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技術 抗原結合用キャリア及びその使用

出願人 国立大学法人新潟大学
発明者 内海利男須田真広藤間真紀伊東孝祐
出願日 2016年6月16日 (4年5ヶ月経過) 出願番号 2016-120039
公開日 2017年12月21日 (2年10ヶ月経過) 公開番号 2017-221153
状態 特許登録済
技術分野 微生物による化合物の製造 突然変異または遺伝子工学 ペプチド又は蛋白質
主要キーワード 五面体 タンパク質吸着性 機能構造 ケプラー 動的性質 十二面体 ヒドロキシスクシンイミドエステル基 二十面体
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図面 (4)

課題

ヒトPタンパク質複合体を抗原として用いた抗体作製技術を応用し、任意の抗原に対する特異的な抗体の作製に利用可能であり、取扱いが容易な抗原結合用キャリアを提供する。

解決手段

本発明の抗原結合用キャリアは、コア粒子と、前記コア粒子に連結され、可動性を有する少なくとも2つのリンカーと、を備え、前記リンカーにおいて、コア粒子との連結部とは反対側の先端が抗原結合部位である。

概要

背景

抗体は、基礎生命科学の研究だけでなく、検査診断又は医薬品としても広く使用されている。抗体は、一般に、抗原となる特定のタンパク質を用いて、動物免疫化して作製されるが、基礎生命科学の研究や、検査診断又は医薬品に利用できる抗体を得ることは容易ではない。特に、機能面で重要であり、進化的に高度に保存された機能構造を有する生体物質に対する抗体の作製は困難な場合が多い。
部位特異的な抗体の作製を目的として、タンパク質の特定部位合成ペプチド等を各種キャリアに結合し、免疫化する方法(例えば、特許文献1参照。)が開発されているが、有効な抗体が得られない場合が多く、タンパク質の特定部位に対する抗体を自在に作製する新たな技術が求められている。

自己免疫疾患では、通常の免疫法では抗体作製が困難な高度に保存された部位を有する生体物質に対する抗体が産出される場合が多い。
本発明者らは、自己免疫疾患において、しばしば自己抗体の標的となるリボソーム中の酸性リン酸化タンパク質であるPタンパク質大サブユニットP0、P1、及びP2において、共通して保存されたC末端部位の強力な抗原性が、Pタンパク質の高次構造動的性質に起因するものであると考え、各種解析を行ってきた。その結果、Pタンパク質はユニークな複合体を形成し、抗原部位となる共通C末端部位(以下、「C末端抗原部位」と称することがある。)は柔軟に運動すること、及びヒトPタンパク質複合体をマウス投与することで、共通C末端抗原部位に対する特異的な抗体(以下、「抗P抗体」と称することがある。)が優先的に生じることを明らかにした(例えば、非特許文献1、及び特許文献2参照。)。

概要

ヒトPタンパク質複合体を抗原として用いた抗体作製技術を応用し、任意の抗原に対する特異的な抗体の作製に利用可能であり、取扱いが容易な抗原結合用キャリアを提供する。本発明の抗原結合用キャリアは、コア粒子と、前記コア粒子に連結され、可動性を有する少なくとも2つのリンカーと、を備え、前記リンカーにおいて、コア粒子との連結部とは反対側の先端が抗原結合部位である。なし

目的

本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ヒトPタンパク質複合体を抗原として用いた抗体作製技術を応用し、任意の抗原に対する特異的な抗体の作製に利用可能であり、取扱いが容易な抗原結合用キャリアを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

コア粒子と、前記コア粒子に連結され、可動性を有する少なくとも2つのリンカーと、を備え、前記リンカーにおいて、コア粒子との連結部とは反対側の先端が抗原結合部位であることを特徴とする抗原結合用キャリア

請求項2

前記コア粒子及び前記リンカーが耐熱性を有する請求項1に記載の抗原結合用キャリア。

請求項3

前記リンカーの長さが100Å以上200Å以下である請求項1又は2に記載の抗原結合用キャリア。

請求項4

前記コア粒子及び前記リンカーが以下の(a)〜(c)のいずれかのタンパク質である請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗原結合用キャリア。(a)配列番号1に示すアミノ酸配列を含むタンパク質、(b)配列番号1に示すアミノ酸配列において、1若しくは数個アミノ酸欠失置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、多量体形成能及び可動性領域を有するタンパク質、(c)配列番号1に示すアミノ酸配列と同一性が70%以上であるアミノ酸配列を含み、かつ、多量体形成能及び可動性領域を有するタンパク質

請求項5

前記タンパク質が2量体以上7量体以下の多量体を形成している請求項4に記載の抗原結合用キャリア。

請求項6

請求項4又は5に記載の抗原結合用キャリアをコードする核酸を含むことを特徴とするベクター

請求項7

対象の抗原に対する特異的抗体を作製するためのキットであって、請求項1〜5のいずれか一項に記載の抗原結合用キャリア、又は請求項6に記載のベクターを備えることを特徴とするキット。

請求項8

対象の抗原に対する特異的抗体の製造方法であって、対象の抗原を、請求項1〜5のいずれか一項に記載の抗原結合用キャリアに結合させ、抗原結合キャリアを作製する結合工程と、前記抗原結合キャリアを非ヒト哺乳動物投与する免疫工程と、前記免疫工程後に、前記非ヒト哺乳動物から血清脾臓細胞リンパ節細胞末梢血白血球、又はB細胞採取する採取工程と、を備えることを特徴とする製造方法。

技術分野

0001

本発明は、抗原結合用キャリアベクターキット、及び対象の抗原に対する特異的抗体の製造方法に関する。

背景技術

0002

抗体は、基礎生命科学の研究だけでなく、検査診断又は医薬品としても広く使用されている。抗体は、一般に、抗原となる特定のタンパク質を用いて、動物免疫化して作製されるが、基礎生命科学の研究や、検査診断又は医薬品に利用できる抗体を得ることは容易ではない。特に、機能面で重要であり、進化的に高度に保存された機能構造を有する生体物質に対する抗体の作製は困難な場合が多い。
部位特異的な抗体の作製を目的として、タンパク質の特定部位合成ペプチド等を各種キャリアに結合し、免疫化する方法(例えば、特許文献1参照。)が開発されているが、有効な抗体が得られない場合が多く、タンパク質の特定部位に対する抗体を自在に作製する新たな技術が求められている。

