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技術 カドミウムフリー量子ドットナノ粒子

出願人 ナノコテクノロジーズリミテッド
発明者 グラーベイ,ポールアンソニーハリス,ジェームスダニエルス,スティーブンピケット,ナイジェルナラヤナズワミー,アルン
出願日 2014年12月19日 (5年2ヶ月経過) 出願番号 2016-562073
公開日 2017年5月18日 (2年9ヶ月経過) 公開番号 2017-512245
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 核生成点 ポリ臭化ジフェニルエーテル カルコゲニド半導体 エンジニアリングプロセス ポリ臭素化ビフェニル 分子クラスタ カドミウムフリー 有機金属組成物
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図面 (4)

解決手段

亜鉛アルミニウムカルシウム、又はマグネシウムのようなイオン量子ドットコアに含めた量子ドット半導体ナノ粒子は、オストワルト成長に対してより安定であることが分かった。コアシェル型量子ドットは、インジウムイオンマグネシウムイオン及びリンイオンを含む半導体材料のコアを有してよい。亜鉛、カルシウム、及び/又はアルミニウムのようなイオンが、更に加えて、又はマグネシウムに代えて含められてよい。コアは、セレン及び/又は硫黄のようなその他のイオンを更に含んでよい。コアは、半導体材料の1つの(又は複数の)シェルで覆われてよい。シェルの半導体材料の例には、亜鉛イオン硫黄イオンセレンイオン鉄イオン及び酸素イオンを含む半導体材料がある。

概要

背景

量子ドット(QD)及び/又はナノ結晶としばしば称される、2乃至100nm程度の大きさの粒子からなる化合物半導体を調製し、特徴付けることに相当な関心が持たれている。この関心は、主として、それらのサイズ調整可能な電子的、光学的及び化学的特性に起因している。例えば、多くのQDは、電磁スペクトル可視領域にて比較的強い放射を示す。更に、吸収及び放射された光の波長は、QDのサイズの関数である。それらの独特光学特性によって、QDは、幾つかの例を挙げると、生物学的標識、太陽電池触媒生体イメージング発光ダイオードのような多様な商業的用途について有能な材料となっている。

現在に至るまで、最も研究及び調製された半導体材料は、II−VI族材料、即ちZnS、ZnSe、CdS、CdSe、CdTeであり、スペクトルの可視領域にわたる調節可能性から、CdSeが注目されている。半導体ナノ粒子は、それらの特性によって学究的及び商業的関心が持たれている。当該特性は、同じ半導体材料の対応する結晶バルク形態の特性と比べて変わっている。2つの基本因子が、両方とも個々の半導体ナノ粒子のサイズに関係しており、主として、それらの特有の特徴の原因となっている。第1の因子は、大きな表面積対体積比(surface-to-volume ratio)である。粒子が小さくなるにつれて、内部の原子の数に対する表面原子の数の比は増加する。このことは、表面の特徴が、小さな粒子の全体的な特徴において重要な役割を果たすことに通じる。第2の因子は、半導体ナノ粒子では、材料の電子的特性が粒子サイズで変化することである。具体的には、バンドギャップは通常、ナノ粒子のサイズが減少するにつれて次第に大きくなる。このバンドギャップの変化は、量子閉じ込め効果による。この効果は、「箱への電子」の閉じ込めの結果であり、対応するバルク半導体材料で観察される連続的なバンドではなく、原子及び分子で観察されるものに似た離散的エネルギーレベルを生じさせる。故に、半導体ナノ粒子においては、光子吸収で生成される「電子及び正孔」は、対応するマクロ結晶材料中よりも、互いにより接近しており、その結果、電子と正孔の間のクーロン相互作用が無視できなくなる。このことは、粒子サイズと組成に依存した、バンド幅が狭い放射を引き起こす。その結果、量子ドットの運動エネルギーは、対応するマクロ結晶材料よりも高く。第1励起子遷移(バンドギャップ)のエネルギーは、粒子径が減少するにつれて増大する。故に、直径が小さい量子ドットは、直径が大きい量子ドットよりも、よりエネルギーが高い光を吸収及び放射する。言い換えると、吸収及び放射される光の色は、粒子径の関数として調節することができる。

単一コアナノ粒子は、(通常、外側の有機不動態層を伴った)単一の半導体材料からなり、ナノ粒子表面に位置する欠陥及びダングリングボンドで起こる電子−正孔再結合が非放射型の電子−正孔再結合になることで、量子効率が比較的低くなる傾向がある。欠陥及びダングリングボンドを除去する1つの方法は、バンドギャップがより広い第2半導体材料を、コア粒子の表面で成長させて「コアシェル型」粒子を生成することである。シェルの半導体材料は、コア材料との格子不整合が小さいのが好ましく、それら2つの材料の界面が小さくなる。コア−シェル型粒子は、さもなければ非放射型再結合の中心として働くであろう表面状態から、コアに閉じ込められた荷電キャリアを引き離す。一般的な例としては、CdSeコア表面に成長したZnSがある。過度の歪みは、欠陥及び非放射型電子−正孔再結合を更に引き起こして、量子効率を低下させる。

外側の無機表面原子の配位不完全であり、当該表面には、反応性が高い「ダングリングボンド」があって、粒子凝集を引き起こし得る。この問題は、保護有機基で、「ベアな」表面原子を不動態化する(キャッピングする)ことで克服できる。粒子のキャッピング又は不動態化は、粒子凝集の発生を抑制するだけでなく、周囲の化学的環境から粒子を保護し、電子的な安定性パッシベーション)を粒子にもたらす。キャッピング剤は通常、ルイス塩基の形態であり、粒子の最外無機層表面金属原子に共有結合している。

