図面 (/)

技術 硫酸ニッケルと硫酸コバルトの低塩素濃度混合水溶液の製造方法

出願人 住友金属鉱山株式会社
発明者 天野道永井啓明早田二郎
出願日 2016年6月20日 (3年0ヶ月経過) 出願番号 2016-122147
公開日 2017年12月28日 (1年6ヶ月経過) 公開番号 2017-226559
状態 特許登録済
技術分野 重金属無機化合物(II) 金属の製造または精製
主要キーワード 低濃度硫酸 次資源 電気コバルト ガス吹込み装置 クロロ錯イオン 低塩素濃度 高純度ニッケル 硫化鉱石
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年12月28日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (3)

課題

少なくともClと、Ni(OH)3と、Co(OH)3を含む混合物スラリー硫酸を添加してスラリー中の固体成分を溶解し、含まれている塩素分を除去したNiSO4とCoSO4の混合水溶液を製造する方法であって、特段コスト増加、効率低下を伴わずに、塩素濃度の低いNiSO4とCoSO4の混合水溶液の製造方法を提供する。

解決手段

5〜10重量%のClと、35〜60重量%のNiと、1〜10重量%のCoを少なくとも含む混合物にスラリー化水溶液を添加してスラリー濃度が360g/L以下の濃度調整スラリーを形成した後、その濃度調整スラリーに硫酸を添加して作製したスラリーの固体成分を溶解する溶解液の温度を60℃以上に保持し、且つ溶解液のpHを2.0以下に制御してスラリーの固体成分を溶解してスラリーに含まれるClを除去することで、塩素濃度の低いNiSO4とCoSO4の混合水溶液を得るNiSO4とCoSO4の低塩素濃度混合水溶液の製造方法。

概要

背景

不純物濃度が低く、ニッケル純度の高い「高純度硫酸ニッケル」は、一般的なめっき材料、ハードディスク用の無電解めっき材料、触媒材料コンデンサーインダクター等の電子部品用材料電池用材料等として使用されている。

最近では、ハイブリッド自動車電気自動車モバイル通信機器パソコン等の電子機器電力貯蔵設備等に用いられるニッケル水素電池リチウムイオン電池、即ち二次電池需要加速的に増加しているが、それら二次電池の正極材料原料として、高純度硫酸ニッケルが使用されている。

この高純度硫酸ニッケルの製品としての形態には、水溶液の状態で出荷されるものと、水溶液を濃縮結晶脱水、乾燥させた結晶の状態で出荷されるものがある。
主に、電子部品用材料や電池用材料としては、より不純物含有率が低い高純度硫酸ニッケル水溶液が必要とされてきており、鉄、銅、亜鉛等の陽イオン構成元素および塩素などの陰イオン構成元素が含まれていない高純度なものが望まれ、そのための製造プロセスが開発されている。

この高純度硫酸ニッケル水溶液を得る方法には、例えば電解採取等のプロセスを経て生産された高純度ニッケル硫酸に溶解する方法もある。
しかし、製造する過程で、大規模な装置を用いて、既に大量のエネルギーや手間を掛けて得られた高純度ニッケルを原料とする方法は、エネルギーやコストを考えると、有利な方法では無い。

そこで、鉱物資源もしくは二次資源からニッケルを分離、濃縮する過程で、高純度硫酸ニッケル水溶液を得る方法が得策となる。
一般的には、ニッケルを含む原料を硫酸に溶解し、得られた粗硫酸ニッケル水溶液中の鉄、銅、コバルトなどの不純物を除去する。
そして、結晶の場合、不純物を除去した後にこの水溶液を加熱蒸発させることにより濃縮し、続いて冷却して硫酸ニッケルの結晶を析出させる。

高純度な硫酸ニッケルを製造するためには、原料の溶解方法や結晶を析出させる晶析工程の条件設定も当然重要であるが、晶析前の硫酸ニッケル水溶液中の不純物を低下させることがより重要である。
通常、硫酸ニッケル製造の原料には、ニッケルの他に鉄、銅、亜鉛などの不純物が含まれており、これら不純物は原料を溶解するときにニッケルとともに溶解液浸出される。

高純度な硫酸ニッケルを製造するためには、これら陽イオン構成元素を溶解液から何らかの方法で除去する必要があるが、塩素などの陰イオン構成元素も完全に除去しなければ高純度の硫酸ニッケル水溶液は製造することができない。
そこで、陽イオン構成元素を除去する方法としては、沈澱法、溶媒抽出法イオン交換法など種々の方法が提案されており、粗硫酸ニッケル水溶液から比較的容易に除去することができる。
一方陰イオン構成元素は、一般に除去され難く、特に塩素イオンは一旦溶解液に混入してしまうとその除去は事実上極めて困難である。

