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技術 建物の熱損失係数を求めるための方法及び装置

出願人 サン−ゴバンイゾベール
発明者 ギヨームパンドローフロランアルゼット
出願日 2014年12月29日 (4年6ヶ月経過) 出願番号 2016-543709
公開日 2017年1月12日 (2年6ヶ月経過) 公開番号 2017-501416
状態 特許登録済
技術分野 熱的手段による材料の調査、分析
主要キーワード 寒暖計 初期温度差 断熱外 加熱マット 白金抵抗温度計 パラソル型 内部仕切り 無次元パラメータ
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年1月12日)のものです。
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図面 (7)

課題・解決手段

建物熱損失係数Kを求めることを目的とした本方法は、建物内で2つの連続した期間(Dk)k=1又は2にわたって、(i)建物の加熱パワーPkを印加し、建物内で少なくとも1つの温度Tikを短い時間間隔で測定し、外気の温度Tekを短い時間間隔で求めるステップを含み、第1期間D1中の加熱パワーP1は、パラメータ:が0.8以下になるようなものであり、第2期間D2中の加熱パワーP2は実質的にゼロであり、各期間Dkに関し、推移Tik(t)が実質的に線形になる時間間隔Δtkが選択され、各時間間隔Δt1又はΔt2中の曲線Tik(t)に対する接線の傾きa1又はa2を求め、建物の熱損失係数Kの値Kcalcを傾きa1及びa2に基づいて導き出す。

概要

背景

Kで示される建物熱損失係数は、建物内の空気の温度と外気の温度との差1度(ケルビン又は摂氏)あたりの建物の熱損失量ワット)に等しい。この係数Kは、建物の外面のエネルギー性能を表す。

建物の熱損失係数Kは、一方では建物の壁を貫流することによる熱損失、他方では空気の侵入による影響を受ける。貫流による熱損失は因数HTUATで表され、Uは建物外面の熱伝達係数であり、建物の貫流による比熱伝達係数とも称され、ATは建物の壁の総面積である。建物内への空気の侵入は因数m’.Cpにより表され、m’は換気流量であり、Cpは空気の熱容量である。したがって、熱損失係数Kは、以下の式により得られる:

係数Uは、熱規制枠組み(例えば、フランスにおけるRT2005又はドイツにおける規制EnEV)の中で建物の全エネルギー消費量を見積もるのに使用される。エネルギー消費量を求めることは、特には建設後に建物の断熱性診断して建築会社が材料及び工法の選択の両方に関して断熱の観点で現行規格に従っているかを確認するのに、あるいは建物の改装を考える際に、熱性能を改善するために取り入れるべき処置を評価することを目的として有用である。

特許文献1には建物の熱損失係数Kを求める方法が記載されており、制御された内部要因に置かれ且つ落ち着いた外部環境に在る場合の建物の内部温度の一時的な変動を利用している。建物の内部温度の変動(現場での測定で得られる)を定量分析することで、比較的短い時間で建物のエネルギーの質を定量的に求めることが可能となり、建物の使用条件及び外部の気候条件の変動からの影響を避けることが可能となる。実践時、連続した2夜に相当する測定時間でもって実施するとこの方法で良好な結果が得られることが実証されている。しかしながら、測定時間の短縮には注意が必要である。特に、測定時間が短くなるにつれて熱損失係数Kの値における誤差が増大しやすいのは明白である。

概要

建物の熱損失係数Kを求めることを目的とした本方法は、建物内で2つの連続した期間(Dk)k=1又は2にわたって、(i)建物の加熱パワーPkを印加し、建物内で少なくとも1つの温度Tikを短い時間間隔で測定し、外気の温度Tekを短い時間間隔で求めるステップを含み、第1期間D1中の加熱パワーP1は、パラメータ:が0.8以下になるようなものであり、第2期間D2中の加熱パワーP2は実質的にゼロであり、各期間Dkに関し、推移Tik(t)が実質的に線形になる時間間隔Δtkが選択され、各時間間隔Δt1又はΔt2中の曲線Tik(t)に対する接線の傾きa1又はa2を求め、建物の熱損失係数Kの値Kcalcを傾きa1及びa2に基づいて導き出す。

目的

ISO規格13789:2007の適用に必要な建物に関する必要な情報が全て揃っていない場合に建物の熱損失係数Kの基準値Krefを得るための第2の方法は、建物を「同時加熱(coheating)」試験等の準静的試験に供することである

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

建物熱損失係数Kを求める方法であって、建物内で2つの連続した期間D1及びD2にわたって行われる以下のステップを含むことを特徴とする方法:(i)第1期間D1にわたって、建物の第1加熱パワーP1を印加し、建物内の少なくとも1つの温度Ti1を短い時間間隔で測定し、外気の温度Te1を短い時間間隔で求めるステップ、ここで、前記第1加熱パワーP1は、以下のパラメータを0.8以下とし:ΔT1(0)=Ti1(t=0)−Temであり、t=0が前記第1期間D1の始点であり、Temが前記期間D1及びD2の全てを通じての外気の平均温度であり、Krefが建物の熱損失係数Kの基準値である、及び(ii)第2期間D2にわたって、実質的にゼロである建物の第2加熱パワーP2を印加し、建物内で少なくとも1つの温度Ti2を短い時間間隔で測定し、外気の温度Te2を短い時間間隔で求めるステップ、−前記第1及び第2期間D1及びD2のそれぞれに関し、推移Ti1(t)又はTi2(t)が実質的に線形になる時間間隔Δt1又はΔt2が選択され、前記時間間隔Δt1及びΔt2が、前記時間間隔Δt1が前記第1加熱パワーP1を印加する前記第1期間D1の最後まで及ぶようなものであり、かつ前記第1期間D1及び前記第2期間D2の始点が重なる場合、前記時間間隔Δt1及びΔt2が同じ終点を有するようなものであり;−各時間間隔Δt1又はΔt2にわたっての曲線(Tik(t))k=1又は2に対する接線の傾きa1又はa2を求め;−建物の熱損失係数Kの値Kcalcを、前記傾きa1及びa2に基づいて導き出す。

請求項2

前記時間間隔Δt1及びΔt2が、同じ長さを有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記第1加熱パワーP1を印加する前記第1期間D1の長さが、4時間以下であることを特徴とする、請求項1及び2のいずれか1項に記載の方法。

請求項4

前記第1加熱パワーP1は、以下のパラメータを0.75以下とすることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法:

請求項5

前記第1加熱パワーP1は、以下のパラメータを0.7以下とすることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法:

請求項6

前記第1加熱パワーP1は、以下のパラメータを0.25以上、好ましくは0.3以上とすることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法:

請求項7

前記傾きa1及びa2に基づいて建物の熱損失係数Kの値Kcalcを求めた後、以下のパラメータの値を計算し、αcalcが確かにパラメータαの値の既定の範囲内にあることを確認することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法:

請求項8

前記建物の熱損失係数Kの基準値Krefを、ISO規格13789:2007に準拠して得られた前記建物の外面の熱伝達係数に基づいて求めることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。

請求項9

前記第1加熱パワーP1が、制御されたパワー源により課せられる加熱パワーPimp1を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。

請求項10

前記建物が無人の間に実施されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。

請求項11

前記第1及び第2期間D1及びD2のそれぞれの間、外気の温度Te1又はTe2が安定していることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。

請求項12

前記第1及び第2期間D1及びD2のそれぞれの間、太陽光線が少なく、好ましくはゼロであることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。

請求項13

一晩で全て行われることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。

請求項14

前記第1及び第2期間D1及びD2のそれぞれの間、前記建物に取り付けられている全ての固定換気システムが無効にされることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。

請求項15

情報記録媒体であって、電子計算ユニットにより実行された場合に請求項1〜14のいずれか1項に記載の建物の熱損失係数Kを求めるための方法の計算ステップの全て又は一部を実施するための命令を含み、前記計算ステップが、−α、ΔT1(0)及びKrefの値に基づいた、第1期間D1にわたって印加する第1加熱パワーP1の計算と、−建物内の温度Ti1又はTi2の測定値に基づいた、各時間間隔Δt1又はΔt2にわたる傾きa1又はa2の計算と、−前記傾きa1及びa2に基づいた、建物の熱損失係数Kの値Kcalcの計算とを含むことを特徴とする情報記録媒体。

