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技術 診断装置

出願人 株式会社日立製作所
発明者 朴ミンソク矢野資尾花健
出願日 2016年6月7日 (4年8ヶ月経過) 出願番号 2016-113158
公開日 2017年12月14日 (3年2ヶ月経過) 公開番号 2017-217662
状態 未査定
技術分野 アーク溶接の制御
主要キーワード 水平部品 可視化結果 金属融点 垂直部品 空洞発生 誤差平方和 アーク放電現象 後方受
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (12)

課題

溶接トーチ部を大型化することなく、アーク光による撮影視野欠損を低減し、確実に溶接対象部材溶接状態診断する診断装置を提供する。

解決手段

上記課題を解決するために、本発明に係る診断装置は、移動する溶接トーチの前方からの光を取得する前方受光部と、前記溶接トーチの後方からの光を取得する後方受光部と、前記前方受光部により取得した光と、前記後方受光部により取得した光から画像を生成する画像生成部と、前記画像生成部により生成した画像から溶接対象部材の溶接状態を診断する診断部を有する。

概要

背景

アーク溶接アーク放電現象を利用して二つの金属部材溶接する技術であり、多くの産業分野で用いられている。アーク溶接には、溶接電流溶接電圧シールドガスの流量、放電電極の形状、金属部材と電極間の距離等の多くのパラメータがある。健全溶接部を形成するためには、これらパラメータを金属部材の材質や形状に合わせて調整する必要がある。

アーク溶接部を撮影して溶接状況可視化することでこのパラメータ調整を容易にする装置が特許文献1に記載されている。この特許文献1には、「本発明の溶接部位可視化装置は、被溶接部位溶接トーチ部との間に形成される溶接アーク及び溶接アークで加熱された周辺領域の場景から入射される光を誘導する光誘導手段と、光誘導手段で誘導された溶接アーク光に対し撮影に適する輝度に調節する第1調節部と、光誘導手段で誘導された周辺領域の場景から入射される光に対し撮影に適する輝度に調節する第2調節部とを持つ光調節手段と、光調節手段で調節された光を画像信号として記録する画像信号記録手段と、画像信号記録手段で出力された画像信号を合成処理する画像合成処理手段と、を有しており、複数の光誘導手段と光調節手段により複数の光路が構成されていることを特徴とする。」と記載されている。特許文献1によれば、「溶接アーク光と溶接アークで加熱された周辺領域との場景から入射される光には大きいな輝度差を持っている。これに対し、本発明の溶接部位可視化装置は、異なる光強度調整性能を持つ第1調節部と第2調節部を設けることにより、それぞれの入射光に最適観察条件を設定することができ、同時に溶接アーク及び周辺領域の状況を可視化する」ことができる。また、特許文献1によれば、「光誘導手段が設けられているため、溶接トーチ部の先端部にカメラなどの撮影手段を直接設置することもないので、溶接トーチ部をより小型化することができる」とされる。

概要

溶接トーチ部を大型化することなく、アーク光による撮影視野欠損を低減し、確実に溶接対象部材溶接状態診断する診断装置を提供する。 上記課題を解決するために、本発明に係る診断装置は、移動する溶接トーチの前方からの光を取得する前方受光部と、前記溶接トーチの後方からの光を取得する後方受光部と、前記前方受光部により取得した光と、前記後方受光部により取得した光から画像を生成する画像生成部と、前記画像生成部により生成した画像から溶接対象部材の溶接状態を診断する診断部を有する。

目的

本発明の目的は、溶接トーチ部を大型化することなく、アーク光による撮影視野の欠損を低減し、確実に溶接対象部材の溶接状態を診断する診断装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

移動する溶接トーチの前方からの光を取得する前方受光部と、前記溶接トーチの後方からの光を取得する後方受光部と、前記前方受光部により取得した光と、前記後方受光部により取得した光から画像を生成する画像生成部と、前記画像生成部により生成した画像から溶接対象部材溶接状態診断する診断部を有することを特徴とする診断装置

請求項2

請求項1に記載の診断装置であって、前記前方受光部が取得する光は、溶接前の溶接対象部材及び溶融池からの光であることを特徴とする診断装置。

請求項3

請求項1または2に記載の診断装置であって、前記画像生成部が生成する画像は、溶接前の溶接対象部材の表面の画像であることを特徴とする診断装置。

請求項4

請求項1または2に記載の診断装置であって、前記画像生成部が生成する画像は、溶接前の溶接対象部材間のギャップの画像であることを特徴とする診断装置。

請求項5

請求項1乃至4のいずれか一項に記載の診断装置であって、前記後方受光部が取得する光は、溶接後の溶接対象部材及び溶融池からの光であることを特徴とする診断装置。

請求項6

請求項1乃至5のいずれか一項に記載の診断装置であって、前記画像生成部が生成する画像は、溶接後の溶接対象部材の表面の画像であることを特徴とする診断装置。

請求項7

請求項3に記載の診断装置であって、前記診断部は、溶接前の溶接対象部材の表面における光の反射率、表面粗さ、または凹凸に基づき、溶接欠陥の発生確率を評価することを特徴とする診断装置。

