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技術 デジタル情報伝送システムとその伝送装置および伝送方法

出願人 日本電信電話株式会社
発明者 岡本健小野孝太郎立道英俊高谷和宏
出願日 2016年6月8日 (4年5ヶ月経過) 出願番号 2016-114466
公開日 2017年12月14日 (2年11ヶ月経過) 公開番号 2017-220817
状態 特許登録済
技術分野 エラーの検出、防止
主要キーワード カウントタイミング データ領域情報 波形計測 受信強度レベル 電磁妨害波 デジタル伝送信号 アナログ波 トレーニング動作
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年12月14日)のものです。
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図面 (10)

課題

妨害波発生状況に応じて誤り訂正用データ出力フレームに含ませないようにし、妨害波が存在する環境下においてもスループットの高い情報伝送を行えるようにする。

解決手段

デジタル情報伝送に先立ち送信機から同期用の信号を送信して、受信機が当該信号波をもとにタイムスロット同期を取る。そして、タイムスロットごとにバースト性電磁妨害波パラメータを検出し、その検出結果をもとに上記バースト性電磁妨害波による信号劣化を受けるタイムスロットと受けないタイムスロットとを判定して、その判定結果をタイムスロットカウント情報として送信機に通知する。送信機は、デジタル情報を伝送する際に、上記通知されたタイムスロットカウント情報をもとに、バースト性電磁妨害波による信号劣化を受けないタイムスロットに対し、誤り訂正用データを含まないデータを割り当て、スクランブル処理した後、受信機へ送信する。

概要

背景

金属線通信伝送路として使用するデジタル情報伝送ステムでは、当該システム以外の媒体から発せられる電磁波(例えば、他の通信放送に使用される電磁波、周囲の電気電子機器から発せられる電磁波)が通信伝送路上に結合し、伝導性電磁妨害波として、通信伝送路で伝達される電気信号に影響を与える(電磁妨害する)。このことにより、伝送情報誤り欠落などの通信品質劣化が生じる場合がある。これを回避するために、一般的なデジタル情報伝送システムは、伝送する情報に生じた誤り(例えば、ビット誤り)を訂正する誤り検出訂正機能を備えている。

多くのデジタル情報伝送システムでは、送信側において伝送装置により生成されたデータ(ユーザデータ)領域に誤り訂正用のデータ領域を付加して送信し、受信側において伝送途中で発生したビット誤りを、上記誤り訂正用データを用いて訂正する、前方誤り訂正(Forward Error Correction; FEC)方式が採用されている。このため、誤り訂正用データ量を増加させることにより、誤り訂正能力は高まるが、その反面、全伝送データ量に対する冗長データ量の割合が増えることとなり、ユーザデータの送信レートは低下する。即ち、デジタル情報伝送システムのスループットと、誤り訂正用データ量を増加させることによる誤り訂正能力の向上とは、トレードオフの関係にある。

例えば、無線LAN(Local Area Network)規格の一つであるIEEE802.11aでは、伝送単位である伝送フレームのうち、少なくとも1/4のデータ領域を誤り訂正符号用データ領域とする(符号化率を3/4以下にする)ことが規定されており、その結果、変復調方式を考慮した伝送速度の最大値72Mbps(bit per second)に対して、スループットは最大54Mbpsに抑制される。

デジタル情報伝送システムにおける、誤り訂正処理を含む伝送フレームの送受信技術については、例えばADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)に関するものが非特許文献1に開示されている。

即ち、ADSLを使用したシステムでは、サーバなどの情報送信装置から送信されるデジタル情報がADSL送信機に入力されると、当該ADSL送信機が、上記デジタル情報に対してCRC(Cyclic Redundancy Check; CRC)符号化、リードソロモン(Reed-Solomon Code; RS)符号化、スクランブル処理トレリス符号化QAM(Quadrature Amplitude Modulation)とIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)とを含むDMT(Discrete Multi-Tone)変調、CP(Cyclic Prefix)付加処理が順次行われた後、AFE(Analog Front End)処理によってデジタル信号からアナログ信号に変換され、電気信号として伝送路へ送信される。

一方、ADSL受信機では、伝送路を介して伝送された電気信号が、まずAFE処理によりアナログ信号からデジタル信号に変換され、TEQ(Time domain Equalizer)により時間軸上の波形等化が行われる。続いて、CP削除、FFTによるDMTの復調処理が行われた後、FEQ(Frequency domain Equalizer)により周波数軸上の波形等化処理が施される。上記DMTの復調処理に含まれるQAM過程では、アナログ多重波各周波数成分から検出された受信信号の各QAM座標点からのユークリッド距離情報が算出され、これがビタビ復号器へ渡される。ビタビ復号器では、上記ユークリッド距離情報に基づいて、受信信号のシンボル判定が行われる。以後、デスクランブル処理およびRS復号が行われた後、CRCによりシンボル判定後の情報に誤りがないかどうかが検査され、誤りがなければパーソナルコンピュータなどの情報受信装置に送られる。これに対し、上記誤り訂正処理を用いても訂正しきれなかった情報が所定の割合で残存している場合には、一般にその情報は破棄される。

ところで、以上のようなADSLデジタル情報伝送システムを用いて、Ethernet(登録商標フレームなどのフレームデータを伝送しようとすると、送信信号波と電磁妨害波との間には図9に例示するような関係が生じる。

即ち、サーバなどの情報送信装置で生成されるEthernetフレームは、図9(a)に示すように、ユーザデータ領域にIP(Internet Protocol)ヘッダを付加してIPパケットを生成し、当該IPパケットのヘッダにはMAC(Media Access Control)ヘッダを、当該IPパケットのフッタにはFCS(Frame Check Sequence)をそれぞれ付加したものとなっている。尚、図9には例示していないが、ユーザデータ領域には、TCP(Transmission Control Protocol)ヘッダおよびHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)ヘッダなどの、IPよりも上位レイヤに属するプロトコルに関するデータが含まれる。

上記EthernetフレームがADSL送信機に入力されると、ADSL送信機では、まず入力フレームからMACヘッダとFCSとが取り除かれ、図9(b)に示すように、所定の数の中間フレームに分割される。中間フレームのサイズは、1回のデジタル変調で生成して伝送路へ送出される伝送フレームのサイズによって決定される。伝送フレームのサイズは、ADSLにおいては、リンク確立の際のトレーニングによって決定される。

