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技術 インターロイキン−10イムノコンジュゲート

出願人 エフ・ホフマン-ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト
発明者 エムリヒ,トーマスウマーニャ,パブロメスナー,エッケハルトホッセ,ラルフフィッシャー,イェンスハニッシュ,リディアヤスミーンシュイ,タイケン
出願日 2015年2月3日 (5年10ヶ月経過) 出願番号 2016-550540
公開日 2017年3月2日 (3年9ヶ月経過) 公開番号 2017-506075
状態 拒絶査定
技術分野 微生物、その培養処理 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 突然変異または遺伝子工学 ペプチド又は蛋白質 化合物または医薬の治療活性 抗原、抗体含有医薬:生体内診断剤 微生物による化合物の製造
主要キーワード 水平チャネル 連結子 慎重さ 垂直チャネル カイネティックアッセイ マネージャソフトウェア コントロールシグナル 結合エレメント
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題・解決手段

本発明は、一般的に、抗体とインターロイキン−10(IL−10)との融合タンパク質に関する。より具体的には、本発明は、例えば炎症性疾患治療における治療剤として使用のための改善された特性を呈する抗体及び変異体IL−10の融合タンパク質にも関する。さらに、本発明は、このような融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド、並びにこのようなポリヌクレオチドを含むベクター及び宿主細胞に関する。本発明は、さらに、本発明の融合タンパク質を生成する方法及び疾患の治療において本発明の融合タンパク質を用いる方法に関する。

概要

背景

IL−10の生物学的機能
IL−10は、〜37kDaの非共有結合したホモ量体として発現されるα−ヘリックスサイトカインである。IL−10は、寛容性誘導及び維持において重要な役割を演じる。IL−10の優勢抗炎症性の特性については、長い間知られている。IL−10は、TNFα、IL−1、IL−6、IL−12のような炎症誘発性サイトカイン並びにIL−2及びIFNγのようなTh1サイトカインの分泌を抑制し、マクロファージB細胞及びT細胞分化及び増殖をコントロールする(Glocker, E.O.等, Ann. N.Y. Acad. Sci. 1246, 102-107 (2011); Moore, K.W.等, Annu. Rev. Immunol. 19, 683-765 (2001); de Waal Malefyt, R.等, J. Exp. Med. 174, 915-924 (1991); Williams, L.M.等, Immunology 113, 281-292 (2004))。さらに、IL−10は、MHCII発現並びに同時刺激分子CD80及びCD86の上方制御阻害する、抗原提示阻害剤としての能力を有する(Mosser, D.M.及びYhang, X., Immunological Reviews 226, 205-218 (2008))。

それにもかかわらず、免疫賦活特性報告されている。IL−10は、B細胞活性化を同時刺激し、B細胞生存を引き延ばし、B細胞におけるクラススイッチに貢献できる。さらに、IL−10は、ナチュラルキラー(NK)細胞増殖及びサイトカイン生成を同時刺激し、CD8+T細胞のある種のサブセットの増殖を刺激する増殖因子として働くことができる(Mosser, D.M.及びYhang, X., Immunological Reviews 226, 205-218 (2008); Cai, G.等, Eur. J. Immunol. 29, 2658-2665 (1999); Santin, A.D.等, J. Virol. 74, 4729-4737 (2000); Rowbottom, A.W.等, Immunology 98, 80-89 (1999); Groux, H.等, J. Immunol. 160, 3188-3193 (1998))。重要なことに、ヒトにおける高用量のIL−10(それぞれ20及び25μg/kg)は、IFNγの生成の増加を導くことができる(Lauw, F.N.等, J. Immunol. 165, 2783-2789 (2000); Tilg, H.等, Gut 50, 191-195 (2002))。IL−10の免疫賦活活性は、細胞のIL−10内の位置87の単一アミノ酸イソロイシンによって決定されることが報告された(Ding, Y. et al., J. Exp. Med. 191(2), 213-223 (2000))。IL−10は、IL−10受容体1(IL−10R1)とIL−10R2とのそれぞれの2コピーからなる2受容体複合体を通じてシグナル伝達する。IL−10R1は、IL−10と比較的高い親和性(〜35−200pM)で結合し(Moore, K.W.等, Annu. Rev. Immunol. 19, 683-765 (2001))、受容体複合体へのIL−10R2の動員は、リガンド結合に対してわずかな貢献だけをもたらす。しかし、この第2受容体が複合体と係合することにより、リガンド結合の後にシグナル伝達ができる。よって、機能的受容体は、IL−10R1とIL−10R2とのヘテロ2量体の2量体からなる。ほとんどの造血細胞は、低レベルのIL−10R1を構成的に発現し、受容体発現は、しばしば、様々な刺激因子により劇的に上方制御されることがある。線維芽細胞及び上皮細胞のような非造血細胞も、IL−10R1を上方制御することにより刺激因子に応答できる。対照的に、IL−10R2はほとんどの細胞上で発現される。IL−10が受容体複合体と結合することにより、IL−10R1及びIL−10R2とそれぞれ会合しているヤヌスチシンキナーゼであるJAK1及びTyk2が活性化され、受容体の細胞質内尾部リン酸化される。このことにより、STAT3がIL−10R1に動員される。STAT3のホモ2量体形成により、受容体からSTAT3が放出され、リン酸化されたSTATホモ2量体が核に移動して、様々な遺伝子のプロモーター中のSTAT3結合エレメントと結合する。これらの遺伝子の1つは、IL−10自体であり、これは、STAT3により正に制御される。STAT3は、STAT活性化の質及び量をコントロールするサイトカインシグナリング3(SOCS3)の抑制因子も活性化する。SOCS3は、IL−10により誘導され、様々なサイトカイン遺伝子に対して負の調節効果を発揮する(Mosser, D.M.及びYhang, X., Immunological Reviews 226, 205.218 (2008))。

遺伝子連鎖解析及び候補遺伝子配列決定により、IL−10R1及びIL−10R2における変異と炎症性腸疾患(IBD)の一形態である早期発症型腸炎との間の直接的な関連が明らかになった(Glocker, E.O.等, N. Engl. J. Med. 361(21), 2033-2045 (2009))。最近のデータは、早期発症型IBDが一遺伝子によるものであり得ることさえ示唆している。IL−10サイトカイン又はその受容体の変異は、IL−10機能の喪失を導き、幼児及び小児において重度の腸炎を引き起こす(Glocker, E.O.等, Ann. N.Y. Acad. Sci. 1246, 102-107 (2011))。さらに、重症形態のクローン病患者は、全血細胞培養物及び単球由来樹状細胞においてIL−10生成が欠損している(Correa, I.等, J. Leukoc. Biol. 85(5), 896-903 (2009))。米国において約1.4百万人及び欧州において2.2百万人がIBDに罹患している(Carter, M.J.等, Gut 53 (Suppl. 5), V1-V16 (2004); Engel, M.A.及びNeurath, M.F., J. Gastroenterol. 45, 571-583 (2010))。

IL−10を用いる治療アプローチ
炎症性障害及び自己免疫疾患における組換えIL−10の治療上の利益は、様々な背景にて健常ボランティア及び特定の患者集団静脈内又は皮下で投与した単回又は複数回用量の安全性、寛容性、薬物動態薬力学免疫学的及び血液学的効果を調べる第I相及び第II相臨床試験において査定されている(Moore, K.W.等, Annu. Rev. Immunol. 19, 683-765 (2001); Chernoff, A.E.等, J. Immunol. 154, 5492-5499 (1995); Huhn, R.D.等, Blood 87, 699-705 (1996); Huhn, R.D.等, Clin. Pharmacol. Ther. 62, 171-180 (1997))。IL−10は、25μg/kgまでの用量では重度の副作用はなく良好な耐容性があり、軽度から中程度のインフルエンザ様症状だけが、100μg/kgまでの用量のレシピエントの一部分で観察された(Moore, K.W.等, Annu. Rev. Immunol. 19, 683-765 (2001); Chernoff, A.E.等, J. Immunol. 154, 5492-5499 (1995))。臨床上の改善に向けた傾向が、乾癬編集された臨床研究は、Mosser, D.M.及びYhang, X., Immunological Reviews 226, 205-218 (2008)で見出すことができる)、クローン病(Van Deventer S.J.等, Gastroenterology 113, 383-389 (1997); Fedorak, R.N.等, Gastroenterology 119, 1473-1482 (2000); Schreiber, S.等, Gastroenterolotgy 119, 1461-1472 (2000); Colombel J.F.等, Gut 49, 42-46 (2001))及び関節リウマチ(Keystone, E.等, Rheum. Dis. Clin. N. Am. 24, 629-639 (1998); Mosser, D.M.及びYhang, X., Immunological Reviews 226, 205-218 (2008))において最も頻繁に見られた。

全体的に、臨床結果満足できないものであり、アミノ末端メチオニン残基以外は内因性ヒトIL−10と同一である組換えヒトIL−10(イロデカキン、TENOVIL、Schering−Plough Research Institute、Kenilworth、NJ)の臨床開発は、有効性欠如により中止された。クローン病の寛解を導くための組換えヒトIL−10の有効性及び寛容性についての系統的なレビューは、完全又は臨床寛解についてIL−10とプラセボとの間に統計的に有意な差を見出さず、IL−10で治療された患者は、プラセボと比べて、有害事象のために研究を取りやめる可能性が著しくより高かったと述べている(Buruiana, F.E.等, Cochrane Database Syst. Rev. 11, CD005109 (2010))。クローン病について、これらの満足できない結果についていくつかの理由が論じられている(Herfarth, H.及びScholmerich, J., Gut 50, 146-147 (2002)):1)持続的な抗炎症性効果を媒介するには低すぎる、腸における局所サイトカイン濃度、2)全身投与されるIL−10の用量の上昇が、副作用のために制限されたこと、3)B細胞並びにCD4+、CD8+及び/又はナチュラルキラー細胞によるIFNγ生成に対するIL−10の免疫賦活特性が、その免疫抑制特性を相殺すること(Asadullah, K.等, Pharmacol. Rev. 55, 241-269 (2003); Tilg, H.等, Gut 50, 191-195 (2002); Lauw, F.N.等, J. Immunol. 165, 2783-2789 (2000))。

IL−10は、〜37kDaの小さいサイズのために非常に短い血漿半減期を示し、このことは、迅速な腎臓クリアランスを導く。実際に、全身区画における半減期は、2.5時間であり、このことは、粘膜バイオアベイラビリティを制限する(Braat, H.等, Expert Opin. Biol. Ther. 3(5), 725-731 (2003))。循環時間曝露、有効性を改善し、腎臓での取り込みを低減するために、このサイトカインをPEG化することがいくつかの出版物で報告されている(Mattos, A.等, J. Control Release 162, 84-91 (2012); Mumm, J.B.等, Cancer Cell 20(6), 781-796 (2011); Alvarez, H.M.等, Drug Metab. Dispos. 40(2), 360-373 (2012))。それでもやはり、PEG化非標的化IL−10の全身性半減期が長くなることにより、この分子の公知の有害事象が悪化することがある。

組換えヒトIL−10を用いる全身性治療は十分に効果的でなく、サイトカインの局所的送達焦点を当てるべきであることが明白になってきている。この目標を達成するためのいくつかの方法がある:1)免疫細胞のIL−10遺伝子療法、2)遺伝子改変された非病原性IL−10発現細菌、及び3)サイトカインを標的にし、炎症組織においてサイトカインを蓄積するための抗体−IL−10融合タンパク質

免疫細胞のIL−10遺伝子療法は、実験大腸炎において効果を実証したが、臨床試験は、非致死性疾患についてのこのアプローチの安全性についての懸念により阻まれている(Braat, H.等, Expert Opin. Biol. Ther. 3(5), 725-731 (2003))。IL−10を発現するトランスジェニック細菌(ラクトコッカスラクチス(Lactococcus lactis))は、代替の送達経路であり、クローン病における第I相試験成績発表され、粘膜区画への局所的送達による全身性副作用を回避し、生物学的に含有すべきであることが主張された(Braat, H.等, Gastroenterol. Hepatol. 4, 754-759 (2006); Steidler, L.等, Science 289, 1352-1355 (2000))。中度活動性潰瘍性大腸炎の患者におけるヒトIL−10を分泌する遺伝子改変ラクトコッカス・ラクチス(AG011、ActoGeniX)の安全性、寛容性、薬力学及び有効性を評価するための第IIa相無作為化プラセボコントロール二重盲検施設用量漸増研究の寛容性は良好であり、安全であった。しかし、改変ロンスコア又はプラセボと比較したAG011を受けた患者における臨床症状により測定されるように、粘膜炎症の著しい改善はなかった(Vermeire, S.等, 2010年5月2日のNew OrleansでのDigestive Disease Week Annual Meetingで発表されたアブストラクト46)。

免疫サイトカインともよばれる抗体−サイトカイン融合タンパク質は、薬物送達及び薬物自体のフォーマットの点でいくつかの利点をもたらす。サイトカイン、例えばIL−10の局所送達は、適切な疾患マーカーに特異的な抗体又はその断片との融合により達成される。よって、全身性副作用を低減でき、炎症部位での化合物の局所的蓄積及び保持が達成できる。さらに、融合フォーマット及び用いる抗体又は抗体断片に依存して、血漿半減期、安定性及び発展性のような特性を改善できる。腫瘍学でのアプローチは既に確立されているが、炎症性障害及び自己免疫性を治療するために適合されたのはほんの最近のことであった。いくつかのサイトカイン(中でもIL−10)及び光増感剤を、フィブロネクチンエクストラドメインBに特異的なscFv抗体断片との融合により、乾癬病巣を標的にさせた(Trachsel, E.等, J. Invest. Dermatol. 127(4), 881-886 (2007))。さらに、フィブロネクチンのエクストラドメインAに特異的な抗体断片(F8、DEKAVIL、Philogen SpA)−IL−10融合タンパク質が、確立されたコラーゲン誘導性関節炎(Trachsel, E.等, Arthritis Res. Ther. 9(1), R 9 (2007); Schwager, K.等, Arthritis Res. Ther. 11(5), R142 (2009))の進行を阻害するために前臨床的に用いられ、臨床試験に入った。最近では、同じF8−IL−10融合タンパク質が、同質遺伝子マウスモデルにおける子宮内膜症損傷を標的にするために用いられ、生理食塩水コントロール群と比較して損傷の平均サイズを低減した(Schwager, K.等, Hum. Reprod. 26(9), 2344-2352 (2011))。

本発明のIgG−IL−10融合タンパク質は、公知の抗体断片に基づく(例えばscFv、ダイアボディFab)IL−10融合タンパク質に対して、改善された生産しやすさ、安定性、血清半減期及び驚くべきことに、標的抗原との結合による生物活性の著しい増加を含むいくつかの利点を有する。さらに、本発明の融合タンパク質は、IL−10受容体への親和性の減少を介した標的効率の改善、及びIL−10の免疫賦活特性により引き起こされる副作用の減少を示した。

概要

本発明は、一般的に、抗体とインターロイキン−10(IL−10)との融合タンパク質に関する。より具体的には、本発明は、例えば炎症性疾患の治療における治療剤として使用のための改善された特性を呈する抗体及び変異体IL−10の融合タンパク質にも関する。さらに、本発明は、このような融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド、並びにこのようなポリヌクレオチドを含むベクター及び宿主細胞に関する。本発明は、さらに、本発明の融合タンパク質を生成する方法及び疾患の治療において本発明の融合タンパク質を用いる方法に関する。

目的

本発明は、IgGクラス抗体と変異体IL−10分子との融合タンパク質であって、融合タンパク質は2つの同一の重鎖ポリペプチドと2つの同一の軽鎖ポリペプチドとを含み、かつ変異体IL−10分子は、野生型IL−10分子と比較して、IL−10受容体への変異体IL−10分子の結合親和性を低減させるアミノ酸変異を含む融合タンパク質を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
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請求項1

IgGクラス抗体と変異体IL−10分子との融合タンパク質であって、融合タンパク質は2つの同一の重鎖ポリペプチドと2つの同一の軽鎖ポリペプチドとを含み、かつ変異体IL−10分子は、野生型IL−10分子と比較して、IL−10受容体への変異体IL−10分子の結合親和性を低減させるアミノ酸変異を含む、融合タンパク質。

請求項2

前記変異体IL−10分子が、ヒトIL−10(配列番号1)の残基87に対応する位置でアミノ酸置換を含む、請求項1に記載の融合タンパク質。

請求項3

前記アミノ酸置換がI87Aである、請求項2に記載の融合タンパク質。

請求項4

前記変異体IL−10分子が、2つの変異体IL−10単量体ホモ量体である、請求項1から3の何れか一項に記載の融合タンパク質。

請求項5

前記変異体IL−10分子が、ヒトIL−10分子である、請求項1から4の何れか一項に記載の融合タンパク質。

請求項6

前記重鎖ポリペプチドのそれぞれが、IgGクラス抗体重鎖と変異体IL−10単量体とを含む、請求項1から5の何れか一項に記載の融合タンパク質。

請求項7

前記IL−10単量体が、そのN末端にて前記IgGクラス抗体重鎖のC末端に、任意選択的にペプチドリンカーを介して融合している、請求項6に記載の融合タンパク質。

請求項8

前記重鎖ポリペプチドがそれぞれ、IgGクラス抗体重鎖と、変異体IL−10単量体と、任意選択的にペプチドリンカーとから本質的になる、請求項1から7の何れか一項に記載の融合タンパク質。

請求項9

前記重鎖ポリペプチド中に含まれる前記変異体IL−10単量体が、機能的ホモ二量体変異体IL−10分子を形成する、請求項6から8の何れか一項に記載の融合タンパク質。

請求項10

前記IgGクラス抗体が、Fc受容体との抗体の結合親和性を低減する改変を有さない対応するIgGクラス抗体と比較して、前記改変を含む、請求項1から9の何れか一項に記載の融合タンパク質。

請求項11

前記Fc受容体が、Fcγ受容体、特にヒトFcγ受容体である、請求項10に記載の融合タンパク質。

請求項12

前記Fc受容体が、活性化Fc受容体である、請求項10又は11に記載の融合タンパク質。

請求項13

前記Fc受容体が、FcγRIIIa(CD16a)、FcγRI(CD64)、FcγRIIa(CD32)、及びFcαRI(CD89)の群から選択される、請求項10から12の何れか一項に記載の融合タンパク質。

請求項14

前記Fc受容体が、FcγIIIa、特にヒトFcγIIIaである、請求項10から13の何れか一項に記載の融合タンパク質。

請求項15

前記IgGクラス抗体が、抗体重鎖の329位(EU番号付け)にアミノ酸置換を含む、請求項10から14の何れか一項に記載の融合タンパク質。

請求項16

前記アミノ酸置換がP329Gである、請求項15に記載の融合タンパク質。

請求項17

前記IgGクラス抗体が、抗体重鎖の234位及び235位(EU番号付け)にアミノ酸置換を含む、請求項10から16の何れか一項に記載の融合タンパク質。

請求項18

前記アミノ酸置換が、L234A及びL235A(LALA)である、請求項17に記載の融合タンパク質。

請求項19

前記IgGクラス抗体が、抗体重鎖中にアミノ酸置換L234A、L235A、及びP329G(EU番号付け)を含む、請求項10から18の何れか一項に記載の融合タンパク質。

