞上に提示される2つの異なる抗原エピトープに対して特異的である請求項1〜9のいずれか一項に記載の三重特異性抗原結合分子。

請求項16

請求項1〜15のいずれか一項に記載の三重特異性抗原結合分子をコードするベクター

請求項17

請求項16に記載のベクターによって形質転換された宿主細胞

請求項18

腫瘍療法において使用するための請求項13または14に記載の三重特異性抗原結合分子。

技術分野

0001

本発明は、多機能性(multifunctional)、例えば三機能性、の抗原結合分子、および、その治療適用、例えば免疫療法、に関する。前記分子は、Fv抗体誘導体である。特定の実施形態では、本発明は、多量体、例えば、二量体、の抗原結合分子に関する。

背景技術

0002

二重特異性、すなわち二機能性の抗体は、2つの異なる治療標的と闘うため、または2つの別個の機能を実施するために使用できる。そのような抗体は、例えば、特定の標的細胞に向かう免疫エフェクター細胞、例えばT細胞またはNK細胞動員するために使用できる。様々な抗体フラグメントベースとする分子は、公知であり、例えば癌療法のために開発中である。

0003

二機能性および二量体の抗体は、抗体可変領域だけを使用して構築できる。例えば、VHおよびVL領域間のリンカー配列は、それらがフォールディングすることができない程度まで短縮することができ、分子内様式で相互に結合する。例えば二から十二個の残基のそのような短いリンカーは、scFv分子の前記のフォールディングを防止し、様々なポリペプチド鎖相補的可変領域間の分子間VH−VL対合好都合であり、二量体「ダイアボディ」を形成する(非特許文献1(Holliger et al.,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90,6444−6448))。そのようなダイアボディは、各々が別の抗体のVL領域に短いリンカーによって接続された1つの抗体由来のVH領域からなる、2つの一本鎖ポリペプチド融合生成物非共有結合によって得られる二機能性抗体のために使用できる。

0004

特許文献1(国際公開第03/025018号パンフレット)は、その構造が少なくとも4つの結合領域を備える同一の一本鎖ポリペプチドによって形成される、二重特異性および多量体の抗原結合分子を開示している。

0005

国際公開第03/025018号パンフレット

先行技術

0006

Holliger et al.,1993,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90,6444−6448

発明が解決しようとする課題

0007

各ポリペプチド鎖の末端部分にあるVHおよびVL領域は、短いリンカーによって連結され、他方のポリペプチド鎖の対応するVHおよびVL領域と分子間会合するが、各ポリペプチド鎖の他方のVHおよびVL領域は、同一鎖内で相互に分子内結合して抗原結合scFvユニットを生じる。そのような構築物ホモ二量体である、すなわちそのような構築物は相互に結合した同一の一本鎖ポリペプチドからなる。

課題を解決するための手段

0008

本明細書では、少なくとも三機能性である、多機能性の抗原結合分子が提供される。一部の実施形態では、三機能性抗原結合分子は、少なくとも三重特異的である、すなわち少なくとも3つの異なる抗原エピトープに対する特異性を有する。

0009

本発明による抗原結合分子は、可変(Fv)抗体領域だけを含むが、定常抗体領域が欠如する、Fv誘導体である。抗原結合分子の可変(Fv)抗体領域は、ペプチドリンカーまたはペプチド結合によって相互に結合されている。本発明による抗原結合分子は、単一ポリペプチド鎖の単量体または多重鎖ポリペプチドの多量体である可能性がある。多量体抗原結合分子は、例えば、2本のポリペプチド鎖を有する二量体、3本のポリペプチド鎖を有する三量体または4本のポリペプチド鎖を有する四量体であってよい。

図面の簡単な説明

0010

本発明による三機能性、すなわち三重特異性の抗原結合ポリペプチド二量体を形成するための第1および第2ポリペプチドを示す図である。第1ポリペプチドは、次々に連結された4つの抗体可変領域VH、VL、VH、VHを有する。第1および第2VH抗体可変領域(黒色)は、同一の第1特異性を有し、同一ポリペプチド内の分子内対合を防止するために短いリンカーL3および同一ポリペプチド内の可変領域対によって第2特異性の抗原結合部位を分子内で形成できる第2リンカーL1によって連結された他の第3可変抗体領域VLおよび第4可変抗体領域VHの抗体可変領域対(白色)を有する一本鎖Fvユニットによって連結されている。異なる特異性の第2抗体可変領域VHおよび第3抗体可変領域VLは、第3リンカーL2によって連結されている。 第2ポリペプチドは、次々に連結された4つの抗体可変領域VL、VL、VL、VHを有する。第1および第2VL抗体可変領域(黒色)は、同一の第1特異性を有し、同一ポリペプチド内の分子内対合を防止するために短いリンカーL4ならびに他の第3可変抗体領域VLおよび第3特異性を有する第4可変抗体領域VHの抗体可変領域対(灰色)を有する一本鎖Fvユニットによって連結され、および同一ポリペプチド内の可変領域対によって抗原結合部位を分子内で形成できる第2リンカーL1によって連結されている。異なる特異性の第2抗体可変領域VLおよび第3抗体可変領域VLは、第3リンカーL2によって連結されている。
図1の2つのポリペプチド間の非共有会合によって形成された抗原結合ポリペプチド二量体を示す図であり、第1ポリペプチドの短いリンカーによって連結された2つの抗体可変VH領域は第2ポリペプチドの2つの対応する抗体可変VL領域と会合し、それにより同一特異性を有する2つの抗原結合部位(黒色)を形成するが、他方第2特異性は、第1ポリペプチド(白色)の一本鎖Fvユニットによって提供され、第3特異性は第2ポリペプチド(灰色)の一本鎖Fvユニットによって提供される。
腫瘍細胞二重標的化のための三重特異性抗体である、本発明による三機能性抗原結合分子、特に三機能性抗原結合ポリペプチドを示す図である。抗体、すなわち抗原結合ポリペプチドは、腫瘍細胞上の2つの異なる標的/エピトープを標的とするように設計されており、第3機能性はエフェクター細胞高親和性で結合する。抗原結合ポリペプチドは、4つの抗原結合部位からなるが、2つの中央抗原結合部位は腫瘍細胞上の2つの異なる抗原に結合し、2つの周辺抗原結合部位はエフェクター細胞に結合する。

