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技術 二重特異性HER2抗体及び使用方法

出願人 エフ・ホフマン−ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト
発明者 クローズデイル,レベッカデュアナー,リディアヤスミンジョルジュ,ギーホーファー,トーマスホッセ,ラルフクライン,クリスティアンメスナー,エッケハルトモーゼル,ザームエルシェーファー,ヴォルフガングシャンツァー,ユルゲンミヒャエルショイアー,ヴェルナーズストマン,クラウディオウマーニャ,パブロ
出願日 2014年12月18日 (4年7ヶ月経過) 出願番号 2016-541217
公開日 2017年1月19日 (2年6ヶ月経過) 公開番号 2017-501706
状態 特許登録済
技術分野 突然変異または遺伝子工学 微生物による化合物の製造 微生物、その培養処理 抗原、抗体含有医薬:生体内診断剤 化合物または医薬の治療活性 ペプチド又は蛋白質
主要キーワード 非加熱処理 例示的構造 小規模試験 フレームワークシステム 遠心濾過装置 ストレス前 動力学解析 分析特性
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図面 (20)

課題・解決手段

本発明は、二重特異性HER2抗体、新規HER2抗体変異体、それらの製造方法、該抗体を含有する薬学的組成物及びその使用に関する。

概要

背景

腫瘍関連抗原に対して特異的な抗体は、損傷を受けていない健常細胞及び組織を残しつつ、それらは腫瘍細胞の選択的破壊を媒介するゆえに、がん治療における貴重アプローチである。

受容体チロシンキナーゼのErbBファミリーメンバーは、細胞増殖分化及び生存の重要なメディエーターである。受容体ファミリーは、上皮成長因子受容体(EGFR又はErbB)、HER2(ErbB2又はpl85”e”)、HER3(ErbB3)及びHER4(ErbB4又はtyro2)を含む4つの異なるメンバーを含む。HER2は膜貫通表面結合受容体チロシンキナーゼであり、通常、細胞の増殖及び分化をもたらすシグナル伝達経路関与している。HER2は、それが乳がん患者の約四分の一で過剰発現されることが見出されたので、乳がんの治療のための有望な標的である(Bange et al, 2001, Nature Medicine 7:548)。

マウスモノクローナル抗体4D5は、HER2の生理学的レベル発現する細胞に影響を与えることなく、HER2を過剰発現するがん細胞において特異的にHER2を標的とする。ヒト化(4D5)モノクローナル抗体(たHu4D5)は、1998年後半にFDA販売認可を得たハーセプチン登録商標)(トラスツズマブ、rhuMAb HER2、米国特許第5821337号)として商業的に知られている。

ハーセプチンは、HER2陽性乳がんの治療のために開発された最初のモノクローナル抗体であり、それらは現在HER2陰性乳がんを有する患者の場合と同じになるように患者の生存時間を増加させている。ハーセプチン治療の前に、短い生存転帰が、HER2陰性疾患の患者に比べて、HER2陽性乳がんと診断された患者に対して期待された。CLEOPATR試験では、PERJETAはハーセプチンと化学療法と組み合わせて、ハーセプチンよりも更にこの攻撃的な疾患を有する患者の生存時間の延長を示した。

ペルツズマブ(PERJETATM、rhuMAb 2C4、米国特許第7862817号)はヒト化モノクローナル抗体であり、腫瘍増殖及び生存に役割を果たしていると考えられているプロセスである、HER2受容体の細胞の表面上の他のHER受容体(EGFR/HER1、HER3及びHER4)とのペアリング二量化)を防ぐために特別に設計されている。PERJETA、ハーセプチン及び化学療法の組み合わせは、HERシグナル伝達経路のより包括的な遮断を提供すると考えられる。PERJETAは、HER2陽性転移性又は局所的に再発性切除不能乳がんを有する成人患者においてハーセプチン(トラスツズマブ)とドセタキセルと組み合わせて承認され、2013年9月にネオアジュバント乳がん治療のためのFDAの承認を得た。トラスツズマブは、HER2の細胞外ドメインIVに結合する一方、ペルツズマブは、二量体化のために不可欠なHER2のドメインIIに結合する。

Li et al (Cancer Research. 2013) は、トラスツズマブ耐性を克服するErbB2に対する二重特異性二価抗体を記載している。そこに記載された二重特異性、二価抗体は、天然型トラスツズマブ及びペルツズマブ配列に基づいている。

驚くべきことに、本願の発明者は、天然型トラスツズマブ及びペルツズマブの配列を最適化し、二つの異なる改良された二重特異性、一価抗体フォーマットでこれらの最適化された変異体を組み合わせると、単一特異的抗体のrhuMAb2C4とHU4D5の組み合わせと比較して改良された特性をもたらすことを見いだした。更に、抗体は、それらが、一価であり、2つの単一特異性抗体ペルツズマブ及びトラスツズマブと同じ分子量を有しているので、Liらに開示された二価抗体フォーマットより優れている。従って、新規二重特異的フォーマットは、古典的な単一特異性抗体の利点を有する当該技術分野で知られている二重特異性HER2抗体の優れた特性を兼ね備える。本発明の新規な二重特異性HER2抗体は、二つの異なるHER2エピトープに対して一価であり、二価親抗体と同様の結合活性効果をもたらす。対照的に、四価抗体は、細胞上のHER2に対するそれらの結合活性が異なってもよい。新規二重特異性HER2抗体の結合活性効果は、HER2及び/又はADCC阻害が所望され得ない正常組織又は心臓組織におけるなどの低HER2発現を有する細胞型において優れた安全性・ウィンドウをもたらし得る。

更に、本明細書中に記載の二重特異性抗体は、親の150KDのIgG1抗体の拡散定数に一致する、それらの天然のIgGアーキテクチャに起因した二価親抗体と同じ拡散定数を有する。天然のIgGのアーキテクチャに起因して、更に、免疫原性リスク及び抗薬物抗体の形成を低減することが期待できる。大事なことを言い忘れていたが、四価二重特異性抗体と比較して、HER2細胞外ドメインとの免疫複合体の形成の危険性は、一価及び親抗体に同等であることによって低減される。免疫複合体は、抗原提示細胞によって取り込まれた複合体の増強免疫原性をもたらすことができ、免疫複合体が腎臓沈着された場合、最終的に腎毒性を誘発することができる。

本発明の一態様では、一価の二重特異性抗体が生成され、ここで、IgG分子のFab断片の一つは、クロスオーバーFab断片により置換される。クロスオーバーFab断片は、重鎖及び軽鎖可変領域又は定常領域の何れかが交換されるFab断片である。クロスオーバーFab断片を含む二重特異性抗体フォーマットは、例えば、WO2009080252、WO2009080253、WO2009080251、WO2009080254、WO2010/136172、WO2010/145792及びWO2013/026831に記載される。天然型トラスツズマブ配列は、自発的な化学修飾に対する抗体のCDRの安定性を改善するために、それらのCDRにおいて最適化されており、得られた配列は誤対合を避けるためにフレームワーク移植され、二重特異性抗体は糖鎖を操作され、増強されたFcγRIII結合を有するHER2に特異的に結合する非常に強力な二重特異性抗体が得られ、NK細胞又は単球マクロファージなどの免疫エフェクター細胞の増強された動員をもたらし;最後に、それらは、従来の親のHer2抗体に匹敵する高収率及び副生成物のほんの低い割合で製造することができる。HER2二重特異CrossMAb抗体の場合には、ペルツズマブ及びトラスツズマブの両方が同等のフレームワーク領域に基づいているという事実に起因する軽鎖の鎖誤対合は、完全に新規抗体フレームワークにCDRを移植することによって克服された。

本発明の別の態様において、HER2の細胞外ドメインIV及びIIに特異的に結合する一価二重特異性抗体が提供され、2つの結合部分は、親トラスツズマブとペルツズマブ軽鎖のコンセンサスに基づく同一の軽鎖を含み、対応するペルツズマブ重鎖はリモデリングされている。このいわゆる「共通の軽鎖」原理、即ち、1つの軽鎖を共有するが、依然として別々の特異性を持つ二つのバインダーを組み合わせることの使用により、軽鎖誤対合を防止し、この特定のケースでは親抗体のエピトープ特異性を保持する。その結果、製造時により少ない副生成物を生じ、高収率でHER2二重特異性抗原結合分子の均一な調製を容易にする。驚くべきことに、本発明の発明者は、一価共通軽鎖フォーマットの二重特異性HER2抗体は、親抗体の組み合わせと比較して、ペルツズマブエピトープに対する増加した親和性を有し、細胞増殖における優れた阻害効果及び細胞依存性細胞傷害(CDC)の誘導を示すことを見いだした。補体依存性細胞傷害(CDC)は、最適な治療用モノクローナル抗体(mAbの)機能のために非常に重要であり、化学療法後においてもなお完全に保存されている。しかしながら、この活性は幾つかの抗体によって生み出されるが抗体の全てによってではない。

概要

本発明は、二重特異性HER2抗体、新規HER2抗体変異体、それらの製造方法、該抗体を含有する薬学的組成物及びその使用に関する。

目的

PERJETA、ハーセプチン及び化学療法の組み合わせは、HERシグナル伝達経路のより包括的な遮断を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

HER2の細胞外ドメインIIに特異的な第一抗原結合部位及びHER2の細胞外ドメインIVに特異的な第二抗原結合部位を含む、HER2に特異的に結合する二重特異性抗体であって、該二重特異性抗体が、HER2の細胞外ドメインII及びIVの両方に対して一価である、二重特異性抗体。

請求項2

前記抗体が、補体依存性細胞傷害ペルツズマブ又はトラスツズマブの組み合わせよりも高度に誘導する、請求項1に記載の二重特異性抗体。

請求項3

二重特異性抗体の補体依存性細胞傷害が、LDHアッセイ又は補体アッセイによって決定され、同じアッセイによって決定される、ペルツズマブとトラスツズマブの組み合わせの補体依存性細胞傷害と比較される、請求項2に記載の二重特異性抗体。

請求項4

補体依存性細胞傷害が、インビトロで、がん細胞において、好ましくは乳がん細胞において決定される、請求項2又は3に記載の二重特異性抗体。

請求項5

HER2の細胞外ドメインIIに特異的に結合可能な第一Fab分子、及びHER2の細胞外ドメインIVに特異的に結合可能な第二Fab分子を含み、ここで、第一Fab分子の可変軽鎖の配列が、第二Fab分子の可変軽鎖の配列と同一である、請求項1から4の何れか一項に記載の二重特異性抗体。

請求項6

(a)配列番号55、配列番号58、及び配列番号14からなる群から選択される重鎖CDR1;配列番号77、配列番号15、及び配列番号60からなる群から選択される重鎖CDR2;配列番号56又は配列番号59及び配列番号16からなる群から選択される重鎖CDR3を含む第一重鎖、及び(b)配列番号20の重鎖CDR1、配列番号29の重鎖CDR2、並びに配列番号30及び配列番号79からなる群から選択される重鎖CDR3を含む第二重鎖、(c)第一及び第二軽鎖の可変軽鎖が配列番号89、配列番号90、及び配列番号19のCDRを含む、第一及び第二軽鎖を含む、請求項5に記載の二重特異性抗体。

請求項7

配列番号54のアミノ酸配列を含む二つの可変軽鎖、配列番号64、配列番号70、及び配列番号68からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む可変重鎖を含む第一重鎖、並びに配列番号92及び配列番号117からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む可変重鎖を含む第二重鎖を含む、請求項5に記載の二重特異性抗体。

請求項8

HER2の細胞外ドメインIIに特異的に結合可能な第一Fab分子及びHER2の細胞外ドメインIVに特異的に結合可能な第二Fab分子を含み、ここで、少なくとも一のFab断片の重鎖及び軽鎖の可変領域又は定常領域の何れかが交換される、請求項1から4の何れか一項に記載の二重特異性抗体。

請求項9

第一Fab分子が配列番号14の重鎖CDR1、配列番号15の重鎖CDR2、及び配列番号16の重鎖CDR3;並びに配列番号11の軽鎖CDR1;配列番号12の軽鎖CDR2、及び配列番号13の軽鎖CDR3を含み、且つ第二Fab分子が配列番号20の重鎖CDR1;配列番号108の重鎖CDR2;配列番号79の重鎖CDR3;並びに配列番号107の軽鎖CDR1;配列番号18の軽鎖CDR2;及び配列番号19の軽鎖CDR3を含む、請求項8に記載の二重特異性抗体。

請求項10

第一Fab分子が配列番号14の重鎖CDR1、配列番号15の重鎖CDR2、及び配列番号16の重鎖CDR3;並びに配列番号11の軽鎖CDR1;配列番号12の軽鎖CDR2、及び配列番号13の軽鎖CDR3を含み、且つ第二Fab分子が配列番号20の重鎖CDR1、配列番号29の重鎖CDR2、及び配列番号79、配列番号78、配列番号80、配列番号87、配列番号88からなる群から選択される重鎖CDR3;並びに配列番号104、配列番号103、及び配列番号158からなる群から選択される軽鎖CDR1;配列番号18の軽鎖CDR2、及び配列番号19の軽鎖CDR3を含む、請求項8に記載の二重特異性抗体。

請求項11

第一Fab分子が配列番号22のアミノ酸配列を含む可変重鎖及び配列番号24のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含み、且つ第二Fab分子が配列番号105のアミノ酸配列及び配列番号106のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項8又は9に記載の二重特異性抗体。

請求項12

請求項1から11の何れか一項に記載の二重特異性抗体を含む薬学的組成物

請求項13

がんの治療のための請求項1から11の何れか一項に記載の二重特異性抗体。

請求項14

医薬としての使用のための請求項1から11の何れか一項に記載の二重特異性抗体。

請求項15

医薬の製造における請求項1から11の何れか一項に記載の二重特異性抗体の使用。

請求項16

医薬ががんの治療のためのものである、請求項15に記載の使用。

請求項17

請求項1から11の何れか一項に記載の二重特異性抗体の重鎖をコードする配列を含む核酸配列

請求項18

請求項1から11の何れか一項に記載の二重特異性抗体の軽鎖をコードする配列を含む核酸配列。

請求項19

請求項17及び/又は請求項18に記載の核酸配列を含む発現ベクター

請求項20

請求項19に記載のベクターを含む原核又は真核宿主細胞

請求項21

抗体が産生されるように請求項20に記載の宿主細胞を培養することを含む抗体を産生する方法。

請求項22

特に前述の実施例を参照して、本明細書に記載される本発明。

技術分野

0001

本発明は、二重特異性HER2抗体、新規HER2変異体、それらの製造方法、該抗体を含有する薬学的組成物及びその使用に関する。

背景技術

0002

腫瘍関連抗原に対して特異的な抗体は、損傷を受けていない健常細胞及び組織を残しつつ、それらは腫瘍細胞の選択的破壊を媒介するゆえに、がん治療における貴重アプローチである。

0003

受容体チロシンキナーゼのErbBファミリーメンバーは、細胞増殖分化及び生存の重要なメディエーターである。受容体ファミリーは、上皮成長因子受容体(EGFR又はErbB)、HER2(ErbB2又はpl85”e”)、HER3(ErbB3)及びHER4(ErbB4又はtyro2)を含む4つの異なるメンバーを含む。HER2は膜貫通表面結合受容体チロシンキナーゼであり、通常、細胞の増殖及び分化をもたらすシグナル伝達経路関与している。HER2は、それが乳がん患者の約四分の一で過剰発現されることが見出されたので、乳がんの治療のための有望な標的である(Bange et al, 2001, Nature Medicine 7:548)。

0004

マウスモノクローナル抗体4D5は、HER2の生理学的レベル発現する細胞に影響を与えることなく、HER2を過剰発現するがん細胞において特異的にHER2を標的とする。ヒト化(4D5)モノクローナル抗体(たHu4D5)は、1998年後半にFDA販売認可を得たハーセプチン登録商標)(トラスツズマブ、rhuMAb HER2、米国特許第5821337号)として商業的に知られている。

0005

ハーセプチンは、HER2陽性乳がんの治療のために開発された最初のモノクローナル抗体であり、それらは現在HER2陰性乳がんを有する患者の場合と同じになるように患者の生存時間を増加させている。ハーセプチン治療の前に、短い生存転帰が、HER2陰性疾患の患者に比べて、HER2陽性乳がんと診断された患者に対して期待された。CLEOPATR試験では、PERJETAはハーセプチンと化学療法と組み合わせて、ハーセプチンよりも更にこの攻撃的な疾患を有する患者の生存時間の延長を示した。

0006

ペルツズマブ(PERJETATM、rhuMAb 2C4、米国特許第7862817号)はヒト化モノクローナル抗体であり、腫瘍増殖及び生存に役割を果たしていると考えられているプロセスである、HER2受容体の細胞の表面上の他のHER受容体(EGFR/HER1、HER3及びHER4)とのペアリング二量化)を防ぐために特別に設計されている。PERJETA、ハーセプチン及び化学療法の組み合わせは、HERシグナル伝達経路のより包括的な遮断を提供すると考えられる。PERJETAは、HER2陽性転移性又は局所的に再発性切除不能乳がんを有する成人患者においてハーセプチン(トラスツズマブ)とドセタキセルと組み合わせて承認され、2013年9月にネオアジュバント乳がん治療のためのFDAの承認を得た。トラスツズマブは、HER2の細胞外ドメインIVに結合する一方、ペルツズマブは、二量体化のために不可欠なHER2のドメインIIに結合する。

0007

Li et al (Cancer Research. 2013) は、トラスツズマブ耐性を克服するErbB2に対する二重特異性、二価抗体を記載している。そこに記載された二重特異性、二価抗体は、天然型トラスツズマブ及びペルツズマブ配列に基づいている。

