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技術 免疫刺激活性を有するレトロウイルスベクター

出願人 トカジェンインコーポレーテッド
発明者 グルーバー,ハリー,イー.ジョリー,ダグラス,ジェイ.リン,エイミー,エイチ.ロビンズ,ジョアン,エム.オスタータグ,デレク,ジー.
出願日 2015年3月25日 (6年10ヶ月経過) 出願番号 2016-558674
公開日 2017年4月20日 (4年10ヶ月経過) 公開番号 2017-511128
状態 特許登録済
技術分野 突然変異または遺伝子工学 微生物、その培養処理 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 化合物または医薬の治療活性 動物,微生物物質含有医薬 他の有機化合物及び無機化合物含有医薬
主要キーワード ソース配列 使用意図 切除ステップ デザインプログラム 三日月 腹腔領域 限定領域 デザインツール
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重要な関連分野

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図面 (20)

課題・解決手段

本開示は、癌を治療するためのベクター、かかるベクターを生産する方法、及びベクターの使用方法を提供する。

概要

背景

癌は、米国において罹患率及び死亡率の大部分を占め、2番目に多い死因である。癌は典型的に細胞集団の制御されていない分裂によって特徴づけられる。この制御されていない分裂は、典型的に腫瘍の形成をもたらし、これが続いて他の部位に転移し得る。さらなる癌療法、及び固形腫瘍だけでなく癌の進行に従って生じる微小転移治療するための戦略が必要とされている。

概要

本開示は、癌を治療するためのベクター、かかるベクターを生産する方法、及びベクターの使用方法を提供する。−1

目的

本開示は、免疫阻害剤下方制御する少なくとも一つの薬剤を含む少なくとも一つの発現カセットを含む、組換えレトロウイルスベクターを提供する

効果

実績

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請求項1

免疫阻害剤下方制御する少なくとも一つの薬剤を含む少なくとも一つの発現カセットを含む、組換えレトロウイルスベクター

請求項2

少なくとも二つのカセットを含む、請求項1に記載の組換えレトロウイルスベクター。

請求項3

免疫阻害剤を下方制御する二つの薬剤を含む、請求項1又は2に記載の組換えレトロウイルスベクター。

請求項4

少なくとも一つの薬剤が、単鎖抗体及び/又は阻害性核酸配列をコードするポリヌクレオチドを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組換えレトロウイルスベクター。

請求項5

少なくとも一つの薬剤が、阻害性核酸配列及びシトシンデアミナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組換えレトロウイルスベクター。

請求項6

少なくとも一つの薬剤が阻害性核酸配列を含み、ベクターが(i)第二の阻害性核酸配列、(ii)単鎖抗体をコードするポリヌクレオチド、(iii)プロドラッグ細胞傷害性薬に変換するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、及び(iv)サイトカイン又はケモカインをコードするポリヌクレオチド、からなる群より選択される第二の薬剤をさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組換えレトロウイルスベクター。

請求項7

第一のカセットが阻害性核酸配列に機能可能に連結したpolIIIプロモーターを含み、第二のカセットがシトシンデアミナーゼを有するポリペプチド又は単鎖抗体をコードするポリヌクレオチドに機能可能に連結したミニプロモーターを含む、請求項2に記載のレトロウイルスベクター

請求項8

第一のカセットが第一の阻害性核酸配列に機能可能に連結したpolIIIプロモーターを含み、第二のカセットが第二の阻害性核酸配列に機能可能に連結したミニプロモーターを含む、請求項2に記載のレトロウイルスベクター。

請求項9

複製コンピテントである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組換えレトロウイルスベクター。

請求項10

複製欠損である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組換えレトロウイルスベクター。

請求項11

5'から3'にかけて、長末端反復LTR)-gag配列-pol配列-env配列-(少なくとも一つの発現カセット)-LTRを含む一般構造を有する、請求項9に記載の組換えレトロウイルスベクター。

請求項12

マウス白血病ウイルス(MLV)、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)、ネコ白血病ウイルス(FeLV)、又はテナガザル白血病ウイルス(GALV)に由来するレトロウイルスポリヌクレオチド配列を含む、請求項11に記載の組換えレトロウイルスベクター。

請求項13

MLVが、広宿主性MLVである、請求項12に記載の組換えレトロウイルスベクター。

請求項14

レトロウイルスGAGタンパク質;レトロウイルスPOLタンパク質;レトロウイルスエンベロープ(ENV);レトロウイルスポリヌクレオチドであって、レトロウイルスポリヌクレオチド配列の3'末端に長末端反復(LTR)配列、レトロウイルスポリヌクレオチドの5'末端に哺乳動物細胞における発現に適しているプロモーター配列、gag核酸ドメイン、pol核酸ドメイン、及びenv核酸ドメインを含む前記レトロウイルスポリヌクレオチド;異種核酸配列を含む少なくとも一つのカセットであって、3'LTRに対して5'側かつレトロウイルスエンベロープをコードするenv核酸ドメインに対して3'側に位置する前記カセット;並びに標的細胞における逆転写パッケージング及び組み込みのために必要なシス作用性配列を含む、請求項11〜13のいずれか一項に記載の組換えレトロウイルスベクター。

請求項15

プロモーターが、配列番号1〜15又は16に記載の配列のヌクレオチド1から約ヌクレオチド582を有し、1つ以上の核酸塩基に対する改変を含んでもよく、転写を導き、開始させることができる、CMVプロモーターを含む、請求項14に記載の組換えレトロウイルスベクター。

請求項16

プロモーターが、配列番号1〜15又は16に記載の配列のヌクレオチド1から約ヌクレオチド582を含む、請求項14に記載の組換えレトロウイルスベクター。

請求項17

プロモーターがCMV-R-U5ドメインポリヌクレオチドを含む、請求項15又は16に記載の組換えレトロウイルスベクター。

請求項18

CMV-R-U5ドメインが、MLV R-U5領域に連結されたヒトサイトメガロウイルス由来の前初期プロモーターを含む、請求項17に記載の組換えレトロウイルスベクター。

請求項19

CMV-R-U5ドメインポリヌクレオチドが、配列番号1〜15又は16に記載の配列のヌクレオチド約1からヌクレオチド約1202、又は配列番号1〜15又は16に記載の配列のヌクレオチド約1からヌクレオチド約1202に対し少なくとも95%同一である配列を含み、前記ポリヌクレオチドが、機能可能にそれに連結された核酸分子の転写を促進する、請求項18に記載の組換えレトロウイルスベクター。

請求項20

gag核酸ドメインが、配列番号1〜15又は16のヌクレオチド番号約1203からヌクレオチド約2819までの配列、又はそれに対して少なくとも95%、98%、99%若しくは99.8%の同一性を有する配列を含む、請求項14〜19のいずれか一項に記載の組換えレトロウイルスベクター。

請求項21

polドメインが、配列番号1〜15又は16のヌクレオチド番号約2820からヌクレオチド約6358までの配列、又はそれに対して少なくとも95%、98%、99%若しくは99.9%の同一性を有する配列を含む、請求項14〜20のいずれか一項に記載の組換えレトロウイルスベクター。

請求項22

envドメインが、広宿主性envタンパク質をコードする、請求項14〜21のいずれか一項に記載の組換えレトロウイルスベクター。

請求項23

envドメインが、配列番号1〜15又は16のヌクレオチド番号約6359からヌクレオチド約8323までの配列、又はそれに対して少なくとも95%、98%、99%若しくは99.8%の同一性を有する配列を含む、請求項14〜22のいずれか一項に記載の組換えレトロウイルスベクター。

請求項24

少なくとも一つのカセットが、阻害性核酸配列が発現されるように、阻害性核酸配列に機能可能に連結されたpolIIIプロモーターを含む、請求項14に記載の組換えレトロウイルスベクター。

請求項25

polIIIプロモーターがH1プロモーター又はU6プロモーターを含む、請求項24に記載の組換えレトロウイルスベクター。

請求項26

H1プロモーターが配列番号7又は12の約8330〜8553に記載の配列を含み、約8885〜8889及び8925〜8930のpolIII終結配列を含む、請求項25に記載の組換えレトロウイルスベクター。

請求項27

U6プロモーターが配列番号8又は13の約8330〜8595に記載の配列を含み、約8922〜8926及び8962〜8967のpolIII終結配列を含む、請求項25に記載の組換えレトロウイルスベクター。

請求項28

少なくとも一つのカセットがミニプロモーターを含む、請求項14に記載の組換えレトロウイルスベクター。

請求項29

ミニプロモーターがRSVプロモーターである、請求項28に記載の組換えレトロウイルスベクター。

請求項30

RSVプロモーターが、配列番号9、10、14、15、又は16の約8330〜約8591の配列を含む、請求項29に記載の組換えレトロウイルスベクター。

請求項31

RSVプロモーターが、阻害性核酸配列に機能可能に連結されている、請求項29又は30に記載の組換えレトロウイルスベクター。

請求項32

RSVプロモーターが、シトシンデアミナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに機能可能に連結されている、請求項29又は30に記載の組換えレトロウイルスベクター。

請求項33

RSVプロモーターが、シトシンデアミナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに機能可能に連結され、及びそれに続く阻害性核酸配列に機能可能に連結されている、請求項29又は30に記載の組換えレトロウイルスベクター。

請求項34

少なくとも一つのカセットが二つのカセットを含む、請求項14〜33のいずれか一項に記載の組換えレトロウイルスベクター。

請求項35

第一のカセットが阻害性核酸配列に連結されたH1又はU6プロモーターを含み、第二のカセットがポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに機能可能に連結されたRSVプロモーターを含む、請求項34に記載の組換えレトロウイルスベクター。

請求項36

配列番号7〜15及び16からなる群より選択される配列を含む、請求項14に記載の組換えレトロウイルスベクター。

請求項37

ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが、ヒトコドン最適化されている、請求項5、6、7、又は32に記載の組換えレトロウイルスベクター。

請求項38

シトシンデアミナーゼ活性を有するポリペプチドが、熱安定化されている、請求項5、6、7、又は32に記載の組換えレトロウイルスベクター。

請求項39

阻害性核酸配列が、PDL1を阻害する、請求項4〜38のいずれか一項に記載の組換えレトロウイルスベクター。

請求項40

線状形態の場合に、5'から3'にかけて、以下の構造:5'LTR、逆転写酵素のためのプライマー結合部位PBS)、任意の5'スプライス部位、Psi(Ψ)パッケージングシグナル、パッケージング及び組込みのために十分な配列を含むが、機能的開始部位欠く変異gag遺伝子、少なくとも一つのカセット、ポリプリントラクト及び3'LTR(U3-R-U5)を含む、請求項10に記載の組換えレトロウイルスベクター。

請求項41

少なくとも二つのカセットを含む、請求項40に記載の組換えレトロウイルスベクター。

請求項42

少なくとも二つのカセットの少なくとも一つが、インターフェロンγ遺伝子(IFNγ)を含む、請求項41に記載の組換えレトロウイルスベクター。

請求項43

カセットの少なくとも一つが、シトシンデアミナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、請求項41又は42に記載の組換えレトロウイルスベクター。

請求項44

少なくとも一つのカセットが阻害性核酸配列を含み、polIIIプロモーター又はRSVプロモーターが異種配列先行する、請求項41又は42に記載の組換えレトロウイルスベクター。

請求項45

請求項1〜44のいずれか一項に記載の組換えレトロウイルスベクターを、細胞増殖性障害の癌を有する対象に接触させるステップを含む、癌又は細胞増殖性障害を治療する方法。

請求項46

シトシンデアミナーゼ遺伝子を含む請求項1〜44のいずれか一項に記載の組換えレトロウイルスベクターを、細胞増殖性障害の癌を有する対象に接触させるステップ、及びさらに前記対象を5-フルオロシトシン処置するステップを含む、癌又は細胞増殖性障害を治療する方法。

技術分野

0001

関連出願の相互参照
本出願は、2014年3月26日に出願され、その開示が参照により本明細書に組み入れられる米国仮出願第61/970,823号に対して優先権を主張する。

0002

本開示は、癌療法に、及びより具体的には様々なベクター構築物を用いて腫瘍の増殖を阻害することに関する。

背景技術

0003

癌は、米国において罹患率及び死亡率の大部分を占め、2番目に多い死因である。癌は典型的に細胞集団の制御されていない分裂によって特徴づけられる。この制御されていない分裂は、典型的に腫瘍の形成をもたらし、これが続いて他の部位に転移し得る。さらなる癌療法、及び固形腫瘍だけでなく癌の進行に従って生じる微小転移治療するための戦略が必要とされている。

0004

本開示は、免疫阻害剤下方制御する少なくとも一つの薬剤を含む少なくとも一つの発現カセットを含む、組換えレトロウイルスベクターを提供する。一実施形態では、ベクターは少なくとも二つのカセットを含む。さらなる実施形態では、組換えレトロウイルスベクターは、免疫阻害剤を下方制御する二つの薬剤を含む。前記実施形態のいずれかにおいて、少なくとも一つの薬剤は、単鎖抗体及び/又は阻害性核酸配列をコードするポリヌクレオチドを含む。前記のさらに他の実施形態では、少なくとも一つの薬剤は、阻害性核酸配列及びシトシンデアミナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。前記実施形態のさらに他の実施形態では、少なくとも一つの薬剤は阻害性核酸配列を含み、ベクターは、(i)第二の阻害性核酸配列、(ii)単鎖抗体をコードするポリヌクレオチド、(iii)プロドラッグ細胞傷害性薬に変換するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、及び(iv)サイトカイン又はケモカインをコードするポリヌクレオチド、からなる群より選択される第二の薬剤をさらに含む。他の実施形態では、第一のカセットは阻害性核酸配列に機能可能に連結したpolIIIプロモーターを含み、第二のカセットはシトシンデアミナーゼ活性を有するポリペプチド又は単鎖抗体をコードするポリヌクレオチドに機能可能に連結したミニプロモーターを含む。さらに他の実施形態では、第一のカセットは第一の阻害性核酸配列に機能可能に連結したpolIIIプロモーターを含み、第二のカセットは第二の阻害性核酸配列に機能可能に連結したミニプロモーターを含む。前記のいずれかのさらに他の実施形態では、レトロウイルスベクター複製コンピテント(replication competent)である。代替的な実施形態では、レトロウイルスベクターは複製欠損(replication defective)である。一実施形態では、複製コンピテントレトロウイルスベクターは、5'から3'にかけて、長末端反復LTR)-gag配列-pol配列-env配列-(少なくとも一つの発現カセット)-LTRを含む一般構造を含む。さらなる実施形態では、ベクターは、マウス白血病ウイルス(MLV)、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)、ネコ白血病ウイルス(FeLV)、又はテナガザル白血病ウイルス(GALV)に由来するレトロウイルスポリヌクレオチド配列を含む。またさらなる実施形態では、MLVは広宿主性MLVである。複製コンピテントレトロウイルスベクターのさらに他の実施形態では、ベクターは、レトロウイルスGAGタンパク質;レトロウイルスPOLタンパク質;レトロウイルスエンベロープ(ENV);レトロウイルスポリヌクレオチドであって、レトロウイルスポリヌクレオチド配列の3'末端に長末端反復(LTR)配列、レトロウイルスポリヌクレオチドの5'末端に哺乳動物細胞における発現に適しているプロモーター配列、gag核酸ドメイン、pol核酸ドメイン、及びenv核酸ドメインを含む前記レトロウイルスポリヌクレオチド;異種核酸配列を含む少なくとも一つのカセットであって、3'LTRに対して5'側かつレトロウイルスエンベロープをコードするenv核酸ドメインに対して3'側に位置する前記カセット;並びに標的細胞における逆転写パッケージング及び組み込みのために必要なシス作用性配列を含む。さらなる実施形態では、プロモーターは、配列番号1〜15又は16に記載の配列のヌクレオチド1から約ヌクレオチド582を有し、1つ以上の核酸塩基に対する改変を含んでもよく、転写を導き、開始させることができる、CMVプロモーターを含む。またさらなる実施形態では、プロモーターは配列番号1〜15又は16に記載の配列のヌクレオチド1から約ヌクレオチド582を含む。またさらなる実施形態では、プロモーターはCMV-R-U5ドメインポリヌクレオチドを含む。また他の実施形態では、CMV-R-U5ドメインは、MLV R-U5領域に連結されたヒトサイトメガロウイルス由来の前初期プロモーターを含む。またさらなる実施形態では、CMV-R-U5ドメインポリヌクレオチドは、配列番号1〜15又は16に記載の配列のヌクレオチド約1からヌクレオチド約1202、又は配列番号1〜15又は16に記載の配列のヌクレオチド約1からヌクレオチド約1202に対し少なくとも95%同一である配列を含み、前記ポリヌクレオチドが、機能可能にそれに連結された核酸分子の転写を促進する。他の実施形態では、gag核酸ドメインは、配列番号1〜15又は16のヌクレオチド番号約1203からヌクレオチド約2819までの配列、又はそれに対して少なくとも95%、98%、99%若しくは99.8%の同一性を有する配列を含む。また他の実施形態では、polドメインは、配列番号1〜15又は16のヌクレオチド番号約2820からヌクレオチド約6358までの配列、又はそれに対して少なくとも95%、98%、99%若しくは99.9%の同一性を有する配列を含み得る。さらなる実施形態では、envドメインは、広宿主性envタンパク質をコードする。またさらなる実施形態では、envドメインは、配列番号1〜15又は16のヌクレオチド番号約6359からヌクレオチド約8323までの配列、又はそれに対して少なくとも95%、98%、99%若しくは99.8%の同一性を有する配列を含む。他の実施形態では、少なくとも一つのカセットは、阻害性核酸配列が発現されるように、阻害性核酸配列に機能可能に連結されたpolIIIプロモーターを含む。さらなる実施形態では、polIIIプロモーターはH1プロモーター又はU6プロモーターを含む。さらなる実施形態では、H1プロモーターは配列番号7又は12の約8330〜8553に記載の配列を含み、約8885〜8889及び8925〜8930のpolIII終結配列を含む。他の実施形態では、U6プロモーターは配列番号8又は13の約8330〜8595の配列を含み、約8922〜8926及び8962〜8967のpolIII終結配列を含む。他の実施形態では、少なくとも一つのカセットはミニプロモーターを含む。さらなる実施形態では、ミニプロモーターはRSVプロモーターである。またさらなる実施形態では、RSVプロモーターは、配列番号9、10、14、15、又は16の約8330〜約8591の配列を含む。また別の実施形態では、RSVプロモーターは、阻害性核酸配列に機能可能に連結されている。別の実施形態では、RSVプロモーターは、シトシンデアミナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに機能可能に連結されている。また他の実施形態では、RSVプロモーターは、シトシンデアミナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに機能可能に連結され、及びそれに続く阻害性核酸配列に機能可能に連結されている。前記のまた別の実施形態では、少なくとも一つのカセットは二つのカセットを含む。さらなる実施形態では、第一のカセットは阻害性核酸配列に連結されたH1又はU6プロモーターを含み、第二のカセットはポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに機能可能に連結されたRSVプロモーターを含む。明細書の実施形態では、ベクターは配列番号7〜15及び16からなる群より選択される配列を含む。ベクターがポリペプチドをコードするカセットを含むまた別の実施形態では、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが、ヒトコドン最適化されている。また他の実施形態では、シトシンデアミナーゼ活性を有するポリペプチドは、熱安定化されている。また他の実施形態では、阻害性核酸配列が、PDL1又はIDO1を阻害する。ベクターが複製欠損である他の実施形態では、ベクターは、線状形態の場合に、5'から3'にかけて、以下の構造:5'LTR、逆転写酵素のためのプライマー結合部位PBS)、任意の5'スプライス部位、Psi(Ψ)パッケージングシグナル、パッケージング及び組込みのために十分な配列を含むが、機能的開始部位欠く変異gag遺伝子、少なくとも一つのカセット、ポリプリントラクト及び3'LTR(U3-R-U5)を含む。さらなる実施形態では、ベクターは少なくとも二つのカセットを含む。また他の実施形態では、少なくとも二つのカセットの少なくとも一つが、インターフェロンγ遺伝子(IFNγ)を含む。さらなる実施形態では、カセットの少なくとも一つが、シトシンデアミナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。他の実施形態では、少なくとも一つのカセットが阻害性核酸配列を含み、polIIIプロモーター又はRSVプロモーターが異種配列先行する。