請求項8

請求項4に記載の診断装置であって、前記診断部は、溶接前の溶接対象部材間のギャップの幅または位置に基づき、溶接欠陥の発生確率を評価することを特徴とする診断装置。

請求項9

請求項6に記載の診断装置であって、前記診断部は、溶接後の溶接対象部材における酸化物の量に基づき、溶接欠陥の発生確率を評価することを特徴とする診断装置。

請求項10

請求項1乃至9のいずれか一項に記載の診断装置であって、前記前方受光部及び前記後方受光部が取得する光は、600〜1400nmの波長可視光または近赤外線領域の光であることを特徴とする診断装置。

請求項11

請求項1乃至10のいずれか一項に記載の診断装置であって、前記前方受光部により取得する光と、前記後方受光部により取得する光とを合成して、前記画像生成部に出力する前後光回路合成器を有することを特徴とする診断装置。

請求項12

請求項1乃至11のいずれか一項に記載の診断装置であって、前記前方受光部または前記後方受光部を溶融池から飛散するスパッタ到達範囲外に設置することを特徴とする診断装置。

請求項13

請求項1乃至12のいずれか一項に記載の診断装置であって、前記診断部は、前記画像生成部が生成する画像と、予め記憶している適正な溶接状態を示す画像とを比較して、溶接対象部材の溶接状態を診断することを特徴とする診断装置。

請求項14

請求項13に記載の診断装置であって、前記診断部は、予め記憶している適正な溶接状態を示す画像をネットワークを介して取得することを特徴とする診断装置。

技術分野

0001

本発明は、溶接状態診断する診断装置に関する。

背景技術

0002

アーク溶接アーク放電現象を利用して二つの金属部材溶接する技術であり、多くの産業分野で用いられている。アーク溶接には、溶接電流溶接電圧シールドガスの流量、放電電極の形状、金属部材と電極間の距離等の多くのパラメータがある。健全溶接部を形成するためには、これらパラメータを金属部材の材質や形状に合わせて調整する必要がある。

0003

アーク溶接部を撮影して溶接状況可視化することでこのパラメータ調整を容易にする装置が特許文献1に記載されている。この特許文献1には、「本発明の溶接部位可視化装置は、被溶接部位溶接トーチ部との間に形成される溶接アーク及び溶接アークで加熱された周辺領域の場景から入射される光を誘導する光誘導手段と、光誘導手段で誘導された溶接アーク光に対し撮影に適する輝度に調節する第1調節部と、光誘導手段で誘導された周辺領域の場景から入射される光に対し撮影に適する輝度に調節する第2調節部とを持つ光調節手段と、光調節手段で調節された光を画像信号として記録する画像信号記録手段と、画像信号記録手段で出力された画像信号を合成処理する画像合成処理手段と、を有しており、複数の光誘導手段と光調節手段により複数の光路が構成されていることを特徴とする。」と記載されている。特許文献1によれば、「溶接アーク光と溶接アークで加熱された周辺領域との場景から入射される光には大きいな輝度差を持っている。これに対し、本発明の溶接部位可視化装置は、異なる光強度調整性能を持つ第1調節部と第2調節部を設けることにより、それぞれの入射光に最適観察条件を設定することができ、同時に溶接アーク及び周辺領域の状況を可視化する」ことができる。また、特許文献1によれば、「光誘導手段が設けられているため、溶接トーチ部の先端部にカメラなどの撮影手段を直接設置することもないので、溶接トーチ部をより小型化することができる」とされる。

先行技術

0004

特開2007−118055号公報

発明が解決しようとする課題

0005

前記特許文献1には、溶接トーチ部を小型にしつつ溶接アーク及び周辺領域の状況を可視化する溶接加工装置が記載されている。しかし、特許文献1記載の溶接加工装置は、溶接アーク及び周辺領域の状況を可視化するのに止まり、可視化で得られた画像を利用してアーク溶接部の健全性を向上させる技術については記載されていない。

0006

また、特許文献1に記載された溶接加工装置は、ワイヤ溶接電極)近傍に配置された第1光路を溶接アーク光から入射される光の撮影に最適化するため、ワイヤ近傍の周辺領域、例えばワイヤの下に形成される溶融池の撮影には課題が残る。特に、アーク光から第1光路の反対側にある溶融池および溶接部材の撮影は、調節部が強い溶接アーク光の撮影に最適化されるため困難である。溶融池および溶接部材の一部を欠いた可視化結果では、前述の健全性判定において判定精度を低下させる可能性がある。

0007

更に、特許文献1記載の溶接加工装置は、ワイヤ近傍および溶接トーチ後方を撮影するため、アーク光と溶融池の状態を捉えることはできるにしても、溶接進行方向前方にある溶接前の金属部材の状態を撮影することには課題を残す。特に、溶接によって接合される金属部材間の隙間(以下、ギャップ)の状態はアーク溶接部の健全性に大きい影響を及ぼすが、溶接トーチの側面に光路を配置する特許文献1記載の溶接加工装置では溶接進行方向に沿って細長い形状を取るギャップ状態を撮影することが困難である。溶接進行方向前方にある溶接前の金属部材の状態を欠いた可視化結果では、前述の健全性判定において判定精度を低下させる可能性がある。

0008

本発明の目的は、溶接トーチ部を大型化することなく、アーク光による撮影視野欠損を低減し、確実に溶接対象部材の溶接状態を診断する診断装置を提供することである。

課題を解決するための手段

0009

上記課題を解決するために、本発明に係る診断装置は、移動する溶接トーチの前方からの光を取得する前方受光部と、前記溶接トーチの後方からの光を取得する後方受光部と、前記前方受光部により取得した光と、前記後方受光部により取得した光から画像を生成する画像生成部と、前記画像生成部により生成した画像から溶接対象部材の溶接状態を診断する診断部を有する。