0008

驚くべきことに、本願の発明者は、天然型トラスツズマブ及びペルツズマブの配列を最適化し、二つの異なる改良された二重特異性、一価抗体フォーマットでこれらの最適化された変異体を組み合わせると、単一特異的抗体のrhuMAb2C4とHU4D5の組み合わせと比較して改良された特性をもたらすことを見いだした。更に、抗体は、それらが、一価であり、2つの単一特異性抗体ペルツズマブ及びトラスツズマブと同じ分子量を有しているので、Liらに開示された二価抗体フォーマットより優れている。従って、新規二重特異的フォーマットは、古典的な単一特異性抗体の利点を有する当該技術分野で知られている二重特異性HER2抗体の優れた特性を兼ね備える。本発明の新規な二重特異性HER2抗体は、二つの異なるHER2エピトープに対して一価であり、二価親抗体と同様の結合活性効果をもたらす。対照的に、四価抗体は、細胞上のHER2に対するそれらの結合活性が異なってもよい。新規二重特異性HER2抗体の結合活性効果は、HER2及び/又はADCC阻害が所望され得ない正常組織又は心臓組織におけるなどの低HER2発現を有する細胞型において優れた安全性・ウィンドウをもたらし得る。

0009

更に、本明細書中に記載の二重特異性抗体は、親の150KDのIgG1抗体の拡散定数に一致する、それらの天然のIgGアーキテクチャに起因した二価親抗体と同じ拡散定数を有する。天然のIgGのアーキテクチャに起因して、更に、免疫原性リスク及び抗薬物抗体の形成を低減することが期待できる。大事なことを言い忘れていたが、四価二重特異性抗体と比較して、HER2細胞外ドメインとの免疫複合体の形成の危険性は、一価及び親抗体に同等であることによって低減される。免疫複合体は、抗原提示細胞によって取り込まれた複合体の増強免疫原性をもたらすことができ、免疫複合体が腎臓沈着された場合、最終的に腎毒性を誘発することができる。

0010

本発明の一態様では、一価の二重特異性抗体が生成され、ここで、IgG分子のFab断片の一つは、クロスオーバーFab断片により置換される。クロスオーバーFab断片は、重鎖及び軽鎖可変領域又は定常領域の何れかが交換されるFab断片である。クロスオーバーFab断片を含む二重特異性抗体フォーマットは、例えば、WO2009080252、WO2009080253、WO2009080251、WO2009080254、WO2010/136172、WO2010/145792及びWO2013/026831に記載される。天然型トラスツズマブ配列は、自発的な化学修飾に対する抗体のCDRの安定性を改善するために、それらのCDRにおいて最適化されており、得られた配列は誤対合を避けるためにフレームワーク移植され、二重特異性抗体は糖鎖を操作され、増強されたFcγRIII結合を有するHER2に特異的に結合する非常に強力な二重特異性抗体が得られ、NK細胞又は単球マクロファージなどの免疫エフェクター細胞の増強された動員をもたらし;最後に、それらは、従来の親のHer2抗体に匹敵する高収率及び副生成物のほんの低い割合で製造することができる。HER2二重特異CrossMAb抗体の場合には、ペルツズマブ及びトラスツズマブの両方が同等のフレームワーク領域に基づいているという事実に起因する軽鎖の鎖誤対合は、完全に新規抗体フレームワークにCDRを移植することによって克服された。

0011

本発明の別の態様において、HER2の細胞外ドメインIV及びIIに特異的に結合する一価二重特異性抗体が提供され、2つの結合部分は、親トラスツズマブとペルツズマブ軽鎖のコンセンサスに基づく同一の軽鎖を含み、対応するペルツズマブ重鎖はリモデリングされている。このいわゆる「共通の軽鎖」原理、即ち、1つの軽鎖を共有するが、依然として別々の特異性を持つ二つのバインダーを組み合わせることの使用により、軽鎖誤対合を防止し、この特定のケースでは親抗体のエピトープ特異性を保持する。その結果、製造時により少ない副生成物を生じ、高収率でHER2二重特異性抗原結合分子の均一な調製を容易にする。驚くべきことに、本発明の発明者は、一価共通軽鎖フォーマットの二重特異性HER2抗体は、親抗体の組み合わせと比較して、ペルツズマブエピトープに対する増加した親和性を有し、細胞増殖における優れた阻害効果及び細胞依存性細胞傷害(CDC)の誘導を示すことを見いだした。補体依存性細胞傷害(CDC)は、最適な治療用モノクローナル抗体(mAbの)機能のために非常に重要であり、化学療法後においてもなお完全に保存されている。しかしながら、この活性は幾つかの抗体によって生み出されるが抗体の全てによってではない。

0012

概要
本発明は、HER2の細胞外ドメインIIに特異的な第一抗原結合部位及びHER2の細胞外ドメインIVに特異的な第二抗原結合部位を含む、HER2に特異的に結合する二重特異性抗体に関し、ここで、前記二重特異性抗体は、HER2の細胞外ドメインII及びIVの両方に対して一価である。一実施態様において、二重特異性抗体は、補体依存性細胞傷害(CDC)をペルツズマブ又はトラスツズマブの組み合わせよりも高度に誘導する。このような一実施態様において、二重特異性抗体の補体依存性細胞傷害は、LDHアッセイ又は補体アッセイによって決定され、同じアッセイによって決定される場合、ペルツズマブとトラスツズマブの組み合わせの補体依存性細胞傷害に対して比較される。一実施態様において、補体依存性細胞傷害は、インビトロで、がん細胞において、好ましくは乳がん細胞において決定される。一態様において、HER2に特異的に結合する二重特異性抗体は、HER2の細胞外ドメインIIに特異的に結合可能な第一Fab分子、
及びHER2の細胞外ドメインIVに特異的に結合可能な第二Fab分子を含み、ここで、第一Fab分子の可変軽鎖の配列は、第二Fab分子の可変軽鎖の配列と同一である。一態様において、HER2に特異的に結合する二重特異性抗体は、(a)配列番号55、配列番号58及び配列番号14からなる群から選択される重鎖CDR1;配列番号77、配列番号15及び配列番号60からなる群から選択される重鎖CDR2及び配列番号56、配列番号59及び配列番号16からなる群から選択される重鎖CDR3を含む第一重鎖、及び(b)配列番号20の重鎖CDR1、配列番号29の重鎖CDR2及び配列番号30及び配列番号79からなる群から選択される重鎖CDR3を含む第二重鎖;及び(c)第一及び第二軽鎖を含み、ここで、第一及び第二軽鎖の可変軽鎖は、配列番号89、配列番号90及び配列番号19を含む。一態様において、HER2に特異的に結合する二重特異性抗体は、配列番号54のアミノ酸配列を含む二つの可変軽鎖、配列番号64、配列番号70及び配列番号68からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む可変重鎖を含む第一重鎖、並びに配列番号92及び配列番号117からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む可変重鎖を含む第二重鎖を含む。一態様において、HER2に特異的に結合する二重特異性抗体は、HER2の細胞外ドメインIIに特異的に結合可能な第一Fab分子、
及びHER2の細胞外ドメインIVに特異的に結合可能な第二Fab分子を含み、ここで、少なくとも一のFab断片の重鎖及び軽鎖の可変領域又は定常領域の何れかが交換される。一態様において、HER2に特異的に結合する二重特異性抗体は、配列番号14の重鎖CDR1、配列番号15の重鎖CDR2及び配列番号16の重鎖CDR3;並びに配列番号11の軽鎖CDR1、配列番号12の軽鎖CDR2及び配列番号13の軽鎖CDR3を含む第一Fab分子、及び配列番号20の重鎖CDR1、配列番号108の重鎖CDR2及び配列番号79の重鎖CDR3;並びに配列番号107の軽鎖CDR1、配列番号18の軽鎖CDR2及び配列番号19の軽鎖CDR3を含む第二Fab分子を含む。一態様において、HER2に特異的に結合する二重特異性抗体は、配列番号14の重鎖CDR1、配列番号15の重鎖CDR2及び配列番号16の重鎖CDR3;並びに配列番号11の軽鎖CDR1、配列番号12の軽鎖CDR2及び配列番号13の軽鎖CDR3を含む第一Fab分子、及び配列番号20の重鎖CDR1、配列番号29の重鎖CDR2及び配列番号79、配列番号78、配列番号80、配列番号87、配列番号88からなる群から選択される重鎖CDR3;並びに配列番号104、配列番号103及び配列番号158からなる群から選択される軽鎖CDR1、配列番号18の軽鎖CDR2及び配列番号19の軽鎖CDR3を含む第二Fab分子を含む。一態様において、HER2に特異的に結合する二重特異性抗体は、配列番号22のアミノ酸配列を含む可変重鎖及び配列番号24のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む第一Fab分子、及び配列番号105のアミノ酸配列及び配列番号106のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む第二Fab分子を含む。

0013

第二の目的では、本発明は、本発明の二重特異性抗体を含有する薬学的組成物に関する。

0014

第三の目的において、本発明は、がんの治療のための本発明の二重特異性抗体に関する。別の実施態様では、医薬としての二重特異性抗体の使用が提供される。好ましくは、使用は、がんの治療用である。

0015

更なる目的において、本発明は、本発明の二重特異性抗体の重鎖をコードする配列を含む核酸配列、本発明の二重特異性抗体の軽鎖をコードする配列を含む核酸配列、本発明の核酸配列を含む発現ベクター、及び本発明のベクターを含む原核生物又は真核生物宿主細胞に関する。加えて、抗体が生成されるように宿主細胞を培養することを含む抗体を生成する方法が提供される。

図面の簡単な説明

0016

2+2IgG−scFvフォーマットのトラスツズマブ及びペルツズマブ二重特異性抗体の模式図。抗体は、各抗原結合部位に対して二価であり、ErbB2/HER2受容体の2つの異なるパラトープに結合することができる(抗原1=トラスツズマブ特異性、即ちHER2の細胞外ドメインIV;抗原2=HER2のペルツズマブ特異的細胞外ドメインII)(A):単鎖Fv(scFv)が、VH−VL(TvAB12、配列番号123及び124)の順で重鎖にC末端で融合される。(B):単鎖Fv(scFv)が、VL−VH(TvAB13、配列番号125及び126)の順で軽鎖にN末端で融合される。(C):単鎖Fv(scFv)が、VL−VH(TvAB16:配列番号127及び128、TvAB20:配列番号131及び132)の順で軽鎖にC末端で融合される。(D):単鎖Fv(scFv)が、VL−VH(TvAB17、配列番号129及び130)の順で重鎖にC末端で融合される。
2+2 IgG−scFvフォーマットのトラスツズマブ及びペルツズマブ二重特異性抗体の精製。(A):26/60スーパーデックス200カラム上でのTvAb12(配列番号123及び124)のサイズ排除精製。(B)サイズ排除クロマトグラフィー由来する主ピーク画分のSDS−Page分析(NR=非還元、R=還元条件)。
2+2 IgG−scFvフォーマットのトラスツズマブ及びペルツズマブ二重特異性抗体の精製。(A):26/60スーパーデックス200カラム上でのTvAb16(配列番号127及び128)のサイズ排除精製。(B):サイズ排除クロマトグラフィーに由来する主ピーク画分のSDS−Page分析(NR=非還元、R=還元条件)。
2+2 IgG−scFvフォーマットのトラスツズマブ及びペルツズマブ二重特異性抗体の精製。(A):26/60スーパーデックス200カラム上でのTvAb20(配列番号131及び132)のサイズ排除精製。主生成物ピークは「1」でマークされる。(B)サイズ排除クロマトグラフィーに由来する主ピーク画分のSDS−Page分析(NR=非還元、R=還元条件)。
PR法(ProteOn装置)によって測定されるトラスツズマブ変異体のオフ速度(Off−rate);40mMのヒスチジン緩衝液、150mMのNaCl、pH5.0において、40℃で、1、2、又は3ヶ月間試料インキュベートした後。変異体のオフ速度は調査期間にわたって変化しない。“602”:重鎖におけるD98E変異及び軽鎖におけるT31V変異。
SPR法(ProteOn装置)によって測定されるトラスツズマブ変異体のオフ速度(Off−rate);40mMのヒスチジン、150mMのNaCl、異なるpHにおいて、40℃で、1、2、又は3ヶ月間試料をインキュベートした後。N30S変異体のオフ速度は非常に遅かったため、高度の不確実性を含む。“602”:重鎖におけるD98E変異及び軽鎖におけるT31V変異、“N30T”:重鎖におけるD98E変異及び軽鎖におけるN30T変異、“N30S”:重鎖におけるD98E変異及び軽鎖におけるN30S変異。(A):pH5.0、(B):pH6.0、(C):pH7.4。
ストレス後のトラスツズマブ及びトラスツズマブ安定化変異体のKLP−4細胞への結合。トラスツズマブ及び3つの異なる安定化トラスツズマブ変異体が、40℃で異なるpHを有する緩衝液中で1、2及び3月間インキュベートされた。ストレスを受けた抗体は、フローサイトメトリーによりKPL−4細胞への結合について時点ゼロにおいて抗体と比較して試験された。“602”:重鎖におけるD98E変異及び軽鎖におけるT31V変異、“N30T”:重鎖におけるD98E変異及び軽鎖におけるN30T変異、“N30S”:重鎖におけるD98E変異及び軽鎖におけるN30S変異。
ストレス後のトラスツズマブ及びトラスツズマブ安定化変異体のKLP−4細胞への結合。トラスツズマブ及び2つ安定化変異体のGA602(軽鎖、重鎖及びT31V変異におけるD98E変異)及びGA603(重鎖におけるD98E変異及び軽鎖におけるT31V変異並びにFcRN変異T307Q及びN434A)が、40℃で緩衝液1(40mMのヒスチジン、150mMのNaCl、pH5.0)又は緩衝液2(240mMのヒスチジン、150mMのNaCl、pH6.0)中で1、2及び3月間インキュベートされた。ストレスを受けた抗体は、フローサイトメトリーによりKPL−4細胞への結合について時点ゼロでの抗体と比較して試験された。
KLP−4細胞におけるストレス後のトラスツズマブGA602及びGA603によるADCC誘導トラスツズマブ及び2つ安定化変異体のGA602(軽鎖、重鎖及びT31V変異におけるD98E変異)及びGA603(重鎖におけるD98E変異及び軽鎖におけるT31V変異並びにFcRN変異T307Q及びN434A)が、40℃で緩衝液1(40mMのヒスチジン、150mMのNaCl、pH5.0)又は緩衝液2(240mMのヒスチジン、150mMのNaCl、pH6.0)中で1、2及び3月間インキュベートされた。ストレスを受けた抗体は、KPL−4細胞において4時間後ADCCについて時点ゼロでの抗体と比較して試験された。
1+1フォーマットのトラスツズマブ及びペルツズマブ二重特異性抗体の模式図。(A):単鎖Fab(scFab)ベースの分子(B):クロスオーバーFab(xFab)ベースの分子。
CrossMab−XPer(配列番号109、110、96、86)の精製。(A):還元及び非還元条件下での精製された抗体分子を示すSDS−PAGE。(B):精製されたCrossMab−XPerのHP−SEC分析。
抗体分子の完全性及び純度推定する、CrossMab−XTra(上、配列番号119、120、121,122)及びCrossMab−CDRG(下、配列番号109、110、111、112)のスペクトルのQ−TOF質量分析の比較。
インキュベーションの5日後Alamar Blue(登録商標)アッセイで測定される非糖鎖操作HER2 CrossMab(配列番号119、120、121、122)による増殖阻害。(A)BT474細胞(B)N87細胞。
標的細胞として(A)KPL−4、(B)T47D及び(C)Calu−3を用いた異なるHER2特異的抗体により誘導されるADCC(E:T=25:1、エフェクターヒトPBMC、培養時間は4時間)。“HER2 crossmab wt”:配列番号119、120、121,122、非糖鎖操作型;“HER2 crossmab g2”:配列番号119、120、121,122、糖鎖操作型。
Calu3非小細胞肺癌異種移植片における異なる抗Her2抗体の抗腫瘍活性実験:BispecHer2_PZ_Calu3_001)。Calu3異種移植片腫瘍を有するSCIベージュマウスは、7週間示された投与量で週1回腹腔内に処置された。ゾレア(Xolair)、ヒトIgEを標的とするヒト化IgG1抗体を対照として使用された。エンドポイント(85日目)での中央値に基づく統計的分析は、ゾレアに比べて、二重特異性HER2抗体は87.5%(s.);OmniE(配列番号145、146)は43.7%(n.s.);Crossmab_003(配列番号119、120、121122、非糖鎖操作型)は92.1%(s.);TvAb12(配列番号123及び124)は59.8%(n.s.)及びTvAb20(配列番号131及び132)は12.6%(n.s.)腫瘍増殖を抑制したことを明らかにする。腫瘍増殖曲線平均値+/−SEMとして示される(各群においてn=8)。
KPL−4乳がん異種移植片における異なる抗Her2抗体の抗腫瘍活性(実験:Bispec.Her2_PZ_KPL−4_002)。KPL−4異種移植片腫瘍を有するSCIDベージュマウスは、5週間示された投与量で週1回腹腔内に処置された。ゾレア(Xolair)、ヒトIgEを標的とするヒト化IgG1抗体を対照として使用された。エンドポイント(59日目)での中央値に基づく統計的分析は、ゾレアに比べて、二重特異性HER2抗体は120.8%(s.);Crossmab_003(配列番号119、120、121122、非糖鎖操作型)は120.6%(s.);TvAb12(配列番号123及び124)は70.1%(s.);TvAb20(配列番号131及び132)は83.4%(s.)腫瘍増殖を抑制したことを明らかにする。OmniE(配列番号145、146)は、腫瘍増殖に有意な影響を及ぼさなかった。腫瘍増殖曲線は平均値+/−SEMとして示される(各群においてn=9)。
KPL−4乳がん異種移植片における異なる抗Her2_005 crossmab抗体(配列番号119、120、121122、非糖鎖操作型)の抗腫瘍活性(実験:Bispec.Her2_PZ_KPL−4_003)。KPL−4異種移植片腫瘍を有するSCIDベージュマウスは、5週間1から20mg/kgの範囲のcrossmabの漸増用量で週1回腹腔内に処置された。ゾレア(Xolair)、ヒトIgEを標的とするヒト化IgG1抗体を対照として使用された。エンドポイント(70日目)での中央値に基づく統計的分析は、ゾレアに比べて、二重特異性HER2抗体は、121.8%(s.)腫瘍増殖を抑制し;Her2 crossmab_005は1mg/kgの用量で25.1%(n.s.);5mg/kgで112.3%(s.);10mg/kgで109.5%(s.)及び20mg/kgで121.8%(s.).腫瘍増殖を抑制したことを明らかにする。腫瘍増殖曲線は平均値+/−SEMとして示される(各群においてn=10)。
KPL−4乳がん異種移植片における異なる抗Her2抗体の抗腫瘍活性(実験:Bispec.Her2_PZ_KPL−4_009)。KPL−4異種移植片腫瘍を有するSCIDベージュマウスは、4週間異なる化合物により週1回腹腔内に処置された。ゾレア(Xolair)、ヒトIgEを標的とするヒト化IgG1抗体を対照として使用された。エンドポイント(70日目)での中央値に基づく統計的分析は、ゾレアに比べて、二重特異性HER2抗体は、(それぞれ5mg/kgで投与された)は83.2%(s.)腫瘍増殖を抑制し、両方ともそれぞれ10mg/kgの用量で与えられると109.5%(s.)腫瘍増殖を抑制したことを明らかにする。二つの異なる用量(5mg/kg及び10mg/kg)で与えられたTvAb16(配列番号127及び128)は有意な抗腫瘍効果を有しなかった。TvAb20(配列番号131及び132)は、5mg/kgの用量で75.3%(s.)及び10mg/kgの用量で59.8%(n.s.)腫瘍増殖を抑制した。腫瘍増殖曲線は平均値+/−SEMとして示される(各群においてn=10)。
最初のペルツズマブ/トラスツズマブハイブリッド軽鎖のSPR分析。ペルツズマブ、トラスツズマブ、及びトラスツズマブCDR3領域のアミノ酸残基を保有する最初のペルツズマブハイブリッドのLCを有する配列の組み合わせのSPRベースの動力学解析。滑らかな線は、1:1相互作用モデルへのデータのグローバルフィットを表す。PertuzumabTrasL3:配列番号26、ペルツズマブTras Y91H:配列番号28。
新たに同定された共通の軽鎖ペルツズマブ(Tras.L3)(QM)、配列番号54と組み合わせたペルツズマブ及びトラスツズマブのHCのSPR分析。示されるのは、異なる濃度でのHer2に対する両抗体の結合である。滑らかな線は、1:1相互作用モデルへのデータのグローバルフィットを表す。
ファージディスプレイによって同定された親和性成熟ペルツズマブクローン特徴付け。同定された親和性成熟されたクローンのSPR分析。示されるのは、異なる濃度でのHer2に対する細菌のFabの結合である。滑らかな線は、1:1相互作用モデルへのデータのグローバルフィットを表す。B2:配列番号66、D1:配列番号62、E1:配列番号68、C8:配列番号72、G2:配列番号70、A1:配列番号74。
共通の軽鎖を有する二重特異性HER2抗体の模式図。
共通の軽鎖を有する二重特異性HER2抗体の精製及び分析特性評価。精製方法アフィニティー工程(プロテインA)とその後のサイズ排除クロマトグラフィー(スーパーデックス200、GE Healthcare)を含む。最終生成物は分析され、分析用サイズ排除クロマトグラフィー(Superdex200カラム)によって特性評価された。(A):D1der(配列番号64)を含む、(B):G2(配列番号70)を含む、(C):E1(配列番号68)を含む。
Her2のノックアウト変異体のSPR分析。トラスツズマブ及びペルツズマブのノックアウト変異体の両方への結合のセンサグラムが示される。滑らかな線は、1:1相互作用モデルへのデータのグローバルフィットを表す。
共通の軽鎖クローン変異体を有する二重特異性HER2抗体のKPL−4細胞への結合。KPL−4細胞は漸増濃度の示された抗体により染色された。抗体は、FITC標識抗ヒト二次により検出され、蛍光はフローサイトメトリーによって測定された。“Herceptarg CLC D1−der”:配列番号64、54、92、“Herceptarg CLC G2/2”:配列番号70、54、92、“Herceptarg CLC E1/1”:配列番号68、54、92;“GA 604”:配列番号109、110、111、112.
共通の軽鎖クローン変異体を有する二重特異HER2抗体によるBT474、N87、及びSkBr3細胞の増殖阻害。BT474(A)、N87(B)、及びSkBr3(C)細胞は、3つの異なるHerceptarg変異体で処置された。対照として、トラスツズマブ、ペルツズマブ及び両方の組み合わせが含まれた。5日後、増殖の阻害はCellTiter Gloで測定された。“Herceptarg CLC D1−der”:配列番号64、54、92、“Herceptarg CLC G2/2”:配列番号70、54、92、“Herceptarg CLC E1/1”:配列番号68、54、92;“GA 604”:配列番号109、110、111、112.
共通の軽鎖変異体を有する二重特異HER2抗体によるKPL−4細胞及びMDA−MB231の死滅(A)PBMCによるKPL−4細胞の抗体依存性死滅(E:T 25:1)は、4時間後にLDH放出を測定することにより決定された。(B)PBMCによるKPL−4細胞の抗体依存性死滅(E:T 5:1)は、24時間後にLDH放出を測定することにより決定された。“Herceptarg CLC D1−der”:配列番号64、54、92、“Herceptarg CLC G2/2”:配列番号70、54、92、“Herceptarg CLC E1/1”:配列番号68、54、92;“GA 604”:配列番号109、110、111、112.
共通の軽鎖クローン変異体を有する二重特異HER2抗体によるBT474細胞の増殖阻害。BT474細胞は異なるハーセプチン変異体で処置された。対照として、トラスツズマブ、ペルツズマブ及び両方の組み合わせが含まれた。6日後、増殖の阻害はCellTiter Gloで測定された。“Herceptarg CLC D1−der wt”:配列番号64、54、92、Herceptarg CLC D1−der G2”:配列番号64、54、92(糖鎖操作変異体)「Herceptarg CrossMab」:配列番号109、110、111、112。
BT−474細胞上のHer2抗体とのC1q結合。BT474細胞は3つのハーセプチン変異体とインキュベートされた。対照として、トラスツズマブ、ペルツズマブ及び両方の組み合わせが含まれた。“Herceptarg CLC D1−der wt”:配列番号64、54、92、Herceptarg CLC D1−der G2”:配列番号64、54、92(糖鎖操作変異体)「Herceptarg CrossMab」:配列番号109、110、111、112。
BT−474細胞におけるCDC活性化(LDH放出)。BT474細胞は3つのハーセプチン変異体とインキュベートされた。対照として、トラスツズマブ、ペルツズマブ及び両方の組み合わせが含まれた。“Herceptarg CLC D1−der wt”:配列番号64、54、92、Herceptarg CLC D1−der G2”:配列番号64、54、92(糖鎖操作変異体)「Herceptarg CrossMab」:配列番号109、110、111、112.
BT−474細胞のCDC媒介性死滅(ACEA)。BT474細胞は3つのハーセプチン変異体とインキュベートされた。対照として、トラスツズマブ、ペルツズマブ及び両方の組み合わせが含まれた。“Herceptarg CLC D1−der wt”:配列番号64、54、92、Herceptarg CLC D1−der G2”:配列番号64、54、92(糖鎖操作変異体)「Herceptarg CrossMab」:配列番号109、110、111、112。
二重特異性抗体のインビボ活性。異なるHer2二重特異性分子(10mg/kg)で処置後のマウス異種移植モデルにおける腫瘍体積は、トラスツズマブ、ペルツズマブ及び両方の組み合わせによる処置と比較された。“Herceptarg”:配列番号64、54、92.“対照”:ゾレア、非HER2結合抗体