0005

本開示は、本明細書に記載の組換えレトロウイルスベクターを、細胞増殖性障害の癌(cancer of cell proliferative disorder)を有する対象に接触させるステップを含む、癌又は細胞増殖性障害を治療する方法もまた提供する。

0006

本開示は、シトシンデアミナーゼ遺伝子を含む本明細書に記載の組換えレトロウイルスベクターを、細胞増殖性障害の癌(cancer of cell proliferative disorder)を有する対象に接触させるステップ、及びさらに前記対象を5-フルオロシトシン処置するステップを含む、癌又は細胞増殖性障害を治療する方法もまた提供する。

0007

本開示の一以上の実施形態の詳細が、添付の図面及び以下の詳細な説明に記載される。他の特徴、目的、及び利点は、詳細な説明、図面、及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。

図面の簡単な説明

0008

図1A-Cは、本開示の構築物の模式図を示す。(A)は、pri-miRNA又はH1プロモーターによって駆動されるpri-miRNAを含むカセットの挿入のためのMluI/NotIクローニング部位を有するRRV骨格を示す。(B)は、pre-miRNAを駆動するH1プロモーターを含むカセットの挿入のためのNotIクローニング部位を有する、IRES又はRSVプロモーターカセットを有するpAC3-yCD2骨格を示す。(C)は、抗体(例えば単鎖抗体(scAB))に連結されたIRES又はRSVプロモーターカセット及びpre-miRNAを駆動するH1プロモーターを含む任意のカセットの挿入のためのNotIクローニング部位を有するpAC3骨格を示す。
図1-1の続きである。
図1-2の続きである。
図2は、様々な神経膠腫細胞株におけるIDO1タンパク質発現を示す。
図3は、様々な癌細胞株におけるPD-L1細胞表面発現を示す。
図4は、様々な癌細胞株におけるTGFβ1、2及び3アイソフォーム遺伝子発現を示す。
図5は、本開示のRRV-shRNAベクターの模式図を示す。
図6は、RRV-U6-IDO1shRNA及びRRV-U6-IDO1miR30shRNAによるIDO1発現のノックダウンを示す。
図7は、RRV-U6-PDL1shRNA及びRRV-U6-PDL1miRshRNAによるPDL1細胞表面発現のノックダウンを示す。
図8は、RRV-U6-TGFb2shRNA及びRRV-U6-TGFb2miRshRNAによるTGFβ2発現のノックダウンを示す。
図9は、IDO1、PDL1及びTGFβ2を標的とするRRV-U6-miR30shRNAベクターのベクター安定性を示す。
図10は、RRV-H1-IDO1miR30shRNA、RRV-RSV-IDO1miR30shRNA、 RRV-RSV-yCD2-IDO1miR30shRNA及びRRV-RSV-yCD2-U6-IDO1miR30shRNAによるIDO1発現のノックダウンを示す。
図11は、RRV-H1-PDL1miR30shRNAによるPDL1細胞表面発現のノックダウンを示す。
図12は、IDO1及びPDL1を標的とするRRV-U6-miR30shRNA、RRV-H1-miR30shRNA、RRV-RSV-miR30shRNA、RRV-RSV-yCD2-miR30shRNA及びRRV-RSV-yCD2-U6-miR30shRNAのベクター安定性を示す。
図13は、RRV-RSV-PDL1miR30shRNAによるPDL1細胞表面発現のノックダウンを示す。
図14は、RRV-RSV-yCD2-PDL1miR30shRNAによるPDL1細胞表面発現のノックダウンを示す。
図15は、RRV-RSV-yCD2-U6-PDL1miR30shRNAによるPDL1細胞表面発現のノックダウンを示す。
図16A-Cは、TIL細胞のFACSソートを示す(y軸はIFNγ;x軸はCD8)。
図16-1の続きである。
図17は、pBA9b-IFNγレトロウイルス非複製ベクターの模式図を示す。
図18Aは、CT-26細胞におけるmIFNg誘導MHCクラスI上方制御を示す。図18Bは、HT-1080細胞におけるhIFNg誘導MHCクラスI上方制御を示す。
図19は、pBA9b-IFNg-yCD2及びpBA9b-IL2レトロウイルス非複製ベクターの模式図を示す。
図20Aは、RRV-shRNA感染細胞における、IDO-1を標的としたshRNAの生物活性を示す。図20Bは、RRV-shRNA感染細胞における、PDL-1を標的としたshRNAの生物活性を示す。図20Cは、RRV-shRNA感染細胞における、TGF-β2を標的としたshRNAの生物活性を示す。
図20-1の続きである。
図21は、pBA9b-IFNg-shRNAレトロウイルス非複製ベクターの模式図を示す。様々な図において、同様の参照シンボルは、同様の要素を指す。

0009

本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される、単数形は、文脈により明確に別段の規定がなされない限り、複数の指示対象包含する。したがって、例えば、「細胞」への言及は、複数のそのような細胞を包含し、「薬剤」への言及は、当業者に知られる1つ以上の薬剤への言及を包含する、などである。

0010

また、「又は」、又は「若しくは」の使用は、別段の指定のない限り、「及び/又は」を意味する。同様に、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含む(including)」は、互換的であり、限定されることを意図しない。

0011

種々の実施形態の説明に「含む」という用語が使用されている場合、いくつかの特定の例では、ある実施形態は、代わりに、「から本質的になる」又は「からなる」という言葉を使用して記載できることが当業者には理解されることがさらに理解されるべきである。

0012

別段の定義のない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者に一般に理解されるものと同じ意味を有する。本開示の方法及び組成物の実施において本明細書に記載のものと同様又は同等である方法及び材料を使用できるが、本明細書では典型的な方法、デバイス及び材料を記載する。

0013

本文全体を通して及び上記で考察されている刊行物は、単にそれらの開示が本出願の出願日より前であるために示されているに過ぎない。本明細書における全てが、本発明者らが、先の開示によりそのような開示に先行する権利がないことを容認するものと解釈されるべきではない。

0014

用語「細胞増殖性障害」は、異常な数の細胞で特徴付けられる状態を意味する。この状態は、肥大的な(組織中での細胞集団の異常増殖をもたらす、細胞の連続的な増殖)及び発育不全的な(組織中での細胞の欠失又は欠乏)細胞の増殖又は体内の領域への細胞の過剰な流入又は転移を含み得る。該細胞集団は必ずしも癌化腫瘍化又は悪性化細胞ではなく、通常の細胞もまた同様に含み得る。細胞増殖性障害として、強皮症関節炎、及び肝硬変を含む様々な線維症等の結合組織の異常増殖に関連する障害が挙げられる。細胞増殖性障害として、頭頸部細胞腫等の新生物障害が挙げられる。頭頸部の細胞腫として、口腔食道咽頭喉頭甲状腺唾液腺副鼻腔上咽頭、上鼻腔(superior nasal vault and sinus)腫瘍、感覚神経芽腫扁平上皮癌悪性黒色腫、鼻腔の未分化癌(sinonasal undifferentiated carcinoma (SNUC))、脳(神経膠腫を含む)又は血液腫瘍が含まれる。また、頸部リンパ節、喉頭前リンパ節、食道傍リンパ節及び顎下リンパ節を含む局所リンパ節の細胞腫もまた含まれる(Harrison's Principles of Internal Medicine (eds., Isselbacherら, McGraw-Hill, Inc., 13th Edition, ppl850-1853, 1994)。他の癌のタイプには、限定されるものではないが、肺癌結腸直腸癌乳癌前立腺癌尿路癌、子宮癌リンパ腫口腔癌すい臓癌、白血病黒色腫胃癌皮膚癌、及び卵巣癌が含まれる。

0015

用語「コドン最適化配列」は、一般に20%未満の使用頻度を有するいずれかのコドン置換することによって特定の宿主種について最適化されたヌクレオチド配列を指す。コドン最適化に加えて、ポリアデニル化配列の排除、エキソン/イントロンスプライシングシグナルの排除、トランスポゾン様反復の排除及び/又はGC含量の最適化によってある宿主種における発現について最適化されたヌクレオチド配列もまた、本明細書において「発現向上配列」と称される。

0016

本明細書で使用される場合、「コアプロモーター」とは、約50〜100bpを含み、エンハンサーエレメントを欠く最小のプロモーターを指す。そのようなコアプロモーターとしては、限定されるものではないが、SCP1、AdML及びCMVコアプロモーターが挙げられる。より詳細には、コアプロモーターカセットが存在する場合、第二のカセット(例えば、第二のミニプロモーターカセット、polIIIプロモーターカセット又はIRESカセット)が存在するだろう。幾つかの実施形態では、コアプロモーターを有するカセットを含むベクターは、SCP1、AdML及びCMVコアプロモーターの使用を特異的に排除し、代わりに、本明細書に、及び以下にさらに記載されているデザイナーコアプロモーターを利用する。

0017

コアプロモーターとしては、特定のウイルスプロモーターが挙げられる。ウイルスプロモーターとは、本明細書で使用される場合、コア配列を有し、通常はいくつかのさらなる補助的なエレメントも有するプロモーターである。例えば、SV40の初期プロモーターは、3種類のエレメント:TATAボックス、開始部位及びGC反復を含有する(Barrera-Saldanaら、EMBO J、4:3839-3849、1985; Yaniv、Virology、384:369-374、2009)。TATAボックスは、転写開始部位の約20塩基対上流に位置する。GC反復領域は、6つのGCボックスを含有する21塩基対の反復であり、転写の方向を決定する部位である。このコアプロモーター配列は約100bpである。追加的な72塩基対の反復を付加し、したがって「ミニプロモーター」にすることは、プロモーターの機能性を約10倍に増大させる転写エンハンサーとして有用である。SP1タンパク質が21bpの反復と相互作用する際、SP1タンパク質は最初の3つのGCボックス又は最後の3つのGCボックスのいずれかに結合する。最初の3つに結合すると初期発現が開始され、最後の3つに結合すると後期発現が開始される。72bpの反復の機能は、安定なRNAの量を増強すること、及び合成の速度を上昇させることである。これは、AP1(活性化因子タンパク質1)と結合(二量体形成)して、3'ポリアデニル化され、5'キャップ形成された一次転写物を生じることによって行われる。ラウス肉腫ウイルス(RSV)、HBVX遺伝子プロモーター、及びヘルペスチミジンキナーゼコアプロモーターなどの他のウイルスプロモーターも、所望の機能を選択するための基礎として使用することができる。

0018

コアプロモーターは、典型的に、RNAポリメラーゼII機構によって転写が開始される位置を規定する+1転写開始部位に対して-40〜+40を包含する(Juven-Gershon及びKadonaga、Dev. Biol. 339:225-229、2010)。典型的に、RNAポリメラーゼIIは、プロモーター内のDNAモチーフに結合するいくつもの転写因子と相互作用する。これらの因子は、一般に、「一般的な」又は「基本の」転写因子として公知であり、それらとしては、限定されるものではないが、TFIIA(RNAポリメラーゼIIAに対する転写因子)、TFIIB、TFIID、TFIIE、TFIIF、及びTFIIHが挙げられる。これらの因子は、全てのコアプロモーターと共に「一般的な」様式で作用し、したがって、多くの場合、「基本の」転写因子と称される。参照により本明細書に組み入れられ、本開示の方法及び組成物において有用なコアプロモーターをさらに記載する国際公開第WO2014/066700号を参照されたい。

0019

「分裂」細胞は活発有糸分裂又は減数分裂を行っている細胞を意味する。そのような分裂細胞として、幹細胞皮膚細胞(例えば、線維芽細胞及び角化細胞)、生殖細胞及び本分野で知られている他の分裂細胞が挙げられる。分裂細胞という用語に含まれ、かつとりわけ興味深いのは新生細胞等の細胞増殖性障害を有する細胞である。

0020

本明細書で用いられる用語「異種」核酸配列又は導入遺伝子は、(i)野生型のレトロウイルスでは通常存在しない配列、(ii)異なる種に由来する配列、又は(iii)同じ種に由来するものである場合、元の形態から実質的に改変され得るものを意味する。あるいは、細胞において通常発現していないか又はウイルスによって保有されない未変化の核酸配列は、異種核酸配列である。特定の実施形態では、異種ポリヌクレオチドは、(i)シトシンデアミナーゼ活性を有する本開示のポリペプチド、又は(ii)RNAi活性を有するポリヌクレオチドである。

0021

用語「宿主細胞」は、本明細書で使用される場合、核酸構築物による形質転換感受性のあるあらゆる細胞タイプを含む。用語「形質転換」は、宿主細胞が導入された遺伝子又は配列を発現し、所望の物質、典型的には導入された遺伝子又は配列によってコードされるタンパク質又は酵素生産するような、外来(すなわち外因性又は細胞外)遺伝子、DNA又はRNA配列の宿主細胞への導入を意味する。導入された遺伝子又は配列は、調節又は制御配列、例えば開始、終止、プロモーター、シグナル、分泌、又は細胞の遺伝機構によって用いられる他の配列を含み得る。導入されたDNA又はRNAを受け入れ、発現する宿主細胞は、「形質転換」されており、「形質転換体」又は「クローン」である。宿主細胞に導入され得るDNA又はRNAは、宿主細胞と同じ属又は種の細胞、又は異なる属又は種の細胞を含むあらゆる供給源に由来し得る。

0022

本明細書で使用される場合、「ミニプロモーター」又は「小さいプロモーター」とは、機能可能に連結した遺伝子又はコード核酸配列の転写を促進する調節ドメインを指す。ミニプロモーターは、その名称が示す通り、機能可能に連結したコード配列の有効な転写及び/又は翻訳に必要な最低限の量のエレメントを含む。ミニプロモーターは、「コアプロモーター」と追加的な制御エレメント組合せを含んでもよく、「改変コアプロモーター」を含んでもよい。典型的に、ミニプロモーター又は改変コアプロモーターは約100〜600bpの長さになり、コアプロモーターは、典型的に、約100bp(例えば、約70〜80bp)未満である。他の実施形態では、コアプロモーターが存在する場合、カセットは、典型的に、コアプロモーター配列の上流又は下流のいずれかに、機能可能に連結したコード配列のコアプロモーター単独による発現レベルを上回る発現を促進するエンハンサーエレメント又は別のエレメントを含む。遍在的に発現される小さいプロモーターとして、ウイルスプロモーター、例えば、SV40初期プロモーター及び後期プロモーター(約340bp)、RSVLTRプロモーター(約270bp)、並びにHBVX遺伝子プロモーター(約180bp)などが挙げられる。参照により本明細書に組み入れられ、本開示の方法及び組成物において有用なミニプロモーターをさらに記載する国際公開第WO2014/066700号を参照されたい。

0023

用語「非分裂」細胞は有糸分裂をしない細胞を意味する。非分裂細胞は細胞が活発に分裂していない限り、細胞周期の任意の点で阻止されうる(例えば、G0/G1、G1/S、G2/M)。ex vivo感染では分裂細胞は、照射、アフイディコリン処置、血清飢餓及び接触阻害を含む当業者に用いられる標準的な方法によって細胞分裂を阻止するよう処置され得る。しかしながら、多くの細胞(例えば、幹細胞)がすでに分裂を停止しているため細胞のブロッキングなしで、しばしばex vivo感染が行われる点を理解されたい。例えば、組み換えレンチウイルスベクターは非分裂細胞に感染可能である。体においてもともと存在する非分裂細胞の例として、神経、筋肉肝臓、皮膚、心臓、及び骨髄細胞並びにその誘導体が挙げられる。分裂細胞のためには、オンコレトロウイルスベクターが用いられ得る。