0003

自己免疫疾患では、通常の免疫法では抗体作製が困難な高度に保存された部位を有する生体物質に対する抗体が産出される場合が多い。
本発明者らは、自己免疫疾患において、しばしば自己抗体の標的となるリボソーム中の酸性リン酸化タンパク質であるPタンパク質大サブユニットP0、P1、及びP2において、共通して保存されたC末端部位の強力な抗原性が、Pタンパク質の高次構造動的性質に起因するものであると考え、各種解析を行ってきた。その結果、Pタンパク質はユニークな複合体を形成し、抗原部位となる共通C末端部位(以下、「C末端抗原部位」と称することがある。)は柔軟に運動すること、及びヒトPタンパク質複合体をマウス投与することで、共通C末端抗原部位に対する特異的な抗体(以下、「抗P抗体」と称することがある。)が優先的に生じることを明らかにした(例えば、非特許文献1、及び特許文献2参照。)。

0004

特表2008−504219号公報
特開2008−110943号公報

先行技術

0005

Sato, H., et al., “Characterization of anti-P monoclonal antibodies directed against the ribosomal protein-RNA complex antigen and produced using Murphy Roths large autoimmune-prone mice”, Clin. Exp. Immunol., vol.179, p236-244, 2014.

発明が解決しようとする課題

0006

非特許文献1及び特許文献2に記載された方法により、ヒトPタンパク質複合体を抗原として用いて抗P抗体を作製する場合、前記複合体を構成するP0、P1、及びP2の3種類のタンパク質を調製し、さらに複合体を形成させる必要があった。また、大腸菌を用いた発現系を利用して前記複合体を構成する3種類のタンパク質を調製する場合、大腸菌由来のタンパク質からの分離精製が困難であった。
また、ヒトPタンパク質複合体を抗原として用いた抗体の作製方法では、抗P抗体の産生のみが可能であり、任意のタンパク質に対する特異的な抗体を作製することはできない。

0007

本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ヒトPタンパク質複合体を抗原として用いた抗体作製技術を応用し、任意の抗原に対する特異的な抗体の作製に利用可能であり、取扱いが容易な抗原結合用キャリアを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ヒトPタンパク質のオルソログである古細菌aP1に着目した。aP1は土台となるaP0が存在しなくても多量体を形成し、各aP1のaP0結合部位とC末端抗原部位とに挟まれた領域が可動性を有する触手様構造を形成している。そして、前記aP1のC末端抗原部位を特定の抗原タンパク質置換したものを用いて、動物を免疫化することで、前記抗原タンパク質に対する特異的な抗体を産生することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。

0009

本発明は、以下の態様を含む。
[1]コア粒子と、前記コア粒子に連結され、可動性を有する少なくとも2つのリンカーと、を備え、前記リンカーにおいて、コア粒子との連結部とは反対側の先端が抗原結合部位であることを特徴とする抗原結合用キャリア。
[2]前記コア粒子及び前記リンカーが耐熱性を有する[1]に記載の抗原結合用キャリア。
[3]前記リンカーの長さが100Å以上200Å以下である[1]又は[2]に記載の抗原結合用キャリア。
[4]前記コア粒子及び前記リンカーが以下の(a)〜(c)のいずれかのタンパク質である[1]〜[3]のいずれか一つに記載の抗原結合用キャリア。
(a)配列番号1に示すアミノ酸配列を含むタンパク質、
(b)配列番号1に示すアミノ酸配列において、1若しくは数個アミノ酸欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、多量体形成能及び可動性領域を有するタンパク質、
(c)配列番号1に示すアミノ酸配列と同一性が70%以上であるアミノ酸配列を含み、かつ、多量体形成能及び可動性領域を有するタンパク質
[5]前記タンパク質が2量体以上7量体以下の多量体を形成している[4]に記載の抗原結合用キャリア。
[6][4]又は[5]に記載の抗原結合用キャリアをコードする核酸を含むことを特徴とするベクター。
[7]対象の抗原に対する特異的抗体を作製するためのキットであって、[1]〜[5]のいずれか一つに記載の抗原結合用キャリア、又は[6]に記載のベクターを備えることを特徴とするキット。
[8]対象の抗原に対する特異的抗体の製造方法であって、対象の抗原を、[1]〜[5]のいずれか一つに記載の抗原結合用キャリアに結合させ、抗原結合キャリアを作製する結合工程と、前記抗原結合キャリアを非ヒト哺乳動物に投与する免疫工程と、前記免疫工程後に、前記非ヒト哺乳動物から血清脾臓細胞リンパ節細胞末梢血白血球、又はB細胞採取する採取工程と、を備えることを特徴とする製造方法。

発明の効果

0010

本発明によれば、任意の抗原に対する特異的な抗体の作製に利用可能であり、取扱いが容易な抗原結合用キャリアを提供することができる。

図面の簡単な説明

0011

本発明の抗原結合用キャリアの一実施形態を模式的に示す図である。
本発明の抗原結合用キャリアの他の実施形態を模式的に示す図である。
実施例1におけるポリクローナル抗体抗原特異性を検証した結果を示す画像である。
実施例2におけるポリクローナル抗体の抗原特異性を検証した結果を示す画像である。

0012

以下、必要に応じて図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。

0013

<<抗原結合用キャリア>>
一実施形態において、本発明は、コア粒子と、前記コア粒子に連結され、可動性を有する少なくとも2つのリンカーと、を備え、前記リンカーにおいて、コア粒子との連結部とは反対側の先端が抗原結合部位である抗原結合用キャリアを提供する。

0014

本実施形態の抗原結合用キャリアは、取扱いが容易であり、任意の抗原に対する特異的な抗体の作製に利用することができる。抗原としては、従来抗体を作製することが困難であった、高度に保存された部位を有する抗原を用いることもできる。