発明の効果

0010

本発明によれば、溶接トーチ部を大型化することなく、アーク光による撮影視野の欠損を低減し、確実に溶接対象部材の溶接状態を診断する診断装置を提供することができる。

0011

上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかになる。

図面の簡単な説明

0012

実施例1に係る診断装置の構成図
実施例1に係る受光部と、光回路と、光回路合成器の作用を示す概略図
画像検出部の上に結ばれる像の一例を示す模式図
撮影装置でアーク溶接をその場で撮影した画像の例
実施例1における画像診断装置、参照データ保存装置および診断結果保存装置の構成を示す構成図
実施例1における撮影装置と、画像診断装置と、参照データ保存装置と、診断結果保存装置の動作を示す処理図
実施例1で参照データ保存装置に保存されたデータの構造を示す図
実施例1で前方画像診断部から制御部に出力される健全性指標の例を示すグラフ
実施例1で後方画像診断部から制御部に出力される健全性指標の例を示すグラフ
実施例2に係るアーク溶接部の溶接その場画像診断装置の構成を溶接部と共に示す構成図
実施例3に係るアーク溶接部の溶接その場画像診断装置の構成を溶接部と共に示す構成図

0013

以下、実施例を図面を用いて説明する。

0014

以下、本発明の一実施例を説明する。

0015

図1は、実施例1に係る診断装置の構成を溶接部と共に示す構成図である。

0016

先ずアーク溶接について説明する。溶接前の金属部材101aと金属部材101bの間にはギャップ102が存在する。アーク溶接では、溶接トーチ201の一端に設けされた電極202と金属部材101aまたは金属部材101bの間に電圧を加えることで、電極202からアーク203を発生させる。金属部材101aと金属部材101bはアーク203によって加熱され、その一部は溶融され液体状態になり溶融池103を形成する。溶接トーチ201の溶接方向204への移動または電圧低下などの原因で溶融池103の温度が低下すると、溶融池103は凝固して溶接ビード104を形成する。

0017

実施例1に係る診断装置は、溶接トーチ201の溶接方向204に沿った前方に前方受光部310を設け、溶接トーチ201の溶接方向204に沿った後方に後方受光部320を設ける。前方受光部310と後方受光部320は、各々、一つまたは複数の光学レンズと鏡を有する。前方受光部310は、溶融池103のうち、電極202より溶接方向204に沿った前方側の溶融池から放出される光と、溶接前の金属部材101aと金属部材101bから放出される光、ギャップ102の一部から放出される光を同時に受光する。また、後方受光部320は、溶融池103のうち、電極202より溶接方向204に沿った後方側の溶融池103から放出される光と溶接ビード104から放出される光を受光する。なお、上記の鏡は、光の進行方向を変えるプリズムまたは光ファイバーまたはその他の光学素子代替することができる。

0018

前方受光部310と後方受光部320で受光される光は、各々、前方光回路410と後方光回路420を経由して、前後光回路合成器500に導かれる。この機能を達成するために、前方光回路410と後方光回路420は、各々、一つまたは複数の光学レンズと鏡を有する。ここの鏡は光の進行方向を変えるプリズムまたは光ファイバーまたはその他の光学素子で代替することができる。これら光学素子を用いて、例えば、ボアースコープまたはファイバースコープまたは潜望鏡として知られる光学系の構成を利用することで、前方光回路410と後方光回路420を実現することができる。なお、図1には、前方光回路410と後方光回路420が、各々、垂直部品水平部品の2つの部品からなる例を示した。

0019

前後光回路合成器500は、一つまたは複数の光学レンズと鏡を有し、前方光回路410と後方光回路420から入射する2通りの光を撮影装置600に出力する。撮影装置600は前後光回路合成器500から入射した光を、入射時刻によってフレーム分割された動画像に変換(撮影)し、画像診断装置700へ動画像を出力する。

0020

ここで、本発明の撮影装置600は、金属融点以上の温度にある溶融池103から放出された光と共に、相対的に低温のギャップ102および溶接ビード104から放出された光をも画像化するため、可視光を撮影できる撮影装置600を用いる。可視光とは具体的には600〜1400nmの波長を有する光である。また、動画像の撮影または伝送またはその他処理速度の差による不具合を防ぐため、撮影装置600の内部に動画像の一部または全部を一時保持するバッファメモリを設けてもよい。

0021

なお、撮像装置600は画像生成部ともいい、溶接前の金属部材101aと金属部材101bの表面の画像、溶接前のギャップ102の画像、溶接後の金属部材101aと金属部材101bの表面の画像などを生成して、これを溶接状態の診断に利用する。

0022

画像診断装置700は、参照データ保存装置710に保存された参照データに基づき撮影装置600から入力される動画像を分析して、アーク溶接部の健全性を示す一つまたは複数の健全性指標を使用者および診断結果保存装置720へ出力する。画像診断装置700と参照データ保存装置710および診断結果保存装置720の構成と動作は後で図5図6を用いて説明する。