請求項16

前記建物において前記第1加熱パワーP1を印加するのに使用する制御されたパワー源を制御するための、入力データの関数としての命令をさらに含むことを特徴とする、請求項15に記載の情報記録媒体。

請求項17

以下を具備することを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法を実施するための装置:−制御された電源を備えた少なくとも1つの発熱体、−建物内の温度Tikを測定する少なくとも1つの温度センサ、−建物内で供給される加熱パワーPkを測定する少なくとも1つのパワーセンサ、−建物内の温度Tikの測定値、建物内で供給される加熱パワーPkの測定値及び外気の温度Tekを取得するための少なくとも1つの取得モジュール、−電子計算ユニット、−前記方法の計算ステップ、すなわちα、ΔT1(0)及びKrefの値に基づいた、第1期間D1にわたって印加する第1加熱パワーP1の計算、建物内の温度Ti1又はTi2の測定値に基づいた、各時間間隔Δt1又はΔt2中の、傾きa1又はa2の計算、前記傾きa1及びa2に基づいた、建物の熱損失係数Kの値Kcalcの計算、の全て又は一部を実施するための、前記電子計算ユニットによって実行させることが意図されている命令を含む情報記録媒体。

請求項18

前記発熱体又は前記それぞれの発熱体が前記建物の空気を加熱することを特徴とする、請求項17に記載の装置。

請求項19

前記温度センサ又は前記それぞれの温度センサが前記建物内の空気の温度を測定することを特徴とする、請求項17及び18のいずれか1項に記載の装置。

請求項20

前記電子計算ユニットが、前記発熱体又は前記それぞれの発熱体の電源を制御する手段を備えることを特徴とする、請求項17〜19のいずれか1項に記載の装置。

請求項21

前記建物の部屋又は区画内に設置され、かつ以下を具備する1つの箱を備えることを特徴とする、請求項17〜20のいずれか1項に記載の装置:−前記建物の部屋又は区画内に設置される前記発熱体又は前記それぞれの発熱体の電源を接続するパワー管理モジュール、−前記建物の部屋又は区画内に設置される前記温度センサ又は前記それぞれの温度センサを接続する温度測定モジュール、−前記建物の部屋又は区画で供給される加熱パワーを測定するパワーセンサ、−前記電子計算ユニットが温度及びパワーの測定値を受け取り且つ前記パワー管理モジュールを制御可能となるような、前記箱と前記電子計算ユニットとの間の接続手段

請求項22

前記建物の各部屋又は区画内に1つの箱を備えることを特徴とする、請求項21に記載の装置。

請求項23

前記箱又は前記それぞれの箱と前記電子計算ユニットとの間の前記接続手段が、ワイヤレス接続手段であることを特徴とする、請求項21及び22のいずれか1項に記載の装置。

技術分野

0001

本発明は、建物熱損失係数を求めるための方法及び装置に関する。本発明の意味において、建物とは一軒家又は(特には居住用又は第3の目的用の)ビル又はそのようなビルの一部(例えば、複数階を有するビル内の一室)である。

背景技術

0002

Kで示される建物の熱損失係数は、建物内の空気の温度と外気の温度との差1度(ケルビン又は摂氏)あたりの建物の熱損失量ワット)に等しい。この係数Kは、建物の外面のエネルギー性能を表す。

0003

建物の熱損失係数Kは、一方では建物の壁を貫流することによる熱損失、他方では空気の侵入による影響を受ける。貫流による熱損失は因数HTUATで表され、Uは建物外面の熱伝達係数であり、建物の貫流による比熱伝達係数とも称され、ATは建物の壁の総面積である。建物内への空気の侵入は因数m’.Cpにより表され、m’は換気流量であり、Cpは空気の熱容量である。したがって、熱損失係数Kは、以下の式により得られる:

0004

係数Uは、熱規制枠組み(例えば、フランスにおけるRT2005又はドイツにおける規制EnEV)の中で建物の全エネルギー消費量を見積もるのに使用される。エネルギー消費量を求めることは、特には建設後に建物の断熱性診断して建築会社が材料及び工法の選択の両方に関して断熱の観点で現行規格に従っているかを確認するのに、あるいは建物の改装を考える際に、熱性能を改善するために取り入れるべき処置を評価することを目的として有用である。

0005

特許文献1には建物の熱損失係数Kを求める方法が記載されており、制御された内部要因に置かれ且つ落ち着いた外部環境に在る場合の建物の内部温度の一時的な変動を利用している。建物の内部温度の変動(現場での測定で得られる)を定量分析することで、比較的短い時間で建物のエネルギーの質を定量的に求めることが可能となり、建物の使用条件及び外部の気候条件の変動からの影響を避けることが可能となる。実践時、連続した2夜に相当する測定時間でもって実施するとこの方法で良好な結果が得られることが実証されている。しかしながら、測定時間の短縮には注意が必要である。特に、測定時間が短くなるにつれて熱損失係数Kの値における誤差が増大しやすいのは明白である。

先行技術

0006

国際公開第2012/028829(A1)号

発明が解決しようとする課題

0007

本発明が特に改善しようとしているのはこれらの欠点であり、より詳しくは、短時間(特には一晩、さらには数時間)で建物の熱損失係数を、高い精度、特には約±20%で求めることを可能にする方法及び装置を提案することによって、これらの欠点を改善する。

課題を解決するための手段

0008

これを目的として、本発明の主題は、建物の熱損失係数Kを求める方法及びであり、この方法は、
建物内で2つの連続した期間D1及びD2にわたって、
(i)第1期間D1にわたって、建物の第1加熱パワーP1を印加し、建物内で少なくとも1つの温度Ti1を短い時間間隔で測定し、外気の温度Te1を短い時間間隔で求め、第1加熱パワーP1は、パラメータ

0009

0010

が0.8以下になるようなものであり、ΔT1(0)=Ti1(t=0)−Temであり、t=0は第1期間D1の始点であり、Temは期間D1及びD2の全てを通じての外気の平均温度であり、Krefは建物の熱損失係数Kの基準値であるステップと、そして
(ii)第2期間D2にわたって、建物内の温度Ti1が自由に推移できるように建物の実質的にゼロである第2加熱パワーP2を印加し、建物内で少なくとも1つの温度Ti2を短い時間間隔で測定し、外気の温度Te2を短い時間間隔で求めるステップとを含み、
第1及び第2期間D1及びD2のそれぞれに関し、推移Ti1(t)又はTi2(t)が実質的に線形になる時間間隔Δt1又はΔt2が選択され、時間間隔Δt1及びΔt2が、時間間隔Δt1が第1加熱パワーP1を印加する第1期間D1の最後まで及ぶようなものであり且つ、第1期間D1及び第2期間D2の始点が重なる場合、時間間隔Δt1及びΔt2が同じ終点を有するようなものであり、
各時間間隔Δt1又はΔt2中の曲線(Tik(t))k=1又は2に対する接線の傾きa1又はa2を求め、
建物の熱損失係数Kの値Kcalcを傾きa1及びa2に基づいて導き出す
ことを特徴とする。

0011

好ましくは、時間間隔Δt1及びΔt2は同じ長さを有する。

0012

当然のことながら、本発明の方法は推移Tik(t)をグラフで表したものの使用を必ずしも必要としない。

0013

特に、各時間間隔Δtk中、曲線Tik(t)に対する接線の傾きakは間隔Δtk中の推移Tik(t)の導関数に等しい。そのため、時間間隔Δtk中の曲線Tik(t)に対する接線の傾きakを求めるステップを、本発明の枠組みにおいて、推移Tik(t)をグラフで表わさずとも、時間間隔Δtk中の推移Tik(t)の導関数を計算することで行うことができる。

0014

特には傾きakを求めるための本方法の計算ステップは、いずれの適当な計算手段の助けを借りても実施できる。この計算ステップは当然のことながら特には電子計算ユニットを必要とし、この電子計算ユニットは、本方法で必要とする測定値を取得するための取得システムに接続され、また取得した測定値に基づいて本方法の計算ステップの全て又は一部を実行するための計算手段を備える。