続いて、上記分割された各中間フレームが連結されたデータ構造に対して、誤り訂正用データ領域(FEC領域)が付加される。FEC領域のデータサイズは、伝送フレームのサイズに応じて決定される。そして、図9(b)に示すフレーム構造全体は、図9(c)に示すように所定のデータサイズに分割される。さらに分割された各々のデータ領域は、所定の方法によって配列順序組み替えられる(即ち、スクランブル化される)。従って、図9(a)に示したIPヘッダ情報およびデータ領域情報と、図9(b)に示したFEC領域とは、図9(c)に示したデータ構造において断片化されたものとなる。

次に、上記図9(c)に示したデータは、図9(d)に示すように伝送フレーム(以降、出力フレームともいう)のサイズに再分割される。このとき、各出力フレーム内部のデータ構造は、バイト単位で組み替えられる。そして、図9(d)に示した各出力フレームのデータ(ビット)は、図9(e)に示すように、ADSLのサブキャリアである所定の複数のビン割り当てられる。図9(e)においては、図9(d)で示した4つの連続した出力フレーム1〜4のそれぞれが、周波数帯域fw内の各ビンに順次割り当てられている態様を示している。fwは、ADSLの下り伝送の場合は、138kHzから2208kHzまでの帯域幅を持ち、1ビン当たり約4kHzの帯域幅の478個のビンで構成される。

各ビンに割り当てられたビットの構造に応じてQAM処理された後、各ビンの周波数キャリア周波数とするキャリア信号波(多重アナログ波)が図9(f)に示すように生成され、送信機から伝送路へ送出される。図9(f)の横軸は時間である。出力フレーム送信時間間隔は、各出力フレームの変調時間間隔であり、シンボル長と呼ばれるが、以降では変調タイムスロット(Ts)と呼ぶ。

図9(g)は、図9(d)の4つの出力フレームが連続して、順次図9(f)の各信号波形として伝送路を伝搬する際に、これを妨害するバースト性妨害波波形例を示す。ここで、図9(f)および図9(g)の時間軸は同じであり、バースト性妨害波の強度が図9(g)の破線で示した「信号劣化を生じる強度レベル」を越える周波数成分を含む場合、この周波数成分と同じキャリア周波数によって伝送される信号波形成分が干渉を受け、その結果、受信機において、この信号波形成分に割り当てられたビット情報を読み出す際に誤りが発生する。図9(g)に示すバースト性妨害波において、時間T1、T3、T4には信号劣化を生じる強度レベルを越える周波数成分があるため、図9(d)の出力フレーム1,3,4の少なくとも一部にビット誤りが生じることになる。

概要

妨害波の発生状況に応じて誤り訂正用データを出力フレームに含ませないようにし、妨害波が存在する環境下においてもスループットの高い情報伝送を行えるようにする。デジタル情報の伝送に先立ち、送信機から同期用の信号を送信して、受信機が当該信号波をもとにタイムスロット同期を取る。そして、タイムスロットごとにバースト性電磁妨害波のパラメータを検出し、その検出結果をもとに上記バースト性電磁妨害波による信号劣化を受けるタイムスロットと受けないタイムスロットとを判定して、その判定結果をタイムスロットカウント情報として送信機に通知する。送信機は、デジタル情報を伝送する際に、上記通知されたタイムスロットカウント情報をもとに、バースト性電磁妨害波による信号劣化を受けないタイムスロットに対し、誤り訂正用データを含まないデータを割り当て、スクランブル処理した後、受信機へ送信する。

目的

この発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、妨害波の発生状況に応じて誤り訂正用データを出力フレームに含ませないようにし、これにより電磁妨害波が存在する環境下においてもスループットの高い情報伝送を行えるようにした、デジタル情報伝送システムとその伝送装置および伝送方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

第1の伝送装置から第2の伝送装置へ、妨害波の影響を受ける信号伝送路を介してデジタル情報伝送するデジタル情報伝送システムであって、前記第2の伝送装置は、前記デジタル情報の伝送に先立ち、当該デジタル情報の伝送に使用するタイムスロットごとに前記妨害波の発生状況を検出する手段と、前記妨害波の発生状況の検出結果をもとに、前記タイムスロットごとに前記妨害波の影響が所定値より小さいか否かを判定し、その判定結果を表す情報を前記第1の伝送装置へ通知する手段とを備え、前記第1の伝送装置は、前記第2の伝送装置から通知された前記判定結果を表す情報に基づいて、前記妨害波の影響が前記所定値以上のタイムスロットに対し、前記デジタル情報を構成するデータに関する誤り訂正用データを含むデータを割り当て、前記妨害波の影響が前記所定値より小さいタイムスロットに対し、前記誤り訂正用データを含まないデータを割り当てるアロケーション手段と、前記アロケーション手段により割り当て処理された後の前記デジタル情報を、前記信号伝送路を介して前記第2の伝送装置へ送信する手段とを備え、前記第2の伝送装置は、前記第1の伝送装置から伝送された、前記割り当て処理された後のデジタル情報を受信する手段と、前記受信された割り当て処理された後のデジタル情報を、前記判定結果を表す情報に基づいて再生する手段とを備えることを特徴とするデジタル情報伝送システム。

請求項2

前記妨害波の発生状況を検出する手段は、前記第1の伝送装置から送信されるタイムスロット同期用信号波を受信し、当該タイムスロット同期用信号波をトリガとして前記タイムスロットごとに前記妨害波の強度、継続時間および周波数成分を含む妨害波パラメータを検出することを特徴とする請求項1に記載のデジタル情報伝送システム。

請求項3

前記アロケーション手段は、前記妨害波の影響が前記所定値より小さいタイムスロットに対し、前記デジタル情報を構成する複数のデータのうちの特定のデータを優先的に割り当てることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のデジタル情報伝送システム。

