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技術 容器入り加工食品および容器入り加工食品の製造方法

出願人 公益財団法人東洋食品研究所
発明者 井上竜一稲葉正一
出願日 2016年6月6日 (5年4ヶ月経過) 出願番号 2016-112362
公開日 2017年12月14日 (3年10ヶ月経過) 公開番号 2017-216905
状態 特許登録済
技術分野 食品の調整及び処理一般 ゼリ-、ジャム、シロップ
主要キーワード 密封加熱 容器詰食品 斜め切り 解凍操作 カルシウム添加量 加熱履歴 固形食材 まとまり具合
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年12月14日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (3)

課題

流通時に固形食材の形状が崩れ難い容器入り加工食品を提供する。

解決手段

所定の温度で軟化或いは溶解しない耐熱性ゲル化剤1が容器10の少なくとも底部11に備えてあり、所望の硬度を有する固形食材2が、固形食材2の位置を固定する耐熱性ゲル化剤1に少なくとも一部が浸漬して備えてある容器入り加工食品、および、固形食材2を軟化処理で軟化させる食材軟化工程と、食材軟化工程にて所望の硬度を有する固形食材2を容器10に収容する固形食材収容工程と、容器10に収容した固形食材2の少なくとも一部が、所定の温度で軟化或いは溶解しない耐熱性ゲル化剤1に浸漬するように耐熱性ゲル化剤1を容器10の少なくとも底部11に充填する耐熱性ゲル化剤充填工程と、を有する容器入り加工食品の製造方法。

概要

背景

食事において、例えば咀嚼困難や嚥下障害が生じると、食事が困難になって低栄養に陥る場合があり、栄養が不足すると褥瘡床ずれ)にもなり易くなる。食事を単に軟らかくしただけでは、食事のべたつきや口中でのまとまり具合などによって飲み込みが難しくなり、嚥下の機能が損なわれる。例えば食事の飲み込みが難しくなり、誤嚥(ごえん)などが発生した場合は、誤嚥性肺炎などの危険も高まる虞がある。
また、食事が完了して栄養が摂れたとしても、食事自体の見た目や味がしっかりしていないと、本当に食べたいという気持ちにならず、食が細くなり食事をする意欲が失せる虞がある。

特許文献1には、視覚を通じて十分に食欲惹起できる程度の大きさの具材を含みながら、咀嚼・嚥下困難者等が容易に咀嚼・嚥下できる常温保存可能な加工食品について記載してある。具体的には、
1)酵素処理密封加熱処理の前後において該食品素材粒径または長辺の長さが15mmを超え、かつ1000mm以下である
2)酵素処理、密封加熱処理後においても食品素材が素材外観を維持している
3)酵素処理、密封加熱処理後の食品素材のかたさのみで均等につぶせるかたさである、構成を有することが開示してある。

また、密封加熱処理において、食品素材に液体を添加することが記載してあり、当該液体が調味液、即ち、粘度0.5Pa・s以上、またはゼリー強度500Pa以上のゼリー状調味液であることが開示してある。

当該ゼリー状調味液は、例えば煮用調味液(みそ煮用)や煮物つゆに、脱イオン水またはキサンタンガムを溶解したものや、に、脱イオン水またはキサンタンガムを溶解したものを使用することが記載してある。

概要

流通時に固形食材の形状が崩れ難い容器入り加工食品を提供する。所定の温度で軟化或いは溶解しない耐熱性ゲル化剤1が容器10の少なくとも底部11に備えてあり、所望の硬度を有する固形食材2が、固形食材2の位置を固定する耐熱性ゲル化剤1に少なくとも一部が浸漬して備えてある容器入り加工食品、および、固形食材2を軟化処理で軟化させる食材軟化工程と、食材軟化工程にて所望の硬度を有する固形食材2を容器10に収容する固形食材収容工程と、容器10に収容した固形食材2の少なくとも一部が、所定の温度で軟化或いは溶解しない耐熱性ゲル化剤1に浸漬するように耐熱性ゲル化剤1を容器10の少なくとも底部11に充填する耐熱性ゲル化剤充填工程と、を有する容器入り加工食品の製造方法。

目的

本発明の目的は、流通時に固形食材の形状が崩れ難い容器入り加工食品を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