0023

図2は本発明の実施例1係る前方受光部310と後方受光部320と、前方光回路410と後方光回路420と、前後光回路合成器500の作用を示す概略図である。溶融池103のうち、電極202よりより溶接方向204に沿った前方側の溶融池103と、ギャップ102から放出される光R1は、前方受光部310に入射する。光R1は前方受光部310内のレンズ311により収束され鏡312の上に結像する。図2では簡単のためレンズ311を1つだけ示したが、適宜複数のレンズを配置することは周知の技術である。光R1は鏡312で方向を変えて前方光回路410に入射して、更に鏡411で方向を変えて前後光回路合成器500に入射する。光R1は、更に鏡511で方向を変えて撮影装置600に入射する。この際、光R1は、レンズ512により収束され、撮影装置600内の画像検出部601の上で像を結ぶ。

0024

電極202よりより溶接方向204に沿った後方側の溶融池103と溶接ビード104から放出される光R2は、後方受光部320に入射され、後方光回路420を経由して前後光回路合成器500に入り、前記R1と共に画像検出部601の上で像を結ぶ。

0025

この時、光R1と光R2が画像検出部601の上に鮮明に結像するためには、溶融池103他から放出されて画像検出部601の上に到達するまでの光学的距離がほぼ同一であることが望ましい。従って、光R1と光R2が溶融池103他から放出されて画像検出部601の上に到達するまでに進行する物理的距離が異なる時には、前方受光部310と後方受光部320、または前方光回路410と後方光回路420、または前後光回路合成器500の一つまたは複数個所にあるレンズまたはプリズムまたはその他の光学素子を調節する。図2の装置では、前後光回路合成器500の中に配置したレンズ512とレンズ522を用いて調整する。なお、図2では簡単のためレンズ512とレンズ522を各々1つのレンズとして示したが、適宜複数のレンズを配置して光学的距離を調整することは周知の技術である。

0026

図3は画像検出部601の上に結ばれる像の一例を示す模式図である。像I1は、前記光R1に由来する前方画像I10と、光R2に由来する後方画像I20からなる。前方画像I10には、ギャップ102の像I102と、溶融池103の前方(front)部分の像I103fが含まれる。一方、後方画像I20には、溶融池103の後方(rear)部分の像I103rと溶接ビード104の像I104が含まれる。この他、I10とI20の何れも、金属部材101aと金属部材101bの像であるI101aとI金属部材101bを含む。さらに、I10とI20の両方が溶接トーチ201の像I201と電極202の像I202の何れかまたは両方を含むことが後述の理由で望ましい。図3の例ではI10とI20がI201とI202の両方を含む。

0027

図4に撮影装置600でアーク溶接をその場で撮影した画像の例を示す。図3の模式図と比べて、図4の画像は電極202の像I202を含まない。その他は図3と同じであるため、記号の説明は省略する。

0028

図4において、同じ溶融池103の画像であっても、前方画像I10に写るI103fは後方画像I20に写るI103rより大きい。溶融池の画像よりは明瞭でないが、I10とI20に写る他の物体もI10の方がI20より大きく写っている。この大きさの相違は、所謂ズーム倍率の違いに起因する。具体的には、前方画像I10を形成する光R1と後方画像I20を形成する光R2が溶融池から放出されて画像検出部601に入射するまでの物理的距離と経由するレンズ、鏡、その他の光学素子の差に起因する。従って、画像に写った大きさは、具体的な装置構成によって図4のようにI10がI20より大きくなることも、逆にI20がI10より大きくなることも可能である。

0029

I10とI20の間の、所謂、ズーム倍率の違いは、I10とI20を別々に診断に用いる場合は課題を生じない。一方、例えば、溶融池103の溶接方向204に沿った最大寸法を評価する時のように、画像I10とI20を一緒に分析する時にはズーム倍率違いの補正の課題が生ずる。この課題は、上述のI10とI20の両方が溶接トーチ201の像I201と電極202の像I202の何れかまたは両方を含むことで解決される。溶接トーチ201と電極202はその輪郭図4に示すように明確なため、画像から輪郭を識別して画像上の大きさを評価することが容易である。従って、画像診断装置700がI10とI20に写った溶接トーチの像I201または電極の像I202の大きさを評価し、例えばI10で評価された溶接トーチ画像I201の大きさS201fに対する、I20で評価された溶接トーチ画像I201の大きさS201rの比、S201r/S201fを前方溶融池の像I103fの大きさに乗算すればよい。他にS201f/S201rを後方溶融池の像I103rの大きさに乗算する、または、溶接トーチ201の実際大きさRS201を用いて、RS201/S201fを前方溶融池の像I103fの大きさに乗算してRS201/S201rを後方溶融池の像I103rの大きさに乗算するなど、輪郭を容易に識別可能な溶接トーチ201または電極202の像をI10とI20に共通に含ませて、その大きさを用いてI10とI20との間の所謂ズーム倍率の違いを補正する何れの方法でも良い。

0030

図5は実施例1おける画像診断装置700、参照データ保存装置710および診断結果保存装置720の構成を示す構成図である。画像診断装置700は参照データ保存装置710に保存された参照データに基づき、撮影装置600から入力される動画像を分析して、アーク溶接部の健全性を示す一つまたは複数の健全性指標を、使用者および診断結果保存装置720へ出力する装置である。なお、撮影装置600の動作開始と終了はトリガー信号を介して溶接装置200の動作開始および終了と同期される。

0031

この機能を実現するために、画像診断装置700は、制御部701と、前方画像診断部703と、後方画像診断部704と、主記憶部705と、撮影装置送受信インタフェース706と、データバス707を有する。

