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技術 溶接欠陥検出システムおよびこれを備える溶接欠陥検出装置

出願人 日立造船株式会社
発明者 戴英達佐々木要輔日置幸男上川健司松嶋真中山耕一郎中谷光良トシヨウ
出願日 2017年6月7日 (4年6ヶ月経過) 出願番号 2017-112162
公開日 2017年12月28日 (4年0ヶ月経過) 公開番号 2017-226010
状態 特許登録済
技術分野 アーク溶接の制御
主要キーワード 遷移エリア ベースエリア 区画図 ドロップ状 警告器 クランプメータ 度数分布図 データ処理機
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年12月28日)のものです。
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図面 (11)

課題

パルスアーク溶接において高精度に溶接欠陥を検出可能な溶接欠陥検出システム及びこれを備える溶接欠陥検出装置を提供する。

解決手段

パルスアーク溶接の溶接欠陥を溶接電流I及び溶接電圧Vの値に基づき検出する溶接欠陥検出システム(以下、システムと略す)50である。このシステム50は、溶接電流I及び溶接電圧Vの度数分布図を作成する作図部58と、度数分布図での度数極大値を結ぶ線に平行な線で、短絡及び非短絡のエリアに度数分布図を区画する第一区画部と、溶接電流Iのベース及びピークのエリアに度数分布図を区画する第二区画部とを具備する。またシステム50は、各エリアの要約統計量、及び溶接電流の値に基づく要約統計量を、夫々算出する統計量算出部を具備する。更にシステム50は、要約統計量が夫々に対応する基準値を超える程度により、溶接欠陥の有無を判断する欠陥判断部を具備する。

概要

背景

ミグ溶接マグ溶接のようなアーク溶接では、ワイヤの先端からアークが発生することにより、ワイヤの一部が溶融し、磁場による熱的ピンチ効果によりワイヤにくびれが生じて、溶滴がワイヤからドロップ状離脱する。このような溶接では、電圧を高くすると、溶滴が小さくなりスプレー状になる。溶滴がドロップ状とスプレー状との間となるような電圧にした場合、スパッタが多発する。

このようなスパッタを防ぐ溶接として、溶接電流パルス波形にした、パルスミグ溶接およびパルスマグ溶接がある。溶接電流をパルス波形にすることで、ワイヤからの溶滴の形成および離脱がタイミングよく行われるので、スパッタの発生を抑えることができる。

ところで、スパッタなどの溶接欠陥を検出する従来の溶接欠陥検出装置では、溶接電流および溶接電圧を測定し、これら測定された値が目標の範囲内を所定回数だけ逸脱すると、警報出力をするように構成されている(例えば、特許文献1参照)。このような溶接欠陥検出装置は、溶接の施工を進めつつ、溶接欠陥の有無を検出できるという長所がある。

概要

パルスアーク溶接において高精度に溶接欠陥を検出可能な溶接欠陥検出システム及びこれを備える溶接欠陥検出装置を提供する。パルスアーク溶接の溶接欠陥を溶接電流I及び溶接電圧Vの値に基づき検出する溶接欠陥検出システム(以下、システムと略す)50である。このシステム50は、溶接電流I及び溶接電圧Vの度数分布を作成する作部58と、度数分布での度数極大値を結ぶ線に平行な線で、短絡及び非短絡のエリアに度数分布を区画する第一区画部と、溶接電流Iのベース及びピークのエリアに度数分布を区画する第二区画部とを具備する。またシステム50は、各エリアの要約統計量、及び溶接電流の値に基づく要約統計量を、夫々算出する統計量算出部を具備する。更にシステム50は、要約統計量が夫々に対応する基準値を超える程度により、溶接欠陥の有無を判断する欠陥判断部を具備する。

目的

本発明は、パルスアーク溶接において高精度に溶接欠陥、特にブローホールを検出することが可能な溶接欠陥検出システムおよびこれを備える溶接欠陥検出装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

