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技術 炭酸ガスレーザ装置

出願人 精電舎電子工業株式会社
発明者 米谷和幸林俊治渡辺公彦
出願日 2017年7月10日 (2年11ヶ月経過) 出願番号 2017-134767
公開日 2017年12月7日 (2年6ヶ月経過) 公開番号 2017-216463
状態 特許登録済
技術分野 レーザ(1) レーザ(2)
主要キーワード 蓄積キャパシター 波形検出器 副パルス 達成レベル エネルギーメータ レーザ発振管 励起回路 短パルスレーザ装置
関連する未来課題
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図面 (20)

課題

尖頭パルス照射エネルギーとして10mJを超えるような十分なエネルギーを得られると同時に、パルステールを無くした短パルスレーザを発生させること。

解決手段

炭酸ガスレーザ励起媒質ガスの混合比を、容積比で、炭酸ガス窒素ヘリウム=20:1:5〜40で混合し、パルステールが無く、尖頭パルスの照射エネルギーが10mJ以上の短パルスレーザを発生させる。

概要

背景

従来から、炭酸ガス二酸化炭素(CO2))、窒素(N2)、ヘリウム(He)の混合ガスを用いた炭酸ガスレーザ装置が知られている。炭酸ガスレーザ装置には、連続発振レーザ装置パルスレーザ装置がある。当該パルスレーザ装置、特にいわゆる短パルスレーザ装置は、薄板や紙などに照射して表面に溝や図形を彫るマーキング孔あけ加工に用いられるが、(1)短パルスにおける尖頭パルス照射エネルギーは、例えば3mJ(ミリジュール)〜4mJ程度というように小さい。(2)このように尖頭パルスの照射エネルギーが小さいため、薄板や紙などに照射して表面に溝を彫ったり、孔を開けたりする加工等ができない場合がある。(3)尖頭パルスの後半部分が尾を引くいわゆるパルステールがある。(4)このようなパルステールがあるために、例えば薄板や紙に短パルスを照射して孔が開いた場合でも、孔の周辺焦げる等の問題があった。

図15に一般的な軸方向励起短パルス炭酸ガスレーザ装置の概略構成図を示す。当該レーザ装置は、ガラスなどの絶縁体からなる放電管4内に、レーザ媒質として炭酸ガスと、窒素ガスと、ヘリウムガスを混合した励起媒質ガスレーザガス)を封入している。放電管4には主電極8a、8bを設け、これら主電極8a、8bには主電源10を接続して、放電管4内に放電を発生させるように構成している。この放電で生じた高速電子が、N2分子を励起して高エネルギー準位に上げ、この励起された窒素分子が、CO2分子に衝突してCO2分子にエネルギーを与えて励起させ、エネルギー準位を上げる。その際、N2分子はエネルギー準位が下がる。反転分布したCO2分子は放電管4の両端にそれぞれ対向するように配置した全反射鏡2と部分反射鏡3により共振器内で増幅されレーザ光誘導放出し、部分反射鏡3から外部にレーザ光を出力する。

このような構成のレーザ装置をガラスマーキングに用いる方法が開示されている(特許文献1参照)。当該特許文献1では、図16のように、レーザ光出力立ち上がりを急峻とし、尖頭ピーク(尖頭パルス)の幅が狭くなるように制御し、尖頭ピークPの高さの半分の位置における幅、すなわち半値幅は3〜100ナノ秒(nsec)、好ましくは3〜30ナノ秒として、尖頭ピークPの高さは、ピークPから緩減衰へと移行する点Qのレーザ光出力の4倍以上、好ましくは5倍以上となるように制御し、点Qを過ぎた後はレーザ光出力がなくなる点Sまで緩減衰して移行すると記載している。この特許文献1のレーザ装置においては、発振ガス(励起媒質ガス)は、図17(a)に示したように、炭酸ガス1容量部に対して、窒素を0.3〜2.0容量部、好ましくは0.8〜1.4容量部、ヘリウムが0.5〜5容量部、好ましくは1〜4容量部を含有した炭酸ガスが望ましいとしている。図17(b)は混合した励起媒質ガスをガスボンベ1に封入した状態を示しており、図17(c)は図17(b)のガスボンベから励起媒質ガスを放電管4内に移した状態を示している。特許文献1では、図17(a)〜(c)で示した混合比の励起媒質ガスを放電管4内に封入した状態で、最大パワー1パルス20mJのレーザビームを、50μsec(マイクロ秒)間、30mm(ミリメートル)の距離からガラス材料に照射することで、照射エネルギー4mJを得たと記載している。