ところで、ニッケル製錬においては、乾式製錬法で得られたNi3S2等のニッケル硫化物を主成分とするニッケルマットが生産されている。
さらに、近年では、埋蔵量豊富でかつ地表近くに存在するため、比較的容易に採掘することができる低ニッケル品位ニッケル酸化鉱石を原料とし、湿式製錬法によりニッケルとコバルトの混合硫化物(以降、混合硫化物と称する場合がある)を生産することが行なわれている。

上記ニッケルマットや混合硫化物を原料として、ニッケルおよびコバルトを精製する方法、すなわちニッケルの湿式製錬プロセスとしては、ニッケルマットや混合硫化物を塩素ガス酸化力を利用して浸出し、浸出液から不純物を除去し、浸出されたニッケルイオンおよびコバルトイオンを電解採取によって電気ニッケル及び電気コバルトとして製品化する方法が実用化されている。
ここで、浸出液から不純物を除去する過程で、微量の酸化鉛を含んだ水酸化第二ニッケルと、水酸化第二コバルトを含む混合物が発生する。
この混合物が、硫酸に溶解され、高純度硫酸ニッケルの原料として用いられる。

この混合物は、原料を塩素ガスで浸出した塩化ニッケル水溶液に塩素ガスを吹込んで酸化して得られたものであるため、一部の金属は塩素を含有する化合物として沈殿し、さらには、塩素イオンを含有する母液が付着することもあり、得られる混合物は高濃度で塩素を含有してしまう。
したがって、高純度硫酸ニッケル製造工程において、このような混合物が溶解される際に、ニッケルと共に塩素も混入するため、塩素イオンを効率良く除去することが低塩素硫酸ニッケル製造において重要となる。

特許文献1には、少なくとも塩素と、水酸化第二ニッケルと、水酸化第二コバルトとを含む混合物のスラリーを作製し、そのスラリーに硫酸を添加した溶液液温を60℃以上、pHを2.0以下となるように制御しながらスラリーの固体成分を溶解して、塩素分を除去する低塩素ニッケルコバルト硫酸溶液の製造方法が開示されている。

特許文献2には、澱物スラリー化した後、作製したスラリーに、濃度50重量%以上の硫酸を添加し、そのpHを0〜2の範囲に調整し、且つガスを吹込む低塩素濃度のニッケルとコバルトの混合硫酸水溶液の製造方法が開示されている。
しかし、ガスを吹込むためには、溶解装置ガス吹込み装置を備える必要があり、設備コストガス吹込みのための運転コストが増加し、ガス吹込み時間を要することから溶解時間も増えるために、その運転効率が低下する問題を抱えている。

また特許文献3には、コバルトが除去されてなる溶液から得られた、ニッケル水酸化物を含有するスラリーに、コバルトイオンを含有する水溶液を添加し、その後、そのスラリーに硫酸を添加して溶解させることにより塩素分を除去する低塩素硫酸ニッケル/コバルト溶液の製造方法が開示されている。
しかし、コバルトを添加することは、その後の工程においてコバルトを除去するためのコスト増加につながる。また、コバルトの繰返しが必要になるため、コバルトの製品化に要する時間が長くなるという欠点を有している。

これらの特許文献に開示された技術は、特許文献1に記載の方法を基礎として、特許文献2または特許文献3に記載の方法に改良されてきたものであるが、近年、硫酸ニッケル水溶液に対する高純度化、即ちより不純物濃度の低い硫酸ニッケル水溶液への要求が高まってきており、さらなる改善が求められていた。

概要

少なくともClと、Ni(OH)3と、Co(OH)3を含む混合物のスラリーに硫酸を添加してスラリー中の固体成分を溶解し、含まれている塩素分を除去したNiSO4とCoSO4の混合水溶液を製造する方法であって、特段のコスト増加、効率低下を伴わずに、塩素濃度の低いNiSO4とCoSO4の混合水溶液の製造方法を提供する。5〜10重量%のClと、35〜60重量%のNiと、1〜10重量%のCoを少なくとも含む混合物にスラリー化水溶液を添加してスラリー濃度が360g/L以下の濃度調整スラリーを形成した後、その濃度調整スラリーに硫酸を添加して作製したスラリーの固体成分を溶解する溶解液の温度を60℃以上に保持し、且つ溶解液のpHを2.0以下に制御してスラリーの固体成分を溶解してスラリーに含まれるClを除去することで、塩素濃度の低いNiSO4とCoSO4の混合水溶液を得るNiSO4とCoSO4の低塩素濃度混合水溶液の製造方法。

