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課題・解決手段

遺伝子改変された非ヒト動物、該動物を作製及び使用するための方法及び組成物を提供し、ここで、該遺伝子改変は、(a)重鎖定常領域遺伝子配列免疫グロブリン定常領域CH1遺伝子における欠失(場合によってはヒンジ領域における欠失)及び(b)内在性VH、DH及びJH遺伝子セグメントのうちの1つまたは全部を、組み換えを起こしてCH1遺伝子における欠失及び/または遺伝子操作された単一の再構成された軽鎖の挿入を含む重鎖定常領域遺伝子配列に作動可能に連結される再構成された軽鎖可変領域(VL/JL)ヌクレオチド配列を形成することができる少なくとも1つの再構成されていない軽鎖可変(VL)遺伝子セグメント及び少なくとも1つの再構成されていない軽鎖連結(JL)遺伝子セグメントで置き換えることを含み、該マウスは機能的IgM単一ドメイン抗原結合タンパク質及び遺伝子操作された再構成された軽鎖を発現することができる。

概要

背景

動物の大半では、正常な免疫グロブリン重鎖が十分に発現するのは、その同族軽鎖と結合した場合に限られる。ヒトでは、可変重鎖、CH1、または可変重鎖及びCH1ドメインの配列を欠いている機能不全重鎖が認められる重鎖病に孤立重鎖が見られる。軽鎖が欠如している重鎖は、ある特定の種の魚類及びラクダに見られる。係る重鎖は、機能的CH1ドメインを欠いており、重鎖可変ドメインにおいて非ヒト特徴を有する。ラクダまたはある特定の種の魚類に見られるVHHドメインを模倣するラクダ化遺伝子を発現するようにマウス改変することにより(部分的に、IgM及びIgGCH1ドメインを除去し、重鎖可変領域をラクダ及び/またはある特定の種の魚類のものと類似するように適合させることにより)、ラクダ化抗体を作製する試みがなされている。残念なことに、ラクダ化抗体は、非ラクダ動物において免疫応答誘導することが予測される。不活性化されたCH1ドメインを含むように遺伝子改変された非ヒト動物の以前のバージョンに関する別の問題は、抗原特異的単一ドメイン抗原結合タンパク質発現レベルが従来の抗体よりも低いということにある。そのような発現レベルの低さは、重鎖可変領域にVLドメインの欠如を補わせることを可能にする、非ラクダ科重鎖可変領域が利用できる機構欠落していることに起因すると考えられる。例えば、重鎖のみの結合タンパク質に見られるラクダVHHドメインは、平均して、非ラクダ科抗体に見られるドメインよりも長く、全体的な抗原親和性及び抗原特異性に大きな影響を及ぼすと考えられ、且つラクダ科の重鎖のみの抗体におけるVLドメインの欠如を補うものと考えられるCDRH3を含んでいる。

したがって、当該分野では非ラクダ科VHドメインを有する多様な単一ドメイン結合タンパク質を作る遺伝子改変された非ヒト動物が必要である。

概要

遺伝子改変された非ヒト動物、該動物を作製及び使用するための方法及び組成物を提供し、ここで、該遺伝子改変は、(a)重鎖定常領域遺伝子配列免疫グロブリン定常領域CH1遺伝子における欠失(場合によってはヒンジ領域における欠失)及び(b)内在性VH、DH及びJH遺伝子セグメントのうちの1つまたは全部を、組み換えを起こしてCH1遺伝子における欠失及び/または遺伝子操作された単一の再構成された軽鎖の挿入を含む重鎖定常領域遺伝子配列に作動可能に連結される再構成された軽鎖可変領域(VL/JL)ヌクレオチド配列を形成することができる少なくとも1つの再構成されていない軽鎖可変(VL)遺伝子セグメント及び少なくとも1つの再構成されていない軽鎖連結(JL)遺伝子セグメントで置き換えることを含み、該マウスは機能的IgM、単一ドメイン抗原結合タンパク質及び遺伝子操作された再構成された軽鎖を発現することができる。

目的

発明の分野
免疫グロブリン重鎖遺伝子座の高い多様性を示し、且つ好適には免疫グロブリン軽鎖遺伝子座の低い多様性を示し、VH単一ドメイン結合タンパク質及びVL単一ドメイン結合タンパク質を含む抗原と結合する単一ドメイン抗原結合タンパク質の選択を可能にする非ヒト動物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

生殖系列に以下を含む、遺伝子改変された非ヒト動物:(a)内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座における少なくとも1つの内在性免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子のCH1ドメインをコードするヌクレオチド配列における欠失または不活性化変異であって、前記少なくとも1つの内在性免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子が、IgGIgAIgEIgD、またはそれらの組み合わせである前記欠失または不活性化変異、及び(b)以下の(i)または(ii)のいずれか、または両方:(i)少なくとも1つの再構成されていない免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)遺伝子セグメント及び少なくとも1つの再構成されていない免疫グロブリン軽鎖連結(JL)遺伝子セグメントを含む核酸配列であって、前記再構成されていないVL及びJL遺伝子セグメントが、前記CH1ドメインをコードする前記ヌクレオチド配列において前記欠失または不活性化変異を含む前記免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子に作動可能に連結される再構成された免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL/JL)ヌクレオチド配列を形成するように組換え可能である、前記核酸配列、(ii)VL及びJL遺伝子セグメント配列を含んでいる単一の再構成された免疫グロブリン軽鎖可変領域VL/JL遺伝子配列を含む免疫グロブリン軽鎖遺伝子座であって、前記単一の再構成された免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子配列が、免疫グロブリン軽鎖定常領域遺伝子配列に作動可能に連結される、前記免疫グロブリン軽鎖遺伝子座。

請求項2

前記少なくとも1つの再構成されていないVL遺伝子セグメント、前記少なくとも1つの再構成されていないJL遺伝子セグメント、及び/または前記単一の再構成された免疫グロブリン軽鎖可変領域VL/JL遺伝子配列が、ヒト型である、請求項1に記載の遺伝子改変された非ヒト動物。

請求項3

前記免疫グロブリン軽鎖定常領域及び/または前記免疫グロブリン重鎖定常領域が、非ヒト型である、請求項2に記載の遺伝子改変された非ヒト動物。

請求項4

前記少なくとも1つの再構成されていないVL遺伝子セグメント及び前記少なくとも1つの再構成されていないJL遺伝子セグメントが、ヒトカッパセグメントである、請求項2に記載の遺伝子改変された非ヒト動物。

請求項5

前記少なくとも1つの再構成されていないVL遺伝子セグメント及び前記少なくとも1つの再構成されていないJL遺伝子セグメントが、前記内在性免疫グロブリン重鎖における1つ以上の内在性VH、DH、JH遺伝子セグメントを置き換える、請求項1に記載の遺伝子改変された非ヒト動物。

請求項6

前記少なくとも1つの再構成されていないVL遺伝子セグメント及び前記少なくとも1つの再構成されていないJL遺伝子セグメントが、前記内在性非ヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座における全てのまたは実質的に全ての内在性非ヒト免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子セグメントを置き換える、請求項5に記載の遺伝子改変された非ヒト動物。

請求項7

全てのまたは実質的に全ての内在性重鎖可変領域遺伝子セグメント及び/または全てのまたは実質的に全ての内在性軽鎖可変領域遺伝子セグメントが、欠失されているか、または機能的に不活性化されている、請求項1に記載の遺伝子改変された非ヒト動物。

請求項8

前記単一の再構成された免疫グロブリン軽鎖可変領域VL/JL遺伝子配列が、ヒトVκ1−39/J遺伝子配列、またはヒトVκ3−20/J遺伝子配列である、請求項2に記載の遺伝子改変された非ヒト動物。

請求項9

前記ヒトVκ1−39/J遺伝子配列が、ヒトJκ5遺伝子セグメントとともに再構成されたヒトVκ1−39遺伝子セグメントを含む、請求項8に記載の遺伝子改変された非ヒト動物。

請求項10

ヒトVκ3−20/J遺伝子配列が、ヒトJκ1遺伝子セグメントとともに再構成されたヒトVκ3−20遺伝子セグメントを含む、請求項8に記載の遺伝子改変された非ヒト動物。

請求項11

前記動物が、(i)少なくとも1つの再構成されていない免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)遺伝子セグメント及び少なくとも1つの再構成されていない免疫グロブリン軽鎖連結(JL)遺伝子セグメントを含む核酸配列を含まず、前記再構成されていないVL及びJL遺伝子セグメントが、前記CH1ドメインをコードする前記ヌクレオチド配列における前記欠失または不活性化変異を含む前記免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子に作動可能に連結される再構成された免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL/JL)ヌクレオチド配列を形成するように組換え可能であり、前記重鎖遺伝子座が、非ヒト重鎖可変領域遺伝子セグメントを含む、請求項1に記載の遺伝子改変された非ヒト動物。

請求項12

前記動物が、(i)少なくとも1つの再構成されていない免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)遺伝子セグメント及び少なくとも1つの再構成されていない免疫グロブリン軽鎖連結(JL)遺伝子セグメントを含む核酸配列を含まず、前記再構成されていないVL及びJL遺伝子セグメントが、前記CH1ドメインをコードする前記ヌクレオチド配列における前記欠失または不活性化変異を含む前記免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子に作動可能に連結される再構成された免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL/JL)ヌクレオチド配列を形成するように組換え可能であり、前記重鎖遺伝子座が、ヒト重鎖可変領域遺伝子セグメントを含む、請求項1に記載の遺伝子改変された非ヒト動物。

請求項13

前記ヒト重鎖可変領域遺伝子セグメントが、全てのまたは実質的に全ての内在性免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子セグメントを置き換える、請求項12に記載の遺伝子改変された非ヒト動物。

請求項14

前記免疫グロブリン軽鎖定常領域遺伝子配列が、非ヒト免疫グロブリン軽鎖定常領域遺伝子配列である、請求項1に記載の遺伝子改変された非ヒト動物。

請求項15

前記免疫グロブリン軽鎖定常領域遺伝子配列が、ヒト免疫グロブリン軽鎖定常領域遺伝子配列である、請求項1に記載の遺伝子改変された非ヒト動物。

請求項16

前記単一の再構成された軽鎖VL/JL遺伝子配列が、前記非ヒト動物の全てのまたは実質的に全ての内在性免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子セグメントを置き換える、請求項1に記載の遺伝子改変された非ヒト動物。

請求項17

前記単一の再構成されたヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域VL/JL遺伝子配列が、ヒト生殖系列VL及びヒト生殖系列JL遺伝子セグメント配列を含む、請求項2に記載の遺伝子改変された非ヒト動物。

請求項18

前記内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座が、不活性化されたヒンジ領域を更に含む、請求項1に記載の遺伝子改変された非ヒト動物。

請求項19

CH1ドメインをコードするヌクレオチド配列における前記欠失または不活性化変異が、IgG1配列におけるものであり、前記内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座が、IgD、IgG3、IgG2a、IgG2b、IgG2c、IgE、IgA、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される免疫グロブリン遺伝子の欠失または不活性化変異を更に含む、請求項1に記載の遺伝子改変された非ヒト動物。

請求項20

前記免疫グロブリン重鎖遺伝子座が、前記IgG2a及びIgG2b免疫グロブリン遺伝子において欠失または不活性化変異を更に含む、請求項19に記載の遺伝子改変された非ヒト動物。

請求項21

前記免疫グロブリン重鎖遺伝子座が、前記IgG2b及びIgG2c免疫グロブリン遺伝子において欠失または不活性化変異を更に含む、請求項19に記載の遺伝子改変された非ヒト動物。

請求項22

前記免疫グロブリン重鎖遺伝子座が、前記IgG3、IgD、IgA、及びIgE免疫グロブリン遺伝子において欠失または不活性化変異を更に含む、請求項19に記載の遺伝子改変された非ヒト動物。

請求項23

前記非ヒト動物が、雄非ヒト動物において機能的なAdam6遺伝子またはその一部を更に含み、前記Adam6遺伝子が、Adam6a遺伝子、Adam6b遺伝子、またはその両方である、請求項1に記載の遺伝子改変された非ヒト動物。

請求項24

前記動物が、その血清中に、機能的CH1ドメインを欠いている抗原特異的単一ドメイン抗原結合タンパク質を更に含む、請求項1に記載の遺伝子改変された非ヒト動物。

請求項25

前記動物が、機能的CH1ドメインを含んでいるIgM重鎖を更に含む、請求項24に記載の遺伝子改変された非ヒト動物。

請求項26

前記単一ドメイン抗原結合タンパク質が、前記CH1ドメインをコードする前記ヌクレオチド配列における前記欠失または不活性化変異を含む前記免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子に作動可能に連結される前記再構成された免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL/JL)ヌクレオチド配列によってコードされるVL単一ドメイン結合タンパク質である、請求項24に記載の遺伝子改変された非ヒト動物。

請求項27

免疫グロブリン軽鎖定常領域遺伝子配列に作動可能に連結されるVL及びJL遺伝子セグメント配列を含む前記単一の再構成された免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子配列によってコードされる遺伝子操作されたユニバーサル軽鎖を更に含む、請求項25に記載の遺伝子改変された非ヒト動物。

請求項28

前記単一ドメイン抗原結合タンパク質が、前記CH1ドメインをコードする前記ヌクレオチド配列における前記欠失または不活性化変異を含んでいる前記免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子に作動可能に連結される前記再構成された免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL/JL)ヌクレオチド配列によってコードされるVL単一ドメイン抗原結合タンパク質であり、且つ、前記非ヒト動物が、免疫グロブリン軽鎖定常領域遺伝子配列に作動可能に連結されるVL及びJL遺伝子セグメント配列を含んでいる前記単一の再構成された免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子配列によってコードされる遺伝子操作されたユニバーサル軽鎖を更に含む、請求項25に記載の遺伝子改変された非ヒト動物。

請求項29

前記単一ドメイン抗原結合タンパク質の少なくとも1つの重鎖が、機能的ヒンジ領域を更に欠いている、請求項24に記載の遺伝子改変された非ヒト動物。

請求項30

前記単一ドメイン抗原結合タンパク質が、IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG2c、及びIgG3からなる群より選択されるIgGアイソタイプを有する、請求項24に記載の遺伝子改変された非ヒト動物。

請求項31

前記単一ドメイン抗原結合タンパク質が、ヒト可変ドメイン及び非ヒト定常ドメインを含む、請求項24に記載の遺伝子改変された非ヒト動物。

請求項32

前記単一ドメイン抗原結合タンパク質が、単量体である、請求項24に記載の遺伝子改変された非ヒト動物。

請求項33

IgM重鎖が同族軽鎖と会合する、請求項25に記載の遺伝子改変された非ヒト動物。

請求項34

前記同族軽鎖は、免疫グロブリン軽鎖定常領域遺伝子配列に作動可能に連結されるVL及び/またはJL遺伝子セグメント配列を含んでいる前記単一の再構成された免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子配列によってコードされるユニバーサル軽鎖である、請求項33に記載の遺伝子改変された非ヒト動物。

請求項35

力価の前記単一ドメイン抗原結合タンパク質を更に含む、請求項24に記載の遺伝子改変された非ヒト動物。

請求項36

前記抗原特異的単一ドメイン抗原結合タンパク質の前記力価が、少なくとも1×102μg/mL、少なくとも1×103μg/mL、少なくとも1×104μg/mL、または少なくとも1×105μg/mLである、請求項35に記載の遺伝子改変された非ヒト動物。

請求項37

前記単一ドメイン抗原結合タンパク質の前記力価が、免疫グロブリン軽鎖定常領域遺伝子配列に作動可能に連結されるVL及びJL遺伝子セグメント配列を含んでいる前記単一の再構成された免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子配列によってコードされる遺伝子操作されたユニバーサル軽鎖を発現しない対応する対照動物の、少なくとも5倍、少なくとも10倍、少なくとも100倍である、請求項35に記載の遺伝子改変された非ヒト動物。

請求項38

前記力価が、酵素結合免疫測定法によって決定される、請求項35に記載の遺伝子改変された非ヒト動物。

請求項39

前記動物が、げっ歯類である、請求項1に記載の遺伝子改変された動物。

請求項40

前記げっ歯類が、ラットまたはマウスである、請求項39に記載の遺伝子改変された動物。

請求項41

前記動物が、マウスである、請求項40に記載の遺伝子改変された非ヒト動物。

請求項42

遺伝子改変されたマウスであって、(a)マウス重鎖遺伝子座における、全てのまたは実質的に全ての内在性免疫グロブリン重鎖V、D、及びJ遺伝子セグメントの、(i)1つ以上の再構成されていないヒト免疫グロブリン重鎖VH遺伝子セグメント、1つ以上の再構成されていないヒト免疫グロブリン重鎖DH遺伝子セグメント、及び1つ以上の再構成されていないヒト免疫グロブリン重鎖JH遺伝子セグメントであって、前記1つ以上の再構成されていないヒト免疫グロブリン重鎖VH、DH、及びJH遺伝子セグメントがマウス重鎖定常領域遺伝子配列に作動可能に連結される、前記遺伝子セグメント、または、(ii)1つ以上の再構成されていないヒト軽鎖VL遺伝子セグメント及び1つ以上の再構成されていないヒト軽鎖JL遺伝子セグメントであって、前記1つ以上の再構成されていないヒト軽鎖VL、及びJL遺伝子セグメントがマウス重鎖定常領域遺伝子配列に作動可能に連結され、前記マウス重鎖定常領域遺伝子配列が、完全長IgM遺伝子、及びIgG1、IgG2a、IgG2b、IgG2c、IgG3、及びそれらの組み合わせからなる群より選択されるIgG遺伝子においてCH1ドメインをコードするヌクレオチド配列における欠失または不活性化変異を含む、前記遺伝子セグメント、のいずれかによる置き換え、(b)全てのまたは実質的に全ての内在性免疫グロブリン軽鎖V及びJ遺伝子セグメントの、単一の再構成されたヒト可変Vκ/Jκ遺伝子配列による置き換えを含み、前記マウスが、同族軽鎖と会合するIgM重鎖を含むB細胞受容体を発現する、前記遺伝子改変されたマウス。

請求項43

以下を含む請求項1に記載の遺伝子改変された非ヒト動物の作製方法:(a)前記非ヒト動物の内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座において少なくとも1つの非ヒト重鎖定常領域を改変して、前記重鎖定常領域がIgG、IgA、IgE、IgD、またはそれらの組み合わせのCH1ドメインをコードするヌクレオチド配列の欠失または不活性化変異を含むようにすること、及び、(b)以下の(i)または(ii)のいずれか、または両方:(i)前記内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座に核酸配列を挿入することであって、前記核酸配列が、少なくとも1つの再構成されていない免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)遺伝子セグメント及び少なくとも1つの再構成されていない免疫グロブリン軽鎖連結(JL)遺伝子セグメントを含み、前記再構成されていないVL及びJL遺伝子セグメントが、前記CH1ドメインをコードする前記ヌクレオチド配列における前記欠失または不活性化変異を含んでいる前記免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子に作動可能に連結される再構成された免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL/JL)ヌクレオチド配列を形成するように組換え可能である、挿入すること、及び/または(ii)VL及びJL遺伝子セグメント配列を含んでいる単一の再構成された免疫グロブリン軽鎖可変領域VL/JL遺伝子配列を含む免疫グロブリン軽鎖遺伝子座を導入することであって、前記単一の再構成された免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子配列が免疫グロブリン軽鎖定常領域遺伝子配列に作動可能に連結される、導入すること。

請求項44

テップ(a)が、前記改変されたCH1ドメインを含んでいる、前記IgG、IgA、IgE、IgD、またはその組み合わせのヒンジ領域を欠失または不活性化させることを更に含む、請求項43に記載の方法。

請求項45

ステップ(a)が、前記重鎖免疫グロブリン遺伝子座の1つ以上の内在性免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子セグメントをヒト重鎖可変領域遺伝子セグメントによって置き換え、前記重鎖免疫グロブリン遺伝子座の発現がヒトイディオタイプを含む重鎖可変ドメインを生じさせるようにすることを更に含み、前記方法が、(b)(i)前記内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座に核酸配列を挿入することを含まず、前記核酸配列が、少なくとも1つの再構成されていない免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)遺伝子セグメント及び少なくとも1つの再構成されていない免疫グロブリン軽鎖連結(JL)遺伝子セグメントを含み、ここで、前記再構成されていないVL及びJL遺伝子セグメントが、前記CH1ドメインをコードする前記ヌクレオチド配列における前記欠失または不活性化変異を含んでいる前記免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子に作動可能に連結される再構成された免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL/JL)ヌクレオチド配列を形成するように組換え可能である、請求項43に記載の方法。

請求項46

前記挿入ステップが、前記重鎖免疫グロブリン遺伝子座の1つ以上の内在性免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子セグメントを前記再構成されていない軽鎖VL及びJL遺伝子セグメントにより置き換えて、前記重鎖免疫グロブリン遺伝子座の発現が、免疫グロブリン軽鎖可変ドメインと、CH1ドメインを欠いている免疫グロブリン重鎖定常ドメインとを含んでいるVL単一ドメイン結合タンパク質を生じるようにすることを含む、請求項43に記載の方法。

請求項47

前記免疫グロブリン定常領域遺伝子が、非ヒトである、請求項46に記載の方法。

請求項48

前記再構成されていない軽鎖VL及びJL遺伝子セグメントが、ヒトセグメントである、請求項47に記載の方法。

請求項49

前記再構成されていない軽鎖VL及びJL遺伝子セグメントが、ヒトカッパセグメントである、請求項48に記載の方法。

請求項50

前記再構成されていない軽鎖VL及びJL遺伝子セグメントが、ヒトラムダセグメントである、請求項48に記載の方法。

請求項51

前記再構成されていない軽鎖VL及びJL遺伝子セグメントが、前記内在性非ヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座において、全てのまたは実質的に全ての内在性非ヒト免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子セグメントを置き換える、請求項46に記載の方法。

請求項52

CH1ドメインをコードするヌクレオチド配列の前記欠失または不活性化変異が、IgG遺伝子においてである、請求項43に記載の方法。

請求項53

CH1ドメインをコードするヌクレオチド配列の前記欠失または不活性化変異が、IgG1遺伝子においてである、請求項52に記載の方法。

請求項54

前記重鎖免疫グロブリン遺伝子座が、ヒト可変ドメインをコードする可変領域遺伝子セグメント及び非ヒト定常ドメインをコードする定常領域遺伝子を含む、請求項43に記載の方法。

請求項55

免疫グロブリン軽鎖定常領域遺伝子配列に作動可能に連結される前記単一の再構成された免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子配列が、ユニバーサル軽鎖をコードする、請求項43に記載の方法。

