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技術 醸造工程における液体の不純物濾過用フィルター

出願人 川北化学株式会社株式会社川星大福製紙株式会社三晶株式会社
発明者 川北聡司松井芳樹鬼頭秀和田中英男永野淳二
出願日 2016年6月16日 (3年1ヶ月経過) 出願番号 2016-119742
公開日 2017年12月21日 (1年6ヶ月経過) 公開番号 2017-221151
状態 特許登録済
技術分野 酒類 発酵液の蒸留、酒類の加工、食酢及びビール 醤油及び醤油関連製品 濾過材 紙(4)
主要キーワード 金属メッシュ材 吐出用配管 ステンレスホルダー 使用済み状態 試験用フィルター 使用済みフィルター 比引張強さ フィルター枠体
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年12月21日)のものです。
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課題

醸造工程における液体不純物濾過用フィルターとして、プレコートが不要で、有効に不純物を濾過することを目的とする。

解決手段

醸造工程における液体の不純物濾過用フィルターであって、濾過流路上流側に配置される第1層の繊維シートと、下流側に配置される第2層の繊維シートとを備え、前記第1層の繊維シートは、厚さが75μm以上、密度が0.3〜0.65g/cm3であり、前記第2層の繊維シートは、厚さが90μm以上、密度が0.3〜0.6g/cm3であり、カナダ標準ろ水度が350ml以下のリヨセルを60質量%以上含有し、前記第1層の繊維シートと第2層の繊維シートを積層した状態の透気抵抗度は30sec以下であることを特徴とする。

概要

背景

清酒ワインビール焼酎ウイスキーブランデーウォッカラム等のアルコール飲料や、醤油、みりん、酢等の液体調味料醸造を経て製造される。この醸造では穀物果実等の原料発酵する際に各種の代謝物質が得られ、また醸造の工程内では目的に応じて原料以外に添加物を使用することもあって不要な物質濾過する必要がある。

例えば、醸造酒である清酒は、原料である玄米精米蒸米して蒸し米とし、蒸し米に種麹をふりかけて酒母用麹を造り、次にタンク内に仕込み水乳酸、麹を入れ、さらに蒸し米と酵母を添加して酵母を増殖させて酒母ができる。

続けて、酒母の入ったタンク内に米、麹、蒸し米を複数回にわたって添加してもろみを造り、さらに時間を掛けてもろみの発酵を促す。もろみの発酵を終えると、もろみを搾り酒と酒粕に分ける。この工程は上槽と呼ぶ。

この上槽により、もろみは、液体である酒と固体である酒粕とに大別されるが、酒内には、米の破片、麹や酵母のカスなどの不純物オリ)が混ざっているため、タンク内で酒を静置してオリを沈澱させるオリ引きをする。また、酒は黄色みがかった色等に着色していることがあり、この着色を除去するため、上槽後の酒が入っているタンク内に活性炭を添加して脱色することもある。

オリ引きした酒(原酒という)は、原酒タンク内でオリが沈澱しており、大きく上澄み部分とオリを含む沈澱部分とに分けられる。そして、濾過時には先に上澄み部分から濾過を始め、上済み部分の濾過が終わると続けてオリを含む沈澱部分を取り出し濾過する。

具体的には、図1に濾過システムの全体構成を示すように、原酒タンク10からは、原酒の上澄み部分を抜き取る上側配管11とオリを含む沈澱部分を抜き取る下側配管12が接続されており、これらの配管は途中で合流して中継タンク13に接続されている。上側配管11と下側配管12にはそれぞれ途中にバルブ(図示略)が設置されていて個別に開閉可能である。

また、中継タンク13には吸入配管14が接続され、この吸入配管14は圧送用のポンプ15を介して濾過装置16の入り口に繋がっている。この濾過装置16内部にはフィルター17が十数枚から数十枚並列にセットされており、吸入配管14は濾過装置16の直前分岐され、濾過装置16内の各フィルター17の上流側に繋がっている。

フィルター17の下流側にあたる濾過装置16の出口には吐出配管18が接続され、この吐出配管18の途中には切換バルブ(図示略)が設置されて、濾過装置16からの流路を2方向に切り換えることができ、一方の流路は中継タンク13に、他方の流路は回収タンク19に接続されている。

濾過時には、図2に示すように、吐出配管18の流路を回収タンク19に切り換えて、原酒タンク10−上側配管11又は下側配管12−中継タンク13−吸入配管14−濾過装置16(フィルター17)−吐出配管18−回収タンク19となる流路を形成する。

濾過開始時には、まず、原酒タンク10の上側配管11を開けて、原酒の不純物の少ない上澄み部分を中継タンク13へ取り出す。そして、中継タンク13に溜まった上澄み部分を吸入配管14を介して濾過装置16の入り口へと送り、濾過装置16のフィルター17を通過させることにより濾過を行う。濾過後の酒は濾過装置16の出口から吐出配管18を通じて回収タンク19に回収される。原酒の上澄み部分の濾過が終了すると、上側配管11を閉じ、下側配管12を開けて原酒タンク10から沈澱部分を取り出して同様に濾過装置16のフィルター17を通過させて濾過をする。また、これらの濾過では原酒中に含まれる脱色用の活性炭も同時に濾過、捕集される。

この濾過が終わった酒(回収タンクに回収された酒)には、まだ酵母や酵素が含まれているため、火入れをして酵母の殺菌やタンパク質(酵素)を変性等させた上で酒を調合する。また、調合や変性したタンパク質等により酒の色、味が変化することがあるため改めて活性炭が添加され、図示しない貯蔵用タンク熟成される。

そして、この熟成後にオリ下げと濾過が行われる。酒の火入れ、調合や貯蔵時に新たにオリが発生するが、このオリはタンパク質結晶等の微細なもので静置しても沈澱しないためゼラチン柿渋等のオリ下げ剤を添加し、オリにオリ下げ剤が結合した凝集体フロック)を形成させてタンク底に沈澱させる。この工程をオリ下げという。そして、フロックを除去するために濾過が行われる。オリ下げ後の濾過にはオリ引き後の濾過装置16と同じ装置を使用する。

ここで、従来のオリ引き後、オリ下げ後の濾過装置に使用されているフィルター17は、その濾過装置16に必要な枚数(十数枚から数十枚)を、酒の濾過直前にその都度、濾過装置16を用いて作製していた。