パルスアーク溶接施工をしながら、この施工で置かれた溶接ビードにおける欠陥を、当該パルスアーク溶接の測定された溶接電流および溶接電圧の値に基づいて検出する溶接欠陥検出システムであって、上記溶接電流および溶接電圧の値をそれぞれ直交座標系の軸として、所定時間における度数分布図を作成する作図部と、上記度数分布図における度数極大値を2つ検出し、これら極大値を結ぶ線に平行な線で短絡および非短絡のエリアに度数分布図を区画する第一区画部と、上記溶接電流のベースおよびピークのエリアに度数分布図を区画する第二区画部と、上記第一区画部および第二区画部で区画された各エリアの要約統計量、および上記所定時間における溶接電流の値に基づく要約統計量を、それぞれ算出する統計量算出部と、上記統計量算出部で算出された要約統計量がそれぞれに対応する基準値を超えている程度によって、上記溶接ビードにおける欠陥の有無を判断する欠陥判断部とを具備することを特徴とする溶接欠陥検出システム。

請求項2

欠陥判断部が、各エリアの要約統計量がそれぞれの基準値を超えているか否かを判断する個別判断部と、上記個別判断部によるそれぞれの判断に重み付けをした値によって、溶接ビードにおける欠陥の有無を判断する総合判断部とを有することを特徴とする請求項1に記載の溶接欠陥検出システム。

請求項3

各エリアの要約統計量に対応する基準値の設定、および/または、重み付けの係数の設定を、自動で行うことを特徴とする請求項2に記載の溶接欠陥検出システム。

請求項4

第二区画部が、溶接電流のベースおよびピークのエリアの間において、遷移のエリアにも度数分布図を区画するものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の溶接欠陥検出システム。

請求項5

各エリアの要約統計量が、非短絡でのベースおよび遷移のエリアだと分散であり、非短絡でのピークのエリアだと分散、度数および最頻値であり、短絡でのエリアだと度数であり、所定時間における溶接電流の要約統計量が、周波数領域での標準偏差であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の溶接欠陥検出システム。

請求項6

請求項1乃至5のいずれか一項に記載の溶接欠陥検出システムを備える溶接欠陥検出装置であって、パルスアーク溶接の溶接電流および溶接電圧をそれぞれ測定する電流計および電圧計と、上記電流計および電圧計でそれぞれ測定された溶接電流および溶接電圧の値を記録するとともに上記溶接欠陥検出システムに接続された記録器と、上記溶接欠陥検出システムによる溶接ビードにおける欠陥が検出された際に警告する警告器とを備えることを特徴とする溶接欠陥検出装置。

技術分野

0001

本発明は、溶接欠陥検出システムおよびこれを備える溶接欠陥検出装置に関するものである。

背景技術

0002

ミグ溶接マグ溶接のようなアーク溶接では、ワイヤの先端からアークが発生することにより、ワイヤの一部が溶融し、磁場による熱的ピンチ効果によりワイヤにくびれが生じて、溶滴がワイヤからドロップ状離脱する。このような溶接では、電圧を高くすると、溶滴が小さくなりスプレー状になる。溶滴がドロップ状とスプレー状との間となるような電圧にした場合、スパッタが多発する。

0003

このようなスパッタを防ぐ溶接として、溶接電流パルス波形にした、パルスミグ溶接およびパルスマグ溶接がある。溶接電流をパルス波形にすることで、ワイヤからの溶滴の形成および離脱がタイミングよく行われるので、スパッタの発生を抑えることができる。

0004

ところで、スパッタなどの溶接欠陥を検出する従来の溶接欠陥検出装置では、溶接電流および溶接電圧を測定し、これら測定された値が目標の範囲内を所定回数だけ逸脱すると、警報出力をするように構成されている(例えば、特許文献1参照)。このような溶接欠陥検出装置は、溶接の施工を進めつつ、溶接欠陥の有無を検出できるという長所がある。

