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技術 筋萎縮性側索硬化症を処置するためのrAAVベースの組成物および方法

出願人 ユニバーシティオブマサチューセッツ
発明者 ミュラー,クリスチャンブラウン,ロバート,エイチ.,ジュニア
出願日 2015年3月18日 (6年1ヶ月経過) 出願番号 2017-501101
公開日 2017年4月13日 (4年1ヶ月経過) 公開番号 2017-510298
状態 特許登録済
技術分野 酵素、微生物を含む測定、試験 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 微生物、その培養処理 動物,微生物物質含有医薬 他の有機化合物及び無機化合物含有医薬 酵素・酵素の調製 化合物または医薬の治療活性 突然変異または遺伝子工学
主要キーワード 導入チャンバー 計測アルゴリズム カット速度 マイクロチップデバイス デジタル画像解析 相対的変化 ライトグレー 膜間空間
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重要な関連分野

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図面 (20)

課題・解決手段

C9orf72遺伝子によりコードされるpre−mRNAおよびmRNAの両方を標的とする阻害性核酸、SOD1 mRNAを標的とするmiRNA、およびrAAVベース送達組成物、に関する方法およびキットが開示される。方法は、筋萎縮性側索硬化症処置するために特に有用である。

概要

背景

発明の背景
筋萎縮性側索硬化症ALS)は、一般に致命的な進行性運動ニューロン疾患であり、これは前頭側頭認知症(FTD)と同時に発症することもある。ALSは、散発性(SALS)および家族性FALS)両方の形態で生じる。症例の約10%は、常染色体優性形質として遺伝する。ALSに対するFDA承認療法は、生存を約10%延長する化合物である、リルゾールである。

概要

C9orf72遺伝子によりコードされるpre−mRNAおよびmRNAの両方を標的とする阻害性核酸、SOD1 mRNAを標的とするmiRNA、およびrAAVベース送達組成物、に関する方法およびキットが開示される。方法は、筋萎縮性側索硬化症を処置するために特に有用である。

目的

いくつかの側面において、本開示は、配列番号1〜8のいずれかに示された配列を含む、合成マイクロRNAを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

細胞におけるC9orf72の発現阻害する方法であって、該細胞に対し、C9orf72遺伝子によってコードされるpre−mRNAおよびmRNAの両方を標的とする阻害性核酸送達すること、を含む、前記方法。

請求項2

細胞が、最大50、最大90、最大160、または最大200の反復のG4C2伸長を有するC9orf721を発現する、請求項1に記載の方法。

請求項3

細胞におけるC9orf72のアイソフォームBをコードするmRNAのレベルが、細胞におけるC9orf72タンパク質のアイソフォームAをコードするmRNAのレベルよりも高い、請求項1に記載の方法。

請求項4

細胞が、中枢神経系の細胞である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。

請求項5

細胞がニューロンである、請求項4に記載の方法。

請求項6

阻害性核酸に曝露される前に、細胞が、核内G4C2凝集体を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。

請求項7

阻害性核酸の細胞への送達が、核内G4C2凝集体の減少をもたらす、請求項6に記載の方法。

請求項8

阻害性核酸に曝露される前に、細胞が、C9 RANタンパク質を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。

請求項9

阻害性核酸の細胞への送達が、C9 RANタンパク質レベルの低下をもたらす、請求項8に記載の方法。

請求項10

細胞がin vivoである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。

請求項11

細胞がin vitroである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。

請求項12

細胞が、FTDまたはALSの1または2以上の症状を有する対象のものである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。

請求項13

細胞が、FTDまたはALSを有する疑いのある対象のものである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。

請求項14

対象の中枢神経系(CNS)におけるC9orf72発現を阻害する方法であって、対象のCNSに対して、C9orf72遺伝子によってコードされるRNAを標的とする阻害性核酸を投与することを含み、ここで該阻害性核酸がマイクロRNAである、前記方法。

請求項15

対象の中枢神経系(CNS)におけるC9orf72発現を阻害する方法であって、対象のCNSに対して、C9orf72遺伝子によってコードされるpre−mRNAおよびmRNAの両方を標的とする阻害性核酸を投与すること、を含む、前記方法。

請求項16

阻害性核酸がマイクロRNAである、請求項15に記載の方法。

請求項17

阻害性核酸を対象に投与するステップが、対象に対して、対象の細胞において阻害性核酸を発現するように操作された核酸を保有する、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を投与することを含む、請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法。

請求項18

FTDまたはALSを有するか、または有することが疑われる対象を処置する方法であって、対象の細胞においてC9orf72遺伝子によりコードされるpre−mRNAおよびmRNAの両方を標的とする阻害性核酸を発現するように操作された核酸を保有する、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)の有効量を投与すること、を含む、前記方法。

請求項19

rAAVが、CNS組織を標的とする、請求項17または18に記載の方法。

請求項20

rAAVが、AAV.Rh10またはAAV9キャプシドタンパク質を含む、請求項17、18または19に記載の方法。

請求項21

阻害性核酸が、C9orf72のエクソン3内の少なくとも5個の連続したヌクレオチド相補的相補性領域を含む、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。

請求項22

少なくとも5個の連続したヌクレオチドが、C9orf72のヌクレオチド220〜241内にある、請求項21に記載の方法。

請求項23

阻害性核酸が、C9orf72タンパク質のアイソフォームAをコードするmRNAおよびアイソフォームBをコードするmRNAを標的とする、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。

請求項24

阻害性核酸が、C9orf72バリアントV1(配列番号18)、V2(配列番号19)、およびV3(配列番号20)を標的とする、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。

請求項25

阻害性核酸が、C9orf72バリアントV1(配列番号18)およびV3(配列番号20)を標的とするが、V2(配列番号19)を標的としない、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。

請求項26

阻害性核酸が、C9orf72バリアントV1(配列番号18)を標的とするが、V2(配列番号19)およびV3(配列番号20)は標的としない、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。

請求項27

阻害性核酸が、細胞におけるC9orf72のmRNAのレベルを少なくとも50%低下させる、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。

請求項28

阻害性核酸が、細胞におけるC9orf72のpre−mRNAのレベルを少なくとも50%低下させる、請求項1〜24のいずれか一項に記載の方法。

請求項29

阻害性核酸が、配列番号1〜8のいずれかに示された配列の、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21個の連続したヌクレオチドを含む、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法。

請求項30

rAAVが、髄腔内、脳内、脳室内または静脈内に投与される、請求項13〜29のいずれか一項に記載の方法。

請求項31

細胞におけるSOD1の発現を阻害する方法であって、細胞に対して、SOD1mRNAを標的とするmiRNAを送達することを含み、ここで該miRNAが、配列番号15:AGCATTAAAGGACTGACTGAA(SOD−miR−103);配列番号16:GACTGAAGGCTGCATGGATT(SOD−miR−117);または配列番号17:CTGCATGGATTCCATGTTCAT(SOD−miR−127)、に示された配列の、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21個の連続したヌクレオチドを含む、前記方法。

請求項32

ALSを有するか、または有することが疑われる対象を処置する方法であって、対象に対して、対象の細胞においてSOD1遺伝子によりコードされるRNAを標的とするmiRNAを発現するように操作された核酸を保有する、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)の有効量を投与することを含む、前記方法。

請求項33

miRNAが、配列番号15:AGCATTAAAGGACTGACTGAA(SOD−miR−103);配列番号16:GACTGAAGGCCTGCATGGATT(SOD−miR−117);または配列番号17:CTGCATGGATTCCATGTTCAT(SOD−miR−127)、に示された配列の、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21個の連続したヌクレオチドを含む、請求項32に記載の方法。

請求項34

rAAVが、CNS組織を標的とする、請求項32または33に記載の方法。

請求項35

rAAVが、AAV.Rh10またはAAV9キャプシドタンパク質を含む、請求項34に記載の方法。

請求項36

配列番号1〜8のいずれかに示された配列を含む、合成マイクロRNA。

請求項37

配列番号15:AGCATTAAAGGACTGACTGAA(SOD−miR−103);配列番号16:GACTGAAGGCCTGCATGGATT(SOD−miR−117);または配列番号17:CTGCATGGATTCCATGTTCAT(SOD−miR−127)に示された配列を含む、合成マイクロRNA。

請求項38

miR−155の隣接領域をさらに含む、請求項36または37に記載の合成マイクロRNA。

請求項39

請求項36〜38のいずれか一項に記載のマイクロRNAをコードし、AAV血清型の逆方向末端反復(ITR)を含む、組換え核酸

請求項40

AAV血清型が、AAV1、AAV2、AAV5、AAV6、AAV6.2、AAV7、AAV8、AAV9、AAVRh10、AAV11およびそのバリアントからなる群から選択される、請求項39に記載の組換え核酸。

請求項41

マイクロRNAをコードする領域(単数または複数)に作動可能に連結されたプロモーターをさらに含む、請求項40に記載の組換え核酸。

請求項42

プロモーターが、組織特異的プロモーターである、請求項41に記載の組換え核酸。

請求項43

プロモーターが、βアクチンプロモーターなどの、ポリメラーゼIIプロモーターである、請求項42に記載の組換え核酸。

請求項44

プロモーターが、U6プロモーターなどの、ポリメラーゼIIIプロモーターである、請求項42に記載の組換え核酸。

請求項45

請求項39〜44のいずれか一項に記載の組換え核酸を含む、組成物

請求項46

請求項39〜44のいずれか一項に記載の組換え核酸を保有する、組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)。

請求項47

AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV.Rh10、AAV11およびそのバリアントからなる群から選択される1または2以上のAAV血清型の、1または2以上のキャプシドタンパク質をさらに含む、請求項46に記載の組換えAAV。

請求項48

請求項46または47の組換えAAVを含む、組成物。

請求項49

薬学的に許容し得る担体をさらに含む、請求項48に記載の組成物。

請求項50

請求項48または49の組成物を収容する容器を含む、キット

技術分野

0001

関連出願
本出願は、35 U.S.C. §119(e)の下で、2014年3月18日に出願された米国仮特許出願USSN61/955,189、名称筋萎縮性側索硬化症処置するためのrAAVベース組成物および方法(RAAV-Based Compositions and Methodsfor Treating Amyotrophic Lateral Sclerosis)」に基づく優先権を主張する;その内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。

0002

発明の分野
本発明は、筋萎縮性側索硬化症などの遺伝性疾患を処置するための、方法および組成物に関する。

背景技術

0003

発明の背景
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、一般に致命的な進行性運動ニューロン疾患であり、これは前頭側頭認知症(FTD)と同時に発症することもある。ALSは、散発性(SALS)および家族性FALS)両方の形態で生じる。症例の約10%は、常染色体優性形質として遺伝する。ALSに対するFDA承認療法は、生存を約10%延長する化合物である、リルゾールである。

0004

本開示の側面は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)に関連する遺伝子の発現を調節するための、組成物および方法に関する。特に、ALSに関連するC9orf72およびSOD1などの遺伝子のサイレンシングに有用な、阻害性核酸が提供される。例えば、本開示のいくつかの側面において、C9orf72の全てのバリアントを標的とする、阻害性核酸が提供される。本開示の他の側面において、C9orf72のバリアントのサブセットを標的とする、阻害性核酸が提供される。本開示のいくつかの態様は、miRNAなどの特定の阻害性核酸は一般に細胞質において機能するにも関わらず、それらを細胞質のアルノートタンパク質(例えば、AGO2、RNA誘導サイレンシング複合体触媒成分、またはRISC)に負荷して、pre−mRNAのサイレンシングが可能な核に移入して戻すことができる、との認識に関する。したがって、いくつかの態様において、核内のRNAおよび細胞質内のRNAの両方を標的とすることができて、タンパク質翻訳を含むRNAの機能を妨害または阻害する、阻害性核酸(例えば、miRNA)が提供される。

0005

本開示の側面は、ALSに関連するC9orf72およびSOD1などの遺伝子をサイレンシングする阻害性核酸を発現するよう操作されたAAVの、髄腔送達を利用する、処置方法に関する。いくつかの態様において、AAV9およびAAV.Rh10などの神経向性のAAVを利用して、CNS組織を標的とする核酸を送達するための方法が、提供される。阻害性核酸を発現するよう操作された核酸を保有するAAVの使用は有利であるが、その理由の一部は、前記AAVが、rAAVエピソームが阻害性核酸(例えば、miRNA)を継続して発現するため、非発現の阻害性核酸、例えばsiRNA二重鎖およびアンチセンスオリゴヌクレオチドなどの再投与に関連する欠点を克服するからである。さらに、いくつかの態様において、本明細書で提供される方法は、CNSにおいて遺伝子をサイレンシングするために比較的低用量のAAVの使用が可能であり、末梢組織のAAVへの曝露を最小限に抑えるので有利である。

0006

本開示の他の側面において、C9orf72のG4C2伸長を含むトランスジェニックマウスが提供される。いくつかの態様において、モデルは、in vitroならびに哺乳類のCNSにおけるin vivoでの、C9orf72遺伝子サイレンシングのための阻害性核酸の評価を容易にする。他の側面において、RAN翻訳ペプチドの使用が、例えばC9orf72活性マーカーとして、開示される。いくつかの態様において、トランスジェニックマウスモデルは、Rh10キャプシドを保有するAAVなどの神経栄養性AAVの、CNSにおける持続性の評価を容易にする。いくつかの態様において、トランスジェニックマウスモデルは、例えば髄腔内送達を介した投与後の、初期免疫原性の評価を容易にする。
いくつかの側面において、本開示は、細胞におけるC9orf72の発現を阻害する方法を提供し、該方法は、細胞に対し、C9orf72遺伝子によってコードされるpre−mRNAおよびmRNAの両方を標的とする阻害性核酸を送達することを含む。

0007

いくつかの態様において、細胞は、最大50、最大90、最大160、または最大200の反復までのG4C2伸長を有する、C9orf721を発現する。いくつかの態様において、細胞におけるC9orf72のアイソフォームBをコードするmRNAのレベルは、細胞におけるC9orf72タンパク質のアイソフォームAをコードするmRNAのレベルよりも高い。
いくつかの態様において、細胞は、中枢神経系の細胞である。いくつかの態様において、細胞はニューロンである。
いくつかの態様において、阻害性核酸に曝露される前に、細胞は、核内G4C2凝集体(foci)を含む。いくつかの態様において、阻害性核酸の細胞への送達は、核内G4C2凝集体の減少をもたらす。

0008

いくつかの態様において、阻害性核酸に曝露される前に、細胞は、C9 RANタンパク質を含む。いくつかの態様において、阻害性核酸の細胞への送達は、C9 RANタンパク質レベルの低下をもたらす。
いくつかの態様において、細胞はin vivoである。いくつかの態様において、細胞はin vitroである。いくつかの態様において、細胞は、FTDまたはALSの1または2以上の症状を有する対象のものである。いくつかの態様において、細胞は、FTDまたはALSを有する疑いのある対象のものである。
いくつかの側面において、本開示は、対象の中枢神経系(CNS)におけるC9orf72の発現を阻害する方法を提供し、該方法は、対象のCNSに対して、C9orf72遺伝子によってコードされるRNAを標的とする阻害性核酸を投与することを含み、ここで前記阻害性核酸は、マイクロRNAである。