0015

本発明の枠組みにおいて、「建物の加熱パワー」という表現は、与えられた外部温度条件の下、建物の内部温度に変化を引き起こす作用状態を意味するものとする。加熱パワーは正、ゼロ又は負になり得ることがわかる。正の加熱パワーは建物に熱を供給することに対応し、負の加熱パワーは建物に冷気を供給することに対応する。

0016

本発明において、第1加熱パワーP1は建物内の温度を強制的に推移させるのに適した厳密に正又は厳密に負のパワーであり、第2加熱パワーP2は実質的にゼロのパワーである。本発明の意味において、建物内の温度が自由に推移できるならば、加熱パワーは実質的にゼロであるとされる。概して、特には建物内には本方法を実施するために使用され且つ動作時に残留加熱パワーを発生する測定又は計算機材があるため、第2加熱パワーP2は厳密にはゼロではない。加熱パワーが実質的にゼロである場合、建物の内部温度の変化は、建物の内部温度と外部温度との差、あるいは外部温度の変化から生じ得る。

0017

本発明は、高精度且つより短い時間で熱損失係数を得ることを可能にする建物内の特定の熱刺激の選択に頼っており、この特定の熱刺激は、建物内で温度を強制的に推移させるのに適した厳密に正又は厳密に負の第1加熱パワーP1の印加と、それに続く建物内での温度の自由な推移を可能にする実質的にゼロである第2加熱パワーP2の印加である。

0018

国際公開第2012/028829(A1)号に記載されるように、建物の熱損失係数Kは、本発明の枠組みにおいて、1つの抵抗器及び1つのコンデンサを備えたR−Cモデルにしたがった建物のモデル化に基づいて求められる。建物は等温の箱であるとみなされ、一方では抵抗逆数であるその熱損失係数K、他方ではその有効熱容量C又は熱慣性により特徴づけられる。建物の有効熱容量Cは、建物内の熱刺激が一定のパワーである場合、建物の断熱外面内の材料の熱容量に対応し、また刺激を与えている間は一定である外部温度で建物の周囲温度を1K上昇させるのに必要なエネルギーであると定義される。

0019

各期間(Dk)k=1又は2に関し、建物の内部温度Tikは均一であると仮定される。内部と外部との間の温度差Δtk=Tik−Tekの推移は、以下の等式にしたがって指数関数挙動をとる:



式中、K:建物の熱損失係数、
C:建物の有効熱容量、
Pkは建物の加熱パワー、
ΔTkは内部と外部との間の温度差。

0020

したがって、等式(1)から、時間の関数としての量ΔTk=Tik−Tekの推移を表す曲線に対する接線の傾きakは、



により得られる。

0021

実践時、本発明の方法の枠組みにおいて、各期間Dk中、推移Tik(t)が実質的に線形である時間間隔Δtkを探す。この時間間隔Δtk中、外気の温度Tekは実質的に一定且つ期間D1及びD2の全てを通じての外気の平均温度Temに等しいとみなし得る。さらに、時間間隔Δtkを加熱時間Dk中で選択するため、時間間隔Δtk中のTik(t)の平均値Tikmを傾きakについての式において考えることが可能である。したがって、傾きakは、

0022

で得られ、ΔTkm=Tikm−Temである。

0023

したがって、2つの連続した期間D1及びD2にわたって、値が異なる2つの加熱パワーP1及びP2を印加し、これら2つの期間のそれぞれで建物内の少なくとも1つの温度Ti1(t)又はTi2(t)の推移を測定することで、建物の熱損失係数の値Kcalcを得ることができる。各期間D1又はD2について、推移Ti1(t)又はTi2(t)が実質的に線形である時間間隔Δt1又はΔt2を選択し、曲線(Tik(t))k=1又は2に対する接線の傾きa1又はa2をこの時間間隔Δt1又はΔt2について求める。次に、建物の熱損失係数の値Kcalcが、以下によって得られる:

0024

0025

経験から、上述したような2相試験で求められる熱損失係数の値Kcalcにおける誤差は測定時間が短くなるにつれて増大しやすいと指摘されている。値Kcalcの誤差を抑えながら測定時間を短縮することを目的として、試験時の条件が得られる値Kcalcの精度に及ぼす影響を評価するための研究が行われている。

0026

これを目的として、発明者は、外面及び内面を備えた厚さeの均質材料層を想定した簡易拡散モデルを用いた。この層を2相試験に供し、この試験は、層の内面を第1定加熱パワーPh1に加熱時間0〜thにわたって供する第1相と、層の内面をPh1とは異なる第2定加熱パワーPh2に加熱時間th〜2thにわたって供する第2相とを含む。試験中、層の外面は一定の温度に維持する。層が温度差ΔT(0)=Tint(t=0)−Text(T=0)で静的な初期状態にあるならば、内面の温度の推移は、以下により求められ:

0027

τjは、以下となるような層の固有時定数であり:

0028

Rjは、熱抵抗次元的に等価である、以下となるような関連重量であり:



ここで、R=e/Sλ及びC=eSρCpであり、λは層の熱伝導率であり、ρは層の密度であり、Sは層の面積であり、Cpは空気の熱容量である。

0029

各種時定数が上述したような2相試験で求められる熱損失係数の値Kcalcにどのように影響するかを理解するために、発明者は、等式(3)を等式(2)に挿入し、以下を得た:

0030

βは、以下となるような無次元パラメータであり:

0031

0032

fB(th)及びgB(th)は建物及び加熱時間thにのみ依存する関数であり、これらは加熱時間が長くなるにつれて小さくなる単調関数であり、0<fB(th)及び0<gB(th)≦1である。

0033

したがって、発明者は、式(4)に基づいて、上述したような2相試験により求められる熱損失係数の値Kcalcが、パラメータβに応じて補正係数を乗じた層の熱損失係数Kに等しいことに注目した。特に、Kcalcの値の誤差は、パラメータβが0に近づくほど最小限に抑えられる。

0034

実践上の理由から、発明者は、加熱パワーPh1及びPh2の一方がゼロである構成に興味を抱いた。

0035

第1加熱パワーPh1がゼロである第1構成において、Kcalcについての式に登場する無次元パラメータは以下のとおりである:

0036

この第1構成では、2相試験により値Kcalcはβが正ならば過大に見積もられ、βが負ならば過小に見積もられる。さらに、初期温度差ΔT(0)が減少するにつれて又は第2加熱パワーPh2が増大するにつれて、パラメータβは絶対値で減少し、したがってKcalcの精度は上昇する。

0037

実践時、これらの実験条件を実際の建造物で整えることは容易ではない。試験前の実験条件及び測定を妨げ得る実験条件にさらされるからである。これが第2構成を検討するのが好ましい理由であり、第2構成ではゼロではない第1加熱パワーPh1で刺激を課し、第2加熱パワーPh2はゼロである。

0038

第2加熱パワーPh2がゼロであるこの第2構成において、Kcalcについての式に登場する無次元パラメータは、以下である:

0039

したがって、一定の正の第1加熱パワーPh1及びゼロである第2加熱パワーPh2を用いた2相試験により第2構成で求められる熱損失係数の値Kcalcは、以下によりにより得られる:

0040

この第2構成において、補正係数:



は1以上であるため、2相試験では依然として値Kcalcが層の熱損失係数Kに対して過大に見積もられる。式(5)から、加熱時間thが長くなるにつれて、またパラメータαが小さくなるにつれて補正係数が小さくなり、したがってKcalcの精度が上昇することもわかる。したがって、値Kcalcの精度を改善するためには、加熱時間thを長くするか、パラメータαを小さくすべきである。

0041

発明者は実験により、一定の正の加熱パワーP1及び実質的にゼロである第2加熱パワーP2を用いた一連の2相試験を様々なタイプの建物において行うことで、また試験毎にパラメータαの値を変化させることで、全てのタイプの建物について、パラメータαが0.8以下にとどまるならば、加熱時間が4時間以下でありながら、値Kcalcを高精度、すなわち値KcalcがKの±20%の範囲に入るような精度で得られることを立証した。加熱時間又は誤差は、パラメータαを小さくすることでさらに短縮/低下させ得る。