0024

用語「プロモーター領域」は、本明細書において通常の意味で、DNA制御配列を含むヌクレオチド領域を指し、ここで該制御配列は、RNAポリメラーゼと結合し下流(3'方向)のコード配列の転写を開始することができる遺伝子に由来する。制御配列は所望の遺伝子配列にとって同種のものでも異種のものであってもよい。例えば、上述したウイルス又は哺乳類のプロモーターを含む様々なプロモーターが利用され得る。

0025

用語「調節核酸配列」は、プロモーター配列、ポリアデニル化シグナル転写終結配列、上流調節ドメイン、複製開始点、及びエンハンサー等をまとめて指し、これらは全体としてレシピエント細胞におけるコード配列の複製、転写及び翻訳を提供する。選択されたコード配列が適切な細胞で複製、転写及び翻訳される限り、これらの制御配列が全て必要となるわけではない。当業者は、公共のデータベース及び参考資料から調節核酸配列を容易に特定することができる。さらに、当業者は、例えばin vivo、ex vivo、又はin vitroの使用意図のために適用可能な制御配列を特定することができる。

0026

原発性固形腫瘍は一般に外科切除により治療される。しかし、固形腫瘍を有する患者大多数原発性腫瘍部位の他に微小転移も有する。外科手術のみで治療した場合、これら患者のおよそ70%が癌の再発を経験することになる。外科手術に加えて、現在では多くの癌が細胞傷害性化学療法薬(例えば、ビンクリスチンビンブラスチン、シスプラスチン、メトトレキサート、5-FU等)及び/又は放射線療法を含む療法と組み合わせて治療されている。しかし、このアプローチの1つの難点は、放射線治療剤及び化学療法剤が正常組織に対して毒性があり、生命脅かす副作用を生じることが多いことである。さらに、これらのアプローチは多くの場合、失敗/寛解率が極めて高い(癌の種類に応じて最大90%)。

0027

長年にわたる研究及びさらに新しい治療様式の開発にもかかわらず、癌は依然として米国における死亡の第二の主因であり、世界中の大きな災いのままである。免疫応答の調節は、しばらくの間、癌治療のための潜在的な新たな治療標的と認識されてきた(Franks, H.A., Q. Wang, and P.M. Patel, New anticancer immunotherapies. Anticancer Res, 2012. 32: 2439-53)。

0028

いくつかの免疫療法は、免疫系を刺激して腫瘍細胞破壊させるために、アジュバントとして細菌性又はウイルス性成分を利用してきた。そのような成分の例には、BCGエンドドキシン混合細菌ワクチンインターフェロン(α、β及びγ)、インターフェロン誘導剤(例えば、ウシ流産菌(Brucella abortus)及び種々のウイルス)、及び胸腺因子(例えば、サイモシン第5分画、及びサイモシンアルファ1)が含まれる(一般的には"Principles of Cancer Biotherapy," Oldham (ed.), Raven Press, New York, 1987参照)。そのような薬剤は一般に、動物腫瘍モデルにおいてアジュバントとして及び非特異的刺激薬として有用であったが、ヒトにおいて全般的に効果があるとはまだ証明されていない。

0029

リンホカインも癌の治療に利用されてきた。手短に言えば、リンホカインは種々の細胞により分泌され、一般的には免疫応答の発生において特定の細胞に効果を及ぼす。リンホカインの例には、インターロイキン(IL)-1、-2、-3、及び-4、並びにG-CSFGM-CSF、及びM-CSFなどのコロニー刺激因子が含まれる。1つのグループは、増殖して腫瘍細胞に細胞傷害性である細胞を大量に産生するためにIL-2を利用して末梢血細胞を刺激した(Rosenberg et al., N. Engl. J. Med. 313: 1485-1492, 1985)。

0030

しかし、上で言及した方法論を考慮しても、現在の免疫調節療法臨床試験では限られた成功しか得られていない(Zhou, G. and H. Levitsky, Towardscurative cancer immunotherapy: overcoming posttherapy tumor escape. Clin Dev Immunol, 2012. 2012: p. 12418)。これらの療法の臨床試験成績が思いがけず不十分である理由の1つは、おそらく、免疫回避では腫瘍免疫抑制環境を作り出している複数の機構が関与するのに大半の免疫療法が有効性を単一治療アプローチに頼っているためである(Rolle et al., Mechanisms of immune evasion by gliomas. Adv Exp Med Biol, 746:53-76, 2012; Hong and Zeng, Awaiting a new era of cancer immunotherapy. Cancer Res, 72:3715-9, 2012; Ichim et al., Exosomes as a tumor immune escape mechanism: possible therapeutic implications. J Transl Med, 6:37, 2008)。

0031

多くの腫瘍が、抗腫瘍免疫応答を回避するために(Avril et al., Journal of Neuroimmunology 225:22-33, 2010)、PD-L1、PD-L2、IDO-1及び2、CD31、Tim3、プロスタグランジンE2(PGE2)、IL-6、IL-10、VEGF、HLAG、FasL、IL-10、アデノシン並びにTGF-β1、2及び3を含む多くの免疫抑制分子を発現又は分泌する(Gajewski et al., Nature Immunol. 14:1014-1022, 2013; MotzGT. and Coukos G., Immunity, 39:61-73, 2013)。これらの分子はT細胞増殖を抑制する、T細胞活性化及び細胞傷害性エフェクター細胞への分化を阻害する、又はT細胞アポトーシスを誘発する。免疫回避は発癌成功のための中心的過程であり、多くの癌の発生で役割を果たしている。

0032

形質転換増殖因子ベータ(TGF-β)、特にTGF-β2アイソフォームは悪性神経膠腫の進行における重要な因子として同定されている。TGF-β2は、最初は「神経膠腫由来T細胞抑制因子」と呼ばれていたが、神経膠腫を有する患者の免疫抑制状態に関連しており、したがって、腫瘍免疫監視機構喪失の原因である。TGFベータは、腫瘍侵襲血管新生腫瘍増殖及び免疫抑制に効果を及ぼす。上昇したTGFベータはGBM、膵性結腸直腸、NSCLC、前立腺メラノーマ、HCC及び血液系腫瘍に関連している。

0033

トリプトファン異化する酵素インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO-1又はIDO-2)が免疫抑制の媒介に関与していることを示す証拠が相次いでいる。癌の前臨床モデルでは、IDOを阻害すれば化学療法の有効性が改善されることが実証されている。その作用機序は、T細胞及びNK細胞アポトーシス細胞周期停止及び活性化の減少を引き起こすトリプトファン代謝物キヌレニンの分泌により引き起こされる可能性が極めて高い免疫抑制の阻害を通じてである。結腸直腸癌、肝細胞癌、神経膠腫及び他の腫瘍においてIDOの上昇が起こっていることが示されている。

0034

プログラム死受容体(PD1、PDCD1としても知られる)は、慢性抗原への応答においてT細胞活性化とT細胞寛容の間の均衡を調節するのに関与していることが明らかにされている。HIV1感染中、PD1の発現がCD4+ T細胞において増加していることが見出された。HIV感染の場合と同じように、慢性的抗原曝露の存在下でT細胞機能障害が観察されるときには、PD1上方制御はT細胞枯渇(重要なエフェクター機能進行性喪失と定義されている)とどういうわけか関係していると考えられている。PD1上方制御は、慢性的ウイルス感染中にこれら同じセットの細胞において増加しているアポトーシスとも関連している可能性がある(Petrovas et al., J Immunol. 183(2):1120-32, 2009参照)。PD1は免疫監視機構からの腫瘍特異的回避にも役割を担っている可能性がある。PD1は、慢性骨髄性白血病(CML)でも急性骨髄性白血病(AML)でも腫瘍特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL)において高度に発現されていることが実証されている。PD1は、メラノーマ浸潤性Tリンパ球(TILS)においても上方制御されている(Dotti, Blood 114 (8): 1457-58, 2009参照)。腫瘍は、CTLにおいてPD1の上方制御と組み合わされると、T細胞機能性の喪失及びCTLが効果的な抗腫瘍応答を媒介できなくなることの有力な要因となる可能性があるPD1リガンド(PDL-1及びPDL-2)を発現することが見出されている。研究者らは、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)に慢性的に感染しているマウスでは、抗PD1抗体を投与するとPD1-PDL相互作用を遮断し、一部のT細胞機能性(増殖及びサイトカイン分泌)を回復し、ウイルス量を減少させることができることを明らかにしている(Barber et al., Nature 439(9): 682-687, 2006)。PD1の機能障害自己免疫疾患にも役割を担っている可能性がある。PD1(特にPD1.3)のSNPも全身性エリテマトーデス(SLE)についてのリスクの増加に関連していた。SLE患者はPD1.3 PD1対立遺伝子発生頻度がより高く、これらの患者がその活性化されたCD4+ T細胞ではPD1の発現の減少を示すことが明らかにされている(Bertsias et al., Arthritis Rheum. 60(1):207-18, 2009参照)。

0035

さらに、PD-1とそのリガンド(PD-L1)の間の相互作用を遮断するとin vitroで免疫応答が強められ、前臨床抗腫瘍活性が媒介される。PD-L1は固形腫瘍では上方制御されている主要なPD-1リガンドであり、固形腫瘍ではPD-L1はサイトカイン産生並びにPD-1+、腫瘍浸潤性CD4+及びCD8+ T細胞の細胞溶解活性を阻害することが可能である。これらの特性があるため、PD-L1は癌免疫療法のための潜在的に有望な標的になる(Brahmer et al., N Engl J Med., 366:2455-2465, 2012)。抗PD-1抗体は、非小細胞肺癌、メラノーマ、又は腎細胞癌を有する患者のおよそ4人に1人から5人に1人で他覚症状をもたらした。

0036

IDO-1及びPDL-1は、持続性適応抗腫瘍応答(DCの抗原提示、T細胞の活性化/増殖、CTLの細胞溶解活性)を妨害する神経膠腫において過剰発現している(Fogel-Petrovic et al., Int Immunopharmacol., 7:1924-3, 2007; Wainwright et al., Clin Can Res, doi:10.1158/1078-0432.CCR-14-0514, 2012)。

0037

低分子干渉RNA(siRNA)はヒト細胞において遺伝子発現を下方制御する。この技術は癌を含む広範囲な疾患を治療する潜在能力があるが、これらの分子の送達が実行にとっての重大な障壁となっており、少なくともいくつかの大手製薬会社(ノバルティス、ファイザーアボット及びメルク)は、この問題のためにこのアプローチに対する取組みから撤退する又は減らしている。

0038

低分子又はサイトカイン/抗サイトカインなどのモダリティーと共に利用する場合には、免疫調節分子の腫瘍生成の抑制はそのような生成を絶えず抑制する必要があるために依然として困難である。抗抑制剤又は炎症促進性剤の局所的連続腫瘍中心生産が望ましい。なぜならば、これによりそのような免疫増強薬の全身投与に起因する毒性が回避され、抗免疫抑制剤連続生産も提供されるからである。

0039

本開示は、ウイルスベクターを使用して抗免疫抑制剤を腫瘍に直接送達することにより前述のものを達成する種々の実施形態を説明する。一実施形態では、ベクターは複製ベクターであり、抗免疫抑制剤は、プロドラッグ活性化タンパク質、サイトカイン、単鎖抗体、結合分子、sh-/si-RNA(例えば、RNAi分子)、又はアプタマーを含む上記のいずれかの産生を引き起こす薬剤からなる群から選択される。さらなる実施形態では、複製ベクターはレトロウイルス複製ベクター(RRV)である。別の実施形態では、ベクターは非複製(例えば、非複製コンピテントウイルスベクター)である。

0040

本開示の方法及び組成物においては様々なベクターを使用することが可能である。例えば、本明細書で提供されるIFNγ、CD、PD1及び他の免疫刺激成分をコードするポリヌクレオチドを、ポリペプチド又はRNAi分子を発現するのに適した様々な発現ベクターのいずれか1つに組み込むことが可能である。適切なベクターには、染色体、非染色体及び合成DNA配列、例えば、SV40の誘導体、細菌プラスミドファージDNA、バキュロウイルス酵母プラスミド、プラスミドとファージDNAの組合せ由来のベクター、ワクシニアアデノウイルス鶏痘ウイルス仮性狂犬病、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス及び他の多くのウイルスなどのウイルスDNAが含まれる。遺伝物質を細胞内に形質導入する任意のベクター。

0041

ウイルスベクターは、アデノウイルスベクター麻疹ベクター、ヘルペスベクター、レトロウイルスベクター(レンチウイルスベクターを含む)、水疱性口内炎ウイルスベクターなどのラブドウイルスベクター、レオウイルスベクター、セネカバレーウイルスベクター、ポックスウイルスベクター(動物ポックス又はワクシニア由来ベクター)、パルボウイルスベクター(AAVベクターを含む)、アルファウイルスベクター又は当業者には既知の他のウイルスベクターであってよい(例えば、Concepts in Genetic Medicine, ed. Boro Dropulic and Barrie Carter, Wiley, 2008, Hoboken, NJ.; The Development of Human Gene Therapy, ed. Theodore Friedmann, Cold Springs Harbor Laboratory Press, Cold springs Harbor, New York, 1999; Gene and Cell Therapy, ed. Nancy Smyth Templeton, Marcel Dekker Inc., New York, New York, 2000 and Gene Therapy: Therapeutic Mechanism and Strategies, ed. Nancy Smyth Templetone and Danilo D Lasic, Marcel Dekker, Inc., New York, New York, 2000も参照、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる)。

0042

レトロウイルス複製ベクター(RRV)は溶解性複製ベクターよりも有利である。なぜならば、標的細胞を死滅させず直ちに(腫瘍ではなく)ウイルスに集中している局所的炎症及び免疫応答をもたらすからである。in vivoで送達媒体としてRRVを使用すれば、直接腫瘍を溶解せず腫瘍を通じてウイルス及びトランス遺伝子拡散が可能になり、したがって活性な抗ウイルス免疫なしで腫瘍中のトランス遺伝子のシグナルを増幅する。他の研究者がRRVからsiRNAを発現させようとしたことがある(Schaser T. et al. Gene Ther 2011 doi:10.1038/gt.2011.48)が、これらのベクターは力価及び安全性の限界のために有用性が限られており、1つの遺伝子発現カセットしか組み込むことができなかった。本開示は、医薬用に有用な力価でプロドラッグ活性化遺伝子を発現させる又は複数のカセットを組み込むRRVを提供する。さらに、本開示のベクター骨格は現在、プロドラッグ活性化遺伝子を用いて臨床試験中であり(Cloughsey et al., Neuro-Oncology 16:v110-v118, 2014. doi:10.1093/neuonc/nou258)、臨床においてこれらのベクターの安全性及び効力を実証中である。

0043

一実施形態では、本開示は腫瘍中での免疫抑制分子の発現又は産生を阻害するRRVを提供する。これらの分子は、低分子(例えば、アデノシン、キヌレニン)、免疫抑制分泌タンパク質、サイトカイン若しくはケモカイン(例えば、TGFベータ1、2又は3、IL-1、IL-6、IL-10)、免疫抑制リガンド(例えば、PD-L1、PD-L2、B7-H3、B7-H4、HVEM、GAL9)又は他の免疫抑制分子であってよい(Pardoll D., Nat Rev Cancer, 12:252-264, 2012)。さらなる実施形態では、免疫抑制分子の産生又は発現は、単鎖抗体又は干渉RNA分子(RNAi分子)の発現により阻害される。さらなる実施形態では、発現又は産生の阻害は、RRV中の2つの遺伝子又はカセットを発現することにより達成される。さらなる実施形態では、ベクター中に存在する異種ポリヌクレオチドの1つがRNAi分子を発現する。またさらなる実施形態では、RNAiは、マイクロRNA(miRNA)カセットを駆動するpol IIIプロモーターを用いて発現される。さらなる実施形態では、第二のカセットは:別のRNAi分子;限定されるものではないがプロドラッグ活性化遺伝子などのタンパク質;単鎖抗体;サイトカイン/ケモカイン;又は他の抗癌遺伝子のうちの1つをコードする。

0044

本開示は、細胞又は対象まで送達することが可能な、例えば、シトシンデアミナーゼ又はその変異体、miRNA又はsiRNA、サイトカイン、抗体結合ドメイン等をコードする異種ポリヌクレオチドを含有するレトロウイルス複製ベクターを提供する。

0045

本開示は改変レトロウイルス複製ベクターを提供する。改変レトロウイルス複製ベクターはレトロウイルス科メンバーに由来し得る。レトロウイルス科は3つのグループで構成される:ヒトフォーミーウイルス等のスプーマウイルス(spumaviruses)(又はフォーミーウイルスfoamy virus)、レンチウイルス並びにビスナウイルス;及びオンコウイルス(このグループに含まれる全てのウイルスに発癌性があるわけではないが)である。用語「レンチウイルス」は慣習上、逆転写酵素を含むウイルス属を記載するために用いられる。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)タイプ1及びタイプ2(HIV-1及びHIV-2)及びサル免疫不全ウイルスを含む「免疫不全ウイルス」をレンチウイルスは含む。オンコウイルスは、ウイルスの成熟の最中に電子顕微鏡でみられる粒子の形態に基づいて、さらにA、B、C及びDグループに歴史的に細分化されてきた。A型の粒子は感染した細胞の細胞質でみられるB及びD型の粒子の未熟な粒子を表している。これらの粒子は感染性ではない。B型の粒子は、細胞質内のA型粒子包むことよって、成熟したビリオンとして細胞膜から出芽する。細胞膜においてウイルスはドーナツ型の75nmの核を有しており、そこから長い糖タンパクの突出があらわれる。出芽後、B型の粒子は偏心的に位置した高電子密度の核を有する。B型ウイルスのプロトタイプマウス乳癌ウイルス(MMTV)である。C型のウイルスが感染した細胞では細胞質内に粒子は認められない。代わりに、三日月の「C」の形をした縮合物を介して成熟した粒子が細胞表面から直接出芽し、その後それ自身が閉じ、細胞膜によって包み込まれる。均一に電子密度の高い核とともに、エンベロープの糖タンパクのスパイク可視化される。出芽は細胞膜の表面から、又は直接細胞内の液胞に対して起こる。C型のウイルスは最もよく研究されており、トリ白血病ウイルス及びマウス白血病ウイルス(MLV)の多くを含む。ウシ白血病ウイルス(BLV)、及びヒトT細胞白血病ウイルスタイプI及びII(HTLV-I/II)は細胞表面からの出芽の形態からC型の粒子として同様に分類される。しかしながら、それらは規則的な六角形の形態も有し、またマウス白血病ウイルス(MLV)等のプロトタイプのC型ウイルスよりも複雑なゲノム構造を有する。D型の粒子は感染細胞の細胞質においてリングの様な構造を示す点でB型の粒子と似ており、細胞表面から出芽するが、ビリオンは短い表面糖タンパクのスパイクを取り込む。高電子密度の核は粒子の中で偏心的に位置している。マソンファイザーサルウイルス(Mason Pfizer monkey virus (MPMV))はプロトタイプのD型ウイルスである。

