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技術 アクティブソーナーおよびアクティブソーナーの制御方法

出願人 日本電気株式会社
発明者 小林稔
出願日 2016年6月22日 (5年7ヶ月経過) 出願番号 2016-123200
公開日 2017年12月28日 (4年1ヶ月経過) 公開番号 2017-227515
状態 特許登録済
技術分野 音波、超音波を用いた位置、速度等の測定
主要キーワード シャドーゾーン 波形イメージ 信号レベル閾値 垂直方位 監視漏れ 水平方位 伝搬経路長 目標到達
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年12月28日)のものです。
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図面 (11)

課題

遠距離目標反響音情報を取得できるアクティブソーナーを提供する。

解決手段

アクティブソーナーは、ファンビーム送信部と、ファンビーム受信部と、伝播経路計算部と、経路時間計算部、水平距離計算部とを有している。ファンビーム送信部は、腑仰角を変えながら水平方向に広く鉛直方向に狭い広がりを持つ送信ファンビームを複数送信する。ファンビーム受信部は、鉛直方向に広く水平方向に狭い広がりを持つ受信ファンビームを受信する。伝播経路計算部は媒体音速プロファイルと腑仰角とに基づいて各送信ファンビームの伝播経路を計算する。経路時間計算部は、各送信ファンビームの送信時刻と当該送信ファンビームの受信時刻に基づいて送信および受信ファンビームが伝搬系路を伝搬する経路時間を計算する。水平距離計算部は、伝搬経路と経路時間とに基づいてアクティブソーナーから反響音発生地点までの水平距離を計算する。

概要

背景

水中監視で、目標垂直方向の情報を得る方法として、クロスファンビーム方式アクティブソーナーが知られている。

クロスファンビーム方式では、垂直方向(水深方向)に細く水平方向に広い送信ファンビームを、腑仰角を変えながら送信し、送信ファンビームと逆に垂直方向に広く水平方向に細い受信ファンビームで受信する。このような構成とすると、1つの送信ファンビーム幅と1つの受信ファンビーム幅で囲まれた領域から、極めて指向性の高い反響音を受信することができる。そして、取得した各領域の反響音を合成することで、2次元の情報を得ることができる。さらに、この情報を可視化することで2次元の画像として利用したり、複数の2次元画像を用いて対象物の3次元形状を把握したりすることもできる。なお、送信ファンビームで、腑仰角とともに周波数を変える方法も知られている。

上記のクロスファンビーム方式を単純に用いると、反響音自体の変調や、雑音混入により正確な情報を得られない場合がある。そこで、これらの影響を取り除き正確な情報を取得しようとする試みも為されている。

例えば、特許文献1には、ドップラー効果による周波数変化補正する方法が開示されている。この技術では、腑仰角の変化とともに周波数が増加する送信ファンビームと、周波数が減少する送信ファンビームとを送信し、目標物の移動によって生じるドップラーを算出して、目標の位置及び速度を求めることができる。

また、特許文献2には、受信信号位相分散値を用いて、受信信号からサイドローブマルチパスの信号を除去する方法が開示されている。この技術では、受信信号を整相処理した後の位相分散値を計算し、位相分散値と振幅との相関を取る。これにより、サイドローブや、マルチパスの反響音を取り除いている。なおサイドローブとはビームフォーミングによって現れるメインローブ音軸)とは異なる方向の信号のことである。またマルチパスの信号とは、反射屈折等により複数の経路を通って受信機に到達した信号のことである。

概要

遠距離目標の反響音情報を取得できるアクティブソーナーを提供する。アクティブソーナーは、ファンビーム送信部と、ファンビーム受信部と、伝播経路計算部と、経路時間計算部、水平距離計算部とを有している。ファンビーム送信部は、腑仰角を変えながら水平方向に広く鉛直方向に狭い広がりを持つ送信ファンビームを複数送信する。ファンビーム受信部は、鉛直方向に広く水平方向に狭い広がりを持つ受信ファンビームを受信する。伝播経路計算部は媒体音速プロファイルと腑仰角とに基づいて各送信ファンビームの伝播経路を計算する。経路時間計算部は、各送信ファンビームの送信時刻と当該送信ファンビームの受信時刻に基づいて送信および受信ファンビームが伝搬系路を伝搬する経路時間を計算する。水平距離計算部は、伝搬経路と経路時間とに基づいてアクティブソーナーから反響音発生地点までの水平距離を計算する。