請求項4

複数の伝送装置間で、妨害波の影響を受ける信号伝送路を介してデジタル情報を伝送するデジタル情報伝送システムで使用される前記伝送装置であって、前記デジタル情報の伝送に先立ち、当該デジタル情報の伝送に使用するタイムスロットごとに前記妨害波の発生状況を検出する手段と、前記妨害波の発生状況の検出結果をもとに、前記タイムスロットごとに前記妨害波の影響が所定値より小さいか否かを判定する手段と、前記判定する手段により判定された判定結果を表す情報に基づいて、前記妨害波の影響が前記所定値以上のタイムスロットに対し、前記デジタル情報を構成するデータに関する誤り訂正用データを含むデータを割り当て、前記妨害波の影響が前記所定値より小さいタイムスロットに対し、前記誤り訂正用データを含まないデータを割り当てるアロケーション手段と、前記アロケーション手段により割り当て処理された後の前記デジタル情報を、前記信号伝送路を介して受信側の伝送装置へ送信する手段と、送信側の伝送装置から前記割り当て処理された後のデジタル情報を受信した場合に、当該受信されたデジタル情報を、前記判定結果を表す情報に基づいて再生する手段とを具備することを特徴とする伝送装置。

請求項5

前記妨害波の発生状況を検出する手段は、送信側の伝送装置から送信されるタイムスロット同期用信号波を受信し、当該タイムスロット同期用信号波をトリガとして前記タイムスロットごとに前記妨害波の強度、継続時間および周波数成分を含む妨害波パラメータを検出することを特徴とする請求項4に記載の伝送装置。

請求項6

前記アロケーション手段は、前記妨害波の影響が前記所定値より小さいタイムスロットに対し、前記デジタル情報を構成する複数のデータのうちの特定のデータを優先的に割り当てることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の伝送装置。

請求項7

第1の伝送装置から第2の伝送装置へ、妨害波の影響を受ける信号伝送路を介してデジタル情報を伝送するデジタル情報伝送システムにより実行されるデジタル情報伝送方法であって、前記第2の伝送装置が、前記デジタル情報の伝送に先立ち、当該デジタル情報の伝送に使用するタイムスロットごとに前記妨害波の発生状況を検出する過程と、前記第2の伝送装置が、前記検出された妨害波の発生状況をもとに、前記タイムスロットごとに前記妨害波の影響が所定値より小さいか否かを判定し、その判定結果を表す情報を前記第1の伝送装置へ通知する過程と、前記第1の伝送装置が、前記第2の伝送装置から通知された前記判定結果を表す情報に基づいて、前記妨害波の影響が前記所定値以上のタイムスロットに対し、前記デジタル情報を構成するデータに関する誤り訂正用データを含むデータを割り当て、前記妨害波の影響が前記所定値より小さいタイムスロットに対し、前記誤り訂正用データを含まないデータを割り当てる過程と、前記第1の伝送装置が、前記割り当て処理された後の前記デジタル情報を、前記信号伝送路を介して前記第2の伝送装置へ送信する過程と、前記第2の伝送装置が、前記第1の伝送装置から伝送された、前記割り当て処理された後のデジタル情報を受信する過程と、前記第2の伝送装置が、前記受信された割り当て処理された後のデジタル情報を、前記判定結果を表す情報に基づいて再生する過程とを具備することを特徴とするデジタル情報伝送方法。

技術分野

0001

この発明は、外部から通信線路周期的な妨害波混入する環境下で使用されるデジタル情報伝送ステムと、このシステムで使用される伝送装置および伝送方法に関する。

背景技術

0002

金属線通信伝送路として使用するデジタル情報伝送システムでは、当該システム以外の媒体から発せられる電磁波(例えば、他の通信放送に使用される電磁波、周囲の電気電子機器から発せられる電磁波)が通信伝送路上に結合し、伝導性電磁妨害波として、通信伝送路で伝達される電気信号に影響を与える(電磁妨害する)。このことにより、伝送情報誤り欠落などの通信品質劣化が生じる場合がある。これを回避するために、一般的なデジタル情報伝送システムは、伝送する情報に生じた誤り(例えば、ビット誤り)を訂正する誤り検出訂正機能を備えている。

0003

多くのデジタル情報伝送システムでは、送信側において伝送装置により生成されたデータ(ユーザデータ)領域に誤り訂正用のデータ領域を付加して送信し、受信側において伝送途中で発生したビット誤りを、上記誤り訂正用データを用いて訂正する、前方誤り訂正(Forward Error Correction; FEC)方式が採用されている。このため、誤り訂正用データ量を増加させることにより、誤り訂正能力は高まるが、その反面、全伝送データ量に対する冗長データ量の割合が増えることとなり、ユーザデータの送信レートは低下する。即ち、デジタル情報伝送システムのスループットと、誤り訂正用データ量を増加させることによる誤り訂正能力の向上とは、トレードオフの関係にある。

0004

例えば、無線LAN(Local Area Network)規格の一つであるIEEE802.11aでは、伝送単位である伝送フレームのうち、少なくとも1/4のデータ領域を誤り訂正符号用データ領域とする(符号化率を3/4以下にする)ことが規定されており、その結果、変復調方式を考慮した伝送速度の最大値72Mbps(bit per second)に対して、スループットは最大54Mbpsに抑制される。

0005

デジタル情報伝送システムにおける、誤り訂正処理を含む伝送フレームの送受信技術については、例えばADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)に関するものが非特許文献1に開示されている。

0006

即ち、ADSLを使用したシステムでは、サーバなどの情報送信装置から送信されるデジタル情報がADSL送信機に入力されると、当該ADSL送信機が、上記デジタル情報に対してCRC(Cyclic Redundancy Check; CRC)符号化、リードソロモン(Reed-Solomon Code; RS)符号化、スクランブル処理トレリス符号化QAM(Quadrature Amplitude Modulation)とIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)とを含むDMT(Discrete Multi-Tone)変調、CP(Cyclic Prefix)付加処理が順次行われた後、AFE(Analog Front End)処理によってデジタル信号からアナログ信号に変換され、電気信号として伝送路へ送信される。