請求項20

前記IgGクラス抗体が、IgGサブクラス抗体である、請求項1から19の何れか一項に記載の融合タンパク質。

請求項21

前記IgGクラス抗体が、全長抗体である、請求項1から20の何れか一項に記載の融合タンパク質。

請求項22

前記IgGクラス抗体が、ヒト抗体である、請求項1から21の何れか一項に記載の融合タンパク質。

請求項23

前記IgGクラス抗体が、線維芽細胞活性化タンパク質FAP)と特異的に結合できる、請求項1から22の何れか一項に記載の融合タンパク質。

請求項24

融合タンパク質が、FAPと、表面プラズモン共鳴(SPR)により25℃にて測定した場合に、1nMより小さく、特に100pMより小さい親和性定数(KD)で結合できる、請求項23に記載の融合タンパク質。

請求項25

前記FAPが、ヒト、マウス及び/又はカニクイザルFAPである、請求項23又は24に記載の融合タンパク質。

請求項26

前記IgGクラス抗体が、配列番号37の重鎖CDR(HCDR)1と、配列番号41のHCDR2と、配列番号49のHCDR3と、配列番号53の軽鎖CDR(LCDR)1と、配列番号57のLCDR2と、配列番号61のLCDR3とを含む、請求項23から25の何れか一項に記載の融合タンパク質。

請求項27

前記IgGクラス抗体が、配列番号63の重鎖可変領域(VH)と、配列番号65の軽鎖可変領域(VL)とを含む、請求項26に記載の融合タンパク質。

請求項28

前記IgGクラス抗体が、配列番号37のHCDR1と、配列番号43のHCDR2と、配列番号47のHCDR3と、配列番号51のLCDR1と、配列番号55のLCDR2と、配列番号59のLCDR3とを含む、請求項23から25の何れか一項に記載の融合タンパク質。

請求項29

前記IgGクラス抗体が、配列番号67のVHと配列番号69のVLとを含む、請求項28に記載の融合タンパク質。

請求項30

融合タンパク質が、IL−10受容体−1(IL−10R1)と、SPRにより25℃にて測定した場合に、約100pMから約10nM、特に約200pmから約5nM、又は約500pMから約2nMの親和性定数(KD)で結合できる、請求項1から29の何れか一項に記載の融合タンパク質。

請求項31

前記IL−10R1が、ヒトIL−10R1である、請求項30に記載の融合タンパク質。

請求項32

IL−10R1との結合についての前記親和性定数(KD)が、SPRにより25℃にて測定した場合に、FAPとの結合についての前記親和性定数(KD)より大きい、請求項23に従属する場合の請求項30に記載の融合タンパク質。

請求項33

前記重鎖ポリペプチドが、配列番号96の配列に対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一である配列を含む、請求項1から25又は28から32の何れか一項に記載の融合タンパク質。

請求項34

前記軽鎖ポリペプチドが、配列番号25の配列に対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一である配列を含む、請求項1から25又は28から33の何れか一項に記載の融合タンパク質。

請求項35

請求項1から34の何れか一項に記載の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド

請求項36

請求項35に記載のポリヌクレオチドを含むベクター、特に発現ベクター

請求項37

請求項35に記載のポリヌクレオチド又は請求項36に記載のベクターを含む宿主細胞

請求項38

IgGクラス抗体と変異体IL−10分子との融合タンパク質を生成する方法であって、(i)請求項37に記載の宿主細胞を、融合タンパク質の発現に適切な条件下で培養する工程と、(ii)融合タンパク質を回収する工程とを含む、方法。

請求項39

請求項38に記載の方法により生成される、IgGクラス抗体とIL−10分子との融合タンパク質。

請求項40

請求項1から34又は39の何れか一項に記載の融合タンパク質と、薬学的に許容可能な担体とを含む、薬学的組成物

請求項41

医薬として用いるための、請求項1から34又は39の何れか一項に記載の融合タンパク質又は請求項40に記載の薬学的組成物。

請求項42

炎症性疾患治療又は予防に用いるための、請求項1から34又は39の何れか一項に記載の融合タンパク質又は請求項40に記載の薬学的組成物。

請求項43

前記炎症性疾患が、炎症性腸疾患関節リウマチ又は特発性肺線維症である、請求項42に記載の融合タンパク質又は薬学的組成物。

請求項44

治療を必要とする個体における疾患の治療用の医薬の製造のための、請求項1から34又は39の何れか一項に記載の融合タンパク質の使用。

請求項45

前記疾患が、炎症性疾患である、請求項44に記載の使用。

請求項46

前記炎症性疾患が、炎症性腸疾患、関節リウマチ又は特発性肺線維症である、請求項45に記載の使用。

請求項47

前記個体が、哺乳動物、特にヒトである、請求項44から46の何れか一項に記載の使用。

請求項48

個体における疾患を治療する方法であって、薬学的に許容可能な形態の請求項1から34又は39の何れか一項に記載の融合タンパク質を含む、治療有効量の組成物を前記個体に投与することを含む、方法。

請求項49

前記疾患が炎症性疾患である、請求項48に記載の方法。

請求項50

前記炎症性疾患が、炎症性腸疾患、関節リウマチ又は特発性肺線維症である、請求項49に記載の方法。

請求項51

前記個体が、哺乳動物、特にヒトである、請求項48から50の何れか一項に記載の方法。

請求項52

本明細書で上に記載するとおりの発明。

技術分野

0001

本発明は、一般的に、抗体とインターロイキン−10(IL−10)との融合タンパク質に関する。より具体的には、本発明は、例えば炎症性疾患治療における治療剤として使用のための改善された特性を呈する抗体及び変異体IL−10の融合タンパク質にも関する。さらに、本発明は、このような融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド、並びにこのようなポリヌクレオチドを含むベクター及び宿主細胞に関する。本発明は、さらに、本発明の融合タンパク質を生成する方法及び疾患の治療において本発明の融合タンパク質を用いる方法に関する。

背景技術

0002

IL−10の生物学的機能
IL−10は、〜37kDaの非共有結合したホモ量体として発現されるα−ヘリックスサイトカインである。IL−10は、寛容性誘導及び維持において重要な役割を演じる。IL−10の優勢抗炎症性の特性については、長い間知られている。IL−10は、TNFα、IL−1、IL−6、IL−12のような炎症誘発性サイトカイン並びにIL−2及びIFNγのようなTh1サイトカインの分泌を抑制し、マクロファージB細胞及びT細胞分化及び増殖をコントロールする(Glocker, E.O.等, Ann. N.Y. Acad. Sci. 1246, 102-107 (2011); Moore, K.W.等, Annu. Rev. Immunol. 19, 683-765 (2001); de Waal Malefyt, R.等, J. Exp. Med. 174, 915-924 (1991); Williams, L.M.等, Immunology 113, 281-292 (2004))。さらに、IL−10は、MHCII発現並びに同時刺激分子CD80及びCD86の上方制御阻害する、抗原提示阻害剤としての能力を有する(Mosser, D.M.及びYhang, X., Immunological Reviews 226, 205-218 (2008))。

0003

それにもかかわらず、免疫賦活特性報告されている。IL−10は、B細胞活性化を同時刺激し、B細胞生存を引き延ばし、B細胞におけるクラススイッチに貢献できる。さらに、IL−10は、ナチュラルキラー(NK)細胞増殖及びサイトカイン生成を同時刺激し、CD8+T細胞のある種のサブセットの増殖を刺激する増殖因子として働くことができる(Mosser, D.M.及びYhang, X., Immunological Reviews 226, 205-218 (2008); Cai, G.等, Eur. J. Immunol. 29, 2658-2665 (1999); Santin, A.D.等, J. Virol. 74, 4729-4737 (2000); Rowbottom, A.W.等, Immunology 98, 80-89 (1999); Groux, H.等, J. Immunol. 160, 3188-3193 (1998))。重要なことに、ヒトにおける高用量のIL−10(それぞれ20及び25μg/kg)は、IFNγの生成の増加を導くことができる(Lauw, F.N.等, J. Immunol. 165, 2783-2789 (2000); Tilg, H.等, Gut 50, 191-195 (2002))。IL−10の免疫賦活活性は、細胞のIL−10内の位置87の単一アミノ酸イソロイシンによって決定されることが報告された(Ding, Y. et al., J. Exp. Med. 191(2), 213-223 (2000))。IL−10は、IL−10受容体1(IL−10R1)とIL−10R2とのそれぞれの2コピーからなる2受容体複合体を通じてシグナル伝達する。IL−10R1は、IL−10と比較的高い親和性(〜35−200pM)で結合し(Moore, K.W.等, Annu. Rev. Immunol. 19, 683-765 (2001))、受容体複合体へのIL−10R2の動員は、リガンド結合に対してわずかな貢献だけをもたらす。しかし、この第2受容体が複合体と係合することにより、リガンド結合の後にシグナル伝達ができる。よって、機能的受容体は、IL−10R1とIL−10R2とのヘテロ2量体の2量体からなる。ほとんどの造血細胞は、低レベルのIL−10R1を構成的に発現し、受容体発現は、しばしば、様々な刺激因子により劇的に上方制御されることがある。線維芽細胞及び上皮細胞のような非造血細胞も、IL−10R1を上方制御することにより刺激因子に応答できる。対照的に、IL−10R2はほとんどの細胞上で発現される。IL−10が受容体複合体と結合することにより、IL−10R1及びIL−10R2とそれぞれ会合しているヤヌスチシンキナーゼであるJAK1及びTyk2が活性化され、受容体の細胞質内尾部リン酸化される。このことにより、STAT3がIL−10R1に動員される。STAT3のホモ2量体形成により、受容体からSTAT3が放出され、リン酸化されたSTATホモ2量体が核に移動して、様々な遺伝子のプロモーター中のSTAT3結合エレメントと結合する。これらの遺伝子の1つは、IL−10自体であり、これは、STAT3により正に制御される。STAT3は、STAT活性化の質及び量をコントロールするサイトカインシグナリング3(SOCS3)の抑制因子も活性化する。SOCS3は、IL−10により誘導され、様々なサイトカイン遺伝子に対して負の調節効果を発揮する(Mosser, D.M.及びYhang, X., Immunological Reviews 226, 205.218 (2008))。

0004

遺伝子連鎖解析及び候補遺伝子配列決定により、IL−10R1及びIL−10R2における変異と炎症性腸疾患(IBD)の一形態である早期発症型腸炎との間の直接的な関連が明らかになった(Glocker, E.O.等, N. Engl. J. Med. 361(21), 2033-2045 (2009))。最近のデータは、早期発症型IBDが一遺伝子によるものであり得ることさえ示唆している。IL−10サイトカイン又はその受容体の変異は、IL−10機能の喪失を導き、幼児及び小児において重度の腸炎を引き起こす(Glocker, E.O.等, Ann. N.Y. Acad. Sci. 1246, 102-107 (2011))。さらに、重症形態のクローン病患者は、全血細胞培養物及び単球由来樹状細胞においてIL−10生成が欠損している(Correa, I.等, J. Leukoc. Biol. 85(5), 896-903 (2009))。米国において約1.4百万人及び欧州において2.2百万人がIBDに罹患している(Carter, M.J.等, Gut 53 (Suppl. 5), V1-V16 (2004); Engel, M.A.及びNeurath, M.F., J. Gastroenterol. 45, 571-583 (2010))。

0005

IL−10を用いる治療アプローチ
炎症性障害及び自己免疫疾患における組換えIL−10の治療上の利益は、様々な背景にて健常ボランティア及び特定の患者集団静脈内又は皮下で投与した単回又は複数回用量の安全性、寛容性、薬物動態薬力学免疫学的及び血液学的効果を調べる第I相及び第II相臨床試験において査定されている(Moore, K.W.等, Annu. Rev. Immunol. 19, 683-765 (2001); Chernoff, A.E.等, J. Immunol. 154, 5492-5499 (1995); Huhn, R.D.等, Blood 87, 699-705 (1996); Huhn, R.D.等, Clin. Pharmacol. Ther. 62, 171-180 (1997))。IL−10は、25μg/kgまでの用量では重度の副作用はなく良好な耐容性があり、軽度から中程度のインフルエンザ様症状だけが、100μg/kgまでの用量のレシピエントの一部分で観察された(Moore, K.W.等, Annu. Rev. Immunol. 19, 683-765 (2001); Chernoff, A.E.等, J. Immunol. 154, 5492-5499 (1995))。臨床上の改善に向けた傾向が、乾癬編集された臨床研究は、Mosser, D.M.及びYhang, X., Immunological Reviews 226, 205-218 (2008)で見出すことができる)、クローン病(Van Deventer S.J.等, Gastroenterology 113, 383-389 (1997); Fedorak, R.N.等, Gastroenterology 119, 1473-1482 (2000); Schreiber, S.等, Gastroenterolotgy 119, 1461-1472 (2000); Colombel J.F.等, Gut 49, 42-46 (2001))及び関節リウマチ(Keystone, E.等, Rheum. Dis. Clin. N. Am. 24, 629-639 (1998); Mosser, D.M.及びYhang, X., Immunological Reviews 226, 205-218 (2008))において最も頻繁に見られた。

0006

全体的に、臨床結果満足できないものであり、アミノ末端メチオニン残基以外は内因性ヒトIL−10と同一である組換えヒトIL−10(イロデカキン、TENOVIL、Schering−Plough Research Institute、Kenilworth、NJ)の臨床開発は、有効性欠如により中止された。クローン病の寛解を導くための組換えヒトIL−10の有効性及び寛容性についての系統的なレビューは、完全又は臨床寛解についてIL−10とプラセボとの間に統計的に有意な差を見出さず、IL−10で治療された患者は、プラセボと比べて、有害事象のために研究を取りやめる可能性が著しくより高かったと述べている(Buruiana, F.E.等, Cochrane Database Syst. Rev. 11, CD005109 (2010))。クローン病について、これらの満足できない結果についていくつかの理由が論じられている(Herfarth, H.及びScholmerich, J., Gut 50, 146-147 (2002)):1)持続的な抗炎症性効果を媒介するには低すぎる、腸における局所サイトカイン濃度、2)全身投与されるIL−10の用量の上昇が、副作用のために制限されたこと、3)B細胞並びにCD4+、CD8+及び/又はナチュラルキラー細胞によるIFNγ生成に対するIL−10の免疫賦活特性が、その免疫抑制特性を相殺すること(Asadullah, K.等, Pharmacol. Rev. 55, 241-269 (2003); Tilg, H.等, Gut 50, 191-195 (2002); Lauw, F.N.等, J. Immunol. 165, 2783-2789 (2000))。

0007

IL−10は、〜37kDaの小さいサイズのために非常に短い血漿半減期を示し、このことは、迅速な腎臓クリアランスを導く。実際に、全身区画における半減期は、2.5時間であり、このことは、粘膜バイオアベイラビリティを制限する(Braat, H.等, Expert Opin. Biol. Ther. 3(5), 725-731 (2003))。循環時間曝露、有効性を改善し、腎臓での取り込みを低減するために、このサイトカインをPEG化することがいくつかの出版物で報告されている(Mattos, A.等, J. Control Release 162, 84-91 (2012); Mumm, J.B.等, Cancer Cell 20(6), 781-796 (2011); Alvarez, H.M.等, Drug Metab. Dispos. 40(2), 360-373 (2012))。それでもやはり、PEG化非標的化IL−10の全身性半減期が長くなることにより、この分子の公知の有害事象が悪化することがある。

0008

組換えヒトIL−10を用いる全身性治療は十分に効果的でなく、サイトカインの局所的送達焦点を当てるべきであることが明白になってきている。この目標を達成するためのいくつかの方法がある:1)免疫細胞のIL−10遺伝子療法、2)遺伝子改変された非病原性IL−10発現細菌、及び3)サイトカインを標的にし、炎症組織においてサイトカインを蓄積するための抗体−IL−10融合タンパク質。

0009

免疫細胞のIL−10遺伝子療法は、実験大腸炎において効果を実証したが、臨床試験は、非致死性疾患についてのこのアプローチの安全性についての懸念により阻まれている(Braat, H.等, Expert Opin. Biol. Ther. 3(5), 725-731 (2003))。IL−10を発現するトランスジェニック細菌(ラクトコッカスラクチス(Lactococcus lactis))は、代替の送達経路であり、クローン病における第I相試験成績発表され、粘膜区画への局所的送達による全身性副作用を回避し、生物学的に含有すべきであることが主張された(Braat, H.等, Gastroenterol. Hepatol. 4, 754-759 (2006); Steidler, L.等, Science 289, 1352-1355 (2000))。中度活動性潰瘍性大腸炎の患者におけるヒトIL−10を分泌する遺伝子改変ラクトコッカス・ラクチス(AG011、ActoGeniX)の安全性、寛容性、薬力学及び有効性を評価するための第IIa相無作為化プラセボコントロール二重盲検施設用量漸増研究の寛容性は良好であり、安全であった。しかし、改変ロンスコア又はプラセボと比較したAG011を受けた患者における臨床症状により測定されるように、粘膜炎症の著しい改善はなかった(Vermeire, S.等, 2010年5月2日のNew OrleansでのDigestive Disease Week Annual Meetingで発表されたアブストラクト46)。

0010

免疫サイトカインともよばれる抗体−サイトカイン融合タンパク質は、薬物送達及び薬物自体のフォーマットの点でいくつかの利点をもたらす。サイトカイン、例えばIL−10の局所送達は、適切な疾患マーカーに特異的な抗体又はその断片との融合により達成される。よって、全身性副作用を低減でき、炎症部位での化合物の局所的蓄積及び保持が達成できる。さらに、融合フォーマット及び用いる抗体又は抗体断片に依存して、血漿半減期、安定性及び発展性のような特性を改善できる。腫瘍学でのアプローチは既に確立されているが、炎症性障害及び自己免疫性を治療するために適合されたのはほんの最近のことであった。いくつかのサイトカイン(中でもIL−10)及び光増感剤を、フィブロネクチンエクストラドメインBに特異的なscFv抗体断片との融合により、乾癬病巣を標的にさせた(Trachsel, E.等, J. Invest. Dermatol. 127(4), 881-886 (2007))。さらに、フィブロネクチンのエクストラドメインAに特異的な抗体断片(F8、DEKAVIL、Philogen SpA)−IL−10融合タンパク質が、確立されたコラーゲン誘導性関節炎(Trachsel, E.等, Arthritis Res. Ther. 9(1), R 9 (2007); Schwager, K.等, Arthritis Res. Ther. 11(5), R142 (2009))の進行を阻害するために前臨床的に用いられ、臨床試験に入った。最近では、同じF8−IL−10融合タンパク質が、同質遺伝子マウスモデルにおける子宮内膜症損傷を標的にするために用いられ、生理食塩水コントロール群と比較して損傷の平均サイズを低減した(Schwager, K.等, Hum. Reprod. 26(9), 2344-2352 (2011))。

0011

本発明のIgG−IL−10融合タンパク質は、公知の抗体断片に基づく(例えばscFv、ダイアボディFab)IL−10融合タンパク質に対して、改善された生産しやすさ、安定性、血清半減期及び驚くべきことに、標的抗原との結合による生物活性の著しい増加を含むいくつかの利点を有する。さらに、本発明の融合タンパク質は、IL−10受容体への親和性の減少を介した標的効率の改善、及びIL−10の免疫賦活特性により引き起こされる副作用の減少を示した。