半導体ナノ粒子を調製する幾つかの調製方法報告されている。初期の方法は、一般的なコロイド水溶性化学(colloidal aqueous chemistry)を適用していたが、より最近の方法は、有機金属組成物を用いたナノ粒子結晶を、速度論的に制御して(kinetically controlled)調製することを含んでいる。

QDの光学特性はサイズ依存性であり、大抵の場合、高度に単分散したQDの集団を生成することが、つまり、集団のQDのサイズが高度に均一であるのが望ましい。また、量子収量(QY、吸収した光子に対する放射した光子の比)が高いQDの集団が望ましい。単分散性が高く、50%よりも量子収量が大きい半導体QDを生成する方法が報告されている。これらの方法の大半は、全体は、引用を以て全体が本明細書の一部となる「Murray,Norris and M.G.Bawendi,J.Am.Chem.Soc.1993,115,8706」に記載されているオリジナルの「核生成及び成長(nucleation and growth)」方法に基づいているが、それに使用されてものではない有機金属前駆体を使用する。Murrayらは当初、トリn−オクチルホスフィン(TOP)に溶解した金属−アルキル(R2M)M=Cd、Zn、Te;R=Me,Etと、トリ−n−オクチルホスフィンスルフィドセレニドTOPS/Se)の有機金属溶液を用いていた。これら前駆体溶液は、生成される材料に応じて120乃至400℃の温度範囲で、熱いトリ−n−オクチルホスフィンオキシド(TOPO)に注入される。これにより、TOPOで被覆/キャッピングされた、II−VI族材料の半導体材料ナノ粒子が生成される。粒子のサイズは、使用する前駆体の温度、濃度と、合成が行われる時間の長さとで制御され、温度が高く、前駆体濃度が高く、反応時間が長いと大きな粒子が得られる。この有機金属手法は、ほぼ単分散であって、粒子の結晶度が高いなどのその他の合成方法を超える利点を有している。

従来のQDに使用されているカドミウムやその他の限られた重金属は、毒性が高い元素であり、商業的用途において大きな懸念となっている。カドミウム含有QDに固有の毒性は、動物又はヒトを含む用途における使用を妨げている。例えば、最近の研究は、カドミウムカルコゲニド半導体材料で作られたQDは、保護されない限り、生物学的環境において細胞有毒であり得ることを示唆している。具体的には、様々な経路を介した酸化又は化学的浸食が、QD表面でのカドミウムイオンの形成を引き起こし、当該イオンが、周辺環境に放出され得る。ZnSのような表面コーティングは毒性を顕著に低減できるが、完全に排除できないであろう。なぜならば、QDは、長い期間に渡って細胞内に留まり、又は、体内蓄積されて、その間に、コーティングは、ある種の劣化を受けて、カドミウムリッチなコアを曝し得るからである。

毒性は、生物学的用途の進展だけでなく、光電子工学通信を含むその他の用途にも影響を与える。なぜならば、重金属ベース材料は、多数の商業製品に広く普及しているからである。このような商業製品には、IT及び電気通信装置照明器具電気及び電子ツール、玩具レジャー及びスポーツ用品などの家庭用器具が含まれる。商業製品中の重金属を制限又は禁止する法律が、世界の多くの地域で既に施行されている。例えば、欧州連合指令2002/95/ECは、「Restrictions on the use of Hazardous Substances in electronic equipment」(又は、RoHS)として知られており、ポリ臭素化ビフェニル(PBB)及びポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)難燃剤と共に、定められたレベルを超える鉛、カドミウム、水銀、六価クロムを含む新たな電気及び電子装置販売を禁止した。この法律は、代替材料発見と新たなエンジニアリングプロセスの開発とを、一般的な電子装置を製造するために製造業者に要求した。加えて、2007年6月1日には、欧州共同体規則が、化学物質とそれらの安全な使用に関して効力を発した(EC 1907/2006)。この規則は、化学物質の届出、評価、許可及び制限を取り扱っており、「REACH」として知られている。REACH規則は、産業界により大きな責任を与えて、化学物質のリスクを管理して、物質について安全性の情報を与えるものである。同様な規制は、中国、韓国、日本及び米国を含む世界に広がるものと予期される。故に、II−VI族QD材料の代替物を開発する経済的な動機が顕著に存在している。

共有結合特性が増加しているので、III−V族及びIV−VI族高結晶質半導体ナノ粒子は、調製するのが困難であり、非常に長いアニール時間が通常必要とされている。しかしながら、II−VI族材料で用いられている方法と同様な方法でIII−VI族材料とIV−VI族材料を調製した報告が現在存在している。このようなIII−VI族材料とIV−VI族材料の例としては、GaN、GaPGaAsInPInAs、PbS、PbSeがある。

上記の方法の全てにおいて、急速な粒子核生成の後におけるゆっくりな粒子成長が、狭い粒子サイズ分布にとって極めて重要である。これらの合成方法の全ては、Murrayらのオリジナルの有機金属「核生成及び成長」方法に基づいており、当該方法は、ルイス塩基配位性溶媒(キャッピング剤)の熱い溶液に、前駆体を急速注入することを含んでいる。当該溶媒は、前駆体の一つを更に含んでいてよい。続いて、より冷たい溶液を加えて、反応温度下げて、粒子の成長を支援するが、更なる核生成は妨げられる。温度はその後、所定の時間維持されて、得られた粒子のサイズは、反応時間、温度、使用する前駆体に対するキャッピング剤の比に依存する。得られた溶液は冷却され、その後、過剰な極性溶媒メタノール又はエタノール、或いは、時としてアセトン)が加えられて、粒子が沈殿する。粒子は、濾過又は遠心分離によって単離される。一般的に、大きな粒子は小さい粒子よりも容易に沈殿する。故に、沈殿は、量子ドットをそれらのサイズの関数として分離する手段をもたらす。複数の沈殿工程が、狭い粒子サイズ分布を達成するのに通常必要とされる。