0046

レトロウイルスは様々な方法で分類されるがこの10年間で命名法標準化された(ICTVdB - The Universal Virus Database, v 4 on the World Wide Web (www) at ncbi.nlm.nih.gov/ICTVdb/ICTVdB/及び教科書“Retroviruses” EdsCoffin, Hughs及びarmus, Cold Spring Harbor Press 1997を参照;その開示内容を参照により本明細書に組み込む)。一実施形態では、複製コンピテントレトロウイルスベクターは、オルソレトロウイルス又はより典型的にガンマレトロウイルスベクターを含み得る。

0047

レトロウイルスは、その遺伝物質を複製する方法によって特徴づけられる。複製の際RNAはDNAに変換される。細胞への感染に続いて、逆転写として知られる分子的な過程によってウイルス粒子中で行われる、二分子RNA分子から二本鎖DNA分子が作製される。DNAはプロウイルスとして宿主細胞ゲノムの中に共有結合的に組み込まれ、そこからウイルスのRNAは細胞及び/又はウイルス因子を用いて発現される。発現されたウイルスのRNAは粒子中にパッケージされ感染性のあるビリオンとして放出される。

0048

レトロウイルス粒子は二つの同一なRNA分子で構成される。野生型のゲノムは各々が、5'末端がキャップされており3'テイルがポリアデニル化されているポジティブ鎖のRNA一本鎖分子を有する。二倍体のウイルス粒子はgagタンパク質、ウイルスの酵素(pol遺伝子の産物)及びgagタンパク質の「コア」の構造の中にある宿主のtRNA分子と複合体を形成した二つのRNA鎖を含む。このカプシド囲み保護しているのは宿主の細胞膜に由来し、ウイルスエンベロープ(env)タンパク質を含む脂質二重層である。envタンパク質はウイルスにとっての細胞レセプターに結合し、粒子は通常レセプターが介在するエンドサイトーシス及び/又は膜融合によって宿主細胞に進入する。

0049

外側のエンベロープが脱落した後、ウイルスRNAは逆転写によりDNA中にコピーされる。これはpol領域にコードされている逆転写酵素によって触媒され、DNA合成のためのプライマーとしてビリオンにパッケージされた宿主細胞のtRNAを用いる。このようにしてRNAゲノムはより複雑なDNAゲノムに変換される。

0050

逆転写によって産生された二本鎖の直鎖DNAは、核の中で環状化されなければならないものであり得るか、又は環状化されなくてもよいものであり得る。プロウイルスはいずれかの末端に長末端反復(LTR)として知られる二つの同一の反復を有する。二つのLTR配列の末端は、組み込みを触媒するpol産物—インテグラーゼタンパク質—によって認識される部位を産生し、それによりプロウイルスは常に宿主DNAの二つの塩基対にLTRの末端から進入することができる。細胞の配列の複製はLTRの両方の末端で観察され、転移する遺伝子の組み込みパターン連想させる。レトロウイルスはそのDNAを宿主DNAの多くの場所に組み込むことができるが、異なるレトロウイルスは異なる組み込みサイト嗜好性を有する。HIV-1とサル免疫不全ウイルスのDNAは発現遺伝子中に優先的に組み込まれ、マウス白血病ウイルス(MLV)DNAは転写開始位置(TSSs)の近くに優先的に組み込まれ、トリ肉腫白血病ウイルス(ASLV)及びヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV)のDNAはほとんど無作為に組み込まれ、わずかな遺伝子嗜好性を示す(Derse Dら(2007) Human T-cell leukemia virus type 1 integration target sites in the human genome: comparison with those ofotherretroviruses. J Virol 81:6731-6741; Lewinski MKら(2006) Retroviral DNA integration: viral and cellular determinants of target-site selection.PLoS Pathog 2:e601)。

0051

転写、RNAスプライシング及び組み込まれたウイルスDNAの翻訳は宿主細胞のタンパク質に媒介される。様々なスプライシングされた転写産物が作られる。ヒトレトロウイルスHIV-1/2及びHTLV-I/IIウイルスの場合にはウイルスのタンパク質もまた遺伝子発現を調節するために用いられる。ウイルスの潜伏期間及びウイルス遺伝子の発現する時間的順序にとって、細胞とウイルスの相互作用が支配的要因となる。

0052

レトロウイルスは、水平的にも垂直的にも伝播され得る。レトロウイルスの効率的な感染性伝達にはウイルスのエンベロープタンパク質を特異的に認識するレセプターの標的細胞での発現が必要となるが、ウイルスはレセプター非依存性の非特異的で低効率な経路も用い得る。重複感染に対する抵抗性をもたらすレセプターマスキング又は下方制御のため、通常ウイルス感染は細胞あたり1もしくは少数ウイルスゲノムしかもたらさない(Ch3 p104 in “Retroviruses “ JM Coffin, SH Hughes, &HEVarmus 1997 Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor NY; Fanら、J.Virol 28:802, 1978)。組織培養の条件を操作することによって、ある程度複数回感染させることが可能であるが、5コピー/二倍体ゲノム未満である。さらに、標的細胞タイプはウイルスが結合し侵入した後の複製サイクルの全てのステージを支持できなければならない。ウイルスゲノムが宿主の生殖系列に組み込まれたときには、垂直伝播が起こる。プロウイルスは細胞の遺伝子であるかのように世代から世代へ伝わるだろう。このようにして、しばしば潜伏するが、宿主が適切な薬剤にさらされたときに活性化され得る内在性プロウイルスが確立される。

0053

本開示の適切なベクターは、5'から3'方向に長末端反復(LTR)-gag配列-pol配列-env配列-(少なくとも1つの発現カセット)-LTRを含む一般構造を有する。発現カセットはenv遺伝子の末端からすぐ下流(例えば、1〜50bp、2〜40bp、3〜20bp、5〜15bp又はその間のいずれかの値)であるが、3' LTRからは上流にある。本開示のベクターの例となる構造は図1A〜Cに記載されている。

0054

一実施形態では、レトロウイルスポリヌクレオチド配列は、マウス白血病ウイルス(MLV)、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)、ネコ白血病ウイルス(FeLV)又はテナガザル白血病ウイルス(GALV)由来である。別の実施形態では、MLVは広宿主性MLVである。さらに別の実施形態では、レトロウイルスはオンコレトロウイルス又はガンマレトロウイルスである。

0055

したがって、本開示は、レトロウイルスGAGタンパク質;レトロウイルスPOLタンパク質;レトロウイルスエンベロープ;レトロウイルスポリヌクレオチド配列の3'末端に長末端反復(LTR)配列、レトロウイルスポリヌクレオチドの5'末端に哺乳動物細胞における発現に適しているプロモーター配列、gag核酸ドメイン、pol核酸ドメイン及びenv核酸ドメインを含むレトロウイルスポリヌクレオチド;異種核酸配列を含み、3'LTRの5側かつレトロウイルスエンベロープをコードしているenv核酸ドメインの3'側に位置している少なくとも1つのカセット;並びに逆転写、パッケージング及び標的細胞への組込みに必要なシス作用性配列を含む組換え複製コンピテントレトロウイルス(RCR)を提供する。一実施形態では、レトロウイルスポリヌクレオチド配列は、マウス白血病ウイルス(MLV)、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)、ネコ白血病ウイルス(FeLV)又はテナガザル白血病ウイルス(GALV)由来である。別の実施形態では、MLVは広宿主性MLVである。さらに別の実施形態では、レトロウイルスはオンコレトロウイルス又はガンマレトロウイルスである。

0056

一実施形態では、プロモーターは配列番号1〜15又は16のヌクレオチド1から約ヌクレオチド582までに記載の配列を有し、1つ以上の核酸塩基への修飾を含んでいてもよく、転写を指示し開始させることができるCMVプロモーターを含む。またさらなる実施形態では、プロモーターは配列番号1〜15又は16のヌクレオチド1から約ヌクレオチド582までに記載の配列を含む。さらなる実施形態では、プロモーターはCMV-R-U5ドメインポリヌクレオチドを含む。一実施形態では、CMV-R-U5ドメインは、MLV R-U5領域に連結されたヒトサイトメガロウイルス由来の最初期プロモーターを含む。さらに別の実施形態では、CMV-R-U5ドメインポリヌクレオチドは、配列番号1〜15若しくは16のヌクレオチド1から約ヌクレオチド1202までに記載の配列又は配列番号1〜15若しくは16のヌクレオチド1から約ヌクレオチド1202までに記載の配列に少なくとも95%同一である配列を含み、前記ポリヌクレオチドはそれに機能可能に連結された核酸分子の転写を促進する。別の実施形態では、プロモーターは、下に記載されるプロモーターなどの組織特異的プロモーターであってよい。さらなる実施形態では、ポリヌクレオチドのgag及びpolはオンコレトロウイルス又はガンマレトロウイルスに由来する。gag核酸ドメインは、配列番号1〜15若しくは16の約ヌクレオチド番号1203から約ヌクレオチド番号2819の配列又はそれに対し少なくとも95%、98%、99%若しくは99.8%の同一性を有する配列を含み得る。polドメインは、配列番号1〜15若しくは16の約ヌクレオチド番号2820から約ヌクレオチド6358の配列又はそれに対し少なくとも95%、98%、99%若しくは99.9%の同一性を有する配列を含み得る。一実施形態では、envドメインは広宿主性envタンパク質をコードする。envドメインは、配列番号1〜15若しくは16の約ヌクレオチド番号6359から約ヌクレオチド8323の配列又はそれに対し少なくとも95%、98%、99%若しくは99.8%の同一性を有する配列を含み得る。少なくとも1つのカセットはenv遺伝子配列の3'側にある。

0057

一実施形態では、前記少なくとも1つのカセットは、発現されるRNAi配列に機能可能に連結されたpolIIIプロモーターを含む(例えば、図1A参照)。一実施形態では、polIIIプロモーターはH1プロモーターを含む(例えば、配列番号7又は12の約8330から8553まで、並びに約8885から8889及び8925から8930までのH1終結配列)。別の実施形態では、polIIIプロモーターはU6プロモーターを含む(例えば、配列番号8又は13の約8330から8595まで、並びに約8922から8926及び8962から8967までのU6終結配列)。前述の実施形態のいずれかにおいて、polIIIプロモーター(例えば、H1又はU6)はRNAiコード配列に機能可能に連結されている。

0058

いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つのカセットはRSVプロモーターなどのコアプロモーター又はミニプロモーターを含む。例えば、RSVプロモーターは、配列番号9、10、14、15、又は16の約8330から約8591までの配列を含み得る。前述の実施形態のいずれかにおいて、RSVプロモーターはRNAiコード配列に機能可能に連結されている。別の実施形態では、RSVプロモーターは、シトシンデアミナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに機能可能に連結されている(例えば、それぞれ配列番号11及び10の約8592から約9068又は9071までの配列を有する「yCD2」)。またさらなる実施形態では、RSVプロモーターは、シトシンデアミナーゼを有するポリペプチドをコードしRNAi分子をコードする配列が後に続くポリヌクレオチドに機能可能に連結されている。

0059

いくつかの実施形態では、前記少なくとも1つのカセットは2つのカセットを含み、第一のカセットはRNAiコード配列に連結されたH1又はU6プロモーターを含み、第二のカセットはポリペプチド(例えば、シトシンデアミナーゼ又は抗体ドメイン)をコードするポリヌクレオチドに機能可能に連結されたRSVプロモーターを含む。

0060

いくつかの実施形態では、カセットはRNAiコード配列に連結されたプロモーターを含み、プロドラッグ活性化遺伝子(例えば、シトシンデアミナーゼ)に機能可能に連結されたIRESをさらに含む(例えば、図1B参照)。別の実施形態では、カセットは抗体(例えば、単鎖抗体配列)に機能可能に連結されたミニプロモーター又はIRESを含む。またさらなる実施形態では、抗体配列を含むカセットはRNAi配列に機能可能に連結されたpolIIIプロモーターをさらに含み得る(例えば、図1C参照)。

0061

配列内リボソーム進入部位(「IRES」)とは、通常はIRESの3'側にあるコード配列の翻訳中にリボソームの進入又は保持を促進する核酸セグメントのことである。いくつかの実施形態では、IRESはスプライスアクセプター/ドナー部位を含み得るが、好ましいIRESはスプライスアクセプター/ドナー部位を欠く。通常、リボソームのメッセンジャーRNAへの進入は、全ての真核生物mRNAの5'末端に位置するキャップを介して起こる。しかし、この一般法則には例外がある。いくつかのウイルスmRNA中にキャップが存在しないことは、これらRNAの内部部位でのリボソームの進入を可能にしている代わりの構造が存在することを示唆している。現在まで、その機能を理由にIRESと呼ばれるいくつかのこれらの構造がキャップのないウイルスmRNAの5'非コード領域、例えば、特に、灰白脊髄炎ウイルス(Pelletier et al., 1988, Mol. Cell. Biol., 8, 1103-1112)及びEMCVウイルス(脳心筋炎ウイルス(Jang et al., J. Virol., 1988, 62, 2636-2643))などのピコルナウイルスの5'非コード領域において同定されている。本開示は、複製コンピテントレトロウイルスベクターという文脈でのIRESの使用を提供する。

0062

ベクターのIRESドメインはあらゆるIRESであり得るが、一実施形態では、IRESは脳心筋炎ウイルス由来である。さらなる実施形態では、IRESは配列番号1の約ヌクレオチド番号8327から約ヌクレオチド番号8876までの配列又はそれに対し少なくとも95%、98%、若しくは99%の同一性を有する配列を含む。

0063

別の実施形態では、RNAポリメラーゼIIIプロモーターはU6又はH1プロモーターであり得る。一実施形態では、polIIIプロモーターはH1プロモーター(例えば、配列番号7又は12の約8330から8553、並びに約8885から8889まで及び8925から8930までのH1終結配列)を含む。別の実施形態では、polIIIプロモーターはU6プロモーター(例えば、配列番号8又は13の約8330から8595並びに約8922から8926まで及び8962から8967までのU6終結配列)を含む。

0064

以下の表は本明細書に記載される多くのベクターの代表的なドメインを記載している。

0065

0066

当業者であれば認識するように、カセットの3'側の配列は、本明細書に記載されるベクターごとに非翻訳及び3'LTR配列を含む。

0067

本明細書で使用される場合、用語「RNA干渉」(RNAi)は、低分子干渉核酸(siRNA又はマイクロRNA(miRNA))により媒介される配列特異的転写後遺伝子サイレンシングのプロセスを指す。RNAiは一般には、siRNA、miRNA等がRNAポリメラーゼ転写物から発現され標的遺伝子の発現を阻害するプロセスを指す。「阻害性核酸配列」は、発現されると転写後遺伝子サイレンシングを引き起こすオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドである。したがって、阻害性核酸配列は、プロセシングされると、siRNA、miRNA等を含む分子を含む。用語「RNA干渉を媒介し得る剤」は、siRNA並びに細胞内で転写されるとsiRNAをコードするDNA及びRNAベクターを指す。用語siRNA又はmiRNAは、配列特異的RNA干渉を媒介することができる任意の核酸分子、例えば、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、低分子干渉オリゴヌクレオチド、低分子干渉核酸、低分子干渉改変オリゴヌクレオチド化学修飾siRNA、転写後遺伝子サイレンシングRNA(ptgsRNA)、及び他の非コードRNAを包含することを意味する。

0068

ヘアピン二本鎖のステム長を設計するのに適した範囲には、20〜30ヌクレオチド、30〜50ヌクレオチド、50〜100ヌクレオチド、100〜150ヌクレオチド、150〜200ヌクレオチド、200〜300ヌクレオチド、300〜400ヌクレオチド、400〜500ヌクレオチド、500〜600ヌクレオチド、及び600〜700ヌクレオチドのステム長が含まれる。ヘアピン二本鎖のループ長を設計するのに適した範囲には、4〜25ヌクレオチド、25〜50ヌクレオチド、又はヘアピン二本鎖のステム長がかなりの長さになる場合はもっと長いループ長が含まれる。ある種の状況では、21ヌクレオチドよりも長い二本鎖領域を持つヘアピン構造は、ループ配列及び長さとは無関係に、効果的なsiRNA誘導サイレンシングを促進し得る。

0069

マイクロRNA(miRNA)は、小さな非コードRNAである。マイクロRNA(miRNA)はコード若しくは非コード遺伝子のイントロン、非コード遺伝子のエキソン内に、又は遺伝子間領域に位置している。miRNA遺伝子は、初期前駆体miRNA(pri-miRNA)と呼ばれる前駆体ポリヌクレオチドを生成するRNAポリメラーゼIIにより転写される。核内のpri-miRNAはリボヌクレアーゼDrosha(ドローシャ)によりプロセシングされて、低分子ヘアピン構造を形成するmiRNA前駆体(pre-miRNA)を産生する。引き続いて、pre-miRNAはエキスポーチン5を介して細胞質まで輸送され、ダイサーと呼ばれる別のリボヌクレアーゼによりさらにプロセシングされて、活性のある成熟miRNAを生成する。