目的

本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、遠距離目標の反響音情報を取得できるアクティブソーナーを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

平方向に広く鉛直方向に狭い広がりを持つ送信ファンビームを異なる腑仰角で複数送信するファンビーム送信部と、鉛直方向に広く水平方向に狭い広がりを持つ受信ファンビームを受信するファンビーム受信部と、前記送信ファンビームの腑仰角と媒体プロファイルとに基づいて複数の前記送信ファンビームそれぞれについて伝搬経路を計算する伝搬経路計算部と、前記ファンビーム送信部が前記送信ファンビームを送信してから前記ファンビーム受信部が前記送信ファンビームの反響音を反響音信号として受信するまでの時間を経路時間として計算する経路時間計算部と、前記伝搬経路と前記経路時間とに基づいて各反響音発生源から前記ファンビーム受信部までの水平距離を計算する水平距離計算部とを有することを特徴とするアクティブソーナー

請求項2

前記水平距離計算部が、前記経路時間に基づいて前記ファンビーム受信部から前記反響音発生源までの前記伝搬経路に沿った伝搬経路長を計算し、前記伝搬経路長に基づいて前記水平距離を計算することを特徴とする請求項1に記載のアクティブソーナー。

請求項3

前記水平距離計算部が、前記伝搬経路内の微小領域の腑仰角に基づいて前記微小領域に対応する前記水平距離を計算することを特徴とする請求項2に記載のアクティブソーナー。

請求項4

腑仰角の異なる前記送信ファンビームによって生じた複数の反響音信号について、同じ方位で前記水平距離が略同一と計算された反響音信号を所定の規則で合成する合成処理部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれか一項に記載のアクティブソーナー。

請求項5

水平方向に広く鉛直方向に狭い広がりを持つ送信ファンビームを異なる腑仰角で複数送信し、鉛直方向に広く水平方向に狭い広がりを持つ受信ファンビームを受信し、前記送信ファンビームの腑仰角と媒体のプロファイルとに基づいて複数の前記送信ファンビームそれぞれについて伝搬経路を計算し、前記送信ファンビームを送信してから前記送信ファンビームの反響音を反響音信号として受信するまでの時間を経路時間として計算し、前記伝搬経路と前記経路時間とに基づいて各反響音発生源から前記反響音信号の受信部までの水平距離を計算することを特徴とするアクティブソーナーの制御方法

請求項6

前記経路時間に基づいて前記反響音発生源までの前記伝搬経路に沿った伝搬経路長を計算し、前記伝搬経路長に基づいて前記水平距離を計算することを特徴とする請求項5に記載のアクティブソーナーの制御方法。

請求項7

前記伝搬経路内の微小領域の腑仰角に基づいて前記微小領域に対応する前記水平距離を計算することを特徴とする請求項6に記載のアクティブソーナーの制御方法。

請求項8

腑仰角の異なる前記送信ファンビームによって生じた複数の前記反響音信号について、同じ方位で前記水平距離が略同一と計算された前記反響音信号を所定の規則で合成することを特徴と請求項する請求項5乃至請求項7いずれか一項に記載のアクティブソーナーの制御方法。

請求項9

水平方向に広く鉛直方向に狭い広がりを持つ送信ファンビームを異なる腑仰角で複数送信するステップと、鉛直方向に広く水平方向に狭い広がりを持つ受信ファンビームを受信するステップと、前記送信ファンビームの腑仰角と媒体のプロファイルとに基づいて複数の前記送信ファンビームそれぞれについて伝搬経路を計算するステップと、前記送信ファンビームを送信してから前記送信ファンビームの反響音を反響音信号として受信するまでの時間を経路時間として計算するステップと、前記伝搬経路と前記経路時間とに基づいて各反響音発生源から前記反響音信号の受信部までの水平距離を計算するステップとを有することを特徴とするアクティブソーナーの制御プログラム

請求項10

前記経路時間に基づいて前記反響音発生源までの前記伝搬経路に沿った伝搬経路長を計算するステップと、前記伝搬経路長に基づいて前記水平距離を計算するステップとを有することを特徴とする請求項9に記載のアクティブソーナーの制御プログラム。