0009

いくつかの側面において、本開示は、対象の中枢神経系(CNS)におけるC9orf72の発現を阻害する方法を提供し、該方法は、対象のCNSに対して、C9orf72遺伝子によってコードされるpre−mRNAおよびmRNAの両方を標的とする阻害性核酸を投与することを含む。
いくつかの態様において、阻害性核酸はマイクロRNAである。
いくつかの態様において、阻害性核酸を対象に投与するステップは、対象に対して、対象の細胞において阻害性核酸を発現するように操作された核酸を保有する、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を投与することを含む。
いくつかの側面において、本開示は、FTDまたはALSを有するか、または有することが疑われる対象を処置する方法を提供し、該方法は、対象の細胞においてC9orf72遺伝子によりコードされるpre−mRNAおよびmRNAの両方を標的とする阻害性核酸を発現するように操作された核酸を保有する、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)の有効量を投与すること、を含む。

0010

いくつかの態様において、rAAVは、CNS組織を標的とする。いくつかの態様において、rAAVは、AAV.Rh10またはAAV9キャプシドタンパク質を含む。
いくつかの態様において、阻害性核酸は、C9orf72のエクソン3内の少なくとも5個の連続したヌクレオチド相補的相補性領域を含む。いくつかの態様において、少なくとも5個の連続したヌクレオチドは、C9orf72のヌクレオチド220〜241内にある。
いくつかの態様において、阻害性核酸は、C9orf72タンパク質のアイソフォームAをコードするmRNAおよびアイソフォームBをコードするmRNAを標的とする。いくつかの態様において、阻害性核酸は、C9orf72バリアントV1(NM_145005.6;配列番号18)、V2(NM_018325.3;配列番号19)、およびV3(NM_001256054.1;配列番号20)を標的とする。いくつかの態様において、阻害性核酸は、C9orf72バリアントV1(NM_145005.6;配列番号18)およびV3(NM_001256054.1;配列番号20)を標的とするが、V2(NM_018325.3;配列番号19)は標的としない。いくつかの態様において、阻害性核酸は、C9orf72バリアントV1(NM_145005.6;配列番号18)を標的とするが、V2(NM_018325.3;配列番号19)およびV3(NM_001256054.1;配列番号20)は標的としない。

0011

いくつかの態様において、阻害性核酸は、細胞におけるC9orf72のmRNAのレベルを、少なくとも50%低下させる。いくつかの態様において、阻害性核酸は、細胞におけるC9orf72のpre−mRNAのレベルを、少なくとも50%低下させる。
いくつかの態様において、阻害性核酸は、配列番号1〜8のいずれかに示された配列の、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21個の連続したヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、rAAVは、髄腔内、脳内、脳室内または静脈内に投与される。
いくつかの側面において、本開示は、細胞におけるSOD1の発現を阻害する方法を提供し、該方法は、細胞に対して、SOD1 mRNAを標的とするmiRNAを送達することを含み、ここで該miRNAは、
配列番号15:AGCATTAAAGGACTGACTGAA(SOD−miR−103);
配列番号16:GACTGAAGGCTGCATGGATT(SOD−miR−117);または
配列番号17:CTGCATGGATTCCATGTTCAT(SOD−miR−127)、
に示された配列の、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21個の連続したヌクレオチドを含む。

0012

いくつかの側面において、本開示は、ALSを有するか、または有することが疑われる対象を処置する方法を提供し、該方法は、対象に対して、対象の細胞においてSOD1遺伝子によりコードされるRNAを標的とするmiRNAを発現するように操作された核酸を保有する、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)の有効量を投与することを含む。
いくつかの態様において、miRNAは、
配列番号15:AGCATTAAAGGACTGACTGAA(SOD−miR−103);
配列番号16:GACTGAAGGCCTGCATGGATT(SOD−miR−117);または
配列番号17:CTGCATGGATTCCATGTTCAT(SOD−miR−127)、
に示された配列の、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21個の連続したヌクレオチドを含む。

0013

いくつかの態様において、rAAVは、CNS組織を標的とする。いくつかの態様において、rAAVは、AAV.Rh10またはAAV9キャプシドタンパク質を含む。
いくつかの側面において、本開示は、配列番号1〜8のいずれかに示された配列を含む、合成マイクロRNAを提供する。
いくつかの側面において、本開示は、配列番号15:AGCATTAAAGGACTGACTGAA(SOD−miR−103);配列番号16:GACTGAAGGCCTGCATGGATT(SOD−miR−117);または配列番号17:CTGCATGGATTCCATGTTCAT(SOD−miR−127)に示された配列を含む、合成マイクロRNAを提供する。いくつかの態様において、合成マイクロRNAは、miR−155の隣接領域をさらに含む。
いくつかの側面において、本開示は、配列番号1〜8または配列番号15〜17のいずれかに記載のマイクロRNAをコードし、AAV血清型の逆方向末端反復(ITR)を含む、組換え核酸を提供する。いくつかの態様において、AAV血清型は、AAV1、AAV2、AAV5、AAV6、AAV6.2、AAV7、AAV8、AAV9、AAVRh10、AAV11およびそのバリアントからなる群から選択される。

0014

いくつかの態様において、組換え核酸は、マイクロRNAをコードする領域(単数または複数)に作動可能に連結されたプロモーターをさらに含む。いくつかの態様において、プロモーターは、組織特異的プロモーターである。いくつかの態様において、プロモーターは、βアクチンプロモーターなどの、ポリメラーゼIIプロモーターである。いくつかの態様において、プロモーターは、U6プロモーターなどの、ポリメラーゼIIIプロモーターである。
いくつかの側面において、本開示は、本開示に記載の組換え核酸を含む、組成物を提供する。
いくつかの側面において、本開示は、本開示に記載の組換え核酸を保有する、組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)を提供する。いくつかの態様において、組換えAAVは、AV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV.Rh10、AAV11およびそのバリアントからなる群から選択される1または2以上のAAV血清型の、1または2以上のキャプシドタンパク質をさらに含む。
いくつかの側面において、本開示は、本開示に記載の組換えAAVを含む、組成物を提供する。いくつかの態様において、組成物は、薬学的に許容し得る担体をさらに含む。
いくつかの側面において、本開示は、本開示に記載の組成物を収容する容器を含む、キットを提供する。

図面の簡単な説明

0015

図1は、C9orf72遺伝子およびプライマーの図である。上のパネル(A)は、遺伝子のゲノム構成を示し;下のパネルは、pre−mRNAバリアント1〜3である。ボックスはエクソンを表し、線はイントロンである。ヘキサヌクレオチド反復伸長(赤ひし形)は、バリアント1および3に転写される。ATG開始コドンおよびTAA終止コドンは示されている通りである。水平方向の線は、各バリアントのオープンリーディングフレームを表す(バリアント2と3は、同一のタンパク質を産生することに注意)。上のパネル(A)は、pre−mRNAアイソフォームを識別するために使用するTaqManプライマーの位置を示す;下のパネル(B)は、3つのスプライスされたmRNAを示す;図の注釈は上記の通りであり、3つの異なるスプライスされたmRNAアイソフォームを検出するプライマー対の位置も示す。
図2は、C9orf72バリアントの検出に関するqRTPCRのデータを示す。個々のバリアント(V1およびV3)、またはすべてのバリアント(Vall)mRNAを検出するように設計されたTaqManプローブアッセイを、種々の細胞株ならびにヒトの脳組織試験した。結果は、3つの生物学的複製からの平均+SDである。

0016

図3は、ヒトC9orf72のmiRNA媒介性ノックダウンに関連するin vitroデータの図である。人工C9miR−220によるC9orf72のノックダウン後の、C9orf72mRNAの相対的レベル。このmiRNAは、エクソン3に位置し、すべてのバリアントを標的とする。これらは、Hek293T細胞でのmir220(CBAプロモーターGFP)の一過性トランスフェクションの、3つの生物学的複製からの結果である。対照は、SOD1に対するmiRである。
図4は、C9orf72のmRNAおよびpre−mRNAのノックダウンに関連するin vitroデータの図である。C9−miR220は、C9orf72のORFの塩基220〜241を標的とするように設計された人工miRNAである。このmiRNAはエクソン3で結合し、したがって、すべてのmRNAバリアントを標的とする。このmiRNAを、U6またはニワトリβアクチンプロモーターのいずれかを用いてプラスミドクローニングし、Hek−293細胞にトランスフェクトした。RNAは、トランスフェクションの72時間後に抽出し、RTの前にDNAseで処理した。定量的RT−PCRは、スプライスされた(例えば、VallmRNA)またはスプライスされていない(例えば、Vallpre−mRNA)バリアントのいずれかを検出するカスタムTaqManプローブを用いて実施した。結果は、3つの生物学的複製からの平均±SDである。

0017

図5は、DNAのサザン分析の図である(左パネル)。レーン:(A)ALSリンパ芽球DNA RB8088。C9orf72伸長、〜8kb(900反復);(B)ALS皮質DNA RB9783。C9orf72伸長、〜9kb(1000反復);(C)ALS皮質DNA RB2952。C9orf72、野生型、伸長バンドなし;(D)マウス脾臓DNA非トランスジェニック;(E)マウス脾臓DNA CH523-111K12_523。C9orf72伸長BAC、〜4.5kb(350反復)。各試験片について、25uGのDNAをXbalで消化し、0.8%寒天ゲル上、80Vで2.5時間分離した。ハイブリダイゼーションは、55℃でRNAオリゴプローブ(G4C2)4−DIGにより、CDP-Starで可視化した。右:WTおよびC9orf72マウスの海馬の、RNAのセンス鎖についてのG4C2−CyAプローブによるハイブリダイゼーション。

0018

図6は、rAAV.Rh10のI.T.注射後の、脊髄における堅牢なEGFP形質導入およびmiRNA媒介性ノックダウンを示すデータの図である。4の雄マーモセットに、rAAV.Rh10.CBEGFPまたはrAAV.Rh10.U6ant−SOD1 miRのいずれかを、5×10e12のGC/kgの用量で、I.T.注射した。動物を2週間後に剖検し、CNS組織を単離し、固定した。脊髄の40ミクロン切片を、EGFPに対する抗体で染色し、DABで可視化した。すべての切片を、ヘマトキシリン対比染色した。図に示すのは、(A)腰髄、(B)胸髄、(C)頸髄低倍率画像(4倍対物レンズ)である。(D)運動ニューロンは、対照(rAAV.Rh10.GFP)および処置された(rAAV.Rh10.GFP−miR−SOD1)マーモセットの腰髄からレーザーキャプチャーし、miR−SOD1マイクロRNAおよびSOD1mRNAのRT−qPCRのレベルについてアッセイした。
図7A〜7Bは、C9orf72のmiRNA媒介性サイレンシングのためのrAAVベクターの設計を示す図である。図7Aは、標的とするmiRNA配列が、miR−155のpri−miRNA配列が隣接するステムループ中にクローニングされることを示す。図7Bは、C9−miRを標的とする配列が次に、in vitro試験およびrAAVのパッケージングのために、ポリメラーゼII(ニワトリBアクチン)またはポリメラーゼIII(U6)プロモーターのいずれかで、プロウイルスAAVプラスミド中にクローニングされることを示す。

0019

図8は、マウスにおける異なるC9orf72バリアントに関する、qRT−PCRのデータを示す図である。
図9は、C9orf72変異型トランスジェニックマウスが、前頭皮質ポリ(GP)封入体を生じることを示す図である。
図10A〜10Bは、RAN翻訳ペプチドに対する抗体が、C9FTD/ALSの脳組織における封入体を検出することを示す図である。図10Aは、抗体の特異性が、GFPタグ付きの(GA)5、(GR)5、(GP)5、(PA)5または(PR)5を発現するようにトランスフェクトされた細胞からの溶解物を用いたウエスタンブロット分析によって確認されたことを示す。図10Bは、ここに示されているように抗GA、抗GRおよび抗GP免疫反応性封入体が、C9FTD/ALSの小脳を含む脳全体で検出されることを示す。
図11A〜11Cは、SOD1のmiRNA媒介性サイレンシングのためのrAAVベクターの設計を示す図である。miR−155の隣接領域を、CMVエンハンサー、短いSV40イントロンを有するニワトリβアクチンハイブリッドプロモーターからなるプロウイルスAAV発現カセットの、BGHポリA領域の上流に、クローンニングした。図11Aは、hSOD1のmRNAを標的とする配列を、miR−155の骨格にクローニングしたことを示す。図11Bは、このmiRNAの2つのタンデムコピーを、臨床設定において所望されるように、GFPを発現するベクターまたはmiRNAのみを発現するベクターのいずれかにクローンニングしたことを示す。図11Cは、ヒト、アカゲザルおよびマーモセットのSOD1遺伝子配列アラインメントを示す図であり、成熟したmiR−SOD1−127が、霊長類間で100%保存されている配列を標的とすることを示す。

0020

図12は、トランスジェニックマウスにおけるヒトSOD1の、in vivoでのrAAV媒介性ノックダウンに関連するデータを示す図である。ヒトSOD1 G93A突然変異を発現するトランスジェニックマウスに、抗SOD1 miRを発現するrAAV9ベクターを注射した。A)新生仔マウスに、GFP対照ベクターまたはSOD1miR−127を発現するベクターのいずれかを、1.0×1012の粒子顔面の静脈を介して投与した。マウスは送達の4週間後に屠殺し、筋肉を、定量的リアルタイムRT−PCRによる全hSOD1発現について分析した。B)成体マウスには、5×1010のベクター粒子を、線条体に直接注射した。マウスは注射の3週間後に屠殺し、脳組織を、定量的リアルタイムRT−PCRによりhSOD1発現について分析した。
図13は、AAV.Rh10ベクター構築物に関するデータを示し(上)、結果は、マーモセットの肝臓における、SOD1発現の減少を示す(下)。
図14は、マーモセットにおけるSOD1のサイレンシングを評価するために実施したアッセイの、概略の図である。
図15は、マーモセットで行われたアッセイの概要の図である。

