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技術 皮膚における外部刺激応答の鎮静化剤又は鎮静化方法

出願人 株式会社資生堂
発明者 細井純一井上かおり山田章子佐藤美奈子
出願日 2014年3月12日 (5年11ヶ月経過) 出願番号 2016-529497
公開日 2017年4月27日 (2年9ヶ月経過) 公開番号 2017-511790
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード バラ花弁 急性皮膚炎 分散状 エーテル反応 減少抑制剤 ダマスク Zeiss社 遺伝子発現促進剤
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (3)

課題

外部刺激に対する皮膚の応答鎮静化する薬剤の提供。

解決手段

ランゲルハンス細胞においてCD39遺伝子発現を促進する成分を発見したことにより上記課題が解決された。具体的に、カルボキシメチルベータグルカン又はその塩、ポリオキシエチレン(POE)/ポリオキシプロピレンPOPランダム共重合体ジメチルエーテル、及びローズ水の組み合わせが、CD39遺伝子発現を促進することを見いだしたことに基づく。

概要

背景

皮膚は生体最外層に位置する臓器であり、外部からの刺激、例えば紫外線物理的刺激化学的刺激及び生物学的侵襲に常に晒されている。皮膚は、表皮真皮皮下組織三層構造をとっており、このうち、最外層の表皮は、角化細胞ケラチノサイト)、ランゲルハンス細胞メラノサイトなどにより構成されており、水分の蒸発異物侵入、紫外線などの外的環境から人体防御する機能を有している。外部刺激を受けたケラチノサイトは、刺激応答因子を放出し、次に放出された刺激応答因子の信号を受けた周囲のケラチノサイトが、炎症性サイトカイン分泌し、分泌されたサイトカインにより免疫細胞誘引されて、刺激部位に炎症が引き起こされる(非特許文献1)。また、近年の研究により、ランゲルハンス細胞が、抗原処理抗原提示能力によって皮膚免疫機能における重要な役割を果たすことが分かってきている。ランゲルハンス細胞は、外部からの異物としての抗原進入に対し、すみやかに接触して処理し、リンパ節へ移動してT細胞にそれを提示し、以後の一連免疫応答反応を惹起する。それにより、ランゲルハンス細胞は、化学的刺激や生物学的侵襲に対抗する機能に寄与することが分かってきている。一方で、ランゲルハンス細胞は、ATPaseとして働くCD39を発現し、それにより細胞外の刺激応答因子であるATP量を低下させる能力も有している(非特許文献2)。細胞外ATPは、炎症過程シグナルの一つとして認知されている。したがって、ランゲルハンス細胞が細胞外ATPの分解を介して、炎症の鎮静化に寄与し、紫外線や物理的刺激による皮膚障害を低減すると考えられている。亜鉛欠乏によりランゲルハンス細胞の数が減少すると、CD39分子による外部刺激に対する皮膚の応答の鎮静化機能が低下し、刺激応答が過剰となって過剰な炎症を引き起こすことが報告されている(非特許文献3)。

したがって、ランゲルハンス細胞を増加又は活性化させることにより、皮膚免疫機能の亢進、炎症の低下や日焼けなどの皮膚障害の低減が期待できることから、ランゲルハンス細胞数を指標とした薬剤スクリーニング方法(特許文献1)、及び特定の植物抽出物からなる医薬又はランゲルハンス細胞減少抑制剤の開発が行われている(特許文献2)。

概要

外部刺激に対する皮膚の応答を鎮静化する薬剤の提供。ランゲルハンス細胞においてCD39遺伝子発現を促進する成分を発見したことにより上記課題が解決された。具体的に、カルボキシメチルベータグルカン又はその塩、ポリオキシエチレン(POE)/ポリオキシプロピレンPOPランダム共重合体ジメチルエーテル、及びローズ水の組み合わせが、CD39遺伝子発現を促進することを見いだしたことに基づく。