先行技術

0005

特許第3285203号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、上記特許文献の溶接欠陥検出装置は、溶接電流および溶接電圧が大きく変動しない溶接を対象としているので、溶接電流がパルス波形となるパルスミグ溶接やパルスマグ溶接に適用すると、十分な精度が得られなかった。

0007

そこで、本発明は、パルスアーク溶接において高精度に溶接欠陥、特にブローホールを検出することが可能な溶接欠陥検出システムおよびこれを備える溶接欠陥検出装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

上記課題を解決するため、第1の発明に係る溶接欠陥検出システムは、パルスアーク溶接の施工をしながら、この施工で置かれた溶接ビードにおける欠陥を、当該パルスアーク溶接の測定された溶接電流および溶接電圧の値に基づいて検出する溶接欠陥検出システムであって、
上記溶接電流および溶接電圧の値をそれぞれ直交座標系の軸として、所定時間における度数分布図を作成する作図部と、
上記度数分布図における度数極大値を2つ検出し、これら極大値を結ぶ線に平行な線で短絡および非短絡のエリアに度数分布図を区画する第一区画部と、
上記溶接電流のベースおよびピークのエリアに度数分布図を区画する第二区画部と、
上記第一区画部および第二区画部で区画された各エリアの要約統計量、および上記所定時間における溶接電流の値に基づく要約統計量を、それぞれ算出する統計量算出部と、
上記統計量算出部で算出された要約統計量がそれぞれに対応する基準値を超えている程度によって、上記溶接ビードにおける欠陥の有無を判断する欠陥判断部とを具備するものである。

0009

また、第2の発明に係る溶接欠陥検出システムは、第1の発明に係る溶接欠陥検出システムにおける欠陥判断部が、
各エリアの要約統計量がそれぞれの基準値を超えているか否かを判断する個別判断部と、
上記個別判断部によるそれぞれの判断に重み付けをした値によって、溶接ビードにおける欠陥の有無を判断する総合判断部とを有するものである。

0010

さらに、第3の発明に係る溶接欠陥検出システムは、第2の発明に係る溶接欠陥検出システムにおいて、各エリアの要約統計量に対応する基準値の設定、および/または、重み付けの係数の設定を、自動で行うものである。

0011

加えて、第4の発明に係る溶接欠陥検出システムは、第1乃至第3のいずれかの発明に係る溶接欠陥検出システムにおける第二区画部が、溶接電流のベースおよびピークのエリアの間において、遷移のエリアにも度数分布図を区画するものである。

0012

また、第5の発明に係る溶接欠陥検出システムは、第1乃至第4のいずれかの発明に係る溶接欠陥検出システムにおける各エリアの要約統計量が、非短絡でのベースおよび遷移のエリアだと分散であり、非短絡でのピークのエリアだと分散、度数および最頻値であり、短絡でのエリアだと度数であり、
所定時間における溶接電流の要約統計量が、周波数領域での標準偏差である。

0013

また、第6の発明に係る溶接欠陥検出装置は、第1乃至第5のいずれかの発明に係る溶接欠陥検出システムを備える溶接欠陥検出装置であって、
パルスアーク溶接の溶接電流および溶接電圧をそれぞれ測定する電流計および電圧計と、
上記電流計および電圧計でそれぞれ測定された溶接電流および溶接電圧の値を記録するとともに上記溶接欠陥検出システムに接続された記録器と、
上記溶接欠陥検出システムによる溶接ビードにおける欠陥が検出された際に警告する警告器とを備えるものである。

発明の効果

0014

上記溶接欠陥検出システムおよびこれを備える溶接欠陥検出装置によると、度数分布図および溶接電流の値に基づく要約統計量により溶接欠陥を検出するので、パルスアーク溶接において、高精度に溶接欠陥を検出することができる。

