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図面 (8)

課題

樹脂成形部材成形速度を向上させること。

解決手段

金型内熱可塑性樹脂複合素材装填した後(時刻T0)、型締めを開始する。型締めの進行により、金型に設けられたシール部材によってキャビティ閉塞された状態で、第1減圧回路によってキャビティ内の減圧を開始する。さらに型締めが進行し、金型内に装填された熱可塑性樹脂複合素材が金型の上型に接触(時刻T2)した後、第2減圧回路によってキャビティ内の減圧を開始して型締めを完了させる(時刻T3)。

概要

背景

近年、CO2排出削減等の規制に対応するためには、鋼板よりも低密度で軽量化による燃費向上が期待される樹脂材料自動車ボディ部品の一部に適用することが希求されている。なかでも、自動車ボディ部品ターゲットとした樹脂製の大型部品を比較的低圧成形する方法として、「樹脂プレス成形方法」が知られている。その代表的な工法としては、油圧プレスマシンを用いたSMC(Sheet Molding Compound)が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。また、硬化反応を不要とする熱可塑性樹脂(PP PA)等をマトリクス樹脂とした熱可塑スタンピング材料(例えば、GMT(Glass-mat Reinforced thermoplastics)等)が存在する。

これらの多くは、ガラスファイバー強化繊維としており、材料の弾性率が低いために比較的厚板で使用されることが多い。また、材料そのものの熱伝導率が低いため、プレヒート後の材料が冷めにくく、従来のSMC用油圧プレスマシンに対して、多少の型締め速度を改良して成形する必要がある。

このように、軽量化に対するニーズが極めて高く、なかでも炭素繊維カーボン)を用いた熱可塑複合材料(例えば、炭素繊維強化熱可塑性樹脂(CFRTP))は、ガラスファイバーよりもさらに低密度、弾性率が高く軽量化のポテンシャルが高い。

しかしながら、弾性率の高いことによって軽量化を達成するためには、比較的「薄板」の状態で使用する必要がある。また、熱伝導率が高いことで冷めやすいという課題もあり、加熱溶融状態にある樹脂材料を高速型締めしてプレス加工する必要がある。

概要

樹脂成形部材成形速度を向上させること。金型内に熱可塑性樹脂複合素材装填した後(時刻T0)、型締めを開始する。型締めの進行により、金型に設けられたシール部材によってキャビティ閉塞された状態で、第1減圧回路によってキャビティ内の減圧を開始する。さらに型締めが進行し、金型内に装填された熱可塑性樹脂複合素材が金型の上型に接触(時刻T2)した後、第2減圧回路によってキャビティ内の減圧を開始して型締めを完了させる(時刻T3)。

目的

本発明は、前記の点に鑑みてなされたものであり、樹脂成形部材の成形速度を向上させることが可能な樹脂成形部材の成形方法及び成形システムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

補強繊維熱可塑性樹脂組成物に分散した熱可塑性樹脂複合素材上型及び下型を有する金型内減圧しながらプレス成形する樹脂成形部材成形方法であって、前記金型内の下型上に前記熱可塑性樹脂複合素材を装填した後、型締めを開始する工程と、前記型締めの進行により、前記金型の上型と下型の嵌合面に設けられたシール部材によってキャビティ閉塞された状態にあると共に、前記金型内の下型上に装填された前記熱可塑性樹脂複合素材が前記金型の上型と接触する前に、第1減圧回路によって前記キャビティ内の減圧が開始される工程と、さらに前記型締めが進行し、前記金型内に装填された前記熱可塑性樹脂複合素材が前記金型の上型に接触した後、第2減圧回路によって前記キャビティ内の減圧を開始して前記型締めを完了させる工程と、を有することを特徴とする樹脂成形部材の成形方法。

請求項2

請求項1記載の樹脂成形部材の成形方法において、前記補強繊維は、ランダム配向されていることを特徴とする樹脂成形部材の成形方法。

請求項3

請求項1又は請求項2記載の樹脂成形部材の成形方法において、前記補強繊維は、繊維長が5mm以上、50mm以下の炭素繊維を含むことを特徴とする樹脂成形部材の成形方法。

