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課題・解決手段

本発明は、病原体と、例えば、シアル酸を含有する細胞表面受容体の間の相互作用干渉もしくはブロックし、妨げおよび/または阻害することに加えて、ある種のシアル酸結合分子免疫調節特性を有するという知見に基づく。本発明は、宿主免疫応答の調節および/またはプライミングによる疾患の治療および/または予防において、シアル酸結合分子を利用する方法および使用を提供する。

概要

背景

非常に多数のウイルス、細菌および真菌病原体は、ヒトの健康への脅威であり、健康サービスにおける負担であり続けている1。特に懸念されるのはインフルエンザウイルスであり、最も顕著には、高病原性H5N1ウイルスが出現し、また最近トリ起源のH7N9ウイルスが出現したことである2。これらのウイルスは、ヒト伝播性を獲得する能力を発揮しており、健康脅威の増加を示す3-5。
ワクチンは予防の礎として残されているが、これらの新たな病原体に対する有効なワクチンを開発するにはかなりの時間を要する。抗菌剤抗ウイルス、特にインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ阻害剤および抗生物質を含む)が利用可能であるが、それらの有効性は、病原体が変異し、薬物耐性となる能力によって損なわれる可能性がある6,7。新しい治療アプローチの必要性があるのは明らかである。
「Engineering Multivalent Sialic Acid Recognition using the CBM40 module from Vibrio cholerae Sialidase」(2008年5月17日公開、http://www.biochem.emory.edu/conferences/glycot/Images/GlycoTProgram-Posters.pdfを参照)と題されるポスターは、多価性であることでシアル酸に対する親和性が増加した試薬の開発について記載している。しかしながら、そのポスターは、このような試薬が、病原体によって引き起こされる疾患および/または状態の治療に有用な免疫調節化合物として任意の用途を有することについては開示していない。

米国特許出願公開第20020054880号(Amstrongら)は、末端に連結されたα−シアル酸(2→6)βGal−および/またはα−シアル酸(2→3)βGal−基に結合し得るペプチド、および哺乳動物における免疫応答または細胞間相互作用阻害する方法におけるそれらの使用を記載する。シアル酸結合分子免疫刺激効果は開示されていない。

概要

本発明は、病原体と、例えば、シアル酸を含有する細胞表面受容体の間の相互作用干渉もしくはブロックし、妨げおよび/または阻害することに加えて、ある種のシアル酸結合分子が免疫調節特性を有するという知見に基づく。本発明は、宿主免疫応答の調節および/またはプライミングによる疾患の治療および/または予防において、シアル酸結合分子を利用する方法および使用を提供する。

目的

本発明は、対象における免疫応答の調節またはプライミングに使用するためのシアル酸結合分子を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

対象における免疫応答の調節またはプライミングに使用するためのシアル酸結合分子

請求項2

シアル酸結合分子が、1つまたは複数の免疫調節性化合物発現、機能および/または活性を調節する、請求項1に記載の使用のための、請求項1に記載のシアル酸結合分子。

請求項3

免疫調節性化合物が、ケモカインサイトカイン、ならびに/またはそれをコードするおよび/もしくはそれと関連する遺伝子/転写因子である、請求項2に記載の使用のための、請求項2に記載のシアル酸結合分子。

請求項4

免疫応答が、病原体によって引き起こされる感染または病原体が寄与する感染に対して保護する保護的免疫応答である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用のための、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシアル酸結合分子。

請求項5

病原体が、ウイルス、細菌および/または真菌の病原体である、請求項4に記載の使用のための、請求項4に記載のシアル酸結合分子。

請求項6

シアル酸結合分子が、インターロイキン1−β(IL1−β)、インターロイキン8(IL−8)、インターフェロン−γ(IFN−γ)および腫瘍壊死因子−α(TNF−α)の発現増加誘導する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用のための、請求項1〜5のいずれか1項に記載のシアル酸結合分子。

請求項7

シアル酸結合分子が、免疫系細胞動員、増殖および/または移動を調節する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用のための、請求項1〜6のいずれか1項に記載のシアル酸結合分子。

請求項8

シアル酸結合分子が、好中球の動員、増殖および/または移動を調節する、請求項7に記載の使用のための、請求項7に記載のシアル酸結合分子。

請求項9

対象における免疫応答の調節もしくはプライミングに使用するための、ならびに/あるいは対象における1つまたは複数のケモカインおよび/もしくはサイトカインの発現、機能および/または活性の刺激、増強もしくは増加に使用するためのシアル酸結合分子であって、前記対象は病原体を有するまたは病原体による感染の危険性がある、シアル酸結合分子。

請求項10

対象がヒトまたは動物対象である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の使用のための、請求項1〜9のいずれか1項に記載のシアル酸結合分子。

請求項11

対象が病原体特異的抗体を産生する能力を維持する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の使用のための、請求項1〜10のいずれか1項に記載のシアル酸結合分子。

請求項12

使用中に検出可能な病原体力価が存在する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の使用のための、請求項1〜11のいずれか1項に記載のシアル酸結合分子。

請求項13

使用が予防的使用である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の使用のための、請求項1〜12のいずれか1項に記載のシアル酸結合分子。

請求項14

対象が感染の症状であり、シアル酸結合分子が、感染の消散および/またはクリアランスを促進する免疫系を調節するために投与される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の使用のための、請求項1〜13のいずれか1項に記載のシアル酸結合分子。

請求項15

シアル酸結合分子が、N置換もしくはO置換されたノイラミン酸、ならびにその合成形態天然に存在する形態および/または修飾された形態に結合する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の使用のための、請求項1〜14のいずれか1項に記載のシアル酸結合分子。

請求項16

シアル酸結合分子が、α−2,6連結したシアル酸および/またはα−2,3連結したシアル酸を含有する受容体に親和性を示す、請求項1〜15のいずれか1項に記載の使用のための、請求項1〜15のいずれか1項に記載のシアル酸結合分子。

請求項17

シアル酸結合分子が、単一のシアル酸結合分子または2つ以上のシアル酸結合分子を含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の使用のための、請求項1〜16のいずれか1項に記載のシアル酸結合分子。

請求項18

シアル酸結合分子が、1つまたは複数の炭水化物結合モジュール(CBM)を含む、請求項1〜17のいずれか1項に記載の使用のための、請求項1〜17のいずれか1項に記載のシアル酸結合分子。

請求項19

CBMが、ビブリオコレラ(Vibrio cholerae)NanHシアリダーゼ(VcCBM)のシアル酸結合ドメインおよび/またはストレプトコッカスニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)NanAシアリダーゼ(SpCBM)由来の同等ドメインを含む、請求項18に記載の使用のための、請求項18に記載のシアル酸結合分子。

請求項20

CBMが、配列番号1、2、3もしくは4として示される配列の1つまたは複数を含むまたは該配列の1つまたは複数からなる、請求項18または19に記載の使用のための、請求項18または19に記載のシアル酸結合分子。

請求項21

シアル酸結合分子が、(i)1つまたは複数のCBM;(ii)複数もしくは多数のCBM;(iii)多価CBM;(iv)2つ以上のVcCBM;(v)2つ以上のSpCBM;(vi)異なるCBMの組み合わせ;または(vii)1つまたは複数のSpCBMを伴う1つまたは複数のVcCBMを含む、請求項1〜20のいずれか1項に記載の使用のための、請求項1〜20のいずれか1項に記載のシアル酸結合分子。

請求項22

免疫応答が、細菌、真菌および/またはウイルス感染に対して保護的である、請求項21に記載の使用のための、請求項21に記載のシアル酸結合分子。

請求項23

シアル酸結合分子が、オリゴマー化ドメイン(TD)をさらに含む、請求項1〜22のいずれか1項に記載の使用のための、請求項1〜22のいずれか1項に記載のシアル酸結合分子。

請求項24

オリゴマー化ドメインが、シュードモナスエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)シューミニダーゼ由来である、請求項23に記載の使用のための、請求項23に記載のシアル酸結合分子。

請求項25

オリゴマー化ドメインが、配列番号5または6として示される配列を含む、請求項23または24に記載の使用のための、請求項23または24に記載のシアル酸結合分子。

請求項26

シアル酸結合分子が、(i)VcCBM;(ii)Vc2CBM;(iii)Vc3CBM;(iv)VcCBMTD;(v)SpCBMTD;(vi)Vc4CBM;(vii)Vc2CBMTD;および(viii)Sp2CBMTDからなる群から選択される1つまたは複数を含む、請求項1〜25のいずれか1項に記載の使用のための、請求項1〜25のいずれか1項に記載のシアル酸結合分子。

請求項27

調節された免疫応答が保護的免疫応答であり、保護期間が約1日から約2、3、4、5、6、7または14日まで持続する、請求項1〜26のいずれか1項に記載の使用のための、請求項1〜26のいずれか1項に記載のシアル酸結合分子。

請求項28

シアル酸結合分子が、医薬製剤として調製される、請求項1〜27のいずれか1項に記載の使用のための、請求項1〜27のいずれか1項に記載のシアル酸結合分子。

請求項29

シアル酸結合分子が、経口、非経口粘膜および/または鼻腔内投与用に製剤化される、請求項1〜28のいずれか1項に記載の使用のための、請求項1〜28のいずれか1項に記載のシアル酸結合分子。

請求項30

シアル酸結合分子が、期間全体で1回または複数回の投薬として投与される、請求項1〜29のいずれか1項に記載の使用のための、請求項1〜29のいずれか1項に記載のシアル酸結合分子。

請求項31

シアル酸結合分子が、感染または推定感染前に1回または複数回の投薬として投与される、請求項1〜30のいずれか1項に記載の使用のための、請求項1〜30のいずれか1項に記載のシアル酸結合分子。

請求項32

シアル酸結合分子が、対象における感染後に1回または複数回の投薬として投与される、請求項1〜31のいずれか1項に記載の使用のための、請求項1〜31のいずれか1項に記載のシアル酸結合分子。

請求項33

シアル酸結合分子が、約0.1、1、10または100μgのシアル酸結合分子/対象/日の投薬量で投与される、請求項1〜32のいずれか1項に記載の使用のための、請求項1〜32のいずれか1項に記載のシアル酸結合分子。

請求項34

シアル酸結合分子が、粘膜組織におよび/または鼻腔内に投与される、対象における免疫応答の調節に使用するためのシアル酸結合分子。

請求項35

1つまたは複数のシアル酸結合分子を含むワクチン組成物

請求項36

疾患の治療または予防に使用するためのシアル酸結合分子。

請求項37

インフルエンザの治療または予防に使用するための、Sp2CBMTDを含むシアル酸結合分子。

請求項38

必要とする対象にシアル酸結合タンパク質免疫調節の量(amount)または量(quantity)を投与することを含む、対象における免疫応答を調節する方法。

技術分野

0001

本発明は、免疫調節効果を発揮するシアル酸結合化合物を提供する。本明細書に記載される化合物は、上気道および/または下気道病原体によって引き起こされる疾患を含む、ある範囲の疾患の治療および/または予防に用途を見出す

背景技術

0002

非常に多数のウイルス、細菌および真菌病原体は、ヒトの健康への脅威であり、健康サービスにおける負担であり続けている1。特に懸念されるのはインフルエンザウイルスであり、最も顕著には、高病原性H5N1ウイルスが出現し、また最近トリ起源のH7N9ウイルスが出現したことである2。これらのウイルスは、ヒト伝播性を獲得する能力を発揮しており、健康脅威の増加を示す3-5。
ワクチンは予防の礎として残されているが、これらの新たな病原体に対する有効なワクチンを開発するにはかなりの時間を要する。抗菌剤抗ウイルス、特にインフルエンザウイルスノイラミニダーゼ阻害剤および抗生物質を含む)が利用可能であるが、それらの有効性は、病原体が変異し、薬物耐性となる能力によって損なわれる可能性がある6,7。新しい治療アプローチの必要性があるのは明らかである。
「Engineering Multivalent Sialic Acid Recognition using the CBM40 module from Vibrio cholerae Sialidase」(2008年5月17日公開、http://www.biochem.emory.edu/conferences/glycot/Images/GlycoTProgram-Posters.pdfを参照)と題されるポスターは、多価性であることでシアル酸に対する親和性が増加した試薬の開発について記載している。しかしながら、そのポスターは、このような試薬が、病原体によって引き起こされる疾患および/または状態の治療に有用な免疫調節化合物として任意の用途を有することについては開示していない。

0003

米国特許出願公開第20020054880号(Amstrongら)は、末端に連結されたα−シアル酸(2→6)βGal−および/またはα−シアル酸(2→3)βGal−基に結合し得るペプチド、および哺乳動物における免疫応答または細胞間相互作用阻害する方法におけるそれらの使用を記載する。シアル酸結合分子免疫刺激効果は開示されていない。

0004

本発明は、シアル酸を結合することができるある種の化合物が、疾患−特に、微生物病因を有する疾患、例えば、呼吸器疾患の治療および/または予防における用途を見出し得るという知見に基づく。
シアル酸に結合する能力を示す分子は、宿主細胞の表面上のシアル酸を含有する受容体の存在を利用する病原体による感染を中和または予防するために使用され得ることが知られている。例えば、オルトミクソウイルス科またはパラミクソウイルス科に属するウイルス、およびある種の連鎖球菌属(Streptococcus)細菌などの呼吸器病原体は、種々の哺乳動物組織における特定の細胞型に結合し、入り込むための細胞表面のシアル酸を含有する受容体を利用する。シアル酸部分および/またはそれを含む分子(例えば、細胞表面受容体)に結合する化合物、例えば、タンパク質およびペプチドは、細胞に結合または付着する手段として、細胞表面のシアル酸受容体を利用する病原体によって引き起こされるまたはそれに寄与される疾患の治療および/または予防に使用され得る。理論に束縛されるものではないが、シアル酸結合分子は、結合および/または付着から病原体を妨げるように、病原体と細胞表面のシアル酸受容体の間の相互作用干渉し、および/または阻害し、妨げおよび/またはブロックすることができる。
本発明者らは、ここで、病原体と、例えば、シアル酸を含有する細胞表面受容体の間の相互作用を干渉またはブロックし、妨げおよび/もしくは阻害することに加えて(または、おそらくはその結果としてもしくはそれと組み合わせて)、ある種のシアル酸結合分子が免疫調節特性を有することを発見した。
したがって、第一の態様において、本発明は、対象における免疫応答の調節またはプライミングに使用するためのシアル酸結合分子を提供する。さらに、本発明は、対象における免疫応答を調節またはプライミングする方法において使用するためのシアル酸結合分子を提供する。

0005

本発明は、宿主(すなわち、疾患もしくは感染を発症の危険にある対象またはそれを被っている(もしくは被っていることが疑われる)対象)の免疫応答を調節および/またはプライムすることによって、疾患(例えば、細菌、真菌および/またはウイルス病原体によって引き起こされる)を治療および/または予防するためのシアル酸結合分子を提供する。
さらに、本発明は、対象における免疫応答を調節する医薬を製造するためのシアル酸結合タンパク質の使用を提供することができる。また、本発明は、対象における免疫応答を調節する方法を提供することができ、該方法は、必要とする対象に本発明のシアル酸結合タンパク質の免疫調節(または免疫刺激)の量(amount)または量(quantity)を投与することを含む。

0006

本明細書を通して、用語「含む(comprise)」および/または「含んでいる(comprising)」は、本発明の態様および/または実施形態が、記述された特徴を「含む」ものであり、そのようなものとして、さらに他の特徴を含んでもよいことを意味するために使用されることに留意すべきである。しかしながら、本発明の文脈において、用語「含む」および/または「含んでいる」は、本発明が、関連する特徴「から本質的になる」または関連する特徴「から成る」実施形態を包含する。

