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課題・解決手段

本発明は、中枢神経系(NS)障害処置において使用するための、5−(4−(2−(5−(1−ヒドロキシエチルピリジン−2−イルエトキシベンジルチアゾリジン−2,4−ジオンおよび前記化合物新規立体異性体を提供する。したがって、本発明の態様によれば、特に、中枢NS障害を処置または予防するための医薬として使用するための、式(1)の化合物もしくは薬学的に許容されるその塩、または式(1)の化合物の混合物が提供される。

概要

背景

発明の背景
中枢神経系(NS)障害は、脳および脊髄の構成要素のいずれかの疾患である。NS障害には、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病ハンチントン舞踏病パーキンソン病筋萎縮性側索硬化症ALS)、変性運動失調症フリードライヒ運動失調症(Friedrich's ataxia)など)、多発性硬化症多系統萎縮症および白質ジストロフィー)、脳血管疾患(例えば、全虚血または局所虚血脳内出血、脳卒中)、発作およびてんかんウイルス性疾患(例えば、髄膜炎脳炎)、脳腫瘍ならびに神経炎症性疾患などの疾患の全体的な進行中に神経系が冒される障害が含まれる。NS障害には、障害が発症する最後期段階の間にのみ神経系が冒される障害も含まれる。これらの障害は、有機酸血症または脂肪酸障害、および遺伝性ミトコンドリア障害などの希な代謝性疾患を含む。

神経変性疾患は、ニューロンの死を含む、ニューロンの構造または機能の進行性喪失によって特徴付けられる。これらの状態は進行性であり、多くの場合、致死性である。神経変性過程は十分に理解されておらず、神経変性に起因する疾患は、処置が常に求められているにもかかわらず、現在のところ治癒しない。

一部の神経変性疾患にはまた、炎症媒介性脱髄性疾患と従来考えられた多発性硬化症などの炎症性構成要素が含まれるが、実際には、中枢NSの軸索損傷ニューロン死および萎縮患者における非可逆的神経学的障害の主要な原因となる、神経変性疾患である。したがって、多発性硬化症は、神経変性疾患と見なすことができるが、神経炎症性疾患または自己免疫疾患と見なすこともできる。

白質ジストロフィーは、その主な特徴が脳の白質の変性である、一般的なNS障害の群である。この群の障害の1つは、副腎白質ジストロフィーX連鎖性副腎白質ジストロフィーまたはX−ALD)である。これは、脳および他の組織に進行性損傷をもたらし、最終的には死に至る希な遺伝性障害である。この疾患は、神経変性および神経炎症のどちらとも見なすことができる。

X−ALDは、主に3種の表現型:(i)脊髄における軸索変性を伴う成人型副腎脊髄神経障害(AMN)、(ii)脳の脱髄を伴う大脳型副腎脊髄神経障害(cAMN)、および(iii)重症な脳の脱髄によって特徴付けられる小児型病型(cALD)を表す。X−ALDは、最小出現率ヘミ接合男性およびキャリア女性を含めて17,000人に1人となる、最も頻度の高い遺伝性白質ジストロフィーである。

脳血管疾患は、脳に供給を行う血管の疾患に関連する、脳の機能異常の群である。4つのタイプ:脳卒中、一過性虚血発作(TIA)、クモ膜下出血および血管性認知症がある。

てんかんは、神経系の予測できない深刻かつ潜在的に致死性のある障害である。世界中で約5000万人が、てんかんを有している。

脳腫瘍は、脳(ニューロンまたはグリア細胞)においてのみではなく、血管、脳神経髄膜頭骨、および脳下垂体または松果体においても、異常かつ制御されない細胞分裂によって生じる。脳腫瘍は、他の臓器に位置する原発性がん細胞から広がるものも含む(転移)。

神経系ウイルス性疾患は、NSにおいて、ウイルス感染症によって引き起こされる。これらの感染症は、脳自体の炎症である脳炎、髄膜の炎症をもたらす髄膜炎、または脊髄の炎症を意味する脊髄炎などの、神経学的な機能異常および潜在的に深刻な炎症性疾患を引き起こし得る。狂犬病麻疹おたふくかぜポリオ単純ヘルペスまたは水痘帯状疱疹が、神経系ウイルス感染症のタイプである。

希な代謝性疾患(代謝の先天異常としても知られている)は、通常、ある種の代謝経路撹乱されており、したがって、多くの場合、中枢NSに対して機能異常を起こす、単一遺伝性疾患である。それらの疾患は、慢性的衰弱性のものであり、生命が脅かされている状態である。

遺伝性ミトコンドリア疾患は、ミトコンドリアの機能を損なうmtDNAまたはnDNAにおける変異のどちらかによって引き起こされ得、通常、NSに対する重症な徴候を含む、出生に起因する非常に重症な多系疾患をもたらす。

中枢NS障害の新規な処置に対する差し迫った必要性が存在している。

重水素富む広範囲の2,4−チアゾリジンジオンが、US2014/0275180に記載されている。この文献はまた、様々な異なる疾患の処置における、その予防的使用も開示している。しかし、この文献は、この点に関して、またはこれらの化合物血液脳関門(BBB)を通過する能力があるかに関して、いかなる証拠提示していない。

ピオグリタゾンは、2型糖尿病の処置において使用するために上市されている薬物である。ピオグリタゾンは、ペルオキシソーム増殖活性化受容体ガンマ(PPARγ)に対する強力なアゴニストであり、アルツハイマー病、パーキンソン病、ALSおよびフリードライヒ運動失調症を含む、いくつかの神経変性疾患の処置に提案されている。US2013/0274295は、前臨床データに基づいて、X−ALDの処置におけるピオグリタゾンの有用性を開示している。前臨床モデルは有望な結果を示しているが、臨床試験は、現在まで、これらのかなり深刻な状態のいずれにおいても、臨床的利益を示していない。

さらに、ピオグリタゾンは、心臓血管作用、体液鬱滞重量増加および膀胱がんを含む、望ましくない副作用を伴う。したがって、高い全身曝露が深刻な副作用をもたらす可能性が高いと思われるので、高用量のピオグリタゾンは望ましいものではない。

ピオグリタゾンは、in vivoで多数の代謝産物に変換される「ダーティーな薬物(dirty drug)」である。経口投与後のピオグリタゾンの代謝経路は、いくつかの動物種およびヒトにおいて検討されており、その代謝産物は、文献に記載されている(例えば、Sohdaら、Chem. Pharm. Bull.、1995年、43巻(12号)、2168〜2172頁およびMaeshibaら、Arzneim.-Forsch/Drug Res、1997年、47巻(I号)、29〜35頁を参照されたい)。M−I〜M−VIと命名された、少なくとも6つの代謝産物が同定されている。これらの代謝産物のなかで、M−II、M−IIIおよびM−IVは、ある薬理学的活性を示すが、糖尿病の臨床前モデルでは、ピオグリタゾンほど活性ではない。

ラットに[14C]−ピオグリタゾンを経口投与した後の様々な組織における、ピオグリタゾンおよびその代謝産物の分布も研究されている(Maeshibaら、Arzneim.-Forsch/Drug Res、1997年、47巻(I号)、29〜35頁)。大部分の組織では、ピオグリタゾンおよび代謝産物M−I〜M−VIの濃度は血漿中における濃度よりも低く、最低濃度放射活性のうちの一つが、脳中で見いだされており、この場合、ピオグリタゾンしか主に検出されなかった。

概要

本発明は、中枢神経系(NS)障害の処置において使用するための、5−(4−(2−(5−(1−ヒドロキシエチルピリジン−2−イルエトキシベンジルチアゾリジン−2,4−ジオンおよび前記化合物の新規な立体異性体を提供する。したがって、本発明の態様によれば、特に、中枢NS障害を処置または予防するための医薬として使用するための、式(1)の化合物もしくは薬学的に許容されるその塩、または式(1)の化合物の混合物が提供される。

目的

本発明は、特に、中枢NS障害を処置または予防するための医薬を製造するための、式(1)の化合物もしくは薬学的に許容されるその塩、または式(1)の化合物の混合物の使用を提供する

効果

実績

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請求項1

中枢神経系障害処置または予防において使用するための、式(1)の化合物または薬学的に許容されるその塩。

請求項2

化合物(2)〜(5):(2)(R)−5−(4−(2−(5−((R)−1−ヒドロキシエチルピリジン−2−イルエトキシベンジルチアゾリジン−2,4−ジオン;(3)(R)−5−(4−(2−(5−((S)−1−ヒドロキシエチル)ピリジン−2−イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン−2,4−ジオン;(4)(S)−5−(4−(2−(5−((R)−1−ヒドロキシエチル)ピリジン−2−イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン−2,4−ジオン;および(5)(S)−5−(4−(2−(5−((S)−1−ヒドロキシエチル)ピリジン−2−イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン−2,4−ジオンから選択される式(1)の化合物、または薬学的に許容されるそれらの塩。

請求項3

化合物1モルあたり水素原子総数の1%以下が2H同位元素の形態である、請求項2に記載の化合物。

請求項4

化合物(2)〜(5):(2)(R)−5−(4−(2−(5−((R)−1−ヒドロキシエチル)ピリジン−2−イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン−2,4−ジオン;(3)(R)−5−(4−(2−(5−((S)−1−ヒドロキシエチル)ピリジン−2−イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン−2,4−ジオン;(4)(S)−5−(4−(2−(5−((R)−1−ヒドロキシエチル)ピリジン−2−イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン−2,4−ジオン;および(5)(S)−5−(4−(2−(5−((S)−1−ヒドロキシエチル)ピリジン−2−イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン−2,4−ジオンから選択される請求項1に記載の使用のための化合物、または薬学的に許容されるそれらの塩。

請求項5

中枢神経系障害の処置または予防において使用するための、請求項4に記載の化合物の1つまたは複数の混合物

請求項6

(a)化合物(2)および(3)を含む混合物、(b)化合物(4)および(5)を含む混合物、(c)化合物(2)および(4)を含む混合物、ならびに(d)化合物(3)および(5)を含む混合物からなる群から選択される、請求項5に記載の使用のための混合物。

請求項7

医薬として使用するための、請求項2から3に記載の化合物、または請求項5から6のいずれか一項に記載の化合物の混合物。

請求項8

前記障害が、神経変性疾患脳血管疾患発作てんかんウイルス性疾患神経炎症性疾患脳腫瘍有機酸血症脂肪酸障害および遺伝性ミトコンドリア障害から選択される、請求項1、および4から7のいずれか一項に記載の使用のための、化合物または化合物の混合物。

請求項9

前記障害が神経変性疾患である、請求項8に記載の使用のための、化合物または化合物の混合物。

請求項10

前記障害がアルツハイマー病ハンチントン舞踏病パーキンソン病または多発性硬化症である、請求項9に記載の使用のための化合物。

請求項11

前記障害が副腎白質ジストロフィー(ALD)などの白質ジストロフィーである、請求項8または9に記載の使用のための、化合物または化合物の混合物。

請求項12

前記中枢神経系障害が脳血管疾患である、請求項8に記載の使用のための、化合物または化合物の混合物。

請求項13

前記患者が別の治療剤投与される、請求項1、および4から12のいずれか一項に記載の使用のための、化合物または化合物の混合物。

請求項14

前記化合物または化合物の混合物、および前記他の治療剤が、組み合わされて供給される、請求項13に記載の使用のための、化合物または化合物の混合物。

請求項15

請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物、または請求項5から6のいずれか一項に記載の混合物を含む、医薬組成物

請求項16

中枢神経系障害の処置または予防において使用するための、請求項15に記載の医薬組成物。

請求項17

中枢神経系障害を処置または予防するための医薬を製造するための、式(1)の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。

