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技術 ゴルフクラブヘッドの製造方法

出願人 住友ゴム工業株式会社
発明者 綱島豊容植田尚良植田勝彦杉本靖司中村崇水谷成宏松永聖史
出願日 2016年6月13日 (5年8ヶ月経過) 出願番号 2016-117053
公開日 2017年12月21日 (4年1ヶ月経過) 公開番号 2017-221257
状態 特許登録済
技術分野 ゴルフクラブ
主要キーワード FEMシミュレーション 特性時間 ウエイト部材 本体パーツ 内圧調整 超音波厚さ計 ロストワックス 注入箇所
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年12月21日)のものです。
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図面 (12)

課題

所望の反発性能を有するゴルフクラブヘッドを容易に製造することができる、ゴルフクラブヘッドの製造方法を提供する。

解決手段

本発明に係るゴルフクラブヘッドの製造方法は、フェース部、ソール部、クラウン部、及びホーゼル部を有するとともに、これらによって囲まれた内部空間を有するゴルフクラブヘッドを、成形するステップと、前記フェース部、ソール部、クラウン部、及びホーゼル部の少なくとも1つに形成された少なくとも1つの連通部から前記内部空間に内圧調整媒体注入することで、前記内部空間の内圧を上昇させ、前記反発評価値基準値以下となるように調整するステップと、を備えている。

概要

背景

従来より、ゴルフクラブヘッドは、反発性能を向上するため、種々の改良がなされている。例えば、特許文献1のゴルフクラブヘッドでは、クラウン部の肉厚を調整することで反発性能を向上している。

概要

所望の反発性能を有するゴルフクラブヘッドを容易に製造することができる、ゴルフクラブヘッドの製造方法を提供する。本発明に係るゴルフクラブヘッドの製造方法は、フェース部、ソール部、クラウン部、及びホーゼル部を有するとともに、これらによって囲まれた内部空間を有するゴルフクラブヘッドを、成形するステップと、前記フェース部、ソール部、クラウン部、及びホーゼル部の少なくとも1つに形成された少なくとも1つの連通部から前記内部空間に内圧調整媒体注入することで、前記内部空間の内圧を上昇させ、前記反発評価値基準値以下となるように調整するステップと、を備えている。

目的

本発明は、この問題を解決するためになされたものであり、所望の反発性能を有するゴルフクラブヘッドを容易に製造することができる、ゴルフクラブヘッドの製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

フェース部、ソール部、クラウン部、及びホーゼル部を有するとともに、これらによって囲まれた内部空間を有するゴルフクラブヘッドを、成形するステップと、前記フェース部、ソール部、クラウン部、及びホーゼル部の少なくとも1つに形成された少なくとも1つの連通部から前記内部空間に内圧調整媒体注入することで、前記内部空間の内圧を上昇させ、当該ゴルフクラブヘッドの反発性能を表す、反発評価値基準値以下となるように調整するステップと、を備えている、ゴルフクラブヘッドの製造方法。

請求項2

前記内圧を上昇させるのに先立って、前記ゴルフクラブヘッドにおいて前記反発評価値を得るステップを、さらに備え、前記反発評価値が、前記基準値よりも高い場合、当該反発評価値が前記基準値以下となるように、前記気体を注入する、請求項1に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。

請求項3

前記成形されたゴルフクラブヘッドは、前記反発評価値が前記基準値よりも大きくなるように設計されている、請求項1または2に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。

請求項4

前記成形されたゴルフクラブヘッドは、所定の前記反発評価値を表すように設計されるとともに、当該所定の反発評価値の公差の範囲内に、前記基準値が含まれるように設計されている、請求項1または2に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。

請求項5

前記連通部には、逆止弁が設けられており、前記逆止弁により、前記内部空間から外部への内圧調整媒体の流出が防止される一方、外部から前記内部空間への内圧調整媒体の流入が許容されるように構成されている、請求項1から4のいずれかに記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。