所定の温度で軟化或いは溶解しない耐熱性ゲル化剤が容器の少なくとも底部に備えてあり、所望の硬度を有する固形食材が、前記固形食材の位置を固定する前記耐熱性ゲル化剤に少なくとも一部が浸漬して備えてある容器入り加工食品

請求項2

前記耐熱性ゲル化剤が脱アシル化ジェランガムおよびカルシウム溶液を含む請求項1に記載の容器入り加工食品。

請求項3

前記耐熱性ゲル化剤が、前記脱アシル化ジェランガムを0.5〜1.5%の範囲で含有する請求項2に記載の容器入り加工食品。

請求項4

前記耐熱性ゲル化剤が、前記カルシウム溶液として乳酸カルシウムを含有する請求項2または3に記載の容器入り加工食品。

請求項5

前記耐熱性ゲル化剤の硬度が5000〜20000Paである請求項1〜4の何れか一項に記載の容器入り加工食品。

請求項6

前記所定の温度が100℃以下である請求項1〜5の何れか一項に記載の容器入り加工食品。

請求項7

前記固形食材は軟化処理で軟化させた硬度を有する請求項1〜6の何れか一項に記載の容器入り加工食品。

請求項8

前記容器の底部に備えた前記耐熱性ゲル化剤の厚みが1〜5mmである請求項1〜7の何れか一項に記載の容器入り加工食品。

請求項9

F0値が3.1以上の加熱履歴を受けている請求項1〜8の何れか一項に記載の容器入り加工食品。

請求項10

固形食材を軟化処理で軟化させる食材軟化工程と、前記食材軟化工程にて所望の硬度を有する固形食材を容器に収容する固形食材収容工程と、前記容器に収容した前記固形食材の少なくとも一部が、所定の温度で軟化或いは溶解しない耐熱性ゲル化剤に浸漬するように当該耐熱性ゲル化剤を前記容器の少なくとも底部に充填する耐熱性ゲル化剤充填工程と、を有する容器入り加工食品の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、耐熱性ゲル化剤および所望の硬度を有する固形食材を有する容器入り加工食品および容器入り加工食品の製造方法に関する。

背景技術

0002

食事において、例えば咀嚼困難や嚥下障害が生じると、食事が困難になって低栄養に陥る場合があり、栄養が不足すると褥瘡床ずれ)にもなり易くなる。食事を単に軟らかくしただけでは、食事のべたつきや口中でのまとまり具合などによって飲み込みが難しくなり、嚥下の機能が損なわれる。例えば食事の飲み込みが難しくなり、誤嚥(ごえん)などが発生した場合は、誤嚥性肺炎などの危険も高まる虞がある。
また、食事が完了して栄養が摂れたとしても、食事自体の見た目や味がしっかりしていないと、本当に食べたいという気持ちにならず、食が細くなり食事をする意欲が失せる虞がある。

0003

特許文献1には、視覚を通じて十分に食欲惹起できる程度の大きさの具材を含みながら、咀嚼・嚥下困難者等が容易に咀嚼・嚥下できる常温保存可能な加工食品について記載してある。具体的には、
1)酵素処理密封加熱処理の前後において該食品素材粒径または長辺の長さが15mmを超え、かつ1000mm以下である
2)酵素処理、密封加熱処理後においても食品素材が素材外観を維持している
3)酵素処理、密封加熱処理後の食品素材のかたさのみで均等につぶせるかたさである、構成を有することが開示してある。

0004

また、密封加熱処理において、食品素材に液体を添加することが記載してあり、当該液体が調味液、即ち、粘度0.5Pa・s以上、またはゼリー強度500Pa以上のゼリー状調味液であることが開示してある。

0005

当該ゼリー状調味液は、例えば煮用調味液(みそ煮用)や煮物つゆに、脱イオン水またはキサンタンガムを溶解したものや、に、脱イオン水またはキサンタンガムを溶解したものを使用することが記載してある。

先行技術

0006

特開2015−159753号公報

発明が解決しようとする課題

0007

特許文献1には、「食品素材の硬さが舌のみで均等につぶせる硬さ」と規定してある。このような硬さを有する場合、加工食品を流通させるために輸送時(特に長距離)に振動等によって、例えば食品素材どうしが接触する、或いは食品素材が容器に接触するなどにより、食品素材(固形食材)の形状が崩れてしまうという問題点があった。特に、常温で流通する容器詰食品にて、食品の硬度が一定以下になると流通時の振動などで固形食材の形状が崩れる虞があった。このように固形食材の形状が崩れると、喫食時に見た目の悪さ等によって、食欲を減衰させる虞があった。