0017

本発明の実施態様の詳細な説明
I.定義
開示全体を通して、用語「ErbB2」、「ErbB2受容体」、「c−Erb−B2」及び「HER2」は互換的に使用され、別途指示がない限り、天然配列のErbB2ヒトポペプチド、又はその機能的誘導体を指す。「ber2」、「erbB2」及び「c−erbB2」は、対応するヒト遺伝子を指す。

0018

本明細書における目的のための「アクセプターヒトフレームワーク」とは、下記に定義されるように、ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワークから得られる軽鎖可変ドメイン(VL)フレームワーク又は重鎖可変ドメイン(VH)フレームワークのアミノ酸配列を含有するフレームワークである。ヒト免疫グロブリンのフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワーク「に由来する」アクセプターヒトフレームワークは、その同一のアミノ酸配列を含んでもよく、又はそれはアミノ酸配列の変化を含み得る。幾つかの実施態様において、アミノ酸変化の数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、又は2以下である。幾つかの実施態様において、VLアクセプターヒトフレームワークは、VLのヒト免疫グロブリンのフレームワーク配列又はヒトコンセンサスフレームワーク配列に、配列が同一である。

0019

「親和性」とは、分子(例えば、抗体)の単一結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有結合相互作用の総和の強度を指す。本明細書で使用する場合、特に断らない限り、「結合親和性」は、結合対(例えば、抗体と抗原)のメンバー間の1:1の相互作用を反映している本質的な結合親和性を指す。そのパートナーYに対する分子Xの親和性は、一般的に解離定数(Kd)で表すことができる。親和性は、本明細書に記載したものを含む、当該技術分野で知られている一般的な方法によって測定することができる。結合親和性を測定するための特定の事例的及び具体的な実施態様を以下に記載する。

0020

「親和性成熟」抗体とは、その改変を有していない親抗体と比較して、抗原に対する抗体の親和性に改良を生じせしめる、その一又は複数の超可変領域HVR)において一又は複数の改変を持つものである。

0021

用語「二重特異性HER2抗体」及び「HER2に特異的に結合する二重特異性抗体」は、交換可能に使用され、抗体がHER2を発現する細胞を標的とした診断薬及び/又は治療剤として有用であるように十分な親和性で、細胞外ドメインII及びIVのそれぞれ両方においてHER2に結合することができる二重特異性抗体を指す。一実施態様において、細胞外ドメインII及びIVの両方においてHER2に特異的に結合する二重特異性抗体の、関連のない、非HER2タンパク質への結合の程度は、例えば、酵素結合免疫吸着法ELISA)、表面プラズモン共鳴(SPR)に基づくアッセイ(例えばビアコア)又はフローサイトメトリー(FACS)によって測定される場合、HER2に対する抗体の結合の約10%未満である。ある実施態様において、HER2へ結合する二重特異性抗体は、解離定数(Kd)が、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM、又は≦0.001nM(例えば、10−8M未満、例えば、10−8Mから10−13M、例えば、10−9Mから10−13M)を有する。

0022

本明細書において用語「抗体」は、最も広い意味で用いられ、様々な抗体構造包含し、限定されないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び、所望の抗原結合活性を示す限り、抗体断片を含む。

0023

「抗体断片」は、インタクトな抗体が結合する抗原に結合するインタクトな抗体の一部を含む、インタクトな抗体以外の分子を指す。抗体断片の例としては、限定されないが、Fv、Fab、Fab’、Fab’−SH、F(ab’)2;ダイアボディ;cross−Fab断片;直鎖状抗体;単鎖抗体分子(例えばscFv);及び抗体断片から形成される多重特異性抗体を含む。scFv抗体は、例えば、Houston, J.S., Methodsin Enzymol. 203 (1991) 46-96に記載される。更に、抗体断片は、VHドメインの特徴、即ち、VLドメインと一緒に機能的な抗原結合部位へアセンブルすることができる特徴、又はVLドメインの特徴、即ち、VHドメインと一緒に機能的な抗原結合部位へアセンブルすることができる特徴を有し、それによって、完全長抗体の抗原結合性を付与する単鎖ポリペプチドを含む。

0024

本明細書で使用される場合、「Fab断片」は、軽鎖のVLドメイン及び定常ドメイン(CL)を含む軽鎖断片、及び重鎖のVHドメイン及び第一定常ドメイン(CH1)を含む抗体断片を指す。一実施態様において、本発明の二重特異性抗体は少なくとも一のFab断片を含み、重鎖と軽鎖の可変領域又は定常領域のどちらかが交換される。可変領域又は定常領域のどちらかの交換に起因して、前記Fab断片はまた「クロス−Fab」断片、又は「xFab」断片又は「クロスオーバーFab」断片とも言う。クロスオーバーFab分子の2つの異なる鎖の構成が可能であり、本発明の二重特異性抗体に含まれる。一方では、Fab重鎖及び軽鎖の可変領域が交換され、即ちクロスオーバーFab分子は、軽鎖可変領域(VL)及び重鎖定常領域(CH1)からなるペプチド鎖及び重鎖可変領域(VH)及び軽鎖定常領域(CL)からなるペプチド鎖を含む。クロスオーバーFab分子はCrossFab(VLVH)とも言う。一方では、Fab重鎖及び軽鎖の定常領域が交換されるとき、クロスオーバーFab分子は、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖定常領域(CL)からなるペプチド鎖及び軽鎖可変領域(VL)及び重鎖定常領域(CH1)からなるペプチド鎖を含む。クロスオーバーFab分子はCrossFab(CLCH1)とも言う。

0025

「単鎖Fab断片」又は「scFab」は、抗体の重鎖可変ドメイン(VH)、抗体定常ドメイン1(CH1)、抗体軽鎖可変ドメイン(VL)、抗体軽鎖定常ドメイン(CL)及びリンカーからなるポリペプチドであり、前記抗体ドメイン及び前記リンカーがN末端からC末端の方向に以下の順:a)VH−CH1−リンカー−VL−CL、b)VL−CL−リンカー−VH−CH1、c)VH−CL−リンカー−VL−CH1又はd)VL−CH1−リンカーVH−CLを有し;前記リンカーは、少なくとも30個のアミノ酸、好ましくは、32から50の間のアミノ酸のポリペプチドである。単鎖Fab断片のa)VH−CH1−リンカー−VL−CL、b)VL−CL−リンカー−VH−CH1、c)VH−CL−リンカー−VL−CH1及びd)VL−CH1−リンカー−VH−CLは、CLドメイン及びCH1ドメインとの間の天然のジスルフィド結合を介して安定化される。更に、これらの単鎖Fab分子は、システイン残基の挿入(例えば、Kabat番号付けに従い、可変重鎖における位置44及び可変軽鎖における位置100)を介して鎖間ジスルフィド結合の生成によって安定化され得る。用語「N末端」は、N末端の最後のアミノ酸を示す。用語「C末端」は、C末端の最後のアミノ酸を示す。

0026

「融合される」又は「連結される」とはその成分(例えば、Fab分子及びFcドメインサブユニット)が、直接又は一つ以上のペプチドリンカーを介してペプチド結合によって連結されていることを意味する。

0027

本明細書にて使用される用語「リンカー」はペプチドリンカーであり、好ましくは、少なくとも5アミノ酸の長さ、好ましくは5から100の長さ、より好ましくは10から50のアミノ酸の長さを持つアミノ酸を有するペプチドである。一実施態様において、前記ペプチドリンカーは(GxS)n又は(GxS)nGmであり、ここで、G=グリシン、S=セリン、(x=3、n=3、4、5又は6、及びm=0、1、2又は3)又は(x=4、n=2、3、4又は5及びm=0、1、2又は3)、好ましくはx=4及びn=2又は3、より好ましくはx=4、n=2である。一実施態様において、前記ペプチドリンカーは(G4S)2である。

0028

用語「免疫グロブリン分子」は、天然に存在する抗体の構造を有するタンパク質を指す。例えば、IgGクラス免疫グロブリンは、ジスルフィド結合している2つの同一の軽鎖と2つの同一の重鎖から成る約150,000ダルトンヘテロ四量体糖タンパク質である。N末端からC末端に、各重鎖は、可変重鎖ドメイン又は重鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VH)、続いて重鎖定常領域とも呼ばれる3つの定常ドメイン(CH1、CH2及びCH3)を有する。同様に、N末端からC末端に、各軽鎖は、可変軽鎖ドメイン又は軽鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VL)、続いて軽鎖定常領域とも呼ばれる定常軽鎖(CL)ドメインを有する。免疫グロブリンの重鎖は、α(IgA)、δ(IgD)、ε(IgE)、γ(IgG),又はμ(IgM)と呼ばれる5つのタイプの1つに割り当てることができ、そのうち幾つかは更にγ1(IgG1)、γ2(IgG2)、γ3(IgG3)、γ4(IgG4)、α1(IgA1)及びα2(IgA2)などのサブタイプに分割され得る。免疫グロブリンの軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパκ)とラムダ(λ)と呼ばれる、2つのタイプの何れかに割り当てることができる。免疫グロブリンは、免疫グロブリンヒンジ領域を介して連結された2つのFab分子及びFcドメインから本質的になる。

0029

参照抗体と「同じエピトープに結合する抗体」は、競合アッセイにおいて、参照抗体のその抗原に対する結合を、50%又はそれ以上遮断する抗体を指し、逆に、参照抗体は、競合アッセイにおいて、抗体のその抗原に対する結合を、50%又はそれ以上遮断する。典型的な競合アッセイが、本明細書において提供される。

0030

抗原結合ドメイン」は、抗原の一部又は全体に相補的であり特異的に結合する領域を含む抗原結合分子の一部を指す。抗原が大きい場合、抗原結合分子は、エピトープと呼ばれる抗原の特定の部分にのみ結合することができる。抗原結合ドメインは、例えば、一以上の抗体可変ドメイン抗体可変領域とも呼ばれる)により与えられうる。好ましくは、抗原結合ドメインは、抗体軽鎖可変領域(VL)と抗体重鎖可変領域(VH)を含む。