すなわち、濾過装置16に使用するフィルター17を作製するには、補強材となる金属メッシュ材等の支持板に目の粗い濾紙又は濾布を貼り付けたフィルター原板17aを必要枚数準備し、これを濾過装置16にそれぞれセットする。フィルター原板17aは目が粗くそのままではオリの有効な捕集ができないため、フィルター原板17aの表面に目の細かい濾過助剤蓄積させてプレコート層を形成することによりオリの捕集を行うフィルター17ができる。

フィルター原板17aへのプレコート層の形成方法は以下の手順により行われている。
まず、図3に示すように、濾過システムの吐出配管18を中継タンク13に繋がるように切り換え、中継タンク13−吸入配管14−濾過装置16(フィルター原板17a)−吐出配管18−中継タンク13の循環流路を形成する。次に、中継タンク13に水を投入し、ポンプ15を稼働させて循環流路での水の循環を開始する。併せて中継タンク13内の水にプレコート層を形成するための濾過助剤を添加する。濾過助剤としては珪藻土微小繊維状セルロースセリッシュ登録商標)がある。水に添加された濾過助剤は、流路に沿って濾過装置16内に入り、各フィルター原板17aを通過する。このとき濾過助剤はフィルター原板17aに引っ掛かり、濾過助剤がフィルター原板17a上に蓄積されていくこととなる。濾過助剤を繰り返し循環させ、また濾過助剤を随時追加投入することにより、各フィルター原板17a上には濾過助剤が蓄積したプレコート層が形成される。このプレコート層が程よい程度に蓄積されたことを濾過助剤の投入量や濾過抵抗等によって確認すると、フィルター原板17a上にプレコート層が形成されたフィルター17が完成し、このフィルター17による酒の濾過が可能となる。

しかし、上記、フィルター17の作製方法は以下の問題点があった。
まず、上記フィルターの製造は、フィルター原板に濾過助剤を蓄積させてプレコート層を形成するため、酒の濾過にはどの程度のプレコート層が必要か、例えば濾過助剤をどの程度の厚みに蓄積させたプレコート層を形成すればよいかなどは醸造メーカーの経験やに頼っていた。また、フィルターの製造は濾過装置を用いて行うため、濾過装置のある場所でしか製造することができず、フィルターの製造自体に時間と手間が掛かり、場所等の制限があった。

さらに、完成したフィルターのプレコート層は、フィルター原板上に水流により濾過助剤が蓄積されたものであってきわめてデリケートなため、取り扱いに注意を要し、循環している水に気泡が混ざった場合には、気泡が当たったプレコート層の部分が破壊されたりするという問題があった。また、濾過装置のフィルター原板を通過する水の量は、各フィルター原板の平面上で常に均一とは限らないため、水の流れのムラに起因してフィルター原板上に形成されるプレコート層にムラが生じることがあり、フィルターの濾過ムラを生ずることもあった。

一方、酒の濾過方法としてオリ下げ剤を使用せず、限外濾過膜を用いてオリと活性炭を除去する方法が提案されている(特許文献1)。
また、オリ下げした上澄みを平均孔径0.01〜1μmの微細多孔質中空繊維により濾過する方法も提案されている(特許文献2)。

概要

醸造工程における液体の不純物の濾過用フィルターとして、プレコートが不要で、有効に不純物を濾過することを目的とする。醸造工程における液体の不純物濾過用フィルターであって、濾過流路の上流側に配置される第1層の繊維シートと、下流側に配置される第2層の繊維シートとを備え、前記第1層の繊維シートは、厚さが75μm以上、密度が0.3〜0.65g/cm3であり、前記第2層の繊維シートは、厚さが90μm以上、密度が0.3〜0.6g/cm3であり、カナダ標準ろ水度が350ml以下のリヨセルを60質量%以上含有し、前記第1層の繊維シートと第2層の繊維シートを積層した状態の透気抵抗度は30sec以下であることを特徴とする。

目的

本発明は、上記問題に鑑み、醸造工程における液体の不純物の濾過用フィルターとして、プレコートが不要で、有効に不純物を濾過することを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

醸造工程における液体不純物濾過用フィルターであって、濾過流路上流側に配置される第1層の繊維シートと、下流側に配置される第2層の繊維シートとを備え、前記第1層の繊維シートは、厚さが75μm以上、密度が0.3〜0.65g/cm3であり、前記第2層の繊維シートは、厚さが90μm以上、密度が0.3〜0.6g/cm3であり、カナダ標準ろ水度が350ml以下のリヨセルを60質量%以上含有し、前記第1層の繊維シートと第2層の繊維シートを積層した状態の透気抵抗度は30sec以下であることを特徴とする醸造工程における液体の不純物濾過用フィルター。

請求項2

前記第2層の繊維シートは、前記カナダ標準ろ水度が200ml以下のリヨセルを80質量%以上含有することを特徴とする請求項1に記載の醸造工程における液体の不純物濾過用フィルター。

請求項3

前記醸造工程における液体の不純物濾過用フィルターは、清酒の醸造工程における不純物濾過用フィルターであることを特徴とする請求項1及び2のいずれか1項に記載の醸造工程における液体の不純物濾過用フィルター。

請求項4

前記第2層の繊維シートの下流側に配置される補強用繊維シートを備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の醸造工程における液体の不純物濾過用フィルター。

技術分野

0001

本発明は、醸造工程においてアルコール飲料液体調味料等の液体から不純物捕集する醸造工程における液体の不純物濾過用フィルターに関する。

背景技術

0002

清酒ワインビール焼酎ウイスキーブランデーウォッカラム等のアルコール飲料や、醤油、みりん、酢等の液体調味料は醸造を経て製造される。この醸造では穀物果実等の原料発酵する際に各種の代謝物質が得られ、また醸造の工程内では目的に応じて原料以外に添加物を使用することもあって不要な物質濾過する必要がある。

0003

例えば、醸造酒である清酒は、原料である玄米精米蒸米して蒸し米とし、蒸し米に種麹をふりかけて酒母用麹を造り、次にタンク内に仕込み水乳酸、麹を入れ、さらに蒸し米と酵母を添加して酵母を増殖させて酒母ができる。

0004

続けて、酒母の入ったタンク内に米、麹、蒸し米を複数回にわたって添加してもろみを造り、さらに時間を掛けてもろみの発酵を促す。もろみの発酵を終えると、もろみを搾り酒と酒粕に分ける。この工程は上槽と呼ぶ。

0005

この上槽により、もろみは、液体である酒と固体である酒粕とに大別されるが、酒内には、米の破片、麹や酵母のカスなどの不純物(オリ)が混ざっているため、タンク内で酒を静置してオリを沈澱させるオリ引きをする。また、酒は黄色みがかった色等に着色していることがあり、この着色を除去するため、上槽後の酒が入っているタンク内に活性炭を添加して脱色することもある。