0070

成熟miRNAはおよそ21ヌクレオチド長である。成熟miRNAは、標的とされた遺伝子のmRNAの3'非翻訳領域に結合し、タンパク質翻訳の抑制又はmRNAの分解のいずれかによりタンパク質発現を抑制することによりその機能を発揮する。miRNAは、発生、細胞増殖、分化及び癌の進行を含む生物学的過程に関与している。miRNAプロファイリングの研究によれば、一部のmiRNA発現は組織特異的であるか又はある種の組織で富化されていることが示されている。例えば、miR-142-3p、miR-181及びmiR-223発現はヒト及びマウスの造血組織において富化されていることが実証されている(Baskerville et al., 2005 RNA 11, 241-247; Chen et al., 2004 Science 303, 83-86)。

0071

一部のmiRNAはいくつかの腫瘍において上方制御されている(発癌性miRNA)又は下方制御されている(リプレッサー)ことが観察されている(Spizzo et al., 2009 Cell 137, 586e1)。例えば、miR-21は、神経膠腫、乳癌、肺癌、前立腺癌、結腸癌、胃癌、食道癌、及び子宮頸癌子宮平滑筋肉腫、DLBCL、頭頸部癌において過剰発現されている。対照的に、let-7のメンバーは、神経膠腫、肺癌、乳癌、胃癌、卵巣癌、前立腺癌及び結腸癌において下方制御されていることが報告されている。癌におけるmiRNA発現の恒常性再建は、癌進行を阻害する又は逆転させるためには不可避な機構である。

0072

癌においてmiRNAにより調節される生活機能の結果として、潜在的な治療アプローチ開発の焦点は、発癌性miRNAのアンチセンス媒介阻害(アンチゴマー)に向けられてきた。しかし、miRNA置換が等しく有効な戦略を示す可能性がある。このアプローチでは、もっとも治療的に有用なmiRNAは、腫瘍では低レベルで、しかし正常組織では高レベルで発現され、したがって、許容されるmiRNAである。

0073

癌において下方制御されているmiRNAは、抗癌剤として有用である可能性がある。例にはmir-128-1、let-7、miR-26、miR-124、及びmiR-137が含まれる(Esquela-Kerscher et al., 2008 Cell Cycle 7, 759-764; Kumar et al., 2008 Proc Natl Acad Sci USA 105, 3903-3908; Kota et al., 2009 Cell 137, 1005-1017; Silber et al., 2008BMCMedicine 6:14 1-17)。miR-128発現は中枢神経系において富化されていることが報告されており、神経膠腫では下方制御されていることが観察されている(Sempere et al., 2004 Genome Biology 5:R13.5-11; Godlewski et al., 2008 Cancer Res 68: (22) 9125-9130)。miR-128は2つの別個の遺伝子、miR-128-1及びmiR-128-2にコードされている。両方とも同一の成熟配列にプロセシングされる。Bmi-1及びE2F3aはmiR-128の直接的な標的であることが報告されている(Godlewski et al., 2008 Cancer Res 68: (22) 9125-9130; Zhang et al., 2009 J. Mol Med 87:43-51)。さらに、Bmi-1発現は、神経膠腫、マントル細胞リンパ腫、及び非小細胞肺癌B細胞非ホジキンリンパ腫、並びに乳癌、結腸直腸癌及び前立腺癌を含む種々のヒト癌において上方制御されていることが観察されている。さらに、Bmi-1は、ニューロン幹細胞並びに神経膠腫中の「様」細胞集団を含む多様な組織由来の幹細胞の自己再生に必要であることが実証されている。

0074

例となるRNAi配列は表1(上)に記載されており、表中で明らかにされているそれらの配列によって定義されている。そのようなRNAiには、本明細書に記載されているIDO1miR30shRNA2及びPDL1miR30shRNA4配列が含まれるがこれらに限定されない。

0075

本開示の複製レトロウイルスベクターを使用すれば、腫瘍細胞を含む疾患細胞の増殖又は生存を支配する重要な遺伝子の発現のスイッチを切る又は低下させる操作されたsiRNA又はmiRNA(Dennis, Nature, 418: 122 2002)を発現することにより疾患を治療することが可能である。そのような標的には、DNA修復における中心的酵素Rad 51のような遺伝子が含まれ、前記酵素がなければ細胞増殖は劇的に制限される。他の標的には、細胞増殖を制御するシグナル伝達経路分子の多くが含まれる(Marquez & McCaffrey Hum Gene Ther. 19:27 2008)。siRNA又はmiRNAは、本開示の同一又は異なるレトロウイルスベクターからの細胞傷害性遺伝子の発現と組み合わせることができる。適切な細胞傷害性遺伝子の例には、本開示のシトシンデアミナーゼ又は改変シトシンデアミナーゼが含まれる。シトシンデアミナーゼを有する同じベクター又は異なるベクターから発現することが可能なsiRNA又はmiRNAの例は、チミジル酸シンターゼジヒドロピリミジン脱水素酵素又は他の核酸同化若しくは合成酵素を標的とするsiRNA又はmiRNAであって、シトシンデアミナーゼによる5-FC活性化から腫瘍又は組織において局所的に産生される5-FUの作用を増強する又は補完することが可能なsiRNA又はmiRNAである。

0076

使用中は、レトロウイルスベクターは腫瘍又は他の標的組織を通じて複製し、増殖阻害が起こる前に、前記ウイルスは先ず宿主ゲノムに組み込まれ、その細胞の増殖が阻害された後にウイルスを作り続ける。機能的なmiRNA又はsiRNA配列を選択するための方法は当技術分野では既知である。効果的なsiRNA又はmiRNA配列を設計する際の重要な一般的特長は、通常、「オフターゲット」効果を回避することである。しかし、本開示の腫瘍細胞などの腫瘍細胞に高度に特異的である複製ベクターの使用のためには、これらの副作用は、前記細胞が最終的には死滅すると予想されるため、それほど重要ではない。本開示のレトロウイルスベクターは、対応するタンパク質があまり標的とされていない他の種由来の細胞を使用して作製することが可能である。そのような細胞にはイヌ細胞株又はニワトリ細胞株が含まれる。あるいは、前記ウイルスは、効率的な一過性トランスフェクションを可能にするヒト293由来細胞又は他の細胞株での一過性トランスフェクションにより作製される。この使用のために、ウイルスはIRESを利用する必要はなく、siRNA又はmiRNA配列をウイルスゲノム上の都合の良い部位に挿入するだけでよい。この部位には、複製レトロウイルスのエンベロープの下流領域及び3'LTRの上流領域が含まれる。

0077

上記のように、polIII転写単位を適切なsiRNA又はmiRNAと一緒にウイルスゲノムに、典型的には3'エンベロープ遺伝子の下流に挿入することが可能である。いくつかの異なるsiRNA又はmiRNA配列を挿入して、確実に標的遺伝子を効率的に下方制御する又は2個以上の遺伝子を下方制御することが可能である。適切な配列及び標的は当業者には既知の発信元から得ることが可能である。例えば、
MIT/ICBP siRNAデータベースhttp:(//)web.mit.edu/sirna/ - "MIT[マサチューセッツ工科大学]/ICBP[統合生物プログラム(Integrative Cancer Biology Program)] siRNAデータベースは、これらの実験的に確かめられた試薬目録を作り、その情報をMITコミュニティー内外で他の研究者たちが利用できるようにする大学全体の試みである。(マサチューセッツ工科大学)
・RNAiセントラル- http:(//)katahdin.cshl.org.9331/RNAi_web/scripts/main2.pl siRNA及びshRNAデザインツールを含む、RNAiリソース。(ハノン研究室コールドスプリングハーバー研究所)
・RNAi Web - http:(//)www.rnaiweb.com/ ジェネラルリソース.
・siDIRECT - http:(//)genomics.jp/sidirect/哺乳動物RNA干渉のためのオンライン標的特異的siRNAデザインプログラム(東京大学、日本)
・siRNAデータベース - 種々の生物全体のあらゆる既知のmRNA配列に対するsiRNA標的を含有する包括的siRNAデータベース。(Part of the Protein Lounge systems biology Web site)
・siRNA Database and Resources for RNA Interference Studies http:(//)www.rnainterference.org/
・siRNA Selector - http:(//)bioinfo.wistar.upenn.edu/siRNA /siRNA.htm.熱力学パラメータ(Khvorova et al., 2003, Schwarz et al., 2003)及びDharmaconにより開発された配列関連決定要素(Reynoldset al., 2004)に基づいてsiRNA機能性を評価するために一組のルールを使用した。特異性はUniGneデータベースに対してBLASTを使用して決定される。(Wistar Institute)
・siRNA Target Finder http:(//)www(.)ambion.com/techlib/misc/ siRNA_finder.html (Ambion).

0078

別の実施形態では、本開示のベクターはレトロウイルス非複製ベクター(RNV、複製欠損レトロウイルスとしても知られる)を含む。レトロウイルス非複製ベクター(RNV)は、伝播のための重要な遺伝子及びエレメントを欠くように操作されている。例えば、RNVは、1つ以上のpol若しくはenv遺伝子又は宿主細胞における転写及びパッケージングに必要なシス作動性(Ψ)配列を欠く。

0079

本開示のRNVは、少なくとも1つの転写プロモーター/エンハンサー又は遺伝子座定義エレメント(locus defining element)、又は選択的スプライシング核RNA輸出メッセンジャー翻訳後修飾、若しくはタンパク質の転写後修飾などの他の手段により遺伝子発現を制御する他のエレメントを含む。そのようなベクター構築物には、パッケージングシグナル、長末端反復(LTR)又はその一部、並びに使用されるレトロウイルスに適したポジティブ鎖及びネガティブ鎖プライマー結合部位(レトロウイルスベクター中にこれらがまだ存在していない場合)が含まれる。任意に、組換えレトロウイルスベクターは、ポリアデニル化を指示するシグナル、非抗生物質選択可能マーカーなどの選択可能マーカー(例えば、シトシンデアミナーゼ、チミジンキナーゼ等)、並びに1つ以上の制限部位及び翻訳終結配列も含むことができる。例として、そのようなベクターは典型的には、5' LTR、tRNA結合部位、パッケージングシグナル、第二鎖DNA合成の複製起点、及び3' LTR又はその一部を含む。RNV構造のこれら仕様への種々の修飾又は付加は、安全性又は性能を増加することができる使用であってもよい(例えば、Corrigan-Curay et al., Mol Ther op.cit; Stein et al. Hum Gene Ther-Clin Develop 24:86-98 2013,DOI: 10.1089/humc.2013.019参照)。

0080

上述のように、本開示は、少なくとも1つのカセットを担持する又は1つ以上の対象の核酸分子を発現するように構築されている組換えレトロウイルスを提供する。本開示のRNVは、例えば、B、C、及びDタイプのレトロウイルス、並びにスプーマウイルス及びレンチウイルスを含む多種多様なレトロウイルスから容易に構築することができる。典型的には、本開示のRNV送達媒体の調製又は構築のためのレトロウイルスには、トリ白血病ウイルス、ウシ白血病ウイルス、マウス白血病ウイルス、ミンク細胞フォーカス形成ウイルス、マウス肉腫ウイルス細網内皮症ウイルス及びラウス肉腫ウイルスからなる群から選択されるレトロウイルスが含まれる。特定の実施形態では、MLV 4070A及び1504A(Hartley and Rowe, 1976, J. Virol. 19:19-25)、Abelson(ATCCNo.VR-999)、Friend(ATCC No. VR-245)、Graffi、Gross(ATCC No. VR-590)、Kirsten、ハーベイ肉腫ウイルス及びRauscher (ATCC No. VR-998)、並びにモロニーマウス白血病ウイルス(ATCC No. VR-190)などのマウス白血病ウイルスを使用することが可能である。そのようなレトロウイルスは、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(「ATCC」;Manasassas、Va.)などの保管場所若しくは収集物から容易に入手するか、又は一般に利用可能な技法を使用して既知の供給源から単離することができる。

0081

本明細書で提供される本開示、及び標準組換え技法(例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2d ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989; Kunkle, 1985, PNAS 82:488)を考慮すれば、RNV遺伝子送達媒体を組み立てる又は構築するために、上記レトロウイルスのいずれかを容易に利用することができる。さらに、本開示のある種の実施形態内では、レトロウイルス遺伝子送達媒体の一部を異なるレトロウイルスから送達することができる。例えば、本開示の一実施形態内では、レトロウイルスベクターLTRはマウス肉腫ウイルス、tRNA結合部位はラウス肉腫ウイルス、パッケージングシグナルはマウス白血病ウイルス、及び第二鎖合成の複製起点はマウス白血病ウイルスに由来することができる。

0082

別の実施形態では、RNVは、ベクター構築物に欠けている感染性組換えレトロウイルスの産生に必要な要素を含有する細胞(「パッケージング細胞」と呼ばれる)内に上記のベクター構築物を導入することにより作製できる。RNVを調製するために、多種多様なレトロウイルスベクター構築物を本開示内で利用することができる。例えば、本開示の一実施形態内では、5'LTR、tRNA結合部位、パッケージングシグナル、1つ以上のカセット(例えば、異種配列)、第二鎖DNA合成の複製起点及び3' LTRを含み、ベクター構築物がgag/pol又はenvコード配列の全て又は一部を欠くレトロウイルスベクター構築物が提供される。手短に言えば、長末端反復(「LTR」)はU5、R及びU3と名付けられた3つのエレメントに細分化される。これらのエレメントは、例えば、U3内に位置しているプロモーター及びエンハンサーエレメントを含む、レトロウイルスの生物学的活性の原因である種々のシグナルを含有する。LTRは、ゲノムのいずれかの末端でのその正確な重複のために、プロウイルス中で容易に同定することができる。本明細書で使用される場合、5' LTRは、5'プロモーターエレメント並びにDNA型のベクターの逆転写及び組込みを可能にするのに十分なLTR配列を含むと理解するべきである。3' LTRは、ポリアデニル化シグナル並びにDNA型のベクターの逆転写及び組込みを可能にするのに十分なLTR配列を含むと理解するべきである。

0083

tRNA結合部位及び第二鎖DNA合成の複製起点は、レトロウイルスが生物学的に活性であることにとっても重要であり、当業者であれば容易に同定することができる。例えば、レトロウイルスtRNAはワトソンクリック塩基対合によりtRNA結合部位に結合し、レトロウイルスゲノムと共にウイルス粒子内に保有される。次に、tRNAは、逆転写酵素によるDNA合成のためのプライマーとして利用される。tRNA結合部位は、5'LTRから直ぐ下流にあるその位置に基づいて容易に同定することができる。同様に、第二鎖DNA合成の複製起点は、その名が示す通りに、レトロウイルスの第二鎖DNA合成にとって重要である。この領域は、ポリプリントラクトとも呼ばれ、3' LTRの直ぐ上流に位置している。

0084

5'及び3'LTR、tRNA結合部位、並びに第二鎖DNA合成の複製起点に加えて、本明細書で提供されるある種のRNV構築物は、パッケージングシグナル、並びに1つ以上の核酸分子(例えば、異種配列)も含み、これらそれぞれは以下でさらに詳細に論じられる。

0085

一実施形態では、gag/polとenvコード配列の両方を欠くレトロウイルスベクター構築物が提供される。本明細書で使用される場合、語句「gag/pol又はenvコード配列を欠く」とは、レトロウイルスベクターが、gag/pol又はenv遺伝子に、特に、レトロウイルスベクター構築物のためにパッケージング細胞株を構築するのに使用されるgag/pol又はenv発現カセット内に見出される少なくとも20、少なくとも15、少なくとも10、又は少なくとも8連続ヌクレオチドを含有しないことを意味すると解釈するべきである。あるいは、pol又はenv配列を欠くが伸長されたパッケージング配列に対応するgag配列を保有するが、ただし翻訳不能化変異がそのgag配列にあるレトロウイルスベクター構築物が提供される。

0086

本開示の異種核酸配列は典型的には、ウイルスLTRプロモーターエンハンサーシグナル又は内部プロモーターの制御下にあるカセットに存在しており、レトロウイルスLTR内に保持されたシグナルはそれでもベクターの宿主細胞ゲノム内への効率的な組込みをもたらすことが可能である。したがって、本開示の組換えレトロウイルスベクター、所望の配列、遺伝子及び/又は遺伝子断片をいくつかの部位に及び異なる制御配列下に挿入することが可能である。例えば、挿入用の部位はウイルスエンハンサー/プロモーター近位部位(すなわち、5' LTR駆動遺伝子座)であることが可能である。あるいは、所望の配列を遠位部位(例えば、env遺伝子の3'側IRES配列、env遺伝子の3'側RSV配列、及び/又はenv遺伝子の3'側のH1若しくはU6プロモーター配列の下流)に挿入することが可能であり、或いは2つ以上の異種配列が存在する場合には、1つの異種配列は第一の調節領域の制御下に、第二の異種配列は第二の調節領域の制御下にあってもよい。他の遠位部位には、ウイルスプロモーター配列が含まれ、所望の配列の発現がプロモーター近位シストロンのスプライシングを通じて行われる場合には、SV40若しくはCMVの内部異種プロモーター又は内部リボソーム進入部位(IRES)を使用することが可能である。

0087

さらに、このプロモーターの一覧表網羅している又は限定していると解釈するべきではなく、当業者であれば、本明細書に開示されるプロモーター及び方法と併せて使用することができる他のプロモーターについて知っているであろう。

0088

0089

「組織特異的制御エレメント」は、1つの組織において遺伝子の転写を駆動することができるが、他の組織型では大部分が「サイレント」なままである制御エレメント(例えば、プロモーター)である。しかし、組織特異的プロモーターが、それがサイレントである組織において検出可能な量の「バックグランド」又は「ベース」活性を有しうることは理解されるであろう。プロモーターが標的組織においてどの程度選択的に活性化されるかは選択性比率(標的組織における活性/対照組織における活性)として表すことが可能である。この点に関して、本開示の実施において有用である組織特異的プロモーターは典型的には、約5よりも大きい選択性比率を有する。好ましくは、選択性比率は約15よりも大きい。