請求項4

相対的に接近及び離間可能に配置され、少なくとも、縦パーティングライン構造からなる上型及び下型を有する金型と、前記金型のキャビティに接続される少なくとも2系統以上の通路を有する減圧回路と、前記減圧回路の通路を切り換え切換弁と、前記金型のキャビティ内の気密性を保持するシール部材と、を備え、前記上型と前記下型との間で前記シール部材が嵌合した後、速度制御による型締めと、その後の圧力制御による型締めとがそれぞれ遂行され、速度制御による型締め速度は、圧力制御による型締め速度よりも高速であることを特徴とする樹脂成形部材の成形システム

技術分野

0001

本発明は、樹脂成形部材成形方法及び成形システムに関する。

背景技術

0002

近年、CO2排出削減等の規制に対応するためには、鋼板よりも低密度で軽量化による燃費向上が期待される樹脂材料自動車ボディ部品の一部に適用することが希求されている。なかでも、自動車ボディ部品ターゲットとした樹脂製の大型部品を比較的低圧成形する方法として、「樹脂プレス成形方法」が知られている。その代表的な工法としては、油圧プレスマシンを用いたSMC(Sheet Molding Compound)が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。また、硬化反応を不要とする熱可塑性樹脂(PP PA)等をマトリクス樹脂とした熱可塑スタンピング材料(例えば、GMT(Glass-mat Reinforced thermoplastics)等)が存在する。

0003

これらの多くは、ガラスファイバー強化繊維としており、材料の弾性率が低いために比較的厚板で使用されることが多い。また、材料そのものの熱伝導率が低いため、プレヒート後の材料が冷めにくく、従来のSMC用油圧プレスマシンに対して、多少の型締め速度を改良して成形する必要がある。

0004

このように、軽量化に対するニーズが極めて高く、なかでも炭素繊維カーボン)を用いた熱可塑複合材料(例えば、炭素繊維強化熱可塑性樹脂(CFRTP))は、ガラスファイバーよりもさらに低密度、弾性率が高く軽量化のポテンシャルが高い。

0005

しかしながら、弾性率の高いことによって軽量化を達成するためには、比較的「薄板」の状態で使用する必要がある。また、熱伝導率が高いことで冷めやすいという課題もあり、加熱溶融状態にある樹脂材料を高速型締めしてプレス加工する必要がある。

先行技術

0006

実用新案登録第2520624号公報

発明が解決しようとする課題

0007

高速型締めプレス加工の問題点について検討する。
金型装置を高速で型締めすると金型キャビティ内のエアが抜け切らず、結果として成形品の内部に大量のボイド(void)が残存して物性不良となる問題点がある。この問題を解決するために、例えば、横パーティングラインを有する金型構造を用いることで、エア抜けを改善することが可能である。しかしながら、横パーティングラインを有する金型構造は、キャビティの外部へ樹脂材料が流出するため、樹脂成形品の外周部にバリが発生すると共に、このバリを除去するためにトリム後工程が必要となって生産性が低下するおそれがある。

0008

次に、単純に油圧プレスマシンを高速型締めに設定して動作させることは可能であるが、実際には、プレス下死点の上側の位置から油圧制御切り替わるため、変位速度は低速下降となる。すなわち、上型が樹脂材料に接触した段階では低速下降となり、樹脂材料が比較的長時間、金型による冷却を伴った状態で賦形されるため、キャビティ形状に対応する成形品を得られないと共に、板厚が薄い成形品を得ることが困難である、という問題がある。

0009

この成形性低下の問題は、溶融軟化状態にある樹脂材料を形状凍結可能な低い金型温度によって成形されることに起因する。この金型温度は、使用される樹脂組成によって異なりが、おおむね100〜200℃程度である。生産性を向上させるためには、金型温度をなるべく低くして固化時間を短縮して成形サイクルを短縮することが望まれるが、下限温度については、成形品の表面外観品質等によって設定される。

0010

本発明は、前記の点に鑑みてなされたものであり、樹脂成形部材の成形速度を向上させることが可能な樹脂成形部材の成形方法及び成形システムを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0011

前記の目的を達成するために、本発明は、補強繊維熱可塑性樹脂組成物に分散した熱可塑性樹脂複合素材を上型及び下型を有する金型内減圧しながらプレス成形する樹脂成形部材の成形方法であって、前記金型内の下型上に前記熱可塑性樹脂複合素材を装填した後、型締めを開始する工程と、前記型締めの進行により、前記金型の上型と下型の嵌合面に設けられたシール部材によってキャビティが閉塞された状態にあると共に、前記金型内の下型上に装填された前記熱可塑性樹脂複合素材が前記金型の上型と接触する前に、第1減圧回路によって前記キャビティ内の減圧が開始される工程と、さらに前記型締めが進行し、前記金型内に装填された前記熱可塑性樹脂複合素材が前記金型の上型に接触した後、第2減圧回路によって前記キャビティ内の減圧を開始して前記型締めを完了させる工程と、を有することを特徴とする。