技術分野

0001

本発明は、アクティブソーナーおよびアクティブソーナーの制御方法に関する。

背景技術

0002

水中監視で、目標垂直方向の情報を得る方法として、クロスファンビーム方式のアクティブソーナーが知られている。

0003

クロスファンビーム方式では、垂直方向(水深方向)に細く水平方向に広い送信ファンビームを、腑仰角を変えながら送信し、送信ファンビームと逆に垂直方向に広く水平方向に細い受信ファンビームで受信する。このような構成とすると、1つの送信ファンビーム幅と1つの受信ファンビーム幅で囲まれた領域から、極めて指向性の高い反響音を受信することができる。そして、取得した各領域の反響音を合成することで、2次元の情報を得ることができる。さらに、この情報を可視化することで2次元の画像として利用したり、複数の2次元画像を用いて対象物の3次元形状を把握したりすることもできる。なお、送信ファンビームで、腑仰角とともに周波数を変える方法も知られている。

0004

上記のクロスファンビーム方式を単純に用いると、反響音自体の変調や、雑音混入により正確な情報を得られない場合がある。そこで、これらの影響を取り除き正確な情報を取得しようとする試みも為されている。

0005

例えば、特許文献1には、ドップラー効果による周波数変化補正する方法が開示されている。この技術では、腑仰角の変化とともに周波数が増加する送信ファンビームと、周波数が減少する送信ファンビームとを送信し、目標物の移動によって生じるドップラーを算出して、目標の位置及び速度を求めることができる。

0006

また、特許文献2には、受信信号位相分散値を用いて、受信信号からサイドローブマルチパスの信号を除去する方法が開示されている。この技術では、受信信号を整相処理した後の位相分散値を計算し、位相分散値と振幅との相関を取る。これにより、サイドローブや、マルチパスの反響音を取り除いている。なおサイドローブとはビームフォーミングによって現れるメインローブ音軸)とは異なる方向の信号のことである。またマルチパスの信号とは、反射屈折等により複数の経路を通って受信機に到達した信号のことである。

先行技術

0007

特開2015-222226号公報
特開2012-189499号公報

発明が解決しようとする課題

0008

しかしながら、一般的なクロスファンビーム方式には、遠距離目標の情報を取得することができないという問題点があった。遠距離目標の場合、異なる腑仰角で送信された複数の送信ファンビームは、それぞれに生じる反射や屈折などの違いによって、互いに異なる伝搬経路伝搬する。その結果、送信ファンビームごとに、同じ目標に到達するまでの時間に差異が生じる。また、腑仰角の上下関係目標到達時の照射位置の上下関係との対応が不明となる場合がある。以上のような理由から、クロスファンビーム方式は、遠距離目標の画像取得には利用されず、近距離目標物の画像取得に用途が限られていた。このような距離の制限は、特許文献1、2いずれの技術を用いても解消することができなかった。

0009

本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、遠距離目標の反響音情報を取得できるアクティブソーナーを提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

0010

上記の課題を解決するため、本発明のアクティブソーナーは、ファンビーム送信部と、ファンビーム受信部と、伝播経路計算部と、経路時間計算部、水平距離計算部とを有している。ファンビーム送信部は、腑仰角を変えながら水平方向に広く鉛直方向に狭い広がりを持つ送信ファンビームを複数送信する。ファンビーム受信部は、鉛直方向に広く水平方向に狭い広がりを持つ受信ファンビームを受信する。伝播経路計算部は媒体音速プロファイルと腑仰角とに基づいて各送信ファンビームの伝播経路を計算する。経路時間計算部は、各送信ファンビームの送信時刻と当該送信ファンビームの受信時刻に基づいて送信および受信ファンビームが伝搬系路を伝搬する経路時間を計算する。水平距離計算部は、伝搬経路と経路時間とに基づいてアクティブソーナーから反響音発生地点までの水平距離を計算する。

発明の効果

0011

本発明の効果は、遠距離目標の反響音情報を取得できるアクティブソーナーを提供できることである。

図面の簡単な説明

0012

第1の実施形態を示すブロック図である。
クロスファンビーム方式の概要を示す模式図である。
近距離目標と遠距離目標に対する送信ファンビームの伝搬経路を示す模式図である。
第2の実施形態を示すブロック図である。
伝搬経路に基づく水平距離の計算方法を示す図である。
第2の実施形態のアクティブソーナーの動作を示すフローチャートである。
第3の実施形態を示すブロック図である。
送信波形を示すタイミングチャートである。
第4の実施形態の画像表示例を示す模式図である。
第4の実施形態のデータ処理例を示す模式図である。