請求項18

化合物(2)〜(5):(2)(R)−5−(4−(2−(5−((R)−1−ヒドロキシエチル)ピリジン−2−イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン−2,4−ジオン;(3)(R)−5−(4−(2−(5−((S)−1−ヒドロキシエチル)ピリジン−2−イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン−2,4−ジオン;(4)(S)−5−(4−(2−(5−((R)−1−ヒドロキシエチル)ピリジン−2−イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン−2,4−ジオン;および(5)(S)−5−(4−(2−(5−((S)−1−ヒドロキシエチル)ピリジン−2−イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン−2,4−ジオンから選択される請求項17に記載の式(1)の化合物または薬学的に許容されるそれらの塩の使用。

請求項19

中枢神経系障害を処置または予防するための医薬を製造するための、請求項18に記載の化合物の1つまたは複数の混合物の使用。

請求項20

(a)化合物(2)および(3)を含む混合物、(b)化合物(4)および(5)を含む混合物、(c)化合物(2)および(4)を含む混合物、ならびに(d)化合物(3)および(5)を含む混合物からなる群から選択される、請求項19に記載の混合物の使用。

請求項21

前記障害が、神経変性疾患、脳血管疾患、発作、てんかん、ウイルス性疾患、神経炎症性疾患、脳腫瘍、有機酸血症、脂肪酸障害および遺伝性ミトコンドリア障害から選択される、請求項17から20のいずれか一項に記載の化合物または化合物の混合物の使用。

請求項22

前記障害が神経変性疾患である、請求項21に記載の化合物または化合物の混合物の使用。

請求項23

前記障害がアルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病または多発性硬化症である、請求項22に記載の化合物の使用。

請求項24

前記障害が副腎白質ジストロフィー(ALD)などの白質ジストロフィーである、請求項21または22に記載の化合物または化合物の混合物の使用。

請求項25

前記中枢神経系障害が脳血管疾患である、請求項21に記載の化合物または化合物の混合物の使用。

請求項26

患者が別の治療剤も投与される、請求項17から25のいずれか一項に記載の使用のための、化合物または化合物の混合物の使用。

請求項27

前記化合物または化合物の混合物、および前記他の治療剤が、組み合わされて供給される、請求項26に記載の使用のための、化合物または化合物の混合物の使用。

請求項28

中枢神経系障害の処置または予防を必要とする対象に、有効量の式(1)の化合物または薬学的に許容されるその塩を投与するステップを含む、中枢神経系障害を処置または予防する方法。

請求項29

前記式(1)の化合物が、化合物(2)〜(5):(2)(R)−5−(4−(2−(5−((R)−1−ヒドロキシエチル)ピリジン−2−イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン−2,4−ジオン;(3)(R)−5−(4−(2−(5−((S)−1−ヒドロキシエチル)ピリジン−2−イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン−2,4−ジオン;(4)(S)−5−(4−(2−(5−((R)−1−ヒドロキシエチル)ピリジン−2−イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン−2,4−ジオン;および(5)(S)−5−(4−(2−(5−((S)−1−ヒドロキシエチル)ピリジン−2−イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン−2,4−ジオンまたは薬学的に許容されるそれらの塩から選択される、請求項28に記載の方法。

請求項30

中枢神経系障害の処置または予防を必要とする対象に、有効量の、請求項29に記載の化合物の1つまたは複数の混合物を投与するステップを含む、中枢神経系障害を処置または予防する方法。

請求項31

前記混合物が、(e)化合物(2)および(3)を含む混合物、(f)化合物(4)および(5)を含む混合物、(g)化合物(2)および(4)を含む混合物、ならびに(h)化合物(3)および(5)を含む混合物からなる群から選択される、請求項30に記載の方法。

請求項32

前記障害が、神経変性疾患、脳血管疾患、発作、てんかん、ウイルス性疾患、神経炎症性疾患、脳腫瘍、有機酸血症、脂肪酸障害および遺伝性ミトコンドリア障害から選択される、請求項28から31のいずれか一項に記載の方法。

請求項33

前記障害が神経変性疾患である、請求項32に記載の方法。

請求項34

前記障害がアルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病または多発性硬化症である、請求項33に記載の方法。

請求項35

前記障害が副腎白質ジストロフィー(ALD)などの白質ジストロフィーである、請求項32または33に記載の方法。

請求項36

前記中枢神経系障害が脳血管疾患である、請求項32に記載の方法。

請求項37

前記患者が別の治療剤も投与される、請求項28から36のいずれか一項に記載の方法。

請求項38

前記化合物または化合物の混合物、および前記他の治療剤が、組み合わされて供給される、請求項37に記載の方法。

技術分野

0001

発明の分野
本発明は、特に中枢神経系障害処置するための医薬としての2,4−チアゾリジンジオン誘導体新規な使用に関する。

背景技術

0002

発明の背景
中枢神経系(NS)障害は、脳および脊髄の構成要素のいずれかの疾患である。NS障害には、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病ハンチントン舞踏病パーキンソン病筋萎縮性側索硬化症ALS)、変性運動失調症フリードライヒ運動失調症(Friedrich's ataxia)など)、多発性硬化症多系統萎縮症および白質ジストロフィー)、脳血管疾患(例えば、全虚血または局所虚血脳内出血、脳卒中)、発作およびてんかんウイルス性疾患(例えば、髄膜炎脳炎)、脳腫瘍ならびに神経炎症性疾患などの疾患の全体的な進行中に神経系が冒される障害が含まれる。NS障害には、障害が発症する最後期段階の間にのみ神経系が冒される障害も含まれる。これらの障害は、有機酸血症または脂肪酸障害、および遺伝性ミトコンドリア障害などの希な代謝性疾患を含む。

0003

神経変性疾患は、ニューロンの死を含む、ニューロンの構造または機能の進行性喪失によって特徴付けられる。これらの状態は進行性であり、多くの場合、致死性である。神経変性過程は十分に理解されておらず、神経変性に起因する疾患は、処置が常に求められているにもかかわらず、現在のところ治癒しない。

0004

一部の神経変性疾患にはまた、炎症媒介性脱髄性疾患と従来考えられた多発性硬化症などの炎症性構成要素が含まれるが、実際には、中枢NSの軸索損傷ニューロン死および萎縮患者における非可逆的神経学的障害の主要な原因となる、神経変性疾患である。したがって、多発性硬化症は、神経変性疾患と見なすことができるが、神経炎症性疾患または自己免疫疾患と見なすこともできる。

0005

白質ジストロフィーは、その主な特徴が脳の白質の変性である、一般的なNS障害の群である。この群の障害の1つは、副腎白質ジストロフィーX連鎖性副腎白質ジストロフィーまたはX−ALD)である。これは、脳および他の組織に進行性損傷をもたらし、最終的には死に至る希な遺伝性障害である。この疾患は、神経変性および神経炎症のどちらとも見なすことができる。

0006

X−ALDは、主に3種の表現型:(i)脊髄における軸索変性を伴う成人型副腎脊髄神経障害(AMN)、(ii)脳の脱髄を伴う大脳型副腎脊髄神経障害(cAMN)、および(iii)重症な脳の脱髄によって特徴付けられる小児型病型(cALD)を表す。X−ALDは、最小出現率ヘミ接合男性およびキャリア女性を含めて17,000人に1人となる、最も頻度の高い遺伝性白質ジストロフィーである。

0007

脳血管疾患は、脳に供給を行う血管の疾患に関連する、脳の機能異常の群である。4つのタイプ:脳卒中、一過性虚血発作(TIA)、クモ膜下出血および血管性認知症がある。

0008

てんかんは、神経系の予測できない深刻かつ潜在的に致死性のある障害である。世界中で約5000万人が、てんかんを有している。

0009

脳腫瘍は、脳(ニューロンまたはグリア細胞)においてのみではなく、血管、脳神経髄膜頭骨、および脳下垂体または松果体においても、異常かつ制御されない細胞分裂によって生じる。脳腫瘍は、他の臓器に位置する原発性がん細胞から広がるものも含む(転移)。

0010

神経系ウイルス性疾患は、NSにおいて、ウイルス感染症によって引き起こされる。これらの感染症は、脳自体の炎症である脳炎、髄膜の炎症をもたらす髄膜炎、または脊髄の炎症を意味する脊髄炎などの、神経学的な機能異常および潜在的に深刻な炎症性疾患を引き起こし得る。狂犬病麻疹おたふくかぜポリオ単純ヘルペスまたは水痘帯状疱疹が、神経系ウイルス感染症のタイプである。

0011

希な代謝性疾患(代謝の先天異常としても知られている)は、通常、ある種の代謝経路撹乱されており、したがって、多くの場合、中枢NSに対して機能異常を起こす、単一遺伝性疾患である。それらの疾患は、慢性的衰弱性のものであり、生命が脅かされている状態である。

0012

遺伝性ミトコンドリア疾患は、ミトコンドリアの機能を損なうmtDNAまたはnDNAにおける変異のどちらかによって引き起こされ得、通常、NSに対する重症な徴候を含む、出生に起因する非常に重症な多系疾患をもたらす。

0013

中枢NS障害の新規な処置に対する差し迫った必要性が存在している。

0014

重水素富む広範囲の2,4−チアゾリジンジオンが、US2014/0275180に記載されている。この文献はまた、様々な異なる疾患の処置における、その予防的使用も開示している。しかし、この文献は、この点に関して、またはこれらの化合物血液脳関門(BBB)を通過する能力があるかに関して、いかなる証拠提示していない。

0015

ピオグリタゾンは、2型糖尿病の処置において使用するために上市されている薬物である。ピオグリタゾンは、ペルオキシソーム増殖活性化受容体ガンマ(PPARγ)に対する強力なアゴニストであり、アルツハイマー病、パーキンソン病、ALSおよびフリードライヒ運動失調症を含む、いくつかの神経変性疾患の処置に提案されている。US2013/0274295は、前臨床データに基づいて、X−ALDの処置におけるピオグリタゾンの有用性を開示している。前臨床モデルは有望な結果を示しているが、臨床試験は、現在まで、これらのかなり深刻な状態のいずれにおいても、臨床的利益を示していない。

0016

さらに、ピオグリタゾンは、心臓血管作用、体液鬱滞重量増加および膀胱がんを含む、望ましくない副作用を伴う。したがって、高い全身曝露が深刻な副作用をもたらす可能性が高いと思われるので、高用量のピオグリタゾンは望ましいものではない。

0017

ピオグリタゾンは、in vivoで多数の代謝産物に変換される「ダーティーな薬物(dirty drug)」である。経口投与後のピオグリタゾンの代謝経路は、いくつかの動物種およびヒトにおいて検討されており、その代謝産物は、文献に記載されている(例えば、Sohdaら、Chem. Pharm. Bull.、1995年、43巻(12号)、2168〜2172頁およびMaeshibaら、Arzneim.-Forsch/Drug Res、1997年、47巻(I号)、29〜35頁を参照されたい)。M−I〜M−VIと命名された、少なくとも6つの代謝産物が同定されている。これらの代謝産物のなかで、M−II、M−IIIおよびM−IVは、ある薬理学的活性を示すが、糖尿病の臨床前モデルでは、ピオグリタゾンほど活性ではない。

0018

ラットに[14C]−ピオグリタゾンを経口投与した後の様々な組織における、ピオグリタゾンおよびその代謝産物の分布も研究されている(Maeshibaら、Arzneim.-Forsch/Drug Res、1997年、47巻(I号)、29〜35頁)。大部分の組織では、ピオグリタゾンおよび代謝産物M−I〜M−VIの濃度は血漿中における濃度よりも低く、最低濃度放射活性のうちの一つが、脳中で見いだされており、この場合、ピオグリタゾンしか主に検出されなかった。

0019

米国特許出願公開2014/0275180号

先行技術

0020

Sohdaら、Chem. Pharm. Bull.、1995年、43巻(12号)、2168〜2172頁
Maeshibaら、Arzneim.-Forsch/Drug Res、1997年、47巻(I号)、29〜35頁

課題を解決するための手段

0021

発明の要旨
意外なことに、中枢NS障害が、ピオグリタゾンのM−IV代謝産物である、式(1)の5−[4−[2−(5−(1−ヒドロキシエチル)−2−ピリジニルエトキシベンジル]−2,4−チアゾリジンジオン