図面の簡単な説明

0015

本発明の実施の形態に係る溶接欠陥検出装置を示す概略構成図である。
同溶接欠陥検出装置が備える溶接欠陥検出システムのブロック図である。
溶接欠陥が無い場合において、同溶接欠陥検出システムに転送される所定時間における溶接電流(実線)および溶接電圧(破線)のグラフである。
溶接欠陥が有る場合において、同溶接欠陥検出システムに転送される所定時間における溶接電流(実線)および溶接電圧(破線)のグラフである。
同溶接欠陥検出システムの作図部により作成される溶接欠陥が無い場合の度数分布図である。
同溶接欠陥検出システムの作図部により作成される溶接欠陥が有る場合の度数分布図である。
同溶接欠陥検出システムの第一区画図の機能を説明する図であり、(a)が度数の極大値を結ぶ線について示し、(b)がこの線に平行で且つ短絡および非短絡に度数分布図を区画する線について示す。
同溶接欠陥検出システムの第二区画図の機能を説明するとともに、区画された6つのエリアを説明する図である。
同溶接欠陥検出装置の動作を線表で示す図である。
同溶接欠陥検出装置が備えるディスプレイの表示を示す図である。

実施例

0016

以下、本発明の実施の形態に係る溶接欠陥検出システムおよびこれを備える溶接欠陥検出装置について説明する。上記溶接欠陥検出システムおよび溶接欠陥検出装置は、パルスアーク溶接(例えば、パルスミグ溶接またはパルスマグ溶接)の施工をする溶接装置に接続されて、この施工で置かれた溶接ビードにおける欠陥(特にブローホール)を、当該パルスアーク溶接の測定された溶接電流および溶接電圧の値に基づいて検出するものである。なお、以下では、溶接ビードにおけるブローホールを単に溶接欠陥と言う。

0017

まず、上記溶接欠陥検出装置について図1に基づき説明する。

0018

図1に示すように、この溶接欠陥検出装置1は、母材Mから溶接電源装置Aへの回路電流(溶接電流I)を測定する電流計2と、ワイヤ供給装置Wおよび母材Mの電圧(溶接電圧V)を測定する電圧計3と、これら電流計2および電圧計3で測定された溶接電流Iおよび溶接電圧Vの値を記録するとともに出力し得るデータレコーダ4とを備える。また、上記溶接欠陥検出装置1は、上記データレコーダ4から出力された溶接電流Iおよび溶接電圧Vの値を処理するデータ処理機5(例えば、パーソナルコンピュータ)を備える。このデータ処理機5には、詳しくは後述するが、上記データレコーダ4からの溶接電流Iおよび溶接電圧Vの値に基づいて溶接欠陥を検出する上記溶接欠陥検出システムが格納されている。さらに、上記溶接欠陥検出装置1は、上記データ処理機5による処理の結果を表示するディスプレイ6と、上記データ処理機5との間で指示を受け渡すリレー7と、このリレー7に接続された警告灯8と、このリレー7との間で指示を受け渡すとともに溶接ロボット(図示省略)を制御する溶接ロボット制御盤9とを備える。

0019

上記電流計2、電圧計3およびデータレコーダ4には、公知の機器が採用される。例えば、上記電流計2は、クランプメータまたはシャント抵抗などである。図1には、電流計2、電圧計3およびデータレコーダ4を1つずつ、1組として示したが、2組であってもよい。すなわちデータ処理機5で一方の組のデータレコーダ4から記録データの読み出しと溶接欠陥検出処理している間に他方の組のデータレコーダ4がデータ記録するようデータ処理機5がそれぞれのデータレコーダ4の動作を交互に切り替えることで、溶接および溶接欠陥の検出を間断なく行うことが可能になることは明らかである。電圧計と電流計の各出力は2台のデータレコーダ4で共有しても良い。