0021

図16は、髄腔内(IT)注射し、レーザーキャプチャーマイクロダイセクションLCM)を行った3匹の雄マーモセットにおいて(図15の動物6、8、9)、SOD1発現がMNにおいて、AAV.Rh10 CB−2x−miR−SOD1(ライトグレー)およびU6−miR−SOD1(濃いグレー)により低減したことを示す図である。U6プロモーターは、抗SOD1のmiRの高いレベルを駆動し、より効果的にSOD1をサイレンシングした。
図17A〜17Bは、3匹の雄マーモセット(図15の動物6、8、9)に関連するデータを示す図である。図17Aは、SOD1発現がMNおよび非MNにおいて、IT AAV.Rh10 CB−2x−miR−SOD1(ライトグレー)およびU6−miR−SOD1(濃いグレー)により低減したことを示す。U6構築物は、より大きなノックダウン生成した。図17Bは、IT rAAV.Rh10 CB−2x−mir−SOD1およびU6−miR−SOD1による、MNおよび非MNにおける相対的GFP発現を示す。U6構築物は、最も高いGFP発現を生成した。
図18は、図17A〜17Bに記載されたものと同じ3匹の雄マーモセットにおいて、AAV.Rh10 CB−2x−miR−SOD1(ライトグレー)およびU6−miR−SOD1(濃いグレー)のIT注射が、より低い脳幹でSOD1のサイレンシングを生成したことを示す図である。これらの試験において、qPCRは、全組織ホモジネート(非レーザーキャプチャーニューロン)で行った。

0022

図19は、2匹の雄マーモセット(図15の#2および3)のコードにおけるRNAハイブリダイゼーション(RNAScope)を使用した、運動ニューロン(MN)のSOD1発現の評価に関連するデータを示す図である。#2では、CB−GFP(miRなし)のIT注射は、著名なSOD1発現を示したMN(ChATpos)において、いくらかのGFP発現を達成した(左)。#3では、U6−SOD1のmiR−CB−GFPのIT注射は、MNにおいてGFP発現を生成し、同じニューロンにおいてSOD1発現の減少をもたらした(右)。
図20は、G93A SOD1マウスの、CB−miR−SOD1ベクターによる処置に関連するデータを示す図である。マウスは、2×1012gcのベクター(CB−GFPまたはCB−miR−SOD1−GFP)を、56〜68日齢において静脈内注射し、その後、進行する麻痺により安楽死が必要になるまで、盲検的に監視した。結果は、生存期間中央値が、CB−GFP群について108日、およびCB−miR−SOD1−GFP群について130日であり(ログランク検定、p=0.018)、CB−miR−SOD1処置マウスの生存率の有意な増加を示した。

0023

詳細な説明
本開示の側面は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)に関連する遺伝子の発現を調節するための、組成物および方法に関する。本開示の側面は、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターを用いてALSを処置するための、改良された遺伝子治療用組成物および関連する方法に関する。特に、ALSに関連するC9orf72およびSOD1などの遺伝子をサイレンシングする阻害性核酸を発現するように操作された核酸を保有する、rAAVが提供される。いくつかの態様において、本開示は、組換えAAV(例えば、rAAV.Rh10)を利用して、マイクロRNAをCNSに送達し、これによってSOD1またはC9orf72などのALS遺伝子をサイレンシングする。

0024

ALSは、家族性(FALS)および散発性(SALS)両方の形態で生じる。かなりの数のFALS症例は、遺伝子C9orf72における非コードヘキサヌクレオチドのG4C2伸長に関連する。これらの伸長はまた、家族性前頭側頭型認知症(FTD)の10〜20%、散発性FTDの10%、およびSALSの〜5%においても検出されている。これらの統計は、C9orf72G4C2伸長を、ALSの一般的な原因として規定する。正常な個体では、G4C2伸長は、2または3から25までの反復のサイズ範囲であり;対照的に、FTD/ALS患者は、これらの反復を数百から数千有する。正常なC9orf72遺伝子からの転写は、3つのmRNAバリアント、V1(例えば、Genbank:NM_145005.6;配列番号:18)、V2(例えば、Genbank:NM_018325.3;配列番号:19)、およびV3(例えば、Genbank:NM_001256054.1;配列番号:20)を生成する。転写物V1はエクソン1a〜6bを含み、222アミノ酸タンパク質をコードする。エクソンV2とV3はそれぞれ、エクソン2〜12およびエクソン1b〜12を含み、同一の481aaタンパク質をコードする(図1)。

0025

本開示の側面は、V1およびV3がG4C2伸長を保有するとの認識に関する。この伸長を有するヒトALSおよびFTDの脳の分析は、RNA転写物の核内蓄積と、前頭皮質および脊髄でのRNA核内凝集体の生成を示す。これは、転写物V1とV3における伸長が、運動ニューロンで細胞毒性を引き起こす主要な有害物質であることを支持する。C9orf72がコードするタンパク質の機能は十分に特徴付けられていないが、バイオインフォマテクスアプローチは、C9orf72タンパク質が、構造的な特徴を(DENN)およびGDPGTP交換因子(GEF)4と共有し、したがって他の潜在的な機能のうち、膜の細胞輸送を調節し得ることを示す。G4C2伸長の細胞毒性は、1または2以上の機能獲得のメカニズムに関連付けられる可能性があり、その例としては以下が挙げられる:1)RNA凝集体による転写因子の過剰な隔離(sequestering)(例えば筋強直性ジストロフィーにおける筋肉ブラインド(muscleblind));2)伸長された反復の、反復関連非ATG(RAN)翻訳が、ジペプチドの発現をもたらす(Gly−Ala;Gly−Pro;Gly−Arg);この様式で産生されるペプチドは、CNS全体で神経細胞封入体を形成する;(3)および、C9orf72転写物の発現の減少による、ハプロ不全の誘導。本開示の側面は、rAAV(例えば、髄腔内送達rAAV.Rh10)を使用して、阻害性核酸(例えば、マイクロRNA)を導入し、問題となるG4C2伸長を保有するC9orf72の転写物の発現をサイレンシングすることに関する。いくつかの態様において、本開示は、in vitroでC9orf72のキーとなるpre−mRNAおよび成熟mRNA転写物のサイレンシングを達成する、方法および組成物を提供する。

0026

21番染色体上に位置する、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD1)をコードする遺伝子の変異は、家族性筋萎縮性側索硬化症にリンクされている。スーパーオキシドジスムターゼ(SOD1)は、SOD1遺伝子によってコードされる酵素である。SOD1は銅および亜鉛イオンと結合し、体内遊離スーパーオキシドラジカル破壊役割を果たす、3つのスーパーオキシドジスムターゼの1つである。コードされたアイソザイムは、可溶性の細胞質およびミトコンドリア膜間空間タンパク質であり、天然に存在するが有害なスーパーオキシドラジカルを、分子酸素および過酸化水素に変換するためのホモ二量体として作用する。
出現してALSの原因となる、頻繁なSOD1突然変異には、A4V、H46RおよびG93Aが含まれる。典型的には、これらのALSの原因となるSOD1突然変異は、支配的な様式で作用し、SOD1遺伝子の単一の変異型コピーが疾患を引き起こすのに十分であり得る。変異型酵素は典型的には酵素活性を保持するので、これらの突然変異は、毒性の機能獲得につながると考えられている。したがって、変異型SOD1は、ミトコンドリア機能障害酸化ストレスカルシウム調節不全、異常に処理されたタンパク質の凝集小胞体ERストレス軸索輸送中断神経伝達物質の誤制御、プログラムされた細胞死および炎症を含む、広範囲の細胞欠陥を引き起こす可能性がある。本開示の側面は、rAAV(例えば、rAAV.Rh10)を使用して、阻害性核酸(例えば、マイクロRNA)を細胞に導入し、変異型SOD1の発現をサイレンシングすることに関する。

0027

阻害性核酸
いくつかの態様において、本開示は、SOD1およびC9orf72などのALSの原因となる遺伝子の発現を阻害する、阻害性核酸を提供する。いくつかの態様において、阻害性核酸は、RNA、pre−mRNA、mRNAなどの標的核酸の少なくとも一部にハイブリダイズして、その機能または発現を阻害する核酸である。いくつかの態様において、阻害性核酸は、一本鎖または二本鎖である。いくつかの態様において、阻害性核酸は、マイクロRNA(miRNA)である。いくつかの態様において、阻害性核酸は、miR−155の隣接領域を有する標的配列を含む、マイクロRNAである。

0028

いくつかの態様において、阻害性核酸は、5〜30塩基長である(例えば、10〜30、15〜25、19〜22)。阻害性核酸はまた、10〜50、または5〜50塩基長であってもよい。例えば、阻害性核酸は、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50塩基長のいずれかであってよい。いくつかの態様において、阻害性核酸は、標的核酸の、例えば、少なくとも5、10、15、20、25または30塩基、または最大30もしくは40塩基に、少なくとも80%または90%相補的な塩基の配列を、含むかまたはこれからなり、または、標的核酸の10、15、20、25または30塩基にわたって最大3つのミスマッチ(例えば、1つまで、または2つまでのミスマッチ)を有する塩基の配列を含む。
いくつかの態様において、本明細書に提供される配列中の任意の1または2以上のチミジン(T)ヌクレオチドまたはウリジン(U)ヌクレオチドは、アデノシンヌクレオチドとの塩基対形成(例えば、ワトソンクリック塩基対を介して)に適した任意の他のヌクレオチドで置換されていてもよい。例えば、TはUで置き換えられていてもよく、およびUはTで置き換えられてもよい。いくつかの態様において、中枢神経系の細胞における遺伝子の発現を阻害する、阻害性核酸が提供される。いくつかの態様において、細胞は、ニューロン、星状細胞、またはオリゴデンドロサイトである。

0029

いくつかの態様において、細胞は、最大50、最大90、最大160、最大200、最大300、最大400、最大500、最大600、またはそれ以上の反復のG4C2伸長を有する、C9orf721を発現する。いくつかの態様において、阻害性核酸は、配列番号1〜8のいずれかに示された配列を含む。いくつかの態様において、細胞におけるC9orf72のアイソフォームBをコードするmRNAのレベルは、細胞におけるC9orf72タンパク質のアイソフォームAをコードするmRNAのレベルよりも高い。いくつかの態様において、細胞は、核内G4C2凝集体の検出可能なレベルを含む。いくつかの態様において、細胞は、C9 RANタンパク質の検出可能なレベルを含む。
いくつかの態様において、細胞は、変異型SOD1酵素を発現する。いくつかの態様において、SOD1変異は、A4V、H46RおよびG93Aから選択される。いくつかの態様において、阻害性核酸は、配列番号15:AGCATTAAAGGACTGACTGAA(SOD−miR−103);配列番号16:GACTGAAGGCCTGCATGGATT(SOD−miR−117);または配列番号17:CTGCATGGATTCCATGTTCAT(SOD−miR−127)に示された配列を含むか、またはこれからなる。

0030

使用の方法
C9orf72またはSOD1などの、FTDおよび/またはALSと関連する遺伝子の発現を阻害するための方法が、本明細書において提供される。いくつかの態様において、細胞おけるC9orf72の発現を阻害する方法が提供され、該方法は、細胞に対して、C9orf72遺伝子によってコードされるpre−mRNAおよびmRNAの両方を標的とする阻害性核酸を送達することを含む。いくつかの態様において、細胞におけるC9orf72の発現を阻害する方法が提供され、該方法は、対象のCNSに、C9orf72遺伝子によりコードされるRNAを標的とする阻害性核酸を投与することを含み、ここで阻害性核酸は、マイクロRNAである。
いくつかの態様において、対象の中枢神経系(CNS)における、C9orf72の発現を阻害する方法が提供される。いくつかの態様において、方法は、対象のCNSに、C9orf72遺伝子によってコードされるpre−mRNAおよびmRNAの両方を標的とする阻害性核酸を投与することを含む。いくつかの態様において、対象は、FTDまたはALSを有するか、または有することが疑われる。いくつかの態様において、方法は、対象に対して、対象の細胞においてC9orf72遺伝子によってコードされるpre−mRNAおよびmRNAの両方を標的とする阻害性核酸を発現するように操作された核酸を保有する、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)の有効量を投与することを含む。いくつかの態様において、阻害性核酸は、配列番号1〜8のいずれかに示された配列を含む。

0031

いくつかの態様において、細胞におけるSOD1の発現を阻害する方法が提供される。いくつかの態様において、方法は、細胞に対して、SOD1mRNAを標的とするmiRNAを送達することを含み、ここで該miRNAは、
配列番号15:AGCATTAAAGGACTGACTGAA(SOD−miR−103);
配列番号16:GACTGAAGGCCTGCATGGATT(SOD−miR−117);または
配列番号17:CTGCATGGATTCCATGTTCAT(SOD−miR−127)、
に示された配列、またはこれらのいずれかの相補配列の、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21個の連続したヌクレオチドを含む。いくつかの態様において、SOD1 mRNAは、GenBank:EF151142.1に記載されている。
いくつかの態様において、ALSを有するかまたは有する疑いのある対象を処置するための方法が提供される。いくつかの態様において、方法は、対象に対して、SOD1遺伝子によりコードされるRNAを標的とするmiRNAを対象の細胞において発現するように操作された核酸を保有する、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)の有効量を投与することを含む。

0032

上記によれば、本明細書で提供される特定の方法は、対象に対して、本明細書に開示された、組換え核酸のいずれかを保有する組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)の有効量を投与することを含む。一般に、rAAVの「有効量」は、所望の生物学的応答を誘発するのに十分な量を指す。いくつかの態様において、有効量は、ex vivoで細胞または組織に形質導入するのに有効な、rAAVの量を指す。他の態様において、有効量は、rAAVの対象への直接投与に有効な量を指す。この技術分野の当業者によって理解されるように、本発明の組換えAAVの有効量は、所望の生物学的エンドポイント発現産物薬物動態、処置される状態、投与の様式、および対象などの要因に応じて変化する。典型的には、rAAVは、薬学的に許容し得る担体と共に投与される。

0033

いくつかの例において、rAAVの投与後、FTDまたはALSと関連する少なくとも1つの臨床転帰パラメータまたはバイオマーカー(例えば、核内G4C2RNA凝集体、RAN−タンパク質の発現など)が、対象において評価される。典型的には、rAAVの投与後に評価される臨床転帰パラメータまたはバイオマーカーを、rAAVの投与の前の時点で決定された臨床転帰パラメータまたはバイオマーカーと比較して、rAAVの有効性を決定する。多くの場合、rAAVの投与後の臨床転帰パラメータまたはバイオマーカーの改善は、rAAVの有効性を示す。任意の適切な臨床転帰パラメータまたはバイオマーカーを使用することができる。典型的には、臨床転帰パラメータまたはバイオマーカーは、FTDまたはALSの1または2以上の症状を示す。例えば、臨床転帰パラメータまたはバイオマーカーは、核内G4C2RNA凝集体、RAN−タンパク質発現、SOD1発現、C9orf72発現、記憶喪失、ならびに運動障害の有無、例えば不安定性固縮、遅さ、単収縮筋力低下嚥下困難音声言語の困難、単収縮(線維束性収縮)および手と足のものを含む筋肉のけいれんなど、からなる群から選択されてもよい。