目的

本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて考案されたものであり、少なくとも塩素と、水酸化第二ニッケルと、水酸化第二コバルトを含む混合物をスラリー化し、作製したスラリーに硫酸を添加してスラリー中の固体成分を溶解し、含まれている塩素分を除去した硫酸ニッケルと硫酸コバルトの混合水溶液を製造する方法であって、特段のコスト増加、効率低下を伴わずに、塩素濃度の低い硫酸ニッケルと硫酸コバルトの混合水溶液を製造する方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

5〜10重量%の塩素と、35〜60重量%のニッケルと、1〜10重量%のコバルトを少なくとも含む混合物スラリー化水溶液を添加してスラリー濃度が360g/L以下の濃度調整スラリーを形成した後、前記濃度調整スラリーに硫酸を添加して作製した前記スラリーの固体成分を溶解する溶解液を、前記溶解液の温度を60℃以上に保持し、且つ前記溶解液のpHを2.0以下に制御して前記濃度調整スラリーの固体成分を溶解して前記スラリーに含まれる塩素を除去することで、塩素濃度の低い硫酸ニッケル硫酸コバルト混合水溶液を得ることを特徴とする硫酸ニッケルと硫酸コバルトの低塩素濃度混合水溶液の製造方法。

請求項2

前記濃度調整スラリーのスラリー濃度が、300〜360g/Lであることを特徴とする請求項1記載の硫酸ニッケルと硫酸コバルトの低塩素濃度混合水溶液の製造方法。

請求項3

前記溶解液のpHを1.5以下に維持するように制御して前記濃度調整スラリーの固体成分を溶解することを特徴とする請求項1又は2に記載の硫酸ニッケルと硫酸コバルトの低塩素濃度混合水溶液の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、少なくとも塩素と、水酸化第二ニッケルと、水酸化第二コバルトを含む混合物を溶解して塩素濃度の低い硫酸ニッケル硫酸コバルト混合水溶液を製造する方法に関するものであり、本発明で得られた硫酸ニッケルと硫酸コバルトの混合水溶液から、さらに不純物を公知の方法で除去し、高純度の硫酸ニッケルを得ることを可能とするものである。

背景技術

0002

不純物濃度が低く、ニッケルの純度の高い「高純度硫酸ニッケル」は、一般的なめっき材料、ハードディスク用の無電解めっき材料、触媒材料コンデンサーインダクター等の電子部品用材料電池用材料等として使用されている。

0003

最近では、ハイブリッド自動車電気自動車モバイル通信機器パソコン等の電子機器電力貯蔵設備等に用いられるニッケル水素電池リチウムイオン電池、即ち二次電池需要加速的に増加しているが、それら二次電池の正極材料原料として、高純度硫酸ニッケルが使用されている。

0004

この高純度硫酸ニッケルの製品としての形態には、水溶液の状態で出荷されるものと、水溶液を濃縮結晶脱水、乾燥させた結晶の状態で出荷されるものがある。
主に、電子部品用材料や電池用材料としては、より不純物の含有率が低い高純度硫酸ニッケル水溶液が必要とされてきており、鉄、銅、亜鉛等の陽イオン構成元素および塩素などの陰イオン構成元素が含まれていない高純度なものが望まれ、そのための製造プロセスが開発されている。

0005

この高純度硫酸ニッケル水溶液を得る方法には、例えば電解採取等のプロセスを経て生産された高純度ニッケル硫酸に溶解する方法もある。
しかし、製造する過程で、大規模な装置を用いて、既に大量のエネルギーや手間を掛けて得られた高純度ニッケルを原料とする方法は、エネルギーやコストを考えると、有利な方法では無い。

0006

そこで、鉱物資源もしくは二次資源からニッケルを分離、濃縮する過程で、高純度硫酸ニッケル水溶液を得る方法が得策となる。
一般的には、ニッケルを含む原料を硫酸に溶解し、得られた粗硫酸ニッケル水溶液中の鉄、銅、コバルトなどの不純物を除去する。
そして、結晶の場合、不純物を除去した後にこの水溶液を加熱蒸発させることにより濃縮し、続いて冷却して硫酸ニッケルの結晶を析出させる。