0090

ある種のプロモーターは、単一の組織型に活性を制限されてはいないが、それにもかかわらず、1グループの組織では活性であり、別のグループでは活性が低い又はサイレントなことがある点で選択性を示すことができることはさらに理解されるであろう。そのようなプロモーターもまた「組織特異的」とも呼ばれ、本開示内での使用のために企図されている。したがって、本開示で使用される組織特異的制御エレメントは、本開示のシトシンデアミナーゼ活性を有するポリペプチドなどの異種タンパク質の制御への適用性、並びにレトロウイルスベクターにおけるターゲティングポリヌクレオチド配列としての適用性を有する。

0091

上記のように、本開示は、一般的には、抗腫瘍剤の発現を指示するベクター構築物を利用して選択された腫瘍の増殖を阻害する方法に関する。特に、本開示は、温血動物において選択された腫瘍の増殖を阻害するための方法であって、腫瘍の増殖を阻害するように、この構築物が少なくとも1つの抗腫瘍剤の発現を指示する本開示のベクター構築物(例えば、RRV又はRNV)を腫瘍に直接投与するステップを含む、前記方法を提供する。

0092

本開示の文脈では、「選択された腫瘍の増殖を阻害する」とは、(1)腫瘍細胞分裂の直接阻害、若しくは(2)免疫細胞媒介腫瘍細胞溶解のいずれか、又は両方のことであり、これにより腫瘍細胞の全体的な増殖が抑制される。これら2つの機序のいずれかによる腫瘍増殖の阻害は、当業者であれば、多くの周知の方法に基づいて容易に判定することができる。例えば、腫瘍阻害は一定期間にわたって実際の腫瘍サイズを測定することにより判定することができる。あるいは、腫瘍阻害は、当業者に周知である方法を利用して(一定期間にわたり)腫瘍のサイズを推定することにより判定することができる。さらに具体的には、種々の放射線学的撮像法(例えば、単一光子及びポジトロン放出コンピュータ断層撮影;一般に"Nuclear Medicine in Clinical Oncology," Winkler, C. (ed.) Springer-Verlag, New York, 1986参照)、を利用して腫瘍サイズを推定することができる。そのような方法は、例えば、従来の造影剤(例えば、クエン酸ガリウム-67)、並びに代謝物造影、受容体造影、又は免疫学的造影のための特殊な試薬(例えば、放射標識モノクローナル抗体特異的腫瘍マーカー)を含む、種々の造影剤も利用することができる。さらに、超音波("Ultrasonic Differential Diagnosis of Tumors", Kossoff and Fukuda, (eds.),Igaku-Shoin, New York, 1984参照)などの非放射性法を利用して腫瘍のサイズを推定することもできる。

0093

上記の腫瘍阻害を判定するためのin vivo法に加えて、in vivo腫瘍阻害を予測するために種々のin vitro法を利用することができる。代表的な例には、例えば、51Cr放出アッセイ、腫瘍依存性リンパ球増殖(Ioannides et al., J. Immunol. 146(5): 1700-1707, 1991)、腫瘍特異的抗体のin vitro産生(Herlyn et al., J. Immunol. Meth. 73:157-167, 1984)、in vitroでの細胞増殖の細胞性(例えば、CTL,ヘルパーT細胞)又は体液性(例えば、抗体)媒介阻害(Gazit et al., Cancer Immunol. Immunother35:135-144, 1992)によって判定されるリンパ球媒介抗腫瘍細胞溶解活性、及びこれらのアッセイのうちのいずれかでは、細胞前駆体発生頻度の判定が含まれる(Vose, Int. J. Cancer 30:135-142 (1982)、そのような方法の概論はF. Saade et al. Exp Rev Vaccines 11:1459-1470 2012を参照)。

0094

あるいは、他の形態の癌では、腫瘍増殖の阻害は腫瘍マーカーの存在の変化に基づいて判定することができる。例には、前立腺癌の検出のための前立腺特異的抗原(「PSA」)(米国特許第Re.33,405号参照)、並びに結腸直腸及びある種の乳癌の検出のための癌胎児抗原(「CEA」)が含まれる。白血病などのさらに他の種類の癌では、腫瘍増殖の阻害は、代表的な血液細胞数における白血病細胞の数の減少に基づいて判定することができる。

0095

本明細書に記載される方法に従って種々の腫瘍を治療のために選択することができる。固形腫瘍、白血病及びリンパ腫を治療することができる。適切な腫瘍の代表的な例には、メラノーマ、結腸直腸癌、肺癌(大細胞、小細胞扁平上皮及び腺癌)、腎細胞癌、神経膠腫及び乳腺癌が含まれる。

0096

上記のように、本開示に従って種々の抗腫瘍剤を利用することができる。本開示の文脈では、「抗腫瘍剤」とは、上記の選択された腫瘍の増殖を阻害する化合物又は分子を指すと理解される。抗腫瘍剤の代表的な例には、免疫活性化剤及び腫瘍増殖阻害剤が含まれる。手短に言えば、免疫活性化剤は、免疫系が「プライミングされる」ように、腫瘍特異的抗原の免疫認識を改善することにより機能する。プライミングは、リンパ球増殖、分化、又はより高度な親和性相互作用への進展からなることがある。こうしてプライミングされた免疫系は腫瘍細胞をより効果的に阻害するか又は死滅させることになる。免疫活性化は、免疫エフェクター細胞を増殖する、活性化する、又は分化するように作用する免疫モジュレーター(リンパ球と腫瘍細胞間の相互作用に影響を及ぼす分子)及びリンホカインにサブカテゴライズすることができる。免疫モジュレーターの代表的な例には、CD3、ICAM-1、ICAM-2、LFA-1、LFA-3、β-2-ミクログロブリンシャペロン、インターフェロン-α及び-γ、B7/BB1並びに主要組織適合抗原(MHC)が含まれる。リンホカインの代表的な例には、ガンマインターフェロン、腫瘍壊死因子、IL-1、IL-2、IL-3、IL4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-15、IL-23GM-CSF、CSF-1、及びG-CSFが含まれる。これらの因子全てのコード配列は当技術分野では周知である。

0097

上記の抗腫瘍剤をコードする配列は、Genbank又はPubMedなどの公共データベース由来の種々の供給源から入手することができ、商業ベンダーにより新規に合成することが可能である。あるいは、前記配列は、当業者には周知である方法によりcDNAライブラリーからPCR増幅してクローン化することが可能である。抗腫瘍剤をコードする配列を含有するプラスミドは同じようにして又はアメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(ATCC, Manasassas, VA)などの保管場所から入手することができる。上記の抗腫瘍剤をコードする代表的なソース配列には、BBG12(127アミノ酸成熟タンパク質をコードするGM-CSF遺伝子を含有する)、BBG6(ガンマインターフェロンをコードする配列を含有する)、ATCC番号39656(TNFをコードする配列を含有する)、ATCC番号20663(アルファインターフェロンをコードする配列を含有する)、ATCC番号31902、31902及び39517(ベータインターフェロンをコードする配列を含有する)、ATCC番号67024(インターロイキン1βをコードする配列を含有する)、ATCC番号39405、39452、39516、39626及び39673(インターロイキン-2をコードする配列を含有する)、ATCC番号59399、59398、及び67326(インターロイキン-3をコードする配列を含有する)、ATCC番号57592(インターロイキン-4をコードする配列を含有する)、ATCC番号59394及び59395(インターロイキン-5をコードする配列を含有する)、並びにATCC番号67153(インターロイキン-6をコードする配列を含有する)が含まれる。

0098

上記抗腫瘍剤に加えて、本開示は、例えば、2つ以上のサイトカイン、免疫モジュレーター、毒素又は分化因子融合タンパク質を含む抗腫瘍剤も提供する。これに関して好ましい抗腫瘍剤には、アルファインターフェロン--インターロイキン2、GM-CSF-IL-4、GM-CSF-IL-2、GM-CSF-IL-3(米国特許第5,082,927号及び米国特許第5,108,910号参照)、GM-CSF--ガンマインターフェロン、及びガンマインターフェロン--IL-4が含まれる。特定の好ましい実施形態内では、抗腫瘍剤はガンマインターフェロン-インターロイキン-2融合タンパク質である。これらの抗腫瘍剤の構築は、本明細書で提供される本開示を考慮すれば容易に達成することができる。特に好ましい抗腫瘍剤、ガンマインターフェロン--インターロイキン-2の構築は、以下の実施例1Fにさらに詳細に説明されている。

0099

腫瘍増殖阻害剤は、細胞増殖を直接阻害することにより、又は腫瘍細胞を直接死滅させることにより作用する。腫瘍増殖阻害剤の代表的な例には、リシン(ricin)(Lamb et al., Eur. J. Biochem. 148:265-270, 1985)、アブリン(Wood et al., Eur. J. Biochem. 198:723-732, 1991; Evensen, et al., J. of Biol. Chem. 266:6848-6852, 1991: Collins et al., J. of Biol. Chem. 265:8665-8669, 1990; Chen et al, Fed. of Eur. Biochem Soc. 309:115-118, 1992)、ジフテリア毒素(Tweten et al., J. Biol. Chem. 260:10392-10394, 1985)、コレラ毒素(Mekalanos et al., Nature 306:551-557, 1983; Sanchez & Holmgren, PNAS 86:481-485, 1989)、ゲロニン(Stirpe et al., J. Biol. Chem. 255:6947-6953, 1980)、ヨウシュヤマゴボウ(pokeweed)(Irvin, Pharmac. Ther. 21:371-387, 1983)、抗ウイルスタンパク質(Barbieri et al., Biochem. J. 203:55-59, 1982; Irvin et al., Arch. Biochem. & Biophys. 200:418-425, 1980; Irvin, Arch. Biochem & Biophys. 169:522-528, 1975)、トリチン(tritin)、赤痢菌毒素(Calderwood et al., PNAS 84:4364-4368, 1987; Jackson et al., Microb. Path. 2:147- 153, 1987)、及びシュードモナス外毒素A(Carroll and Collier, J. Biol. Chem. 262: 8707-8711, 1987)などの毒素、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVTK) (Field et al., J. gen. Virol. 49:115-124, 1980)、シトシンデミナーゼ、並びに大腸菌グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼが含まれる。腫瘍増殖阻害剤の追加の例には、細胞増殖に必要な重要なタンパク質の細胞合成を妨げる又は免疫増強剤アンタゴニストを阻害することにより腫瘍細胞増殖を阻害するアンチセンス、siRNA及びmiRNA配列が含まれる。アンチセンス配列の例には、アンチセンスチミジンキナーゼ、アンチセンスジヒドロ葉酸還元酵素(Maher and Dolnick, Arch. Biochem. & Biophys. 253:214-220, 1987; Bzik et al., PNAS 84:8360-8364, 1987)、アンチセンスHER2(Coussens et al., Science 230: 1132-1139, 1985)、アンチセンスABL(Fainstein, et al., Oncogene 4:1477-1481, 1989)、アンチセンスMyc(Stanton et al., Nature 310:423-425, 1984)、及びアンチセンスras、並びにヌクレオチド生合成経路における酵素のいずれかをブロックするアンチセンス配列が含まれる。最後に、腫瘍増殖阻害剤には、p53、網膜芽細胞腫(Rb)、並びに結腸直腸癌についてのMCC及びAPCなどの腫瘍抑制剤も含まれる。

0100

上記レトロウイルスベクター構築物と一緒に使用するのに適したパッケージング細胞株は容易に調製され(例えば、PCT Patent Publication No. WO 2010/148203, PCT Patent Publication No. WO 95/30763;及びPCT Patent Publication No. WO 92/05266を参照されたい、これらの開示は本明細書に組み込まれる)、これを利用して組換えベクター粒子の産生のための産生細胞株(ベクター産生細胞株又は「VCLS」とも呼ばれる)を作り出すことができる。いくつかの実施形態内では、パッケージング細胞株はヒトから作られ(例えば、HT1080細胞)、それによって、ヒト血清中での不活性化生存可能な組換えレトロウイルスの産生が可能になる。本開示のいくつかの実施形態では、パッケージング細胞株は、最適なウイルス産生を促進するために機能的インターフェロンガンマ経路を欠く。

0101

マウスモデルをルーチン的に使用して生物学的剤を試験する。本開示のベクターはマウスモデルを使用して分析することが可能である。例えば、マウス腫瘍系を利用して、細胞媒介性免疫応答を少なくとも1つの抗腫瘍剤を発現するベクター構築物の直接投与により増強することが可能であることを示すことができる。例えば、生後6から8週間の雌Balb/C又はC57B1/6マウスに1×105から2×105腫瘍細胞(それぞれCT26又はB16F10)を皮下注射し、この腫瘍細胞をマウス内で1から2週間増殖させることが可能である。こうして得られた腫瘍は、移植片が感染にも潰瘍にも損なわれなければ可変サイズ(通常、体積で1〜4mm3)になり得る。次に、例えば、IFNγなどの抗腫瘍剤を発現する、5から200マイクロリットルの本開示のベクター構築物(最小力価106TU/ml)を腫瘍内に注射する。2日から3日ごとにベクターの複数の注射が腫瘍に与えられる。特定の実験のパラメータに応じて、ベクター調製物性質も同様に変わりうる。ベクターは、ベクター産生細胞株(VCL)由来の濾過された若しくは非濾過上清由来でもあり得、又は濾過、濃縮若しくは透析及び製剤化によりさらに処理することができる。ゲル濾過及びイオン交換クロマトグラフィーなどの他の標準精製技法もベクターを精製するのに利用することができる。例えば、透析を利用してVLCそれ自体により産生されたIFNγ(投与されたら、腫瘍増殖をもたらす可能性がある)を除去することが可能である。透析を使用して、形質導入の考えられる阻害剤も取り除き得る。別の選択肢は、ベクターをより広範に導入するために、IFNγ VCL自体の腫瘍内注射を実施することである。手短に言えば、細胞は、培養液から遠心沈殿させ薬学的に許容できる媒体(例えば、PBSプラス1mg/mlHSA)に再懸濁させた後注射することが可能である。そのような実施形態ではわずか105細胞を使用し得る。ベクター構築物の効力は、原発腫瘍増殖の減少、腫瘍負荷の減少(腫瘍体積の減少により判定される)を測定することにより、又は腫瘍標的細胞に対するT細胞活性の増加の誘導(これらの腫瘍担持動物の脾臓から単離されたリンパ球を使用するin vitroアッセイ系において測定される)により判定することができる。転移性マウス腫瘍モデルでは、効力は、先ず転移性の腫瘍細胞を注射し、腫瘍の体積が1〜4mm3になったら、その腫瘍内にベクターを数回注射することによっても判定することができる。次に、原発腫瘍移植片は2〜3週間後に外科的に摘出し、確立した標的器官(肺、腎臓、肝臓等)への腫瘍転移の減少を計数する。標的器官における腫瘍転移の変化を測定するために、前記器官を摘出し、量し、非腫瘍担持器官と比較することが可能である。さらに、標的器官における腫瘍転移量は、弱拡大手術顕微鏡を使用して目に見える転移小結節の数を計数することにより測定することが可能である。

0102

ヒトでは、ベクター構築物の直接投与の位置は腫瘍の位置に依存する。ヒトIFNγ遺伝子又は抗腫瘍剤をコードする他の配列をベクター投与により固形腫瘍中に直接導入することが可能である(ベクターは前述の通りに精製することができる)。それらは白血病、リンパ腫又は腹水腫瘍にも送達することができる。メラノーマなどの皮膚病変では、ベクターを病変内又は周囲に直接注射することができる。少なくとも105 TUのベクター粒子、典型的には薬学的に許容できる製剤(例えば、10mg/mlマンニトール、1mg/mlHAS、25mM Tris pH7.2及び105mM NaCl)中106を超えるTUを投与するべきである。コンパニオン5-FCコースを使用する場合、対象は150mg/kg/日で1週間の投与である。内部腫瘍性病変では、患部腫瘍はX線、CTスキャン、抗体撮像又は腫瘍局在化分野の当業者に既知の他の方法により局在化し得る。ベクター注射は皮膚を通して内部病変に、或いは気管支鏡検査(肺)、大腸内視鏡検査(結腸直腸又は食道腫瘍)又は動脈内若しくは血管内カテーテル(多くの種類の血管新生化固形腫瘍)の適応により可能である。前記注射は腫瘍病変内又は周囲に可能である。生物学的応答の誘導の効率は、CTL若しくは他のT細胞アッセイにより、又は腫瘍に対する遅延型過敏(DTH)反応により測定することができる。効力及び臨床応答はX線、CTスキャン、若しくは抗体撮像又は腫瘍局在化分野の当業者に既知の他の方法を使用して腫瘍負荷を測定することにより判定することができる。

0103

当業者に理解される通り、特定の宿主において発現を増強するためにコード配列を改変することが有利になり得る。遺伝コードは可能な64のコドンがあって重複しているが、大半の生物がこれらのコドンのサブセットを優先的に使用している。種の中でもっとも頻繁に利用されるコドンは最適コドンと呼ばれ、それほど頻繁に利用されないコドンは珍しい又は低使用コドンに分類される(例えば、Zhang et al. (1991) Gene 105:61-72参照)。コドンは、宿主の好ましいコドン使用頻度を反映するように置換することが可能であり、これは「コドン最適化」又は「種コドンバイアスのための制御」と呼ばれることもあるプロセスである。

0104

例えば、翻訳率を増加させるために又は非最適化配列から産生される転写物と比べて、半減期が長いなどの好ましい特性を有する組換えRNA転写物を産生するために、特定の原核生物又は真核生物宿主により好まれるコドンを含有する最適化されたコード配列を調製することが可能である(Murray et al. (1989) Nucl. AcidsRes. 17:477-508; E.Angov Biotechnol J. 6: 650-659 2011, doi: 10.1002/ biot.201000332も参照)。翻訳終止コドンも宿主優先性を反映するように改変することが可能である。例えば、出芽酵母(S. cerevisiae)及び哺乳動物の好ましい終止コドンはそれぞれUAA及びUGAである。単子葉植物の好ましい終止コドンはUGAであり、昆虫及び大腸菌(E.coli)は終止コドンとしてUAAを使用することを好む(Dalphin et al. (1996) Nucl. Acids Res. 24: 216-218)。