0012

本発明によれば、シール部材によってキャビティが閉塞された状態にあると共に、金型内に装填された熱可塑性樹脂複合素材が金型と接触する前、第1減圧回路によってキャビティ内の減圧が開始される。さらに、金型内に装填された熱可塑性樹脂複合素材が金型に接触した後、第2減圧回路によってキャビティ内の減圧を開始して型締めを完了させている。本発明では、このような成形工程を採用することで、炭素繊維を含有した熱可塑性樹脂組成物の流動性を高めると共に成形性を向上させることができる。この結果、本発明では、バリ等の発生を回避しながら、成形速度(プレス速度)を向上させることができる。なお、補強繊維は、ランダム配向されていることが好ましい。

0013

また、本発明は、前記補強繊維の繊維長が、5mm以上、50mm以下の炭素繊維を含むことを特徴とする。

0014

本発明によれば、繊維長が5mm以上、50mm以下の炭素繊維の弾性により、フトン状に大量にエアを含んだ多孔質発泡体の状態にある熱可塑性樹脂複合素材を、金型内で好適に減圧しながらプレス成形することができる。

0015

さらに、本発明は、相対的に接近及び離間可能に配置され、少なくとも、縦パーティングライン構造からなる上型及び下型を有する金型と、前記金型のキャビティに接続される少なくとも2系統以上の通路を有する減圧回路と、前記減圧回路の通路を切り換え切換弁と、前記金型のキャビティ内の気密性を保持するシール部材と、を備え、前記上型と前記下型との間で前記シール部材が嵌合した後、速度制御による型締めと、その後の圧力制御による型締めとがそれぞれ遂行され、速度制御による型締め速度は、圧力制御による型締め速度よりも高速であることを特徴とする。

0016

本発明によれば、縦パーティングライン構造からなる金型を用い、シール部材によって金型内のキャビティ内の気密性を保持することができる。また、減圧回路によって、金型のキャビティ内及び樹脂材料の内部に含有するエアを真空引きによって好適に脱気することができる。さらに、上型と下型との間でシール部材が嵌合した後、速度制御による型締めが遂行され、その後に圧力制御に型締めが遂行されることで、型締めの高速化を達成することができる。

発明の効果

0017

本発明では、樹脂成形部材の成形速度を向上させることが可能な樹脂成形部材の成形方法及び成形システムを得ることができる。

図面の簡単な説明

0018

本発明の実施形態に係る樹脂成形部材の成形方法を実施する成形プレスシステム構造ブロック図である。
プレス装置の型締め工程を示すプロセスチャートである。
(a)は、第1減圧回路のみを用いた、プレス装置の上型の下降動作における時間とプレス位置との関係を示す特性図、(b)は、第1減圧回路及び第2減圧回路の両方を用いた、プレス装置の上型の下降動作における時間とプレス位置との関係を示す特性図である。
(a)は、従来技術における金型の型締め段階を示す模式図、(b)は、その型締め完了段階を示す模式図である。
(a)は、本実施形態における金型の型締め段階を示す模式図、(b)は、その型締め完了段階を示す模式図である。
(a)は、本実施形態において、上型のプレス下降時間と、プレス位置と、プレス加圧力との関係を示す特性図、(b)は、(a)の時刻T2からT3までの部分拡大特性図である。
成形条件とその結果とを、本実施形態及び比較例で比較した説明図である。

実施例

0019

次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る樹脂成形部材の成形方法を実施する成形プレスシステムの構造ブロック図である。

0020

図1に示されるように、成形プレスシステム(成形システム)10は、相対的に変位可能な上型12a及び下型12bを有するプレス装置14と、金型平行制御装置16と、型締め駆動装置18と、2系統からなる第1減圧回路(減圧回路)20a及び第2減圧回路(減圧回路)20bとを備えて構成されている。