0007

一方、ADSL受信機では、伝送路を介して伝送された電気信号が、まずAFE処理によりアナログ信号からデジタル信号に変換され、TEQ(Time domain Equalizer)により時間軸上の波形等化が行われる。続いて、CP削除、FFTによるDMTの復調処理が行われた後、FEQ(Frequency domain Equalizer)により周波数軸上の波形等化処理が施される。上記DMTの復調処理に含まれるQAM過程では、アナログ多重波各周波数成分から検出された受信信号の各QAM座標点からのユークリッド距離情報が算出され、これがビタビ復号器へ渡される。ビタビ復号器では、上記ユークリッド距離情報に基づいて、受信信号のシンボル判定が行われる。以後、デスクランブル処理およびRS復号が行われた後、CRCによりシンボル判定後の情報に誤りがないかどうかが検査され、誤りがなければパーソナルコンピュータなどの情報受信装置に送られる。これに対し、上記誤り訂正処理を用いても訂正しきれなかった情報が所定の割合で残存している場合には、一般にその情報は破棄される。

0008

ところで、以上のようなADSLデジタル情報伝送システムを用いて、Ethernet(登録商標フレームなどのフレームデータを伝送しようとすると、送信信号波と電磁妨害波との間には図9に例示するような関係が生じる。

0009

即ち、サーバなどの情報送信装置で生成されるEthernetフレームは、図9(a)に示すように、ユーザデータ領域にIP(Internet Protocol)ヘッダを付加してIPパケットを生成し、当該IPパケットのヘッダにはMAC(Media Access Control)ヘッダを、当該IPパケットのフッタにはFCS(Frame Check Sequence)をそれぞれ付加したものとなっている。尚、図9には例示していないが、ユーザデータ領域には、TCP(Transmission Control Protocol)ヘッダおよびHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)ヘッダなどの、IPよりも上位レイヤに属するプロトコルに関するデータが含まれる。

0010

上記EthernetフレームがADSL送信機に入力されると、ADSL送信機では、まず入力フレームからMACヘッダとFCSとが取り除かれ、図9(b)に示すように、所定の数の中間フレームに分割される。中間フレームのサイズは、1回のデジタル変調で生成して伝送路へ送出される伝送フレームのサイズによって決定される。伝送フレームのサイズは、ADSLにおいては、リンク確立の際のトレーニングによって決定される。

0011

続いて、上記分割された各中間フレームが連結されたデータ構造に対して、誤り訂正用データ領域(FEC領域)が付加される。FEC領域のデータサイズは、伝送フレームのサイズに応じて決定される。そして、図9(b)に示すフレーム構造全体は、図9(c)に示すように所定のデータサイズに分割される。さらに分割された各々のデータ領域は、所定の方法によって配列順序組み替えられる(即ち、スクランブル化される)。従って、図9(a)に示したIPヘッダ情報およびデータ領域情報と、図9(b)に示したFEC領域とは、図9(c)に示したデータ構造において断片化されたものとなる。

0012

次に、上記図9(c)に示したデータは、図9(d)に示すように伝送フレーム(以降、出力フレームともいう)のサイズに再分割される。このとき、各出力フレーム内部のデータ構造は、バイト単位で組み替えられる。そして、図9(d)に示した各出力フレームのデータ(ビット)は、図9(e)に示すように、ADSLのサブキャリアである所定の複数のビン割り当てられる。図9(e)においては、図9(d)で示した4つの連続した出力フレーム1〜4のそれぞれが、周波数帯域fw内の各ビンに順次割り当てられている態様を示している。fwは、ADSLの下り伝送の場合は、138kHzから2208kHzまでの帯域幅を持ち、1ビン当たり約4kHzの帯域幅の478個のビンで構成される。

0013

各ビンに割り当てられたビットの構造に応じてQAM処理された後、各ビンの周波数キャリア周波数とするキャリア信号波(多重アナログ波)が図9(f)に示すように生成され、送信機から伝送路へ送出される。図9(f)の横軸は時間である。出力フレーム送信時間間隔は、各出力フレームの変調時間間隔であり、シンボル長と呼ばれるが、以降では変調タイムスロット(Ts)と呼ぶ。

0014

図9(g)は、図9(d)の4つの出力フレームが連続して、順次図9(f)の各信号波形として伝送路を伝搬する際に、これを妨害するバースト性妨害波の波形例を示す。ここで、図9(f)および図9(g)の時間軸は同じであり、バースト性妨害波の強度が図9(g)の破線で示した「信号劣化を生じる強度レベル」を越える周波数成分を含む場合、この周波数成分と同じキャリア周波数によって伝送される信号波形成分が干渉を受け、その結果、受信機において、この信号波形成分に割り当てられたビット情報を読み出す際に誤りが発生する。図9(g)に示すバースト性妨害波において、時間T1、T3、T4には信号劣化を生じる強度レベルを越える周波数成分があるため、図9(d)の出力フレーム1,3,4の少なくとも一部にビット誤りが生じることになる。

先行技術

0015

湯浅重数、浅修一朗、「小さな箱の中に先端技術がいっぱいADSLモデムの内部を解き明かす」、日経NETWORK、pp. 194-199、2002. 08

発明が解決しようとする課題

0016

以上述べたように、ADSLのような従来のデジタル情報伝送システムにおいては、出力フレームのいずれのデータ領域に電磁妨害波によるバースト誤りが発生しても誤り訂正を可能にする必要があるため、これに必要なFECのデータ領域を確保している。加えて、図9(c)において述べたように、IPヘッダ情報、データ領域情報、およびFECデータを断片化し、これらの断片化されたデータが全フレームに分散されるようにスクランブル化している。

0017

しかし、実環境下で発生する電磁妨害波は、信号劣化を生じる強度レベルのものが常時発生している訳ではなく、図9(g)に示すように、信号劣化を生じル強度ベルを一部に含むバースト性妨害波が不規則に発生する場合がほとんどである。従って、図9(c)と図9(g)との対比からわかるように、信号劣化を生じる強度レベルを有する電磁波が存在する時間T1、T3、T4に送信される図9(d)の出力フレーム1,3,4は、誤り訂正(即ち、FECをデータ領域に含むこと)が必要である。一方、信号劣化を生じる強度レベルを有しない微弱な電磁波が存在する時間T2に送信される図9(d)の出力フレーム2は、情報誤りを発生することはなく、誤り訂正を必要としない(即ち、FECをデータ領域に含むことを必要としない)。そのため、出力フレーム2に存在するFECは有効に活用されないことになる。

0018

以上のように、従来のデジタル情報伝送システムでは、フレーム処理において、電磁妨害波の継続時間発生頻度とは関係なく、かつ、出力フレームのいずれのデータ領域に対しても誤り訂正を可能としているので、その結果、情報端末間のスループットが頭打ちになっているという課題を有していた。