基本的に、これらの従来技術の調製は、核生成の後粒子を成長させる原理に頼っている。更に、ナノ粒子の単分散集団を得るには、ナノ粒子の成長から核生成を適切に分離して、成長が、核生成よりも低い温度で起こるのが好ましい。これは、一方又は両方の前駆体を(他方の前駆体がない場合にはそれを含んでいる)熱い配位性溶媒に急速注入することで達成される。引き続いて、注入直後により冷たい溶液を即座に加えることで、反応温度が低下し(加えられる溶液の体積は、通常、全溶液の約3分の1である)、更なる核生成が抑制されて、ナノ粒子サイズの狭い分布が維持される。この方法は、一つの溶液を別の溶液に急速に加える一方で、反応を通じて均一な温度を維持できるような小規模合成では、非常にうまく働くかもしれない。しかしながら、大規模な調製では、大量の溶液を急速に別の溶液に加えることが要求されるので、反応中に温度差が起こり得る。これは、大きな粒子サイズ分布を引き起こす。更に、複数のサイズ選択精製工程を実行する必要があるので、大量のQDを生成するのには実用的ではない。

米国特許第7,588,828号、第7,803,423号、第7,985,446号、及び第8,062,703号(集合的に「シーディング特許」と称する)は、ホットインジェクションと上記のサイズ選択精製工程とを用いていない、単分散QD集団を調製する合成方法を開示している。これら特許の各々の開示内容の全体は、引用を以て本明細書の一部となる。簡潔に述べると、これらの特許に開示されている方法は、分子クラスタシード(seed)」化合物を使用する。当該化合物は、溶液中にてQD半導体材料の核生成のテンプレートとして働く。クラスタ化合物は、ナノ粒子成長が開始するシード又は核生成点として機能する。このようにして、高温の核生成工程は、ナノ粒子成長を開始するのに必要とされていない。なぜならば、適切な核生成サイトが、分子クラスタによって既に系に与えられているからである。上述された方法で用いられている核生成サイトよりもより一様な核生成サイトを与えることで、ほぼ単分散であるQDの集団が合成によって得られる。分子シーディング方法の利点は、容易に拡張できることである。

シーディング特許に記載されているシーディング方法は、II−VI族QDを作製するのに使用でき、III−V族QD及びIV−VI族QDを作製するのにも使用できる。しかしながら、上述したように、III−V族QD及びIV−VI族QDを扱うのは困難である。表面積対体積比が大きいことから、小さいQDの表面の原子には、小さい粒子の表面からより大きい粒子の表面へと拡散する傾向があり、これは、オストワルド成長として知られたプロセスである。InP及びその合金のようなIII−V族材料のQDには、オストワルド成長によって特に不安定になる傾向がある。オストワルド成長は小さいQDを分解して、大きなQDの成長を促進するので、このプロセスは、短い波長で放射する、即ち可視スペクトルの青色及び緑色領域にて放射するQDを得ることを困難にする。

故に、本分野において、短い波長の可視光を放射するカドミウムフリーQDを生成する合成方法を改善する必要がある。

概要

亜鉛アルミニウムカルシウム、又はマグネシウムのようなイオンを量子ドットコアに含めた量子ドット半導体ナノ粒子は、オストワルト成長に対してより安定であることが分かった。コア−シェル型量子ドットは、インジウムイオンマグネシウムイオン及びリンイオンを含む半導体材料のコアを有してよい。亜鉛、カルシウム、及び/又はアルミニウムのようなイオンが、更に加えて、又はマグネシウムに代えて含められてよい。コアは、セレン及び/又は硫黄のようなその他のイオンを更に含んでよい。コアは、半導体材料の1つの(又は複数の)シェルで覆われてよい。シェルの半導体材料の例には、亜鉛イオン硫黄イオンセレンイオン鉄イオン及び酸素イオンを含む半導体材料がある。

目的

第2の因子は、半導体ナノ粒子では、材料の電子的特性が粒子サイズで変化することである

効果

実績

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請求項1

半導体材料を含むコアを備えており、該半導体材料は、インジウムと、リンと、マグネシウム亜鉛カルシウム及びアルミニウムからなる群から選択された少なくとも1つの元素とを含んでいる、量子ドットナノ粒子

請求項2

インジウムと、リンと、マグネシウムとを含むコアを有する量子ドットナノ粒子。

請求項3

コアは、亜鉛を更に含む、請求項2に記載の量子ドットナノ粒子。

請求項4

インジウムと、リンと、亜鉛とを含むコアを有する量子ドットナノ粒子。

請求項5

コアは、アルミニウム及びカルシウムからなる群から選択された元素を更に含む、請求項4に記載の量子ドットナノ粒子。

請求項6

亜鉛イオンマグネシウムイオンカルシウムイオン、及びアルミニウムイオンからなる群から選択された少なくとも1つのイオンを含むコアを有する量子ドットナノ粒子。

請求項7

コアは、リン化インジウムを更に含む、請求項6に記載の量子ドットナノ粒子。

請求項8

コアは、セレンを更に含む、請求項6に記載の量子ドットナノ粒子。

請求項9

コアは、硫黄を更に含む、請求項6に記載の量子ドットナノ粒子。

請求項10

コアに配置され、半導体材料を含む少なくとも1つのシェルを更に備える、請求項1に記載の量子ドットナノ粒子。

請求項11

半導体材料は、亜鉛、硫黄、セレン、鉄及び酸素からなる群から選択された少なくとも1つの元素を含む、請求項10に記載の量子ドットナノ粒子。

請求項12

コアと最内のシェルの間の境界にて、材料の勾配がある、請求項10に記載の量子ドットナノ粒子。

請求項13

複数のシェルがあり、隣接するシェルの間の境界にて材料の勾配がある、請求項12に記載の量子ドットナノ粒子。

請求項14

少なくとも1つのキャッピングリガンドを含む、請求項10に記載の量子ドットナノ粒子。

請求項15

半導体ナノ粒子を作る方法であって、インジウム源前駆体と、リン源前駆体と、マグネシウム源前駆体、アルミニウム源前駆体、カルシウム源前駆体、及び亜鉛源前駆体からなる群から選択された少なくとも1つの源前駆体とを、分子シーディング化合物の存在下で反応させる工程を含んでいる、方法。