0021

プレス装置14は、可動型である上型12aと、固定型である下型12bと、複数の脚部22によって支持される支持部材24とを備える。さらに、このプレス装置14は、支持部材24に懸吊され、上型12aを上下方向に沿って昇降可能に変位させる油圧シリンダ26と、上型12aと下型12bとの分割面(縦パーティング面)に装着されるリング状のシール部材(パッキン)28とを備える。なお、本実施形態では、シール部材28を下型12に設けているが、これに限定されるものではなく、例えば、上型12aにシール部材28を設け、あるいは、上型12a及び下型12bの両方にそれぞれシール部材28を設けるようにしてもよい。

0022

このシール部材28は、下型12bの上端部に位置する縮径外周面29に装着されている。下型12bの縮径外周面29に装着されたシール部材28は、型締め時に上型12aの環状内径面31に沿って摺動することにより、シール機能が発揮される。上型12aの環状内径面31がシール部材28に嵌合することで、上型12aの環状凹部33と、シール部材28と、下型12bの上端面35との間で閉塞された環状空間部37(図5(a)、図5(b)参照)が形成される。この空間部37は、後記する第2吸引通路48bによって真空引きされる。なお、縦パーティング面は、上型12aの環状内径面31と、下型12bの縮径外周面29とによって構成される。

0023

第1減圧回路20aは、真空ポンプ30と、真空タンク32と、切換弁34と、真空ポンプ30と真空タンク32とを連通させる第1連通路36aと、真空タンク32と切換弁34とを連通させる第2連通路36bとを有する。第2減圧回路20bは、真空ポンプ30と、この真空ポンプ30と切換弁34とを直接的に連通させる連通路38とを有する。切換弁34は、通路40を介して下型12bに連通接続されている。

0024

下型12bの内部には、通路40に連通して金型内を真空引きする吸引通路48が形成されている。この吸引通路48は、下型12bの下部に沿って横方向に延在する第1吸引通路48aと、第1吸引通路48aから分岐鉛直上方向に向かって立ち上がり下型12bの上端面35まで貫通する第2吸引通路48bとから構成されている。

0025

なお、本実施形態では、減圧回路として、第1減圧回路20a及び第2減圧回路20bを用いて説明しているが、これに限定されるものではなく、少なくとも2系統以上の通路を有する減圧回路を備えていればよい。

0026

金型平行制御装置16は、下型12bに付設され、例えば、上型12aに対して下型12bを平行乃至略平行に保持する図示しない複数の油圧アクチュエータ等から構成されている。

0027

型締め駆動装置18は、複数のアキュムレータ42と、油圧ポンプ44とを備えている。各アキュムレータ42は、第1油圧通路46aを介して油圧シリンダ26に接続されている。また、油圧ポンプ44は、第2油圧通路46bを介して油圧シリンダ26に接続されていると共に、第3油圧通路46cを介して金型平行制御装置16に接続されている。

0028

本実施形態に係る樹脂成形部材の成形方法を実施する成形プレスシステム10は、基本的に以上のように構成されるものであり、次にその作用効果について説明する。

0029

図2は、プレス装置の型締め工程を示すプロセスチャートである。
図2中において、横軸は、時間(sec)を、縦軸は、温度(℃)をそれぞれ示している。
なお、横軸の各時刻T0〜T4は、以下の通りである。
T0:樹脂材料(基材)が下型12bに投入された段階の時刻を示している。
T1:下型12bに装着されたシール部材28が上型12aに嵌合し、キャビティが密封空間となった段階の時刻を示している。これ以後において、真空脱気が可能となる。
T2:上型12aが基材に接触した段階の時刻を示している。これ以後において、樹脂材料の温度が急速に冷却される。
T3:プレス装置14の型締めが完了(プレス下死点まで上型12aが下降)した段階の時刻を示している。この段階における樹脂材料の温度は、流動停止温度以上でなければならない。すなわち、T3は、樹脂材料の流動が停止する時刻T4よりも早くなければ、所望の成形部材を得ることができないからである。
T4:樹脂材料の流動が停止した段階の時刻を示している。
また、図2中における「温度」には、時刻T0の金型への投入後の材料表面温度、時刻T4における流動停止温度等が含まれる。

0030

プレス装置14の型締め動作において、溶融・軟化状態にある樹脂材料は、時間の経過と共に冷えて固まる。この冷えて固まる時間を「流動停止温度」とすると、この流動停止温度は、樹脂材料を構成する組成によって決定される(物理的な定数比熱、熱伝導率、密度、厚さ等)。