0015

<構造>
図1は、本発明の抗原結合用キャリアの一実施形態を模式的に示す図である。
本実施形態におけるコア粒子(11)は、リンカー(12)を支持するためのものである。
また、本実施形態におけるリンカー(12)は、抗原を結合するためのものである。
本実施形態の抗原結合用キャリア(1A)は、コア粒子(11)に可動性を有するリンカー(12)が複数連結されている。リンカー(12)は、コア粒子(11)との連結部とは反対側の先端に抗原結合部位(13)を有する。
図1において、リンカー(12)が4つ連結されているものを例示しているが、これに限定されない。また、図1において、コア粒子(11)は球状のものを例示しているが、これに限定されない。

0016

本実施形態の抗原結合用キャリア(1A)は、リンカー(12)が可動性を有することにより、コア粒子(11)との連結部とは反対側の先端に結合された抗原が柔軟に動くことができる。
リンカー(12)の長さは、100Å以上200Å以下であることが好ましく、100Å以上180Å以下であることがより好ましく、100Å以上150Å以下であることがさらに好ましい。リンカー(12)の長さが上記範囲内であることにより、隣り合うリンカー同士で構造障害を引き起こしにくく、また、抗体産生細胞の表面の受容体を効率的に活性化することを可能とする。

0017

また、コア粒子(11)の形状は、例えば、球、多面体(例えば、四面体五面体六面体立方体含む)、八面体十二面体二十面体、二十四面体、ケプラーポアンソ立体等)、及びこれらの凝集体等が挙げられる。
コア粒子(11)には、リンカー(12)が少なくとも2つ、好ましくは2以上10以下、より好ましくは4以上9以下、さらに好ましくは4以上8以下連結されている。リンカー(12)を複数備えることにより、効率的に抗体産生細胞(B細胞)の表面に存在する受容体を活性化することができ、優先的に抗原に対する抗体を産生させることができる。

0018

本実施形態の抗原結合用キャリアの分子量は、例えば、20000以上110000以下であってよく、例えば40000以上70000以下であってよく、例えば、40000以上50000以下であってよい。

0019

また、本実施形態の抗原結合用キャリアは、生体適合性を有するものであることが好ましい。ここで、「生体適合性を有する」とは、非ヒト哺乳動物への免疫後、非ヒト哺乳動物の生体内に存在するマクロファージ又はT細胞等による攻撃を回避し、分解されることを防ぐことができる性質を意味する。
また、本実施形態の抗原結合用キャリアは、耐熱性を有するものであることが好ましい。耐熱性を有することにより、例えば、本実施形態の抗原結合用キャリアがタンパク質により構成されており、大腸菌発現系を用いて製造する場合に、大腸菌由来のタンパク質等の不純物を加熱により変性させることで取り除き、効率的に本実施形態の抗原結合用キャリアを精製することができる。

0020

また、本実施形態の抗原結合用キャリアは、適用可能な抗原に特別な限定はなく、従来、抗体の作製が困難であった高度に保存された部位を有する抗原にも適用することができる。
適用可能な抗原としては、例えば、ヒストン酵素リボソームタンパク質ミトコンドリアタンパク質、増殖細胞核抗原(PCNA)等のタンパク質;snRNP等のRNA−タンパク質複合体セントロメア糖鎖糖タンパク質;DNA、RNA、miRNA、siRNA等の核酸(前記核酸は、一本鎖でもよく、二本鎖でもよい。また、LNA等の合成核酸も含む。)等が挙げられ、これらに限定されない。

0021

また、本実施形態の抗原結合用キャリアに適用可能な抗原の分子量としては、600以上5000以下であることが好ましく、1000以上4000以下であることがより好ましく、1500以上3000以下であることがさらに好ましい。抗原の分子量が上記範囲であることにより、抗原同士による構造障害を引き起こしにくく、また、抗体産生細胞の表面の受容体を効率的に活性化することができる。
より好適な抗原としては、例えば10以上30以下のアミノ酸残基からなるペプチドが挙げられる。

0022

本実施形態の抗原結合用キャリアの抗原結合部位における、抗原との結合様式は、特別な限定はなく、例えば、共有結合(例えば、アミド結合ジスルフィド結合エステル結合等)、静電的相互作用水素結合ファンデルワールス結合、疎水効果による結合等が挙げられる。
次いで、本実施形態の抗原結合用キャリアの材料について、詳細に説明する。

0023

<材料>
コア粒子及びリンカーを構成する材料としては、生体適合性を有するものであれば、特別な限定はない。コア粒子及びリンカーを構成する材料としては、例えば、タンパク質(例えば、ゼインカゼインゼラチングルテン血清アルブミンコラーゲン、C末端抗原部位を欠損したaP1(配列番号1にアミノ酸配列を示す。)、及びそれらと実質的に同等の活性を有するタンパク質改変体等)、多糖類(例えば、アルギネートセルロースデキストランプルラン(pullulane)、ポリヒアルロン酸、及びそれらの誘導体等)、キチン、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)(特に、ポリ(β−ヒドロキブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシオクタノエート))、ポリ(3−ヒドロキシ脂肪酸)等の天然由来高分子化合物ポリホスファゼン、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアミドポリエステルアミド、ポリ(アミノ酸)、ポリ無水物ポリカーボネートポリアクリレートポリアルキレン(例えば、ポリエチレン等)、ポリアクリルアミドポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコール等)、ポリアルキレンオキシド(例えば、ポリエチレンオキシド等)、ポリアルキレンテレフタレート(例えば、ポリエチレンテレフタレート等)、ポリオルトエステルポリビニルエーテルポリビニルエステルポリビニルハライドポリビニルピロリドンポリエステルポリシロキサンポリウレタンポリヒドロキシ酸(例えば、ポリラクチドポリグリコリド等)、ポリ(ヒドロキシ酪酸)、ポリ(ヒドロキシ吉草酸)、ポリ[ラクチド−co−(ε−カプロラクトン)]、ポリ[グリコリド−co−(ε−カプロラクトン)]等)、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)、及びこれらのコポリマー等の合成高分子化合物等が挙げられる。コア粒子は上述の材料のうち1種類から構成されていてもよく、2種類以上から構成されていてもよい。

