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技術 絶縁電線

出願人 日立金属株式会社
発明者 加賀雅文
出願日 2016年6月17日 (4年10ヶ月経過) 出願番号 2016-120691
公開日 2017年12月21日 (3年4ヶ月経過) 公開番号 2017-224559
状態 特許登録済
技術分野 絶縁導体(4) 絶縁導体(3) 絶縁導体(1) 積層体(2)
主要キーワード 条ケーブル 浸透経路 フィックの法則 自己消炎 PAI樹脂 銅素線 脂肪酸金属 電線外径
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (4)

課題

外径が細い場合であっても、難燃性直流定性とを高い水準両立できる絶縁電線を提供する。

解決手段

導体と、導体の外周に配置される被覆層と、を備え、被覆層は、導体側から順に、難燃剤を含む樹脂組成物から形成される複数の難燃絶縁層飽和吸水率が0.5%以下である複数の遮水層とを交互に積層させて形成され、被覆層の表面に位置する遮水層の厚さが25μm以上であり、複数の難燃絶縁層の厚さの合計が250μm以上である、絶縁電線が提供される。

概要

背景

鉄道車両自動車などの配線として用いられる絶縁電線には、絶縁性だけでなく、火災時に燃えにくいような難燃性が求められている。そのため、絶縁電線の被覆層には難燃剤が配合される。例えば、特許文献1には、絶縁層の外周に難燃剤を含む難燃層を積層させて被覆層を形成した絶縁電線が開示されている。特許文献1によれば、絶縁層の外周に難燃層を積層させて絶縁電線を構成することにより、絶縁性と難燃性とを高い水準バランスよく得ることができる。

概要

外径が細い場合であっても、難燃性と直流定性とを高い水準で両立できる絶縁電線を提供する。導体と、導体の外周に配置される被覆層と、を備え、被覆層は、導体側から順に、難燃剤を含む樹脂組成物から形成される複数の難燃絶縁層飽和吸水率が0.5%以下である複数の遮水層とを交互に積層させて形成され、被覆層の表面に位置する遮水層の厚さが25μm以上であり、複数の難燃絶縁層の厚さの合計が250μm以上である、絶縁電線が提供される。

目的

本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、絶縁電線において難燃性および直流安定性を高く維持しつつ、外径を細径化する技術を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

導体と、前記導体の外周に配置される被覆層と、を備え、前記被覆層は、前記導体側から順に、難燃剤を含む樹脂組成物から形成される複数の難燃絶縁層飽和吸水率が0.5%以下である複数の遮水層とを交互に積層させて形成され、前記被覆層の表面に位置する前記遮水層の厚さが25μm以上であり、前記複数の難燃絶縁層の厚さの合計が250μm以上である、絶縁電線

請求項2

前記複数の遮水層の厚さの合計が120μm以下である、請求項1に記載の絶縁電線。

請求項3

前記複数の遮水層はそれぞれ、樹脂架橋させた架橋体から形成され、前記架橋体のゲル分率が40%以上100%以下である、請求項1又は2に記載の絶縁電線。

請求項4

前記複数の遮水層はそれぞれ高密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンの少なくとも1つから形成される、請求項1〜3のいずれかに記載の絶縁電線。

請求項5

前記樹脂の密度が0.85g/cm3以上1.20g/cm3以下である、請求項4に記載の絶縁電線。

技術分野

0001

本発明は、絶縁電線に関する。

背景技術

0002

鉄道車両自動車などの配線として用いられる絶縁電線には、絶縁性だけでなく、火災時に燃えにくいような難燃性が求められている。そのため、絶縁電線の被覆層には難燃剤が配合される。例えば、特許文献1には、絶縁層の外周に難燃剤を含む難燃層を積層させて被覆層を形成した絶縁電線が開示されている。特許文献1によれば、絶縁層の外周に難燃層を積層させて絶縁電線を構成することにより、絶縁性と難燃性とを高い水準バランスよく得ることができる。

先行技術

0003

特開2013−214487号公報

発明が解決しようとする課題

0004

ところで、近年、絶縁電線には、軽量化の観点から外径を細くすることが求められている。そのため、内側に位置する絶縁層や外側に位置する難燃層の厚さを薄くすることが検討されている。

0005

しかしながら、難燃層の厚さを薄くすると、難燃性を高く維持することが困難となる。一方、絶縁層の厚さを薄くすると、絶縁信頼性が低下し、直流定性を高く維持することが困難となる。すなわち、絶縁電線においては、外径を細径化しつつ、難燃性および直流安定性を高い水準で両立することが困難となっている。

0006

本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、絶縁電線において難燃性および直流安定性を高く維持しつつ、外径を細径化する技術を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明の一態様によれば、
導体と、
前記導体の外周に配置される被覆層と、を備え、
前記被覆層は、前記導体側から順に、難燃剤を含む樹脂組成物から形成される複数の難燃絶縁層飽和吸水率が0.5%以下である複数の遮水層とを交互に積層させて形成され、
前記被覆層の表面に位置する前記遮水層の厚さが25μm以上であり、
前記複数の難燃絶縁層の厚さの合計が250μm以上である、絶縁電線が提供される。