0020

以下、本発明の要旨である上記溶接欠陥検出システムについて図2に基づき詳細に説明する。

0021

図2に示すように、上記データ処理機5に格納されている溶接欠陥検出システム50は、データレコーダ4からの溶接電流Iおよび溶接電圧Vの値に基づいて度数分布図を作成する作図部58と、この作図部58で作成された度数分布図をそれぞれ区画する第一区画部51および第二区画部52とを具備する。また、上記溶接欠陥検出システム50は、これら第一区画部51および第二区画部52で区画されたエリアでの要約統計量、および、データレコーダ4からの溶接電流Iの値に基づく要約統計量をそれぞれ算出する統計量算出部53を具備する。さらに、上記溶接欠陥検出システム50は、上記統計量算出部53で算出された要約統計量とそれぞれ比較するための基準値を設定する基準値設定部57を具備する。加えて、上記溶接欠陥検出システム50は、上記統計量算出部53で算出された要約統計量がそれぞれに対応する上記基準値を超えている程度によって、上記溶接欠陥の有無を判断する欠陥判断部54を具備する。

0022

上記作図部58は、上記溶接電流Iおよび溶接電圧Vの値をそれぞれ直交座標系の軸として、所定時間における上記溶接電流Iおよび溶接電圧Vの値の度数分布図を作成するものである。この度数分布図を作成する手順は次の通りである。データレコーダ4からの溶接電流Iおよび溶接電圧Vの値は、一定の時間(例えば溶接の1パスに要した時間)における連続的な値である。これら一定の時間における値を、図3に示すように、フィルタリング処理した上で所定時間(例えば1秒)ごとに抽出する。なお、図3および後述する図4では、溶接電流Iの連続的な値を実線で示し、溶接電圧Vの連続的な値を破線で示す。この所定時間における溶接電流Iおよび溶接電圧Vの連続的な値を、予め定められた処理周期(例えば1kHz)で個々の値として抽出し、これら抽出された値を上記直交座標系にプロットする。例えば、上記所定時間が1秒で且つ上記処理周期が1kHzの場合、上記直交座標系にプロットされる点は、1秒(所定時間)/1kHz(処理周期)=1000個となる。このように値がプロットされた上記直交座標系が度数分布図となり、その一例を図5に示す。

0023

ここで、上述した図3および図5は溶接欠陥が無い場合であり、溶接欠陥が有る場合を図4および図6に示す。図5(溶接欠陥が無い場合)と図6(溶接欠陥が有る場合)との対比から明らかなように、上記度数分布図において、溶接欠陥が有る場合は、短絡に相当するエリアで度数が大きく、非短絡に相当するエリアで溶接電圧Vの高低方向(図5および図6では縦方向)のばらつきが大きく、ピークに相当するエリアで度数が大きい。溶接欠陥が有る場合に度数分布図で現れるこのような特徴を数値として定量的に捉え、捉えられた数値と基準値とを比較し、その比較の結果を溶接欠陥の検出に用いるのが、本発明の技術的思想である。

0024

上記第一区画部51は、上記度数分布図における度数の極大値を2つ検出し、これら2つの極大値を結ぶ線に平行な線で短絡および非短絡のエリアに度数分布図を区画するものである。短絡および非短絡のエリアに度数分布図を区画する手順は次の通りである。図7の(a)に示すように、度数分布図において、例えばヒストグラム分布で度数が極大となる部分Hを2つ検出し、これら2つの部分H、つまり2つの極大値Hを線L1で貫通させる。この線L1を溶接電圧Vが低くなる方向(図7では下方向)に平行移動させて、図7の(b)に示すように、当該線L2により上記度数分布図が溶接電圧Vの大きい点群(非短絡)と小さい点群(短絡)とに区画される。