0007

本発明のシアル酸結合タンパク質−特に、本明細書に記載されている多価の炭水化物(carbonhydrate)結合モジュール、と関連する利点は(下記参照)、本明細書の記載されている種類の病原体によって引き起こされるまたはそれに寄与される感染および/または疾患により良好に対処し得るように、宿主免疫系をプライムすることである。いかなる特定の理論に束縛されるものではないが、本発明者らは、本発明のシアル酸結合分子が、現在の感染および/または疾患だけでなく、将来の感染および/または疾患に対しても対象を保護する予防的治療として使用することができることを示唆する。加えてまたは代替的に、本発明のシアル酸結合分子は、感染後−例えば、既に病原体によって感染されている対象(このような対象は無症候性または症候性であってもよい)に投与され得る。本発明者らは、「感染後」投与する場合にも、本発明のシアル酸分子が、疾患、感染または病原体の消散および/またはクリアランス(除去(clearance))を容易にすることができることを示している。

0008

用語「調節」または「免疫調節」(または「免疫刺激」)は、宿主の免疫応答に本発明の種々のシアル酸結合分子の観察された効果に適用されるように、免疫系の任意のプライミングおよび/または免疫系プロセス経路およびもしくはそれらの任意の要素(単数または複数)の発現、機能および/または活性において/それらの(免疫)調節(すなわち、増加または減少)を包含する。用語「プライミング」は、免疫応答に適用されるように、免疫原抗原、病原体、疾患または感染に対する免疫系の即応能力および/または反応性を増加させる現象を包含することができる。理論に束縛されるものではないが、本発明のシアル酸結合分子に関連する任意の免疫調節特性に加えて、シアル酸結合分子を投与されまたはそれと接触された対象が、感染/疾患の発症により良好に対処することができるようにさせ得る。
例えば、本発明は、例えば、ケモカインおよび/もしくはサイトカイン分子ならびに/またはそれらをコードするおよび/もしくはそれに関連する任意の遺伝子/転写因子を含む1つまたは複数の免疫調節化合物の発現、機能および/もしくは活性を増加または増強するシアル酸結合分子を提供し得る。

0009

このようにして、本明細書に記載されているシアル酸結合分子は、免疫系の1つまたは複数のサイトカインおよび/またはケモカイン分子の機能、発現および/または活性を調節することができる。具体的には、シアル酸結合分子は、病原体による感染に対する免疫応答に関連する1つまたは複数のサイトカインまたはケモカイン分子の機能発現および/または活性を調節することができる。以下により詳細に記載されるように、このような感染は、1つまたは複数のウイルス、細菌および/または真菌の病原体によって引き起こされるまたは寄与され得る。

0010

サイトカインおよび/またはケモカインは、それらの機能、発現および/または活性は本明細書に記載されるシアル酸結合タンパク質によって調節されるが、総称して「感染に関連したサイトカイン/ケモカイン」と呼ぶことができる。用語「感染に関連したサイトカイン/ケモカイン」は、感染のクリアランスおよび/または消散を促進する免疫応答と通常関連しているそれらのサイトカイン/ケモカイン分子を含んでもよい。例えば、この用語は、炎症誘発性の抗ウイルスおよび/またはプロ食作用性サイトカイン/ケモカインを包含することができる。このようにして、本発明のシアル酸結合分子は、1つまたは複数の感染に関連したサイトカイン/ケモカイン、および/または1つまたは複数の炎症促進性、抗ウイルスおよび/もしくはプロ食作用性/細胞傷害性サイトカイン/ケモカインを調節する手段として利用することができる。

0011

本発明者らは、本発明のシアル酸結合分子が、例えば、インターロイキン1−β(IL1−β)インターロイキン8(IL−8:研究は、マウスのIL−8のホモログであるMIP−2発現の増加を同定した)、インターフェロンγ(IFN−γ)および腫瘍壊死因子α(TNF−α)の発現の増加を誘導し得ることに留意した。当業者は、IL1−βの発現、機能および/または活性を調節し得る、例えば、増加し得る分子は、このサイトカインによって(少なくとも部分的に)制御される、例えば、炎症応答において効果を有することを認識する。同様に、IL−8が走化性および食作用関与していることを考慮すると、このサイトカインの発現、機能および/または活性の任意の態様の調節は、対象における免疫応答を調節する可能性がある。インターフェロンγおよび腫瘍壊死因子αは、先天性および適応免疫応答の周知のメディエーターであり、したがって、これらのサイトカインの発現、機能および/または活性を調節する、(例えば)増加させる化合物は、免疫調節化合物とみなすことができる。
さらに、本発明のシアル酸結合分子は、感染部位への免疫細胞動員、増殖および/または移動を調節する(例えば、誘導するまたは増加する)ことができる。例えば、本発明のシアル酸結合分子が投与された対象において、免疫細胞の動員、増殖および移動のプロセスは、ある程度および/またはより迅速に悪化され得る。

0012

以上のことから、本発明は、対象における1つまたは複数のケモカインおよび/またはサイトカインの発現、機能および/または活性の刺激、増強または増加において使用するためのシアル酸結合分子を提供する。加えて、本発明は、対象における1つまたは複数のケモカインおよび/またはサイトカインの発現、機能および/または活性を刺激、増強または増加する方法において使用するためのシアル酸結合分子を提供する。
さらに、本発明は、対象における1つまたは複数のケモカインおよび/またはサイトカインの発現、機能および/または活性を刺激、増強または増加する医薬の製造においてシアル酸結合タンパク質の使用を提供することができる。さらに、本発明は、対象における1つまたは複数のケモカインおよび/またはサイトカインの発現、機能および/または活性を刺激、増強または増加する方法を提供することができ、該方法は、それを必要とする対象に本発明のシアル酸結合タンパク質の免疫調節量(amount)または量(quantity)を投与することを含む。
「対象」または「それを必要とする対象」は、例えば、任意のヒトまたは動物(哺乳動物)の対象であってもよい。したがって、本発明のシアル酸結合分子は、ヒトおよび/または動物の対象における免疫応答の調節にも適用することができる。

0013

本発明の免疫調節化合物は、疾患または感染−特に、限定されないが、シアル酸を含有する細胞表面受容体に結合および/または付着することができる病原体によって引き起こされるまたはそれに寄与される疾患または感染の治療および/または予防における用途を見出すことができる。用語「病原体」は、例えば、ウイルス、細菌、原生動物および/または真菌の病原体を含むことができ、それらのいくつかは、宿主細胞のシアル酸を含有する受容体と相互作用しおよび/またはそれと会合しおよび/またはそれに結合する能力を有し得る。したがって、本発明は、ウイルス、細菌、原生動物および/または真菌の病原体によって引き起こされるまたは寄与される呼吸器の疾患/感染の治療および/または予防における用途を見出すことができ、それらのいくつかは、上気道および下気道の表面を裏打ちしている上皮細胞の表面上の、シアル酸を含有する受容体の存在を利用し得る。

0014

したがって、「対象」(動物またはヒトのいずれか)は、感染または疾患、例えば、呼吸器の感染または疾患の症候性でありおよび/またはそれらを被っている(それを疑われる)ものであってもよい。あるいは、対象は、感染または疾患、例えば、呼吸器の感染または疾患に無症候性でありおよび/またはそれに罹り易く/感受性であり得る。全ての場合において、感染または疾患は、微生物(例えば、細菌、ウイルス、原生動物および/または真菌の病因)を有してもよい。
例えば、対象の免疫応答は、その対象の免疫系を(1つまたは複数のケモカインおよび/またはサイトカインの発現、機能および/または活性を誘導または刺激することによって)プライムするように、本発明の免疫調節(シアル酸結合)化合物により調節され得、その結果、本明細書に記載されている種類の病原体によって引き起こされるまたは寄与される感染および/または疾患により良好に対処することができる。

0015

呼吸器の疾患および/または感染は、特定の細胞型に結合しおよび/または入り込むために細胞表面のシアル酸を含有する受容体を利用するオルトミクソウイルス科またはパラミクソウイルス科に属するウイルス、およびある種の連鎖球菌属細菌などの呼吸器病原体によって引き起こされるまたは寄与され得る。例えば、呼吸器疾患は、インフルエンザウイルスおよび/またはパラインフルエンザウイルスなどのウイルス性呼吸器病原体、ならびに、例えば、ヘモフィルス属(Haemophilus)種およびストレプトコッカスニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)などの細菌性病原体によって引き起こされるまたは寄与され得る。したがって、本発明は、ウイルス、細菌、原生動物および/または真菌の病因による呼吸器疾患のクリアランスおよび/または消散を促進する免疫応答を調節する(増強する、刺激するおよび/または増加する)ために使用され得るシアル酸結合分子を提供する。例えば、本発明は、例えば、オルトミクソウイルス科またはパラミクソウイルス科に属するウイルス、およびある種のヘモフィルス属細菌および/または連鎖球菌属細菌によって引き起こされるまたは寄与される疾患および/または状態の治療および/または予防に有益であるおよび/または促進する免疫応答を刺激し、増強および/または増加するように利用することができる。これらの疾患および/または状態としては、限定されないが、インフルエンザおよびウイルスおよび/または細菌の呼吸器疾患、例えば、クループ肺炎および気管支炎が含まれ得る。

0016

述べたように、本発明は、呼吸器の病原体によって引き起こされかまたは寄与される感染および/または疾患の治療および/または予防に限定されるとみなされるべきではなく;むしろ、本発明は、免疫応答を調節する化合物を提供し、その結果、様々な異なる病原体によって引き起こされるまたは寄与される疾患および/または感染をより良好に対処することができる。例えば、本発明は、細胞表面のシアル酸部分の存在を必ずしも利用しないが−しかし、宿主における感染および/または疾患をなおも引き起こし得る微生物病原体によって引き起こされるまたは寄与される疾患および/または感染の治療および/または予防における用途を見出すことができる。例えば、本発明者らは、本発明のシアル酸結合分子が、ヘルペスウイルス科に属するウイルスのクリアランス、および/またはそれによって引き起こされるまたは寄与される疾患の消散を促進する免疫応答を調節する(増強する、刺激するまたは改善する)ために使用され得ることを発見した。例えば、本発明は、例えば、ガンマヘルペスウイルスによって引き起こされるまたは寄与される感染または疾患の治療および/または予防に適用することができる。

0017

さらに、本発明者らは、感染後の臨床的に重大な疾患の発症に対して保護するために免疫系をプライミングすることに加えて、ある程度の病原体(例えば、ウイルス)の複製が依然として宿主内で起こる可能性があることを発見した。病原体複製のこの「基準」レベルは、(投与が宿主の免疫応答を調節する)本発明のシアル酸結合タンパク質の投与後、宿主が、将来の病原体曝露に対する保護を提供することができる免疫応答を開始し得る状態であることを保証する。実際に、データは、ウイルス感染の場合、感染前のシアル酸結合分子の投与が、検出可能なウイルス力価が残存する(宿主の利益のために免疫系をプライムしおよび/または調節することによって)その後の感染を妨げるだけでなく、病原体に特異的な抗体が、その後感染に対して保護を与える宿主によって産生されることを示す。
このようにして、発生する任意の感染の前に対象に投与された場合、本発明の免疫調節化合物は、免疫系の調節および免疫系のプライミングを介して、病原体負荷の減少を促進し、順に、感染を取り除き、臨床症状を減少させる手助けをすることができる。

0018

用語「シアル酸」は、本明細書で使用するとき、N−またはO−置換されたノイラミン酸の全ての形態を包含し、全てのその合成形態天然に存在する形態および/または修飾された形態を含む。シアル酸は、細胞表面分子糖タンパク質および糖脂質の成分として見出すことができる。ほとんどの場合、シアル酸は、細胞膜および/またはタンパク質に接続された糖鎖の末端(末端領域)に存在する。シアル酸ファミリーは、C4、C5、C7、C8およびC9でアセチル化グリコシル化ラクトン化およびメチル化から生じる多数の(約50個の)誘導体を包含する。全てのこのような誘導体は、用語「シアル酸」に包含されるべきである。

0019

さらに、シアル酸は、GalおよびGalNAcにα(2,3)もしくはα(2,6)連結され、または別のシアル酸にα(2,8)もしくはα(2,9)連結されることが見出される。したがって、用語「シアル酸」は、本明細書を通して使用される一方で、全てのその誘導体、類似体または改変体(天然に存在するまたは合成的に生じさせたもののいずれか)、ならびにシアル酸を含むモノマー二量体三量体オリゴマーポリマーまたはコンカタマーを包含することを理解することは重要である。

0020

本発明のシアル酸結合分子は、上述したシアル酸、特に哺乳動物細胞の表面に存在するシアル酸、の全ての形態を含むシアル酸に対する親和性を示す。例えば、本発明の分子は、シアル酸を含む細胞膜受容体に対する親和性を示してもよい。この種の細胞受容体は、粘膜および気道の上皮細胞を含む、上皮細胞の表面上に存在してもよい。ウイルスおよび/または細菌の病原体を含む多数の病原体は、シアル酸に対する親和性を示す分子を発現することができる。この種の病原体は、宿主細胞に結合する手段として、細胞表面のシアル酸部分を利用するよう進化してきた。例えば、宿主細胞の表面に結合したシアル酸部分を介して細胞に結合されると、病原体は、細胞表面に定着しおよび/または細胞に感染し/細胞に入ることができる。
本発明のシアル酸結合分子は、主にヒト上気道の細胞に存在するα−2,6連結されたシアル酸受容体に対する親和性を示し得る。加えてまたは代替的に、シアル酸結合受容体は、上気道および下気道の細胞に存在するα−2,3連結されたシアル酸受容体に対して親和性を示すことができる。
シアル酸に対する親和性を示す分子は、シアル酸部分に結合し、または他にはそれにカップリングしもしくはそれと会合することを理解すべきである。したがって、用語「シアル酸結合分子」は、シアル酸部分に結合し、または他にはそれにカップリングしもしくはそれと会合する能力を保持する任意の断片を包含し得る。

0021

本発明のシアル酸結合分子は、シアル酸に結合することができる単一の分子(例えば、単量体もしくは一価分子)、または、あるいは、2つ以上のシアル酸結合分子(例えば、全てが同一または異なっていてもよく−ポリマーまたは多価分子であってもよい)を含み得る。

0022

本発明のシアル酸結合分子は、「炭水化物結合モジュール」(糖結合モジュール)(CBM)として知られている1つまたは複数の分子を含んでもよい。適切なCBMは、シアル酸に対する親和性を示すことができる。本発明において使用するための例示的な炭水化物結合モジュールは、ビブリオコレラ(Vibrio cholerae)NanHシアリダーゼ(VcCBM)のシアル酸結合ドメインおよび/またはストレプトコッカス・ニューモニエNanAシアリダーゼ(SpCBM)由来の同等の(もしくは相同な)ドメインを含んでもよい。当然に、他の生物に存在する類似または相同なシアル酸結合モジュールは、用語「CBM」の範囲内に包含されるべきである。

0023

例示的なビブリオ・コレラNanHシアリダーゼのアミノ酸配列は、アクセッション番号A5F7A4で寄託され、配列番号1(781アミノ酸)として以下に再現される。
MRFKNVKKTA LMLAMFGMATSSNAALFDYN ATGDTEFDSP AKQGWMQDNTNNGSGVLTNA
DGMPAWLVQG IGGRAQWTYS LSTNQHAQASSFGWRMTTEMKVLSGGMITN YYANGTQRVL
PIISLDSSGN LVVEFEGQTGRTVLATGTAA TEYHKFELVFLPGSNPSASF YFDGKLIRDN
IQPTASKQNM IVWGNGSSNTDGVAAYRDIK FEIQGDVIFR GPDRIPSIVA SSVTPGVVTA
FAEKRVGGGDPGALSNTNDI ITRTSRDGGITWDTELNLTE QINVSDEFDF SDPRPIYDPS
SNTVLVSYAR WPTDAAQNGDRIKPWMPNGI FYSVYDVASG NWQAPIDVTD QVKERSFQIA
GWGGSELYRRNTSLNSQQDWQSNAKIRIVD GAANQIQVADGSRKYVVTLS IDESGGLVAN
LNGVSAPIILQSEHAKVHSF HDYELQYSAL NHTTTLFVDG QQITTWAGEVSQENNIQFGN
ADAQIDGRLHVQKIVLTQQG HNLVEFDAFY LAQQTPEVEK DLEKLGWTKI KTGNTMSLYG
NASVNPGPGH GITLTRQQNI SGSQNGRLIY PAIVLDRFFLNVMSIYSDDG GSNWQTGSTL
PIPFRWKSSSILETLEPSEADMVELQNGDLLLTARLDFNQ IVNGVNYSPR QQFLSKDGGI
TWSLLEANNA NVFSNISTGT VDASITRFEQSDGSHFLLFT NPQGNPAGTN GRQNLGLWFS
FDEGVTWKGP IQLVNGASAYSDIYQLDSEN AIVIVETDNS NMRILRMPIT LLKQKLTLSQ
N
配列番号1のCBM領域はアミノ酸残基25から216である−この配列は配列番号2であり得る。