0007

高純度な硫酸ニッケルを製造するためには、原料の溶解方法や結晶を析出させる晶析工程の条件設定も当然重要であるが、晶析前の硫酸ニッケル水溶液中の不純物を低下させることがより重要である。
通常、硫酸ニッケル製造の原料には、ニッケルの他に鉄、銅、亜鉛などの不純物が含まれており、これら不純物は原料を溶解するときにニッケルとともに溶解液浸出される。

0008

高純度な硫酸ニッケルを製造するためには、これら陽イオン構成元素を溶解液から何らかの方法で除去する必要があるが、塩素などの陰イオン構成元素も完全に除去しなければ高純度の硫酸ニッケル水溶液は製造することができない。
そこで、陽イオン構成元素を除去する方法としては、沈澱法、溶媒抽出法イオン交換法など種々の方法が提案されており、粗硫酸ニッケル水溶液から比較的容易に除去することができる。
一方陰イオン構成元素は、一般に除去され難く、特に塩素イオンは一旦溶解液に混入してしまうとその除去は事実上極めて困難である。

0009

ところで、ニッケル製錬においては、乾式製錬法で得られたNi3S2等のニッケル硫化物を主成分とするニッケルマットが生産されている。
さらに、近年では、埋蔵量豊富でかつ地表近くに存在するため、比較的容易に採掘することができる低ニッケル品位ニッケル酸化鉱石を原料とし、湿式製錬法によりニッケルとコバルトの混合硫化物(以降、混合硫化物と称する場合がある)を生産することが行なわれている。

0010

上記ニッケルマットや混合硫化物を原料として、ニッケルおよびコバルトを精製する方法、すなわちニッケルの湿式製錬プロセスとしては、ニッケルマットや混合硫化物を塩素ガス酸化力を利用して浸出し、浸出液から不純物を除去し、浸出されたニッケルイオンおよびコバルトイオンを電解採取によって電気ニッケル及び電気コバルトとして製品化する方法が実用化されている。
ここで、浸出液から不純物を除去する過程で、微量の酸化鉛を含んだ水酸化第二ニッケルと、水酸化第二コバルトを含む混合物が発生する。
この混合物が、硫酸に溶解され、高純度硫酸ニッケルの原料として用いられる。

0011

この混合物は、原料を塩素ガスで浸出した塩化ニッケル水溶液に塩素ガスを吹込んで酸化して得られたものであるため、一部の金属は塩素を含有する化合物として沈殿し、さらには、塩素イオンを含有する母液が付着することもあり、得られる混合物は高濃度で塩素を含有してしまう。
したがって、高純度硫酸ニッケル製造工程において、このような混合物が溶解される際に、ニッケルと共に塩素も混入するため、塩素イオンを効率良く除去することが低塩素硫酸ニッケル製造において重要となる。

0012

特許文献1には、少なくとも塩素と、水酸化第二ニッケルと、水酸化第二コバルトとを含む混合物のスラリーを作製し、そのスラリーに硫酸を添加した溶液液温を60℃以上、pHを2.0以下となるように制御しながらスラリーの固体成分を溶解して、塩素分を除去する低塩素ニッケルコバルト硫酸溶液の製造方法が開示されている。

0013

特許文献2には、澱物スラリー化した後、作製したスラリーに、濃度50重量%以上の硫酸を添加し、そのpHを0〜2の範囲に調整し、且つガスを吹込む低塩素濃度のニッケルとコバルトの混合硫酸水溶液の製造方法が開示されている。
しかし、ガスを吹込むためには、溶解装置ガス吹込み装置を備える必要があり、設備コストガス吹込みのための運転コストが増加し、ガス吹込み時間を要することから溶解時間も増えるために、その運転効率が低下する問題を抱えている。

0014

また特許文献3には、コバルトが除去されてなる溶液から得られた、ニッケル水酸化物を含有するスラリーに、コバルトイオンを含有する水溶液を添加し、その後、そのスラリーに硫酸を添加して溶解させることにより塩素分を除去する低塩素硫酸ニッケル/コバルト溶液の製造方法が開示されている。
しかし、コバルトを添加することは、その後の工程においてコバルトを除去するためのコスト増加につながる。また、コバルトの繰返しが必要になるため、コバルトの製品化に要する時間が長くなるという欠点を有している。

0015

これらの特許文献に開示された技術は、特許文献1に記載の方法を基礎として、特許文献2または特許文献3に記載の方法に改良されてきたものであるが、近年、硫酸ニッケル水溶液に対する高純度化、即ちより不純物濃度の低い硫酸ニッケル水溶液への要求が高まってきており、さらなる改善が求められていた。