0012

一態様では、本発明は、IgGクラス抗体と変異体IL−10分子との融合タンパク質であって、融合タンパク質は2つの同一の重鎖ポリペプチドと2つの同一の軽鎖ポリペプチドとを含み、かつ変異体IL−10分子は、野生型IL−10分子と比較して、IL−10受容体への変異体IL−10分子の結合親和性を低減させるアミノ酸変異を含む融合タンパク質を提供する。一実施態様において、前記アミノ酸変異は、IL−10受容体への変異体IL−10分子の結合親和性を、野生型IL−10分子と比較して、少なくとも2倍、少なくとも5倍、又は少なくとも10倍減少させる。一実施態様において、前記アミノ酸変異はアミノ酸置換である。一実施態様において、前記変異体IL−10分子は、ヒトIL−10(配列番号1)の残基87に対応する位置でアミノ酸置換を含む。特定の実施態様において、アミノ酸置換は、I87Aである。一実施態様において、前記変異体IL−10分子は、ヒトIL−10分子である。一実施態様において、前記変異体IL−10分子は、2つの変異体IL−10単量体のホモ2量体である。一実施態様において、前記IL−10受容体は、IL−10R1、特にヒトIL−10R1である。

0013

一実施態様では、前記重鎖ポリペプチドのそれぞれは、IgGクラス抗体重鎖と変異体IL−10単量体とを含む。より具体的な実施態様では、前記IL−10単量体は、そのN末端にて前記IgGクラス抗体重鎖のC末端に、任意選択的にペプチドリンカーを介して融合している。一実施態様では、前記重鎖ポリペプチドはそれぞれ、IgGクラス抗体重鎖と、変異体IL−10単量体と、任意選択的にペプチドリンカーとから本質的になる。一実施態様では、前記軽鎖ポリペプチドのそれぞれは、IgGクラス抗体軽鎖を含む。一実施態様では、前記軽鎖ポリペプチドはそれぞれ、IgGクラス抗体軽鎖から本質的になる。

0014

一実施態様において、前記変異体IL−10単量体は、ヒトIL−10単量体である。一実施態様において、前記変異体IL−10単量体はアミノ酸置換を含む。一実施態様において、前記変異体IL−10単量体は、ヒトIL−10(配列番号1)の残基87に対応する位置でアミノ酸置換を含む。特定の実施態様において、アミノ酸置換は、I87Aである。特定の実施態様において、前記変異体IL−10単量体は配列番号98のポリペプチド配列を含む。一実施態様において、前記重鎖ポリペプチド中に含まれる前記変異体IL−10単量体は、機能的ホモ二量体変異体IL−10分子を形成する。

0015

一実施態様では、前記IgGクラス抗体は、改変を有さない対応するIgGクラス抗体と比較して、Fc受容体との抗体の結合親和性を低減する改変を含む。具体的な実施態様では、前記Fc受容体は、Fcγ受容体、特にヒトFcγ受容体である。一実施態様では、前記Fc受容体は、活性化Fc受容体、特に活性化Fcγ受容体である。具体的な実施態様では、前記Fc受容体は、FcγRIIIa(CD16a)、FcγRI(CD64)、FcγRIIa(CD32)及びFcαRI(CD89)の群から選択される。さらにより具体的な実施態様では、前記Fc受容体は、FcγIIIa、特にヒトFcγIIIaである。一実施態様では、前記改変は、IgGクラス抗体のエフェクター機能を低減する。具体的な実施態様では、前記エフェクター機能は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害ADCC)である。一実施態様では、前記改変は、前記IgGクラス抗体のFc領域中、特にCH2領域中にある。一実施態様では、前記IgGクラス抗体は、抗体重鎖の329位(EU番号付け)にアミノ酸置換を含む。具体的な実施態様では、前記アミノ酸置換は、P329Gである。一実施態様では、前記IgGクラス抗体は、抗体重鎖の234位及び235位(EU番号付け)にアミノ酸置換を含む。具体的な実施態様では、前記アミノ酸置換は、L234A及びL235A(LALA)である。特定の実施態様では、前記IgGクラス抗体は、抗体重鎖中にアミノ酸置換L234A、L235A及びP329G(EU番号付け)を含む。

0016

一実施態様では、前記IgGクラス抗体は、IgG1サブクラス抗体である。一実施態様では、前記IgGクラス抗体は、全長抗体である。一実施態様では、前記IgGクラス抗体は、ヒト抗体である。一実施態様では、前記IgGクラス抗体は、モノクローナル抗体である。

0017

一実施態様では、前記IgGクラス抗体は、線維芽細胞活性化タンパク質FAP)と特異的に結合できる。具体的な実施態様では、融合タンパク質は、FAPと、表面プラズモン共鳴(SPR)により25℃にて測定した場合に、1nMより小さく、特に100pMより小さい親和性定数(KD)で結合できる。一実施態様では、前記FAPは、ヒト、マウス及び/又はカニクイザルFAPである。具体的な実施態様では、前記IgGクラス抗体は、配列番号37の重鎖CDR(HCDR)1と、配列番号41のHCDR2と、配列番号49のHCDR3と、配列番号53の軽鎖CDR(LCDR)1と、配列番号57のLCDR2と、配列番号61のLCDR3とを含む。さらにより具体的な実施態様では、前記IgGクラス抗体は、配列番号63の重鎖可変領域(VH)と、配列番号65の軽鎖可変領域(VL)とを含む。別の特定の具体的な実施態様では、前記IgGクラス抗体は、配列番号37のHCDR1と、配列番号43のHCDR2と、配列番号47のHCDR3と、配列番号51のLCDR1と、配列番号55のLCDR2と、配列番号59のLCDR3とを含む。さらにより具体的な実施態様では、前記IgGクラス抗体は、配列番号67のVHと、配列番号69のVLとを含む。

0018

一実施態様において、融合タンパク質は、IL−10受容体−1(IL−10R1)と、SPRにより25℃にて測定した場合に、約100pMから約10nM、特に約200pmから約5nM、又は約500pMから約2nMの親和性定数(KD)で結合できる。具体的な実施態様では、前記IL−10R1は、ヒトIL−10R1である。一実施態様では、IL−10R1との結合についての前記親和性定数(KD)は、SPRにより25℃にて測定した場合に、FAPとの結合についての前記親和性定数(KD)より大きい。具体的な実施態様では、IL−10R1との結合についての前記KDは、FAPとの結合についての前記KDよりも約1.5倍、約2倍、約3倍、又は約5倍大きい。一実施態様において、IL−10受容体への融合タンパク質の結合親和性は、野生型IL−10分子を含む対応する融合タンパク質と比較して、少なくとも2倍、少なくとも5倍、又は少なくとも10倍減少される。

0019

特定の実施態様では、本発明は、IgGクラス抗体と変異体IL−10分子との融合タンパク質であって、融合タンパク質が、2つの同一の重鎖ポリペプチドと2つの同一の軽鎖ポリペプチドとを含み、
(i)前記IgGクラス抗体が、配列番号37の重鎖CDR(HCDR)1と、配列番号43のHCDR2と、配列番号47のHCDR3と、配列番号51の軽鎖CDR(LCDR)1と、配列番号55のLCDR2と、配列番号59のLCDR3とを含むか、又は配列番号67の重鎖可変領域(VH)と、配列番号69の軽鎖可変領域(VL)とを含み、
(ii)前記IgGクラス抗体が、抗体重鎖中にアミノ酸置換L234A、L235A及びP329G(EU番号付け)を含み、
(iii)前記重鎖ポリペプチドがそれぞれ、IgGクラス抗体重鎖と、前記IgGクラス抗体重鎖のC末端にN末端にてペプチドリンカーを介して融合した変異体IL−10単量体とを含み、
(iv)前記変異体IL-10単量体が配列番号98の配列を含む、
融合タンパク質を提供する。

0020

別の実施態様では、本発明は、IgGクラス抗体と変異体IL−10分子との融合タンパク質であって、融合タンパク質が、2つの同一の重鎖ポリペプチドと2つの同一の軽鎖ポリペプチドとを含み、
(i)前記IgGクラス抗体が、配列番号37の重鎖CDR(HCDR)1と、配列番号41のHCDR2と、配列番号49のHCDR3と、配列番号53の軽鎖CDR(LCDR)1と、配列番号57のLCDR2と、配列番号61のLCDR3とを含むか、又は配列番号63の重鎖可変領域(VH)と、配列番号65の軽鎖可変領域(VL)とを含み、
(ii)前記IgGクラス抗体が、抗体重鎖中にアミノ酸置換L234A、L235A及びP329G(EU番号付け)を含み、
(iii)前記重鎖ポリペプチドがそれぞれ、IgGクラス抗体重鎖と、前記IgGクラス抗体重鎖のC末端にN末端にてペプチドリンカーを介して融合したIL−10単量体とを含み、
(iv)前記変異体IL−10単量体が配列番号98の配列を含む、
融合タンパク質を提供する。

0021

本発明は、本発明の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドをさらに提供する。本発明のポリヌクレオチドを含むベクター、特に発現ベクターがさらに提供される。別の態様では、本発明は、本発明のポリヌクレオチド又はベクターを含む宿主細胞を提供する。本発明は、本発明の融合タンパク質を生成する方法であって、(i)本発明の宿主細胞を、融合タンパク質の発現に適切な条件下で培養する工程と、(ii)融合タンパク質を回収する工程とを含む方法も提供する。前記方法により生成される、IgGクラス抗体と変異体IL−10分子との融合タンパク質も提供される。

0022

一態様では、本発明は、本発明の融合タンパク質と、薬学的に許容可能な担体とを含む薬学的組成物を提供する。本発明の融合タンパク質又は薬学的組成物は、医薬として用いるため、及び炎症性疾患、具体的には炎症性腸疾患又は関節リウマチ、最も具体的には炎症性腸疾患の治療又は予防に用いるためにも提供される。治療を必要とする個体における疾患の治療用の医薬の製造のための本発明の融合タンパク質の使用、及び個体における疾患を治療するための方法であって、薬学的に許容可能な形態の本発明の融合タンパク質を含む、治療有効量の組成物を前記個体に投与することを含む方法も提供される。一実施態様では、前記疾患は、炎症性疾患である。より具体的な実施態様では、前記炎症性疾患は、炎症性腸疾患、関節リウマチ又は特発性肺線維症である。さらにより具体的な実施態様では、前記炎症性疾患は、炎症性腸疾患である。一実施態様では、前記個体は、哺乳動物、特にヒトである。

図面の簡単な説明

0023

様々な抗体−IL−10融合フォーマットの模式図。パネル(A)−(D)は、IgG抗体に基づくフォーマットを示し、パネル(E)−(G)は、Fab断片に基づくフォーマットを示す。(A)「IgG−IL−10」、それぞれのIgG重鎖のC末端に融合した(両方の重鎖にあるIL−10分子は、同じIgG分子内で2量体を形成する)1つのIL−10分子(野生型ヒトIL−10サイトカイン配列)を有するヒトIgG(例えばアミノ酸置換L234A L235A(LALA) P329Gにより、エフェクター機能を回避するための工学的に操作されたFc領域を有する)。重鎖とIL−10との間の連結子:例えば(G4S)420マー。(B)「IgG単鎖(sc)IL−10」、IgG重鎖の一方のC末端に融合した単鎖IL−10 2量体(scIL−10)を有するヒトIgG(エフェクター機能を回避するための工学的に操作されたFc領域と、2つの間のヘテロ2量体形成を容易にするための1つの「ノブ」重鎖と1つの「ホール」重鎖との組み合わせとを有する)。重鎖と単鎖IL−10との間の連結子:例えば(G4S)315マー。(C)「IgG−IL−10M1」、IgG重鎖の一方のC末端に融合した工学的に操作された単量体IL−10分子を有するヒトIgG(エフェクター機能を回避するための工学的に操作されたFc部分と、2つの間のヘテロ2量体形成を容易にするための1つの「ノブ」重鎖と1つの「ホール」重鎖との組み合わせとを有する)。重鎖と単量体IL−10との間の連結子:例えば(G4S)315マー。(D)「IgG−(IL−10M1)2」、それぞれのIgG重鎖のC末端に融合した1つのIL−10単量体(両方の重鎖にある単量体IL−10分子は、2量体を形成しない)を有するヒトIgG(エフェクター機能を回避するための工学的に操作されたFc部分を有する)。重鎖とIL−10との間の連結子:例えば(G4S)315マーリンカー。(E)「Fab−IL−10」、Fab重鎖のC末端に融合した1つのIL−10分子(野生型ヒトIL−10サイトカイン配列)を有するFab断片(これらの融合体のうちの2つは、IL−10部分を介する2量体形成によりホモ2量体活性分子を形成する)。重鎖とIL−10との間の連結子:例えば(G4S)315マー。(F)「Fab−scIL−10−Fab」、単鎖IL−10 2量体が断続的に存在する直列Fab断片(すなわち、2つのIL−10分子が、例えば(G4S)420マーリンカーにより連結され、第1のFab重鎖(HC1)のC末端と第2のFab重鎖(HC2)のN末端との間に挿入されて、HC1−IL−10−IL−10−HC2を含む単一ペプチド鎖をもたらす)。2つの軽鎖(これらは、他の構築物のために用いられるものと同一であり得る)は、これらの2つの重鎖と対形成する。(G)「Fab−IL−10M1−Fab」、工学的に操作された単量体IL−10分子が断続的に存在する直列Fab断片。単量体IL−10部分以外は、このフォーマットは(F)と同一である。
FAP標的化4B9に基づくIgG−IL−10構築物(配列番号25及び27を参照されたい)の精製。(A)プロテインA精製工程の溶出プロファイル。(B)サイズ排除クロマトグラフィー工程の溶出プロファイル。(C)最終生成物分析SDS−PAGE(還元(R):NuPAGE Novex Bis−Trisミニゲル、Invitrogen、MOPSランニング緩衝液非還元(NR):NuPAGE Tris−酢酸塩、Invitrogen、Tris−酢酸塩ランニング緩衝液)。M:サイズマーカー。(D)Superdex 200カラムでの最終生成物の分析サイズ排除クロマトグラフィー。単量体含量99.8%。
FAP標的化4G8に基づくIgG−scIL−10構築物(配列番号7、11及び13を参照されたい)の精製。(A)プロテインA精製工程の溶出プロファイル。(B)サイズ排除クロマトグラフィー工程の溶出プロファイル(所望の生成物点線四角で示す)。(C)最終生成物の分析SDS−PAGE(還元(R):NuPAGE Novex Bis−Trisミニゲル、Invitrogen、MOPSランニング緩衝液、非還元(NR):NuPAGE Tris−酢酸塩、Invitrogen、Tris−酢酸塩ランニング緩衝液)、非還元ゲル上のさらなる低MWバンドは、1つの重鎖と軽鎖とからなる半分子を表す可能性がある。(D)TSKgel G3000 SW XLカラムでの最終生成物の分析サイズ排除クロマトグラフィー。単量体含量80.6%。
FAP標的化4G8に基づくIgG−IL−10M1構築物(配列番号7、13及び15を参照されたい)の精製。(A)プロテインA精製工程の溶出プロファイル。(B)サイズ排除クロマトグラフィー工程の溶出プロファイル。(C)最終生成物の分析SDS−PAGE(還元(R):NuPAGE Novex Bis−Trisミニゲル、Invitrogen、MOPSランニング緩衝液、非還元(NR):NuPAGE Tris−酢酸塩、Invitrogen、Tris−酢酸塩ランニング緩衝液)。(D)Superdex 200カラムでの最終生成物の分析サイズ排除クロマトグラフィー。単量体含量98.2%。
FAP標的化4B9に基づくIgG−(IL−10M1)2構築物(配列番号25及び29を参照されたい)の精製。(A)プロテインA精製工程の溶出プロファイル。(B)サイズ排除クロマトグラフィー工程の溶出プロファイル。(C)最終生成物のLabChip GX(Caliper)分析。(D)TSKgel G3000 SW XLカラムでの最終生成物の分析サイズ排除クロマトグラフィー。単量体含量100%。
FAP標的化4B9に基づくFab−IL−10構築物(配列番号25及び31を参照されたい)の精製。(A)プロテインA精製工程の溶出プロファイル。(B)サイズ排除クロマトグラフィー工程の溶出プロファイル。(C)最終生成物の分析SDS−PAGE(還元(R):NuPAGE Novex Bis−Trisミニゲル、Invitrogen、MOPSランニング緩衝液、非還元(NR):NuPAGE Tris−酢酸塩、Invitrogen、Tris−酢酸塩ランニング緩衝液)。(D)Superdex 200カラムでの最終生成物の分析サイズ排除クロマトグラフィー。単量体含量92.9%。
FAP標的化4G8に基づくFab−scIL−10−Fab構築物(配列番号7及び21を参照されたい)の精製。(A)プロテインA精製工程の溶出プロファイル。(B)サイズ排除クロマトグラフィー工程の溶出プロファイル。(C)最終生成物の分析SDS−PAGE(還元(R):NuPAGE Novex Bis−Trisミニゲル、Invitrogen、MOPSランニング緩衝液、非還元(NR):NuPAGE Tris−酢酸塩、Invitrogen、Tris−酢酸塩ランニング緩衝液)。(D)Superdex 200カラムでの最終生成物の分析サイズ排除クロマトグラフィー。単量体含量100%。
FAP標的化4G8に基づくFab−IL−10M1−Fab融合体(配列番号7及び23を参照されたい)の精製。(A)プロテインA精製工程の溶出プロファイル。(B)サイズ排除クロマトグラフィー工程の溶出プロファイル。(C)最終生成物の分析SDS−PAGE(還元(R):NuPAGE Novex Bis−Trisミニゲル、Invitrogen、MOPSランニング緩衝液、非還元(NR):NuPAGE Tris−酢酸塩、Invitrogen、Tris−酢酸塩ランニング緩衝液)。(D)Superdex 200カラムでの最終生成物の分析サイズ排除クロマトグラフィー。単量体含量100%。
ProteOn XPR36でのSPRアッセイの構成。(A)アミンカップリングによるGLMチップ上への抗ペンタHis IgG(捕捉剤)の共有的固定化、及びその後のFAP(リガンド)の捕捉、及び抗FAP抗体−IL−10融合構築物分析物)のその後の注入。(B)ニュートラアビジン誘導体化センサチップNLC)へのビオチン化ヒトIL−10R1(リガンド)の固定化、及びその後の抗FAP抗体−IL−10融合構築物(分析物)の注入。
異なる抗体−IL−10融合タンパク質による、単球によるIL−6生成の抑制。4G8 Fab−IL−10(B)又は4G8 IgG−IL−10(A)を、組換えヒトFAPの異なる濃度で被覆した細胞培養プレート上に固定化した後に、単球及び刺激因子としての100ng/mlLPSを24時間加えた。上清中のIL−6の濃度を、その後、測定した。表8と同じデータを、異なる比較でプロットする。
Fab−IL−10及びIgG−IL−10フォーマットのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)プロファイルの比較。矢印は、所望の2量体生成物を示し、凝集物は、点線の円で示し、単量体は、実線の円で示す。Fab−IL−10フォーマットとは対照的に、IgG−IL−10フォーマットは、重鎖のジスルフィド連結共有的ホモ2量体形成により、単量体又は「半分子」を導かない。
IL−10−his野生型サイトカイン(配列番号90)の生化学的特徴付け。A)分析SDS−PAGE(NuPAGE Novex Bis−Trisミニゲル(Invitrogen)、TRIS-グリシンサンプルバッファー、MOPSランニング緩衝液;最終生成物の還元(R)及び非還元(NR)SDS-PAGE;B)Superdex 75、10/300GLカラムでの最終生成物の分析サイズ排除クロマトグラフィー。
IL−10(I87A)−his変異体サイトカイン(配列番号92)の生化学的特徴付け。A)分析SDS−PAGE(NuPAGE Novex Bis−Trisミニゲル(Invitrogen)、TRIS−グリシンサンプルバッファー、MESランニング緩衝液;最終生成物の還元(R)及び非還元(NR)SDS−PAGE;B)Superdex 200、10/300GLカラムでの最終生成物の分析サイズ排除クロマトグラフィー。
IL−10(R24A)−his変異体サイトカイン(配列番号94)の生化学的特徴付け。A)分析SDS−PAGE(NuPAGE Novex Bis−Trisミニゲル(Invitrogen)、TRIS-グリシンサンプルバッファー、MESランニング緩衝液;最終生成物の還元(R)及び非還元(NR)SDS-PAGE;B)Superdex 200、10/300GLカラムでの最終生成物の分析サイズ排除クロマトグラフィー。
ProteOn XPR36におけるSPRアッセイのセットアップNLCチップ上でのニュートラアビジンキャプチャによるビオチン化IL−10R1−Fc(リガンド)の固定化後に、IL−10−hisサイトカイン(分析物)の注入が続いた。