0025

前記ポリアクリレートとしてより具体的には、例えば、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリ(メタクリル酸イソブチル)、ポリ(メタクリル酸ヘキシル)、ポリ(メタクリル酸イソデシル)、ポリ(メタクリル酸ラウリル)、ポリ(メタクリル酸フェニル)、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸イソプロピル)、ポリ(アクリル酸イソブチル)、ポリ(アクリル酸オクタデシル)等が挙げられる。

0026

中でも、コア粒子及びリンカーを構成する材料としては、タンパク質であることが好ましく、C末端抗原部位を欠損した古細菌由来のaP1、又は該aP1と実質的に同等の活性を有するタンパク質改変体であることがより好ましい。
C末端抗原部位を欠損した古細菌由来のaP1、又は該aP1と実質的に同等の活性を有するタンパク質改変体は、耐熱性を有する。そのため、本実施形態の抗原結合用キャリアを、大腸菌発現系を用いて製造する場合に、大腸菌由来のタンパク質等の不純物を加熱により変性させることで取り除き、効率的に抗原結合用キャリアを精製することができる。

0027

図2は、本発明の抗原結合用キャリアの他の実施形態を模式的に示す図であり、C末端抗原部位を欠損した古細菌aP1の4量体を模式的に示す図である。
C末端抗原部位を欠損した古細菌aP1の4量体(1B)は、aP0結合部位(21)と、抗原結合部位(23)と、aP0結合部位(21)と抗原結合部位(23)とに挟まれた可動性領域(22)とからなるC末端抗原部位を欠損したaP1(100)を含む。さらに、C末端抗原部位を欠損したaP1(100)中のaP0結合部位(21)同士が結合してコア粒子様構造を形成することで、多量体を形成している。
図2において、C末端抗原部位を欠損したaP1(100)が4量体を形成しているものを例示しているが、これに限定されない。
C末端抗原部位を欠損したaP1(100)は、土台となるaP0を含まずとも、それ単体を混合することにより、P0結合部位(21)同士が結合することにより、多量体を形成することができる。また、aP0を含むことで、最大で7量体の多量体を形成することができる。本実施形態の抗原結合用キャリアに用いられるC末端抗原部位を欠損したaP1は、好ましくは2量体以上7量体以下、より好ましくは4量体以上7量体以下の多量体を形成している。

0028

本実施形態における抗原結合用キャリアに用いられるC末端抗原部位を欠損したaP1の他に、aP0を含んでいてもよく、aP0を含まなくてもよい。中でも、必要とするタンパク質の種類が1種類で済むことから、本実施形態における抗原結合用キャリアでは、aP0を含まないことが好ましい。

0029

配列番号1は、C末端抗原部位を欠損した古細菌aP1のアミノ酸配列である。
また、C末端抗原部位を欠損したaP1と実質的に同等の活性を有するタンパク質改変体とは、例えば、配列番号1に示すアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含むタンパク質等が挙げられる。
ここで、欠失、置換、若しくは付加されてもよいアミノ酸の数としては、1個以上15個以下が好ましく、1個以上10個以下がより好ましく、1個以上5個以下がさらに好ましい。

0030

また、C末端抗原部位を欠損したaP1と実質的に同等の活性を有するタンパク質改変体とは、例えば、配列番号1に示すアミノ酸配列と同一性が70%以上であり、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上であり、さらに好ましくは95%以上であり、特に好ましくは99%以上であるアミノ酸配列を含むタンパク質等が挙げられる。

0031

さらに、前記タンパク質改変体は、C末端抗原部位を欠損したaP1と実質的に同等の活性、すなわち、多量体形成能及び可動性領域を有する。

0032

また、リンカーにおける抗原結合部位は、例えば、対象の抗原と結合可能な官能基等であればよい。
前記官能基としては、例えば、活性エステル構造(例えば、p−ニトロフェニルエステル基、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル基コハク酸イミドエステル基、フタル酸イミドエステル基、5−ノルボルネン−2、3−ジカルボキシイミドエステル基等)、カルボキシ基アミノ基、チオール基等が挙げられ、これらに限定されない。

0033

<本実施形態の抗原結合用キャリアの製造方法>
本実施形態の抗原結合用キャリアの製造方法としては、例えば、市販の生体適合性を有する高分子化合物をコア粒子及びリンカーとして用いて、公知の方法を適宜選択して、コア粒子とリンカーとを結合させて作製すればよい。コア粒子とリンカーとの結合様式は、特別な限定はなく、例えば、共有結合(例えば、アミド結合、ジスルフィド結合、エステル結合等)、静電的相互作用、水素結合、ファンデルワールス結合、疎水効果による結合等が挙げられる。

0034

本実施形態の抗原結合用キャリアの製造方法として、より具体的には、例えば、リンカーを含む溶液を調製し、浸漬、吹きつけ等の公知の方法でコア粒子表面に塗布した後、室温下又は加温下にて乾燥させることにより化学結合を行うことができる。
上記のリンカーの溶液濃度について、特別な限定はなく、例えば、0.05重量%以上であってよく、例えば、0.1重量%以上30重量%以下であってよく、例えば0.1重量%以上20重量%以下であってよく、例えば0.3重量%以上10重量%以下であってよい。リンカー溶液中のリンカー濃度が上記範囲内にあることにより、リンカーの、コア粒子へ化学結合させる数を一定数にすることができ、効率的にリンカーを固定化することができる。

0035

また、本実施形態の抗原結合用キャリアがタンパク質である場合については、後述の<<対象の抗原に対する特異的抗体の製造方法>>の[結合工程]において、詳細に説明する。

0036

<<ベクター>>
一実施形態において、本発明は、上述のC末端抗原部位を欠損した古細菌由来のaP1、又は該aP1と実質的に同等の活性を有するタンパク質改変体をコードする核酸を含むベクターを提供する。