請求項16

反応物を含む溶液光学特性監視する工程と、光学特性の値が半導体ナノ粒子の所望の大きさに対応すると、反応を停止させる工程と、を更に含む、請求項15に記載の方法。

請求項17

光学特性は、UV−可視吸収スペクトルである、請求項16に記載の方法。

請求項18

少なくとも2つの源前駆体が、マグネシウム源前駆体、アルミニウム源前駆体、カルシウム源前駆体、及び亜鉛源前駆体からなる群から選択される、請求項15に記載の方法。

請求項19

分子シーディング化合物は、硫化亜鉛である、請求項15に記載の方法。

請求項20

フッ化水素酸ナノ粒子エッチングする工程を更に含む、請求項15に記載の方法。

技術分野

0001

[関連出願の相互参照
本願は、2014年1月6日に出願された米国仮出願第61/924,031号の利益を主張する。

0002

本発明は、概して量子ドットナノ粒子に関する。より具体的には、本発明は、カドミウムやその他の重金属を含まない量子ドットナノ粒子の合成に関する。

背景技術

0003

量子ドット(QD)及び/又はナノ結晶としばしば称される、2乃至100nm程度の大きさの粒子からなる化合物半導体を調製し、特徴付けることに相当な関心が持たれている。この関心は、主として、それらのサイズ調整可能な電子的、光学的及び化学的特性に起因している。例えば、多くのQDは、電磁スペクトル可視領域にて比較的強い放射を示す。更に、吸収及び放射された光の波長は、QDのサイズの関数である。それらの独特光学特性によって、QDは、幾つかの例を挙げると、生物学的標識、太陽電池触媒生体イメージング発光ダイオードのような多様な商業的用途について有能な材料となっている。

0004

現在に至るまで、最も研究及び調製された半導体材料は、II−VI族材料、即ちZnS、ZnSe、CdS、CdSe、CdTeであり、スペクトルの可視領域にわたる調節可能性から、CdSeが注目されている。半導体ナノ粒子は、それらの特性によって学究的及び商業的関心が持たれている。当該特性は、同じ半導体材料の対応する結晶バルク形態の特性と比べて変わっている。2つの基本因子が、両方とも個々の半導体ナノ粒子のサイズに関係しており、主として、それらの特有の特徴の原因となっている。第1の因子は、大きな表面積対体積比(surface-to-volume ratio)である。粒子が小さくなるにつれて、内部の原子の数に対する表面原子の数の比は増加する。このことは、表面の特徴が、小さな粒子の全体的な特徴において重要な役割を果たすことに通じる。第2の因子は、半導体ナノ粒子では、材料の電子的特性が粒子サイズで変化することである。具体的には、バンドギャップは通常、ナノ粒子のサイズが減少するにつれて次第に大きくなる。このバンドギャップの変化は、量子閉じ込め効果による。この効果は、「箱への電子」の閉じ込めの結果であり、対応するバルク半導体材料で観察される連続的なバンドではなく、原子及び分子で観察されるものに似た離散的エネルギーレベルを生じさせる。故に、半導体ナノ粒子においては、光子吸収で生成される「電子及び正孔」は、対応するマクロ結晶材料中よりも、互いにより接近しており、その結果、電子と正孔の間のクーロン相互作用が無視できなくなる。このことは、粒子サイズと組成に依存した、バンド幅が狭い放射を引き起こす。その結果、量子ドットの運動エネルギーは、対応するマクロ結晶材料よりも高く。第1励起子遷移(バンドギャップ)のエネルギーは、粒子径が減少するにつれて増大する。故に、直径が小さい量子ドットは、直径が大きい量子ドットよりも、よりエネルギーが高い光を吸収及び放射する。言い換えると、吸収及び放射される光の色は、粒子径の関数として調節することができる。

0005

単一コアナノ粒子は、(通常、外側の有機不動態層を伴った)単一の半導体材料からなり、ナノ粒子表面に位置する欠陥及びダングリングボンドで起こる電子−正孔再結合が非放射型の電子−正孔再結合になることで、量子効率が比較的低くなる傾向がある。欠陥及びダングリングボンドを除去する1つの方法は、バンドギャップがより広い第2半導体材料を、コア粒子の表面で成長させて「コアシェル型」粒子を生成することである。シェルの半導体材料は、コア材料との格子不整合が小さいのが好ましく、それら2つの材料の界面が小さくなる。コア−シェル型粒子は、さもなければ非放射型再結合の中心として働くであろう表面状態から、コアに閉じ込められた荷電キャリアを引き離す。一般的な例としては、CdSeコア表面に成長したZnSがある。過度の歪みは、欠陥及び非放射型電子−正孔再結合を更に引き起こして、量子効率を低下させる。

0006

外側の無機表面原子の配位不完全であり、当該表面には、反応性が高い「ダングリングボンド」があって、粒子凝集を引き起こし得る。この問題は、保護有機基で、「ベアな」表面原子を不動態化する(キャッピングする)ことで克服できる。粒子のキャッピング又は不動態化は、粒子凝集の発生を抑制するだけでなく、周囲の化学的環境から粒子を保護し、電子的な安定性パッシベーション)を粒子にもたらす。キャッピング剤は通常、ルイス塩基の形態であり、粒子の最外無機層表面金属原子に共有結合している。