発明の効果

0008

本発明によれば、絶縁電線において難燃性および直流安定性を高く維持しつつ、外径を細径化することができる。

図面の簡単な説明

0009

本発明の一実施形態にかかる絶縁電線の長さ方向に垂直な断面を示す図である。
遮水層の数の違いによる被覆層への水の浸透の違いを説明するための図であり、(a)は遮水層が2層の場合を示し、(b)は遮水層が1層の場合を示す。
従来の絶縁電線の長さ方向に垂直な断面を示す図である。

0010

まず、従来の絶縁電線について図3を用いて説明する。図3は、従来の絶縁電線の長さ方向に垂直な断面図である。

0011

図3に示すように、従来の絶縁電線100は、導体110と、導体110の外周に配置される絶縁層120と、絶縁層120の外周に配置され、難燃剤を配合した難燃層130と、を備えて構成されている。すなわち、従来の絶縁電線100では、導体110を被覆する被覆層として絶縁層120および難燃層130が設けられている。

0012

従来の絶縁電線100において、難燃層130は、絶縁層120と同様に樹脂から形成されるため、所定の絶縁性を示すものの、絶縁信頼性が低く、直流安定性が低い傾向にある。直流安定性は、後述するように、EN50305.6.7に準拠した直流安定性試験により評価される電気特性の1つであり、絶縁電線100を水中に浸漬させて所定の電圧課電したときに所定時間経過しても絶縁破壊しないことを示し、絶縁の信頼性についての指標となるものである。

0013

本発明者らの検討によると、難燃層130の直流安定性が低くなるのは、難燃剤の配合により吸水率が高くなるためであることが分かった。その原因として、難燃剤の有する水酸基吸水性を向上させる等とも考えられるが、例えば、難燃層130では、難燃層130を形成する樹脂と難燃剤との密着性が低いことに起因して、難燃剤の周囲に微小な隙間が形成されてしまい、この隙間の形成により難燃層130は水が浸透しやすくなり、吸水しやすくなるとも考えられる。このような難燃層130では、絶縁電線100を水に浸漬させて直流安定性を評価する際に、水の浸透により導電パスが形成され、絶縁破壊が生じやすくなるため、絶縁信頼性が低い傾向にある。このように、難燃層130は、吸水により絶縁性が低下しやすく、直流安定性が低下することになる。

0014

一方、絶縁層120は難燃層130で被覆されているので、難燃剤が配合されない、もしくは配合されたとしても少量である。そのため、絶縁層120は、難燃層130のように難燃性は示さないものの、吸水率が低くなるように構成され、直流安定性に寄与することになる。

0015

このように、従来の絶縁電線100では、絶縁層120が直流安定性に、難燃層130が難燃性に、それぞれ寄与している。そのため、直流安定性および難燃性を高い水準で両立するには、絶縁層120および難燃層130をそれぞれ厚くする必要があり、絶縁電線100の細径化のためにそれぞれを薄くすることが困難となっている。

0016

本発明者らは、従来の絶縁電線100では、吸水しやすい難燃層130を表面に設けることにより直流安定性(絶縁の信頼性)が低くなることから、難燃層130に水が浸透しないように構成すれば、難燃層130を難燃性だけでなく直流安定性にも寄与させることができ、最終的には絶縁層120の厚さを薄くして、絶縁電線100の外径を細くできると考えた。

0017

そこで、難燃層130への水の浸透を抑制する方法について検討を行った。その結果、吸水率の低い遮水層を難燃層の外周に設けるとよいことが見出された。遮水層によれば、難燃層への水の浸透を抑制できるので、難燃層を、難燃性だけでなく直流安定性を有する難燃絶縁層として機能させることができる。これにより、従来形成していた絶縁層120を省略することができる。すなわち、従来の、絶縁層120および難燃層130からなる積層構造を、難燃絶縁層および遮水層で構成することができる。遮水層は、水の浸透を防ぐような厚さであり、従来の絶縁層120のように厚く形成する必要がないので、絶縁電線の外径を細径化することが可能となる。

0018

また、難燃絶縁層の外側に遮水層を1層のみ設ける場合、遮水層が破れピンホールが生じたときに、難燃絶縁層へ水が浸透し、難燃絶縁層による直流安定性を安定して得られないおそれがあるので、遮水層を複数設けるとよいことがわかった。複数の遮水層によれば、水の浸透を多重に抑制できるので、ピンホールの発生にともなう直流安定性の低下を抑制することができる。

0019

本発明は、上記知見に基づいてなされたものである。

0020

<絶縁電線の構成>
以下、本発明の一実施形態に係る絶縁電線について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る絶縁電線の長さ方向に垂直な断面図である。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。