0025

上記第二区画部52は、上記溶接電流Iのベース、ピークおよび遷移のエリアに度数分布図を区画するものである。なお、図3および図4に示すように、上記パルス状の溶接電流I(実線)および溶接電圧V(破線)において、ベースとは谷の部分Bであり、ピークとは山の部分Pであり、遷移とは立ち上がりおよび立ち下がりの部分rfである。すなわち、上記第二区画部52は、図8に示すように、上記度数分布図を、溶接電流Iの小さい点群と、溶接電流Iの大きい点群と、その間の点群とに区画する。上記溶接電流Iの小さい点群が溶接電流Iのベースに相当し、上記溶接電流Iの大きい点群が溶接電流Iのピークに相当し、その間の点群が溶接電流Iの遷移(つまり、立ち上がりおよび立ち下がり)に相当する。以下では、上記度数分布図において、図8に示すように、上記第一区画部51および第二区画部52で区画された6つのエリアのうち、非短絡のエリアで溶接電流Iの小さい方から非短絡ベースエリアPB、非短絡遷移エリアPrf、および非短絡ピークエリアPPと言い、短絡のエリアで溶接電流Iの小さい方から短絡ベースエリアsB、短絡遷移エリアsrf、および短絡ピークエリアsPと言う。なお、非短絡のエリアである非短絡ベースエリアPB、非短絡遷移エリアPrf、および非短絡ピークエリアPPは、溶接電圧Vの大きい点群である。一方で、短絡のエリアである短絡ベースエリアsB、短絡遷移エリアsrf、および短絡ピークエリアsPは、溶接電圧Vの小さい点群である。

0026

上記統計量算出部53は、上記第一区画部51および第二区画部52で区画された6つのエリアの要約統計量と、上記所定時間における溶接電流Iの値に基づく要約統計量とを算出するものである。具体的には、上記6つのエリアの要約統計量として、非短絡ベースエリアPBで分散を算出し、非短絡遷移エリアPrfで分散を算出し、非短絡ピークエリアPPで分散、度数および最頻値を算出し、短絡の3つエリアsB,srf,sPでそれぞれ度数を算出する。また、溶接電流Iの値に基づく要約統計量として、上記所定時間における溶接電流Iの値をフーリエ変換し、フーリエ変換された値を所定の周波数領域で抽出し、抽出された値の標準偏差を算出する。すなわち、上記統計量算出部53で算出される要約統計量は、次の(1)〜(9)の9つであり、具体的には、(1)非短絡ベースエリアPBでの分散、(2)非短絡遷移エリアPrfでの分散、(3)非短絡ピークエリアPPでの分散、(4)非短絡ピークエリアPPでの度数、(5)非短絡ピークエリアPPでの最頻値、(6)短絡ベースエリアsBでの度数、(7)短絡遷移エリアsrfでの度数、(8)短絡ピークエリアsPでの度数、(9)フーリエ変換された溶接電流Iの値の標準偏差である。

0027

上記欠陥判断部54は、図2に示すように、上記要約統計量がそれぞれの基準値を超えているか否かを判断する個別判断部55と、この個別判断部55によるそれぞれの判断に重み付けをした値によって、溶接欠陥の有無を判断する総合判断部56とを有する。上記個別判断部55は、上記要約統計量とそれぞれの基準値とを比較し、要約統計量が基準値を超える(または要約統計量が基準値以上である)ごとに数字の1を総合判断部56に出力し、そうでなければ数字の0を総合判断部56に出力する。上記総合判断部56は、個別判断部55で出力された値(つまり1または0)に対して、個別判断部55で比較された要約統計量の重要度に応じて重み付けの係数を乗じ、つまり重み付けをする。これら重み付けがされた値を合算し、この合算された値が閾値を超えていれば、溶接欠陥が発生したとして、リレー7を介して警告灯8に指示する。また、上記総合判断部56は、溶接欠陥が検出されたか否かに関わらず、この検出のための処理の過程で生成されたデータを記録媒体59(例えばハードディスク)に保管するとともに、この処理の経過を表またはグラフとしてディスプレイ6に出力する。なお、重み付けの係数の設定は、手動で行われてもよく、自動で行われてもよい。重み付けの係数の設定が自動で行われる場合、例えば、欠陥の有無が予め分かっている溶接サンプルの要約統計量に基づく判別分析が使用される。