先行技術

0016

特開2000−203848号公報
特開2006−045019号公報
特開2012−001414号公報

発明が解決しようとする課題

0017

そこで、本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて考案されたものであり、少なくとも塩素と、水酸化第二ニッケルと、水酸化第二コバルトを含む混合物をスラリー化し、作製したスラリーに硫酸を添加してスラリー中の固体成分を溶解し、含まれている塩素分を除去した硫酸ニッケルと硫酸コバルトの混合水溶液を製造する方法であって、特段のコスト増加、効率低下を伴わずに、塩素濃度の低い硫酸ニッケルと硫酸コバルトの混合水溶液を製造する方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0018

本発明者らは、上記目的を達成すべく、少なくとも塩素と、水酸化第二ニッケルと、水酸化第二コバルトを含む混合物をスラリー化し、作製したスラリーに硫酸を添加してスラリー中の固体成分を溶解し、含まれている塩素分を除去した硫酸ニッケルと硫酸コバルトの混合水溶液を製造する条件について、特に、スラリー濃度に着目して鋭意検討を重ねた結果、スラリー濃度を360g/L以下とすることによって、効率良く低塩素硫酸ニッケルと硫酸コバルトの混合水溶液を製造することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。

0019

即ち、本発明の第1の発明は、5〜10重量%の塩素と、35〜60重量%のニッケルと、1〜10重量%のコバルトを少なくとも含む混合物にスラリー化水溶液を添加してスラリー濃度が360g/L以下の濃度調整スラリーを形成した後、その濃度調整スラリーに硫酸を添加して作製したスラリーの固体成分を溶解する溶解液を、溶解液の温度を60℃以上に保持し、且つ溶解液のpHを2.0以下に制御して濃度調整スラリーの固体成分を溶解してスラリーに含まれる塩素を除去することで、塩素濃度の低い硫酸ニッケルと硫酸コバルトの混合水溶液を得ることを特徴とする硫酸ニッケルと硫酸コバルトの低塩素濃度混合水溶液の製造方法である。

0020

また、本発明の第2の発明は、第1の発明における濃度調整スラリーのスラリー濃度が、300〜360g/Lであることを特徴とする硫酸ニッケルと硫酸コバルトの低塩素濃度混合水溶液の製造方法である。

0021

また、本発明の第3の発明は、第1及び第2の発明における溶解液のpHを1.5以下に維持するように制御して前記濃度調整スラリーの固体成分を溶解することを特徴とする硫酸ニッケルと硫酸コバルトの低塩素濃度混合水溶液の製造方法である。

発明の効果

0022

本発明の硫酸ニッケルと硫酸コバルトの低塩素濃度混合水溶液の製造方法によれば、特段のコスト増加、効率低下を伴わずに、塩素濃度が200mg/L未満と低い硫酸ニッケルと硫酸コバルトの混合水溶液を製造することができ、工業上顕著な効果を奏するものである。

図面の簡単な説明

0023

スラリー濃度と溶解液塩素濃度の関係を示した図である。
実施例と比較例におけるスラリー濃度と溶解液塩素濃度の関係を示した図である。

0024

本発明は、少なくとも塩素と、水酸化第二ニッケルと、水酸化第二コバルトを含む混合物をスラリー化し、作製したスラリーに硫酸を添加した溶液の液温を60℃以上とし、溶液のpHが2.0以下となるように制御しながら、スラリーの固体成分を溶解し、含まれる塩素分を除去した硫酸ニッケルと硫酸コバルトの混合水溶液を製造する方法であって、硫酸が添加されるスラリーのスラリー濃度を360g/L以下と、従来よりも低目に規定するものである。

0025

先ず、本発明の一実施形態として、ニッケルの湿式製錬プロセスで得られる、少なくとも塩素と、水酸化第二ニッケルと、水酸化第二コバルトを含む混合物を硫酸に溶解して、高純度硫酸ニッケルの製造に供する場合を例に挙げて、本発明を説明する。

0026

[ニッケルの湿式製錬プロセス]
ニッケル製錬においては、例えば、ニッケル硫化鉱石溶鉱炉で溶解して得られるニッケル硫化物や、ニッケル酸化鉱石に硫黄を添加して電気炉で溶解して得られるニッケル硫化物等、いわゆる乾式製錬法で得られたNi3S2等のニッケル硫化物を主成分とするニッケルマットが生産されている。