0021

図1に示すように、本実施形態に係る絶縁電線1は、導体10と、被覆層20とを備えて構成されている。

0022

〔導体〕
導体10としては、通常用いられる金属線、例えば銅線銅合金線の他、アルミニウム線金線銀線などを用いることができる。また、金属線の外周に錫やニッケルなどの金属めっきを施したものを用いてもよい。さらに、金属線を撚り合わせた集合撚り導体を用いることもできる。導体10の外径は、絶縁電線1に求められる電気特性に応じて適宜変更することが可能であり、例えば1.0mm〜20.0mmである。

0023

〔被覆層〕
導体10の外周には、被覆層20が設けられている。本実施形態では、被覆層20は、2つの難燃絶縁層21と2つの遮水層22とが、表面に遮水層22が位置するように交互に積層された積層構造を有している。

0024

(難燃絶縁層)
難燃絶縁層21は、難燃剤を含む樹脂組成物から形成され被覆層20の難燃性に寄与する。また、難燃絶縁層21は、後述する遮水層22に被覆されることで、絶縁電線1を水に浸漬させて直流安定性を評価するときに水の浸透が抑制され、被覆層20の直流安定性に寄与することになる。

0025

難燃絶縁層21を形成する樹脂組成物は、樹脂と難燃剤とを含有する。

0026

難燃絶縁層21を形成する樹脂としては、絶縁電線1に求められる特性、例えば伸びや強度などに応じて、種類を適宜変更するとよい。例えば、ポリオレフィン樹脂ポリアミドイミド樹脂PAI樹脂)などを用いることができる。ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン系樹脂ポリプロピレン系樹脂などを用いることができ、特にポリエチレン系樹脂が好ましい。ポリエチレン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレンLLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン酢酸ビニル共重合体EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体などを用いることができる。これらのポリオレフィン系樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

0027

難燃絶縁層21において、より高い直流安定性を得る観点からは、高密度ポリエチレン(HDPE)が好ましく、例えば、密度が0.95g/cm3以上0.98g/cm3以下であるHDPEを用いることができる。また、より高い難燃性を得る観点からは、特にEVAが好ましく、例えば、酢酸ビニル含量が高いEVAを用いることができる。

0028

難燃剤としては、有毒ガスを発生させないことからノンハロゲン難燃剤が好ましく、例えば金属水酸化物を用いることができる。金属水酸化物は、難燃絶縁層21が加熱されて燃焼されるときに、分解して脱水し、放出した水分により難燃絶縁層21の温度を低下させ、その燃焼を抑制するものである。金属水酸化物としては、例えば、水酸化マグネシウム水酸化アルミニウム水酸化カルシウム、およびこれらにニッケルが固溶した金属水酸化物を用いることができる。これらの難燃剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

0029

難燃剤は、難燃絶縁層21の機械特性(引張強さと伸びとのバランス)をコントロールする観点から、シランカップリング剤チタネート系カップリング剤ステアリン酸等の脂肪酸ステアリン酸塩等の脂肪酸塩ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属等によって表面処理されていることが好ましい。

0030

難燃剤の配合量は、難燃性の観点から、樹脂100質量部に対して50質量部〜300質量部であることが好ましい。配合量が50質量部未満であると、絶縁電線1において所望の高い難燃性を得られないおそれがある。配合量が300質量部を超えると、難燃絶縁層21の機械特性が低下し、伸び率が低くなるおそれがある。

0031

なお、難燃絶縁層21を形成する樹脂組成物には、必要に応じて、その他添加剤が含有されてもよい。例えば、難燃絶縁層21を架橋させる場合、架橋剤や架橋助剤を含有させるとよい。また例えば、架橋剤以外に、難燃助剤酸化防止剤滑剤軟化剤可塑剤無機充填剤相溶化剤、安定剤、カーボンブラック着色剤などが含有されてもよい。これらは、難燃絶縁層21の特性を損なわない範囲で含有させることができる。

0032

また、難燃絶縁層21は、難燃剤を含む樹脂組成物を例えば押出成形により形成することができる。難燃絶縁層21を架橋させる場合は、従来公知の方法により架橋させるとよい。

0033

(遮水層)
遮水層22は、飽和吸水率が0.5%以下であり、吸水量や水の拡散係数が小さくなるように構成されている。遮水層22は、遮水性が高く、水が浸透しにくいので、被覆層20内部への水の浸透を抑制することができる。飽和吸水率の下限値は、特に限定されず、0%であってもよい。なお、本明細書において、飽和吸水率とは、JIS K7209:2000に準拠した、フィックの法則から求められる水分飽和率である。

0034

遮水層22は、遮水性の観点からは、つなぎ目がなくシームレスとなるように、例えば筒状に形成されているとよい。遮水層22を形成する材料としては、飽和吸水率が小さく、遮水層22をつなぎ目がないように形成できるものであれば、特に限定されない。このような材料としては、遮水層22の成形加工性の観点からは樹脂が好ましい。樹脂としては、安全性の観点からはノンハロゲンであるポリオレフィン樹脂が好ましく、遮水性や機械特性の観点からは密度が0.85g/cm3〜1.20g/cm3である樹脂が好ましい。例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)や低密度ポリエチレン(LDPE)を用いることができる。また例えば、吸水率が小さいことから、フッ素含有樹脂(例えばPFA)などを用いてもよい。