目的

本発明の課題は、ランゲルハンス細胞の活性化を介して、皮膚における外部刺激に対する応答を鎮静化させる薬剤又は方法を開発することにある

効果

実績

技術文献被引用数
- 件
牽制数
- 件

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請求項1

請求項2

カルボキシメチル・ベータグルカン又はその塩、ポリオキシエチレン(POE)/ポリオキシプロピレン(POP)ランダム共重合体ジメチルエーテル、及びローズ水からなる3成分を含む、皮膚における外部刺激応答鎮静化剤。

請求項3

カルボキシメチル・ベータグルカン又はその塩、ポリオキシエチレン(POE)/ポリオキシプロピレン(POP)ランダム共重合体ジメチルエーテル、及びローズ水からなる3成分を含む、皮膚免疫応答鎮静化剤。

技術分野

0001

本発明は、外部刺激に対する皮膚の応答鎮静化する薬剤に関する。

背景技術

0002

皮膚は生体最外層に位置する臓器であり、外部からの刺激、例えば紫外線物理的刺激化学的刺激及び生物学的侵襲に常に晒されている。皮膚は、表皮真皮皮下組織三層構造をとっており、このうち、最外層の表皮は、角化細胞ケラチノサイト)、ランゲルハンス細胞メラノサイトなどにより構成されており、水分の蒸発異物侵入、紫外線などの外的環境から人体防御する機能を有している。外部刺激を受けたケラチノサイトは、刺激応答因子を放出し、次に放出された刺激応答因子の信号を受けた周囲のケラチノサイトが、炎症性サイトカイン分泌し、分泌されたサイトカインにより免疫細胞誘引されて、刺激部位に炎症が引き起こされる(非特許文献1)。また、近年の研究により、ランゲルハンス細胞が、抗原処理抗原提示能力によって皮膚免疫機能における重要な役割を果たすことが分かってきている。ランゲルハンス細胞は、外部からの異物としての抗原進入に対し、すみやかに接触して処理し、リンパ節へ移動してT細胞にそれを提示し、以後の一連免疫応答反応を惹起する。それにより、ランゲルハンス細胞は、化学的刺激や生物学的侵襲に対抗する機能に寄与することが分かってきている。一方で、ランゲルハンス細胞は、ATPaseとして働くCD39を発現し、それにより細胞外の刺激応答因子であるATP量を低下させる能力も有している(非特許文献2)。細胞外ATPは、炎症過程シグナルの一つとして認知されている。したがって、ランゲルハンス細胞が細胞外ATPの分解を介して、炎症の鎮静化に寄与し、紫外線や物理的刺激による皮膚障害を低減すると考えられている。亜鉛欠乏によりランゲルハンス細胞の数が減少すると、CD39分子による外部刺激に対する皮膚の応答の鎮静化機能が低下し、刺激応答が過剰となって過剰な炎症を引き起こすことが報告されている(非特許文献3)。

0003

したがって、ランゲルハンス細胞を増加又は活性化させることにより、皮膚免疫機能の亢進、炎症の低下や日焼けなどの皮膚障害の低減が期待できることから、ランゲルハンス細胞数を指標とした薬剤のスクリーニング方法(特許文献1)、及び特定の植物抽出物からなる医薬又はランゲルハンス細胞減少抑制剤の開発が行われている(特許文献2)。

0004

特開2000−236775号公報
特開2000−239144号公報
特開2004−83541号公報

先行技術

0005

Holzer AM and Granstein RD, "Role of extracellular adnosine triphosphate in human skin", J Cutan Med Surg 2004, 8 (2): 90-96
Mizumonot N, et al., "CD 39 is the dominant Langerhans cell-asociated ectoTNPDase: modulatory roles in inflammation and immune responsiveness", Nat. Med. 2002, 8(4): 358-365
Kawamura T., et al., "Severe dermatitis with loss of epidermal Langerhans cells in human and mouse zinc deficiency", J Clin Invest 2012, 122 (2): 722-732
Koivukangas V and Oikarinen A Suction Blister Model of Wound Healing (2003) Methodsin Molecular Medicine 78:255-261