ここで図18を参照すると、レーザ全体の照射エネルギーは、レーザ強度時間軸について積分した値であることから、尖頭パルス部分線分より内側の面積とパルステール部分の線分より内側の面積を対比してわかる通り、レーザ全体の照射エネルギーが4mJ得られたとしても、その半分(2mJ)程度がパルステール部分のエネルギーであり、残る尖頭パルス部分のエネルギーは2mJ程度である。

なお、特許文献1では、レーザ出力の尖頭ピークの半値幅を3〜100ナノ秒(nsec)、好ましくは3〜30ナノ秒としているが、具体的な実現手段についての記載はない。半値幅を3〜30ナノ秒とするのは実際には困難であり、現実的で実現可能な値としては、半値幅は100ナノ秒前後である。そして、半値幅を100ナノ秒として、尖頭パルス部分のエネルギーが2mJとすると、尖頭パルスのピークとなるレーザ強度は2mJ(W・sec)/100nsec=20kW程度となる。

尖頭パルスのレーザ強度が20kW程度では、ピークパワーが小さいため、薄板や紙などに照射して表面に溝を彫ったり、孔を開けたりする加工等を十分に行うことができない場合がある。また、パルステール部分のエネルギーの影響により、薄板や紙に孔を開けたときに孔の周辺が焦げる等して、精密な加工を行うことできないという問題がある。
ちなみに、軸方向励起短パルス炭酸ガスレーザ装置の炭酸ガス、窒素、ヘリウムを主成分として混合する励起媒質ガスの望ましいとされている混合比について、他の例を調べると、図19、図20のようになっている。

使用目的によって望ましいとされる混合比は同一ではないが、例えば「予め最適な条件、例えばCO2:N2:Heの混合ガスであれば、2:1:7の割合(窒素分圧換算して10%)に混合されたガスを圧入したガスボンベから直管に供給する」(例えば、特許文献2参照)、「CO2:N2:Heの3種類のガス成分を含み、かつCO2のモル分率が1〜10%かつN2のモル分率が35〜90%の範囲(窒素分圧に換算して、35%程度以上)の混合ガスを用いたことにより、大出力のレーザを実現させる」(例えば、特許文献3参照)、「実際の装置の例では、CO2:N2:Heのモル比が1:10:1.4(窒素分圧に換算して81%程度)の混合ガスが放電管内充填され」(例えば、特許文献4参照)というように、CO2:N2:Heの混合比は、窒素分圧(濃度)に換算して概ね10%から80%の範囲内の混合比が良いというのが、軸方向励起短パルス炭酸ガスレーザ装置の技術分野における一般的技術常識の範囲であった。

また、パルステールを除去するように構成した軸方向励起超短波パルスガスレーザ装置として、励起回路に、パルスを発生するプライマリ一回路昇圧トランス蓄積キャパシター高電圧スイッチ、並びにシャント回路を設けたものが提案されている(例えば、特許文献5参照)。

概要

尖頭パルスの照射エネルギーとして10mJを超えるような十分なエネルギーを得られると同時に、パルステールを無くした短パルスレーザを発生させること。炭酸ガスレーザの励起媒質ガスの混合比を、容積比で、炭酸ガス:窒素:ヘリウム=20:1:5〜40で混合し、パルステールが無く、尖頭パルスの照射エネルギーが10mJ以上の短パルスレーザを発生させる。