請求項56

前記単一の再構成された免疫グロブリン軽鎖可変領域VL/JL遺伝子配列が、ヒトVL/JL遺伝子配列である、請求項55に記載の方法。

請求項57

前記ヒトVL/JL遺伝子配列が、ヒトVκ1−39/J遺伝子配列、またはヒトVκ3−20/J遺伝子配列である、請求項56に記載の方法。

請求項58

前記ヒトVκ1−39/J遺伝子配列が、ヒトJκ5遺伝子セグメントとともに再構成されたヒトVκ1−39遺伝子セグメントを含む、請求項57に記載の方法。

請求項59

前記ヒトVκ3−20/J遺伝子配列が、ヒトJκ1遺伝子セグメントとともに再構成されたヒトVκ3−20遺伝子セグメントを含む、請求項57に記載の方法。

請求項60

前記単一の再構成された免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子配列が、非ヒト免疫グロブリン軽鎖定常領域遺伝子配列に作動可能に連結される、請求項43に記載の方法。

請求項61

前記単一の再構成された免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子配列が、ヒト免疫グロブリン軽鎖定常領域遺伝子配列に作動可能に連結される、請求項43に記載の方法。

請求項62

前記単一の再構成された免疫グロブリン軽鎖可変領域が、前記非ヒト動物の全てのまたは実質的に全ての内在性免疫グロブリン軽鎖VL及びJL遺伝子セグメントを置き換える、請求項43に記載の方法。

請求項63

前記核酸配列及び/または単一の再構成された免疫グロブリン軽鎖可変領域配列が、前記非ヒト動物の生殖系列にある、請求項43に記載の方法。

請求項64

前記CH1の欠失または不活性化変異が、IgG1におけるものであり、前記方法が、(c)IgD、IgG3、IgG2a、IgG2b、IgG2c、IgE、IgA、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される免疫グロブリン遺伝子を欠失または不活性化させることを更に含む、請求項43に記載の方法。

請求項65

前記IgG2a及びIgG2b免疫グロブリン遺伝子が、欠失または不活性化される、請求項64に記載の方法。

請求項66

前記IgG2b及びIgG2c免疫グロブリン遺伝子が、欠失または不活性化される、請求項64に記載の方法。

請求項67

IgG3、IgD、IgA、及びIgE免疫グロブリン遺伝子が、欠失または不活性化される、請求項64に記載の方法。

請求項68

前記非ヒト動物が、げっ歯類である、請求項43に記載の方法。

請求項69

前記げっ歯類が、ラットまたはマウスである、請求項68に記載の方法。

請求項70

前記げっ歯類が、マウスである、請求項69に記載の方法。

請求項71

CH1ドメインを欠いている抗原特異的IgG単一ドメイン結合タンパク質の生成方法であって、全部または一部において、前記方法が、以下のステップを含む方法:(a)遺伝子改変された非ヒト動物に前記抗原で免疫することであって、前記遺伝子改変された非ヒト動物が、(i)内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座における少なくとも1つの内在性免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子のCH1ドメインをコードするヌクレオチド配列における欠失または不活性化変異であって、前記少なくとも1つの内在性免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子が、IgG、IgA、IgE、IgD、またはそれらの組み合わせである前記欠失または不活性化変異、及び(ii)以下の1または2のいずれか、または両方:1.少なくとも1つの再構成されていない免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)遺伝子セグメント及び少なくとも1つの再構成されていない免疫グロブリン軽鎖連結(JL)遺伝子セグメントを含んでいる核酸配列であって、前記再構成されていないVL及びJL遺伝子セグメントが、前記CH1ドメインをコードする前記ヌクレオチド配列における前記欠失または不活性化変異を含んでいる前記免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子に作動可能に連結される再構成された免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL/JL)ヌクレオチド配列を形成するように組換え可能である、前記核酸配列、及び/または2.VL及びJL遺伝子セグメント配列を含んでいる単一の再構成された免疫グロブリン軽鎖可変領域VL/JL遺伝子配列を含む免疫グロブリン軽鎖遺伝子座であって、前記単一の再構成された免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子配列が免疫グロブリン軽鎖定常領域遺伝子配列に作動可能に連結される、前記免疫グロブリン軽鎖遺伝子座、を含む、前記免疫することと、(b)前記マウスが:(i)2つの同族軽鎖と会合された2つのIgM重鎖を含んでいるIgM抗体;及び(ii)機能的CH1ドメインを欠いている少なくとも1つの重鎖を含んでいる単一ドメイン抗原結合タンパク質を発現するように、前記マウスを維持すること。

請求項72

前記少なくとも1つの重鎖定常領域遺伝子が、IgG1、IgG2b、IgG2a、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項71に記載の方法。

請求項73

前記重鎖定常領域遺伝子が、IgG1定常領域遺伝子である、請求項72に記載の方法。

請求項74

前記単一ドメイン抗原結合タンパク質が、前記CH1ドメインを全て欠いている、請求項71に記載の方法。

請求項75

前記単一ドメイン抗原結合タンパク質が、ヒト重鎖可変領域を含む、請求項71に記載の方法。

請求項76

前記単一ドメイン抗原結合タンパク質が、ヒト軽鎖可変領域を含む、請求項71に記載の方法。

請求項77

前記同族軽鎖が、免疫グロブリン軽鎖定常領域遺伝子配列に作動可能に連結される前記単一の再構成された免疫グロブリン軽鎖可変領域配列によってコードされたユニバーサル軽鎖である、請求項71に記載の方法。

請求項78

前記非ヒト動物が、内在性軽鎖を発現しない、請求項77に記載の方法。

請求項79

前記単一の再構成された免疫グロブリン軽鎖可変領域配列が、ヒトVκ1−39/J遺伝子配列またはヒトVκ3−20/J遺伝子である、請求項77に記載の方法。

請求項80

前記ヒトVκ1−39/J遺伝子配列が、ヒトJκ5遺伝子セグメントとともに再構成されたヒトVκ1−39遺伝子セグメントを含む、請求項79に記載の方法。

請求項81

前記ヒトVκ3−20/J遺伝子配列が、ヒトJκ1遺伝子セグメントとともに再構成されたヒトVκ3−20遺伝子セグメントを含む、請求項79に記載の方法。

請求項82

(c)前記ヒト動物から前記抗原と特異的に結合する細胞またはタンパク質を単離することを更に含み、前記細胞またはタンパク質が、体細胞変異された単一ドメイン抗原結合タンパク質を含む、請求項71に記載の方法。

請求項83

(d)(c)で単離された前記細胞から、前記単一ドメイン抗原結合タンパク質の前記可変ドメインをコードする第1の核酸を単離することを更に含む、請求項82に記載の方法。

請求項84

最終ステップとして、(e)ベクターを発現させるのに十分な条件で、前記ベクターをトランスフェクトした細胞を培養することを更に含み、前記ベクターが、ヒト重鎖定常領域遺伝子に作動可能に連結される第2の核酸を含み、前記第2の核酸が、ステップ(d)で単離した前記第1の核酸と同一または実質的に同一である、請求項83に記載の方法。

請求項85

前記重鎖定常領域遺伝子が、IgG1、IgG2a、IgG2b、及びIgG3からなる群より選択されるヒトIgG定常領域遺伝子である、請求項84に記載の方法。

請求項86

(d)ハイブリドーマ培養物から上清採取するステップを更に含み、前記ハイブリドーマが、(c)で単離された前記細胞から生成される、請求項82に記載の方法。

請求項87

(e)(d)で生成された前記ハイブリドーマから、前記単一ドメイン抗原結合タンパク質の前記可変ドメインをコードする第1の核酸を単離することを更に含む、請求項86に記載の方法。

請求項88

(f)ベクターでトランスフェクトした細胞を、前記ベクターを発現させるのに十分な条件で培養することを更に含み、前記ベクターが、ヒト重鎖定常領域遺伝子に作動可能に連結される第2の核酸を含み、前記第2の核酸が、ステップ(e)で単離した前記第1の核酸と同一または実質的に同一である、請求項87に記載の方法。

請求項89

前記重鎖定常領域遺伝子が、IgG1、IgG2a、IgG2b、及びIgG3からなる群より選択されるヒトIgG定常領域遺伝子である、請求項88に記載の方法。

請求項90

請求項82に記載の方法に従って単離された前記細胞から生成されるハイブリドーマ。

請求項91

請求項83に記載の方法に従って単離された核酸。

請求項92

請求項87に記載の方法に従って単離された核酸。

請求項93

請求項83に記載の核酸と同一または実質的に類似する核酸を含む細胞。

請求項94

請求項87に記載の核酸と同一または実質的に類似する核酸を含む細胞。

請求項95

請求項1に記載の非ヒト動物の単離された細胞。

請求項96

前記細胞が、胚性ES)細胞またはB細胞である、請求項95に記載の単離された細胞。

請求項97

機能的CH1ドメインを欠いている重鎖定常領域に作動可能に連結される軽鎖可変ドメインを含む、単一ドメイン抗原結合タンパク質。

請求項98

請求項1に記載の非ヒト動物から単離される、単一ドメイン抗原結合タンパク質。

請求項99

請求項42に記載のマウスから単離される、単一ドメイン抗原結合タンパク質。

請求項100

請求項71に記載の方法に従って生成される、単一ドメイン抗原結合タンパク質。

技術分野

0001

関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第119条(e)の下で、2014年3月21日出願の米国仮出願シリアル番号第61/968,986号及び2014年3月21日出願の米国仮出願シリアル番号第61/968,905号の利益を主張し、当該出願の双方は、参照によりその全体が本明細書に共に援用される。

0002

発明の分野
免疫グロブリン重鎖遺伝子座の高い多様性を示し、且つ好適には免疫グロブリン軽鎖遺伝子座の低い多様性を示し、VH単一ドメイン結合タンパク質及びVL単一ドメイン結合タンパク質を含む抗原と結合する単一ドメイン抗原結合タンパク質の選択を可能にする非ヒト動物を提供する。

背景技術

0003

動物の大半では、正常な免疫グロブリン重鎖が十分に発現するのは、その同族軽鎖と結合した場合に限られる。ヒトでは、可変重鎖、CH1、または可変重鎖及びCH1ドメインの配列を欠いている機能不全重鎖が認められる重鎖病に孤立重鎖が見られる。軽鎖が欠如している重鎖は、ある特定の種の魚類及びラクダに見られる。係る重鎖は、機能的CH1ドメインを欠いており、重鎖可変ドメインにおいて非ヒト特徴を有する。ラクダまたはある特定の種の魚類に見られるVHHドメインを模倣するラクダ化遺伝子を発現するようにマウス改変することにより(部分的に、IgM及びIgGCH1ドメインを除去し、重鎖可変領域をラクダ及び/またはある特定の種の魚類のものと類似するように適合させることにより)、ラクダ化抗体を作製する試みがなされている。残念なことに、ラクダ化抗体は、非ラクダ動物において免疫応答誘導することが予測される。不活性化されたCH1ドメインを含むように遺伝子改変された非ヒト動物の以前のバージョンに関する別の問題は、抗原特異的単一ドメイン抗原結合タンパク質の発現レベルが従来の抗体よりも低いということにある。そのような発現レベルの低さは、重鎖可変領域にVLドメインの欠如を補わせることを可能にする、非ラクダ科重鎖可変領域が利用できる機構欠落していることに起因すると考えられる。例えば、重鎖のみの結合タンパク質に見られるラクダVHHドメインは、平均して、非ラクダ科抗体に見られるドメインよりも長く、全体的な抗原親和性及び抗原特異性に大きな影響を及ぼすと考えられ、且つラクダ科の重鎖のみの抗体におけるVLドメインの欠如を補うものと考えられるCDRH3を含んでいる。

0004

したがって、当該分野では非ラクダ科VHドメインを有する多様な単一ドメイン結合タンパク質を作る遺伝子改変された非ヒト動物が必要である。

課題を解決するための手段

0005

本明細書に開示するように、軽鎖可変領域及び重鎖定常領域を含む免疫グロブリンポリペプチド鎖は、非ヒト動物によって発現することができ、VL単一ドメイン抗原結合タンパク質(例えば、重鎖定常ドメイン作動可能に連結される軽鎖可変ドメインを含む単一ドメイン抗原結合タンパク質)を形成することができ、ここで、重鎖定常ドメイン(複数可)は、例えばIgG、IgAIgEIgD、またはそれらの組み合わせから選択される免疫グロブリン重鎖定常領域の機能的CH1ドメインを欠いている。該VL単一ドメイン抗原結合タンパク質は、機能的CH1ドメインを欠いている重鎖定常ドメインに作動可能に連結される重鎖可変ドメインを含むVH単一ドメイン抗原結合タンパク質に比して、高い安定性を呈し得る。したがって、本明細書では、軽鎖可変ドメイン及び重鎖定常領域を含むVL単一ドメイン抗原結合タンパク質(ここで重鎖定常領域は機能的CH1ドメインを欠いており、場合によっては、機能的ヒンジ領域を欠いていてもよい)を発現することができる非ヒト動物、及びVL単一ドメイン抗原結合タンパク質を発現する非ヒト動物の作製及び使用方法を提供する。また、VL単一ドメイン抗原結合タンパク質を発現する非ヒト動物由来細胞タンパク質及び核酸、ならびに単離された細胞、タンパク質及び核酸の使用も提供する。

0006

本明細書において開示するように、単一ドメイン抗原結合タンパク質(例えば、VLまたはVH単一ドメイン抗原結合タンパク質)を産生することができる非ヒト動物による単一の再構成された軽鎖の発現は、単一の再構成された軽鎖を発現しない単一ドメイン抗原結合タンパク質を発現することができる同様の非ヒト動物に比して、抗原刺激応答して抗原特異的単一ドメイン抗原結合タンパク質の力価を増大させる。図5。このデータから、非ヒト動物による単一の再構成された軽鎖が存在することが、抗原特異的単一ドメイン抗原結合タンパク質を発生させる可能性を高めることが示唆される。したがって、本明細書では、単一ドメイン抗原結合タンパク質(例えば、VH及び/またはVL単一ドメイン抗原結合タンパク質)及び単一の再構成された軽鎖を発現することができる非ヒト動物、及びVL単一ドメイン抗原結合タンパク質を発現する非ヒト動物の作製及び使用方法を提供する。単一ドメイン抗原結合タンパク質及び単一の再構成された軽鎖を発現する非ヒト動物由来の細胞、タンパク質及び核酸、ならびに単離された細胞、タンパク質及び核酸の使用も提供する。

0007

本明細書では、VL単一ドメイン抗原結合タンパク質及び単一の再構成された軽鎖を含む非ヒト動物、高力価の単一ドメイン抗原結合タンパク質を産生することができる非ヒト動物の作製方法及び/または係る結合タンパク質を産生することができる非ヒト動物によって単一ドメイン結合タンパク質の産生を増大させる方法、該非ヒト動物を用いて抗原特異的単一ドメイン抗原結合タンパク質を作製する方法、ならびにそのように作製された単一ドメイン抗原結合タンパク質も提供する。

0008

遺伝子改変された細胞、非ヒト、非ヒト動物及びそれらを作製及び使用するための方法ならびに組成物が提供され、ここで、該動物は、単一ドメイン抗原結合タンパク質(例えば、機能的CH1配列を欠いており、場合によっては機能的ヒンジ領域配列を欠いている重鎖定常領域を含む結合タンパク質)を産生するように遺伝子改変され、ここで、該動物は、VL単一ドメイン抗原結合タンパク質(例えば、CH1ドメインをコードする配列を不活性化または欠失させるように改変された重鎖定常領域核酸配列に作動可能に連結される再構成された軽鎖可変領域ヌクレオチド配列からコードされる)及び/または単一の再構成された軽鎖(例えば、該動物の生殖系列の軽鎖定常領域に作動可能に連結される単一の再構成されたVL:JL配列からコードされる)として、単一ドメイン抗原結合タンパク質を発現するように更に遺伝子改変される。

0009

本明細書に開示する動物は、一態様では、IgGアイソタイプ(例えば、IgG1アイソタイプなど)を含む単一ドメイン結合タンパク質を産生し得る。一部の実施形態では、該単一ドメイン抗原結合タンパク質はVH単一ドメイン抗原結合タンパク質であり、例えば、機能的CH1を欠いている重鎖定常領域に作動可能に連結される重鎖可変領域を含む。他の実施形態では、該単一ドメイン抗原結合タンパク質はVL単一ドメイン抗原結合タンパク質であり、例えば、機能的CH1を欠いている重鎖定常領域(例えば、ヒンジ、CH2、CH3、CH4、またはそれらの組み合わせを含む重鎖定常領域)に作動可能に連結される軽鎖可変ドメインを含む。

0010

したがって、一部の態様では、本明細書に記載の単一ドメイン抗原結合タンパク質は、重鎖定常領域(例えば、CH1、ヒンジ、CH2、CH3、CH4、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される重鎖定常領域ドメイン)に作動可能に連結される1つ以上の再構成されていない免疫グロブリン軽鎖Vセグメント及び1つ以上の再構成されていない免疫グロブリン軽鎖Jセグメントに由来する核酸配列によってコードされ、ここで、重鎖定常領域は、CH1領域配列において欠失または不活性化変異を含む。一実施形態では、該再構成されていない軽鎖V及びJセグメントは、内在性非ヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座の1つ以上の、実質的に全ての、または全ての機能的内在性非ヒト免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子セグメントを置き換える。一部の実施形態では、本明細書に開示するようなCH1領域配列における欠失または不活性化変異を含む重鎖定常領域に作動可能に連結される軽鎖可変領域遺伝子セグメントを含むように改変された重鎖遺伝子座は、該非ヒト動物の生殖系列に見出され得る。そのような改変された遺伝子座は、内在性重鎖遺伝子座にあるか、または該内在性重鎖遺伝子座以外の遺伝子座の導入遺伝子に(例えば、ゲノムランダムな位置に挿入されて)存在し得る。

0011

一態様では、VL単一ドメイン抗原結合タンパク質をコードする核酸配列(例えば、CH1領域配列において欠失または不活性化変異を含む重鎖定常領域に作動可能に連結される1つ以上の再構成されていない免疫グロブリン軽鎖Vセグメント及び1つ以上の再構成されていない免疫グロブリン軽鎖Jセグメント由来の核酸配列)を含む本明細書に記載の動物は、(軽鎖定常領域に作動可能に連結されるヒト軽鎖Vセグメント及びヒト軽鎖Jセグメントを含む第2の核酸配列によってコードされてもよい)軽鎖可変領域及び軽鎖定常領域を含んでいる第2の免疫グロブリンポリペプチド鎖を更に含んでいてもよい。係る第2の核酸配列は、該非ヒト動物の生殖系列にも見出されてもよい。係る核酸配列は、内在性軽鎖遺伝子座に存在していてもよいし、内在性軽鎖遺伝子座以外の遺伝子座における導入遺伝子に(例えば、ゲノムのランダムな位置に挿入されて)存在していてもよい。

0012

別の態様では、CH1領域配列において欠失または不活性化変異を含む重鎖定常領域に作動可能に連結される1つ以上の再構成されていない免疫グロブリン軽鎖Vセグメント及び1つ以上の再構成されていない免疫グロブリン軽鎖Jセグメント由来の核酸配列を含むように改変された動物を、単一の再構成された軽鎖(例えば、共通軽鎖(ULC))を発現するように更に改変してもよい。

0013

一部の実施形態では、該単一ドメイン抗原結合タンパク質(例えば、限定するものではないが、VL単一ドメイン抗原結合タンパク質)及び/または単一の再構成された軽鎖は、ヒトイディオタイプを含む。例えば、本明細書に開示する単一ドメイン抗原結合タンパク質及び/または遺伝子操作された単一の再構成された軽鎖は、ヒト可変ドメインを含んでいてもよく、一実施形態では、非ヒト定常ドメインを含んでいてもよい。一実施形態では、該非ヒト定常ドメインは内在性非ヒト定常ドメインである。一実施形態では、該非ヒト定常ドメインは、げっ歯類定常ドメイン(例えば、ネズミ定常ドメイン、例えば、マウス定常ドメイン)である。別の実施形態では、該定常ドメインはヒト定常ドメインである。一態様では、該単一ドメイン抗原結合タンパク質は、ヒト軽鎖可変ドメイン及び非ヒト重鎖定常ドメインを含むVL単一ドメイン抗原結合タンパク質である。一実施形態では、本明細書に開示するようなVL単一ドメイン抗原結合タンパク質をコードする再構成されていない軽鎖V及び/またはJセグメントは、ヒトセグメントである。

0014

本明細書に開示するような単一ドメイン抗原結合タンパク質を産生するように遺伝子改変された動物は、1つ以上のまたは全ての内在性免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子セグメントの、1つ以上の再構成されていないヒト免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子セグメント、または1つ以上の再構成されていないヒト免疫グロブリン軽鎖Vセグメント及び1つ以上の再構成されていないヒト免疫グロブリン軽鎖Jセグメントによる置き換えを有する重鎖遺伝子座を含んでいてもよい。一部の態様では、内在性VH、DH、及びJH遺伝子セグメントは全て、1つ以上の再構成されていないヒトVH、1つ以上の再構成されていないヒトDH、及び1つ以上の再構成されていないヒトJHの遺伝子セグメントにより置き換えられている。他の態様では、内在性VH、DH、及びJH遺伝子セグメントは全て、1つ以上の再構成されていないヒト免疫グロブリン軽鎖VL遺伝子セグメント及び1つ以上の再構成されていないヒト免疫グロブリン軽鎖JL遺伝子セグメント(例えば、ヒトカッパκ)Vκ及び/及びJκ遺伝子セグメント及び/またはヒトラムダ(λ)Vλ及び/及びJλ遺伝子セグメント)により置き換えられている。

0015

CH1領域及び/またはヒンジ領域の欠失を含む重鎖定常領域の関連で重鎖可変領域または軽鎖可変領域を含む単一ドメイン結合タンパク質を産生するように遺伝子改変された動物は、内在性重鎖遺伝子座に改変(及び/または本明細書に記載の定常遺伝子の遺伝子座の他の改変)を有しても、導入遺伝子上に改変を有してもよく、ここで、該導入遺伝子はゲノムのどこかに位置づけられ、例えば、ランダム挿入によってゲノムに挿入される。一部の実施形態では、本明細書に記載の改変された重鎖遺伝子座は該動物の生殖系列に見出され得る。単一の再構成された軽鎖を発現するようにも改変されている動物では、単一の再構成された軽鎖可変領域は、内在性軽鎖遺伝子座の軽鎖定常領域に作動可能に連結され得るか、あるいは同族(例えば、該非ヒト動物に対して自家性)または異種軽鎖定常領域に作動可能に連結される単一の再構成された軽鎖可変領域を含み、且つ内在性軽鎖遺伝子座以外の遺伝子座に存在する(例えば、ゲノムにランダムに挿入された)導入遺伝子に存在し得る。