0037

本実施形態のベクターによれば、C末端抗原部位を欠損した古細菌由来のaP1、又は該aP1と実質的に同等の活性を有するタンパク質改変体からなる抗原結合用キャリアを容易に製造することができる。

0038

上述のC末端抗原部位を欠損した古細菌由来のaP1、又は該aP1と実質的に同等の活性を有するタンパク質改変体をコードする核酸としては、例えば、配列番号2に示す塩基配列からなる核酸、又は配列番号2に示す塩基配列と70%以上、例えば80%以上、例えば90%以上、例えば95%以上の同一性を有し、多量体形成能及び可動性領域を有するタンパク質をコードする核酸の塩基配列からなる核酸等が挙げられる。

0039

本実施形態のベクターは、発現ベクターであることが好ましい。発現ベクターとしては特に制限されず、例えば、pBR322、pBR325、pUC12、pUC13等の大腸菌由来のプラスミド;pUB110、pTP5、pC194等の枯草菌由来のプラスミド;pSH19、pSH15等の酵母由来プラスミド;λファージ等のバクテリオファージアデノウィルスアデノ随伴ウィルスレンチウィルスワクシニアウィルスバキュロウィルス等のウィルス;及びこれらを改変したベクター等を用いることができる。抗原がタンパク質である場合、これらは抗原と抗原結合用キャリアとの融合タンパク質である抗原結合キャリア発現ベクター作製用であってもよい。

0040

上述の発現ベクターにおいて、抗原結合用キャリア発現用プロモーターとしては特に限定されず、例えば、EF1αプロモーター、SRαプロモーター、SV40プロモーター、LTRプロモーター、CMV(サイトメガロウィルス)プロモーター、HSV−tkプロモーター等の動物細胞宿主とした発現用のプロモーター、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)の35Sプロモーター、REF(rubber elongation factor)プロモーター等の植物細胞を宿主とした発現用のプロモーター、ポリヘドリンプロモーター、p10プロモーター等の昆虫細胞を宿主とした発現用のプロモーター等を使用することができる。これらプロモーターは、抗原結合用キャリア、又は抗原結合キャリアを発現する宿主に応じて、適宜選択することができる。

0041

上述の発現ベクターは、さらに、マルチクローニングサイトエンハンサースプライシングシグナル、ポリA付加シグナル選択マーカー複製起点等を有していてもよい。

0042

<<キット>>
一実施形態において、本発明は、対象の抗原に対する特異的抗体を作製するためのキットであって、上述の抗原結合用キャリア、又は上述のベクターを備えることを特徴とするキットを提供する。

0043

本実施形態のキットによれば、免疫化される非ヒト哺乳動物において、対象の抗原に対する特異的抗体を高効率で産生させることができる。

0044

本実施形態のキットは、上述の抗原結合用キャリアを備える場合には、対象の抗原と、上述の抗原結合用キャリアとを結合させるための試薬反応溶媒触媒等をさらに備えていてもよい。前記試薬、反応溶媒、触媒等は、対象の抗原、及び上述の抗原結合用キャリアの種類に応じて、公知のものを適宜選択することができる。

0045

また、本実施形態のキットは、上述のベクターを備える場合には、前記ベクター中の上述の抗原結合用キャリアをコードする核酸を増幅するためのプライマー核酸増幅用試薬(例えば、基質としてのヌクレオチド三リン酸核酸合成酵素増幅反応緩衝液等)等をさらに備えていてもよい。
ヌクレオチド三リン酸は、核酸合成酵素に応じた基質(dNTP、rNTP等)である。核酸合成酵素は、使用する核酸増幅方法に応じた酵素であり、例えば、DNAポリメラーゼRNAポリメラーゼ逆転写酵素等が挙げられる。増幅反応用緩衝液としては、例えば、トリス緩衝液リン酸緩衝液ベロナール緩衝液ホウ酸緩衝液グッド緩衝液等が挙げられ、pHは特に限定されない。
また、本実施形態のキットは、上述のベクターを備える場合には、上述のベクターを宿主細胞に導入するためのトランスフェクション試薬をさらに備えていてもよい。
前記トランスフェクション試薬は、カチオン性高分子カチオン性脂質ポリアミン系試薬、ポリイミン系試薬及びリン酸カルシウムからなる群より選択される。このようなトランスフェクション試薬としては、例えば、Effectene Transfection Reagent(cat.no.301425,Qiagen,CA)、TransFastTM Transfection Reagent(E2431,Promega,WI)、TfxTM−20 Reagent(E2391,Promega,WI)、SuperFect Transfection Reagent(301305,Qiagen,CA)、PolyFect Transfection Reagent(301105,Qiagen,CA)、LipofectAMINE 2000 Reagent(11668−019,Invitrogen corporation,CA)、JetPEI(×4)conc.(101−30,Polyplus−transfection,France)、ExGen 500(R0511,Fermentas Inc.,MD)等が挙げられ、それらに限定されない。

0046

また、本実施形態のキットが上述のベクターを備え、さらに対象の抗原がタンパク質である場合には、前記抗原タンパク質をコードする核酸を前記ベクターに挿入するため、制限酵素、制限酵素処理用バッファーリガーゼ、リガーゼ処理用バッファー等をさらに備えていてもよい。

0047

<<対象の抗原に対する特異的抗体の製造方法>>
一実施形態において、本発明は、対象の抗原に対する特異的抗体の製造方法であって、対象の抗原を、上述の抗原結合用キャリアに結合させ、抗原結合キャリアを作製する結合工程と、前記抗原結合キャリアを非ヒト哺乳動物に投与する免疫工程と、前記免疫工程後に、前記非ヒト哺乳動物から血清、脾臓細胞、リンパ節細胞、末梢血白血球、又はB細胞を採取する採取工程と、を備える製造方法を提供する。