請求項6

前記連通部として、前記ホーゼル部には、ゴルフクラブシャフトが挿入されるとともに、前記内部空間に連通する挿入孔が形成されており、当該挿入孔に、前記逆止弁が取り付けられている、請求項5に記載のコルクラブヘッドの製造方法。

請求項7

前記連通部として、前記ソール部には、ウエイト部材が取り付けられるとともに、前記内部空間に連通する取付孔が形成されており、当該取付孔に、前記逆止弁が取り付けられている、請求項5に記載のコルフクラブヘッドの製造方法。

請求項8

前記反発評価値は、前記ゴルフクラブヘッドのフェース部の厚みを測定することで算出可能である、請求項1から7のいずれかに記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。

請求項9

フェース部、ソール部、クラウン部、及びホーゼル部を有するとともに、これらによって囲まれた内部空間を有するゴルフクラブヘッドを、成形するステップと、前記内部空間の内圧を変化させることで、当該ゴルフクラブヘッドの反発性能を表す、反発評価値を所望の値に調整するステップと、を備えている、ゴルフクラブヘッドの製造方法。

請求項10

前記内圧調整媒体は、気体である、請求項1から9のいずれかに記載の、ゴルフクラブヘッドの製造方法。

請求項11

フェース部、ソール部、クラウン部、及びホーゼル部を有するとともに、これらによって囲まれた内部空間及び当該内部空間に通じる連通部を有するゴルフクラブヘッド本体と、前記連通部に設けられる逆止弁と、を備え、前記逆止弁を介して、前記内部空間への内圧調整媒体の注入または当該内部空間からの内圧調整媒体の吸引によって前記内部空間の内圧を調整することで、当該ゴルフクラブヘッド本体の反発性能を表す反発評価値を、所望の値に調整可能となっている、ゴルフクラブヘッド。

技術分野

0001

本発明は、ゴルフクラブヘッドの製造方法、及びゴルフクラブヘッドに関する。

背景技術

0002

従来より、ゴルフクラブヘッドは、反発性能を向上するため、種々の改良がなされている。例えば、特許文献1のゴルフクラブヘッドでは、クラウン部の肉厚を調整することで反発性能を向上している。

先行技術

0003

特開2005−6698号公報

発明が解決しようとする課題

0004

ところで、R&Aなどのゴルフルールには、反発性能の上限が規定されているため、ゴルフクラブヘッドは、規定された上限値を超えないように設計される。ところが、ゴルフクラブの製造においては、製造誤差が生じるため、これを考慮した反発性能が表れるようにゴルフクラブヘッドを設計しなければならない。したがって、設計上の反発性能の目標値は、公差の範囲を考慮して、ルールの上限値よりもかなり低く設定する必要がある。そのため、従来は、ルールの上限値よりもかなり低い反発性能を示すゴルフクラブヘッドしか製造することができなかった。

0005

これを解決するため、既定の製造後に、例えば、クラウン部やフェース部を研磨し、ルールの上限値に近い反発性能が表れるゴルフクラブヘッドを製造することも可能であるが、このようにすると、製造に多大な時間を要するため、現実的ではなかった。

0006

本発明は、この問題を解決するためになされたものであり、所望の反発性能を有するゴルフクラブヘッドを容易に製造することができる、ゴルフクラブヘッドの製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明に係る第1のゴルフクラブヘッドの製造方法は、フェース部、ソール部、クラウン部、及びホーゼル部を有するとともに、これらによって囲まれた内部空間を有するゴルフクラブヘッドを、成形するステップと、前記フェース部、ソール部、クラウン部、及びホーゼル部の少なくとも1つに形成された少なくとも1つの注入部から前記内部空間に内圧調整媒体を注入することで、前記内部空間の内圧を上昇させ、前記反発評価値基準値以下となるように調整するステップと、を備えている。

0008

上記ゴルフクラブヘッドの製造方法では、前記内圧を上昇させるのに先立って、前記ゴルフクラブヘッドにおいて前記反発評価値を測定するステップを、さらに備え、前記反発評価値が、前記基準値よりも高い場合、当該反発評価値が前記基準値以下となるように、前記気体を注入するように構成することができる。