0006

オリ引きした酒(原酒という)は、原酒タンク内でオリが沈澱しており、大きく上澄み部分とオリを含む沈澱部分とに分けられる。そして、濾過時には先に上澄み部分から濾過を始め、上済み部分の濾過が終わると続けてオリを含む沈澱部分を取り出し濾過する。

0007

具体的には、図1濾過システムの全体構成を示すように、原酒タンク10からは、原酒の上澄み部分を抜き取る上側配管11とオリを含む沈澱部分を抜き取る下側配管12が接続されており、これらの配管は途中で合流して中継タンク13に接続されている。上側配管11と下側配管12にはそれぞれ途中にバルブ(図示略)が設置されていて個別に開閉可能である。

0008

また、中継タンク13には吸入配管14が接続され、この吸入配管14は圧送用のポンプ15を介して濾過装置16の入り口に繋がっている。この濾過装置16内部にはフィルター17が十数枚から数十枚並列にセットされており、吸入配管14は濾過装置16の直前分岐され、濾過装置16内の各フィルター17の上流側に繋がっている。

0009

フィルター17の下流側にあたる濾過装置16の出口には吐出配管18が接続され、この吐出配管18の途中には切換バルブ(図示略)が設置されて、濾過装置16からの流路を2方向に切り換えることができ、一方の流路は中継タンク13に、他方の流路は回収タンク19に接続されている。

0010

濾過時には、図2に示すように、吐出配管18の流路を回収タンク19に切り換えて、原酒タンク10−上側配管11又は下側配管12−中継タンク13−吸入配管14−濾過装置16(フィルター17)−吐出配管18−回収タンク19となる流路を形成する。

0011

濾過開始時には、まず、原酒タンク10の上側配管11を開けて、原酒の不純物の少ない上澄み部分を中継タンク13へ取り出す。そして、中継タンク13に溜まった上澄み部分を吸入配管14を介して濾過装置16の入り口へと送り、濾過装置16のフィルター17を通過させることにより濾過を行う。濾過後の酒は濾過装置16の出口から吐出配管18を通じて回収タンク19に回収される。原酒の上澄み部分の濾過が終了すると、上側配管11を閉じ、下側配管12を開けて原酒タンク10から沈澱部分を取り出して同様に濾過装置16のフィルター17を通過させて濾過をする。また、これらの濾過では原酒中に含まれる脱色用の活性炭も同時に濾過、捕集される。

0012

この濾過が終わった酒(回収タンクに回収された酒)には、まだ酵母や酵素が含まれているため、火入れをして酵母の殺菌やタンパク質(酵素)を変性等させた上で酒を調合する。また、調合や変性したタンパク質等により酒の色、味が変化することがあるため改めて活性炭が添加され、図示しない貯蔵用タンク熟成される。

0013

そして、この熟成後にオリ下げと濾過が行われる。酒の火入れ、調合や貯蔵時に新たにオリが発生するが、このオリはタンパク質結晶等の微細なもので静置しても沈澱しないためゼラチン柿渋等のオリ下げ剤を添加し、オリにオリ下げ剤が結合した凝集体フロック)を形成させてタンク底に沈澱させる。この工程をオリ下げという。そして、フロックを除去するために濾過が行われる。オリ下げ後の濾過にはオリ引き後の濾過装置16と同じ装置を使用する。

0014

ここで、従来のオリ引き後、オリ下げ後の濾過装置に使用されているフィルター17は、その濾過装置16に必要な枚数(十数枚から数十枚)を、酒の濾過直前にその都度、濾過装置16を用いて作製していた。

0015

すなわち、濾過装置16に使用するフィルター17を作製するには、補強材となる金属メッシュ材等の支持板に目の粗い濾紙又は濾布を貼り付けたフィルター原板17aを必要枚数準備し、これを濾過装置16にそれぞれセットする。フィルター原板17aは目が粗くそのままではオリの有効な捕集ができないため、フィルター原板17aの表面に目の細かい濾過助剤蓄積させてプレコート層を形成することによりオリの捕集を行うフィルター17ができる。

0016

フィルター原板17aへのプレコート層の形成方法は以下の手順により行われている。
まず、図3に示すように、濾過システムの吐出配管18を中継タンク13に繋がるように切り換え、中継タンク13−吸入配管14−濾過装置16(フィルター原板17a)−吐出配管18−中継タンク13の循環流路を形成する。次に、中継タンク13に水を投入し、ポンプ15を稼働させて循環流路での水の循環を開始する。併せて中継タンク13内の水にプレコート層を形成するための濾過助剤を添加する。濾過助剤としては珪藻土微小繊維状セルロースセリッシュ登録商標)がある。水に添加された濾過助剤は、流路に沿って濾過装置16内に入り、各フィルター原板17aを通過する。このとき濾過助剤はフィルター原板17aに引っ掛かり、濾過助剤がフィルター原板17a上に蓄積されていくこととなる。濾過助剤を繰り返し循環させ、また濾過助剤を随時追加投入することにより、各フィルター原板17a上には濾過助剤が蓄積したプレコート層が形成される。このプレコート層が程よい程度に蓄積されたことを濾過助剤の投入量や濾過抵抗等によって確認すると、フィルター原板17a上にプレコート層が形成されたフィルター17が完成し、このフィルター17による酒の濾過が可能となる。

0017

しかし、上記、フィルター17の作製方法は以下の問題点があった。
まず、上記フィルターの製造は、フィルター原板に濾過助剤を蓄積させてプレコート層を形成するため、酒の濾過にはどの程度のプレコート層が必要か、例えば濾過助剤をどの程度の厚みに蓄積させたプレコート層を形成すればよいかなどは醸造メーカーの経験やに頼っていた。また、フィルターの製造は濾過装置を用いて行うため、濾過装置のある場所でしか製造することができず、フィルターの製造自体に時間と手間が掛かり、場所等の制限があった。

0018

さらに、完成したフィルターのプレコート層は、フィルター原板上に水流により濾過助剤が蓄積されたものであってきわめてデリケートなため、取り扱いに注意を要し、循環している水に気泡が混ざった場合には、気泡が当たったプレコート層の部分が破壊されたりするという問題があった。また、濾過装置のフィルター原板を通過する水の量は、各フィルター原板の平面上で常に均一とは限らないため、水の流れのムラに起因してフィルター原板上に形成されるプレコート層にムラが生じることがあり、フィルターの濾過ムラを生ずることもあった。