またはその塩により処置され得ることが見いだされた。

0022

NS障害には、以下に限定されないが、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、変性運動失調症、多系統萎縮症および白質ジストロフィー)、脳血管疾患(例えば、全虚血または局所虚血、脳内出血、脳卒中)、発作およびてんかん、ウイルス性疾患(例えば、髄膜炎、脳炎)、多発性硬化症、脳腫瘍および脳損傷などの疾患の全体的な進行中に神経系が冒される障害が含まれる。NS障害にはまた、状態が発症する最後期段階にのみ神経系が冒される障害が含まれ、有機酸血症または脂肪酸障害、および遺伝性ミトコンドリア障害などの希な代謝性疾患が含まれる。

0023

本発明は、少なくとも一部、式(1)の化合物が血液脳関門を通過する予期せぬ能力を示すデータに基づいている。さらに、本発明の化合物は、経口による良好なバイオアベイラビリティ、低い全身性血漿クリアランス、および良好な分布容積などの、1つまたは複数の望ましい薬物特性を有する。さらに、本発明の化合物は、in vivoで5−(4−(2−(5−アセチル−2−ピリジル)エトキシ)ベンジル)−2,4−チアゾリジンジオン(ピオグリタゾンのM−III代謝産物)に変換されるのみであり、かつ両方が排出されるので、妥当性のある「クリーンな(clean)」薬物である。したがって、望ましくない代謝産物による副作用が最小化される。

0024

したがって、本発明の態様によれば、特に、中枢NS障害を処置または予防するための医薬として使用するための、式(1)の化合物もしくは薬学的に許容されるその塩、または式(1)の化合物の混合物が提供される。別の態様によれば、本発明は、特に、中枢NS障害を処置または予防するための医薬を製造するための、式(1)の化合物もしくは薬学的に許容されるその塩、または式(1)の化合物の混合物の使用を提供する。別の態様によれば、本発明は、中枢NSの疾患の処置または予防を必要とする対象に、有効量の式(1)の化合物もしくは薬学的に許容されるその塩、または式(1)の化合物の混合物を投与するステップを含む、中枢NSの疾患を処置または予防する方法を提供する。本発明の別の態様によれば、式(1)の化合物もしくは薬学的に許容されるその塩、または式(1)の化合物の混合物を含む、医薬組成物が提供される。

0025

別の態様によれば、本発明は、新規な化合物(2)〜(5):
(2)(R)−5−(4−(2−(5−((R)−1−ヒドロキシエチル)ピリジン−2−イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン−2,4−ジオン
(3)(R)−5−(4−(2−(5−((S)−1−ヒドロキシエチル)ピリジン−2−イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン−2,4−ジオン
(4)(S)−5−(4−(2−(5−((R)−1−ヒドロキシエチル)ピリジン−2−イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン−2,4−ジオン
(5)(S)−5−(4−(2−(5−((S)−1−ヒドロキシエチル)ピリジン−2−イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン−2,4−ジオン
または薬学的に許容されるそれらの塩を提供する。

0026

さらに別の態様によれば、本発明は、中枢神経系障害の処置または予防において使用するための、化合物(2)〜(5)の1つもしくは複数の混合物、または薬学的に許容されるそれらの塩を提供する。別の態様によれば、本発明は、中枢NS障害を処置または予防するための医薬を製造するための、化合物(2)〜(5)の1つもしくは複数、または薬学的に許容されるそれらの塩の使用を提供する。別の態様によれば、本発明は、中枢NSの疾患の処置または予防を必要とする対象に、有効量の化合物(2)〜(5)の1つもしくは複数、または薬学的に許容されるそれらの塩を投与するステップを含む、中枢NSの疾患を処置または予防する方法を提供する。

0027

さらに別の態様では、本発明は、中枢NS障害の処置または予防において使用するための、式(2)〜(5)の化合物の混合物を含む、式(2)〜(5)の1つもしくは複数の化合物、または薬学的に許容されるそれらの塩を含む、医薬組成物を提供する。

0028

別の態様では、本発明は、式(1)の化合物または薬学的に許容されるその塩、あるいは式(2)〜(5)の1つもしくは複数の化合物、または薬学的に許容されるそれらの塩を投与することによる、神経変性疾患(アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、変性運動失調症、多系統萎縮症、多発性硬化症および白質ジストロフィー(ALDなど)など)、脳血管疾患、発作、てんかん、ウイルス性疾患、脳腫瘍、神経炎症性疾患、有機酸血症または脂肪酸障害および遺伝性ミトコンドリア障害などの希な代謝性疾患を含む状態の発症の最後期段階において神経系を冒すNS障害を含む、中枢神経系障害を処置または予防する方法を提供する。

図面の簡単な説明

0029

図1は、1mg/Kgの式(1)の化合物を単回静脈内投与した後の、C57BL/6マウスの血漿中の前記化合物の濃度を表す。

0030

図2は、4.5mg/Kgの式(1)の化合物を単回経口投与した後の、C57BL/6マウスの血漿中の前記化合物の濃度を表す。

0031

図3は、4.5mg/Kgの式(1)の化合物を単回経口投与した後のC57BL/6マウスの脳組織中の前記化合物の濃度(円の印の線)、および1mg/Kgの前記化合物を単回静脈内投与した後のC57BL/6マウスの脳組織中の前記化合物の濃度(正方形の印の線)を表す。

0032

図4は、雄のC57BL/6マウスにおいて、ピオグリタゾンを4.5mg/kgで経口にて単回投与した後の、Cmax(極大濃度)において定量した血漿中および脳中のピオグリタゾン、MIV、MIIIおよびMIIのレベルに基づいて算出した、脳と血漿での比を表す。

0033

図5は、ピオグリタゾンの曲線下面積として算出され、そして雄のC57BL/6マウスにおいて、ピオグリタゾンまたはMIVのどちらか一方をどちらも4.5mg/kgで経口にて単回投与した後の、血漿および脳の濃度−時間プロファイル薬物動態曲線に基づいて算出した、脳と血漿での比を表す。

0034

図6は、4.5mg/Kgの、化合物(2)および(4)を含む混合物(c)ならびに化合物(3)および(5)を含む混合物(d)を単回経口投与した後の、C57BL/6マウスの血漿中の、前記混合物の濃度を表す。

0035

図7は、グルタミン酸により損傷を受けた初代ラット皮質ニューロンにおける式(1)の化合物の影響を表す。

0036

図8は、パクリタキセルタキソール)により損傷を受けた感覚ニューロン初代培養物における式(1)の化合物の影響を表す。

0037

図9は、複数のマウスモデルの実験自己免疫脳脊髄炎(EAE)における、in vivo有効性検討の障害スコアでの式(1)の化合物の影響を表す。

0038

図10は、グルタミン酸により損傷を受けた初代運動ニューロンにおける式(1)の化合物の影響を表す。

0039

好ましい実施形態の説明
本発明において、用語「式(1)の化合物」、「M−IV」、「MIV」および「M4」は、上で図示した構造を有する、5−[4−[2−(5−(1−ヒドロキシエチル)−2−ピリジニル)エトキシ]ベンジル]−2,4−チアゾリジンジオンを区別なく指す。

0040

一態様では、式(1)の化合物または薬学的に許容される塩の投与は、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、変性運動失調症、多系統萎縮症、多発性硬化症(MS)および白質ジストロフィー(副腎白質ジストロフィー(ALDまたはX−ALD)など)、脳血管疾患(例えば、全虚血または局所虚血、脳内出血、脳卒中)、発作およびてんかん、ウイルス性疾患(例えば、髄膜炎、脳炎)、脳腫瘍ならびに神経炎症性疾患などの中枢NS障害の処置または予防に有用である。NS障害にはまた、障害が発症する最後期段階にのみ神経系が冒される障害が含まれる。これらの障害は、有機酸血症または脂肪酸障害、および遺伝性ミトコンドリア障害などの希な代謝性疾患を含む。

0041

用語「処置」または「処置すること」とは、本明細書の文脈では、上記の疾患、または前記疾患に関連する1つもしくは複数の症状を改善または排除することを意味する。「処置」は、上記の疾患の生理学的な後遺症の改善または排除も包含する。

0042

用語「改善する」は、本発明の文脈では、処置された患者の状況に関して何らかの改良を意味するものとして理解される。

0043

用語「予防」または「予防すること」とは、所与の疾患または障害を獲得または発症するリスクを低減すること、あるいは疾患もしくは障害の再発を低減することまたは阻害することを指す。

0044

式(1)の化合物は、5−(4−(2−(5−(1−ヒドロキシエチル)ピリジン−2−イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン−2,4−ジオンと命名することができ、2個のキラル中心を有する。それらの1個は、チアゾリジン−ジオン環の5位の炭素原子であり、もう一方の不斉原子は、矢印により示されているヒドロキシエチル基の1位にある:

0045

本明細書で使用する場合、用語「式(1)の化合物」は、鏡像異性体およびジアステレオマー、ならびにそれらのラセミ混合物を含む混合物を含む、考えられるすべての立体異性体を示すよう使用される。

0046

別の態様では、本発明は、新規な化合物(2)〜(5):
(2) (R)−5−(4−(2−(5−((R)−1−ヒドロキシエチル)ピリジン−2−イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン−2,4−ジオン



(3) (R)−5−(4−(2−(5−((S)−1−ヒドロキシエチル)ピリジン−2−イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン−2,4−ジオン



(4) (S)−5−(4−(2−(5−((R)−1−ヒドロキシエチル)ピリジン−2−イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン−2,4−ジオン



(5) (S)−5−(4−(2−(5−((S)−1−ヒドロキシエチル)ピリジン−2−イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン−2,4−ジオン



または薬学的に許容されるそれらの塩を提供する。

0047

化合物(2)〜(5)は、調製されて単離されたが、それらの絶対(R/S)配置は、まだ決定されておらず、それらの旋光度のみが決定されている。

0048

好ましくは、本発明における化合物(1)〜(5)を言う場合、同位元素1Hの形態で主に存在している水素原子を有する化合物(1)〜(5)を指すことが意図されている。すなわち、化合物1モルあたりの水素原子の総数の1%以下が2H同位元素(重水素)の形態であり、より一層好ましくは、化合物1モルあたりの水素原子の総数の0.015%(これは、重水素の天然存在比である)以下が2H同位元素(重水素)の形態である。

0049

特定の実施形態では、化合物(2)〜(5)の、以下の混合物が好ましい:
(a)化合物(2)および(3)を含む混合物、好ましくは、該混合物中に存在している唯一の式(1)の化合物が、化合物(2)および(3)である、
(b)(4)および(5)を含む混合物、好ましくは、該混合物中に存在している唯一の式(1)の化合物が、化合物(4)および(5)である、
(c)(2)および(4)を含む混合物、好ましくは、該混合物中に存在している唯一の式(1)の化合物が、化合物(2)および(4)である、ならびに
(d)(3)および(5)を含む混合物、好ましくは、該混合物中に存在している唯一の式(1)の化合物が、化合物(3)および(5)である。

0050

混合物(c)および(d)が、特に好ましい。

0051

上記の混合物(a)〜(d)において、該混合物のそれぞれ1つで言及した2つの化合物が、当モル量で存在しているのが特に好ましい。前記混合物は、式(1)の他の化合物を少量(好ましくは、10重量%未満、より好ましくは3重量%未満、より一層好ましくは1重量%未満、最も好ましくは0.1重量%未満)、混ぜ合わせていてもよい。

0052

本発明の別の態様は、医薬として使用するための、化合物(2)〜(5)もしくは薬学的に許容されるそれらの塩、または混合物(a)〜(d)もしくは薬学的に許容されるそれらの塩を提供する。本発明の化合物は、とりわけ、中枢神経系障害などの疾患を処置するために使用することができる。