0009

上記ゴルフクラブヘッドの製造方法において、前記成形されたゴルフクラブヘッドは、前記反発評価値が前記基準値よりも大きくなるように設計することができる。

0010

上記ゴルフクラブヘッドの製造方法において、前記成形されたゴルフクラブヘッドは、所定の前記反発評価値を表すように設計されるとともに、当該所定の反発評価値の公差の範囲内に、前記基準値が含まれるように設計することができる。

0011

上記ゴルフクラブヘッドの製造方法において、前記連通部には、逆止弁を設けることができ、前記逆止弁により、前記内部空間から外部への気体の流出が防止される一方、外部から前記内部空間への気体の流入が許容されるように構成することができる。

0012

上記ゴルフクラブヘッドの製造方法においては、前記連通部として、前記ホーゼル部には、ゴルフクラブのシャフトが挿入されるとともに、前記内部空間に連通する挿入孔を形成することかでき、当該挿入孔に、前記逆止弁を取り付けることができる。

0013

上記ゴルフクラブヘッドの製造方法においては、前記連通部として、前記ソール部には、ウエイト部材が取り付けられるとともに、前記内部空間に連通する取付孔を形成することができ、当該取付孔に、前記逆止弁を取り付けることができる。

0014

上記ゴルフクラブヘッドの製造方法において、前記反発評価値は、前記ゴルフクラブヘッドのフェース部の厚みを測定することで算出可能であるものとすることができる。

0015

本発明に係る第2のゴルフクラブヘッドの製造方法は、フェース部、ソール部、クラウン部、及びホーゼル部を有するとともに、これらによって囲まれた内部空間を有するゴルフクラブヘッドを、成形するステップと、前記内部空間の内圧を変化させることで、当該ゴルフクラブヘッドの反発性能を表す、反発評価値を所望の値に調整する第3ステップと、を備えている。この発明では、例えば、内部空間の圧力を高めるほか、内部空間を負圧にすることで、反発評価値を所望の値に調整することができる。

0016

上記各ゴルフクラブヘッドの製造方法においては、内圧調整媒体を気体とすることができる。

0017

本発明に係るゴルフクラブヘッドは、フェース部、ソール部、クラウン部、及びホーゼル部を有するとともに、これらによって囲まれた内部空間及び当該内部空間に通じる連通部を有するゴルフクラブヘッド本体と、前記連通部に設けられる逆止弁と、を備え、前記逆止弁を介して、前記内部空間への気体の注入または当該内部空間からの気体の吸引によって前記内部空間の内圧を調整することで、当該ゴルフクラブヘッド本体の反発性能を表す反発評価値を、所望の値に調整可能となっている。なお、本発明に係るゴルフクラブヘッド本体とは、ゴルフクラブヘッドから逆止弁を除いた構成を示す。

発明の効果

0018

本発明によれば、所望の反発性能を有するゴルフクラブヘッドを容易に製造することができる。

図面の簡単な説明

0019

本発明に係るゴルフクラブヘッドの一実施形態を示す斜視図である。
図1の平面図である。
図1の底面図である。
図3のA−A線断面図ある。
ゴルフクラブヘッドの組み立ての一例を示す図である。
ヘッドの内圧とヘッドの固有振動数との関係を示すグラフである。
ヘッドの内圧とCTの変化量との関係を示すグラフである。
ヘッドの内圧とCORの変化量との関係を示すグラフである。
常圧状態と内圧充填状態とでのCTの変化を示すグラフである。
常圧状態と内圧充填状態とでのCORの変化を示すグラフである。
ゴルフクラブヘッドの製造工程を示すフローチャートである。

実施例

0020

以下、本発明に係るゴルフクラブヘッドの製造方法の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は本実施形態に係るゴルフクラブヘッドの斜視図、図2図1の平面図、図3図1の底面図、図4図3のA−A線断面図ある。以下では、まず、ゴルフクラブヘッドの概要について説明し、その後、ゴルフクラブヘッドの製造方法について説明する。