0027

一方で、低ニッケル品位のニッケル酸化鉱石を加圧酸浸出し、その加圧酸浸出液から鉄をはじめとする不純物を除去した後、湿式硫化反応によって、例えば硫化水素ガスをニッケルイオンおよびコバルトイオンを含んだ浸出液中に吹込むことによって、得られた、NiS等の硫化物を主成分とする混合硫化物も生産されている。

0028

上記ニッケルマットや混合硫化物を原料として、ニッケルおよびコバルトを精製する方法、すなわちニッケルの湿式製錬プロセスとしては、ニッケルマットや混合硫化物を塩素ガスの酸化力を利用して浸出し、浸出液から不純物を除去し、浸出されたニッケルイオンおよびコバルトイオンを電解採取によって電気ニッケル及び電気コバルトとして製品化する方法が実用化されている。
この方法は、混合硫化物を、塩化物水溶液レパルプした後、そのスラリーに塩素ガスを吹込むことによりニッケル及びコバルトを塩化物水溶液中に塩素浸出して塩素浸出液を形成するもので、その得られた酸化剤としての2価の銅クロロ錯イオンを含んだ塩素浸出液に、粉砕したニッケルマットを接触させて、銅とニッケルの置換反応を行うことによりニッケルマット中のニッケルを、塩素浸出液に置換浸出して置換浸出終液を形成するものである。

0029

この置換浸出によって得られた置換浸出終液は、脱鉄工程、溶媒抽出工程、脱鉛工程、脱亜鉛工程で構成される浄液工程に送られる。
先ず、脱鉄工程では置換浸出終液に、酸化剤として塩素ガスを、中和剤として炭酸ニッケルスラリーを添加して、水酸化第二鉄を主成分とする沈殿物を生成させることにより、置換浸出終液中の鉄を除去する処理が行われた脱鉄終液を得る。
この脱鉄工程の反応中の溶液のpHは、2.0〜2.5程度であるので、この工程では鉄のみが選択的に溶液から除去される。

0030

次の溶媒抽出工程では、得られた脱鉄終液に、アミン系抽出剤であるトリノルマルオクチルアミン(TNOA)を混合、接触させることによって、コバルト、銅、亜鉛、鉄を水相から有機相移行させ、コバルト、銅、亜鉛、鉄が除去されたニッケルを含む抽出残液(水相)が得られる。

0031

脱鉛工程では、脱鉄工程と同様に、酸化剤として塩素ガスを、中和剤として炭酸ニッケルスラリーを添加して、溶媒抽出後の抽出残液中の鉛を酸化鉛として除去したニッケルを含む脱鉛終液を生成するもので、脱鉛工程でのpHは4〜5に制御されるため、ニッケルの一部も3価の水酸化物として沈殿物を形成し、溶媒抽出後の抽出残液中に微量に残留したコバルトも3価の水酸化物として沈澱物を形成する。

0032

この脱鉛工程で得られた沈澱物(以降、脱鉛澱物と称する場合がある)は、少なくとも塩素と、3価のニッケルの水酸化物である水酸化第二ニッケル[Ni(OH)3]と、3価のコバルトの水酸化物である水酸化第二コバルト[Co(OH)3]を含む混合物であり、高純度硫酸ニッケル製造プロセスに送られ、高純度硫酸ニッケルの原料として、硫酸に溶解される。

0033

一方脱鉛後の脱鉛終液は脱亜鉛工程に送られ、その脱亜鉛工程で、脱鉛終液中に残存した0.1mg/L程度の微量な亜鉛のクロロ錯イオンを、弱塩基性陰イオン交換樹脂吸着させて除去して不純物を除去した塩化ニッケル水溶液を得る。

0034

上記に示すような浄液工程を経て、不純物が除去された塩化ニッケル水溶液は、pH調整の後、電解工程に送られ、電解採取法によって電気ニッケルが製造される。

0035

この方法はシンプルで、電解採取で発生した塩素ガスを浸出に再利用する等、効率的かつ経済的な生産を実現している。
また、溶媒抽出工程で分離されたコバルトについては、ニッケルとは別の処理ルートにより、さらなる不純物の除去が行われ、電解採取により電気コバルトとして製品化される。