0031

用語「キメラ」抗体は、重鎖及び/又は軽鎖の一部分が特定の起源又は種から由来し、一方重鎖及び/又は軽鎖の残りが異なる起源又は種から由来し、通常組換えDNA技術により調製される抗体を指す。ウサギ可変領域及びヒト定常領域を含むキメラ抗体が好ましい。本発明に包含される「キメラ抗体」の他の好ましい形態は、特にC1qの結合及び/又はFc受容体(FcR)の結合に関して、本発明に係る特性を生成するために、定常領域が元の抗体のものから修飾又は変更されたものである。このようなキメラ抗体は、「クラススイッチ抗体」とも呼ばれる。キメラ抗体は、免疫グロブリン可変領域をコードするDNAセグメント及び免疫グロブリン定常領域をコードするDNAセグメントを含む、発現された免疫グロブリン遺伝子生成物である。キメラ抗体を生産するための方法は、今は当該技術分野においてよく知られている一般的な組換えDNA及び遺伝子トランスフェクション技術を含む。例えば、Morrison, S.L., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81 (1984) 6851-6855;米国特許第5,202,238号及び第5,204,244号を参照。

0032

本明細書で用いられる「細胞傷害性薬物」という用語は、細胞の機能を阻害又は阻止し及び/又は細胞死若しくは破壊を生ずる物質を指す。細胞傷害性薬物は、限定されないが、放射性同位体(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212及びLuの放射性同位体);化学療法剤又は薬物(例えば、メトトレキセートアドリアマイシンビンカアルカロイドビンクリスチンビンブラスチンエトポシド)、ドキソルビシンメルファランマイトマイシンCクロラムブシルダウノルビシン又は他の挿入剤);成長阻害剤、酵素及びその断片、例えば核酸分解酵素など;抗生物質;小分子毒素などの毒素、又は細菌、真菌、植物又は動物由来酵素活性毒素(それらの断片及び/又はその変異体を含む);及び様々な抗腫瘍剤又は抗癌剤を包含する。

0033

エフェクター機能」とは、抗体のアイソタイプにより変わる、抗体Fc領域に起因する生物学的活性を指す。抗体のエフェクター機能の例には:C1q結合性及び補体依存性細胞傷害(CDC)、Fc受容体結合;抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC);抗体−依存性細胞食作用ADCP);サイトカイン分泌;抗原提示細胞による免疫複合体媒介性抗原の取込み細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)のダウンレギュレーション;及びB細胞活性化が含まれる。

0034

本明細書で使用される場合、「操作(engineer、engineered、engineering)」なる用語は、天然に生じるか又は組換えのポリペプチド又はその断片のペプチド骨格の何れかの修飾又は翻訳後修飾を含むと考えられる。操作には、アミノ酸配列の、グリコシル化パターンの、又は個々のアミノ酸の側鎖基のアミノ酸配列の修飾、並びにこれらのアプローチの組み合せが含まれる。

0035

アミノ酸変異」なる用語は、本明細書で使用される場合、アミノ酸置換欠失、挿入、及び修飾を包含することを意味する。最終コンストラクトが所望の特徴、例えばFc受容体への結合の減少又は別のペプチドとの会合の増加を有することを条件として、置換、欠失、挿入、及び修飾の何れかの組合せが最終コンストラクトに到達するために成されても良い。アミノ酸配列の欠失及び挿入には、アミノ−及び/又はカルボキシ末端の欠失及びアミノ酸の挿入が含まれる。特定のアミノ酸変異はアミノ酸置換である。例えば、Fc領域の結合特性を変更する目的のために、非保存的アミノ酸置換、即ち一のアミノ酸を、異なる構造的及び/又は化学的特性を有する別のアミノ酸と置換することが特に所望される。アミノ酸置換は、20の標準的アミノ酸の非天然に生じるアミノ酸又は天然に生じるアミノ酸誘導体による置換を含む(例えば4−ヒドロキシプロリン、3−メチルヒスチジン、オルニチンホモセリン、5−ヒドロキシリジン)。アミノ酸変異は、当分野でよく知られた遺伝学的又は化学的方法を使用して生成されうる。遺伝学的方法は、部位特異的変異誘発PCR遺伝子合成等を含みうる。化学的修飾など、遺伝子工学以外の方法によるアミノ酸の側鎖基の改変方法がまた有用でありうることが意図される。本明細書において同一のアミノ酸変異を示すために様々な名称が使用されてもよい。例えば、Fcドメインの位置329のプロリンからグリシンへの置換は、329G、G329、G329、P329G、又はPro329Glyとして示すことができる。

0036

薬剤、例えば、薬学的製剤の「有効量」は、例えば、所望の治療的又は予防的結果を達成するために、必要な用量及び期間で有効な量を指す。

0037

用語「Fcドメイン」又は「Fc領域」は、定常領域の少なくとも一部を含む、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。その用語は、天然配列Fc領域と変異体Fc領域を含む。IgG重鎖のFc領域の境界は、若干異なる場合があるものの、ヒトIgG重鎖のFc領域は通常、Cys226から又はPro230から重鎖のカルボキシル末端伸展するように定義されている。しかし、Fc領域のC末端リジン(Lys447)は存在しているか、又は存在していない場合がある。本明細書に明記されていない限り、Fc領域又は定常領域内のアミノ酸残基の番号付けは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD, 1991に記載されるように、EUインデックスとも呼ばれるEU番号付けシステムに従う。Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD, 1991。本明細書で使用されるFcドメインの「サブユニット」は、二量体Fcドメインを形成する2つのポリペプチドの一つ、即ち、安定に自己会合可能な免疫グロブリン重鎖のC末端定常領域を含むポリペプチドを指す。例えば、IgGのFcドメインのサブユニットは、IgGのHC2及びIgGのCH3定常ドメインを含む。

0038

「Fcドメインの第一及び第二のサブユニットの会合を促進する修飾」とは、ホモ二量体を形成するFcドメインサブユニットを含むポリペプチドの同一のポリペプチドとの会合を減少又は防止するペプチド骨格の操作又はFcドメインサブユニットの翻訳後修飾である。本明細書において使用される会合を促進する修飾は、会合が望まれる2つのFcドメインサブユニット(即ちFcドメインの第一及び第2サブユニット)のそれぞれに対して行われた別々の修飾を特に含み、該修飾は2つのFcドメインのサブユニットの会合を促進するように互いに相補的である。例えば、会合促進修飾は、その会合をそれぞれ立体的又は静電気的に好ましくするために、Fcドメインの一方又は双方の構造又は電荷を改変しうる。従って、(ヘテロ)二量体化が、各サブユニットの各々に融合した更なる成分(例えば抗原結合部分)が同一ではないという意味で非同一であるかもしれない、第一Fcドメインサブユニットを含むポリペプチドと第二Fcドメインサブユニットを含むポリペプチドの間に生じる。幾つかの実施態様では、会合促進修飾は、Fcドメイン中にアミノ酸変異、特にアミノ酸置換を含む。特定の実施態様では、会合修飾は、Fcドメインの2つのサブユニットの各々における別々のアミノ酸変異、特にアミノ酸置換を含む。

0039

「フレームワーク」又は「FR」は、高頻度可変領域(HVR)残基以外の可変ドメイン残基を意味する。可変ドメインのFRは、一般的に4つのFRのドメイン:FR1、FR2、FR3、及びFR4からなる。従って、HVR及びFR配列は一般に、VH(又はVL)の以下の配列:FR1−H1(L1)−FR2−H2(L2)−FR3−H3(L3)−FR4に現れる。

0040

用語「完全長抗体」、「インタクトな抗体」及び「全抗体」は、本明細書中で互換的に使用され、天然型抗体構造と実質的に類似の構造を有するか、又は本明細書で定義されるFc領域を含む重鎖を有する抗体を指す。

0041

用語「宿主細胞」、「宿主細胞株」及び「宿主細胞培養」は互換的に使用され、外因性核酸が導入された細胞を指し、そのような細胞の子孫を含める。宿主細胞は、「形質転換体」及び「形質転換された細胞」を含み、継代の数に関係なく、それに由来する初代形質転換細胞及び子孫が含まれる。子孫は、親細胞と、核酸含有物において完全に同一ではなく、変異を含む場合もある。元来の形質転換細胞において、スクリーニング又は選択された場合に、同様の機能又は生物活性を有する変異子孫がここに含まれる。

0042

ヒト抗体」は、ヒト又はヒト細胞により産生されるか、又はヒト抗体のレパートリー又は他のヒト抗体をコードする配列を利用した非ヒト起源に由来する抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有するものである。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を特に除外する。本発明に係るキメラ及びヒト化抗体についても述べたように、本発明で使用される「ヒト化抗体」はまた、とりわけC1q結合及び/又はFcR結合に関して、例えば「クラススイッチ」即ちFc部分の変化又は変異(例えばIgG1からIgG4及び/又はIgG1/IgG4変異)によって、本発明に係る特性を生み出すために、定常領域で修飾された抗体を含む。

0043

本発明で使用される場合、用語「組換えヒト抗体」は、宿主細胞に形質移入された組換え発現ベクターを使用して発現したヒト免疫グロブリン遺伝子又は抗体用トランスジェニックである動物(例えばマウス)から、又はNS0又はCHO細胞等の宿主細胞から単離された抗体等、組換え手段により調製、発現、生成又は単離された全てのヒト抗体を含むことを意図している。このような組換えヒト抗体は再配置された形態で可変及び定常領域を有する。本発明の組換えヒト抗体は、インビボで体細胞超変異にさらされている。よって、組換え抗体のVH及びVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VH及びVL配列から誘導され、関連しているが、インビボでヒト抗体生殖系列レパートリー内に天然に存在しないであろう配列である。

0044

「ヒトコンセンサスフレームワーク」とは、ヒト免疫グロブリンVL又はVHフレームワーク配列の選択において最も一般的に存在するアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般的には、ヒト免疫グロブリンVL又はVH配列の選択は、可変ドメイン配列サブグループからのものである。一般的には、配列のサブグループは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, NIH Publication 91-3242, Bethesda MD (1991), vols. 1-3にあるサブグループである。一実施態様において、VLについては、サブグループは上掲のKabatらにあるサブグループカッパIである。一実施態様において、VHについては、サブグループは上掲のKabatらにあるサブグループIIIである。

0045

「ヒト化」抗体は、非ヒトHVR由来のアミノ酸残基、及びヒトFR由来アミノ酸残基を含むキメラ抗体を指す。ある実施態様において、ヒト化抗体は、少なくとも一つ、典型的には二つの可変ドメインの実質的に全てを含み、HVR(例えば、CDR)の全て又は実質的に全てが、非ヒト抗体のものに対応し、FRの全て又は実質的に全てが、ヒト抗体のものに対応する。ヒト化抗体は、任意で、ヒト抗体由来抗体定常領域の少なくとも一部を含んでもよい。抗体の「ヒト化型」、例えば、非ヒト抗体は、ヒト化を遂げた抗体を指す。本発明に包含される「ヒト化抗体」の別の形態は、特にC1qの結合及び/又はFc受容体(FcR)の結合に関して、本発明に係る特性を生成するために、定常領域が元の抗体のものから更に修飾又は変更されたものである。

0046

本明細書で使用される用語「超可変領域」又は「HVR」なる用語は、配列において高頻度可変であり、及び/又は構造的に定まったループ(「超可変ループ」)を形成する抗体可変ドメインの領域を意味する。一般的に、天然型4鎖抗体は、VH(H1、H2、H3)に3つ、及びVL(L1、L2、L3)に3つの6つのHVRを含む。HVRは、一般に超可変ループから及び/又は相補性決定領域(CDR)からのアミノ酸残基を有し、後者は最も高い配列可変性のものであり、及び/又は抗原認識に関与している。典型的な超可変ループはアミノ酸残基26−32(L1)、50−52(L2)、91−96(L3)、26−32(H1)、53−55(H2)、及び96−101(H3)で生じる(Chothia and Lesk, J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987))。典型的なCDR(CDR−L1、CDR−L2、CDR−L3、CDR−H1、CDR−H2、及びCDR−H3)は、アミノ酸残基L1の24−34、L2の50−56、L3の89−97、H1の31−35B、H2の50−65、及びH3の95−102で生じる。(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991))。超可変領域(HVR)は、相補性決定領域(CDR)とも呼ばれ、これらの用語は、抗原結合領域を形成する可変領域の部分への参照において本明細書で互換的に使用される。この特定の領域は、Kabat et al., U.S. Dept. of Health and Human Services, "Sequences of Proteins of Immunological Interest" (1983)及びChothia et al., J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987)に記述されており、そこで本定義は、相互に対して比較するときにアミノ酸残基の重複又はサブセットを含む。それにもかかわらず、抗体又はその変異体のCDRを意味する何れかの定義の適用は、本明細書において定義され、使用される場合の用語の範囲内にあることを意図している。上記の引用文献の各々によって定義されるように、CDRを包含する適切なアミノ酸残基が、比較として以下の表1に記載されている。特定のCDRを含む正確な残基番号は、CDRの配列及び大きさに応じて変わるであろう。当業者であれば、抗体の可変領域アミノ酸配列を付与する特定のCDRを含む残基を、常套的に決定できる。

0047

Kabatらはまた、任意の抗体に適用可能である可変領域配列の番号付けシステムを定義した。当業者は、配列それ自体を超えた任意の実験データに頼ることなく、任意の可変領域配列に対してこのKabatの番号付けシステムを一義的に割り当てることができる。本明細書で用いる場合、「Kabat番号付け」とは、Kabat et al., U.S. Dept. of Health and Human Services, "Sequence of Proteins of Immunological Interest" (1983)で明記されている番号付けシステムを指す。特記されない限り、抗体可変領域内の特定のアミノ酸残基の位置の番号付けへの参照は、Kabat番号付けシステムに従う。

0048

VHのCDR1を除き、CDRは、一般に高頻度可変ループからのアミノ酸残基を含む。CDRは、抗原に接触する残基である「特異性決定残基」又は「SDR」をも含む。SDRは、省略された(abbreviated−)CDR、又はa−CDRと呼ばれる、CDRの領域内に含まれている。典型的なa−CDR(a−CDR−L1、a−CDR−L2、a−CDR−L3、a−CDR−H1、a−CDR−H2、及びa−CDR−H3)は、アミノ酸残基L1の31−34、L2の50−55、L3の89−96、H1の31−35B、H2の50−58、及びH3の95−102で生じる。(Almagro and Fransson, Front. Biosci. 13:1619-1633 (2008)を参照のこと)。特に断らない限り、可変ドメイン内のHVR残基及び他の残基(例えば、FR残基)は、上掲のKabatらに従い、本明細書において番号が付けられる。

0049

イムノコンジュゲート」は、一以上の異種分子コンジュゲートした抗体であり、限定されないが、細胞傷害性薬物を含む。

0050

「個体」又は「被験体」は、哺乳動物である。哺乳動物は、限定されないが、家畜動物(例えば、ウシヒツジネコイヌウマ)、霊長類(例えば、ヒト、及びサルなどの非ヒト霊長類)、ウサギ、げっ歯類(例えば、マウス及びラット)を含む。ある実施態様において、個体又は被験体はヒトである。

0051

「単離された」抗体は、その自然環境の成分から分離されたものである。幾つかの実施態様において、抗体は、例えば、電気泳動(例えば、SDS−PAGE、等電点電気泳動IEF)、キャピラリー電気泳動)又はクロマトグラフィー(例えば、イオン交換又は逆相HPLC)により決定されるように、95%以上又は99%の純度に精製される。抗体純度の評価法総説としては、例えばFlatman et al., J. Chromatogr. B 848:79-87 (2007)を参照のこと。

0052

「単離された」核酸は、その自然環境の成分から分離された核酸分子を指す。単離された核酸は、核酸分子を通常含む細胞に含まれる核酸分子を含むが、しかし、その核酸分子は、染色体外又はその自然の染色体上の位置とは異なる染色体位置に存在している。

0053

「HER2に特異的に結合する二重特異性抗体をコードする単離された核酸」は、抗体の重鎖及び軽鎖(又はその断片)をコードする一以上の核酸分子を指し、単一のベクター又は別個のベクター内のそのような核酸分子、及び宿主細胞の一以上の位置に存在するそのような核酸分子を含む。

0054

本明細書で使用される用語「モノクローナル抗体」とは、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を意味し、即ち、例えば、天然に生じる変異を含み、又はモノクローナル抗体製剤の製造時に発生し、一般的に少量で存在している変異体などの、可能性のある変異体抗体を除き、集団を構成する個々の抗体は同一であり、及び/又は同じエピトープに結合する。異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体の調製物とは異なり、モノクローナル抗体の調製物の各モノクローナル抗体は、抗原の単一の決定基に対するものである。「モノクローナル」なる修飾語句は、抗体の、実質的に均一な抗体の集団から得られたものであるという特性を示し、抗体を何か特定の方法で生産しなければならないと解釈されるべきものではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、限定されないが、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、ファージディスプレイ法ヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部又は一部を含むトランスジェニック動物を利用する方法を含む様々な技術によって作成され、モノクローナル抗体を作製するためのそのような方法及び他の例示的な方法は、本明細書に記載されている。

0055

「ネイキッド抗体」とは、異種の部分(例えば、細胞傷害性部分)又は放射性標識にコンジュゲートしていない抗体を指す。ネイキッド抗体は、薬学的製剤中に存在してもよい。

0056

「天然型抗体」は、天然に存在する様々な構造をとる免疫グロブリン分子を指す。例えば、天然型IgG抗体は、ジスルフィド結合している2つの同一の軽鎖と2つの同一の重鎖から成る、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。N末端からC末端に、各重鎖は、可変重鎖ドメイン又は重鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VH)、続いて3つの定常ドメイン(CH1、CH2及びCH3)を有する。同様に、N末端からC末端に、各軽鎖は、可変軽鎖ドメイン又は軽鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VL)、続いて定常軽鎖(CL)ドメインを有する。抗体の軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)とラムダ(λ)と呼ばれる、2つのタイプの何れかに割り当てることができる。

0057

用語「添付文書」は、効能、用法、用量、投与、併用療法禁忌についての情報、及び/又はそのような治療用製品の使用に関する警告を含む、治療用製品の商用パッケージ慣習的に含まれている説明書を指すために使用される。