0024

定義
用語は、以下にそうでないと定義しない限り、当該技術において一般的に用いられる通りに本明細書において用いる。

0025

FAPと省略され、セプラーゼ(EC3.4.21)としても知られる「線維芽細胞活性化タンパク質」は、そうでないと示さない限り、霊長類(例えばヒト)、非ヒト霊長類(例えばカニクイザル)及びげっ歯類(例えばマウス及びラット)のような哺乳動物を含む任意の脊椎動物供給源からの任意の天然FAPのことをいう。この用語は、「全長」のプロセシングされていないFAP及び細胞でのプロセシングにより得られる任意の形のFAPを包含する。この用語は、FAPの自然に存在するバリアント、例えばスプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。一実施態様では、本発明の抗体は、ヒト、マウス及び/又はカニクイザルFAPと特異的に結合できる。ヒトFAPのアミノ酸配列は、UniProt(www.uniprot.org)受託番号Q12884(バージョン128)又はNCBI(www.ncbi.nlm.nih.gov/)RefSeq NP_004451.2に示される。ヒトFAPの細胞外ドメイン(ECD)は、アミノ酸26位から760位までにわたる。Hisタグ付加ヒトFAP ECDのアミノ酸及びヌクレオチド配列を、それぞれ配列番号81及び82に示す。マウスFAPのアミノ酸配列は、UniProt受託番号P97321(バージョン107)又はNCBI RefSeq NP_032012.1に示される。マウスFAPの細胞外ドメイン(ECD)は、アミノ酸26位から761位までにわたる。配列番号83及び84は、Hisタグ付加マウスFAP ECDのそれぞれアミノ酸及びヌクレオチド配列を示す。配列番号85及び86は、Hisタグ付加カニクイザルFAP ECDのそれぞれアミノ酸及びヌクレオチド配列を示す。

0026

IL−10Rと略記される「IL−10受容体」は、IL−10R1(又はIL−10Rα)及びIL−10R2(又はIL−10Rβ)サブユニットからなる、IL−10に対する天然の膜貫通受容体である。

0027

時としてIL−10受容体サブユニットαとしても称される「ヒトIL−10R1」により、UniProt受託番号Q13651(バージョン115)に記載されるタンパク質、特に全長配列のアミノ酸22位からアミノ酸235位までにわたる前記タンパク質の細胞外ドメインを意味する。配列番号87及び88は、ヒトFc領域に融合したヒトIL−10R1 ECDのそれぞれアミノ酸及びヌクレオチド配列を示す。

0028

本明細書で用いる場合、用語「融合タンパク質」は、抗体とIL−10分子とを含む融合ポリペプチド分子であって、融合タンパク質の成分が、互いにペプチド結合により、直接又はペプチドリンカーにより結合されているポリペプチド分子のことをいう。明確にするために、融合タンパク質の抗体成分の個別のペプチド鎖は、例えばジスルフィド結合により非共有的に結合されることがある。

0029

「融合した」とは、ペプチド結合により、直接又は1若しくは複数のペプチドリンカーを介して結合された成分のことをいう。

0030

「特異的に結合する」により、結合が抗原について選択的であり、望まないか又は非特異的な相互作用とは区別できることを意味する。抗体が特異的抗原と結合する能力は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)又は当業者が熟知するその他の技術、例えば表面プラズモン共鳴(SPR)技術(BIAcore装置で分析される)(Liljeblad等, Glyco J 17, 323-329 (2000))及び伝統的な結合アッセイ(Heeley, Endocr Res 28, 217-229 (2002))のいずれかにより測定できる。一実施態様では、無関係なタンパク質と抗体が結合する程度は、例えばSPRにより測定して、抗原との抗体の結合の約10%未満である。ある種の実施態様では、抗原と結合する抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM又は≦0.001nM(例えば10−8M以下、例えば10−8Mから10−13Mまで、例えば10−9Mから10−13Mまで)の解離定数(KD)を有する。

0031

「親和性」又は「結合親和性」は、ある分子(例えば抗体)の単一結合部位とその結合パートナー(例えば抗原)との間の非共有的相互作用の総計の強さのことをいう。そうでないと示さない限り、本明細書で用いる場合、「結合親和性」は、結合対(例えば抗体と抗原)のメンバー間の1:1相互作用を反映する固有の結合親和性のことをいう。分子Xの、そのパートナーYについての親和性は、解離速度定数会合速度定数(それぞれkoff及びkon)との比である解離定数(KD)により一般的に表すことができる。よって、同等の親和性は、速度定数の比が同じである限り、異なる速度定数を含むことがある。親和性は、本明細書に記載するものを含む、当該技術において公知の一般的な方法により測定できる。親和性を測定するための方法は、特に、表面プラズモン共鳴(SPR)である。

0032

「結合の低減」、例えばIL−10受容体又はFc受容体との結合の低減は、例えばSPRにより測定して、それぞれの相互作用についての親和性の減少のことをいう。明確にするために、この用語は、ゼロ(又は分析法検出限界未満)までの親和性の低減、すなわち相互作用の完全な廃止も含む。逆に、「結合の増加」は、それぞれの相互作用についての結合親和性の増加のことをいう。

0033

本明細書で用いる場合、用語「単鎖」は、ペプチド結合により直鎖状に結合されたアミノ酸単量体を含む分子のことをいう。

0034

用語「抗体」は、本明細書において、最も広い意味で用いられ、それらに限定されないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体多重特異性抗体(例えば2重特異性抗体)及び所望の抗原結合活性を示す限り抗体断片を含む様々な抗体構造を包含する。

0035

「抗体断片」は、インタクトな抗体が結合する抗原と結合するインタクトな抗体の一部を含む、インタクトな抗体以外の分子のことをいう。抗体断片としては、例えば、それらに限定されないが、Fv、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’)2、ダイアボディ、直鎖状抗体、単鎖抗体分子(例えばscFv)及び単一ドメイン抗体が挙げられる。ある種の抗体断片のレビューのために、Hudson等、Nat Med 9、129−134(2003)を参照されたい。scFv断片のレビューのために、例えばThe Pharmacology of Monoclonal Antibodies、第113巻、Rosenburg及びMoore編、Springer−Verlag、New York、p.269−315(1994)中のPluckthun、並びに国際公開第93/16185号、並びに米国特許5571894号及び5587458号を参照されたい。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、インビボ半減期が増加したFab及びF(ab’)2断片の考察について、米国特許5869046号を参照されたい。ダイアボディは、2価又は2重特異性であり得る2つの抗原結合部位を有する抗体断片である。例えばEP404097、国際公開第1993/01161号、Hudson等、Nat Med 9、129−134(2003)及びHollinger等、Proc Natl Acad Sci USA 90、6444−6448(1993)を参照されたい。トリアディ及びテトラボディも、Hudson等、Nat Med 9、129−134(2003)に記載されている。単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全体若しくは一部又は軽鎖可変ドメインの全体若しくは一部を含む抗体断片である。ある種の実施態様では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(Domantis,Inc.、Waltham、MA;例えば米国特許6248516B1号を参照されたい)。抗体断片は、それらに限定されないが、本明細書に記載するようなインタクトな抗体のタンパク質消化及び組換え宿主細胞(例えば大腸菌(E.coli)又はファージ)を含む様々な技術により作製できる。

0036

用語「全長抗体」、「インタクトな抗体」及び「抗体全体」は、本明細書において交換可能に用いて、天然抗体構造に実質的に類似する構造を有する抗体のことをいう。

0037

「天然抗体」は、変動する構造を有する自然に存在する免疫グロブリン分子のことをいう。例えば、天然IgGクラス抗体は、2つの軽鎖及び2つの重鎖(これらはジスルフィド結合されている)から構成される、約150,000ダルトンのヘテロ4量体糖タンパク質である。N末端からC末端まで、各重鎖は、可変重鎖ドメイン又は重鎖可変ドメインともよばれる可変領域(VH)と、続いて、重鎖定常領域ともよばれる3つの定常ドメイン(CH1、CH2及びCH3)とを有する。同様に、N末端からC末端まで、各軽鎖は、可変軽鎖ドメイン又は軽鎖可変ドメインともよばれる可変領域(VL)と、続いて、軽鎖定常領域ともよばれる軽鎖定常ドメイン(CL)とを有する。抗体の重鎖は、α(IgA)、δ(IgD)、ε(IgE)、γ(IgG)又はμ(IgM)とよばれる5つのタイプの1つに割り当てることができ、これらのうちのいくつかは、サブタイプ、例えばγ1(IgG1)、γ2(IgG2)、γ3(IgG3)、γ4(IgG4)、α1(IgA1)及びα2(IgA2)にさらに分けることができる。抗体の軽鎖は、定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパκ)及びラムダ(λ)とよばれる2つのタイプのうちの1つに割り当てることができる。

0038

本明細書で用いる場合、「Fab断片」は、VLドメイン及び軽鎖の定常ドメイン(CL)を含む軽鎖断片と、VHドメインと、重鎖の第1定常ドメイン(CH1)とを含む抗体断片のことをいう。

0039

抗体又は免疫グロブリンの「クラス」とは、その重鎖が有する定常ドメイン又は定常領域のタイプのことをいう。抗体には5つの主要なクラス、IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMがあり、これらのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2にさらに分けることができる。異なるクラスの免疫グロブリンに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれα、δ、ε、γ及びμとよばれる。

0040

「IgGクラス抗体」は、自然に存在する免疫グロブリンG(IgG)分子の構造を有する抗体のことをいう。IgGクラス抗体の抗体重鎖は、ドメイン構造VH−CH1−CH2−CH3を有する。IgGクラス抗体の抗体軽鎖は、ドメイン構造VL−CLを有する。IgGクラス抗体は、免疫グロブリンヒンジ領域を介して結合された2つのFab断片とFcドメインとから本質的になる。

0041

用語「可変領域」又は「可変ドメイン」は、抗原との抗体の結合に関与する抗体重鎖又は軽鎖のドメインのことをいう。天然抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン(それぞれVH及びVL)は、一般的に類似の構造を有し、各ドメインは、4つの保存されたフレームワーク領域(FR)と3つの超可変領域HVR)とを含む。例えばKindt等、Kuby Immunology、第6版、W.H.Freeman and Co.、p.91(2007)を参照されたい。単一VH又はVLドメインは、抗原結合特異性を与えるために十分であり得る。

0042

用語「超可変領域」又は「HVR」は、本明細書で用いる場合、配列が超可変性でありかつ/又は構造が規定されたループ(「超可変ループ」)を形成する抗体可変ドメインの領域のそれぞれのことをいう。一般的に、天然4本鎖抗体は、6つのHVR、VH中に3つ(H1、H2、H3)及びVL中に3つ(L1、L2、L3)を含む。HVRは、一般的に、超可変ループから及び/又は相補性決定領域(CDR)(後者は、配列可変性が最も高く、かつ/又は抗原認識に関与する)からのアミノ酸残基を含む。例示的な超可変ループは、アミノ酸残基26−32(L1)、50−52(L2)、91−96(L3)、26−32(H1)、53−55(H2)及び96−101(H3)にある(Chothia及びLesk, J. Mol. Biol. 196, 901-917 (1987))。例示的なCDR(CDR−L1、CDR−L2、CDR−L3、CDR−H1、CDR−H2及びCDR−H3)は、L1のアミノ酸残基24−34、L2の50−56、L3の89−97、H1の31−35B、H2の50−65及びH3の95−102にある(Kabat等, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991))。VH中のCDR1を除いて、CDRは、超可変ループを形成するアミノ酸残基を一般的に含む。CDRは、抗原と接触する残基である「特異性決定残基」又は「SDR」も含む。SDRは、短縮CDR又はa−CDRとよばれるCDRの領域内に含まれる。例示的なa−CDR(a−CDR−L1、a−CDR−L2、a−CDR−L3、a−CDR−H1、a−CDR−H2及びa−CDR−H3)は、L1のアミノ酸残基31−34、L2の50−55、L3の89−96、H1の31−35B、H2の50−58及びH3の95−102にある(Almagro及びFransson, Front. Biosci. 13, 1619-1633 (2008)を参照されたい)。そうでないと示さない限り、HVR残基及び可変ドメイン中のその他の残基(例えばFR残基)は、本明細書において、Kabat等、既出(「Kabat番号付け」という)に従って番号付けする。

0043

「フレームワーク」又は「FR」は、超可変領域(HVR)残基以外の可変ドメイン残基のことをいう。可変ドメインのFRは、一般的に、4つのFRドメイン、FR1、FR2、FR3及びFR4からなる。したがって、HVR及びFR配列は、一般的に、VH(又はVL)において以下の配列で現れる:FR1−H1(L1)−FR2−H2(L2)−FR3−H3(L3)−FR4。

0044

「ヒト抗体」は、ヒト若しくはヒト細胞により生成されるか又はヒト抗体レパートリー若しくはその他のヒト抗体コード配列を利用する非ヒト供給源に由来する抗体のものに相当するアミノ酸配列を有するものである。ヒト抗体についてのこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を除外する。

0045

用語「モノクローナル抗体」は、本明細書で用いる場合、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体のことをいい、すなわち該集団を含む個別の抗体が同一であり、かつ/又は同じエピトープと結合する(但し、例えば自然に生じる変異を含有するか又はモノクローナル抗体調製物生成中に生じる、可能性のあるバリアント抗体を除く(このようなバリアントは、一般的に、少量で存在する))。異なる決定基(エピトープ)を指向する異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物中の各モノクローナル抗体は、抗原の単一決定基を指向する。よって、修飾語モノクローナル」は、抗体の実質的に均質な集団から得られるという抗体の特徴を示し、いずれの特定の方法により抗体の生成を必要とすると解釈されない。例えば、本発明に従って用いられるモノクローナル抗体は、それらに限定されないが、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、ファージディスプレイ法、並びにヒト免疫グロブリン遺伝子座の全て又は一部を含有するトランスジェニック動物を利用する方法(このような方法及びモノクローナル抗体を作製するためのその他の例示的な方法は、本明細書に記載する)を含む様々な技術により作製してよい。

0046

用語「Fcドメイン」又は「Fc領域」は、本明細書において、定常領域の少なくとも一部を含有する抗体重鎖のC末端領域を定義するために用いる。この用語は、天然配列Fc領域及びバリアントFc領域を含む。IgGFc領域は、IgG CH2及びIgG CH3ドメインを含む。ヒトIgG Fc領域の「CH2ドメイン」は、通常、約231位のアミノ酸残基から約340位のアミノ酸残基までにわたる。一実施態様では、糖鎖がCH2ドメインと結合する。CH2ドメインは、本明細書において、天然配列CH2ドメイン又はバリアントCH2ドメインであってよい。「CH3ドメイン」は、Fc領域中のCH2ドメインに対してC末端の残基のひと続きを含む(すなわちIgGの約341位のアミノ酸残基から約447位のアミノ酸残基まで)。CH3領域は、本明細書において、天然配列CH3ドメイン又はバリアントCH3ドメイン(例えば一方の鎖中に「突出」(「ノブ」)が導入され、他方の鎖に対応する「腔」(「ホール」)が導入されたCH3ドメイン、米国特許5821333号(出典明示により明らかに本明細書に援用されている)を参照されたい)であってよい。このようなバリアントCH3ドメインを用いて、本明細書に記載するように、2つの非同一抗体重鎖のヘテロ2量体形成を促進できる。一実施態様では、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226又はPro230から重鎖のカルボキシル末端までにわたる。しかし、Fc領域のC末端リジン(Lys447)は、存在しても存在しなくてもよい。本明細書においてそうでないと明記しない限り、Fc領域又は定常領域中のアミノ酸残基の番号付けは、Kabat等、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Public Health Service、National Institutes of Health、Bethesda、MD、1991に記載される、EUインデックスともよばれるEU番号付けシステムに従う。

0047

用語「エフェクター機能」は、抗体のFc領域に帰することができる生物活性のことをいい、これは抗体アイソタイプによって変動する。抗体エフェクター機能としては、例えばC1q結合及び補体依存性細胞傷害(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞性食作用ADCP)、サイトカイン分泌抗原提示細胞による免疫複合体媒介性抗原取り込み、細胞表面受容体(例えばB細胞受容体)の下方制御並びにB細胞活性化が挙げられる。

0048

「活性化Fc受容体」は、抗体のFc領域と係合した後に、受容体を持つ細胞を刺激してエフェクター機能を実行させるシグナル伝達事象を引き出すFc受容体である。活性化Fc受容体は、FcγRIIIa(CD16a)、FcγRI(CD64)、FcγRIIa(CD32)及びFcαRI(CD89)を含む。特に、活性化Fc受容体は、ヒトFcγRIIIaである(UniProt受託番号P08637(バージョン141)を参照されたい)。

0049

「野生型IL−10」ともよばれる「天然IL−10」は、自然に存在するIL−10を意味し、これは、自然に存在するIL−10から例えば安定性又は受容体結合親和性のような1又は複数の特性を変更するように改変された「改変IL−10」又は「変異体IL−10」に対向する。改変又は変異体IL−10分子は、例えば、アミノ酸配列中の改変、例えばアミノ酸置換、欠失又は挿入を含むことがある。例えば単量体形態で安定性が増加した改変IL−10分子は、Josephson等(J Biol Chem 275, 13552-13557 (2000))により記載されている。

0050

天然IL−10は、2つのαヘリックス単量体ドメインから構成されるホモ2量体である。天然ヒトIL−10単量体ドメインの配列を配列番号1に示す。よって、「IL−10単量体」は、天然IL−10の単量体ドメインと実質的に類似の配列及び/又は構造を有するタンパク質である。

0051

タンパク質に関して用いる場合の「安定な」又は「安定性」は、タンパク質の構造完全性(例えばその2次構造)が保護されることを意味する。

0052

タンパク質に関して用いる場合の「機能的」は、生物学的機能、特に天然に存在する対応するタンパク質(例えば天然IL−10)が媒介する生物学的機能をタンパク質が媒介できることを意味する。IL−10の場合、生物学的機能は、IL−10受容体シグナル伝達の活性化、TNFα、IL−1、IL−6、IL−12、IL−2及び/又はIFNγのような炎症誘発性サイトカインの分泌の抑制、MHCII発現の阻害並びにIL−10受容体を発現する細胞(例えば単球)でのCD80及び/又はCD86のような同時刺激分子の上方制御を含むことがある。