0021

<1.ゴルフクラブヘッドの概要>
図1図4に示すように、このゴルフクラブヘッド(以下、単に「ヘッド」ということがある)10は、内部空間18を有する中空構造であり、フェース部1、クラウン部2、ソール部3、サイド部4、及びホーゼル部5によって壁面が形成されている。

0022

フェース部1は、ボール打球する面であるフェース面を有しており、クラウン部2はフェース部1と隣接し、ヘッドの上面を構成する。ソール部3は、ヘッドの底面を構成し、フェース部1及びサイド部4と隣接する。また、サイド部4は、クラウン部2とソール部3との間の部位であり、フェース部1のトウ側からヘッドのバック側を通りフェース部1のヒール側へと延びる部位である。さらに、ホーゼル部5は、クラウン部2のヒール側に隣接して設けられる部位であり、ゴルフクラブのシャフト(図示省略)が挿入される挿入孔51を有している。そして、この挿入孔51の中心軸線Zは、シャフトの軸線に一致している。ここで説明するヘッドは、ドライバー(#1)又はフェアウェイウッドといったウッド型であるが、そのタイプは限定されず、いわゆるユーティリティ型及びハイブリッド型等であってもよい。

0023

図4に示すように、ホーゼル部5の挿入孔51は、ヘッドの内部空間18に通じており、この挿入孔51の内部には、逆止弁6が取り付けられている。この逆止弁6は、公知のものであり、内部空間18から外部への気体の流出を防止する一方、外部から内部空間18への気体の流入を許容するものである。したがって、挿入孔51から気体を注入すると、逆止弁6が開状態になり、内部空間18に気体を注入することができるが、一旦注入が完了すると、逆止弁6は閉状態になり、内部空間18から外部への気体の流入が防止される。

0024

図3に示すように、ソール部3には、円形状の凹部31が形成されており、この凹部31の底面311には雌ネジが形成された固定穴312が設けられている。そして、凹部31には、図3中の拡大図に示されるように、ウエイト部材7が取り付けられる。

0025

本実施形態において、ソール部3とフェース部1、及びソール部3とサイド部4の境界は次のように定義することができる。すなわち、ソール部3とフェース部1、及びソール部3とサイド部4の間に稜線が形成されている場合には、これが境界となる。また、本実施形態に係るゴルフクラブヘッドでは、サイド部4を有しているが、例えば、サイド部4を有さず、ソール部3がクラウン部2と直接連結されている場合には、ソール部3とクラウン部2との間の稜線が、両者の境界となる。

0026

ヘッド10の体積の上限は特に定めないが、実用上、例えば500cm3以下が望ましく、またR&AやUSGAのルール規制に従う場合には470cm3以下が望ましい。

0027

また、ヘッド10は、例えば、比重がほぼ4.4〜4.5程度のチタン合金(Ti−6Al−4V)で形成することができる。また、チタン合金以外にも、例えばステンレス鋼、マレージング鋼、アルミ合金マグネシウム合金、またはアモルファス合金などの中から1種または2種以上を用いて形成することもできる。このようなゴルフクラブヘッドは、種々の方法で作製することができるが、例えば、公知のロストワックス精密鋳造法などの鋳造によって製造することができる。

0028

なお、本実施形態に係るヘッドは、少なくともソール部3を有するヘッド用本体パーツと、他の部分を組み合わせることで構成される。例えば、フェース部1のみを別部材で構成してヘッド用本体パーツに取り付けることでヘッドを構成したり、あるいはクラウン部2やサイド部4に開口を設けたヘッド用本体パーツを形成し、この開口を別部材で塞ぐことでヘッドを構成することもできる。例えば、図5に示すように、フェース部1の周囲に周縁部12を設けたカップフェース構造のフェース用パーツ20を、ヘッド用本体パーツ100の開口101に取り付けることができる。このとき、ヘッド用本体パーツ100は鋳造で製造され、フェース用パーツ20はプレス加工で製造することができる。そして、フェース用パーツ20を溶接によってヘッド用本体パーツ100に固定することができる。