0008

従って、本発明の目的は、流通時に固形食材の形状が崩れ難い容器入り加工食品を提供することにある。

課題を解決するための手段

0009

上記目的を達成するための本発明に係る容器入り加工食品の第一特徴構成は、所定の温度で軟化或いは溶解しない耐熱性ゲル化剤が容器の少なくとも底部に備えてあり、所望の硬度を有する固形食材が、前記固形食材の位置を固定する前記耐熱性ゲル化剤に少なくとも一部が浸漬して備えた点にある。

0010

本構成によれば、耐熱性ゲル化剤が容器の少なくとも底部に備えてあり、所望の硬度を有する固形食材が、固形食材の位置を固定する耐熱性ゲル化剤に少なくとも一部が浸漬して備えてあるため、固形食材の位置ズレ等を未然に防止して固形食材の形状を維持し易くなる。耐熱性ゲル化剤は、所定の温度(例えば100℃以下)で軟化或いは溶解しないため、容器入り加工食品を常温で流通させる場合においては、流通時の振動等が発生した場合であっても、固形状態である耐熱性ゲル化剤によって固形食材の形状が崩れ難くなる。

0011

また、喫食時の温度(50℃以下)では耐熱性ゲル化剤は固形状態を維持している。そのため、例えば電子レンジ加熱時(50〜70℃程度)においても耐熱性ゲル化剤は所定の温度で軟化或いは溶解しないため、喫食時には耐熱性ゲル化剤によって固形食材の形状を確実に維持することができる。

0012

従って、本発明の容器入り加工食品では、流通時に固形食材の形状が崩れ難い容器入り加工食品とすることができるだけでなく、咀嚼困難や嚥下障害のある方々が食した場合であっても、しっかりとした見た目であるため、食欲が減衰するのを未然に防止することができる。

0013

本発明に係る容器入り加工食品の第二特徴構成は、前記耐熱性ゲル化剤が脱アシル化ジェランガムおよびカルシウム溶液を含む点にある。

0014

本構成によれば、汎用されているジェランガム一種である脱アシル化ジェランガム、および、乳酸カルシウム塩化カルシウムなどのカルシウム溶液を使用することができるため、耐熱性ゲル化剤の調製を容易に行うことができる。

0015

本発明に係る容器入り加工食品の第三特徴構成は、前記耐熱性ゲル化剤が、前記脱アシル化ジェランガムを0.5〜1.5%の範囲で含有する点にある。

0016

本構成によれば、後述の実施例1では、容器入り加工食品を流通させるために輸送時(特に長距離)の振動を模した実験を行っている。この実施例1で示したように、耐熱性ゲル化剤における脱アシル化ジェランガムの濃度を0.5〜1.5%の範囲で種々濃度を変更したところ、脱アシル化ジェランガムの濃度が本構成の濃度範囲であるときには、容器内部の固形食材の崩壊は認められなかった。
そのため、本構成の脱アシル化ジェランガムの濃度範囲であれば、耐熱性ゲル化剤を構成する脱アシル化ジェランガムの有効濃度であると認められた。

0017

本発明に係る容器入り加工食品の第四特徴構成は、前記耐熱性ゲル化剤が、前記カルシウム溶液として乳酸カルシウムを含有する点にある。

0018

本構成であれば、入手の容易なカルシウム溶液として乳酸カルシウムを使用できる。

0019

本発明に係る容器入り加工食品の第五特徴構成は、前記耐熱性ゲル化剤の硬度を5000〜20000Paとした点にある。

0020

本構成によれば、容器入り加工食品を常温で流通させる場合においては、流通時の振動等が発生した場合であっても、当該硬度範囲を有する耐熱性ゲル化剤によって固形食材の位置ズレを未然に防止して固形食材の形状が崩れ難くなる。

0021

本発明に係る容器入り加工食品の第六特徴構成は、前記所定の温度を100℃以下とした点にある。

0022

本構成によれば、例えば容器入り加工食品を喫食前に電子レンジ等で加熱(50〜70℃程度)する場合であっても、所定の温度を100℃以下としてあれば、耐熱性ゲル化剤は、所定温度である100℃以下であるため軟化或いは溶解しない。そのため、喫食時には耐熱性ゲル化剤によって固形食材の形状を確実に維持することができる。