0035

また、遮水層22を樹脂で形成する場合、遮水性をさらに向上させるために樹脂を架橋させることが好ましい。つまり、遮水層22は、樹脂を架橋させた架橋体で形成されることが好ましい。架橋させることにより、樹脂の分子構造を強固にし、遮水層22の遮水性を向上させることができる。しかも、遮水層22の強度も向上できるので、遮水層22の厚さを薄くしても、強度を損なうことなく、遮水性を高く維持することができる。

0036

遮水層22を形成する架橋体は、ゲル分率が40%〜100%となるように架橋されていることが好ましい。遮水層22では、架橋体のゲル分率を高くするほど、強度および遮水性を高めることができるので、厚さを薄くすることができる。

0037

なお、遮水層22をHDPEなどの樹脂から形成する場合、HDPEを含む樹脂組成物を難燃絶縁層21の外周に押出成形して形成するとよい。架橋させる場合は、樹脂組成物に架橋剤や架橋助剤を配合するとよい。架橋としては、化学架橋電子線架橋など公知の方法により行うことができる。

0038

(積層構造)
続いて、被覆層20の積層構造について説明する。
上述したように、本実施形態では、被覆層20において遮水層22でのピンホールの発生による直流安定性の低下を抑制するため、2つの難燃絶縁層21と2つの遮水層22とを遮水層22が表面に位置するように交互に積層させて被覆層20を構成している。具体的には、図1に示すように、被覆層20は、表面側から順に、第1の遮水層22a、第1の難燃絶縁層21a、第2の遮水層22b、第2の難燃絶縁層21bを備えており、第1の遮水層22aが第1の難燃絶縁層21aを被覆するように設けられ、第2の遮水層21bが第1の難燃絶縁層21aと第2の難燃絶縁層21bとの間に介在するように設けられている。

0039

被覆層20において、最表面に第1の遮水層22aを設けるだけでなく、第1の難燃絶縁層21aと第2の難燃絶縁層21bとの間に介在するように、第2の遮水層22bを設けることにより、遮水層22を最表面に1層設ける場合と比べて、ピンホールによる直流安定性の低下を抑制することができる。例えば、被覆層20において、厚さ100μmの遮水層22を1層のみ最表面に設けるよりも、厚さ50μmの遮水層22を2層含むように構成する方が、直流安定性の低下を抑制することができる。

0040

具体的には、図2(b)に示すように、被覆層20の最表面に遮水層22を1層のみ設ける場合、遮水層22が破れてピンホール50が生じると、直流安定性の評価の際、その内側に位置する難燃絶縁層21に水60が浸透することになる。このとき、水60の浸透経路が導電パスとなり、水60が導体10まで浸透すると、絶縁破壊してしまう。図2(b)では、浸透経路(図中の点線)が短いので、仮に遮水層22にピンホール50が生じてしまうと、絶縁破壊するまでの時間が短く、直流安定性が低下しやすい。

0041

一方、2つの遮水槽22を設ける場合、外側の第1の遮水層22aでピンホールが生じ、その内側に位置する第1の難燃絶縁層21aへ水が浸透したとしても、第2の遮水層22bにより、その内側に位置する第2の難燃絶縁層21bへの水の浸透を抑制できる。また仮に、両方でピンホールが生じたとしても、図2(a)に示すように、ピンホール50の生じる領域が互いに異なることで、水60の浸透経路(図中の点線)が長くなり、絶縁破壊するまでの時間を引き延ばすことが可能となる。このように、遮水層22を複数設けることにより、吸水による導電パスの形成を遅らせて、絶縁破壊するまでの時間を引き延ばすことができる。その結果、被覆層20において、直流安定性を安定して得ることが可能となる。

0042

被覆層20の積層構造において、遮水性の観点からは複数の遮水層22のうち、表面に位置する遮水層22、つまり第1の遮水層22aの厚さが25μm以上である。このような厚さとすることにより、第1の遮水層22aの強度を高くできるので、絶縁電線1を屈曲させた際の第1の遮水層22aの破れ、つまりピンホールの発生を抑制できる。また、厚さを大きくすることにより遮水性を高くできるので、被覆層20内部への水の浸透を抑制することができる。

0043

被覆層20の内部にある遮水層22、つまり第2の遮水層22bの厚さは、特に限定されず、複数の遮水層22の合計の厚さが120μm以下となる範囲で適宜変更するとよい。遮水層22は難燃剤を含まないため、被覆層20全体としての難燃性を低下させるおそれがあるが、複数の遮水層22の合計の厚さを120μm以下とすることにより、被覆層20に占める遮水層22の割合を低くすることができるので、被覆層20の難燃性を損なうことなく、高く維持することができる。なお、複数の遮水層22の合計の厚さについて、下限値は特に限定されないが、例えば30μm(0.03mm)とするとよい。