0105

コドン使用頻度バイアスは、生物間でのタンパク質コードDNA配列(遺伝子)におけるコドン発生頻度の差異を指す。コドンは、ポリペプチド鎖中の特定のアミノ酸残基をコードする一続きの3ヌクレオチド(トリプレット)である。DNAには4種のヌクレオチド、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)及びチミン(T)が存在するので、20種類のアミノ酸、及び3個の翻訳終結(ナンセンス)コドンをコードする64個の可能なトリプレットが存在する。この縮重のために、2種類のアミノ酸を除く全てが2個以上のトリプレットによりコードされている。異なる生物が、多くの場合、同一アミノ酸をコードするいくつかのコドンのうちの1つに対して特定の優先性を示す。これらの優先性がどのようにして生じるのかは、分子進化の中の大いに議論されている領域である。

0106

コドン優先性が、変異バイアスと翻訳最適化のための自然淘汰の間の均衡を反映することは一般に認められている。大腸菌(Escherichia coli)又は出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)(パン酵母)のような成長の速い微生物における最適コドンは、そのそれぞれのゲノムtRNAプール組成を反映している。最適コドンはより速い翻訳速度及び高精度を達成するのに寄与すると考えられている。これらの要因の結果として、翻訳選択は、上記生物の場合と実際に同じように、高度に発現されている遺伝子の方が強いと予想される。高い成長速度を示さない、又は小さなゲノムを示す他の生物では、コドン使用頻度最適化は通常存在せず、コドン優先性はその特定のゲノムにおいて見られる特徴的な変異バイアスによって決定される。この例はヒト(Homo sapiens)及びピロリ菌(Helicobacter pylori)である。中間レベルのコドン使用頻度最適化を示す生物には、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)(ショウジョウバエ)、線虫(Caenorhabditis elegans)又はシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)(ニワハタザオ)が含まれる。

0107

0108

上記の通り、ベクターの使用、プロモーター、及び多くの他の関連トピックを含む、本明細書で有用な分子生物学的技法を記載している一般テキスト、並びに商業的、非営利的及び学術的ウェブサイトには、Current Protocols ([www.] currentprotocols.com; [www.]springerprotocols.com; [http://]cshprotocols. chslp.org/; Nature Protocols ([http://www.]nature.com/nprot/index.html; Methodsin Enzymology series ([http://www.]elsevier.com/books/book-series/ methods-in- enzymology)が含まれる。

0109

別の実施形態では、本開示は、細胞増殖障害を有する対象を治療する方法を提供する。前記対象はいかなる哺乳動物でもよく、好ましくはヒトである。前記対象には本開示の組換えベクターを接触させる。前記接触はin vivoでもex vivoでも可能である。本開示のベクターを投与する方法は当技術分野では既知であり、例えば、全身投与、局所投与腹腔内投与筋肉内投与、脳内、脳脊髄、並びに直接に腫瘍又は細胞増殖障害の部位での投与が含まれる。他の投与経路は当技術分野では既知である。

0110

in vitro及び小規模使用のための感染性ベクターは、記載の通りに標的細胞の一過性トランスフェクションにより作られた。典型的には、これは2×106〜2×107形質導入単位(TU)/mlの力価を与える。前記ベクターは、WO2010148203に記載されている通りに、粗調製物として使用する又はさらに精製することが可能である。感染性ベクターは、記載される通りに(WO2010/148203)、永久産生細胞株を使用して作り、無血清及び/又は懸濁培養で増殖させて数百リットルの粗回収物及び臨床的に許容できる製剤中の精製物質を生成することも可能である。精製物質は典型的には約109 TU/mlの力価を有する。

0111

本開示のベクターは、標的腫瘍の特性に従って使用することが可能である。治療は通常、1つ以上の別々に標的されたsiRNA分子と組み合わせて切除ステップを含む。切除ステップは、抗PD-L1 siRNA及びシトシンデアミナーゼをコードするベクターの投与後5-FC投与の使用を通じて可能である。あるいは、切除は、抗PD-L1 siRNAと抗IDO-1 siRNAの両方をコードするベクターの投与前又は後に化学療法を通じて可能である。化学療法は、迅速な免疫回復又は、テモゾロミド(Temolozolomide)若しくはシクロホスファミド(T regs)若しくは5-FC/5-FU (5-FUは骨髄系由来サプレッサー細胞に対し優先的に毒性がある)などの免疫抑制免疫細胞よりも活性化された免疫細胞の優先的回復を可能にすることが知られている任意の薬物も用いることが可能である。

0112

本明細書で記載されるベクターは、単一薬剤の投与に対して有利であることが分かっている薬剤の組み合わせの長期送達を可能にする。ベクターは腫瘍内に、摘出後の切除空洞内に、又は静脈内に送達することが可能である。腫瘍内又は切除空洞注射は局所病変後退を引き起こすが、免疫応答を通じた遠隔病変の抑制と共に全身作用ももたらすことが可能である。腫瘍内又は切除空洞は、単回注射で、あるいは3、6、12、24又は36か月の間隔をあけた連続投与による106 TUから1011 TUの間であり得る。静脈内投与は最大1000倍までの用量を使用するが、おそらく約100又は10倍である。静脈内ベクターは好ましくは、複数の連続日に、例えば、動物と同じく3日間毎日又は5日間毎日又は7日間毎日送達される(Huang et al., Hum Gen Ther 26:82-93, 2015)。あるいは、前記送達は連続していない複数日でも可能である。

0113

したがって、本開示は細胞増殖障害を治療するのに有用な種々の医薬組成物を含む。本開示に従った医薬組成物は、本開示に従って細胞増殖障害を治療する又は調節するのに有用な異種ポリヌクレオチド配列を含有するベクターを、担体賦形剤及び添加剤又は助剤を使用して対象への投与に適した形態にすることにより調製される。頻繁に使用される担体又は助剤には、炭酸マグネシウム二酸化チタンラクトース、マンニトール及び他の糖、タルク牛乳タンパク質、ゼラチンデンプンビタミンセルロース及びその誘導体、動物及び植物オイルポリエチレングリコール並びに減菌水、アルコールグリセリン及び多価アルコールなどの溶媒が含まれる。静脈内溶媒には、液体及び栄養補充液が含まれる。保存剤には抗微生物剤抗酸化剤キレート剤及び不活性ガスが含まれる。他の薬学的に許容される担体には、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 15th ed. Easton: Mack Publishing Co., 1405-1412, 1461-1487 (1975)及びThe National Formulary XIV., 14th ed. Washington: American Pharmaceutical Association (1975)に記載される塩、保存剤、バッファー等を含む、水溶液、非毒性賦形剤が含まれ、前記文献の内容は参照により本明細書に組み込まれる。前記医薬組成物の種々の成分のpH及び正確な濃度は当技術分野のルーチン技術に従って調整される。Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis for Therapeutics (7th ed.)を参照されたい。

0114

以下の実施例は、本開示を説明することを意図しており、限定するものではない。そのような実施例は使用される可能性のある実施例に典型的なものであるが、当業者に既知の他の手順を代わりに利用し得る。

0115

ヒト腫瘍浸潤リンパ球(TIL)は、同族細胞標的で刺激されると、腫瘍特異的免疫応答を引き起こすことが可能である。具体的には、腫瘍又は適合したHLA分子の文脈において提示される腫瘍特異的抗原ペプチドを発現している抗原提示細胞などの標的はTIL上のT細胞受容体(TCR)に結合することが可能であり、これによりシグナル伝達カスケードが開始され、最終的にTILを駆動して、増殖させ、細胞表面活性化マーカーを発現させ、TNF-アルファ及びインターフェロンガンマなどのエフェクターサイトカインを産生させる(IFNg, Smith-Garvin et al., Annu Rev Immunol 27: 591-619, 2009)。適合した腫瘍と相互作用しているTILは、実験的免疫療法の基礎的免疫学機序を理解する又は免疫学的パラメータを評価するのに有用なツールとなりうる。

0116

[実施例1:IDo1発現は神経膠腫においてIFNγにより誘導される]
神経膠腫中で上方制御されていることが知られているIDO1発現はIFNγにより誘導される。IFNγ誘導後神経膠腫細胞株のパネルをそのIDO1発現について調査した。図2は、IDO1(1:1500での抗ヒトIDO1、Cell Signaling)がIFNγにより上方制御されており、誘導のレベルは神経膠腫細胞株によって異なることを示している。GAPDH(1:500での抗ヒトGAPDH、Cell Signaling)検出は負荷対照として含めた。

0117

[実施例2:PD-L1細胞表面発現は神経膠腫及び他の腫瘍細胞株においてIFNγにより誘導される]
PDL1発現は神経膠腫及び他の腫瘍細胞株において上方制御されていることが知られている。その発現はIFNγによりさらに誘導することが可能である。神経膠腫細胞株を含む癌細胞株のパネルを、IFNγ誘導前と後でそのPDL1発現(抗ヒトPD-L1抗体、eBioscience)について調査する。図3は、PDL1の基礎発現が細胞株によって異なり、ここで試験された細胞株の全てではないが大半がIFNγに応答性でありPDL1発現をさらに誘導することを示している。

0118

[実施例3:TGFβ1及び2発現は神経膠腫及び他の腫瘍細胞株のパネルにおいて上方制御されている]
TGFβ1及びTGFβ2発現は神経膠腫及び他の腫瘍細胞株において上方制御されていることが知られている。神経膠腫細胞株を含む癌細胞株のパネルを、ヒトTGFβアイソフォーム特異的Taqmanプライマー(Life Technology)を使用してIFNγ処理前と後にそのTGFβ1、2及び3発現について調査した。図4は、TGFβ1、2及び3発現レベルが細胞株によって異なることを示している。いくつかはTGFβ1を多く発現し、他の細胞株はTGFβ2を多く発現している。全ての場合で、TGFβ3発現は低い。IDO1及びPDL1とは対照的に、TGFβ1、2及び3発現はIFNγにより誘導されない。

0119

[実施例4:IDO1、PDL1及びTGFβ2に対するpAC3-U6shRNA及びpAC3- U6miR30shRNAのクローニング及び特徴付け]
複製コンピテントレトロウイルスベクター、pAC3-U6-miR30shRNAは、pAC3-yCD2(配列番号1)の骨格に由来するものであった。pAC3骨格は、Mlu I及びNot Iを用いたpAC3-yCD2プラスミドDNAのエンドヌクレアーゼ消化により単離した。U6-shRNAカセットは、ヒトU6プロモーター並びにIDO1、PDL1及びTGFβ2を標的とする標的特異的shRNA配列を含有する。U6-miR30shRNAカセットは、U6プロモーター並びにIDO1、PDL1及びTGFβ2を標的とするマイクロRNA30(miR30)骨格に包埋されている標的特異的shRNA配列を含有する(図5)。それぞれのU6miR30shRNADNA断片は、pAC3骨格中の対応する部位でのそれに続く挿入のために前記DNA断片のそれぞれの末端に存在するMlu I及びNot I制限酵素部位を用いて合成した。

0120

ベクターストックは、リン酸カルシウム法を使用して293T細胞内へのベクターコードプラスミドDNAの一過性トランスフェクションにより産生した。トランスフェクションの48時間後、ベクターを含有する上清を収集し、0.45μmのシリンジフィルターを通して濾過し、直ちに使用するかその後の使用のために-80℃でアリコートにして保存した。これらのベクター由来の力価値は、プライマーセット(5-MLV-U3-B: 5'-AGCCCACAACCCCTCACTC-3'(配列番号2)、3-MLV-Psi: 5'-TCTCCCGATCCCGGACGA-3'(配列番号3)。プローブ:FAM-5'- CCCCAAATGAAAGACCCCCGCTGACG-3'-BHQ1(配列番号4))を使用してqPCR法によりPC3細胞上で決定した。20マイクロリットルの収集したベクターストックを使用して、ヒト前立腺癌細胞、PC3に感染させた。感染の48時間後、感染したPC3細胞のゲノムDNAを力価アッセイのために抽出した。ベクターストックの力価は、コピー数既知の標準を包含してqPCRにより決定した。

0121

0.1のMOIを使用して、顕著なレベルのIDO1、PDL1及びTGFβ2を発現することが知られているLN18細胞に感染させた。特定の標的遺伝子ごとのmiR30shRNAのノックダウン活性は、タンパク質レベル直接測定した。感染後のおよそ14日目、pAC3-U6-30shRNA及びpAC3-U6miR30shRNAベクターを感染させた細胞を、対象の標的遺伝子に応じて、異なるアッセイのために採収し、shRNAノックダウン活性を測定した。

0122

pAC3-U6-IDO1shRNA又はpAC3-U6-IDO1miR30shRNAベクターを感染させたLN18細胞を、IFNγ誘導後、IDO1発現レベルの定性分析のために回収した。図6は、pAC3-U6-IDO1shRNA2、pAC3-U6-IDO1miR30shRNA1及びpAC3-U6-IDOmiR30shRNA2が非感染細胞と比べてIDO1に対して50%を超えるノックダウン活性を有することを示している。同様に、pAC3-U6-PDL1miR30shRNA4ベクターを感染させたLN18及びLN229細胞も50%を超えるノックダウン活性を有する(図7)。TGFβ2ノックダウン活性の測定では、pAC3-U6-TGFb2shRNA1、pAC3-U6-TGFb2shRNA2又はpAC3-U6- TGFb2shRNA3ベクターを感染させていない又は完全に感染させたLN18細胞をT25フラスコ内で同数の細胞と共に播種する。コンフルエント細胞密度からの上清を収集して、ELISA(R&D Systems)により生理活性TGFβ2のレベルを測定した。図8は、pAC3-U6-TGFb2shRNA1、pAC3-U6-TGFb2shRNA2及びpAC3-U6TGFb2shRNA4が50%を超えるノックダウン活性を有することを示している。さらに、IFNγ処理及びshRNAはTGFβ2下方制御に対して相乗効果を有する。

0123

上記のIDO1、PDL1又はTGFβ2に対するいくつかのpAC3-U6-miR30shRNAベクターのベクター安定性は、感染LN18細胞におけるエンドポイントPCRにより評価した。0.1のMOIでベクターに感染した細胞は最大21日間継代培養される。ゲノムDNAは感染細胞から抽出され、続いて3' envと3'UTR領域にまたがるプライマーセット(UCLA-5-127: 5'- CTGATCTTACTCTTTGGACCTTG-3' (配列番号5); UCLA-3-37: 5'- CCCCTTTTTCTGGAGACTAAATAA-3' (配列番号6))を使用してエンドポイントPCRを行った。図9は、pAC3-U6-IDO1miR30shRNA1、pAC3-U6-IDO1miR30shRNA2、pAC3-U6-PDL1miR30shRNA4、pAC3-U6-TGFb2miR30shRNA1、pAC3-U6-TGFb2miR30shRNA2、及びpAC3-U6-TGFb2miR30shRNA4がLN18細胞中で安定であることを示している。

0124

[実施例5:IDO1、PDL1に対するpAC3-H1-miR30shRNAのクローニング及び特徴付け]
複製コンピテントレトロウイルスベクター、pAC3-H1-IDO1miR30shRNA及びpAC3-H1-PDL1miR30shRNAは、pAC3-yCD2(配列番号1)の骨格に由来する。pAC3骨格は、Mlu I及びNot Iを用いたpAC3-yCD2プラスミドDNAのエンドヌクレアーゼ消化により単離した。H1-miR30shRNAカセットは、ヒトH1プロモーター並びにIDO1及びPDL1を標的とする標的特異的shRNA配列を含有する(図5)。それぞれのH1miR30shRNADNA断片は、pAC3骨格中の対応する部位でのそれに続く挿入のために前記DNA断片のそれぞれの末端に存在するMlu I及びNot I制限酵素部位を用いて合成した。

0125

ベクターストックは、リン酸カルシウム法を使用して293T細胞内へのベクターコードプラスミドDNAの一過性トランスフェクションにより産生した。トランスフェクションの48時間後、ベクターを含有する上清を収集し、0.45μmのシリンジフィルターを通して濾過し、直ちに使用するかその後の使用のために-80℃でアリコートにして保存した。これらのベクター由来の力価値は、プライマーセット(5-MLV-U3-B : 5'-AGCCCACAACCCCTCACTC-3' (配列番号:2)、3-MLV-Psi: 5'-TCTCCCGATCCCGGACGA-3' (配列番号3)。プローブ:FAM-5'- CCCCAAATGAAAGACCCCCGCTGACG-3'-BHQ1 (配列番号4))を使用してqPCR法によりPC3細胞上で決定した。20マイクロリットルの収集したベクターストックを使用して、ヒト前立腺癌細胞、PC3に感染させた。感染の48時間後、感染したPC3細胞のゲノムDNAを力価アッセイのために抽出した。ベクターストックの力価は、コピー数既知の標準を包含してqPCRにより決定した。

0126

0.1のMOIを使用して、顕著なレベルのIDO1及びPDL1を発現することが知られているLN18細胞に感染させた。特定の標的遺伝子ごとのmiR30shRNAのノックダウン活性は、タンパク質レベルで直接測定した。感染後のおよそ14日目、pAC3-H1-miR30shRNAベクターを感染させた細胞を、対象の標的遺伝子に応じて、異なるアッセイのために回収し、shRNAノックダウン活性を測定した。

0127

pAC3-H1IDO1shRNAベクターを感染させたLN18細胞を、IFNγ誘導後、IDO1発現レベルの定性分析のために回収した。図10は、pAC3-H1-IDO1miR30shRNA2が非感染細胞と比べてIDO1に対して50%を超えるノックダウン活性を有することを示している。同様に、pAC3-H1-PDL1miR30shRNA4ベクターを感染させたLN18細胞も50%を超えるノックダウン活性を示した(図11)。