0024

例示的なストレプトコッカス・ニューモニエNanAシアリダーゼのアミノ酸配列は、アクセッション番号P62575で寄託され、配列番号3(1035アミノ酸)として以下に再現される。
MSYFRNRDIDIERNSMNRSVQERKCRYSIR KLSVGAVSMIVGAVVFGTSP VLAQEGASEQ
PLANETQLSGESSTLTDTEK SQPSSETELS GNKQEQERKD KQEEKIPRDY YARDLENVET
VIEKEDVETNASNGQRVDLS SELDKLKKLE NATVHMEFKP DAKAPAFYNLFSVSSATKKD
EYFTMAVYNNTATLEGRGSD GKQFYNNYNDAPLKVKPGQW NSVTFTVEKP TAELPKGRVR
LYVNGVLSRTSLRSGNFIKD MPDVTHVQIG ATKRANNTVW GSNLQIRNLT VYNRALTPEE
VQKRSQLFKRSDLEKKLPEG AALTEKTDIF ESGRNGKPNK DGIKSYRIPALLKTDKGTLI
AGADERRLHS SDWGDIGMVIRRSEDNGKTW GDRVTITNLRDNPKASDPSI GSPVNIDMVL
VQDPETKRIF SIYDMFPEGK GIFGMSSQKE EAYKKIDGKT YQILYREGEKGAYTIRENGT
VYTPDGKATD YRVVVDPVKP AYSDKGDLYK GNQLLGNIYF TTNKTSPFRI AKDSYLWMSY
SDDDGKTWSA PQDITPMVKA DWMKFLGVGP GTGIVLRNGPHKGRILIPVY TTNNVSHLNG
SQSSRIIYSD DHGKTWHAGE AVNDNRQVDG QKIHSSTMNN RRAQNTESTV VQLNNGDVKL
FMRGLTGDLQVATSKDGGVT WEKDIKRYPQ VKDVYVQMSA IHTMHEGKEYIILSNAGGPK
RENGMVHLAR VEENGELTWL KHNPIQKGEF AYNSLQELGN GEYGILYEHTEKGQNAYTLS
FRKFNWDFLS KDLISPTEAK VKRTREMGKG VIGLEFDSEVLVNKAPTLQLANGKTARFMT
QYDTKTLLFT VDSEDMGQKV TGLAEGAIESMHNLPVSVAG TKLSNGMNGS EAAVHEVPEY
TGPLGTSGEEPAPTVEKPEY TGPLGTSGEE PAPTVEKPEY TGPLGTAGEE AAPTVEKPEF
TGGVNGTEPA VHEIAEYKGS DSLVTLTTKE DYTYKAPLAQQALPETGNKE SDLLASLGLT
AFFLGLFTLG KKREQ
配列番号3のCBM領域は、アミノ酸残基121から305である−この配列は配列番号4であり得る。

0025

適切なCBMは、V.コレラのnanH遺伝子(シアリダーゼをコードする)、または別の生物に存在する同等もしくは相同な遺伝子(例えば、S.ニューモニエの同等/相同なnanAシアリダーゼ遺伝子)のシアル酸結合ドメインによってコードされるタンパク質性部分を含んでもよい。例えば、本発明のシアル酸結合分子は、V.コレラシアリダーゼの約1、5、10、15、25または30残基から(すなわち、1〜30からまたはそれらの間の任意のアミノ酸残基から)約150、175、200、210、216、220〜781残基まで(それらの間の任意の残基を含む150〜781の任意の残基まで)を含んでもよい。シアル酸結合ドメインは、約25残基から約216残基までを含んでもよい。

0026

さらなる適切なCBMは、ストレプトコッカス・ニューモニエnanA遺伝子(シアリダーゼをコードする)シアル酸結合ドメインによってコードされるタンパク質性部分を含むことができる。例えば、本発明のシアル酸結合分子は、S.ニューモニエシアリダーゼの約80、90、100、110、120、121〜130残基から(すなわち、それらの間の任意の残基を含む約80〜130残基のいずれかから)約250、275、300、205、310、320〜1035残基まで(すなわち、約それらの間の任意の残基までを含む約250〜1035の任意の残基まで)を含んでもよい。シアル酸結合ドメインは、約121残基から約305残基までを含んでもよい。

0027

本発明のシアル酸結合分子は、1つまたは複数のCBMを含んでもよい。例えば、適切なシアル酸結合分子は、単一のCBM−例えば、単一のVcCBMまたは単一のSpCBMを含んでもよい。あるいは、シアル酸結合分子は、複数または多数(すなわち、2つ以上)のCBMを含んでもよい。複数のCBMを含むシアル酸結合分子は、「多価シアル酸結合分子」または「多価CBM」と呼ぶことができる。多価CBMは、例えば、2つ以上のVcCBMまたは2つ以上のSpCBMsを含んでもよい。多価(multivalient)CBMは、異なるCBMの複合物、例えば、1つまたは複数のSpCBMを有する1つまたは複数のVcCBMを含んでもよい。

0028

本発明の多価シアル酸結合分子は、オリゴマー化ドメインをさらに含むことができる。適切なオリゴマー化ドメインは、多量体構造、例えば、三量体に自己会合する能力を示し得る。例えば、1つまたは複数の(例えば、2つの)シアル酸結合分子(例えば、CBM)は、オリゴマー化ドメインに結合され、カップリングされまたは融合されてもよい。オリゴマー化ドメインは、上記の特性を有する任意の分子またはその任意の機能的断片を含むことができる。
適切なオリゴマー化ドメインは、例えば、シュードモナスエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)シューミニダーゼに由来してもよい。例示的なシュードモナス・エルギノーサシューダミニダーゼ配列のアミノ酸配列は、アクセッション番号PAO579で寄託され、配列番号5(438アミノ酸)として以下に再現される。
MNTYFDIPHRLVGKALYESY YDHFGQMDIL SDGSLYLIYR RATEHVGGSD GRVVFSKLEG
GIWSAPTIVAQAGGQDFRDV AGGTMPSGRIVAASTVYETGEVKVYVSDDS GVTWVHKFTL
ARGGADYNFAHGKSFQVGAR YVIPLYAATG VNYELKWLES SDGGETWGEG STIYSGNTPY
NETSYLPVGDGVILAVARVG SGAGGALRQF ISLDDGGTWTDQGNVTAQNG DSTDILVAPS
LSYIYSEGGT PHVVLLYTNR TTHFCYYRTI LLAKAVAGSSGWTERVPVYSAPAASGYTSQ
VVLGGRRILGNLFRETSSTT SGAYQFEVYL GGVPDFESDWFSVSSNSLYT LSHGLQRSPR
RVVVEFARSSSPSTWNIVMP SYFNDGGHKG SGAQVEVGSL NIRLGTGAAV WGTGYFGGID
NSATTRFATG YYRVRAWI

0029

配列番号5の三量体ドメインは、アミノ酸残基333から438である−この配列は配列番号6であり得る。
本発明において使用するためのオリゴマー化ドメインは、P.エルギノーサシューダミニダーゼ三量体ドメイン(PaTD)の約250、275、300、310、320、333、340〜350残基(すなわち、約それらの間の任意の残基からを含む約250から約350残基まで)から約400、410、420、430または438残基まで(すなわち、約それらの間の任意の残基までを含む約400から438残基までの約任意の残基まで)を含んでもよい。適切な三量化ドメインは、配列番号6の残基438〜333を含むことができる。

0030

以上のことから、用語「シアル酸結合分子」または「炭水化物結合モジュール」は、図1dに示される多価分子のそれぞれを包含する。
理論に束縛されることを望まないが、本発明者らは、個々のシアル酸結合タンパク質がシアル酸に対して低い親和性を示す一方で、2つ以上のシアル酸結合分子(例えば、2つ以上のCBM)を含む多価分子は、結合力を介して改善された親和性を示すことを発見した。
したがって、本発明は、対象における免疫応答の調節(調節する方法)に使用するための、例えば、1つまたは複数のVcCBMまたはSpCBMを含む多価シアル酸結合分子を提供する。本発明は、図1に記載された多価シアル酸結合タンパク質の1つまたは複数を利用してもよい。

0031

例えば、多価シアル酸結合分子は、対象における免疫応答の調節(調節する方法)に使用するための、場合によりオリゴマー化ドメイン(例えば、PaTDまたはその断片)に融合した、結合したまたはコンジュゲートした、2つ以上のVcCBMを含んでもよい。対象における免疫応答の調節(調節する方法)に使用するための多価シアル酸分子は、2つの融合した(または結合した)、順にオリゴマー化ドメインに融合される、VcCBM(例えば、図1に示される分子Vc2CBMTD参照)を含み、それからなりまたは本質的にそれからなっていてもよい。

0032

さらに、本発明は、対象における免疫応答を調節する方法において使用するための、場合によりオリゴマー化ドメイン(例えば、PaTDまたはその断片)に融合し、結合しまたはコンジュゲートする、2つ以上のSpCBMを含む多価シアル酸分子を提供してもよい。免疫系の調節に使用するための多価シアル酸分子は、2つの融合した(または結合した)、順にオリゴマー化ドメインに融合されるSpCBM(例えば、図1に示される分子Sp2CBMTD参照)を含み、それからなりまたは本質的にそれからなってもよい。
様々な多価CBM(図1に示されるVc2CBMTDおよびSp2CBMTDを含む)は、対象における免疫応答を調節する方法に用途を見出し得て、該方法は、免疫調節量の多価CBMを投与することを含むことを理解する必要がある。
本発明者らは、対象に少量を投与するときでさえ、本発明のシアル酸結合分子が、呼吸器の(例えば、ウイルスおよび/または細菌の)病原体によるその後のチャレンジからの感染に対して保護を誘導することを留意してきた。保護期間は、約1日〜約21日の間のいずれかまで持続することができる−実際の期間は、シアル酸結合分子の形態および/または該分子が投与される(もしくは投与されることが意図される)投薬量に依存し得る。「保護期間」は、対象への本発明のシアル酸結合タンパク質の投与後の期間として定義することができ、感染後、その期間中、対象は疾患を発症せず、または実質的にその臨床症状を発症しない。保護期間は、約14日間または約7日間、持続し得る。保護期間は、約1日から約2、3、4、5または6日まで持続し得る。

0033

本発明は、組成物、例えば、本明細書に記載されるシアル酸結合分子のいずれかを含む医薬組成物を提供する。組成物は、本明細書に記載される免疫応答の調節において、または該免疫応答を調節する方法において使用するための医薬として用途を見出すことができる。

0034

本発明のシアル酸結合タンパク質は、例えば、経口、非経口局所および/または粘膜/吸入投与用に製剤化および/または調製されてもよい。例えば、本発明のシアル酸結合タンパク質は、対象への投与に適した無菌の医薬組成物として製剤化することができる。このような製剤は、医薬として許容される賦形剤担体または希釈剤を含んでもよく、例えば、水、生理食塩水リン酸緩衝生理食塩水、デキストロースグリセロールエタノールイオン交換体アルミナステアリン酸アルミニウムレシチン血清タンパク質、例えば血清アルブミン緩衝物質、例えば、リン酸塩グリシンソルビン酸ソルビン酸カリウム飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド合物、水、塩または電解質、例えば硫酸プロタミンリン酸水素二ナトリウムリン酸水素カリウム塩化ナトリウム亜鉛塩コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウムポリビニルピロリドンセルロース系物質ポリエチレングリコール(polyethylene glycon)、カルボキシメチルセルロースナトリウムポリアクリル酸塩ワックスポリエチレンポリプロピレンブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂などまたはそれらの組み合わせが含まれる。
局所投与用に製剤化された組成物は、軟膏溶液または水性もしくは非水性液体中の懸濁液として、または水中油型液体エマルジョンとして提供されてもよい。

0035

非経口投与用に(例えば、皮下、皮内、筋肉内および/または静脈内注射によって)製剤化または調製された組成物は、適切な分散剤湿潤剤および/または懸濁剤を用いて、公知技術に従って製剤された水性または油性懸濁液を含むことができる。この点において、当業者は、許容される担体、希釈剤および/または賦形剤が、1,3−ブタンジオール、水、リンゲル液、および等張塩化ナトリウム溶液を含むことができることを認識する。さらに、無菌の固定油は、溶媒または懸濁媒体として従来使用されている。この目的のために、任意の無菌性固定油を使用してもよく、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドが含まれる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸は、本発明による注射可能な組成物の調製における使用を見出すことができる。

0036

粘膜投与用に適した(または処方された)組成物には、鼻腔内に投与されることが意図された組成物を含むことができる。このような組成物は、エアロゾル分散用に、投与されるべきシアル酸結合分子および/もしくは粒子(該シアル酸結合分子を含む)の溶液、または飲料水に分散された該シアル酸結合分子の溶液を含んでもよい。分散される場合、このような組成物は、望ましくは、例えば鼻腔内に、保持することができる10〜200ミクロンの範囲にある粒径を有するべきである;これは、必要に応じて、適切な粒子サイズの粉末の使用または適切な値の選択によって達成され得る。他の適切な組成物としては、にかなり近づけて保持される容器から鼻孔を通して迅速な吸入による投与用に、20〜500ミクロンの範囲の粒径を有する粗粉末、および水性もしくは油性の溶液または懸濁液中0.2〜5w/v%の活性化合物を含む点鼻薬が含まれる。
当業者は、本発明のシアル酸結合タンパク質−特にCBM系(本発明の一価/多価分子)が、細胞に導入または発現させるためのベクターの形態で提供され得ることを認識する。

0037

本発明の組成物(すなわち、シアル酸結合タンパク質を含む組成物)は、1つまたは複数の追加の成分をさらに含んでもよく−例えば、他の治療薬部分ワクチン成分アジュバント(すなわち、免疫された宿主の免疫応答を増強または促進する任意の薬剤)などが挙げられる。
本発明の組成物は、有効量の単回または複数回投薬量として投与されてもよい。例えば、2回以上の投薬が所定期間にわたって投与されてもよい。
一例として、初期投薬が投与され、続いて、初期投薬後、1、2、3、4、5、6、7、8、9および/または10週間の間隔で与えられる1回または複数回の「追加免疫」投薬(二次投薬)が投与されてもよい。

0038

本発明のシアル酸結合分子は、健常な対象に1回または複数回の投薬として(1回又は複数回分として)、それを必要とする対象に投与されてもよい(例えば、粘膜組織および/もしくは鼻腔内にまたはエアロゾルによってに投与されてもよい)。健常な対象は、例えば、微生物の呼吸器病原体などの微生物病原体によって引き起こされるまたは寄与される疾患または状態を被っていない対象である。感染前の最大約10日に、例えば、1、2、3、4、5、6および/または7日に投与されたシアル酸分子は、その後の病原体チャレンジに対する保護を提供することが示されている。
本発明の種々のシアル酸結合タンパク質、CBMおよび/またはSp2CBMTDは、約0.1、1、10および100μg/対象/日の投薬量で投与されてもよい。本発明のシアル酸結合タンパク質、CBMおよび/またはSp2CBMTDは、感染またはおそらく感染前に1回または複数回、健常な対象に投与されてもよい。本発明のシアル酸結合タンパク質、CBMおよび/またはSp2CBMTDは、非経口的、経口的および/または鼻腔内に投与されてもよい。