発明が解決しようとする課題

0006

本発明の課題は、ランゲルハンス細胞の活性化を介して、皮膚における外部刺激に対する応答を鎮静化させる薬剤又は方法を開発することにある。

課題を解決するための手段

0007

本発明者らは、ランゲルハンス細胞を活性化の指標について鋭意研究し、CD39の遺伝子発現を指標とすることを見いだした。そしてCD39の遺伝子発現を指標として、スクリーニングを行ったところ、ポリオキシエチレン(POE)/ポリオキシプロピレンPOPランダム共重合体ジメチルエーテルカルボキシメチルベータグルカンナトリウム、及びローズ水がそれぞれ、ストレス条件下のランゲルハンス細胞において、低下されたCD39の遺伝子発現を増加することができることを見いだした。さらに、驚くべきことに、ポリオキシエチレン(POE)/ポリオキシプロピレン(POP)ランダム共重合体ジメチルエーテル、カルボキシメチル・ベータグルカン・ナトリウム、及びローズ水を組み合わせて用いた場合に、ランゲルハンス細胞におけるCD39の遺伝子発現が相乗的に増加することを見いだし、下記の本発明に至った。

0008

したがって、本発明は以下のものに関する:
(1)カルボキシメチル・ベータグルカン又はその塩、ポリオキシエチレン(POE)/ポリオキシプロピレン(POP)ランダム共重合体ジメチルエーテル、及びローズ水からなる3成分を含む、CD39遺伝子発現促進剤
(2) CD39遺伝子発現促進剤の製造のための、カルボキシメチル・ベータグルカン又はその塩、ポリオキシエチレン(POE)/ポリオキシプロピレン(POP)ランダム共重合体ジメチルエーテル、及びローズ水からなる3成分の使用。
(3) CD39遺伝子発現促進を必要とする対象において、カルボキシメチル・ベータグルカン又はその塩、ポリオキシエチレン(POE)/ポリオキシプロピレン(POP)ランダム共重合体ジメチルエーテル、及びローズ水からなる3成分を含む組成物投与することを含むCD39遺伝子促進方法
(4) カルボキシメチル・ベータグルカン又はその塩、ポリオキシエチレン(POE)/ポリオキシプロピレン(POP)ランダム共重合体ジメチルエーテル、及びローズ水からなる3成分を含む、皮膚における外部刺激応答鎮静化剤。
(5) 皮膚における外部刺激応答鎮静化剤の製造のための、カルボキシメチル・ベータグルカン又はその塩、ポリオキシエチレン(POE)/ポリオキシプロピレン(POP)ランダム共重合体ジメチルエーテル、及びローズ水からなる3成分の使用。
(6) 皮膚における外部刺激応答鎮静化を必要とする対象において、カルボキシメチル・ベータグルカン又はその塩、ポリオキシエチレン(POE)/ポリオキシプロピレン(POP)ランダム共重合体ジメチルエーテル、及びローズ水からなる3成分を含む組成物を投与することを含む、外部刺激応答鎮静化方法。
(7) カルボキシメチル・ベータグルカン又はその塩、ポリオキシエチレン(POE)/ポリオキシプロピレン(POP)ランダム共重合体ジメチルエーテル、及びローズ水からなる3成分を含む、皮膚免疫応答鎮静化剤。
(8) 皮膚免疫応答沈静化剤の製造のための、カルボキシメチル・ベータグルカン又はその塩、ポリオキシエチレン(POE)/ポリオキシプロピレン(POP)ランダム共重合体ジメチルエーテル、及びローズ水からなる3成分の使用。
(9) 皮膚免疫応答沈静化を必要とする対象における、カルボキシメチル・ベータグルカン又はその塩、ポリオキシエチレン(POE)/ポリオキシプロピレン(POP)ランダム共重合体ジメチルエーテル、及びローズ水からなる3成分を含む組成物を投与することを含む、皮膚免疫応答鎮静化方法。