0034

組換えAAV
いくつかの側面において、本発明は、単離されたAAVを提供する。AAVに関して本明細書で使用する場合、「単離された」という用語は、その天然の環境から(例えば、宿主細胞、組織、または対象から)単離された、または人工的に生成されたAAVを指す。単離されたAAVは、組換え方法を用いて生成することができる。かかるAAVを、本明細書において「組換えAAV」と呼ぶ。組換えAAV(rAAV)は、rAAVの導入遺伝子が1または2以上の所定の組織に特異的に送達されるように、組織特異的な標的化能力を有することができる。AAVキャプシドは、これらの組織特異的標的化能力を決定する重要な要素である。したがって、標的化される組織に対する適切なキャプシドを有する、rAAVを選択することができる。いくつかの態様において、rAAVは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV.Rh10、AAV11およびそのバリアントのいずれかに対応するアミノ酸配列を有するキャプシドタンパク質を含む。組換えAAVは、典型的には、本発明の組換え核酸を保有する。

0035

所望のキャプシドタンパク質を有する組換えAAVを得るための方法は、当技術分野で知られている(例えば、米国特許公開番号2003/0138772を参照;この内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。本発明のrAAVで使用することができるAAVキャプシドタンパク質としては、例えば、G. Gao, et al., J. Virol, 78(12):6381-6388 (June 2004);G. Gao, et al, Proc Natl Acad Sci USA, 100(10):6081-6086 (May 13, 2003);US 2003-0138772、US 2007/0036760、US 2009/0197338、およびWO 2010/138263に開示されているものが挙げられ、AAVキャプシドタンパク質および関連するヌクレオチドおよびアミノ酸配列に関するそれらの内容は、参照により本明細書に組み込まれる。典型的には、方法は、AAVキャプシドタンパク質またはその断片をコードする核酸配列;機能的rep遺伝子;AAV逆方向末端反復(ITR)および導入遺伝子から成る組換えAAVベクター;および十分なヘルパー機能、を含む宿主細胞を培養して、組換えAAVベクターのAAVキャプシドタンパク質へのパッケージングを可能にすることを含む。

0036

本明細書で提供される方法において使用され得る適切なAAVは、以下に開示されている:米国特許出願公開番号2013/0195801、名称「CNS標的化AAVベクターおよびその使用方法(CNS TARGETING AAVVECTORS AND METHODS OF USE THEREOF)」、2013年8月1日公開;および米国特許出願公開番号2012/0137379、名称「新規AAVおよびその使用(NOVEL AAV'S AND USESTHEREOF)」、2012年5月31日公開。これらの文献の内容は、すべての目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。
宿主細胞中で培養されてrAAVベクターをAAVキャプシドにパッケージングする成分は、宿主細胞に対して、トランスで(in trans)供給されてもよい。代替的に、1または2以上の必要な成分(例えば、組換えAAVベクター、rep配列、cap配列および/またはヘルパー機能)は、1または2以上の必要な成分を当業者に既知の方法を使用して含むように操作された、安定な宿主細胞により提供されてもよい。最も適切には、かかる安定な宿主細胞は、必要な成分(単数または複数)を、誘導性プロモーターの制御下で含有するであろう。しかし、必要な成分(単数または複数)は、構成的プロモーターの制御下にあってもよい。適切な誘導性および構成的プロモーターの例は、本明細書中に提供される。さらに別の代替例では、選択された安定な宿主細胞は、選択された成分(単数または複数)を構成的プロモーターの制御化で、および他の選択された成分(単数または複数)を1または2以上の誘導性プロモーターの制御下で含んでもよい。例えば、安定な宿主細胞が生成されて、これは293の細胞に由来し(構成的プロモーターの制御下でE1ヘルパー機能を含有する)、しかしこれは、誘導性プロモーターの制御下でrepおよび/またはcapタンパク質を含有する。さらに他の安定な宿主細胞も、当業者によって生成され得る。

0037

本発明のrAAVを生成するために必要な、組換えAAVベクター、rep配列、cap配列およびヘルパー機能は、任意の適切な遺伝子エレメント(ベクター)を使用して、パッケージング宿主細胞に送達することができる。選択された遺伝子エレメントは、本明細書に記載のものを含む、任意の適切な方法によって送達することができる。本発明の任意の態様を構築するために使用される方法は、核酸操作の当業者に知られており、遺伝子工学、組換え工学および合成技術を含む。例えば、Sambrook et al, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, N.Yを参照。同様に、rAAVビリオン生成方法はよく知られており、適切な方法の選択は本発明を限定するものではない。K. Fisher et al, J. Virol., 70:520-532 (1993)および米国特許第5,478,745号を参照。

0038

いくつかの態様において、組換えAAVは、トリプルトランスフェクション法を用いて生成することができる(例えば米国特許第6,001,650号に詳細に記載されるように;トリプルトランスフェクション法に関連するその内容は、参照により本明細書に組み込まれる)。典型的には組み換えAAVは、AAV粒子中にパッケージされる組換えAAVベクター(導入遺伝子を含む)、AAVヘルパー機能ベクター、および補助機能ベクターを用いて、宿主細胞をトランスフェクトすることにより生成される。AAVヘルパー機能ベクターは、生産的なAAV複製およびキャプシド形成にトランスで機能する、「AAVヘルパー機能」配列(例えば、repおよびcap)をコードする。いくつかの態様において、AAVヘルパー機能ベクターは、任意の検出可能な野生型AAVビリオン(例えば、機能的repおよびcap遺伝子を含むAAVビリオン)を生成することなく、効率的なAAVベクターの産生をサポートする。本発明での使用に適切なベクターの非限定的な例としては、米国特許第6,001,650号に記載のpHLP19、および米国特許第6,156,303号に記載のpRep6cap6ベクターが挙げられ、これら両者の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。補助機能ベクターは、非AAV由来のウイルスおよび/または細胞機能についてのヌクレオチド配列をコードし、その際に、AAVは複製に依存する(例えば、「補助機能」)。補助機能としては、AAV複製に必要な機能を含み、これには、限定はされないが、AAV遺伝子転写の活性化、ステージ特異的AAVmRNAスプライシング、AAVDNA複製、cap発現産物の合成、およびAAVキャプシドのアセンブリー関与する部分を含む。ウイルスベースの補助機能は、アデノウイルスヘルペスウイルス単純ヘルペスウイルス1型以外)、およびワクシニアウイルスなどの任意の既知のヘルパーウイルスに由来することができる。

0039

いくつかの側面において、本発明は、トランスフェクトされた宿主細胞を提供する。用語「トランスフェクション」は、外来DNAの細胞による取り込みを指すために使用され、外因性DNAが細胞膜の内側に導入された場合に、細胞は「トランスフェクト」されている。多くのトランスフェクション技術が、当技術分野において一般に知られている。例えば、Graham et al. (1973) Virology, 52:456、Sambrook et al. (1989) Molecular Cloning, a laboratory manual, Cold Spring Harbor Laboratories, New York、Davis et al. (1986) Basic Methodsin Molecular Biology, Elsevier、およびChu et al. (1981) Gene 13:197を参照。かかる技術を使用して、ヌクレオチド組み込みベクターおよび他の核酸分子などの1または2以上の外因性核酸を、適切な宿主細胞に導入することができる。
「宿主細胞」は、目的の物質を保有するか、または保有することが可能な、任意の細胞を指す。多くの場合、宿主細胞は哺乳動物細胞である。宿主細胞は、AAVヘルパー構築物、AAVミニ遺伝子プラスミド、補助機能ベクター、または組換えAAVの生産に関連する他のトランスファーDNAの、レシピエントとして使用することができる。この用語は、トランスフェクトされたオリジナル細胞の子孫を含む。したがって、本明細書で使用する「宿主細胞」は、外因性DNA配列でトランスフェクトされた細胞を指すことができる。単一の親細胞の子孫は、天然、偶発的、または意図的変異のために、形態において、またはゲノムもしくは全DNA相補体において、必ずしもオリジナルの親と完全に同一でなくてもよいことが理解される。

0040

いくつかの側面において、本発明は、単離された細胞を提供する。細胞に関して本明細書で使用する場合、「単離された」という用語は、その天然の環境から(例えば、組織または対象から)単離された細胞を指す。本明細書で使用する用語「細胞株」は、in vitroで連続的または長期の増殖および分裂が可能な、細胞の集団を指す。細胞株はしばしば、単一の前駆細胞に由来するクローン集団である。さらに、自発的なまたは誘導された変化が、かかるクローン集団の貯蔵または移送中に核型において生じ得ることは、当技術分野で知られている。したがって、参照された細胞株由来の細胞は、祖先細胞または培養物と正確に同一でなくてもよく、参照された細胞株は、かかるバリアントを含む。本明細書で使用する場合、用語「組換え細胞」は、生物学的に活性なポリペプチドの転写、またはRNA等の生物学的に活性な核酸の産生をもたらすような、DNAのセグメントなどの外因性DNAセグメントが導入された細胞を指す。

0041

本明細書で使用する場合、用語「ベクター」は、プラスミド、ファージトランスポゾンコスミド染色体人工染色体、ウイルス、ビリオンなどの任意の遺伝子エレメントであって、適切な制御エレメントに関連付けられた場合に複製可能であり、細胞間で遺伝子配列を転送することができるものを含む。したがって、この用語は、クローニングおよび発現ビヒクル、ならびにウイルスベクターを含む。いくつかの態様において、有用なベクターは、転写される核酸セグメントが、プロモーターの転写制御下に配置されているベクターであることが意図される。「プロモーター」は、細胞の合成機構または導入された合成機構によって認識されるDNA配列であって、遺伝子の特定の転写を開始するのに必要なものを指す。「作動的に配置された」、「制御下」または「転写制御下」という語句は、プロモーターが、核酸に関して正しい位置および配向にあり、RNAポリメラーゼ開始および遺伝子発現を制御することを意味する。用語「発現ベクターまたは構築物」は、核酸コード配列の一部または全てが転写されることが可能である核酸を含む、任意の種類の遺伝子構築物を意味する。いくつかの態様において、発現は、例えば、転写された遺伝子から生物学的に活性なポリペプチド産物または阻害性RNA(例えば、shRNA、miRNA)を生成するための、核酸の転写を含む。
本発明のrAAVを生産するために、組換えベクターを所望のAAVキャプシド内にパッケージングするための前述の方法は、限定することを意図しておらず、他の適切な方法も、当業者には明らかであろう。

0042

組換えAAVベクター
本発明の組換え核酸は、組換えAAVベクターであってもよい。組換えAAVベクターは、キャプシドタンパク質にパッケージングされて、対象に投与され、および/または選択された標的細胞に送達されることができる。「組換えAAV(rAAV)ベクター」は、典型的には、最小の場合、導入遺伝子およびその調節配列、ならびに5′および3′AAV逆方向末端反復(ITR)で構成される。導入遺伝子は、本明細書中の他の箇所で開示されるように、対象の内因性mRNAを標的とする核酸を含む1または2以上の阻害性核酸(例えば、miRNA)をコードする、1または2以上の領域を含んでよい。導入遺伝子はまた、タンパク質(例えば、蛍光タンパク質)をコードする外因性mRNAをコードする領域を含んでもよい。

0043

ベクターのAAV配列は、典型的には、cis作用性5′および3′逆方向末端反復配列を含む(例えば、B. J. Carter, in "Handbook of Parvoviruses", ed., P. Tijsser,CRCPress, pp. 155 168 (1990)を参照)。ITR配列は、長さが約145bpである。いくつかの態様において、ITRをコードする実質的に全配列が、分子内で使用されるが、ただしこれらの配列のある程度の軽微な修飾は許容される。これらのITR配列を修飾する能力は、当業者の範囲内である(例えば、Sambrook et al, "Molecular Cloning. A Laboratory Manual", 2d ed., Cold Spring Harbor Laboratory, New York (1989);およびK. Fisher et al., J Virol., 70:520 532 (1996)などのテキストを参照)。本発明で用いられるかかる分子の例は、導入遺伝子を含む「シス作用性」プラスミドであり、ここで、選択された導入遺伝子配列および関連する調節エレメントは、5′および3′のAAV ITR配列に隣接する。AAV ITR配列は、現在同定されている哺乳動物のAAVのタイプを含む、任意の既知のAAVから得ることができる。

0044

したがって組換え核酸は、AAV1、AAV2、AAV5、AAV6、AAV6.2、AAV7、AAV8、AAV9、AAV.Rh10、AAV11およびそれらのバリアントからなる群から選択されるAAV血清型の逆方向末端反復(ITR)を、含むことができる。組換え核酸はまた、1または2以上の第1の阻害性RNAと作動可能に連結されたプロモーター、外因性mRNA、および/または1または2以上の第2の阻害性RNAを含んでもよい。プロモーターは、組織特異的プロモーター、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターであってよい。
組換えAAVベクターのための上記で同定された主要な要素に加えて、ベクターはまた、導入遺伝子のエレメントに作動可能に連結されている従来の制御エレメントを含み、ここで該連結は、本発明によって産生されたベクターでトランスフェクトされたかまたはウイルスで感染された細胞における、転写、翻訳および/または発現を可能にする様式である。本明細書で使用する場合、「作動可能に連結された」配列は、目的の遺伝子に隣接する発現制御配列、および、目的の遺伝子を制御するためにトランスでまたは距離をおいて作用する発現制御配列の両方を含む。発現制御配列は、以下を含む:適切な転写開始終止、プロモーターおよびエンハンサー配列;効率的なRNAプロセシングシグナル、例えばスプライシングおよびポリアデニル化(ポリA)シグナル;細胞質mRNAを安定化する配列;翻訳効率を増強する配列(例えば、コザックコンセンサス配列);タンパク質安定性を増強する配列;および、必要な場合は、コードされた産物の分泌を高める配列。天然の、構成的、誘導性および/または組織特異的プロモーターを含む、多数の発現制御配列が、当技術分野で知られており、利用可能である。

0045

本明細書で使用する場合、核酸配列(例えば、コード配列)および調節配列は、これらが、核酸配列の発現または転写を調節配列の影響または制御下に置くような様式で、共有的に連結されている場合に、作動可能に連結されているとされる。核酸配列の機能的タンパク質への翻訳が所望される場合、2つのDNA配列が作動可能に連結されているとされるのは、以下の場合である:5′調節配列のプロモーターの誘導が、コード配列の転写をもたらす場合、および、2つのDNA配列間の結合の性質が、(1)フレームシフト変異の導入をもたらさない、(2)コード配列の転写を指示するプロモーター領域の能力を妨害しない、または(3)タンパク質に翻訳されるべき対応するRNA転写物の能力を妨害しない場合。したがって、プロモーター領域が核酸配列に作動可能に連結されているのは、プロモーター領域が、得られる転写物が所望のタンパク質またはポリペプチドに翻訳されるような様式で、DNA配列の転写に影響を及ぼすことができる場合である。同様に、2または3以上のコード領域が作動可能に連結されているのは、一般的なプロモーターからのそれらの転写が、フレーム内で翻訳された2または3以上のタンパク質の発現をもたらすように、連結されている場合である。いくつかの態様において、作動可能に連結されたコード配列は、融合タンパク質を生じる。いくつかの態様において、作動可能に連結されたコード配列は、機能的RNA(例えば、miRNA)を生じる。