0042

この実験結果から、本発明では、以下の手段を用いることで結果の高い精度を守りながら短時間で建物の熱損失係数を求めることを提案する。
−第1加熱パワーP1を非ゼロとなるように、またパラメータ:



が0.8以下となるように選択し、ΔT1(0)=Ti1(T=0)−Temであり、t=0は第1期間D1の始点であり、Temは期間D1及びD2の両方を通じての外気の平均温度であり、Krefは建物の熱損失係数Kの基準値である。ここで外気の温度は期間D1及びD2の間、安定しているとみなされるため、外気の初期温度は期間D1及びD2の全てを通じての外気の平均温度Temに実質的に等しい。建物の初期温度差ΔT1(0)が正の場合、第1加熱パワーP1が正のパワーとなり得ること、あるいは建物の初期温度差ΔT1(0)が負の場合、負のパワーになり得ることに留意すべきである。
−第2期間D2中に得られたデータの処理に用いられる時間間隔Δt2は、期間D2の始点と間隔Δt2の終点との間の長さが第1期間D1の長さに等しくなるような終点でもって選択される。データ処理のそのような対称性により値Kcalcの精度が改善されることが実験により実際に指摘されている。これは2つの加熱相の長さが同じである上述した簡易拡散モデルの条件に対応する。

0043

有利な形においては、これまでに挙げた2つの基準を適用することで、第1加熱パワーP1を印加する第1期間D1の長さは4時間以下になり得て、値Kcalcの精度を損なうことはなく、Kの約±20%の範囲にとどまる。

0044

有利な特徴として、建物の第1加熱パワーP1は、制御されたパワー源により課せられる加熱パワーPimp1を含む。課す加熱パワーPimp1の印加に用いるもの以外のパワー源が第1期間D1中、建物内で稼働していないならば、建物の第1加熱パワーP1は課せられる加熱パワーPimp1に等しい。他方で、期間D1中、建物内にパワーPimp1に加えて追加のパワーPsup1が存在するならば、第1加熱パワーP1はPimp1+Psup1に等しい。特に、第1期間D1中の太陽光線が多い場合、建物の加熱への太陽光線の寄与分は追加のパワーPsup1の一部を構成する。

0045

実践時、本方法を実施するための条件は、課す加熱パワーPimp1以外のパワーPsup1の追加供給を制限するように構成される。好ましくは、本方法を、建物が無人の間に実施する。

0046

有利な形においては、本方法を、太陽光線が少ない(好ましくはゼロである)期間D1及びD2中に実施する。好ましいやり方においては、本方法を、夜間、あるいは任意で又は夕方の日中で選択された期間D1及びD2中にわたって実施する。したがって、太陽光線の寄与分を削減し、外気の温度変動を制限することができる。

0047

期間D1及びD2は離れたものにも、あるいは時を移さず連続したものにもなり得る。後者の場合、本方法を、連続した期間D1及びD2から構成される一続きの期間にわたって全て行うと考えられる。好ましいやり方においては、太陽光線の寄与分を低減しつつ本方法の実施時間を抑えるために、本方法を一晩で連続的に全て行う。

0048

好ましくは、期間D1及びD2のそれぞれの間、建物に取り付けられている固定換気システムを無効にし、全ての換気口閉鎖又は封止することで、外部との空気の交換を制限する。

0049

変化形として、建物の固定換気システムを本方法の過程で期間D1及びD2のそれぞれの間、作動させ得る。しかしながら、この場合は熱損失係数Kについての式に追加の換気の項を導入し(K=HT+m’1.Cp+m’2.Cp)、侵入による換気流量m’1及び固定換気システムによる換気流量m’2は相関関係にあり、一方の値はもう一方の値に左右される。

0050

実験結果を分析すると、建物に印加する第1加熱パワーP1についての優先的基準の定義が可能になる。

0051

特に、本発明のある態様において、第1加熱パワーP1は好ましくは、パラメータ:



が0.75以下、より好ましくは0.7以下となるようなものである。

0052

好ましくは、第1加熱パワーP1は、パラメータ:



が0.25以上、より好ましくは0.3以上となるようなものである。実際、断熱性の高い建造物の場合、パラメータαが0.25又は0.3未満の場合、慣用測定センサ感度では第1期間D1中の建物内の温度Ti1の推移に関する満足のいくデータが得られず、値Kcalcの誤差も増大する。

0053

好ましい特徴として、第1加熱パワーP1は、パラメータ:



が実質的に0.5に等しくなるようなものである。実験結果を分析すると、実際に、パラメータαのこの値が、全てのタイプの建物に関して、値KcalcをKの±20%の範囲の高精度で得ることを可能にすることがわかる。発明者は、実験から、建物の熱慣性Cが顕著になればなるほど、また加熱時間(すなわち、第1期間D1の長さ)が長くなればなるほど、値Kcalcを高精度で得るためにパラメータαを小さくする必要性がより高まることも指摘している。実践時、パラメータαが0.5に近づけば近づくほど値Kcalcの精度は高くなり、また建物の熱慣性及び加熱時間への依存度は低くなる。

0054

パラメータαが実質的に0.5に等しい場合、値Kcalcの精度は、加熱時間が長くなればなるほど一層高くなる。特に、係数:



が実質的に0.5に等しくなるように第1加熱パワーP1及び約4時間の加熱時間を選択することで、値Kcalcにおいて約±15%の精度を達成することができる。

0055

短い加熱時間で値Kcalcを高い精度で得るためにパラメータαを低下させる必要性は、内側に断熱処理を施した建物より外側に断熱処理を施した建物でより高い。

0056

有利な形では、本発明の方法の枠組みにおいて、傾きa1及びa2に基づいて建物の熱損失係数Kの値Kcalcを求めた後、パラメータ:



の値を計算し、αcalcが確かにパラメータαの値の既定の範囲内にあることを確認する。

0057

パラメータαについての基準を満たすために第1期間D1中に印加する第1加熱パワーP1の値を求めるには、建物の熱損失係数Kの基準値Krefを知る必要がでてくることに留意されたい。

0058

建物の熱損失係数Kの基準値Krefを得るための第1の工程は、建物の熱分析から得られる量の使用、特には建物の外面の熱貫流又は熱伝達係数の使用である。好ましくは、建物の外面の熱伝達係数HをISO規格13789:2007”Thermal performance of buildings−Coefficients of heat transfer by transmission and by renewal of air−Computation process”を用いて求め、次に熱損失係数の基準値Krefを以下の式から導く:



式中、HTは貫流による熱伝達係数であり、Hvは換気による熱伝達係数である。好ましくは、建物の外面の熱伝達係数を、建物の換気を行うことなく、ISO規格13789:2007に準拠して求める。変化形として、建物で換気を行うことができ、その場合は換気流量を測定又は概算しなくてはならない。

0059

建物の熱損失係数Kの基準値Krefを得るための好ましい方法は、ISO規格13789:2007の使用である。しかしながら、特にISO規格13789:2007の適用に必要な建物に関する必要な情報が全て揃っていない場合は、他の方法も考えられる。

0060

ISO規格13789:2007の適用に必要な建物に関する必要な情報が全て揃っていない場合に建物の熱損失係数Kの基準値Krefを得るための第2の方法は、建物を「同時加熱(coheating)」試験等の準静的試験に供することである。

0061

「同時加熱」とは、無人の建物の総熱損失量を測定することを目的とした準静的プロセスである。「同時加熱」試験では建物を数日間(概して、1〜3週間)にわたって、ファンを取り付け且つ制御システムに接続した電気放熱器により一定且つ均一な温度まで加熱する。建物の内部と外部とで少なくとも10℃の温度差が出るように、温度設定は約25℃と極めて高くなくてはならない。飽和に達したら(すなわち、準静的状態に達したら)、建物を25℃に維持するのに必要なパワーP、内部温度Tint及び外部温度Textを測定する。内部温度Tintは特には熱電対又はサーミスタの助けを借りて測定でき、外部温度Textは気象観測所で測定できる。次に、データを処理することで、熱損失係数の値Krefが得られる。