0128

上記のIDO1又はPDL1に対するいくつかのpAC3-H1-miR30shRNAベクターのベクター安定性は、感染LN18細胞におけるエンドポイントPCRにより評価した。0.1のMOIでベクターに感染した細胞は最大21日間継代培養された。ゲノムDNAは感染細胞から抽出され、続いて3' envと3'UTR領域にまたがるプライマーセット(UCLA-5-127: 5'- CTGATCTTACTCTTTGGACCTTG-3' (配列番号5); UCLA-3-37: 5'- CCCCTTTTTCTGGAGACTAAATAA-3' (配列番号6))を使用してエンドポイントPCRを行った。図12は、pAC3-H1-IDO1miR30shRNA2及びpAC3-H1-PDL1miR30shRNA4がLN18細胞中で安定していることを示している。

0129

[実施例6:IDO1、PDL1に対するpAC3-RSV-miR30shRNAのクローニング及び特徴付け]
複製コンピテントレトロウイルスベクター、pAC3-RSV-IDO1miR30shRNA及びpAC3-RSV-PDL1miR30shRNAは、pAC3-yCD2(配列番号1)の骨格に由来する。pAC3骨格は、Mlu I及びNot Iを用いたpAC3-yCD2プラスミドDNAのエンドヌクレアーゼ消化により単離した。RSVmiR30shRNAカセットは、RSVプロモーター並びにIDO1及びPDL1を標的とする標的特異的shRNA配列を含有する(図5)。それぞれのRSVmiR30shRNADNA断片は、pAC3骨格中の対応する部位でのそれに続く挿入のために前記DNA断片のそれぞれの末端に存在するMlu I及びNot I制限酵素部位を用いて合成した。

0130

ベクターストックは、リン酸カルシウム法を使用して293T細胞内へのベクターコードプラスミドDNAの一過性トランスフェクションにより産生した。トランスフェクションの48時間後、ベクターを含有する上清を収集し、0.45μmのシリンジフィルターを通して濾過し、直ちに使用するかその後の使用のために-80℃でアリコートにして保存した。これらのベクター由来の力価値は、プライマーセット(5-MLV-U3-B: 5'-AGCCCACAACCCCTCACTC-3' (配列番号:2)、3-MLV-Psi: 5'-TCTCCCGATCCCGGACGA-3' (配列番号3)。プローブ:FAM-5'- CCCCAAATGAAAGACCCCCGCTGACG-3'-BHQ1 (配列番号4))を使用してqPCR法によりPC3細胞上で決定した。20マイクロリットルの収集したベクターストックを使用して、ヒト前立腺癌細胞、PC3に感染させた。感染の48時間後、感染したPC3細胞のゲノムDNAを力価アッセイのために抽出した。ベクターストックの力価は、コピー数既知の標準を包含してqPCRにより決定した。

0131

0.1のMOIを使用して、顕著なレベルのIDO1及びPDL1を発現することが知られているLN18細胞に感染させた。特定の標的遺伝子ごとのmiR30shRNAのノックダウン活性は、タンパク質レベルで直接測定する。感染後のおよそ14日目、pAC3-RSV-miR30shRNAベクターを感染させた細胞を、対象の標的遺伝子に応じて、異なるアッセイのために回収し、shRNAノックダウン活性を測定した。

0132

pAC3-RSV-IDO1shRNAベクターを感染させたLN18細胞を、IFNγ誘導後、IDO1発現レベルの定性分析のために回収した。図10は、pAC3-RSV-IDO1miR30shRNA2が非感染細胞と比べてIDO1に対して50%を超えるノックダウン活性を有することを示している。同様に、pAC3-RSV-PDL1miR30shRNA4ベクターを感染させたLN18細胞も50%を超えるノックダウン活性を示した(図13)。

0133

上記のIDO1又はPDL1に対するいくつかのpAC3-RSV-PDL1miR30shRNAベクターのベクター安定性は、感染LN18細胞におけるエンドポイントPCRにより評価した。0.1のMOIでベクターに感染した細胞は最大21日間継代培養される。ゲノムDNAは感染細胞から抽出され、続いて3' envと3'UTR領域にまたがるプライマーセット(UCLA-5-127: 5'- CTGATCTTACTCTTTGGACCTTG-3' (配列番号5); UCLA-3-37: 5'- CCCCTTTTTCTGGAGACTAAATAA-3' (配列番号6))を使用してエンドポイントPCRを行った。図12は、pAC3-RSV- IDO1miR30shRNA2及びpAC3-RSV-PDL1miR30shRNA4がLN18細胞中で安定していることを示している。

0134

[実施例7:pAC3-RSV-yCD2-IDO1miR30shRNA2及びpAC3-RSV-yCD2-PDL1miR30sh RNA4のクローニング及び特徴付け]
複製コンピテントレトロウイルスベクター、pAC3-RSV-yCD2-IDO1miR30shRNA2及びpAC3-RSV-yCD2-PDL1miR30shRNA4は、pAC3-yCD2(配列番号1)の骨格に由来する。pAC3骨格は、Mlu I及びNot Iを用いたpAC3-yCD2プラスミドDNAのエンドヌクレアーゼ消化により単離した。RSV-yCD2-miR30shRNAカセットは、RSVプロモーター並びにIDO1及びPDL1を標的とする標的特異的shRNA配列を含有する(図5)。それぞれのRSV-yCD2-miR30shRNADNA断片は、pAC3骨格中の対応する部位でのそれに続く挿入のために前記DNA断片のそれぞれの末端に存在するMlu I及びNot I制限酵素部位を用いて合成した。

0135

ベクターストックは、リン酸カルシウム法を使用して293T細胞内へのベクターコードプラスミドDNAの一過性トランスフェクションにより産生した。トランスフェクションの48時間後、ベクターを含有する上清を収集し、0.45μmのシリンジフィルターを通して濾過し、直ちに使用するかその後の使用のために-80℃でアリコートにして保存した。これらのベクター由来の力価値は、プライマーセット(5-MLV-U3-B : 5'-AGCCCACAACCCCTCACTC-3' (配列番号:2)、3-MLV-Psi: 5'-TCTCCCGATCCCGGACGA-3' (配列番号3)。プローブ:FAM-5'- CCCCAAATGAAAGACCCCCGCTGACG-3'-BHQ1 (配列番号4))を使用してqPCR法によりPC3細胞上で決定する。20マイクロリットルの収集したベクターストックを使用して、ヒト前立腺癌細胞、PC3に感染させた。感染の48時間後、感染したPC3細胞のゲノムDNAを力価アッセイのために抽出した。ベクターストックの力価は、コピー数既知の標準を包含してqPCRにより決定した。

0136

0.1のMOIを使用して、顕著なレベルのIDO1及びPDL1を発現することが知られているLN18細胞に感染させた。特定の標的遺伝子ごとのmiR30shRNAのノックダウン活性は、タンパク質レベルで直接測定した。感染後のおよそ14日目、pAC3-H1miR30shRNAベクターを感染させた細胞を、対象の標的遺伝子に応じて、異なるアッセイのために採収し、shRNAノックダウン活性を測定した。

0137

pAC3-RSV-yCD2-IDO1miR30shRNAベクターを感染させたLN18細胞を、IFNγ誘導後、IDO1発現レベルの定性分析のために回収した。図10は、pAC3-RSV-yCD2-IDO1miR30shRNA2が非感染細胞と比べてIDO1に対して50%を超えるノックダウン活性を有することを示している。同様に、pAC3-RSV- yCD2-PDL1miR30shRNA4ベクターを感染させたLN18細胞もおよそ50%のノックダウン活性を示した(図14)。

0138

上記のIDO1又はPDL1に対するいくつかのpAC3-RSV-yCD2miR30shRNAベクターのベクター安定性は、感染LN18細胞におけるエンドポイントPCRにより評価した。0.1のMOIでベクターに感染した細胞は最大21日間継代培養される。ゲノムDNAは感染細胞から抽出され、続いて3' envと3'UTR領域にまたがるプライマーセット(UCLA-5-127: 5'- CTGATCTTACTCTTTGGACCTTG-3' (配列番号5); UCLA-3-37: 5'- CCCCTTTTTCTGGAGACTAAATAA-3' (配列番号6))を使用してエンドポイントPCRを行った。図12は、pAC3-RSV-yCD2-IDO1miR30shRNA2及びpAC3-RSV-yCD2-PDL1miR30shRNA4がLN18細胞中で安定していることを示している。

0139

[実施例8:pAC3-RSV-yCD2-U6-IDO1miR30shRNA2及びpAC3-RSV-yCD2-U6-PDL1miR30shRNA4のクローニング及び特徴付け]
複製コンピテントレトロウイルスベクター、pAC3-RSV-yCD2-U6-IDO1miR30shRNA2及びpAC3-RSV-yCD2-U6-PDL1miR30shRNA4は、pAC3-yCD2の骨格に由来する。pAC3骨格は、Mlu I及びNot Iを用いたpAC3-yCD2プラスミドDNAのエンドヌクレアーゼ消化により単離した。RSV-yCD2-U6-miR30shRNAカセットは、RSVプロモーター並びにIDO1及びPDL1を標的とする標的特異的shRNA配列を含有する(図5)。それぞれのRSV-yCD2-U6-miR30shRNADNA断片は、pAC3骨格中の対応する部位でのそれに続く挿入のために前記DNA断片のそれぞれの末端に存在するMlu I及びNot I制限酵素部位を用いて合成した。

0140

ベクターストックは、リン酸カルシウム法を使用して293T細胞内へのベクターコードプラスミドDNAの一過性トランスフェクションにより産生した。トランスフェクションの48時間後、ベクターを含有する上清を収集し、0.45μmのシリンジフィルターを通して濾過し、直ちに使用するかその後の使用のために-80℃でアリコートにして保存した。これらのベクター由来の力価値は、プライマーセット(5-MLV-U3-B : 5'-AGCCCACAACCCCTCACTC-3' (配列番号:2)、3-MLV-Psi: 5'-TCTCCCGATCCCGGACGA-3' (配列番号3)。プローブ:FAM-5'- CCCCAAATGAAAGACCCCCGCTGACG-3'-BHQ1 (配列番号4))を使用してqPCR法によりPC3細胞上で決定した。20マイクロリットルの収集したベクターストックを使用して、ヒト前立腺癌細胞、PC3に感染させた。感染の48時間後、感染したPC3細胞のゲノムDNAを力価アッセイのために抽出した。ベクターストックの力価は、コピー数既知の標準を包含してqPCRにより決定した。

0141

0.1のMOIを使用して、顕著なレベルのIDO1及びPDL1を発現することが知られているLN18細胞に感染させた。特定の標的遺伝子ごとのmiR30shRNAのノックダウン活性は、タンパク質レベルで直接測定する。感染後のおよそ14日目、pAC3-RSV-yCD2-U6-miR30shRNAベクターを感染させた細胞を、対象の標的遺伝子に応じて、異なるアッセイのために回収し、shRNAノックダウン活性を測定した。

0142

pAC3-RSV-yCD2-U6-IDO1miR30shRNAベクターを感染させたLN18細胞を、IFNγ誘導後、IDO1発現レベルの定性分析のために回収した。図10は、pAC3-RSV-IDO1-U6-miR30shRNA2が非感染細胞と比べてIDO1に対して50%を超えるノックダウン活性を有することを示している。同様に、pAC3-RSV-yCD2-U6-PDL1miR30shRNA4ベクターを感染させたLN18細胞もおよそ40%のノックダウン活性を示した(図15)。

0143

上記のIDO1又はPDL1に対するいくつかのpAC3-RSV-yCD2-U6-miR30shRNAベクターのベクター安定性は、感染LN18細胞におけるエンドポイントPCRにより評価した。0.1のMOIでベクターに感染した細胞は最大21日間継代培養される。ゲノムDNAは感染細胞から抽出され、続いて3' envと3'UTR領域にまたがるプライマーセット(UCLA-5-127: 5'- CTGATCTTACT CTTTGGACCTTG-3' (配列番号5); UCLA-3-37: 5'- CCCCTTTTTCTGGAG ACTAAATAA-3' (配列番号6))を使用してエンドポイントPCRを行った。図12は、pAC3-RSV-yCD2-U6-IDO1miR30shRNA2及びpAC3-RSV-yCD2-U6-PDL1miR30shRNA4がLN18細胞中で安定していることを示している。

0144

[実施例9:標的細胞株(FEMX)とのTIL株(1520 TIL)の共培養によりT細胞が活性化されIFNγが産生される]
腫瘍標的上でPD-L1発現を調節する免疫学的効果を、分化抗原gp100を発現しているFEMXメラノーマ細胞株に対して反応性のメラノーマベースのTIL(1520 TIL)を使用して調べた(Voss et al., Immunol Res 45: 13-24, 2008)。先ず、標準12時間細胞サイトカイン放出(ICS)アッセイにおいて測定した場合、TIL腫瘍系は腫瘍特異的な形でIFNγを産生した。データは図16に示している。単独で培養した場合1%のCD3+CD8+ TILがIFNγを産生した(図16A上右象限)が、腫瘍と共培養した場合24%を超えるCD3+CD8+ TILがIFNを産生した(図16B上右象限)。

0145

[実施例10:PD-L1をブロックするとIFNγを産生する腫瘍特異的CD8+ T細胞の発生頻度が増加する]
実施例9での実験は、TILを共培養に最終濃度10μg/mlまで添加する直前に10μgのブロッキング抗PD-L1抗体(Biolegend clone 29E.2A3)をFEMX腫瘍に添加するアームも含んでいた。本研究のこのアームの結果は、PD-L1遮断活性IFNガンマを産生するT細胞の画分を24.4%から37.3%に増強することを示した(図16C上右象限)。CFSE増殖アッセイ又は多染性フローサイトメトリーベースの表現型分析などの他の免疫学的エンドポイントを使用すれば、TIL系でのPD-L1対PD-1軸のこの摂動の効果を確認することが可能であり、その結果は他のT細胞対腫瘍ペアにおいて実証することが可能である。

0146

[実施例11:RRV-PDL1miR30shRNAの感染後のPD-L1遺伝子発現のノックダウン]
FEMX細胞に、図20に示されるPD-L1shRNAを発現しているRRVベクターを0.1の感染多重度(MOI)で感染させた。前記感染は腫瘍細胞が最大限に感染するまで進行させ、PD-L1の細胞表面発現はフローサイトメトリーにより測定した。PD-L1shRNAを発現しているRRVベクターを形質導入したFEMX腫瘍は、親及び非特異的shRNA腫瘍株と比べた場合、PD-L1の発現の著しいノックダウンを示した。

0147

[実施例12:腫瘍標的におけるPD-L1のRRV媒介下方制御はT細胞認識及び活性化を増加させる]
FEMX細胞を実施例3に記載される通りに処置し、実施例1及び2に示される実験を、標的FEMX株をRRV抗PD-L1調節された及び非調節の形態で繰り返した。PD-L1発現のこの調節は、実施例10の読み取り情報を使用して我々のTIL系において測定した場合、遮断抗体匹敵するレベルで腫瘍特異的T細胞機能を増強した。CFSE増殖アッセイ又は多染性フローサイトメトリーベースの表現型分析などの他の免疫学的エンドポイントを使用すれば、TIL系でのPD-L1対PD-1軸のこの摂動の効果を確認することが可能であり、その結果は他のT細胞対腫瘍ペアにおいて実証することが可能である。

0148

[実施例13:トリプトファンの枯渇及びその後のキヌレニン産生は腫瘍細胞中のIDOの含量と関係している]
キヌレニン(トリプトファン異化反応の毒性代謝物)の濃度を増加させながらの完全培地からの必須アミノ酸トリプトファンの枯渇は、大量のIDOを発現する腫瘍を培養しているときに起こる。腫瘍中のIDOの発現レベルはIDOcDNA配列を発現しているレンチウイルスベクター(Origene)を安定的に形質導入することにより調節することが可能である。親、対照(スクランブル配列)及びIDO過剰発現LN-18(ヒト神経膠腫)を500UのIFNγと一緒に72時間培養し、ウェスタンブロットによりIDOの発現並びにELISA(Rocky Mountain Diagnostic)によりトリプトファン及びキヌレニンのレベルについてアッセイする。ウェスタンにより検出されるIDO酵素の発現は、ELISAにより検出されるキヌレニンの増加及びトリプトファンの減少と強く相関している。

0149

[実施例14:IDO+腫瘍と共培養されたT細胞はトリプトファンの欠如と大量のキヌレニンによりアネルギー化される]
上清を親、対照(スクランブル配列)及びIDO過剰発現LN-18の72時間培養物から単離し、これを末梢血単核球(PBMC)刺激アッセイのための培養培地として使用する。健常ドナーから単離されたCFSE標識(Thermo)PBMCを一晩抗CD3/CD28ビーズ(Milteny)でポリクローナル的に刺激し、3つのエンドポイント、すなわち、ELISAにより測定された場合のIFN-及びTNF-αの分泌、CFSEの希釈により決定された場合のT細胞の増殖、並びにフローサイトメーター上での活性化マーカーCD69、CD25及びCD71の細胞表面発現レベルを使用して、T細胞機能に対するキヌレニン及びトリプトファン濃度の影響を測定する(Critchley et al.,PLoS Med., 4(5), 2007)。3つのエンドポイント全てからの結果は互いに揃っており、IDO過剰発現LN-18由来の上清中で培養されたPBMCは、親又は対照LN-18由来の上清中で培養されたPBMCと比べて、比較的限られた増殖、サイトカイン放出及び活性化マーカーの発現を示す。

0150

[実施例15:RRV-IDO1miR30shRNAの感染後のIDO遺伝子発現のノックダウン]
LN-18細胞に図20に示されるIDOshRNAを発現しているRRVベクターを使用して0.1のMOIで感染させた。前記感染は腫瘍細胞が最大限に感染するまで進行させ、IDOの発現はウェスタンブロット(Cell Signaling)により測定した。IDOshRNAを発現しているRRVベクターを形質導入したLN-18腫瘍は、IFN-γで処理した場合の親及び非特異的shRNA腫瘍株と比べた場合、IDO-1の発現の著しいノックダウンを示した(図6及び10)。

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