0031

本実施形態において、熱可塑性樹脂複合材は、車両構成部材として使用するものを想定している。この車両構成部材としては、例えば、パネル部材や、サイドシルセンタピラーフロアクロスメンバなどの主要骨格部材が挙げられる。但し、本実施形態での熱可塑性樹脂複合材の用途は、このような車両構成部材に限定されるものではない。この熱可塑性樹脂複合材は、船舶航空機のような車両以外の移動体構成部材のほか、例えば建築物、各種機器装置などの構成部材にも適用することができる。

0033

金型のキャビティ内に投入された樹脂材料の表面温度と型締め時間との関係については、上型12aが基材に接触する前の段階であるステージ1(T0→T2)と、上型12aが基材に接触した後の段階であるステージ2(T2→T3)との2つ段階に分けられる。

0034

ステージ1における樹脂材料表面の冷却速度は、−2℃/sec程度である。これに対し、ステージ2における樹脂材料表面の冷却速度は、−20℃/sec程度である。

0035

このように、金型のキャビティ内で流動を伴った成形では、ステージ2が特に重要となる。すなわち、樹脂材料が上型12aに接触してから、金型の型締め完了までの時間をどれだけ短縮することができるかによって、樹脂成形部材の板厚や形状自由度が決定されるからである。

0036

図3(a)は、第1減圧回路のみを用いた、プレス装置の上型の下降動作における時間とプレス位置との関係を示す特性図、図3(b)は、第1減圧回路及び第2減圧回路の両方を用いた、プレス装置の上型の下降動作における時間とプレス位置との関係を示す特性図である。

0037

従来のSMC材料やGMT材料は、金型投入段階においてその材料内部に大量のエアを含んでいないため、キャビティ内を真空引きするときの負圧がそれほど高くなかった。また、成形時において材料が冷めにくいためプレス下死点までの下降時間は、それほど速くなかった。従って、減圧回路も予め所望の負圧に保持した真空タンク32を備えた第1減圧回路20aのみによって減圧することが可能であった(図3(a)参照)。なお、減圧回路は、一般的には、固定側である下型12bに接続されている。なお、減圧開始イミングは、上型12aが下型12bのシール部材28に接触して嵌合した状態(シール機能が発揮された状態)から開始される。

0038

これに対し、本実施形態では、樹脂材料に炭素繊維をランダムに含んで(ランダムに配向して)いるため、樹脂材料が冷える前に短時間で型締めする必要がある。すなわち、短時間で負圧状態とする必要がある。このため、本実施形態では、図2に示されるようにステージ1の段階において第1減圧回路を駆動させる必要がある。

0039

射出成形機での混練可塑化した材料(例えば、ロングファイバープレット等)は、繊維長さが短く、金型投入段階で材料内部に大量のエアを含んでいないため、本実施形態の樹脂材料から除外されている。本実施形態では、射出機による樹脂材料可塑化・混合時間が不要となるため、高速樹脂成形が可能となり、例えば、1〜4shot/2minとすることが可能である。

0040

本実施形態において対象となる樹脂材料は、金型投入段階で樹脂が溶融・軟化状態にあり、炭素繊維がランダムに分散し、且つ、繊維長が少なくとも5mm以上、50mm以下のものが含まれる。本実施形態の樹脂材料は、炭素繊維の弾性によりフトン状に大量にエアを含んだ多孔質・発泡体の状態にある。この樹脂材料は、エアを含んでいないコンポジットの状態(完成した成形品)では、樹脂材料密度が1.25〜1.4g/cm3であるのに対し、金型投入段階では、0.25g/cm3程度であり、約5倍の大量のエアを含んだ状態にあり、高い負圧による脱気が必要である。

0041

この高い負圧を確保するため、本実施形態では、負圧開始タイミングにおいて、予め所望の負圧に保持した真空タンク32を有する第1減圧回路20aを駆動し、一次的に金型内を真空引きする。また、負圧開始タイミングにおいて、真空タンク32と同時に真空ポンプ30を駆動させて、高い負圧(低真空)による脱気を行う。さらに時刻T2後において、切換弁34によって第1減圧回路から第2減圧回路に切り換えることで、短時間で高い負圧(高真空)を得ることができる。