0053

中枢NS障害の処置において使用する場合、好ましい化合物を選択する際に、いくつかの要因が考慮され得る。高い脳対血漿曝露を示す化合物が好ましい。好ましい化合物は、効力の強いPPARガンマアゴニスト活性を示すが、効力がより弱いPPARガンマアゴニスト活性を有する化合物もやはり有用である。以下に限定されないが、薬理学的活性(PPARガンマ以外)、ADME、薬物動態プロファイル、毒性、安全性、脳分布特性、組織中への化合物蓄積、化合物代謝およびクリアランス、クリアランスにおける遺伝子型変異ならびに物理化学特性を含む他の要因もやはり、好ましい化合物を選択するために考慮されることがある。好ましい化合物は、中枢神経系毒性が低い。好ましい化合物は、全身毒性が低い。PPARアルファ活性が存在するかまたは存在しないこともまた、考慮されることがある。一部の場合、化合物は、脳への蓄積が低いかまたはまったくないことが望ましい。これにより、中枢神経系毒性のリスクが軽減され得、かつ/または中枢神経系における薬物効果の迅速な反転を可能にすることができる。他の場合、限定的な全身曝露を伴う脳への高い蓄積が好ましいことがある。これにより、中枢神経系の薬物への曝露が一層大きくなり、効力が一層高くなり得る。化合物が、クリアランスにおける有意な遺伝子型変異に対する対象にはならないことが有利なことが多い。これにより、一層一貫した効力がもたらされる。これらの活性は、適切なin vitroおよびin vivoアッセイの使用によって決定することができる。

0054

別の態様では、本発明は、神経変性疾患、脳血管疾患、発作、てんかん、ウイルス性疾患、脳腫瘍および神経炎症性疾患を含む、中枢NS障害を処置または予防する方法を提供する。本態様はまた、式(2)〜(5)の化合物、もしくは薬学的に許容されるそれらの塩の投与により、または式(2)〜(5)の1つもしくは複数の化合物の混合物の投与により、神経系が有機酸血症または脂肪酸障害、および遺伝性ミトコンドリア障害などの希な代謝性疾患を含む障害の発症の最後期段階にのみ冒される中枢NS障害を処置または予防する方法も含む。

0055

本発明の別の態様は、神経変性疾患、脳血管疾患、発作、てんかん、ウイルス性疾患、脳腫瘍および神経炎症性疾患を含む、中枢NS障害を処置または予防するための医薬を製造するための、式(1)の化合物または薬学的に許容されるその塩、あるいは式(2)〜(5)の1つもしくは複数の化合物または薬学的に許容されるそれらの塩、あるいは混合物(a)〜(d)または薬学的に許容されるそれらの塩の使用に関する。本態様はまた、神経系が、有機酸血症または脂肪酸障害、および遺伝性ミトコンドリア障害などの希な代謝性疾患を含む障害の発症の最後期段階にのみ冒される中枢NS障害を処置または予防するための医薬を製造するための、式(1)の化合物または薬学的に許容されるその塩、あるいは式(2)〜(5)の1つもしくは複数の化合物または薬学的に許容されるそれらの塩、あるいは混合物(a)〜(d)または薬学的に許容されるそれらの塩の使用を含む。

0056

本発明の別の態様は、神経変性疾患、脳血管疾患、発作、てんかん、ウイルス性疾患、脳腫瘍および神経炎症性疾患を含む、中枢NS障害の処置または予防において使用するための、式(1)の化合物または薬学的に許容されるその塩、あるいは式(2)〜(5)の1つもしくは複数の化合物または薬学的に許容されるそれらの塩、あるいは混合物(a)〜(d)または薬学的に許容されるそれらの塩に関する。本態様はまた、神経系が、有機酸血症または脂肪酸障害、および遺伝性ミトコンドリア障害などの希な代謝性疾患を含む障害の発症の最後期段階にのみ冒される中枢NS障害の処置または予防において使用するための、式(1)の化合物または薬学的に許容されるその塩、あるいは式(2)〜(5)の1つもしくは複数の化合物または薬学的に許容されるそれらの塩、あるいは混合物(a)〜(d)または薬学的に許容されるそれらの塩を含む。

0057

上記の本発明の態様の特定の実施形態では、障害は、神経変性疾患、脳血管疾患、発作、てんかん、ウイルス性疾患および脳腫瘍からなる群から選択され、より好ましくは、障害は、神経変性疾患であり、より好ましくは、障害は、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、フリードライヒ運動失調症、ALS、多発性硬化症、およびX−ALDからなる群から選択され、より好ましくは、障害は、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病または多発性硬化症からなる群から選択され、より好ましくは、障害は多発性硬化症であり、より好ましくは、障害は、副腎白質ジストロフィー(ALDまたはX−ALD)などの白質ジストロフィーである。

0058

上記の本発明の態様の他の特定の実施形態では、障害は脳血管疾患である。

0059

好ましい化合物または化合物の混合物は、送達の特定の経路のために選択することができる。一部の化合物または化合物の混合物はまた、特定の疾患を処置するための使用に基づいて、好ましいことがある。

0060

本発明の化合物は、薬学的に許容される塩の形態をとることができる。用語「薬学的に許容される塩」とは、薬学的に許容される無機の酸および有機の酸から調製される塩を指す。

0061

本発明の化合物の例示的な薬学的に許容される酸付加塩は、ギ酸酢酸プロピオン酸安息香酸、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、コハク酸グリコール酸グルコン酸乳酸マレイン酸リンゴ酸酒石酸クエン酸硝酸アスコルビン酸グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸ピルビン酸アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、塩酸臭化水素酸ヨウ化水素酸イソクエン酸キシナホ酸、酒石酸、トリフルオロ酢酸、パモ酸、プロピオン酸、アントラニル酸、メシル酸、ナパジシル酸、オキサル酢酸オレイン酸ステアリン酸サリチル酸p−ヒドロキシ安息香酸ニコチン酸フェニル酢酸マンデル酸エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸リン酸ホスホン酸エタンスルホン酸ベンゼンスルホン酸パントテン酸トルエンスルホン酸2−ヒドロキシエタンスルホン酸スルファニル酸硫酸、サリチル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸アルギン酸β−ヒドロキシ酪酸ガラクタル酸およびガラクツロン酸を含むが、これらに限定されない酸から調製することができる。例示的な薬学的に許容される塩は、塩酸および臭化水素酸の塩を含む。

0062

立体異性体(2)〜(5)、混合物(a)〜(d)、および薬学的に許容されるそれらの塩を含む、式(1)の化合物の有用性は、実施例において記載されている通り、適切なin vitroまたはin vivoアッセイにおいて実証することができる。

0063

本発明の化合物または薬学的に許容される塩は、患者がやはり投与を受ける場合、本発明に従って、または抗炎症剤および鎮痛剤ドーパミンアゴニスト(例えば、レボドーパ)、MAO−B阻害剤カテコールO−メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害剤、抗コリン作用薬、他の抗パーキンソン薬(例えばアマンタジン)、抗NMDA受容体(例えばメマンチン)、コリンエステラーゼ阻害剤ACE阻害剤グルタミン酸アンタゴニスト(例えば、リルゾール)、抗酸化剤免疫調節剤(例えば、フィンゴリモド、抗CD52、抗CD25および抗CD20モノクローナル抗体インターフェロン−β−1a、ナタリズマブラキニモド(laquinimod)、ジメチルフマレート化学治療薬酵素補充療法剤、基質合成抑制治療剤(substrate reduction therapy agent)、コルチコステロイド抗増殖薬(例えばメトトレキサート)、抗けいれん薬抗凝固剤抗高血圧薬および神経保護薬から選択される別の治療剤のうちの1種または複数と組み合わせて使用することができる。患者が遺伝子治療骨髄移植脳深部刺激または放射治療を経験している場合、本発明の化合物も使用することができる。

0064

化合物(2)〜(5)、混合物(a)〜(d)、または薬学的に許容される塩を含む医薬組成物が、本発明の別の態様を表す。任意の好適な投与経路が使用され得る。例えば、経口、口腔内局所、皮膚、皮下、経皮筋肉内、非経口、眼、直腸吸入内、下および鼻腔内送達経路のいずれかが好適となり得る。経口投与が好ましいことがある。医薬組成物の経口形態は、固体または液体であり得る。好適な剤形は、錠剤カプセル剤丸剤顆粒剤懸濁剤エマルション剤シロップ剤または液剤であり得る。好ましくは、本医薬組成物は錠剤、カプセル剤、丸剤または顆粒剤からなる群から選択される固体形態である。特に好ましいのは錠剤である。経口用液剤または懸濁剤も好ましい。例えば、疾患の結果として、または老年および小児の使用の場合、患者の嚥下が困難な場合、これらは有利である。舌下調製物もまた有利である。

0065

「有効」量または「治療有効量」の薬物または薬理学的活性剤とは、非毒性であるが、所望の作用をもたらすのに十分な量の薬物または薬剤を意図する。上記量は、個体の年齢および一般的な状態、特定の活性剤または薬剤などに応じて、被験体ごとに様々となる。したがって、正確な「有効量」を指定することは、必ずしも可能とは限らない。しかし、任意の個体の場合における適切な「有効」量は、型通りの実験を使用して、当業者によって決定することができる。したがって、活性剤の用量は、患者の状態の性質および程度、年齢および状態、ならびに当業者に公知の他の要因に依存することになる。典型的な1日あたりの投与量は、さらに投与しない単回用量として、または複数回用量(例えば、1日あたり1〜3回)で投与される、0.1〜200mg、好ましくは20〜200mg、例えば成人の場合、10〜100mgである。本明細書に記載されている化合物は、80〜600mgの1日あたりの用量で投与することもできる。

0066

本医薬組成物は、当該分野で公知の従来の添加剤を含有してもよく、従来の方法により調製することができる。

0067

本医薬組成物は、1種または複数の治療剤をさらに含んでもよい。組合せ処置は、同一または異なる経路によって、または手術もしくは介入手順の前、それらの最中およびそれらの後に、同時、逐次または個別に行うことができる。

0068

本発明の化合物は、当該分野で公知の任意の好適な方法により、および/または以下に記載されている方法により調製することができる。記載されている様々な化合物中に存在しているアミノまたはヒドロキシル基などの官能基、および維持することが望ましい官能基は、いずれの反応を開始する前に、保護形態にしておく必要があり得ることもやはり理解される。こうした場合、保護基の除去は、特定の反応における最終ステップであってもよい。こうした官能基に好適な保護基は、当業者には明白である。具体的な詳細に関しては、「Protective Groups in Organic Synthesis」、Wiley Interscience、T W Greene、PGM Wutsを参照されたい。得られた最終生成物または中間体のいかなる混合物も、公知の方法で、その構成物物理化学的差異に基づいて、例えば、クロマトグラフィー蒸留分別結晶化により、またはその環境下で適宜もしくは可能な場合、塩の形成により、純粋な最終生成物または中間体に分離することができる。

0069

本発明による化合物は、以下または同様の方法によって調製することができる。

0070

式(1)の化合物5−[4−[2−(5−(1−ヒドロキシエチル)−2−ピリジニル)エトキシ]ベンジル]−2,4−チアゾリジンジオンは、スキーム1に従って調製することができる(例えば、J. Med. Chem.1996年、39巻(26号)、5053頁を参照されたい)。

0071

他の経路のなかで、本発明の化合物(2)および(4)の混合物、または化合物(3)および(5)の混合物は、出発物質として鏡像異性体として純粋なアルコール(IIa)および(IIb)を使用する以外、スキーム1と同様に調製することができる。

0072

式(IIa)および(IIb)の中間体は、以下の手順(スキーム2)の1つまたは複数によって、ラセミアルコール(II)から単一鏡像異性体として調製することができる:
a)市販のキラルカラムを使用するHPLCキラルクロマトグラフィー分離。
b)異性体の一方をアセチル化し、他方の異性体は未反応のままにする、リパーゼなどの酵素により異性体混合物を処理する酵素分割。2つの異性体は、その後、容易に分離することができる。
c)分割試薬により異性体混合物を処理して、得られたジアステレオ異性体結晶化によりまたは通常のカラムクロマトグラフィーにより分離することによる。