発明の効果

0009

本発明は、CD39の遺伝子発現の増加、外部刺激による皮膚応答鎮静化及び皮膚免疫応答鎮静化のうちの少なくとも1以上の効果を発揮することができる。

図面の簡単な説明

0010

図1は、ランゲルハンス様細胞において、ストレスホルモンであるデキサメタソンを添加することにより低下したCD39の遺伝子発現が、ポリオキシエチレン(POE)14/ポリオキシプロピレン(POP)7ランダム共重合体ジメチルエーテル(A)、カルボキシメチル・ベータグルカン・ナトリウム(B)、及びローズ水(C)を含む3成分(ABC)を同時に添加することにより、有意にCD39の遺伝子発現が回復することを示す。
図2は、カルボキシメチル・ベータグルカン・ナトリウム、ポリオキシエチレン(POE)14/ポリオキシプロピレン(POP)7ランダム共重合体ジメチルエーテル、及びローズ水を含む表1の化粧料を6週間に渡り適用した際のCD39分子の量の変化を示す。

0011

本発明は、β−グルカン、ポリオキシエチレン(POE)14/ポリオキシプロピレン(POP)7ランダム共重合体ジメチルエーテル、及びローズ水からなる3成分を含むCD39遺伝子発現促進剤、皮膚外部刺激応答鎮静化剤、及び皮膚免疫応答鎮静化剤に関する。

0012

CD39遺伝子発現促進剤により発現を促進されるCD39は、エクトヌクレオシド三リン酸塩ジホスホヒドロラーゼ−1(ENTPDl)とも呼ばれるタンパク質を指し、ATP/UTPおよびADPUDPを、それぞれ、AMPなどのヌクレオシド加水分解する酵素である。CD39は、2つの膜貫通ドメインを有する膜タンパク質であり、ランゲルハンス細胞の他、T細胞サブセットB細胞樹状細胞などで発現が認められる。CD39は細胞外のATPを分解する作用を有し、かかる作用により、CD39を発現する細胞が、炎症を鎮静化する役割を有することが分かってきている。

0013

CD39の酵素活性により分解されるATPは、細胞内ではエネルギー媒体として使用されているが、細胞外では情報伝達物質としての役割を果たす物質である。例えば、ATPは、神経系において神経伝達物質として作用することが知られている。一方で皮膚においては、機械的刺激、化学的刺激や紫外線刺激に応答して、又は細胞が破壊されることによりATPが細胞外に放出され、近傍の免疫細胞に作用することによりサイトカインやケモカイン類の産生を促すことを介して、免疫細胞が誘因し、免疫、アレルギー、や炎症反応に寄与すると考えられている(非特許文献1)。したがって、CD39を発現する細胞が、細胞外のATPを分解することで、皮膚、特に表皮の外部刺激に対する過剰な応答や、過剰な免疫応答を鎮静化することができる。

0014

皮膚においては、CD39を発現する細胞は、主にランゲルハンス細胞の他にメラノサイトがあり、皮膚におけるCD39の遺伝子発現促進は、これらの細胞、特にランゲルハンス細胞の活性化、増殖、誘因、又は減少の抑制と関連していてもよい。ランゲルハンス細胞は、骨髄由来の樹状細胞であり、有棘層の中から上層に存在する遊走性を有する細胞であり、CD39の他に、CD1a等のマーカーを発現する細胞である。ランゲルハンス細胞の機能として、外界から侵入した異物を補足・認識してT細胞へ提示する機能、癌細胞を認識する機能、免疫寛容誘導する機能、細胞外のATPを分解する機能などが挙げられ、ランゲルハンス細胞は主に皮膚における免疫応答反応に関与する細胞である。ランゲルハンス細胞の有する多くの機能のうち、CD39を介して細胞外ATPを分解する作用が、皮膚、特に表皮における外部刺激に対する過剰な応答や過剰な免疫応答の鎮静化を可能にする。本発明のCD39遺伝子発現促進剤は、CD39を発現する細胞、特にランゲルハンス細胞において、CD39遺伝子発現を促進させる薬剤のことをいう。