0042

例えば、従来技術に係る特許文献1では、2つの系統からなる減圧回路を備えているが、例えば、第1減圧回路の負圧が−0.01MPa程度と低く、その後に第2減圧回路に切り換えて高真空にすることが開示されている。ここでいう「真空圧力」とは、大気圧とした場合の負圧であり、いわゆるゲージ圧と呼ばれているものである。しかしながら、特許文献1では、その具体的な仕様成形サイクル時間に対する適合性について、何ら開示乃至示唆されていない。さらに、特許文献1では、金型投入段階で樹脂が溶融・軟化状態にあり、炭素繊維がランダムに分散し、且つ、繊維長が少なくとも5mm以上、50mm以下のものが含まれる本実施形態の適用対象となる樹脂材料に対して、適合可能かどうか不明である。

0043

本実施形態において、ゲージ圧を用いて説明すると、第1減圧回路20aの負圧は、例えば、−0.04〜−0.07MPa(低真空)程度とすることが好ましい。これ以下の負圧では、樹脂材料内部のエアを充分に脱気することが困難であるからである。また、これ以上の負圧とするためには、真空タンク32の容量が200L以上必要となり、成形サイクル間で、これだけの容量を再度−0.1MPa程度まで回復させることが困難であり、連続成形サイクルとすることができないからである。

0044

また、第2減圧回路20bの負圧は、−0.07〜−0.1MPa(高真空≒絶対真空)程度とすることが好ましい。第2減圧回路20bは、例えば、真空ポンプや複数の真空タンク等を備えて構成し、段階的に切り換えるようにしてもよい。その際、所望の負圧、現場スペース等に応じて適宜設定されるとよい。さらに、高真空により、溶融・軟化状態で樹脂が劣化し発生したガス成分を樹脂材料から除去することができ、材料物性の強度を向上させることができる利点がある。なお、図3(b)に示されるように、本実施形態では、第1減圧回路20a及び第2減圧回路20bの両者を用い、且つ、第1減圧回路20aから第2減圧回路20bへ切り換えることで、成形速度を増大させて急激に立ち下がる型締めカーブとすることができる。

0045

図4(a)は、従来技術における金型の型締め段階を示す模式図、図4(b)は、その型締め完了段階を示す模式図、図5(a)は、本実施形態における金型の型締め段階を示す模式図、図5(b)は、その型締め完了段階を示す模式図である。

0046

従来技術において、型締め完了まで継続的に金型外部へのエアを脱気する方法としては、上型と下型の分割面を型締め方向に対して交差する方向に設定した横割り(横パーティングライン)を採用するものがある。この従来技術では、型締め完了まで金型のキャビティ内と外部とが連通して大気開放状態となるため、横パーティングラインに沿って流動した樹脂材料がバリとして残存する不具合がある。また、従来技術では、例えば、樹脂材料がフトン状でその材料内部に大量のエアを含有する場合、その含有するエアを除去することが困難である。

0047

これに対して本実施形態では、図5(a)及び図5(b)に示されるように、上型12aと下型12bとの縦分割面にシール部材28を介装することで、金型のキャビティ内の気密性を確保し、第1減圧回路20a及び第2減圧回路20bの負圧作用によってエアの脱気を確実にしている。また、本実施形態では、金型の分割面を型締め方向に対して平行又は略平行な方向に設定した縦割り(縦パーティングライン)とすることで、流動した樹脂材料を金型外部へ流出させることを回避しながら迅速に型締めを完了することができる。

0048

プロファイルに適合するタイミングは、ステージ1の「時刻T1」であり、縦パーティングラインの噛み合い前に上型12aとシール部材28とによる嵌合状態を構成し、金型のキャビティ内を有効に真空脱気するための閉空間を確保することができる。

0049

その際、第1減圧回路20aを駆動させることにより、金型のキャビティ内が低真空状態となり、高速脱気することができる。また、第2減圧回路20bを駆動させることにより、高真空状態となり、樹脂材料の流動過程における材料内部のボイドを脱気することができる。なお、第1減圧回路20aと第2減圧回路20bとは、図示しない制御装置から切換弁34に対して出力される切換信号に基いて減圧回路の切り換えが遂行される。

0050

図6(a)は、本実施形態において、上型のプレス下降時間と、プレス位置と、プレス加圧力との関係を示す特性図、図6(b)は、図6(a)の時刻T2からT3までの部分拡大特性図である。

0051

時刻T0から時刻T1(上型12aがシール部材28に嵌合する時刻)に至るまでの時間の短縮(高速化)は、プレス装置14の構造に由来し、例えば、各アキュムレータ42による上型12aの下降速度のアシストや、自重落下等による対応が可能である。この段階における型締め速度は、500〜1500mm/sec程度である。また、時刻T1に至る前に、上型12aのシール部材28への摺動・変形負荷低減や、破損を防止するために上型12aの下降速度を減速する必要がある。