0046

タンパク質をコードする核酸に対して、ポリアデニル化配列は、一般に、導入遺伝子配列の後でかつ3′のAAV ITR配列の前に挿入される。本発明において有用なrAAV構築物もまた、イントロンを、望ましくはプロモーター/エンハンサー配列と導入遺伝子との間に位置して含んでいてもよい。1つの可能なイントロン配列は、SV−40から誘導され、これはSV−40 Tイントロン配列と呼ばれる。任意のイントロンは、βアクチン遺伝子からのものであってもよい。使用することができる別のベクターエレメントは、内部リボソーム侵入部位(IRES)である。
宿主細胞での遺伝子発現に必要な調節配列の正確な性質は、種、組織または細胞型の間で変化し得るが、一般的に、必要に応じて、それぞれ転写および翻訳の開始に関与する5′非転写および5′非翻訳配列、例えばTATAボックスキャッピング配列、CAAT配列、エンハンサーエレメント、などを含む。特に、かかる5′非転写調節配列は、作動可能に接合された遺伝子の転写制御のためのプロモーター配列を含むプロモーター領域を含むであろう。調節配列はまた、所望により、エンハンサー配列または上流のアクチベーター配列を含んでもよい。本発明のベクターは、任意に5′リーダーまたはシグナル配列を含んでもよい。適切なベクターの選択および設計は、当業者の能力および裁量の範囲内である。

0047

構成的プロモーターの例としては、限定されないが、レトロウイルスラウス肉腫ウイルス(RSV)LTRプロモーター(任意にRSVエンハンサーを伴う)、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター(任意にCMVエンハンサーを伴う)、SV40プロモーター、およびジヒドロ葉酸還元酵素プロモーターが挙げられる。誘導性プロモーターは遺伝子発現の調節を可能にし、これは以下によって:外因的に供給された化合物、温度などの環境因子、または急性期などの特定の生理学的状態の存在、細胞の特定の分化状態によって、または複製細胞のみにおいて、調節され得る。誘導性プロモーターおよび誘導系は、様々な商業的供給源から入手可能であり、これには、限定はされないが、Invitrogen、ClontechおよびAriadが含まれる。他の多くの系が記載されており、当業者によって容易に選択することができる。外因的に供給されたプロモーターにより調節される誘導可能なプロモーターの例としては、亜鉛誘導性ヒツジメタロチオネイン(metallothionine)(MT)プロモーター、デキサメタゾン(Dex)誘導性マウス乳癌ウイルス(MMTV)プロモーター、T7ポリメラーゼプロモーター系、エクジソン昆虫プロモーター、テトラサイクリン抑制系、テトラサイクリン誘導系、RU486誘導系およびラパマイシン誘導系が挙げられる。この文脈において有用であり得る誘導性プロモーターのさらに他の種類は、特定の生理学的状態により、例えば、温度、急性期、細胞の特定の分化状態により、または複製細胞のみにおいて、調節されるものである。別の態様において、導入遺伝子のための天然のプロモーターまたはその断片が使用される。さらなる態様において、エンハンサーエレメント、ポリアデニル化部位もしくはコザックコンセンサス配列などの、他の天然の発現制御エレメントもまた、天然の発現を模倣するために使用することができる。

0048

いくつかの態様において、調節配列は、組織特異的遺伝子発現の能力を付与する。いくつかの場合において、組織特異的調節配列は、組織特異的な様式で転写を誘導する、組織特異的な転写因子に結合する。かかる組織特異的調節配列(例えば、プロモーター、エンハンサーなど)は、当技術分野において知られている。いくつかの態様において、プロモーターは、ニワトリβアクチンプロモーターである。
いくつかの態様において、1または2以上のmiRNAのための1または2以上の結合部位をrAAVベクターの導入遺伝子に組み込んで、導入遺伝子を保有する対象の1または2以上の組織、例えば、非肝臓組織、非肺組織において、導入遺伝子の発現を阻害する。当業者は、結合部位が、組織特異的な様式で導入遺伝子の発現を制御するために、選択されてもよいことを理解するであろう。mRNA中のmiRNA標的部位は、5′UTR、3′UTRまたはコード領域にあってもよい。典型的には、標的部位は、mRNAの3′UTRにある。さらに、導入遺伝子は、複数のmiRNAが、同一または複数の部位を認識することにより、mRNAを調節するように設計されてもよい。複数のmiRNA結合部位の存在は、複数のRISCの共同作用をもたらし、発現の高効率的な阻害を提供する。標的部位の配列は、合計で5〜100、10〜60、またはそれ以上のヌクレオチドを含んでよい。標的部位の配列は、標的遺伝子の結合部位の配列の少なくとも5個のヌクレオチドを含むことができる。

0049

いくつかの態様において、組換えRNAベクターのクローニング能力は限定されていてもよく、所望のコード配列は、ウイルスの4.8キロベースのゲノムの完全な置換を含むことができる。大きな遺伝子はしたがって、いくつかの場合には、標準的な組換えAAVベクターでの使用に適していない場合もある。当業者は、限定されたコーディング能力を克服するための選択肢が、当技術分野で利用可能であることを理解するであろう。例えば、2つのゲノムのAAV ITRをアニールしてヘッドツゥテイルコンカテマーを形成し、ベクターの能力をほぼ倍増することができる。スプライス部位の挿入は、転写産物からのITRの除去を可能にする。限定されたクローニング能力を克服するための他の選択肢は、当業者には明らかであろう。

0050

組換えAAVの投与
rAAVsを十分な量で投与して、所望の組織の細胞をトランスフェクトし、過度副作用なしに遺伝子移入および発現の十分なレベルを提供する。従来のおよび薬学的に許容し得る投与経路としては、限定されないが、選択された組織(例えば、肝臓組織、肺組織)への直接送達、および皮下、膵臓内(intraopancreatically)、鼻腔内、非経口、静脈内、筋肉内、髄腔内、脳内、経口、腹腔内への投与、吸入により、または別の経路によるものが挙げられる。所望により、投与経路は組み合わせてもよい。
特定のrAAVの対象への送達は、例えば、対象の血流への投与によってもよい。血流への投与は、静脈、動脈、または任意の他の血管の導管への注入によるものであってよい。さらに、特定の場合では、rAAVを、脳組織、髄膜、神経細胞、グリア細胞、星状細胞、オリゴデンドロサイト、脳脊髄液CSF)、間質腔などに送達することが望ましい場合がある。いくつかの態様において、組換えAAVは、直接的に脊髄または脳(例えば、前頭前野)へと、心室領域への注入により送達してもよく、さらに、線条体(例えば、尾状核または線条体の被殻)、および神経筋接合部、または小脳小葉に、針、カテーテルまたは関連するデバイスで、当技術分野で知られている定位注射などの神経外科技術を用いて送達してもよい(例えば、Stein et al., J Virol 73:3424-3429, 1999;Davidson et al., PNAS 97:3428-3432, 2000;Davidson et al., Nat. Genet. 3:219-223, 1993;およびAlisky and Davidson, Hum. Gene Ther. 11:2315-2329, 2000を参照)。

0051

特定の状況では、rAAVベースの治療用構築物を、本明細書に開示の適切に製剤化された医薬組成物中で、髄腔内、脳内、静脈内、皮下、膵臓内、鼻腔内、非経口、静脈内、筋肉内、経口、腹腔内に、または吸入により、送達することが望ましいであろう。
rAAVベースの治療用構築物の望ましい投与はまた、ex vivo投与も含むことができることを、当業者は理解することができる。いくつかの態様において、ex vivo投与は以下を含む:(1)対象からの目的の細胞または組織(単数または複数)の単離、(2)細胞または組織(単数または複数)を十分な量のrAAVに接触させて、過度の有害な影響なしに、遺伝子移入および発現の十分なレベルを提供すること、および(3)細胞または組織を、対象に移入して返すこと。いくつかの態様において、細胞または組織は、トランスフェクションの前および/または後に数日間、ex vivoで培養してもよい。

0052

細胞または組織は、対象から、任意の適切な方法によって単離することができる。例えば、細胞または組織は、外科手術生検(例えば、皮膚組織、肺組織、肝臓組織、脂肪組織の生検)、または血液などの生体液収集により、単離してよい。いくつかの態様において、細胞は、骨髄から単離される。いくつかの態様において、細胞は、脂肪組織から単離される。いくつかの態様において、細胞は、脂肪吸引物から単離される。ex vivoでのトランスフェクションのために、脂肪組織から細胞を単離するための適切な方法は、当技術分野で知られている。例えば、Kuroda, M., et al., (2011), Journal of Diabetes Investigation, 2: 333-340;Kouki Morizono, et al. Human Gene Therapy. January 2003, 14(1): 59-66;およびPatricia A. Zuk, Viral Transduction of Adipose-Derived Stem Cells, Methodsin Molecular Biology, 1, Volume 702, Adipose-Derived Stem Cells, Part 4, Pages 345-357を参照。
いくつかの態様において、単離された細胞は、幹細胞多能性幹細胞神経前駆細胞、脂肪吸引物由来幹細胞、肝臓の細胞(例えば、肝細胞)、造血幹細胞間葉系幹細胞間質細胞造血細胞血液細胞線維芽細胞内皮細胞上皮細胞、または他の適切な細胞を含む。いくつかの態様において、トランスフェクトされる細胞は、対象から単離された細胞から調製された、誘導多能性幹細胞である。

0053

ある態様において、細胞または組織(単数または複数)は、細胞あたりのrAAVの少なくとも10感染単位(i.u.)(例えば、10、100、1,000、5,000、10,000、100,000またはそれ以上のi.u.)の感染多重度MOI)で、または機能的に同等なウイルスのコピー数で、形質導入される。一態様において、細胞または組織(単数または複数)は、10〜10,000i.u.のMOIで、形質導入される。トランスフェクトされた細胞または組織(単数または複数)の対象への移入の経路としては、限定されないが、以下が挙げられる:皮下、膵臓内、鼻腔内、非経口、静脈内、血管内、筋肉内、髄腔内、脳内、腹腔内、または吸入による。いくつかの態様において、トランスフェクトされた細胞は、肝門静脈注射によって投与される。いくつかの態様において、トランスフェクトされた細胞は、血管内に投与される。rAAVのex vivo投与の方法は、当技術分野においてよく知られている(例えば、Naldini, L. Nature Reviews Genetics (2011) 12, 301-315, Li、H. et al. Molecular Therapy (2010) 18, 1553-1558、およびLoiler et al. Gene Therapy (2003) 10, 1551-1558を参照)。

0054

組み換えAAV組成物
rAAVは、対象に対して、当技術分野で知られている任意の適切な方法に従って組成物中で送達されてよい。生理学的に適合性の担体中(例えば、組成物中)に懸濁することができるrAAVを、対象、例えば、ヒト、マウス、ラットネコイヌ、ヒツジ、ウサギウマウシヤギブタモルモットハムスター、ニワトリ、七面鳥、または非ヒト霊長類(例えば、マーモセット、マカク)に投与してもよい。本発明の組成物は、rAAVを単独で、または1もしくは2以上の他のウイルス(例えば、1または2以上の異なる導入遺伝子をコードする、有する、第2のrAAV)と組合せて、含むことができる。

0055

いくつかの態様において、比較的大型の霊長類における遺伝子サイレンシングを評価するために、アフリカミドリザルまたはその他の比較的大型霊長類において、実験が実施される。いくつかの態様において、miRNA(例えば、miR−SOD1)を発現するrAAVベクターを、かかる霊長類のCSFに、IT注射で尾側、および大槽内注射で吻側の両方に注射する。
適切な担体は、rAAVが指向される適応症の観点から、当業者によって容易に選択することができる。例えば、1つの適切な担体は、種々の緩衝液を用いて配合することができる、生理食塩水を含む(例えば、リン酸緩衝食塩水)。他の例示的な担体としては、滅菌生理食塩水乳糖ショ糖リン酸カルシウムゼラチンデキストラン寒天ペクチン落花生油ゴマ油、および水が挙げられる。さらにその他のものも、当業者には明らかであろう。
任意に、本発明の組成物は、rAAVおよび担体(単数または複数)に加えて、保存剤または化学的安定剤などの他の従来の医薬成分を含有してもよい。好適な例示的保存剤としては、クロロブタノールソルビン酸カリウムソルビン酸二酸化硫黄没食子酸プロピルパラベンエチルバニリングリセリンフェノールおよびパラクロロフェノールが挙げられる。適切な化学的安定剤としては、ゼラチンおよびアルブミンが挙げられる。

0056

所望の効果または「治療効果」を達成するために必要なrAAVビリオンの用量、例えば、ベクターゲノム/体重kgにおける単位用量、(vg/kg)は、以下を含むがこれには限定されないいくつかの要因に基づいて変化する:rAAVの投与経路、治療効果を達成するために必要な遺伝子またはRNAの発現のレベル、処置する特定の疾患または障害、および遺伝子またはRNA産物の安定性。当業者は、特定の疾患または障害を有する対象を処置するためのrAAVビリオンの用量範囲を、前述の要因、および当技術分野でよく知られている他の要因に基づいて、容易に決定することができる。rAAVの有効量は、対象当たり、約109〜1016ゲノムコピーを含有する溶液の約10μl〜10mlの範囲である。溶液の他の容量を使用してもよい。使用される容量は、典型的には、特に、対象のサイズ、rAAVの用量、および投与経路に依存するであろう。例えば、静脈内投与に対して、10μl〜100μl、100μl〜1ml、1ml〜10ml、またはそれ以上の範囲の容量を使用してよい。いくつかのケースにおいて、対象あたり、約1010〜1012のrAAVゲノムコピーの投与量が適切である。いくつかのケースにおいて、rAAVは、対象あたり、1010、1011、1012、1013、1014、1015ゲノムコピーの用量で投与される。いくつかの態様において、rAAVは、1kgあたり、1010、1011、1012、1013、または1014ゲノムコピーの用量で投与される。

0057

いくつかの態様において、rAAV組成物は、特に高いrAAV濃度が存在する場合(例えば、〜1013GC/ml以上)、組成物中のAAV粒子の凝集を低減するように製剤化される。rAAVの凝集を低減するための方法は当技術分野で知られており、例えば、界面活性剤の添加、pH調整、塩濃度調整などを含む(例えばWright FR, et al., Molecular Therapy (2005) 12, 171-178を参照、この内容は参照により本明細書に組み込まれる)。
薬学的に許容し得る賦形剤および担体溶液の配合は、当業者に知られており、種々の処置計画において本明細書に記載の特定の組成物を使用するための、適切な投薬および処置計画の開発も同様である。典型的にこれらの製剤は、少なくとも約0.1%またはそれ以上の活性成分を含んでよく、ただし、活性成分(単数または複数)のパーセンテージは当然ながら変化させることができ、好都合には、全製剤の重量または体積の、約1または2%と、約70%または約80%またはそれ以上の間であってもよい。当然ながら、治療上有用な各組成物中の活性成分の量は、化合物の任意の所与の単位用量で、適切な投与量が得られるような方法で、調製され得る。溶解性バイオアベイラビリティ生物学的半減期、投与経路、製品貯蔵寿命、並びに他の薬理学的検討事項などの要因は、かかる医薬製剤を調製する当業者により考慮され、したがって、多様な投与量および処置計画が望ましい。