0032

図6は実施例1における撮影装置600と、画像診断装置700と、参照データ保存装置710と、診断結果保存装置720の動作を示す処理図である。図6上端にある720、701などは、各々、図5のラベルに対応する。ユーザーはラベルの代わりにシンボルで示した。図6の各ラベルおよびユーザーの下にある垂直線は時間の経過を示しており、時間の順に上から下へ処理を並べてある。

0033

動作は、図6上段左側に示したユーザーの制御部701に対する診断準備指示から始まる(処理S001)。この時、ユーザーは指示と共に診断する溶接作業の条件も制御部701に入力する。制御部701は、参照データ保存装置710に対して入力された溶接条件に対応する参照データの出力を依頼する(S011)。参照データ保存装置710は保存された参照データから溶接条件に対応する参照データを検索して、画像診断装置700内の主記憶部705へ出力する(S101)。参照データ保存装置710からの参照データ入力が終わると、参照データは主記憶部705から前方画像診断部703と、後方画像診断部704に伝送される(S051)。前方画像診断部703と、後方画像診断部704は参照データを各々の内部に設けられた副記憶部に保存した後、保存終了信号を制御部701へ出力する(S031、S041)。制御部701は保存終了信号が入力されると、ユーザーに対して診断準備終了を報告する(S012)。

0034

ユーザーは制御部701の報告を確認した後、制御部701に対して診断開始の指示を入力する(S002)。制御部701は診断開始の指示を撮影装置送受信インタフェース706に出力し(S013)、撮影装置送受信インタフェース706は撮影装置600へ診断開始の指示を出力する(S061)。撮影装置600は指示S061によって待機状態から撮影準備状態となる。ここで待機状態とは外部より所謂トリガー信号が入力されても撮影を開始しない状態であり、撮影準備状態とはトリガー信号が入力されると直ちに撮影が開始される状態である。

0035

溶接装置200は溶接を開始すると同時に、トリガー信号を撮影装置600に入力する。撮影装置600はこのトリガー信号が入力されると直ちに撮影を開始し、撮影された動画像を、逐次、画像診断装置700内の撮影装置送受信インタフェース706へ出力する。出力は動画像を構成する所謂フレーム毎でも良いし、複数フレームを纏めて出力してもよい。撮影装置600が複数フレームを纏めて出力するためには、撮影装置600の内部に複数フレーム分のデータを一時保持するバッファメモリが必要であるが、動画像の撮影速度と伝送速度の差による不具合を防ぐことができる。

0036

撮影装置送受信インタフェース706は、撮影装置600より入力された動画像を主記億部705へ出力する(S062)。主記億部705は入力された動画像を記憶する(S052)。主記億部705は、撮影装置送受信インタフェース706と、前方画像診断部703と後方画像診断部704との間に位置し動画像データを記憶することで、撮影装置600の動画像撮影速度と、前方画像診断部703と後方画像診断部704における処理速度との差による不具合を防ぐ。

0037

前方画像診断部703と後方画像診断部704は、主記憶部705に記憶された動画像を読み込み、処理S031とS041で各々の内部の副記憶部に保存した参照データに基づいて、主記憶部705から読み込んだ動画像を診断して、アーク溶接部の健全性を示す一つまたは複数の健全性指標を制御部701へ出力する(S032、S042)。動画像診断の具体例は後で図8図9を用いて説明する。

0038

制御部701は、前方画像診断部703と後方画像診断部704から入力された健全性指標をユーザーと診断結果保存装置720に出力する(S014)。診断結果保存装置720は入力された結果を保存する(S201)。ユーザーは制御部701の出力を確認する(S003)。

0039

以上で説明した撮影装置による撮影および出力からユーザーの健全性指標確認までの一連の処理は、撮影装置600に溶接装置200からの溶接終了のトリガー信号が入力されるまで繰り返される。

0040

溶接装置200から溶接終了のトリガー信号が入力されると、撮影装置600は動画像と共に撮影終了の信号を画像診断装置700内の撮影装置送受信インタフェース706へ出力する。この出力後、撮影装置600は前記の撮影準備状態へ移行する。動画像に対しては、撮影装置送受信インタフェース706を初めとする画像診断装置700内の各構成部は上記で説明した一連の処理を行う。一方、撮影装置送受信インタフェース706は、撮影終了信号が入力されると、それを制御部701へ出力する。制御部701は健全性指標と共に撮影終了をもユーザーに出力する(S01(M+3))。ユーザーが診断終了を制御部701へ指示すると、制御部701は撮影装置送受信インタフェース706に終了指示を出力し(S01(M+4))、撮影装置送受信インタフェース706は撮影装置600へ終了信号を出力する(S06(M+2))。撮影装置600は終了信号が入力されると撮影準備状態から待機状態へ移行する。

0041

以下、実施例1における前方画像診断部703と後方画像診断部704での動画像診断処理S032〜S03(M+1)とS042〜S04(M+1)の例を数式を用いて説明する。以下の処理はRecognition Taguchi法(以下、RT法)として知られる画像パターン認識法を応用した例である。この他の画像判別方法、例えばサポートベクターマシーン(Supporting Vector Machine)も本発明に適用できることは言うまでもない。

0042

動画像は異なる時刻に撮影された複数の静止画像から構成されているため、動画像の診断は各々の静止画像(以下、単純に画像)への診断を繰返すことで実現される。第n番目画像を診断する時、対象画像は複数個のピクセルから構成される。