0073

当業者に公知の適切なキラル還元剤により式(I)の基質を処理する、キラル合成による単一鏡像異性体として中間体(IIa)および(IIb)を調製するための代替方法

0074

化合物(2)および(4)を含む混合物(c)、ならびに化合物(3)および(5)を含む混合物(d)を調製するためのさらに別の方法(スキーム3)は、既に記載されている方法(キラルHPLC分離、酵素分割、キラル分割など)を使用するラセミ混合物VIIIの分割と、その後のそれぞれの鏡像異性体VIIIaおよびVIIIbにおける二重結合還元を含む。

0075

本発明の混合物(b)(式(4)および(5)の化合物を含む)および混合物(a)(式(2)および(3)の化合物を含む)は、例えば、スキーム4に示されている通り、キラル配位子の存在下でロジウムまたはイリジウム触媒を使用する、式VIの化合物の不斉水素化分解によって調製することができる。二重結合のキラル還元は、生体触媒(例えば、Rhodotorula rubraおよびRhodotorula glutinis)を使用して行うこともできる。

0076

式(2)、(3)、(4)および(5)の化合物は、混合物(c)および(d)(スキーム45)からキラルHPLC分離によって得ることができる。あるいは、所望の鏡像異性体として純粋な化合物は、当業者に公知のキラル合成手順により調製することができる(例えば:化合物VIの対応する単一異性体の不斉水素化分解)。

0077

0078

略語
・ ACE:アンジオテンシン変換酵素
・ ADME:吸収、分布、代謝および排出
・ALS:筋萎縮性側索硬化症
・ AMN:副腎脊髄神経障害
・ AUC:曲線下面積
・ C57BL/6マウス:C57ブラック6マウス
・ cALD:ALDの脳型(cerebral variant)
・ cAMN:脳型副腎脊髄神経障害(Cerebral adrenomyeloneuropathy)
・ CD20:B−リンパ球抗原CD20
・ CD25:IL−2受容体アルファ鎖
・ CD52:分化抗原群52
cDNA相補的デオキシリボ核酸
・ Cmax:投与後最高血漿濃度
・ COMT:カテコールO−メチルトランスフェラーゼ
・ DEAD:ジエチルアゾジカルボキシレート
・ EC50:半数効果濃度
・ hERG:ヒトエーテル−ア−ゴーゴー関連遺伝子(human Ether-a-go-go-Related Gene)
・HPLC:高速液体クロマトグラフィー
LLOQ:定量の下限値
・MAO−B:モノアミンオキシダーゼB
・mtDNA:ミトコンドリアデオキシリボ核酸
NMDA:N−メチル−D−アスパラギン酸
・ nDNA:核デオキシリボ核酸
・ NS:神経系
・ Ph:フェニル
・ PPARγ:ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体−ガンマ
・ qPCR:定量的ポリメラーゼ連鎖反応
・ TIA:一過性虚血発作
・ Tmax:Cmaxに到達する時間
・ VSS定常状態における見かけの分布容積
・ X−ALD:X連鎖性副腎白質ジストロフィー

0079

以下の実施例が、本発明を裏付ける。

0080

(実施例1)薬物動態プロファイルおよび脳分布
プロトコール:雄のC57BL/6マウスに、単回の経口投与(4.5mg/kg)および静脈内(1mg/kg)用量投与した後の、5−(4−(2−(5−(1−ヒドロキシエチル)ピリジン−2−イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン−2,4−ジオン(ラセミ体または立体異性体)の薬物動態パラメータおよび脳分布を決定した。血液の試料および脳の試料は、投与前、および経口とi.v.の両方での薬物動態について投与後の様々な時間で採集した。試料はすべてアセトニトリルを使用して、分析用タンパク質沈殿によって処理し、目的にかなったLC/MS/MS方法を用いて分析した。5−(4−(2−(5−(1−ヒドロキシエチル)ピリジン−2−イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン−2,4−ジオン(1)の血漿中および脳中の定量の下限値(LLOQ)は、0.99ng/mLである。薬物動態パラメータは、Phoenix WinNonlinの非区画分析ツールを使用して算出した。

0081

これらの実験からの結果は、図1図2および図3に示されている。これらのデータにより、5−(4−(2−(5−(1−ヒドロキシエチル)ピリジン−2−イル)エトキシ)ベンジル)−チアゾリジン−2,4−ジオン(1)は、良好な薬物動態プロファイル、低い全身血漿クリアランス、および脳−血漿の曝露比が0.12である許容される分布容積(Vss)を示すことが明確に実証される。

0082

1mg/kg用量ラセミ5−(4−(2−(5−(1−ヒドロキシエチル)ピリジン−2−イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン−2,4−ジオンをC57BL/6マウスに単回静脈内投与した後(図1)、この化合物は、低い全身血漿クリアランス(11.79mL/分/kg、マウスにおける正常な肝血流=90mL/分/kg)を示し、血漿中最終排出半減期は1.79時間であった。このVSSは、総体液量の正常容積(0.7L/kg)よりも2倍、高かった。

0083

4.5mg/kg用量でラセミ5−(4−(2−(5−(1−ヒドロキシエチル)ピリジン−2−イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン−2,4−ジオン(1)をC57BL/6マウスに単回経口投与した後(図2)、24時間まで血漿中濃度を観察した(1匹の動物)。血漿中のTmaxは、0.50時間であった。経口バイオアベイラビリティは、85%であった。

0084

図3は、静脈内と経口の両方の薬物動態プロファイルに関して、脳での濃度が8時間まで観察されたことを示している。脳中のTmaxは0.50時間であり、脳対血漿曝露(AUClast)比は0.12である。

0085

これらの結果は、5−(4−(2−(5−(1−ヒドロキシエチル)ピリジン−2−イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン−2,4−ジオンが、良好な経口バイオアベイラビリティおよび0.12という脳対血漿曝露比を含む、有利な薬物動態プロファイルを有しており、したがって、本化合物は、血液脳関門を有意に通過することを示している。

0086

(実施例2)作用機序:in vitroでの薬理学
プロトコール:PPARガンマの作動による作用機序を決定するため、PPREルシフェラーゼレポーターである、PPAR−γ、RXR−αおよびコアクチベーターRIP205によりコトランスフェクトしたヒト組換え細胞系を使用して、細胞の機能アッセイを実施した。

0087

トランスフェクトした細胞は、化合物の用量を増加させながら処理した。ルシフェラーゼ活性は、alphascreen技法により検出し、β−ガラクトシダーゼ活性に基づいて正規化した。これらの結果は、対照ロシグリタゾン10μM)に対する誘発倍率として表す。用量応答曲線を得た。結果は、50%対照アゴニスト応答を誘発する化合物の濃度である、EC50として算出した。
ラセミ5−(4−(2−(5−(1−ヒドロキシエチル)ピリジン−2−イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン−2,4−ジオンのEC50=9.3μM

0088

これらの実験からの結果により、ラセミ5−(4−(2−(5−(1−ヒドロキシエチル)ピリジン−2−イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン−2,4−ジオンおよびその立体異性体は、様々なPPARガンマアゴニスト活性を有しており、広範なEC50を有することが示される。これらのデータは、これらの化合物は、PPARガンマ受容体を活性化し、その結果として、この活性化に依存するその生物的機能を活性化することを示している。

0089

(実施例3)
一般的な実験条件
1Hスペクトルは、適切な重水素化溶媒を使用し、400MHz Varian NMR分光計で記録した。化合物のクロマトグラフィーによる分析は、以下に示されている適切な方法を使用して行った。

0090

LCMS法
カラム:Agilent Zorbax 3.5μm、SB−C8(4.6×75mm);波長:210nm;流量:1mL/分;稼働時間:7分間;移動相グラジエント(t/%B):0/30、3.5/95、5/95、5.5/30、7/30[A:水(0.1%ギ酸);B:アセトニトリル];質量:Agilent−シングル四重極マルチモードAPCI−ESI。

0091

キラルHPLC法
カラム:Chiralpak−IA 5μm(4.6mm×250mm);波長:210nm;流量:0.7mL/分;稼働時間:30分間;移動相−アイクラテック:65/35(A/B)[A:n−ヘキサン(0.05%トリエチルアミンおよび0.1%トリフルオロ酢酸)、B:イソプロピルアルコール]。

0092

キラル分取HPLC法
カラム:Chiralpak−IA 5μm(250×20mm);波長:254nm;流量:18ml/分;稼働時間:60分間;移動相−アイソクラテック50/50(A/B):A:n−ヘキサン、B:EtOH(0.05%トリエチルアミン)。

0093

HPLC法
カラム:Symmetry Shield RP−18、5μm(4.6×250mm);波長:210nm;流量:1mL/分;稼働時間:28分間;移動相−グラジエント:(t/%B):0/10、8/10、12/60、16/80、20/80、24/10、28/10[A:水(o−リン酸二水素カリウム(pH約3))、B:アセトニトリル]

0094

(実施例4)5−(4−(2−(5−(1−ヒドロキシエチル)ピリジン−2−イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン−2,4−ジオン(1)はスキーム6に従って調製した。

0095

1−(6−メチル−ピリジン−3−イル)−エタノール(II)
ジメチルホルムアミド中の6−メチルニコチン酸メチル(20g、0.132mol)および酢酸エチル(82g、0.927mol)の冷却溶液に、−50℃でLiHMDS(テトラヒドロフラン(tetrahydrofurane)中の1.0M、463ml、0.463mol)を滴下して加え、この温度を室温まで徐々に昇温し、同じ温度で撹拌した。1時間後、この反応混合物を0℃に冷却し、20%硫酸によりゆっくり希釈して、加熱して還流した。4時間後、この反応混合物を室温に冷却し、さらに0℃にして炭酸カリウムにより塩基性にした。この反応媒体を水により希釈し、酢酸エチル(3x50ml)で抽出した。合わせた有機抽出物硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮すると、粗製1−(6−メチルピリジン−3−イル)エタン−1−オン(化合物I)(20.0g)が得られ、これを何ら精製することなく、次のステップに持ち越した。
ES−MS[M+1]+:136.1

0096

化合物I(16.4g、0.121mol)のエタノール(160ml)溶液に、0℃で水素化ホウ素ナトリウム(2.3g、0.06mol)を30分間にわたって小分けにして加え、この反応混合物を同じ温度で撹拌した。1時間後、この反応混合物を炭酸水素ナトリウム溶液飽和)(2x200ml)により希釈し、ジクロロメタン(2x500ml)により抽出した。合わせた有機抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮すると、淡黄色油状物が得られ、これをフラッシュカラムクロマトグラフィー(5%メタノール/ジクロロメタン)によって精製すると、化合物II(17.0g;2ステップで収率93%)が淡黄色油状物として得られた。
ES−MS[M+1]+:138.1
1H NMR(400MHz, CDCl3): δ 8.35 (d, J = 2.0Hz, 1H), 7.63 (dd, J = 8.0, 2.4Hz, 1H), 7.12 (d, J = 8.0Hz, 1H), 4.89 (q, J = 6.5Hz, 1H), 3.30 (br s, 1H), 2.50 (s, 3H), 1.48 (d, J = 6.5Hz, 3H)

0097

5−(1−メトキシメトキシエチル)−2−メチル−ピリジン(III)
テトラヒドロフラン(150ml)中の水素化ナトリウム(6.56g、0.164mol)の冷却懸濁液に、化合物II(15g、0.109mol)を滴下して加え、0℃で撹拌した。30分後、撹拌して内部温度を約0℃に維持しながら、クロロメチルメチルエーテル(13.2g、0.164mol)を滴下して加えた。添加の終了後、この反応混合物を同じ温度で1時間、撹拌した。この反応を氷冷水(80ml)によりクエンチし、酢酸エチル(3x50ml)により抽出した。合わせた有機抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮すると、オレンジ油状物が得られ、これをフラッシュカラムクロマトグラフィー(1%メタノール/ジクロロメタン)により精製すると、化合物III(10.0g;収率51%)が淡黄色油状物として得られた。
ES−MS[M+1]+:182.2
1H NMR(400MHz, CDCl3): δ 8.45 (d, J = 2.0Hz, 1H), 7.56 (dd, J = 8.0, 2.0Hz, 1H), 7.14 (d, J = 8.0Hz, 1H), 4.75 (q, J = 6.4Hz, 1H), 4.57 (ABq, 2H), 3.36 (s, 3H), 2.53 (s, 3H), 1.48 (d, J = 6.6Hz, 3H)

0098

2−[5−(1−メトキシメトキシ−エチル)−ピリジン−2−イル]−エタノール(IV)
化合物III(7.0g、0.0386mol)および37%ホルムアルデヒド溶液(5.8g、0.077mol)の混合物を、5時間、ガラス製の封管中で160℃に加熱した。この反応混合物を室温まで冷却し、減圧下で濃縮すると粗製化合物が得られ、これをフラッシュカラムクロマトグラフィー(1%メタノール/ジクロロメタン)により精製すると、化合物IV(1.2g;収率17%)が淡黄色油状物として得られた。
ES−MS[M+1]+:212.1
1H NMR(400MHz, CDCl3): δ 8.42 (d, J = 2.0Hz, 1H), 7.65 (dd, J = 8.0, 2.4Hz, 1H), 7.25 (d, J = 8.0Hz, 1H), 4.72 (q, J = 6.6Hz, 1H), 4.65 (t, J = 5.6Hz, 1H), 4.52 (ABq, 2H), 3.73 (m, 2H), 3.24 (s, 3H), 2.86 (t, J = 7.2Hz, 2H), 1.49 (d, J = 6.4Hz, 3H).