0016

更なる実施形態では、本明細書に開示の動物の重鎖遺伝子座は、ヒンジ領域(複数可)において欠失または不活性化変異を含んでいてもよい。

0017

更に、本明細書に開示の動物は、単一の再構成されたVL:JL遺伝子配列を含んでいる軽鎖遺伝子座によってコードされてもよい、共通またはユニバーサル軽鎖(ULC)とも呼ばれる軽鎖定常領域に作動可能に連結される単一の再構成された軽鎖可変遺伝子配列を含む及び/または発現するように改変されてもよい。一部の実施形態では、軽鎖遺伝子座は、VL配列がVκ遺伝子配列である単一の再構成されたVL:JL遺伝子配列を含む。一部の態様では、該Vκ配列はVκ1−39またはVκ3−20から選択される。一部の態様では、該JL配列はJκ遺伝子配列(例えば、Jκ1配列、Jκ2配列、Jκ3配列、Jκ4配列、またはJκ5配列等)である。一部の実施形態では、軽鎖遺伝子座は、Vκ1−39Jκ5及びVκ3−20Jκ1からなる群より選択される単一の再構成されたVκ:Jκ配列を含む。一実施形態では、軽鎖遺伝子座はVκ1−39Jκ5の単一の再構成されたVκ:Jκ配列を含む。別の実施形態では、軽鎖遺伝子座はVκ3−20Jκ1の単一の再構成されたVκ:Jκ配列を含む。一部の実施形態では、該単一の再構成された可変遺伝子配列は、非ヒト軽鎖定常領域遺伝子(例えば、内在性非ヒト軽定常領域遺伝子)に作動可能に連結される。別の実施形態では、該単一の再構成された可変遺伝子配列はヒト軽鎖定常領域遺伝子に作動可能に連結される。一部の態様では、該単一の再構成された可変遺伝子配列は、内在性免疫グロブリン軽鎖遺伝子座に挿入されたヒトV:J配列であるので、得られる非ヒト動物は、1つ以上の軽鎖遺伝子座において、機能的な再構成されていないV及び/またはJ遺伝子セグメントを含んでいない。

0018

したがって、本明細書では、CH1をコードする領域における欠失または不活性化変異を含む重鎖定常領域、ならびに(a)CH1領域における欠失または不活性化変異を含む重鎖定常領域に関連する軽鎖可変領域及び(b)該単一の再構成された軽鎖の一方または両方を含む非ヒト動物を提供する。例えば、本明細書に開示する非ヒト動物は、本明細書に記載のCH1領域配列において欠失または不活性化変異を含む重鎖定常領域に作動可能に連結される1つ以上の再構成されていない免疫グロブリン軽鎖Vセグメント及び1つ以上の再構成されていない免疫グロブリン軽鎖Jセグメントに由来する核酸配列を含み得る。一態様では、本明細書に開示する非ヒト動物は、免疫グロブリンCH1ドメインをコードする核酸配列における欠失または不活性化変異、及び本明細書に開示する軽鎖定常領域に作動可能に連結される単一の再構成された軽鎖可変遺伝子配列を含む。別の態様では、本明細書に開示する非ヒト動物は、CH1領域配列において欠失または不活性化変異を含む重鎖定常領域に作動可能に連結される1つ以上の再構成されていない免疫グロブリン軽鎖Vセグメント及び1つ以上の再構成されていない免疫グロブリン軽鎖Jセグメントに由来する核酸配列、及び軽鎖定常領域に作動可能に連結される単一の再構成された軽鎖可変遺伝子配列を含む。一部の実施形態では、重鎖定常領域は、非ヒト定常領域(例えば、内在性非ヒト定常領域)である。他の実施形態では、重鎖定常領域はヒト定常領域である。

0019

一部の態様では、非ヒト動物は、本明細書に開示する改変された重鎖遺伝子座及び/または遺伝子操作された再構成された軽鎖遺伝子座をその生殖系列に含む。該非ヒト動物は、次の免疫グロブリン遺伝子:IgD、IgG3、IgG2a、IgG2b、IgG2c、IgE、IgA、及びそれらの組み合わせのうちの1つ以上において欠失または不活性化変異を含んでいてもよい。一実施形態では、該非ヒト動物はIgG2a免疫グロブリン遺伝子及びIgG2b免疫グロブリン遺伝子において欠失または不活性化変異を含む。別の実施形態では、該非ヒト動物は、IgG3、IgD、IgA、及びIgE免疫グロブリン遺伝子において欠失または不活性化変異を含む。別の実施形態では、該非ヒト動物は、IgG3、IgD、IgG2a、IgG2b、IgA、及びIgE免疫グロブリン遺伝子において欠失または不活性化変異を含む。

0020

一部の態様では、本明細書に開示する非ヒト動物は、雄非ヒト動物の生殖能力を保持することのできるAdam6a遺伝子(またはその断片)及び/またはAdam6b遺伝子(またはその断片)を更に含んでいてもよい。該Adam6a遺伝子、Adam6b遺伝子、あるいはその両方は、該非ヒト動物において、異所的に置かれてもよいし、該Adam6遺伝子(複数可)の位置近傍の位置に置かれてもよい。該Adam6a遺伝子、Adam6b遺伝子、またはその両方は、雄非ヒト動物において機能的である。例えば、該非ヒト動物はげ歯類(例えば、マウスまたはラット)であり、該Adam6a遺伝子、Adam6b遺伝子、またはその両方は、それぞれマウス遺伝子またはラット遺伝子である。種々の実施形態では、該Adam6遺伝子(複数可)の維持または挿入は、生殖能力を維持するか、または雄非ヒト動物に(例えば、雄のマウスまたはラットに)生殖能力を与える。

0021

一態様では、本明細書に開示する非ヒト動物は、同族軽鎖(例えば、遺伝子操作された単一の再構成された軽鎖)と会合してよい、機能的CH1ドメインをコードする配列を含んでいるIgM遺伝子配列によってコードされたIgM免疫グロブリンを含む。別の実施形態では、該非ヒト動物は、IgM及びIgG1アイソタイプを有する重鎖のみを産生し、ここで、該IgM重鎖は機能的CH1ドメインを含むが、該IgG1重鎖は機能的CH1ドメインを欠いている。一態様では、IgM重鎖と会合する同族軽鎖は、軽鎖定常領域に作動可能に連結される単一の再構成された軽鎖可変遺伝子配列によってコードされているか、それに由来するものである。

0022

本明細書に開示する遺伝子操作された単一の再構成された軽鎖が発現することにより、該非ヒト動物により抗原免疫化後に、高力価の抗原特異的単一ドメイン抗原結合タンパク質が産生される。例えばELISAによって測定した場合の、少なくとも1×102μg/mL、少なくとも1×103μg/mL、少なくとも1×104μg/mL、または少なくとも1×105μg/mLの力価(例えば、抗体または結合タンパク質の濃度)は、高力価であるとみなされてもよい。あるいは、該結合タンパク質の濃度が遺伝子操作された再構成された軽鎖を含んでいない対応する対照動物の濃度の少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、または少なくとも100倍である場合、非ヒト動物は高力価の結合タンパク質を産生する。

0023

本明細書に開示する非ヒト動物の作製方法も提供する。係る方法は、該非ヒト動物の非ヒト重鎖定常領域を改変して、重鎖定常領域がCH1ドメイン(例えば、IgG1 CH1ドメイン)をコードするヌクレオチド配列の欠失または不活性化変異を含むようにすることを含む。

0024

本明細書に開示する非ヒト動物の作製方法は、内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座において、1つ以上の、全ての、または実質的に全ての内在性非ヒト重鎖可変領域遺伝子セグメントを1つ以上の再構成されていない軽鎖V及び/または1つ以上の再構成されていない軽鎖J遺伝子セグメントにより置き換えて、軽鎖V及びJ遺伝子セグメントがCH1ドメインをコードするヌクレオチド配列の欠失または不活性化変異を含む重鎖定常領域に作動可能に連結されるようにすることを更に含んでいてもよい。一実施形態では、該再構成されていない軽鎖V及びJ遺伝子セグメントは、生産的な再構成を受けることができ、例えば、改変された非ヒト動物が重鎖定常領域核酸配列に作動可能に連結される再構成された免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL/JL)ヌクレオチド配列を含むように該再構成されていない軽鎖V及びJ遺伝子セグメントが組み換えを起こすことを可能にする組換えシグナル配列RSS)を含み、ここで、重鎖定常領域核酸配列はCH1ドメインをコードする配列において不活性化変異または欠失を含む。一実施形態では、該再構成されていない軽鎖V及びJ遺伝子セグメントは、改変された非ヒト動物が1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれより多いN付加を含み、且つ重鎖定常領域核酸配列に作動可能に連結される再構成された免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL/JL)ヌクレオチド配列を含むように組み換えを起こし、ここで、該重鎖定常領域核酸配列はCH1ドメインをコードする配列において不活性化変異または欠失を含む。一実施形態では、該再構成されていない軽鎖V及びJ遺伝子セグメントはヒトV及びJセグメントである。本方法は、再構成されていない軽鎖V遺伝子セグメント、再構成されていない軽鎖J遺伝子セグメント、及び不活性化されているか欠失しているCH1ドメインを有する重鎖定常領域に由来するVL単一ドメイン結合タンパク質を該動物に発現させることも含んでいてもよい。

0025

別の実施形態では、本明細書に開示する非ヒト動物を作製する本方法は、単一の再構成された軽鎖(例えば、ユニバーサル軽鎖(ULC))をコードする核酸を含んだ遺伝子操作された単一の再構成された軽鎖遺伝子座を導入すること、及び場合によっては、不活性化されたCH1ドメインを有する重鎖免疫グロブリン遺伝子座及び単一の再構成された軽鎖遺伝子座を該動物に発現させることを更に含んでいてもよい。

0026

一態様では、本明細書に開示する非ヒト動物を作製する本方法は、(a)該非ヒト動物の非ヒト重鎖定常領域を改変して、重鎖定常領域がCH1ドメインをコードするヌクレオチド配列の欠失または不活性化変異を含むようにすることと、(b)内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座において、内在性非ヒト重鎖可変領域遺伝子セグメントの1つ以上、全て、または実質的に全てを1つ以上の再構成されていない軽鎖V及び/または1つ以上の再構成されていない軽鎖J遺伝子セグメントにより置き換えて、軽鎖V及びJ遺伝子セグメントがCH1ドメインをコードするヌクレオチド配列の欠失または不活性化変異を含む非ヒト重鎖定常領域に作動可能に連結されるようにすること及び/または(c)遺伝子操作された単一の再構成された軽鎖遺伝子座をコードする核酸を導入することの一方または両方とを含む。本明細書に開示する各方法のステップは、任意の順序で、順次に、あるいは同時に行われてもよい。

0027

例えば、本明細書に開示する方法は、(a)該非ヒト動物の非ヒト重鎖定常領域を改変して、該重鎖定常領域がCH1ドメインをコードするヌクレオチド配列の欠失または不活性化変異を含むようにすること、及び(b)内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座において、1つ以上の、全ての、または実質的に全ての内在性非ヒト重鎖可変領域遺伝子セグメントを1つ以上の再構成されていない軽鎖V及び/または1つ以上の再構成されていない軽鎖J遺伝子セグメントで置き換えて、軽鎖V及びJ遺伝子セグメントが、CH1ドメインをコードするヌクレオチド配列の欠失または不活性化変異を含んでいる非ヒト重鎖定常領域に作動可能に連結されるようにすることを含んでいてもよい。一態様では、本明細書に開示する方法は、(a)該非ヒト動物の非ヒト重鎖定常領域を改変して、該重鎖定常領域がCH1ドメインをコードするヌクレオチド配列の欠失または不活性化変異を含むようにすること、及び(b)遺伝子操作された単一の再構成された軽鎖遺伝子座をコードする核酸を導入することを含む。別の態様では、本明細書に開示する非ヒト動物の作製方法は、(a)該非ヒト動物の非ヒト重鎖定常領域を改変して、該重鎖定常領域がCH1ドメインをコードするヌクレオチド配列の欠失または不活性化変異を含むようにすること、(b)内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座において、1つ以上の、全ての、または実質的に全ての内在性非ヒト重鎖可変領域遺伝子セグメントを1つ以上の再構成されていない軽鎖V及び/または1つ以上の再構成されていない軽鎖J遺伝子セグメントにより置き換えて、軽鎖V及びJ遺伝子セグメントが、CH1ドメインをコードするヌクレオチド配列の欠失または不活性化変異を含んでいる非ヒト重鎖定常領域に作動可能に連結されるようにすること、及び(c)遺伝子操作された単一の再構成された軽鎖遺伝子座をコードする核酸を導入することを含む。本明細書に開示する非ヒト動物の作製方法は、Adam6a遺伝子、Adam6b遺伝子、またはその両方を該非ヒト動物のゲノムに(例えば該動物の生殖系列に)導入することを更に含んでいてもよい。一態様では、本方法は、例えば該動物に免疫することによって、不活性化されたCH1ドメインを有する重鎖免疫グロブリン遺伝子座及び/または遺伝子的に再構成された軽鎖遺伝子座(単一の再構成された軽鎖遺伝子座)を該動物に発現させることを更に含む。

0028

一態様では、重鎖免疫グロブリン遺伝子座の、CH1ドメイン(複数可)及び場合によってはヒンジ領域(複数可)を不活性化させるステップは、該非ヒト動物が本明細書に開示する単一ドメイン抗原結合タンパク質を産生することを可能にする。一実施形態では、重鎖免疫グロブリン遺伝子座の、CH1ドメイン(複数可)及び場合によってはヒンジ領域(複数可)を不活性化させることは、重鎖遺伝子座の(例えばIgG重鎖遺伝子座の)CH1ドメイン(複数可)及び場合によってはヒンジ領域を欠失させるかまたはCH1ドメイン(複数可)及び場合によってはヒンジ領域に不活性化変異を導入するターゲティングベクターを用いて、内在性重鎖免疫グロブリン遺伝子座を標的とすることを含む。一実施形態では、重鎖免疫グロブリン遺伝子座の、CH1ドメイン(複数可)及び場合によってはヒンジ領域(複数可)を不活性化させることは、相同組換えを含む。別の実施形態では、該不活性化ステップは、重鎖遺伝子座の内在性可変領域遺伝子セグメントの1つ以上、実質的に全て、または全てを、1つ以上の重鎖可変領域遺伝子セグメント、1つ以上の軽鎖可変領域遺伝子セグメント、1つ以上のヒト可変領域遺伝子セグメント及び1つ以上の再構成されていない可変領域遺伝子セグメントのうちの任意の1つ以上によって置き換えることを更に含んでいてもよい。重鎖遺伝子座のCH1ドメイン(複数可)及び場合によってはヒンジ領域(複数可)を不活性化するステップは、該非ヒト動物の生殖系列において行われてもよい。

0029

一態様において、本方法は、遺伝子操作された再構成された軽鎖遺伝子座(例えば、本明細書に記載する遺伝子操作されたユニバーサル軽鎖)をコードする核酸を導入することを含む。一態様では、遺伝子操作された再構成された軽鎖遺伝子座をコードする核酸を導入するステップは、該非ヒト動物の全てのまたは実質的に全ての内在性免疫グロブリン軽鎖遺伝子座を置き換えることを更に含む。一態様では、遺伝子操作された再構成された軽鎖遺伝子座をコードする核酸を導入するステップは、該非ヒト動物の全てのまたは実質的に全ての内在性免疫グロブリン軽鎖遺伝子座を機能的に不活性化することを更に含む。別の態様では、遺伝子操作された再構成された軽鎖をコードする核酸は、該動物の生殖系列に導入される。

0030

一実施形態では、本明細書に開示する非ヒト動物の作製方法は、(a)第1の非ヒト動物であって、欠失または不活性化されたCH1ドメイン(及び場合によっては欠失または不活性化されたCH1ドメインを有する重鎖定常領域配列に作動可能に連結される軽鎖可変領域ヌクレオチド配列)を、場合によっては欠失または不活性化されたヒンジ領域を有する重鎖遺伝子座を含み、本明細書に開示する単一ドメイン抗原結合タンパク質(VL単一ドメイン結合タンパク質など)を産生するようにされている、第1の非ヒト動物を得ること、及び(b)一態様では第1の非ヒト動物とは異なる系統であり得る第2の非ヒト動物と(a)の第1の非ヒト動物を交配させることを含み、ここで、該第2の非ヒト動物はユニバーサル軽鎖を発現し、ここで、該交配により、単一ドメイン抗原結合タンパク質及び遺伝子操作された再構成された軽鎖(単一の再構成された軽鎖;ULC)を産生する(例えば、それらを含む)子孫が得られる。

0031

一部の態様では、本明細書に開示する非ヒト動物の作製方法は、IgD、IgG3、IgG2a、IgG2b、IgG2c、IgE、及びIgAからなる群より選択される1つ以上の免疫グロブリン遺伝子を不活性化または欠失させることを更に含む。一実施形態では、該IgG2b及びIgG2a/IgG2c免疫グロブリン遺伝子を欠失させる。別の実施形態では、該IgD、IgG3、IgG2b、IgG2a/IgG2c、IgE、及びIgA遺伝子を欠失させられ、該非ヒト動物がIgMまたはIgG1アイソタイプを有する免疫グロブリン重鎖を産生するようになり、ここで、該IgG1アイソタイプはCH1ドメインにおいて、場合によってはヒンジ領域において欠失または不活性化変異を有する。

0032

一態様では、非ヒト動物は単一ドメイン抗原結合タンパク質を産生することが既に可能であり、本明細書では、該非ヒト動物による単一ドメイン抗原結合タンパク質産生の増大方法を提供する。係る方法は、該非ヒト動物のB細胞に遺伝子操作された単一の再構成された軽鎖(例えば、本明細書に記載の遺伝子操作されたユニバーサル軽鎖)をコードする核酸を発現させることを含む。該B細胞にそのような核酸を発現させることには、該B細胞による内在性軽鎖遺伝子の発現を不活化または阻止するステップも含んでいてもよい。

0033

一態様において、本明細書に開示する非ヒト動物はラットまたはマウスである。別の実施形態では、本明細書に開示する非ヒト動物はマウスである。したがって、本明細書では、(a)マウス重鎖遺伝子座における全てのまたは実質的に全ての内在性免疫グロブリン重鎖V、D、及びJ遺伝子セグメントの、1つ以上のヒト重鎖V、D、及びJ遺伝子セグメントによる置き換えであり、ここで、該1つ以上のヒト重鎖V、D、及びJ遺伝子セグメントはマウス重鎖定常領域(例えば、内在性マウス重鎖定常領域)に作動可能に連結され、ここで、該マウス重鎖定常領域は、完全長IgM遺伝子と、IgG1、IgG2a、IgG2c、IgG2b、及びそれらの組み合わせからなる群より選択されるIgG遺伝子においてCH1領域をコードするヌクレオチド配列において欠失または不活性化変異を含んでいるIgG遺伝子とを含み、ここで、該マウスはCH1領域を有するIgMを含むB細胞受容体を発現し、該IgMは同族軽鎖と会合する重鎖を含むものと、(b)全てのまたは実質的に全ての内在性免疫グロブリン軽鎖V及びJ遺伝子セグメント、単一の再構成された可変Vκ:Jκ遺伝子配列による置き換えとを含む、遺伝子改変されたマウスを提供する。一部の実施形態では、該同族軽鎖は該単一の再構成された可変Vκ:Jκ遺伝子配列由来のものである。一部の実施形態では、該単一の再構成された可変Vκ:Jκ遺伝子配列は、マウス軽鎖定常配列(例えば、内在性マウス軽鎖定常配列)に作動可能に連結される。

0034

別の態様では、本明細書では、(a)全てのまたは実質的に全ての内在性免疫グロブリン重鎖V、D、及びJ遺伝子セグメントのマウス重鎖遺伝子座における欠失または機能的不活性化、及び1つ以上のヒト重鎖V、D、及びJ遺伝子セグメントの導入であり、(ここで、該1つ以上のヒト重鎖V、D、及びJ遺伝子セグメントはマウス重鎖定常領域(例えば、内在性マウス重鎖定常領域)に作動可能に連結され、ここで、該マウス重鎖定常領域は、完全長IgM遺伝子と、IgG1、IgG2a、IgG2c、IgG2b、及びそれらの組み合わせからなる群より選択されるIgG遺伝子においてCH1領域をコードするヌクレオチド配列における欠失または不活性化変異を含んでいるIgG遺伝子とを含み、ここで、該マウスはCH1領域を有するIgMを含むB細胞受容体を発現し、ここで該IgMは同族軽鎖と会合する重鎖を含む)、及び/または(b)全てのまたは実質的に全ての内在性免疫グロブリン軽鎖V及びJ遺伝子セグメントの欠失または機能的不活性化及び単一の再構成された可変Vκ:Jκ遺伝子配列の導入を含む、非ヒト動物(例えば、ラットまたはマウス)を提供する。

0035

本明細書では、(a)マウス重鎖遺伝子座における全てのまたは実質的に全ての内在性免疫グロブリン重鎖V、D、及びJ遺伝子セグメントの、1つ以上のヒト軽鎖V及びJ遺伝子セグメントによる置き換えであり、ここで、該1つ以上のヒト軽鎖V及びJ遺伝子セグメントはマウス重鎖定常領域に作動可能に連結され、ここで、該マウス重鎖定常領域は、完全長IgM遺伝子と、IgG1、IgG2a、IgG2c、IgG2b、IgG3、及びそれらの組み合わせからなる群より選択されるIgG遺伝子においてCH1領域をコードするヌクレオチド配列における欠失または不活性化変異を含んでいるIgG遺伝子とを含み、ここで、該マウスはCH1領域を有するIgMを含むB細胞受容体を発現し、ここで該IgMは同族軽鎖と会合する重鎖を含むものと、(b)全てのまたは実質的に全ての内在性免疫グロブリン軽鎖V及びJ遺伝子セグメントの、単一可変Vκ:Jκ遺伝子配列による置き換えを含む、遺伝子改変されたマウスも提供する。一部の実施形態では、該同族軽鎖は単一の再構成された可変Vκ:Jκ遺伝子配列由来である。