0019

この発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、妨害波の発生状況に応じて誤り訂正用データを出力フレームに含ませないようにし、これにより電磁妨害波が存在する環境下においてもスループットの高い情報伝送を行えるようにした、デジタル情報伝送システムとその伝送装置および伝送方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0020

上記課題を解決するためにこの発明の第1の態様は、第1の伝送装置から第2の伝送装置へ、妨害波の影響を受ける信号伝送路を介してデジタル情報を伝送する際に、まず第2の伝送装置において、上記デジタル情報の伝送に先立ち、当該デジタル情報の伝送に使用するタイムスロットごとに上記妨害波の発生状況を検出し、当該検出された妨害波の発生状況をもとに、上記タイムスロットごとに上記妨害波の影響が所定値より小さいか否か判定してその判定結果を表す情報を第1の伝送装置へ通知する。そして、第1の伝送装置において、上記第2の伝送装置から通知された上記判定結果を表す情報に基づいて、上記妨害波の影響が所定値より小さいか否か判定して、その判定結果を表す情報を第1の伝送装置へ通知する。そして、第1の伝送装置において、上記第2の伝送装置から通知された上記判定結果を表す情報に基づいて、上記妨害波の影響が所定値以上のタイムスロットに対し、上記デジタル情報を構成するデータに関する誤り訂正用データを含むデータを割り当て、上記妨害波の影響が所定値より小さいタイムスロットに対し、上記デジタル情報を構成するデータに関する誤り訂正用データを含まないデータを割り当てる処理を行い、当該割り当て処理後の上記デジタル情報を、上記信号伝送路を介して上記第2の伝送装置へ送信する。そして、上記第2の伝送装置において、上記第1の伝送装置から伝送された、上記割り当て処理された後のデジタル情報を受信し、当該受信された割り当て処理された後のデジタル情報を、上記判定結果を表す情報に基づいて再生するようにしたものである。

0021

この発明の第2の態様は、上記妨害波の発生状況を検出する際に、第1の伝送装置から送信されるタイムスロット同期用信号波を受信し、当該タイムスロット同期用信号波をトリガとして上記タイムスロットごとに上記妨害波の強度、継続時間および周波数成分を含む妨害波パラメータを検出するようにしたものである。

0022

この発明の第3の態様は、割り当て処理の際に、妨害波の影響が所定値より小さいタイムスロットに対し、デジタル情報を構成する複数のデータのうちの特定のデータを優先的に割り当てるようにしたものである。

発明の効果

0023

この発明の第1の態様によれば、デジタル情報の伝送に先立ち、妨害波によって信号劣化を受けるタイムスロットと受けないタイムスロットとが判定され、信号劣化を受けると判定されたタイムスロットに対し、デジタル情報を構成するデータに関する誤り訂正用データを含むデータが割り当てられ、信号劣化を受けないと判定されたタイムスロットに対し、デジタル情報を構成するデータに関する誤り訂正符号用データを含まないデータが割り当てられる。このため、第1の伝送装置から第2の伝送装置へデジタル情報を伝送する際に、妨害波の影響を受けないと推定される期間の出力フレームにおいて、従来よりも多くのユーザデータを割り当てて伝送することが可能となる。

0024

この発明の第2の態様によれば、送信側となる第1の伝送装置から送られる同期用信号波により受信側の第2の伝送装置においてタイムスロット同期を取り、タイムスロットごとに妨害波の強度、継続時間および周波数成分を含む妨害波パラメータを検出するようにしたので、妨害波により影響を受ける期間をより正確に判定することが可能となる。

0025

この発明の第3の態様によれば、割り当て処理に際し、信号劣化を受けないと判定されたタイムスロットに対し、デジタル情報を構成する複数のデータのうちの特定のデータが優先的に割り当てられる。このため、第1の伝送装置から第2の伝送装置へデジタル情報を伝送する際に、デジタル情報のうち重要度の高いデータを、妨害波の影響を受けると推定される期間を避けて伝送することが可能となる。

0026

すなわちこの発明の各態様によれば、妨害波の発生状況に応じて誤り訂正用データを出力フレームに含ませないようにすることができ、これにより妨害波が存在する環境下においてもスループットの高い情報伝送を行えるようにした、デジタル情報伝送システムとその伝送装置および伝送方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

0027

この発明の一実施形態に係るデジタル情報伝送システムのハードウェア構成を例示するブロック図。
この発明の一実施形態に係るデジタル情報伝送システムの特徴的な機能を例示するブロック図。
図1および図2に示したデジタル情報伝送システムにおける送受信シーケンスを例示する図。
図1および図2に示したデジタル情報伝送システムの送信機および受信機によるトレーニング期間における処理手順処理内容とを例示するフローチャート
変調タイミングと同期した電磁妨害波の波形計測動作を説明するための図。
図1および図2に示したデジタル情報伝送システムの送信機および受信機によるデジタル情報伝送期間における処理手順と処理内容とを例示するフローチャート。
図1および図2に示したデジタル情報伝送システムの送信機および受信機による処理手順と処理内容とをより詳しく例示した図。
誤り訂正用データ領域の削減方法を説明するための図。
従来のシステムにおける入力フレームの処理内容と電磁妨害との関係を例示する図。

実施例

0028

以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
[第1の実施形態]
(構成)
図1は、この発明の一実施形態に係るデジタル情報伝送システムのハードウェア構成を例示するブロック図である。
一実施形態に係るデジタル情報伝送システムは、ADSLデジタル情報伝送システムからなり、第1の伝送装置としての送信機1と、第2の伝送装置としての受信機2との間で、メタリック信号ケーブルからなる通信線3を介してデジタル情報の伝送を可能にしたものである。上記伝送の通信方式として、例えば複数のサブキャリア(ビン)を使用するマルチキャリア通信方式が用いられる。

0029

尚、以下では、図1に示すように送信機1から受信機2に向けてデジタル情報を一方向に伝送する場合を説明する。しかしながら、送信機能受信機能とを備えた伝送装置間で、デジタル情報を双方向に伝送する場合もこの発明に含まれる。