0039

述べたように、本発明者らは、鼻腔内に投与した場合、本発明の単回の1μg投薬量の多価シアル酸結合タンパク質−特に、図1に記載されるSp2CBMTD分子は、免疫系をプライム(または刺激)し、病原体、例えば、呼吸器病原体を用いたチャレンジに対する保護を最大約7日間、14日間または21日間、提供することができることに留意した。さらに、インフルエンザH7N9感染前に投与された、0.1μg/対象/日投薬量のSp2CBMTDは、疾患およびその後の感染に対して完全な保護を提供するのに十分であった。

0040

本発明は、対象における免疫応答の調節に使用するためのシアル酸結合分子を提供し、ここで、該シアル酸結合分子は、粘膜組織におよび/または鼻腔内に投与される。
さらに、本発明は、対象における免疫応答を調節する方法に使用するためのシアル酸結合分子を提供し、ここで、該方法は、免疫調節量のシアル酸結合分子を粘膜組織におよび/または鼻腔内に投与することを含む。
以上のことから、本発明は、本明細書に記載されるシアル酸結合分子の1つまたは複数を含むワクチン組成物を提供することができる。本発明のワクチン組成物は、非経口、粘膜(エアロゾル/鼻腔内)および/または経口投与用に製剤化されてもよい。本発明のシアル酸結合分子は、ワクチンと別々にまたは同時に投与されてもよい。別々に投与する場合、シアル酸結合分子は、ワクチンの前および/または後に対象に投与され得る。したがって、本発明は、対象にワクチン接種する方法を提供し、ここで、対象は、本発明のシアル酸結合分子を用いて、一緒に(同時にまたは別々に)ワクチンを投与される。さらに、本発明は、ワクチン接種により疾患からの対象の保護に使用するためのシアル酸結合分子に関し得、ここで、シアル酸結合分子は、ワクチンと一緒に(同時にまたは別々に)投与される(投与されるべきである)。

0041

本発明の組成物(すなわち、シアル酸結合タンパク質を含む組成物)は、1つまたは複数の追加の成分をさらに含んでもよく−例えば、他の治療薬部分、ワクチン成分、アジュバント(すなわち、免疫された宿主の免疫応答を増強または促進する任意の薬剤)などが挙げられる。
さらなる態様において、本発明は、例えば、本明細書に記載されているCBMまたはシアル酸結合CBM断片を含む本発明のシアル酸結合分子のいずれかをコードする核酸を提供する。さらに、本発明は、本発明のシアル酸結合分子をコードする遺伝子配列の部分に相補的である、オリゴヌクレオチドおよび/またはプライマー配列を提供する。当業者は、この種のオリゴヌクレオチドおよび/またはプライマーが、本発明における使用のためのシアル酸結合分子を組換え生成するための方法において有用であることを認識する。

0042

加えて、本発明は、シアル酸結合分子をコードする配列を含む核酸を提供する。このような配列は、DNAおよび/またはRNAを含むことができる。本発明の核酸配列は、組換え技術の使用に適しているベクターまたはプラスミドの形態、例えば、発現ベクターの形態をとることができる。本発明の核酸配列は、転写調節因子作動可能に連結され、および/またはタグ部分をコードする配列に(直接的もしくは間接的に)融合されてもよい。本発明の核酸は、オリゴマー化ドメインをコードする配列をさらに含んでもよい。
当業者は、本発明のシアル酸結合分子のいずれかが、組換え技術を用いて調製することができ、ここで、例えば、宿主細胞が、シアル酸結合分子をコードする核酸配列を含むベクターを用いて形質転換されることを認識する。組換え的に生成されたシアル酸結合分子は、異種集団のタンパク質および他の材料からシアル酸結合分子の精製および/または単離を達成するための親和性精製技術において利用され得る「タグ」または「標識」を含んでもよい。

0043

以上のことから、本発明は、本発明の核酸および/またはベクターを用いて形質転換された宿主細胞を提供する。宿主細胞は、微生物細胞(例えば、細菌宿主細胞)または哺乳動物細胞であってもよい。
したがって、本発明は、異種タンパク質、例えば、検出可能な(おそらくは場合により検出可能な)部分および/または親和性精製部分(例えば、HisもしくはGSTタグ)に融合され、接続され、結合されまたはコンジュゲートされた、本発明のシアル酸結合分子を含む融合タンパク質を提供する。本発明の融合タンパク質は、CBM(またはそのシアル酸結合断片)と、それに結合される、コンジュゲートされる、接続されるまたは融合されるオリゴマー化ドメインを含んでもよい。この種の融合タンパク質は、多価シアル酸結合分子(例えば、多価CBM)の生成に用途を見出すことができる。

0044

さらなる態様において、本発明は、例えば、本明細書に開示されている、シアル酸を利用しているウイルス、細菌、原生動物および/または真菌の病原体を含む、上述の病原体のいずれかによって引き起こされるまたは寄与される疾患および/または感染の治療または予防に使用するための本発明のシアル酸結合タンパク質のいずれかを提供することができる。例えば、本発明のシアル酸分子のいずれかは、医学における使用のためであってもよい。さらに、図1に開示されているCBM分子は、呼吸器疾患の治療もしくは予防において、または呼吸器疾患を治療する方法において使用するための医薬または組成物として用途を見出してもよい。
さらに、本発明は、本出願の明細書および図に記載されるシアル酸結合分子のいずれかを提供する。例えば、本発明は、図1に記載されるシアル酸結合分子の1つまたは複数を提供する。

0045

本発明はまた、H7N9インフルエンザを含むインフルエンザの治療に使用するための、例えば、Sp2CBMTDを含む、本発明のシアル酸結合タンパク質のいずれかを提供する。また、H7N9インフルエンザを含むインフルエンザを治療する医薬を製造するための、例えば、Sp2CBMTDを含む、本発明のシアル酸結合タンパク質の使用を開示する。本発明はまた、H7N9インフルエンザを含むインフルエンザを治療するための方法を提供し、該方法は、治療的有効量の本発明のシアル酸結合タンパク質および/またはSp2CBMTDを、それを必要とする対象に投与することを含む。理論に拘束されることを望まないが、本発明者らは、Sp2CBMTDの投与が、チャレンジ後の抗HA抗体の発生に影響を及ぼさず、免疫応答のレベルが、高投薬量のウイルスによる再感染を含む、H7N9ウイルス再感染に対して保護するには十分であったことを留意した。

0046

ここで、本発明は、以下に示される発明を参照して説明され、下記に示す。

図面の簡単な説明

0047

多価CBM形態の構成要素およびシアル酸に対するそれらの親和性を示す図である。a、VcCBM、球として描かれたα−2,3−シアリルラクトースを有するV.コレラシアリダーゼ(PDB:1w0p)の残基25〜216。b、SpCBM、α−2,3−シアリルラクトース(PDB:4c1w)を有するS.ニューモニエNanAシアリダーゼの残基121〜305。c、TD、三量体ドメイン、レインボー色のP.エルギノーサシアリダーゼ(PDB:2w38)の残基333〜438;単一色の他の2つのモノマー。d、多価形態:25℃で表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定した場合のそれらの分子量、結合価およびα2,3−シアリルラクトースに対する結合親和性(VcCBM、Vc2CBMおよびVc3CBMについてのKD値は以前に報告されている8)。タンデムリピートCBM、およびTDに融合したオリゴマーCBMは、5−アミノリンカーによって連結される(全方法に詳述される)。
A/WSN/1933(H1N1)インフルエンザウイルスを用いた致死的チャレンジ後のBALB/cマウスの体重変化および肺ウイルス力価を示す図である。a、ウイルスチャレンジ直前の500μgのVc4CBMまたはBSA(対照)の単回の鼻腔内投与後のマウスの体重変化(n=4)。b、感染後の7日に測定されたマウスにおける肺ウイルス力価。c、ウイルスチャレンジ直前の三量体(VcCBMTD、SpCBMTD、400μg)もしくは六量体(Vc2CBMTD、Sp2CBMTD、100μg)の生物製剤またはPBS(対照)の単回の鼻腔内投与後のマウスにおける体重変化(n=4)。d、感染後の7日に測定されたマウスにおける肺のウイルス力価。破線は、ウイルス検出限界を示す。バーは、各処理されたグループ対照グループについての平均±s.d.を表す。*p<0.05、**p<0.001、***p<0.0001。
マウスに適合されたA/カリフォルニア/04/2009(H1N1)インフルエンザウイルスを用いた致死的チャレンジが与えられたBALB/cマウスにおけるmCBMの予防的投与の効果を示す図である。a、ウイルスチャレンジ前の−1日に与えられた単回鼻腔内投薬量(50、250もしくは500μg)のVc4CBMまたは(10、50もしくは250μg)のVc2CBMTDもしくはSp2CBMTD後のマウス(n=5)の生存および体重変化。b、ウイルスチャレンジ直前の0日に与えられた同じ単回鼻腔内投薬量の3つの生物製剤後のマウス(n=5)の生存および体重変化。各投与日について、生存曲線上段パネルに示し、対応する体重減少曲線下段パネルに示す。この場合、各値は、5匹のマウスについての平均体重±s.d.を表す。
マウスに適合されたA/カリフォルニア/04/2009(H1N1)インフルエンザウイルスを用いた致死的チャレンジ前にSp2CBMTDとともに投与されたBALB/cマウスの生存および体重変化を示す図である。a、BALB/cマウス(n=5)は、0日のウイルスチャレンジ前の−7日、−3日または−1日に単回、2回もしくは3回の鼻腔内投薬量のSp2CBMTD(50μg)を与えられた。また、マウスは、生物製剤の毒性を決定するために、3回の鼻腔内投薬量のSp2CBMTD単独を与えられた(体重変化を青色で示す、最終パネル)。b、ウイルスチャレンジ前の−7日、−3日または−1日に与えられた単回鼻腔内投薬量のSp2CBMTD(10、1もしくは0.1μg)後のマウス(n=5)の生存および体重変化。各投与日について、生存曲線を上段パネルに示し、対応する体重減少曲線を下段パネルに示す。全ての場合において、対照動物は、感染され、未処理であった。各値は、5匹のマウスについての平均体重±s.d.を表す。
末端シアル酸グリカンに対する特異性と乱雑性を示すSpCBMについてのグリカンアレイスクリーニングを示す図である。511個のグリカン(機能性グライミクスのためのコンソーシアム)からなるグリカンアレイv4.2を用いた、GFP融合SpCBMのグリカン結合は、相対蛍光単位(RFU)として表される。トップ40ヒットは全てのシアロシドであり、そのうちの最初の29個のグリカンのみをRFUの減少順に列挙する。エラーバーは、4つの独立した反復についてのシグナルにおける平均の標準誤差(SEM)を示す。信頼値は、%CV=100×標準偏差/平均RFU。
シアリダーゼによる前処理を伴うおよび伴わないSp2CBMTDおよびVc2CBMTDの細胞結合を示す図である。哺乳動物A549およびMDCK細胞は、Sp2CBMTDおよびVc2CBMTDとのインキュベーション前にS.ニューモニエNanAシアリダーゼの触媒ドメインとともに処理されまたは該触媒ドメインなしに処理され、続いて、それぞれウサギ抗SpCBM抗体および抗VcCBM抗体と一緒にインキュベーションされ、その後、Alexa Fluor 488標識された抗ウサギIgG抗体と一緒にインキュベーションされた。a、シアリダーゼで前処理された細胞(右パネル)と比較して、細胞表面受容体へのmCBM結合(緑色)を示すA549およびMDCK細胞(左パネル)のライブ画像。核をDAPI(青色)を用いて染色する。b、シアリダーゼを用いてまたはシアリダーゼなしに処理された場合、細胞へのmCBM結合の相対的蛍光単位(RFU)。バーは、各処理されたグループと未処理のグループについての平均±s.d.を表す。
マウスに適合されたA/カリフォルニア/04/2009(H1N1)インフルエンザウイルスを用いたチャレンジの24時間後にmCBMを用いて投与されたBALB/cマウスの生存を示す図である。BALB/cマウス(n=5)は、ウイルスチャレンジの1日後に単回投薬量のVc4CBM(a)、Vc2CBMTD(b)またはSp2CBMTD(c)を用いて鼻腔内投与され、生存についてモニターされた。グラフは、異なる投薬量の各mCBMの生存曲線を表す。
Vc4CBM、Vc2CBMTDまたはSp2CBMTDを用いた投与後、マウスに適合されたA/カリフォルニア/04/2009(H1N1)インフルエンザウイルスが接種されたBALB/cマウスにおける血清抗体応答を示す図である。a、−1日または0日に与えた場合、Vc4CBM(50、250または500μg、左パネル)、Vc2CBMTD(10、50または250μg、中パネル)およびSp2CBMTD(10、50または250μg、右パネル)の単回投与後の抗HA力価。b、−7日、−3日もしくは−1日に1回、2回または3回与えた、Sp2CBMTD(50μg)の投与後の抗HA力価。c、−7日、−3日もしくは−1日に与えた、Sp2CBMTD(1または10μg)の単回投与後の抗HA力価。バーは、各処理グループについての平均逆数HI力価(log2)±s.d.を表す。
ヒト集団におけるVcCBMまたはSpCBMに対する既存の免疫性欠如の実証を示す図である。ELISAを用いた抗CBM抗体の存在についてのヒト血液血清分析試料(n=50)は、男性および女性(Seralab,UK)の混ぜ合わさった年齢集団から得られた。Ad87およびAd88は、アデノウイルス抗体についての陽性対照である。エラーバーは、バッファーブロック(血清なし)に対して測定されたs.d.を表す。*p<0.001。
マウスにおける処理後のSp2CBMTDに対する血清IgAIgGおよびIgM抗体の検出を示す図である。マウスは、0日にマウスに適合されたA/カリフォルニア/04/2009(H1N1)インフルエンザウイルスを用いたチャレンジ前の−7日、−3日または−1日に10または1μg(50μl)のSp2CBMTDを鼻腔内投与された。血清は、全方法に記載されるように、ELISAにより抗Sp2CBMTD抗体について分析するために+21日に採取された。バーは、それぞれ、グループあたり3匹のマウスからのIgG(a)、IgA(b)およびIgM(c)についての平均吸光度変化±s.d.を示す。破線は、それぞれ、IgG(A450-620nm 0.074)、IgA(0.115)およびIgM(0.047)のアッセイ検出限界を示す。
ケモカインおよびサイトカインの肺発現におけるmCBMの効果を示す図である。炎症性メディエーターのMIP−2、TNF−α、IL−6、IL−1β、IFN−γ、GM−CSFおよびIL−2は、Vc2CBMTD(100μg)、Sp2CBMTD(100μg)、A/WSN/1933(H1N1)インフルエンザウイルス(5×103PFU)またはPBS(対照)のいずれかの経鼻投与後の2日および4日に、BALB/cマウスから得られた肺ホモジネートを用いたELISAによりアッセイされた。GM−CSFとIL−2を除いて全て、肺ホモジネートにおいて検出された。バーは、5匹のマウスからの平均濃度(pg/ml)±s.d.を示す。対照グループ(非感染、未処理)の結果と比較して*p<0.05。
マウスガンマヘルペスウイルスMHV−68(4×105PFU)またはPBS(対照)を用いたチャレンジ前に3回投薬量(50μg、−7日、−3日、−1日)として投与された場合、肺ウイルス負荷(a)およびサイトカインレベル(b)におけるBALB/cマウスの六量体mCBMの効果を示す図である。バーは、5匹からの平均濃度(pg/ml)±s.d.を示す。マンホイットニー検定*p<0.05、**p<0.01。
Sp2CBMTDタンパク質の安定性を決定するためのSDS−PAGEを示す図である。ゲルは、12%SDS−PAGE(BioRad laboratories,Hercules,CA)において還元条件下で、PBSに溶解した濃度5.25〜0.66μg/チャネルで10μl/チャネルを構成した。
A/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルスを用いて致死的にチャレンジされたBALB/cマウスの生存および体重変化におけるSp2CBMTDの単回投与(ウイルスチャレンジ前)の効果を示す図である。
A/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルスを用いて致死的にチャレンジされたBALB/cマウスの生存および体重変化におけるSp2CBMTDの単回投与(ウイルスチャレンジ後)の効果を示す図である。
A/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルスを用いて致死的にチャレンジされたBALB/cマウスの生存および体重変化におけるSp2CBMTDの反復投与(ウイルスチャレンジ前)の効果を示す図である。
致死的投薬量のA/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルスを用いて感染されたマウスの生存におけるSp2CBMTDの単回および反復投与の効果を示す図である。BALB/cマウス(n=5)は、イソフルランで軽く麻酔され、Sp2CBMTDは、H7N9ウイルス接種の7、3もしくは1日前(A)に、または接種の6時間もしくは24時間後(B)に、単回投薬量(0.1、1、10または100μg/マウス)として鼻腔内投与された。2回および3回投薬量のSp2CBMTDは、それぞれ、H7N9ウイルス接種前の3日および1日、または7日、3日および1日に投与された(C)。マウスは、5MLD50のA/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルスを用いて鼻腔内接種され、生存および体重減少について毎日モニターされた。対照の未処理動物は、7日、3日および1日に滅菌PBSを受けた。
マウス肺切片におけるH7N9インフルエンザウイルスNP陽性細胞の数におけるSp2CBMTDの効果を示す図である。BALB/cマウスは、H7N9ウイルス接種前の7日もしくは3日に単回投薬として、または2回(3日および1日)もしくは3回(7日、3日および1日)投薬としてSp2CBMTD(10μg/マウス)を与えられた。各実験グループにおける3匹のマウスは、感染後の3日、6日および9日に屠殺された。マウス肺を取り出し、10%中性緩衝ホルマリンで固定し、抗インフルエンザA核タンパク質(NP)抗体を用いて免疫組織学的に染色された。マウスあたり全肺葉を含む1つのスライドが評価するために使用された。感染後の3日(A)、6日(B)および9日(C)にNP陽性細胞の数の定量的分析は、Image Scope視覚ソフトウェアによって行われた。具体的には、染色された細胞は、核と細胞質内で暗褐色である。対照動物(D、F、H)の肺組織の画像は、感染後の9日(H)のいくつかの抗原陽性細胞と比較して、感染後の3日および6日(D、F)に細気管支および呼吸上皮細胞におけるH7N9インフルエンザ抗原陽性染色を示した。代表的なSp2CBMTD処理グループの画像(H7N9接種前の7日、3日および1日に3回投与)は、対照、および感染後の9日(I)のいくつかの陽性細胞と比較して、感染後の3日と6日(E、G)にマウスの肺において抗原陽性細胞の顕著な減少を示した。破線は、ウイルス感染され、PBS処理された動物において決定されたH7N9インフルエンザ抗原陽性細胞を示し、100%と考えられた。倍率、20×。研究された感染後の各日の対照グループについての結果と比較して*P<0.01、**P<0.05;2方向ANOVA
Sp2CBMTDで処理され、5MLD50のA/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルスで感染されたマウスの肺における組織学的変化を示す図である。図18の凡例に記載されるように、Sp2CBMTDを投与した。マウス肺を10%中性緩衝ホルマリンで固定し、ヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。H7N9に感染させ、PBS処理されたマウスの肺は、感染後の3日に気管支の上皮細胞に壊死があり(A)、感染後の6日に炎症性細胞浮腫、およびウイルス性肺炎を有する肺胞崩壊浸潤があった(B)。浮腫と炎症性細胞を伴う浸潤は、感染後の9日に観察されたが(C)、病変は、いくつかの領域に制限されていた。特徴的な病理学的変化は、感染後の3日に3回投薬量のSp2CBMTDを与えられたマウスの肺では観察されず(D)、感染後の6日および9日に最小の上皮壊死および炎症性細胞を伴う肺胞の浸潤があった(E、F)。倍率、20×。実線の矢印は上皮壊死を示し、白抜きの矢じりは浮腫を示し、実線の矢じりはマクロファージおよび好中球を伴う細気管支周囲の肺胞の浸潤を示す。
サイトカインおよびケモカインの肺発現におけるSp2CBMTD投与の効果を示す図である。図18の凡例に記載されるように、Sp2CBMTDを投与した。IFN−γ(A)、IL−1β(B)、Il−6(C)、TNF−α(D)、RANTES(E)、MIP−1α(F)、MCP−1(G)およびIP−10(H)の濃度は、H7N9ウイルス感染前の0日にBALB/cマウスの肺ホモジネートにおいて、MYCTOMAG−70K−PMXMILLIPLEX(登録商標予備混合キットにより評価された。バーは、3匹のマウスからの平均濃度(pg/mL)±SDを示す。黒色のバーは、H7N9ウイルス接種され、PBS処理されたマウス(対照)を表す。灰色のバーはSp2CBMTDを用いて処理されたマウスを表す。*p<0.05;**p<0.05、対照群の結果と比較される、対応のないスチューデントt検定
Sp2CBMTDの投与後の好中球を伴うマウス肺組織の浸潤。図18の凡例に記載されるように、Sp2CBMTDを投与した。マウス肺を感染後の0日に得、10%中性緩衝ホルマリンで固定し、好中球に特異的なマーカーであるミエロペルオキシダーゼ(MPO)を用いて染色した。MPO染色された切片を病理評価のために盲検化した。抗原の存在は、Aperio ScanScope XT Slide Scanner(Aperio Technologies)を用いて全肺切片のデジタル画像捕捉し、次に、著しく減少または不存在のMPO染色の場所と一緒に領域全体手動輪郭を描くことにより定量された。染色範囲が減少した肺領域の割合は、Aperio’s ImageScopeソフトウェアを用いて算出され、ウイルス感染され、PBS処理された(対照)動物(A)と比較して相対値として表された。対照動物(B)と、H7N9ウイルス感染前の単回(C)、2回(D)または3回(E)投薬量のSp2CBMTDが与えられた動物の代表的なMPO染色した肺画像。倍率、20×。実線の矢じりは好中球を示す。対照グループの結果と比較した*p<0.0001;一元配置ANOVA。