0036

一態様では、(a)結合タンパク質、該結合タンパク質を作る細胞、または該結合タンパク質の配列をコードするヌクレオチド配列を本明細書に記載の非ヒト動物から単離することを含む、CH1ドメインを欠いている該結合タンパク質の作製方法を提供する。一態様では、該単離ステップは、(a)抗原を用いて本明細書に記載の非ヒト動物に免疫するステップ、(b)該非ヒト動物が結合タンパク質を作るのに十分な条件下に該非ヒト動物を維持するステップ、及び/または(c)機能的CH1ドメインを欠いている及び/または機能的ヒンジ領域を欠いている該非ヒト動物によって作られた結合タンパク質を特定するステップのうちの1つ以上を含んでいてもよい。一部の態様では、そのように単離された結合タンパク質は、単一ドメイン抗原結合タンパク質である。一態様において、単一ドメイン抗原結合タンパク質は単量体である。

0037

一態様では、(a)抗原を用いて本明細書に記載の非ヒト動物に免疫すること、(b)抗原結合タンパク質を作るのに十分な条件下に該非ヒト動物を維持すること、(c)該非ヒト動物によって作られた抗原結合タンパク質を特定することであり、該抗原結合タンパク質は機能的CH1ドメインを欠いているか、または機能的CH1ドメインを欠き、且つヒンジ領域を欠いている、特定すること、(d)CH1ドメインを欠いているか、またはヒンジ領域及びCH1ドメインを欠いている免疫グロブリンポリペプチド上の可変ドメインをコードする可変領域配列を特定することであり、該可変ドメインが該抗原と特異的に結合する、特定すること、(e)適した発現系において、(d)の可変領域配列と同一または実質的に同一の配列によってコードされたタンパク質を発現させることであり、(d)の可変領域配列がCH1領域を欠いているか、またはCH1領域及びヒンジを欠いている重鎖可変配列の核酸配列に連結される、発現させること、及び/または(f)(e)の発現されたタンパク質を単離することを含む、抗原結合タンパク質の作製方法を提供する。一部の実施形態では、該可変領域配列によってコードされたタンパク質を発現させるステップ及び/または(f)該発現されたタンパク質を単離するステップは、細胞(例えば、該可変領域配列をトランスフェクトした細胞)、本明細書に開示する動物から単離した細胞から形成されたハイブリドーマを培養すること及び/または培養細胞から上清採取することを含む。

0038

一態様では、抗原を用いて本明細書に記載の非ヒト動物に免疫すること、該抗原と特異的に結合する可変ドメインをコードする可変領域核酸配列を特定すること、及び適した発現系において該可変領域核酸配列を利用することを含む、抗原結合タンパク質の作製方法を提供し、ここで、該可変領域核酸配列はCH1を欠いているか、またはCH1及びヒンジを欠いている重鎖定常遺伝子に作動可能に連結され、ここで、該発現系は該抗原と特異的に結合する抗原結合タンパク質を発現する。

0039

したがって、本明細書では、係る単離された結合タンパク質、細胞、及び核酸配列も提供する。

0040

他の実施形態は、記載され、以下の詳細な説明を検討することによって当業者には明らかになろう。

図面の簡単な説明

0041

図1Aは、CH1ドメインを欠いているIgG1を発現する遺伝子改変されたマウス免疫グロブリン重鎖遺伝子座を作製するためのマウスのIgG1遺伝子、IgG2b及びIgG2a遺伝子のターゲティングを示す図である(縮尺は正確ではない)。ヒト免疫グロブリン重鎖V、D及びJセグメント(白抜きの三角で示す)をマウス定常遺伝子座に挿入する。ここで、IgG1 CH1エキソン*及びIgG2a/2b**は欠失しており、楕円エンハンサーを表す。図1Bは、単一の再構成されたヒトVL/JL遺伝子配列***を含むマウス免疫グロブリン軽鎖遺伝子座を示す図である(縮尺は正確ではない)。図1Cは、図1B及び1CのIg遺伝子座を有するマウスが発現したIgMを示す図であり、ここで、IgMはインタクトなCH1ドメインを含んでいる。図1Cは、クラススイッチされると、図1A及び1CのIg遺伝子座を有するマウスが発現したIgG1が、CH1ドメインを欠いている単一ドメイン重鎖抗原結合タンパク質であることも示す。
図2は、2つのユニバーサル軽鎖のゲノム構造を示し、一方はVκ1−39Jκ5を含む単一の再構成されたヒト可変領域を含み、他方はVκ3−20Jκ1を含む単一の再構成されたヒト可変領域を含む(縮尺は正確ではない)。
図3は、マウスの野生型IgG1遺伝子座(IgG1、上)の図であり、CH1遺伝子セグメントに融合されたJH領域遺伝子セグメント、続いてヒンジ領域、CH2遺伝子セグメント及びCH3遺伝子セグメント;CH1ドメインを欠失させるコンストラクトによりターゲティングされたIgG1遺伝子座(IgG1ΔCH1;I);CH1ドメイン及びヒンジ領域の両方を欠失させるコンストラクトによりターゲティングされたIgG1遺伝子座(IgG1ΔCH1−Δヒンジ;II);IgG1 CH1ドメイン、IgG2b及びIgG2aを欠失させるコンストラクトによりターゲティングされた定常領域遺伝子座(IgG1ΔCH1ΔIgG2b/2a;III);IgG1 CH1ドメイン、ヒンジ領域、IgG2b及びIgG2aを欠失させるコンストラクトによりターゲティングされた定常領域遺伝子座(IgG1ΔCH1&ΔヒンジΔIgG2b/2a;IV);またはIgG1 CH1ドメイン、IgG2b、IgG2a、IgG3、IgD、IgA、IgE、及び場合によってはヒンジ領域を欠失させるコンストラクトによりターゲティングされた定常領域遺伝子座(IgG1ΔCH1ΔIgG2b/2aΔIgG3ΔIgD/A/E(場合によってはΔヒンジ);V)を示す。この遺伝子座の略図は正確な寸法ではない。マウスはその系統に応じてIgG2a対立遺伝子またはIgG2c対立遺伝子のいずれかを有する場合があるので、IgG2a/cは、IgG2a遺伝子座またはIgG2c遺伝子座のいずれかを指す。
図4Aは、ヒト重鎖可変遺伝子セグメント(白抜き三角)を含み、且つ機能的IgG1 CH1ドメインを欠いており、更にIgG2a及びIgG2b遺伝子座を欠いている遺伝子改変された遺伝子座(一部の実施形態では、1673と呼ぶ)を作製するためのマウス重鎖配列のターゲティングを示す図である(縮尺は正確ではない)。図4Bは、CH1ドメイン及びヒンジを欠いているIgG1を発現する遺伝子改変された遺伝子座(一部の実施形態では、1576と呼ぶ)作製するためのマウスIgG1遺伝子(可変遺伝子セグメントは全てマウスであり、塗り潰しの三角で示す)のターゲティングを示す図である(縮尺は正確ではない)。
図4Cは、IgM、IgD、IgG3、IgG1、IgG2b、IgG2a、IgE及びIgA遺伝子セグメントを欠いている遺伝子改変された遺伝子座を作製するためのマウス重鎖定常領域のターゲティングングを示す図である(IgG1ΔCH1ΔIgG2b/IgG2a、ΔIgG3、ΔIgD/A/Eのクローニングの第一部であり、図4Dに続く)(縮尺は正確ではない)。ヒト可変遺伝子セグメントを白抜き三角で示す。
図4Dは、ヒト重鎖可変遺伝子セグメント、完全な機能的ネズミIgM遺伝子領域、及び機能的CH1ドメインを欠いており、且つ場合によっては機能的ヒンジ領域を欠いているIgG1遺伝子領域を含む遺伝子改変された遺伝子座を作製するための図4Cのマウス定常領域のターゲティングを示す図である(このマウスは、IgG2b/IgG2a、IgG3、及びIgD/A/Eも欠いている。一部の実施形態では6180と呼ぶ)(縮尺は正確ではない)。ヒト可変遺伝子セグメントを白抜き三角で示す。
図5Aは、βガラクトシダーゼ(βgal)を用いた免疫化前後の種々の単一ドメインIgG1マウス間の総血清IgG1力価の比較を示す図である:マウスカッパ鎖を有するmVHIgG1ΔCH1&ヒンジについてホモ接合性のマウス(1576);単一の再構成された軽鎖Vκ3−20Jκ1 ULCであるカッパ鎖を有するmVHIgG1ΔCH1&ヒンジについてホモ接合性のマウス(1576/1635);または同じ遺伝子的バックグラウンドを有する野生型(WT)マウス。HOは遺伝子改変についてホモ接合性である。
図5Bは、mVHIgG1ΔCH1&ヒンジホモ接合マウスヒンジホモ接合マウス(1576HO)またはmVHIgG1ΔCH1−ヒンジ x Vκ3−20Jκ1 ULC1ホモ接合マウス(1576HO 1635HO)と比較した、免疫化WTマウスの抗原特異的IgG1血清力価を示す。モデル抗原としてβガラクトシダーゼ(βgal)を用いてマウスに免疫し、ELISAによって抗原特異的IgG1力価を測定した。
図6は、2匹のhVHIgG1ΔCH1&ヒンジΔIgG2b/2a x Vκ1−39Jκ5 ULCホモ接合マウス(1859HO 1633HO)、3匹のhVHIgG1ΔCH1ΔIgG2b/2a x Vκ3−20Jκ1 ULCホモ接合マウス(1673HO 1635HO)及びヒト可変領域(VH及びVκ)を有する3匹のVELOCIMMUNE(登録商標対照マウス(VI3 IgG1)からのマウス血清の、非還元条件下で調製し、抗マウスIgGにより可視化したウエスタンブロット画像を、二量体単一ドメイン抗原結合タンパク質(37−37ホモ二量体)または単量体ΔCH1単一ドメイン結合タンパク質(CH1ヒンジ欠失単鎖)のマウス定常領域を含んで示す。
図7は、hVHIgG1ΔCH1ΔIgG2b/2a x Vκ1−39Jκ5ホモ接合マウス(1673X1633)またはhVHIgG1ΔCH1ΔIgG2b/2a x Vκ3−20Jκ1ホモ接合マウス(1673X1635)の、細胞表面タンパク質である抗原Xを用いた腹腔内免疫化後の異なる時点(x軸)における動物の血漿に見られるIgG1力価(y軸)を示す。
図8は、3匹のhVHIgG1ΔCH1ΔIgG2b/2aΔIgG3ΔIgD/A/E x Vκ1−39Jκ5 ULCホモ接合マウス(6180HO 1634HO)、2匹のhVHIgG1ΔCH1ΔIgG2b/2aΔIgG3ΔIgD/A/Eホモ接合マウス(6180HO)及びヒト可変領域(VH及びVκ)を有する3匹のVI3対照マウスからのマウス血清の、非還元条件下で調製し、抗マウスIgGにより可視化したウエスタンブロット画像を二量体単一ドメイン抗原結合タンパク質(37−37ホモ二量体)または単量体ΔCH1単一ドメイン結合タンパク質(CH1欠失単鎖)のマウス定常領域を含んで示す。
図9は、hVHIgG1ΔCH1ΔIgG2a/2bΔIgG3ΔIgD/A/E x Vκ1−39Jκ5(6180HO x 1634HO)マウス及びhVHIgG1ΔCH1ΔIgG2a/2bΔIgG3ΔIgD/A/E(6180HO)及びVI3対照動物の血漿中の定常状態のIgM及びIgGの濃度を示す図である。
図10は、代表的なホモ接合性対照VI3及びhVHIgG1ΔCH1ΔIgG2a/2bΔIgG3ΔIgD/A/E(6180HO)x Vκ1−39Jκ5(6180HO 1634HO)マウスからのCD19及びCD3について染色したシングレットゲートした脾細胞等高線図を示す(A)。また、代表的な対照のVI3マウス及び代表的なホモ接合性hVHIgG1ΔCH1ΔIgG2a/2bΔIgG3ΔIgD/A/E x Vκ1−39Jκ5(6180HO x 1634HO)マウスからの免疫グロブリンD(IgD)及び免疫グロブリンM(IgM)について染色したCD19+B細胞にゲートした脾細胞の等高線図も示す(C)。特記すべきは、B細胞はIgD定常ドメインが欠失しているのでIgD−であることである。したがって、この図の「成熟」という用語はIgDが存在しないことを示しているに過ぎず、他の非IgM免疫グロブリンが存在しないことを示すものではない。各群からの代表的な3匹のマウスのCD19+B細胞(y軸線;細胞/脾臓×107)の総数を示すグラフも提供する(B)。等高線図に含まれた動物を丸で囲む。
図11は、(A)CD93及びB220について染色した脾臓から単離したCD19+ゲートB細胞、(B)IgM及びCD23について染色した未成熟または成熟ゲートB細胞または(C)代表的な対照のVI3マウス及び代表的なホモ接合性hVHIgG1ΔCH1ΔIgG2a/2bΔIgG3ΔIgD/A/E x Vκ1−39Jκ5(6180HO x 1634HO)マウスからのCD21/35及びIgMについて染色した未成熟または成熟ゲートB細胞の各等高線を示す。
図12は、CD19及びCD3で染色した代表的な対照のVI3マウス及び代表的なホモ接合性hVHIgG1ΔCH1&IgG2a/2bΔIgG3ΔIgD/A/E x Vκ1−39Jκ5(6180HO x 1634HO)マウスの大腿骨から単離した骨髄等高線を示す。各群からの代表的な3匹のマウスの大腿骨1本当たりの細胞またはCD19+B細胞の総数も示す(y軸線;細胞数/大腿骨×107)。等高線図に含まれた動物を丸で囲む。
図13は、IgM及びB220で染色した代表的な対照のVI3マウス及び代表的なホモ接合性hVHIgG1ΔCH1ΔIgG2a/2bΔIgG3ΔIgD/A/E x Vκ1−39Jκ5(6180HO x 1634HO)マウスの大腿骨から単離した骨髄の等高線を示す。各群からの代表的な3匹のマウスの大腿骨1本当たりの成熟(IgM+B220hi)及び未成熟(IgM+B220int)B細胞の総数も示す(y軸線;細胞数/大腿骨×107)。等高線図に含まれた動物を丸で囲む。
図14Aは、マウス重鎖遺伝子座を示す略図である(縮尺は正確ではない)。このマウス重鎖遺伝子座は長さが約3Mbであり、約200個の重鎖可変(VH)遺伝子セグメント、13個の重鎖多様性(DH)遺伝子セグメント及び4個の重鎖連結(JH)遺伝子セグメント、ならびに、エンハンサー(Enh)及び重鎖定常(CH)領域を含んでいる。図14Bは、ヒトκ軽鎖遺伝子座の略図を示す(縮尺は正確ではない)。ヒトκ軽鎖遺伝子座は、それぞれ約440kb及び600kbに亘る反対の極性遠位コンティグ及び近位コンティグに複製されている。この2つのコンティグ間には、Vκ遺伝子セグメントがないと考えられる約800kbのDNAがある。このヒトκ軽鎖遺伝子座は、約76個のVκ遺伝子セグメント、5個のJκ遺伝子セグメント、1個のイントロンエンハンサー(Enh)及び1個の単一定常領域(Cκ)を含んでいる。
図15は、内在性重鎖可変領域遺伝子セグメントが欠失されているマウス重鎖遺伝子座に40個のヒトVκ及び5個のヒトJκ遺伝子セグメントを順に挿入するためのターゲティング戦略を示す図である(縮尺は正確ではない)。ハイグロマイシン(HYG)選択カセット及びネオマイシン(NEO)選択カセットをリコンビナーゼ認識部位(FRT)と共に示す。Adam6a遺伝子、Adam6b遺伝子及びIGCR1遺伝子の挿入のためのターゲティング戦略も示す(縮尺は正確ではない)。白抜きの三角でヒト可変遺伝子セグメントを示している。
図16は、図15の改変されたマウス重鎖遺伝子座(hJκ、40hVκ、Adam6;上);図15の改変されたマウス重鎖遺伝子座からIgG1遺伝子配列、IgG2b遺伝子配列、及びIgG2a遺伝子配列のCH1ドメインの欠失及び/または不活性化(hJκ、40hVκ、Adam6、ΔCH1、ΔIgG2b、ΔIgG2a;中)を生じさせるターゲティング戦略、及び再構成されていないヒトJκ遺伝子セグメント及び40個のヒトVκ遺伝子セグメントを含んでいる改変されたマウス重鎖遺伝子座から、選択カセットの欠失を生じさせるターゲティング戦略を示し、改変されたマウス重鎖遺伝子座はIgG1遺伝子において機能的CH1ドメインを欠いており、機能的IgG2b及びIgG2a遺伝子も欠いている(hJκ、40hVκ、Adam6、ΔCH1、ΔIgG2b、ΔIgG2a選択カセットの欠失;6082とも呼ぶ、下)。白抜きの三角でヒト可変遺伝子セグメントを示している。
図17Aは、異なる3群の動物(x軸線)、すなわち野生型(WT)マウス、図16の改変された重鎖遺伝子座についてホモ接合性のマウス(hJκ、40hVκ、Adam6、ΔCH1ΔIgG2bΔIgG2a選択カセット欠失;KoH CH1 del)、及びヒト重鎖V、D及びJセグメントを発現し、IgG1遺伝子において機能的CH1ドメインを欠き、更に機能的IgG2b遺伝子及びIgG2a遺伝子も欠き、且つ単一の再構成された軽鎖遺伝子座を含む、改変されたマウス重鎖遺伝子座について双方ホモ接合性のマウス(CH1 del x ULC)の脾臓及び骨髄から単離したB細胞による相対的mRNA発現(HPRT1mRNA正規化;y軸線)を示す。プローブは生産的な再構成を検出するために設計され、ヒトJκセグメントとネズミIgG1ヒンジとの間の組み換えを検出したプローブ(hJk/mIgG1ヒンジプローブ;左パネル)あるいはヒトJHセグメントとネズミIgG1ヒンジの間の組換えを検出したプローブ(hJH/mIgG1ヒンジプローブ;右パネル)から構成された。ND=検出せず(Ct≧35)。WTについてn=2、KoH CH1 delについてn=2及びCH1 del x ULCについてn=3。
図17Bは、異なる3群の動物(x軸線)、すなわち野生型(WT)マウス、図16の改変された重鎖遺伝子座についてホモ接合性のマウス(hJκ、40hVκ、Adam6、ΔCH1ΔIgG2bΔIgG2a選択カセット欠失;KoH CH1 del)、及びヒト重鎖V、D及びJセグメントを発現し、IgG1遺伝子配列において機能的CH1ドメインを欠き、更に機能的IgG2b遺伝子配列及びIgG2a遺伝子配列も欠き、且つ単一の再構成された軽鎖遺伝子座を含む、改変されたマウス重鎖遺伝子座について双方ホモ接合性のマウス(CH1 del x ULC)の脾臓及び骨髄から単離したB細胞による相対的mRNA発現(mカッパC mRNAに正規化;y軸線)を示す。プローブは生産的な再構成を検出するために設計され、ヒトJκセグメントとネズミIgG1ヒンジとの組み換えを検出したプローブ(hJκ/mIgG1ヒンジプローブ;左パネル)あるいはヒトJHセグメントとネズミIgG1ヒンジの組換えを検出したプローブ(hJH/mIgG1ヒンジプローブ;右パネル)から構成された。ND=検出せず(Ct≧35)。WTについてn=2、KoH CH1 delについてn=2、及びCH1 del x ULCについてn=3。
図18は、3匹のhVκIgG1ΔCH1ΔIgG2a/2b x Vκ3−20Jκ1 ULCホモ接合マウス(6082HO 1635HO)、マウス定常領域(WT)とともにヒト可変領域(VH及びVκ)を有する3匹のVELOCIMMUNE(登録商標)マウス(VI3 IgG1)、及び2匹のhVHIgG1ΔCH1ΔIgG2a/2bΔIgG3ΔIgD/A/Eマウス(6180HO)からのマウス血清の、非還元条件下で調製し、抗マウスIgGにより可視化したウエスタンブロット画像を示し、二量体単一ドメイン抗原結合タンパク質(37−37ホモ二量体)または単量体ΔCH1単一ドメイン結合タンパク質(CH1欠失単鎖)の存在または非存在を表す。

0042

詳細な説明
本発明は記載する特定の方法及び実験条件に限定されるものではなく、したがって、方法及び条件は変化し得る。本明細書で用いる専門用語は、特定の実施形態を説明する目的のために過ぎず、本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ限定されるので、限定を意図するものでない。

0043

別段に定義していない限り、本明細書で用いる科学技術用語は全て、本発明が属する技術分野の当業者に一般的に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似するか、または等価な任意の方法及び材料を本発明の実施または試験において使用することができるが、特定の方法及び材料を以下に記載する。本明細書において挙げた刊行物及び特許文書は全て、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。

0044

本発明は、遺伝子改変された非ヒト動物(例えば、マウス、ラット、ウサギハムスター等)であって、そのゲノム(例えば、その生殖系列)に、単一ドメイン抗原結合タンパク質(VH単一ドメイン抗原結合タンパク質及びVL単一ドメイン抗原結合タンパク質を含む)をコードしているヌクレオチド配列(複数可)及び/または単一の再構成された軽鎖を含む、遺伝子改変された非ヒト動物、同非ヒト動物の作製方法、ならびに同非ヒト動物を用いる方法を提供する。別途定義されない限り、本明細書に使用される用語及び表現は全て、反対が明確に示されるか、または用語または表現が使用される文脈から明らかでない限り、その用語及び表現が当該技術分野において得ている意味を含む。

0045

「抗体」という用語は、ジスルフィド結合によって相互に接続される4つのポリペプチド鎖、すなわち2つの重(H)鎖、及び2つの軽(L)鎖を含んだ、典型的な免疫グロブリン分子を含む。この用語はまた、抗原またはその断片と反応性を有する免疫グロブリンも含む。適した抗体には、限定するものではないが、ヒト抗体霊長類化抗体、キメラ抗体モノクローナル抗体、単一特異性抗体、ポリクローナル抗体、多特異性抗体、非特異的抗体二重特異性抗体多重特異性抗体、ヒト化抗体合成抗体組換え抗体ハイブリッド抗体変異抗体移植された複合抗体(すなわち、他のタンパク質、放射性標識細胞毒素に結合または融合された抗体)及びインビトロで生成した抗体が挙げられる。当業者であれば、一般的な抗原アイソタイプ、例えば、IgG、IgA、IgM、IgD、及びIgE、ならびにそれらの任意のサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4)からなる群より選択される重鎖定常領域を有する抗体を容易に認識できよう。