0015

したがって、本発明のCD39遺伝子発現促進剤は、外部刺激応答鎮静化剤として使用することもできる。本発明の外部刺激応答鎮静化剤によって、皮膚、特に表皮における外部刺激により生じる応答が鎮静化される。皮膚の外部刺激としては、例えば紫外線、機械的刺激、熱刺激、冷刺激、化学的刺激及び生物学的侵襲が挙げられる。これらの外部刺激を皮膚が受けると、表皮のケラチノサイトが細胞外に刺激応答因子、特にATPを放出し、上で説明したとおり、細胞外ATPが情報伝達物質として作用し、免疫、アレルギーや炎症反応が生じる。機械的刺激として、ひっかき、こすり、虫刺されなどが挙げられ、例えば掻傷裂傷創傷発赤腫れなどが生じ、熱刺激や冷刺激の結果として、やけどしもやけあかぎれ、凍傷凍瘡などが生じ、紫外線刺激の結果として日焼け、熱傷などが生じる。化学的刺激は、皮膚に対して刺激性を有する化学物質により誘発され、例えば酸やアルカリ有機溶媒などにより誘発され、結果として湿疹、かぶれ皮膚炎などが生じる。生物学的侵襲としては、細菌感染などが挙げられる。

0016

本発明の皮膚外部刺激応答鎮静化剤は、これらの外部刺激による皮膚、特に表皮における応答、例えば炎症、又は炎症に起因するかゆみ、発赤、疼痛熱感腫脹などを緩和又は軽減することができ、結果として上に挙げられた症状を緩和、軽減又は治療することが可能になる。したがって、本発明の皮膚外部刺激応答鎮静化剤は、上記の症状の緩和、治療、又は予防剤であってもよい。また、皮膚外部刺激応答を鎮静化する結果として、皮膚における免疫応答を鎮静化できることから、本発明の皮膚外部刺激応答鎮静化剤は、皮膚免疫応答鎮静化剤であってもよい。

0017

その一方で、本発明の皮膚外部刺激応答鎮静化剤は、皮膚における刺激応答のカスケードを直接的に抑制する訳ではなく、ATPase機能を有するCD39遺伝子発現の促進を介して、間接的に刺激応答を緩和すると考えられている。したがって、外部刺激応答鎮静化剤は、外部刺激に対する過剰な応答を鎮静化するという皮膚が通常有している機能を、増強するものであり、刺激応答鎮静化機能増強剤ということもできる。外部刺激応答鎮静化機能増強剤は、炎症が起きている部位に直接投与するよりも、炎症が生じていない平常時に用いることにより、外部刺激があった際の炎症応答、例えばかゆみ、発赤、疼痛、熱感、腫脹、かぶれを抑制するように機能することができる。したがって、外部刺激応答鎮静化剤は、医薬品に配合されてもよいが、日常的に使用することが意図される化粧料に配合されることが好ましい。本発明の皮膚外部刺激応答鎮静化剤が、医薬品に配合される場合であれば、抗炎症作用を有する他の薬剤と共に配合されることで、そのような薬剤の抗炎症作用に対し補助的に作用又は増強することができる。

0018

本発明の皮膚免疫応答鎮静化剤は、皮膚における免疫応答を鎮静化させる薬剤であり、特にランゲルハンス細胞の減少や、細胞外ATPの増加に起因する免疫応答、特に過剰な炎症の鎮静化に寄与することができる。過剰な炎症としては、慢性皮膚炎、例えばアトピー性皮膚炎乾癬紅皮症など、急性皮膚炎、例えばかぶれなどの接触性皮膚炎脂漏性皮膚炎日光皮膚炎などが挙げられ、本発明の皮膚免疫応答鎮静化剤を配合した医薬品や、医薬部外品、又は化粧料を使用することにより、皮膚が各種の外部刺激を受けたときに生じる発赤やかゆみといった過剰な反応がおこりにくくなり、ひいては炎症性皮膚疾患発症の治療又は予防につながる。特にアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患では、かゆみを伴う罹患部位を掻くことにより症状が悪化することから、過剰な炎症反応を生じにくくさせることは、治療に有用である。