0099

4−{2−[5−(1−メトキシメトキシ−エチル)−ピリジン−2−イル]−エトキシ}−ベンズアルデヒド(V)
ジクロロメタン(20ml)中の化合物IV(1.7g、0.008mol)およびトリエチルアミン(1.79ml、0.013mol)の冷却懸濁液に、0℃で塩化メタンスルホニル(1.19g、0.01mol)を滴下して加え、同じ温度で1時間、撹拌した。この反応混合物を水(50ml)により希釈し、ジクロロメタン(3x50ml)により抽出した。合わせた有機抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮すると、2−(5−(1−(メトキシメトキシ)エチル)ピリジン−2−イル)エチルメタンスルホン酸塩(2.04g;収率88%)が黄色油状物として得られ、これを精製することなく次のステップに持ち越した。
ES−MS[M+1]+:290

0100

トルエン(25ml)およびエタノール(25ml)の混合物中の4−ヒドロキシベンズアルデヒド(1.65g、0.0137mol)および炭酸カリウム(1.86g、0.0137mol)の撹拌懸濁液に、2−(5−(1−(メトキシメトキシ)エチル)ピリジン−2−イル)エチルメタンスルホネート(2.3g、0.008mol)を加え、85℃で5時間、撹拌した。出発物質の消費後、この反応混合物を水(30ml)により希釈し、酢酸エチル(2x100ml)により抽出した。合わせた有機抽出物を水により洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮すると、粗製暗黄色液体が得られた。この粗製物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(1%メタノール/ジクロロメタン)により精製すると、化合物V(1.5g;収率60%)が淡黄色液体として得られた。
ES−MS[M+1]+:316.1

0101

5−(4−{2−[5−(1−メトキシメトキシ−エチル)−ピリジン−2−イル]−エトキシ}−ベンジリデン)−チアゾリジン−2,4−ジオン(VI)
化合物V(0.6g、1.9mmol)およびチアゾリジン−2,4−ジオン(0.22g、1.9mmol)のエタノール(15ml)溶液に、ピペリジン(80mg、0.95mmol)を加え、この混合物を一晩、加熱して還流した。15時間後、この反応混合物を室温に冷却し、減圧下で濃縮すると、粗製混合物が得られ、これをフラッシュカラムクロマトグラフィー(2%メタノール/ジクロロメタン)によって精製すると、化合物VI(500mg;収率64%)が黄色固体として得られた。
ES−MS[M+1]+:415.1
1H NMR(400MHz,DMSO-d6): δ 12.25 (br s, 1H), 8.47 (d, J = 2.0Hz, 1H), 7.70 (dd, J = 8.0, 2.0Hz, 1H), 7.54 (d, J = 8.8Hz, 2H), 7.36 (d, J = 8.0Hz, 1H), 7.21 (d, J = 8.8Hz, 2H), 4.73 (m, 1H), 4.60-4.40 (m, 4H), 4.22 (t, J = 6.2Hz, 1H), 3.24 (s, 3H), 3.20 (t, J = 6.8Hz, 2H), 1.41 (d, J = 6.0Hz, 3H).

0102

5−(4−{2−[5−(1−ヒドロキシ−エチル)−ピリジン−2−イル]−エトキシ}−ベンジル)−チアゾリジン−2,4−ジオン(1)
水(6ml):テトラヒドロフラン(6ml)および1M水酸化ナトリウム(1ml)溶液の混合物中の化合物VI(0.5g、1.207mmol)、ジメチルグリオキシム(42mg、0.36mmol)およびCoCl2.6H2O(23mg、0.096mmol)の撹拌溶液に、10℃で水素化ホウ素ナトリウム(115mg、3.017mmol)の0.2N水酸化ナトリウム溶液(1.2ml)をゆっくりと加え、添加後、この反応混合物を室温で撹拌した。1時間後、この反応物の色は薄くなり、追加量の水素化ホウ素ナトリウム(46mg、1.207mmol)およびCoCl2.6H2O(22mg、0.096mmol)を加え、撹拌を室温で継続した。12時間後、この反応物を酢酸により中和(pH約7)し、水(10ml)により希釈して酢酸エチル(3x50ml)により抽出した。合わせた有機抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥させて濃縮すると、粗製化合物VII、5−(4−(2−(5−(1−(メトキシメトキシ)エチル)ピリジン−2−イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン−2,4−ジオン(0.4g)が淡黄色半固体として得られ、これを精製することなく次のステップに持ち越した。
ES−MS[M+1]+:417.5

0103

化合物VII(0.4g、0.96mmol)のメタノール(20ml)溶液に2N HCl(2ml)を加え、この混合物を加熱して還流した。4時間後、この反応混合物を室温まで冷却して減圧下で濃縮すると、残留物が得られ、これを水に溶解して、この溶液を炭酸水素ナトリウム溶液(飽和)を使用して中和した。得られた白色沈殿物をろ過により採集すると、化合物1(250mg;2ステップで収率56%)がオフホワイトの固体として得られた。
ES−MS[M+1]+:373.4
1H NMR(400MHz,DMSO-d6): δ 12.00 (br s, -NH), 8.46 (d, J = 2.0Hz, 1H), 7.66 (dd, J = 8.0, 2.4Hz, 1H), 7.30 (d, J = 8.0Hz, 1H), 7.13 (d, J = 8.4Hz, 2H), 6.86 (d, J = 8.4Hz, 2H), 5.25 (d, J = 4.4Hz, 1H), 4.86 (m, 1H), 4.75 (m, 1H), 4.30 (t, J = 6.8Hz, 2H), 3.30 (m, 1H), 3.14 (t, J = 6.4Hz, 2H), 3.04 (m, 1H), 1.34 (d, J = 6.4Hz, 3H).

0104

(実施例5)(化合物(2)および(4)の混合物(c))および(化合物(3)および(4)の混合物(c))
化合物(2)および(4)の混合物(混合物(c))、ならびに化合物(3)および(5)の混合物(混合物(d))をスキーム7に従って調製した。

0105

(Z)−5−(4−(2−(5−(1−(メトキシ−メトキシ)エチル)ピリジン−2−イル)エトキシ)ベンジリデン)チアゾリジン−2,4−ジオン(化合物VI)のメチルクロロメチルエーテル基を水性HClにより処理することによって除去すると、ラセミアルコールVIIIが得られた。

0106

(Z)−5−(4−(2−(5−(1−ヒドロキシエチル)ピリジン−2−イル)エトキシ)ベンジリデン)チアゾリジン−2,4−ジオン(VIII)のラセミ混合物中に含有されている鏡像異性体をHPLCキラルクロマトグラフィーにより分離すると、(R)−VIIIおよび(S)−VIIIが得られた。

0107

次に、(R)−VIIIを還元性混合物(CoCl2−6H2O、ジメチルグリオキシム、NaOH、水素化ホウ素ナトリウム)により処理する(改変したPfaltzの共役還元プロトコール)と、化合物(2)および(4)を含む混合物(c)が得られた。

0108

次に、(S)−VIIIを還元性混合物(CoCl2−6H2O、ジメチルグリオキシム、NaOH、水素化ホウ素ナトリウム)により処理する(改変したPfaltzの共役還元プロトコール)と、化合物(3)および(5)を含む混合物(d)が得られた。

0109

(実施例6)M−IVのジアステレオマー混合物D−1およびD−2の調製



ステップ1:化合物VIIIの合成:化合物VI(10g、0.024mol)のメタノール(200ml)溶液にHCl(48ml、2N)を加え、この混合物を加熱して還流した。4時間の還流後、この反応混合物を室温まで冷却し、減圧下で濃縮すると黄色固体が得られた。この固体を水(70ml)に懸濁し、飽和NaHCO3溶液を使用して中和した。得られた淡黄色沈殿物をろ過により採集し、真空で乾燥すると、化合物VIII(7.5g;収率84%)が得られた。
ES−MS[M+1]+:371.0。

0110

ステップ2:キラル分取HPLC
アセトニトリル、メタノールおよびジクロロメタンを等量含有する混合物に、化合物VIII(1.0g)を溶解し、キラル分取HPLCカラム(Chiralpak−IA 250×20mm、5ミクロン)に注入(150μl注入)し、分離[移動相n−ヘキサン/EtOH中の0.05%Et3N(50:50);流量:18ml/分;稼働時間:60分間]した。鏡像異性体VIIIaおよびVIIIbを含有している画分を個別に減圧下で濃縮して体積を最小限にし、それぞれの残留物をEtOAc(100ml)、次いで水(50ml)により希釈した。得られた有機相無水Na2SO4で乾燥させて濃縮すると、化合物VIIIaおよびVIIIbがオフホワイトの固体として得られた。鏡像異性体VIIIaおよびVIIIbを単離したが、各鏡像異性体の絶対配置は決定されていない。

0111

化合物Ent−1(VIII):250mg(収率:50%);tR(キラルHPLC)=14.8分;ES−MS[M+1]+:371.0;1H NMR(400MHz,DMSO-d6): δ 12.5 (br S, 1H), 8.47 (s, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.67 (dd, J = 8.0, 2.0Hz, 1H), 7.53 (d, J = 9.2Hz, 2H), 7.31 (d, J = 7.6Hz, 1H), 7.08 (d, J = 8.8Hz, 2H), 5.25 (d, J = 4.0Hz, 1H), 4.74-4.76 (m, 1H), 4.43 (dd, J = 6.8, 6.4Hz, 2H), 3.18 (t, J = 6.4Hz, 2H), 1.34 (d, J = 6.4Hz, 3H).

0112

化合物Ent−2(VIII):237mg(収率:47%);tR(キラルHPLC)=16.7分;ES−MS[M+1]+:371.0;1H NMR(400MHz,DMSO-d6): δ 12.5 (br S, 1H), 8.47 (s, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.67 (dd, J = 8.0, 2.0Hz, 1H), 7.53 (d, J = 8.8Hz, 2H), 7.31 (d, J = 8.0Hz, 1H), 7.08 (d, J = 9.2Hz, 2H), 5.23 (d, J = 3.6Hz, 1H), 4.75 (m, 1H), 4.43 (dd, J = 6.8, 6.4Hz, 2H), 3.18 (dd, J = 6.8, 6.4Hz, 2H), 1.34 (d, J = 6.4Hz, 3H).