0030

送信機1および受信機2は、いずれもEthernetを用いたLANに接続される。送信機1は、LANを介してパーソナルコンピュータやサーバなどの電子機器(図示せず)から伝送されたEthernetフレームからなる送信データアナログ伝送信号に変換して通信線3を介して受信機2へと送信する。受信機2は、送信機1から通信線3を介して受信したアナログ伝送信号をEthernetフレームの受信データに変換したあと、LANを介してパーソナルコンピュータやサーバなどの電子機器(図示せず)へと転送する。

0031

送信機1および受信機2は、ハードウェアとして、いずれもLAN−IF(LAN-Interface)11,21と、CPU(Central Processing Unit)12,22と、DSP(Digital Signal Processor)13,23と、メモリ14,24と、AFE(Analog Front End)15,25とを備えている。

0032

LAN−IF11,21は、パーソナルコンピュータやサーバなどの電子機器(図示せず)との間でLANを介してEthernetフレームからなるデータを送受信する。

0033

AFE15,25は、送信データをD/A(Digital-to-Analog)コンバータによりアナログ伝送信号に変換して通信線3へ送信する。また、AFE15,25は、通信線3から受信したアナログ伝送信号をA/D(Analog-to-Digital)コンバータによりデジタル伝送信号に変換した後、TEQにより時間軸上の波形等化を行う。

0034

CPU12,22は、基本的な機能として、LANを介してパーソナルコンピュータやサーバなどの電子機器(図示せず)との間でEthernetフレームからなるデータを送受信するための制御機能と、DSP13,23との間のデータ転送機能を有する。

0035

DSP13,23は、基本的な機能として、変復調部と誤り訂正符号化復号部とを備えている。

0036

送信機1として動作する場合、誤り訂正符号化復号部は、CPU12から出力された送信データに対し、誤り検出および誤り訂正のための符号化処理を行う。変復調部は、上記誤り検出および誤り訂正のための符号化処理後の送信データに対し、デジタル変調処理とCP付加処理とを行う。

0037

一方、受信機2として動作する場合、変復調部は、上記AFE25から出力されたデジタル伝送信号からCPを削除した後、サブキャリアごとに復調処理を行う。更に、変復調部は、FEQにより周波数軸上の波形等化処理を行った後、デジタル復調をして受信ベースバンド信号復元する。誤り訂正符号化復号部は、上記復調処理により得られた受信ベースバンド信号に対し、誤り訂正復号処理誤り検出処理とを行い、その処理後の受信データをCPU22へと出力する。

0038

CPU12,22およびDSP13,23は、上記の基本的な機能に加えて、一実施形態を実現するために、新たな機能を備えている。図2は、その機能構成を示すブロック図である。尚、図2は、上記新たな機能の説明を簡単にするため、一部のブロック図などを省略している。

0039

CPU12は、送信機1として機能するために、タイムスロットカウントタイミング同期用信号送信部121と、タイムスロットカウント情報受信部122とを有している。また、DSP13は、送信機1として機能するために、アロケーション処理部132とスクランブル処理部133とを備えるデジタル情報伝送処理部131を有している。

0040

タイムスロットカウントタイミング同期用信号送信部121は、デジタル情報の伝送に先立つトレーニング期間において、受信機2との間でタイムスロットを同期させるための信号波を送信する。

0041

タイムスロットカウント情報受信部122は、上記トレーニング期間において受信機2から通知されるタイムスロットカウント情報を受信して、メモリ14に格納する。

0042

アロケーション処理部132は、デジタル情報を伝送する際に、上記トレーニング期間に上記受信機2から通知されたタイムスロットカウント情報をもとに、バースト性電磁妨害波の影響が所定レベル未満のタイムスロットに、誤り訂正用データを含ませないアロケーション処理を行う。

0043

スクランブル処理部133は、上記タイムスロットカウント情報をもとに、上記アロケーション処理後の情報伝送必須データを、信号劣化を受けないようにスクランブル処理する。

0044

CPU22は、受信機2として機能するために、タイムスロットカウント部221と、電磁妨害波パラメータ抽出部222と、タイムスロットカウント情報算出部223と、タイムスロットカウント情報通知部224とを有している。また、DSP23は、受信機2として機能するために、デスクランブル処理部232を備えるデジタル情報伝送処理部231を有している。

0045

タイムスロットカウント部221は、トレーニング期間において、上記送信機1から送信されたタイムスロットカウントタイミング同期用の信号波をトリガとして、タイムスロットごとに通信線3上に存在する電磁妨害波を検出する。

0046

電磁妨害波パラメータ抽出部222は、上記タイムスロットカウント部221による電磁妨害波の検出結果をもとに、サブキャリアごとに電磁妨害波の強度、継続時間および周波数成分を抽出し、その抽出結果を電磁妨害波パラメータとしてメモリ24に格納する。

0047

タイムスロットカウント情報算出部223は、上記メモリ24に格納された電磁妨害波パラメータをもとに、信号劣化を受けるタイムスロットと受けないタイムスロットを判定し、その判定結果をタイムスロットカウント情報としてメモリ24に格納する。

0048

タイムスロットカウント情報通知部224は、上記メモリ24に格納されたタイムスロットカウント情報を、通信線3を介して送信機1に通知する。

0049

デスクランブル処理部232は、ビタビ復号により受信信号のシンボル判定が行われた後の受信ベースバンド信号に対し、メモリ24に格納されているタイムスロットカウント情報を参考にデスクランブル処理を行う。

0050

(動作)
図3に例示されるように、トレーニング期間において、受信機2は、送信機1から受信したタイムスロットカウントタイミング同期用の信号波をもとに、タイムスロットをカウントする処理と、電磁妨害波パラメータの検出処理と、電磁妨害波による信号劣化の有無をタイムスロットごとに判定する処理とを行う(ステップS41)。

0051

デジタル情報の伝送期間において、送信機1は、誤り訂正用データ領域のアロケーション処理と、スクランブル処理とを行い(ステップS42,S43)、受信機2は、受信データのデスクランブル処理と、フレーム再構成処理とを行う(ステップS44,S45)。

0052

(1)トレーニング期間の動作
図4において、トレーニング期間における処理手順および処理内容が詳細に示される。送信機1および受信機2は、デジタル情報の伝送に先立ち、トレーニング動作を実行する。