0023

本発明に係る容器入り加工食品の第七特徴構成は、前記固形食材は軟化処理で軟化させた硬度を有する点にある。

0024

本構成によれば、固形食材を、所定の酵素処理(例えば凍結含浸法など)の軟化処理で軟化させることで、食材独自の外観を残しながらも、形が崩れない軟らかさとなるように処理した硬度を有することができる。

0025

本発明に係る容器入り加工食品の第八特徴構成は、前記容器の底部に備えた前記耐熱性ゲル化剤の厚みを1〜5mmとした点にある。

0026

本構成によれば、固形食材の位置を固定する耐熱性ゲル化剤に少なくとも固形食材の一部が浸漬するように構成することができる。

0027

本発明に係る容器入り加工食品の第九特徴構成は、F0値が3.1以上の加熱履歴を受けている点にある。

0028

本構成によれば、常温流通に耐えうる程度の殺菌を行うことができる。

0029

本発明に係る容器入り加工食品の製造方法は、固形食材を軟化処理で軟化させる食材軟化工程と、前記食材軟化工程にて所望の硬度を有する固形食材を容器に収容する固形食材収容工程と、前記容器に収容した前記固形食材の少なくとも一部が、所定の温度で軟化或いは溶解しない耐熱性ゲル化剤に浸漬するように当該耐熱性ゲル化剤を前記容器の少なくとも底部に充填する耐熱性ゲル化剤充填工程と、を有する点にある。

0030

本構成によれば、耐熱性ゲル化剤が容器の少なくとも底部に充填され、所望の硬度を有する固形食材が、固形食材の位置を固定する耐熱性ゲル化剤に少なくとも一部が浸漬するように製造するため、固形食材の位置ズレ等を未然に防止して固形食材の形状を維持し易くなる。耐熱性ゲル化剤は、所定の温度(例えば100℃以下)で軟化或いは溶解しないため、容器入り加工食品を常温で流通させる場合においては、流通時の振動等が発生した場合であっても、固形状態である耐熱性ゲル化剤によって固形食材の位置ズレを未然に防止して固形食材の形状が崩れ難くなる容器入り加工食品の製造方法とすることができる。

0031

また、喫食時の温度(50℃以下)では耐熱性ゲル化剤は固形状態を維持している。そのため、例えば電子レンジ加熱時(50〜70℃程度)においても耐熱性ゲル化剤は所定の温度で軟化或いは溶解しないため、喫食時には耐熱性ゲル化剤によって固形食材の形状を確実に維持することができる容器入り加工食品の製造方法とすることができる。

0032

従って、本発明の容器入り加工食品の製造方法では、流通時に固形食材の形状が崩れ難い容器入り加工食品の製造方法とすることができるだけでなく、咀嚼困難や嚥下障害のある方々が食した場合であっても、しっかりとした見た目であるため、食欲が減衰するのを未然に防止できる容器入り加工食品の製造方法とすることができる。

図面の簡単な説明

0033

本発明の容器入り加工食品を示す断面図である。
本発明の容器入り加工食品の製造方法の概要を示した図である。

0034

以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示したように、本発明の容器入り加工食品は、所定の温度で軟化或いは溶解しない耐熱性ゲル化剤1が容器10の少なくとも底部11に備えてあり、所望の硬度を有する固形食材2が、固形食材2の位置を固定する耐熱性ゲル化剤1に少なくとも一部が浸漬して備えてある。

0035

耐熱性ゲル化剤1は、耐熱性を有するものであれば特に制限されない。本発明の耐熱性ゲル化剤1は、ゲル形成後、所定の温度、例えば100℃以下では軟化或いは溶解せず、一方、通常のレトルト殺菌処理の温度である121℃以上では軟化或いは溶解するものが使用できる。即ち、本発明で使用する耐熱性ゲル化剤1は、第一所定温度(100℃以下)で軟化或いは溶解せず、第一所定温度より高い第二所定温度(例えば121℃以上)で加熱した時に軟化或いは溶解するものを使用すればよい。耐熱性ゲル化剤1を電子レンジで加熱する場合は、50〜70℃程度であるため、耐熱性ゲル化剤1は、第一所定温度(100℃以下)であるため軟化或いは溶解しないため、喫食時には耐熱性ゲル化剤1によって固形食材の形状を確実に維持することができる。