0048

(例1)
新規遺伝子操作されたタンパク質を用いて宿主受容体を標的にすることによるインフルエンザの予防
方法
ウイルス。インビトロ研究に関して、以下のインフルエンザウイルスを使用した:A/WSN/1933(H1N1)、A/プエルトリコ/8/1934(A/PR/8/1934、H1N1)、A/Udorn(ウドーン)/1972(H3N2)、およびB/香/1973は、Madin−Darbyイヌ腎細胞(MDCK、アメリカン・タイプ・カルチャーコレクション、Manassas、VA)中で増殖させた。MDCK細胞におけるウイルス感染性をプラークアッセイによって決定し、log10PFU/mlとして表した。インビボ研究に関して、2つの菌株を使用した:マウスに適合されたA/WSN/1933(H1N1)株はMDCK細胞内で増殖し、マウスに適合されたA/カリフォルニア/04/2009(H1N1)ウイルス30は発育鶏卵で増殖させた。A/カリフォルニア/04/2009(H1N1)について50%マウス致死的投薬量(MLD50)を決定するために、4匹の雌性週齢のBALB/cマウス(Jackson Laboratories、Bar Harbor、ME)をイソフルランで軽く麻酔し、50μLの10倍連続希釈した、PBS中のウイルスを用いて鼻腔内接種した。MLD50値は、21日間の観察期間後に決定された。

0049

mCBMsの生成。V.コレラ由来のシアリダーゼをコードするnanH遺伝子のファミリー4031シアル酸結合ドメイン(CBM)に基づいて、タンデムリピート多価タンパク質であるVc4CBMは、以前に記載される8ように、PCRに基づくクローニング技術を用いて生成された。V.コレラnanHシアリダーゼ由来およびS.ニューモニエnanAシアリダーゼ由来のCBMドメインのオリゴマー化は、シュードモナス・エルギノーサ由来のシューダミニダーゼタンパク質由来三量体化ドメインを用いて、以下のように遺伝子操作された:それぞれ、V.コレラシアリダーゼのCBMの残基25〜216とS.ニューモニエnanAシアリダーゼのCBMの残基121〜305をコードするDNA断片は、プライマー対(表3)を用いたPCR増幅によって5’および3’末端で修飾され、P.エルギノーサシューダミニダーゼ由来の三量体化ドメインの残基333〜438(PaTD)をコードする遺伝子に対する続くライゲーションのために、タンデムにCBMユニットの1または2コピーを連結させる異なる制限部位を導入した。得られた断片を、適切に消化されたpEHISTEVベクター(VcCBM断片用)またはpEGFP−HISTEVベクターv(SpCBM断片用)のいずれかにクローニングし、それぞれVcCBMTD、Vc2CBMTD、SpCBMTDおよびSp2CBMTDとして指定された構築物を作製した(図1)。GFP−SpCBMはまた、グリカンアレイ研究のためにpEGFP−HISTEVベクターを用いて作製された。全ての構築物を大腸菌(E.coli)DH5α細胞中で増殖させ、構築物をDNA配列決定により確認し、その後、タンパク質産生用の発現宿主大腸菌BL21ゴールド(DE3)を形質転換した。

0050

mCBM発現、精製および特徴付け。遺伝子操作されたmCBMsの発現は、いくつかの修正を伴うが、以前に記載される8ように実施された。簡単には、Hisタグ化VcCBMまたはGFP−Hisタグ化SpCBMのいずれかを含有する大腸菌細胞は、PBS、0.3M NaClおよび10mMイミダゾールを含有し、DNAase(20μg/ml)およびプロテアーゼマイナスEDTAインヒビタータブレット(Roche)を伴う緩衝液中で溶解された。清澄化された溶解物は、ニッケルを予め充填されたHisTrap HPカラム(GE Healthcare)に適用され、その後、0.3M NaClおよび250mMイミダゾールを含有するPBSを用いてヒスチジンタグ化されたCBMを溶出した。タグの除去は、特に明記しない限り、一晩、インサイチュでTEVプロテアーゼを用いた消化により行われ、その後、ニッケルカラムに材料を再適用した。mCBMタンパク質の全ては、PBS中のHiPrep 16/60 Sephacryl S200HRカラム(GE Healthcare)によるサイズ排除クロマトグラフィーを用いて、その後、エンドトキシンを除くために、Vivapure S Maxi H(VcCBMs)またはQ Maxi H(SpCBMs)カラム(Sartorius)のいずれかを用いてさらに精製された。GFPタグ化タンパク質はまた、上記のようにアフィニティークロマトグラフィーおよびサイズ排除クロマトグラフィーに供された。タンパク質収率は、mCBMに応じて15〜70mg/lの間であると計算された。タンパク質は、−80℃に保存した場合、数カ月間安定な状態であった。タンパク質の純度および大きさは、12%SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動および質量分析によって確認された。精製されたmCBMのシアル酸への結合は、多価のビオチン化α−2,3−シアリルラクトース−PAA(Glycotech)が固定化された、ストレプトアビジンコーティングされたバイオセンサーチップを用いた表面プラズモン共鳴(Biacore T−100、University of Edinburgh)により確認された(表1)。

0051

グリカンマイクロアレイ。GFP−SpCBMのグリカン結合特異性は、グリカンスライドアレイV4.2(機能的グライコミクスのためのコンソーシアム)を用いて分析された。分析のためのGFP−SpCBM(200μg/ml)の調製は以前の記載8の通りであったが、抗GFP抗体の使用が、結合の蛍光シグナルを増強し得るように修飾された。

0052

細胞保護アッセイ。細胞保護アッセイについて、コンフルエントなMDCK単層(DMEM中、0.5%FCS)を37℃にて1時間、mCBM(10mg/ml、無血清(SF)DMEM中で適切に希釈された)とともにインキュベートした。単層をSF−DMEMで濯ぎ、その後、約100〜200PFUのインフルエンザウイルス(A/WSN/1933(H1N1)、A/PR/8/1934(H1N1)、A/Udorn(ウドーン)/1972(H3N2)およびB/香港/1973)を用いて1時間、37℃で接種し、続いて洗浄した。細胞は、2μg/mlのN−アセチル化トリプシンが補充されたDMEM中の10mMHEPES(pH7.4)の1.2%(w/v)Avicel(FMCBiopolymer)で覆われた。プレートを37℃で2〜3日間インキュベートした。プラークは、4%ホルムアルデヒドにおいて単層を固定し、0.1%クリスタルバイオレットで染色することによって可視化された。ウイルスから細胞の50%を保護するmCBMsのEC50値は、用量−応答曲線から各mCBMについて算出された。

0053

ウイルス複製阻害アッセイ。コンフルエントのMDCK細胞(96ウェルフォーマット)を用いて、インフルエンザAウイルス複製のmCBMによる阻害を評価した。細胞は、1時間、37℃にて、異なるmCBMとともにインキュベートされ、その後、洗浄され、1時間、単層にインフルエンザAウイルス(A/WSN/1933(H1N1)、A/PR/8/1934(H1N1)、A/Udorn(ウドーン)/1972(H3N2)、MOI0.01PFU/細胞)を添加される。ウイルス接種を除き、N−アセチル化トリプシン(2.5μg/ml)を含有するSFDMEMを細胞に添加し、さらに16〜24時間インキュベートした。細胞を4%ホルムアルデヒドで固定し、0.5%Triton−X100および20mMグリシンを含有するPBS(PBS−T)で30分間、透過させ、その後、1%BSA、0.02%アジ化ナトリウム(BB)を含有するPBSで2〜3時間ブロックした。細胞を濯ぎ、ヤギ抗インフルエンザA(BB中で1:500希釈、Santa Cruz)を1〜2時間、22℃で添加した。プレートを洗浄し、その後、ロバ抗ヤギIgGHRPコンジュゲート抗体(1:500希釈、Santa Cruz)を添加した。発色のために、プレートをTMB(HRP基質、Sigma)とともにインキュベートした。反応を1M HClの添加により停止させた。吸光度を450nmの波長(参照として620nm)で測定した。EC50値は、用量−応答曲線から算出し、対照ウェル(未処理、感染)と比較して、ウイルス複製を50%阻害するmCBMの濃度を決定した。

0054

細胞傷害性アッセイ。24時間の期間中に、哺乳動物の上皮細胞(MDCK)の生存率におけるmCBMの影響は、製造業者(Life Technologies,Invitrogen)により記載されるようにPrestoBlue細胞生存率アッセイを用いて評価された。mCBM(5mg/mlストック濃度の希釈)をコンフルエントな細胞単層に添加し、対照(DMEMのみ、未処理の対照、および陽性対照として20%(w/v)アジ化ナトリウム)と一緒に24時間、37℃でインキュベートした。PrestoBlue試薬を細胞に添加し、1時間インキュベートし、その後、570nmの波長(参照として620nm)での吸光度を測定した。処理された細胞の相対的な吸光度は、mCBM濃度に対してプロットされた未処理細胞の割合として表された。細胞生存率を50%に減少させるのに必要とされるmCBMの濃度(CC50)は、可変勾配フィットさせた非線形回帰曲線を用いて、用量−応答曲線から決定された。

0055

イメージング研究。MDCKおよびヒト肺癌腫(A549)細胞は、10%FCSが補充されたDMEM中で3×105細胞/mlに希釈され、その後、96ウェルのブラック平底プレート(Costar)の各ウェルに100μlを添加し、WillCoディッシュ(35×10mmガラス底、WillCo Wells B.V.)に1.5mlを添加した。細胞を90〜100%コンフルエンスまで一晩インキュベートした。細胞は、暖めた滅菌PBSで3回濯がれ、S.ニューモニエNanAシアリダーゼ32の触媒ドメイン(残基319〜822)は、SF−DMEM中、150μg/mlの濃度で細胞に添加され、1時間、37℃、5%CO2でインキュベートされた。細胞をPBSで広範囲に濯ぎ、その後、mCBM(SF−DMEM中、Vc2CBMTD 0.05mg/mlまたはSp2CBMTD 0.1mg/ml)を添加し、さらに1時間、37℃、5%CO2でインキュベートした。細胞を濯ぎ、その後、ウサギポリクローナル抗mCBM抗体(Eurogentec,Belgium)を添加(DMEM−3%FCS中、1:1000)し、1時間、37℃、5%CO2でインキュベートした。この後、DMEM−3%FCS中、2μg/mlでヤギ抗ウサギAlexa Fluor 488IgG(Life Technologies)を添加し、さらに1時間、37℃、5%CO2でインキュベートした。次に、DAPIを30分間添加し、その後、PBSで細胞を最終洗浄した。プレートをTECAN Infinite Pro Fluorescenceプレートリーダー(488nmおよび518nmの励起および発光波長を用いて)で読み取った。生細胞を、それぞれ、485nmおよび531nmの励起および発光波長を用いて、DeltaVisionデコンボリューション顕微鏡(Applied Precision)を用いてイメージ化された。