0044

被覆層20の積層構造において、複数の難燃絶縁層21のそれぞれの厚さは特に限定されないが、複数の難燃絶縁層21の厚さの合計は250μm(0.25mm)以上である。このような厚さとすることにより、被覆層20において、難燃性を高く維持することができる。厚さの合計の上限値は、特に限定されないが、絶縁電線1の細径化の観点からは0.5mm以下であることが好ましい。このような厚さとすることにより、絶縁電線1を細径化しつつも、直流安定性とともに高い難燃性を得ることができる。なお、複数の難燃絶縁層21は、厚さが互いに異なっていてもよい。

0045

被覆層20の積層構造において、難燃性と直流安定性とをより高い水準で両立させる観点からは、被覆層20の厚さに占める遮水層22の合計の厚さの比率を14%以下とすることが好ましく、10%〜12%とすることがより好ましい。上述したように、遮水層22は、難燃剤を含まず、絶縁電線1全体の難燃性を低下させるおそれがあるが、遮水層22の厚さの比率を上記範囲とすることで、難燃絶縁層21の合計の厚さと遮水層22の合計の厚さとを所定の比率とし、絶縁電線1において難燃性および直流安定性を高い水準で両立することが可能となる。なお、被覆層20の厚さとは、被覆層20を形成する難燃絶縁層21および遮水層22の合計の厚さとなる。

0046

<本実施形態にかかる効果>
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。

0047

本実施形態によれば、難燃性を得る観点から、難燃剤を配合する樹脂層を導体10の外周に設けるが、その樹脂層の外周に、HDPEもしくはLDPEから形成される飽和吸水率の小さな遮水層22を積層させている。これにより、絶縁電線1を水中に浸漬させて直流安定性を評価する際に樹脂層への水の浸透を抑制できるので、難燃剤を配合する樹脂層を、難燃性だけでなく、直流安定性にも寄与する難燃絶縁層21として機能させることができる。そのため、従来のように直流安定性に寄与する絶縁層を難燃層の内側に形成する必要がなく、その分の厚さを薄くすることができる。したがって、本実施形態によれば、絶縁電線1において、難燃性と直流安定性とを高い水準で両立しつつ、その外径を細くすることが可能となる。

0048

また、被覆層20を、2つの難燃絶縁層21a,21bと2つの遮水層22a,22bとを第1の遮水層22aが表面となるように交互に積層させて構成している。つまり、被覆層20の表面に第1の遮水層22aを設けるだけでなく、2つの難燃絶縁層21a,21bの間に介在するように第2の遮水層22bを設けている。これにより、例えば、表面側の第1の遮水層22aにピンホールが生じて内側に位置する第1の難燃絶縁層21aに浸水した場合であっても、第2の遮水層22bで浸水を抑制することができるので、第2の遮水層22bの内側に位置する難燃絶縁層21により直流安定性を維持することが可能となる。また例えば、2つの遮水層22a,22bの両方でピンホールが生じたとしても、ピンホール50の生じる領域が互いに異なることで、水60の浸透経路を長くすることで、絶縁破壊するまでの時間を引き延ばすことができ、直流安定性の低下を抑制することができる。

0049

また、被覆層20の表面に位置する第1の遮水層22aの厚さを少なくとも25μmとしている。これにより、第1の遮水層22aの強度を高くできるので、絶縁電線1を屈曲させた際の第1の遮水層22aの破れ、つまりピンホールの発生を抑制できる。また、厚さを大きくすることにより遮水性を高くできるので、被覆層20内部への水の浸透を抑制することができる。しかも、被覆層20において、2つの難燃絶縁層21a,21bの合計の厚さを少なくとも250μmとしている。これにより、遮水層22による難燃性の低下を抑制し、難燃性を高く維持することができる。よって、絶縁電線1を細径化しつつも、直流安定性と難燃性とを高い水準でバランスよく得ることができる。

0050

例えば、EN60332−1−2に準拠する高い難燃性と、EN50305.6.7に準拠する直流安定性とを両立させる場合、図3に示すような従来の絶縁電線100では、外径1.0mm〜20.0mmの導体110に対して、絶縁層120の厚さを0.6mm〜2.0mm、難燃剤を配合する難燃層130の厚さを0.2mm〜2.1mmとする必要があり、絶縁電線100の外径としては2.6mm〜28.2mmとなる。
これに対して、本実施形態では、同じ外径の導体11に対して、複数の遮水層22を合計の厚さが0.03mm〜0.12mm、複数の難燃絶縁層を合計の厚さが0.25mm〜0.5mmとなるように積層させればよく、絶縁電線1の外径としては1.56mm〜21.24mmの範囲にまで細くすることが可能となる。