0019

一方、酒の濾過方法としてオリ下げ剤を使用せず、限外濾過膜を用いてオリと活性炭を除去する方法が提案されている(特許文献1)。
また、オリ下げした上澄みを平均孔径0.01〜1μmの微細多孔質中空繊維により濾過する方法も提案されている(特許文献2)。

先行技術

0020

特開平9−313162号公報
特開昭57−206378号公報

発明が解決しようとする課題

0021

しかしながら、清酒の製造は従来からの伝統的な製法を採用している酒蔵も多く、オリ下げ剤を使用した製造方法にこだわる酒蔵もある。また、特許文献1、特許文献2に記載の濾過では、限外濾過膜、中空繊維を使用して濾過しているため、除去する必要のない成分(高分子物質)も除去してしまい、酒の質が意図せず変化することがあり、これまで使用していた濾過装置を継続して使用することを希望する酒蔵もある。

0022

一方で、濾過装置を用いる場合でもフィルター原板にプレコート層をその都度形成する方法には前記の問題が存在している。また、醸造工程を有する他のアルコール飲料や液体調味料等でも、醸造工程における不純物の濾過には先に説明した清酒と同様にプレコート層を形成したフィルターを作製し、これにより濾過を行っていることが多い。そこで、プレコート層を形成することなく、不純物を有効に捕集することのできるフィルターについて検討を重ねて、本発明に至った。

0023

本発明は、上記問題に鑑み、醸造工程における液体の不純物の濾過用フィルターとして、プレコートが不要で、有効に不純物を濾過することを目的とする。

課題を解決するための手段

0024

上記目的を達成するため、請求項1の発明は、醸造工程における液体の不純物濾過用フィルターであって、濾過流路の上流側に配置される第1層の繊維シートと、下流側に配置される第2層の繊維シートとを備え、前記第1層の繊維シートは、厚さが75μm以上、密度が0.3〜0.65g/cm3であり、前記第2層の繊維シートは、厚さが90μm以上、密度が0.3〜0.6g/cm3であり、カナダ標準ろ水度が350ml以下のリヨセルを60質量%以上含有し、前記第1層の繊維シートと第2層の繊維シートを積層した状態の透気抵抗度は30sec以下であることを特徴とする。

0025

また、請求項2の発明は、前記第2層の繊維シートは、前記カナダ標準ろ水度が200ml以下のリヨセルを80質量%以上含有することを特徴とする。
請求項3の発明は、前記醸造工程における液体の不純物濾過用フィルターは、清酒の醸造工程における不純物濾過用フィルターであることを特徴とする。

0026

請求項4の発明は、前記第2層の繊維シートの下流側に配置される補強用繊維シートを備えることを特徴とする。

発明の効果

0027

本発明の醸造工程における液体の不純物の濾過用フィルターによれば、プレコートが不要で、有効に不純物を濾過することができる。

図面の簡単な説明

0028

濾過システムの概要図。
濾過装置システムを用いた濾過の概要図。
濾過装置システムを用いてフィルター原板にプレコート層を形成する概要図。
本実施形態におけるフィルターの濾過試験の説明図。

実施例

0029

以下、清酒の醸造工程に用いる濾過用フィルターに具体化した一実施形態について説明する。
本件実施形態のフィルターは、清酒のオリ引き後及び/またはオリ下げ後の濾過に使用するフィルターであり、濾過装置において上流側に位置する第1層の繊維シートと下流側に位置する第2層の繊維シートとを重ねてなる。また、必要に応じて更に第2層の下流側に配置される補強用繊維シートを備えることができる。

0030

フィルターとして、第1層の繊維シートと第2層の繊維シートを備えることにより、これら2つの層にて酒内に存在する流動性の高い不純物を捕集し、第2層により第1層を通過した微小な活性炭等を捕集するものである。なお、本実施形態にて、以下、フィルターとは第1層の繊維シート及び第2層の繊維シートを重ねて構成されるものをいい、フィルターを構成する第1層の繊維シート及び第2層の繊維シートはそれぞれ単に第1層のシート、第2層のシートと表現する。

0031

第1層のシートについて
第1層のシートに使用することができる繊維原料は、針葉樹パルプ広葉樹パルプ、これらのクラフトパルプ晒パルプ未晒パルプ、また、コットンリンターコウゾ三椏等の植物パルプの各繊維を使用することができる。

0032

また、パルプ以外には、精製セルロース繊維再生セルロース繊維半合成繊維合成繊維無機繊維を使用することができる。精製セルロース繊維としてはリヨセル繊維、再生セルロース繊維としてはレーヨン繊維キュプラ繊維がある。また、半合成繊維としてはアセテート繊維トリアセテート繊維、合成繊維としてはナイロン繊維ポリエステル繊維アクリル繊維ポリ塩化ビニル繊維ビニロン繊維ポリプロピレン繊維ポリエチレン繊維、およびこれらの複合繊維がある。無機繊維としては炭素繊維ガラス繊維等がある。これら各繊維は単独で使用しても、複数種類を混合して使用しても良いが、コストの点からは、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)が好ましい。

0033

第1層のシートにパルプ材料及びリヨセルを使用する場合には、紙力増強のため叩解処理したものを使用することもできる。叩解ビーターリファイナー等の公知の装置にて行うことができる。叩解度は、パルプ材料ではカナダ標準ろ水度(CSF)が650〜300ml、またリヨセルでは同CSFが600ml以下にすれば紙力も増強する。第1層のシートに再生セルロース繊維、半合成繊維、合成繊維、無機繊維を使用する場合には、繊度が0.1〜2dtx、平均繊維長が2〜20mmのものを使用することができる。

0034

これら原料を加工して第1層をシートにする方法については、用いる原料の種類にもよるが、湿式製造方法、乾式製造方法を採用することができる。湿式製造方法としては一般に紙を抄く方法である円網抄紙機、短網抄紙機長網抄紙機などを用いた製造方法を使用することができる。湿式製造を行う際に珪藻土、酸化チタン等の無機填料を添加することができる。一方、乾式製造方法としては不織布製造方法であるニードルパンチエアーレイドメルトブローンなどがある。

0035

第1層のシートの厚みは75μm以上であることが必要である。これ未満であると、第1層のシートが薄くなるため、不純物を捕集、保持する空間が減少し、不純物の第1層への保持能力が低くなって第1層のシートにて一旦捕集した不純物が抜け出て第2層に対する濾過の負担が増大し、濾過漏れが生じるおそれがある。また、第1層の厚さの上限は不純物の捕集、保持の機能の点からは特に規定はないが、あまり厚くするとコストが増加する。第1層のシートとしては厚みが150μm以上のものが好ましく、より好ましいのは190μm以上である。