0019

本発明で用いられるカルボキシメチル・ベータグルカンは、通常、不溶性のベータグルカンをカルボキシメチル化することにより、水溶性改変したベータグルカンである。カルボキシメチル・ベータグルカンは、任意の植物、菌類、細菌に由来のベータグルカンを元に又は合成により製造されてもよい。天然のベータグルカンは、例えばアガリクス霊芝スエヒロタケなどのキノコ類、や酵母から生成されてもよい。カルボキシメチル・ベータグルカンの重量平均分子量は、その由来に応じて例えば、1,000〜5,000,000ダルトンあり、酵母を原料としたカルボキシメチル・ベータグルカンの場合、上限は5,000,000ダルトン、より好ましくは3、000,000ダルトン、さらに好ましくは2,000,000ダルトンであり、下限は、10,000ダルトン、より好ましくは100,000ダルトン、さらに好ましくは500,000ダルトンである。カルボキシメチル・ベータグルカンは、任意の塩の形態であってよく、例えばナトリウム塩カリウム塩アンモニウム塩トリエタノールアミン塩などであってよい。市販されているカルボキシメチル・ベータグルカンとして、カルボキシメチル・ベータグルカン・ナトリウムであるCM−グルカン(Mibelle Biochemistry)等を用いることができるが、それに限定されるものではない。その配合量は、配合する化粧料や医薬品の剤形によって異なりうるが、十分な効力を発揮する観点から例えば0.0001質量%以上、好ましくは0.0002質量%以上、より好ましくは0.002質量%以上で配合される。一方で、溶解性の観点から、0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%以下で用いられる。

0020

本発明で用いられるポリオキシエチレン(POE)/ポリオキシプロピレン(POP)ランダム共重合体ジメチルエーテルに用いられるポリオキシプロピレン(POP)の平均付加モル数は2〜50、ポリオキシエチレン(POE)の平均付加モル数は8〜100であり、ポリオキシエチレン(POE)とポリオキシプロピレン(POP)の平均付加モル数の合計に対するポリオキシエチレン(POE)の平均付加モル数の割合 [POE/(POE+POP)]は0.5以上であることが好ましい。ここで、POE及びPOPは、それぞれポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンの略であり、以下、このように略して記載することがある。また、ポリオキシエチレン(POE)/ポリオキシプロピレン(POP)ランダム共重合体ジメチルエーテルにおいて用いられるポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンのモル比は、所望の作用を発揮するポリマーを取得する観点から、1:5〜5:1、好ましくは1:3〜3:1、さらに好ましくは1:2〜2:1の範囲である。例えばPOE:POPの比が2:1のものが用いることができる。ポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレンランダム共重合体ジアルキルエーテルは公知の方法で製造することができる(特許文献3)。例えば、水酸基を有している化合物エチレンオキシドおよびプロピレンオキシド付加重合した後、ハロゲン化アルキルアルカリ触媒の存在下にエーテル反応させることによって得られる。その配合量は、配合する化粧料や医薬品の剤形によって異なりうるが、十分な効力を発揮する観点から、例えば0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上で配合される。一方で、溶解性の観点から、3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下で用いられる。なお、本発明で用いられる、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンランダム共重合体ジアルキルエーテルは、単独またはその他の成分との組み合わせにより保湿効果などが知られているが、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンランダム共重合体ジアルキルエーテルのCD39遺伝子発現への効果は知られていない。