0011

一部の実施形態では、三重特異性抗原結合分子は、少なくとも四価である。「四価」は、抗原結合分子が4つの抗原結合部位を含むことを意味するが、このとき抗原結合部位の各々は、相互に会合(associate)した同一の抗原エピトープ特異性の1つの可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域を有するVH/VL対を含む。そこで、そのような四価抗原結合分子は、少なくとも8つの可変抗体領域、つまり4つの可変重鎖(VH)領域および4つの可変軽鎖(VL)領域を含む。三重特異性および四価の抗原結合分子は、第1抗原エピトープに対する特異性を有する抗原結合部位、第2抗原エピトープに対する特異性を有する抗原結合部位および第3抗原エピトープに対する特異性を有する2つの抗原結合部位を含む。そこで、この三重特異性および四価の抗原結合分子は、3つの異なる抗原エピトープに対する異なる特異性を有する。例えば、そのような抗原結合分子は、第1抗原エピトープに対する特異性を有する第1抗原結合部位、第2抗原エピトープに対する特異性を有する第2抗原結合部位、第3抗原エピトープに対する特異性を有する第3および第4抗原結合部位を含む。三重特異性および四価の抗原結合分子が多量体である一部の実施形態では、抗原結合分子は、ヘテロ二量体である、すなわち少なくとも2本の異なるポリペプチド鎖を含み、これらの2本のポリペプチド鎖は少なくとも1つの可変領域が異なり、例えば、1本のポリペプチド鎖はVH領域しか含まず、他方の1本のポリペプチド鎖は、同一抗原エピトープ特異性の各VL領域しか含まない。

0012

四価抗原結合分子は8つの抗体可変領域を含むために、その分子量は100kDa超であり、これは三価および三重特異性の一本鎖Fv分子と比較して、そのような分子の長い半減期を生じさせる。

0013

さらに、各三重特異性および四価の抗原結合分子は、同一抗原エピトープに対する特異性を有する2つの抗原結合部位を含む。これにより、アビディティ、つまり抗原エピトープと抗原結合分子との間の相互作用の強度が増加する。アビディティがより高いという利点は、相互作用の安定性および標的上での保持(retention)を増加させる。例えば、標的が例えばT細胞もしくはNK細胞などの細胞傷害性免疫エフェクター細胞である場合は、アビディティが高いほど、抗原結合分子の細胞溶解能力の増加を生じさせることができる。また別の実施例では、標的が腫瘍細胞である場合は、アビディティが高いほど標的上での保持時間が改善され、標的からのオフレート(off−rates)を低下させる。本発明の特定の実施形態では、三重特異性および四価の抗原結合分子は、同一種類の腫瘍細胞の2つの異なる抗原エピトープに対して特異的な第1および第2抗原結合部位ならびに例えばT細胞もしくはNK細胞などの免疫エフェクター細胞上の抗原エピトープに対して特異的である第3および第4抗原結合部位を含む。そのような抗原結合分子は、特定の種類の腫瘍細胞に対する特異性そしてアビディティの増加ならびに免疫エフェクター細胞上の受容体活性化するためのアビディティの増加をもたらし、結果として有益にも抗原結合分子の特異的な細胞溶解能を増加させる。2つの別個の腫瘍抗原エピトープへの結合は、標的化特異性の増加および標的外への毒性を減少させることによる治療濃度域(therapeutic window)の拡張をもたらす。重要なことに、構造的複雑性にもかかわらず、本発明によるそのような三重特異性および四価の抗原結合分子は、安定性である。

0014

このため、本発明による抗原結合分子は、腫瘍細胞または感染性因子破壊するために、免疫エフェクター細胞の細胞傷害(cytotoxic)能を向け直すための様々な方法において利用できる。一部の実施形態では、三重特異性抗原結合分子は、標的上の2つの異なる抗原エピトープに結合することができる。例えば、2つの異なるエピトープは、エスケープ変異体を防止するため、または有効性を増強するために同一抗原上にあってよい、または2つのエピトープは、標的の2つの異なる抗原上にあってもよい。他の実施形態では、三重特異性抗原結合分子は、免疫エフェクター細胞上の2つの異なる抗原エピトープに結合することができる。例えば、第1抗原結合部位は、活性化受容体、例えばCD16AまたはCD3に対する特異性を有し、第2抗原結合部位は、共刺激受容体、例えば、CD137またはCD28に対する特異性を有する。また別の実施例では、第1抗原結合部位はCD16Aに対する特異性を有し、第2抗原結合部位はNK細胞上のまた別の活性化受容体、例えば、NKG2D、DNAM、NCRに対する特異性を有する。

0015

また別の実施形態では、三重特異性抗原結合分子は、腫瘍細胞上の抗原エピトープに対する特異性を有する第1抗原結合部位、免疫エフェクター細胞上の抗原エピトープに対する特異性を有する第2抗原結合部位ならびに成長因子サイトカインケモカインマイトジェンおよびアルブミンの群から選択される可溶性タンパク質上の抗原エピトープに対する特異性を有する第3抗原結合部位を有する。そのような可溶性タンパク質の例は、IL−6、BAFF、APRIL、TGF−β、IL−10、VEGF−A、HB−EGF、アンジオポエチン−2およびヒト血清アルブミンHSA)である。

0016

また別の実施形態では、抗原結合分子は、1つのタイプの細胞上に存在する抗原の抗原エピトープに対する特異性を有する1つの抗原結合部位および1つ以上の他のタイプの細胞上の抗原エピトープの特異性を有する3つの抗原結合部位を有する。

0017

「エフェクター細胞」は、細胞傷害性、食作用抗原提示、サイトカイン遊離刺激または誘発できる免疫系の細胞である。そのようなエフェクター細胞は、例えば、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、顆粒球単球マクロファージ樹状細胞および抗原提示細胞であるが、それらに限定されない。エフェクター細胞に対する好適な特異性の例には、CD2、CD3およびCD3サブユニット、例えばCD3ε、CD5、CD28およびT細胞に対するT細胞受容体(TCR)の他の成分;NK細胞に対するCD16、CD16A、CD25、CD38、CD44、CD56、CD69、CD94、CD335(NKp46)、CD336(NKp44)、CD337(NKp30)、NKp80、NKG2CおよびNKG2D、DNAM、NCR、顆粒球に対するCD18、CD64およびCD89、単球およびマクロファージに対するCD18、CD32、CD64、CD89およびマンノース受容体;樹状細胞に対するCD64およびマンノース受容体、ならびにCD35が含まれるがそれらに限定されない。本発明の特定の実施形態では、エフェクター細胞のそれらの特異性、すなわち細胞表面分子は、そのような細胞表面分子への三重特異性抗原結合分子の結合後に細胞殺滅を媒介し、それにより細胞溶解またはアポトーシス誘導するために好適である。

0018

CD3抗原は、T細胞上のT細胞受容体複合体に会合している。エフェクター細胞に対する特異性がCD3である場合は、本発明による抗原結合分子のCD3への結合は、T細胞の細胞傷害活性を誘発する。抗原結合分子のCD3および標的細胞、例えば腫瘍細胞への結合によって、標的細胞の細胞溶解が誘導することができる。