0007

半導体ナノ粒子を調製する幾つかの調製方法報告されている。初期の方法は、一般的なコロイド水溶性化学(colloidal aqueous chemistry)を適用していたが、より最近の方法は、有機金属組成物を用いたナノ粒子結晶を、速度論的に制御して(kinetically controlled)調製することを含んでいる。

0008

QDの光学特性はサイズ依存性であり、大抵の場合、高度に単分散したQDの集団を生成することが、つまり、集団のQDのサイズが高度に均一であるのが望ましい。また、量子収量(QY、吸収した光子に対する放射した光子の比)が高いQDの集団が望ましい。単分散性が高く、50%よりも量子収量が大きい半導体QDを生成する方法が報告されている。これらの方法の大半は、全体は、引用を以て全体が本明細書の一部となる「Murray,Norris and M.G.Bawendi,J.Am.Chem.Soc.1993,115,8706」に記載されているオリジナルの「核生成及び成長(nucleation and growth)」方法に基づいているが、それに使用されてものではない有機金属前駆体を使用する。Murrayらは当初、トリn−オクチルホスフィン(TOP)に溶解した金属−アルキル(R2M)M=Cd、Zn、Te;R=Me,Etと、トリ−n−オクチルホスフィンスルフィドセレニドTOPS/Se)の有機金属溶液を用いていた。これら前駆体溶液は、生成される材料に応じて120乃至400℃の温度範囲で、熱いトリ−n−オクチルホスフィンオキシド(TOPO)に注入される。これにより、TOPOで被覆/キャッピングされた、II−VI族材料の半導体材料ナノ粒子が生成される。粒子のサイズは、使用する前駆体の温度、濃度と、合成が行われる時間の長さとで制御され、温度が高く、前駆体濃度が高く、反応時間が長いと大きな粒子が得られる。この有機金属手法は、ほぼ単分散であって、粒子の結晶度が高いなどのその他の合成方法を超える利点を有している。

0009

従来のQDに使用されているカドミウムやその他の限られた重金属は、毒性が高い元素であり、商業的用途において大きな懸念となっている。カドミウム含有QDに固有の毒性は、動物又はヒトを含む用途における使用を妨げている。例えば、最近の研究は、カドミウムカルコゲニド半導体材料で作られたQDは、保護されない限り、生物学的環境において細胞有毒であり得ることを示唆している。具体的には、様々な経路を介した酸化又は化学的浸食が、QD表面でのカドミウムイオンの形成を引き起こし、当該イオンが、周辺環境に放出され得る。ZnSのような表面コーティングは毒性を顕著に低減できるが、完全に排除できないであろう。なぜならば、QDは、長い期間に渡って細胞内に留まり、又は、体内蓄積されて、その間に、コーティングは、ある種の劣化を受けて、カドミウムリッチなコアを曝し得るからである。

0010

毒性は、生物学的用途の進展だけでなく、光電子工学通信を含むその他の用途にも影響を与える。なぜならば、重金属ベース材料は、多数の商業製品に広く普及しているからである。このような商業製品には、IT及び電気通信装置照明器具電気及び電子ツール、玩具レジャー及びスポーツ用品などの家庭用器具が含まれる。商業製品中の重金属を制限又は禁止する法律が、世界の多くの地域で既に施行されている。例えば、欧州連合指令2002/95/ECは、「Restrictions on the use of Hazardous Substances in electronic equipment」(又は、RoHS)として知られており、ポリ臭素化ビフェニル(PBB)及びポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)難燃剤と共に、定められたレベルを超える鉛、カドミウム、水銀、六価クロムを含む新たな電気及び電子装置販売を禁止した。この法律は、代替材料発見と新たなエンジニアリングプロセスの開発とを、一般的な電子装置を製造するために製造業者に要求した。加えて、2007年6月1日には、欧州共同体規則が、化学物質とそれらの安全な使用に関して効力を発した(EC 1907/2006)。この規則は、化学物質の届出、評価、許可及び制限を取り扱っており、「REACH」として知られている。REACH規則は、産業界により大きな責任を与えて、化学物質のリスクを管理して、物質について安全性の情報を与えるものである。同様な規制は、中国、韓国、日本及び米国を含む世界に広がるものと予期される。故に、II−VI族QD材料の代替物を開発する経済的な動機が顕著に存在している。

0011

共有結合特性が増加しているので、III−V族及びIV−VI族高結晶質半導体ナノ粒子は、調製するのが困難であり、非常に長いアニール時間が通常必要とされている。しかしながら、II−VI族材料で用いられている方法と同様な方法でIII−VI族材料とIV−VI族材料を調製した報告が現在存在している。このようなIII−VI族材料とIV−VI族材料の例としては、GaN、GaPGaAsInPInAs、PbS、PbSeがある。

0012

上記の方法の全てにおいて、急速な粒子核生成の後におけるゆっくりな粒子成長が、狭い粒子サイズ分布にとって極めて重要である。これらの合成方法の全ては、Murrayらのオリジナルの有機金属「核生成及び成長」方法に基づいており、当該方法は、ルイス塩基配位性溶媒(キャッピング剤)の熱い溶液に、前駆体を急速注入することを含んでいる。当該溶媒は、前駆体の一つを更に含んでいてよい。続いて、より冷たい溶液を加えて、反応温度下げて、粒子の成長を支援するが、更なる核生成は妨げられる。温度はその後、所定の時間維持されて、得られた粒子のサイズは、反応時間、温度、使用する前駆体に対するキャッピング剤の比に依存する。得られた溶液は冷却され、その後、過剰な極性溶媒メタノール又はエタノール、或いは、時としてアセトン)が加えられて、粒子が沈殿する。粒子は、濾過又は遠心分離によって単離される。一般的に、大きな粒子は小さい粒子よりも容易に沈殿する。故に、沈殿は、量子ドットをそれらのサイズの関数として分離する手段をもたらす。複数の沈殿工程が、狭い粒子サイズ分布を達成するのに通常必要とされる。