0036

第1層のシートの密度は、0.3〜0.65g/cm3の範囲にあることが必要である。シートの密度がこの範囲よりも大きいとシート内の繊維間の目が詰まった状態となっているため、濾過時の抵抗が大きくなり濾過速度が低下したり、フィルターに掛かる圧力が高くなり易い。また、この範囲より小さいと、繊維間の目が粗くなるため、濾過速度は速くなるが第1層のシートにて捕集できる不純物が少なくなり、第2層に対する濾過の負荷が増大し、有効な濾過ができず、濾過漏れが生じ易い。また、第1層のシートの密度は、0.55〜0.65g/cm3の範囲にあることが好ましい。

0037

第1層のシートの坪量(g/m2)は、上記厚みと密度とから求めることができるが、25g/m2以上、好ましくは50g/m2以上、更に好ましくは100g/m2以上であればシートが一定以上の体積を有するため、不純物の捕集、保持空間を確保することができる。

0038

第1層のシートの透気抵抗度(JISP8117)は、30sec以下の範囲が可能である。この範囲よりも数値が大きいと、第1層の濾過抵抗が大きくなるため、濾過速度の低下やフィルターに掛かる圧力が高くなり易くなる。透気抵抗度の測定方法については実施例にて説明する。以下の透気抵抗度についても同様である。

0039

第1層のシートの最大孔径は、35μm以下の範囲が可能である。第1層のシートの最大孔径がこの範囲より大きいと第1層のシートにおける不純物の有効な捕集ができず、第2層のシートに対する負担が増大し易くなる。また、好ましい範囲は10μm以下、より好ましい範囲は6μm以下である。

0040

第1層のシートの平均孔径は、最大孔径と同様の理由により10μm以下の範囲が可能で、好ましい範囲は2.5μm以下、より好ましい範囲は1.5μm以下である。最大孔径、平均孔径の測定方法については実施例にて説明する。

0041

第2層のシートについて
第2層のシートに使用する繊維材料には、リヨセルを60質量%以上含有することが必要である。リヨセルの含有量が60質量%未満では不純物の有効な捕集を行うことができない。また、リヨセルの含有率は高い方が不純物の捕集には有効であり、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。

0042

第2層のシートに40質量%未満で含有させることのできるリヨセル以外の他の繊維材料は、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、これらのクラフトパルプ、晒パルプ、未晒パルプがある。また、コットンリンター、麻、コウゾ、三椏等の植物パルプの各繊維、再生セルロース繊維であるレーヨンキュプラ、半合成繊維であるアセテートトリアセテート、合成繊維であるナイロンポリエステルアクリルポリ塩化ビニルビニロンポリプロピレンポリエチレン等も使用することができる。リヨセル以外の繊維材料は単独で使用しても、複数種類を混合して使用しても良い。

0043

第2層のシートに使用するリヨセルは叩解処理して使用することが必要であり、叩解度はカナダ標準ろ水度(CSF)が350ml以下にすることが必要である。CSFの数値がこれ以上であると目が粗い状態となり、不純物の有効な捕集を行うことができなくなる。また、CSFの数値はより少ない方が不純物の捕集には有効であり、好ましい範囲は300ml以下、より好ましい範囲は200ml以下である。

0044

また、使用するリヨセルの繊維長については特に限定はないが、叩解前において繊維長2mm以上10mm以下の範囲のものを使用することが可能である。この範囲より短いとフィルターとしての強度が低下し易くなり、また長いと繊維同士が絡まり地合が悪くなり易くなる。リヨセルの繊度は特に限定はないが、0.9〜3.5dtxのものを使用することが可能である。繊維径がこれよりも小さいとフィルターの強度が低下し易くなり、大きいと叩解をしてもフィルターに形成される孔径が大きくなってしまい不純物の有効な捕集ができなくなり易くなる。

0045

第2層のシートにリヨセル以外の繊維材料を要する場合には、使用することができる繊維の条件(叩解度、繊維長、繊維径)は第1層のシートと同様である。
原料を加工して第2層をシートにする方法については、湿式製造方法を用いることが好ましい。特に第2層のシートではリヨセルを60質量%以上含有することを必須としており、乾式製造方法ではシートの厚みが均一と成らずにムラが生じやすく、また密度が低くなり孔径が大きく成りやすい。なお、湿式製造方法としては、円網抄紙機、短網抄紙機、長網抄紙機を用いることができる。湿式製造を行う際には第1層と同様に珪藻土、酸化チタン等の無機填料を添加することができる。

0046

第2層のシートの厚みは90μm以上であることが必要である。これ未満であると、第2層のシートが薄くなるため、不純物を捕集、保持する空間が減少し、不純物の第2層への保持能力が低くなって第1層のシートにて一旦捕集した不純物が抜け出て第2層に対する濾過の負担が増大し、濾過漏れが生じるおそれがある。また、第2層の厚さの上限は不純物の捕集、保持の機能の点からは特に規定はないが、あまり厚くするとコストが増加する。第2層のシートとしては厚みが150μm以上のものが好ましく、より好ましいのは200μm以上である。

0047

また、第2層のシートの密度は、0.3〜0.6g/cm3の範囲にあることが必要である。シートの密度がこの範囲よりも大きいとシート内の繊維間の目が詰まっている状態となるため、濾過時の抵抗が大きくなり濾過速度が低下したり、フィルターに掛かる圧力が高くなる。また、この範囲より小さいと、目が粗くなるため第2層のシートにて捕集できる不純物が少なくなり、第1層のシートを通過した不純物を第2層で捕集することができなくなる可能性がある。好ましいのは0.3〜0.55g/cm3の範囲である。

0048

第2層のシートの坪量(g/m2)は、上記厚みと密度とから求めることができるが、30g/m2以上、好ましくは70g/m2以上であればシートが一定以上の体積を有し、不純物の捕集、保持空間を確保することができる。

0049

第2層のシートの透気抵抗度(JISP8117)は、25sec以下の範囲が可能である。この範囲よりも数値が大きいと、第2層のシートの濾過抵抗が大きくなるため、濾過速度の低下やフィルターに掛かる圧力が高くなり易い。

0050

第2層のシートの最大孔径は、10μm以下の範囲が可能である。この範囲より最大孔径が大きいと第2層のシートにおける不純物の有効な捕集ができず、濾過漏れが生じる可能性がある。また、好ましい範囲は6μm以下、より好ましい範囲は4μm以下である。