0019

CD16A(FcγIIIA)抗原は、NK細胞の表面上で発現した受容体である。NK細胞は、固有細胞溶解活性を有し、本発明による抗原結合分子がCD16またはCD16Aに結合することによって、標的に向かうNK細胞の細胞傷害活性を誘発することができる。

0020

「標的」は、その上に抗原エピトープが位置する、および抗原結合分子が結合すべき部位である。標的の例は、細胞、例えばウイルスもしくは細菌病原体などの感染性因子、例えばデング熱ウイルス単純ヘルペスウイルスインフルエンザウイルスHIV、HCV、または、例えばIL−2/IL2Rなどの自己免疫標的を持っている細胞、自己免疫マーカーまたは自己免疫抗原もしくは腫瘍細胞である。抗原結合部位の少なくとも1つがエフェクター細胞に対する特異性を有する実施形態では、標的は、各生物学的応答、例えば免疫応答を誘導もしくは誘発するために、エフェクター細胞がそれに向け直されなければならない腫瘍細胞であってよい。

0021

腫瘍細胞に対する好適な特異性は、各腫瘍細胞上の腫瘍抗原または細胞表面抗原、例えば特異的腫瘍マーカーであってよい。本明細書で使用する用語「腫瘍抗原」は、腫瘍関連抗原(TAA)および腫瘍特異的抗原TSA)を含む。本明細書で使用する用語「腫瘍関連抗原」(TAA)は、腫瘍細胞上ならびに胎児期中(以前の胎児性抗原)および選択された器官での生後の正常細胞上に、しかし腫瘍細胞上よりはるかに低い濃度で存在するタンパク質を意味する。TAAは、腫瘍細胞の近くのストローマ内でも存在する可能性があるが、身体内の他の場所のとローマ内ではより少量で発現する。これとは対照的に、用語「腫瘍特異的抗原」(TSA)は、腫瘍細胞によって発現したタンパク質を意味する。用語「細胞表面抗原」は、細胞の表面上の抗体が認識することができる分子、そのあらゆる抗原またはフラグメントを意味する。

0022

腫瘍細胞に対する特異性の例には、CD19、CD20、CD26、CD29、CD30、CD33、CD52、CD200、CD267、EGFR、EGFR2、EGFR3、EGFRvIII、HER2、HER3、IGFR、IGF−1R、Ep−CAMPLAP、トムゼン・フリーデンライヒ(Thomsen−Friedenreich:TF)抗原、TNFRSF17、gpA33、MUC−1(ムチン)、IGFR、CD5、IL4−Rα、IL13−R、FcεRI、MHCI/ペプチド複合体およびIgEが含まれるが、それらに限定されない。

0023

腫瘍特異性がCD19抗原に向けられている本発明による抗原結合分子は、CD19抗原がリンパ芽球性白血病(ALL)から非ホジキン(non−Hodgkin’s)リンパ腫(NHL)への実質的に全部のB系統悪性腫瘍上で発現するために、B細胞悪性腫瘍の免疫療法のために使用することができる。

0024

腫瘍特異性がCD30に向けられている本発明による抗原結合分子は、ホジキン病(Hodgkin’s disease)およびT細胞リンパ腫を治療する際に特に有用な可能性がある。

0025

身体内で本発明による抗原結合分子の血清中半減期を増加させるためには、抗原結合分子は、所望であれば、アルブミン、例えばHSAに融合させることができる、またはペグ化、シアリル化もしくはグリコシル化させることができる(例えば、Stork et al.,2008,J.Biol.Chem.,283:7804−7812を参照されたい)。

0026

一部の実施形態では、三重特異性抗原結合分子は、少なくとも1つの抗原結合部位を含み、抗原結合部位のVH/VL対のVHおよびVL領域は相互に非共有的に結合している、すなわちこのVH/VL対のVHおよびVL領域は、ペプチドリンカーまたはペプチド結合によって連結(link)されていない。特定の実施形態では、これらの非共有結合VHおよびVL領域は、多量体抗原結合分子の異なる、すなわち第1および第2ポリペプチド鎖上に位置する。他の実施形態では、これらの非共有結合VHおよびVL領域は、単量体抗原結合分子の同一ポリペプチド鎖上に位置するが、少なくともまた別の可変領域は、これらの非共有結合VHおよびVL領域の間にある単量体上に配列されている。一部の実施形態では、この抗原結合部位のこれらの非共有結合VHおよびVL領域の各々は、ペプチドリンカーまたはペプチド結合によって1つの並列する抗原結合部位の第2VH/VL対のVHまたはVL領域に結合されている。好ましくは、並列する抗原結合部位のVH/VL対のVHまたはVL領域へのそのようなペプチドリンカーは、並列する領域間の分子内フォールディングを防止し、2つの相互に非共有結合したVHおよびVL領域の会合を推し進めるために短い。例えば、ペプチドリンカーは、12個以下のアミノ酸残基、好ましくは3〜9個のアミノ酸残基を含む。2つの非共有結合VHおよびVL領域による少なくとも1つの抗原結合部位の生成は、それがより緊密な抗原結合分子をもたらすために、抗原結合分子の安定性にとって有益である。

0027

例えば、図1および2は、中央VH/VL対のVHおよびVL領域(黒色で図示した)が相互に非共有結合している、三重特異性抗原結合分子を示している。この例では、非共有結合VHおよびVL領域は、異なるポリペプチド鎖上に位置している。この抗原のこれらの非共有結合VHおよびVL領域の各々は、1つの並列する抗原結合部位の第2VH/VL対のVHまたはVL領域にペプチドリンカーL3またはL4によって結合している。

0028

また別の実施形態では、三重特異性抗原結合分子は、少なくとも1つの第1抗原結合部位を含み、この第1抗原結合部位のVH/VL対のVHおよびVL領域は、相互に非共有結合している、すなわちこのVH/VL対のVHおよびVL領域はペプチドリンカーまたはペプチド結合によって連結しておらず、この第1抗原結合部位の非共有結合VH領域はペプチドリンカーによって第1抗原結合部位に並列して位置する第2抗原結合部位のVH/VL対のVH領域に結合しており、第1抗原結合部位の非共有結合VL領域は第1抗原結合部位に並列して位置する第2抗原結合部位のVH/VL対のVL領域にペプチドリンカーによって結合している。抗原結合分子が一本鎖である、すなわち単量体のポリペプチドである実施形態では、VHおよびVL領域が同一ポリペプチド鎖上に配列されている。抗原結合分子が多量体、すなわち多重鎖のポリペプチドである実施形態では、第2抗原結合部位のVH領域へペプチドリンカーまたはペプチド結合によって結合された第1抗原結合部位のVH領域は第1ポリペプチド上に位置し、第2抗原結合部位のVL領域へペプチドリンカーまたはペプチド結合によって結合された第1抗原結合部位のVL領域は、第2ポリペプチド上に位置する。好ましくは、ペプチドリンカーは、各々並列するVH−VHおよび並列するVL−VL領域間での分子内フォールディングを防止し、第1および第2抗原結合部位を形成するためにVH−VH領域とVL−VL領域との会合を推し進めるために、短く、例えば12個未満の残基、好ましくは3〜9個のアミノ酸残基である。このVH−VHおよびVL−VL領域配列は、三重特異性抗原結合分子の正確なフォールディングを促進する。