目的

そして、このような炭酸ガスレーザ光を実現し、当該炭酸ガスレーザを板や紙などに照射して表面に溝や孔を加工するときに、孔や溝の周辺を焦がさず、瞬時に溝や孔を加工可能な高精度な軸方向励起短パルス炭酸ガスレーザ発生方法と炭酸ガスレーザ装置、あるいは炭酸ガスレーザを用いたマーキング方法マーキング装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

炭酸ガス窒素ヘリウムを主成分として混合する炭酸ガスレーザ励起媒質ガスであって、ガスの混合比を、容積比で、炭酸ガス:窒素:ヘリウム=20:1:5〜40で混合した炭酸ガスレーザの励起媒質ガスと、前記励起媒質ガスを封入した放電管と、前記放電管の軸方向両端対向配置された主電極と、前記放電管の中間部外側に配置された副電極と、前記主電極間主パルス電圧印加する主電源と、前記副電極と一方の主電極間に副パルス状電圧を印加する副電圧源と、を備え、尖頭パルス半値幅が70nsecから150nsecまでの範囲で、当該尖頭パルスの照射エネルギーが10mJを超えており、当該尖頭パルスの照射エネルギーの90%以上がパルス発生後1μsec以内に含まれる短パルスレーザを発生させることを特徴とする炭酸ガスレーザ装置

技術分野

0001

本発明は、炭酸ガスレーザ装置に関する。

背景技術

0002

従来から、炭酸ガス二酸化炭素(CO2))、窒素(N2)、ヘリウム(He)の混合ガスを用いた炭酸ガスレーザ装置が知られている。炭酸ガスレーザ装置には、連続発振レーザ装置パルスレーザ装置がある。当該パルスレーザ装置、特にいわゆる短パルスレーザ装置は、薄板や紙などに照射して表面に溝や図形を彫るマーキング孔あけ加工に用いられるが、(1)短パルスにおける尖頭パルス照射エネルギーは、例えば3mJ(ミリジュール)〜4mJ程度というように小さい。(2)このように尖頭パルスの照射エネルギーが小さいため、薄板や紙などに照射して表面に溝を彫ったり、孔を開けたりする加工等ができない場合がある。(3)尖頭パルスの後半部分が尾を引くいわゆるパルステールがある。(4)このようなパルステールがあるために、例えば薄板や紙に短パルスを照射して孔が開いた場合でも、孔の周辺焦げる等の問題があった。

0003

図15に一般的な軸方向励起短パルス炭酸ガスレーザ装置の概略構成図を示す。当該レーザ装置は、ガラスなどの絶縁体からなる放電管4内に、レーザ媒質として炭酸ガスと、窒素ガスと、ヘリウムガスを混合した励起媒質ガスレーザガス)を封入している。放電管4には主電極8a、8bを設け、これら主電極8a、8bには主電源10を接続して、放電管4内に放電を発生させるように構成している。この放電で生じた高速電子が、N2分子を励起して高エネルギー準位に上げ、この励起された窒素分子が、CO2分子に衝突してCO2分子にエネルギーを与えて励起させ、エネルギー準位を上げる。その際、N2分子はエネルギー準位が下がる。反転分布したCO2分子は放電管4の両端にそれぞれ対向するように配置した全反射鏡2と部分反射鏡3により共振器内で増幅されレーザ光誘導放出し、部分反射鏡3から外部にレーザ光を出力する。