0021

本発明で用いられるローズ水は、バラ属(Rosa)に属する植物の花弁水蒸気蒸留して得られる芳香を有する水性成分のことをいう。ローズ水に使用されるバラ品種としては、任意の品種であってよいが、例えばダマスクスバラ(Rosa damascena Miller)又は、センティフリアバラ(Rosa centifolia L.)が用いられてもよい。ローズ水は、バラ花弁高温高圧(例えば、4気圧、120℃)で水蒸気蒸留して得られる水層成分をろ過して得られ、ろ液がそのまま用いられる。配合量としては、十分な効力を発揮する観点から、例えば0.01%(v/v)以上、好ましくは0.05%(v/v)以上、より好ましくは0.1%(v/v)以上で配合される。一方で、溶解性の観点から、3%(v/v)以下、より好ましくは1%(v/v)以下、さらに好ましくは0.5%(v/v)以下で用いられる。

0022

本発明で用いられるカルボキシメチル・ベータグルカン又はその塩、ポリオキシエチレン(POE)/ポリオキシプロピレン(POP)ランダム共重合体ジメチルエーテル、ローズ水の配合比は、カルボキシメチル・ベータグルカン又はその塩の2%水溶液の配合量を1とした場合に、1:1〜100:1〜100であり、好ましくは1:1〜20:1〜20、さらに好ましくは1:10:10である。

0023

本発明のCD39遺伝子発現促進剤、外部刺激応答鎮静化剤、及び皮膚免疫応答鎮静化剤は、それぞれ化粧料、医薬品又は医薬部外品に配合されてもよい。これらの薬剤は、経口、又は非経口、例えば経皮投与されてもよい。経皮投与される場合、皮膚外用剤に剤形することができる。皮膚外用剤は、皮膚に適用可能であれば特に限定されず、例えば、溶液状、乳化状、固形状、半固形状粉末状、粉末分散状、水−油二層分離状、水−油−粉末三層分離状、軟膏状、ゲル状、エアゾール状ムース状スティック状等、任意の剤型が適用できる。皮膚外用剤に剤形される場合には、皮膚外用剤に通常用いられる基剤、及び賦形剤、例えば保存剤乳化剤pH調整剤などが用いられてもよく、さらに抗炎症性の成分、例えばステロイド抗ヒスタミン剤などがさらに添加されてもよい。化粧料に配合する場合、化粧水乳液美容液クリームローションパックエッセンスジェル等の顔用又は体用の化粧料や、ファンデーション化粧下地コンシーラー等のメーキャップ化粧料、さらには浴用剤などに配合することができる。本発明の成分を含む化粧品を用いることにより、炎症反応を緩和又は予防することができることから、発赤、かゆみ、かぶれが生じにくい健康な肌の維持を可能にする。

0024

本発明は、また、本発明のCD39遺伝子発現促進剤、外部刺激応答鎮静化剤、及び皮膚免疫応答鎮静化剤、すなわち、カルボキシメチル・ベータグルカン又はその塩、ポリオキシエチレン(POE)/ポリオキシプロピレン(POP)ランダム共重合体ジメチルエーテル、及びローズ水からなる3成分を投与することを含む、化粧方法、外部刺激応答鎮静化方法、健常肌維持方法、炎症治療方法にも関してもよい。これらの方法において、本発明の3成分の投与は、全ての成分を配合された皮膚外用剤又は化粧料を使用することにより行われてもよいし、個別の成分を配合された皮膚外用剤又は化粧料を連続して使用することにより行われてもよい。