0029

「抗原結合分子」は、好ましくは少なくとも4つの抗原結合部位を有する、多価抗原結合特性を備える免疫グロブリン誘導体の分子を意味する。抗原結合分子は、一本鎖、すなわち単量体のポリペプチドまたは多重鎖、すなわち多量体のポリペプチドであってよい。抗原結合分子の各ポリペプチドは、ペプチドリンカーまたはペプチド結合によって相互に連結された抗体可変(Fv)領域を含む。各抗原結合部位は、同一抗原エピトープに結合する抗体、すなわち免疫グロブリン可変重鎖領域(VH)および抗体可変軽鎖領域(VL)によって形成される。抗原エピトープは、同一または異なる抗原上にあってよい。好ましくは、本発明による抗原結合分子は、免疫グロブリン定常領域またはそのフラグメントを含んでいない。

0030

用語「ポリペプチド」は、アミド結合によって連結されたアミノ酸残基のポリマーを意味する。ポリペプチドは、好ましくは、分岐鎖状ではない一本鎖融合タンパク質である。ポリペプチド内では、抗体可変(Fv)領域は、次々に結合している。ポリペプチドは、N末端および/またはC末端に加えて、隣接アミノ酸残基を有していてよい。例えば、ポリペプチドは、好ましくは、ポリペプチドの精製のために有用な可能性があるC末端で、Tag配列を含有していてよい。Tag配列の例は、His−Tag、例えば6つのHis残基からなるHis−Tag、例えばDYKDDDDKオクタペプチド(配列番号5)であるFLAG、または例えばWSHPQFEKオクタペプチド(配列番号6)であるSTREP(登録商標)IIである。多量体抗原結合分子のためには、好ましくは異なるTag配列が異なるポリペプチドのために使用される。

0031

ペプチドリンカーのアミノ酸組成に関して、領域の会合を干渉しない、ならびに多量体分子多量体化、例えば二量体化を妨害しないペプチドが選択される。例えば、グリシンおよびセリン残基を含むリンカーは、一般にプロテアーゼ耐性を提供する。リンカーのアミノ酸配列は、例えば、抗原結合分子の抗原結合および生産収率を改善するためにファージディスプレイ法によって最適化することができる。一の実施形態では、(G2S)xペプチドリンカーが使用される。

0032

本発明の一部の実施形態では、少なくとも1つ、好ましくは全部の抗体可変領域は、完全にヒト、ヒト化またはキメラ領域である。ヒト化抗体は、明確に確立された方法、例えば、CDRグラフト化法によって生成できる(例えば、Antibody engineering:methodsand protocols/edited by Benny K.C.Lo;Benny K.C.II Series:Methods in molecular biology(Totowa,N.J.)を参照されたい)。そこで、当業者であれば、非ヒト、例えばマウスまたは非霊長類起源から、ヒト免疫系における抗原結合分子の免疫原性を減少させて有効性を改善するために、当分野において公知の標準分子生物学技術を用いて、抗原結合分子および可変領域のヒト化または完全にヒトバージョンを容易に作製することができる。本発明の好ましい実施形態では、全抗体可変領域は、ヒト化または完全にヒトである、最も好ましくは、本発明による抗原結合分子は、ヒト化または完全にヒトである。本明細書で使用する用語「完全にヒト」は、ポリペプチド内の可変領域および可変領域を結合するペプチドのアミノ酸配列はヒトに由来する、またはヒトにおいて見出せることを意味する。本発明の特定の実施形態では、可変領域は、ヒトまたはヒト化の可能性があるが、抗体可変領域を結合するペプチドはヒトまたはヒト化ではない可能性がある。

0033

一部の実施形態では、本発明は、多機能性抗原結合ポリペプチド多量体を提供する。

0034

一部の実施形態では、本発明は、3つの異なる抗原またはエピトープを標的とするために設計された三機能性抗原結合ポリペプチド多量体の抗原結合分子を提供する。そのような多量体は、第1ポリペプチドおよび第2ポリペプチドを含む。2つのポリペプチドの各々は、各ポリペプチドのN末端からC末端へ相互に結合された少なくとも4つの抗体可変領域を有する一本鎖融合ペプチドである。これらのポリペプチドの各々は、同一ポリペプチド内の分子内対合を防止するための短いリンカーによって連結された2つの抗体可変領域および同一ポリペプチド内の可変領域対によって抗原結合部位を分子内形成できる他の2つの可変領域の抗体可変領域対を有する一本鎖Fvユニットを含む。多量体は、2つのポリペプチド間の非共有会合によって形成されるが、他方1つのポリペプチドの短いリンカーによって連結された2つの抗体可変領域は、他のポリペプチドの2つの対応する抗体可変領域と会合し、それにより2つの追加の抗原結合部位を形成する。そこで、この多量体は、少なくとも4つの抗原結合部位を含み、少なくとも四価である。本発明の特定の態様では、多量体は、二量体である、すなわち2本のポリペプチド鎖からなる。

0035

そのような三重特異性および四価の抗原結合二量体を生成するためには、2つのポリペプチドは、3つの特異性のうちの少なくとも1つに関して、各抗体可変軽鎖領域および可変重鎖領域は、この特異性に対してポリペプチドの1つが可変重鎖領域しか含有せず、他のポリペプチドはこの特異性に対する可変軽鎖領域しか含有しないように異なるポリペプチド内に挿入されなければならないので、異なる抗体可変領域組成を備えていなければならない。そこで、本発明によるそのような二量体は、2つの異なるポリペプチドから構成されているために、ヘテロ二量体である。

0036

3つの異なる特異性のための抗体可変領域を含む2つの異なるポリペプチドの正確な会合を可能にするため、および2つの同一ポリペプチド間の間違ったホモ二量体化を防止するために、特定の措置を講じることができる。例えば、本発明者らは、1つのポリペプチド内で短いリンカーによって連結された2つの抗体可変重鎖領域を挿入することおよび他のポリペプチド内に短いリンカーによって連結された2つの対応する抗体可変軽鎖領域を挿入することによって、2つの異なる三重特異性ポリペプチド間の正確なヘテロ二量体化を得た。驚くべきことに、三重特異性抗原結合ポリペプチド二量体のヘテロ二量体種だけが形成されている。