0029

<2.ヘッドの内圧と反発性能との関係>
次に、ゴルフクラブヘッドの内圧と反発性能の関係について説明する。本発明者は、以下に示すように、ヘッド本体の内圧が上昇すると、反発性能が低下することを見出した。

0030

まず、図6に示すように、本発明者は、FEMシミュレーションにより、ゴルフクラブヘッドの内圧が上昇すると、ヘッドの固有振動数が上昇することを見出した。また、このように固有振動数が上昇すると、ヘッドの反発性能が低下することが考えられるため、FEMシミュレーションにより、同様に、ヘッドの内圧と反発性能との関係も検討した。ここでは、反発性能を評価する反発評価値として、R&AやUSGAで定められているCOR(反発係数)とCTの変化量とを用いた。なお、CTは、ヘッドの特性時間(Characteristic Time)として、USGAの現行ペンデュラムテスト準拠して測定されるものである。このペンデュラムテストの詳細は、2003年2月24日にUSGAから発行された「Notic To Manufacturers」に添付された「Technical Description of the Pendulum Test」に記載されている。CTの単位はμsであり、CTが大きいほど、反発性能が高い傾向にある。但し、反発評価値は、上記のもの以外を採用すること可能である。

0031

図7は、ヘッドの内圧とCTの変化量との関係を示すグラフであり、図8は、ヘッドの内圧とCORの変化量との関係を示すグラフである。いずれのグラフからも、内圧が上がるほど、CORやCTが低下していることが分かる。したがって、ヘッドの内圧が上がるほど、反発性能は低下することが見出された。

0032

この点について、実際のゴルフクラブを用いて検証すると、以下の通りである。ここでは、市販されているゴルフクラブヘッドの内部空間が加圧減圧もされない通常状態(以下、常圧状態という)と、ゴルフクラブヘッド内部空間に気体が充填され、内圧が高い状態(以下、内圧充填状態という)とで、CORとCTとを測定した。この結果は、図9及び図10に示すとおりである。図9に示すように、内圧充填状態と常圧状態とでは、常圧状態の方がCT及びCORのいずれも高いことが分かった。したがって、内圧がゴルフクラブヘッドの反発性能に影響を与えることが、シミュレーション及び実際の試験の両方において検証されたことになる。

0033

<3.ゴルフクラブヘッドの製造方法>
以下、上記のようにヘッドの内圧が反発性能に影響を与えるという知見を用いた、反発性能の高いゴルフクラブヘッドの製造方法について説明する。まず、反発性能については、R&Aにおいて、CTに関し、「239μsec+許容誤差18μsecを超えてはならない」と規定されている(2016年3月現在)。そのため、このルールを遵守する反発性能が得られるように、ゴルフクラブヘッドが設計される。例えば、フェース部、クラウン部、ソール部の厚み、肉厚分布材質、構造などが適宜決定され、ゴルフクラブヘッドが設計される。

0034

そして、製造においては、基準となる設計で得られるCT(以下、目標CTという)から公差が生じるため、この公差の範囲も上述したルールの上限値(以下、上限CTという)を超えないように、目標CTを定める必要がある。しかしながら、この設計方法では、公差も考慮して上限CTを超えないようにするため、実際に製造されるゴルフクラブヘッドのCTは、上限CTよりもかなり低くなる。したがって、十分な反発性能を得ることができていない。

0035

これに対して、本実施形態に係る製造方法では、上限CTを超えるような反発性能を得られるようにゴルフクラブヘッドを設計し、その後、ゴルフクラブヘッドの内圧を上昇させて、CTが上限CT以下になるように調整する。この点を図11のフローチャートを用いて説明する。