0053

用語「ペプチドリンカー」は、1又は複数のアミノ酸、典型的に約2−20のアミノ酸を含むペプチドのことをいう。ペプチドリンカーは、当該技術において公知であるか、又は本明細書に記載する。適切な非免疫原性リンカーペプチドは、例えば、(G4S)n、(SG4)n又はG4(SG4)nペプチドリンカーを含む。「n」は、一般的に1から10の間、典型的に2から4の間の数である。

0054

「ノブ−イントゥ−ホール改変」は、CH3ドメイン中の2つの抗体重鎖間の界面での改変であって、i)一方の重鎖のCH3ドメイン中で、アミノ酸残基が、側鎖容積がより大きいアミノ酸残基で置き換えられることにより、他方の重鎖のCH3ドメイン中の界面内の腔(「ホール」)に置くことができる突出(「ノブ」)を一方の重鎖のCH3ドメイン中の界面内で作り出し、ii)他方の重鎖のCH3ドメイン中で、アミノ酸残基が、側鎖容積がより小さいアミノ酸残基で置き換えられることにより、第1のCH3ドメイン中の界面内の突出(「ノブ」)が置くことができる腔(「ホール」)を第2のCH3ドメイン中の界面内で作り出す改変のことをいう。一実施態様では、「ノブ−イントゥ−ホール改変」は、一方の抗体重鎖中のアミノ酸置換T366W及び任意選択的にアミノ酸置換S354Cと、他方の抗体重鎖中のアミノ酸置換T366S、L368A、Y407V及び任意選択的にY349Cとを含む。ノブ−イントゥ−ホール技術は、例えば米国特許5731168号、米国特許7695936号、Ridgway等、Prot Eng 9、617−621(1996)及びCarter、J Immunol Meth 248、7−15(2001)に記載されている。一般的に、この方法は、第1のポリペプチドの界面にて突出(「ノブ」)及び第2のポリペプチドの界面中に対応する腔(「ホール」)を導入して、ヘテロ2量体形成を促進し、ホモ2量体形成を妨げるべく突出が腔の中に置くことができるようにすることを含む。突出は、第1のポリペプチドの界面からの小さいアミノ酸側鎖を、より大きい側鎖(例えばチロシン又はトリプトファン)で置き換えることにより構築される。突出と同一又は類似のサイズの相補的な腔は、第2のポリペプチドの界面中に、大きいアミノ酸側鎖をより小さい側鎖(例えばアラニン又はトレオニン)で置き換えることにより創出される。それぞれS354位及びY349位に2つのシステイン残基を導入することにより、Fc領域中の2つの抗体重鎖間にジスルフィドブリッジが形成され、2量体がさらに安定化される(Carter, J Immunol Methods248, 7-15 (2001))。

0055

アミノ酸「置換」は、ポリペプチド中のあるアミノ酸を別のアミノ酸で置き換えることをいう。一実施態様では、アミノ酸は、類似の構造及び/又は化学的特性を有する別のアミノ酸で置き換えられ、例えば保存的アミノ酸の置き換えである。「保存的」アミノ酸置換は、関与する残基の極性電荷溶解性疎水性親水性及び/又は両親媒性性質類似性に基づいて行うことができる。例えば、非極性(疎水性)アミノ酸は、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリンプロリンフェニルアラニン、トリプトファン及びメチオニンを含み、極性中性アミノ酸は、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン及びグルタミンを含み、正電荷塩基性)アミノ酸は、アルギニン、リジン及びヒスチジンを含み、負電荷酸性)アミノ酸は、アスパラギン酸及びグルタミン酸を含む。非保存的置換は、これらのクラスの1つのメンバーを別のクラスに交換することを伴う。例えば、アミノ酸置換は、結果として、あるアミノ酸を、異なる構造及び/又は化学的特性を有する別のアミノ酸で置き換えること、例えばある群(例えば極性)からのアミノ酸を、異なる群(例えば塩基性)からの別のアミノ酸で置き換えることとなり得る。アミノ酸置換は、当該技術において周知の遺伝子的又は化学的方法を用いて作り出すことができる。遺伝子的方法は、部位特異的突然変異誘発PCR遺伝子合成などを含むことがある。化学的改変のような遺伝子工学以外の方法によりアミノ酸の側鎖群を変更する方法も有用であると期待できる。同じアミノ酸置換を示すために、様々な表記を本明細書において用いることがある。例えば、抗体重鎖の329位のプロリンからグリシンへの置換は、329G、G329、G329、P329G又はPro329Glyと示すことができる。

0056

参照ポリペプチド配列に関する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」は、いずれの保存的置換も配列同一性の一部と考えずに、配列を整列させて最大の配列同一性パーセントを達成するために必要であればギャップを導入した後に、参照ポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一の候補配列中のアミノ酸残基の百分率と定義する。アミノ酸配列同一性パーセントを決定する目的のための整列は、当該技術における熟練の範囲内である様々な手段で、例えばBLAST、BLAST−2、ALIGN又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェアのような公共で利用可能なコンピュータソフトウェアを用いて達成できる。当業者は、比較する配列の全長にわたって最大限の整列を達成するために必要な任意のアルゴリズムを含んで、配列を整列させるための適当なパラメータを決定できる。本明細書における目的のために、しかし、%アミノ酸配列同一性の値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN−2を用いて作り出される。ALIGN−2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech,Inc.により著され、ソースコードは、米国著作権局、Washington D.C.、20559においてユーザ文書とともにファイルされ、米国著作権登録番号TXU510087の下で登録されている。ALIGN−2プログラムは、Genentech,Inc.、South San Francisco、Californiaから公共で入手可能であるか、又はソースコードからコンパイルしてよい。ALIGN−2プログラムは、デジタルUNIX(登録商標)V4.0Dを含むUNIX(登録商標)オペレーティングシステムで用いるためにコンパイルすべきである。全ての配列比較パラメータはALIGN−2プログラムにより設定され、変動しない。ALIGN−2をアミノ酸配列比較のために用いる場合、ある与えられたアミノ酸配列Bに対する(to/with/against)ある与えられたアミノ酸配列Aの%アミノ酸配列同一性(これは、代わりに、ある与えられたアミノ酸配列Bに対して(to/with/against)ある%アミノ酸配列同一性を有するか又は含む、ある与えられたアミノ酸配列Aということができる)は、以下のようにして算出する:
分数X/Yの100倍
(式中、Xは、AとBのプログラムの整列における配列整列プログラムALIGN−2により同一マッチとして得点されたアミノ酸残基の数であり、Yは、B中のアミノ酸残基の総数である)。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、Bに対するAの%アミノ酸配列同一性は、Aに対するBの%アミノ酸配列同一性と等しくないことが認識される。特にそうでないと述べない限り、本明細書で用いる全ての%アミノ酸配列同一性の値は、ALIGN−2コンピュータプログラムを用いて直前の段落において記載するようにして得られる。

0057

本明細書において交換可能に用いられる「ポリヌクレオチド」又は「核酸」は、任意の長さのヌクレオチドポリマーのことをいい、DNA及びRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチドリボヌクレオチド改変ヌクレオチド若しくは塩基及び/又はそれらの類似体、あるいはDNA若しくはRNAポリメラーゼにより又は合成反応によりポリマーに組み込むことができる任意の基質であり得る。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチドのような改変ヌクレオチド及びそれらの類似体を含み得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分により中断されてもよい。ポリヌクレオチドは、標識とのコンジュゲーションのような合成後に作製される改変を含んでよい。

0058

用語「改変」は、ペプチド骨格(例えばアミノ酸配列)の任意の操作又はポリペプチドの翻訳後改変(例えば糖鎖付加)のことをいう。

0059

用語「ベクター」は、本明細書で用いる場合、結合された別の核酸を伝播できる核酸分子のことをいう。この用語は、自己複製核酸構造としてのベクター及びベクターが導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターを含む。ある種のベクターは、作動可能に連結された核酸の発現を駆動できる。このようなベクターは、本明細書において、「発現ベクター」という。

0060

用語「宿主細胞」、「宿主細胞株」及び「宿主細胞培養物」は、交換可能に用いられ、外因性核酸が導入された細胞(このような細胞の子孫を含む)のことをいう。宿主細胞は、初代形質転換細胞及びそれに由来する子孫(継代の数に関係なく)を含む「形質転換体」及び「形質転換細胞」を含む。子孫は、親細胞と核酸含量が完全に同一でなくてよいが、変異を含んでよい。元来の形質転換細胞においてスクリーニング又は選択されたものと同じ機能又は生物活性を有する変異子孫が、本明細書において含まれる。宿主細胞は、本発明の融合タンパク質を作り出すために用いることができる任意のタイプの細胞系である。宿主細胞は、少しだけ挙げれば、培養細胞、例えばCHO細胞BHK細胞、NS0細胞、SP2/0細胞、YO骨髄腫細胞、P3X63マウス骨髄腫細胞、PER細胞、PER.C6細胞又はハイブリドーマ細胞のような哺乳動物培養細胞酵母細胞昆虫細胞及び植物細胞、それにトランスジェニック動物、トランスジェニック植物又は培養植物又は動物組織内に含まれる細胞も含む。

0061

薬剤の「有効量」は、それが投与される細胞又は組織において生理的変化をもたらすために必要な量のことをいう。

0062

薬剤、例えば薬学的組成物の「治療有効量」は、必要な投与量及び期間について、所望の治療的又は予防的結果を達成するために有効な量のことをいう。薬剤の治療有効量は、例えば、疾患の有害な効果を防止するか、減少させるか、遅延させるか、最小限にするか又は妨げる。

0063

「個体」又は「対象」は、哺乳動物である。哺乳動物は、それらに限定されないが、飼い馴らされた動物(例えばウシヒツジネコイヌ及びウマ)、霊長類(例えばヒト及びサルのような非ヒト霊長類)、ウサギ及びげっ歯類(例えばマウス及びラット)を含む。特に、個体又は対象は、ヒトである。

0064

用語「薬学的組成物」は、組成物に含まれる活性成分の生物活性が有効になるような形態であり、製剤が投与される対象にとって許容できないほど毒性がある付加的成分を含有しない調製物のことをいう。

0065

「薬学的に許容可能な担体」は、活性成分以外の薬学的組成物中の対象にとって毒性でない成分のことをいう。薬学的に許容可能な担体は、それらに限定されないが、緩衝液賦形剤安定化剤又は保存剤を含む。

0066

本明細書で用いる場合、「治療」(及び「治療する」又は「治療し」のような文法的変形を含む)は、治療される個体における疾患の自然な経過を変更しようとする試みにおける臨床的介入のことをいい、予防のため又は臨床病理の経過中のいずれかで行うことができる。治療の所望の効果は、それらに限定されないが、疾患の発生又は再発を防止すること、症状の軽減、疾患の任意の直接的又は間接的な病理学帰結の低減、転移を防止すること、疾患進行の速度を減少すること、疾患状態緩和又は一時的軽減、及び寛解又は予後の改善を含む。いくつかの実施態様では、本発明の抗体は、疾患の発展を遅らせるため又は疾患の進行を遅くするために用いられる。

0067

本発明の融合タンパク質
本発明は、生産しやすさ、安定性、結合親和性、生物活性、標的効率及び毒性の減少のような特に有利な特性を有する新規な抗体−IL−10融合タンパク質を提供する。
第1の態様では、本発明は、IgGクラス抗体と変異体IL−10分子との融合タンパク質であって、融合タンパク質は2つの同一の重鎖ポリペプチドと2つの同一の軽鎖ポリペプチドとを含み、かつ変異体IL−10分子は、野生型IL−10分子と比較して、IL−10受容体への変異体IL−10分子の結合親和性を低減させるアミノ酸変異を含む融合タンパク質を提供する。一実施態様では、前記重鎖ポリペプチドのそれぞれは、IgGクラス抗体重鎖と変異体IL−10単量体とを含む。より具体的な実施態様では、前記変異体IL−10単量体は、そのN末端にて前記IgGクラス抗体重鎖のC末端に、任意選択的にペプチドリンカーを介して融合している。一実施態様では、前記重鎖ポリペプチドはそれぞれ、IgGクラス抗体重鎖と、変異体IL−10単量体と、任意選択的にペプチドリンカーとから本質的になる。一実施態様では、前記軽鎖ポリペプチドのそれぞれは、IgGクラス抗体軽鎖を含む。一実施態様では、前記軽鎖ポリペプチドはそれぞれ、IgGクラス抗体軽鎖から本質的になる。抗体断片に基づく融合タンパク質と比較して、IgGクラス抗体の存在により、本発明の融合タンパク質は、長期の血清半減期(FcRnとの結合による再生利用と、腎臓ろ過についての閾値を優に上回る分子サイズのため)を含む好ましい薬物動態特性を得る。IgGクラス抗体の存在により、例えばプロテインA親和性クロマトグラフィーによる融合タンパク質の単純な精製も可能になる。驚くべきことに、本発明のIgGに基づくIgG−IL−10融合タンパク質とFab断片に基づく対応する融合タンパク質(Fab−IL−10)とを比較する実施例において示すように、IgGクラス抗体の存在により、標的抗原と結合した場合の融合タンパク質の生物活性も改善される。同一の重鎖(及び軽鎖)ポリペプチドを用いることにより、不要な副生成物の形成を回避し、ノブ−イントゥ−ホール改変のような非同一重鎖のヘテロ2量体形成を促進する改変の必要性をなくして、融合タンパク質の単純な生成が可能になる。

0068

一実施態様において、前記変異体IL−10分子は、ヒトIL−10分子である。一実施態様において、前記変異体IL−10分子は、IL−10受容体への変異体IL−10分子の結合親和性を、野生型IL−10分子と比較して、少なくとも2倍、少なくとも5倍、又は少なくとも10倍減少させるアミノ酸変異を含む。一実施態様において、前記アミノ酸変異はアミノ酸置換である。一実施態様において、前記変異体IL−10分子は、ヒトIL−10(配列番号1)の残基87に対応する位置でアミノ酸置換を含む。特定の実施態様において、アミノ酸置換は、I87Aである。実施例に示すように、このアミノ酸置換は、IL−10R1との結合親和性を低減させるが、変異体IL−10分子の実質的な免疫抑制活性を維持する。さらに、IL−10の所望されない免疫賦活効果を減少させることが期待される。

0069

一実施態様において、前記変異体IL−10分子は、2つの変異体IL−10単量体のホモ2量体である。一実施態様において、前記変異体IL−10分子は、それが構成される2つの変異体IL−10単量体の各々において、野生型IL−10分子と比較して、IL−10受容体への変異体IL−10分子の結合親和性を低減させるアミノ酸変異を含む。一実施態様において、変異体IL−10分子は、それが構成される2つの変異体IL−10単量体の各々において、野生型IL−10分子と比較して、IL−10受容体への変異体IL−10分子の結合親和性を低減させるただ一つのアミノ酸変異を含む。

0070

いくつかの実施態様において、前記変異体IL−10単量体は、ヒトIL−10単量体である。一実施態様において、前記変異体IL−10単量体はアミノ酸置換を含む。一実施態様において、前記変異体IL−10単量体は、ヒトIL−10(配列番号1)の残基87に対応する位置でアミノ酸置換を含む。特定の実施態様において、アミノ酸置換は、I87Aである。特定の実施態様において、前記変異体IL−10単量体は配列番号98のポリペプチド配列を含む。一実施態様において、前記重鎖ポリペプチド中に含まれる前記変異体IL−10単量体は、機能的ホモ二量体変異体IL−10分子を形成する。この融合タンパク質フォーマットは、2つのIL−10単量体が完全に機能的で生物活性があるIL−10 2量体を形成するので特に有利である。さらに、抗体断片に基づく融合タンパク質とは対照的に、本発明の融合タンパク質では、2量体形成はIL−10単量体間で生じるだけでなく、単量体が融合している抗体重鎖間でも生じる。よって、例えば本明細書に記載するFab−IL−10融合タンパク質と比較して、本発明の融合タンパク質に含まれるIL−10 2量体が2つの単量体に解体される傾向が低減される(図11を参照されたい)。重要なことに、この融合タンパク質フォーマットは、生物活性の点でも本明細書に記載する他の融合タンパク質フォーマットよりも優れている。

0071

一実施態様では、前記IgGクラス抗体は、IgG1サブクラス抗体である。一実施態様では、前記IgGクラス抗体は、ヒト抗体であり、すなわちこれはヒト可変及び定常領域を含む。ヒトIgG1重鎖及び軽鎖の定常領域の例示的な配列をそれぞれ配列番号79及び80に示す。一実施態様では、IgGクラス抗体は、ヒトFc領域、特にヒトIgG Fc領域、より特にはヒトIgG1 Fc領域を含む。一実施態様では、前記IgGクラス抗体は、全長抗体である。一実施態様では、前記IgGクラス抗体は、モノクローナル抗体である。

0072

IgGクラス抗体のFcドメインは、標的組織における良好な蓄積と好ましい組織−血液分配比に貢献する長い血清半減期を含む好ましい薬物動態特性を融合タンパク質に与えるが、これは、同時に、好ましい抗原を持つ細胞ではなくFc受容体を発現する細胞を不要に標的にするように融合タンパク質を導くことがある。さらに、Fc受容体シグナル伝達経路の活性化は、サイトカイン放出を導くことがあり、これは、(炎症誘発性サイトカイン受容体の活性化と全身投与による重度の副作用とをもたらす。よって、一実施態様では、前記IgGクラス抗体は、改変を有さない対応するIgGクラス抗体と比較してFc受容体との抗体の結合親和性を低減する改変を含む。具体的な実施態様では、前記Fc受容体は、Fcγ受容体、特にヒトFcγ受容体である。Fc受容体との結合親和性は、例えばELISA、又はBIAcore装置(GE Healthcare)のような標準的な装置及び組換え発現により得ることができるようなFc受容体を用いる表面プラズモン共鳴(SPR)により容易に決定できる。結合親和性を測定するための具体的で例示的な実施態様を、以下に記載する。一実施態様によると、Fc受容体との結合親和性は、BIACORE(登録商標)T100機器(GE Healthcare)を25℃にて、CM5チップに固定化されたリガンド(Fc受容体)とともに用いる表面プラズモン共鳴により測定する。簡単に述べると、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサチップ(CM5、GE Healthcare)を、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)で、供給業者使用説明に従って活性化する。組換えリガンドを、10mM酢酸ナトリウム、pH5.5で0.5−30μg/mlに希釈した後に、10μl/minの流速で注入して、およそ100−5000応答単位(RU)の結合タンパク質を達成する。リガンドの注入に続いて、1Mエタノールアミンを注入して未反応基ブロックする。速度論的測定のために、抗体の3倍から5倍の系列希釈(〜0.01nMから300nMの間の範囲)をHBS−EP+(GE Healthcare、10mMHEPES、150mM NaCl、3mMEDTA、0.05%サーファクタントP20、pH7.4)に、25℃にておよそ30−50μl/minの流速で注入する。会合速度(kon)及び解離速度(koff)は、単純な1対1ラングミュア結合モデル(BIACORE(登録商標)T100評価ソフトウェアバージョン1.1.1)を用いて、会合及び解離センサーグラムを同時にフィッティングすることにより算出する。平衡解離定数(KD)は、koff/konの比として算出される。例えばChen等、J Mol Biol 293、865−881(1999)を参照されたい。代わりに、Fc受容体との結合親和性抗体は、FcγIIIa受容体を発現するNK細胞のような特定のFc受容体を発現することがわかっている細胞株を用いて評価してよい。