0058

交差反応性が実質的に無い」とは、分子(例えば抗体)が、分子の実際の標的抗原とは異なる抗原(例えば、標的抗原に密接に関連した抗原)を、特にその標的抗原と比較した場合に、認識しないか又は特異的に結合しないことを意味する。例えば、抗体が実際の標的抗原とは異なる抗原に対して約10%未満から約5%未満が結合する場合があり、又は約10%、9%、8%7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.2%、又は0.1%未満、好ましくは約2%、1%又は0.5%未満、最も好ましくは約0.2%又は0.1%未満の、実際の標的抗原とは異なる抗原からなる量において、実際の標的抗原とは異なる前記抗原に結合しうる。

0059

「参照ポリペプチド配列に関する「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」は、配列を整列させ、最大のパーセント配列同一性を得るために必要ならば間隙を導入した後、如何なる保存的置換も配列同一性の一部と考えないとした、参照ポリペプチドのアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセントとして定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、当業者の技量の範囲にある種々の方法、例えばBLAST、BLAST−2、ALIGN、又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェアのような公に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用することにより達成可能である。当業者であれば、比較される配列の全長に対して最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。しかし、ここでの目的のためには、%アミノ酸配列同一性値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN−2を用いて得られる。ALIGN−2配列比較コンピュータプログラムはジェネンテク社によって作成され、ソースコードは米国著作権、Washington D.C.,20559に使用者用書類とともに提出され、米国著作権登録番号TXU510087の下で登録されている。ALIGN−2プログラムはジェネンテク社、South San Francisco,Californiaを通して公的に入手可能であり、ソースコードからコンパイルしてもよい。ALIGN−2プログラムは、UNIX(登録商標)オペレーティングシステム、特にデジタルUNIX(登録商標)V4.0Dでの使用のためにコンパイルされる。全ての配列比較パラメータは、ALIGN−2プログラムによって設定され変動しない。

0060

アミノ酸配列比較にALIGN−2が用いられる状況では、与えられたアミノ酸配列Aの、与えられたアミノ酸配列Bとの、又はそれに対する%アミノ酸配列同一性(或いは、与えられたアミノ酸配列Bと、又はそれに対して所定の%アミノ酸配列同一性を持つ又は含む与えられたアミノ酸配列Aと言うこともできる)は次のように計算される:
分率X/Yの100倍
ここで、Xは、A及びBのプログラムアラインメントにおいて、配列アラインメントプログラムALIGN−2によって同一であると一致したスコアのアミノ酸残基の数であり、YはBの全アミノ酸残基の全数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと一致しない場合、AのBに対する%アミノ酸配列同一性は、BのAに対する%アミノ酸配列同一性とは一致しないと評価されるであろう。特に断らない限りは、ここで使用される全ての%アミノ酸配列同一性値は、直前パラグラフに記載したように、ALIGN−2コンピュータプログラムを用いて得られる。

0061

用語「薬学的製剤」は、その中に有効で含有される活性成分の生物学的活性を許容するような形態であって、製剤を投与する被験体にとって許容できない毒性である他の成分を含まない調製物を指す。

0062

薬学的に許容可能な担体」は、被験体に非毒性であり、有効成分以外の製剤処方中の成分を指す。薬学的に許容される担体は、限定されないが、緩衝剤賦形剤、安定剤、又は保存剤を含む。

0063

本明細書で用いられるように、「治療」(及び「治療する(treat)」又は「治療している(treating)」など文法上の変形)は、治療されている個体の自然経過を変えようと試みる臨床的介入を指し、予防のために、又は臨床病理過程においての何れかで実行できる。治療の望ましい効果は、限定されないが、疾患の発症又は再発を予防すること、症状の緩和、疾患の直接的又は間接的な病理学帰結縮小転移を予防すること、疾患の進行の速度を遅らせること、疾患状態の改善又は緩和、及び寛解又は予後の改善を含む。幾つかの実施態様において、本発明の抗体は、疾患の発症を遅延させるか又は疾患の進行を遅くするために使用される。

0064

本明細書で使用する用語「がん」は、例えば、リンパ腫リンパ性白血病肺がん非小細胞(NSCL)がん、細気管支肺胞性細胞肺がん、骨がん、膵臓がん皮膚がん、頭部又は頸部のがん、皮膚又は眼内黒色腫子宮がん卵巣がん直腸がん、肛門領域のがん、胃がん(stomach cancer)、胃がん(gastric cancer)、結腸がん、乳がん、子宮がん、卵管の癌、子宮内膜癌子宮頸部癌の癌、外陰部の癌、ホジキン病食道のがん、小腸のがん、内分泌系のがん、甲状腺のがん、副甲状腺のがん、副腎のがん、軟組織肉腫尿道のがん、陰茎のがん、前立腺がん膀胱のがん、腎臓又は尿管のがん、腎細胞癌腎盂の癌、中皮腫肝細胞がん胆管がん中枢神経系(CNS)の新生物脊髄軸腫瘍、脳幹グリオーマ多形性膠芽腫星状細胞腫シュワン腫、上衣腫髄芽腫髄膜腫扁平上皮癌下垂体腺腫及びユーイング肉腫などの増殖性疾患を意味し、上記癌の任意の難治性バージョン、又は上記がんのうちの一又は複数の組み合わせを含む。

0065

用語「可変領域」又は「可変ドメイン」は、抗体の抗原への結合に関与する抗体の重鎖又は軽鎖のドメインを指す。天然型抗体の可変重鎖ドメイン及び軽鎖(それぞれVH及びVL)は、4つの保存されたフレームワーク領域(FR)と3つの超可変領域(HVR)を含む各ドメインを持ち、一般的に似たような構造を有する。(例えば、Kindt et al. Kuby Immunology, 6th ed., W.H. Freeman and Co. 91頁、 (2007)を参照)。単一のVH又はVLドメインが、抗原結合特異性を付与するのに十分であり得る。更に、特定の抗原に結合する抗体は、相補的なVL又はVHドメインのそれぞれのライブラリーをスクリーニングするために、抗原に特異的に結合する抗体からのVH又はVLドメインを用いて単離することができる。例えば、Portolano et al., J. Immunol. 150:880-887 (1993); Clarkson et al., Nature 352:624-628 (1991)を参照。

0066

「抗体の抗原結合部位」は、本明細書で使用されるとき、抗原結合に関与する抗体のアミノ酸残基を指す。抗体の抗原結合部位は、「相補性決定領域」又は「CDR」からのアミノ酸残基を含む。「フレームワーク」又は「FR」領域は、ここで定義する超可変領域の残基以外の可変ドメイン残基である。従って、抗体の軽鎖及び重鎖可変ドメインは、NからC末端に、ドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4を含む。特に、重鎖のCDR3は、抗原結合に最も寄与する領域であり、抗体の特性を定める。CDR及びFRは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991)の標準的定義に従って決定され、及び/又は「超可変ループ」からの残基である。

0067

抗体特異性は、抗原の特定のエピトープに対する抗体の選択的認識を指す。天然の抗体は、例えば、単一特異性である。本明細書で使用する用語「単一特異性」抗体は、各々が同じ抗原の同じエピトープに結合する一以上の結合部位を有する抗体である。

0068

本発明による「二重特異性抗体」は、2つの異なる抗原結合特異性を有する抗体である。本発明の抗体は、HER2の2つの異なるエピトープ、即ち、HER2の.細胞外ドメインII及びIVに対して特異的である。本明細書で使用する用語「二重特異性」抗体は、各々が同じ抗原の異なるエピトープに結合する少なくとも二つの結合部位を有する抗体である。

0069

二重特異性抗体はまたHER2を発現する細胞に細胞傷害性薬物を局所化するために用いることができる。二重特異性抗体は、全長抗体又は抗体断片として調製することができる。

0070

本出願の中で使用する用語「価」は、抗体分子における指定された数の結合部位の存在を示す。このように、用語「二価」、「四価」及び「六価」は、抗体分子において、それぞれ、2つの結合部位、4つの結合部位、及び6つの結合部位が存在することを意味する。本発明による二重特異性抗体は、少なくとも二価であり、三価又は多価(例えば四価又は六価)であり得る。

0071

本発明の抗体は、2つ以上の結合部位を有し、二重特異性である。つまり、抗体は2つ以上の結合部位がある場合でさえ(即ち、抗体が三価又は多価であること)、二重特異性であってもよい。本発明の二重特異性抗体は、例えば、多価単鎖抗体、ダイアボディ及びトリアディ並びに付加的抗原結合部位(例えば、単鎖Fv、VHドメイン及び/又はVLドメイン、Fab断片、又は(Fab)2)が一以上のペプチドリンカーを介して連結される完全長抗体の定常ドメイン構造を有する抗体を含む。抗体は、単一の種からの完全長とすることができ、又はキメラ化若しくはヒト化されることができる。

0072

本明細書で使用される用語「ベクター」は、それが連結されている別の核酸を伝播することができる核酸分子を指す。この用語は、自己複製核酸構造としてのベクター、並びにそれが導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターを含む。ある種のベクターは、それらが動作可能なようにリンクされている核酸の発現を指示することができる。このようなベクターは、本明細書では「発現ベクター」と言う。

0073

用語「アミノ酸」は、本出願で使用される場合、アラニン(3文字コード:ala、1文字コード:A)、アルギニン(arg、R)、アスパラギン(asn、N)、アスパラギン酸(asp、D)、システイン(cys、C)、グルタミン(gln、Q)、グルタミン酸(glu、E)、グリシン(gly、G)、ヒスチジン(his、H)、イソロイシン(ile、I)、ロイシン(leu、L)、リジン(lys、K)、メチオニン(met、M)、フェニルアラニン(phe、F)、プロリン(pro、P)、セリン(ser、S)、スレオニン(thr、T)、トリプトファン(trp、W)、チロシン(tyr、Y)、及びバリン(val、V)を含む天然に生じるカルボキシα−アミノ酸の群を示す。

0074

本明細書中で用いる「細胞」、「細胞株」及び「細胞培養物」なる表現は相互に交換可能に用いられ、かかる標記は子孫を含む。よって、「形質転換体」や「形質転換細胞」のような用語には、初代対象細胞と何世代移行したかを問わずそれから由来した培養物とを含む。また、全ての子孫は、意図的な又は不慮の突然変異により、DNA量において、厳密には同一でない可能性もあると理解される。最初に形質転換された細胞においてスクリーニングされた場合、同じ機能又は生物活性を有する変異子孫も含まれる。

0075

「親和性」とは、分子(例えば、抗体)の単一結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有結合相互作用の総和の強度を指す。本明細書で使用する場合、特に断らない限り、「結合親和性」は、結合対(例えば、抗体と抗原)のメンバー間の1:1の相互作用を反映している本質的な結合親和性を指す。そのパートナーYに対する分子Xの親和性は、一般的に解離定数(Kd)で表すことができる。親和性は、本明細書に記載したものを含む、当該技術分野で知られている一般的な方法によって測定することができる。結合親和性を測定するための特定の事例的及び具体的な実施態様を以下に記載する。

0076

本明細書において使用される場合、用語「結合」又は「特異的に結合」とは、インビトロにおけるアッセイ、好ましくは表面プラズモン共鳴アッセイ(BIAcore,GE−Healthcare Uppsala,Sweden)における抗原のエピトープへの抗体の結合を指す。結合の親和性は、用語ka(抗体/抗原複合体からの抗体結合に関する速度定数)、kD(解離定数)、及びKD(kD/ka)によって定義される。結合又は特異的に結合は、10−8mol/l以下、好ましくは10−9Mから10−13mol/lの結合親和性(KD)を意味する。

0077

細胞死受容体への抗体の結合は、BIAcoreアッセイ(GE−Healthcare Uppsala,Sweden)によって調べることができる。結合の親和性は、用語ka(抗体/抗原複合体からの抗体結合に関する速度定数)、kD(解離定数)、及びKD(kD/ka)によって定義される。

0078

用語「エピトープ」とは、抗体に対して特異的に結合できる何れかのポリペプチド決定基を包含する。ある実施態様においては、エピトープ決定基は、分子、例えばアミノ酸、糖側鎖、ホスホリル又はスルホニルなどの化学的活性表面基を含み、そしてある実施態様においては、特定の三次元構造特性及び/又は比電荷特性を有することができる。エピトープは、抗体により結合される抗原の領域である。

0079

本明細書で使用される場合、用語、「操作する」、「操作された」、「操作すること」、とりわけ、接頭辞の「glyco−」が付いた用語、ならびに「グリコシル化操作」は、天然に存在するポリペプチド又は組換えポリペプチド又はその断片のグリコシル化パターンの任意の操作を含むと見なされる。グリコシル化操作には、細胞中で発現される糖タンパク質のグリコシル化の変化を達成するためのオリゴ糖合成経路遺伝子操作を含む、細胞のグリコシル化機構の代謝的操作を含む。更に、グリコシル化操作は、グリコシル化における変異及び細胞環境の影響を含む。一実施態様において、グリコシル化操作は、糖転移酵素活性の変化である。特定の実施態様では、操作が変更されたグルコサミニル転移酵素活性及び/又はフコース転移酵素活性をもたらす。

0080

II.組成物及び方法
一態様において、本発明は、HER2に特異的に結合する二重特異性抗体に基づいています。本発明の抗体は、例えば、がんの治療のために有用である。

0081

A.共通の軽鎖によりHER2と特異的に結合する例示的な二重特異性抗体
本発明の一態様では、HER2に特異的に結合する二重特異性抗体が提供され、抗体は、HER2の細胞外ドメインIIに特異的に結合する第一の結合部分及びHER2の細胞外ドメインIVに特異的に結合する第二の結合部分を含む。本発明の発明者らは、驚くべきことに、一価の二重特異性抗体を生成し、ここで両方の結合部分が、腫瘍細胞増殖の阻害の観点で親の単一特異性抗体の有効性を保持し、かつHER2の細胞外ドメインIIに対する増加した親和性を有する共通の軽鎖を共有する。親抗体の両方の結合特性を保持する共通の軽鎖を有する二重特異性分子の生成は、ハイブリッド軽鎖の共通のCDRが、HER2の細胞外ドメインII及びIVの両方に対して結合特異性を保持する必要があるので容易ではない。このいわゆる「共通の軽鎖」原理、即ち、1つの軽鎖を共有するが、依然として別々の特異性を持つ二つのバインダーを組み合わせることの使用により、軽鎖誤対合を防止し、この特定のケースでは親抗体のエピトープ特異性を保持する。その結果、製造時により少ない副生成物を生じ、高収率でHER2二重特異性抗原結合分子の均一な調製を容易にする。ペルツズマブの重鎖は更に最適化され、HER2の細胞外ドメインIIへの親和性の観点からより強力な分子をもたらした。加えて、トラスツズマブ重鎖は、CDR中に特定の変異を導入することによって安定化されている。得られる分子は、親のペルツズマブ及びトラスツズマブである単一特異性抗体よりも優れている。一価共通軽鎖フォーマットの二重特異性HER2抗体は、親抗体の組み合わせと比較して、ペルツズマブエピトープに対する増加した親和性を有し、細胞増殖における優れた阻害効果を示す。

0082

一実施態様において、HER2の細胞外ドメインIIに特異的に結合可能な第一Fab分子、及びHER2の細胞外ドメインIVに特異的に結合可能な第二Fab分子を含む二重特異性抗体が提供され、ここで、第一Fab分子の可変軽鎖の配列は、第二Fab分子の可変軽鎖の配列と同一である(即ち、第一及び第二のFab分子は共通の軽鎖を含む)。

0083

一実施態様において、本発明は、
(a)配列番号55の重鎖CDR1;
(b)配列番号77の重鎖CDR2;
(c)配列番号56の重鎖CDR3
を含む第一重鎖、
(a)配列番号20の重鎖CDR1;
(b)配列番号29の重鎖CDR2;
(c)配列番号30の重鎖CDR3
を含む第二重鎖、及び
(a)配列番号89の軽鎖CDR1;
(b)配列番号90の軽鎖CDR2;
(c)配列番号19の軽鎖CDR3
を含む第一及び第二軽鎖
を含むHER2の細胞外ドメインII及びIVに特異的に結合する二重特異性抗体を提供する。

0084

一実施態様において、本発明は、
(a)配列番号14の重鎖CDR1;
(b)配列番号60の重鎖CDR2;
(c)配列番号16の重鎖CDR3
を含む第一重鎖、
(a)配列番号20の重鎖CDR1;
(b)配列番号29の重鎖CDR2;
(c)配列番号30の重鎖CDR3
を含む第二重鎖、及び
(a)配列番号89の軽鎖CDR1;
(b)配列番号90の軽鎖CDR2;
(c)配列番号19の軽鎖CDR3
を含む第一及び第二軽鎖
を含むHER2の細胞外ドメインII及びIVに特異的に結合する二重特異性抗体を提供する。

0085

一実施態様において、本発明は、
(a)配列番号58の重鎖CDR1;
(b)配列番号15の重鎖CDR2;
(c)配列番号59の重鎖CDR3
を含む第一重鎖、
(a)配列番号20の重鎖CDR1;
(b)配列番号29の重鎖CDR2;
(c)配列番号30の重鎖CDR3
を含む第二重鎖、及び
(a)配列番号89の軽鎖CDR1;
(b)配列番号90の軽鎖CDR2;
(c)配列番号19の軽鎖CDR3
を含む第一及び第二軽鎖
を含むHER2の細胞外ドメインII及びIVに特異的に結合する二重特異性抗体を提供する。

0086

一実施態様において、上記実施態様の何れかに記載の第二の重鎖は、ストレス条件下でHER2に対して保持された結合をもたらす、CDRに高い化学的安定性を付与するアミノ酸配列中の少なくとも一の修飾を有する。本明細書において有用な修飾は、例えば、D98E、D98N、D98T、G99A又はG99Sである。驚くべきことに本発明者らは、CDRの幾つかの修正は、分子の安定性を向上させるだけでなく、HER2に対する結合親和性を改善することを見い出した。