0028

上記基準値設定部57は、上記データレコーダ4からの溶接電流Iおよび溶接電圧Vの値に基づいて、上記9つの要約統計量とそれぞれ比較するための9つの基準値を設定するものである。上記基準値設定部57は、例えば、上記データレコーダ4からの溶接電流Iおよび溶接電圧Vの平均値および最頻値を算出し、これら平均値および最頻値から上記9つの基準値を設定する。なお、基準値の設定は、手動で行われてもよく、自動で行われてもよい。基準値の設定が自動で行われる場合、例えば、欠陥の有無が予め分かっている溶接サンプルの要約統計量に基づく判別分析が使用される。この場合、基準値は、9つではなく、1つの数式(多次元)となることもあり得る。

0029

以下、上記溶接欠陥検出システム50およびこれを備える溶接欠陥検出装置1の動作について説明する。

0030

溶接ロボットによりパルスアーク溶接が施工されると、測定された溶接電流Iおよび溶接電圧Vの値がデータレコーダ4に記録される。

0031

これらを図9に基づいて説明すれば、溶接信号がONになるとモードが溶接中になり、溶接欠陥検出装置1はデータ記録を開始する(溶接モード)。

0032

溶接開始は溶接電流Iを検出することで知ることができる。図1に図示していないが、溶接電源Aには溶接電流Iが流れている間リレー接点を閉じる機能を持つものが多く、外部へ接点信号を取り出すことで溶接信号として利用できる。接点オンからオフに切り替わった時点で溶接が終了したことになる。溶接ロボットから溶接中の信号を外部にとりだすことでも同様の効果が得られる。

0033

溶接信号がONからOFFに変化する(すなわち1パス)分の溶接が終了すると、データ処理機5は溶接ロボットを待機させるとともに、データレコーダ4からの溶接電流Iおよび溶接電圧Vの値を出力(転送)させて欠陥検出処理する(検出モード)。なお、溶接信号がONからOFFに変化する時間である一定の時間は、1パスに限らず、例えば一つの溶接が開始されて終了する時間である。

0034

データ処理機5での処理により溶接欠陥が検出されると、警告灯8を点灯してオペレータ通報する。警告灯8の点灯は、図示しない解除タンを押すことで解除される。解除ボタンを押すことで、警告灯8がOFFとなり次の溶接を待機する。

0035

データ処理機5では、データレコーダ4からの一定の時間(例えば溶接の1パスに要した時間)における値を、さらに短い所定時間(例えば1秒)ごとに抽出し、これら所定時間ごとに溶接欠陥の有無を判断する。溶接欠陥が検出された場合、溶接欠陥が溶接ビードのどこに有るかを直観的に把握しやすくするために、図10に示すように、ディスプレイ6において、例えば上記一定の時間を棒グラフ61などで表示し、この棒グラフ61の、溶接欠陥dが有ると判断された所定時間に相当する部分62を強調する。

0036

このように、上記溶接欠陥検出システム50およびこれを備える溶接欠陥検出装置1によると、度数分布図および溶接電流Iの値に基づく要約統計量により溶接欠陥を検出するので、パルスアーク溶接において、高精度に溶接欠陥を検出することができる。

0037

また、溶接欠陥を検出するための要約統計量の重要度に応じて重み付けがされるので、一層高精度に溶接欠陥を検出することができる。

0038

さらに、要約統計量は、パルスアーク溶接、つまりパルスミグ溶接またはパルスマグ溶接での溶接欠陥を検出するのに最適なものが採用されている。すなわち、採用されている要約統計量は、非短絡ベースエリアPBおよび非短絡遷移エリアPrfだと分散であり、非短絡ピークエリアPPだと分散、度数および最頻値であり、短絡のエリアだとそれぞれ度数であり、フーリエ変換された溶接電流Iの値の標準偏差である。このため、パルスアーク溶接において、一層高精度に溶接欠陥を検出することができる。