0004

このような構成のレーザ装置をガラスマーキングに用いる方法が開示されている(特許文献1参照)。当該特許文献1では、図16のように、レーザ光出力立ち上がりを急峻とし、尖頭ピーク(尖頭パルス)の幅が狭くなるように制御し、尖頭ピークPの高さの半分の位置における幅、すなわち半値幅は3〜100ナノ秒(nsec)、好ましくは3〜30ナノ秒として、尖頭ピークPの高さは、ピークPから緩減衰へと移行する点Qのレーザ光出力の4倍以上、好ましくは5倍以上となるように制御し、点Qを過ぎた後はレーザ光出力がなくなる点Sまで緩減衰して移行すると記載している。この特許文献1のレーザ装置においては、発振ガス(励起媒質ガス)は、図17(a)に示したように、炭酸ガス1容量部に対して、窒素を0.3〜2.0容量部、好ましくは0.8〜1.4容量部、ヘリウムが0.5〜5容量部、好ましくは1〜4容量部を含有した炭酸ガスが望ましいとしている。図17(b)は混合した励起媒質ガスをガスボンベ1に封入した状態を示しており、図17(c)は図17(b)のガスボンベから励起媒質ガスを放電管4内に移した状態を示している。特許文献1では、図17(a)〜(c)で示した混合比の励起媒質ガスを放電管4内に封入した状態で、最大パワー1パルス20mJのレーザビームを、50μsec(マイクロ秒)間、30mm(ミリメートル)の距離からガラス材料に照射することで、照射エネルギー4mJを得たと記載している。

0005

ここで図18を参照すると、レーザ全体の照射エネルギーは、レーザ強度時間軸について積分した値であることから、尖頭パルス部分線分より内側の面積とパルステール部分の線分より内側の面積を対比してわかる通り、レーザ全体の照射エネルギーが4mJ得られたとしても、その半分(2mJ)程度がパルステール部分のエネルギーであり、残る尖頭パルス部分のエネルギーは2mJ程度である。

0006

なお、特許文献1では、レーザ出力の尖頭ピークの半値幅を3〜100ナノ秒(nsec)、好ましくは3〜30ナノ秒としているが、具体的な実現手段についての記載はない。半値幅を3〜30ナノ秒とするのは実際には困難であり、現実的で実現可能な値としては、半値幅は100ナノ秒前後である。そして、半値幅を100ナノ秒として、尖頭パルス部分のエネルギーが2mJとすると、尖頭パルスのピークとなるレーザ強度は2mJ(W・sec)/100nsec=20kW程度となる。

0007

尖頭パルスのレーザ強度が20kW程度では、ピークパワーが小さいため、薄板や紙などに照射して表面に溝を彫ったり、孔を開けたりする加工等を十分に行うことができない場合がある。また、パルステール部分のエネルギーの影響により、薄板や紙に孔を開けたときに孔の周辺が焦げる等して、精密な加工を行うことできないという問題がある。
ちなみに、軸方向励起短パルス炭酸ガスレーザ装置の炭酸ガス、窒素、ヘリウムを主成分として混合する励起媒質ガスの望ましいとされている混合比について、他の例を調べると、図19図20のようになっている。

0008

使用目的によって望ましいとされる混合比は同一ではないが、例えば「予め最適な条件、例えばCO2:N2:Heの混合ガスであれば、2:1:7の割合(窒素分圧換算して10%)に混合されたガスを圧入したガスボンベから直管に供給する」(例えば、特許文献2参照)、「CO2:N2:Heの3種類のガス成分を含み、かつCO2のモル分率が1〜10%かつN2のモル分率が35〜90%の範囲(窒素分圧に換算して、35%程度以上)の混合ガスを用いたことにより、大出力のレーザを実現させる」(例えば、特許文献3参照)、「実際の装置の例では、CO2:N2:Heのモル比が1:10:1.4(窒素分圧に換算して81%程度)の混合ガスが放電管内充填され」(例えば、特許文献4参照)というように、CO2:N2:Heの混合比は、窒素分圧(濃度)に換算して概ね10%から80%の範囲内の混合比が良いというのが、軸方向励起短パルス炭酸ガスレーザ装置の技術分野における一般的技術常識の範囲であった。

0009

また、パルステールを除去するように構成した軸方向励起超短波パルスガスレーザ装置として、励起回路に、パルスを発生するプライマリ一回路昇圧トランス蓄積キャパシター高電圧スイッチ、並びにシャント回路を設けたものが提案されている(例えば、特許文献5参照)。