0046

「重鎖」、または「免疫グロブリン重鎖」という表現は、任意の生物からの、免疫グロブリン重鎖定常領域配列を含む、免疫グロブリン重鎖配列を含む。重鎖可変ドメインは、別段に特定されない限り、3つの重鎖CDR及び4つのFR領域を含む。重鎖の断片としては、CDR、CDR及びFR、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。典型的な重鎖は、可変ドメインの次に、(N末端からC末端へ)CH1ドメイン、ヒンジ、CH2ドメイン、CH3ドメイン及びCH4ドメイン(IgMまたはIgEに関し)を有する。重鎖の機能的断片は、エピトープを特異的に認識する(例えば、マイクロモルナノモル、またはピコモル範囲内のKDでエピトープを認識する)ことができ、細胞から発現及び分泌することができ、少なくとも1つのCDRを含む、断片を含む。重鎖可変ドメインは、概して、生殖系列中に存在するVH、DH、及びJHセグメントのレパートリーに由来するVH、DH、及びJHセグメントを含む、可変領域遺伝子配列によってコードされる。種々の生物に関するV、D、及びJ重鎖セグメントに関する配列、位置、及び命名法は、www.imgt.orgにあるInternational Immunogenetics Information System(IMGT)のウェブサイト閲覧することができる。

0047

「軽鎖」という表現には、任意の生物からの免疫グロブリン軽鎖配列を含み、また別途特定されない限り、ヒトカッパ及びラムダ軽鎖ならびにVpreB、ならびにサロゲート軽鎖を含む。軽鎖可変ドメインは、別途に特定されない限り、典型的には3つの軽鎖CDR及び4つのフレームワーク(FR)領域を含む。概して、完全長軽鎖は、アミノ末端からカルボキシル末端へ、FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4を含む可変ドメイン、及び軽鎖定常領域を含む。軽鎖可変ドメインは、概して、生殖系列中に存在するVL及びJL遺伝子セグメントのレパートリーに由来するVL及びJL遺伝子セグメントを含む軽鎖可変領域遺伝子配列によってコードされる。種々の生物に関するV及びJ軽鎖セグメントに関する配列、位置、及び命名法は、www.imgt.orgにあるInternational Immunogenetics Information System(IMGT)のウェブサイトで閲覧することができる。軽鎖には、例えば、中にそれらが出現するエピトープ結合タンパク質によって選択的に結合される第1または第2のいずれのエピトープとも選択的に結合しないものが含まれる。軽鎖にはまた、中にそれらが出現するエピトープ結合タンパク質によって選択的に結合される1つ以上のエピトープと結合及びそれを認識するか、または重鎖がそのエピトープと結合及びをれを認識するのを助けるものが含まれる。軽鎖という表現は、「ユニバーサル軽鎖」(ULC)とも呼ばれる「共通軽鎖」を含む。

0048

共通軽鎖またはユニバーサル軽鎖(ULC)には、軽鎖定常領域に作動可能に連結される単一の再構成された免疫グロブリン軽鎖可変領域をコードする配列を含んでいる免疫グロブリン軽鎖遺伝子座に由来するものが含まれ、ここで、該免疫グロブリン軽鎖遺伝子座の発現は、該免疫グロブリン軽鎖遺伝子座に他の核酸配列(例えば、他の軽鎖遺伝子セグメント)を包含しているかに関係なく、軽鎖定常領域に作動可能に連結される単一の再構成された免疫グロブリン軽鎖可変領域由来の軽鎖のみを産生する。ユニバーサル軽鎖には、ヒトVκ1−39Jκ遺伝子(例えば、Vκ1−39Jκ5遺伝子)またはヒトVκ3−20Jκ遺伝子(例えば、Vκ3−20Jκ1遺伝子)が含まれ、それらが体細胞変異(例えば、親和性成熟)したものを含む。

0049

「遺伝子セグメント」または「セグメント」という表現は、V(軽鎖または重鎖)またはDもしくはJ(軽鎖または重鎖)免疫グロブリン遺伝子セグメントの言及を含み、再構成されたV/J(軽)またはV/D/J配列(重)を形成する再構成(例えば、内因性リコンビナーゼにより媒介される)に関与することができる免疫グロブリン遺伝子座(例えば、ヒト及びマウス)での再構成していない配列を含む。別段の指示がない限り、該V、D、及びJセグメントは、12/23ルールに従ったV/J組換えまたはV/D/J組換えを可能にする組換えシグナル配列(RSS)を含む。別段の指示がない限り、該セグメントは更に、天然の、またはその機能的等価物に関連する配列(例えば、Vセグメントについてはプロモーター(複数可)及びリーダー(複数可))を含む。

0050

核酸配列に関する「再構成されていない」という用語には、動物細胞の、好適には、遺伝子改変されておらず、例えば野生型ゲノムを含む動物由来の細胞の生殖系列に存在する核酸配列が含まれる。概して、天然の生殖系列構成では、重鎖可変領域は再構成されていないVH遺伝子セグメント、再構成されていないDH遺伝子セグメント及び再構成されていないJH遺伝子セグメントを含み、他方、軽鎖可変領域は再構成されていないVL遺伝子セグメント及び再構成されていないJL遺伝子セグメントを含む。B細胞の成熟過程中、これらの遺伝子セグメントは再構成して再構成された可変領域遺伝子を産生する。

0051

免疫グロブリン核酸配列に関する「生殖系列」という用語には、後代に引き継がれ得る核酸配列を含む。

0052

相補性決定領域」という表現または「CDR」という用語は、通常(すなわち、野生型動物において)免疫グロブリン分子(例えば、抗体またはT細胞受容体)の軽鎖または重鎖の可変領域内の2つのフレームワーク領域間に出現する生物の免疫グロブリン遺伝子の核酸配列によってコードされるアミノ酸配列を含む。CDRは、例えば、生殖系列配列、または再構成されたもしくは再構成されていない配列によって、例えば、未感作もしくは成熟したB細胞もしくはT細胞によって、コードされることができる。CDRは、体細胞変異され得る(例えば、動物の生殖系列でコードされる配列と異なる)、ヒト化され得る、及び/またはアミノ酸置換、付加、もしくは欠失で改変され得る。ある環境では(例えば、CDR3に関して)、CDRは、例えば、連続していない(例えば、再構成されていない核酸配列内で)が、配列のスプライシングまたは接続(例えば、重鎖CDR3を形成するようなV−D−J組換え)の結果、B細胞核酸配列内で連続している2つ以上の配列(例えば、生殖系列配列)によって、コードされることができる。

0053

「体細胞変異された」という表現は、クラススイッチされたB細胞中の免疫グロブリン可変領域の核酸配列(例えば、重鎖可変ドメインをコードするか、または重鎖CDRまたはFR配列を含むヌクレオチド配列)が、例えば、クラススイッチを受けていないB細胞とクラススイッチを受けたB細胞との間でのCDRまたはフレームワーク核酸配列の差異など、クラススイッチ以前のB細胞中の核酸配列と同一ではない、クラススイッチを受けたB細胞からの核酸配列への言及を含む。「体細胞変異された」は、親和性成熟されていないB細胞中の対応する免疫グロブリン可変領域配列(すなわち、生殖系列細胞のゲノム中の配列)と同一ではない親和性成熟されたB細胞からの核酸配列への言及を含む。「体細胞変異された」という表現はまた、核酸配列が、関心のエピトープへのB細胞の曝露以前の対応する核酸配列と異なる、関心のエピトープへのB細胞の曝露後のB細胞からの免疫グロブリン可変領域核酸配列への言及も含む。「体細胞変異された」という表現は、免疫原攻撃に応答して、例えば、ヒト免疫グロブリン可変領域核酸配列を有するマウスなどの動物において生成され、また係る動物において本来作動する選択プロセスから得られる結合タンパク質からの配列を指す。

0054

「と同族」の意味、例えば、第2のVLドメイン「と同族」である第1のVLドメインの意味で用いられる場合の「同族」という用語は、本発明に係るマウスにより作製される同じ結合タンパク質に由来する2つのVLドメイン間の関係に対する言及を包含することを意図する。例えば、本発明の実施形態に従い遺伝子改変されているマウス、例えば、VH、DH、及びJH領域が、VL領域及びJL領域によって置き換えられた重鎖遺伝子座を有するマウスにより、第1のヒトVLドメインと融合している同じマウスCH領域(例えば、IgMアイソタイプ)で作製されている2つの同一のポリペプチド鎖、ならびに第2のヒトVLドメインと融合している同じマウスCL領域で作製されている2つの同一のポリペプチド鎖を有する抗体様結合タンパク質が作製される。マウスにおけるクローン選択の間、単一の抗体様結合タンパク質との関係で共に現れるように、第1及び第2のヒトVLドメインを、クローン選択プロセスにより選択した。したがって、クローン選択プロセスの結果として、単一の抗体様分子において共に現れる第1及び第2のVLドメインを、「同族」と呼ぶ。これに対し、第1及び第2の抗体様分子が同一の重鎖を有するのでない限り(すなわち、第1のヒト重鎖領域に融合しているVLドメインと第2のヒト重鎖領域に融合しているVLドメインとが同一でない限り)、第1の抗体様分子において現れるVLドメインと第2の抗体様分子において現れるVLドメインとは同族ではない。

0055

抗体発生の初期には、抗体重鎖は、種々の選択スキームを経て自然選択により適した重鎖が更なる選択を受けて最終的に機能的親和性成熟抗体が形成される選択プロセスを受ける。重鎖及び軽鎖可変遺伝子再構成から生じる多様性は骨髄で発生し、クラススイッチに先行する。前駆B細胞(すなわち、プロB細胞)の組換えられた重鎖遺伝子セグメントから発現した抗体重鎖は、通常はIgMアイソタイプにおいて、プロB細胞の表面上への提示のためにサロゲート軽鎖と対を成し、プレB細胞受容体、すなわち、プレBCRと呼ぶ構造(これは他の共受容体を含む)を形成する。プレBCRが該細胞表面上に提示されると、プレBCRは、その複合体の適切な形成を該細胞にシグナル伝達し、該細胞に対して、重鎖がこの初期の選択段階を通過したことを有効に指示すると考えられる。したがって、該細胞には、重鎖が更なる選択を受けるかもしれないことが伝達される。IgM及びサロゲート軽鎖に関して提示された場合に重鎖がプレBCRの形成に有害な欠陥を含む場合、該細胞はアポトーシスを受ける。該細胞がアポトーシスを受けると、重鎖の重鎖可変領域の有用性、または多様性への寄与が失われる。したがって、抗体選択の非常に初期の段階では、IgMアイソタイプに関して重鎖とともにサロゲート軽鎖の提示が必要となる。抗体を産生するB細胞の正常な発達には、概して、CH1ドメインが存在していることが必要である。IgMなど、重鎖アイソタイプは全てCH1ドメインを含む。サロゲート軽鎖及び同族軽鎖は共に、IgMに関して重鎖のCH1ドメインを介して所与の重鎖と相互作用すると考えられる。

0056

B細胞が骨髄から出た後、抗原との会合(細胞表面IgMとして発現した再構成された抗体間で低親和性の相互作用を必要とする)は、体細胞超変異とクラススイッチの協調的誘導を刺激する。クラススイッチ後、表面B細胞受容体による差別的な抗原認識によって、元のIgMの超変異誘導体プールから親和性が増大された抗体を選択することが可能となる。

0057

「重鎖のみの抗体」、「重鎖のみの抗原結合タンパク質」、「単一ドメイン抗原結合タンパク質」、「単一ドメイン結合タンパク質」等の用語は、重鎖定常領域は通常は機能的CH1ドメインを欠いているために軽鎖と会合することができない重鎖定常領域に作動可能に連結される可変ドメインを含んでいる免疫グロブリン様鎖を含んだ単量体またはホモ二量体免疫グロブリン分子を指す。したがって、「重鎖のみの抗体」、「重鎖のみの抗原結合タンパク質」、「単一ドメイン抗原結合タンパク質」、「単一ドメイン結合タンパク質」等の用語は、(i)機能的CH1ドメインを欠いている重鎖定常領域に作動可能に連結される可変ドメインを含んでいる免疫グロブリン様鎖の1つを含んだ単量体単一ドメイン抗原結合タンパク質または(ii)機能的CH1ドメインを欠いている重鎖定常領域に作動可能に連結される可変ドメインを各々含んでいる2つの免疫グロブリン様鎖を含んだホモ二量体単一ドメイン抗原結合タンパク質の両方を包含する。種々の態様では、ホモ二量体単一ドメイン抗原結合タンパク質は、機能的CH1ドメインを欠いている同一の重鎖定常領域に作動可能に連結される同一の可変ドメインを各々含んでいる2つの同一の免疫グロブリン様鎖を含む。更に、単一ドメイン抗原結合タンパク質の免疫グロブリン様鎖の各々は、重鎖定常領域遺伝子(例えば、IgG、IgA、IgE、IgD、またはそれらの組み合わせ)のCH1コード配列(及び、場合によっては、ヒンジ領域)において欠失または不活性化変異を含んでいる重鎖定常領域(CH)遺伝子配列に連結され、重鎖可変領域遺伝子セグメント(例えば、VH、DH、JH)、軽鎖遺伝子セグメント(例えば、VL、JL)、またはそれらの組み合わせに由来し得る、可変ドメインを含む。重鎖遺伝子セグメント由来の可変ドメインを含んでいる単一ドメイン抗原結合タンパク質は、「VH単一ドメイン抗体」または「VH単一ドメイン抗原結合タンパク質」と呼ばれることもある。軽鎖遺伝子セグメント由来の可変ドメインを含んでいる単一ドメイン抗原結合タンパク質は、または「VL単一ドメイン抗原結合タンパク質」と呼ばれることもある。

0058

上に開示されたように、単一ドメイン抗原結合タンパク質を産生するように操作された非ヒト動物がそれを産生することによって、従来の抗体に比して、抗原に応答する抗原特異的な単一ドメイン抗原結合タンパク質の発現は比較的低くなる。当該技術からは、再構成された軽鎖の発現がほぼない場合に限り、高力価が可能となることが示唆される。具体的には、再構成された軽鎖を発現しない動物は、抗原と特異的に結合するより高いレベルの単一ドメイン抗原結合タンパク質を産生することができることが明らかとなっている(Janssens et al.(2006)PNAS 103:15130−15135;Zou et al.(2004)J.Exp.Med.204:3271−32)。当該技術とは反対に、本明細書に記載のデータは、遺伝子操作された単一の再構成された軽鎖を発現する動物は、攻撃後に高力価の抗原特異的単一ドメイン抗原結合タンパク質を生成することを示している。軽鎖可変領域遺伝子セグメントが再構成されて、CH1配列における欠失または不活性化変異を含んでいる重鎖定常領域遺伝子と組み換えられて、抗原と特異的に結合することが可能なVL単一ドメイン抗原結合タンパク質をコードすることができることも本明細書に示す。係るVL単一ドメイン抗原結合タンパク質の軽鎖可変ドメインは、再構成された軽鎖可変領域遺伝子配列に例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個以上のNを付加することにより同族軽鎖の欠損を補うことが可能であり、これは内在性及び修飾されていない免疫グロブリン軽鎖遺伝子座から再構成された軽鎖可変領域遺伝子配列には通常は見られない。

0059

したがって、一態様では、単一ドメイン抗原結合タンパク質及び遺伝子操作された単一の再構成された軽鎖(例えば、共通軽鎖)を含む非ヒト動物が提供され、ここで、該単一ドメイン抗原結合タンパク質の少なくとも1つの重鎖は、機能的CH1ドメインを欠いている。別の態様では、軽鎖可変領域、及び機能的CH1ドメインを欠いている重鎖定常領域を含むVL単一ドメイン抗原結合タンパク質を含む非ヒト動物が提供される。別の態様では、軽鎖可変領域、及び機能的CH1ドメインを欠いている重鎖定常領域を含むVL単一ドメイン抗原結合タンパク質及び遺伝子操作された単一の再構成された軽鎖(例えば、共通軽鎖)を含む非ヒト動物が提供される。遺伝子改変された非ヒト動物の作製方法、該遺伝子改変された非ヒト動物から単離したタンパク質(例えば、単一ドメイン抗原結合タンパク質)細胞、及び該遺伝子改変された動物からのタンパク質及び細胞の単離方法も提供する。

0060

高親和性」抗体という用語は、その標的エピトープに対して、約10−9M以下(例えば、約1×10−9M、1×10−10M、1×10−11M、または約1×10−12M)のKDを有する抗体を指す。一実施形態では、KDは、例えば、BIACORE(商標)などの表面プラズモン共鳴によって測定され、別の実施形態では、KDはELISAによって測定される。

0061

「細胞」という用語は、組換え核酸配列を発現するために好適な任意の細胞を含む。細胞には、原核生物及び真核生物単細胞または多細胞)の細胞、細菌細胞(例えば、大腸菌バチルス属種、ストレプトマイセス属種の株など)、マイコバクテリウム細胞真菌細胞酵母細胞(例えば、出芽酵母分裂酵母、P.パストリス、P.メタノリカなど)、植物細胞昆虫細胞(例えば、SF−9、SF−21、バキュロウイルス感染昆虫細胞、キンウワバなど)、非ヒト動物細胞ヒト細胞、または、例えば、ハイブリドーマもしくはクアドローマなどの細胞融合物が挙げられる。一部の実施形態では、細胞は、ヒト、サル類人猿、ハムスター、ラット、またはマウス細胞である。一部の実施形態では、細胞は、真核性であり、以下の細胞から選択される:CHO(例えば、CHO K1、DXB−11 CHO、Veggie−CHO)、COS(例えば、COS−7)、網膜細胞、Vero、CV1、腎臓(例えば、HEK293、293EBNA、MSR293、MDCK、HaK、BHK)、HeLa、HepG2、WI38、MRC5、Colo205、HB8065、HL−60、(例えば、BHK21)、Jurkat、Daudi、A431(表皮性)、CV−1、U937、3T3、L細胞、C127細胞、SP2/0、NS−0、MMT060562、Sertoli細胞、BRL3A細胞、HT1080細胞、骨髄腫細胞腫瘍細胞、及び前述の細胞に由来する細胞株。一部の実施形態では、細胞は、例えば、ウイルス遺伝子を発現する網膜細胞(例えば、PER.C6(商標)細胞)など、1つ以上のウイルス遺伝子を含む。

0062

「保存」という用語は、保存的アミノ酸置換を説明するために使用されるとき、類似の化学的特性(例えば、電荷または疎水性)を有する側鎖R基を有する別のアミノ酸残基による、アミノ酸残基の置換を含む。概して、保存的アミノ酸置換は、例えば、所望の親和性で標的エピトープと特異的に結合する可変領域の能力など、タンパク質の関心の機能的特性を実質的に変化させないであろう。類似の化学的特性を有する側鎖を有するアミノ酸の群の例としては、脂肪族側鎖、例えば、グリシンアラニンバリンロイシン、及びイソロイシンなど、脂肪族ヒドロキシル側鎖、例えば、セリン及びトレオニンなど、アミド含有側鎖、例えば、アスパラギン及びグルタミンなど、芳香族側鎖、例えば、フェニルアラニンチロシン、及びトリプトファンなど、塩基性側鎖、例えば、リジンアルギニン、及びヒスチジンなど、酸性側鎖、例えば、アスパラギン酸及びグルタミン酸など、ならびに硫黄含有側鎖、例えば、システイン及びメチオニンなどが挙げられる。保存的アミノ酸置換基としては、例えば、バリン/ロイシン/イソロイシン、フェニルアラニン/チロシン、リジン/アルギニン、アラニン/バリン、グルタメートアスパルテート、及びアスパラギン/グルタミンが挙げられる。一部の実施形態では、保存的アミノ酸置換は、例えば、アラニンスキャニング突然変異生成において使用される、タンパク質内の任意の天然の残基のアラニンでの置換であることができる。一部の実施形態では、参照により本明細書に援用したGonnet et al.(1992)Exhaustive Matching of the Entire Protein Sequence Database,Science 256:1443−45に開示された、PAM250対数尤度マトリクスにおいて正の値を有する保存的置換が作製される。一部の実施形態では、置換は、置換が、PAM250対数尤度マトリクスにおいて非負の値を有する中程度の保存的置換である。

0063

一部の実施形態では、免疫グロブリン軽鎖または重鎖中の残基位置は、1つ以上の保存的アミノ酸置換だけ異なる。一部の実施形態では、免疫グロブリン軽鎖またはその機能的断片(例えば、例えば、B細胞からの、発現及び分泌を可能にする断片)中の残基位置は、そのアミノ酸配列が本明細書に記載されている軽鎖とは同一ではなく、1つ以上の保存的アミノ酸置換だけ異なる。

0064

「エピトープ結合タンパク質」または「抗原結合タンパク質」という表現は、少なくとも1つのCDRを有し、エピトープを選択的に認識することができる、例えば、約1マイクロモル以下のKD(例えば、約1×10−6M、1×10−7M、1×10−9M、1×10−9M、1×10−10M、1×10−11M、または約1×10−12MのKD)でエピトープと結合することができるタンパク質を含む。治療用エピトープ結合タンパク質(例えば、治療用結合タンパク質)は、ナノモルまたはピコモル範囲内のKDを必要とすることが多い。

0065

「機能的断片」という表現は、発現され、分泌されて、マイクロモル、ナノモル、またはピコモル範囲内のKDでエピトープと特異的に結合することができる、エピトープ結合タンパク質の断片を含む。特定の認識としては、少なくともマイクロモル範囲、ナノモル範囲、またはピコモル範囲内のKDを有することが挙げられる。