0051

第2層のシートの平均孔径は、最大孔径と同様の理由により8μm以下の範囲が可能で、好ましい範囲は3μm以下、より好ましい範囲は1.5μm以下である。
補強用繊維シートについて
第1層のシート及び第2層のシートのさらに下流側に第3のシートである補強用繊維シートを配置することができる。この補強用繊維シートは第1層及び第2層のシートのフィルターの補強、例えば、フィルターの目が詰まってきた場合に水圧差によりフィルターが下流側に膨らむ変形を防止することを目的とするものであり、補強用繊維シート自体が濾過機能を有する必要はない。

0052

また、フィルターを金属板メッシュ)等に固定する構成の濾過装置にあっては金属板によりフィルターの変形は防止されるため、補強用繊維シートを使用する必要はない。
補強用繊維シートには、針葉樹パルプ、麻パルプ、ポリエステル繊維など、安価で強度に優れた繊維材料を使用することができる。

0053

補強用繊維シートの製造方法については、用いる原料の種類にもよるが、第1層及び第2層と同様の湿式製造方法、乾式製造方法を採用することができる。
補強用繊維シートとしては、事実上濾過性能を有さず、フィルターの濾過性能に影響を与えないものであればよい。具体的には、補強用繊維シートの透気抵抗度がフィルターの透気抵抗度より小さいものが挙げられる。また、補強用繊維シートが、濾過時の水圧に抗してフィルターの変形を防止するためには、坪量が50g/m2以上、比引張強さ(JISP8113)が20N・m/g以上あることが好ましい。

0054

第1層のシートと第2層のシートの積層方法は特に限定はない。例えば、それぞれのシートは一体にすることなく使用時に単に重ねた状態にしてフィルター枠体等にセットして使用するものでもよく、濾過時に流路が塞がれない程度にシート同士を接着してもよい。接着は接着剤、縫製、或いはシート材料熱溶融接着性材料を使用してヒートシールを行うものでもよい。

0055

また、多槽の円網抄紙機を用いて、1槽目で第1層(第2層)を抄き、2槽目で第2層(第1層)を抄き、それらを円網抄紙機のフェルト上で積層して2層に形成するものでもよい。また、第1層のシートと第2層のシートに第3層のシートを積層する場合でも、その積層方法には特に限定はない。

0056

第1層のシートと第2層のシートを積層してフィルターとした状態での坪量の限定は特になく、第1層のシートの坪量及び第2層のシートの坪量としてそれぞれ採り得る数値の和であればよい。なお、第1層のシートと第2層のシートを積層した坪量が100g/m2以上であればフィルターの体積も十分にあり不純物の捕集、保持空間の確保が得られ易くなる。

0057

また、第1層のシートと第2層のシートを積層した厚さは特に限定なく、第1層のシートの厚さ(75μm以上)及び第2層のシートの厚さ(90μm以上)がそれぞれ下限値以上であればよい。なお、第1層のシートと第2層のシートはいずれも完全な平坦ではなく起伏があるため、両シートを積層して厚さを測定しても必ずしも厚さの和とはならず、和の近似値となることが多い。

0058

第1層のシートと第2層のシートを積層してフィルターとした状態では、透気抵抗度が30sec以下の範囲にあることが必要である。透気抵抗度がこの数値よりも大きいと、フィルターの濾過抵抗が大きくなるため、濾過速度の低下が生じ、またフィルターに掛かる圧力が高くなり易い。透気抵抗度の範囲として好ましいのは10sec以下であり、より好ましいのは7sec以下である。

0059

第1層のシートと第2層のシートを積層したフィルターの最大孔径は、6μm以下の範囲が可能である。この範囲より最大孔径が大きいとフィルターにおける不純物の捕集の効率が低下する可能性がある。また、好ましい範囲は5μm以下、より好ましい範囲は3μm以下である。

0060

また、平均孔径は、同様の理由により3μm以下の範囲が可能で、好ましい範囲は2μm以下、より好ましい範囲は1μm以下である。
以下に具体的実施例を示す。

0061

パルプ繊維として、針葉樹晒クラフトパルプ(「NBKP」と表示する)と、広葉樹晒クラフトパルプ(「LBKP」と表示する)の2種類を使用した。
リヨセル繊維は、Lenzing社のテンセル(登録商標)(繊維長4mm、繊度1.7dtx)を使用した。

0062

ポリエステル繊維は、株式会社クラレのEP043(繊維長3mm、繊度0.4dtx)を使用した。
ポリプロピレン繊維は、ダイワボウポリテック株式会社のPZ0.8(繊維長5mm、繊度0.8dtx)を使用した。

0063

フィルターの作製
実施例1
第1層は、CSF600に叩解したNBKP50質量%とCSF600に叩解したLBKP50質量%を混合して原料とし、円網抄紙機を用いて抄紙した後にヤンキードライヤーにて乾燥し、坪量105g/m2、厚さ196μm、密度0.54g/cm3、透気抵抗度3.5sec、最大孔径9.8μm、平均孔径3.1μmのシートを得た。

0064

繊維の叩解にはリファイナーを使用し、叩解度(CSF)はJISP8121(パルプ−ろ水度試験方法)により測定した。坪量はシート1m2当たりの質量を電子天秤で計量した。シートの厚さは株式会社尾崎製作所のマイクロシックネスゲージピーコック形式:H)によりシートの任意の10箇所を測定した平均値とした。シートの密度は坪量/厚さから算出した。透気抵抗度はJISP8117(紙及び板紙・透気度及び透気抵抗度試験方法)により株式会社東洋精機製作所のガーレーデンソメーターを用いて測定した。最大孔径及び平均孔径の測定はPMI社製パームポロメーターFP−1100(測定液ILWICK)を用いて測定した。

0065

なお、第2層のシート、第1層と第2層とを積層したフィルター、及び他の実施例及び比較例の各シート等についても、これらの方法、装置を利用して、第1層で測定した各物性値を測定した。以後、坪量、厚さ、密度、透気抵抗度、最大孔径、平均孔径のそれぞれについて単位の表示を略し数値のみを示す。

0066

第2層は、CSF200に叩解したリヨセル繊維100質量%を原料として、第1層と同様の方法で抄紙、乾燥して、坪量70、厚さ166、密度0.42、透気抵抗度4.4、最大孔径4.7、平均孔径1.4のシートを得た。