0048

本実施形態の製造方法によれば、対象の抗原に対する特異的抗体を高効率で得ることができる。

0049

本明細書において、「抗体」の種類としては、ポリクローナル抗体であっても、モノクローナル抗体であってもよく、さらに、抗原結合フラグメントであってもよい。また、「抗体」には、免疫グロブリンの全てのクラス及びサブクラスが含まれる。
また、本明細書において、「ポリクローナル抗体」とは、異なるエピトープに対する異なる抗体を含む抗体調製物を意味する。
また、本明細書において、「モノクローナル抗体」とは、実質的に均一な特異性を持つ抗体を意味する。
本明細書において、「抗原結合フラグメント」とは、抗体の一部分(部分断片)であって、標的タンパク質を特異的に認識するものを意味する。具体的には、Fab、Fab’、F(ab’)2、可変領域断片(Fv)、ジスルフィド結合Fv、一本鎖Fv(scFv)、sc(Fv)2、ダイアボディー、多特異性抗体、およびこれらの重合体等が挙げられる。

0050

本明細書において、「特異的結合」とは、抗体が抗原にのみ結合することを意味し、例えば試験管内におけるアッセイ、好ましくは精製した野生型抗原を用いたプラズモン共鳴アッセイ(例えば、BIAcore、GE−Healthcare Uppsala, Sweden等)における抗体の抗原のエピトープへの結合等により定量することができる。結合の親和性は、ka(抗体−抗原複合体からの抗体結合に関する速度定数)、kD(解離定数)、及びKD(kD/ka)によって規定することができる。抗体が抗原に特異的に結合している場合の結合親和性(KD)は、10−8mol/L以下であることが好ましく、10−9M〜10−13mol/Lであることがより好ましい。
本実施形態の製造方法における各工程について、以下に詳細に説明する。

0051

[結合工程]
まず、対象の抗原を、上述の抗原結合用キャリアに結合させて、抗原結合キャリアを作製する。
対象の抗原としては、上述の<<抗原結合用キャリア>>において例示されたものと同様のものが挙げられる。

0052

対象の抗原を抗原結合用キャリアに結合させる方法としては、対象の抗原及び抗原結合用キャリアの種類に応じて、公知の方法を適宜選択すればよい。
上述の抗原結合用キャリアと抗原との結合様式は、特別な限定はなく、例えば、上述の<<抗原結合用キャリア>>におけるリンカーの抗原結合部位として例示された官能基を用いた共有結合(例えば、アミド結合、ジスルフィド結合、エステル結合等)、静電的相互作用、水素結合、ファンデルワールス結合、疎水効果による結合等が挙げられる。

0053

対象の抗原を抗原結合用キャリアに結合させる方法としてより具体的には、抗原結合用キャリアと対象の抗原を溶解又は分散させた液体とを接触させる方法が挙げられる。対象の抗原を溶解又は分散した液体のpHは、例えば4以上11以下であればよく、例えば5以上10以下であればよい。pHが上記範囲であることにより、対象の抗原と抗原結合用キャリアとの結合を効率よく行うことができるとともに、対象の抗原の変性又は分解を抑制することが可能となる。

0054

また、対象の抗原を抗原結合用キャリアに結合させる方法としてより具体的には、リンカーにおける抗原結合部位がカルボキシ基であり、対象の抗原がアミノ基を有する場合、
抗原結合部位のカルボキシ基と抗原のアミノ基との縮合反応により結合する方法等が挙げられる。

0055

また、対象の抗原を抗原結合用キャリアに結合させる方法としてより具体的には、抗原及び抗原結合用キャリアがタンパク質である場合、例えば、以下のような方法で結合させればよい。
まず、抗原結合用キャリアをコードする核酸を含む発現ベクターに、抗原タンパク質をコードする核酸を挿入し、抗原結合キャリアをコードする核酸を含む発現ベクターを作製する。挿入方法としては、例えば、制限酵素を用いて、前記発現ベクターの抗原結合用キャリアをコードする核酸の塩基配列の3’末端に抗原タンパク質をコードする核酸の塩基配列を挿入し、ライゲーションする方法、又は抗原タンパク質をコードする核酸の塩基配列を付加したプライマーを用いたPCRによるクローニング法等が挙げられる。

0056

次いで、抗原結合キャリアをコードする核酸を含む発現ベクターを用いて、宿主を形質転換する。前記宿主としては、例えば、大腸菌等の細菌、動物細胞、植物細胞、昆虫細胞等が挙げられる。
次いで、当該宿主を培養して抗原結合キャリアを発現させる。培地組成、培養の温度、時間、誘導物質の添加等の条件は、形質転換体が生育し、抗原結合キャリアが効率よく産生されるよう、公知の方法に従って当業者が決定できる。また、例えば、選択マーカーとして抗生物質抵抗性遺伝子を発現ベクターに組み込んだ場合、培地に抗生物質を加えることにより、形質転換体を選択することができる。
次いで、宿主が発現した抗原結合キャリアを適宜の方法により精製することにより、抗原結合キャリアが得られる。
例えば、抗原結合用キャリアがaP1、又は該aP1と実質的に同等の活性を有するタンパク質改変体である場合、耐熱性を有するため、加熱により不純物を取り除き精製することができる。

0057

[免疫工程]
次いで、前記結合工程で得られた抗原結合キャリアを非ヒト哺乳動物に投与する。
前記非ヒト哺乳動物としては、例えば、マウス、ラットハムスターモルモットウサギイヌネコウマウシヒツジブタヤギマーモセットサル等が挙げられ、これらに限定されない。また、前記非ヒト哺乳動物は、健常体でもよく、自己免疫疾患モデル動物でもよい。中でも、効率的に抗体を産生できることから、前記非ヒト哺乳動物は、自己免疫疾患モデル動物であることが好ましい。

0058

抗原結合キャリアの非ヒト哺乳動物への投与方法としては、特別な限定はなく、例えば、動脈内注射静脈内注射皮下注射鼻腔内的、経気管支的、筋内的、経皮的、又は経口的に当業者に公知の方法等が挙げられる。