0113

M−IVのジアステレオマー混合物の合成
D−1MIVの合成
ステップ3:水(10ml)、THF(10ml)および1M NaOH(0.5ml)溶液の混合物中の化合物Ent−1(VIII)(250mg、0.675mmol)、ジメチルグリオキシム(32mg、0.27mmol)およびCoCl2.6H2O(16mg、0.067mmol)の撹拌溶液に、10℃でNaBH4(77mg、2.02mmol)の0.1N NaOH(2ml)溶液をゆっくりと加え、この反応混合物を室温で1時間、撹拌した。反応媒体の色が消えた後、追加量のNaBH4(26mg、0.675mmol)およびCoCl2.6H2O(16mg、0.067mmol)を加え、撹拌を室温で継続した[LCMSによってモニタリングされる通り、出発物質が消費されるまで、追加量のCoCl2およびNaBH4を12時間の時間間隔で加えた]。90〜96時間後、この反応混合物をAcOHにより中和(pH約7)し、水(10ml)により希釈してEtOAc(3×50ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水Na2SO4で乾燥させて濃縮すると、粗製化合物が得られ、これをフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2;CH2Cl2中4%メタノール)により精製すると、MIV D−1のジアステレオマー混合物(125mg)がオフホワイトの固体として得られた。

0114

D−2MIVの合成
ステップ3:水(10ml)、THF(10ml)、および1M NaOH(0.5ml)溶液の混合物中の化合物Ent−2(VIII)(237mg、0.64mmol)、ジメチルグリオキシム(30mg、0.256mmol)およびCoCl2.6H2O(15mg、0.064mmol)の撹拌溶液に、10℃でNaBH4(72mg、1.921mmol)の0.1N NaOH(2ml)溶液をゆっくりと加え、この反応混合物を室温で1時間、撹拌した。反応媒体の色が消えた後、追加量のNaBH4(24mg、0.64mmol)およびCoCl2.6H2O(15mg、0.064mmol)を加え、撹拌を室温で継続した[LCMSによってモニタリングされる通り、出発物質が消費されるまで、追加量のCoCl2.6H2OおよびNaBH4を12時間の時間間隔で加えた]。96時間後、この反応混合物をAcOHにより中和(pH約7)し、水(10ml)により希釈してEtOAc(3×50ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を無水Na2SO4で乾燥させて濃縮すると、粗製化合物が得られ、これをフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2;CH2Cl2中4%メタノール)により精製すると、MIV D−2のジアステレオマー混合物(100mg)がオフホワイトの固体として得られた。

0115

MIV D−1:収率:125mg(50%);tR(キラルHPLC)=17.8、14.7分;ES−MS[M+1]+:373.0、1H NMR(400MHz,DMSO-d6): δ 12.00 (br s, NH), 8.46 (d, J = 2.0Hz, 1H), 7.67 (dd, J = 8.0, 2.4Hz, 1H), 7.30 (d, J = 8.0Hz, 1H), 7.13 (d, J = 8.8Hz, 2H), 6.86 (d, J = 8.4Hz, 2H), 5.27 (d, J = 4.0Hz, 1H), 4.88-4.85 (m, 1H), 4.76-4.74 (m, 1H), 4.30 (t, J = 6.8Hz, 2H), 3.30 (m, 1H), 3.14 (dd, J = 6.8, 6.4Hz, 2H), 3.08-3.02 (m, 1H), 1.34 (d, J = 6.4Hz, 3H).

0116

MIV D−2:収率:100mg(42%);tR(キラルHPLC)=19.4、16.5分;ES−MS[M+1]+:373.0;1H NMR(400MHz,DMSO-d6): δ 12.01 (br s, -NH), (d, J = 2.0Hz, 1H), 7.67 (dd, J = 8.0, 2.0Hz, 1H), 7.31 (d, J = 8.0Hz, 1H), 7.13 (d, J = 8.8Hz, 2H), 6.86 (d, J = 8.8Hz, 2H), 5.27 (d, J = 4.0Hz, 1H), 4.88-4.85 (m, 1H), 4.76-4.74 (m, 1H), 4.30 (dd, J = 6.8, 6.4Hz, 2H), 3.30 (m, 1H), 3.14 (dd, J = 6.8, 6.4Hz, 2H), 3.08-3.02 (m, 1H), 1.34 (d, J = 6.8Hz, 3H).

0117

MIVのジアステレオマー混合物D−1およびD−2は、上記の混合物(c)および(d)に対応するが、各ジアステレオマー混合物中に存在している具体的なジアステレオマーは帰属されていない。

0118

(実施例7)in vitro ADMEおよび毒物学的な特徴付け
プロトコール:実施したこのアッセイには、様々なアイソフォームによるシトクロムP450阻害、ミクロソームおよび肝細胞の安定性ニューロン細胞における神経毒性、ならびにパッチクランプ電気生理学的測定を使用するhERG安全性アッセイが含まれる(FDADraft Guidance for Industry. Drug Interaction Studies - Study Design, Data Analysis, Implications for Dosing, and Labelling Recommendations 2012年、2012年に採用されたThe European Medicines Agency (EMA) Guideline on the Investigation of Drug Interactions、Schroeder Kら、2003年、J Biomol Screen、8巻(1号);50〜64頁、Barter ZEら、2007年、Curr Drug Metab、8巻(1号);33〜45頁、LeCluyse ELおよびAlexandre E、2010年、MethodsMol Biol、640巻;57〜82頁)。これらの結果は、本発明の化合物に関する安全で有利なADMEプロファイルを示す。

0119

(実施例8)雄のC57BL/6マウスにおいて、ピオグリタゾンを4.5mg/kgで経口にて単回投与した後の、ピオグリタゾン、MIV、MIIIおよびMIIの脳と血漿での比

0120

脳−血漿の比は、雄のC57BL/6マウスにおいて、ピオグリタゾンを4.5mg/kgで経口にて単回投与した後の、Cmax(極大濃度)において定量した血漿中および脳中のピオグリタゾン、MIV、MIIIおよびMIIのレベルに基づいて算出した。

0121

脳と血漿での比の百分率は、図4に示されている通り、ピオグリタゾン、MIIおよびMIIIについて、それぞれ9、13、7および1%であった。したがって、これらの化合物の物理化学的特性に基づいて予期される通り、活性な代謝産物MIIIおよびMIIは、ピオグリタゾンよりもはるかに低い程度でBBBを通過した(表1を参照されたい)。対照的に、予想外なことに、代謝産物MIVは、親化合物であるピオグリタゾン(Piolgitazone)よりも高い割合でBBBを通過した。

0122

ピオグリタゾンおよびその代謝産物MIIおよびMIIIに関する指数の両方(ClogPおよびQPlogBB)の計算は、表1に示されている。両方の指数について、2つの代謝産物は、ピオグリタゾンの場合よりも低く、MIIおよびMIIIの場合、CNS内にそれほど有利に浸透および分布しないことを示唆している。

0123

(実施例9)雄のC57BL/6マウスにおいて、ピオグリタゾンまたはM−IVのどちらか一方を、どちらも4.5mg/kgで経口にて単回投与した後の、ピオグリタゾンおよびMIVの脳と血漿での比

0124

上記の最後の実施例において示されている知見を確認するため、追加の実験を行った。雄のC57BL/6マウスにおいて、ピオグリタゾンまたはMIVのどちらか一方をどちらも4.5mg/kgで経口にて単回投与した後の、ピオグリタゾンの曲線下面積として算出した、血漿および脳の濃度−時間プロファイルの薬物動態曲線に基づいて、脳−血漿の比を算出した。

0125

脳−血漿の比の百分率は、図5に示されている通り、ピオグリタゾンおよびM4について、それぞれ8%および12%であった。同一条件下でピオグリタゾンで観察されたものと比べて、ヒドロキシル化されている(hydroxilated)代謝産物M−IVの脳−血漿比の、このような50%の向上は、物理化学的特性での予測計算に基づくと、まったく予期できないものであった(表1を参照されたい)。

0126

M−IVは、予測されるものとは対照的な挙動を示している。MIIと同様に、MIVはモノヒドロキシル化代謝産物であるが、BBB透過が約50%低下するのではなく、そのBBB透過は50%高くなっている。

0127

ピオグリタゾンおよびM−IVに関する指数の両方(ClogPおよびQPlogBB)の計算が、表1に示されている。両方の指数について、MIVはピオグリタゾンより低い値を示しており、M−IVの場合、実験的に意外にも観察されたものとは対照的に、CNS内にそれほど有利に透過および分布しないことを示唆している。

0128

(実施例10)マウスにおける、MIV、D−1およびD−2の2つのジアステレオマー混合物のin vivoでのエピメリ化の特徴付け。

0129

プロトコール:雄のSwissアルビノマウスに、単回の経口(4.5mg/kg)強制用量投与後の、5−(4−(2−(5−(1−ヒドロキシエチル)ピリジン−2−イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン−2,4−ジオンのジアステレオマー混合物D−1およびD−2の薬物動態パラメータを決定した。この検討において、合計51匹のマウスを並行サンプリング設計(n=3/時間点)で使用した。血液試料は、両方の経口での薬物動態のために、投与前、および投与後の様々な時間で採集した。

0130

5−(4−(2−(5−(1−ヒドロキシエチル)ピリジン−2−イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン−2,4−ジオンのジアステレオマー混合物D−1およびD−2は、液−液抽出(LLE)法を使用してSwissアルビノマウスの血漿試料から抽出し、エレクトロスプレイイオン化(ESI)および多元反応モニタリング(MRM)を備えた、液体クロマトグラフィータンデム質量分析法(LC−MS/MS)を使用して定量した。選択した血漿および脳の試料に、キラル相互変換を特定するため、キラルAGPカラムを使用するキラル分析を施した。アキラル生体分析法を使用し、血漿および脳の試料中に存在している全M−IVを定量した。

0131

製剤試料は、70%メタノールにより好適に希釈し、この機器応答は、アキラルなLC−MS/MS法を使用する、既知の対応するジアステレオマー混合物の標準品と比較した。5−(4−(2−(5−(1−ヒドロキシエチル)ピリジン−2−イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン−2,4−ジオン(1)のジアステレオマー混合物D−1およびD−2の場合の血漿中の定量の下限値(LLOQ)は、0.99ng/mLである。薬物動態パラメータは、Phoenix WinNonlinの非区画分析ツールを使用して算出した。

0132

これらの実験からの結果を、図6に示す。これらのデータは、ジアステレオマー混合物間の変換率%の差異が、マウスでは高いことを明確に実証している。D−1およびD−2はどちらもin vivoで相互変換するが、D−1からD−2への変換は、D−1からD−2への変換よりもかなり際立っている。

0133

(実施例11)アルツハイマー病のモデルとしてのグルタミン酸により損傷を受けた皮質ニューロンの特徴付け

0134

グルタミン酸(興奮毒性)により損傷を受けた初代皮質ニューロンは、パーキンソン病、アルツハイマー病およびハンチントン病(Brain Res Bulll、2013年4月;93巻:27〜31頁)などの神経変性障害(J Neurosci;1999年4月1日;19巻(7号):2455〜63頁;J Neurosci Res.、2013年5月;91巻(5号):706〜16頁)だけでなく、多発性硬化症(Scand J Immunol、2014年;79巻(3号):181〜186頁)などの別の病理においてよく確立されているin vitroモデルである。

0135

プロトコール:ラットの皮質ニューロンは、Singer(J Neurosci.、1999年4月1日;19巻(7号):2455〜63頁)およびCallizot(J Neurosci Res.、2013年5月;91巻(5号):706〜16頁)によって記載されている通り培養した。

0136

胎児回収し、氷冷Leibovitz培地に直ちに入れた。皮質トリプシンEDTA溶液により処理し、分離は、DNAse Iおよび10%ウシ胎児血清FCS)を含有する、グルコースを含むダルベッコの改変イーグル培地(DMEM)(Pan Biotech)を添加することにより停止させた。細胞を機械的に分離して遠心分離した。10ng/mlの脳由来神経栄養因子(BDNF)を含む規定培養培地にこのペレット再懸濁した。細胞は、ポリ−L−リシンにより予めコーティングされている96ウェルプレート播種し、37°で培養した。この培地を2日ごとに変えた。13日間の培養後に、グルタミン酸により皮質ニューロンを毒化した。