0052

前記したように、本樹脂材料の成形においては、樹脂材料が金型に挟まれて冷却速度が速いステージ2における高速化(時間の短縮化)が重要となり、時刻T1以後の動作について説明する(図6(a)及び図6(b)参照)。

0053

時刻T1を経た後、プレス装置14の金型(上型12a、下型12b)は、縦パーティングラインの嵌合状態に到達する。縦パーティングラインは、キャビティ内に投入された樹脂材料が外部へ流出することを防止し、上型12aと下型12bとの間には、所定のクリアランスが形成されている。このクリアランスは、例えば、0.05mm以下に設定されており、金型の破損を防止するために時刻T1から時刻T2までの間で、金型平行制御装置16を用いた速度制御へ切り換えを行う必要がある。

0054

従来では、時刻T2以後は、圧力制御によって制御していたが、本実施形態では、時刻T2以後においても金型平行制御装置16による速度制御が望ましい(図2図6(b)参照)。本実施形態において、可能な限り速度制御から圧力制御への切り換えタイミング遅延させることが、ステージ2以後の時間短縮に有効である。なぜなら、圧力制御は、金型のプレス加圧力の制御となるため、速度は「なりゆき」となり時間がかかるだけでなく、樹脂材料流動の再現性についても課題が生ずるからである。なお、速度制御による型締め速度は、圧力制御による型締め速度よりも高速であることが好ましい。図6(b)に示されるように、例えば、プレス加圧力の立ち上がりを検知することで、速度制御から圧力制御に切り換えることが好ましい。

0055

しかしながら、時刻T2以後も単純に速度制御で樹脂材料を加圧することは困難であり、課題も発生する。図4部分拡大図に示されるように、時刻T2以後、樹脂材料の弾性反力により上型12aの下降速度は減速され、ひいては金型平行制御装置16の速度についていけず、金型の平行状態を保持することが困難となり、例えば、金型の破損やプレス装置12に不具合が発生するおそれがある。

0056

時刻T2以後の上型12aの下降速度は、チャージした樹脂材料の大きさによって設定することが好ましい。

0057

また、時刻T2を経過した後、切換弁34を介して、第1減圧回路20aと第2減圧回路20bとの切り換えを行って、金型のキャビティ内の脱気を遂行する。

0058

図7は、成形条件とその結果とを、本実施形態及び比較例で比較した説明図である。
成形条件としては、プレス速度(プレス成形速度)(mm/sec)、減圧条件(第1減圧回路及び第2減圧回路の使用の有無)、成形圧力(MPa)、金型平行制御の有無をその比較対象としている。また、結果としては、成形品におけるボイドの有無、平均板厚(mm)をその比較対象としている。

0059

比較例では、プレス速度が3(mm/sec)、減圧条件として第1減圧回路20a及び第2減圧回路20bの両方をそれぞれ使用し、成形圧力は、20(MPa)であった。但し、比較例では、第1減圧回路20aを、金型の上型12aがキャビティ内に投入された樹脂材料と接触した後の段階で駆動している。

0060

本実施形態では、プレス速度が24.6(mm/sec)、減圧条件として第1減圧回路20a及び第2減圧回路20bの両方をそれぞれ使用し、成形圧力は、10(MPa)であった。但し、本実施形態では、第1減圧回路20aを、金型の上型12aがキャビティ内に投入された樹脂材料と接触する前の段階で駆動している。

0061

結果として、本実施形態及び比較例では、成形品にボイドの発生がないと共に、平均板厚が2.85mm(比較例)、2.8mm(本実施形態)と、成形品を比較的薄肉に成形することができた点でそれぞれ共通している。

0062

しかしながら、比較例では、プレス速度が3(mm/sec)で非常に遅いのに対し、本実施形態では、プレス速度が24.6(mm/sec)と比較例に対して8倍以上の成形速度に向上させることができた。このように、本実施形態では、バリ等の発生を回避しつつ、樹脂成形部材のプレス速度(成形速度)を向上させることができた。

0063

10成形プレスシステム(成形システム)
12a上型(金型)
12b下型(金型)
14プレス装置
20a 第1減圧回路(減圧回路)
20b 第2減圧回路(減圧回路)
28シール部材
34 切換弁

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