0066

配列の比較に関する「同一性」という用語は、当該技術分野において既知である、ヌクレオチド及び/またはアミノ酸配列同一性を測定するために使用することができる複数の異なるアルゴリズムのいずれかによって決定される同一性を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載の同一性は、10.0の開放ギャップペナルティ、0.1の伸長ギャップペナルティを採用するClustalW v.1.83(遅い)配列比較を使用して、且つGonnet類似性マトリクス(MACVECTOR(商標)10.0.2、MacVector Inc.、2008)を使用して決定される。「同一性」という用語には、高分子間の、例えば、核酸分子(例えば、DNA分子及び/またはRNA分子)間及び/またはポリペプチド分子間の全体的な関連性を含む。一部の実施形態では、高分子は、それらの配列が少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%同一の場合に、相互に「実質的に同一」であるとみなされる。当業者には理解されるように、異なる配列においてどの残基が互いに「対応する」かを検討する際に、もう1つの配列に比べた一方の配列における指定された長さのギャップを許容することによることを含む、配列の相同性の程度を決定するために配列の比較を可能にする種々のアルゴリズムを利用することができる。2つの核酸配列間の同一性パーセントの計算は、例えば、最適な比較の目的で2つの配列を整列させることによって行うことができる(例えば、最適な配列比較のために第1及び第2の核酸配列の一方または両方にギャップを導入することができ、比較目的のために、対応していない配列を無視することができる)。ある特定の実施形態では、比較のために整列される配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または実質的に100%である。対応するヌクレオチドの位置にあるヌクレオチドを次に比較する。第1の配列の位置が、第2の配列にある対応する位置の同じヌクレオチドによって占められている場合、その分子はその位置で同一である。2つの配列間の同一性パーセントは、ギャップの数を考慮し、その2つの配列が共有している同一の位置の数と、2つの配列を最適に整列させるのに導入する必要がある各ギャップの長さとの関数である。2つのヌクレオチド配列間の同一性パーセントを決定するのに有用な代表的アルゴリズム及びコンピュータプログラムとしては、例えば、PAM120重み残基テーブル、ギャップ長ペナルティ12及びギャップペナルティ4を用いてALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれているMeyersとMillerのアルゴリズム(CABIOS、1989、4:11−17)が挙げられる。あるいは、2つのヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、例えば、NWSgapdna.CMPマトリクスを利用したGCGソフトウェアパッケージにおけるGAPプログラムを用いて決定することができる。

0067

「マイクロモル範囲」という表現は、1〜999マイクロモルを意味することを意図し、「ナノモル範囲」という表現は、1〜999ナノモルを意味することを意図し、「ピコモル範囲」という表現は、1〜999ピコモル範囲を意味することを意図する。

0068

「作動可能に連結される」という用語は、作動可能に連結される成分がその意図される様式で機能する関係を指す。一例では、タンパク質をコードする核酸配列は、適切な転写調節を保持するように、調節配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、サイレンサー配列など)に作動可能に連結されてもよい。一例では、免疫グロブリン可変領域(すなわち、V(D)Jセグメント)の核酸配列は、再構成された免疫グロブリン重鎖または軽鎖配列への配列間の適切な組換えを可能にするように、免疫グロブリン定常領域の核酸配列に作動可能に連結されてもよい。

0069

遺伝子置換に関する「置き換え」という用語は、内在性遺伝子遺伝子座に外来性遺伝子物質を置き、それにより内在性遺伝子の全部または一部をオルソロガスな核酸配列または相同性核酸配列により置き換えることを指す。

0070

「非ヒト動物」という用語は、任意の脊椎動物、例えば、円口類硬骨魚軟骨魚類、例えば、サメ及びエイ両生類爬虫類哺乳類、及び鳥類を含むことを意図する。適した非ヒト動物は哺乳類を含む。適した哺乳類には、非ヒト霊長類ヤギヒツジブタイヌウシ、及びげっ歯類が挙げられる。

0071

本発明の一部の態様では、該非ヒト動物には、小型の哺乳動物、例えば、トビネズミ上科またはネズミの上科のものが挙げられる。一実施形態では、該遺伝子改変された動物はげっ歯類である。一実施形態では、げっ歯類は、マウス、ラット、リスヤマアラシ、またはハムスターから選択される。一実施形態では、該げっ歯類はネズミ上科から選択される。一実施形態では、該遺伝子改変された動物は、カンガルーハムスター科(例えば、マウス様ハムスター)、キヌゲネズミ科(例えば、ハムスター、新世界ラット及びマウス、ハタネズミ)、ネズミ科トゥルーマウス及びラット、アレチネズミトゲマウス、タテガミネズミ)、アシナガマウス科(キノボリマウス、イワマウス、ホワイトテールドラット(white−tailed rat)、マダガスカルラット及びマウス)、トゲヤマネ科(例えば、トゲヤマネ)、及びメクラネズミ科(例えば、メクラネズミ(mole rate)、タケネズミ、及びモグラネズミ)から選択される科に由来する。具体的な実施形態では、該遺伝子改変されたげっ歯類は、トゥルーマウス及びラット(ネズミ科)、アレチネズミ、トゲマウス、及びタテガミネズミから選択される。一実施形態では、該遺伝子改変されたマウスは、ネズミ科の仲間に由来する。一実施形態では、該動物はげっ歯類である。具体的な実施形態では、げっ歯類はマウス及びラットから選択される。一実施形態では、該非ヒト動物はマウスである。

0072

特定の実施形態では、該非ヒト動物は、C57BL/A、C57BL/An、C57BL/GrFa、C57BL/KaLwN、C57BL/6、C57BL/6J、C57BL/6ByJ、C57BL/6NJ、C57BL/10、C57BL/10ScSn、C57BL/10Cr、及びC57BL/Olaから選択されるC57BL系のマウスであるげっ歯類である。別の実施形態では、該マウスは、129P1、129P2、129P3、129X1、129S1(例えば、129S1/SV、129S1/SvIm)、129S2、129S4、129S5、129S9/SvEvH、129S6(129/SvEvTac)、129S7、129S8、129T1、129T2である系統からなる群より選択される129系である(例えば、Festing et al.(1999)Revised nomenclature for strain 129 mice,Mammalian Genome 10:836を参照。またAuerbach et al(2000)Establishment and Chimera Analysis of 129/SvEv− and C57BL/6−Derived Mouse Embryonic Stem Cell Linesも参照のこと)。特定の実施形態では、該遺伝子改変されたマウスは、前述の129系と前述のC57BL/6系との混合である。別の特定の実施形態では、該マウスは、前述の129系の混合、または前述のBL/6系の混合である。特定の実施形態では、混合の129系は、129S6(129/SvEvTac)系である。別の実施形態では、該マウスは、BALB系、例えば、BALB/c系である。更に別の実施形態では、該マウスは、BALB系と前述の別の系との混合である。

0073

一実施形態では、該非ヒト動物は、ラットである。一実施形態では、該ラットは、Wistarラット、LEA系、Sprague Dawley系、Fischer系、F344、F6、及びDark Agoutiから選択される。一実施形態では、該ラット系は、Wistar、LEA、Sprague Dawley、Fischer、F344、F6、及びDark Agoutiからなる群より選択される系統のうちの2つ以上の混合である。

0074

本明細書で用いる場合「遺伝子操作された」、「遺伝子改変された」等は、核酸配列を人工的に操作、改変及び/または組み換えて、例えば動物によって非天然のポリペプチドを産生させることを含む。

0075

単一ドメイン抗原結合タンパク質を作製するための遺伝子操作動物
本明細書では、(a)インタクトなIgMCH1定常領域を保持しながら機能的CH1ドメインが不活性化及び/または除去された1つ以上の非IgM免疫グロブリン定常領域を含む改変された免疫グロブリン重鎖遺伝子座の重鎖可変領域または軽鎖可変領域遺伝子配列によってそれぞれコードされてもよい、単一ドメイン抗原結合タンパク質(例えば、VHまたはVL単一ドメイン結合タンパク質)、及び/または(b)軽鎖遺伝子座の単一の再構成された可変遺伝子配列(例えば、免疫グロブリンカッパ遺伝子座に挿入された単一の再構成されたVκ:Jκ遺伝子配列)によってコードされてもよい、遺伝子操作された単一の再構成された軽鎖を含む遺伝子改変された非ヒト動物を提供する。

0076

抗体はヒト治療薬として有用である。単一ドメイン結合タンパク質もヒト治療薬として有用である。単一ドメイン結合タンパク質は軽鎖を欠いているのでより小型であり、したがって、軽鎖を含む抗体よりも良好な組織浸透を示すが、従来の抗体と比較すると類似するか、またはより有利な薬物動態プロファイルを有し、類似したエフェクター機能が保持されていることが予期される。また、単一ドメイン結合タンパク質はより小型であるので、所与の体積でより高い用量での投与が可能になる。頻繁に使用される結合抗体投与方法皮下注射であり、所与の投薬量の抗体に対して投与量を低減することにより、患者にとって有益であり、より多い量の皮下注射による合併症及び痛みが回避され得る。

0077

単一ドメイン結合タンパク質の別の利点は、単一の治療薬において、2種類の異なるエピトープに対する特異性を有する免疫グロブリン鎖ヘテロ二量体化することにより二重特異性抗体を作製できることにある。単一ドメイン結合タンパク質は軽鎖を欠いていることから、その他の鎖の結合親和性または特異性を妨げる軽鎖を作り出す軽鎖再構成がないため、二重特異性抗体の作製に特に適している。

0078

ラクダ科、ある特定の種の魚類、及び病理学的状態の観察から、ある環境下では、重鎖定常領域に機能的CH1ドメインを欠いている結合タンパク質は、同族軽鎖が存在せずに発現され得ることが明らかとなっている。したがって、一実施形態では、結合タンパク質は「単一ドメイン結合タンパク質」と呼ばれることもあり、軽鎖可変領域及び軽鎖定常領域を含む軽鎖がない抗体、すなわち重鎖定常領域を各々含んでいる1つまたは2つのみの免疫グロブリンポリペプチド鎖を含む「重鎖のみの抗体」として当該分野でも公知であり得、ここで、重鎖のみの抗体の免疫グロブリンポリペプチド鎖の少なくとも1つは機能的CH1ドメインを欠いている。重鎖のみの抗体に関する教示は当該技術に見出され、例えば、PCT公報WO02085944、WO02085945、WO2006008548、及びWO2007096779を参照されたい。参照により本明細書に援用する米国特許第5,840,526号;米国特許第5,874,541号;米国特許第6,005,079号;米国特許第6,765,087号;米国特許第5,800,988号;EP1589107;WO9734103;及び米国特許第6,015,695号も参照されたい。

0079

重鎖のみの抗原結合タンパク質を産生するように遺伝子改変された非ヒト動物は当該分野では公知である。例えば、Janssens et al.(2006)PNAS 103:15130−15135;Zou et al.(2004)J.Exp.Med.204:3271−32を参照されたい。例えば、例えば免疫グロブリンG(IgG)遺伝子において機能的CH1配列を欠いているように遺伝子改変されている動物、特にげっ歯類(例えば、マウス)は、次いで単一ドメイン抗原結合タンパク質を発現した。

0080

ラクダ類、ある特定の種の魚類及び病理学的状態における観察結果により、ある状況下では、同族軽鎖の非存在下では、重鎖定常領域のCH1ドメインを欠いている結合タンパク質が発現され得ることが示されているが、抗体産生B細胞の正常な発生には、一般的にCH1ドメインの存在が必要とされる。IgMを含む重鎖アイソタイプには全てCH1ドメインが含まれている。サロゲート軽鎖及び同族軽鎖は共に、IgMの状況では重鎖のCH1ドメインを介して所与の重鎖と相互作用すると考えられている。単一ドメイン結合タンパク質の発生がIgMアイソタイプ重鎖の構造の完全性または機能性に依存するという点で、IgMの構造の完全性または機能のかく乱は望ましくないであろう。

0081

抗体の正常な発生には、抗体が、機能的で有用な抗体の残存及び最終的な発現をもたらす数多くの複雑な選択スキームを経て残存することが必要になる。抗体構造のかく乱は、該構造のかく乱によって抗体が1つ以上の自然な抗体選択スキームの要求を満たして有効に競合して進化する能力の消失がもたらされるという点で、抗体の残存及び最終的な発現に有害であると示されることもあり得る。

0082

抗体発生の初期では、抗体重鎖は、様々な選択スキームを経て自然選択により適当な重鎖が更なる選択を受けて最終的に機能的の親和性成熟抗体が形成される選択プロセスを受ける。前駆B細胞(すなわち、プロB細胞)内で組換えを受けた重鎖遺伝子セグメントから発現された抗体重鎖は、通常、IgMアイソタイプにおいて、プロB細胞の表面上への提示のためにサロゲート軽鎖と対を形成し、プレB細胞受容体、すなわち、プレBCRと称される構造(これは、他の共受容体を含む)を形成する。プレBCRが該細胞表面上に提示されたら、プレBCRは、その複合体の適切な形成を該細胞にシグナル伝達し、該細胞に対して、重鎖がこの初期の選択段階を通過したことを有効に指示すると考えられている。したがって、該細胞には、重鎖が更なる選択を受けるかもしれないことが情報伝達される。重鎖が、IgM及びサロゲート軽鎖の状況において提示された場合にプレBCRの形成に有害な欠陥を含む場合、該細胞はアポトーシスを受ける。該細胞がアポトーシスを受けると、重鎖の重鎖可変領域の有用性、または多様性に対する寄与が失われる。したがって、抗体選択の非常に初期の段階では、IgMアイソタイプの状況で重鎖とともにサロゲート軽鎖の提示が必要とされる。サロゲート軽鎖はIgMと、少なくとも部分的にIgMのCH1ドメインを介して相互作用すると考えられている。この初期の接合部(例えば、非機能的CH1ドメイン)における抗体構造の機能不全またはかく乱により、クローン選択機能不全、重鎖を発現するプロB細胞の消失、及び有用な抗体において特定の重鎖可変ドメインが使用される可能性の消失がもたらされ得る。

0083

プレBCRを有する細胞がこの選択段階を経たら、次の選択段階で、重鎖は同族の軽鎖(例えば、マウス及びヒトのκまたはλのいずれか)と対合することが必要とされる。対合した重鎖/同族の軽鎖構造は、細胞、ここでは、IgMのCH1ドメインを通してIgMアイソタイプの状況において、ナイーブなプレB細胞の表面上に再度提示される。この表面上の複合体により、機能的な膜結合型B細胞受容体(BCR)がもたらされる。このBCRは、細胞に、該重鎖が更なる選択に適していること、及び該細胞は、今度は、この特定の軽鎖を発現するように確定され得、更なるB細胞成熟段階(例えば、親和性成熟及びクラススイッチを含む)に進み得ることをシグナル伝達すると考えられている。重鎖が、IgM及びその同族の軽鎖の状況で提示された場合にBCRの形成に対して有害な欠陥を含む場合、該細胞はアポトーシスを受ける。該細胞がアポトーシスを受けると、該重鎖の重鎖可変領域の有用性または多様性に対する寄与が失われる。したがって、抗体選択の非常に初期の段階では、重鎖とともにIgMアイソタイプの状況の同族軽鎖の提示が必要とされる。この場合も、この初期の接合部の抗体構造(例えば、非機能的CH1ドメイン)の欠損またはかく乱により、クローン選択の失敗及び該重鎖を発現するプレB細胞の付随的な消失がもたらされることがあり得る。

0084

ここまでの選択に残ったら、IgMの状況において同族の軽鎖と対合している該重鎖を提示しているプレB細胞は、次いで成熟プロセスを受け、該プロセスにより、最終的にクラススイッチ、及び該重鎖と同族の軽鎖がIgGアイソタイプの状況でB細胞表面上に提示される更なる選択機構がもたらされる。CH1ドメインを欠いている、またはCH1ドメインとヒンジ領域を欠いているIgG重鎖の選択が起こるのは、この段階となるであろう。本発明に係る動物では、重鎖遺伝子座の可変領域の増大したレパートリーが、可変ドメインが残って、CH1ドメインを欠いているか、またはCH1ドメインとヒンジ領域を欠いているIgG重鎖に発現され得るかどうかに基づいた選択に利用可能であり得ると考えられる。対照的に、機能が損なわれたIgMを有するマウスは、機能が損なわれたIgMの状況で選択に残り得る可変領域のみがクラススイッチに利用可能となり得るため、おそらく、重鎖可変領域の完全なレパートリーを提示しないであろう。

0085

したがって、機能的IgMを欠いている動物では、そうでない場合には適した重鎖可変遺伝子セグメントの再構成後にB細胞集団を作製する能力の著しい低下が起こり得る。そのような場合、豊富供給量の可変領域が利用可能である(すなわち、再構成可能であり、重鎖定常領域に(例えば、重鎖免疫グロブリン遺伝子座において)作動的に連結可能な適した数の可変領域遺伝子セグメントを有する場合であっても、選択プロセス中の該重鎖の残存を抑制するIgMの欠陥のため、望ましい度合の多様性を示す十分なB細胞集団が形成されないことがある。

0086

対象免疫原で非ヒト動物に免疫することによる抗体の作製に十分な多様性をもたらすために、B細胞発生中に提示されたときにIgMの状況で有効に選択に残り得る適当な数の再構成された重鎖免疫グロブリン遺伝子座の可変領域が維持されていることが望ましい。したがって、免疫グロブリン重鎖に非機能的CH1ドメインまたは非機能的CH1ドメイン及び場合によっては非機能的ヒンジ領域を含む遺伝子改変された非ヒト動物は、IgM対立遺伝子の一方または両方にCH1欠失を含むべきではない。本明細書に参照により援用するUS2011/0145937に開示されている係る動物は、CH1ドメインが欠失または不活性化されているIgG定常遺伝子領域へのクラススイッチを呈し、抗原によって刺激され選択されるために、1)折り畳まれて、軽鎖パートナーなしに細胞表面に発現し、且つ2)軽鎖のない場合にも抗原を認識する単一ドメインの表面IgG(B細胞受容体)を発現する。

0087

本発明の種々の実施形態では、単一ドメイン抗原結合タンパク質(例えば、限定するものではないがVH及びVL単一ドメイン結合タンパク質)を含む、CH1ドメインを欠いている結合タンパク質を作る遺伝子改変された非ヒト動物を提供する。該遺伝子改変された非ヒト動物は、機能的免疫グロブリン重鎖ドメイン(CH1ドメイン)、例えば、IgG1 CH1ドメインの欠損を含む遺伝子改変を含んでもよく、一部の実施形態では、機能的CH1ドメインを欠いている該免疫グロブリン重鎖においてヒンジ領域の欠失を含む更なる改変を含むものであり、該非ヒト動物は機能的IgMを発現する。他の改変には、IgG1及びIgM以外のアイソタイプを非機能的にすること、例えば、IgD、IgG3、IgG2a、IgG2c、IgG2b、IgA、及びIgEに対して遺伝子における欠失、または遺伝子の欠失、あるいは遺伝子における不活性化変異(IgD、IgG3、IgG2a、IgG2c、IgG2b、IgA、及びIgEのCH1ドメインまたはヒンジ領域の欠失または不活性化変異など)を行うことが挙げられる。該非ヒト動物、非ヒト胚、及び細胞を作成するための遺伝子改変された非ヒト胚、細胞、及びターゲティングコンストラクトも提供する。

0088

VHドメイン(例えば、内在性またはヒトVHドメイン)またはVLドメイン(例えば、ヒトVLドメイン)を含んでいてもよい、単一ドメイン抗原結合タンパク質を含む、免疫グロブリンCH1ドメイン(及び場合によってはヒンジ領域)を欠いている結合タンパク質を作る動物を作製するための組成物及び方法も提供する。本方法には、選択的に、内在性非IgMCH1領域を(例えば、CH1ドメインの配列の欠失または不活性化によって)非機能的にし、内在性可変領域遺伝子座において再構成されていない内在性重鎖可変領域(HCVR)遺伝子セグメント、再構成されていないヒト可変領域(hHCVR)遺伝子セグメント、または再構成されていないヒト軽鎖可変領域(hLCVR)のいずれかを利用して非ヒトにおいてキメラヒト結合タンパク質を作成することを含む。CH1ドメインの欠失は、1つ以上の免疫グロブリン定常領域遺伝子(例えば、IgG1、IgD、IgG3、IgG2a、IgG2c、IgG2b、IgA、またはIgE遺伝子)において行われるが、IgM遺伝子では行われない。欠失がIgGにある一実施形態では、このアプローチは、機能的IgMを保持したままで、1つ以上のIgG CH1ドメインを選択的に非機能的にする。1つ以上のIgG CH1ドメインの欠失に加え、更なる実施形態は、機能的CH1ドメインを欠いているIgG(複数可)のヒンジ領域(複数可)を欠失させるか、または非機能的にする。

0089

この特定の実施形態では、IgGCH1欠失アプローチは、遺伝子改変された非ヒト動物のIgアイソタイプの全てが非機能的CH1またはCH1ドメイン(及び場合によってはヒンジ)の欠失を呈するというわけではないので、動物の天然のB細胞発生において比較的保存的なかく乱を利用する。したがって、上記のように、CH1改変はIgM分子では生じず、したがって、機能的CH1を有するIgMに依存するB細胞発生の初期の段階に影響を及ぼさない。IgMは改変されないので、IgGのCH1ドメイン(及び任意選択でIgGのヒンジ領域)の1つ以上の欠失を有するが、IgMのCH1ドメインの欠失は有しない動物では、IgGの状況の可変ドメインの提示前に、クローン選択段階において、可変領域の満足できる大量のレパートリーがプロセッシングされ得るはずである。したがって、種々の実施形態において、単一ドメイン結合タンパク質における使用に利用可能な可変領域の多様性に対する遺伝子改変(複数可)のいずれの有害な影響によっても、IgGに関連する選択に利用可能な可変領域のプールは、マイナスの影響を受けないはずである。更に、生殖系列において非機能的にされる(例えば、欠失される)CH1配列がIgG1である場合、該動物は、CH1ドメインをコードするRNAの作製能を欠くこととなる。

0090

非ヒト動物を遺伝的に改変して、1つ以上の非IgM免疫グロブリンアイソタイプのCH1ドメインまたはCH1ドメイン及び場合によってはヒンジ領域を非機能的にすれば、V領域遺伝子セグメント(例えば、VHまたはVL領域)の完全または実質的に完全なレパートリーから、単一ドメイン結合タンパク質において発現するのに適したV領域を選択することのできる動物が得られるかもしれない。IgGアイソタイプを選択的に改変する(しかしIgMは改変しない)ことで、IgMにおけるCH1ドメインの欠落またはCH1ドメインの欠落により選択を生き残る可変領域の数が減る可能性が回避される。したがって、IgG(CH1ドメインを欠いているか、またはCH1ドメインを欠き且つヒンジ領域を欠いている)に関する選択にV領域のより完全なレパートリーが利用できる。したがって、本発明に係る遺伝子改変された動物のVドメインの選択は、例えば、どのVドメインが改変されたIgM構造に起因する初期IgM依存性B細胞発生上の障害を克服するのに有用であり得るかには左右されない。それに代わって、初期IgM依存性の段階は正常に生じるはずであり、その結果、CH1ドメインを欠いているか、またはCH1ドメインを欠き且つヒンジ領域を欠いているIgGに関して発現するその適合性に関する選択に利用可能な重鎖の大きなレパートリーが得られる。