0059

また、抗原結合キャリアの非ヒト哺乳動物への投与量は、非ヒト哺乳動物の年齢性別、体重、投与方法、処理時間等を案して適宜調節される。

0060

[採取工程]
次いで、前記免疫工程後の非ヒト哺乳動物から血清、脾臓細胞、リンパ節細胞、末梢血白血球、又はB細胞を採取する。

0061

本実施形態の製造方法を用いて、ポリクローナル抗体を製造する場合、前記採取された血清から、公知の方法(例えば、塩析遠心分離透析カラムクロマトグラフィー等)によって、精製してポリクローナル抗体を得ることができる。

0062

また、本実施形態の製造方法を用いて、モノクローナル抗体を製造する場合、ハイブリドーマ法や組換えDNA法によって作製することができる。

0063

ハイブリドーマ法としては、例えば、コーラーおよびミルスタインの方法(例えば、Kohler & Milstein, Nature, 256:495(1975)参照)等が挙げられる。この方法における細胞融合工程に使用される抗体産生細胞としては、例えば、前記免疫工程後の非ヒト哺乳動物の脾臓細胞、リンパ節細胞、末梢血白血球等が挙げられる。また、免疫されていない動物から予め単離された上記の細胞、又はリンパ球などに対して、抗原を培地中で作用させることによって得られた抗体産生細胞(B細胞)も使用することができる。ミエローマ細胞としては、公知の種々の細胞株を使用することができる。抗体産生細胞及びミエローマ細胞は、それらが融合可能であれば、異なる動物種起源のものでもよいが、同一の動物種起源のものであることが好ましい。
ハイブリドーマを得る方法としてより具体的は、例えば、前記免疫工程後のマウスから得られた脾臓細胞と、マウスミエローマ細胞との間の細胞融合により産生され、その後のスクリーニングにより、標的蛋白質に特異的なモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを得る方法等が挙げられる。
また、ハイブリドーマにより産生されたモノクローナル抗体を得る方法としては、例えば標的蛋白質に対するモノクローナル抗体は、ハイブリドーマを培養することにより、また、ハイブリドーマを投与した非ヒト哺乳動物の腹水から、取得する方法等が挙げられる。

0064

組換えDNA法としては、例えば、上記抗体をコードするDNAをハイブリドーマやB細胞等からクローニングし、適当なベクターに組み込んで、これを宿主(例えば、哺乳類細胞株、大腸菌、酵母細胞、昆虫細胞、植物細胞等)に導入し、組換え抗体として産生させる手法等が挙げられる(例えば、P.J.Delves,Antibody Production:Essential Techniques,1997 WILEY、P.Shepherd and C.Dean Monoclonal Antibodies,2000 OXFORD UNIVERSITY PRESS、Vandamme A.M.et al.,Eur.J.Biochem.192:767−775(1990)参照)。
抗体をコードするDNAの発現においては、重鎖又は軽鎖をコードするDNAを別々に発現ベクターに組み込んで宿主を形質転換してもよく、重鎖及び軽鎖をコードするDNAを単一の発現ベクターに組み込んで宿主を形質転換してもよい(例えば、国際特許出願第94/11523号参照)。
抗体は、上記宿主を培養し、宿主内又は培養液から分離及び精製し、実質的に純粋で均一な形態で取得することができる。抗体の分離及び精製は、通常のポリペプチドの精製で使用されている方法を使用することができる。
トランスジェニック動物作製技術を用いた方法では、例えば、抗体遺伝子が組み込まれたトランスジェニック動物(例えば、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ等)を作製し、そのトランスジェニック動物のミルクから、抗体遺伝子に由来するモノクローナル抗体を大量に取得する方法等が挙げられる。

0065

本実施形態の製造方法で得られた抗体の抗原への結合活性は、例えば、ELISA法ウエスタンブロッティング法フローサイトメトリー法ウエスタンブロット法ドットブロット法ラジオイムノアッセイ法、免疫沈降法、免疫染色法等により評価することができる。

0066

以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。

0067

[実施例1]
(1)抗原結合キャリア発現用ベクターの作製
(1−1)古細菌P.horikoshiiのaP1の全長DNA挿入大腸菌発現用プラスミドベクターの作製
まず、古細菌P.horikoshiiのaP1の全長DNAを、NdeI及びBamHIの配列を付加したプライマーを用いて、PCRにより増幅した。次いで、大腸菌発現用プラスミドベクターpET−3a(アジレント・テクノロジー社製)をNdeI及びBamHIで処理し、PCR産物を挿入した。得られた古細菌P. horikoshiiのaP1の全長DNAが挿入された大腸菌発現用プラスミドベクターの塩基配列を配列番号3に示す。

0068

(1−2)抗原結合キャリア発現用ベクターの作製
次いで、(1−1)で得られた古細菌P.horikoshiiのaP1の全長DNAが挿入された大腸菌発現用プラスミドベクターを用いて、前記aP1のC末端抗原部位にあたる18アミノ酸残基をコードする核酸を、抗原タンパク質をコードする塩基配列に置換した。
抗原タンパク質として、マウスリボソームタンパク質S6のC末端部位(18アミノ酸残基)を用いた。マウスリボソームタンパク質S6のC末端部位をコードする核酸の塩基配列を配列番号4に示す。
具体的には、前記マウスリボソームタンパク質S6のC末端部位をコードする塩基配列の一部と、大腸菌発現用プラスミドベクターpET−3aの塩基配列の一部とを含むプライマー(配列番号5及び6)を用いて、(1−1)で得られた古細菌P.horikoshiiのaP1の全長DNAが挿入された大腸菌発現用プラスミドベクターを環状のまま鋳型としてPCRを行い、得られた増幅産物を大腸菌形質転換に使用した。クローン化したプラスミドを大腸菌から調製し、抗原結合キャリア発現用ベクターを得た。

0069

(2)抗原結合キャリアの発現及び精製
次いで、得られた抗原結合キャリア発現ベクターを大腸菌に形質転換し、37℃で12時間培養し、抗原結合キャリアを発現させた。次いで、培養後の大腸菌を回収し、超音波処理により破砕し、90℃に加熱して、大腸菌由来等の不要なタンパク質を変性させた。次いで、加熱処理後の溶液を、カラムクロマトグラフィーを用いて精製し、抗原結合キャリアを得た。