0137

手短に言えば、培養の13日目に、グルタミン酸曝露の前に1時間、初代皮質ニューロンにより、BDNFおよび試験化合物を予めインキュベートした。BDNFまたは試験化合物の存在下、20分間、グルタミン酸を加え、対照培地に40μMの最終濃度になるまで希釈した。

0138

20分後、グルタミン酸を洗い流し、BDNFまたは試験化合物を含む新しい培養培地をさらに48時間、加えた。生存評価は、CellTiter96(登録商標)Aqueous One Solution Cell Proliferation Assay(Promega)を用いて実施されるMTTアッセイにより行った。

0139

これらの結果が図7に示されている。それらは、グルタミン酸損傷の場合、MIV(化合物(1))は保護作用(3μMの場合に有意性に到達する)を示すことを示している。興味深いことに、本発明者らは、MIVの良好なベル形状曲線を観察した。3μMにおいて、本発明者らは、参照化合物(BDNF 50ng/ml)を用いて観察されたものと同様に、完全な保護作用を有する。値はすべて、平均+/−SEとして表される。一元配置ANOVA、次いでDunnettまたはPLSD Fisher試験により統計解析を行い、p<0.05が有意性ありと見なす。

0140

(実施例12)パーキンソン病を処置するための効力のある薬物としてのMAOB(モノアミンオキシダーゼ)の阻害の特徴付け。

0141

選択的阻害剤であるMAO−Bは、非選択的なMAO阻害剤(MAO−AおよびMAO B)とは対照的に、他の神経伝達物質エピネフリンノルエピネフリンまたはセロトニン)のレベルを向上させることなく、パーキンソン病で冒されたCNSにおいてドーパミンレベルを向上させる。MAO−B阻害剤は、鬱病を処置するためにも使用することができる。

0142

プロトコール:ヒト組換えモノアミンオキシダーゼタンパク質MAO−AおよびMAO−Bは、Sigma Aldrich(参照番号はそれぞれ、M7316およびM7441である)から購入した。MAOの酵素活性およびそれらの阻害率をモニタリングするため、蛍光ベースとするアッセイを使用した。アッセイ用の基質であるキヌラミンは、MAOによる酸化的脱アミノ化を受けて、蛍光性生成物である4−ヒドロキシキノリンになるまで非蛍光性である。キヌラミンは、MAO−AとMAO−Bの両方の基質である(非特異的基質)。それぞれMAO−AおよびMAO−Bの特異的阻害に対する対照として、クロルリンおよびデプレニル(Sigma Aldrich)を使用した。

0143

結果は、5−(4−(2−(5−(1−ヒドロキシエチル)ピリジン−2−イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン−2,4−ジオンが、70.5nMのIC50でMAOBを阻害することを示す。対照的に、この化合物はMAO Aタンパク質を阻害しなかった。

0144

(実施例13)神経炎症性疾患のモデルとしての動物モデルの実験的自己免疫脳脊髄炎(EAE)でのin vivo有効性の特徴付け。

0145

神経炎症は、CNSにおいて、様々な感染症、外傷性脳損傷、毒または自己免疫に応答して開始され得る。

0146

神経炎症モデルは、星状細胞の増殖によって特徴付けられ、ミクログリアは、ニューロンの喪失と共に、アルツハイマー病、多発性硬化症、脳卒中、パーキンソン、外傷性脳損傷、感染症およびALDを含む、中枢神経系の多数の疾患の主要な特徴である(Human Molecular Genetics、2004年、13巻、23号、2997〜3006頁)。

0147

慢性炎症は、グリア細胞の持続的活性化、および脳への他の免疫細胞動員である。それは、神経変性疾患に通常付随する慢性炎症である。

0148

EAEモデルは、多発性硬化症に従来、使用されてきた神経炎症モデルであり、このモデルは、同様に、ALDの重症な脳形態、ミクログリア活性化、脳の脱髄および軸索変性という大部分の特徴と類似しており、そしてこれらを含んでいる。この疾患の病因は、ALDおよびEAE(自己応答性CD4+リンパ球により引き起こされる多発性硬化症のモデル)とは異なるが、EAEモデルは、ALDと多発性硬化症の両方に対する治療法を検討するための価値ある手段である(Nature、2007年、7巻:904〜912頁)。

0149

プロトコール:多発性硬化症およびその動物モデルの実験的自己免疫脳脊髄炎(EAE)における臨床症状の発症は、T−細胞活性化および中枢神経系への移動、グリア誘発性炎症分子の産生、ならびに脱髄および軸索損傷を含む。98%超の純粋な合成ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質ペプチド35−55(MOG35−55、MEVGWYRSPFRVVHLYRNGK、配列番号1)を用い、記載されている通り、慢性単相EAEを活発に誘発させた。雌のC57BL/6マウス(6〜8週齢)に、500μgのMycobacterium tuberculosis(Difco、Detroit、MI)を含有する、完全フロイントアジュバント100uLと混合したリン酸緩衝化溶液100μLに乳化させた250μgのMOG35−55を注射(1つの後脚に100μLの皮下注射を2回)した。マウスは、百日咳毒素の注射(リン酸緩衝化溶液200μL中の400ngを腹腔内に)、2日後に2回目の百日咳毒素の注射、および7日目にMOG35−55のブースター注射を受けた。臨床的徴候は、以下の通りスコア付けした:0、徴候なし;1.0、尾部引きずり立ち直りの喪失;2.0、尾部の引きずりを伴う運動失調;3.0、後脚1本の麻痺;4.0、両方の後脚の麻痺;4.5、瀕死;および5.0、死亡。両方のモデルについて、5つのスコアが記され、死亡当日のみ計数した。

0150

本化合物は、3つの異なる増加用量で15日間、1日2回(bid)投与し、免疫化後、5日目に開始した。

0151

これらの結果は、MIV(化合物(1))が、実験的自己免疫脳脊髄炎モデルの発症および重症度を軽減することを示した。これらの実験からの毎日の平均臨床スコア図9に示している。臨床症状は、用量依存的に減少し、最高の用量が極大効果を示している。臨床症状はMIVによって軽減され、保護作用においてPPARガンマ活性化の役割を果たすことを示唆している。処置に関連した最高用量において、体重減少および有意な血液学的毒性はまったくない。

0152

神経炎症は、多発性硬化症とALDの両方の顕著な特徴であり、したがって、MIVは両方の疾患に対して有効となり得る。実際、ミクログリアの活性化の低下は、同種HSCTおよび自己HSCTが、すなわち、単球系の置き換えおよび機能的代謝回復によって、大脳の炎症の抑止に有効となり、cALDおよびAMNの表現型と共有される病原性経路とを関連付ける理由を説明するための分子基盤を提供する(Human Molecular Genetics、2012年、21巻、5号、1062〜1077頁)。したがって、ALDにおいて、これらのモデルは大きな可能性を有しており、PPARガンマアゴニストの役割の検討に関連し得る。

0153

(実施例14)X連鎖性副腎白質ジストロフィーのモデルとしてのX−ALDの患者からの線維芽細胞の特徴付け。

0154

ヒト対照およびX連鎖性副腎白質ジストロフィー線維芽細胞は、Coriell(Candem、米国)から得た。細胞は、加湿95%空気/5%CO2中、37℃において、10%胎仔血清ペニシリン100U/mlおよびストレプトマイシン100mgを含有するダルベッコの改変イーグル培地で成長させて、80〜90%のコンフルエンスにした。本発明者らの実験を実施するため、D−グルコース、ピルベートまたはL−グルタミンを含まない、ダルベッコの改変イーグル培地を使用した。グルコース1g/lまたはガラクトース1g/l、および10%牛胎仔血清を補充したこの培地中で細胞を24時間、培養し、MIVの用量を増加(3、10および30μM)させながらインキュベートした。

0155

MTTの決定は、Mosmann、J. Immunol. Methods、1983年、65巻、55〜63頁およびHansen、J. Immunol. Methods、1989年;119巻、203〜210頁により記載されている通り実施した。この方法は、死亡細胞ではなく生存細胞テトラゾリウム塩(MTT)を有色のホルマザンに変換する能力に基づいたものである。

0156

ATPレベルの決定に関すると、完全培地中の96ウェル細胞培養用プレートに2×104個細胞/ウェルを播種した。16〜18時間後、20μlの溶解緩衝液に細胞を溶解し、溶解物10μlを使用して、ATP決定キット(Molecular Probes、Invitrogen)を使用して、ATPレベルを測定した。タンパク質測定用に、残りの溶解物を各々1μl使用した。

0157

結果は、細胞生存率の向上(非処理に対して、3μMで20%)に基づき、ALD線維芽細胞に対してMIV(化合物(1))に保護作用があることを示している。

0158

(実施例15)運動ニューロン疾患(ALS)のモデルとしての脊髄運動ニューロンの特徴付け
グルタミン酸により損傷を受けた脊髄運動ニューロンは、ALS、および進行性球麻痺仮性球麻痺原発性側索硬化症(PLS)、進行性筋萎縮症脊髄性筋萎縮症SMA)、ポリオ後症候群(PPS)などの他の運動ニューロン疾患(MND)、ならびにシャルコー−マリー−トゥース病、ギランバレー症候群またはAMNなどの他の希な疾患を検討するのに好適なin vitroでの実験モデルである(Neuron.、1992年4月;8巻(4号):737〜44頁)。

0159

プロトコール:ラットの脊髄(SC)運動ニューロンは、Martinou(Neuron.、1992年4月;8巻(4号):737〜44頁)およびWang(PLoS Genet.、2013年;9巻(9号))によって記載されている通り培養した。手短に言えば、懐胎が14日間の妊娠している雌ラット頸椎脱臼により死亡させ、胎児を採集して、氷冷L15 Leibovitz培地に直ちに入れた。脊髄をトリプシン−EDTAにより37℃で20分間、処理した。分離は、DNAse Iおよび10%ウシ胎児血清(FCS)を含有する、グルコースを含むダルベッコの改変イーグル培地(DMEM)(Pan Biotech)を添加することにより停止させた。細胞を機械的に分離し、次に、それらを遠心分離した。10ng/mlの脳由来の神経栄養因子(BDNF)を含む規定培養培地にこのペレットを再懸濁した。細胞は、ポリ−L−リシンにより予めコーティングされている96ウェルプレートに播種し、37°で培養した。この培地を2日ごとに変えた。

0160

手短に言えば、培養の13日目に、グルタミン酸曝露の前に1時間、初代脊髄(SC)運動ニューロンにより、BDNFまたは試験化合物を予めインキュベートした。BDNFまたは試験化合物の存在下、20分間、グルタミン酸を加え、対照培地で10μMの最終濃度になるまで希釈した。20分後、グルタミン酸を洗い流し、BDNFまたは試験化合物を含む新しい培養培地をさらに48時間、加えた。

0161

生存率評価は、免疫染色により行った。毒化後48で、細胞培養物上澄み液取り去り、SC運動ニューロンをエタノール(95%)および酢酸(5%)の低温溶液により5分間、固定化し、透過化した。ニューロンの細胞体を特異的に染色する、モノクローナル抗体である抗微小管関連タンパク質2(MAP−2)により、2時間、細胞をインキュベートし(MAP−2)、これにより、培養物中のニューロンの生存率の評価が可能になった。Alexa Fluor 488ヤギ抗マウスIgGに、この抗体を曝露させた。

0162

各条件について、6つのウェルを評価し、ImageXpress(Molecular Device)を使用し、20×の倍率で1ウェルあたり30枚の写真撮影した。画像はすべて、同一条件で撮影した。ニューロンの総数の解析は、Customモジュールエディター(Molecular Device)を使用することにより自動的に実施した。

0163

試験化合物は、グルタミン酸を適用する前に、1時間、予めインキュベートした。

実施例

0164

これらの結果(図10)は、SC運動ニューロン(MN)において、MIV(化合物(1)、1μM)は、グルタミン酸(Glut)を含む対照に対して細胞生存率が統計的に異なって向上している(p<0.05スチューデントt検定)ことにより実証される、グルタミン酸による損傷に対して保護作用を有していることを示した。

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