0039

加えて、基準値の設定、および/または、重み付けの係数の設定が自動で行われることにより、短時間で且つ一層高精度に溶接欠陥を検出することができる。

0040

ところで、上記実施の形態では、第一区画部51および第二区画部52が、度数分布図を6つのエリアに区画するとして説明したが、非短絡遷移エリアPrfおよび短絡遷移エリアsrfを省いて4つのエリアPB,PP,sB,sPに区画するものであってもよい。このような構成であれば、度数分布図を区画する数が減少するだけでなく、要約統計量および基準値の数もエリアの数に伴って現状するので、データ処理機5による処理が低減されることで、パルスアーク溶接において、速やかに溶接欠陥を検出することができる。

0041

また、上記実施の形態では、度数分布図を区画する順は、第一区画部51が先、第二区画部52が後として説明したが、第二区画部52が先、第一区画部51が後であってもよい。さらに、第一区画部51および第二区画部52が同時に度数分布図を区画してもよい。

0042

加えて、上記実施の形態では、度数分布図を6つのエリアに区画するのは、第一区画部51および第二区画部52(つまり2つの区画部)であるとして説明したが、第一区画部51および第二区画部52の機能を備えた単一の区画部であってもよい。

0043

また、上記実施の形態では詳しく説明しなかったが、溶接装置が設置される工場ネットワークに、LANなどによりデータレコーダ4およびデータ処理機5が接続されていてもよい。

0044

また、上記実施の形態では、要約統計量の一例として、非短絡ベースエリアPBおよび非短絡遷移エリアPrfだと分散であり、非短絡ピークエリアPPだと分散、度数および最頻値であり、短絡のエリアだとそれぞれ度数であり、フーリエ変換された溶接電流Iの値の標準偏差であるとして説明したが、これらは一例に過ぎず、他の要約統計量であってもよい。

0045

また、上記実施の形態では、図7の(b)に示すように、2つの極大値Hを貫通する線L1に平行な線L2で非短絡のエリアと短絡のエリアとに区画するとして説明したが、線L1と線L2とは必ずしも完全な平行にする必要がなく、溶接電圧Vの大きい点群と小さい点群との分布に応じて、適宜非平行にしてもよい。さらに、上記実施の形態では、図8に示すようなエリアで区画したが、これに限られる物ではなく、例えば極大値Hから一定の範囲の溶接電流Iおよび溶接電圧Vで区画してもよく、また、6つ以上のエリアに区画してもよい。

0046

また、上記実施の形態では、度数分布図を作成する構成について説明したが、度数分布図を作成する代わりに、測定された溶接電流Iに基づいて予想される溶接電圧の近似モデルを作成し、この近似モデルと測定された溶接電圧Vとの比較により、溶接欠陥を検出するようにしてもよい。この近似モデルは、溶接電流Iと溶接電圧Vが線形関係にあることを利用するものであり、例えば、第一係数に測定された溶接電流Iを乗じた値と、第二係数と、第三係数に溶接電圧Vの時間変化分を乗じた値との合算が、予想される溶接電圧とする。ここで、第一係数、第二係数および第三係数は、それぞれ任意に定められる係数である。

0047

1溶接欠陥検出装置
2電流計
3電圧計
4データレコーダ
5データ処理機
6ディスプレイ
7リレー
8警告灯
9溶接ロボット制御盤
50溶接欠陥検出システム
58作図部
51 第一区画部
52 第二区画部
53統計量算出部
54欠陥判断部
55 個別判断部
56総合判断部
57基準値設定部
59 記録媒体

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