0056

マウス感染研究。インビボ研究は、The Roslin Institute,Edinburgh,UKおよびSt Jude Children’s Hospital,Memphis,TN,USAで行われた。雌性BALB/cマウスは、Harlan UK Ltd(5〜6週齢)またはJackson Laboratories(6〜8週齢)、Bar Harbor,ME,USAのいずれかから購入された。UKにおいて、研究は、エジンバラにある感染症センターでインフルエンザ研究のための動物実験施設で行われ、Animals(Scientific Procedures)Act 1986に従ったUKホームオフィスライセンスの下で実施された。マウスは、ハロタン(Rhone Merieux Ltd,Harlow,Essex,UK)を用いて麻酔され、その後、40μlPBS中の5×103または4×104PFUのインフルエンザA/WSN/33(H1N1)ウイルスのいずれかを用いて致死的ウイルスチャレンジの24時間前または当日に、様々な量のmCBM(PBS中、100〜500μg)を鼻腔内投与した。マウスを毎日計量し、臨床疾患の視覚的徴候について評価した。動物の元の体重の25%が失われた動物をCO2窒息により安楽死させた。感染後の4日および7日に、特に指示がない限り、肺を取り出し、PBS中で均質化し、遠心分離により清澄化した。感染性ウイルス力価は、MDCK細胞上で標準的なプラークアッセイにより決定された。

0057

マウスに適合されたA/カリフォルニア/04/2009(H1N1)インフルエンザウイルスを用いた実験は、米国の農務省によって使用を承認された動物バイオセーフティーレベル2+(ABSL2+)封じ込め施設で実施された。全ての研究は、適用される法律およびガイドラインの下、St.Jude小児研究病院動物ケアおよび使用委員会からの承認後に実施された。BALB/cマウス(n=5)のグループは、特に断りのない限り、0.1〜500μg/マウスの間の単回、2回または3回投薬量のいずれかで50μlのmCBMが鼻腔内で与えられた。mCBMタンパク質を用いた処理は、ウイルスチャレンジの−7日から+1日の間の異なる時点で開始された。動物は、マウスあたり10MLD50の投薬量でA/カリフォルニア/04/2009(H1N1)インフルエンザウイルスを接種された。対照(感染、未処理)マウスは、ウイルス接種の1時間前に50μlの滅菌PBSを鼻腔内に受けた。mCBM毒性対照(非感染、未処理)も試験された。マウスは、感染の臨床兆候と生存について、感染後の21日間、毎日観察され、体重は感染期間を通じて記録された。ウイルス肺力価は、MDCK細胞における組織培養感染量アッセイ(TCID50)によって、マウス(n=3)のさらなるグループにおいて、感染後の3、6および9日に決定された。

0058

サイトカイン分析。清澄化されたマウス肺ホモジネートのサイトカイン分析は、製造業者の指示書(RD Biosystems,UK)に従って、QuantikineELISAキットを用いて行われた。

0059

抗体分析。感染後の21日に生存したマウスから回収した免疫血清は、抗ウイルスHA抗体と抗mCBM抗体の存在の両方について試験された。HIアッセイは、受容体−破壊酵素RDEII、1:10希釈;Denka Seiken Co.,Japan)を用いて前処理され、56℃にて30分間、熱不活性化された血清について、0.5%充填したニワトリ赤血球を用いて行われた。標準的なELISAは、96ウェルプレート(Corning)上に固定化された、調製された抗体(1μg/ウェル)を用いて、感染マウスの血清試料から抗CBM抗体を測定するために使用された。血清(BB中で1:1000希釈)をウェルに添加し、続いて、ヤギ抗マウスIgG、IgAまたはIgMのHRPコンジュゲート抗体(1:2500希釈)を添加し、抗体の存在は、上述のようにTMBを用いて検出された。ヒト集団におけるシアル酸結合CBMの既存の免疫性について試験するために、男性および女性の混合された年齢集団から得られたヒト血清試料(n=50)(Seralab,UK)を用いた。血清を1:1000に希釈し、その後、HRPをコンジュゲートしたヤギ抗ヒトIgG(1:2500)を用いて、抗VcCBM抗体および抗SpCBM抗体について試験するために標準的なELISAを適用した。

0060

統計分析。生存研究について、カプラン・マイヤー法を用いて、未処理および処理グループの生存の確率を推定した。エラーバーを有する、プロットしたデータは、他に指示がなければ、平均±s.d.として表される。両グループ間の統計的有意性(p<0.05)は、ノンパラメトリックマンホイットニーU検定を用いて決定された。GraphPad Prism 5.0パッケージ(GraphPad Software Inc.,La Jolla,CA)をすべての分析に使用した。

0061

概要、結果および検討
インフルエンザウイルスは、表面の赤血球凝集素(HA)糖タンパク質を介して、気道上皮に存在するシアル酸受容体に結合し、そのイベントは、ウイルスのエンドサイトーシスを引き起こす12。2009年のパンデミックH1N1ウイルスなどのヒトインフルエンザウイルスは、上気道に存在するα−2,6連結したシアル酸受容体を認識し、一方、H5N1などのトリインフルエンザウイルスは、α−2,3連結したシアル酸受容体を主に認識するが、このような受容体はまた、ヒトの下気道に存在する13,14。最近出現したヒトH7N9ウイルスは、受容体の両タイプを認識する点で異例であり、したがって、持続的なヒトからヒトへの伝染およびパンデミック能力の可能性がある15,16。本発明者らは、特定のタンパク質を用いて気道におけるこのような受容体をマスキングすることが、感染を妨げるための新規な治療経路を提供し得るという仮説を立てた。多数のシアル酸結合タンパク質が知られているが、ほとんどはシアル酸に対する親和性が低く、例えば、HAモノマーはその受容体に対して約2.5mMの親和性であるが、三量体であることを通じて、およびウイルス表面上に高コピー数で存在させることによって親和性を高める17。天然を模倣し、本発明者らは、ビブリオ・コレラNanHシアリダーゼ18由来のシアル酸結合ドメイン(VcCBM、図1a)またはストレプトコッカス・ニューモニエNanAシアリダーゼ由来の相同なドメイン(SpCBM、図1b)のいずれかを用いて多価形態を遺伝子操作した。多価は、タンデムリピート8を介して、またはシュードモナス・エルギノーサシアリダーゼ19由来のオリゴマー化ドメイン(TD)(図1c)に1つもしくは2つのタンデムに連結されたCBMドメインであって、三量体を形成するために自己会合するドメインを融合させることによって達成された。VcCBMとSpCBMの多価形態は、表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定したとき、解離定数が1nM未満である結合力を介して親和性を上げる(図1d、表1)。グリカンアレイスクリーニングは、VcCBM8およびSpCBM(図5)がα−2,3またはα−2,6連結したシアル酸を認識することを示し、結晶学的分析は、両方のドメインがシアリルラクトースを用いた研究において末端シアル酸のみを認識することを明らかにする18。

0062

ウイルス感染をブロックする多価CBM(mCBMs)の能力を最初にインビトロで試験した(表2)。Madin−Darbyイヌ腎臓(MDCK)細胞、ならびに3つの異なるインフルエンザAウイルス[A/WSN/1933(H1N1)、A/PR/8/1934(H1N1)、A/Udorn(ウドーン)/1972(H3N2)]およびインフルエンザBウイルス(B/香港/1973)を用いた細胞保護およびウイルス複製阻害アッセイは、mCBMがウイルス付着をブロックしたことを示し、EC50値は、一価の対応物を用いた場合の約300μMと比較して、3価〜6価を有するmCBMについて0.39μM〜4.1μMの範囲であった(データ示さず)。mCBMは、ウイルス複製を阻害し、最大実行可能濃度で細胞傷害性を示さなかった(表2)。mCBMの蛍光画像は、mCBMが細胞表面に結合し、その結合は、細胞がシアル酸を除くために、無差別なシアリダーゼで前処理した後に、大幅に無効にされたことを示す(図6)。次に、本発明者らは、BALB/cマウスにおいてA/WSN/33(H1N1)ウイルスの致死的感染をブロックするVc4CBMの能力を検討した。Vc4CBM(500μg)は、ウイルスチャレンジの直前に、単回投薬として鼻腔内に投与された。Vc4CBMで処理されたマウスは生存し、僅かな初期の体重減少後に体重を再度増加し、未処理のマウスと比較して、感染後の7日に肺ウイルス力価が2対数減少した(図2a、b)。この最初の有望な結果は、本発明者らに、A/WSN/33(H1N1)ウイルスを用いた致死的チャレンジの1日前に鼻腔内に与えられた三量体(VcCBMTD、SpCBMTD、400μg)形態と六量体(Vc2CBMTD、Sp2CBMTD、100μg)形態の保護効果調査するように促す(図2c、d)。4つのmCBMsのうち、六量体形態は、感染後の7日に肺においてウイルスをほとんど検出することができなかったことを示し、Sp2CBMTD処理されたマウスはごく僅かな体重減少を実証した(図2c)。

0063

続いて、本発明者らは、マウスに適合されたA/カリフォルニア/04/2009(H1N1)パンデミックインフルエンザウイルスを用いた致死的チャレンジに対して、BALB/cマウスにおける生物製剤を評価し、−1日、0日または+1日に与えられた、単回鼻腔内投薬量(10、50、250、または500μgのいずれか)のVc4CBM、Vc2CBMTDまたはSp2CBMTDを調べた;0日は、ウイルスチャレンジの日であり、生存研究は+21日まで継続した。ウイルスチャレンジの24時間後に与えた場合、mCBMのいずれもマウスを保護しなかった(図7)。−1日に投与した場合、Vc4CBM(500μg)はたった40%の生存率を与えた。0日に投与した場合、Vc4CBM(500μg)は、A/WSN/33(H1N1)ウイルスチャレンジと一致して、100%の生存率を与えたが、低投薬量ではたった40%の生存率を与えた。対照的に、六量体形態は、−1日または0日に与えた場合、改善された保護を与えた。Vc2BMTDは、10または50μgの低投薬量で80%の生存率を与えた。Sp2CBMTDは最良の保護を提供し、全てのマウスは−1日に投与された全ての投薬量で生存し、全てのマウスは、50または250μg投薬量での0日における投与後に生存し、60%が10μg投薬量で生存した。ウイルスチャレンジに対して生存した全ての動物は体重が減少したが、最も有益な結果は、Sp2CBMTDを0日に250μg投薬量で投与した場合に達成された(図3b)。次に、本発明者らは、感染前にさらに投与されるSp2CBMTDを用いた反復投薬の効果を検討した。単回の50μg投薬量のSp2CBMTDは、0日にA/カリフォルニア/04/2009(H1N1)ウイルスを用いた致死的チャレンジ前に、最大1週間、1回、2回または3回、BALB/cマウスに鼻腔内投与された。全ての投薬処方計画について100%の生存率であり(データ示さず)、顕著には、2回または3回の投薬量が投与された場合、体重減少は僅かであるまたは全くなかった(図4a)。次に、Sp2CBMTDの最低有効投薬量を検討した。単回の10、1または0.1μg投薬量のSp2CBMTDは、0日にA/カリフォルニア/04/2009(H1N1)ウイルスを用いた致死的チャレンジ前の−7日、−3日または−1日に投与された。全てのマウスは、10および1μgの投薬処方計画で生存し、重要なことには、−7日に与えられた単回の1μg投薬量でさえ、感染後の8日に最大8%だけの体重減少が見られ、直ちに回復した(図4b)。マウスは、+21日まで有害な臨床兆候なしに成長を続けた。対照的に、0.1μg投薬量で、−1日、−3日または−7日に投与した場合、それぞれ、80%、20%または0%のマウスが生存した(図4b)。感染後の3日、6日および9日に測定されたウイルスの肺力価は、50および10μg投薬量について、ウイルスは、9日までに肺から取り除かれ、一方、1および0.1μg投薬量について、ウイルス力価は、対照(感染、未処理)のマウスと類似していたことを示した(結果を示さず)。重要なことに、血清抗HA抗体の高い力価は、全ての投薬処方計画を用いた処理後に存在しており、免疫応答を誘発するのに十分なウイルス複製が存在することを示している(図8)。

0064

病原体由来の生物製剤を用いた一つの懸念は、反復投与の有効性を減少させ得る免疫原性の能力である。SpCBMおよびVcCBMは、宿主とともに免疫寛容を進化させてきた可能性があるヒト病原体から選択され、本発明者らは、ヒト集団において、単一のCBMドメインのいずれかに既存の免疫を見出さなかった(図9)。マウスにおけるSp2CBMTDの鼻腔内投与は血清のIgA、IgMおよびIgA抗体を誘発したが、用量依存的であり、1μgのSp2CBMTDは血清のIgAおよびIgMを無視できるレベルで誘発した(図10)。mCBMの免疫原性は、反復使用による問題があり得るが、しかしながら、タンパク質をより小さい免疫原性とする修飾は必要に応じて採用され得る20。

0065

シアル酸は、全ての脊椎動物における全ての細胞の表面に広く発現され、免疫の発生を含む、複数の細胞機能の調節に関与する21。内因性および外因性のシアル酸を認識するタンパク質は、多くの場合、それ自体が多価であり、細胞の相互作用を媒介し、調節することが知られている22。生物製剤設計の元々の仮説は、シアル酸受容体のマスキングであるが、しかしながら、感染前の7日に与えた単回の低投薬量のSp2CBMTDの顕著な保護能力は、生物製剤が抗ウイルス状態に免疫系を付加的にプライミングしている場合があるという可能性を生じさせる。したがって、本発明者らは、マウスへのVc2CBMTDまたはSp2CBMTDの鼻腔内投与による炎症性サイトカイン/ケモカインの限定されたセットの誘導を検討し、2つの生物製剤間に有意な相違があり、Sp2CBMTDは、Vc2CBMTDまたはPBSと比較して、IL−1β、MIP−2(マウスのIL−8のホモログ)、IFN−γおよびTNF−αのより高いレベルを刺激することを見出した(図11)。S.ニューモニエCBMは、ヒトおよびマウスの脳細胞においてある種のサイトカインを刺激することが以前に報告されている23NanAシアリダーゼの大きな領域の一部を形成するが、NanAの他のセグメントはこの活性の原因であり得る。本発明者らの生物製剤は、サイトカイン誘導を含む細胞プロセスを調節している可能性があり、これはSp2CBMTDの保護能力に寄与し得、その発見はさらなる過度の検討を必要とする。

0066

インフルエンザを制御するための新たな治療アプローチが緊急に必要である。多大な努力は、インフルエンザへの新たなワクチンアプローチ24,25、ウイルス標的の新規な阻害剤26および宿主因子で標的化される新規な戦略27,28の開発に投入されている。本発明者らは、哺乳動物宿主に標的化された生物製剤が、さらなる検討に値するいくつかの利点を有することを実証している。本発明者らの生物製剤は、上気道および下気道に見出される異なるシアル酸受容体に結合し、マスクする能力を有し、したがって、適切な送達ステムが使用される場合、ヒト気道全体に保護することができる。全ての処理されたマウスにおいて観察された血清抗HA抗体の産生は、保護を与え得ることに加えて、生物製剤が、ウイルスへの曝露の際に「ワクチン」を生じさせ、将来の曝露に対して潜在的に保護を提供することを示唆する。これらの生物製剤を臨床にもちこむには多数のチャレンジが行く手に存在しているが、本発明者らは、この新しい種類の治療薬が、インフルエンザの制御に対する強力な選択肢となる可能性を有すると考える。生物製剤は、多くの場合、インフルエンザに関連し、罹患率致死率の増加に関与する二次細菌感染の主要な原因である、ストレプトコッカス・ニューモニエを含む病因においてシアル酸を利用する、他の呼吸器病原体のブロックにおいてより広範囲の可能な用途を有する。