0087

従って、一実施態様において、本発明は、
(a)配列番号55の重鎖CDR1;
(b)配列番号77の重鎖CDR2;
(c)配列番号56の重鎖CDR3
を含む第一重鎖、
(a)配列番号20の重鎖CDR1;
(b)配列番号29の重鎖CDR2;
(c)配列番号79の重鎖CDR3
を含む第二重鎖、及び
(a)配列番号89の軽鎖CDR1;
(b)配列番号90の軽鎖CDR2;
(c)配列番号19の軽鎖CDR3
を含む第一及び第二軽鎖
を含むHER2の細胞外ドメインII及びIVに特異的に結合する二重特異性抗体を提供する。

0088

一実施態様において、本発明は、
(a)配列番号14の重鎖CDR1;
(b)配列番号60の重鎖CDR2;
(c)配列番号16の重鎖CDR3
を含む第一重鎖、
(a)配列番号20の重鎖CDR1;
(b)配列番号29の重鎖CDR2;
(c)配列番号79の重鎖CDR3
を含む第二重鎖、及び
(a)配列番号89の軽鎖CDR1;
(b)配列番号90の軽鎖CDR2;
(c)配列番号19の軽鎖CDR3
を含む第一及び第二軽鎖
を含むHER2の細胞外ドメインII及びIVに特異的に結合する二重特異性抗体を提供する。

0089

一実施態様において、本発明は、
(a)配列番号58の重鎖CDR1;
(b)配列番号15の重鎖CDR2;
(c)配列番号59の重鎖CDR3
を含む第一重鎖、
(a)配列番号20の重鎖CDR1;
(b)配列番号29の重鎖CDR2;
(c)配列番号79の重鎖CDR3
を含む第二重鎖、及び
(a)配列番号89の軽鎖CDR1;
(b)配列番号90の軽鎖CDR2;
(c)配列番号19の軽鎖CDR3
を含む第一及び第二軽鎖
を含むHER2の細胞外ドメインII及びIVに特異的に結合する二重特異性抗体を提供する。

0090

一実施態様において、二重特異性抗体は、配列番号54のアミノ酸配列を含む二つの可変軽鎖(即ち、共通の軽鎖)、配列番号64のアミノ酸配列を含む可変重鎖を含む第一の重鎖、及び配列番号92のアミノ酸配列を含む可変重鎖を含む第二の重鎖を含む。

0091

一実施態様において、二重特異性抗体は、配列番号54のアミノ酸配列を含む二つの可変軽鎖(即ち、共通の軽鎖)、配列番号70のアミノ酸配列を含む可変重鎖を含む第一の重鎖、及び配列番号92のアミノ酸配列を含む可変重鎖を含む第二の重鎖を含む。

0092

一実施態様において、二重特異性抗体は、配列番号54のアミノ酸配列を含む二つの可変軽鎖(即ち、共通の軽鎖)、配列番号68のアミノ酸配列を含む可変重鎖を含む第一の重鎖、及び配列番号92のアミノ酸配列を含む可変重鎖を含む第二の重鎖を含む。

0093

一実施態様において、上記実施態様の何れかに記載の第二の重鎖は、CDRに安定性と、標的、例えば、D98E、D98N、D98T、G99A又はG99Sに対する結合とを付与するアミノ酸配列中の少なくとも一の修飾を有する。

0094

従って、一実施態様において、二重特異性抗体は、配列番号54のアミノ酸配列を含む二つの可変軽鎖(即ち、共通の軽鎖)、配列番号64のアミノ酸配列を含む可変重鎖を含む第一の重鎖、及び配列番号117のアミノ酸配列を含む可変重鎖を含む第二の重鎖を含む。

0095

一実施態様において、二重特異性抗体は、配列番号54のアミノ酸配列を含む二つの可変軽鎖(即ち、共通の軽鎖)、配列番号70のアミノ酸配列を含む可変重鎖を含む第一の重鎖、及び配列番号117のアミノ酸配列を含む可変重鎖を含む第二の重鎖を含む。

0096

一実施態様において、二重特異性抗体は、配列番号54のアミノ酸配列を含む二つの可変軽鎖(即ち、共通の軽鎖)、配列番号68のアミノ酸配列を含む可変重鎖を含む第一の重鎖、及び配列番号117のアミノ酸配列を含む可変重鎖を含む第二の重鎖を含む。

0097

一実施態様において、本発明の二重特異性抗体は、配列番号114のアミノ酸配列を含む第一の重鎖定常領域を含む。

0098

一実施態様において、本発明の二重特異性抗体は、配列番号115のアミノ酸配列を含む第二の重鎖定常領域を含む。

0099

別の実施態様において、本発明の二重特異性抗体は、配列番号113のアミノ酸配列を含む第一の軽鎖定常領域を含む。

0100

別の実施態様において、本発明の二重特異性抗体は、配列番号116のアミノ酸配列を含む第二の軽鎖定常領域を含む。

0101

一実施態様において、配列番号54、113、64、114、82、116、92及び115を含む二重特異性抗体が提供される。

0102

一実施態様において、配列番号54、113、64、114、82、116、96及び115を含む二重特異性抗体が提供される。

0103

一実施態様において、以下のセクションFで概説したように、上記実施形態の何れかに記載の二重特異性抗体は糖鎖を操作される。一実施態様において、以下のセクションDで概説したように、上記実施形態の何れかに記載の二重特異性抗体は、ヘテロ二量体化を促進するFcドメインの改変を含む。

0104

B.クロスオーバーFab断片を含む例示的なHER2二重特異性抗体
本発明の一実施態様では、HER2に特異的に結合する二重特異性抗体が提供され、抗体は、HER2の細胞外ドメインIIに特異的に結合する第一の結合部分及びHER2の細胞外ドメインIVに特異的に結合する第二の結合部分を含む。本発明の発明者らは、結合部分の1つが、クロスオーバーFab断片である、第二の一価二重特異性抗体フォーマットを生成した。本発明の一態様では、一価の二重特異性抗体が生成され、ここで、IgG分子のFab断片の一つは、クロスオーバーFab断片により置換される。クロスオーバーFab断片は、重鎖及び軽鎖の可変領域又は定常領域の何れかが交換されるFab断片である。クロスオーバーFab断片を含む二重特異性抗体フォーマットは、例えば、WO2009080252、WO2009080253、WO2009080251、WO2009080254、WO2010/136172、WO2010/145792及びWO2013/026831に記載される。天然型トラスツズマブ配列は、安定性及び親和性を向上させるために、可変重鎖及び可変軽鎖の両方のCDRに改変を導入することによって最適化されており、得られた配列は二重特異的分子中の軽鎖の誤対合を回避するためにフレームワークが移植され、二重特異性抗体は糖鎖を操作され、高収率で生産することができるHER2を標的とする非常に強力な二重特異性抗体とほんの低い割合の副生成物が得られる。加えて、各親抗体の組み合わせと比較して、腫瘍細胞増殖の優れた阻害を示す。

0105

一実施態様において、本発明は、
(a)配列番号14の重鎖CDR1;
(b)配列番号15の重鎖CDR2;
(c)配列番号16の重鎖CDR3;
(d)配列番号11の軽鎖CDR1;
(e)配列番号12の軽鎖CDR2;
(f)配列番号13の軽鎖CDR3
を含む、HER2の細胞外ドメインIIに特異的な第一の抗原結合部位、及び
(a)配列番号20の重鎖CDR1;
(b)配列番号108の重鎖CDR2;
(c)配列番号79の重鎖CDR3;
(d)配列番号107の軽鎖CDR1;
(e)配列番号18の軽鎖CDR2;
(f)配列番号19の軽鎖CDR3
を含む、HER2の細胞外ドメインIVに特異的な第二の抗原結合部位
を含むHER2に特異的に結合する二重特異性抗体を提供する。

0106

一実施態様において、二重特異性抗体は、配列番号22のアミノ酸配列を含む可変重鎖及び配列番号24のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む、HER2の細胞外ドメインIIに特異的な第一の抗原結合部位及び配列番号105のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番106のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、HER2の細胞外ドメインIVに特異的な第二の抗原結合部位を含む。

0107

一実施態様において、本発明は、
(a)配列番号14の重鎖CDR1;
(b)配列番号15の重鎖CDR2;
(c)配列番号16の重鎖CDR3;
(d)配列番号11の軽鎖CDR1;
(e)配列番号12の軽鎖CDR2;
(f)配列番号13の軽鎖CDR3;
を含む、HER2の細胞外ドメインIIに特異的な第一の抗原結合部位、及び
(a)配列番号20の重鎖CDR1;
(b)配列番号29の重鎖CDR2;
(c)配列番号79の重鎖CDR3;
(d)配列番号104の軽鎖CDR1;
(e)配列番号18の軽鎖CDR2;
(f)配列番号19の軽鎖CDR3;
を含む、HER2の細胞外ドメインIVに特異的な第二の抗原結合部位
を含むHER2に特異的に結合する二重特異性抗体を提供する。

0108

一実施態様において、二重特異性抗体は、配列番号22のアミノ酸配列を含む可変重鎖及び配列番号24のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を含む、HER2の細胞外ドメインIIに特異的な第一の抗原結合部位及び配列番号117のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番118のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、HER2の細胞外ドメインIVに特異的な第二の抗原結合部位を含む。

0109

一実施態様において、本発明は、
(a)配列番号14の重鎖CDR1;
(b)配列番号15の重鎖CDR2;
(c)配列番号16の重鎖CDR3;
(d)配列番号11の軽鎖CDR1;
(e)配列番号12の軽鎖CDR2;
(f)配列番号13の軽鎖CDR3
を含む、HER2の細胞外ドメインIIに特異的な第一の抗原結合部位、及び
(a)配列番号20の重鎖CDR1;
(b)配列番号29の重鎖CDR2;
(c)配列番号79、配列番号78、配列番号80、配列番号87、配列番号88からなる群から選択される重鎖CDR3;
(d)配列番号104、配列番号103及び配列番号158からなる群から選択される軽鎖CDR1;
(e)配列番号18の軽鎖CDR2;
(f)配列番号19の軽鎖CDR3
を含む、HER2の細胞外ドメインIVに特異的な第二の抗原結合部位
を含むHER2に特異的に結合する二重特異性抗体を提供する。

0110

一実施態様において、本発明の二重特異性抗体は、配列番号114のアミノ酸配列を含む第一の重鎖定常領域を含む。

0111

一実施態様において、本発明の二重特異性抗体は、C末端リジンが除去されている、配列番号114のアミノ酸配列を含む第一の重鎖定常領域を含む。

0112

一実施態様において、本発明の二重特異性抗体は、配列番号115のアミノ酸配列を含む第二の重鎖定常領域を含む。

0113

一実施態様において、本発明の二重特異性抗体は、C末端リジンが除去されている、配列番号115のアミノ酸配列を含む第二の重鎖定常領域を含む。

0114

別の実施態様において、本発明の二重特異性抗体は、配列番号113のアミノ酸配列を含む第一の軽鎖定常領域を含む。

0115

別の実施態様において、本発明の二重特異性抗体は、配列番号116のアミノ酸配列を含む第二の軽鎖定常領域を含む。

0116

一実施態様において、配列番号109、110、111及び112を含む二重特異性抗体が提供される。

0117

一実施態様において、上記の実施態様の何れかに記載のHER2に特異的に結合する二重特異性抗体は
Fcドメイン、
HER2の細胞外ドメインIIに特異的な第一の抗原結合部位を含む1つのFab断片、
HER2の細胞外ドメインIVに特異的な第二の抗原結合部位を含む1つのFab断片を含み、
ここで、少なくとも一のFab断片の重鎖及び軽鎖の可変領域又は定常領域の何れかが交換される。

0118

上記の二重特異性抗体は、HER2の細胞外ドメインIIに対して1つの結合部位及びHER2の細胞外ドメインIVに対して1つの結合部位を有する二価であるので、この形式は「1+1」フォーマットと呼ばれる。従って、このセクションで説明される二重特異性抗体は、HER2の細胞外ドメインIIに対して一価であり、HER2の細胞外ドメインIVに対して一価である。「1+1」フォーマットを有する二重特異性抗体の例示的構造が図10に示される。可変領域又は定常領域のどちらかの交換に起因して、上記のFab断片はまた「クロス−Fab」断片、又は「xFab断片」又は「クロスオーバーFab断片」とも言う。「1+1」フォーマットのIgG分子はCrossmabフォーマットとも言う(Schaefer et al. Proc Natl Acad Sci USA 2011; 108:11187-92を参照)。

0119

一実施態様において、上記の実施態様の何れかに記載のHER2に特異的に結合する二重特異性抗体は
Fcドメイン、
重鎖及び軽鎖の可変領域又は定常領域の何れかが交換される、HER2の細胞外ドメインIIに特異的な抗原結合部位を含む1つのFab断片、及び
HER2の細胞外ドメインIVに特異的な抗原結合部位を含む1つのFab断片
を含む。

0120

一実施態様において、上記の実施態様の何れかに記載のHER2に特異的に結合する二重特異性抗体は
Fcドメイン、
HER2の細胞外ドメインIIに特異的な抗原結合部位を含む1つのFab断片、及び重鎖及び軽鎖の可変領域又は定常領域の何れかが交換される、HER2の細胞外ドメインIVに特異的な抗原結合部位を含む1つのFab断片
を含む。

0121

一実施態様において、上記の実施態様の何れかに記載のHER2に特異的に結合する二重特異性抗体は
Fcドメイン、
HER2の細胞外ドメインIIに特異的な抗原結合部位を含む1つのFab断片、及び
Fab断片の重鎖及び軽鎖の可変領域が交換される、HER2の細胞外ドメインIVに特異的な抗原結合部位を含む1つのFab断片
を含む。

0122

一実施態様において、上記の実施態様の何れかに記載のHER2に特異的に結合する二重特異性抗体は
Fcドメイン、
HER2の細胞外ドメインIIに特異的な抗原結合部位を含む1つのFab断片、及び
重鎖及び軽鎖の定常領域が交換される、HER2の細胞外ドメインIVに特異的な抗原結合部位を含む1つのFab断片
を含む。

0123

一実施態様において、上記実施態様の何れかに記載のHER2に特異的に結合する前記二重特異性抗体は、2つのFab断片がN末端に融合されたFcドメインを含み、ここで、少なくとも一のFab断片の重鎖及び軽鎖の可変領域又は定常領域の何れかが交換される。一実施態様において、2つのFab断片は、免疫グロブリンヒンジ領域を介してFcドメインのN末端に融合される。一実施形態において、免疫グロブリンのヒンジ領域は、ヒトIgG1ヒンジ領域である。一実施態様において、HER2の細胞外ドメインIIに特異的な抗原結合部位を含むFab断片、HER2の細胞外ドメインIVに特異的な抗原結合部位を含むFab断片、及びFcドメインは、免疫グロブリン分子の一部である。特定の実施態様において、免疫グロブリン分子は、IgGクラスの免疫グロブリンである。更により特定の実施態様において、免疫グロブリンは、IgG1サブクラスの免疫グロブリンである。別の実施態様において、免疫グロブリンは、IgG4サブクラスの免疫グロブリンである。更に特定の実施態様において、免疫グロブリンは、ヒト免疫グロブリンである。別の実施態様において、免疫グロブリンは、キメラ免疫グロブリン又はヒト化免疫グロブリンである。

0124

一実施態様において、上記実施態様の何れかに記載のHER2に特異的に結合する二重特異性抗体は、HER2の細胞外ドメインIIに特異的な1つの結合部位を有する免疫グロブリンG(IgG)分子、及びHER2の細胞外ドメインIVに特異的な1つの結合部位を含み、ここで、IgG分子の一方のアーム(Fab断片)の重鎖及び軽鎖の可変領域又は定常領域の何れかが交換される。

0125

一実施態様において、上記実施態様の何れかに記載のHER2に特異的に結合する二重特異性抗体は、HER2の細胞外ドメインIIに特異的な1つの結合部位を有する免疫グロブリンG(IgG)分子、及びHER2の細胞外ドメインIVに特異的な1つの結合部位を含み、ここで、IgG分子の一方のアーム(Fab断片)の重鎖及び軽鎖の可変領域が交換される。この抗体フォーマットはCrossMab(VHVL)とも呼ばれる。

0126

一実施態様において、HER2の細胞外ドメインIVに特異的な結合部位を含むIgG分子の一方のアーム(Fab断片)の重鎖及び軽鎖の可変領域が交換される。

0127

一実施態様において、上記実施態様の何れかに記載のHER2に特異的に結合する二重特異性抗体は、HER2の細胞外ドメインIIに特異的な1つの結合部位を有する免疫グロブリンG(IgG)分子、及びHER2の細胞外ドメインIVに特異的な1つの結合部位を含み、ここで、IgG分子の一方のアーム(Fab断片)の重鎖及び軽鎖の定常領域が交換される。この抗体フォーマットはCrossMab(CH1CL)とも呼ばれる。

0128

一実施態様において、HER2の細胞外ドメインIVに特異的な結合部位を含むIgG分子の一方のアーム(Fab断片)の重鎖及び軽鎖の定常領域が交換される。

0129

一実施態様において、上記実施態様の何れかに記載のHER2に特異的に結合する二重特異性抗体は、HER2の細胞外ドメインIIに特異的な1つの結合部位を有する免疫グロブリンG(IgG)分子、及びHER2の細胞外ドメインIVに特異的な1つの結合部位を含み、ここで、IgG分子の一方のアーム(Fab断片)の完全なVH−CH1及びCL−CLドメインが交換される。これは、Fab断片の少なくとも一方が軽鎖(VLCL)を介してFcドメインのN末端に融合されることを意味する。一実施態様において、他方のFab断片は、重鎖(VHCH1)を介してFcドメインのN末端に融合される。この抗体フォーマットはCrossMabFabとも呼ばれる。