0036

容器10は、高温加熱殺菌するため耐熱性を有し、常温流通ができる態様であり、酸素ガス遮断するバリア性を有し、密封性および実用強度がある成形容器であればよい。容器状の態様であれば、例えばプラスチックフィルム12をヒートシールを使用して密封できるように構成すればよい。このような容器10は、例えば食品側にはポリプロピレン、外側にはポリエステル(PET)と言った合成樹脂酸素バリア材を積層加工して作製される。容器10の容積は特に限定されるものではないが、200〜600mL程度であればレトルト殺菌の際に扱い易い。

0037

容器10に気体を充填する場合、充填する気体は、空気、窒素ガスなどの不活性ガス、或いは、窒素および二酸化炭素混合気体等であればよい。このような気体を気体供給装置よりシリンジなどを介して容器10に充填する。この場合、容器10に内部の酸素濃度が1%以下になるようにすればよい。

0038

本発明の容器入り加工食品においては、耐熱性ゲル化剤1が容器10の少なくとも底部11に備えてある。即ち、耐熱性ゲル化剤1は容器10の底部11からある程度の厚みを有する態様で充填すればよい。「ある程度の厚み」とは、容器10の容積・大きさ、或いは、固形食材2の大きさ等にもよるが、概ね容器10の底部11から1〜10mm、好ましくは1〜5mm、より好ましくは2〜3mm程度の厚みで耐熱性ゲル化剤1を充填すればよい。この厚みは、固形食材2の位置を固定する耐熱性ゲル化剤1に少なくとも固形食材の一部が浸漬するように調製すればよい。

0039

例えば耐熱性ゲル化剤1は、全固形食材2の体積の50%以下とするのがよく、或いは、容器10の体積の15%以下とするのがよい。耐熱性ゲル化剤1が、全固形食材2の体積の50%以下、或いは、容器10の体積の15%以下であれば、耐熱性ゲル化剤1および固形食材2を適度なバランスで容器入10に収容することができる。

0040

このような耐熱性を有する耐熱性ゲル化剤1として、ジェランガムや、ペクチン、耐熱性寒天等が使用できるが、これらに限定されるものではない。本実施形態ではジェランガムを使用する場合について説明する。

0041

本発明に用いるジェランガムは、Sphingomonas elodeaが産出する多糖類であり、食品や化粧品の増粘安定剤として主に使用されている。液体培地に上記菌を接種無菌的に培養し、菌体外生産された粘質物培養液から回収し、乾燥、粉砕などの工程を経て粉末状に製品化されるものである。ジェランガムには、脱アシル型のジェランガムとネイティブ型のジェランガムがあり、脱アシル型のジェランガム(脱アシル化ジェランガム)は粘質物を分離する過程で、グリセリル基アセチル基を除去(脱アシル化)して回収したものである。脱アシル化ジェランガムはデザートゼリージャム様食品フィリング等様々な食品に利用されている。一方、ネイティブ型のジェランガムは加工せずに回収したものである。本発明においてはゲル化の観点から脱アシル化ジェランガムが好適である。

0042

耐熱性ゲル化剤1に含まれる脱アシル化ジェランガムは、0.5〜1.5%、好ましくは0.75〜1%とするのがよい。尚、脱アシル化ジェランガムは、商品名「ゲルメイトKA」(大日本製薬社製)として入手可能である。

0043

耐熱性ゲル化剤1としてジェランガムを用いる場合には、ゼリー溶液にカルシウム溶液を添加するのがよい。ジェランガムは、二価陽イオンの存在下で非常に耐熱性の高いゲルを形成する。カルシウム溶液は、乳酸カルシウム、塩化カルシウム、炭酸カルシウムクエン酸カルシウムリン酸カルシウム等のカルシウム塩を含む水溶液であればよい。本実施形態では、上記カルシウム溶液として、乳酸カルシウム溶液を用いる場合について説明する。乳酸カルシウム溶液は、脱アシル型ジェランガムとの反応により、均一なゲルを形成し得る。