0043

以下、画像の横方向にI個、縦方向にJ個のピクセルが並ぶ四角形の画像を例として説明する。同様の処理は円形や棒状などの他の形状の画像にも適用できる。

0044

第n番目画像における横方向i、縦方向j番目ピクセルの輝度をx(n)ijと表すと、第n番目画像にはx(n)11から〜x(n)IJまでのI×J個のデータが含まれる。

0045

実施例1における画像診断の第1ステップは、以下の数式により第n番目画像のx(n)11から〜x(n)IJから特徴量Y1(n)とY2(n)を計算する。

0046

第1特徴量Y1(n)は(数1)を用いて計算される。

0047

(数1)
Sxy(n)= x(n)11+ x(n)12+…+ x(n)IJ
Y1(n)= Sxy (n)/
RT法において、上記のSxy(n)ととY1(n)は、各々、線形式と有効序数と傾きと呼ばれることがある。なおとは参照データとして保存されるデータであり、後で説明する。

0048

第2特徴量Y2(n)は(数2)を用いて計算される。

0049

(数2)
ST1(n)= x(n)112 +x(n)122+…+x(n)IJ2
Se1(n)= ST1(n)- (Sxy(n))2/
Y2(n)= √ { Se1(n)/(I×J-1)}
RT法において、上記のST1(n)とSe1(n)とY2(n)は、各々、全平方和誤差平方和標準信号雑音比(signal-to-noise ratio、以下、標準SN比)と呼ばれることがある。

0050

実施例1における画像診断の第2ステップは、第n番目画像のY1(n)とY2(n)と、良品の溶接時に取得されたY1(n)とY2(n)の平均値であるおよびとのマハラノビス距離(Mahalanobis' distance)D(n)を(数3)に従って計算する。

0051

(数3)
D(n)={ [ Y1(n)- ]2
-2[ Y1(n)- ] [ Y2(n)- ]
+[ Y2(n)- ]2}/2
RT法において、上記のと とは、総じて相関係数と呼ばれることがある。なおと とは参照データとして保存されるデータであり、後で説明する。

0052

実施例1における画像診断の第3ステップは、上記第2ステップで計算した第n番目画像のマハラノビス距離D(n)から(数4)に従って該画像の健全性指標I(n)を求めて制御部701へ出力する。

0053

(数4)
I(n)= D(n)/
ここでは規格化定数である。は参照データとして保存されるデータであり、後で説明する。(数4)で求める健全性指標I(n)は、その値が小さいほど良品の溶接時の画像と類似することを表す。健全性指標I(n)の定義は(数4)に限らない。例えば、健全性敷居値T(n)を用いて(数5)のようにI(n)を定義することもできる。

0054

(数5)
I(n)= T(n)- D(n)/
(数5)の定義を用いれば、I(n)が0より小さい時に不良判定を出すことができる。

0055

図7は実施例1で参照データ保存装置710に保存されたデータの構造を示す図である。各参照データは、識別番号IDを与えられ、大きく、溶接仕様部と参照データ部で構成される。溶接仕様部は、溶接部の設計図面番号であるDSpec.と金属部材の調達仕様表番号であるMSpec.と溶接作業仕様書番号であるOSpec.を含む。これら設計書および仕様書は設計部門調達部門、製造または生産技術部門などで作成されるものであるが、溶接部の幾何学的形状、材料、溶接条件が指定されたものであれば他の資料の参照番号を用いてもよい。

0056

参照データ部は、L個(L≧1)の良品の溶接時の動画像から計算したデータであり、次に説明するD1〜D9の9個のデータファイルを含む。D1は、良品溶接時の動画像の各画像のピクセルの値をL個の良品動画に対して算術平均して得た動画像であり、前記(数1)のである。D2は、良品溶接時の動画像の各画像の有効序数を動画像を構成する全nに対して保存したファイルであり、(数1)のである。は(数6)で計算される。

0057

(数6)
= ++…+
D3は、良品溶接時の動画像の各画像の特徴量Y1(n)とY2(n)を、L個の良品動画に対して算術平均したおよびを、動画像の全構成画像に渡って保存したファイルであり、(数3)の計算に用いられる。D4は、良品溶接時の動画像の各画像の相関係数V11(n)とV12(n) とV22(n)をL個の良品動画に対して算術平均したと とを、動画像の全構成画像に渡って保存したファイルであり、前記(数3)の計算に用いられる。と とは(数7)を用いて計算される。

0058

(数7)
={[Ya1(n)- ][Yb1(n)- ]
+[Ya2(n)- ][Yb2(n)-
+…
+[YaL(n)- ][YbL(n)- ]}/(I×J-1)}
例えば、a=1とb=1なら(数7)はの計算方法を表すことになる。(数7)において、Ya1(n)、Ya2(n) 、…、YaL(n)はL個の良品動画におけるYa(n)であり、はこれらの平均である。

0059

D4は、良品溶接時の動画像の各画像における規格化定数を、動画の全構成画像に渡って保存したファイルであり、(数4)または(数5)の計算に用いられる。としては、例えば、良品溶接時の動画像の各画像から(数3)によって求めたマハラノビス距離(Maharanobis’ distance)D(n)の、L個の良品動画の対応する画像毎の標準偏差を用いることができる。これによって、溶接トーチの移動に伴って良品動画のマハラノビス距離が変化する場合でも、マハラノビス距離に基づいた健全度判定が可能になる。例えば、良品動画において、D(100)=10*D(100)である場合、診断対象動画像でD(100)がD(10)より10倍大きくなったとしても、直ちに以上と判定することを回避できる。規格化定数としては、説明した標準偏差の他にも、標準偏差を引数とする関数計算値、良品溶接時の動画像のマハラノビス距離の分布情報を含むメディアンなどの他の関数を用いることも可能であり、溶接部品および溶接方法によって適切に構成することができる。D4は、また、(数5)の健全性敷居値T(n)を含んでもよい。健全性敷居値T(n)は、良品動画と不良品動画で計算したD(n)/を比較することで決めることができる。