0067

0068

0069

0070

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0071

(例2)
マウスガンマヘルペスウイルス68(MHV−68)を用いて感染させたマウスにおける遺伝子操作されたタンパク質Vc2CBMTDとSp2CBMTDの予防効果
導入
マウスガンマヘルペスウイルス68(MHV−68)は、ヒトに感染するカポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)とエプスタイン−バーウイルスEBV)に密接に関連している2天然に存在するげっ歯類の呼吸器病原体1である。ガンマヘルペスウイルスは、それらのエンベロープ上に、ウイルスの細胞から細胞への伝達に関与している多数の表面タンパク質、糖タンパク質H(gH)および糖タンパク質L(gL)および糖タンパク質150(gp150)を提示する。EBVと同様に、MHV−68は、感染から後何ヶ月も後に発生し得る、リンパ増殖性疾患3と関連付けられる。しかしながら、EBVおよび他の多くのガンマヘルペスウイルスとは異なり、MHV−68は、インビトロで上皮細胞内で複製し、マウスの実験室系統に感染し、したがって、ガンマヘルペスウイルスの研究4のために優れたモデルを提供する。治療については、抗ウイルス剤は、通常、ほとんどのヘルペスウイルス感染の治療に提案されている。

0072

マウスにおけるMHV−68の鼻腔内投与は、肺胞上皮細胞急性増殖性感染およびBリンパ球における持続的な潜伏感染をもたらし、脾臓潜伏ウイルスの主要なリザーバーである5,6。感染性ウイルスはまた、感染後の10〜13日間、BALB/cマウスの肺から回収することができる5。MHV−68を用いたC57BL/6Jマウスの鼻腔内感染後のBAL液からのMHV−68に対する炎症性サイトカイン応答の分析は、高レベルのIL−6とIFN−γ、および低レベルのIL−2とIL−10を示し、感染の10日後あたりでサイトカイン産生ピークとなり、これは、肺からのウイルスクリアランスと相関するが、有意なレベルは、ウイルス投与から3日後と同程度に早期に観察される。対照的に、無視できるレベルのIL−4またはIL−5が検出される。さらに、精製された免疫T細胞はまた、MHV−68によるインビトロの再刺激後にIL−6、IL−10およびIFN−γを産生することができ、これは、ウイルスが、後天性と先天性の宿主応答1の両方の成分を誘導することを示唆している。

0073

呼吸器病原体に対する生物製剤として遺伝子操作されたシアル酸結合タンパク質を用いた、本発明者らの研究室における最近の証拠は、予め7日まで単回の低投薬量(1μg)を用いてマウスに鼻腔内投与したとき、完全な保護が、致死性のインフルエンザA/カリフォルニア/04/2009(H1N1)ウイルスチャレンジに対して観察されることが示された(公開されていないデータ)。生物製剤は、V.コレラ(VC)とS.ニューモニエ(Sp)シアリダーゼ酵素から単離され、タンデムリピートまたはオリゴマー化ドメインアプローチのいずれかを使用して多価実体(mCBM)として遺伝子操作された炭水化物結合モジュールに基づく。これらの遺伝子操作されたタンパク質は、低投薬量で予め多くの日数を与えられたときに、宿主を保護することが示されているため、これらのタンパク質は、細胞表面のシアル酸への結合からインフルエンザウイルスの付着をブロックすることができるだけでなく、免疫系を潜在的に「プライム」することもでき、免疫調節効果を介してウイルスに対する抗ウイルス応答を可能にすると考えられる。BALB/cマウスにおけるmCBMを用いた予備的研究は、感染なしに単回投薬として鼻腔内に投与した場合、免疫刺激効果が観察され、これは、2日後のMIP−2、TNF−α、IL−6およびIL−1βなどの限定された一連のサイトカイン/ケモカインの産生を増強する能力を実証することを示した(公開されていないデータ)。

0074

ここで、本発明者らは、ウイルス力価およびサイトカインレベルにおける、MHV−68感染させたBALB/cマウスにおいて遺伝子操作されたmCBMの効果の予備的なデータを示す。感染マウスにおけるウイルス力価および特定のサイトカインレベルの減少は、mCBMsが、哺乳動物における感染を開始するために、シアル酸結合に依存しない他の呼吸器病原体による感染プロセスに影響を及ぼす可能性があることを実証する。

0075

方法
インビボ研究。マウスの研究は、エジンバラにある感染症センターでインフルエンザ研究のための動物実験施設で行われ、Animals(Scientific Procedures)Act 1986に従ったUKホームオフィスライセンスの下で実施された。マウスは、ハロタン(Rhone Merieux Ltd,Harlow,Essex,UK)を用いて麻酔され、その後、50μgのVc2CBMTDまたはSp2CBMTDのいずれかの鼻腔内投与が−7日、−3日および−1日に3回与えられ、続いて、40μlのPBS中の4×105個のMHV68でチャレンジされた。感染の5日後、マウスを処分し、ウイルス力価の決定とサイトカイン分析のために死後にそれらの肺を回収した。
ウイルス力価。感染性ウイルス力価は、MDCK細胞において標準的なプラークアッセイによって決定された。マウスにおける肺ウイルス力価は、感染の5日後に決定された。
サイトカイン分析。清澄化されたマウス肺ホモジネート由来のMIP−2、TNF−α、IL−6、IL−1β、IFN−γ、GM−CSFおよびIL−2のサイトカイン分析は、製造業者の指示書(RD Biosystems,UK)に従って、QuantikineELISAキットを用いて行われた。

0076

統計分析。プロットされたデータは、誤差バーを有し、他に指示がなければ、平均±s.d.として表される。2つの群間の統計的有意性(P<0.05)は、ノンパラメトリックなマンホイットニーU検定を用いて決定された。GraphPad Prism 5.0パッケージ(GraphPad Software Inc.,La Jolla,CA)をすべての分析について使用した。

0077

結果と考察
本発明者らは、非シアル酸結合呼吸器病原体であるMHV−68ウイルスを用いてチャレンジした場合、BALB/cマウスにおける肺のウイルス負荷と免疫応答における六量体mCBM、Vc2CBMTDおよびSp2CBMTDの効果を検討した。生物製剤は、ウイルスチャレンジ前に、3回の投薬量(50μg、−7、−3、−1日)として鼻腔内投与された。全ての処理されたマウスは、未処理の感染マウスと比較して、感染の5日後の肺ウイルス力価において一対数減少を示した(図12a)。炎症性メディエーターIL−1β、MIP−2(IL−8のマウスホモログ)、IFN−γ、TNF−α、GM−CSF、IL−6およびIL−2をモニターするためにELISAを使用したマウスの肺ホモジネートのさらなる分析は、処理と未処理の感染マウス間において差異を示した。両方の生物製剤は、未処理の感染マウスと比較して、有意により低いレベルのIL−6、MIP−2およびIFN−γを示したが、TNF−α、IL−2およびIL−1βのレベルは感染マウスのみに類似していた(図12b)。このデータは、mCBMsの高度な予防的治療が、IL−6およびIFN−γなどのMHV−68感染によって刺激される特定の炎症性メディエーターのレベルの低下によって見られるように、免疫応答を調節することにより感染に応答する宿主を調製し得ることを示唆する。mCBMsは、潜在的に有害なケモカインの発現を妨げながら、MHV−68ウイルスチャレンジに対する免疫応答を増強するために、初期炎症プロセスを誘導する可能性がある。さらなる研究は、動物モデルに投与した場合、mCBMの免疫応答プロファイルのタイプを理解する必要がある。

0078

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0079

(例3)
H7N9インフルエンザウイルス感染に対する炭水化物結合モジュール:前臨床試験における有効性。BALB/cマウスにおけるA/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルス感染に対する糖(Carboxydrate)結合モジュール(Sp2CBMTD)の六量体形態の効果。
材料および方法
ウイルス。インフルエンザA/Anhui/1/2013(H7N9)ウイルスは、世界保健機関監視ネットワークを介して得られた。A/Anhui/1/2013(H7N9)ウイルスは、10日齢の発育鶏卵()の尿膜腔臨床試料を培養することにより、患者から単離され、実験に使用したウイルスのストックは卵中に調製された(継代歴:E2/E2)。動物の50%が死亡したマウス致死的投薬量(MLD50)は、21日後、6週齢の雌性BALB/cマウスにおいて決定された(体重、18〜20g;Jackson Laboratories,Bar Harbor,Maine)。重篤な疾患を示し、最初の体重の>25%を失った動物を安楽死させた。

0080

ヒトH7N9インフルエンザウイルスを用いた実験は、米国農務省によって承認された動物のバイオセーフティーレベル3+封じ込め施設で実施された。全ての研究は、適用される法律およびガイドラインの下、St.Jude小児研究病院動物ケアおよび使用委員会からの承認後に実施された。

0081

化合物。炭水化物結合モジュール(Sp2CBMTD)の六量体形態は、Helen Connaris博士(Centre for Biomolecular Sciences,University of St.Andrews,UK)により10.5mg/mlの濃度でPBSにて提供された。6CBM(Sp2CBMTD)タンパク質は、使用するまで−80℃で保存された。マウス動物モデルにおける6CBM(Sp2CBMTD)タンパク質の有効性を評価するために、タンパク質試料を13K rpmで5分間、遠心分離し、新たなバイアルに移し、所望の濃度まで滅菌PBSに溶解させた。

0082

SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)。タンパク質の安定性は、12%SDS−PAGE(BioRad Laboratories,Hercules,CA)で還元条件下、Sp2CBMTDタンパク質(PBSに溶解させた5.25〜0.66μg/チャネル濃度で10μl/チャネル)の電気泳動移動度の決定により確認された。主なタンパク質バンドは、約50kDaで同定され、いくつかの追加のマイナーバンドが同定された(図13)。21kDaでバンドは検出されなかった。したがって、Sp2CBMTDタンパク質は解離されなかった。

0083

マウスにおけるA/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルスによる致死的感染におけるSp2CBMTDの有効性。雌性6〜8週齢のBALB/cマウス(体重、18〜20g;Jackson Laboratories,Bar Harbor,ME)は、イソフルランの吸入により軽く麻酔され、50μlの感染性H7N9ウイルスを鼻腔内接種された。全体的に、BALB/cマウスの32グループ(1グループあたり5匹のマウス)をこの実験に使用した(表1a)。BALB/cマウスは、異なる処方計画で鼻腔内に50μlのSp2CBMTDを与えられた。Sp2CBMTDタンパク質の単回投薬量(0.1、1、10および100μg/マウス/日)は、H7N9ウイルスチャレンジの7日前(−7日:グループ1〜4)、H7N9ウイルスチャレンジの3日前(−3日:グループ5〜8)、H7N9ウイルスチャレンジの1日前(−1日:グループ9〜12)、H7N9ウイルスチャレンジの6時間後(+6時間:グループ13〜16)、H7N9ウイルスチャレンジの24時間後(+1日:グループ17〜20)のいずれかで投与された。Sp2CBMTDタンパク質の反復投与は、H7N9ウイルスチャレンジの3日前および1日前(−3日、−1日:グループ21〜24)に2回の投薬として投与され、またはウイルスチャレンジの7日前、3日前および1日前(−7日、−3日、−1日:グループ25〜28)に3回の投薬として投与されて行われた。毒性対照として、Sp2CBMTDタンパク質は、3つの処方計画で100μg/マウス/日の投薬量にて投与された(毒性:グループ29〜31)。動物は、マウスあたり5MLD50の投薬量でA/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルスで接種された。対照(感染、未処理)マウスは、ウイルス接種の1時間前に50μlの滅菌PBSを鼻腔内に受けた。BALB/cマウスは、感染の臨床徴候および生存について、感染後の21日間、毎日観察された。死亡までの平均日数は、ログハザードスケールを用いて算出された。マウスは、感染後の0日、2日、4日、6日、8日、10日、12日、14日、19日および21日に計量され、体重の減少または増加は、ウイルス接種前の0日の各マウスの体重の割合として各マウスについて算出された。

0084

抗HA抗体応答。血清試料を感染後の21日に生存マウスから回収し、1:10に希釈した受容体−破壊酵素(Denka Seiken Co.,Japan)を用いて一晩37℃にて処理し、56℃にて30分間、熱不活性化し、滅菌PBSで1:10に希釈し、0.5%充填したニワトリ赤血球(CRBC)を用いた血球凝集抑制(HI)アッセイによって試験した。
H7N9ウイルス高投薬量による再感染。A/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルスによる致死的感染から生存した全ての動物は、感染後の21日に25MLD50のウイルスを用いて再感染させた。マウスは、感染の臨床徴候と生存について毎日観察され、体重変化は、指定された日にモニターされた。

0085

結果
A/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルスで致死的にチャレンジされたBALB/cマウスの生存におけるSp2CBMTDタンパク質の効力。本発明者らは、A/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルスで致死的にチャレンジされたマウスの生存および臨床兆候における、Sp2CBMTDタンパク質の単回または反復投与の効果を評価した(表2a)。単回投薬量、2回および3回投薬量(100μg/マウス/日)として投与した場合に、Sp2CBMTDは、未感染マウスの体重変化と死亡を引き起こさなかった。本発明者らは、Sp2CBMTDがこれらの実験で使用した最高投薬量でマウスに対して非毒性であると結論付けた。

0086

未処理のH7N9ウイルス接種された対照マウスは、進行性の体重減少を示し、死に至るまでの平均日数は7.8±1.1であった(表2aおよび図14〜16)。本発明者らは、H7N9ウイルスチャレンジに対するマウスの保護におけるSp2CBMTDの用量依存効果を観察し、より有益な保護が100μg/マウス/日という高投薬量で達成された(図14)。D−7、D−3、D−1に投与した場合、100μg/マウス/日の投薬量が100%保護を与えた。試験された全ての処方計画で単回投与として適用された場合、0.1μg/マウス/日の投薬量が最少の有効な投薬量であった。

0087

A/Anhui/1/2013(H7N9)で致死的チャレンジ後に投与された場合、単回のSp2CBMTD投薬量の効果を評価するために、本発明者らは、ウイルス接種の6時間または24時間後に処理を開始した(図15)。これらの実験において使用された最大投薬量(100μg/マウス/日)は、+6時間で適用された場合には100%生存を与え、+24時間(+1日)で適用された場合にはたった40%の動物の生存を与えた。
A/Anhui/1/2013(H7N9)ウイルスによるマウスの致死的チャレンジに対するSp2CBMTDを用いた反復投薬の有効性を評価するために、タンパク質の2回投薬がD−3とD−1に投与され、3回投薬がD−7、D−3、D1に投与された(図16)。Sp2CBMTDを2回および3回適用した場合、全ての投薬処方計画について100%生存であった。
A/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルスで致死的にチャレンジされたBALB/cマウスの体重変化におけるSp2CBMTDタンパク質の効力。100μg/マウス/日の最大Sp2CBMTD投薬量を動物に投与した場合に、体重変化はほとんどないまたは全くなかった。一方、0.1μg/マウス/日の投薬量は、体重減少に最小の効果を与え、この投薬量で処理された動物は、最も顕著な体重減少を経験した(表3a)。Sp2CBMTDの投与時期は、生存および体重減少に最も有益な効果の提供に重要である。Sp2CBMTDタンパク質による処理がウイルス接種の24時間後に開始された場合、動物は、最も顕著な重量変化を示した。全体的に、観察された体重変化は、H7N9感染後に観察された生存転帰と相関した。

0088

A/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルスによるマウスの感染を血清学的に確認し、抗HA抗体の産生におけるSp2CBMTDタンパク質処方計画の効果を比較するために、本発明者らは、HIアッセイのために感染後の21日に血清を回収した。相同なA/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルスに対する抗HA抗体は、全ての生存マウスにおいて観察され、逆数HI力価は40〜80の間の範囲であった(表4a)。

0089

高投薬量のH7N9ウイルスによる生存マウスの再感染。25MLD50のH7N9ウイルスによる再感染から動物を完全に保護した;動物は、疾患兆候を示さず、死亡しなかった(表5a)。