0067

この第1層と第2層を重ねて実施例1のフィルターとした。重ねた(クリップによる仮止め、以下同様)状態では、坪量175、厚さ362、透気抵抗度8.6、最大孔径2.5、平均孔径1.0であった。積層した状態での厚さは、第1層と第2層ともにそれぞれ細かな起伏があるため、第1層の厚さと第2層の厚さの和には必ずしもならなかった。

0068

実施例2ないし実施例16
実施例2ないし実施例16は、第1層及び第2層として以下の表1に示す原料を使用し、実施例1と同様の方法によりシートを製造した。また、第1層及び第2層の坪量、厚さ、密度、透気抵抗度、最大孔径、平均孔径、並びに、第1層と第2層を重ねたフィルター(表中「積層」と表示)の坪量、厚さ、透気抵抗度、最大孔径、平均孔径についても以下の表1に示した。

0069

表1中、原料の欄のNはNBKP、LはLBKP、Tはテンセル、Eはポリエステル、PPはポリプロピレンの略である。原料の配合割合は、表1中に原料のアルファベットに続けて数値で表示した。例えば実施例1ないし5の第1層の原料欄の「N50/L50」は、NBKP50質量%、LBKP50質量%を混合して原料としたことを意味し、実施例7の第1層の原料欄の「N100」は、NBKP100質量%を原料としたことを意味する。

0070

また、原料を叩解した場合には各原料の叩解度を表1のCSF欄に、原料欄に表示した順に表示した。例えば、実施例16の第2層のCSF欄にある「200/550」は、原料欄の「T70/N30」の表示から、叩解度が200のテンセル(70質量%)と、叩解度550のNBKP(30質量%)を原料として使用したことを意味する。なお、叩解処理をしていない原料はCSF欄に数値を記載していない。例えば、実施例6の第1層に使用したポリエステル20質量%(表1中の原料欄に「E20」と表示)は叩解処理をしていないため表中のCSF欄に「−」と表示し、数値は表示していない。

0071

比較例1
実施例1の第2層と同様のシートのみを用いた1層のフィルターとした。なお、以下の表2には便宜上、第2層の欄に示している。

0072

比較例2(背景技術)は、表の第2層の欄に示したシート上に従来技術の手法を用いてセリッシュ(ダイセルフインケム株式会社セリッシュ(登録商標))を100g/m2積層し、さらに珪藻土(川化学株式会社Kライト)を80g/m2積層してプレコート層を形成し、フィルターとした。

0073

プレコート層は、表2の第2層の欄に示すとおり坪量180、厚さ1000、密度0.18であった。なお、この比較例2のプレコート層は濾過装置を用いて形成するものであり、プレコート層を取り出してその透気抵抗度、最大孔径、平均孔径を測定することはできないため未計測である。また、比較例2のフィルターは、坪量230、厚さ1190であった。

0074

比較例3ないし比較例17は、第1層及び第2層として以下の表2に示す原料を使用し、実施例1と同様の方法によりシートを製造した。また、第1層及び第2層の坪量、厚さ、密度、透気抵抗度、最大孔径、平均孔径、並びに、第1層と第2層を重ねたフィルター(表中「積層」と表示)の坪量、厚さ、透気抵抗度、最大孔径、平均孔径についても表2に示した。表2の表示方法は表1で説明したものと同様である。

0075

試験1〜4
これら実施例、比較例のフィルターについて、以下の試験1〜試験4を行った。

0076

試験1(活性炭の濾過試験)
各実施例及び比較例のフィルターについて、オリ引き後の濾過に対応する試験として活性炭の濾過試験を行った。濾過試験装置としてアドバンテック東洋株式会社のタンク付きステンレスホルダーKST−47(有効濾過面積12.5cm2)を使用した。第1層のシートと第2層のシートをそれぞれ直径47mmの円形切り出し、この2枚のシート(ただし比較例1は単層、比較例2はプレコート層を形成した従来のフィルター)を重ねて試験用フィルターとし、第1層が上流側となるように濾過試験装置にセットした(図4)。また、エタノール20質量%水溶液200mlに醸造用活性炭(川北化学株式会社くじゃく(登録商標)活性炭SE、平均粒径27μm、粒度分布0.5〜150μm)を0.2g添加して混合した試験液1を作製した。

0077

図4に示すように試験液1を濾過試験装置20のタンクに投入し、タンク内を0.3MPaに加圧した状態でセットした試験用フィルターによる試験液1の濾過を行った。なお、0.3MPaに加圧したのは、従来の濾過装置を用いてオリ引き後の酒を濾過する際のフィルターに掛かる圧力を再現したものである。

0078

試験用フィルターを通過した濾液容器21に回収し、この濾液20mlをシリンジ22に装着した精密濾過膜であるメンブレンフィルター23(アドバンテック東洋株式会社製A045A025A、孔径0.45μm)にて更に濾過した。濾過後にメンブレンフィルター23の表面を目視、及び顕微鏡で拡大(10倍)して同表面に活性炭が存在するか否かを観察した。メンブレンフィルター23の表面に活性炭が確認できた場合、試験液1中の活性炭が試験用フィルターに捕集されずに通過したことを意味する。

0079

この試験1を各実施例及び比較例の試験用フィルターについて行った。メンブレンフィルター23について目視で活性炭が確認できず顕微鏡で拡大しても活性炭がほとんど確認できなかったものは「◎」、顕微鏡で拡大した場合に活性炭が確認できるが、微量で実用上問題のないものは「○」とした。また、目視で薄らと活性炭が確認できたものは「△」、目視でも完全に活性炭が確認できたものは「×」と評価した(表3)。なお、評価として「◎」「○」は合格、「△」「×」は不合格であり、他の試験も同様である。

0080

試験2(活性炭とフロックの濾過試験)
次に、各実施例及び比較例のフィルターについて、オリ下げ後の濾過に対応する試験として活性炭とフロック(オリにオリ下げ剤が結合してできた凝集体)の濾過試験を行った。試験1と同様の濾過試験装置20を使用し、同様に作製した試験用フィルターをセットした。また、エタノール20質量%水溶液200mlと試験1と同じ活性炭0.2gとフロック含有液20mlを添加して混合した試験液2を作製した。フロック含有液は、清酒200ml中に、オリ下げ剤として、ゼラチン乾燥重量0.5g、市販の柿渋2gを添加して混合して作製した擬似的なフロックを含有する液体であり、攪拌してフロック等が沈澱していない状態で20ml採取した。