実施例

0013

以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお各図面の同様の構成要素には同じ番号を付し、説明を省略する場合がある。

0014

(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態のアクティブソーナーを示すブロック図である。アクティブソーナーは、ファンビーム送信部1と、ファンビーム受信部2と、伝搬経路計算部3と、経路時間計算部4と、水平距離計算部5とを有している。

0015

ファンビーム送信部1は、水平方向に広く鉛直方向に狭い広がりを持つ送信ファンビームを、腑仰角を変えながら複数送信する。

0016

ファンビーム受信部2は、鉛直方向に広く水平方向に狭い広がりを持つ受信ファンビームを受信する。

0017

伝搬経路計算部3は、送信ファンビームの腑仰角と媒体のプロファイルとに基づいて、それぞれの送信ファンビームの伝搬経路を計算する。代表的な媒体は水(淡水海水)であるが、この場合のプロファイルは、水圧水温塩分濃度などであり、これらのプロファイルから、媒体中の音速プロファイルを算出することができる。そして、音速プロファイルから求まる媒体中の各位置における音速を用いて、各送信ファンビームの伝搬経路を計算することができる。伝搬経路の計算は、例えば、よく知られたスネルの法則を用いる音線理論に従って実行することができる。

0018

経路時間計算部4は、送信ファンビームを送信してから、当該ファンビームによる反響音を受信するまでの時間としての経路時間を計算する。経路時間は、送信ファンビームおよび受信ファンビーム中の反響音が伝搬経路を伝搬している時間に相当する。

0019

水平距離計算部5は、計算によって求めた伝搬経路と経路時間とに基づいて、アクティブソーナーから反響音発生地点(目標)までの水平距離を計算する。

0020

以上説明したように、本実施形態によれば、送信ファンビームおよび受信ファンビームに反射や屈折があっても、アクティブソーナーから反響音発生地点までの水平距離を求めることができる。このため、本実施形態のアクティブソーナーは、遠距離の目標物を捕捉することができる。
(第2の実施形態)
本実施形態のアクティブソーナーの説明をする前に、クロスファンビーム方式の概要について説明する。図2は、クロスファンビーム方式の概要を説明するための模式図である。まず、図2(a)のように、アクティブソーナー100が、水平方向に広く鉛直方向に狭い送信ファンビーム10を送信する。送信ファンビーム10は腑仰角方向方位を変えながら複数送信する。ここで、1つの送信ファンビームのことをレイヤとも呼ぶこととする。次に、アクティブソーナー100は、鉛直方向に広く水平方向に狭い受信ファンビーム20で反響音を受信する。この構成とするとアクティブソーナー100の1つの受波機は、送受のファンビームがクロスしたクロスポイントから指向性の高い受信信号30を受信する。そして、このような受波器を異なる水平方位に向けて複数並べておくことで、1レイヤ分の受信信号31が得られる(図2(b))。

0021

さらに、複数の方位に送信した送信ファンビーム10について同様の信号を取得し、送信時間差受信時間差を補正することにより、1フレーム分の受信信号32が得られる(図2(c))。なお、1フレームとは、送信ファンビーム10の腑仰角を1サイクルスキャンした範囲であるとしている。

0022

媒体中の音速を用いて、送信ファンビームを送信してから反響音を受信するまでの時間を、アクティブソーナーから反響音発生地点までの距離に換算することができる。したがって、異なる時刻に受信した複数フレームの受信信号を用いて、目標物の3次元情報を取得することができる。図2(d)には、時刻t1、t2、t3、t4、・・・における受信信号フレーム32_1、32_2、32_3、32_4を並べた例を示している。

0023

上記のクロスファンビーム方式の説明は、送信ファンビーム10が目標(反響音発生部)に到達するまでに、複数のファンビームの間で上下関係が逆転しないことが前提となっている。これは、実際の探索では、水面や水底での反射の無い、近距離を探索していることに相当する。一方、遠距離の探索を行う場合、送信ファンビーム、受信ファンビームは水面や水底で反射する経路を伝搬することがあるため、一般的なクロスファンビーム方式と同じ方法では、目標の正確な反響音情報を取得することができない。