0036

同図に示すように、まず、上述したような方法で、ゴルフクラブヘッドを成形し、ホーゼル部5の挿入孔51に逆止弁6を取り付ける(ステップS1)。また、ソール部4の取付孔31も塞いでおき、ゴルフクラブヘッドの内部空間18を密閉する。ここまでで、研磨や塗装などの工程も完了しておく。次に、このゴルフクラブヘッドの反発性能(反発評価値)を測定する(ステップS2)。例えば、上記のようなCTやCORを測定することもできるし、これに代わる反発性能を表すものを測定することができる。例えば、フェース部1の中央の厚みは、反発性能と密接に関連することから、フェース部1の中央の厚みとCTとの相関をとっておき、フェース部1の厚みを測定してCTに換算することもできる。以下の表1は、その一例である。

0037

0038

すなわち、CTやCORは測定に時間を要するため、これに代わるものとしてフェース部1の厚みを測定するのである。フェース部1の厚みは、例えば、公知の超音波厚さ計を用いれば、数秒で測定することができる。このように、フェース部1の厚みを測定することで、CTなどの反発評価値を簡易に得ることができる。

0039

次に、得られた反発評価値が、内圧調整のための目標値となっていない場合であって(ステップS3のNO)、目標値(例えば、上限CT)よりも高い場合には(ステップS4のYES)、挿入孔51から内部空間18に空気などの気体を注入し、内圧を上昇させる(ステップS5)。これにより、反発評価値が低下する。そのため、反発評価値が目標値となるように、気体を注入する。このとき、例えば、以下の表2のような、内圧とCTの変化量との関係を予め算出しておき、上限CTまたはそれ以下となるような内圧になるまで、気体を注入する。なお、一旦、注入された気体は、逆止弁6により外部へ排出されるのが防止されるため、ヘッドの内部空間18は所定の内圧に維持される。一方、反発評価値が目標値よりも低い場合には(ステップS4のNO)、挿入孔51から内部空間18の空気を吸引し、内圧が目標値となるように低下させる(ステップS6)。

0040

0041

こうして、ヘッドの内圧を調整した後、反発評価値を再度測定し(ステップS7)、目標値になっていない場合には(ステップS8のNO)、再度調整を行う(ステップS4〜S7)。一方、反発評価値が目標値となっている場合には(ステップS8のYES)、、取付孔51にシャフトを挿入し、接着剤を充填して内部空間を密閉する(ステップS9)。こうして、ゴルフクラブヘッドの製造が完了する。なお、フェース部1の厚みを測定したときに、換算されたCTが、目標値となっていれば(ステップS3のYES)、内部空間の密閉を行うと(ステップS9)、ゴルフクラブヘッドの製造が完了する。なお、反発評価値の2回目の測定(ステップS7)及びその評価(ステップS8)は省略してもよく、内圧の調整を行った後(ステップS5またはS6)、内部空間の密閉を行い(ステップS9)、ゴルフクラブヘッドの製造を完了してもよい。

0042

上記のような手順を具体的な数値を示して説明すると、以下の通りである。例えば、ゴルフクラブヘッドの内圧が1atmであったとし、以下の表3に示すように、許容誤差を考慮して上限CTを237μsに設定する。この場合、例えば、測定したフェース部1の中央の肉厚が3.1mmであったとすると、その換算CTは、260μsであるため、CTを23μs下げなければならない。この場合、内圧は、15.5atmにしなければならないため、内圧を14.5atm上げるように、気体を注入すればよい。

0043

0044

なお、フェース部1の肉厚が3.51mmである場合には、換算CTは、236μsであり、上限CTよりも低くなっている。そのため、この場合には、内圧を低下させれば、CTを上げることができる。したがって、内圧を低下させるように、調整することもできる。

0045

<4.特徴>
以上のように、本実施形態によれば、ゴルフクラブヘッドの内圧と反発性能に相関があることが見出されたため、内圧を変化させることにより、ゴルフクラブヘッドの反発性能を調整することができる。そのため、例えば、上限CTを超える反発性能を示すように設計したゴルフクラブヘッドを作製し、事後的に内部空間に気体を注入し、内圧を上昇させれば、反発性能を低下させることができる。これにより、上限CT以下で、上限CTに極めて近い反発性能を示すゴルフクラブヘッドを簡単に作製することができる。したがって、本実施形態によれば、ルールを遵守しながら、反発性能の高いゴルフクラブヘッドを簡単に製造することができる。