0025

実施例1:ヒトランゲルハンス細胞様細胞における各成分のCD39発現促進効果
ヒトランゲルハンス細胞の代替細胞としてTHP−1細胞(American Type Culture Collection, VA, USA)を用いた。約20万個のTHP−1細胞を、10%FBS添加RPMI1640培地コンフルエントになるまで培養した。培養後、10nMデキサメタソンをストレスホルモンとして添加し、続いて、0.1%ポリオキシエチレン(POE)14/ポリオキシプロピレン(POP)7ランダム共重合体ジメチルエーテル(A)、0.01%カルボキシメチル・ベータグルカン・ナトリウム2%水溶液(CM-Gulucan、Mibelle Biochemistry社)(B)及び0.1%ローズ水(BULGARIAROSEWATER、豊玉香料株式会社)(C)をそれぞれ添加した。さらに、これらの3つの成分を全て3分の1ずつ配合した3種混合物群(ABC)を添加した。添加後24時間培養後、Isogen(和光純薬)を用いてRNAを採取し、SuperscriptII and randam primer(Invitrogen)を用いてcDNAを合成した。次に以下のプライマー
CD39-Forward: GGAGAATGACACAGGCGTGGTGCATC(配列番号1)
CD39-Reverse: GTGGCTCCCAGGTAAACGGGTGTCT(配列番号2)
RPS9-Forward:TGCTGACGCTTGATGAGAAG(配列番号3)
RPS9-Reverse:CGCAGAGAGAAGTCGATGTG(配列番号4)
を用い、SYBR Green(Invitrogen)を用いたRTPCRを、PRISM7900HTABI)で行った。このRT−PCRにおいて、リボソーマルタンパク質S9を標準化因子として用いた。結果を図1に示す。ストレスホルモンであるデキサメタソンを添加すると、ランゲルハンス細胞様細胞においてCD39の発現が低下する。ポリオキシエチレン(POE)14/ポリオキシプロピレン(POP)7ランダム共重合体ジメチルエーテル(A群とする)、カルボキシメチル・ベータグルカン・ナトリウム(B群とする)、及びローズ水(C群とする)をそれぞれ添加した場合に、低下したCD39の発現量がある程度改善した。一方で、各成分を3分の1ずつ配合した3種混合物群(ABC群とする)を添加した場合に、低下したCD39発現量がデキサメタソン未添加群と同程度にまで回復しており、試験群(A、B、及びCの各群)に対して統計的に有意に改善効果を示した(p<0.01)(Scheffe’s F test)。

0026

実施例2:被験者において各成分塗布後のCD39発現量の変化
0.1%ポリオキシエチレン(POE)14/ポリオキシプロピレン(POP)7ランダム共重合体ジメチルエーテル、0.01%カルボキシメチル・ベータグルカン・ナトリウム(CM-Gulucan、Mibelle Biochemistry社)の2%水溶液及び0.1%ローズ水(BULGARIAROSEWATER、豊玉香料株式会社)を含む化粧料(詳細な組成については表1を参照のこと)を塗布試験に用いた。20〜30歳10名、49歳〜58歳12名の健常な男性被験者に対し、表1に記載の化粧料を、6週間、1日2回塗布した。その連用前後で、医師により吸引水疱法により表皮を採取した。吸引水疱法は、非特許文献4に従って行い、吸引ポンプの先に連結したシリンジを皮膚に当て、30分から60分吸引を行って形成される水疱の表皮を切り取ることにより表皮を採取した。採取した表皮を、リン酸緩衝液PBS)で洗浄し、アセトンで固定し10%ヤギ血清ブロッキングを行った後に、抗CD39抗体(Abcam社;ab97552)、Alexa fluoro 488標識ヤギ抗マウス抗体(Alexa fluoro 488, Molecular Probes社 A11001)で蛍光免疫染色を行った。レーザー共焦点顕微鏡(Pascal,Zeiss社)を用いて断層撮影を行い、取得した画像を、画像解析ソフト(IP Labo 4.0, Solution System社)を用いて、陽性部位の割合を定量解析した。結果を図2に示す。ポリオキシエチレン(POE)14/ポリオキシプロピレン(POP)7ランダム共重合体ジメチルエーテル、カルボキシメチル・ベータグルカン・ナトリウム2%水溶液、及びローズ水の混合物を含む化粧料を6週間前腕に塗布した結果、表皮中のCD39分子が有意に亢進した(図2)。

実施例

0027

[処方例]

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