0044

乳酸カルシウム溶液は、例えばゲル濃度の50〜75%量とするのがよい。ゲル化剤カルシウムが反応してゲル化するため、カルシウム添加量は、ゲル濃度に依存する。

0045

耐熱性ゲル化剤1には、上述したジェランガムおよびカルシウム溶液以外に、例えばゲル化剤としてカラギーナンローカストビーンガム、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウムタラガムグアーガム等を1種以上混合させてもよい。これらを加えることで、弾力性に富み、口当たりのよい耐熱性ゲル化剤1とすることができる。これらは、耐熱性ゲル化剤1に対して、0.05重量%〜2.0重量%程度添加すればよい。
さらに、耐熱性ゲル化剤以外に、ショ糖トレハロース等の糖類、ソルビトール等の糖アルコール着色料果肉果汁、あるいはクエン酸アスコルビン酸等の有機酸又はその塩、あるいはトコフェロール等の酸化防止剤等を添加してもよい。

0046

尚、本発明の容器入り加工食品で使用する耐熱性ゲル化剤1は、固形食材の位置を固定するためのものであるが、上記の糖類、果肉および果汁等を添加することで、耐熱性ゲル化剤1自体も喫食することができる。上記の糖類、果肉および果汁等を添加しない場合であっても耐熱性ゲル化剤1の喫食は可能である。

0047

耐熱性ゲル化剤1の硬度は、5000〜20000Paとするのがよい。このような硬度を有することで、容器入り加工食品を常温で流通させる場合においては、流通時の振動等が発生した場合であっても、当該硬度範囲を有する耐熱性ゲル化剤によって固形食材2の位置ズレを未然に防止して固形食材2の形状が崩れ難くなる。
尚、容器入り加工食品を常温で流通させる場合、常温流通に耐えうる程度の殺菌、即ちF0値が3.1以上の加熱履歴を受けているのがよいF0値とは一定温度において一定濃度の微生物死滅させるのに要する加熱時間(分)であって、通常121.1℃における加熱致死時間のことである。

0048

本発明の容器入り加工食品では、所望の硬度を有する固形食材が充填してある。本明細書における「所望の硬度を有する固形食材」とは、容器に充填した後であっても食品素材の型崩れが生じておらず、当該食品素材の外観を維持するものであり、固形食材の見た目がしっかりしたものである。さらに、例えば咀嚼困難や嚥下障害が生じている使用者が、食事の直前に電子レンジ等で加熱して容器を開封した後であっても、食品素材の型崩れが生じておらず、当該食品素材の外観を維持するものである。

0049

本発明の容器入り加工食品では、耐熱性ゲル化剤が容器の少なくとも底部に備えてあり、所望の硬度を有する固形食材が、固形食材の位置を固定する耐熱性ゲル化剤に少なくとも一部が浸漬して備えてあるため、固形食材の位置ズレ等を未然に防止して固形食材の形状を維持し易くなる。耐熱性ゲル化剤は、所定の温度(本実施形態では100℃以下)で軟化或いは溶解しないため、容器入り加工食品を常温で流通させる場合においては、流通時の振動等が発生した場合であっても、固形状態である耐熱性ゲル化剤によって固形食材の形状が崩れ難くなる。

0050

また、喫食時の温度(50℃以下)では耐熱性ゲル化剤は固形状態を維持している。そのため、例えば電子レンジ加熱時(50〜70℃程度)においても耐熱性ゲル化剤は所定の温度で軟化或いは溶解しないため、喫食時には耐熱性ゲル化剤によって固形食材の形状を確実に維持することができる。

0051

従って、本発明の容器入り加工食品では、流通時に固形食材の形状が崩れ難い容器入り加工食品とすることができるだけでなく、咀嚼困難や嚥下障害のある方々が食した場合であっても、しっかりとした見た目であるため、食欲が減衰するのを未然に防止することができる。

0052

当該固形食材は、所定の酵素処理や凍結含浸法などの軟化処理で軟化させた硬度を有する。このような軟化処理で軟化させた固形食材は、食品素材の外観を維持する固形状態であり、形が崩れない軟らかさとなるように処理したものである。

0053

酵素処理としては、公知の酵素処理として、例えば酵素均浸法や凍結含浸法等を適用すればよい。酵素均浸法は、食材ごとに最適な酵素を選び、圧力を変えながら浸透させる技術であり、食材独自の食感を残しながらも、形が崩れない軟らかさとなるように処理することができる。