0130

一実施態様において、両方のFab断片は、免疫グロブリンヒンジ領域を介してFcドメインのN末端に融合される。

0131

一実施態様において、以下のセクションFで概説したように、上記実施形態の何れかに記載の二重特異性抗体は糖鎖を操作される。一実施態様において、以下のセクションDで概説したように、上記実施形態の何れかに記載の二重特異性抗体は、ヘテロ二量体化を促進するFcドメインの改変を含む。

0132

C.ヘテロ二量体化を促進するFcドメインの修飾
本発明の二重特異性HER2抗体は、Fcドメインの2つのサブユニットの一方又は他方に融合した異なる抗原結合部分を含み、よってFcドメインの2つのサブユニットは典型的には2つの非同一ポリペプチド鎖に含まれる。これらのポリペプチドの組換え共発現及び続く二量体化は、2つのポリペプチドの複数の可能な組合せをもたらす。組換え発現において本発明の二重特異性抗体の収率と純度を向上させるために、本発明の二重特異性抗体のFcドメインにおいて所望のポリペプチドの会合を促進する修飾を導入することは有利であろう。

0133

従って、特定の実施態様において、本発明の二重特異性抗体のFcドメインは、Fcドメインの第一及び第二のサブユニットの会合を促進する修飾を含む。ヒトIgGのFcドメインの2つのサブユニット間の最も広範なタンパク質−タンパク質相互作用の部位は、FcドメインのCH3ドメインにある。従って、一実施態様では、前記修飾は、FcドメインのCH3ドメインにある。

0134

特定の実施態様において、前記修飾は、Fcドメインの2つのサブユニットの一つにおけるノブ修飾及びFcドメインの2つのサブユニットの他方におけるホール修飾を含む、いわゆるノブ・イントゥ・ホール(knob into hole)修飾である。

0135

ノブ・イントゥ・ホール技術は、例えば米国特許第5,731,168号;米国特許第7,695,936号; Ridgway et al., Prot Eng 9, 617-621 (1996)及びCarter, J Immunol Meth 248, 7-15 (2001)に記載される。一般に、本方法は、ヘテロ二量体形成を促進し、ホモ二量体形成を妨げるように、突起が空洞内に配置することができるように、第一のポリペプチドの界面での突起(「ノブ」)及び第二ポリペプチドの界面における対応する空洞(「穴」)を導入することを含む。突起は、第一のポリペプチドの界面からの小さなアミノ酸側鎖をより大きな側鎖(例えばチロシン又はトリプトファン)と置換することによって構築される。突起と同一又はより小さい大きさの相補的な空洞が、大きなアミノ酸側鎖を小さいもの(例えばアラニン又はスレオニン)と置換することによって第二ポリペプチドの界面に作成される。

0136

従って、特定の実施形態において、本発明の二重特異性抗体のFcドメインの第一サブユニットのCH3ドメインにおいて、アミノ酸残基は大きな側鎖体積を有するアミノ酸残基で置換され、それにより、第二のサブユニットのCH3ドメイン内の空洞内に配置可能である第一サブユニットのCH3ドメイン内に突起を生成し、及びFcドメインの第二のサブユニットのCH3ドメインにおいて、アミノ酸残基はより小さい側鎖体積を有するアミノ酸残基と置換され、それにより第一のサブユニットのCH3ドメイン内の突起が配置可能である第二のサブユニット内のCH3ドメイン内の空洞を生成する。

0137

突起及び空洞は、ポリペプチドをコードする核酸を改変することにより、例えば部位特異的突然変異誘発により、又はペプチド合成により作製することができる。

0138

具体的な実施態様において、Fcドメインの第一サブユニットのCH3ドメインにおいて、位置366でトレオニン残基トリプトファン残基と置換され(T366W)、Fcドメインの第二サブユニットのCH3ドメインにおいて、位置407でチロシン残基バリン残基と置換される(Y407V)。一実施態様において、Fcドメインの第二サブユニットにおいて、更に位置366でトレオニン残基がセリン残基と置換され(T366S)、位置368でロイシン残基アラニン残基で置換される(L368A)。

0139

更なる実施態様において、Fcドメインの第一サブユニットにおいて、位置354でセリン残基がシステイン残基と置換され(S354C)、Fcドメインの第二サブユニットにおいて、位置349でチロシン残基がシステイン残基と置換される(Y349C)。これらの2つのシステイン残基の導入は、Fcドメインの2つのサブユニット間のジスルフィド架橋の形成をもたらし、更に二量体を安定化させる(Carter, J Immunol Methods248, 7-15 (2001))。

0140

代わりの実施態様において、Fcドメインの第一及び第二サブユニットの会合を促進する修飾は、PCT出願公開WO2009/089004に記載されるように、静電的ステアリング効果を媒介する修飾を含む。一般に、この方法は、ホモ二量体形成は静電的に不利になるが、ヘテロ二量体は静電的に有利になるように、2つのFcドメインサブユニットの界面にて、荷電したアミノ酸残基による一又は複数のアミノ酸残基の置換を含む。

0141

一実施態様において、上記実施態様の何れかに記載のHER2に特異的に結合する二重特異性抗体は、HER2の細胞外ドメインIIに特異的な第一の抗原結合部位を有する免疫グロブリンG(IgG)分子、及びHER2の細胞外ドメインIVに特異的な第二の抗原結合部位を含み、ここで、第一の重鎖のFc部分は、第一の二量体化モジュールを含み、かつ第二の重鎖のFc部分は、第二の二量体化モジュールを含み、IgG分子の2つの重鎖のヘテロ二量体化を可能としている。

0142

更に好ましい実施態様において、ノブ・イントゥ・ホールの戦略に従い、第一の二量体化モジュールはノブを含み、第二の二量体化モジュールはホールを含む(Carter P.;Ridgway J.B.B.;Presta L.G.: Immunotechnology, Volume 2,Number 1, February 1996 , pp. 73-73(1)を参照)。

0143

D.核酸配列、ベクター及び方法
本発明は更に、本明細書に記載されるHER2に特異的に結合する二重特異性抗体又はその断片をコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。本発明の二重特異性抗体をコードするポリヌクレオチドは、二重特異性抗原結合分子全体をコードする単一のポリヌクレオチドとして、又は共発現される複数(例えば、2つ以上の)ポリヌクレオチドとして発現され得る。共発現するポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチドは、例えば、ジスルフィド結合又は他の手段を介して結合し、機能性二重特異性抗体を形成する。例えば、Fab断片の軽鎖部分は、Fab断片の重鎖部分、抗原結合部分、Fcドメインサブユニット及び任意で別のFab断片(の部分)を含んでなる二重特異性抗体の部分に由来する別々のポリヌクレオチドによりコードされ得る。共発現されると、重鎖ポリペプチド軽鎖ポリペプチドと会合し、Fab断片を形成する。別の実施例では、2つのFcドメインサブユニットの一方、及び場合によっては一以上のFab断片(の一部)を含む本明細書に提供される二重特異性抗体の部分は、2つのFcドメインサブユニットの他方、及び場合によってはFab断片(の一部)を含む本明細書に提供される二重特異性抗体の部分に由来する別々のポリヌクレオチドによりコードされ得る。共発現されると、Fcドメインのサブユニットが会合しFcドメインを形成する。

0144

一実施態様において、本発明は、本発明の二重特異性抗体又はその断片をコードする単離されたポリヌクレオチドを対象とし、ここで、ポリヌクレオチドは、配列番号63、67及び69に示される第一可変重鎖配列をコードする配列を含む。一実施態様において、本発明は、本発明の二重特異性抗体又はその断片をコードする単離されたポリヌクレオチドを対象とし、ここで、ポリヌクレオチドは、配列番号91及び133に示される第二可変重鎖配列をコードする配列を含む。

0145

一実施態様において、本発明は、本発明の二重特異性抗体又はその断片をコードする単離されたポリヌクレオチドを対象とし、ここで、ポリヌクレオチドは、配列番号53に示される可変軽鎖配列をコードする配列を含む。

0146

別の実施態様において、本発明は、二重特異性抗体又はその断片をコードする単離されたポリヌクレオチドを対象とし、ここで該ポリヌクレオチドは配列番号83、85、91、93、95、97、99、101、63、67、69、53、21及び23に示されるポリペプチド配列をコードする配列を含む。

0147

別の実施態様において、本発明は、本発明の二重特異性抗体又はその断片をコードする単離されたポリヌクレオチドを対象とし、ここで該ポリヌクレオチドは配列番号63、67及び69のアミノ酸配列に少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%,又は99%同一である第一可変重鎖配列をコードする配列を含む。

0148

別の実施態様において、本発明は、本発明の二重特異性抗体又はその断片をコードする単離されたポリヌクレオチドを対象とし、ここで該ポリヌクレオチドは配列番号91及び133のアミノ酸配列に少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%,又は99%同一である第二可変重鎖配列をコードする配列を含む。

0149

別の実施態様において、本発明は、本発明の二重特異性抗体又はその断片をコードする単離されたポリヌクレオチドを対象とし、ここで該ポリヌクレオチドは配列番号53のアミノ酸配列に少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%,又は99%同一である可変軽鎖配列をコードする配列を含む。

0150

ある実施態様において、ポリヌクレオチド又は核酸はDNAである。一実施態様において、本発明のポリヌクレオチドは、例えばメッセンジャーRNAmRNA)の形態のRNAである。本発明のRNAは、一本鎖又は二本鎖であってもよい。

0151

本発明の更なる目的には、本発明の核酸配列を含む発現ベクター、及び本発明のベクターを含む原核又は真核宿主細胞に関する。加えて、抗体が生成されるように宿主細胞を培養することを含む抗体を生成する方法が提供される。

0152

E.Fc受容体結合及び/又はエフェクター機能を低下させるFcドメインの修飾
一態様において、上記実施形態の何れかに記載のHER2に特異的に結合する二重特異性抗体は、Fc部分が修飾されている免疫グロブリンG(IgG)分子を含む。修飾されたFc部分は、野生型Fc部分と比較してFcγ受容体に対する低下した結合親和性を有する。

0153

本発明の二重特異性抗体のFcドメインは、免疫グロブリン分子の重鎖ドメインを含むポリペプチド鎖の対からなる。例えば、免疫グロブリンG(IgG)分子のFcドメインは、二量体であり、その各サブユニットは、CH2及びCH3 IgG重鎖定常ドメインを含む。Fcドメインの2つのサブユニットは、互いに安定な会合が可能である。

0154

本発明による一実施態様において、本発明の二重特異性抗体のFcドメインは、IgGのFcドメインである。特定の実施態様において、FcドメインはIgG1のFcドメインである。別の実施態様において、FcドメインはIgG4のFcドメインである。より具体的な実施態様において、Fcドメインは位置S228(Kabat番号付け)でのアミノ酸置換、特にアミノ酸置換S228Pを含むIgG4のFcドメインである。より特定の実施態様において、Fcドメインは、アミノ酸置換L235E及びS228P及びP329Gを含む、IgG4のFcドメインである。このアミノ酸置換は、IgG4抗体のインビトロでのFabの腕交換を減少させる(Stubenrauch et al., Drug Metabolism and Disposition 38, 84-91 (2010)を参照)。更なる特定の実施態様において、Fcドメインはヒトである。

0155

Fcドメインは、その標的組織における良好な蓄積及び好ましい組織−血液分配比率に寄与する長い血清半減期を含む好ましい薬物動態学的特性を本発明の二重特異性抗体に付与する。しかし、同時期に、好適な抗原保有細胞に対するよりもむしろFc受容体を発現する細胞に対する本発明の二重特異性抗体の望ましくない標的化を導く。従って、特定の実施態様において、本発明の二重特異性抗体のFcドメインは、天然型IgG1のFcドメインと比べた場合、Fc受容体への結合親和性の低下及び/又はエフェクター機能の低下を示す。そのような一実施態様において、Fcドメイン(又は前記Fcドメインを含む本発明の二重特異的抗体)は、天然型IgG1のFcドメイン(又は天然型IgG1のFcドメインを含む本発明の二重特異的抗体)と比較して、Fc受容体への結合親和性が50%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満、最も好ましくは5%未満を示し、及び/又は天然型IgG1のFcドメイン(又は天然型IgG1のFcドメインを含む本発明の二重特異的抗体)と比較して、50%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満、最も好ましくは5%未満のエフェクター機能を示す。一実施態様において、Fcドメイン(又は前記Fcドメインを含む本発明の二重特異的抗体)はFc受容体に実質的に結合しない及び/又はエフェクター機能を誘導しない。特定の実施態様において、Fc受容体は活性化Fcγ受容体である。一実施態様において、Fc受容体はヒトFc受容体である。一実施態様において、Fc受容体は活性化Fc受容体である。特定の実施態様において、Fc受容体は、活性化ヒトFcγ受容体であり、より具体的にはヒトFcγRIIIa、FcγRI又はFcγRIIa、最も特異的にはヒトFcγRIIIaである。一実施態様において、Fc受容体は抑制性Fc受容体である。特定の実施態様において、Fc受容体は、抑制性ヒトFcγ受容体、より具体的にはヒトFcgRIIBである。一実施態様において、エフェクター機能は、CDC、ADCC、ADCP、及びサイトカイン分泌の一又は複数である。特定の実施態様において、エフェクター機能とはADCCである。一実施態様において、Fcドメインは、天然型IgG1のFcドメインと比較した場合、新生児のFc受容体(FcRn)に対して実質的に類似の結合親和性を示す。FcRnに対する実質的に類似の結合親和性は、Fcドメイン(又は前記Fcドメインを含む本発明の二重特異的抗体)が、天然型IgG1のFcドメイン(又は天然型IgG1のFcドメインを含む本発明の二重特異的抗体)の、FcRnに対しての約70%を超える、具体的には約80%を超える、より具体的には約90%を超える結合親和性を示すときに達成される。

0156

ある実施形態では、Fcドメインは、非操作型Fcドメインと比較して、Fc受容体に対する結合親和性を低下させ及び/又はエフェクター機能を低下させるように操作される。特定の実施態様において、本発明の二重特異的抗体のFcドメインはFcドメインのFc受容体に対する結合親和性及び/又はエフェクター機能を低下させる一以上のアミノ酸変異を含む。典型的には、同一の一以上のアミノ酸置換がFcドメインの2つのサブユニットの各々に存在する。一実施態様において、アミノ酸変異は、Fc受容体に対するFcドメインの結合親和性を減少させる。一実施態様において、アミノ酸置換は、FcドメインのFc受容体に対する結合親和性を少なくとも2倍、少なくとも5倍、又は少なくとも10倍減少させる。Fc受容体に対するFcドメインの結合親和性を減少させる複数のアミノ酸変異が存在する実施態様において、これらのアミノ酸変異は、FcドメインのFc受容体に対する結合親和性を少なくとも10倍、少なくとも20倍、又は更に少なくとも50倍減少させ得る。一実施態様において、操作されたFcドメインを含む本発明の二重特異的抗体は、非操作型Fcドメインを含んでなる本発明の二重特異的抗体と比較した場合、Fc受容体に対する結合親和性の20%未満、具体的には10%未満、より具体的には5%未満を示す。特定の実施態様において、Fc受容体は活性化Fcγ受容体である。幾つかの実施態様において、Fc受容体はヒトFc受容体である。一実施態様において、Fc受容体は抑制性Fc受容体である。特定の実施態様において、Fc受容体は、抑制性ヒトFcγ受容体、より具体的にはヒトFcgRIIBである。幾つかの実施態様において、Fc受容体は活性化Fc受容体である。特定の実施態様において、Fc受容体は、活性化ヒトFcγ受容体であり、より具体的にはヒトFcγRIIIa、FcγRI又はFcγRIIa、最も特異的にはヒトFcγRIIIaである。好ましくは、これらの受容体の各々に対する結合が減少する。幾つかの実施態様において、補体成分に対する結合親和性、具体的にはC1qに対する結合親和性もまた減少する。一実施態様において、新生児Fc受容体(FcRn)への結合親和性は低下しない。FcRnへの実質的に類似な結合、即ち、前記受容体への免疫グロブリンの結合親和性の保存は、Fcドメイン(又は前記Fcドメインを含んでなる本発明の二重特異的抗体)が、FcRnに対し、非操作型形態のFcドメイン(又は前記非操作型形態のFcドメインを含んでなる本発明の二重特異的抗体)の約70%より大きな結合親和性を呈する場合に達成される。Fcドメイン又は前記Fcドメインを含む本発明の二重特異的抗体は、約80%を越える、又は更に約90%を越えるそのような活性を示す場合がある。ある実施態様において、本発明の二重特異的抗体のFcドメインは、非操作型Fcドメインと比較して低下したエフェクター機能を有するように操作される。エフェクター機能の減少は、限定されないが、以下の一つ又は複数を含み得る:抗体依存性細胞傷害(ADCC)の減少、抗体依存性細胞貪食(ADCP)の減少、サイトカイン分泌の減少、抗原提示細胞による免疫複合体媒介性の抗原取り込みの減少、NK細胞への結合の減少、マクロファージへの結合の減少、単球への結合の減少、多形核細胞への結合の減少、直接的シグナル伝達誘導性アポトーシスの減少、樹状細胞成熟の減少、又はT細胞プライミングの減少。一実施態様において、エフェクター機能の減少は、CDCの減少、ADCCの減少、ADCPの減少、及びサイトカイン分泌の減少の一又は複数である。特定の実施態様において、エフェクター機能の低下とはADCCの低下である。一実施態様において、ADCCの減少は、非操作型Fcドメイン(又は非操作型Fcドメインを含む本発明の二重特異的抗体)により誘導されるADCCの20%未満である。