0053

ステップS51において、送信機1は、タイムスロットカウントタイミング同期用の信号波を生成し、当該信号波を、通信線3を介して受信機2に送信する。このタイムスロットカウントタイミング同期用信号波の波形の一例を、図5のタイムスロットTs00に示す。

0054

ステップS52において、受信機2は、上記タイムスロットカウントタイミング同期用の信号波を受信し、タイムスロットカウント部221が、当該信号波をトリガとして変調タイムスロットのカウントを開始する。

0055

ステップS53において、電磁妨害波パラメータ抽出部222が、上記タイムスロットTs00に続く所定のタイムスロット数分の時間(例えば、図5のタイムスロットTs11〜Ts16)において、通信線3によって伝搬される電磁妨害波の周波数成分、受信強度レベルおよび継続時間をそれぞれ計測する。電磁妨害波パラメータ抽出部222は、その計測結果を電磁妨害波パラメータとしてメモリ14に格納する(ステップS54)。

0056

ステップS55において、タイムスロットカウント情報算出部223が、上記電磁妨害波パラメータに基づいて信号劣化を受けるタイムスロットと信号劣化を受けないタイムスロットとを判定する。

0057

例えば、タイムスロットカウント情報算出部223は、電磁妨害波の受信強度レベルを予め設定した閾値と比較することによって、受信強度レベルが閾値以上となったタイムスロットを、信号劣化を受けるタイムスロットと判定し、受信強度レベルが閾値未満のタイムスロットを、信号劣化を受けないタイムスロットと判定する。図5においては、変調タイムスロットTs13、Ts14、Ts15が信号劣化を受けるタイムスロットと判定され、変調タイムスロットTs11、Ts12、Ts16が信号劣化を受けないタイムスロットと判定される。

0058

ステップS56において、タイムスロットカウント情報算出部223が、上記判定結果をタイムスロットカウント情報としてメモリ24に格納する。

0059

ステップS57において、タイムスロットカウント情報通知部224が、上記タイムスロットカウント情報を、通信線3を介して送信機1へ通知するべく送信する。

0060

ステップS58において、送信機1は、受信機2からタイムスロット情報を受信し、受信したタイムスロット情報をメモリ14に格納する。尚、送信機1は、ステップS51におけるタイムスロットカウントタイミング同期用信号波の送信後から、受信機2で算出されるタイムスロットカウント情報の受信を監視している。

0061

(2)デジタル情報伝送期間の動作
図6において、デジタル情報の伝送期間における処理手順および処理内容が詳細に示される。送信機1および受信機2は、トレーニング期間が終了すると、デジタル情報の伝送を行う。以下では、図7も参照しながら説明を行う。

0062

ステップS61において、送信機1は、送信データの入力を監視している。この状態で、パーソナルコンピュータやサーバなどの電子機器からEthernetフレームからなる送信データが送信され、送信機1は、当該送信データを、LANを介して受信する。

0063

ステップS62において、送信機1は、誤り訂正符号化処理を実行する。誤り訂正符号化処理は、例えば図7のステップS11、S12に示すように、CRC符号化とRS符号化とが行われる。RS符号化では、FECの領域確保および中間フレームの作成が行われる。FECの領域確保は、メモリ14に格納されたタイムスロットカウント情報をもとに、バースト性電磁妨害波の影響が所定レベル以上のタイムスロットに対しては、EFCに必要な領域を確保し、バースト性電磁妨害波の影響が所定レベルより小さいタイムスロットに対しては、EFCに必要な領域を確保しない。中間フレームは、出力フレームのサイズと上記EFCに必要な領域とに応じて作成される。

0064

ステップS63において、アロケーション処理部132が、メモリ14に格納されたタイムスロットカウント情報をもとに、バースト性電磁妨害波の影響が所定レベル以上のタイムスロットに対し、送信データに関するFECを含むデータを割り当て、バースト性電磁妨害波の影響が所定レベルより小さいタイムスロットに対し、FECを含まないデータを割り当てるアロケーション処理を行う(図7ではステップS13)。

0065

ステップS64において、スクランブル処理部133が、上記タイムスロットカウント情報をもとに、上記アロケーション処理後のFECを含まないデータ領域を、信号劣化を受けないようにスクランブル処理を行う(図7ではステップS14)。

0066

図8は、上記アロケーション処理の一例を説明するための図である。図8(g)に示すように、変調タイムスロットT1,T3,T4に信号劣化を生じる強度のバースト性電磁妨害波が存在し、変調タイムスロットT2にはこれが存在しなかったとする。この場合、変調タイムスロットT2において送信する出力フレーム2は電磁妨害波による信号劣化を生じないので、アロケーション処理部132は、上記出力フレーム2に対して、図8(c)に示すようにFECを含まないデータを割り当てる。

0067

換言すると、アロケーション処理部132は、上記出力フレーム2に対して、FECのためのデータ領域を設けず、全ての領域に中間フレームを割り当てる。このとき、本来必要であるFECのためのデータ領域を確保する必要がなくなるため、図8(b)に示すように、FEC領域は、従来のFEC領域のサイズに比べて小さくなる。尚、削減されたFEC領域には中間フレームが割り当てられてもよい。また、このFEC領域は、信号劣化を生じる強度のバースト性電磁妨害波が存在する変調タイムスロットに対してのみ作成される。

0068

以上述べたアロケーション処理により、LANから受信したEthernetフレームに含まれるデータに対してFECを付与しない出力フレームは、バースト性電磁妨害波による信号劣化を受けずに伝送することが可能となる。

0069

従って、送信機1にLANを介して接続された電子機器と、受信機2にLANを介して接続された電子機器との間において、通常行われるFECが付与される出力フレームだけでなく、FECが付与されない出力フレームも送受信することができる。このため、FECを含まない出力フレームには、従来よりも多くのユーザデータを割り当てられる。このため、バースト性電磁妨害波が存在する環境下においてもスループットの高い情報伝送が可能となる。

0070

上記アロケーション処理およびスクランブル処理が終了すると、デジタル情報伝送処理部131は、上記アロケーション処理およびスクランブル処理がなされた送信データに対して、図7のステップS15に示すトレリス符号化を行った後、ステップS65における変調処理を行う(図7ではステップS16)。具体的には、変調処理は、図7に示すようにステップS161、S162において、QAMおよびIFFTを含むDMT変調処理が行われる。