0036

[本発明の硫酸ニッケルと硫酸コバルトの低塩素濃度混合水溶液の製造方法]
本発明は、上記「ニッケルの湿式製錬プロセス」において、脱鉛澱物の硫酸溶解工程に適用することができる。
本発明の基礎となる、少なくとも塩素と、水酸化第二ニッケルと、水酸化第二コバルトを含む混合物、即ち脱鉛澱物を、水(純水を含む)や各工程で排出される洗浄液に代表される低濃度硫酸ニッケル水溶液などの塩素濃度の低い水溶液をスラリー化溶液に用いてスラリー化し、作製したスラリーに硫酸を添加した溶解液の温度を60℃以上、そのpHを2.0以下となるように制御しながら混合物(スラリー中では、固体成分として存在する)を溶解させて塩素成分を除去した硫酸ニッケルと硫酸コバルトの低塩素濃度混合水溶液を製造する方法は、特許文献1で公知のように、酸溶解時の水酸化第二ニッケル、水酸化第二コバルトの酸化作用を利用するものである。

0037

即ち、塩素を含む水酸化第二ニッケルを硫酸で溶解すると、下記式(1)に従って、ニッケルが溶液に溶解するとともに、塩化物イオンが酸化されて塩素ガスが発生する。
そのことで、脱鉛澱物に含まれていた塩素が液中に溶け出したことで液中に含まれていた塩化物イオンを、塩素ガスとして除去するものである。

0038

0039

水酸化第二コバルトと塩化物イオンとの反応も、上記式(1)と同様に進行する(下記式(2)参照)。

0040

0041

式(1)、(2)から分かるように、溶解時のpHは低いほど反応が右に進み塩素除去が効率的に行われるので好都合である。
具体的には、pHを2.0以下とすることにより、溶解液中の塩素濃度を0.5g/L以下にすることができる。
さらに好ましくは、pHを1.5以下とすることである。

0042

ところで、溶解液のpHの下限については特に限定されるものでは無いが、0.5以上が望ましい。
その理由は、後工程で溶解液中の不純物を除去する必要があり、その不純物除去時には中和沈澱法、溶媒抽出法、硫化法等、いずれの方法においても中和処理が必要となることから、pHを低下させ過ぎると、中和剤の消費量が増加するからである。
中和剤の使用量が増加すると、薬剤コストの増加だけでは無く、例えばニッケルロスの増加等も引き起こす。

0043

また、水溶液への塩素ガスの溶解度は温度の上昇に伴って減少する。
そこで、高温度での脱鉛澱物の溶解は、ニッケルやコバルトの溶解速度を速め、回収率を増加させるだけで無く、生成した塩素を効率的に気中に排出するために有利である。
したがって、溶解液の温度は、60℃以上が好ましい。なお、塩素の除去には、溶液の温度が高温ほど望ましいため、特に溶液の温度に上限は無いが、エネルギーコスト設備管理の面から100℃程度が実用的である。

0044

従来、この脱鉛澱物の硫酸溶解に当たって、スラリー濃度は高いほど良いとされ、具体的には300〜800g/L、さらには400g/L以上がより好ましいとされてきた。
一方、本発明では、このスラリー濃度を360g/L以下、より好ましくは300〜360g/Lと、従来よりも低目に制御するものである。

0045

本発明では、この脱鉛澱物を用いる硫酸溶解工程はバッチ処理工程であり、溶解槽に、予め定められた量の脱鉛澱物スラリーを受入れ、その脱鉛澱物中のニッケルおよびコバルト量に見合った、予め定められた量の硫酸を添加し、溶解反応終了時のpHを規定された管理値に維持する操作を行っている。

0046

図1は、スラリー濃度と溶解液塩素濃度の関係を示す図である。
図1からは、硫酸添加量は脱鉛澱物中のニッケルおよびコバルト量に見合った量であっても、即ち溶解反応終了時のpHを規定された管理値に維持する操作を行っても、溶解液塩素濃度はスラリー濃度に依存し、スラリー濃度が高くなると塩素濃度も高くなることが分かる。
これは、スラリー濃度が高い場合、スラリーの粘性が高くなり、反応不良が生じ易くなるためであると推定される。或いは、スラリーの粘性が高くなり、塩素ガスの排出が不十分となるためであると推定できる。
そこで、スラリー濃度は360g/L以下が好ましい。さらに、300〜360g/Lであることが、より好ましい。

0047

スラリー濃度が300g/L未満の場合、溶解液のニッケル濃度が低下するため、溶解液中の不純物を除去する後工程において効率が低下し、処理コストが増加する問題、さらに高純度硫酸ニッケル水溶液の濃縮、結晶工程においては、濃縮のためのエネルギー消費量が増加し、処理コストが増加する問題が生じ、且つスラリー濃度が300g/L未満では、それ以上の塩素除去効果が得られないことから、300g/L未満のスラリー濃度を使用する際は、上記問題への対応を考慮して鉛澱物を溶解する。