0024

上記の状況を、具体例を用いて説明する。図3は、アクティブソーナー100を海底500に設置し、近距離目標300が存在する状況(a)と、遠距離目標400が存在する状況(b)とを示す模式図である。ここでは、送信ファンビームの腑仰角が3種類の例を示し、送信ファンビームを腑仰角が上方のものから10a、10b、10cとしている。また目標からの受信ファンビームは受波器120で受波する。

0025

図3(a)のように、目標が近距離にある場合は、3つの送信ファンビーム10a、10b、10cは、腑仰角の上下関係を保ったまま近距離目標300に到達し、同じ伝搬経路を通る受信ファンビームで受波器120が反響音を受信する。したがって、受信信号の受信時間差を送信時間差で補正すれば、近距離目標300の正確な反響音情報を得ることができる。

0026

一方、目標が遠距離目標400である図3(b)の場合、送信ファンビーム10aは反射や屈折によって、腑仰角ごとに大きく異なる伝搬経路をたどる。図3(b)の例では、送信ファンビーム10aは、海面510で反射されて遠距離目標400の下方に到達する。また、送信ファンビーム10bは、遠距離目標400には当たらず、送信ファンビーム10cは、遠距離目標400の中央付近に当たる。このように、遠距離目標400については、腑仰角と伝搬経路の上下関係が保たれず、近距離目標300のように、多くの情報が得られない。しかしながら腑仰角を変化させながら、送信ファンビームを送信することにより、送信ファンビームの届かないシャドーゾーンを小さくし、遠距離目標を捕捉できる確率が高くなる。

0027

次に、本実施形態のアクティブソーナーについて説明する。図4は本実施形態のアクティブソーナーを示すブロック図である。アクティブソーナー200は、ファンビーム送信部210と、ファンビーム受信部220と、信号処理部230とを有している。

0028

ファンビーム送信部210は、水平方向に広く鉛直方向に狭い広がりを持つ送信ファンビームを送信する。この時、腑仰角を変えながら複数の送信ファンビームを送信する。

0029

ファンビーム受信部220は、鉛直方向に広く水平方向に狭い広がりを持つようにビームフォーミングを行った受信ファンビームを受信する。

0030

信号処理部230は受信ファンビームの受信信号に基づいて、目標からの反響音情報を取得する。そのために、プロファイルデータ取得部231と、伝搬経路計算部232と、経路時間計算部233と、水平距離計算部234と、合成処理部235とを有している。

0031

プロファイルデータ取得部231は、ファンビームの媒体、例えば海水についての、各種のプロファイルデータを取得する。プロファイルデータは、例えば、水温プロファイルデータ、塩分プロファイルデータ、海底地形データ等である。これらのプロファイルデータは、測定器データベースから取得することができる。

0032

伝搬経路計算部232は、プロファイルデータ取得部231が取得した各種プロファイルデータと送信ファンビームの腑仰角とに基づいて、送信ファンビームおよび受信ファンビームの伝搬経路を計算する。この時の計算は、例えば、上記のプロファイルデータに基づいて各位置における音速を求め、その音速をスネルの法則を用いる音線理論に当てはめて実行することができる。なお送信ファンビームと受信ファンビームとは同じ伝搬経路を伝搬するものとする。

0033

経路時間計算部233は、送信ファンビームが送信されてから受信部が反響音を受信するまでの経路時間を計算する。

0034

水平距離計算部234は伝搬経路と経路時間とに基づいて、アクティブソーナー200から反響音発生地点までの水平距離を計算する。水平距離の計算方法については、後述する。

0035

合成処理部235は、水平距離計算部234が計算した水平距離と方位とが同じ信号同士を合成する。この時、垂直方位を考慮せずに、水平方位のみでグルーピングを行っても良い。これは図3の説明で述べたように、伝搬経路の上下関係が距離ごとに入れ替わることやシャドーゾーンが存在することによって、垂直方位については詳細な情報を得ることが困難なためである。そして、合成処理部235は合成処理を行ったデータを、当該方位、当該水平距離の反響音データとして出力する。出力された反響音データは、表示部240で表示したり、追尾装置250に入力したりして利用することができる。

0036

次に、水平距離の計算方法について説明する。図5は伝搬経路を微小区間に区切った時の、各地点における音線と水平距離の関係を示す図である。矢印は音線を表し、i地点における音線を音線i、i+1地点における音線を音線i+1としている。そして、それぞれの腑仰角(水平面からの角度)をθi、θi+1、音速をci、ci+1としている。ここで、音速cは位置の関数で、地点ごとにプロファイルデータから算出されるものである。腑仰角θは、境界両側の音速からスネルの法則に基づいて求められる。また、音線に沿った距離をs、水平距離をr、時間をtとする。