0070

(3)自己免疫疾患モデルマウスへの免疫及び抗体の精製
次いで、(2)で得られた抗原結合キャリアをアジュバンドと混合し、ウサギ(ニュージーランドホワイト種)の足蹠に注射し、免疫化した。次いで、免疫化から63日後のウサギから血清を採取し、HiTrap Protein G(GEヘルスケアジャパン社製)を充填したアフィニティークロマトグラフを用いて精製し、ウサギポリクローナル抗体(IgG)を得た。

0071

(4)抗体の抗原特異性の検証
次いで、(3)で得られたポリクローナル抗体の抗原特異性を検証するために、(2)で作製した抗原結合キャリア、ネガティブコントロールとして、古細菌P.horikoshiiのaP1の4量体、及びポジティブコントロールとして、マウスリボソームタンパク質S6の全長タンパク質をそれぞれSDS−PAGEで分離後、各タンパク質をタンパク質吸着性メンブランブロットさせた。次いで、メンブランと(3)で得られたポリクローナル抗体とを室温で、60分間反応させた。その後、抗ウサギIgG抗体を用いた免疫染色を行った。結果を図3に示す。
図3において、レーン1は、前記ポリクローナル抗体と、前記抗原結合キャリアを反応させたもの、レーン2は、前記ポリクローナル抗体と、古細菌P.horikoshiiのaP1の4量体とを反応させたもの、及びレーン3は、前記ポリクローナル抗体と、マウスリボソームタンパク質S6の全長タンパク質とを反応させたものである。
また、図3において、上の矢印は、マウスリボソームタンパク質S6の全長タンパク質の分子量にあたる位置を示し、下の矢印は、抗原結合キャリアの分子量にあたる位置を示す。

0072

図3から、得られたポリクローナル抗体は、マウスリボソームタンパク質S6に対し特異的な抗体であることが示された。また、前記ポリクローナル抗体と、前記抗原結合キャリアを反応させてもの(図3のレーン1)において、C末端抗原部位が、抗原であるS6のC末端領域の18アミノ酸残基に置換されたaP1は、通常4量体を形成しているが、SDSの還元作用により、3量体、2量体、又は単量体に分解され、バンドが分子量の低い位置まで広がっているものと推察された。
また、リボソームタンパク質は、高度に保存された部位を有するタンパク質であり、従来の方法では、優れた特異性を有する抗体を作製しにくいが、本発明の抗原結合用キャリアを用いることで、容易に優れた特異性を有する抗体を作製できることが示された。

0073

[実施例2]
(1)抗原結合キャリア発現用ベクターの作製
抗原タンパク質として、マウスリボソームタンパク質S6のC末端部位(18アミノ酸残基)をコードする核酸の代わりに、酵母Hbs1の140番目〜15番目の20アミノ酸残基をコードする核酸(配列番号7)を用いて、前記Hbs1の140番目〜15番目の20アミノ酸残基をコードする塩基配列の一部と、大腸菌発現用プラスミドベクターpET−3aの塩基配列の一部とを含むプライマー(配列番号8及び9)を用いた以外は、実施例1の(1)と同様の方法を用いて、抗原結合キャリア発現用ベクターを作製した。

0074

(2)抗原結合キャリアの発現及び精製
次いで、実施例1の(2)と同様の方法を用いて、抗原結合キャリア発現ベクターを大腸菌に形質転換し、抗原結合キャリアを発現させて、精製し、抗原結合キャリアを得た。

0075

(3)自己免疫疾患モデルマウスへの免疫及び抗体の産生
次いで、実施例1の(3)と同様の方法を用いて、(2)で得られた抗原結合キャリアをウサギ(ニュージーランドホワイト種)に投与し、ウサギポリクローナル抗体(IgG)を精製した。

0076

(4)抗体の抗原特異性の検証
次いで、(3)で得られたポリクローナル抗体の抗原特異性を検証するために、(2)で作製した抗原結合キャリア、ネガティブコントロールとして、古細菌P.horikoshiiのaP1の4量体、及びポジティブコントロールとして、酵母Hbs1の全長タンパク質をそれぞれSDS−PAGEで分離後、各タンパク質をタンパク質吸着性メンブランにブロットさせた。次いで、メンブランと(3)で得られたポリクローナル抗体とを室温で、60分間反応させた。その後、抗ウサギIgG抗体を用いた免疫染色を行った。結果を図4に示す。
図4において、レーン1は、前記ポリクローナル抗体と、古細菌P.horikoshiiのaP1の4量体とを反応させてもの、レーン2は、前記ポリクローナル抗体と、前記抗原結合キャリアを反応させてもの、及びレーン3は、前記ポリクローナル抗体と、酵母Hbs1の全長タンパク質とを反応させたものである。
また、図4において、上の矢印は、酵母Hbs1の全長タンパク質の分子量にあたる位置を示し、下の矢印は、抗原結合キャリアの分子量にあたる位置を示す。

実施例

0077

図4から、得られたポリクローナル抗体は、酵母Hbs1に対し特異的な抗体であることが示された。また、前記ポリクローナル抗体と、前記抗原結合キャリアを反応させたもの(図4のレーン2)において、C末端抗原部位が、抗原である酵母Hbs1の140番目〜15番目の20アミノ酸残基に置換されたaP1は、通常4量体を形成しているが、SDSの還元作用により、3量体、2量体、又は単量体に分解され、バンドが分子量の低い位置まで広がっているものと推察された。
また、Hbs1は、高度に保存された部位を有するタンパク質であり、従来の方法では、優れた特異性を有する抗体を作製しにくいが、本発明の抗原結合用キャリアを用いることで、容易に優れた特異性を有する抗体を作製できることが示された。

0078

本発明の抗原結合用キャリアは、取扱いが容易であり、任意の抗原に対する特異的な抗体の作製に利用することができる。

0079

1A…抗原結合用キャリア、1B…C末端抗原部位を欠損した古細菌aP1の4量体、11…コア粒子、12…リンカー、13、23…抗原結合部位、21…aP0結合部位、22…可動性領域、100…C末端抗原部位を欠損したaP1。

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