0051

各遮水層22は、樹脂から形成されることが好ましく、密度が0.85g/cm3〜1.20g/cm3であるポリオレフィン樹脂から形成されることが好ましい。これらポリオレフィン樹脂によれば、押出成形により遮水層22として容易に形成することができる。特に、HDPEは密度が高く、水を浸透させにくいので、遮水層22の遮水性を高くすることができる。また、LDPEは、架橋度を高くできるので、遮水層22の遮水性を高くすることができる。

0052

各遮水層22は、HDPEやLDPEを架橋させた架橋体から形成され、架橋体のゲル分率が40%〜100%であることが好ましい。このようなゲル分率とすることにより、遮水層22の強度および遮水性を高めることができるので、遮水層22の厚さを薄く形成することができる。これにより、絶縁電線1の外径をより細くすることが可能となる。

0053

なお、本実施形態によれば、絶縁電線1を細径化せずに、従来と同様の外径となるように形成してもよい。この場合、難燃絶縁層21の厚さを大きくすることで、難燃性および直流安定性をより高めることが可能となる。

0054

<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。

0055

上述の実施形態では、被覆層20を、難燃絶縁層21および遮水層22を2層ずつ交互に積層させて構成する場合を例示したが、例えば、遮水層22を3つ以上含むように、被覆層20を構成してもよい。

0056

また、図1では、難燃絶縁層21および遮水層22を積層させる場合を示すが、本発明はこれに限定されない。例えば、被覆層20に、難燃絶縁層21や遮水層22とは異なる特性を有する樹脂層を設けてもよい。また、被覆層20の外周に、つまり、遮水層22の外周に、その他の機能層を設けてもよく、例えば、難燃剤を含み難燃性を有する難燃層を設けてもよい。

0057

また、上述の実施形態では、遮水層22をHDPEなどの樹脂で形成する場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。遮水層22は、樹脂以外の材料から形成されてもよく、例えば、金属やセラミックスガラス等から形成されてもよい。
遮水層22を金属で形成する場合、例えば、銅やアルミニウムからなる金属箔を難燃絶縁層21の外周に巻き付けることにより形成することができる。
セラミックスやガラスから形成する場合、例えば、プラズマCVD法などにより難燃絶縁層21の外周をアルミナジルコニアダイヤモンドライクカーボン(DLC)で表面処理して形成することができる。

0058

次に、本発明について実施例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。

0059

実施例および比較例で用いた材料は次のとおりである。
・エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA1):三井・デュポンポリケミカル株式会社製「エバフレックスEV260」(VA量:28%、MFR:6)
・エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA2):三井・デュポンポリケミカル株式会社製「エバフレックス45X」(VA量:46%、MFR:100)
マレイン酸変性ポリマ:三井化学株式会社製「タフマーMH7020」
・高密度ポリエチレン(HDPE、d:0.951g/cm3、MFR:0.8):プライムポリマー株式会社製「ハイゼックス5305E」
・低密度ポリエチレン(LDPE、d:0.921g/cm3、MFR:1):宇部興産株式会社製「UBE C450」
・水酸化マグネシウム(シラン処理):アルマール株式会社製「H10A」
・水酸化マグネシウム(脂肪酸処理):アルベマール株式会社製「H10C」
・混合系の酸化防止剤:株式会社アデカ製「AO−18」
フェノール系酸化防止剤:BASF株式会社製「イルガノックス1010」
・着色剤:旭カーボン株式会社製「FTカーボン」
・滑剤(ステアリン酸亜鉛):日東化成株式会社製

0060

<絶縁電線の作製>
(実施例1)
まず、上述の材料を用いて難燃絶縁層を形成するための樹脂組成物Aを調製した。
具体的には、EVA1を70質量部と、EVA2を15質量部と、マレイン酸変性ポリマを15質量部と、シラン処理された水酸化マグネシウムを80質量部と、脂肪酸処理された水酸化マグネシウムを120質量部と、混合系の酸化防止剤を1質量部と、着色剤を2質量部と、滑剤を1質量部とを混練することにより、樹脂組成物Aを調製した。

0061

続いて、遮水層を形成するための樹脂組成物Bを調製した。
具体的には、HDPEを100質量部と、フェノール系酸化防止剤を1質量部とを混練することにより、樹脂組成物Bを調製した。

0062

続いて、調製した樹脂組成物AおよびBを用いて絶縁電線を作製した。
具体的には、まず、複数の銅素線を撚り合わせた直径が1.23mmの撚り銅線の外周に樹脂組成物Aを押し出し、厚さ0.2mmの第2の難燃絶縁層を形成した。続いて、第2の難燃絶縁層の外周に樹脂組成物Bを押し出し、厚さ0.025mmの第2の遮水層を形成した。続いて、第2の遮水層の外周に樹脂組成物Aを押し出し、厚さ0.1mmの第1の難燃絶縁層を形成した。続いて、第1の難燃絶縁層の外周に樹脂組成物Bを押し出し、厚さ0.025mmの第1の遮水層を形成した。その後、電子線照射により架橋させた。これにより、表面に遮水層が位置するように遮水層および難燃絶縁層が2つずつ交互に積層された被覆層を備える、外径1.93mmの絶縁電線を作製した。なお、遮水層は、ゲル分率が41.2%となるような架橋度であることが確認された。実施例1の絶縁電線の各構成を下記表1にまとめる。