0062

より正確には、手順は以下の通りである。

0063

まず、第1加圧試験を行い、この試験は換気及び侵入による損失の測定を可能にする。

0064

その後、煙突又は通気孔等の開口部を閉鎖すると、換気に関連した損失が測定に影響しなくなる。

0065

次に、約25℃の高い温度設定に達するまで建物を電気により均一に加熱する。

0066

次に、加熱パワーP、内部温度Tint及び外部温度Textを測定する。これらの測定値を処理することで、貫流及び侵入による損失が判明する。

0067

最後に、侵入だけに起因する熱損失を突き止めるために、建造物の開口部を閉鎖したまま第2加圧試験を行う。

0068

測定値の処理に関しては、建造物を設定した温度に維持するのに必要なパワーを、内部と外部との温度差と同様に、毎日24時間で平均する。次に、これらの平均したデータをグラフ上にプロットし、温度差の関数としてのパワーを導き出す。同じく建物の加熱に関与している太陽光線に起因する補正も行わなくてはならない。原点を通る直線の傾きが線形回帰により求められ、これが熱損失係数Krefに対応する。

0069

この「同時加熱」法は比較的実施し易く、建物の熱損失係数Kの基準値Krefが直接得られる。有利な変化形では、軽量の建造物の場合、「同時加熱」試験を夜間に行うことができ、その場合、太陽からの熱供給に起因する補正は行わなくてよい。

0070

ISO規格13789:2007の適用に必要な建物に関する必要な情報が全て揃っていない場合に建物の熱損失係数Kの基準値Krefを得るための第3の方法は、建物のエネルギー消費の調査で得られた量の使用である。特には、基準値Krefを、所与の期間中に建物が消費したエネルギーの、この所与の期間の長さとこの所与の期間中の建物の内部と外部との平均温度差との積に対する比として求めることができる。

0071

本発明の方法の一実施形態において、曲線(Tik(t))k=1又は2に対する接線の傾きa1又はa2を各時間間隔Δt1又はΔt2について、時間間隔Δt1又はΔt2の各点での傾きの平均を計算することで求める。平均は各点に関わる不確かさの重み付きである。

0072

本発明の方法の別の実施形態においては、曲線(Tik(t))k=1又は2に対する接線の傾きa1又はa2を各時間間隔Δt1又はΔt2について、時間間隔Δti中の曲線(Tik(t))k=1又は2を正規化する少なくとも1つの通常の数学的関数を特定し、また時間間隔Δtiの終点でこの関数の導関数を計算することで求める。時間間隔Δti中の曲線(Tik(t))k=1又は2を正規化するその数学的関数又は各数学的関数は特には指数関数又は多項式関数になり得る。

0073

有利ではあるが必須ではない態様において、期間D1及びD2のそれぞれに関し、建物の内部温度Tikの測定は、少なくとも1℃、好ましくは1〜10℃の内部温度Tikの変化を得るのに充分な期間にわたって行われる。

0074

有利な特徴として、建物を加熱するための制御されたパワー源は、弱すぎず且つ建物を素早く加熱できるように調節できるならば、建物に備え付け設備、すなわち本方法の実施には関係のない、建物に設置された加熱手段になり得る。制御されたパワー源は、特には、成績係数COP)が公知のヒートポンプになり得る。

0075

変化形として、建物を加熱するための制御されたパワー源は、本方法を実施するために特別に建物に持ち込まれたパワー源になり得る。

0076

建物用発熱体は、対流伝導又は放射式のものになり得て、あるいはこれらテクノロジーの幾つかを組み合わせ得る。好ましくは、発熱体は電化製品であるため、加熱パワーを直接且つ精確な形で求めることができる。電気暖房器具の例は特には、電気抵抗器により熱せられた空気を吹き出すことを伴う対流式の器具加熱マット又はフィルムパラソル型輻射加熱器を含む。変化形として、発熱体は、バーナーの効率及び燃料の流量を加熱パワーを割り出すのに充分な精確さで見積もれるならば、ガス又は燃料油で動作する器具になり得る。

0077

有利な実施形態において、建物用の発熱体は、直立させ巻いた状態で位置決めすることで全ての熱パワーが空気中に散逸するようにした、建物に分散させた電気加熱マットである。この配置により建物を迅速且つ均一に加熱することができ、周囲温度は建物内の壁の温度に充分に近いものになる。

0078

有利な特徴として、建物内の温度の各測定には、建物内の周囲温度の測定、建物の壁の温度の測定及び/又は建物内の平均放射温度の測定が含まれる。実践時、いずれの公知の測定法もこれらの温度を得るのに用いることができ、特にはNF ENISO規格7726に記載の測定法である。例えば、建物内の周囲温度及び建物の壁の温度の測定を、Kタイプの熱電対又はPt100プローブの助けを借りて行うことができる。建物内の平均放射温度を測定する場合は、黒球寒暖計を使用できる。

0079

有利な形においては、建物の加熱により周囲温度が建物内の壁の温度に充分に近いものになった時、建物内の周囲温度を測定する。

0080

建物の加熱が完全に均一ならば、内部温度は建物のどこであっても同じであり、建物に内部仕切りがある場合は全ての部屋又は区画で温度は同じであり、その場合、建物内の温度の測定を建物の1つの部屋又は区画内での測定に限定し得る。

0081

本発明の方法を加熱があまり均一になされない建物で実施するならば、建物の幾つかの部屋又は区画で温度を測定し、各時間tでの建物内の温度は建物の様々な部屋又は区画における時間tで得られた温度測定値の平均であるとみなすことができる(ただしこれらの値に大きな差がなく、建物が換気されていないことを示す場合に限る)。建物の各部屋又は区画において幾つかの異なる温度測定を行うこともできる。したがって、各部屋又は区画において、周囲温度の測定及び/又は建物の外面の壁の温度の測定及び/又は平均放射温度の測定を同時に行い得る。

0082

加熱が均一になされない場合は、建物の各部屋又は区画において加熱パワー及び温度を測定することで建物の各部屋又は区画の熱損失係数を求め、次にこれら様々な部屋又は区画で得られた値を合計することで建物の総熱損失係数を得ることもできる。

0083

本明細書において、建物の部屋とは、壁に囲まれた、建物のある空間であると定義される。さらに、建物の区画とは、1つのものとして扱うことができる、建物の幾つかの部屋により構成される空間として定義され、すなわち、本発明の方法の枠組みにおいて、1つの加熱パワー測定センサ及び1つの温度測定センサを建物の各区画に用意することができる。

0084

ある特徴として、本発明の方法の枠組みにおいて、外気の温度Tekは、短い時間間隔での測定により求められる。外気の温度Tekの測定は建物の内部温度Tikの測定と同時になり得て、すなわち同じ短い間隔で行うことができる。

0085

変化形として、短い時間間隔での外気の温度Tekは、その建物の場所の気象データ内挿することで求めることができる。

0086

好ましくは、本発明の方法を、外気の温度Tekが安定している期間に実施する。

0087

本発明にしたがって求められる熱損失係数Kでは、貫流及び空気の侵入による熱損失分を統合し、すなわち以下のとおりである:

0088

建物の熱伝達係数Uを求めたいならば、一方で貫流による熱損失分、他方で建物内への換気流量m’を評価することで、空気の侵入による熱損失分を切り離すことが可能である。

0089

係数Kを求める方法の最中に建物を換気するための固定システムが稼働していないならば、流量m’は、侵入による空気の換気流量に等しい。この流量m’は適当な方法、特には国際公開第2012/028829(A1)号に記載されるようなトレーサーガスを使用した検出法又はブロワードア侵入試験により求めることができる。

0090

貫流による熱損失分及び空気の侵入による熱損失分を切り離すために、本発明の方法を実施する過程でユーザが流量を決定する換気システムを建物に持ち込むこともできる。持ち込むこの換気システムは特には、建物を加圧又は減圧するためのブロワードアタイプのシステムになり得る。

0091

本発明の別の主題は情報記録媒体であり、電子計算ユニットにより実行された場合に上述したような建物の熱損失係数Kを求めるための方法の計算ステップの全て又は一部を実施するための命令を含み、計算ステップは特に、
・α、ΔT1(0)及びKrefの値に基づいた、第1期間D1中に印加する第1加熱パワーP1の計算と、
・建物内の温度Ti1又はTi2の測定値に基づいた、各時間間隔Δt1又はΔt2中の傾きa1又はa2の計算と、
・傾きa1及びa2並びにパワーP1及びP2に基づいた、建物の熱損失係数Kの値Kcalcの計算
とを含む。