0091

したがって、種々の実施形態では、本発明による遺伝子改変動物では機能的IgMの発現が維持されるはずであり、これにより、より自然なクローン選択プロセスの機会がもたらされるはずである。例えば、機能的IgM(例えば、機能的CH1ドメインを含むIgM)がある場合、サロゲート軽鎖と同族の軽鎖の両方がIgMのCH1ドメインを介して結合することができ、初期のB細胞発生における選択プロセスに関与することができる。本発明による遺伝子改変動物では、IgGアイソタイプへのクラススイッチが最初の選択段階であり、ここでは、機能的CH1ドメインを欠いているか、または機能的CH1ドメインと機能的ヒンジを欠いている定常ドメインの状況で発現され得る重鎖可変ドメインの任意の選択がみられると考えられる。

0092

種々の実施形態では、CH1ドメインにおける欠失または不活性化変異を含む該非ヒト動物の非IgM重鎖定常領域は、非ヒト、例えば、内在性非ヒト重鎖定常領域である。別の実施形態では、CH1ドメインにおける欠失または不活性化変異を含む該非ヒト動物の非IgM重鎖定常領域は、ヒト重鎖定常領域である。該動物が軽鎖定常領域に作動可能に連結される単一の再構成された軽鎖遺伝子配列を更に含む更に別の実施形態では、軽鎖定常領域は非ヒト、例えば内在性非ヒト軽鎖定常領域であるか、あるいは軽鎖はヒト軽鎖定常領域である。

0093

VL単一ドメイン結合タンパク質(例えば、軽鎖可変ドメインを有する単一ドメイン抗原結合タンパク質)
本明細書では、2種類の単一ドメイン抗原結合タンパク質すなわち(1)再構成された重鎖可変領域遺伝子配列によってコードされるVH単一ドメイン結合タンパク質及び(2)再構成された軽鎖可変領域遺伝子配列によってコードされるVL単一ドメイン結合タンパク質を含む遺伝子改変された非ヒト動物を提供し、単一ドメイン抗原結合タンパク質の各々は、インタクトなIgMCH1定常領域を保持しながら機能的CH1ドメインが不活性化及び/または除去された1つ以上の非IgM免疫グロブリン定常領域を含む改変された免疫グロブリン重鎖遺伝子座によってもコードされている。

0094

したがって、一実施形態では、本明細書では、重鎖定常領域に作動可能に連結される軽鎖可変領域遺伝子セグメント(例えば、Vκ、Jκ、Vλ、及び/またはJλ遺伝子セグメント)を含むように遺伝子操作された重鎖遺伝子座を提供する。軽鎖可変領域を含むような重鎖遺伝子座の遺伝子改変については記載がある。例えば、1つ以上の軽鎖可変領域VL及び/またはJL遺伝子セグメントによる1つ以上の、実質的に全ての、または全ての免疫グロブリン重鎖可変領域VH、DH、及び/またはJH遺伝子セグメントの置き換えを含んだ免疫グロブリン重鎖遺伝子座を含んでいる非ヒト動物の生成については参照により本明細書にその全体を援用する米国特許出願第20120096572号に記載されている。

0095

当業者であれば、置き換えVL及び/またはJL遺伝子セグメントは、生産的な再構成を受けることができる再構成されていないVL及び/または再構成されていないJL遺伝子セグメントを含んでいてもよいことが容易に理解されよう。さらに、VL及び/またはJL遺伝子セグメントはVκ、Jκ、Vλ、Jλ遺伝子セグメントから選択される1つ以上のセグメントであってもよく、それらの組み合わせであってもよい。一実施形態では、1つ以上の重鎖可変領域遺伝子セグメントは、1つ以上のヒト軽鎖可変遺伝子セグメントにより置き換えられ、ヒトイディオタイプを有する可変ドメインの産生を可能にする。

0096

本明細書に記載するように、重鎖定常領域に作動可能に連結される軽鎖可変領域遺伝子セグメント(例えば、Vκ、Jκ、Vλ、及び/またはJλ遺伝子セグメント)を含むように遺伝子操作された重鎖遺伝子座は、重鎖定常領域の1つ以上のドメインまたは遺伝子セグメントが不活性化されているか、または欠失している場合であっても、生産的な遺伝子再構成を受けて免疫グロブリン鎖を形成し得る。本明細書に示すように、重鎖可変領域遺伝子セグメントを、CH1ドメインの欠失(例えば、IgG1遺伝子における)を伴う軽鎖可変領域遺伝子セグメントによって置き換えることにより、軽鎖可変領域を有する単一ドメイン抗原結合タンパク質が得られる。具体的には、重鎖遺伝子座の内在性重鎖可変領域遺伝子セグメントをカッパ(κ)V及びJ遺伝子セグメント(Vκ及びJκ)によって置き換えることにより、重鎖定常領域(KoH)に作動可能に連結されるカッパ可変領域が得られる。重鎖遺伝子座を更に改変してCH1ドメイン(複数可)を欠失させると(CH1 del)、軽鎖可変領域、及び機能的CH1ドメインを欠いている重鎖定常領域を含む免疫グロブリンポリペプチド鎖をコードする免疫グロブリン遺伝子座(KoH CH1 del)が得られ、ここで、該免疫グロブリンポリペプチド鎖は、単一ドメイン抗原結合タンパク質(例えば、VL単一ドメイン抗原結合タンパク質)を形成し得る。

0097

したがって、一部の実施形態では、機能的CH1ドメインを欠いている重鎖定常領域に作動可能に連結される軽鎖可変ドメインを含んでいるVL単一ドメイン結合タンパク質を含んだ遺伝子改変された非ヒト動物が提供され、ここで、該免疫グロブリンポリペプチド鎖は単一ドメイン抗原結合タンパク質を形成し、これはインタクトなIgM定常領域を保持しながら機能的CH1ドメインが不活性化且つ/または除去されている1つ以上の非IgM免疫グロブリン定常領域を含む改変された免疫グロブリン重鎖遺伝子座の軽鎖可変領域遺伝子配列によってコードされ得る。

0098

本明細書に記載する態様は、1つ以上の重鎖定常領域遺伝子(例えば、IgM、IgD、IgG、IgAまたはIgE)をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結され、好適には再構成されておらず、またより好適にはヒトのJL遺伝子セグメント(またはその一部)により再構成された好適には再構成されておらず、またより好適にはヒトのVL遺伝子セグメント(またはその一部)を含むか、これに由来するハイブリッド免疫グロブリン遺伝子によってコードされるハイブリッド鎖を含んだVL結合タンパク質を含み、ここで、該IgD、IgG、IgAまたはIgE遺伝子はCH1コード配列における欠失または不活性化変異を含む。VL結合タンパク質、抗原結合VLタンパク質等は、2つの軽鎖可変ドメインを含む抗原結合部位を含んでいる抗原結合タンパク質を含む。一実施形態では、VL結合タンパク質の少なくとも2つの軽鎖可変ドメインは同族である。一部の実施形態では、2つの軽鎖可変ドメインの各々は、軽鎖可変領域(VL)遺伝子セグメント及び/または軽鎖連結領域(JL)遺伝子セグメントによってコードされているか、またはこれらのセグメントに由来するものである。好適な実施形態では、2つの軽鎖可変ドメインの一方はハイブリッド免疫グロブリン鎖であってもよく、2つの軽鎖可変ドメインの他方は免疫グロブリン軽鎖(L)の一部であってもよい。

0099

本明細書で用いる場合、「免疫グロブリンハイブリッド鎖」、「ハイブリッド鎖」、「ハイブリッド免疫グロブリン鎖」等の表現は、アミノ末端からカルボキシルに軽鎖可変ドメイン(体細胞異変異されていても、体細胞変異されていなくてもよい)及び重鎖定常領域を含む免疫グロブリンタンパク質を指す。一般に、ハイブリッド鎖は重鎖定常領域遺伝子配列に作動可能に連結される再構成された軽鎖可変領域遺伝子配列によってコードされている。本明細書に開示するように、VL単一ドメイン結合タンパク質はハイブリッド鎖を含み、ここで、該ハイブリッド鎖は、CH1コード配列において欠失または不活性化変異を有する重鎖定常領域遺伝子配列に作動可能に連結される再構成された軽鎖可変領域遺伝子配列によってコードされている。

0100

ハイブリッド免疫グロブリン鎖の軽鎖可変領域遺伝子配列は、概して、軽鎖可変(VL)遺伝子セグメント(またはその一部)及び軽鎖連結(JL)遺伝子セグメント(またはその一部)からの配列を含み得る。好適な実施形態では、該ハイブリッド鎖可変ドメインをコードしている軽鎖可変領域遺伝子配列(例えば、再構成されたVL−JL遺伝子配列)は、再構成されていないVL及びJL遺伝子セグメント、好適には生殖系列の再構成されていないVL及びJL遺伝子セグメントのレパートリー由来のものであり、これらのセグメントは、(a)生産的な遺伝子再構成(例えば、インフレームの軽鎖可変領域遺伝子配列を形成するように再構成することができる)を受けることができ、且つ(b)1つ以上の重鎖定常領域遺伝子セグメント(例えば、定常領域遺伝子セグメントの再構成されていないクラスタまたは1つの定常領域遺伝子セグメント)に作動可能に連結される。

0101

軽鎖遺伝子セグメントが再構成されると、重鎖定常領域をコードする配列に融合された軽鎖可変領域をコードする配列を含む再構成されたヌクレオチド配列が得られる。この配列は重鎖定常ドメインに融合された軽鎖可変ドメインを有するハイブリッド免疫グロブリン鎖をコードする。したがって、一実施形態では、本明細書に開示のハイブリッド免疫グロブリンは、N末端からC末端までVLドメイン及びCHドメインで実質的に構成されている。一実施形態では、該CHドメインは、機能的CH1領域(IgMに関して)、ヒンジ、CH2領域、CH3領域を含み、場合によってはCH4領域を含む。別の実施形態では、該CHドメインは、例えば、IgG、IgA、IgE及び/またはIgDに関して、機能的CH1領域を欠いており(例えば、全体的または部分的にCH1領域を欠いている)、更に、ヒンジ領域を欠いていてもよい。別の実施形態では、該CHドメインは機能的CH1領域を欠いており(例えば、全体的または部分的にCH1領域を欠いている)、更に、他の非IgMアイソタイプ定常領域を欠いていてもよい。

0102

本明細書に記載の改変された非ヒト動物は、ハイブリッド鎖と対になって抗体様のVL結合タンパク質(例えば四量体でもよい)を作る同族軽鎖も含んでいるIgMアイソタイプを有するVL結合タンパク質を生成し得るが、ここでは、重鎖(または重鎖の対)の代わりに、該VL結合タンパク質は、IgMCHドメインに融合したVLドメイン(VHドメインではない)を含んでいるハイブリッド鎖(またはハイブリッド鎖の対)を含む。

0103

本明細書に開示する非ヒト動物は好適には、機能的CH1ドメインを有するIgM定常領域遺伝子を含むので、本明細書に開示する非ヒト動物は、一部の従来の抗体の四量体構造に似ているが結合特性は異なるVL結合タンパク質の発現を生じさせ、且つ該非ヒト動物の細胞の膜表面上に前記VL結合タンパク質を発現させる、免疫グロブリン遺伝子座のヒト化も包含する。一部の実施形態では、本発明の非ヒト動物は、VL結合タンパク質のハイブリッド及び軽鎖の一方または両方で、抗原に結合するヒトVLドメインを産生することができる。一部の実施形態では、係る非ヒト哺乳動物は、いかなるVH、DH、及び/またはJH遺伝子セグメント配列によってもコードされていないか、またはいかなる該セグメントにも由来しない可変ドメインを含んだ結合タンパク質を発現するB細胞集団を発生する且つ/または有する。一部の実施形態では、係る非ヒト動物によって発現されるVL結合タンパク質は、該抗原結合タンパク質がヒトVLドメインのみから構成されていることを特徴とする。一部の実施形態では、本発明の非ヒト動物は、内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座に非ヒト動物及び異種(例えば、ヒト)からの遺伝子物質を含み、内在性免疫グロブリン軽鎖遺伝子座に非ヒト動物及び異種(例えば、ヒト)からの遺伝子物質を含む。

0104

種々の実施形態では、改変された非ヒト動物は、VL単一ドメイン結合タンパク質を作り、ここで、ハイブリッド鎖のVLドメインは、軽鎖のVLドメインに勝って増強された程度の体細胞超変異を呈する。一部の実施形態では、ハイブリッド鎖のVL領域は、CL領域に融合されたVL領域よりも約1.5倍、約2倍、約2.5倍、約3倍、約3.5倍、約4倍、約4.5倍または約5倍、またはそれより多い体細胞超変異を呈する。一部の実施形態では、改変された非ヒト動物(例えばマウス)は抗原に応答して、ハイブリッド鎖のVLドメインを含むVL単一ドメイン結合タンパク質の集団を呈し、ここでVL単一ドメイン結合タンパク質の集団はハイブリッド鎖のVLドメインにおいて、同じ抗原に応答して野生型マウスが呈する軽鎖集団(例えば軽鎖のVLドメイン)に観察されるよりも、平均して約1.5倍、約2倍、約2.5倍、約3倍、約3.5倍、約4倍、約4.5倍または約5倍、またはそれより多い体細胞超変異を呈する。

0105

一実施形態では、ハイブリッド鎖のVLドメインの体細胞超変異は、CDR3に1つ以上または2つ以上のN付加を含む。種々の実施形態では、該VL結合タンパク質(例えば、VL単一ドメイン結合タンパク質)は、内在性軽鎖遺伝子座から再構成された軽鎖(例えば、重鎖定常領域遺伝子に作動可能に連結される再構成された可変領域遺伝子を形成するように再構成されたVL及びJL遺伝子セグメント)について天然に観察されるよりも多くのN付加を含んだ免疫グロブリン軽鎖配列によってコードされる可変ドメインを含んでいるハイブリッド鎖を含み、ここで、再構成された軽鎖可変領域は、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個以上のN付加を含む。

0106

種々の実施形態では、VL結合タンパク質(例えば、本明細書に開示するようなVL単一ドメイン結合タンパク質、例えば、遺伝子改変された非ヒト動物によって、例えば、本明細書に開示するマウスによって産生されるもの)は、平均すると、それぞれ、従来の抗体または重鎖のみ抗体よりも小さいものであり得、小さなサイズに伴う有益性を有し得る。サイズの小型化は、少なくとも一部には、通常はVHドメインに存在するDH領域によってコードされるアミノ酸配列が存在しないことにより達成される。サイズの小型化は、例えばVκ領域及びJκ領域に由来するCDR3の形成により実現することもできる

0107

一態様では、免疫グロブリンハイブリッド鎖遺伝子座を含む非ヒト動物(例えば、マウス)が提供される。一実施形態では、該ハイブリッド鎖遺伝子座は内在性重鎖遺伝子座内に作られ、ここで、内在性マウス免疫グロブリン重鎖遺伝子座にある1つ以上の免疫グロブリン重鎖可変領域(VH)遺伝子セグメント、重鎖多様性(DH)遺伝子セグメント、及び重鎖連結(JH)遺伝子セグメントは、1つ以上の軽鎖可変領域(VL)遺伝子セグメント及び1つ以上の軽鎖連結領域(JL)遺伝子セグメントにより置き換えられて、それらは再構成して、再構成された可変領域VL/JL遺伝子配列を形成し、これは内在性マウスCH遺伝子と組み換えて、VL遺伝子セグメント、JL遺伝子セグメント、及び内在性マウスCH遺伝子に由来する再構成された遺伝子を形成する、ここで、CH遺伝子はIgM、IgD、IgG、IgA、IgEであり、ここで、該IgD、IgG、IgA、またはIgEは機能的CH1ドメインを欠いている。一態様では、内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座を置き換えるハイブリッド鎖遺伝子座を含んでいる非ヒト動物を提供し、例えば、重鎖遺伝子座の一方または両方の全てのまたは実質的に全ての内在性VH、DH、及びJH遺伝子セグメントが、1つ以上のVL遺伝子セグメント及び1つ以上のJL遺伝子セグメントによって置き換えられ、それらは再構成された可変領域VL/JL遺伝子配列を形成し、これは内在性マウスCH遺伝子と組み換えてVL遺伝子セグメント、JL遺伝子セグメント、及び内在性マウスCH遺伝子由来である再構成された遺伝子を形成する、ここで、CH遺伝子はIgM、IgD、IgG、IgA、IgEであり、該IgD、IgG、IgA、またはIgEは機能的CH1ドメインを欠いている。

0108

一部の実施形態では、本発明の非ヒト動物は、再構成されていないヒトVL遺伝子セグメント及び/またはヒトJL遺伝子セグメントを有する免疫グロブリンハイブリッド鎖遺伝子座と、再構成されていないヒトVL遺伝子セグメント及び/またはヒトJL遺伝子セグメントを有する免疫グロブリン軽鎖遺伝子座とを、含む。一部の実施形態では、本発明の非ヒト動物は、再構成されていないヒトVL遺伝子セグメント及び/またはヒトJL遺伝子セグメントを有する免疫グロブリンハイブリッド鎖遺伝子座と、好適には、軽鎖定常領域遺伝子配列に作動可能に連結される単一の再構成されたヒトVL/JL可変領域遺伝子配列を有し、例えば共通軽鎖をコードする免疫グロブリン軽鎖遺伝子座と、を含む。

0109

単一ドメイン結合タンパク質及び再構成された軽鎖を発現する遺伝子操作された非ヒト動物
更なる実施形態では、本明細書では、(a)内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座の少なくとも1つの内在性免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子のCH1ドメインをコードするヌクレオチド配列における欠失または不活性化変異であり、ここで、該少なくとも1つの内在性免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子は、IgG、IgA、IgE、IgD、またはそれらの組み合わせであるものと、(b)VL及びJL遺伝子セグメント配列を含んでいる単一の再構成された免疫グロブリン軽鎖可変領域VL/JL遺伝子配列を含む免疫グロブリン軽鎖遺伝子座であり、ここで、該単一の再構成された免疫グロブリン軽鎖可変領域遺伝子配列は免疫グロブリン軽鎖定常領域遺伝子配列に作動可能に連結され、例えば、単一軽鎖をコードするものと、場合によっては、更に(c)内在性免疫グロブリン重鎖遺伝子座の内在性VH、DH、JH遺伝子セグメントの、少なくとも1つの再構成されていない免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL)遺伝子セグメント及び少なくとも1つの再構成されていない免疫グロブリン軽鎖連結(JL)遺伝子セグメントを含む核酸配列による置き換えであり、該再構成されていないVL及びJL遺伝子セグメントの各々は、CH1ドメインをコードするヌクレオチド配列における欠失または不活性化変異を含む免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子に作動可能に連結される再構成された免疫グロブリン軽鎖可変領域(VL/JL)ヌクレオチド配列を形成するように組換え可能であるものと、を含む非ヒト動物を提供する。

0110

単一の再構成された軽鎖(例えば、再構成された軽鎖可変領域を含む軽鎖)の遺伝子操作については記載がある。例えば、単一の再構成された可変遺伝子配列VL:JLを含むユニバーサル軽鎖マウス(ULC)の作製及びそれらのマウスにおける抗原特異的抗体の作製については、例えば、それぞれを参照により全体として本明細書に援用する米国特許出願第13/022,759号、第13/093,156号、第13/412,936号、第13/488,628号、第13/798,310号、及び第13/948,818号(それぞれ公開番号2011/0195454、2012/0021409、2012/0192300、2013/0045492、US20130185821、及びUS20130302836)に記載されている。遺伝子操作された単一の再構成された軽鎖(例えば、ユニバーサル軽鎖)の発現により、初期IgM段階での抗体の増殖が生じ、この段階では、多様性の、ひいては抗原認識の大部分が重鎖で生じる。本発明に関して限定するものでないが、遺伝子改変された単一の再構成された軽鎖を用いた初期IgM段階での増殖は、生き延びてIgGアイソタイプへのクラススイッチを受け、機能的CH1ドメインを欠いているか、または機能的CH1ドメインを欠いており、且つ機能的ヒンジ領域を欠いているIgGの状況において選択を受けることが可能な重鎖または軽鎖可変領域を有する細胞がより多く得られることを提唱する。

0111

したがって、遺伝子改変された非ヒト動物を、該動物を作製するための方法及び組成物とともに提供し、ここでは、遺伝子改変によってIgMドメインではないIgドメインにおける機能的CH1ドメインの欠落(更なる実施形態では、機能的ヒンジ領域の欠落)が生じ、ここで、該動物は更に、遺伝子操作された単一の再構成された軽鎖、例えば改変された共通軽鎖(ULC)を発現し、これはインタクトなIgMに会合し得る。

0112

米国特許出願公開第2011/0195454号、第2012/0021409号、第2012/0192300号及び第2013/0045492号に記載されている改変された共通軽鎖マウスは、軽鎖選択肢の限られたレパートリー(例えば、2を超えないVL遺伝子セグメントまたは単一の再構成されたヒト免疫グロブリン軽鎖可変領域配列を含んだ共通またはユニバーサル軽鎖「ULC」)をコードする核酸配列を含んだ。係る限られたレパートリーを達成するために、マウスを操作して、天然のマウス軽鎖可変ドメインを作製または再構成する能力を非機能的または実質的に非機能的にした。一態様では、これは、例えば、マウスの軽鎖可変領域遺伝子セグメントを欠失させることによって達成された。前述のように、内在性マウス遺伝子座は、次に、内在性マウス軽鎖定常ドメインに作動可能に連結される、選択された外来性の適したヒト軽鎖可変領域遺伝子セグメント、好適にはヒト軽鎖可変領域遺伝子セグメントによって、外来性可変領域遺伝子セグメントが内在性マウス軽鎖定常領域遺伝子と結合して、再構成されたリバースキメラ軽鎖遺伝子(ヒト可変、マウス定常)を形成することができる態様で、改変され得る。様々な実施形態では、軽鎖可変領域は、体細胞変異させることができる。種々の実施形態では、体細胞変異を得る軽鎖可変領域の能力を最大にするために、適切なエンハンサー(複数可)がマウスに保持される。一態様では、マウスκ軽鎖遺伝子座を改変して内在性マウスκ軽鎖遺伝子セグメントをヒトκ軽鎖遺伝子セグメントによって置き換える際に、マウスのκイントロンエンハンサー及びマウスκ3’エンハンサーは機能的に維持されるか、またはかく乱されない。