0073

一実施態様では、改変は、Fc受容体との抗体の結合親和性を低減する1又は複数のアミノ酸変異を含む。一実施態様では、アミノ酸変異は、アミノ酸置換である。典型的に、同じ1又は複数のアミノ酸変異が、2つの抗体重鎖のそれぞれに存在する。一実施態様では、前記アミノ酸変異は、Fc受容体との抗体の結合親和性を、少なくとも2倍、少なくとも5倍又は少なくとも10倍低減する。Fc受容体との抗体の結合親和性を低減するアミノ酸変異が1つより多く存在する実施態様では、これらのアミノ酸変異の組み合わせが、Fc受容体との抗体の結合親和性を、少なくとも10倍、少なくとも20倍又は少なくとも50倍にさえ低減する。一実施態様では、前記IgGクラス抗体は、改変を有さない対応するIgGクラス抗体と比較して、Fc受容体との結合親和性の20%未満、特に10%未満、より特には5%未満を示す。

0074

一実施態様では、前記Fc受容体は、活性化Fc受容体である。具体的な実施態様では、前記Fc受容体は、FcγRIIIa(CD16a)、FcγRI(CD64)、FcγRIIa(CD32)及びFcαRI(CD89)の群から選択される。具体的な実施態様では、Fc受容体は、Fcγ受容体、より具体的にはFcγRIIIa、FcγRI又はFcγRIIa受容体である。好ましくは、これらの受容体それぞれとの結合親和性は、低下している。さらにより具体的な実施態様では、前記Fc受容体は、FcγIIIa、特にヒトFcγIIIaである。いくつかの実施態様では、補体成分との結合親和性、特にC1qとの結合親和性も、低下している。一実施態様では、胎児性Fc受容体(FcRn)との結合親和性は、低下しない。実質的に同様のFcRnとの結合、すなわち前記受容体との抗体の結合親和性の保存は、FcRnとの未改変形の抗体の結合親和性の約70%より大きい親和性を抗体が示す場合に達成される。本発明の融合タンパク質に含まれるIgGクラス抗体は、このような親和性の約80%より大きく、約90%より大きい親和性さえ示すことがある。

0075

一実施態様では、Fc受容体との抗体の結合親和性を低減する前記改変は、IgGクラス抗体のFc領域、特にCH2領域中にある。一実施態様では、前記IgGクラス抗体は、抗体重鎖の329位(EU番号付け)にアミノ酸置換を含む。より具体的な実施態様では、前記アミノ酸置換は、P329A又はP329G、特にP329Gである。一実施態様では、前記IgGクラス抗体は、抗体重鎖の234位及び235位(EU番号付け)にアミノ酸置換を含む。具体的な実施態様では、前記アミノ酸置換は、L234A及びL235A(LALA)である。一実施態様では、前記IgGクラス抗体は、抗体重鎖の329位(EU番号付け)にアミノ酸置換と、抗体重鎖の228位、233位、234位、235位、297位及び331位から選択される位置にさらなるアミノ酸置換とを含む。より具体的な実施態様では、さらなるアミノ酸置換は、S228P、E233P、L234A、L235A、L235E、N297A、N297D又はP331Sである。特定の実施態様では、前記IgGクラス抗体は、抗体重鎖のP329位、L234位及びL235位(EU番号付け)にアミノ酸置換を含む。より特定の実施態様では、前記IgGクラス抗体は、抗体重鎖中にアミノ酸置換L234A、L235A及びP329G(LALA P329G)を含む。このアミノ酸置換の組み合わせは、PCT国際公開第2012/130831号(その全体が出典明示により本明細書に援用されている)に記載されるように、ヒトIgGクラス抗体のFcγ受容体結合を特に効率的にほぼ廃止する。PCT国際公開第2012/130831号は、このような改変抗体を調製する方法及びFc受容体結合又はエフェクター機能のようなその特性を決定するための方法についても記載している。

0076

抗体重鎖中に改変を含む抗体は、当該技術において周知の遺伝子的又は化学的方法を用いてアミノ酸欠失、置換、挿入又は改変により調製できる。遺伝子的方法は、コードDNA配列の部位特異的突然変異誘発、PCR、遺伝子合成などを含み得る。正しいヌクレオチド変化は、例えば配列決定により確かめることができる。

0077

Fc受容体結合を低減する改変を含む抗体は、一般的に、対応する未改変抗体と比較してエフェクター機能が低下し、特にADCCが低下している。よって、一実施態様では、Fc受容体とのIgGクラス抗体の結合親和性を低減する前記改変は、IgGクラス抗体のエフェクター機能を低減する。具体的な実施態様では、前記エフェクター機能は、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)である。一実施態様では、ADCCは、前記改変を有さない対応するIgGクラス抗体により誘導されるADCCの20%未満に低下する。抗体のエフェクター機能は、当該技術において公知の方法により測定できる。対象の分子のADCC活性を査定するためのインビトロアッセイの例は、米国特許5500362号、Hellstrom等、Proc Natl Acad Sci USA 83、7059−7063(1986)及びHellstrom等、Proc Natl Acad Sci USA 82、1499−1502(1985)、米国特許5821337号、Bruggemann等、J Exp Med 166、1351−1361(1987)に記載されている。代わりに、非放射活性アッセイ法を用いてよい(例えばフローサイトメトリーのためのACTI(商標)非放射活性細胞傷害アッセイ(CellTechnology,Inc. Mountain View、CA)及びCytoTox 96(登録商標)非放射活性細胞傷害アッセイ(Promega、Madison、WI)を参照されたい)。このようなアッセイのための有用なエフェクター細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞を含む。代わりに又はさらに、対象の分子のADCC活性は、インビボで、例えばClynes等、Proc Natl Acad Sci USA 95、652−656(1998)に開示されるような動物モデルにおいて査定してもよい。いくつかの実施態様では、補体成分、特にC1qとのIgGクラス抗体の結合も低下する。したがって、補体依存性細胞傷害(CDC)も低下することがある。C1q結合アッセイを行って、抗体がC1qと結合できるか、よってCDC活性を有するかを決定してよい。例えば国際公開第2006/029879号及び国際公開第2005/100402号におけるC1q及びC3c結合ELISAを参照されたい。補体活性化を査定するために、CDCアッセイを実行してよい(例えばGazzano-Santoro等, J Immunol Methods202, 163 (1996); Cragg等, Blood 101, 1045-1052 (2003);並びにCragg及びGlennie, Blood 103, 2738-2743 (2004)を参照されたい)。

0078

上記及びPCT国際公開第2012/130831号に記載されるIgGクラス抗体に加えて、Fc受容体結合及び/又はエフェクター機能が低下した抗体は、Fc領域残基238、265、269、270、297、327及び329の1又は複数の置換を有するものも含む(米国特許6737056号)。このようなFc変異体は、残基265及び297のアラニンへの置換を有するいわゆる「DANA」Fc変異体を含んで、アミノ酸265位、269位、270位、297位及び327位の2つ以上にて置換を有するFc変異体を含む(米国特許7332581号)。

0079

IgG4サブクラス抗体は、IgG1抗体と比較して、Fc受容体との結合親和性が低下し、エフェクター機能が低下している。よって、いくつかの実施態様では、本発明の融合タンパク質に含まれる前記IgGクラス抗体は、IgG4サブクラス抗体、特にヒトIgG4サブクラス抗体である。一実施態様では、前記IgG4サブクラス抗体は、S228位にてFc領域中にアミノ酸置換、具体的にアミノ酸置換S228Pを含む。Fc受容体との結合親和性及び/又はエフェクター機能をさらに低減するために、一実施態様では、前記IgG4サブクラス抗体は、L235位にてアミノ酸置換、具体的にアミノ酸置換L235Eを含む。別の実施態様では、前記IgG4サブクラス抗体は、P329位にてアミノ酸置換、具体的にアミノ酸置換P329Gを含む。特定の実施態様では、前記IgG4サブクラス抗体は、S228位、L235位及びP329位にてアミノ酸置換、具体的にアミノ酸置換S228P、L235E及びP329Gを含む。このような改変IgG4サブクラス抗体及びそれらのFcγ受容体結合特性は、PCT国際公開第2012/130831号(その全体が出典明示により本明細書に援用されている)に記載されている。

0080

本発明の抗体は、例えば治療用の特に有利ないくつかの特性を併せ持っている。

0081

一実施態様では、前記IgGクラス抗体は、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)と特異的に結合できる。FAPは、本発明の融合タンパク質を用いる炎症性疾患の治療のための適切な標的として同定されている。具体的な実施態様では、融合タンパク質は、FAPと、表面プラズモン共鳴(SPR)により25℃にて測定した場合に、1nMより小さく、特に100pMより小さい親和性定数(KD)で結合できる。SPRによりFAPとの結合親和性を測定するための方法は、本明細書に記載する。一実施態様では、融合タンパク質の親和性(KD)は、ProteOn XPR36装置(Biorad)を25℃にて、GLMチップと共有結合した抗His抗体により固定化されたHisタグ付加FAP抗原とともに用いてSPRにより測定する。例示的な方法では、標的タンパク質(FAP)を、そのH6タグを介して、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(EDC)とN−ヒドロキシスクシンイミド(sNHS)との新しく調製した混合物を用いて全てのチャネルを5分間同時に活性化し、その後に、10mM酢酸ナトリウム緩衝液pH4.5中の15μg/ml抗ペンタHisIgG(Qiagen#34660、マウスモノクローナル抗体)を180秒間注入することにより、GLMチップの別々の垂直チャネルに30μl/minにて高レベル(〜5.000RUまで)で固定化された、共有的に固定化された抗ペンタHis IgGにより捕捉する。チャネルを、エタノールアミンを5分間注入することによりブロックする。His6タグ付加FAPを、垂直チャネルに沿って60秒間、30μl/minでランニング緩衝液中の5μg/mlの希釈物から捕捉し、〜250から600RUの間のリガンド密度を達成する。ワンショットカイネティックアッセイの構成(OSK)では、融合タンパク質を分析物として、水平チャネルに沿って、50から0.08nMまでの系列5倍希釈で、100μl/minにて注入する。会合段階は180秒間、解離段階は600秒間記録する。非常に遅いオフレートを示す相互作用の場合、オフレートの記録は、複合体の解離を観察するために1800秒まで延長する。ランニング緩衝液(PBST)を第6のチャネルに沿って注入して、参照のための「列内」ブランクとする。会合速度(kon)及び解離速度(koff)は、単純な1対1ラングミュア結合モデル(ProteOnマネージャソフトウェアバージョン2.1)を用いて、会合及び解離センサーグラムを同時にフィッティングすることにより算出する。平衡解離定数(KD)は、koff/konの比として算出する。

0082

一実施態様では、前記FAPは、ヒト、マウス及び/又はカニクイザルFAPである。好ましくは、本発明の融合タンパク質に含まれるIgGクラス抗体は、ヒト並びにカニクイザル及び/又はマウスFAPと交差反応性であり、このことにより、例えばヒトでの使用の前にカニクイザル及び/又はマウスでインビボ研究ができる。

0083

具体的な実施態様では、前記IgGクラス抗体は、配列番号37の重鎖CDR(HCDR)1と、配列番号41のHCDR2と、配列番号49のHCDR3と、配列番号53の軽鎖CDR(LCDR)1と、配列番号57のLCDR2と、配列番号61のLCDR3とを含む。さらにより具体的な実施態様では、前記IgGクラス抗体は、配列番号63の重鎖可変領域(VH)と、配列番号65の軽鎖可変領域(VL)とを含む。別の特定の具体的な実施態様では、前記IgGクラス抗体は、配列番号37のHCDR1と、配列番号43のHCDR2と、配列番号47のHCDR3と、配列番号51のLCDR1と、配列番号55のLCDR2と、配列番号59のLCDR3とを含む。さらにより具体的な実施態様では、前記IgGクラス抗体は、配列番号67のVHと、配列番号69のVLとを含む。実施例に示すように、これらの抗体は、ヒト、マウス及びカニクイザルFAPとの特に強い結合親和性/アビディティーを示す。

0084

さらに具体的な実施態様では、前記IgGクラス抗体は、配列番号39のHCDR1と、配列番号45のHCDR2と、配列番号49のHCDR3と、配列番号53の軽鎖CDR(LCDR)1と、配列番号57のLCDR2と、配列番号61のLCDR3とを含む。さらにより具体的な実施態様では、前記IgGクラス抗体は、配列番号71のVHと配列番号73のVLとを含む。別の具体的な実施態様では、前記IgGクラス抗体は、配列番号37のHCDR1と、配列番号41のHCDR2と、配列番号47のHCDR3と、配列番号51のLCDR1と、配列番号55のLCDR2と、配列番号59のLCDR3とを含む。さらにより具体的な実施態様では、前記IgGクラス抗体は、配列番号75のVHと、配列番号77のVLとを含む。

0085

一実施態様において、融合タンパク質は、IL−10受容体−1(IL−10R1)と、SPRにより25℃にて測定した場合に、約100pMから約10nM、特に約200pmから約5nM、又は約500pMから約2nMの親和性定数(KD)で結合できる。SPRによりIL−10R1との結合親和性を測定するための方法は、本明細書に記載する。一実施態様では、融合タンパク質の親和性(KD)は、ProteOn XPR36装置(Biorad)を25℃にて、ニュートラアビジン捕捉によりNLCチップに固定化したビオチン化IL−10R1とともに用いてSPRにより測定する。例示的な方法では、400から1600RUの間のIL−10R1が、垂直チャネルに沿って10μg/mlの濃度及び30μl/secの流速にて様々な接触時間でニュートラアビジン誘導体化チップマトリクスに捕捉される。ビオチン化IL10R1との結合は、6つの異なる分析物濃度(50、10、2、0.4、0.08、0nM)にて、水平方向への100μl/minでの注入により測定し、会合速度を180秒間、解離速度を600秒間記録する。ランニング緩衝液(PBST)は、第6のチャネルに沿って注入して、参照のための「列内」ブランクとする。会合速度(kon)及び解離速度(koff)は、単純な1対1ラングミュア結合モデル(ProteOnマネージャソフトウェアバージョン2.1)を用いて、会合及び解離センサーグラムを同時にフィッティングすることにより算出する。平衡解離定数(KD)は、koff/konの比として算出する。

0086

具体的な実施態様では、前記IL−10R1は、ヒトIL−10R1である。一実施態様では、IL−10R1との結合についての前記親和性定数(KD)は、SPRにより25℃にて測定した場合に、FAPとの結合についての前記親和性定数(KD)より大きい。具体的な実施態様では、IL−10R1との結合についての前記KDは、FAPとの結合についての前記KDよりも1.5倍、約2倍、約3倍、又は約5倍大きい。本発明の融合タンパク質のFAP及びIL−10R1との結合についてのKDの値の特定の比により、FAP発現組織へのIL−10の効率的な標的化のためにそれらが特に最適になる。理論に結び付けられることを望まないが、本発明の融合タンパク質は、FAPとの結合親和性がIL−10R1とのそれらの結合親和性よりも高いので、FAP発現標的組織に到達する前に標的組織以外(例えば循環内)でIL−10R1発現細胞と結合する可能性が少ない。

0087

特定の態様では、本発明は、FAPと特異的に結合でき、改変を有さない対応するヒトIgG1サブクラス抗体と比較してFc受容体との抗体の結合親和性を低減する改変を含むヒトIgG1サブクラス抗体と、野生型IL−10分子と比較して、IL−10受容体との変異体IL−10分子の結合親和性を低減させるアミノ酸変異を含む変異体IL−10分子との融合タンパク質であって、融合タンパク質が、2つの同一の重鎖ポリペプチド(それぞれが、ヒトIgG1サブクラス抗体重鎖のC末端にN末端にて融合した変異体IL−10単量体を含む)と2つの同一の軽鎖ポリペプチドとを含む融合タンパク質を提供する。

0088

一実施態様において、前記重鎖ポリペプチドは、配列番号96の配列に対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一である配列を含む。一実施態様において、前記軽鎖ポリペプチドは、配列番号25の配列に対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一である配列を含む。

0089

特定の実施態様において、前記融合タンパク質は、配列番号96のポリペプチドに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99% 又は100%同一である重鎖ポリペプチド、及び配列番号25のポリペプチドに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一である軽鎖ポリペプチドを含む。 さらに特定の実施態様において、前記融合タンパク質は、配列番号96のポリペプチドに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99% 又は100%同一である2つの重鎖ポリペプチド、及び配列番号25のポリペプチドに対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一である2つの軽鎖ポリペプチドを含む。

0090

ポリヌクレオチド
本発明は、本明細書に記載する融合タンパク質又はその抗原結合断片をコードするポリヌクレオチドをさらに提供する。

0091

本発明のポリヌクレオチドは、配列番号26、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、89、97及び99に示す配列(その機能的断片又はバリアントを含む)と少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%同一であるものを含む。本発明の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドは、融合タンパク質全体をコードする単一ポリヌクレオチドとして、又は同時発現される複数(例えば2以上)のポリヌクレオチドとして発現できる。同時発現されるポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドは、例えばジスルフィド結合又はその他の手段により会合して、機能的融合タンパク質を形成してよい。例えば、抗体の軽鎖部分は、抗体の重鎖部分とは別のポリヌクレオチドによりコードされてよい。同時発現される場合、重鎖ポリペプチドは、軽鎖ポリペプチドと会合して、抗体を形成する。

0092

一実施態様では、本発明は、IgGクラス抗体と変異体IL−10分子との融合タンパク質又はその抗原結合断片をコードするポリヌクレオチドであって、配列番号63、65、67、69、71、73、75又は77に示す可変領域配列をコードする配列を含むポリヌクレオチドに向けられる。別の実施態様では、本発明は、IgGクラス抗体と変異体IL−10分子との融合タンパク質又はその断片をコードするポリヌクレオチドであって、配列番号25又は96に示すポリペプチド配列をコードする配列を含むポリヌクレオチドに向けられる。別の実施態様では、本発明は、IgGクラス抗体と変異体IL−10分子との融合タンパク質又はその断片をコードするポリヌクレオチドであって、配列番号26、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78又は89に示す核酸配列と少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である配列を含むポリヌクレオチドにさらに向けられる。別の実施態様では、本発明は、IgGクラス抗体と変異体IL−10分子との融合タンパク質又はその断片をコードするポリヌクレオチドであって、配列番号2、6、8、10、18、26、28、30、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、89、97又は99に示す核酸配列を含むポリヌクレオチドに向けられる。別の実施態様では、本発明は、IgGクラス抗体と変異体IL−10分子との融合タンパク質又はその断片をコードするポリヌクレオチドであって、配列番号63、65、67、69、71、73、75又は77のアミノ酸配列と少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である可変領域配列をコードする配列を含むポリヌクレオチドに向けられる。別の実施態様では、本発明は、IgGクラス抗体と変異体IL−10分子との融合タンパク質又はその断片をコードするポリヌクレオチドであって、配列番号25又は96のアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるポリペプチド配列をコードする配列を含むポリヌクレオチドに向けられる。本発明は、IgGクラス抗体と変異体IL−10分子との融合タンパク質又はその断片をコードするポリヌクレオチドであって、保存的アミノ酸置換を有する配列番号63、65、67、69、71、73、75又は77の可変領域配列をコードする配列を含むポリヌクレオチドを包含する。本発明は、IgGクラス抗体と変異体IL−10分子との融合タンパク質又はその断片をコードするポリヌクレオチドであって、保存的アミノ酸置換を有する配列番号25又は96のポリペプチド配列をコードする配列を含むポリヌクレオチドも包含する。