0037

微小時間Δtiの間にi地点で音波が進む距離(音線の長さ)をΔsi、この時に進む水平距離をΔriとすると次の二式が成り立つ。

0038

Δsi=ci・Δti ・・・ (1)

Δri=ci・Δti・cosθi −−− (2)

同様に、i+1点における音線に対して、次の二式が成り立つ。

0039

Δsi+1=ci+1・Δti+1 −−− (3)

Δri+1=ci+1・Δti+1・cosθi+1 −−− (4)

同様にして、伝搬経路の各地点で微小時間に伝搬経路上を音波が進む距離に対応する水平距離を求めることができる。

0040

いま、ある送信ファンビームを送信してから反響音を受信するまでの時間、すなわち経路時間をT、反響音発生点である目標物までの水平距離をRとする。すると経路時間は音波が往復する時間なので、Tは上述のΔtの総和の2倍になる。したがって次式が成り立つようにΔtiを足しこめばよい。

0041

(5)式から足すべきデータの個数nがわかるので、同じ個数nだけ微小水平距離Δriを足しこむことで、目標までの水平距離Rが求まる。すなわち水平距離Rを次式で表すことができる。

0042

以上の計算により、各受信信号の発生源までの水平距離を求めることができる。

0043

そして、異なる受信ファンビームについて同じ水平方位と同じ水平距離にあるもの同士を合成して、当該距離、当該方位からの反響音信号とすることができる。

0044

次に、アクティブソーナーの動作について説明する。図6はアクティブソーナーの動作を示すフローチャートである。

0045

まず、腑仰角を変えながら複数の送信ファンビームを送信する(S1)。次に受信ファンビームで反響音信号を受信する(S2)。次に受信した各反響音信号について、当該信号発生源までの水平距離を計算する。この計算は、所望する受信信号について計算が完了するまで繰り返し行う。(S3−S5)そして、信号発生源が同じ方位と同じ水平距離にあるデータ同士を合成する(S6)。

0046

以上説明したように、本実施形態によれば、クロスファンビーム方式を用いて遠距離にある目標物を捕捉することができる。

0047

(第3の実施形態)
本実施形態では、アクティブソーナーの具体的な詳細構成例について説明する。図7は、本実施形態のアクティブソーナーの例を示すブロック図である。アクティブソーナーは、送信部610と、受信部620と、信号処理部630とを有している。

0048

送信部610は、送波器611と、送波処理部612と、DAC613と、信号発生器614とを有している。なおDACとは、Digital to Analog Converterのことである。

0049

送波器611は、電気信号音波信号に変換し水中に送信する。送波処理部612は、デジタル信号高周波ノイズカットし電気信号を増幅する。DAC613は、信号発生器614からのデジタル信号をアナログ信号に変換する。信号発生器614は、PCW(Pulsed Continuous Wave)やLFM(Linear Frequency Modulation)といったデジタル波形を生成する。送波器611は、腑仰角の異なる複数の送信ファンビームを送波する。

0050

受信部620は、受波器621と、受波処理部622と、ADC623と、受信信号処理部624とを有している。なおADCとは、Analog to Digital Converterのことである。

0051

受波器621は、音波を受信し電気信号に変換する。受波処理部622は、受波器621から出力される電気信号を増幅し、必要帯域以外をろ過する。ADC623は、受波処理部622のアナログ信号をデジタル信号に変換する。受信信号処理部624は、ADC623の出力をベースバンド変換、整相処理、AGC(Automatic Gain Control)処理、パルス圧縮処理自動検出処理等の信号加工処理をおこなう。

0052

信号処理部630は、環境データ保持部631と、音速プロファイル変換部632と、伝搬経路計算部633と、経路時間計算部634と、合成処理部635と、追尾処理部636と、水平監視表示637と、鉛直信号表示638とを有している。環境データ保持部631は、水深と水温の関係から水温計測器等で観測される水温プロファイルデータや、塩分計測器等で観測される塩分プロファイルデータ、および海底地形データ等の環境データを保持する。音速プロファイル変換部632は、水温プロファイル、塩分プロファイルを、水深と音速の関係で表される音速プロファイルに変換する。伝搬経路計算部633は、音速プロファイル変換部から出力される音速プロファイルおよび環境データから入力される海底地形データに基づいて伝搬経路を計算する。経路時間計算部634は、伝搬経路計算部からの各送信腑仰角に送信したファンビームの経路時間を計算する。合成処理部635は、受信信号処理部624の出力である各送信腑仰角に対する検出結果を合成する。