0157

一実施態様において、Fc受容体に対するFcドメインの結合親和性及び/又はエフェクター機能を低下させるアミノ酸変異はアミノ酸置換である。一実施態様では、Fcドメインは、E233、L234、L235、N297、P331及びP329の位置でアミノ酸置換を含む。より特定の実施態様では、Fcドメインは、L234、L235及びP329の位置でアミノ酸置換を含む。幾つかの実施態様において、Fcドメインは、アミノ酸置換のL234A及びL235Aを含む。そのような一実施態様において、FcドメインはIgG1のFcドメインであり、特にヒトIgG1のFcドメインである。一実施態様において、Fcドメインは位置P329でのアミノ酸置換を含む。より特異的な実施態様では、アミノ酸置換は、P329A又はP329G、特にP329Gである。一実施態様では、Fcドメインは、位置P329でのアミノ酸置換、及びE233、L234、L235、N297及びP331から選択される位置に更なるアミノ酸置換を含む。より特異的な実施態様では、更なるアミノ酸置換は、E233P、L234A、L235A、L235E、N297A、N297D又はP331Sである。特定の実施態様では、Fcドメインは、位置P329、L234及びL235にアミノ酸置換を含む。更に特定の実施態様では、Fcドメインはアミノ酸変異L234A、L235A及びP329G(「P329G LALA」)を含む。そのような一実施態様において、FcドメインはIgG1のFcドメインであり、特にヒトIgG1のFcドメインである。PCT特許出願番号PCT/EP2012/055393に記載され、その全体が参照により本明細書に援用されるように、アミノ酸置換の「P329G LALA」の組み合わせは、IgG1のFcドメインのFcγ受容体結合をほとんど完全に消滅させる。PCT/EP2012/055393はまた、このような変異体Fcドメインを調製する方法、及びFc受容体結合又はエフェクター機能などその特性を決定するための方法を記載する。

0158

IgG4抗体は、IgG1抗体と比較して、Fc受容体への結合親和性の低下及びエフェクター機能の減少を呈示する。従って、幾つかの実施態様において、本発明の二重特異的抗体のFcドメインは、IgG4のFcドメイン、特にヒトIgG4 Fcドメインである。一実施態様において、IgG4 Fcドメインは、位置S228でアミノ酸置換、具体的にはアミノ酸置換S228Pを含む。Fc受容体に対する結合親和性及び/又はそのエフェクター機能を更に低下させるために、一実施態様において、IgG4 Fcドメインは、位置L235でアミノ酸置換、具体的にはアミノ酸置換L235Eを含む。別の実施態様において、IgG4 Fcドメインは、位置P239でアミノ酸置換、具体的にはアミノ酸置換P329Gを含む。特定の実施態様において、IgG4 Fcドメインは、位置S228、L235及びP329でアミノ酸置換、具体的にはアミノ酸置換S228P、L235E及びP329Gを含む。このようなIgG4のFcドメイン変異体とそのFcγ受容体結合特性はPCT特許出願番号PCT/EP2012/055393に記載され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。

0159

特定の実施態様において、天然型IgG1Fcドメインと比較して、Fc受容体への結合親和性の低下及び/又はエフェクター機能の減少を示すFcドメインは、アミノ酸置換L234A、L235A及び必要に応じてP329Gを含むヒトIgG1 Fcドメイン、又はアミノ酸置換S228P、L235E及び必要に応じてP329Gを含むヒトIgG4 Fcドメインである。

0160

ある実施態様において、FcドメインのN−グリコシル化は除かれている。そのような一つの実施態様において、Fcドメインは位置N297でのアミノ酸変異、とりわけアラニンでアスパラギンを置換するアミノ酸置換(N297A)又はアスパラギン酸でアスパラギンを置換するアミノ酸置換(N297D)を含む。

0161

本明細書中及びPCT特許出願番号PCT/EP2012/055393に記述されたFcドメインに加えて、Fc受容体結合及び/又はエフェクター機能の減少を伴うFcドメインはまた、一以上のFcドメイン残基238、265、269、270、297、327及び329の置換を持つものを含む(米国特許第6737056号)。そのようなFc変異体は、残基265及び297のアラニンへの置換を有する、いわゆる「DANA」Fc変異体を含む、アミノ酸位置265、269、270、297及び327の二以上での置換を有するFc変異体を含む(米国特許第7332581号)。

0162

変異体Fcドメインは、当技術分野で知られている遺伝子的又は化学的方法を用いて、アミノ酸の欠失、置換、挿入又は修飾によって調製することができる。遺伝的方法は、コードするDNA配列、PCR、遺伝子合成等の部位特異的変異誘発を含むことができる。正確なヌクレオチド変化は、例えば配列決定によって検証することができる。

0163

Fc受容体への結合は、例えば、BIAcore装置(GEヘルスケア)など標準的な計測機器を使用してELISAによって又は表面プラズモン共鳴(SPR)によって容易に決定することができ、そのようなFc受容体は、組換え発現によって得ることができる。適切なこのような結合アッセイが本明細書に記載されている。代わりに、Fcドメイン又はFc受容体に対するFcドメインを含む細胞活性化二重特異性抗原結合分子の結合親和性は、特定のFc受容体を発現することが知られている細胞株、例えばFcγIIIa受容体を発現するNK細胞などを使用して評価することができる。

0164

Fcドメイン又はFcドメインを含む本発明の二重特異性抗体のエフェクター機能は、当技術分野で公知の方法によって測定することができる。ADCCを測定するのに適したアッセイが本明細書に記載されている。対象とする分子のADCC活性を評価するためのインビトロアッセイの他の例は、米国特許第5,500,362号:Hellstrom et al. Proc Natl Acad Sci USA 83, 7059-7063 (1986)及びHellstrom et al., Proc Natl Acad Sci USA 82, 1499-1502 (1985);米国特許第5,821,337号;Bruggemann et al., J Exp Med 166, 1351-1361 (1987)に記述されている。あるいは、非放射性アッセイ法を用いることができる(例えば、フローサイトメトリー用のACTITM非放射性細胞傷害性アッセイ(CellTechnology,Inc.Mountain View,CA;及びCytoTox96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega,Madison,WI)を参照)。このようなアッセイに有用なエフェクター細胞には、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。あるいは、又は更に、目的の分子のADCC活性は、例えばClynes et al., Proc Natl Acad Sci USA 95, 652-656 (1998)に開示される動物モデルにおいてインビボで評価することができる。

0165

幾つかの実施態様において、補体成分に対する、具体的にはC1qに対するFcドメインの結合が低下する。従って、Fcドメインがエフェクター機能が減少するように操作される幾つかの実施態様において、前記低下たエフェクター機能は減少したCDCを含む。本発明の二重特異性抗体がC1qに結合することができそれ故にCDC活性を有するかを決定するために、C1q結合アッセイを実施することができる。例えば、国際公開第2006/029879号及び国際公開第2005/100402号のC1q及びC3c結合ELISAを参照。補体活性化を評価するために、CDCアッセイを行ってもよい(例えば、Gazzano-Santoro et al., J Immunol Methods202, 163 (1996); Cragg et al., Blood 101, 1045-1052 (2003);及び Cragg and Glennie, Blood 103, 2738-2743 (2004)を参照)。

0166

次のセクションでは、Fc受容体結合及び/又はエフェクター機能を減少させるFcドメインの改変を含む本発明の二重特異性抗体の好ましい実施態様を説明する。

0167

F.抗体変異体
ある実施態様において、上述されるものに加えて、本明細書で提供される二重特異性抗体のアミノ酸配列変異体が意図される。例えば、二重特異性抗体の結合親和性及び/又は他の生物学的特性を改善することが望まれ得る。二重特異性抗体のアミノ酸配列変異体は、二重特異性抗体をコードするヌクレオチド配列に適切な改変を導入することにより、又はペプチド合成によって調製することができる。このような改変は、例えば、抗体のアミノ酸配列内における、残基の欠失、及び/又は挿入及び/又は置換を含む。最終コンストラクトが所望の特性、例えば、抗原結合を有していることを条件として、欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせが、最終コンストラクトに到達させるために作成され得る。

0168

1.置換、挿入、及び欠失変異体
ある実施態様において、一以上のアミノ酸置換を有する抗体変異体が提供される。置換型変異誘発の対象となる部位は、HVR及びFRを含む。保存的置換は、表Bの「保存的置換」の見出しの下に示されている。より実質的な変更が、表Bの「例示的置換」の見出しの下に与えられ、アミノ酸側鎖のクラスを参照して以下に更に説明される。アミノ酸置換は、目的の抗体に導入することができ、その産物は、所望の活性、例えば、抗原結合の保持/改善、免疫原性の減少、又はADCC又はCDCの改善についてスクリーニングされる。

アミノ酸は共通の側鎖特性に基づいてグループに分けることができる:
(1)疎水性ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖配向に影響する残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe.

0169

非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のクラスと交換することを必要とする。

0170

置換された変異体の一つのタイプは、親抗体(例えば、ヒト化又はヒト抗体など)の一以上の超可変領域残基の置換を含む。一般的には、更なる研究のために選択され得られた変異体は、親抗体と比較して、特定の生物学的特性の改変(例えば、改善)(例えば、親和性の増加、免疫原性の低下)を有し、及び/又は親抗体の特定の生物学的特性を実質的に保持しているであろう。典型的な置換型変異体は、親和性成熟抗体であり、例えば、本明細書に記載されるファージディスプレイに基づく親和性成熟技術を用いて簡便に生成され得る。簡潔に言えば、一以上のHVR残基が変異し、変異体抗体は、ファージ上に表示され、特定の生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。

0171

改変(例えば、置換)を、例えば抗体の親和性を向上させるために、HVRで行うことができる。このような変更は、HVRの「ホットスポット」、即ち、体細胞成熟過程中に高頻度で変異を受けるコドンにコードされた残基で(例えばChowdhury, MethodsMol. Biol. 207:179-196 (2008)を参照)、及び/又はSDR(a−CDR)で行うことができ、得られた変異体VH又はVLが結合親和性について試験される。二次ライブラリを構築しそこから再選択することによる親和性成熟が、例えばHoogenboom et al. in Methods in Molecular Biology 178:1-37 (O'Brien et al., ed., Human Press, Totowa, NJ, (2001)に記載されている。親和性成熟の幾つかの実施態様において、多様性が、種々の方法(例えば、変異性PCR、鎖シャッフリング、又はオリゴヌクレオチド指定突然変異誘発)の何れかにより、成熟のために選択された可変遺伝子中に導入される。次に、二次ライブラリーが作製される。次に、前記ライブラリーはスクリーニングされて、所望の親和性を有る任意の抗体変異体を同定する。多様性を導入するするもう一つの方法は、幾つかのHVR残基(例えば、一度に4から6残基)がランダム化されたHVR指向のアプローチを伴う。抗原結合に関与するHVR残基は、例えばアラニンスキャニング突然変異誘発、又はモデリングを用いて、特異的に同定され得る。CDR−H3及びCDR−L3がしばしば標的にされる。

0172

ある実施態様において、置換、挿入、又は欠失は、そのような改変が抗原に結合する抗体の能力を実質的に低下させない限りにおいて、一以上のHVR内で生じる可能性がある。例えば、実質的に結合親和性を低下させない保存的改変(例えば本明細書で与えられる保存的置換)をHVR内で行うことができる。このような改変は、HVR「ホットスポット」又はSDRの外側であってもよい。上記に与えられた変異体VH又はVL配列の所定の実施態様において、各HVRは不変であるか、又はわずか1個、2個又は3個のアミノ酸置換が含まれているかの何れかである。

0173

突然変異誘発のために標的とすることができる抗体の残基又は領域を同定するための有用な方法は、Cunningham and Wells (1989) Science, 244:1081-1085により説明されるように、「アラニンスキャニング変異誘発」と呼ばれる。この方法では、標的残基の残基又はグループ(例えば、arg、asp、his、lys及びgluなどの荷電残基)が同定され、抗原と抗体との相互作用が影響を受けるかどうかを判断するために、中性又は負に荷電したアミノ酸(例えば、アラニン又はポリアラニン)に置換される。更なる置換が該アミノ酸位に導入されて、最初の置換に対する機能的感受性を実証してもよい。代わりに、又は更に、抗原抗体複合体結晶構造が、抗体と抗原との接触点を同定する。そのような接触残基及び隣接残基が、置換の候補として標的とされるか又は排除され得る。変異体はそれらが所望の特性を含むかどうかを決定するためにスクリーニングされ得る。

0174

アミノ酸配列挿入には、1残基から100又はそれよりも多い残基を含有するポリペプチドまでの長さに及ぶアミノ−及び/又はカルボキシル末端融合物、ならびに単一又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入の例には、N末端メチオニル残基を有する抗体が含まれる。抗体分子の他の挿入変異体は、酵素に対する抗体のN末端又はC末端への融合(例えばADEPTの場合)、又は抗体の血清半減期を増加させるポリペプチドへの融合を含む。

0175

2.グリコシル化変異体
ある実施態様において、本明細書で提供される二重特異性抗体は、抗体がグリコシル化される程度が増加又は減少するように改変される。抗体へのグリコシル化部位の付加又は削除は、1つ又は複数のグリコシル化部位が作り出される又は取り除かれるようにアミノ酸配列を変化させることにより都合よく実現しうる。

0176

抗体がFc領域を含む場合、それに結合する糖は改変され得る。哺乳動物細胞により産生された未処置の抗体は典型的には、一般的にはFc領域のCH2ドメインのAsn297へのN連結により結合している分岐した二分岐オリゴ糖を含む。例えば、Wright et al. TIBTECH 15:26-32 (1997)を参照。オリゴ糖は、様々な糖、例えば、二分岐オリゴ糖構造の「」のGlcNAcに結合した、マンノースN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトースシアル酸、並びにフコースを含み得る。幾つかの実施態様では、本発明の二重特異性抗体におけるオリゴ糖の改変は、ある種の改善された特性を有する抗体変更体を生み出すためになされうる。

0177

一実施態様では、Fc領域に結合している(直接的に又は間接的に)フコースを欠く糖構造を有する二重特異性抗体変異体が提供される。例えば、そのような抗体中のフコースの量は、1%〜80%、1%〜65%、5%〜65%又は20%〜40%まででもよい。フコースの量は、例えば、国際公開第2008/077546号に記載されているように、MALDI−TOF質量分析により測定された場合、Asn297に結合している全てのグリコ構造体(例えば、複合体、ハイブリッド及び高マンノース構造体)の合計と比べたAsn297での糖鎖内のフコースの平均量を計算することにより決定される。Asn297は、Fc領域(Fc領域残基のEU番号付け)でおよそ297の位置に位置するアスパラギン残基を指すが;しかしながら、Asn297もまた位置297の上流又は下流のおよそ±3アミノ酸に、即ち抗体の軽微配列変異に起因して、位置294と300の間に配置され得る。そのようなフコシル化変異体は改善されたADCC機能を有することがある。例えば、米国特許出願公開第2003/0157108号(Presta,L.);米国特許出願公開第2004/0093621号(協和発酵工業株式会社)を参照。「非フコシル化」又は「フコース欠損」抗体変異体に関連する出版物の例としては、米国特許出願公開第2003/0157108号、国際公開第2000/61739号、国際公開第2001/29246号、米国特許出願公開第2003/0115614号、米国特許出願公開第2002/0164328号、米国特許出願公開第2004/0093621号、米国特許出願公開第2004/0132140号、米国特許出願公開第2004/0110704号、米国特許出願公開第2004/0110282号、米国特許出願公開第2004/0109865号、国際公開第2003/085119号、国際公開第2003/084570号、国際公開第2005/035586号、国際公開第2005/035778号、国際公開第2005/053742号、国際公開第2002/031140号、Okazaki et al. J. Mol. Biol. 336:1239-1249 (2004); Yamane-Ohnuki et al. Biotech. Bioeng. 87: 614 (2004)が含まれる。非フコシル化抗体を産生する能力を有する細胞株の例としては、タンパク質フコシル化を欠損しているLec13CHO細胞(Ripka et al. Arch. Biochem. Biophys. 249:533-545 (1986);米国特許出願公開第2003/0157108号(A1)、Presta,L;及び国際公開第2004/056312号(A1)、Adamsら、特に実施例11)、及びノックアウト細胞株、アルファ−1、6−フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8、ノックアウトCHO細胞(例えば、Yamane-Ohnuki et al. Biotech. Bioeng. 87: 614 (2004); Kanda, Y. et al., Biotechnol. Bioeng., 94(4):680-688 (2006);及び国際公開第2003/085107号を参照)を含む。

0178

二重特異性抗体変異体は、例えば、二重特異性抗体のFc領域に結合した二分岐オリゴ糖がGlcNAcによって二分されている二分オリゴ糖を更に備えている。そのような二重特異性抗体変異体は減少したフコシル化及び/又は改善されたADCC機能を有しうる。そのような抗体変異体の例は、例えば、国際公開第2003/011878号(Jean−Mairetら);米国特許第6602684号(Umanaら);及び米国特許出願公開第2005/0123546号(Umanaら)に記載されている。Fc領域に結合しているオリゴ糖中に少なくとも1つのガラクトース残基を有する抗体変異体も提供される。そのような抗体変異体は改善されたCDC機能を有しうる。このような抗体変異体は、例えば、国際公開第1997/30087号(Patelら);国際公開第1998/58964号(Raju,S.);及び国際公開第1999/22764号(Raju,S.)に記載されている。

0179

3.システイン操作抗体変異体
ある実施態様において、二重特異性抗体の1つ以上の残基がシステイン残基で置換されている、システイン操作二重特異性抗体、例えば、「thioMAbs」を作成することが望まれ得る。特定の実施態様において、置換された残基は、二重特異性抗体のアクセス可能な部位で存在する。それらの残基をシステインで置換することにより、反応性チオール基はそれにより抗体の接触可能部位に置かれ、この基を使用して抗体を、薬物部分又はリンカー薬物部分などの他の部分にコンジュゲートさせて、イムノコンジュゲートを作り出しうる。ある実施態様において、一以上の以下の残基がシステインで置換され得る:軽鎖のV205(Kabatの番号付け);重鎖のA118(EU番号付け);及び重鎖Fc領域のS400(EU番号付け)。システイン操作抗体は、例えば、米国特許第7521541号に記載のように生成され得る。

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