0071

上記変調処理が終了すると、デジタル情報伝送処理部131は、上記変調処理された後の送信データに対して、図7のステップS17によりCPを付加し、このCPが付加された送信データをAFE15へと出力する。ステップS66において、AFE15が、上記送信データをアナログ伝送信号に変換した後、通信線3を介して受信機2へと送信する(図7ではステップS18)。

0072

一方、受信機2は以下のように動作する。ステップS71において、受信機2は、上記送信機1から送信されたアナログ伝送信号を受信する。受信したアナログ信号は、AFE25が、図7に示すようにステップS21において上記アナログ伝送信号をA/D変換し、ステップS22においてTEQにより時間軸上の波形等化を行う。

0073

ステップS72において、デジタル情報伝送処理部231が、復調処理を実行する。例えば、図7のステップS23において、デジタル情報伝送処理部231が、上記AFE25から出力されたデジタル伝送信号からCPを削除し、ステップS25においてFFTによりサブキャリアごとにDMT復調処理を行う。尚、図7のステップS24は、上述したトレーニング期間において行われるタイムスロットのカウント処理を示す。

0074

デジタル情報伝送処理部231は、ステップS26において、上記DMT復調後の受信信号に対して、FEQにより周波数軸上の波形等化処理を行い、ステップS27において、QAM復調することによって受信ベースバンド信号を復元する。さらに、ステップS28において、上記復元された受信ベースバンド信号に対し、ビタビ復号器により受信信号のシンボル判定を行う。

0075

ステップS73において、デスクランブル処理部232が、上記受信ベースバンド信号に対してデスクランブル処理を行う(図7ではステップS29)。このデスクランブル処理は、メモリ24に格納されているタイムスロットカウント情報を参照して行われる。

0076

ステップS74において、デジタル情報伝送処理部231は、上記デスクランブル処理後の受信ベースバンド信号に対し、誤り訂正復号処理を行う。例えば、図7のステップS30において、デジタル情報伝送処理部231が、RS復号処理を行い、ステップS31において、上記誤り訂正復号処理後の受信データについて、情報の誤りがないかどうか判定するCRC検査を行い、この検査後の受信データをCPU22へと出力する。CPU22は、上記受信データに誤りがないと判定された場合に、当該受信データをEthernetフレームに変換してLANへ送信する。

0077

(効果)
以上詳述したように一実施形態では、デジタル情報の伝送に先立ち、送信機1からタイムスロットカウントタイミング同期用の信号波を送信して、受信機2が当該信号波をもとにタイムスロット同期を取る。そして、タイムスロットごとにバースト性電磁妨害波のパラメータを検出し、その検出結果をもとに上記バースト性電磁妨害波による信号劣化を受けるタイムスロットと受けないタイムスロットとを判定して、その判定結果をタイムスロットカウント情報として送信機1に通知する。送信機1は、デジタル情報を伝送する際に、上記通知されたタイムスロットカウント情報をもとに、バースト性電磁妨害波による信号劣化を受けるタイムスロットに対し、誤り訂正用データを含むデータを割り当て、バースト性電磁妨害波による信号劣化を受けないタイムスロットに対し、誤り訂正用データを含まないデータを割り当て、スクランブル処理した後、受信機2へ送信するようにしている。

0078

従って、冗長データである誤り訂正用データを、バースト性電磁妨害波の影響を受けないと推定される期間では伝送データに含ませないようにすることが可能となり、これにより誤り訂正用データが伝送データに含まれることによるスループットの頭打ちを改善することが可能となる。また、送信機1から送信される同期用信号波により受信機2においてタイムスロット同期を取り、タイムスロットごとにバースト性妨害波の強度、継続時間および周波数成分を含む妨害波パラメータを検出するようにしたので、バースト性電磁妨害波の影響を受ける期間をより正確に判定することが可能となる。

0079

[他の実施形態]
上記一実施形態においては、バースト性電磁妨害波の影響を受けないタイムスロットに対し、誤り訂正用データを含まないデータを当該スロットに割り当てる場合を例にとって説明した。こことき、割り当てるデータを更に指定しても良く、例えばIPヘッダを優先して割り当ててもよい。なぜなら、仮に上記妨害波の影響を受けるタイムスロットに割り当てられたIPヘッダに関するデータが修復不可能なほどに破損した場合、つまりIPヘッダの一部のデータ構造が破損された状態で、受信機から転送先ルータ等の通信機器へフレームを転送できたとしても、その通信機器から先へはIPパケットの転送はできなくなる。その結果、情報端末間で非到達のIPパケットの再送処理を行わざるを得ず、情報端末間でのスループットが低下してしまう。従って、バースト性電磁妨害波の影響を受けないタイムスロットに対し、デジタル情報のうち重要性の高いIPヘッダを割り当てることはスループットの向上につながる。また、これに限らずTCPヘッダHTTPヘッダなどの上位レイヤプロトコルを割り当てても良いし、ユーザがユーザデータ領域のうち重要なデータを任意に入力操作により指定し、当該指定されたユーザデータをバースト性電磁妨害波の影響を受けないタイムスロットに割り当てるようにしてもよい。

0080

また、上記一実施形態ではADSLデジタル情報伝送システムについて説明したが、デジタル情報を時系列電気信号で伝送するEthernet伝送システムや、マルチキャリア伝送方式であるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変復調方式を採用した無線のデジタル情報伝送システムを含め、各種のデジタル情報伝送システムにも適用することができる。

0081

また、送信機および受信機の構成や変復調方式、誤り訂正符号化復号方式、伝送データのフレーム構成などについても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。

0082

要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。

0083

1…送信機、2…受信機、3…通信線、11,21…LAN−IF、12,22…CPU、13,23…DSP、14,24…メモリ、15,25…AFE、121…タイムスロットカウントタイミング同期用信号送信部、122…タイムスロットカウント情報受信部、131,231…デジタル情報伝送処理部、132…アロケーション処理部、133…スクランブル処理部、221…タイムスロットカウント部、222…電磁妨害波パラメータ抽出部、223…タイムスロットカウント情報算出部、224…タイムスロットカウント情報通知部、232…デスクランブル処理部。

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