0053

追尾処理部636は、合成処理部635の検出結果を元にデータを関連付けし次の移動位置を予測する。追尾処理では、カルマンフィルタパーティクルフィルタのような状態推定方式により時系列移動目標予測位置を計算すると共に、複数発生する予測位置を相関し、予測目標位置を絞る処理が実行される。水平監視表示637は、追尾処理部636の追尾結果を水平図として表示する。鉛直信号表示638は、合成処理部635の音響データをクロスファンビーム方式により鉛直表示する。

0054

次にアクティブソーナーの動作について説明する。まず、信号発生器614においてソーナーに有効な波形デジタルで作成する。このときの波形イメージは、例えば図8のようにする。ここでは、腑仰角θ1、周波数F1の送信ファンビーム10−1、腑仰角θ2、周波数F2の送信ファンビーム10−2、・・・、腑仰角θn、周波数Fnの送信ファンビーム10−nのパルスを送信するものとする。波形としては、例えば、単一周波数パルス波形であるPCWやLFMを用いることができるが、本実施形態は波形によらない。例えば、位相変調波形や、非線形周波数変調波形等を用いたとしても、受信信号処理部624の処理内容が変わるだけであり、得られる出力データの形(距離と方位の位置データ)は変わらないためである。図8の例にあるように、波形をクロスファンビーム方式として、水中で垂直方向に腑仰角をnパターン変えながら、パルスを分けて送信する。このとき、波形がPCWであれば各腑仰角に対する周波数をF1〜Fnまでnパターンとする。また、波形がLFM等の帯域を持つ変調波形であれば、中心周波数がF1〜Fnまでnパターン変化する。このとき、PCWやLFM等の帯域を持つ波形のどちらについても、対処目標ドップラシフトによる受信信号の干渉がおこらないよう各周波数F1〜Fnを選択することが望ましい。

0055

送信周波数をFn、目標の最大速度をV、水中音速をCとしたとき得られる目標のドップラシフトΔFは以下のとおりである。

0056

ファンビームの送信では、送信腑仰角の値に応じて、送波器611が保有する複数の素子(例えばL個)の各素子に対する時間を遅延させる。ここで、送信腑仰角の数は2以上とする。

0057

そして、信号発生器614が作成したデジタル波形を、DAC613で送波器611が保有するL個分のアナログ信号に変換する。アナログ信号に変換されたL個の送信信号は、送波処理部612において、送信周波数帯域(周波数F1−Fnに変調帯域幅を加えた帯域)だけを通すようにアナログフィルタリングを行い、さらにパワーアンプで振幅を増幅して送波器611に入力する。送波器611は、複数の鉛直方向の送波素子から構成される。各送波素子は、送波処理部612の電気信号を音波に変換する。これにより、水中に垂直ビームシフトの腑仰角をつけた送信ファンビームを送信する。水中に送信された送信ファンビームは、目標700に向かって伝搬する。

0058

一方、目標700から反射された反射波はM個の受波素子から構成される受波器621により受信され、電気信号に変換される。受波器621から出力される電気信号は、受波処理部622において増幅される。また、一般に送信帯域より広い受信帯域幅以外をフィルタリングし、ADC623に入力する。ADC623では、レベル量子化と時間のサンプリングをおこないM個のアナログ信号を、それぞれデジタル信号に変換する。デジタル信号は、受信信号処理部624において、サンプリングレート下げるためベースバンド変換され、腑仰角により分けられたn種類の帯域にフィルタを用いて分離される。分離されたn種M個の受信データは水平ビームに変換する整相処理をおこなう。ここで、送信腑仰角n種のそれぞれの受信信号をレイヤ1、レイヤ2、・・・、レイヤnと呼ぶ。

0059

波形がLFMや他の変調波形であれば、受信信号の各時間に対して送信信号との相関をとるパルス圧縮処理をおこなう。さらに、距離により大きく変化する信号の絶対レベルをAGC(Automatic Gain Control)処理を通じて相対レベルに変換する。ここまでの処理を通じて、M個の素子からなる受波器621で得られた受信信号は、nレイヤの帯域毎に複数水平ビーム(N本とする)かつ、距離方向にP数の位置データ(距離P、方位N)に変換される。つまり、nは各垂直方向に角度を変えた垂直平面数を表し、これらに対してそれぞれP×N格子の受信データが得られる。このとき全受信データの総数はn種×距離P×方位Nとなる。