0037

このため、一の実施形態では、本発明は、
三重特異性抗原結合分子であって、第1ポリペプチドおよび第2ポリペプチドを含む三重特異性抗原結合ポリペプチド二量体であり、各ポリペプチドが相互に連結した少なくとも4つの抗体可変領域を有する三重特異性抗原結合分子を提供するが、このとき
(a)第1ポリペプチドは、例えば約12個以下のアミノ酸残基の同一ポリペプチド内の分子内対合を防止する第1リンカーによって相互に結合された第1および第2抗体可変重鎖領域(VH)ならびに第2ペプチドリンカーによって抗体可変軽鎖領域(VL)と結合された第3抗体可変重鎖領域(VH)を有する一本鎖Fv抗原結合ユニットを含み、前記第3抗体可変重鎖領域(VH)および抗体可変軽鎖領域(VL)は、第1抗原結合部位に会合することができ、第2抗体可変重鎖領域(VH)は、第3ペプチドリンカーによって一本鎖Fv抗原結合ユニットと結合されている、および
(b)第2ポリペプチドは、例えば約12個以下のアミノ酸残基の同一ポリペプチド内の分子内対合を防止する第2リンカーによって相互に連結された第1および第2抗体可変軽鎖領域(VL)ならびに第2ペプチドリンカーによって抗体可変重鎖領域(VH)と連結された第3抗体可変領域(VL)を有する一本鎖Fv抗原結合ユニットを含み、前記第3抗体可変軽鎖領域(VL)および抗体可変重鎖領域(VH)は、第2抗原結合部位に会合することができ、第2抗体可変軽鎖領域(VL)は、第3ペプチドリンカーによって一本鎖Fv抗原結合ユニットと結合されている、および
(c)第1ポリペプチドの第1および第2抗体可変重鎖領域(VH)は、二つの追加の、すなわち第3および第4抗原結合部位へ第2ポリマーの第1および第2抗体可変軽鎖領域(VL)と結合するが、他方1つの好ましい実施形態では、第1ポリペプチドの第1抗体可変重鎖領域(VH)は、第2ポリペプチドの第2抗体軽鎖領域(VL)と第3抗原結合部位へ会合し、第1ポリペプチドの第2抗体可変重鎖領域(VH)は、第2ポリペプチドの第1抗体可変軽鎖領域(VL)と第4抗原結合部位へ会合する。

0038

三重特異性抗原結合ポリペプチド二量体は、前記4つの抗原結合部位の2つが同一抗原に対して特異的である場合に形成される。

0039

そのような三重特異性二量体は、3つの異なる特異性を認識し、例えば、標的細胞上の2つの異なる抗原もしくはエピトープを標的とすることができ、および第三機能性、すなわち特異性を用いて、例えば、T細胞またはNK細胞などの免疫エフェクター細胞に結合する。

0040

本発明による三重特異性二量体は、様々な方法で利用できる。

0041

例えば、抗体可変領域は、他のポリペプチドの2つの対応する抗体可変領域と会合する2つの抗体可変領域を、例えば、ポリペプチドのN末端またはC末端に配置できるように、ポリペプチド内に配列することができる。これらの2つの抗体可変領域は、同一の特異性または別個の特異性を有していてよい。例えば、両方が同一免疫エフェクター細胞にとって特異的である場合がある、または腫瘍細胞上の2つの抗原に対して別個の特異性を有している場合がある。

0042

さらに、一本鎖Fvユニットを形成する2つの抗体可変領域は、例えばポリペプチドのN末端からC末端に向かう方向にVH−VLまたはVL−VHの順序にある可能性がある。2つの二量体化ポリペプチドの一本鎖Fvユニットは、同一または異なる特異性を有する可能性がある。例えば、他のポリペプチドの2つの対応する抗体可変領域と会合する2つの抗体可変領域が同一特異性を有する場合、2つのポリペプチドの一本鎖Fvユニットは、三重特異性二量体を達成するために異なる特異性を有する。

0043

そこで、少なくとも4つの抗体可変領域は、例えば、他のポリペプチドの2つの対応する抗体可変領域と会合する2つの抗体可変領域が免疫エフェクター細胞に対して特異的であり、2つのポリペプチドの一本鎖Fvユニットが2つの別個の腫瘍抗原に対する特異性を有する、または他のポリペプチドの2つの対応する抗体可変領域と会合する2つの抗体可変領域が別個の腫瘍抗原に対して特異的であり、2つのポリペプチドの両方の一本鎖Fvユニットが免疫エフェクター細胞に対して同一特異性を有するように配列することができる。

0044

抗原結合ポリペプチドは「二量体」であり、この用語は、第1および第2ポリペプチド単量体の複合体を意味する。一の態様では、抗原結合ポリペプチド二量体は「ヘテロ二量体」であり、この用語は抗原結合ポリペプチドが2つの別個のポリヌクレオチドによってコードされる2つの異なるポリペプチド単量体から構成されることを意味する。

0045

好ましくは、抗原結合二量体では、第1および第2ポリペプチドは、特に第1および第2ポリペプチド間に非共有結合があることを前提に、相互に非共有結合している。しかし、所望であれば、2つのポリペプチドは、少なくとも1つの共有結合によって、例えば異なるポリペプチドのシステイン残基間のジスルフィド架橋によって更に安定させることができる。

0046

リンカーの長さは、抗原結合ポリペプチド二量体の柔軟性に影響を及ぼす。抗原結合ポリペプチド二量体の所望の柔軟性は、標的抗原密度および標的抗原、すなわちエピトープの接近可能性(acessibility)に左右される。リンカーが長いほど、よりしなやかな抗原結合部位を備える、より柔軟性の抗原結合ポリペプチド二量体を提供する。リンカーの長さが二量体抗原結合ポリペプチドの形成に及ぼす影響は、例えば、Todorovska et al.,2001 Journal of Immunological Methods248:47−66;Perisic et al.,1994 Structure 2:1217−1226;Le Gall et al.,2004,Protein Engineering 17:357−366および国際公開第94/13804号パンフレットに記載されている。

0047

本発明によると、第1ポリペプチドの第1および第2抗体可変重鎖領域ならびに第2ポリペプチドの第1および第2抗体可変軽鎖領域の第1ペプチドリンカーの長さは、第1ポリペプチドの領域が第2ポリペプチドの領域と分子間会合して、二量体抗原結合ポリペプチドを形成できるような長さであることが好ましい。そのようなリンカーは、「短い」、すなわち0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または約12個のアミノ酸残基からなる。アミノ酸残基がゼロの場合には、リンカーは、ペプチド結合である。そのような短いリンカーは、異なるポリペプチドの抗体可変軽鎖領域と抗体可変重鎖領域との間を結合、及び抗原結合部位を形成することによる、第1ポリペプチドと第2ポリペプチドとの正確な二量体化に好都合である。リンカーを約12個以下のアミノ酸残基に短縮することは、一般に、同一ポリペプチド鎖の隣接領域が相互作用することを防止する。本発明の一の実施形態では、これらのリンカーは、約3から約10、例えば7個の隣接アミノ酸残基からなる。それに加えて、原則的には、可変抗体領域間の12個超のアミノ酸残基を備えるリンカーを有する2つのポリペプチドが相互に正確に二量体化することが可能である(例えば、Le Gall et al.,2004,Protein Engineering 17:357−366を参照されたい)。