0058

注射用途に適した医薬形態としては、滅菌水溶液または分散液、および滅菌注射溶液または分散液の即時調製用滅菌粉末が挙げられる。分散液はまた、グリセロール液体ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物ならびに油中に調製することができる。通常の保存および使用条件下で、これらの調製物は、微生物の増殖を防止するために保存剤を含む。多くの場合において、形態は滅菌で、容易な注射可能性が存在する程度に流体である。それは、製造および貯蔵の条件下で安定でなければならず、細菌および真菌などの微生物の汚染作用に抗して保存されなければならない。担体は、例えば、水、エタノールポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、それらの適切な混合物、および/または植物油を含む、溶媒または分散媒であることができる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散液の場合は必要な粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって、維持することができる。微生物の作用の防止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによってもたらされ得る。多くの場合、等張剤、例えば、糖または塩化ナトリウムを含めることが好ましいであろう。注射用組成物持続的吸収は、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収を遅らせる薬剤の、組成物における使用によって、もたらされ得る。

0059

注射用水溶液の投与のために、例えば、必要に応じて溶液を適切に緩衝することができ、液体希釈剤は、十分な生理食塩水またはグルコースで最初に等張性にする。これらの特定の水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下および腹腔内投与に特に適している。これに関連して、使用できる滅菌水性媒体は、当業者に知られている。例えば、1投与量を1mlの等張性NaCl溶液に溶解して、1000mlの皮下液に添加するか、または注入の提案部位に注射することができる(例えば、"Remington's Pharmaceutical Sciences" 15th Edition, pages 1035-1038 and 1570-1580を参照)。投与量のいくらかの変化は、宿主の状態に応じて必然的に発生するであろう。投与責任者は、いずれにしても、個々の宿主のための適切な用量を決定するであろう。
滅菌の注射用溶液の調製は、必要量の活性rAAVを、本明細書に列挙した種々の他の成分と共に適切な溶媒中に組み込み、続いて濾過滅菌することにより、行われる。一般に分散液は、様々な滅菌活性成分を、基本的な分散媒および上記に列挙したものからの必要な他の成分を含む、滅菌ビヒクルに組み入れることによって、調製される。滅菌注射溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法真空乾燥および凍結乾燥技術であり、これによって、活性成分に加えて、予め濾過滅菌した溶液からの任意のさらなる所望の成分の、粉末が生成される。

0060

本明細書に開示されたrAAV組成物はまた、中性または塩形態に製剤化することができる。薬学的に許容し得る塩は、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基と形成される)を含み、これらは、例えば、塩酸もしくはリン酸などの無機酸、または酢酸シュウ酸酒石酸マンデル酸などの有機酸を用いて形成される。遊離カルボキシル基と形成される塩はまた、例えば、ナトリウムカリウムアンモニウム、カルシウム、または水酸化第二鉄などの無機塩基、およびイソプロピルアミントリメチルアミンヒスチジンプロカインなどの有機塩基から誘導することもできる。製剤化の際に、溶液は、投薬製剤適合する方法で、治療的に有効であるような量で投与される。製剤は、注射用溶液、薬物放出カプセルなどの種々の剤形で、容易に投与される。
本明細書で使用する場合、「担体」は、任意およびすべての溶媒、分散媒、ビヒクル、コーティング、希釈剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤緩衝剤、担体溶液、懸濁液、コロイド、などを含む。薬学的に活性な物質のためのかかる媒体および薬剤の使用は、当技術分野で知られている。補助的な活性成分も、組成物に組み込むことができる。語句「薬学的に許容し得る」は、宿主に投与した場合に、アレルギー反応または同様の有害反応を生じない、分子実体および組成物を指す。

0061

送達媒体、例えばリポソームナノカプセル微粒子ミクロスフェア脂質粒子小胞などは、本発明の組成物の、適切な宿主細胞への導入のために使用することができる。具体的には、rAAVベクターが送達する導入遺伝子は、脂質粒子、リポソーム、小胞、ナノスフェア、またはナノ粒子などのいずれかにカプセル化して、送達用に製剤化することができる。
かかる製剤は、本明細書に開示された核酸またはrAAV構築物の薬学的に許容し得る製剤の導入のために、好ましい場合がある。リポソームの形成および使用は、一般に当業者に知られている。最近では、改善された血清安定性および循環半減期を有するリポソームが開発された(米国特許第5,741,516号)。さらに、リポソームおよびリポソーム様製剤の、潜在的な薬物担体としての様々な方法が記載されている(米国特許第5,567,434号;第5,552,157号;第5,565,213号;第5,738,868号;および第5,795,587号)。

0062

リポソームは、他の手順によるトランスフェクションに通常抵抗性である多くの細胞種に、成功して使用されてきた。さらにリポソームは、ウイルスベースの送達系に特有の、DNA長の制約がない。リポソームは、遺伝子、薬剤、放射線治療剤、ウイルス、転写因子およびアロステリックエフェクターを、種々の培養細胞株および動物に導入するために、効果的に使用されてきた。さらに、リポソーム媒介性薬物送達の有効性を検査する、いくつかの成功した臨床試験が完了している。
リポソームは、水性媒体中に分散されたリン脂質から形成され、自発的に多重膜同心二重層小胞(多層小胞(MLV)とも呼ばれる)を形成する。MLVは、一般に、25nm〜4μmの直径を有する。MLVの超音波処理は、200〜500オングストロームの範囲の直径を有し、コア中に水溶液を含有する小単層小胞(SUV)の形成をもたらす。

0063

代替的に、rAAVのナノカプセル製剤を使用することができる。ナノカプセルは一般に、物質を安定かつ再現可能な方法で捕捉することができる。細胞内ポリマー過負荷による副作用を避けるために、かかる超微粒子(サイズ0.1μm前後)は、in vivoで分解することができるポリマーを使用して設計されるべきである。これらの要件を満たす生分解性ポリアルキルシアノアクリレートナノ粒子が、使用のために意図される。
上述の送達方法に加えて、以下の技術も、rAAV組成物を宿主へ送達する代替方法として意図される。ソノフォレシス(例えば、超音波)が使用され、米国特許第5,656,016号において、循環系へと、また循環系を介した、薬物透過の率と有効性を高めるためのデバイスとして記載されている。意図される他の薬物送達の選択肢としては、骨内注入(米国特許第5,779,708号)、マイクロチップデバイス(米国特許第5,797,898号)、眼科用製剤(Bourlais et al., 1998)、経皮マトリックス(米国特許第5,770,219号および第5,783,208号)およびフィードバック制御送達(米国特許第No. 5,697,899号)である。

0064

キットおよび関連組成物
本明細書に記載の組換え核酸、組成物、rAAVベクター、rAAVなどは、いくつかの態様において、医薬または診断または研究キットに組み込まれて、治療、診断または研究用途におけるそれらの使用を促進することができる。キットは、本発明の構成要素および使用説明書を収容する、1または2以上の容器を含んでよい。具体的には、かかるキットは、本明細書に記載の1または2以上の薬剤を、これらの薬剤の意図する用途および適切な使用を記載する使用説明書と共に、含んでもよい。特定の態様において、キット中の薬剤は、特定の用途および薬剤の投与方法に適した、医薬製剤および投与量であってよい。研究目的のためのキットは、成分を、種々の実験を実行するための適切な濃度または量で含んでいてもよい。

0065

キットは、研究者による本明細書に記載の方法の使用を容易にするように設計されてもよく、多くの形態をとることができる。キットの各組成物は、適用可能な場合は、液体形態(例えば、溶液中で)、または固体形態(例えば、乾燥粉末)で提供されてよい。ある場合には、組成物のいくつかは、例えば、キットと共に提供されている場合もされない場合もある、適切な溶媒または他の種(例えば、水または細胞培養培地)を添加することにより、例えば、構成的であるか(constitutable)または他の方法で、(例えば活性型に)加工可能である。本明細書で使用する場合、「使用説明書」は、指示および/またはプロモーションの成分を定義し、典型的には、本発明のパッケージング上の、またはこれに関連した書面による、使用説明書を含むことができる。使用説明書はまた、ユーザーが明確に使用説明書がキットに関連することを認識するような任意の様式で提供される、任意の口頭または電子的な使用説明書を含むことができ、例えば、オーディオビジュアル(例えば、ビデオテープ、DVDなど)、インターネット、および/またはWebベース通信などである。書面による使用説明書は、医薬品または生物学的製品の製造、使用または販売規制する政府機関によって規定された形態であってもよく、該使用説明書はまた、動物への投与のための製造、使用または販売の機関による承認を反映することができる。

0066

キットは、1または2以上の容器中に、本明細書に記載の任意の1または2以上の成分を含んでよい。一例として、一態様において、キットは、キットの1または2以上の成分を混合し、および/または試料を単離および混合し、対象に対して適用するための使用説明書を含んでよい。キットは、本明細書に記載の薬剤を収容する容器を含んでいてもよい。薬剤は、液体、ゲルまたは固体(粉末)の形態であってもよい。薬剤は、滅菌的に調製し、注射器中に包装し、冷蔵出荷されてよい。代替的に、薬剤は、貯蔵のためにバイアルまたは他の容器内に収容されてよい。第2の容器は、滅菌的に調製された他の薬剤を有してよい。代替的に、キットは、予め混合されて注射器、バイアル、チューブ、または他の容器中で出荷される活性剤を、含んでよい。キットは、対象に薬剤を投与するために必要な、1または2以上またはすべての構成部品、例えば注射器、局所適用デバイス、またはIV針のチューブおよび袋などを、有してよい。
本発明の例示的な態様を、以下の実施例にさらに詳細に説明する。これらの態様は本発明の例示であり、当業者は、本発明が例示的な態様に限定されないことを理解するであろう。

0067

例1:C9orf72発現の評価および標的化
C9orf72を標的とするmiRNAを送達する組換えアデノ随伴ウイルスベクターが、開発された。
細胞株および正常なヒト脳におけるC9orf72発現の評価:
WTまたは変異型C9orf72のいずれかを発現する、2種類の細胞株を使用した。83のリンパ芽球様細胞株のセットを、C9orf72のG4C2伸長が陽性である78の家族性ALS(FALS)家系患者から得た。また、以下を有する、継続的HEKおよびSH−SY5Y細胞株を生成した:
・エクソン1aの上流の、2.0kbのC9orf72プロモーター、
・G4C2反復を含む介在イントロンを有する、エクソン1aおよび1b、および
・2.1kbの続くイントロンおよびエクソン2、この開始コドンがルシフェラーゼを駆動する。
4つの下位株が、50、90、160および200の反復のG4C2伸長を有するこれらの細胞株から生産された。線維芽細胞培養物は、C9orf72G4C2伸長の症例からも得た。

0068

C9orf72の原理的(principle)転写産物を探索するために、pre−mRNAまたはスプライスされたmRNAのいずれかを検出する、プローブおよびプライマーの系列を生成した。図1に示すように(上)、異なるpre−mRNAアイソフォームに対するTaqManプローブを開発した。1つのプローブであるVallはすべてのpre−mRNA転写物を検出し、一方他の2つ(V1またはV3)は、pre−mRNAアイソフォームV1またはV3を検出する。図1に示すように(下)、3つの異なるスプライスされたmRNAアイソフォームを検出するプライマー対が、生成された。V1は、アイソフォームBを検出し、一方プライマー対V2とV3は、アイソフォームAの2つのバリアントを検出する。
図2に示すように、TaqManプライマーは、HEK293およびSH−SY5Y細胞およびヒトの脳からの、3つの主要なpre−mRNA転写物を検出する。V1とV3についての転写レベルは、Vallよりもかなり小さく、示されるように、脳およびこれらの細胞における主要な転写物が、V2であることを示す。

0069

細胞におけるpre−mRNAおよびスプライスされたmRNAの発現の、マイクロRNA媒介性サイレンシング:
C9orf72遺伝子を標的とするマイクロRNAの、そのRNA転写物をサイレンシングする能力を評価した。C9orf72のエクソン3におけるORFの塩基220〜241を標的とする、C9−miR220と称される人工マイクロRNAを開発した。このmiRNAはエクソン3に結合するため、mRNAバリアントの全てを標的とすることが予想される。図3は、ヒトC9orf72のin vitroでのmiRNA媒介性ノックダウンを示す。これらは、HEK293T細胞における、mir220(CBAプロモータ−GFP)の一過性トランスフェクションの、3つの生物学的複製からの結果である。対照は、SOD1に対するmiRである。
miRNAを、U6またはニワトリβアクチン(CBA)プロモーターのいずれかを使用して、2つの異なるプラスミドにクローニングした。これらのプラスミドを次に、Hek−293細胞にトランスフェクトした。72時間後、定量的RT−PCRを使用し、pre−mRNA転写物を検出するカスタムTaqManプローブまたはスプライスされたmRNAバリアントを検出するプライマーを用いて、転写物をアッセイした。図3および図4に示すように、U6またはCBAプロモーターによって駆動されると、C9−miR220マイクロRNAの両方の形態は、スプライスされたmRNAのレベルを約50%低下させた。pre−mRNA転写物のレベルは、CBA−C9miR220マイクロRNAにより〜65%に低下し(例えば、〜35%の減少)、一方U6−C9miR220は、pre−mRNAのレベルを〜25%に低下させた(例えば、〜75%の減少)(図4参照)。これらの結果は、人工マイクロRNAを用いた、C9orf72遺伝子のpre−mRNAおよびmRNA両方のサイレンシングを実証する。