0013

基本的に、これらの従来技術の調製は、核生成の後粒子を成長させる原理に頼っている。更に、ナノ粒子の単分散集団を得るには、ナノ粒子の成長から核生成を適切に分離して、成長が、核生成よりも低い温度で起こるのが好ましい。これは、一方又は両方の前駆体を(他方の前駆体がない場合にはそれを含んでいる)熱い配位性溶媒に急速注入することで達成される。引き続いて、注入直後により冷たい溶液を即座に加えることで、反応温度が低下し(加えられる溶液の体積は、通常、全溶液の約3分の1である)、更なる核生成が抑制されて、ナノ粒子サイズの狭い分布が維持される。この方法は、一つの溶液を別の溶液に急速に加える一方で、反応を通じて均一な温度を維持できるような小規模合成では、非常にうまく働くかもしれない。しかしながら、大規模な調製では、大量の溶液を急速に別の溶液に加えることが要求されるので、反応中に温度差が起こり得る。これは、大きな粒子サイズ分布を引き起こす。更に、複数のサイズ選択精製工程を実行する必要があるので、大量のQDを生成するのには実用的ではない。

0014

米国特許第7,588,828号、第7,803,423号、第7,985,446号、及び第8,062,703号(集合的に「シーディング特許」と称する)は、ホットインジェクションと上記のサイズ選択精製工程とを用いていない、単分散QD集団を調製する合成方法を開示している。これら特許の各々の開示内容の全体は、引用を以て本明細書の一部となる。簡潔に述べると、これらの特許に開示されている方法は、分子クラスタシード(seed)」化合物を使用する。当該化合物は、溶液中にてQD半導体材料の核生成のテンプレートとして働く。クラスタ化合物は、ナノ粒子成長が開始するシード又は核生成点として機能する。このようにして、高温の核生成工程は、ナノ粒子成長を開始するのに必要とされていない。なぜならば、適切な核生成サイトが、分子クラスタによって既に系に与えられているからである。上述された方法で用いられている核生成サイトよりもより一様な核生成サイトを与えることで、ほぼ単分散であるQDの集団が合成によって得られる。分子シーディング方法の利点は、容易に拡張できることである。

0015

シーディング特許に記載されているシーディング方法は、II−VI族QDを作製するのに使用でき、III−V族QD及びIV−VI族QDを作製するのにも使用できる。しかしながら、上述したように、III−V族QD及びIV−VI族QDを扱うのは困難である。表面積対体積比が大きいことから、小さいQDの表面の原子には、小さい粒子の表面からより大きい粒子の表面へと拡散する傾向があり、これは、オストワルド成長として知られたプロセスである。InP及びその合金のようなIII−V族材料のQDには、オストワルド成長によって特に不安定になる傾向がある。オストワルド成長は小さいQDを分解して、大きなQDの成長を促進するので、このプロセスは、短い波長で放射する、即ち可視スペクトルの青色及び緑色領域にて放射するQDを得ることを困難にする。

0016

故に、本分野において、短い波長の可視光を放射するカドミウムフリーQDを生成する合成方法を改善する必要がある。

0017

本明細書に記載の方法及び組成物は、重金属フリーQD材料を与えることで上述した問題を克服するものであり、当該QD材料は、スペクトルの緑色領域で光を放射するが、当該分野で知られているInPを用いたQDよりもオストワルド成長に対して安定である。QD組成物は、亜鉛アルミニウム、又はマグネシウムをQDコアに含めることで得られる。

0018

本発明の態様は、半導体材料を含むコアを備える量子ドットナノ粒子をもたらす。当該半導体材料は、インジウムと、リンと、マグネシウム、亜鉛、カルシウム及びアルミニウムからなる群から選択された少なくとも1つの元素とを含んでいる。

0019

本発明の更なる態様は、インジウムと、リンと、マグネシウムとを含むコアを有する量子ドットナノ粒子をもたらす。コアは、亜鉛を更に含んでよい。

0020

本発明の別の態様は、インジウムと、リンと、亜鉛とを含むコアを有する量子ドットナノ粒子をもたらす。コアは、アルミニウム及びカルシウムからなる群から選択された元素を更に含んでよい。

0021

本発明は、亜鉛イオンマグネシウムイオンカルシウムイオン、及びアルミニウムイオンからなる群から選択された少なくとも1つのイオンを含むコアを有する量子ドットナノ粒子をもたらす。コアは、リン化インジウムセレン、及び/又は硫黄を更に含んでよい。量子ドットナノ粒子は、コアに配置され、半導体材料を含む少なくとも1つのシェルを更に備えてよい。半導体材料は、亜鉛、硫黄、セレン、鉄及び酸素からなる群から選択された少なくとも1つの元素を含んでよい。コアと最内のシェルとの間の境界にて、材料の勾配があってよい。複数のシェルがあってよく、隣接するシェルの間の境界にて材料の勾配があってよい。量子ドットナノ粒子は、少なくとも1つのキャッピングリガンドを含んでよい。