0054

凍結含浸法は、凍結解凍操作工程および減圧操作工程の2工程を基本工程として食材内部に酵素や調味料などを急速導入する手法である。凍結・解凍操作工程では、食材内部に氷結晶を生成させることで食材は膨張し緩みを生じさせる。減圧操作工程は、食材内部の空気を膨張させ、常圧復帰の際に酵素液と空気が置換され、酵素は食材内部に導入される。凍結・解凍操作工程による組織の緩みが減圧操作工程での酵素導入速度を速めている。本手法では、酵素を食材内部に急速導入することで、食材表面と中心部の酵素反応時間差を無くすことができる。

0055

固形食材の形状は特に限定されるものではなく、食材の原型をそのまま使用した形状であってもよいし、適当な大きさにカットした態様でもよい。ただし、上記の軟化処理等の効率を鑑みた場合、固形食材の厚みは10mm以下とするのがよい。

0056

固形食材は特に限定されるものではないが、例えばゴボウレンコンニンジン等の野菜類牛肉鶏肉等の肉類魚介類等、公知の固形食材であればよい。これら固形食材は、上記軟化処理によって、硬度を5.0×105N/m2(ユニバーサルデザインフード規格区分1相当)以下とするのがよい。この硬度であれば、流通時に固形食材の形状が崩れにくい容器入り加工食品とすることができるだけでなく、咀嚼困難や嚥下障害のある方々が食した場合であっても、健常な外観であるため、食欲が減衰するのを未然に防止することができる。

0057

上述したように、容器10には、耐熱性ゲル化剤1および固形食材2が収容されており、必要に応じて気体を充填する場合がある。また、必要に応じて、固形食材2の味付け用パウチ容器を収容してもよい。当該味付け用パウチ容器には、例えば市販の調味液をそのまま、または薄めたものであってもよいし、出汁砂糖、塩、酢、醤油味噌、味醂、カレー等の香辛料等の調味料としてもよい。

0058

以下に、容器入り加工食品の製造方法について説明する(図2)。
即ち、当該容器入り加工食品の製造方法は、固形食材を軟化処理で軟化させる食材軟化工程Aと、食材軟化工程Aにて所望の硬度を有する固形食材2を容器10に収容する固形食材収容工程Bと、容器10に収容した固形食材2の少なくとも一部が、所定の温度で軟化或いは溶解しない耐熱性ゲル化剤1に浸漬するように耐熱性ゲル化剤1を容器10の少なくとも底部11に充填する耐熱性ゲル化剤充填工程Cと、を有する。

0059

このとき、耐熱性ゲル化剤充填工程Cの後に、プラスチックフィルム12をヒートシールを使用して密封する密封工程Dを追加してもよい。

0060

また、固形食材2を容器10に収容する固形食材収容工程Bと、耐熱性ゲル化剤1を容器10に充填する耐熱性ゲル化剤充填工程Cとは、その順を入れ替えてもよい。

0061

〔実施例1〕
本発明の実施例について説明する。
固形食材として市販のゴボウを使用した。ゴボウを5mm厚に斜め切りし、100℃で5分間加熱後、流水中で冷却した。水を切った後、凍結含浸法により食材軟化工程Aを行った。

0062

即ち、−20℃で一晩冷凍し、1%ヘミセルラーゼ(商品名:ヘミセルラーゼ「アマノ」(天野エンザイム製))溶液中に浸漬し、解凍した。−98kPaの減圧処理を行った後、5℃で18時間反応させ、2.0×104N/m2以下まで軟化したゴボウを得た(以下の実施例で使用したゴボウは厚みを除き同様に製造した)。

0063

耐熱性ゲル化剤1は、0.5〜1.5%の範囲で種々濃度を変更して脱アシル化ジェランガム(商品名:ゲルメイトKA(大日本製薬製))をイオン交換水加熱溶解後、ゲル濃度の70%量の乳酸カルシウムを添加して調製した。このとき、脱アシル化ジェランガムの濃度を種々変更することで、耐熱性ゲル化剤1の硬度は、5000〜20000Paとなった。