0090

結論
・A/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルスによる致死的チャレンジ前のSp2CBMTDの反復投与は、最も有益な結果を与え、使用された最低投薬量(0.1μg/マウス/日)でさえ、BALB/cマウスの100%の生存をもたらした。これは、使用された投薬量の減少の可能性を示す。
・投与時期は、致死的マウスモデルにおけるSp2CBMTDタンパク質処理の有効性と関連する:タンパク質をA/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルス接種前に投与した場合に、完全な保護(100%生存率)が達成された。
・Sp2CBMTDの用量依存的効果は、H7N9致死的マウスモデルにおいて観察され、したがって、インフルエンザウイルスに対するこのタンパク質の特異性を示す。
・Sp2CBMTDの投与は、抗HA抗体の発生に影響を及ぼさず、免疫応答のレベルは、H7N9ウイルスの再感染に対して保護するには十分であった。

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(例4)
出現A(H7N9)インフルエンザウイルスを用いた致死的チャレンジに対してマウスを保護するシアル酸結合タンパク質Sp2CBMTDに関するさらなる研究
概要
例3に示されたデータによって示されるように、インフルエンザウイルス複製に必須の細胞因子を標的とする化合物は、抗ウイルス療法に対する魅力的なアプローチを表す。Sp2CBMTDは、インフルエンザウイルスによって認識される気道上皮上のシアル酸を含有する細胞受容体をマスクする遺伝子操作された多価タンパク質である。出現ヒトA/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルスを用いたマウスの致死的感染に対するSp2CBMTDの抗ウイルス能力は、インビボでのその活性のメカニズム基礎があったように調査された。Sp2CBMTDは、H7N9ウイルス接種の前(7日、3日もしくは1日)または後(6時間もしくは24時間)に単回投薬量または反復投薬量(0.1、1、10もしくは100μg)として鼻腔内にマウスに投与された。H7N9の致死的チャレンジ前の7日に投与された場合、単回Sp2CBMTD投薬量(10または100μg)は80%から100%のマウスを保護した。反復Sp2CBMTD投与は最大保護を与え、試験された最低投薬量(0.1μg)でさえ、マウスの100%生存をもたらした。Sp2CBMTDの投与は、炎症誘発性メディエーター(IL−6、RANTES、MCP−1、Il−1β、TNFα、MIP−1α、IP−10)の肺発現を誘導し、H7N9ウイルス感染前に気道に好中球を動員した。これは、より少ない顕著な炎症およびマウス肺からの迅速なウイルスクリアランスをもたらした。Sp2CBMTD投与は、ウイルス特異的な適応免疫応答に影響を及ぼさず、相同H7N9ウイルスまたは異種H5N1ウイルスのより高い投与量を用いた再感染に対して保護するのに十分であった。したがって、Sp2CBMTDは、致死的マウスモデルにおけるH7N9感染の予防に効果的であり、人畜共通のインフルエンザウイルスに対する予防オプションとして期待される。

0098

材料および方法
ウイルス、細胞および生物製剤
インフルエンザA/Anhui/1/2013(H7N9)およびA/トルコ/15/2006(H5N1)ウイルスは、世界保健機関のネットワークを介して取得され、35℃で48時間、発育鶏卵で増殖させた。以前に記載されるように(22)、Madin−Darbyイヌ腎臓(MDCK)細胞をアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションから取得され、維持した。ストレプトコッカス・ニューモニエNanAシアリダーゼ由来の炭水化物結合モジュール40(CBM40)ドメインをコードする遺伝子とシュードモナス・エルギノーサのシューダミニダーゼ由来の三量体化ドメインをコードする遺伝子を用いて、Sp2CBMTDをPCRに基づくクローニング技術により生成させた(21)。H7N9とH5N1インフルエンザウイルスを用いた実験は、米国の農務省によって承認された動物バイオセーフティーレベル3+封じ込め施設で実施された。

0099

マウスにおけるSp2CBMTDの効力
6週齢の雌性BALB/cマウス(体重、18〜20g;Jackson Laboratories,Bar Harbor,ME)は、イソフルラン吸入により軽く麻酔し、50μLのPBS中の50%マウス致死的投薬量(MLD50)のA/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルスを5回用いて鼻腔内接種された。第一の研究について、グループあたり5匹のBALB/cマウスは、H7N9ウイルス接種前の7日、3日もしくは1日、またはH7N9ウイルス接種の6時間もしくは24時間後に鼻腔内に単回投薬量のSp2CBMTD(0.1、1、10もしくは100μg/マウス)を与えられた。Sp2CBMTDの反復投薬は、H7N9接種前に2回(3日および1日)投薬量または3回(7日、3日および1日)投薬量のいずれかとして与えられた。マウスの生存は、感染後(p.i.)の21日間、毎日モニターされた;重症疾患の兆候および25%の体重減少を示した動物を屠殺した。対照マウスは、7日、3日および1日に滅菌PBSを受けた。

0100

第二の研究について、10μg投薬量のSp2CBMTDを評価した。グループあたり10匹のBALB/cマウスは、A/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルス接種前に単回(7日もしくは3日)、2回(3日および1日)、または3回(7日、3日および1日)の投薬量のSp2CBMTDを与えられた。体重の減少または増加は、接種前のその重量の割合として各マウスについて算出された。感染後の3日、6日および9日に、各群からの3匹のマウスは、肺ホモジネートにおけるウイルス肺力価およびサイトカイン/ケモカイン応答のレベルを決定するために屠殺された。各群からの追加の3匹のマウスは、肺の組織病理学的検査のために屠殺された。肺を取り出し、滅菌PBSで十分にリンスし、均質化し、1mLの氷冷PBSに懸濁した。細胞残屑を10分間、2000gで遠心分離によって除去し、その後、上清をMDCK細胞における50%組織培養感染量(TCID50)アッセイに使用した。マウスの生存を感染後の21日間、モニターした。すべての研究は、適用される法律およびガイドラインの下で実施され、St.Jude小児研究病院動物ケアおよび使用委員会から承認された。

0101

H7N9およびH5N1ウイルスを用いた再感染
A/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルスを用いた接種から3週間後、生存マウスは、25MLD50の相同なウイルスを用いて再感染された。Sp2CBMTDおよびH7N9ウイルス接種による初期処理で生存した他のマウスは、3週間後にSp2CBMTDの第二の投与を受け、次に、20MLD50のA/トルコ/15/2016(H5N1)ウイルスを感染された。

0102

肺サイトカインおよびケモカイン分析
4つのサイトカイン[ガンマインターフェロン(IFN−γ)、インターロイキン−6(IL−6)、活性化調節された発現および分泌正常T細胞(RNTES)、単球走化性タンパク質−1(MCP−1)]の濃度、および4つのケモカイン[インターロイキン−1β(Il−1β)、腫瘍壊死因子アルファ(TNF−α)、マクロファージ炎症性タンパク質−1α(MIP−1α)、誘導タンパク質(IP−10)]の濃度は、製造業者の指示に従ってマウスMYCTOMAG−70K−PMXMILLIPLEX(登録商標)予備混合キット(Millipore)を用いて測定された。各サイトカインについて、標準曲線は、3.2〜10,000pg/mLの範囲であった。サイトカインは、感染後の0日、3日、6日および9日に25μLの肺ホモジネート試料において測定された。マルチプレックスプレートは、xPonentデータ収集および分析ソフトウェアを用いて、ルミネックス100/200アナライザーで読み取った。

0103

組織病理学および免疫組織化学
第二の研究の各実験グループ(n=3)におけるマウスの肺を10%中性緩衝ホルマリン(NBF)を用いて全身灌流後に回収した。マウス肺を気管注入を介して膨張させ、包埋、切片化、インフルエンザAウイルス[核タンパク質(NP);US Biological]および好中球[ミエロペルオキシダーゼ(MPO);Thermo Shandon]についてヘマトキシリンおよびエオシンまたは免疫組織化学的(IHC)染色を用いた従来の組織病理学について染色する前の少なくとも7日間、10%NBF中に維持する。インフルエンザAウイルスNP染色およびMPO染色した切片を病理評価のために盲検化した。抗原の存在は、Aperio ScanScope XT Slide Scanner(Aperio Technologies)を用いて全肺切片のデジタル画像を捕捉し、次に、著しく減少または不存在のNPおよびMPO染色の場所と一緒に領域全体を手動で輪郭を描くことにより定量された。染色範囲が減少した肺領域の割合は、Aperio’s ImageScopeソフトウェアを用いて算出された。

0104

血清学
血清試料をH7N9またはH5N1ウイルス感染の21日後に得、受容体−破壊酵素(Denka Seiken Co)を用いて処理し、56℃で1時間、熱不活性化し、0.5%シチメンチョウ赤血球(Rockland Immunochemicals)を用いた赤血球凝集素(HA)阻害アッセイにより抗HA抗体の存在について試験した。血清試料中の抗SpCBM抗体の存在は、96ウェルプレート(Corning)上に固定化された精製タンパク質(1μg/ウェル)を用いて、ELISAにおいて測定された(21)。
統計分析
ウイルス肺力価は、サイトカインおよびケモカインの濃度、ならびに抗SpCBM抗体力価は、対応のないスチューデントt検定によって分析された。NP染色およびMPO染色された肺細胞数は、GraphPad Prism 5.0ソフトウェアを用いて分散分析(ANOVA)により比較された。累積生存率は、カプラン・マイヤーログランク検定により算出された。

0105

結果
H7N9インフルエンザウイルスを用いて致死的にチャレンジされたマウスの生存におけるSp2CBMTDの効力。Sp2CBMTDが、A/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルスを用いて致死的にチャレンジされたマウスの生存率を改善したかどうかを決定するために、生物製剤が、ウイルスチャレンジ前の7日、3日または1日に0.1、1、10または100μgの投薬量で1回投与された。ウイルス接種され、PBS処理された対照動物は、進行性の体重減少を示し、感染後の8日と10日の間に全て死亡した(図17)。H7N9ウイルスチャレンジ前のSp2CBMTDの単回の鼻腔内投与は、マウスの用量依存的な保護をもたらした。Sp2CBMTDの最大単回投薬量(100μg)は最大保護を提供し、生物製剤をウイルス接種前の7日、3日または1日に投与した場合に、100%のマウスが感染に対して生存した(図17A)。10μgの単回投薬量は、ウイルス接種前の1日または7日もしくは3日に投与した場合に、それぞれ100%、80%および80%のマウスを保護した。しかしながら、ウイルスチャレンジ前の3日または1日に1μg投薬量を投与した場合に、たった60%および40%のマウスが生存した(図17A)。試験した最低投薬量(0.1μg)は、少なくとも効果的であり、たった20%のマウスが保護された。

0106

次に、マウスの生存におけるSp2CBMTDを用いた早期の曝露処理後の効果を評価した。H7N9ウイルスチャレンジの6時間後に与えられたSp2CBMTDは、10および100μgの投薬量で100%のマウスを保護し、1μgで40%のマウスを保護した(図17B)。保護の効力は、治療の開始が24時間遅れた場合に減少した:100μgで処理されたマウスの40%だけがH7N9接種に対して生存した;0.1および1μgは生存効果を与えなかった。
A/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルスを用いて感染させたマウスの致死的チャレンジ前に2回または3回処方計画として与えられたSp2CBMTDの反復投与は、試験された生物製剤の全ての投薬量で完全な保護を与えた(図17C)。これらの結果は、H7N9ウイルス接種前のSp2CBMTDの反復投与がマウスの生存および体重減少の最小化に最も効果的であることを示した(表1b)。

0107

マウス肺におけるH7N9インフルエンザウイルス複製におけるSp2CBMTDの効果。第二の実験において、Sp2CBMTDの抗ウイルス活性のメカニズムの基礎は、保護が第一の実験において与えられた10μg投薬量で調べられた。H7N9ウイルス負荷の動力学は、感染マウスの肺において決定された。試験された全ての生物製剤処方計画で処理されたマウスの肺におけるウイルス力価は、感染後の3日または6日で対照のウイルス力価とは異なっていなかった(表1b)。注目すべきは、感染後の9日に、Sp2CBMTDの2回および3回投与が、感染マウスの肺におけるウイルス負荷を有意に減少させたが(P<0.005)、試験された両方の単回投薬処方計画は、ウイルス力価を減少させなかった(表1b)。

0108

PBS(対照)または生物製剤の異なる処方計画のいずれかが与えられた感染マウスの下気道におけるA/Anhui/1/2013(H7N9)インフルエンザウイルス複製を比較するために、ウイルス陽性細胞を感染後の3日、6日および9日に肺切片において定量した(図18)。対照動物において、NP陽性細胞(インフルエンザ感染細胞の尺度)は、感染後の3日および6日に全肺切片を通じて検出され、具体的には気管支、細気管支および細気管支周囲肺胞の上皮細胞において検出され(図18D、F)、抗原陽性細胞数は、感染後の9日に減少した(図18H)。Sp2CBMTDの単回投与は、感染後の3日、6日または9日に対照動物と比較して、マウス肺におけるNP陽性細胞数を有意に変化させなかった。対照的に、生物製剤の2回または3回の投与は、NP陽性細胞数の有意な減少(それぞれ、P<0.01およびP<0.05)をもたらし、細胞数は、感染後の3日で80%から70%に減少し(図18A)、感染後の9日で50%に減少した(図18C)。

0109

これらの知見は、Sp2CBMTD投与が、感染マウスの肺においてH7N9ウイルス複製を制御することを示した。肺切片アッセイは細胞内ウイルスだけを検出することができるが、TCID50アッセイは細胞内と細胞外の両方のウイルスを検出することができるため、感染性ウイルス力価における観察された差異および感染マウスの肺におけるウイルス陽性細胞数とすることができる。

0110

肺組織の組織学的変化におけるSp2CBMTDの効果。肺における変化の程度を決定するために、感染後の3日、6日および9日に異なるSp2CBMTD処方計画グループから得られた組織を組織学的に調べた(図19)。H7N9に感染したPBS処理されたマウスの肺は、感染後の3日に気管支の上皮細胞の壊死を示し(図19A)、感染後の6日に炎症性細胞(好中球およびマクロファージ)による肺胞崩壊と浸潤、浮腫およびウイルス性肺炎を示した(図19B)。炎症性細胞による浮腫および浸潤は、感染後の9日まで継続したが、病変がいくつかの領域に制限されていた(図19C)。3回の投薬処方計画を受けたSp2CBMTD処理されたマウスにおいて、感染後の3日目に特徴的な病理学的変化はなく、炎症性細胞による肺胞の上皮壊死および浸潤が最小であった(図19D)。肺実質における炎症性細胞の蓄積およびウイルス伝播の進行は、感染後の6日に観察され、感染後の9日に消散した(図19E、F)。これらの知見は、Sp2CBMTD投与が、致死的H7N9ウイルス感染に関連している肺組織損傷を減少させることを支持する。

0111

肺のサイトカインおよびケモカイン産生におけるSp2CBMTDの効果。Sp2CBMTD投与に関連した炎症性および自然免疫応答を決定するために、サイトカインおよびケモカインの肺発現におけるSp2CBMTDの効果を検討した。Sp2CBMTDは、H7N9ウイルス接種前の炎症誘発性応答を刺激し、サイトカイン(IL−6、RANTES、MCP−1)およびケモカイン(Il−1β、TNFα、MIP−1α、IP−10)などの特定の炎症誘発性メディエーターのレベルが増加し、有意差(P<0.01またはP<0.05)は、特に反復投薬を用いて、感染後の0日でSp2CBMTD処理された動物と対照動物の間に観察された(図20)。これらの効果は、肺における活性化された肺胞マクロファージに起因する可能性がある。サイトカインおよびケモカインの肺発現は、感染後の3日、6日および9日に実験群間で変動し、発現の明確なパターンはなかった(データ示さず)。これらの結果は、Sp2CBMTDは、迫り来るインフルエンザウイルス感染により良好に対抗するために、宿主を「プライミング」することによって免疫応答を調節する場合があることを示唆する。

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