0022

本発明のもう1つの別の態様は、半導体ナノ粒子を作る方法をもたらす。当該方法は、インジウム源前駆体と、リン源前駆体と、マグネシウム源前駆体、アルミニウム源前駆体、カルシウム源前駆体及び亜鉛源前駆体からなる群から選択された少なくとも1つの源前駆体とを、分子シーディング化合物の存在下で反応させる工程を含んでいる。本発明の方法は、反応物を含む溶液の光学特性を監視する工程と、光学特性の値が半導体ナノ粒子の所望の大きさに対応すると、反応を停止させる工程とを更に含んでよい。光学特性は、UV−可視吸収スペクトルであってよい。少なくとも2つの源前駆体は、マグネシウム源前駆体、アルミニウム源前駆体、カルシウム源前駆体及び亜鉛源前駆体からなる群から選択されてよい。分子シーディング化合物は、硫化亜鉛であってよい。本発明の方法は、フッ化水素酸でナノ粒子をエッチングする工程を更に含んでよい。

0023

上記の概要は、本発明の可能性のある各実施形態又は全ての態様を纏めることを意図してはいない。

図面の簡単な説明

0024

図1は、インジウムイオン、マグネシウムイオン及びリンイオンを含むコアを有するコア−シェルQDの概要を示す断面図である。

0025

図2は、インジウムイオン、マグネシウムイオン及びリンイオンを含むコアを有するコア−シェルQDの合成を示す簡略化されたフローチャートである。

0026

図3は、インジウムイオン、マグネシウムイオン及びリンイオンを含むコアQDの吸収スペクトルである。

0027

図1は、インジウムイオン、マグネシウムイオン、及びリンイオンを含む半導体材料のコア101を有するコア−シェル型QD100を図示している。亜鉛及び/又はアルミニウムのようなイオンが、更に加えて、或いは、マグネシウムに代わって含めてよい。コアは、セレン及び/又は硫黄のようなその他のイオンを更に含んでよい。コア101は、半導体材料の1つの(又は複数の)シェルで覆われてよい。シェルの半導体材料は基本的に、当該分野においてQDのシェル材料として知られた任意の半導体材料であってよい。シェルの半導体材料の例としては、亜鉛イオン、硫黄イオンセレンイオン鉄イオン、及び/又は酸素イオンを含む半導体がある。

0028

図1は、コア101及びシェル102の間の明確な境界を示しているが。このような明確な境界は存在しなくてよいことは理解されるべきである。コア材料とシェル材料の間で適切なアロイング(alloying)があって、境界にて材料の勾配が存在しており、コア材料が最内のシェルの材料へと移行してよい。また、QDが複数のシェルを含んでいる場合、顕著なアロイングが、シェル間の境界で起こってよい。QD100の最外の表面は、背景技術の上記の説明にて議論したように、大抵の場合、キャッピングリガンドで覆われることは理解されるであろう。

0029

先に説明したように、InPを用いたコアにマグネシウムを含めることは、バンド構造を大きく変えることなく、バルク(bulk)を半導体コアに与える。それ故に、コア材料の安定性は、より低い表面/体積比に起因して向上するが、光学特性(即ち、吸収/放射)は、より小さいInPコアのものに対応したままである。

0030

一般的に、当該分野におけるInPを用いたQDを合成する任意の方法は、半導体材料にマグネシウムを含めることに適合させることができる。InPを用いたコアを合成するのに特に適した1つの方法は、先に参照したシーディング特許に記載された分子シーディング方法である。簡潔に言えば、当該方法は、図2のステップ201に示したように、分子シーティング化合物の存在下で、コア材料前駆体を反応させる工程を含む。InPを用いたコアに適した前駆体化合物は、インジウムの源と、リンの源とをもたらす必要がある。例えば、インジウム源は、ミリスチン酸インジウムであってよく、リン源は、トリス(トリメチルシリル)ホスフィンであってよい。その他のインジウム源とリン源とが使用されてもよい。

0031

更に、マグネシウム源が、InPを用いたコアにマグネシウムを含めるために必要とされる。適切なマグネシウム源としては、ミリスチン酸マグネシウムがある。

0032

コア形成反応は、分子シーディング化合物の存在下で行われてよい。適切な分子シーディング化合物は、出願人所有の上記の特許に詳細に記載されている。適切な分子シーディング化合物の例としては、米国特許第8,062,703号(その内容の全体は、引用を以て本明細書の一部となる)に記載されている硫化亜鉛を用いた分子シーディング化合物がある。

0033

コア前駆体化合物と分子シーディング化合物とは、シーディング特許と、2009年8月7日に出願された米国特許出願公開第2010/0068522号とに記載されている条件下で、溶媒中にて加熱される。米国特許出願公開第2010/0068522号は、引用を以て、その全体の内容が本明細書の一部となる。一般的に、非電子供与性(non-electron donating)溶媒が反応に使用される。好適な溶媒の例には、水素テルフェニルを含んでいるTHEMINOL(登録商標)66伝熱流体(ソルチアインコーポレイテッド、63141 ミズーリ、セントルイス)がある。

0034

図2に示すように、QDコアの合成中、コアの光学特性を監視する(202)のが望ましいであろう。例えば、吸収スペクトルが監視されて、コアが適切なサイズに至るとQDコアの成長と反応が停止されて、所望の吸収及び/又は放射スペクトルが得られてよい。所望の光学値が得られて、反応が停止すると、コアは、例えば濾過によって単離できる(203)。非溶媒を反応混合物に加えて、コアの沈殿を引き起こすことも望ましいであろう。コアが単離されると、それらはシェル前駆体と反応させられて(204)、1又は複数のシェルがコア上に成長してよい。例えば、コアをシェル前駆体と反応させる前に、少量の材料をコアからエッチングすることで、コアを前処理するのが望ましいであろう。フッ化水素酸のような酸が、コアをエッチングするのに使用されてよい。