0048

ポリペプチドの一本鎖Fvユニットについては、第2ペプチドリンカーは、分子内で頭−尾でフォールディングするため、および、一本鎖抗原結合(scFv)ユニットを形成するために、長く柔軟性である(一般に、約12個以上のアミノ酸残基からなる)。追加のアミノ酸残基は、追加の柔軟性を提供する。例えば、ポリペプチド内の一本鎖FvユニットのVHおよびVL、または、VLおよびVH間のこのリンカーは、約12〜約35個、特に15〜25個の隣接アミノ酸残基からなっていてよい。

0049

一本鎖Fvユニットを他のポリペプチドの対応する可変領域と会合する他の2つの抗体可変領域と連結するためのポリペプチドの第3ペプチドリンカーは、例えば、5から30、好ましくは少なくとも6、7、8、9、10、11または12個の隣接アミノ酸残基であってよい。

0050

本発明の一の実施形態では、三重特異性抗原結合ポリペプチド二量体は、腫瘍細胞上の2つの別個の抗原に対しては二重特異性であり、さらにエフェクター細胞に対して、特にT細胞またはNK細胞に対して特異的である。腫瘍細胞に対する好適な特異性は、各腫瘍細胞上の腫瘍抗原または細胞表面抗原、例えば特異的腫瘍マーカーであってよい。そのような三重特異性抗原結合二量体は、腫瘍細胞および免疫エフェクター細胞に二機能性で結合し、これによりT細胞もしくはNK細胞により誘導された細胞傷害応答を誘発する。

0051

本明細書に記載した実施形態のいずれか1つによる抗原結合分子は、抗原結合分子を形成する個々のポリペプチド鎖をコードするポリヌクレオチドを発現することによって生成することができる。このため、本発明のまた別の実施形態は、ポリヌクレオチド、例えば、上述した抗原結合分子のポリペプチド鎖をコードするDNAまたはRNAである。

0052

ポリヌクレオチドは、当業者には公知の方法によって、例えば、ペプチドリンカーによって分離された、またはポリペプチドのペプチド結合によって直接連結された抗体可変領域をコードする遺伝子を好適なプロモーター、および任意選択的に好適な転写ターミネーターに機能的に連結した遺伝子構築物に組み合わされ、およびそれを細菌内、または、例えばCHO細胞などの他の適切な発現系内で発現させることによって構築することができる。利用されるベクター系および宿主に依存して、構成的および誘導性プロモーターを含むあらゆる多数の好適な転写および翻訳エレメントが使用されてよい。プロモーターは、プロモーターが各宿主細胞内でのポリヌクレオチドの発現を駆動するように選択される。

0053

ポリヌクレオチドは、ベクター内、好ましくは本発明のまた別の実施形態を表す発現ベクター内に挿入されてよい。これらの組換えベクターは、当業者であれば周知の方法によって構築することができる。

0054

様々な発現ベクター/宿主系は、本発明のポリペプチド鎖をコードするポリヌクレオチドを含ませる、および、発現させるために利用できる。大腸菌(E.coli)内で発現させるための発現ベクターの例は、哺乳動物細胞内で発現させるためのpSKK(LeGall et al.,J Immunol Methods.(2004)285(1):111−27)またはpcDNA5(Invitrogen社)である。

0055

そこで、本明細書に記載した抗原結合分子は、上述したポリペプチド鎖をコードするベクターを宿主細胞内に導入する工程、および、それによりポリペプチド鎖が発現する条件下で前記宿主細胞を培養する工程によって生成し、単離し、および任意選択的にさらに精製することができる。

0056

本発明のまた別の実施形態では、上述の抗原結合分子、ポリヌクレオチド、および少なくとも1つの追加の成分を含む組成物が提供される。

0057

本発明はさらに、上述した抗原結合分子を、癌(例えば、非ホジキンリンパ腫慢性リンパ球性白血病)を治療するために被験者、例えば患者に有効量で投与する方法を提供する。抗原結合分子は、医薬品として使用できる。

0058

当業者であれば、当分野において公知の確立された技術および標準方法を利用することによって、過度の負担を伴わずに本明細書に記載した抗原結合分子を容易に構築および入手することができ、例えば、Sambrook,Molecular Cloning A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory(1989)N.Y.、The Protein Protocols Handbook,edited by John M.Walker,Humana Press Inc.(2002);またはAntibody engineering:methodsand protocols/edited by Benny K.C.Lo、Benny K.C.II Series、Methods in molecular biology(Totowa,N.J.)を参照されたい。

0059

(図面の簡単な説明)
図1)本発明による三機能性、すなわち三重特異性の抗原結合ポリペプチド二量体を形成するための第1および第2ポリペプチドを示す図である。第1ポリペプチドは、次々に連結された4つの抗体可変領域VH、VL、VH、VHを有する。第1および第2VH抗体可変領域(黒色)は、同一の第1特異性を有し、同一ポリペプチド内の分子内対合を防止するために短いリンカーL3および同一ポリペプチド内の可変領域対によって第2特異性の抗原結合部位を分子内で形成できる第2リンカーL1によって連結された他の第3可変抗体領域VLおよび第4可変抗体領域VHの抗体可変領域対(白色)を有する一本鎖Fvユニットによって連結されている。異なる特異性の第2抗体可変領域VHおよび第3抗体可変領域VLは、第3リンカーL2によって連結されている。
第2ポリペプチドは、次々に連結された4つの抗体可変領域VL、VL、VL、VHを有する。第1および第2VL抗体可変領域(黒色)は、同一の第1特異性を有し、同一ポリペプチド内の分子内対合を防止するために短いリンカーL4ならびに他の第3可変抗体領域VLおよび第3特異性を有する第4可変抗体領域VHの抗体可変領域対(灰色)を有する一本鎖Fvユニットによって連結され、および同一ポリペプチド内の可変領域対によって抗原結合部位を分子内で形成できる第2リンカーL1によって連結されている。異なる特異性の第2抗体可変領域VLおよび第3抗体可変領域VLは、第3リンカーL2によって連結されている。
図2図1の2つのポリペプチド間の非共有会合によって形成された抗原結合ポリペプチド二量体を示す図であり、第1ポリペプチドの短いリンカーによって連結された2つの抗体可変VH領域は第2ポリペプチドの2つの対応する抗体可変VL領域と会合し、それにより同一特異性を有する2つの抗原結合部位(黒色)を形成するが、他方第2特異性は、第1ポリペプチド(白色)の一本鎖Fvユニットによって提供され、第3特異性は第2ポリペプチド(灰色)の一本鎖Fvユニットによって提供される。
図3)腫瘍細胞の二重標的化のための三重特異性抗体である、本発明による三機能性抗原結合分子、特に三機能性抗原結合ポリペプチドを示す図である。抗体、すなわち抗原結合ポリペプチドは、腫瘍細胞上の2つの異なる標的/エピトープを標的とするように設計されており、第3機能性はエフェクター細胞に高親和性で結合する。抗原結合ポリペプチドは、4つの抗原結合部位からなるが、2つの中央抗原結合部位は腫瘍細胞上の2つの異なる抗原に結合し、2つの周辺抗原結合部位はエフェクター細胞に結合する。