0070

BACトランスジェニックG4C2伸長を有するマウスモデルの生成:
C9orf72媒介性ALSのマウスモデルを生成するために、細菌人工染色体(BAC)を、〜580の反復および45の反復のG4C2伸長を有するALSの患者の細胞から単離した。〜580の反復を有するBACは、C9orf72のエクソン1〜6(Hg18 chr0:27,561,112-27,714,301)にまたがり、一方45の反復を有するBACは、完全なコード配列にまたがる。これらのBACからの環状DNAを使用して、トランスジェニックマウスを作製した。49の仔を580反復のBACから得て、このうち3匹は、PCRアッセイによりG4C2伸長について陽性であった。これら3匹のうち1匹は、生殖系列伝達を示し、良好に繁殖する子孫を生産した。導入遺伝子の持続的な伝達を有するこれらのマウスのコロニー確立した。始祖は〜14月齢までで、明白な運動ニューロン表現型はなかった。しかし、4および6月齢のC9 BACトランスジェニックマウスの脳は、顕著な特徴を示した。第1に、図5(レーンE)に示すように、BAC C9トランスジェニックマウスから単離されたゲノムDNAのサザンブロットは、ほぼ4.5〜6.0kbを走行する、密集した異種のバンドを明らかにする;これは、G4C2伸長を有する個体からの、リンパ芽球(A)および脳(B)のDNAを用いた結果とよく一致する。かかるバンドは、伸長なしの固体(レーンc)または非トランスジェニックマウス(D)の脳由来のDNAでは明らかでない。第2の観察において、4および6月齢両方の580反復のBAC C9トランスジェニックマウスからの海馬の切片の、G4C2−CyAプローブによる(センス鎖RNAを検出するため)プロービングは、残りの脳および脊髄全体にも存在する核内RNA凝集体の豊富さを明らかにした。(図5、右側のパネルを参照)。これらは、「盲検」観察者によって検出された。海馬の対照/WTマウスは、これらの凝集体を示さなかった。これらの結果は、以下を示す:(1)G4C2伸長を有するBAC C9orf72導入遺伝子の、安定した伝達;および(2)マウスが、ヒトC9orf72媒介性ALSで見つかったセンス鎖RNAの核内沈着(deposit)を再現すること。これらの凝集体は、RNAseでの処理後には検出されないことが決定されている。これらのBACトランスジェニックC9マウスは、核RNA凝集体を有するため、C9orf72からの転写物発現のサイレンシングの評価は、運動ニューロン疾患が不在であっても、凝集体の存在についてアッセイすることによって可能である。

0071

マイクロRNAの設計:
miRNAのAAVプラットフォームは、miR−155をベースにする。標的化配列とステムループを、Drosha/DGCR8複合体による効率的な認識および処理のために、miR−155隣接領域のコンテキスト内にクローニングする(図7)。miRNAデザインは、5′末端アデニンまたはウラシルのいずれかを有する、成熟した21マーのmiRNAのガイド配列を生成する。5′末端でのUまたはAの選択は、Ago2の中間領域が成熟miRNAの5′末端と相互作用し、これら2つの塩基に対して、シトシンおよびグアニンより20倍高い親和性を有するという事実により、駆動される。この設計はまた、RISC複合体へのガイド鎖熱力学的取り込みを促進する。miRNAは、低い第二級および第三級複雑性標的mRNAの領域を標的とするように、設計される。これはRNAフォールディングアルゴリズムを用いて行われ、標的部位におけるmiRNA:mRNA同族結合の可能性を高めることを目標とする。図7Bに示すように、miRNAは次いで、ポリメラーゼIIまたはポリメラーゼIIIプロモーターのいずれかからの、GFPと関心のmiRNAを発現するITRを有する、プロウイルスプラスミドにクローニングする。選択的にバリアント1および3のいずれかを、またはすべてのバリアントを標的とする、8つのmiRNAを、これらのプラスミドにクローニングした(表1参照)。

0072

0073

表1に示すように、潜在的なmiRNAが同定され、ヘキサヌクレオチド反復にわたる領域についてクローニングされた。pre−mRNAアイソフォームV1およびV3が標的とされたが、その理由は、これらがG4C2のヘキサヌクレオチド反復を包含しているためである;表1に示すように、miR−C9−21および−48は、V1およびV3を標的とすることが予想される。
さらに、すべてのバリアントを標的とするmiRNAが使用された。miR−C9−220は、mRNAおよびpre−mRNA種両方のin vitroでのノックダウンについて効果的である。特定の場合において、in vitroで40〜50%ノックダウン効率のmiRNAは、ウイルスベクターを用いて達成された形質導入およびゲノムコピーの効率の増加により、翻訳してin vivoで80%を超えるノックダウンを達成する。このmiRNAは、pre−mRNAのノックダウンによって決定されるように、核において機能する。核標的化は、miRNAの3′末端の最後の3塩基を、同族mRNAから脱標的化されるように修飾することによって、改善することができる。miRNAがそのメッセージに100%相補的でなく、3′末端で脱標的化される場合、該miRNAは著しくより安定な複合体をAgo2と形成する。これは、miRNAのAgo2複合体中の滞留時間を増加させ、それによって核移行の可能性を増加させる。表1で示したように、我々は、3′ミスマッチを有するmiRNA(miR−C9−220−3′mm)をクローニングし、これは、この活性を評価するために有用である。

0074

C9orf72のin vitroノックダウン:
HEK−293T細胞およびSHSY−5Y細胞を、Jet Prime試薬を用いて、製造業者プロトコルに従って一過性にトランスフェクトした。患者の線維芽細胞のトランスフェクションには、Nucleofactorエレクトロポレーター(Lonza AG)の初代線維芽細胞のためのプロトコルを使用する。細胞をトランスフェクションの48時間後に収集し、RNAの単離を、Trizol試薬を用いて行う。次いで、RNAをDNAseで処理し(Turbo DNA-free kit, Applied Biosystems)、逆転写する(High Capacity RNA-to-cDNAkit, Applied Biosystems)。pre−mRNAの検出ために、転写レベルを、RT−qPCRで定量化する(下の表2,3に記載のFast SYBR Greenマスターミックスおよびプライマーセット、Applied biosystems)。mRNA検出のために、転写物をRT−qPCRで定量化する(下の表に記載のTaqManマスターミックスおよびTaqManアッセイ、Applied Biosystems)。発現データは2ΔΔCtによって分析する。

0075

C9orf72のpre−mRNA検出用プライマーの設計:
2つのプライマーセットを、pre−mRNAの検出のために設計した。第1のプライマーセット(Vall)はすべてのバリアントを検出するが、これは、プライマーがエクソン2と隣接するイントロンの間に位置しているためである。pre−mRNAプライマーの第2のセット(V1、V3)は、バリアント1および3を検出する;プライマーは、エクソン1と隣接イントロンとの間に位置する(図1参照)。プライマー配列を以下の表に示す。

0076

C9orf72のmRNA検出のための、プライマー−プローブ設計:
スプライスされたmRNAの検出のため、プライマー−プローブセットを使用した。各セットは、DNase消化を行うことなくゲノムDNAから区別するために、エクソンの接合部にまたがる。V1はバリアント1のみを検出する;プライマーおよびプローブセットは、エクソン1aおよび3にまたがる。V2は、エクソン2および3の接合部にまたがる。バリアント3を検出するエクソン3は、エクソン1bとエクソン3の接合部にまたがる。最後に、Vallは、すべてのバリアントを検出する;このプライマープローブセットは、エクソン3と4(図1参照)の間のスプライス接合部にまたがる(図1参照)。TaqManプライマー−プローブ配列は、Life Technologiesを介し、以下の表のように発注した。

0077

G4C2核内凝集体の蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH):
組織および患者の線維芽細胞におけるG4C2の検出は、4%PFAを用いて上で10〜20分間固定し、PBSで3回洗浄し、70%エタノール中4℃で一晩インキュベートすることにより実施される。40%ホルムアミド+2×SSCを、室温で20分間添加する。ハイブリダイゼーション緩衝液(250μl)は、ヘキサヌクレオチド伸長(G4C2)に特異的なCy3プローブを用いて調製し、37℃で2時間インキュベートし、次いで、40%ホルムアミド+1×SSCで、37℃で30分間洗浄し;続いて1×SSCで2回、RTで15分間洗浄する。次にスライドマウントし、DAPI含有マウント培地と共にカバーする(図5右パネル参照)。

0078

C9orf72の定量的リアルタイムPCR:
RNAは細胞からTrizolを用いて抽出し、逆転写した(High Capacity RNA-to-cDNAkit, Applied Biosystems)。標準的なプロトコルに従い、C9orf72転写物レベルを、RT−qPCRにより、表2および3のFast TaqmanマスターミックスおよびTaqman(Applied Biosystems)を使用して定量した。相対定量を、2−ΔΔCt法を用いて決定した。
G4C2核内凝集体の定量化:
患者の線維芽細胞におけるRNA凝集体の出現頻度を、ランダム顕微鏡撮影フィールドを60倍で分析することにより、評価する。RNA凝集体の自動計数を、ImageJソフトウェアでFishJアルゴリズムマクロを使用して実施する。

0079

統計分析
種々のプラスミドを用いたトランスフェクション後の、mRNAおよびpre−mRNAの両方についてのC9orf72転写物の相対的発現を、2−ΔΔCt式を用いて分析する。対照(GFP−スクランブル−miR)を実験(GFP−C9−miR)と比較する、少なくとも3つの生物学的複製についての値を、統計的有意性のための2つの試料のt検定を用いて分析した。患者の線維芽細胞を含む実験における二次エンドポイントは、G4C2核内凝集体の平均の存在であった。凝集体データを、対照と実験のトランスフェクションを比較する少なくとも3つの生物学的複製についてのFishJデジタル画像解析から得て、これを再度、2つの試料のスチューデントt検定を用いて比較した。

0080

例2:髄腔内送達された組換えアデノ随伴ウイルスRh10型(rAAV.Rh10−C9miR)の、マウスC9orf72遺伝子からのpre−mRNAおよび成熟mRNAの発現をサイレンシングすることにおける、in vivo有効性
抗C9miRを発現する髄腔内送達されたrAAV.Rh10は、野生型マウスおよびBAC由来C9orf72mutantトランスジェニックマウスの両方においてC9orf72RNA転写物の中枢神経系レベルを減少させる。rAAV.Rh10−C9miRの、C9orf72および関連するG4C2転写物のレベルを抑制する有効性を、トランスジェニックマウスにおいて評価する。
プライマーV1、V2、V3、およびVallを用いて、C9orf72転写物を評価する。図8に示すように、V1、V2、およびV3プライマーを使用するアッセイは、トランスジェニックマウスの転写物を検出し、一方Vallプライマーは、マウスおよびヒトのC9orf72の両方を検出する。
rAAV.Rh10−C9miRの、C9orf72のpre−mRNAおよびスプライスされたmRNA転写物のレベルを低下させることに対する有効性を、野生型および当社のC9orf72mutantトランスジェニックマウスの両方を使用して評価する。rAAV.Rh10−C9miRが、トランスジェニックマウスにおけるRNAi凝集体の数を減少させる程度を、評価する。rAAV.Rh10−C9miRが、c9−RANタンパク質[ポリ(G)、ポリ(GA)、ポリ(GR)]のレベルを低下させる程度もまた、評価する。

0081

rAAV.Rh10−C9miRを、野生型マウスおよびC9orf72mutantトランスジェニックマウスに投与して、内因性C9orf72pre−mRNAおよびスプライスされたmRNAのノックダウンを評価する。図9に示すように、C9orf72mutantトランスジェニックマウスは、RNA凝集体の存在を実証し、C9orf72mutantトランスジェニックマウスからのCNS組織は、RAN翻訳ペプチドについて陽性の免疫染色を示す。したがって、凝集体およびRAN翻訳ペプチドの発生の変化を用いて、rAAV.Rh10−C9miR投与の有効性を評価する。ジペプチドレベルの低下は、例えば、サイレンシングの有効性の尺度として役立つ。
C9orf72mutantトランスジェニックマウスのrAAV.Rh10−C9miRを用いて、C9−miRが以下における低減を達成する程度を評価する:(1)pre−mRNAおよびmRNAレベル;(2)RNA凝集体の数、および(3)c9−RANタンパク質[ポリ(G)、ポリ(GA)、ポリ(GR)]の産生。G4C2核内凝集体の蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)を、図5に示すように、処置ありおよびなしのマウスの脳および脊髄組織で実施する。
表4および5に概要を示すように、rAAVsを、新生仔および成体マウスの両方に注射する;前者には、静脈内送達を使用する;後者では、送達は髄腔内である。新生仔注射は、小容量のベクターで広範囲のCNS伝達を可能にする。髄腔内投与は、CNSへの形質導入に必要なウイルスの量を減少させ、rAAVへの全身曝露を最小限にする。

0082

0083

新生仔末梢注射:
新生仔の注射のために、低体温を使用して、静脈内投与の前に動物を麻酔する。動物を、湿った氷のベッドの上に1〜3分間置き、次にP1について顔面静脈、およびp28について尾静脈に注射し、その同腹仔と共にベッドに戻した。新生仔注射手順は、約5分を要する。

0084

腰部髄腔内注射
成体マウスを、導入チャンバーにおいてイソフルラン2.5%で麻酔する。った後、動物をノーズコーンに移して、連続的にイソフルランを投与する。マウスに、C9orf72に対するmiRをコードするベクターまたはスクランブル対照miRを、用量:5×1010ベクターゲノム/動物にて、5μlの容量で投与する。この用量は、2×1012vg/kg(25grのマウスを考慮)に相当する。髄腔内(IT)投与は、50μlのガラスLuer-hub Hamiltonシリンジに接続された30ゲージ、0.5インチの滅菌使い捨て針を使用して実施する。注射部位は、L5とL6の間である。術後の痛みは、IT注射時および、24〜48時間後に動物が不快感であるように見える場合、ケトプロフェン(5mg/kg、皮下)で管理する。

0085

RAN翻訳ペプチドの検出:
ポリ(GP)抗体に対して免疫陽性である細胞質封入体は、図9に示すように、C9orf72mutantトランスジェニックマウスの前頭皮質に存在する。C9orf72mutantトランスジェニックマウスが、他のRAN翻訳ペプチドを発現するかどうかを決定するため、およびRAN翻訳増加の程度が年齢と共に増加するかどうかを評価するために、ポリ(GA)、ポリ(GR)およびポリ(GP)ペプチドの発現を、複数の時点で、ウサギポリクローナル抗体を使用して検査する。これらの抗体は、その免疫原を特異的に検出し、かつC9orf72反復伸長のセンスまたはアンチセンス転写物からRAN翻訳された他のペプチドと交差反応性を示さないものであり(図10A)、c9FTD/ALS患者のCNS全体で、ニューロン封入体を検出する(図10B)。
2、4、8、および12月齢の時点で、脳および脊髄を、野生型およびトランスジェニックマウスから回収する。それぞれの脳を、矢状正中線を横切って二等分する:片半分は10%ホルマリンで固定し、一方他の半分は、6領域(皮質、皮質下、海馬、中脳、脳幹および小脳)に切断して、凍結する。各脊髄は、4つの横断切片に切断する;切片1および3は固定し、切片2および4は凍結する。