0060

参照データ保存装置710に保存される上記のデータは、良品の溶接時の動画像が取得される都度、またはある程度の動画像が取得される度に更新することができる。典型的には、診断結果保存装置720が参照データ保存装置710と接続され、良品溶接時に診断結果保存装置720に保存されたデータを用いて参照データ保存装置710の参照データを更新する。

0061

図8は前方画像診断部703から制御部701に出力される健全性指標I(n)の例を示すグラフある。グラフの上の画像(a)、(b)、(c)は診断に用いた画像であり、各々、破線の矢印で示したnに対応する。図8では(数4)で定義される健全性指数を用いており、I(n)が小さいほど良品の溶接画像に近いことを表す。図8の例では、溶接初期にI(n)が高く不良の可能性が高い。高いI(n)に対応する画像(a)と低いI(n)に対応する画像(b)および(c)を比較すると、高いI(n)はギャップI102が良品時より広かったため発生したことが分かる。このような場合、規定の溶接方法は狭いギャップの溶接に適切に設定されるため、ギャップが規定より広いと溶接欠陥の発生確率が高まる。規定値外のギャップ幅は、例えば、金属部材の101aまたは金属部材101bの切削加工における寸法誤差、溶接のために金属部材101aまたは金属部材101bを隣接して配置する時の配置誤差、溶接のために金属部材101aまたは金属部材101bを隣接して配置する時の下面の平面度不足による傾き誤差など、溶接作業およびその前工程における複数原因によって発生し得る。図8の例が示す如く実施例1の前方画像診断部703が出力する健全性指標I(n)は、溶接部の欠陥発生確率を評価することに有効である。

0062

上述のギャップ幅の変動の原因によっては、ギャップの幅の他、ギャップの位置の変化も発生し得る。ギャップの位置が変化すると、溶接トーチとギャップとの相対位置も変化するため、溶接部の欠陥確率が高まる。図8からも明らかなように、実施例1の装置はギャップと溶接トーチとの相対位置を検出することが可能であり、ギャップの位置変化による溶接部の欠陥発生確率を評価することに有効である。

0063

また、図8から明らかなように、実施例1の装置は溶接される前の未溶接部の表面状態を撮影可能であるため、前記の如く、良品の画像と比較することで、表面状態の比較に基づく溶接部の欠陥発生確率を評価することが可能である。ここで表面状態とは、撮影された表面での光の反射状態反射率)や表面粗さの変化から評価可能で、溶融池の化学成分に影響する加工油酸化物またはその他の不純物付着状態を含む。また、画像上の濃淡の変化から評価可能で、溶融金属と金属部材101aおよび金属部材101bとの間の空洞発生に影響する、未溶接部の表面の凹凸状態を含む。

0064

図9は後方画像診断部704から制御部701に出力される健全性指標I(n)の例を示すグラフある。グラフと画像の各記号は図8と同様である。図9の例では、健全性指標I(n)が画像(b)と(e)を中心に上昇してある。これら画像では、良品の溶接画像に比べて、溶接ビード画像I104に黒い部分が多く現れている。これら黒い部分は高温の金属に生成された異常な酸化物(slug)であり、溶融池内部に巻き込まれて凝固すると内部欠陥になるため、異常な酸化物が発生すると溶接部の欠陥発生確率が高まる。異常なスラグは、例えば、溶融池103を大気から遮蔽するため溶接トーチ201から噴出されるシールドガスの不足または該シールドガスの純度不良、または金属部材101aまたは金属部材101bの表面に残る加工油などの不純物、または金属部材101aまたは金属部材101bの表面の酸化膜などによって発生し得る。図9の例は本願発明の一実施例の後方画像診断部704から出力される健全性指標I(n)が、溶接部の欠陥発生確率を評価することに有効であることを示す。

0065

ユーザーは、溶接その場で健全性指標I(n)を見ることで、欠陥発生確率が高い箇所の発生を溶接中に知ることができ、溶接を一端中止して補修溶接をする、または、溶接を一通り終了してから当該個所補修するなどの対策を取ることができる。

0066

ユーザーは、また、診断結果保存装置720に記録された健全性指標I(n)を見ることでも、溶接部における欠陥発生確率の高い箇所の有無を知ることができる。溶接部の中で欠陥発生確率が高い箇所がある場合、記録された溶接速度を用いて、溶接開始からの当該個所が発生するまでの時間を溶接開始点からの距離に換算することで、欠陥発生確率が高い箇所の位置を確認することも可能である。欠陥発生確率の高い位置を確認することで、当該個所を補修するなどの対策を取ることができる。

0067

以上の構成により、実施例1は、溶接トーチ部を大型化することなく、アーク光による撮影視野の欠損を低減すると共に溶接進行方向前方の金属部材状態を撮影可能とし、溶接その場画像を用いてアーク溶接部の健全性を診断可能な装置を提供する。