0060

以下の実施例では、本発明の範囲を限定することなく、本発明についてさらに例示する。

0061

(実施例1)
DNA構築物
ポリペプチド鎖をコードするプラスミドDNAは、DNA操作または遺伝子合成およびシーケンシングによって生成される。哺乳動物細胞の一過性または安定性トランスフェクションのための発現構築物は、真核細胞発現ベクターpCDNA5/FRT(Life Technologies製)をベースとしており、ウイルスもしくはユビキタスなプロモーターの制御下で対象の生成物遺伝子ならびに選択マーカーとしてのハイグロマイシン(Hygromycin)耐性カセットを含む。精製および分析のためには、生成物鎖は、His−タグ、FLAG−タグまたはStrepII−タグを備えて発現する。

0062

細胞系および細胞培養
CHO−K1チャニーズハムスター(Chinese Hamster)卵巣細胞ATCC、CCL−61)の誘導体であるFlp−InCHO細胞(Life Technologies製)(Kao and Puck,1968)は、L−グルタミン、10%のFCSおよび100μg/mLのゼオシンが補充されたHamのF−12 Nutrient Mix中で培養する。付着性細胞は、0.25%のトリプシンEDTA剥離し、標準細胞培養プロトコルにしたがって継代培養する。

0063

懸濁液中での増殖に順応させるために、細胞を組織培養フラスコから剥離させ、37℃、5%のCO2および120rpmで振とうフラスコ(Corning製)内でその後のインキュベーションのために無血清培地中に静置する。懸濁液順応Flp−InCHO細胞を培養するための標準培地は、L−グルタミン(Life Technologies製)、HTサプリメント(Life Technologies製)、ペニシリンストレプトマイシン(Life Technologies製)および100μg/mLのゼオシン(Life Technologies製)が補充されたHyClone CDM4 CHO(Thermo Scientific製)である。懸濁液順応細胞は、2E+6から3E+6細胞/mLの播種密度で2〜3日毎に継代培養する。細胞の濃度および生存性は、トリパンブルー色素排除法を使用して全培養中で決定する。細胞は、10%のDMSOを含む培地中で低温保存し、MycoAlert Mycoplasma Detection Kit(Lonza)を使用してマイコプラズマ属(Mycoplasma)に対する陰性試験する。

0064

安定性にトランスフェクトした細胞プールの生成
三重特異性候補抗体を安定性に発現する組換えFlp−InCHO細胞系は、懸濁液順応細胞のトランスフェクションによって生成する。このため、細胞は、ポリエチレンイミン(PEI)を使用して、対象のタンパク質(pcDNA5/FRT)をコードする発現プラスミド(2.5μg)およびFlpリコンビナーゼ(pOG44、Life Technologies製)でのコトランスフェクションの前日にゼオシンを含まない標準培地中に静置する。手短には、ベクターDNAおよびトランスフェクション試薬を計100μLのOptiMEMI培地(Life Technologies製)中で1:3のDNA:PEI質量比で混合し、10分間インキュベートし、その後に1mLのCHO−S−SFMII培地(Life Technologies社)中に懸濁させた2E+6のFlp−In CHO細胞に添加する。24時間のインキュベーション後、安定性にトランスフェクトした細胞の選択は、培養をCHO−S−SFMII培地中での0.1E+6生存細胞/mLに希釈し、T75の培養フラスコ中で播種した後に500μg/mLのハイグロマイシンBの添加によって開始する。Flpリコンビナーゼは、部位特異性DNA組換え法(O’ Gorman et al 1991)を通して統合RT部位でのゲノム内へのFlp−In発現構築物の挿入を媒介する。選択中、生存性細胞密度を週2回測定し、細胞を遠心し、0.1E+6の生存性細胞/mLの最高密度で新鮮選択培地中に再懸濁させる。組み換えタンパク質生成物を安定性で発現する細胞プールは、選択のおよそ三週間後に回収し、その時点に細胞は振とうフラスコ内で標準培養培地へ移す。組換え分泌タンパク質の発現は、Criterion Stain−Free(Bio−Rad製)テクノロジーを使用する細胞培養上清タンパク質ゲル電気泳動法によって確証する。安定性細胞プールは、50%のProFreeze(Lonza製)および7.5%のDMSOを含有する培地中に低温保存する。

0065

流加回分(Fed−batch)CHO細胞懸濁液培養中での組換え分泌タンパク質の生成
組換えタンパク質は、安定性にトランスフェクトしたCHO細胞系の10日間流加回分培養中で、細胞培養上清中への分泌によって生成する。このため、対象の生成物を安定性に発現する細胞プールは、ガス透過性キャップ(Corning製)を備えるポリカーボネートエルレンマイヤーフラスコ内の標準培養培地中で6E+5細胞/mLの出発密度で播種し、140rpmで撹拌しながら37℃および5%のCO2でインキュベートする。流加回分培養中、培地には第0日(開始日)に40mL/LのActiCHO Feed A(PAA)および4mL/LのActiCHO Feed B(PAA)を、および第3、5および7日には2倍量を補充する。細胞培養上清は、典型的には>75%の培養生存性で10日後に採取する。サンプルは、補充する前に2日毎に生成培養から収集し、細胞密度および生存性を評価する。採取日に、さらに使用する前にMillipore ExpressPLUS Membrane Filter(Millipore製)を使用して細胞培養上清を遠心分離および真空濾過(0.22μm)によって澄ませる(clear)。

0066

発現力価の決定
細胞培養上清(CCS)中のタンパク質発現力価および生成物完全性は、第7日および10日(0.22μm濾過の前および後)にCriterion Stain−Freeゲルイメージングシステム(Bio−Rad製)を使用してSDS−PAGEによって分析した。生成物力価は、公知の濃度の参照タンパク質との比較によって半定量的に決定する。