0092

有利な特徴として、この情報記録媒体はさらに、建物において第1加熱パワーP1を印加するのに使用する制御されたパワー源を制御するための、入力データの関数としての命令を含む。

0093

本発明の主題は上述したような方法を実施するための装置でもあり、この装置は、
・制御された電源を備えた少なくとも1つの発熱体と、
・建物内の温度Tikを測定する少なくとも1つの温度センサと、
・建物内で供給される加熱パワーPkを測定する少なくとも1つのパワーセンサと、
・建物内の温度Tikの測定値、建物内で供給される加熱パワーPkの測定値及び外気の温度Tekを取得するための少なくとも1つの取得モジュールと、
・電子計算ユニットと、
・本方法の計算ステップの全て又は一部を実施するための、電子計算ユニットにより実行させる命令、すなわちα、ΔT1(0)及びKrefの値に基づいた、第1期間D1中に印加する第1加熱パワーP1の計算、建物内の温度Ti1又はTi2の測定値に基づいた、各時間間隔Δt1又はΔt2中の、傾きa1又はa2の計算、傾きa1及びa2並びにパワーP1及びP2に基づいた、建物の熱損失係数Kの値Kcalcの計算を含む情報記録媒体
とを備える。

0094

有利な特徴として、装置の各発熱体は建物の空気を加熱することで建物を迅速に加熱する。特に上述したような建物内に直立させ巻いた状態で置かれ、全ての熱パワーが空気中に散逸する電気加熱マットでも同様である。

0095

別の有利な特徴として、各温度センサは建物内の空気の温度を測定する。この場合、加熱が充分に均一になされているならば、建物の各部屋又は区画について、実質的にその部屋又は区画の中心に位置する空間で1回測定すればその部屋又は空間の平均温度を表す値を得るのに充分である。

0096

建物内の空気の温度の測定は、壁の温度の測定より簡単である。実際、壁の温度測定を行おうとするならば、部屋又は区画の平均温度を良好に推定するために、加熱の均一性に関わらず、その部屋又は区画の幾つかの壁の温度測定を行い、次にこれらの壁温度の平均を求めることが必要である。したがって、全体として均一な形で加熱された部屋又は区画で行うならば、空気の温度を測定することで、本発明の方法の枠組みにおいて行う測定回数を減らすことができる。建物の均一な加熱と建物内の空気中での温度の測定とを組み合わせることで、本発明の方法の実施が簡単になり、その時間は短縮される。

0097

パワーセンサ又は各パワーセンサは電圧センサ電圧計)及び/又は電流センサ電流計)になり得る。好ましくは、パワーセンサ又は各パワーセンサは、電圧センサ及び電流センサの両方を装備した電力計である。これにより、主電源電圧の考えられ得る変動を回避しながら建物内のパワーを精確に測定する又は発熱体若しくは各発熱体の抵抗を求めることができる。

0098

一実施形態において、装置は、建物の部屋又は区画内に設置される少なくとも1つの箱を備え、この箱は、
・建物のその部屋又は区画内に設置される発熱体又は各発熱体の電源を接続するパワー管理モジュールと、
・建物のその部屋又は区画内に設置される温度センサ又は各温度センサを接続する温度測定モジュールと、
・建物のその部屋又は区画で供給される加熱パワーを測定するパワーセンサと、
・電子計算ユニットが温度及びパワーの測定値を受け取り且つパワー管理モジュールを制御可能となるような、箱と電子計算ユニットとの間の接続手段
とを備える。

0099

各箱のパワー管理モジュールは、建物の部屋又は区画に印加する加熱パワーを調節するためのものである。パワー管理モジュールは、発熱体をそのON状態OFF状態との間でトグルする切り換えによるパワー管理のためのモジュール又は発熱体が放出するパワーの値を変化させることが可能なパワー管理モジュールになり得る。

0100

有利な形において、装置は、建物の各部屋又は区画内に1つの箱を備える。

0101

好ましくは、箱又は各箱と電子計算ユニットとの間の接続手段はワイヤレス接続手段である。

0102

有利な特徴として、電子計算ユニットは、装置の発熱体又は各発熱体の電源を自動的に制御するための手段を備える。特に、電子計算ユニットは、有利には、α、ΔT1(0)及びKrefの値に基づいて第1期間D1中に印加する第1加熱パワーP1の値を計算し且つ第1期間D1中に第1加熱パワーP1の計算値を建物内で発生させるように発熱体又は各発熱体の電源を制御するように構成される。

0103

例えば、第1の変化形において、そのような自動制御装置により自律的に始まり得る試験は以下の一連の:
・手順を開始するステップと、
・α、ΔT1(0)及びKrefの値に基づいて、第1期間D1中に印加する第1加熱パワーP1の値を計算するステップと、
・計算した第1加熱パワーP1の値に達するように発熱体を作動させ、既定の時間、特には約4時間にわたって加熱曲線Ti1(t)を記録し、次に発熱体を停止させるステップと、
・既定の時間、特には約4時間にわたって冷却曲線Ti2(t)を記録するステップと、
・冷却曲線Ti1(t)及びTi2(t)に対する接線の傾きa1及びa2の値を計算し、また傾きa1及びa2並びにパワーP1及びP2の値に基づいて建物の熱損失係数の値Kcalcを計算するステップ
とを含む。

0104

第2の変化形において、そのような自動制御装置により自律的に始まり得る試験は以下の一連の:
・手順を開始するステップと、
・α、ΔT1(0)及びKrefの値に基づいて、第1期間D1中に印加する第1加熱パワーP1の値を計算するステップと、
・計算した第1加熱パワーP1の値に達するように発熱体を作動させるステップと、
・建物の加熱中に建物内で測定した温度の推移Ti1(t)が実質的に線形であり且つ外気の温度Te1が既定の基準に関して安定している場合に、加熱曲線Ti1(t)に対する接線の傾きa1の値を計算し、保存し、また発熱体を停止させるステップと、
・建物の冷却中に建物内で測定した温度の推移Ti2(t)が実質的に線形であり且つ外気の温度Te2が既定の基準に関して安定している場合に、冷却曲線Ti2(t)に対する接線の傾きa2の値を計算し、保存するステップと、
・傾きa1及びa2の保存した値並びにパワーP1及びP2の値に基づいて建物の熱損失係数の値Kcalcを計算するステップ
とを含む。

0105

これら2つの変化形において、装置の発熱体又は各発熱体は、試験対象である建物に備え付けの発熱体又は試験を行うために特別に追加された発熱体になり得る。同様に、装置の温度測定センサは建物に備え付けのもの又は追加のものになり得る。

0106

有利な特徴として、装置に搭載する制御ソフトウェアは、自動制御装置により自律的に始まる各試験が好ましくは夜に始まり、もし前の測定が既に行われてしまっているなら自動制御装置が各試験サイクルを最適化して試験時間を最短にし且つキャラクタリゼーションの精度を最大にするように設計される。

0107

好ましくは、自動制御装置が用いる本方法の基準は、温度測定の精度、すなわち温度の推移の傾きを求めるにあたっての精度を考慮にいれたものである。測定精度が低ければ低いほど、正しい傾きを求めるために測定時間を長くしなくてはならない。

0108

本発明の特徴及び利点は、本発明の方法及び装置の幾つかの実施形態(単なる例として挙げる)についての以下の説明を添付の図1〜6を参照しながら読むことで明らかとなる。

図面の簡単な説明

0109

建物の熱損失係数Kを求めるための本発明の方法を実施するための装置の概略図である。
本発明の方法の枠組み内で建物の加熱に使用できる電気加熱マットの斜視図であり、巻いて直立させた位置で描かれており、全ての熱パワーを空気中に散逸させることができる。
本発明にしたがって熱損失係数Kを求めるようとする一軒家の概略図であり、家の加熱は、屋内に持ち込まれる、図2に示すような電気加熱マットにより行われる。
本発明の方法を実施している間の時間の関数としての図3の家の中の温度Tikの推移を表す曲線であり、第1加熱パワーP1を家に印加する第1期間D1(P1は家のパラメータ:



が実質的に0.5に等しくなるようなものである)とそれに続く、家が自由に冷えるように実質的にゼロである第2加熱パワーP2を家に印加する第2期間D2を示しており、外気の温度Tekの推移も示す。
本発明にしたがって熱損失係数Kを求めようとするバンガローの概略図であり、バンガローは、バンガローに持ち込まれる、図2に示されるような電気加熱マットにより加熱される。
本発明の方法を実施している間の時間の関数としての図5のバンガロー内の温度Tikの推移を表す曲線であり、第1加熱パワーP1をバンガローに印加する第1期間D1(P1はバンガローのパラメータ:



が実質的に0.5に等しくなるようなものである)とそれに続く、バンガローが自由に冷えるように実質的にゼロである第2加熱パワーP2をバンガローに印加する第2期間D2を示しており、外気の温度Tekの推移も示す。

0110

図1は、本発明の方法による建物の熱損失係数Kを求めるための装置1の概略図である。

0111

この装置1は、
・例えば電気加熱マット(図2に例を示す)である複数の発熱体21、22・・・、2mと、
・建物の内部温度を測定するための、例えばKタイプの熱電対又はPt100プローブである複数の温度センサ31、32・・・、3nと、
・複数の箱41、42・・・、4pと、
・例えばポータブルPCタイプのコンピュータであり且つワイヤレス通信モジュールを搭載した電子計算ユニット5と、
・本方法の計算ステップの全て又は一部を実施するための、電子計算ユニット5により実行される命令、すなわちα、ΔT1(0)及びKrefの値に基づいた、第1期間D1中に印加する第1加熱パワーP1の計算、建物内の温度Ti1又はTi2の測定値に基づいた、各時間間隔Δt1又はΔt2中の傾きa1又はa2の計算、傾きa1及びa2並びにパワーP1及びP2に基づいた、建物の熱損失係数Kの値Kcalcの計算を含むソフトウェアアプリケーション
とを備える。

0112

発熱体21、22・・・、2mは、熱損失係数Kを求めようとする建物の様々な部屋又は区画に分散させるものであり、発熱体の数は、印加する第1加熱パワーP1の値の関数として調節される。少なくとも1つの発熱体2i及び少なくとも1つの温度センサ3iを建物の各部屋又は区画に用意する。

0113

有利な形においては、箱4iを建物の各部屋又は区画に関連づける。各箱4iは給電部7と、部屋又は区画の発熱体2iと接続するためのポート8と、OFF状態とON状態との間での発熱体2iのトグルを可能にするパワー切り換えモジュール9とを備える。各箱4iは、部屋又は区画の発熱体2iに給電するために主電源に差し込まれる。

0114

各箱4iはまた、例えば電力計であるパワーセンサ10と、部屋又は区画の温度センサ3iに接続するためのポート11とを備える。パワーセンサ10及び部屋又は区画の温度センサ3iを接続するためのポート11は、部屋又は区画で得られた内部温度及びパワーの測定値を取得するためのモジュール12に接続される。給電部7は、切り換えモジュール9及び取得モジュール12に給電する役割を果たす。

0115

さらに、各箱4iはワイヤレス通信モジュール13を備え、このモジュールは、矢印F1及びF2で示すような双方向での情報伝達のための箱4iと電子計算ユニット5との間での接続の確立を可能にする。特に、ワイヤレス通信モジュール13により、電子計算ユニット5からパワー切り換えモジュール9へと部屋又は区画の発熱体2iを駆動するための制御命令を送信し、取得モジュール12から電子計算ユニット5へと室内又は区画で得られた温度及びパワーの測定値を伝送することができる。

0116

短い時間間隔で測定を行うことで外気の温度を求める場合、本方法の枠組みにおいて、装置1は、外気の温度を測定するための少なくとも1つのセンサ(図示せず)も備える。次に、外部温度を測定するためのこのセンサを箱4iの1つのポートに接続すると、外気の温度の測定値はこの箱の取得モジュール12によって受け取られる。

0117

実施例1
図3を参照するが、本発明の方法は、最近建設された一軒家50の熱損失係数Kを求めるために実施され、この一軒家50は内断熱が施され、2つの階に分散した居間、台所浴室及び2つの寝室から構成されている。換気システムは、気候井戸(puits climatique)に連結された双方向換気式である。本方法は、家が無人であり且つ換気システムが無効の間に実施する。全ての換気口は閉鎖する。

0118

家50は図2にその例を示した電気加熱マット2により加熱され、各加熱マットは約110Wのパワーを有する。加熱マット2を図2に示すように直立させ巻いた状態で家の様々な部屋に分散させて置いた。したがって、全ての熱パワーが空気中に散逸し、家を迅速且つ均一に加熱することができる。加熱マット2は、第1期間D1中に本方法で必要とされる、家を加熱するためのパルスの発生に極めて適した制御されたパワー源となる。

0119

本方法を、図4からわかるように、連続的に全てを1回で実施し、家の加熱パワーP2が実質的にゼロである第2期間D2が、家の加熱パワーP1が厳密に正である第1期間D1のすぐあとに続く。

0120

図4の例において、本方法は約8時間の連続した期間にわたって行われ、21時前後に開始され、5時前後に終了する。これらの条件下では、家の加熱への太陽光線の寄与分はゼロである。

0121

さらに、本方法を実施している間、家50において加熱マット2以外の稼働中のパワー源はない。したがって、各期間Dkに関して、印加するパワーPkは、特には本方法の実施のために屋内に在る測定機材及び計算機材から発生する残留熱を含め、加熱マット2により課せられる加熱パワーに実質的に等しい。本方法の実施中、ループ電流計の形態のパワーセンサは、家の幾つかの部屋に供給されたパワーを測定する。

0122

第1期間D1に対応する本方法の第1ステップにおいて、家50の加熱は、加熱マット2の助けを借りて行われる。この例では、本発明にしたがって、第1期間D1中に印加する第1加熱パワーP1を、パラメータ:

0123

0124

が0.5に実質的に等しくなるように選択する。この例において、家の熱的研究の枠内で得られた基準値Krefは94W/Kに等しく、屋内の初期内部温度Ti1dは21.2℃であり、外気の初期温度Te1dは2.2℃であり、第1加熱パワーP1の値は約3738.9Wとなる。

0125

次に、屋内の周囲温度Ti1を、家の5つの部屋、すなわち居間、台所、浴室及び2つの寝室のそれぞれにおいて1分毎に測定する。これを目的として、温度センサ(この例においてはPt100白金抵抗温度計である)を各部屋に、周囲空気中、高さ約200cmでドアの上に設置する。

0126

この例において、測定された内部温度の推移は家50の5つの部屋でほぼ同じであったが、これは家の加熱が特に均一だったからである。図4では居間内の周囲温度の推移だけを示しており、家の残りの部屋内の周囲温度の推移が同様のプロファイルを有することがわかる。

0127

第1期間D1中の時間の関数としての家の内部温度Ti1の推移を表す曲線を図4に示す。図からわかるように、家50の温度上昇曲線は、時間間隔Δt1の間、実質的に線形の部分を示す。曲線のこの線形部分は以下の等式:Ti1=22.1℃+0.00531t(tは分)にフィットする。

0128

図4は、第1期間D1中の外気の温度Te1の推移も描いている。時間間隔Δt1中の外気の温度Te1は、実質的に一定であり且つ時間間隔Δt1中の平均温度に等しい(すなわちこの例においてはTe1m=1.9℃)とみなせるだけ充分に安定している。

0129

第2期間D2に対応する本方法の第2ステップにおいては、実質的にゼロである第2加熱パワーP2を開始温度Ti2d=23.3℃から家50において印加し、すなわち加熱マット2はこの第2期間D2中、作動しない。第1ステップと同様に、次に、屋内の周囲温度Ti2を毎分、家の各部屋に設置されたPt100白金抵抗温度計である5つの温度センサにより、毎回、周囲空気中、200cmの高さで測定する。ここでもまた、測定値は、内部温度の推移が家の5つ部屋でほぼ同じであることを示している。