0063

0064

(実施例2)
実施例2では、実施例1よりも電線外径が細くなるように難燃絶縁層および遮水層の厚さを表1に示すように適宜変更した以外は、実施例1と同様に絶縁電線を作製した。

0065

(実施例3)
実施例3では、HDPEの代わりにLDPEを用いて遮水層を形成するための樹脂組成物Bを調製し、表1に示すように遮水層および難燃絶縁層の厚さを適宜変更した以外は、実施例1と同様に絶縁電線を作製した。

0066

(実施例4)
実施例4では、表1に示すように、実施例3よりも電線外径が細くなるように難燃絶縁層および遮水層の厚さを表1に示すように適宜変更した以外は、実施例1と同様に絶縁電線を作製した。

0067

(比較例1)
比較例1では、表1に示すように、被覆層の表面に位置する第1の遮水層の厚さを0.005mm(5μm)に変更するとともに、その他の層の厚さを適宜変更した以外は、実施例1と同様に絶縁電線を作製した。

0068

(比較例2)
比較例2では、表1に示すように、難燃絶縁層の合計の厚さが0.2mmとなるように各層の厚さを適宜変更した以外は、実施例1と同様に絶縁電線を作製した。

0069

(比較例3,4)
比較例3,4では、実施例1と同様の樹脂組成物Aおよび樹脂組成物Bを用いて、図2(b)に示すように、難燃絶縁層の外周に1つの遮水層を形成した以外は、実施例1と同様に絶縁電線を作製した。各層の厚さを下記表2に示す。

0070

0071

(比較例5,6)
比較例5,6では、HDPEの代わりにLDPEを用いて遮水層を形成するための樹脂組成物Bを調製し、表2に示すように遮水層および難燃絶縁層の厚さを適宜変更した以外は、比較例3と同様に絶縁電線を作製した。

0072

(比較例7)
比較例7では、図3に示す構造の絶縁電線を作製した。
具体的には、まず、LDPEを100質量部と、クレーを100質量部と、架橋助剤を7質量部と、フェノール系の酸化防止剤を1.5質量部とを混練し、絶縁層形成用の樹脂組成物を調製した。また、EVA1を100質量部と、水酸化マグネシウムを200質量部とを混練し、難燃層形成用の樹脂組成物を調製した。続いて、実施例1と同じ撚り銅線を準備し、その外周に絶縁層形成用の樹脂組成物を押し出し、厚さ0.3mmの絶縁層を形成した。続いて、絶縁層の外周に、難燃層形成用の樹脂組成物を押し出し、電子線照射により架橋させて、厚さ0.4mmの難燃層を形成した。これにより、電線外径が2.62mmの絶縁電線を作製した。なお、絶縁電線の表面にある難燃層は、ゲル分率が82.3%となるような架橋度であるが、飽和吸水率が5%であることが確認された。比較例7の作製条件を下記表3に示す。

0073

0074

(比較例8,9)
比較例8,9では、表3に示すように、絶縁層および難燃層のそれぞれの厚さを変更した以外は、比較例7と同様に絶縁電線を作製した。

0075

(比較例10)
比較例10では、表3に示すように、絶縁層を形成せずに、導体上に難燃層を直接形成した以外は、比較例7と同様に絶縁電線を作製した。

0076

評価方法
作製した絶縁電線を以下の方法により評価した。各評価結果を表1にまとめる。

0077

(直流安定性)
絶縁電線の直流安定性を、EN50305.6.7に準拠した直流安定性試験により評価した。具体的には、絶縁電線を85℃で3%濃度の塩水中に浸漬させて課電し、絶縁破壊するまでの時間を測定した。本実施例では、絶縁破壊するまでの時間が60時間以上であれば、直流安定性が高く、60時間未満であれば、直流安定性が低いと評価した。

0078

(難燃性)
絶縁電線の難燃性を以下に示す垂直燃焼試験により評価した。
まず、EN60332−1−2に規定される一条ケーブル垂直燃焼試験(Vertical flame propagation for a single insulated wire or cable)に準じてVFT試験を実施した。具体的には、長さ600mmの絶縁電線を垂直に保持し、絶縁電線に炎を60秒間当てた。炎を取り去った後、30秒以内に消火したものを◎、60秒以内に消火したものを○、60秒以内に消火しなかったものを×とした。
また、EN50266−2−4に規定される多条ケーブル垂直燃焼試験(Flame propagation (bunched cables))に準じてVTFT試験を実施した。具体的には、全長3.5mの絶縁電線を7本撚り合わせて1束とし、11束を等間隔に垂直に並べ、20分間燃焼させた後、自己消炎後、下端部からの炭化長を測定した。本実施例では、炭化長が1.5m以下であれば◎、炭化長が2.5m以下であれば○、炭化長が2.5mを超えれば×とした。