0067

三重特異性抗原結合ポリペプチドの精製
Hisタグ化生成物は、Ni−NTA−および予備サイズ排除クロマトグラフィーを含む二段階手順でCHO細胞培養上清から精製する。第一に、上清は真空濾過(0.22μm)によって澄ませ、5mMのイミダゾールへ調整し、その後に5mL/分の流量でIMAC Buffer A中で平衡化したHisTrapFFクロマトグラフィーカラム(GE Healthcare製)に装填する。その後、カラムは5CVのIMAC Buffer Aおよび10CVのIMAC Buffer AおよびIMAC Buffer B(7%)の混合物洗浄する。Hisタグ生成物は、その後同一流量で10CVの30%のIMAC Buffer Bおよび5CVの100%のIMAC Buffer Bを用いて連続的な洗浄により溶出させる。2.5mLの溶出画分を収集し、タンパク質の含量および純度は、各画分を一次元SDS−PAGEにかけその後にCriterion Stain−Freeテクノロジー(Bio−Rad製)を使用するタンパク質の可視化を実施することによって評価する。生成物含有画分をプールし、限外濾過によって濃縮する。引き続いて、濃縮サンプルは、HiLoad 26/600 Superdex 200pg(GE Healthcare製)カラムを使用するゲルろ過によって精製し、2.5mL/分でSEC Buffer (20mMのTris−HCl、100mMのNaCl、pH7.5)中で溶出させる。分子重量マーカータンパク質(GE Healthcare製)のカラム滞留を用いて溶出体積の比較によって決定した精製生成物を含有する画分を収集してプールする。PD−10脱塩カラム(GE Healthcare製)を使用した最終バッファー交換(10mMの酢酸ナトリウム、pH5.0)の後に、サンプルは、上述のように限外濾過によって1.0〜1.5mg/mLに濃縮する。最終サンプルの純度および均質性(典型的には>90%)は、選択した事例において、上述したように還元型および非還元型SDS−PAGEの後にタンパク質のCriterion Stain−Freeゲル可視化によって、その後に特異的抗体を用いた免疫ブロッティングおよび分析的SEC各々によって評価する。精製タンパク質は、その後に使用するまで−80℃でアリコートとして保存する。

0068

(実施例2)
CD3×CD19×CD30三重特異性分子
抗体OKT3、HD37およびHRS3各々に由来するCD3−、CD19−およびCD30−抗体可変結合領域を含有する抗原結合ポリペプチド二量体は、実施例1によって生成する。

0069

Trispec 1:
VH(CD3)−(G2S)2−VH(CD3)−(G2S)3−VH(CD30)−(G2S)5−VL(CD30)−HiS6(配列番号1)
VL(CD3)−(G2S)2−VL(CD3)−(G2S)3−VH(CD19)−(G2S)5VL(CD19)−FLAG(配列番号2)

0070

Trispec 2:
VH(CD30)−(G2S)2−VH(CD19)−(G2S)2−VH(CD3)−(G2S)5−VL(CD3)−His6(配列番号3)
VL(CD19)−(G2S)2−VL(CD30)−(G2S)2−VH(CD3)−(G2S)5−VL(CD3)−FLAG(配列番号4)

0071

リンカー1=(G2S)2、リンカー2=(G2S)5、リンカー3=(G2S)3

0072

Trispec 1およびTrispec 2の免疫沈降法は、抗原結合ポリペプチド二量体のヘテロ二量体種だけが検出されることを示している。Trispec 1およびTrispec 2は、7日間後に40℃および1時間後にpH3.5で優れた安定性を示す。

0073

(例)
三重特異性抗体によって媒介される細胞傷害活性の評価
試験手順
バッフィーコートからのPBMCの単離およびT細胞の濃縮
PBMCは、バッフィーコートから密度勾配遠心分離によって単離する。T細胞は、PBMC集団から、製造業者取扱説明書にしたがって、手つかずのヒトT細胞の免疫磁気単離用のEasySep(商標)HUMANT Cell Enrichment KitおよびBig Easy EasySep(商標)Magnetを使用して濃縮する。

0074

FACSに基づく細胞傷害性アッセイ
エフェクター細胞として使用されるT細胞は、記載されたようにフローサイトメトリーによって特徴付ける。
標的細胞(MEC−1:DSMZ、カタログ番号:ACC497;NALM−6:DSMZ、カタログ番号:ACC128)は、下記に記載するように標準条件下で培養する。細胞傷害性アッセイのために、標的細胞を採取し、FCSを含まないRPMI1640培地を用いて二回洗浄し、2×107/mLの密度へPKH67Green Fluorescent Cell Linker Mini Kit内に用意された希釈液C中に再懸濁させる。細胞懸濁液は次に、等量の二重濃縮PKH67標識溶液(例えば、250μLの希釈液C中の1μLのPKH67)と混合し、製造業者の取扱説明書にしたがってインキュベートする。染色反応を停止させる。標識した標的細胞を完全RPMI培地で洗浄した後、細胞を計数し、完全RPMI培地中で2×105/mLの密度へ再懸濁させる。

0075

2×104個の標的細胞は、次に個別ウエル中でT細胞および指示された抗体と一緒に播種する。抗体の非存在下での自発的な細胞死およびエフェクターによる標的の殺滅を決定する。

0076

インキュベーション後、培養はFACSバッファーを用いて一回洗浄し、次に2μg/mLのPlが補充された150μLのFACSバッファー中に再懸濁させる。陽性緑色PKH67染色によって特徴付けられるがPI染色については陰性である生存標的細胞の絶対量は、Beckman−Coulter FC500 MPLフローサイトメーター(Beckman−Coulter製)またはMillipore Guava EasyCyteフローサイトメーター(Merck Millipore製)を使用して測定する。

0077

測定された残留生存標的細胞に基づくと、特異的細胞溶解のパーセンテージは、以下の式:[1−(生存標的(サンプル)の数)/(生存標的(自発的)の数)]×100%にしたがって計算する。シグモイド用量応答曲線およびEC50値は、GraphPad Prismソフトウエア(GraphPad Prism、バージョン6.00、Windows用、GraphPad Software、米国カリフォルニア州ラ・ホーヤ)を使用して非線形回帰/4パラメーターロジスティックフィット(logistic fit)によって計算する。

0078

統計的分析
所定の抗体濃度について得られた溶解値は、Prismソフトウエア(GraphPad Prism、バージョン6.00、Windows用、GraphPad Software、米国カリフォルニア州ラ・ホーヤ)を使用するシグモイド用量応答/4パラメーターロジスティックフィット分析によって決定および分析し、EC50値および反復した溶解率平均値およびSDを計算するために使用した。

実施例

0079

結果
Trispec 1およびTrispec 2は、各単一陽性細胞系と比較すると、二重陽性細胞系(CD19+およびCD30+)上でより高い細胞傷害能を示す。

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