0093

ある種の実施態様では、ポリヌクレオチド又は核酸は、DNAである。他の実施態様では、本発明のポリヌクレオチドは、例えばメッセンジャーRNAmRNA)の形のRNAである。本発明のRNAは、1本鎖又は2本鎖であってよい。

0094

組換え方法
本発明の融合タンパク質は、例えば、固体状態ペプチド合成(例えばメリフィールド固相合成)又は組換え生成により得ることができる。組換え生成のために、例えば上記のような融合タンパク質(断片)をコードする1又は複数のポリヌクレオチドを単離し、宿主細胞でのさらなるクローニング及び/又は発現のための1又は複数のベクターに挿入する。このようなポリヌクレオチドは、従来の手順を用いて容易に単離及び配列決定できる。一実施態様では、本発明のポリヌクレオチドの1又は複数を含むベクター、好ましくは発現ベクターが提供される。当業者に周知の方法を用いて、融合タンパク質(断片)のコード配列を適当な転写/翻訳コントロールシグナルとともに含有する発現ベクターを構築できる。これらの方法は、インビトロ組換えDNA技術、合成技術及びインビボ組換え/遺伝子組換えを含む。例えば、Maniatis等、MOLECULAR CLONING:A LABORATORYMANUAL、Cold Spring Harbor Laboratory,N.Y.(1989);及びAusubel等、CURRNTPROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY、Greene Publishing Associates and Wiley Interscience,N.Y(1989)に記載される技術を参照されたい。発現ベクターは、プラスミドウイルスの一部であり得るか、又は核酸断片であってよい。発現ベクターは、融合タンパク質(断片)をコードするポリヌクレオチド(すなわちコード領域)がプロモーター及び/又はその他の転写若しくは翻訳コントロールエレメントと作動可能に会合してクローニングされた発現カセットを含む。本明細書で用いる場合、「コード領域」は、アミノ酸に翻訳されるコドンからなる核酸の一部分である。「停止コドン」(TAG、TGA又はTAA)はアミノ酸に翻訳されないが、存在するならばコード領域の一部と考えることができるが、いずれのフランキング配列、例えばプロモーター、リボソーム結合部位転写ターミネーターイントロン、5’及び3’非翻訳領域などは、コード領域の一部でない。2以上のコード領域は、単一ポリヌクレオチド構築物中、例えば単一ベクター、又は別々のポリヌクレオチド構築物中、例えば別々の(異なる)ベクターに存在できる。さらに、いずれのベクターも、単一コード領域を含有するか、又は2以上のコード領域を含んでよく、例えば本発明のベクターは、タンパク質切断により最終タンパク質に翻訳後又は翻訳と同時に分けられる1又は複数のポリペプチドをコードしてよい。さらに、本発明のベクター、ポリヌクレオチド又は核酸は、本発明の融合タンパク質(断片)又はそのバリアント若しくは誘導体をコードするポリヌクレオチドに融合しているか又は融合していない異種コード領域をコードしてよい。異種コード領域は、限定することなく、分泌シグナルペプチド又は異種機能的ドメインのような専門のエレメント又はモチーフを含む。作動可能な会合は、遺伝子生成物、例えばポリペプチドのコード領域が、1又は複数の調節配列と、遺伝子生成物の発現が調節配列の影響又はコントロールの下にあるように結合している場合である。2つのDNA断片(例えばポリペプチドコード領域とそれと会合するプロモーター)は、プロモーター機能の誘導が所望の遺伝子生成物をコードするmRNAの転写をもたらし、2つのDNA断片の間の連結の性質が遺伝子生成物の発現を駆動する発現調節配列の能力に干渉せず、転写されるDNA鋳型の能力に干渉しないならば、「作動可能に会合」している。よって、プロモーター領域は、ポリペプチドをコードする核酸と、プロモーターが核酸の転写をもたらすことができたならば、作動可能に会合している可能性がある。プロモーターは、所定の細胞においてのみDNAの実質的な転写を駆動できる細胞特異的プロモーターであってよい。プロモーター以外のその他の転写コントロールエレメント、例えばエンハンサーオペレーターリプレッサー及び転写終結シグナルは、細胞特異的転写を駆動するようにポリヌクレオチドと作動可能に会合できる。適切なプロモーター及びその他の転写コントロール領域は、本明細書に開示する。様々な転写コントロール領域が当業者に公知である。これらは、限定することなく、それらに限定されないが、サイトメガロウイルスからのプロモーター及びエンハンサーセグメント(例えばイントロンAと連携する最初期プロモーター)、サルウイルス40(例えば初期プロモーター)及びレトロウイルス(例えばラウス肉腫ウイルス)のような脊椎動物細胞において機能する転写コントロール領域を含む。その他の転写コントロール領域は、アクチン熱ショックタンパク質ウシ成長ホルモン及びウサギa−グロビンのような脊椎動物遺伝子に由来するもの、並びに真核生物細胞において遺伝子発現をコントロールできるその他の配列を含む。さらなる適切な転写コントロール領域は、組織特異的プロモーター及びエンハンサー並びに誘導性プロモーターテトラサイクリンを誘導できるプロモーター(promoters inducible tetracyclins))を含む。同様に、様々な翻訳コントロールエレメントが当業者に公知である。これらは、それらに限定されないが、リボソーム結合部位、翻訳開始及び終結コドン、並びにウイルス系に由来するエレメント(特に配列内リボソーム進入部位又はIRES、CITE配列ともよばれる)を含む。発現カセットは、複製起源、及び/又はレトロウイルス末端反復配列LTR)若しくはアデノ随伴ウイルス(AAV)末端逆位配列(ITR)のような染色体組み込みエレメントのようなその他の特長も含んでよい。

0095

本発明のポリヌクレオチド及び核酸コード領域は、本発明のポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドの分泌を駆動する分泌又はシグナルペプチドをコードするさらなるコード領域と会合してよい。例えば、融合体の分泌が所望される場合、シグナル配列をコードするDNAを、本発明の融合タンパク質をコードする核酸又はその断片の上流に置くことができる。シグナル仮説に従って、哺乳動物細胞により分泌されるタンパク質は、成長するタンパク質鎖粗面小胞体を横切って一旦運び出され始めると成熟タンパク質から切断されるシグナルペプチド又は分泌リーダー配列を有する。当業者は、脊椎動物細胞により分泌されるポリペプチドが、通常、ポリペプチドのN末端に融合されたシグナルペプチドを有することを承知しており、これは、翻訳されたポリペプチドから切断されてポリペプチドの分泌又は「成熟」形を生成する。ある種の実施態様では、天然シグナルペプチド、例えば免疫グロブリン重鎖若しくは軽鎖シグナルペプチド、又は作動可能に会合したポリペプチドの分泌を駆動する能力を保持するその配列の機能的誘導体を用いる。代わりに、異種哺乳動物シグナルペプチド又はその機能的誘導体を用いてよい。例えば、野生型リーダー配列を、ヒト組織プラスミノゲンアクチベーターTPA)又はマウスβ−グルクロニダーゼのリーダー配列で置換してよい。例示的な分泌シグナルペプチドのアミノ酸及びヌクレオチド配列を、それぞれ配列番号35及び36に示す。

0096

後工程での精製を容易にする(例えばヒスチジンタグ)か又は融合タンパク質の標識化支援するために用いることができる短いタンパク質配列をコードするDNAを、融合タンパク質(断片)をコードするポリヌクレオチド内又はその端に含めてよい。

0097

さらなる実施態様では、本発明の1又は複数のポリヌクレオチドを含む宿主細胞が提供される。ある種の実施態様では、本発明の1又は複数のベクターを含む宿主細胞が提供される。ポリヌクレオチド及びベクターは、それぞれポリヌクレオチド及びベクターに関して本明細書に記載する任意の特長を、単独又は組み合わせで組み込むことができる。このような一実施態様では、宿主細胞は、本発明の融合タンパク質(の一部)をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを含む(例えばベクターで形質転換又はトランスフェクトされている)。本明細書で用いる場合、用語「宿主細胞」は、本発明の融合タンパク質又はその断片を作り出すように工学的に操作できる任意の種類の細胞系のことをいう。融合タンパク質を複製し、その発現を支持するために適切な宿主細胞は、当該技術において周知である。このような細胞は、特定の発現ベクターで適当であればトランスフェクト又は形質導入されてよく、大量のベクター含有細胞を、大規模発酵槽播種するために成長させて、十分な量の臨床用の融合タンパク質を得ることができる。適切な宿主細胞は、大腸菌のような原核微生物、又はチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、昆虫細胞のような様々な真核生物細胞などを含む。例えば、ポリペプチドは、特に糖鎖付加が必要でない場合に細菌で生成できる。発現後に、ポリペプチドを、可溶性画分中の細菌細胞ペーストから単離して、さらに精製できる。原核生物に加えて、部分的又は完全にヒトの糖鎖付加パターンを有するポリペプチドの生成をもたらす、糖鎖付加経路が「ヒト化」された真菌及び酵母菌株を含む糸状菌又は酵母のような真核微生物は、ポリペプチドをコードするベクターの適切なクローニング又は発現宿主である。Gerngross、Nat Biotech 22、1409−1414(2004)及びLi等、Nat Biotech 24、210−215(2006)を参照されたい。(糖鎖付加)ポリペプチドの発現のために適切な宿主細胞は、多細胞生物無脊椎動物及び脊椎動物)にも由来する。無脊椎動物細胞の例は、植物及び昆虫細胞を含む。特にヨトウガ(Spodoptera frugiperda)細胞のトランスフェクションのための、昆虫細胞と連携して用いることができる多くのバキュロウイルス株が同定されている。植物細胞培養物宿主として利用できる。例えば米国特許5959177号、6040498号、6420548号、7125978号及び6417429号(トランスジェニック植物における抗体の生成のためのPLANTIBODIES(商標)技術について記載している)を参照されたい。脊椎動物細胞も宿主として用いてよい。例えば懸濁物として成長するように適合された哺乳動物細胞株が有用であり得る。有用な哺乳動物宿主細胞株のその他の例は、SV40により形質転換されたサル腎臓CV1系統(COS−7);ヒト胚性腎臓系統(例えばGraham等, J Gen Virol 36, 59 (1977)に記載されるような293又は293T細胞)、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK)、マウスセルトリ細胞(例えばMather, Biol Reprod 23, 243-251 (1980)に記載されるようなTM4細胞)、サル腎臓細胞(CV1)、アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO−76)、ヒト子宮頚癌細胞(HELA)、イヌ腎臓細胞(MDCK)、バッファローラット肝臓細胞BRL3A)、ヒト肺細胞(W138)、ヒト肝臓細胞(HepG2)、マウス乳房腫瘍細胞(MMT060562)、TRI細胞(例えばMather等, Annals N.Y. Acad Sci 383, 44-68 (1982)に記載されるような)、MRC5細胞及びFS4細胞である。その他の有用な哺乳動物宿主細胞株は、dhfr−CHO細胞(Urlaub等, Proc Natl Acad Sci USA 77, 4216 (1980))を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞;並びにYO、NS0、P3X63及びSp2/0のような骨髄腫細胞株である。タンパク質生成に適切なある種の哺乳動物宿主細胞株のレビューのために、例えばYazaki及びWu、Methodsin Molecular Biology、第248巻(B.K.C.Lo編、Humana Press、Totowa、NJ)、p.255−268(2003)を参照されたい。宿主細胞は、培養細胞、ほんの数例を挙げれば例えば哺乳動物培養細胞、酵母細胞、昆虫細胞、細菌細胞及び植物細胞、そしてトランスジェニック動物、トランスジェニック植物又は培養植物若しくは動物組織に含まれる細胞も含む。一実施態様では、宿主細胞は、真核生物細胞、好ましくはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ヒト胚性腎臓(HEK)細胞又はリンパ系細胞(例えばY0、NS0、Sp20細胞)のような哺乳動物細胞である。

0098

これらの系において外来遺伝子を発現するための標準的な技術は、当該技術において公知である。抗体の重鎖又は軽鎖のいずれかを含むポリペプチドを発現する細胞を工学的に操作して、発現された生成物が重鎖と軽鎖の両方を有するように抗体鎖の他方も発現するようにしてよい。

0099

一実施態様では、本発明による融合タンパク質を生成する方法であって、本明細書で提供する融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞を、融合タンパク質の発現に適切な条件下で培養することと、融合タンパク質を宿主細胞(又は宿主細胞培養培地)から回収することとを含む方法が提供される。

0100

本発明の融合タンパク質では、成分(IgGクラス抗体及びIL−10分子)は、互いに遺伝子的に融合されている。融合タンパク質は、その成分が互いに直接又はリンカー配列を介して間接的に融合されるように設計できる。リンカー組成及び長さは、当該技術において周知の方法に従って決定してよく、有効性について試験してよい。所望であれば融合タンパク質の個別の成分を分ける切断部位、例えばエンドペプチダーゼ認識配列を組み込むようにさらなる配列を含んでもよい。

0101

ある種の実施態様では、本発明の融合タンパク質は、FAPのような抗原と結合できる抗体可変領域を少なくとも含む。可変領域は、自然に存在するか又は自然に存在しない抗体及びその断片の一部を形成でき、それらに由来できる。ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体を生成する方法は、当該技術において周知である(例えばHarlow及びLane, 「Antibodies, a laboratory manual」, Cold Spring Harbor Laboratory, 1988を参照されたい)。自然に存在しない抗体は、固相ペプチド合成により構築できるか、組換えにより生成できるか(例えば米国特許4186567号に記載されるように)、又は例えば可変重鎖及び可変軽鎖を含むコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングすることにより得ることができる(例えばMcCaffertyへの米国特許5969108号を参照されたい)。

0102

任意の動物種の抗体を本発明において用いることができる。本発明において有用な非限定的な抗体は、マウス、霊長類又はヒトを起源とするものであり得る。抗体がヒトでの使用を意図する場合、抗体の定常領域がヒトからであるキメラ形の抗体を用いてよい。ヒト化又は完全にヒト形の抗体も、当該技術において周知の方法に従って調製できる(例えばWinterへの米国特許5565332号を参照されたい)。ヒト化は、それらに限定されないが、(a)重要なフレームワーク残基(例えば良好な抗原結合親和性又は抗体機能を保持するために重要なもの)を保持して又は保持せずに非ヒト(例えばドナー抗体)CDRをヒト(例えばレシピエント抗体)フレームワーク及び定常領域にグラフト化すること、(b)非ヒト特異性決定領域(SDR又はa−CDR;抗体−抗原相互作用のために重要な残基)だけをヒトフレームワーク及び定常領域にグラフト化すること、又は(c)非ヒト可変ドメイン全体を移すが、表面残基を置き換えることによりヒト様部分でそれらを「覆う」ことを含む様々な方法により達成してよい。ヒト化抗体及びそれらを作製する方法は、例えばAlmagro及びFransson、Front Biosci 13、1619−1633(2008)でレビューされ、例えばRiechmann等、Nature 332、323−329(1988);Queen等、Proc Natl Acad Sci USA 86、10029−10033(1989);米国特許5821337号、7527791号、6982321号及び7087409号;Jones等、Nature 321、522−525(1986);Morrison等、Proc Natl Acad Sci 81、6851−6855(1984);Morrison及びOi、Adv Immunol 44、65−92(1988);Verhoeyen等、Science 239、1534−1536(1988);Padlan、Molec Immun 31(3)、169−217(1994);Kashmiri等、Methods36、25−34(2005)(SDR(a−CDR)グラフト化について記載);Padlan、Mol Immunol 28、489−498(1991)(「再表面形成」について記載);Dall’Acqua等、Methods 36、43−60(2005)(「FRシャッフリング」について記載);並びにOsbourn等、Methods 36、61−68(2005)及びKlimka等、Br J Cancer 83、252−260(2000)(FRシャッフリングのための「誘導選択」アプローチについて記載)にさらに記載されている。本発明による抗体は、特に、ヒト抗体である。ヒト抗体及びヒト可変領域は、当該技術において公知の様々な技術を用いて生成できる。ヒト抗体は、van Dijk及びvan de Winkel、Curr Opin Pharmacol 5、368−74(2001)並びにLonberg、Curr Opin Immunol 20、450−459(2008)に一般的に記載されている。ヒト可変領域は、ハイブリドーマ法により作製されるヒトモノクローナル抗体の一部を形成でき、該抗体から導くことができる(例えばMonoclonal Antibody Production Techniques and Applications, p. 51-63 (Marcel Dekker, Inc., New York, 1987)を参照されたい)。ヒト抗体及びヒト可変領域は、抗原での負荷に応答してインタクトなヒト抗体又はヒト可変領域を有するインタクトな抗体を生成するように改変されたトランスジェニック動物に免疫原を投与することにより調製してもよい(例えばLonberg, Nat Biotech 23, 1117-1125 (2005)を参照されたい)。ヒト抗体及びヒト可変領域は、ヒト由来ファージディスプレイライブラリーから選択したFvクローン可変領域配列を単離することによっても作り出すことができる(例えばMethods in Molecular Biology 178, 1-37 (O’Brien等編, Human Press, Totowa, NJ, 2001)中のHoogenboom等;及びMcCafferty等, Nature 348, 552-554;Clackson等, Nature 352, 624-628 (1991)を参照されたい)。ファージは、典型的に、単鎖Fv(scFv)断片として又はFab断片として抗体断片を提示する。ファージディスプレイによる抗体の調製についての詳細な記載は、国際公開第2012/020006号(これは、その全体が出典明示により本明細書に援用されている)に添付された実施例で見出すことができる。

0103

ある種の実施態様では、本発明の融合タンパク質に含まれる抗体は、例えばPCT国際公開第2012/020006号(親和性成熟に関する実施例を参照されたい)又は米国特許出願公開第2004/0132066号(これらの内容全体は、出典明示により本明細書に援用されている)に開示される方法に従って結合親和性を増進するように工学的に操作されている。特定の抗原決定基と結合する本発明の抗体の能力は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)又は当業者が熟知しているその他の技術、例えば表面プラズモン共鳴技術(Liljeblad,等, Glyco J 17, 323-329 (2000))及び伝統的な結合アッセイ(Heeley, Endocr Res 28, 217-229 (2002))のいずれかにより測定できる。競合アッセイを用いて、特定の抗原との結合について参照抗体競合する抗体、例えばFAPとの結合について4G8抗体と競合する抗体を同定してよい。ある種の実施態様では、このような競合抗体は、参照抗体が結合するのと同じエピトープ(例えば直鎖状又は立体構造エピトープ)と結合する。抗体が結合するエピトープをマッピングするための詳細な例示的方法は、Methodsin Molecular Biology第66巻(Humana Press, Totowa, NJ)中のMorris(1996)「Epitope MappingProtocols」に示されている。例示的な競合アッセイでは、固定化抗原(例えばFAP)を、抗原と結合する第1の標識抗体(例えば4G8抗体)及び抗原との結合について第1の抗体と競合するその能力について試験される第2の未標識抗体を含む溶液中でインキュベートする。第2の抗体は、ハイブリドーマ上清中に存在してよい。コントロールとして、固定化抗原を、第1の標識抗体を含むが第2の未標識抗体を含まない溶液中でインキュベートする。第1抗体と抗原との結合を許容する条件下でのインキュベーションの後に、過剰の未結合抗体を除去し、固定化抗原と会合した標識の量を測定する。固定化抗原と会合した標識の量が、コントロール試料と比較して試験試料中で実質的に低下するならば、このことは、第2の抗体が抗原との結合について第1の抗体と競合することを示す。Harlow及びLane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual ch.14(Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY)を参照されたい。