0046

<5.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。

0047

<5.1>
ゴルフクラブヘッドの内圧を上げるために注入する気体は、特には限定されず、空気のほか、窒素アルゴンヘリウムなど、種々の気体を用いることができる。その他、本発明の内圧調整媒体としては、上記のような気体のほか、発泡材(例えば、マイクロバルーン熱膨張性マイクロカプセル、具体的には、例えば、日本フィライト株式会社製「エクセパンセル」など)などの拡張可能な材料を内部空間に注入することで、内部空間の内圧を調整することができる。

0048

<5.2>
上記のようなゴルフクラブヘッドの設計は、種々の観点から行うことができる。例えば、公差の範囲も含めて、CTが上限CTを超えるような目標CTを有するゴルフクラブヘッドを設計し、ここから、気体を注入して内圧を上昇させ、上限CT以下となるようなCTを示すゴルフクラブヘッドを製造することができる。あるいは、公差の範囲内に上限CTが含まれるような目標CTを有するゴルフクラブヘッドを設計することもできる。この点は、例えば、ゴルフクラブヘッドの構造、材質などの耐圧強度に影響を与える要素などによって、上昇可能な内圧が決まるため、それによって、目標CTをどのように設定するかを適宜決めればよい。

0049

<5.3>
上記実施形態では、ルールに基づいて上限CT以下のCTを示すゴルフクラブヘッドを製造する例を示したが、これに限定されず、ルール以外の所定のCT、または他の反発評価値を基準にして、これ以下の所望の反発評価値を示すようなゴルフクラブヘッドを製造することができる。この観点から、ゴルフクラブヘッドの内圧は、上昇させるほか、下げるような調整により、つまり、内部空間の圧力を下げ、例えば負圧にすることで、所望の反発評価値を示すゴルフクラブヘッドを製造することができる。

0050

<5.4>
上記実施形態では、ホーゼル部5の挿入孔51から気体を注入したが、気体を注入する箇所である注入部は、これ以外の箇所であってもよく、例えば、ソール部4におけるウエイト部材7の取付孔31から空気を注入してもよい。この場合、例えば、取付孔31に逆止弁を取り付け、内圧を調整した後、取付孔31を接着剤で塞いだり、あるいはウエイト部材7を取り付けることで、内部空間を密閉することができる。また、これ以外の箇所であっても気体が注入できるのであれば、特には限定されない。

0051

<5.5>
上記実施形態では、気体の注入箇所に逆止弁6を設けたが、気体を注入後、気体の漏れを防止できるような機構であれば、逆止弁以外であってもよい。

0052

<5.6>
上記実施形態では、気体を注入する前に、CT,CORなどの反発評価値を算出したり,あるいはフェース部の厚みに基づいてCT,CORなどの反発評価値を算出しているが、反発評価値を算出せず、例えば、予め計算した圧力値となるように、内部空間に気体を注入することもできる。但し、この場合には、例えば、フェース部の厚みがばらつくことなく、すべてのゴルフクラブヘッドで均一であり、ほぼ同一の反発評価値を示すことが前提となる。このようなゴルフクラブヘッドを作製できるのであれば、圧力値の調整のみで、反発性能を調整することができる。

0053

<5.7>
本発明に係るゴルフクラブヘッドの態様は特には限定されず、少なくともフェース部、ソール部、クラウン部、及びホーゼル部を有していればよく、例えば、ウエイト部材を取り付けない態様であってもよい。この場合、ウエイト部材の取付孔は設けない。

0054

<5.8>
上記実施形態では、ウッド型ゴルフクラブについて説明したが、本発明に係るゴルフクラブの製造方法は、これ以外のクラブに対しても適用することができる。例えば、いわゆるユーティリティ型及びハイブリッド型等を含む中空のヘッドを有するゴルフクラブの製造に適用することもできる。

0055

1フェース部
2クラウン部
4ソール部
6 逆止弁

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