0060

次に、信号処理部630について説明する。環境データ保持部631は、予め観測される水温や塩分プロファイルといった環境データを保持し、これらのデータを音速プロファイル変換部632に入力する。音速変換の式は、水温や塩分により関係づけられており、いくつも変換式が知られている(例えばソープの音速式など)。ただし、本発明は音速変換式の種類には依らない。音速プロファイルは伝搬経路計算部633に入力される。伝搬経路の計算は、例えば、よく知られたスネルの法則を用いる音線理論に従って実行する。それぞれのレイヤnに対して伝播経路を計算する。経路時間計算部634は、送信ファンビームの送信時刻と対応する反響音信号の受信時刻とに基づいて、n個のレイヤに対する経路時間T1、T2、・・・、Tnを計算する。そして、その結果を合成処理部635に入力する。合成処理部635は、伝搬経路計算結果と経路時間とを用いて、各受信信号の発生源の水平距離を計算する。そして、同じ水平方位で同じ水平距離になるレイア間のデータを合成する。また、合成したデータを追尾処理部636に入力する。

0061

以上説明したように、本実施形態によれば、クロスファンビーム方式で遠距離目標の反響音情報を取得し、追尾処理等に利用することができる。

0062

(第4の実施の形態)
本実施形態では、図7の受信信号処理部624から追尾処理部636までの処理を詳細に説明する。ここでは、水平ビーム数(水平方位数)が5、水平距離の区分数が10の画像が得られると仮定する。画像の具体例を図9(a)に示す。この信号には、雑音/残響が含まれているので、受信信号処理部624では、信号レベル閾値信号長等を用いて、信号を検出し雑音/残響を落とすような自動検出処理をおこなう。この処理により、ノイズを除去した信号を得る。この信号を画像として表示した例を図9(b)に示す。

0063

次に上述の処理を行った信号を受信信号処理部624が合成処理部635に出力する。合成処理部635では、異なるレイヤの信号を、同じ水平方位、同じ水平距離ごとに合成する処理を行う。具体例を図10に示す。ここでは送信腑仰角1のデータと送信腑仰角2の2レイヤを合成するものとする。画像の画素を(水平方位、水平距離)で表すこととすると、図10(a)の送信腑仰角1の画像では(3,8)、(3,9)の2点に信号が存在する。同様に、図10(b)の送信腑仰角2の画像では(3,7)、(3,8)の2点に信号が存在する。このため、これらを合成した画像である図10(c)では、(3,7)、(3,8)、(3,9)の3点に信号が存在することになる。ここで、計算によって求めた水平距離には、ある程度の誤差が含まれていると考えられる。そこで、上記2つのデータが重なったところが、実際の目標の位置として確からしいと推定する絞り込みを行うことも可能である。ここでは、単純に合成したデータから2つの画像の重なっているデータだけを採用し、図10(d)に示す(3,8)を追尾処理部636の入力データとする例を示している。以上説明したように、腑仰角を変えた異なる伝搬経路により、同じ目標からの信号が得られる場合は、より確度の高い反響音データを得ることができる。つまり検出対象検出確率を増すことができる。

0064

以上説明したように、本実施形態によれば、近距離から遠距離、海面から海底までに渡る広い範囲を監視し、移動目標の監視漏れを防ぐことができる。

0065

上述した第1乃至第4の実施形態の処理をコンピュータに実行させるプログラムおよび該プログラムを格納した記録媒体も本発明の範囲に含む。記録媒体としては、例えば、磁気ディスク磁気テープ光ディスク光磁気ディスク半導体メモリ、などを用いることができる。

0066

以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。

0067

1ファンビーム送信部
2 ファンビーム受信部
3伝搬経路計算部
4経路時間計算部
5水平距離計算部
10 送信ファンビーム
20 受信ファンビーム
30受信信号
100、200アクティブソーナー
210 ファンビーム送信部
220 ファンビーム受信部
230、630信号処理部
300 近距離目標
400遠距離目標
500海底
510 海面
610 送信部
620 受信部
630 信号処理部
700 目標

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