0104

本明細書に記載するようにして調製した融合タンパク質は、高性能液体クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーゲル電気泳動、親和性クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィーなどのような当該技術において公知の技術により精製してよい。特定のタンパク質を精製するために用いる実際の条件は、部分的に、正味電荷、疎水性、親水性などの因子に依存し、当業者に明らかである。親和性クロマトグラフィー精製のために、融合タンパク質が結合する抗体、リガンド、受容体又は抗原を用いることができる。例えば、本発明の融合タンパク質の親和性クロマトグラフィー精製のために、プロテインA又はプロテインGを有するマトリクスを用いてよい。プロテインA又はG親和性クロマトグラフィーとサイズ排除クロマトグラフィーとを連続的に用いて、実施例に本質的に記載するようにして融合タンパク質を単離できる。融合タンパク質の純度は、ゲル電気泳動、高圧液体クロマトグラフィーなどを含む様々な周知の分析方法のいずれによっても決定できる。例えば、実施例に記載するようにして発現させた融合タンパク質は、インタクトであり、還元及び非還元SDS−PAGEにより実証されるように(例えば図2、5を参照されたい)正しく組み立てられることが示された。

0105

組成物、製剤及び投与の経路
さらなる態様では、本発明は、例えば以下の治療方法のいずれかで用いるための本明細書に記載する融合タンパク質のいずれかを含む薬学的組成物を提供する。一実施態様では、薬学的組成物は、本明細書で提供する融合タンパク質のいずれかと薬学的に許容可能な担体とを含む。別の実施態様では、薬学的組成物は、本明細書で提供する融合タンパク質のいずれかと、例えば以下に記載するような少なくとも1つのさらなる治療剤とを含む。

0106

(a)本発明に従って融合タンパク質を得ることと、(b)融合タンパク質と少なくとも1つの薬学的に許容可能な担体とを処方することにより、融合タンパク質の調製物をインビボ投与用に処方することを含む、インビボ投与用に適切な形での本発明の融合タンパク質を生成する方法がさらに提供される。

0107

本発明の薬学的組成物は、薬学的に許容可能な担体に溶解又は分散された治療有効量の1又は複数の融合タンパク質を含む。「薬学的又は薬理学的に許容される」とのは、用いる投与量及び濃度にてレシピエントにとって一般的に非毒性である、すなわち例えば適当であればヒトのような動物に投与した場合に有害な、アレルギー性の又はその他の不適当な反応を生じない分子体及び組成物のことをいう。少なくとも1つの融合タンパク質と任意選択的にさらなる活性成分とを含有する薬学的組成物の調製は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、Mack Printing Company、1990(出典明示により本明細書に援用されている)に例示されるように、本開示に鑑みて当業者に公知である。さらに、動物(例えばヒト)投与のために、調製物は、FDA生物学的製剤基準局又は他国での対応する機関により必要とされる無菌性発熱性、一般的な安全性及び純度の標準に合致すべきであることが理解される。好ましい組成物は、凍結乾燥製剤又は水性溶液である。本明細書で用いる場合、「薬学的に許容可能な担体」は、当業者に公知であるように(例えばRemington's Pharmaceutical Sciences,第18版Mack Printing Company, 1990, p. 1289-1329(出典明示により本明細書に援用されている)を参照されたい)、任意のそして全ての溶媒、緩衝液、分散媒コーティング界面活性剤抗酸化剤、保存剤(例えば抗菌剤抗真菌剤)、等張化剤、吸収遅延剤、塩、保存剤、抗酸化剤、タンパク質、薬物、薬物安定化剤、重合体、ゲル、結合剤、賦形剤、崩壊剤滑沢剤甘味剤香味剤色素などの材料及びそれらの組み合わせを含む。いずれかの慣習的な担体が活性成分と適合しないのでない限り、治療的又は薬学的組成物におけるその使用が期待される。

0108

組成物は、それが固体液体又はエアロゾルの形で投与されるか、及びそれが注射のような投与の経路のために滅菌される必要があるかに依存して、異なるタイプの担体を含むことがある。本発明の融合タンパク質(及び任意のさらなる治療剤)は、静脈内、皮内、動脈内、腹腔内、病巣内頭蓋内、関節内、前立腺内脾臓内腎臓内胸膜内気管内、内、硝子体内内、直腸内、腫瘍内、筋内、腹腔内、皮下、結膜下小胞内、粘膜、心膜内臍帯内、眼球内、経口、外用、局所、吸入(例えばエアロゾル吸入)により、注射、インフュージョン、連続インフュージョン、標的細胞に直接浴びせる局所的灌流カテーテルを介して、洗浄により、クリーム中で、脂質組成物(例えばリポソーム)中で、又は当業者に公知のその他の方法又は上記のいずれかの組み合わせで投与できる(例えばRemington's Pharmaceutical Sciences,第18版Mack Printing Company, 1990(出典明示により本明細書に援用されている)を参照されたい)。非経口投与、特に静脈内注射は、本発明の融合タンパク質のようなポリペプチド分子を投与するために最も一般的に用いられている。

0109

非経口組成物は、注射、例えば皮下、皮内、病巣内、静脈内、動脈内、筋内、くも膜下腔内又は腹腔内注射による投与のために設計されたものを含む。注射のために、本発明の融合タンパク質は、水性溶液、好ましくはハンクス液リンゲル液又は生理食塩緩衝液のような生理的に適合する緩衝液中で処方できる。溶液は、懸濁化剤、安定化剤及び/又は分散剤のような調合剤を含有してよい。代わりに、融合タンパク質は、適切なビヒクル、例えば滅菌パイロジェンフリー水で使用前に構成要素となるための粉末形であってよい。滅菌注射用溶液は、必要量の本発明の融合タンパク質を適当な溶媒中に、必要に応じて以下に挙げた様々なその他の成分とともに組み込むことにより調製される。無菌性は、例えば滅菌ろ過膜を通してろ過することにより容易に遂行できる。一般的に、分散体は、様々な滅菌活性成分を、基本的な分散媒及び/又はその他の成分を含有する滅菌ビヒクルに組み込むことにより調製される。滅菌注射用溶液、懸濁剤又はエマルジョン調製用の滅菌散剤の場合、好ましい調製方法は、活性成分と以前に滅菌ろ過されたその液状媒質からの任意のさらなる所望の成分との散剤を生じる真空乾燥又は凍結乾燥技術である。液状媒質は、必要ならば適切に緩衝されるべきであり、液状希釈剤は、まず、十分な生理食塩水又はグルコースを用いて注射の前に等張にされる。組成物は、製造及び貯蔵の条件下で安定でなければならず、細菌及び真菌のような微生物混入作用に対して保護されなければならない。内毒素混入は、安全レベルにて最小限に、例えば0.5ng/mgタンパク質未満に保つべきであることが認識される。適切な薬学的に許容可能な担体は、それらに限定されないが、リン酸塩クエン酸塩及びその他の有機酸のような緩衝液;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;保存剤(例えば塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム塩化ヘキサメトニウム塩化ベンザルコニウム塩化ベンゼトニウムフェノールブチル又はベンジルアルコールメチル又はプロピルパラベンのようなアルキルパラベンカテコールレゾルシノールシクロヘキサノール;3−ペンタノール;及びm−クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミンゼラチン又は免疫グロブリンのようなタンパク質;ポリビニルピロリドンのような親水性重合体;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン又はリジンのようなアミノ酸;グルコース、マンノース又はデキストリンを含む単糖類二糖類及びその他の炭水化物;EDTAのようなキレート化剤スクロースマンニトールトレハロース又はソルビトールのような糖類;ナトリウムのような塩形成性対イオン金属錯体(例えばZn−タンパク質錯体);並びに/あるいはポリエチレングリコール(PEG)のような非イオン界面活性剤を含む。水性注射用懸濁剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、デキストランなどのような懸濁剤の粘度を増加させる化合物を含有してよい。任意選択的に、懸濁剤は、適当な安定化剤又は化合物の溶解性を増加させて高濃度の溶液の調製を可能にする薬剤も含有してよい。さらに、活性化合物の懸濁剤は、油性注射用懸濁剤として調整してよい。適切な親油性溶媒又はビヒクルは、ごま油のような脂肪油又はエチルクリート(ethyl cleats)若しくはトリグリセリドのような合成脂肪酸エステル又はリポソームを含む。

0110

活性成分は、コロイド薬物送達系(例えばリポソーム、アルブミンマイクロスフェアマイクロエマルジョンナノ粒子及びナノカプセル)又はマクロエマルジョン中の、例えばコアセルベーション技術又は界面重合により調製されるマイクロカプセル、例えばそれぞれヒドロキシメチルセルロース又はゼラチンマイクロカプセル及びポリメタクリル酸メチル)マイクロカプセルに封入することができる。このような技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(第18版Mack Printing Company, 1990)に開示されている。持続放出調製物を調製してよい。持続放出調製物の適切な例は、ポリペプチドを含有する固体疎水性重合体半透過性マトリクス(マトリクスは、成形体、例えばフィルム又はマイクロカプセルの形である)を含む。特定の実施態様では、注射用組成物の長期の吸収は、例えばモノステアリン酸アルミニウム、ゼラチン又はそれらの組み合わせのような吸収遅延剤を組成物に用いることによりもたらすことができる。

0111

以前に記載した組成物に加えて、融合タンパク質は、デポー調製物として処方してもよい。このような長期間作用性製剤は、植え込み(例えば皮下又は筋内)又は筋内注射により投与してよい。よって、例えば、融合タンパク質は、適切な重合体材料若しくは疎水性材料(例えば許容される油中のエマルジョンとして)又はイオン交換樹脂を用いて、あるいはやや溶けにくい誘導体、例えばやや溶けにくい塩として処方してよい。

0112

本発明の融合タンパク質を含む薬学的組成物は、慣習的な混合、溶解、乳化被包、封入又は凍結乾燥プロセスにより製造してよい。薬学的組成物は、1又は複数の生理的に許容される担体、希釈剤、賦形剤又は薬学的に用いることができる、タンパク質を調製物に容易に加工できるようにする佐剤を用いて、慣習的な様式で処方してよい。適した製剤は、選択する投与の経路に依存する。

0113

融合タンパク質は、遊離の酸若しくは塩基、中性又は塩の形で組成物において処方してよい。薬学的に許容可能な塩は、遊離の酸又は塩基の生物活性を本質的に保持する塩である。これらは、酸付加塩、例えばタンパク質性組成物の遊離アミノ基を用いて形成されるものあるいは例えば塩酸若しくはリン酸のような無機酸又は酢酸シュウ酸酒石酸若しくはマンデル酸のような有機酸を用いて形成されるものを含む。遊離カルボキシ基を用いて形成される塩も、例えば水酸化ナトリウムカリウム、アンモニウム、カルシウム若しくは第二鉄のような無機塩基;又はイソプロピルアミントリメチルアミン、ヒスチジン若しくはプロカインのような有機塩基から導くことができる。薬学的な塩は、対応する遊離の塩基の形よりも、水性及びその他のプロトン性溶媒における溶解性がより高い傾向にある。

0114

治療方法及び組成物
本明細書で提供するいずれの融合タンパク質も、治療方法において用いてよい。
治療方法での使用のために、本発明の融合タンパク質は、医薬品製造管理基準に適合した方式で処方、用量決定及び投与される。この文脈において考慮する因子は、治療される特定の障害、治療される特定の哺乳動物、個別の患者の臨床状態、障害の原因、薬剤を送達する部位、投与方法投与計画及び医療従事者に公知のその他の因子を含む。

0115

一態様では、医薬として用いるための本発明の融合タンパク質が提供される。さらなる態様では、疾患の治療用の本発明の融合タンパク質が提供される。ある種の実施態様では、治療方法で用いるための本発明の融合タンパク質が提供される。一実施態様では、本発明は、治療を必要とする個体における疾患の治療用の本明細書で記載する融合タンパク質を提供する。ある種の実施態様では、本発明は、個体に治療有効量の融合タンパク質を投与することを含む疾患を有する個体を治療する方法で用いるための融合タンパク質を提供する。ある種の実施態様では、治療される疾患は、炎症性疾患である。例示的な炎症性疾患は、炎症性腸疾患(例えばクローン病又は潰瘍性大腸炎)及び関節リウマチを含む。特定の実施態様では、疾患は、炎症性腸疾患又は関節リウマチ、特に炎症性腸疾患、より特にはクローン病又は潰瘍性大腸炎である。別の特定の実施態様では、疾患は、特発性肺線維症である。ある種の実施態様では、方法は、個体に治療有効量の少なくとも1つのさらなる治療剤、例えば治療される疾患が炎症性疾患であるならば抗炎症剤を投与することをさらに含む。任意の上記の実施態様による「個体」は、哺乳動物、好ましくはヒトである。

0116

さらなる態様では、本発明は、治療を必要とする個体における疾患の治療用の医薬の製造又は調製における本発明の融合タンパク質の使用を提供する。一実施態様では、医薬は、疾患を有する個体に治療有効量の医薬を投与することを含む疾患を治療する方法において用いるためである。ある種の実施態様では、治療される疾患は、炎症性疾患である。特定の実施態様では、疾患は、炎症性腸疾患又は関節リウマチ、特に炎症性腸疾患、より特にはクローン病又は潰瘍性大腸炎である。別の特定の実施態様では、疾患は、特発性肺線維症である。一実施態様では、方法は、個体に治療有効量の少なくとも1つのさらなる治療剤、例えば治療される疾患が炎症性疾患であるならば抗炎症剤を投与することをさらに含む。任意の上記の実施態様による「個体」は、哺乳動物、好ましくはヒトである。

0117

さらなる態様では、本発明は、個体に治療有効量の本発明の融合タンパク質を投与することを含む、個体における疾患を治療するための方法を提供する。一実施態様では、薬学的に許容可能な形で本発明の融合タンパク質を含む組成物を前記個体に投与する。ある種の実施態様では、治療される疾患は、炎症性疾患である。特定の実施態様では、疾患は、炎症性腸疾患又は関節リウマチ、特に炎症性腸疾患、より特にはクローン病又は潰瘍性大腸炎である。別の特定の実施態様では、疾患は、特発性肺線維症である。ある種の実施態様では、方法は、個体に治療有効量の少なくとも1つのさらなる治療剤、例えば治療される疾患が炎症性疾患であるならば抗炎症剤を投与することをさらに含む。任意の上記の実施態様による「個体」は、哺乳動物、好ましくはヒトである。

0118

本発明の融合タンパク質は、診断薬としても有用である。抗原決定基との融合タンパク質の結合は、例えば融合タンパク質と結合した標識により又は本発明の融合タンパク質に特異的な標識2次抗体を用いることにより容易に検出できる。

0119

いくつかの実施態様では、有効量の本発明の融合タンパク質を細胞に投与する。他の実施態様では、治療有効量の本発明の融合タンパク質を、疾患の治療のために個体に投与する。

0120

疾患の防止又は治療のために、本発明の融合タンパク質の適当な投与量(単独又は1若しくは複数の他のさらなる治療剤との組み合わせで用いる場合)は、治療される疾患のタイプ、投与の経路、患者の体重、融合タンパク質のタイプ、疾患の重篤度及び経過、融合タンパク質が防止又は治療のいずれを目的として投与されるか、以前の又は現在の治療的介入、患者の臨床経歴及び融合タンパク質に対する応答、並びに担当医師慎重さに依存する。投与に責任を持つ医師は、いずれにしても、組成物中の活性成分の濃度及び個別の対象に対する適当な用量を決定する。本明細書において、それらに限定されないが、単回又は様々な時点にわたる複数回投与、急速投与及びパルスインフュージョンを含む様々な投与計画が期待される。

0121

融合タンパク質は、1回又は一連の治療にわたって患者に適切に投与される。疾患のタイプ及び重篤度に依存して、約1μg/kg−15mg/kg(例えば0.1mg/kg−10mg/kg)の融合タンパク質が、例えば1若しくは複数回の別々の投与又は連続インフュージョンのいずれによっても、患者への投与のための初期候補投与量であり得る。ある典型的な1日投与量は、上記の因子に依存して、約1μg/kgから100mg/kg以上までの範囲であり得る。状態に依存して数日以上にわたる反復投与のために、治療は、疾患症状が望ましく抑制されるまで、一般的に持続される。融合タンパク質のある例示的な投与量は、約0.005mg/kgから約10mg/kgまでの範囲である。その他の非限定的な例では、用量は、投与あたり約1μg/kg体重、約5μg/kg体重、約10μg/kg体重、約50μg/kg体重、約100μg/kg体重、約200μg/kg体重、約350μg/kg体重、約500μg/kg体重、約1mg/kg体重、約5mg/kg体重、約10mg/kg体重、約50mg/kg体重、約100mg/kg体重、約200mg/kg体重、約350mg/kg体重、約500mg/kg体重から約1000mg/kg体重以上まで、及びその中で導くことができる任意の範囲も含んでよい。本明細書で列挙する数から導くことができる範囲の非限定的な例では、上記の数に基づいて、約5mg/kg体重から約100mg/kg体重まで、約5μg/kg体重から約500mg/kg体重までなどの範囲を投与できる。よって、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、5.0mg/kg又は10mg/kg(又は任意のそれらの組み合わせ)の1又は複数回の用量を患者に投与してよい。このような用量は、間欠的、例えば毎週又は3週間ごとに投与してよい(例えば約2から約20又は例えば約6回の用量の融合タンパク質を患者が受けるように)。1又は複数回のより低い用量が後に続く初期のより高い負荷用量を投与してよい。しかし、他の投与計画が有用なことがある。この治療の進捗は、慣習的な技術及びアッセイにより容易にモニタリングされる。

0122

本発明の融合タンパク質は、一般的に、意図する目的を達成するために有効な量で用いられる。疾患状態を治療又は防止するために用いるために、本発明の融合タンパク質又はその薬学的組成物を、治療有効量で投与又は施用する。治療有効量の決定は、特に本明細書で提供する詳細な開示に鑑みて、十分に当業者の能力の範囲内である。

0123

全身投与のために、細胞培養アッセイのようなインビトロアッセイから治療有効量を初期に見積もることができる。次いで、動物モデルにおいて用量を処方して、細胞培養において決定されるIC50を含む循環濃度範囲を達成できる。このような情報を用いて、ヒトにおける有用な用量をさらに精密に決定できる。

0124

初期投与量は、当該技術において周知の技術を用いてインビボデータ、例えば動物モデルから見積もることができる。当業者は、動物データに基づいてヒトへの投与を容易に最適化できる。

0125

投与量及び間隔は、個別に調節して、治療効果を維持するために十分な融合タンパク質の血漿レベルをもたらすことができる。注射による投与のための通常の患者への投与量は、約0.1から50mg/kg/日まで、典型的に約0.5から1mg/kg/日までの範囲である。治療有効血漿レベルは、各日に複数回の用量を投与することにより達成してよい。血漿中のレベルは、例えばHPLCにより測定してよい。

0126

局所投与又は選択的取り込みの場合、融合タンパク質の有効局所濃度は、血漿濃度と関係しないことがある。当業者は、過度の実験を行うことなく、治療有効局所投与量を最適化できる。

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