0068

図10は、本発明の別の実施形態に係るアーク溶接部の溶接その場画像診断装置の構成を溶接部と共に示す構成図である。以下、実施例1と共通する箇所は省略し、実施例1との違いを中心に説明する。

0069

先ずアーク溶接について説明する。溶接前の金属部材101aと金属部材101bには溶接作業性の向上を目的に溶接部に溶接開先(welding groove)と呼ばれる溝105を設けてあり、溝105の中に金属部材101aと金属部材101bとのギャップ102が存在する。溶接トーチ201の一端に設けされた消耗型電極205と金属部材101aまたは金属部材101bの間に電圧を加えることで、消耗型電極205からアーク203を発生させる。金属部材101aと金属部材101bと、消耗型電極205はアーク203によって加熱され、その一部は溶融され液体状態になり溶融池103を形成する。消耗型電極205の一部を溶融させて該溶融部を溶融池103に加えることにより、溶融池103の体積および溶融池103が凝固してできる溶接ビード104の体積を消耗型電極205の溶融部と略等しい体積だけ増加させ溝105の全部または一部を埋めることで、金属部材101aと金属部材101bを接合する。

0070

このようなアーク溶接では、消耗型電極205から溶融池103への溶融金属の移動に伴い、溶融池103から数μm〜数mmの粒径を持つ高温の金属微粒子であるスパッタ(spatter)が飛び出すことが多い。飛び出したスパッタが前方受光部310のレンズ311または後方受光部320のレンズ321に到達すると、溶接中にスパッタがレンズ表面に付着し続くため、撮影される画像の質が劣化する課題が生ずる。

0071

対策として、例えば、レンズ311または321と溶融池103の間に保護用ガラスを配置しておき、保護用ガラス表面へのスパッタ付着量基準値を超えたら、保護用ガラスを交換することができる。しかし、保護用ガラスを交換するためには溶接作業を中止する必要があるため、溶接作業の効率を高めるためには、単位時間あたり保護用ガラスに到達するスパッタの量を低減することが望ましい。

0072

本発明の第2実施形態は、前方受光部310または後方受光部320に単位時間あたり到達するスパッタの量を低減するため、前方受光部310と後方受光部320の片方または両方を溶融池103から飛散するスパッタの到達範囲外、例えば溶融池103から500mm以上離れた位置に配置する。
スパッタの飛散方向は、溶接トーチ201の形状、溶接トーチ201と金属部材101aおよび金属部材101bとの角度などによって異なる。図10は、溶接方向204の前方へのスパッタの飛散量は多い一方で後方へのスパッタの飛散量が少ない場合に、前方受光部310は溶融池103から離れた場所に配置して後方受光部320は溶融池103から近い場所に配置した例を示す。
溶融池103から遠方に配置される受光部、図10の例では前方受光部310は、遠方から溶融池103およびその近傍を撮影するために周知技術である光学ズーム機構を備える。また、図10の例では、遠方に配置された受光部310はディジタルズーム機構を有する第2撮影装置610と接続される。ディジタルズーム機構を有する第2撮影装置610を用いることで、複数の撮影装置を用いることにより装置構成が複雑になる反面、受光部310の光学ズーム機構を小型化できる。小型の受光部310は軽量なため、溶接トーチ201の移動によって位置を変える溶融池103から放出される光を捉えるための、周知技術を用いた角度または位置の微調整に有利である。
以上の構成により、本願発明の一実施例は、溶接トーチ部を大型化することなく、アーク光による撮影視野の欠損を低減すると共に溶接進行方向前方の金属部材状態を撮影可能とし、溶接その場画像を用いてアーク溶接部の健全性を診断可能な装置を提供する。

0073

図11は、本発明の更に別の実施形態に係るアーク溶接部の溶接その場画像診断装置の構成を溶接部と共に示す構成図である。以下、実施例1および2と共通する箇所は省略し、実施例1および2との違いを中心に説明する。

実施例

0074

実施例3に関わるアーク溶接部の溶接その場画像診断装置は、ユーザーまたは参照データ保存装置710または診断結果保存装置720が、ネットワーク800を介して、画像診断装置700と接続される。ネットワーク800には、複数の画像診断装置700’が接続され、複数の画像診断装置700’は溶接動画像を撮影するための前記各装置に各々接続される。ネットワーク800は、工場内ネットワークであっても良いし、工場外とのネットワークであっても良い。例えば、ネットワーク800は、インターネットであり、複数の画像診断装置700は異なる国に位置する複数の工場内に配置されてもよい。このような構成の診断結果保存装置720には、前記実施例1または実施例2の診断結果保存装置720と比べて、同じ期間により多くのデータが保存される。診断結果保存装置720に保存された良品溶接時のデータを用いて参照データ保存装置710の参照データを更新することで、診断しようとする溶接の条件と一致する条件の参照データを見つかり易くして診断精度を向上できる。

0075

101a…金属部材、101b…金属部材、102…ギャップ、103…溶融池、
104…溶接ビード、105…溝、201…溶接トーチ、202…電極、
203…アーク、204…溶接方向、205…消耗型電極、310…前方受光部、
311…レンズ、312…鏡、320…後方受光部、410…前方光回路、
420…後方光回路、500…前後光回路合成器、600…撮影装置、
601…画像検出部、610…第2撮影装置、700…画像診断装置、
710…参照データ保存装置、720…診断結果保存装置、800…ネットワーク

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