0113

したがって、多様なリバースキメラ(ヒト可変、マウス定常)重鎖と会合する限られたレパートリーのリバースキメラ(ヒト可変、マウス定常)軽鎖を発現する遺伝子操作マウスが提供された。様々な実施形態では、内因性マウスκ軽鎖遺伝子セグメントが欠失され、内因性マウスCκ遺伝子に作動可能に連結される単一の(または2つの)再構成されたヒト軽鎖領域によって置き換えられる。再構成されたヒト軽鎖領域の体細胞超変異を最大にするための実施形態では、マウスκイントロンエンハンサー及びマウスκ3’エンハンサーが維持される。様々な実施形態では、マウスは非機能的なλ軽鎖遺伝子座、またはその欠失、またはその遺伝子座がλ軽鎖を作製できないようにする欠失を更に含む。

0114

したがって、一実施形態では、本明細書では、非ヒト動物(例えば、げっ歯類、例えば、マウスまたはラット)であって、そのゲノムに(例えば、その生殖系列に)、好適にはヒト軽鎖可変遺伝子セグメントの限られたレパートリーからの、好適にはヒト軽鎖可変領域の限られたレパートリー、または単一の再構成されたヒト軽鎖可変領域を含む非ヒト動物(例えば、げっ歯類、例えば、マウスまたはラット)を提供し、ここで、該非ヒト動物は、そのゲノム(例えば、その生殖系列)に、CH1ドメインをコードするヌクレオチド配列における欠失または不活性化変異も含む。

0115

ヒト軽鎖可変領域遺伝子配列の限られたレパートリーからの、ヒト軽鎖可変ドメインの限られたレパートリー、または単一ヒト軽鎖可変ドメインを発現する遺伝子操作動物を提供する。一実施形態では、該単一の再構成されたV/Jヒト軽鎖配列は、Vκ1−39Jκ及びVκ3−20Jκ(例えば、Vκ1−39Jκ5及びVκ3−20Jκ1)から選択される。一部の実施形態では、本明細書に開示する非ヒト動物は、単一の再構成されたV/J軽鎖配列による全ての内在性VL及び全ての内在性JL遺伝子セグメントの置き換えを含んでいる改変された軽鎖遺伝子座を含み、ここで、単一の再構成されたV/J軽鎖配列は、内在性軽鎖定常領域遺伝子に作動可能に連結される。一部の実施形態では、該改変された軽鎖遺伝子座は、該非ヒト動物の生殖系列ゲノムに存在する。一実施形態では、該非ヒト動物は、その生殖系列ゲノムに、軽鎖定常領域遺伝子配列に作動可能に連結される単一の再構成された軽鎖可変遺伝子配列を含み、ここで、該単一の再構成された軽鎖可変領域遺伝子配列は、ヒト生殖系列VL及びヒト生殖系列JL遺伝子セグメント(例えば、ヒト生殖系列Vκ1−39及びヒト生殖系列Jκ5またはヒト生殖系列Vκ3−20及びJκ1)を含む。一部の実施形態では、本明細書に開示する非ヒト動物は、内在性軽鎖定常領域遺伝子に作動可能に連結される単一の再構成されたV/J軽鎖配列をそのゲノムに含んでいるB細胞(例えば、クラススイッチが行われなかったB細胞)を含み、ここで、該非ヒト動物の生殖系列ゲノムに見られる内在性軽鎖定常領域遺伝子に作動可能に連結される単一の再構成されたV/J軽鎖配列と比較して、該単一の再構成されたV/J軽鎖は、体細胞変異を含まない。他の実施形態では、本明細書に開示する非ヒト動物は、内在性軽鎖定常領域遺伝子に作動可能に連結される単一の再構成されたV/J軽鎖配列をそのゲノムに含んでいるB細胞(例えば、クラススイッチが行われたB細胞)を含み、ここで、該単一の再構成されたV/J軽鎖は、非ヒト動物の生殖系列ゲノムに見られる内在性軽鎖定常領域遺伝子に作動可能に連結される単一の再構成されたV/J軽鎖配列と比較して体細胞変異を含んでいる。

0116

遺伝子改変された動物の作製
本明細書に開示する非ヒト動物の作製方法も提供する。係る方法は、(a)該非ヒト動物の重鎖免疫グロブリン遺伝子座(IgG1重鎖遺伝子座など)の、CH1ドメイン、及び場合によってはヒンジ領域(複数可)を不活性化または欠失させること、遺伝子操作された再構成された軽鎖遺伝子座をコードする核酸を導入すること、及び該動物に、不活性化されたCH1ドメインを有する重鎖免疫グロブリン遺伝子座と遺伝子的に再構成された軽鎖遺伝子座(ULC)とを発現させることを含む。

0117

単一ドメイン結合タンパク質を発現する動物を作製する遺伝子改変について、例示説明としてマウスを用いることにより本明細書に便宜上記載しているが、係る改変は他の動物に容易に適応且つ適用することができる。本発明に係る遺伝子改変された動物は種々の方法で作製することができ、その具体的な実施形態を以下で考察する。

0118

IgG1遺伝子座の例示の略図(縮尺は正確ではない)を図1(上)に示し、IgG1遺伝子座におけるCHドメインの配置を示す。図示のように、ドメインCH1、CH2及びCH3ならびにヒンジ領域は、スイッチ領域の下流の容易に識別可能なヌクレオチド範囲に存在している。

0119

IgG1のCH1ドメインをコードする機能的ヌクレオチド配列を欠いているがヒンジ領域を含んでいる遺伝子改変された非ヒト動物(例えばマウス)を、当該分野では公知の方法を用いて作製することができる。例えば、IgG1遺伝子を、CH1ドメインを欠いているがヒンジを含む短縮型IgG1によって置き換えるターゲティングベクターが作製され得る。一例では、内在性CH1ドメインの上流側の配列を含み、続いて、IgG1ヒンジ、IgG1 CH2ドメイン、IgG1 CH3ドメイン、薬剤選択カセット(例えば、loxed耐性遺伝子)、及びIgG1膜貫通ドメインをコードする核酸配列を含んだ5’(ゲノムIgG1遺伝子の転写方向に対して)相同性アームと、膜貫通ドメインに対して下流側の配列を含む3’同性アームとを有するターゲティングコンストラクトによって、マウスゲノムを標的とする。該遺伝子座で相同組換えが起こり、(例えば、Cre処理によって)薬剤選択カセットが除去されると、内在性IgG1は、CH1ドメインを欠いているIgG1によって置き換えられる(図3)(IgG1ΔCH1;I)。一部の実施形態では、IgG1を発現する得られた遺伝子座の構造は、ヒンジ配列と融合されたJ領域配列を有する。

0120

IgG1のCH1ドメインをコードしているヌクレオチド配列を欠いており、ヒンジ領域をコードしているヌクレオチド配列を欠いている遺伝子改変された非ヒト動物(例えば、マウス)を、当該分野では公知の方法によって作製することができる。例えば、IgG1遺伝子を、CH1ドメインをコードしている配列を欠いており、ヒンジ領域をコードしている配列を欠いている短縮型IgG1によって置き換えるターゲティングベクターが作製され得る。別の実施形態では、マウスゲノムは、内在性CH1ドメインの上流側の配列を含み、続いて、IgG1 CH2ドメイン、IgG1 CH3ドメイン、薬剤選択カセット(例えば、loxed耐性遺伝子)、及びIgG1膜貫通ドメインをコードするヌクレオチド配列を含む5’(ゲノムIgG1遺伝子の転写方向に対して)相同性アームと、該膜貫通ドメインに対して下流側の配列を含む3’相同性アームとを有するターゲティングコンストラクトによってターゲティングされる。該遺伝子座で相同組換えが行われ、薬剤選択カセットが除去(例えば、Cre処理によって)されると、内在性IgG1遺伝子はCH1ドメインをコードしている配列を欠いているIgG1遺伝子によって置き換えられる(図3)(IgG1ΔCH1&ヒンジ;II)。一部の実施形態では、得られた遺伝子座の構造は、CH2ドメインに融合されたJ領域配列を有するIgG1を発現する。

0121

1つ以上の他のIgGアイソタイプ、例えば、IgG2b及びIgG2a/IgG2c、及びまたは1つ以上の他のIgアイソタイプ、例えば、IgD、IgA、及び/またはIgEを欠失させ、これらのアイソタイプをコードする配列を欠失させるか機能的に無効にすることによって、IgG1 CH1配列を欠いている(IgG1ΔCH1)か、またはIgG1 CH1配列を欠き且つヒンジを欠いている(IgG1ΔCH1&ヒンジ)遺伝子改変された非ヒト動物(例えば、マウス)を更に改変して、該改変されたIgG1アイソタイプを使用することに好都合であるようにすることができる。例えば、内因性ヒンジ領域配列の上流側(または内因性CH1ドメイン配列の上流側)の配列、IgG1 CH2及びCH3ドメインをコードする配列、薬剤選択カセット、続いてIgG1膜貫通ドメインをコードする配列、続いて所望であれば別の薬剤選択カセットを含む5’相同性アームと、IgG2a/c遺伝子に対して下流側の配列を含む3’相同性アームとを有するターゲティングコンストラクトを作製する。該遺伝子座で相同組換えが起こり、薬剤選択カセット(複数可)が除去(例えば、Cre処理によって)されると、内因性重鎖定常遺伝子座は、2つのみのIgG遺伝子を含む:内因性IgG3及びIgG1ΔCH1またはIgG1ΔCH1&ヒンジ(図3)(IgG1ΔCH1ΔIgG2b/2a;IIIまたはIgG1ΔCH1&ヒンジΔIgG2b/2a;IV)。

0122

上記のように操作した動物を、重鎖遺伝子座のIgG2a、IgG2b、IgG2c、IgG3、IgD、IgA、及び/またはIgE遺伝子セグメントにおいて欠失または不活性化変異を含むように、更に改変してもよい。例えば、重鎖遺伝子座の定常領域遺伝子配列を欠失させるターゲティングベクターが作製され得る。一例では、内在性IgMドメインの上流側の配列、続いて薬剤選択カセット(例えば、loxed耐性遺伝子)をコードするヌクレオチド配列を含む5’(ゲノム定常領域遺伝子配列の転写方向に対して)相同性アームと、IgA遺伝子セグメントの下流側の配列を含む3’相同性アームとを有するターゲティングコンストラクトによって、マウスゲノムを標的とする。該遺伝子座で相同組換えが起こり、薬剤選択カセットが除去(例えば、Cre処理によって)されると、内在性定常領域は欠失され且つ/または選択可能なマーカーによって置き換えられる(図4C)。ターゲティングベクターを用いて該動物を更に改変し、IgM遺伝子セグメント及び機能的CH1ドメイン配列を欠き且つ場合によっては機能的ヒンジ領域を欠いているIgG1遺伝子を再導入することができる。(図4D)。一例では、選択可能なマーカー遺伝子の上流側の配列、続いて完全なIgM定常領域及び機能的CH1ドメインを欠き且つ場合によっては機能的ヒンジを欠いているIgG1定常領域をコードするヌクレオチド配列、薬剤選択カセット(例えば、loxed耐性遺伝子)を含む5’相同性アームと、該選択可能なマーカー遺伝子に対して下流側の配列を含む3’相同性アームを有するターゲティングコンストラクトによって、動物のゲノムを標的とする。該遺伝子座で相同組換えが起こり、薬剤選択カセットが除去(例えば、Cre処理によって)されると、IgM遺伝子セグメント及び機能的CH1ドメイン配列を欠き且つ場合によっては機能的ヒンジ領域を欠いているIgG1遺伝子を再導入する。(図3)(IgG1ΔCH1ΔIgG2b/2aΔIgG3ΔIgD/A/E(場合によってはΔヒンジ);V)。内在性免疫グロブリン遺伝子座のその他の操作、例えば、種々の非IgM免疫グロブリンアイソタイプのCH1領域(複数可)の欠失または不活性化変異も提供する。

0123

適した定常領域コンストラクトを設計することによって、非IgM免疫グロブリン定常領域のCH1ドメインに、場合によってはヒンジに欠失または不活性化を導入し、上記のような相同性組換えにより遺伝子座に前記コンストラクトを導入する遺伝子操作に加え、非IgM CH1における欠失または不活性化は、当該分野では公知の他の方法(例えば、抗原免疫化時のみにマウスにおいて誘導される条件付き非IgM CH1欠失など)によって行うこともできる。遺伝子座の条件付き不活性化方法は当該分野では公知である。

0124

上記のような重鎖遺伝子座の遺伝子改変には、内在性重鎖可変遺伝子セグメント(例えば、VH遺伝子セグメント、DH遺伝子セグメント及び/またはJH遺伝子セグメント)の1つ以上、実質的に全て、または全てを、(a)ヒトイディオタイプを有する結合タンパク質をコードするために再構成され得るか、または再構成を受けることができる、ヒトVH遺伝子セグメント、DH遺伝子セグメント及び/またはJH遺伝子セグメント、(b)機能的CH1ドメインを欠いている重鎖定常領域に連結された軽鎖可変領域を有する免疫グロブリンポリペプチド鎖、例えばVL単一ドメイン結合タンパク質(例えば軽鎖可変領域を含んでいる単一ドメイン抗原結合タンパク質)をコードするように再構成されてもよいか、または再構成を受けることができる軽鎖可変遺伝子セグメント、例えば、軽鎖V遺伝子セグメント及び/または軽鎖J遺伝子セグメント、または(c)機能的CH1ドメインを欠いている重鎖定常領域に連結されたヒト軽鎖可変領域を有する免疫グロブリンポリペプチド鎖、例えばVL単一ドメイン結合タンパク質(例えば、ヒトイディオタイプを有するヒト軽鎖可変領域を含んでいる単一ドメイン抗原結合タンパク質)をコードするように再構成されてもよいか、または再構成を受けることができるヒト軽鎖可変遺伝子セグメント(例えば、ヒト軽鎖V遺伝子セグメント及び/またはヒト軽鎖J遺伝子セグメント)によって置き換えることを更に含んでいてもよい。

0125

図14にはマウス重鎖及びヒトκ軽鎖遺伝子座の略図(縮尺は正確ではない)を示し、マウス遺伝子座の約200個の重鎖可変(VH)遺伝子セグメント、13個の重鎖多様性(DH)遺伝子セグメント及び4個の重鎖連結(JH)遺伝子セグメント、ならびにエンハンサー(Enh)及び重鎖定常(CH)領域、ならびにヒトκ遺伝子座の約76個のVκ遺伝子セグメント、5個のJκ遺伝子セグメント、イントロンエンハンサー(Enh)及び単一の定常領域(Cκ)を示している。

0126

図15には、相同性組換えを行ってmVH、mDH及びmJH遺伝子セグメントのターゲティングされた欠失を通して内在性マウス重鎖遺伝子座を不活性化させることによって改変された、ヒトκ遺伝子セグメントのネズミ重鎖遺伝子座への挿入の略図を示している(縮尺は正確ではない)。図15に示すように、当該分野では公知の標準的な分子技術を用いることにより、別個の4つのターゲティングベクターを用いてヒトVκ遺伝子セグメント及びヒトJκ遺伝子セグメントを不活性化されたマウス重鎖遺伝子座に連続的に挿入することができる。該4つのターゲティングコンストラクトを操作するのに用いたヒトκ遺伝子セグメントは、生殖系列のヒトκ軽鎖遺伝子座の近位コンティグに天然に見い出され得る。

0127

遺伝子操作により再構成された軽鎖を含む遺伝子的に改変されたマウスは、当該分野では公知の任意の方法によって作製することができる。例えば、内在性軽鎖遺伝子座の再構成されていない内在性軽鎖可変V及びJ遺伝子セグメントを単一の再構成されたV:J遺伝子によって置き換えるか、再構成されていない軽鎖遺伝子座全体を軽鎖定常領域に作動可能に連結される単一の再構成されたV:J遺伝子を含む遺伝子操作された軽鎖遺伝子座によって置き換える、ターゲティングベクターを作製することができる。

0128

別の態様では、本明細書に記載の非ヒト動物は、ADAM6(ADAM6a及び/またはADAM6b)をコードする異所性ヌクレオチド配列、その機能的断片、ホモログまたはオルソログを含むように更に操作される。一部の実施形態では、本明細書に記載の非ヒト動物の重鎖遺伝子座は、マウスADAM6(ADAM6a及び/またはADAM6b)をコードする異所性ヌクレオチド配列、その機能的断片、ホモログまたはオルソログを含むように更に操作される。種々の実施形態では、該ADAM6タンパク質は非ヒト雄動物において機能的である。係る非ヒト動物を操作する方法及び組成物については、例えば、参照により本明細書に援用される、米国特許第8,642,835号に記載されている。

0129

一部の実施形態では、上記及び他の遺伝子改変動物は、適切なターゲティングコンストラクトを(1回以上の独立したターゲティングで)適切な動物ES細胞内に導入することにより作製され、該ターゲティングコンストラクトのマーカーまたは選択カセットを含む陽性クローンを確認し、増殖させる。次いで、該クローン宿主胚において、キメラ動物または完全ES細胞由来動物の作製に適した条件下でドナーES細胞として使用する。該マーカーまたは選択カセットは、ES細胞の段階のまたはキメラもしくはES細胞由来マウスのいずれかにおいて、例えば、loxedカセットを用い、Cre含有系統と交配するか、またはES細胞をCre発現ベクターエレクトロポレーションすることにより、場合によっては除去してもよい。したがって、一部の実施形態では、該遺伝子改変は該動物の生殖系列で行われる。

0130

一部の実施形態では、本明細書に記載の動物の作製方法は、単一ドメイン抗原結合タンパク質を産生することのできる第1の動物(例えば、機能的CH1ドメインを欠いているIgG重鎖遺伝子座をその生殖系列に含む第1の動物)を、遺伝子操作された再構成された軽鎖を産生することのできる第2の動物(例えば、軽鎖定常領域に作動可能に連結される単一の再構成されたV:J可変領域を有する遺伝子操作された軽鎖遺伝子座をその生殖系列に含む第2の動物)と交雑させてF1遺伝子操作動物を作製することを含み、ここで、該F1動物は、第1の動物のIgG重鎖遺伝子座及び第2の動物の軽鎖遺伝子座を含む。該交雑は、動物交配、あるいは、in vitro操作など、それ以外の配偶子の組み合わせによって行われてもよい。

0131

適切に遺伝子改変可能なES細胞が容易に入手できない非ヒト動物の場合、本明細書に記載の方法とは異なる方法を利用して、該遺伝子改変を含む非ヒト動物を作製する。係る方法には、例えば、非ES細胞ゲノム(例えば、線維芽細胞または誘導多能性細胞)を改変すること、及び核移植を利用して、改変ゲノムを適切な細胞(例えば、卵母細胞)へ移植し、胚を形成するのに好適な条件下で、改変細胞(例えば、改変された卵母細胞)を非ヒト動物内で懐胎させることが挙げられる。

0132

単一ドメイン抗原結合タンパク質の作製
一旦、単一ドメイン抗原結合タンパク質及び/または遺伝子操作された単一の再構成された軽鎖を産生することができる遺伝子操作された動物が得られると、ある抗原に対する免疫グロブリンと結合タンパク質調製物は、該動物にその抗原によって免疫することによって容易に得られる。本明細書で用いられる場合「ポリクローナル抗血清組成物」には、親和性精製されたポリクローナル結合タンパク質調製物を含む。

0133

一態様では、(a)本明細書に記載の非ヒト動物にある抗原で免疫すること、(b)非ヒト動物にとって結合タンパク質を作るのに十分な条件下に該非ヒト動物を維持すること、(c)機能的CH1ドメインを欠いている且つ/または機能的ヒンジ領域を欠いているマウスによって作られた結合タンパク質を特定すること、及び(d)該結合タンパク質、該結合タンパク質を作る細胞、または該結合タンパク質の配列をコードするヌクレオチド配列を該非ヒト動物から単離することを含む、CH1ドメインを欠いている結合タンパク質の作製方法を提供する。

0134

種々の抗原を用いてトランスジェニック動物に免疫することができる。係る抗原には、限定するものではないが、細胞タンパク質、微生物、例えば、ウイルス及び単細胞生物(細菌及び真菌類など)(生きている、弱っているまたは死滅した)、該微生物の断片あるいは該微生物から単離した抗原または分子が挙げられる。

0135

該抗原は、アジュバントとともに、またはアジュバントなしで、任意の便利な方法でトランスジェニック動物に投与することができ、所定のスケジュールに従って投与することができる。

0136

モノクローナル結合タンパク質を作製するために、免疫したトランスジェニック動物から脾細胞を単離し、ハイブリドーマ精製のために軽質転換細胞株との細胞融合に用いるか、あるいは、標準的な分子生物学的技術により、抗体をコードするcDNAをクローニングし、トランスフェクト細胞に発現させる。モノクローナル抗体の作製手順は当該分野で確立されている。例えば、欧州特許出願第0 583 980 A1号(「Method For Generating Monoclonal Antibodies From Rabbits」)、米国特許第4,977,081号(「Stable Rabbit−Mouse Hybridomas And Secretion Products Thereof」)、WO97/16537(「Stable Chicken B−cell Line And Method of Use Thereof」)、及びEP0 491 057 B1(「Hybridoma Which Produces Avian Specific Immunogloburin G」)を参照されたく、その開示は参照により本明細書に援用されている。クローニングしたcDNA分子からのモノクローナル抗体のin vitro作製方法については、Andris−Widhopfらの“Methodsfor the generation of chicken monoclonal antibody fragments by phage display”,J Immunol Methods 242:159(2000)、及びBurton,D.R.“Phage display”,Immunotechnology 1:87(1995)に記載がある。

0137

一旦、モノクローナル単一ドメイン抗原結合タンパク質が生成されると、所望であれば、標準的な分子生物学的技術を用いて係る結合タンパク質を完全ヒト結合タンパク質に容易に転換することができる。完全ヒトモノクローナル結合タンパク質は、ヒトでは免疫原性ではなく、ヒト対象治療的処置用に適している。

0138

したがって、単一ドメイン抗原結合タンパク質がヒトVHまたはヒトVL領域、及び非IgMCH1ドメインにおいて欠失または不活性化変異を含んでいるマウス重鎖定常領域を含む一実施形態では、単一ドメイン抗原結合タンパク質のVHまたはVLドメインの配列は、場合によっては、適切な細胞(例えば、抗体発現に典型的な細胞、例えば、真核細胞、例えば、CHO細胞)に発現させられることができる完全ヒト単一ドメイン抗原結合タンパク質をコードする発現コンストラクトが得られる適切な発現ベクターにCH1ドメインを欠いているヒト定常領域の上流側にクローニングされ得る。

0139

したがって、本明細書では、本明細書に開示するように遺伝子改変された動物由来のモノクローナル結合タンパク質産生細胞、及び該細胞に由来する核酸も提供する。該細胞由来のハイブリドーマも提供する。完全ヒト単一ドメイン結合タンパク質、ならびにそれに由来するコード核酸も提供する。

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