0035

以下の実施例は、本明細書に開示されているようにしてQDを調製するプロセスの代表的な実施形態を示している。

0036

<実施例1:マグネシウム含有コア>
酢酸マグネシウム四水和物(2.92g)とミリスチン酸(12.4g)を、溶液が透明になって更に液体が放出されなくなるまで、真空下で110℃まで加熱することで、ミリスチン酸マグネシウムを調製した。このミリスチン酸マグネシウムを使用して、以下の合成がなされた。ミリスチン酸インジウム(4.55g)、ミリスチン酸マグネシウム(2.33mL)、ミリスチン酸(0.76g)、THERMINOL66(50mL)を、乾燥させた250mLの丸底フラスコに入れて、100℃で1時間脱ガスした。丸底フラスコには、空気冷却器窒素入口、スバシール(suba seal)、熱電対及び攪拌棒が装着されていた。その後、窒素雰囲気下にて反応物を置いて、硫化亜鉛クラスタ(1.35g。米国特許第8,062,703号に記載されたようにして調製)を加えた。その後、反応物を真空下で更に半時間脱ガスして、窒素雰囲気下に置いた。以下のように、トリス(トリメチルシリル)ホスフィン(ジフェニルエーテル中に1M)の溶液を滴状に分けて加える一方で昇温した:100℃で、2.25mLを加え、160℃で、3mLを加え、230℃で、4mLを加えた。24時間、この温度に反応物を維持して、その後、室温まで冷ました。その後、半時間、300℃に加熱し、室温まで冷却した。その結果得られた、InPを用いておりマグネシウムを含むコアの吸収スペクトルを、図3に示す。

0037

反応溶液を、クロロホルム(100mL)で希釈し、26時間、フッ化水素酸を用いてフォトエッチングした。エタノールを加えることで、エッチングされたナノ粒子を単離した。

0038

このように得られたエッチングされたコアを、その後、以下のようにして、硫化亜鉛及び酸化亜鉛シェルで被覆した。エッチングされたコア(0.2g)、Therminol66(20mL)、ジブチルセバケート(20mL)を、乾燥させた250mLの丸底フラスコに入れて、80℃で1時間脱ガスした。丸底フラスコには、空気冷却器、窒素入口、スバシール、熱電対及び攪拌棒が装着されていた。その後、反応物を窒素雰囲気下に置いて、酢酸亜鉛(4.12g)を加えた。その後、反応物を真空下で更に半時間脱ガスして、窒素雰囲気下に置いた。反応物を210℃に加熱して、2時間保持し、230℃に加熱し、ドデシルメルカプタン(2.6mL)を加えて、反応物を1時間保持した。その後、温度を180℃に下げ、オクタノール(1.7mL)を加え、反応物を半時間保持し、60℃に冷却した。アセトン(40mL)を加えて生成物を単離し、遠心分離機で分離し(4000rpm、3分)、メタノールで洗浄して、トルエンに溶解させた。得られたナノ粒子の光学特性については、放射最大が523nmであり、FWHMが57nmであり、量子収量が74%であった。

0039

<実施例2:亜鉛及びマグネシウム含有コア>
ミリスチン酸インジウム(11.74g)、酢酸亜鉛(0.734g)、ステアリン酸マグネシウム(0.591g)、ミリスチン酸(1.507g)を100mLのTherminol66中にて撹拌し、100℃に加熱した。硫化亜鉛クラスタ(2.7g。米国特許第8,062,703号に記載されたようにして調製)を加えた。トリメチルシリルホスフィン(18.5mmol)を、7.2mL/hourの速度で加えて、反応混合物を、195℃に加熱して、140時間アニールした。

0040

<実施例3:亜鉛及びアルミニウム含有コア>
ミリスチン酸インジウム(11.74g)、酢酸亜鉛(0.734g)、ステアリン酸アルミニウム(0.877g)、ミリスチン酸(1.507g)を100mLのTherminol66中にて撹拌し、100℃に加熱した。硫化亜鉛クラスタ(2.7g。米国特許第8,062,703号に記載されたようにして調製)を加えた。トリメチルシリルホスフィン(18.5mmol)を、7.2mL/hourの速度で加えて、反応混合物を、195℃に加熱して、140時間アニールした。

0041

<実施例4:亜鉛含有コア>
ミリスチン酸インジウム(11.74g)、酢酸亜鉛(0.734g)、ミリスチン酸(1.507g)を100mLのTherminol66中にて撹拌し、100℃に加熱した。硫化亜鉛クラスタ(2.7g。米国特許第8,062,703号に記載されたようにして調製)を加えた。トリメチルシリルホスフィン(18.5mmol)を、7.2mL/hourの速度で加えて、反応混合物を、195℃に加熱して、140時間アニールした。

0042

<実施例3:亜鉛及びカルシウム含有コア>
ミリスチン酸インジウム(11.74g)、酢酸亜鉛(0.734g)、ステアリン酸カルシウム(0.607g)、ミリスチン酸(1.507g)を100mLのTherminol66中にて撹拌し、100℃に加熱した。硫化亜鉛クラスタ(2.7g。米国特許第8,062,703号に記載されたようにして調製)を加えた。トリメチルシリルホスフィン(18.5mmol)を、7.2mL/hourの速度で加えて、反応混合物を、250℃に加熱して、40時間アニールした。

実施例

0043

好ましい実施形態とその他の実施形態に関する上記の説明は、出願人によって考え出された発明概念の範囲又は適用可能性を限定又は制限することを意図していない。開示された主題の実施形態又は態様に従って上述された特徴は、開示された主題のその他の実施形態又は態様において、単独で又は説明されたその他の特徴と組み合わせて用いられてよいことは、本発明の利益と共に理解されるであろう。当業者であれば、様々な変更と変形が、添付の特許請求の範囲で文言上及び均等物として保護される本発明の範囲から逸脱することなくなされてよいことは理解できるであろう。

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