0064

食材軟化工程Aによって作製された軟化ゴボウを、直径85mm、高さ13mmの円柱状の容器10に10g充填後(固形食材収容工程B)、耐熱性ゲル化剤1を容器底面からの厚みが1〜5mm厚となるよう種々変更して充填した(耐熱性ゲル化剤充填工程C)。プラスチックフィルム12を、ヒートシールを使用して密封(密封工程D)した後、容器10が破裂しないよう、等圧条件にて121℃、10分間のレトルト殺菌処理を行い、40℃以下まで冷却した。このとき、耐熱性ゲル化剤1は121℃の温度で軟化或いは溶解するが、40℃まで冷却することで、耐熱性ゲル化剤1は軟化或いは溶解せずに固まった状態となる。また、このとき、軟化ゴボウは少なくともその一部が耐熱性ゲル化剤1に浸漬した状態となった。

0065

レトルト殺菌処理後サンプルを加速度0.7Gで5分間振盪処理を行い、軟化ゴボウの崩壊を目視で確認したところ、耐熱性ゲル化剤1における脱アシル化ジェランガムのゲル濃度0.5%、厚み1mmであっても軟化ゴボウの崩壊は見られなかった。さらに、脱アシル化ジェランガムのゲル濃度1.5%、厚み5mmであっても崩壊は認められなかった。

0066

尚、加速度0.7Gにおける5分間振盪処理は、容器入り加工食品を流通させるために輸送時(特に長距離)のに振動を模した実験である。従って、本実施例により、本発明の容器入り加工食品を流通させるために特に長距離の輸送時であっても、軟化ゴボウの位置ズレを未然に防止して流通時に固形食材の形状が崩れ難いものと認められた。

0067

〔実施例2〕
実施例1で使用したものと同じ軟化ゴボウ、耐熱性ゲル化剤1および容器10を使用したサンプルを使用して、調味液を想定した水15mLを充填し、市販の電子レンジにて750W、20秒間の加熱を行ったところ、ゲル濃度(脱アシル化ジェランガム:0.5〜1.5%)に関わらず、ゲル厚1mmのものはわずかな振動で容器10より剥離した。一方、ゲル厚3mm以上では剥離は起こらなかった。

0068

〔実施例3〕
厚みが5mm、7.5mm、10mmの軟化ゴボウを、直径85mm、高さ13mmの円柱状の容器10にそれぞれ10,20,30g充填後、それぞれの容器10に0.54%乳酸カルシウム(ゲル濃度の70%量)を含む0.75%脱アシル化ジェランガム溶液を容器10の底面からの厚みが1,3,5mmとなるように充填した。実施例1と同様のレトルト殺菌を行った後、加速度0.7Gで5分間振盪処理を行い、軟化ゴボウの崩壊を目視で確認した。その結果、軟化ゴボウの厚みが5〜10mmであっても崩壊は認められなかった。
尚、脱アシル化ジェランガム溶液の濃度を1%とした場合、および、乳酸カルシウムの濃度をゲル濃度の50〜75%量とした場合であっても同様の結果が得られた(結果は示さない)。
脱アシル化ジェランガム溶液の濃度が0.75%であるときの耐熱性ゲル化剤1の硬度は12000Pa、脱アシル化ジェランガム溶液の濃度が1%であるときの耐熱性ゲル化剤1の硬度は16000Paであった。

0069

〔実施例4〕
上記実施例1〜3は、固形食材収容工程を行った後に耐熱性ゲル化剤充填工程を行った場合について説明した。本実施例では、耐熱性ゲル化剤充填工程を行った後に固形食材収容工程を行った場合について説明する。

実施例

0070

縦横の1辺が下底90mm、上底95mm、高さ23mmの角錐型の容器10に、0.54%乳酸カルシウムを含む0.75%脱アシル化ジェランガム溶液を容器10の底面からの厚みが3mmとなるよう充填した(耐熱性ゲル化剤充填工程)。ゲルが固まった後、厚さ5mmの軟化ゴボウ10gを充填し(固形食材収容工程)、プラスチックフィルム12を、ヒートシールを使用して密封した。実施例1と同様のレトルト殺菌を行った後、加速度0.7Gで5分間振盪処理を行い、軟化ゴボウの崩壊を目視で確認した。その結果、軟化ゴボウは耐熱性ゲル化剤1に略完全に浸漬していたため、軟化ゴボウの崩壊は認められなかった。

0071

本発明は、耐熱性ゲル化剤および所望の硬度を有する固形食材を有する容器入り加工食品および容器入り加工食品の製造方法に利用できる。

0072

1耐熱性ゲル化剤
2固形食材
10容器
11 底部
A食材軟化工程
B 固形食材収容工程
C 耐熱性ゲル化剤充填工程

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