0048

[高純度硫酸ニッケル製造プロセス]
本発明の脱鉛澱物を硫酸により溶解することによって得られた溶解液には、未溶解の脱鉛澱物が残存しているため、その解消のために、還元剤である亜硫酸ガスを吹込むことによって完全溶解に処される。
この完全溶解、即ち還元溶解の結果、得られた硫酸ニッケルと硫酸コバルトの混合水溶液は、次の脱鉄工程に送られる。

0049

次の脱鉄工程では、空気を吹込むことにより酸化を行いつつ、中和剤の消石灰スラリーを添加することにより中和を行い、硫酸ニッケルと硫酸コバルトの混合水溶液中の鉄を水酸化第二鉄として沈澱除去する。
脱鉄工程で得られた脱鉄終液は、次の溶媒抽出工程に送られる。

0050

この溶媒抽出工程では、あらかじめニッケルを抽出した2−エチルヘキシルホスホン酸モノ−2−エチルヘキシル等の酸性抽出剤を有機相とし、一方不純物を含む脱鉄終液を水相として接触させることにより、ニッケルより優先的に酸性抽出剤に抽出されるコバルトをはじめとした不純物元素と酸性抽出剤中のニッケルを置換させて、脱鉄終液から高純度硫酸ニッケル水溶液を生成するものである。

0051

この溶媒抽出工程で得られた高純度硫酸ニッケル水溶液が、低塩素濃度の硫酸ニッケル水溶液であり、電子部品用材料や電池用材料の原料として、水溶液の状態で出荷されるか、または結晶の状態で製品化される。
また、高純度硫酸ニッケルの結晶を製造する場合には、溶媒抽出工程で得られた高純度硫酸ニッケル水溶液は、次の晶析工程に送られる。
晶析工程では、高純度硫酸ニッケル水溶液を、晶析装置にて濃縮、結晶、さらには脱水乾燥装置にて脱水、乾燥することによって、高純度硫酸ニッケル結晶が製造される。

0052

ニッケルの湿式製錬プロセスの脱鉛工程から得られた脱鉛澱物に低濃度硫酸ニッケル水溶液を加えてスラリー化して供給スラリーを作製した。次に、その供給スラリーのスラリー濃度を、250〜400g/Lに調整して実施例及び比較例に係る供試材(濃度調整スラリー)を作製し、硫酸溶解操業を行った。
なお、供給スラリーにおける固体成分の化学組成は、Niが45〜55重量%、Coが1〜5重量%、Feが0.01〜0.05重量%、Cuが0.1〜0.5重量%、Clが5〜7重量%であった。この化学成分の分析は、蛍光X線分析装置にて行った。

0053

硫酸溶解操業は、バッチ処理工程で行い、詳細には溶解槽にスラリー濃度を250〜400g/Lの間に調整した表1に示す供給スラリー(濃度調整スラリー)を受入れ、スラリー温度を95℃に保持後、そのスラリーに、液温を95℃に維持、且つpHが1.4〜1.6の範囲に維持されるように、70重量%の硫酸水溶液を添加して作製した実施例1、2及び比較例1に係る溶解液を得た。
その作製した溶解液塩素濃度を測定して図2に表示した。
その結果、実施例1(請求項1の発明に相当)及び実施例2(請求項2の発明に相当)共に、その溶解液の塩素濃度は140〜160mg/Lの範囲であった。

0054

実施例

0055

図2より、溶解液塩素濃度は、供給スラリーのスラリー濃度が360g/L近傍までは、急激な低下を示すが、スラリー濃度を350〜360g/L程度にした場合に、溶解液塩素濃度が最低値を示し、さらに360g/Lよりスラリー濃度を低くした場合には、溶解液塩素濃度の値の低下は見られず、わずかに上昇する傾向も見られた。
また300g/L未満では、溶解液塩素濃度は最低値とほぼ同じ塩素濃度の値を得られるが、溶解液のニッケル濃度が低下するため、溶解液中の不純物を除去する後工程において効率が低下し、処理コストが増加してしまうと共に、高純度硫酸ニッケル水溶液の濃縮、結晶工程においては、濃縮のためのエネルギー消費量が増加し、処理コストが増加する問題が生じてしまう可能性があるために、その範囲での使用には、上記問題の発生を考慮した利用が望ましい。
従って、硫酸溶解操業に供給するスラリーの好ましいスラリー濃度は360g/L以下(実施例1)で、より好ましくは300g/L以上、360g/L以下(実施例2)である。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