0086

免疫組織化学的研究のために、固定した脊髄および半脳をパラフィン包埋し、切片にする(脳については矢状方向、脊髄については横方向)。切片は、ポリ(GA)、ポリ(GR)およびポリ(GP)抗体で、DAKO Envision+HRP Systemと共にDAKO Autostainer(DAKO Auto Machine Corporation)を使用して、免疫染色する。さらに、RAN翻訳ペプチドの封入体が、ヒトc9FTD/ALSの脳の場合のようにニューロンのみに見られる程度を評価するために、二重免疫蛍光染色を、RAN翻訳ペプチドおよび神経マーカーまたは星状細胞マーカーに対する抗体を使用して実施する。
RAN翻訳ペプチドの発現レベルおよび、年齢依存的なペプチドの溶解度の変化を評価するために、凍結した脳および脊髄組織を連続抽出に供して、可溶性および不溶性タンパク質の画分を収集する。これらの画分を、ウエスタンブロットおよび定量的電気化学発光免疫測定法により、ポリ(GA)、ポリ(GR)またはポリ(GP)抗体を用いて試験する。

0087

C9orf72mutantトランスジェニックマウスにおけるRAN翻訳ペプチドの発現に対する抗C9orf72 miRNAの効果:
C9orf72転写物の、rAAV.Rh10−C9mirによるサイレンシングが、ポリ(GP)ペプチドおよびC9orf72mutantトランスジェニックマウスで発現される他のRAN翻訳産物の発現を減少させる程度を評価するために、マウスの脳および脊髄を、形質導入後の様々な時点で採取する。RAN翻訳されたペプチドのIHC、ウエスタンブロットおよび免疫測定分析を、多数の封入体に対し、ならびに可溶性および/または不溶性のRAN翻訳ペプチドのレベルに対して実施する。

0088

デジタル画像解析:
RAN翻訳タンパク質凝集体の定量化:
RAN翻訳タンパク質のIHC染色スライドの解析を、Aperio陽性の画素数計測画像解析プログラムを用いて実行する。スライド全体をAperioソフトウェアを使用してスキャンし、デジタル化する。解析は脳全体および脊髄切片について実施するが、ただし沈着した(precipitated)色素原などの染色のアーティファクトが指摘されない場合にのみ行う。これらの領域は、領域の輪郭を描くためのペンツールを使用して、解析から除外される。解析手順は、スペクトルソフトウェアを使用するバッチ処理のために提出されたすべての画像に対して実施する。このプロセスは、すべてのIHC染色スライドを、1つの標準陽性画素数計測アルゴリズムに供する。色の色素原の定量化のために使用されるデフォルトの設定は、3つの強度範囲(220〜175、175〜100、および100〜0)にある。染色されたが、陽性の色指定分類されない画素は、陰性染色の画素と考えられる。これらの画素も同様に計測され、陽性画素の、陽性画素と陰性画素の総数に対する割合を決定する。陽性(%)データは、陽性画素数(培地および強陽性)/陽性画素と陰性画素の総数、として報告される。

0089

G4C2核内凝集体の定量化:
RNA凝集体の頻度を、小脳と脊髄の灰白質にわたる横断サンプリングによって評価する。顕微鏡視野を盲検オペレータによりランダムに選択し、油浸60倍のレンズ撮影する。次いで画像中のRNA凝集体の自動計数を、ImageJソフトウェアのFishJアルゴリズムマクロを使用して実施する。

0090

統計的考慮:
種々の構築物によるAAV送達後の、C9orf72mRNAおよびpre−mRNA転写物の遺伝子発現の相対的変化の定量化を、2−ΔΔCt式を用いて分析する。統計的有意差決定のために、対照群(GFP−スクランブル−miR)または(PBS対照)の平均値を、実験群(AAVRh−C9−miR)からの平均と、統計的有意差のため2標本t検定を用いて比較する。トランスジェニックマウスの組織切片からのRNA核内凝集体およびRAN翻訳タンパク質についてのデジタル画像解析を、それぞれFishJおよびAperioソフトウェアによって定量化する。値は各動物について得られ、統計分析用の群に応じて平均化する(スチューデントt検定)。各群からの小脳および脊髄についてのデータを、個別に分析する。

0091

例3:霊長類におけるC9orf72のmiRNA標的化。
髄腔内送達後の非ヒト霊長類(NHP)の中枢神経系における、rAAV.Rh10−C9miRの評価およびC9orf72転写物のサイレンシングの程度の評価。
髄腔内投与されたrAAV.Rh10−C9miRが、非ヒト霊長類(NHP)の脊髄、大脳および小脳全体に広がる程度を評価する。3種のrAAV.Rh10ベクターを、抗C9 miRNAをコードする発現構築物の送達用に調製する。ベクターは、髄腔内注射を介して送達される。AAVRh10の広がりおよび向性(tropism)ならびに、2つの異なるプロモーターからのC9−miRの、サイレンシング有効性を、3週間にわたって評価する。コホートの1つには、GFPを駆動するポリメラーゼIIプロモーター(ハイブリッドニワトリβアクチンプロモーター)からのmiRNAを発現するベクターを注入する。別のコホートには、GFP発現を駆動するハイブリッドニワトリβアクチンプロモーターの上流に配置されたU6ポリメラーゼIIIプロモーターからmiRNAが発現される、バイシストニックベクターを投与する(図7B)。第3のコホートは、GFPのみを受領する対照である(下記の表7を参照)。RT−qPCRを、マイクロダイセクションによりレーザーキャプチャーされた運動ニューロンから得られたRNAに対して実施する。使用されるベクターの用量は、強固な皮質および脊髄伝達を示す、NHP研究におけるIT rAAV送達に基づく。

0092

0093

GFPをコードしないrAAV.Rh10−C9−miRベクターを使用して、マーモセット(例えば、4つの対照群および4つの処置群)におけるrAAV.Rh10のウイルス送達の長期安全性を調査する。生存中のエンドポイントは、詳細な身体検査、詳細臨床観察、体重、血液の標準的な血液学的および化学的パラメータ、AAVRh10に対する血清抗体の評価、AAVペプチドへのT細胞応答、ならびに体液および排泄物におけるベクターの脱落の程度を含む。死後のエンドポイントは、剖検観察、臓器重量および病理組織学的検査、血液および組織のrAAV.Rh10−C9−miRベクターDNA量を含む(表9)。また、C9orf72のmiRサイレンシングの程度を、本明細書に開示した方法を使用して評価する。

0094

レーザーキャプチャーマイクロダイセクション:
12mmの腰部脊髄凍結切片を、PEN膜スライド(Zeiss, Munich, Germany)上に収集し、メタノール中の1%クレシルバイオレット(Sigma, St. Louis, MO)で染色する。切片を空気乾燥し、−80℃で保存する。解凍後、運動ニューロンを、染色から30分以内に、レーザーキャプチャーマイクロダイセクターPALM Robo3(Zeiss)を使用し、次の設定を用いて収集した:カットエネルギー:48、LPCエネルギー:20、カットフォーカス:80/81、LPCフォーカス:1、ポジション速度:100、カット速度:50。約500のMNを、動物ごとに収集する。前角腹角)の非神経細胞を、運動ニューロンを採取した後に同じ切片から収集する。RNAは、その後、RNaqueous Micro Kit(Ambion, Grand Island, NY)を使用し、製造者の指示に従って単離する。

0095

rAAV.Rh10キャプシドに応答したインターフェロンガンマElispot:
IT送達後のrAAV.Rh10に対する免疫応答特徴づけるために、プールされたrAAV.Rh10キャプシドペプチドに対するリンパ球増殖を、ELISPOTアッセイを用いて評価する。種々の時点で採取した血液を、標準のFicoll-Paque(商標)Plusプロトコルを使用して処理し、末梢血単核細胞を得る。PBMCウェルあたり2×105細胞の濃度で、IFN−γ捕捉抗体でコーティングしたプレートに添加する。rAAV.Rh10による抗原特異的刺激を18〜24時間実施し、その後細胞を完全に洗浄する。この後、検出抗体と、続いて比色読み取りに適した基質で開発されたアビジンHRPを添加する。
AAV中和抗体アッセイ:
AAV中和抗体の存在を、適切な技術を使用しベクターコア研究室において評価する。

0096

例4:SOD1発現の評価および標的化:
rAAVベクターのトランスジェニックマウスへの送達
SOD1に対するmiRNA(図11A〜Cを参照)をin vivoまたはin vitroで細胞に送達する、組換えアデノ随伴ウイルスベクターを開発した。rAAVベクターの、SOD1の突然変異型を発現するトランスジェニックマウスへの送達は、形質導入された組織中の標的mRNAの80〜90%のノックダウンをもたらした(図12)。例えば、抗SOD1(miR)が、マウス肝臓におけるSOD1の発現をサイレンシングすることが、図13に示すように決定された。
これらの実験のために、rAAVベクターを、3種類の構築物と共に用いる:(a)ニワトリβアクチン(CB)駆動GFPと、続いてタンデム抗SOD1 miR(mir127);(b)U6プロモーター駆動miR−SOD1と、続いてCB−GFP;および、対照としてCB−GFPのみ。図13(上パネル)は、これらの構築物の概略図を示す。

0097

SOD1発現を減衰するためのマイクロRNAを保有する、髄腔内送達されたrAAV9は、SOD1G93AトランスジェニックALSマウスの生存を延長することが決定された。60日齢のマウスの腰部髄腔内空間に注入された2.4×1010ウイルスゲノム/5ulは、マイクロRNAの、複数の細胞型への脊髄に沿った広範囲の送達を達成した。(この用量は、我々のIV送達に使用される用量の〜1/16である)。高度に形質導入された動物において、ウエスタン免疫ブロッティングにより評価されるように、〜50%のSOD1発現の減少が観察された。また、全体で〜14日の生存の延長、および最高レベルのSOD1サイレンシングを有するマウスにおいて160日を超える生存の延長が、観察された(rAAV9スクランブルされたマイクロRNAで処置されたALSマウスにおける123日と比較して)。これらの結果は、C9−miR220が、げっ歯類および非ヒト霊長類において、rAAV.Rh10を用いて、脊髄の長さに沿って投与可能であることを示す。
図20は、G93A SOD1マウスのCB−miR−SOD1による処置が、対照動物と比較して、生存率を顕著に増加させることを示す。G93A SOD1マウスに、CB−GFPまたはCB−miR−SOD1−GFPの2×1012ゲノムコピー(gc)を、56〜68の日齢で注射し、進行した麻痺のために安楽死が必要となるまで、盲検的にモニタリングした。生存期間の中央値は、対照動物について108日であり(CB−GFP、n=19)、CB−miR−SOD1−GFPについて130日であった(n=28)。ログランク検定結果は0.018のp値をもたらし、生存率の増加が統計的に有意であることを示唆する。これらのデータはさらに、静脈内注射によるmiR−SOD1の全身送達が、G93A SOD1マウスの生存率の有意な増加をもたらすことを示す。

0098

例5:霊長類におけるSOD1のmiRNA標的化:
SOD1 miRNAを発現する組換えAAV(rAAV)の脳および脊髄への髄腔内送達。
マイクロRNAのアデノ随伴ウイルス(AAV)媒介性送達を用いて、脊髄を含む哺乳動物の組織において、SOD1をサイレンシングした。
図6に示すように、成体マーモセットへのrAAV.Rh10.EGFPの髄腔内投与は、運動ニューロン(そのサイズと位置によって識別される)の顕著な標識付けと共に、(A)腰仙部および(B)子宮頸前方の角の両方の、灰白質の著しい取り込みをもたらした。レーザーキャプチャー腰仙運動ニューロンは、このマーモセット(rAAV.Rh10.EGFPで処置)から、および、miRをサイレンシングするSOD1を発現する、rAAV.Rh10.U6−miR−SOD1で処置した別のマーモセットから得た。図6(下)に示すように、対照動物は、SOD1転写物の高いレベルおよび最小の(実質的に0ベースライン)miR−SOD1を示した。これとは対照的に、処置された動物において、転写物はほとんど検出されず、一方で高レベルのmiR−SOD1マイクロRNAが存在した。

0099

これらの構築物を、AAVの新しい株であるRh10.AAVの髄腔内送達を用いた、9匹のマーモセットで行われた研究で使用した。設計の詳細を、図14に示す。特定の例において、これらのサルにおけるIT注射は、針の挿入と共に、テールフリックおよび硬膜の「ポップ(pop)」をもたらした。他では、針の配置は、観察できるテールフリックをもたらさなかった。両方の場合において、AAVのCSFへの良好な送達があった。これらの点を、図15に示す。動物は、3.5〜4週後に屠殺した。図15中の表が示すように、3匹の動物は固定剤(PFA)で、および6匹は生理食塩水で灌流した。後者のうちの3匹は、「良好な」注入を有し、運動ニューロンのレーザーキャプチャーのために、および運動ニューロンにおけるmiRおよびSOD1レベルのアッセイに使用した。
図16に示すように、レーザーキャプチャーの後、対照CB−GFPで形質導入したMNは、qPCRでの測定により高レベルのSOD1を示し、miR−SOD1は示さなかった。U6−miR−SOD1およびCB−miR−SOD1で形質導入したMNは、SOD1発現のサイレンシングを示した。U6構築物は、より多くのmiRを産生した;その動物において、SOD1発現はより少なかった。図17A〜Bは、結果を脊髄の3つの領域に拡張したものである(腰髄、胸部(thora)、およびレーザーキャプチャーMNと、MN切除後のコード(cord)の残りの組織(非MN)の両方で、サイレンシング検査する)。組織の両方のセットにおいて、SOD1サイレンシングの証拠が存在する。図18は、組織ホモジネートでqPCRを用いて評価された、脳幹におけるサイレンシングを示す。

0100

図19は、RNAハイブリダイゼーション(「RNAScope」)を使用して、単一の運動ニューロンにおいて、miR−SOD1の(この場合はU6構築物からの)発現が、SOD1発現の欠如相関し、一方CB−GFPのみを形質導入したMNでは、十分なSOD1発現が存在することを実証する。まとめると、これらのデータは、miR−SOD1試薬がIT注射後の脊髄に送達され、SOD1の実質的なサイレンシングを達成することを実証する。
本発明の少なくとも1つの態様のいくつかの側面をこのように説明したが、当業者には容易に、様々な変更、修飾、および改良が想起されるであろうことを理解されたい。かかる変更、修飾、および改良は、本開示の一部であることが意図され、また本発明の精神および範囲内にあることが意図される。したがって、前述の説明および図面は単なる例示であり、本発明は、以下の特許請求の範囲により詳細に記載される。

0101

本明細書で使用する場合、数値を参照しての用語「約」または「およそ」は、他の記載があるかまたは文脈からその他が明らかでない限り、一般に、その数値の両方向(これより大またはこれより小)の1%、5%、10%、15%、または20%の範囲内の数値を含むと解釈される(ただしかかる数値が、可能な値の0%未満または100%を超える場合は除く)。
請求項において、請求項の要素を修飾するための「第1」、「第2」、「第3」等の序数用語の使用は、それ自体いかなる優先度序列、または1つの請求項要素の別のものに対する順位、または方法の行為が実施される順序を意味せず、1つの名称を有する請求項要素を、同一名称を有する別の要素(ただし序数用語のみ異なる)から区別するための、単なる標識として使用される。
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