0130

図4は、第2期間D2中の時間の関数としての家の内部温度Ti2の推移を表す曲線を示す。図からわかるように、家50の温度下降曲線は、時間間隔Δt2の間、実質的に線形の部分を示す。曲線のこの線形部分は以下の等式:Ti2=22.1℃−0.00703t(tは分)にフィットする。

0131

第2期間D2中の外気の温度Te2の推移も図4に示す。第1ステップと全く同様に、時間間隔Δt2中の外気の温度Te2は、実質的に一定であり且つ時間間隔Δt2中の平均温度に等しい(すなわちこの例においてはTe2m=2.0℃)とみなせるだけ充分に安定している。

0132

上の等式(2):



にΔT1m=21.0℃、ΔT2m=19.0℃、P1=3738.9W、P2=153.5Wを代入すると、家50の熱損失係数Kの値:Kcalc=109.0W/Kが得られる。

0133

本発明の方法は、上で定義したような、家50の有効熱容量C又は熱慣性、すなわち刺激を与えている間は一定である外部温度で家の周囲温度を1K上昇させるのに必要なエネルギーの値を得ることも可能にし、C=17.7MJ/Kである。

0134

実施例2
図5、6を参照するが、床面積12.4m2、内部高さ2.4m、体積29.76m3及び外面総面積62.7m2のバンガロー60の熱損失係数Kを求めるために本発明の方法を実施する。バンガロー60の外壁は、厚さ4cmのポリウレタン層を2枚の金属板の間に挿入した断熱サンドイッチパネル、扉及び2枚の三重窓から成る。

0135

外面には追加の断熱が施されており、以下の材料:
・壁に関しては6cmのガラスウール、13mmの石膏ボード及び吹き付け石膏の約1cmの層、
・床及び天井に関しては3cmの発泡ポリスチレン(床は配向性ストランドボード(OSB)でも覆われている)
を含む。

0136

本方法は、バンガロー60が無人の間に実施される。

0137

バンガロー60の熱的研究により、32.7W/Kの基準値Krefが得られる。バンガローは極めて軽量の建造物であり、その時定数は数時間である。

0138

実施例1と同様に、バンガロー60を図2に示すような電気加熱マット2により加熱し、各加熱マットは約110Wのパワーを有する。加熱マット2を図2に示すように直立させ巻いた状態でバンガローに分散させて設置することで、バンガローを迅速且つ均一に加熱できる。

0139

本発明の方法を一晩で連続的に全て実施することで、バンガロー60の加熱への太陽光線の寄与を回避する。まず、厳密に正の第1加熱パワーP1の印加に対応するバンガローの加熱を23時から3時の第1期間D1中に行い、次に実質的にゼロである第2加熱パワーP2の印加に対応するバンガローの自由な冷却を3時から7時の第2期間D2中に行う。したがって、第2期間D2が第1期間D1のすぐあとに続く。

0140

本方法を実施している間、バンガロー60において加熱マット2以外の稼働中のパワー源はない。したがって、各期間Dkに関して、印加するパワーPkは、特には本方法の実施のために屋内に在る測定機材及び計算機材から発生する残留熱を含め、加熱マット2により課せられる加熱パワーに実質的に等しい。本方法の実施中、ループ電流計の形態のパワーセンサは、バンガローに供給されたパワーを測定する。

0141

第1期間D1に対応する本方法の第1ステップにおいて、バンガロー60の加熱は、加熱マット2の助けを借りて行われる。この例では、本発明にしたがって、第1期間D1中に印加する第1加熱パワーP1を、パラメータ:

0142

が0.5に実質的に等しくなるように選択する。この例において、基準値Krefは32.7W/Kに等しく、バンガロー内の初期内部温度Ti1dは10.4℃であり、外気の初期温度Te1dは4.1℃であり、第1加熱パワーP1の値は約432.8Wとなる。

0143

次に、バンガロー内の周囲温度Ti1を10秒毎に測定する。これを目的として、温度センサ(この例においてはKタイプの熱電対である)をバンガロー内に、周囲空気中、高さ約180cmの位置で設置する。

0144

第1期間D1中の時間の関数としてのバンガローの内部温度Ti1の推移を表す曲線を図6に示す。図からわかるように、バンガロー60の温度上昇曲線は、時間間隔Δt1の間、実質的に線形の部分を示す。曲線のこの線形部分は以下の等式:Ti1=13.4℃+0.00413t(tは秒)にフィットする。

0145

図6は、第1期間D1中の外気の温度Te1の推移も描いている。時間間隔Δt1中の外気の温度Te1は、実質的に一定であり且つ時間間隔Δt1中の平均温度に等しい(すなわちこの例においてはTe1m=3.8℃)とみなせるだけ充分に安定している。

0146

第2期間D2に対応する本方法の第2ステップにおいては、実質的にゼロである第2加熱パワーP2を開始温度Ti2d=14.4℃からバンガロー60に印加し、すなわち加熱マット2はこの第2期間D2中、作動しない。第1ステップと同様に、次に、バンガロー内の周囲温度Ti2を10秒毎に、バンガローの中央に設置されたKタイプの熱電対により、周囲空気中、180cmの高さで測定する。

0147

図6は、第2期間D2中の時間の関数としてのバンガローの内部温度Ti2の推移を表す曲線を示す。図からわかるように、バンガロー60の温度下降曲線は、時間間隔Δt2の間、実質的に線形の部分を示す。曲線のこの線形部分は以下の等式:Ti2=11℃−0.00871t(tは秒)にフィットする。

0148

同じ期間D2中の外気の温度Te2の推移も図6に示す。第1ステップと同様に、時間間隔Δt2中の外気の温度Te2は、実質的に一定であり且つ時間間隔Δt2中の平均温度に等しい(すなわちこの例においてはTe2m=3.4℃)とみなせるだけ充分に安定している。

0149

上の等式(2):



にΔT1m=10.5℃、ΔT2m=5.7℃、P1=432.8W、P2=11.0Wを代入すると、バンガロー60の熱損失係数Kの値:Kcalc=33.2W/Kが得られる。

0150

本発明の方法は、上で定義したような、バンガロー60の有効熱容量C又は熱慣性、すなわち刺激を与えている間は一定である外部温度でバンガローの周囲温度を1K上昇させるのに必要なエネルギーの値を得ることも可能にし、C=1.3MJ/Kである。

0151

実践時、上記の2つの実施例において、データを処理するための時間間隔Δtkを選択するステップ、線形化するステップ及び傾きakに基づいて熱損失係数の値Kcalcを計算するステップを有利には、図1を参照しながら説明したような装置に属する電子計算ユニットにより行う。

0152

本発明は上述の実施例に限定されない。特に、既に言及したように、本発明の方法は、本方法で必要とされるパルスのための加熱手段が供給するパワーを精確に求めることができる限り、建物に備え付けの形で取り付けられた加熱手段であっても、あるいは本方法を実施するために建物に特別に持ち込まれた加熱手段であっても等しく実施できる。

0153

さらに、複数階を有するビルのようなより大きな建物の場合、本発明の方法は、全体としての建物の熱損失係数Kを求めるためにも(この場合、建物全体にわたって空気を加熱しなくてはならない)、あるいは建物の一部だけの熱損失係数Kを求めるためにも使用できる。したがって、ビルの場合、ビルの一室だけを試験することが可能である。したがって、測定対象の部屋に隣接する部分が通常の占有状態を代表する熱状態である、特には、通常は住人がいる隣接部分の周囲温度が約20℃であることが好ましい。また、例えば追加の断熱により仕切り壁を過剰に断熱する、あるいは仕切り壁の両側での温度差が可能な限りゼロに近くなるように隣接する部屋を測定対象の部屋と同じやり方で条件付けすることで熱の損失を可能な限り最小限に抑えることが好ましい。

実施例

0154

しかしながら、本発明の方法の1つの利点は、本方法が、測定時間が短いため、測定対象の部屋と隣接する部分との間での熱伝達を制限することである。したがって、得られた熱損失係数の値Kcalcを補正する必要性が少なくなる。したがって、本発明の方法は、アパート用ビルの一部の熱損失係数を求めるのに特に適している。

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