0081

この試験液2を試験1と同様に試験用フィルターにて濾過し、また試験1と同様に濾液をメンブレンフィルター23にて更に濾過し、濾過後のメンブレンフィルター23を顕微鏡で拡大(10倍)して表面の活性炭またはフロックの有無を確認した。メンブレンフィルター23上に活性炭等が確認できた場合、試験液2中の活性炭等が試験用フィルターに捕集されずに通過したことを意味する。

0082

この試験2を各実施例及び比較例のフィルターについて行った。メンブレンフィルター23について目視で活性炭等が確認できず顕微鏡で拡大しても活性炭等がほとんど確認できなかったものは「◎」、顕微鏡で拡大した場合に活性炭等が確認できるが、微量で実用上問題のないものは「○」とした。また、目視で薄らと活性炭等が確認できたものは「△」、目視でも完全に活性炭等が確認できたものは「×」とした(表3)。

0083

試験3(濾過速度試験)
さらに、各実施例及び比較例のフィルターについて、未使用の試験用フィルターと試験2に使用した後の試験用フィルターのそれぞれについて濾過速度を測定した。上記各試験で使用した濾過試験装置に未使用の試験用フィルター(未使用フィルター)をセットし、タンク内に投入した水が1分間に未使用フィルターを通過する量(ml/min)を測定した。なお、タンク内の圧力は50kPaとした。測定の結果、通過する量(ml/min)が600以上は「◎」、300〜599は「○」、200〜299は「△」、199以下は「×」とした。これは、従来技術である比較例2の濾過速度(217ml/min)を基準とし、これよりも濾過速度が十分に速いものを「◎」「○」としたものである。

0084

また、同様の試験を試験2に使用した後の試験用フィルター(使用済みフィルター)についても行った。測定の結果、通過する量(ml/min)が100以上は「◎」、60〜99は「○」、30〜59は「△」、29以下は「×」とした。この評価も従来技術である比較例2の濾過速度(33ml/min)を基準としたものである(表4)。

0085

試験1〜3のまとめ
以下の試験1〜3の結果をまとめて表5とした。

0086

上記試験1乃至試験3から、以下のことが理解できる。

0087

実施例1乃至16のフィルターは、活性炭、活性炭とフロックを含有したエタノール水溶液の濾過試験(試験1及び試験2)において良好な結果であった。また、実施例1乃至16のフィルターは、未使用の状態及び活性炭やフロックがフィルターに捕集された状態の濾過速度試験(試験3)でも良好な濾過速度が得られた。

0088

一方、比較例のフィルターにおいては、比較例2(プレコート層を形成した従来のフィルター)、6、7、13は、活性炭、活性炭とフロックを含有したエタノール水溶液の濾過試験(試験1及び試験2)は良好な結果であった。しかし、フィルターが未使用の状態及び活性炭やフロックがフィルターに捕集された使用済み状態の濾過速度試験(試験3)ではいずれも良好な濾過速度が得られなかった。

0089

また、比較例1乃至5、8、9乃至12、14乃至17では、活性炭、活性炭とフロックを含有したエタノール水溶液の濾過試験(試験1及び試験2)において良好な結果が得られなかった。特に、比較例5、17は濾過試験(試験1及び試験2)及び濾過速度試験(試験3)の双方ともに良好な結果が得られなかった。

0090

試験4(醸造メーカーの濾過装置による確認試験
実施例、比較例の一部について、複数の酒造メーカーにて同メーカーの濾過装置を使用した酒の確認試験をし、活性炭の漏れ、オリ漏れ、作業性・濾過時間、濾過後のフィルターの状態を判断した。

0091

まず、A社にて、同社が通常使用している濾過装置(フィルタープレス)に、実施例1のフィルターを使用して、オリ引き後の酒を濾過した(4の1)。また、実施例1、比較例1、比較例2のフィルターを使用して、オリ下げ後(オリ引き後の濾過は実施)の酒を濾過した(4の2、4の3、4の4)。このオリ下げに使用したオリ下げ剤は各醸造メーカーが使用しているものである。なお、比較例2のフィルターは背景技術に記載したとおり濾過に用いる濾過装置を用いて作製した。

0092

次に、B社にて、実施例1のフィルターを使用して同社の濾過装置(装置名)によりオリ引き後の酒を濾過した(4の5)。さらに、C社にて、実施例1のフィルターを使用して同社の濾過装置(装置名)によりオリ下げ後の酒を濾過した(4の6)。これらの試験は、各社の有する濾過装置を使用しているため、濾過時の圧力、フィルターの大きさ(1辺の長さ)は濾過装置及び濾過の種類によって相違する。

0093

試験4では、各フィルターを通過した濾過後の濾液を20ml採取し試験1、2と同じメンブレンフィルターにて更に濾過し、濾過後のメンブレンフィルターを顕微鏡で拡大して表面の活性炭またはフロックの有無を確認した。目視で活性炭やオリが確認できないものは「○」とし、目視でも活性炭やオリが確認できたものは「×」とした。

0094

また、フィルターの装着作業性やフィルターを用いた濾過時間について、背景技術(比較例2)を基準として、これより優れているものは「○」、劣っているものは「×」とした。

0095

さらに、濾過後のフィルターの表面(比較例2はプレコート層を形成したフィルター)が「均一」か「不均一」か目視で判断した。
これら各醸造メーカーによる試験4では、実施例1はオリ引き後及びオリ下げ後の濾過において活性炭及びオリの漏れはなく、作業性・作業時間も良好という評価であり(4の1、4の2、4の5、4の6)、従来技術(4の4)よりも優れていた。一方、比較例1はオリ下げ後の濾過にてオリ漏れが生じた(4の3)。

0096

これら各醸造メーカーでの試験結果は、先の試験1乃至3の試験結果と整合するものであった(表6)。

0097

なお、上記実施形態は、本発明の一実施形態を示したものにすぎず、本発明の内容がこの実施形態に限定されるものではない。

0098

例えば、本実施形態では清酒の濾過用フィルターとして説明したが、清酒以外のアルコール飲料である醸造酒、蒸留酒混成酒の醸造工程の濾過、また、アルコール飲料以外にみりんや醤油等の液体調味料等の醸造工程の濾過に使用してもよい。米を原料とした説明をしたが、醸造の原料も特に限定されない。

0099

10・・原酒タンク、11・・上側配管、12・・下側配管、13・・中継タンク、14・・吸入配管、15・・ポンプ、16・・濾過装置、17・・フィルター、17a・・フィルター原板、18・・吐出用配管、19・・回収タンク、20・・濾過試験装置、22・・シリンジ、23・・メンブレンフィルター。

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