0079

<評価結果>
表1に示すように、実施例1〜4では、電線外径を細径化しながらも、直流安定性と難燃性とを高い水準で両立できることが確認された。

0080

これに対して、比較例1では、被覆層中に遮水層を2つ設けたものの、被覆層の表面に位置する第1の遮水層の厚さを0.025mmよりも薄く、0.005mmとしたため、難燃絶縁層の吸水を十分に抑制できず、直流安定性が低いことが確認された。

0081

比較例2では、被覆層に設けられる難燃絶縁層の合計の厚さを0.25mmよりも薄く、0.20mmとしたため、十分な難燃性を得られないことが確認された。

0082

比較例3〜6では、被覆層の表面にのみ遮水層を設けることで直流安定性と難燃性とをある程度の水準でバランスよく得られたが、絶縁破壊するまでの時間が60時間よりも短く、直流安定性の面で不十分であることが確認された。

0083

比較例7では、絶縁層の外周に難燃層を積層させて従来構造の絶縁電線を作製したが、各層の厚さを厚く形成することで難燃性および直流安定性を高い水準でバランスよく得られることが確認された。しかし、電線外径が過度に太く、例えば実施例1の絶縁電線よりも約35%も太いことが確認された。

0084

比較例8,9では、難燃層または絶縁層の厚さを薄くすることで電線外径を実施例1と同程度となるように絶縁電線を作製したが、難燃性および直流安定性を両立できないことが確認された。比較例7〜9によると、飽和吸水率が5%と高い難燃層を絶縁電線の表面に設ける場合、直流安定性を高く維持するには難燃層の内側にある絶縁層を厚く形成する必要があり、難燃性を高く維持するには難燃層を厚く形成する必要があるため、これらの特性を両立させつつ、絶縁電線を細径化できないことが確認された。

0085

比較例10では、絶縁層を設けずに難燃層のみを設けたため、高い難燃性は得られたが、直流安定性が低いことが確認された。

0086

このように、絶縁電線において、難燃剤を含む樹脂層の外周に所定厚さの遮水層を設けることにより、内部に位置する樹脂層への水の浸透を抑制することができ、難燃剤を配合する樹脂層を、難燃性だけでなく、直流安定性にも寄与させ、難燃絶縁層として機能させることができる。そして、難燃絶縁層と遮水層とを複数積層させて被覆層を形成することにより、絶縁電線の外径を細径化しながらも、直流安定性と難燃性とを両立することが可能となる。

0087

<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。

0088

[付記1]
本発明の一態様によれば、
導体と、
前記導体の外周に配置される被覆層と、を備え、
前記被覆層は、前記導体側から順に、難燃剤を含む樹脂組成物から形成される複数の難燃絶縁層と飽和吸水率が0.5%以下である複数の遮水層とを交互に積層させて形成され、
前記被覆層の表面に位置する前記遮水層の厚さが25μm以上であり、
前記複数の難燃絶縁層の厚さの合計が250μm以上である、絶縁電線が提供される。

0089

[付記2]
付記1の絶縁電線において、好ましくは、
前記複数の遮水層の厚さの合計が120μm以下である。

0090

[付記3]
付記1又は2の絶縁電線において、好ましくは、
前記遮水層を形成する材料が樹脂、金属、セラミックスおよびガラスの少なくとも1つである。

0091

[付記4]
付記1〜3のいずれかの絶縁電線において、好ましくは、
前記複数の遮水層はそれぞれ、樹脂を架橋させた架橋体から形成され、前記架橋体のゲル分率が40%以上100%以下である。

0092

[付記5]
付記1〜4のいずれかの絶縁電線において、好ましくは、
前記複数の遮水層は、それぞれ高密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレンの少なくとも1つから形成される。

0093

[付記6]
付記5の絶縁電線において、好ましくは、
前記樹脂の密度が0.85g/cm3以上1.20g/cm3以下である。

0094

[付記7]
付記1〜6のいずれかの絶縁電線において、好ましくは、
前記複数の難燃絶縁層の厚さの合計が250μm以上500μm以下である。

0095

[付記8]
付記1〜7のいずれかの絶縁電線において、好ましくは、
外径が1.8mm以上32.9mm以下である。

0096

[付記9]
付記1〜8のいずれかの絶縁電線において、好ましくは、
前記導体の外径が1.0mm以上20.0mm以下である。

0097

[付記10]
付記1〜9のいずれかの絶縁電線において、好ましくは、
被覆層20の厚さに占める遮水層22の合計の厚さの比率が14%以下である。

実施例

0098

[付記11]
付記1〜9のいずれかの絶縁電線において、好ましくは、
EN60332−1−2に準拠した垂直燃焼試験において、炎を取り去った後、60秒以内に消火する難燃性と、
EN50305.6.7に準拠した直流安定性試験において、水に浸漬して240時間課電したときに絶縁破壊しないような直流安定性と、を有する。

0099

1絶縁電線
10導体
20被覆層
21難燃絶縁層
22遮水層

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