先行技術

0010

特開2000−301477号公報
特開昭62−4383号公報
特開平2−132871号公報
特開昭56−80191号公報
特開2006−156812号公報

発明が解決しようとする課題

0011

薄板や紙に短パルスレーザを照射して、溝を彫ったり、孔を開けたりするには、短パルスレーザの尖頭パルスの照射エネルギーとして4mJの数倍程度以上、例えば10mJを超えることが望ましい。従って、上記特許文献1のようにレーザの照射エネルギー全体として4mJ、尖頭パルス部分のエネルギーとして2mJでは、加工に十分なエネルギーを満たすことができない。これは、特許文献2〜4に記載されているような励起媒質ガスの混合比とした場合でも効率よく十分な尖頭パルスの照射エネルギーを得ることは困難である。

0012

また、上記特許文献5においても、放電管の両端を100Ω以下の小抵抗や1mH以下のインダクターなどでシャントすることによりパルステール部分を除去しているが、この方法ではパルステールを除去できても同時に尖頭パルスの照射エネルギーが減少するという問題がある。
尖頭ピークPから急減衰させてパルステールを無くすことができ、且つ照射エネルギーが尖頭パルス部分に集中して尖頭パルスのレーザ強度のピークを高くすることができれば、例えば、レーザ光を照射した部分の周辺を焦がすことなく所定の孔を瞬時に開け、あるいは所定の溝を瞬時に彫る等、より精度の高い加工が実現可能となる。

0013

本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、軸方向励起短パルス炭酸ガスレーザの技術分野における一般的技術常識にない新しい条件を見出して、尖頭パルスの照射エネルギーとして10mJを超えるような十分なエネルギーを得られると同時に、パルステールを無くした短パルスレーザを発生させることのできる炭酸ガスレーザ装置を実現することを第一の目的としている。そして、このような炭酸ガスレーザ光を実現し、当該炭酸ガスレーザを板や紙などに照射して表面に溝や孔を加工するときに、孔や溝の周辺を焦がさず、瞬時に溝や孔を加工可能な高精度な軸方向励起短パルス炭酸ガスレーザ発生方法と炭酸ガスレーザ装置、あるいは炭酸ガスレーザを用いたマーキング方法マーキング装置を提供することを第二の目的としている。

課題を解決するための手段

0014

上記した目的を達成するために、請求項1の炭酸ガスレーザ装置では、炭酸ガス、窒素、ヘリウムを主成分として混合する炭酸ガスレーザの励起媒質ガスであって、ガスの混合比を、容積比で、炭酸ガス:窒素:ヘリウム=20:1:5〜40で混合した炭酸ガスレーザの励起媒質ガスと、前記励起媒質ガスを封入した放電管と、前記放電管の軸方向両端対向配置された主電極と、前記放電管の中間部外側に配置された副電極と、前記主電極間主パルス電圧印加する主電源と、前記副電極と一方の主電極間に副パルス状電圧を印加する副電圧源と、を備え、尖頭パルスの半値幅が70nsecから150nsecまでの範囲で、当該尖頭パルスの照射エネルギーが10mJを超えており、当該尖頭パルスの照射エネルギーの90%以上がパルス発生後1μsec以内に含まれる短パルスレーザを発生させることを特徴としている。

発明の効果

0015

上記手段を用いる本発明によれば、炭酸ガス、窒素、ヘリウムを主成分として混合するレーザ光の励起媒質ガスとして、ガスの混合比を容積比で炭酸ガス:窒素:ヘリウム=20:1:5〜40で混合する。

0016

そして本発明は、一般の炭酸ガスレーザ装置の放電管内にこの励起媒質ガスを封入してレーザ光を発生させることにより、尖頭パルスの照射エネルギーが10mJを越えると同時にパルステールの無い短パルスレーザを発生させる炭酸ガスレーザ装置を実現している。
このように、上記励起媒質ガスを用いることで、尖頭パルスのエネルギーが10mJを越えるような十分なエネルギーを得ることができると同時に、パルステールが無い短パルスレーザを発生させることができる。このことにより、短パルスを板や紙などに照射して表面に溝や孔を開けるときに、孔や溝の周辺を焦がすことなく溝や孔を瞬時に形成することができる。

図面の簡単な説明

0017

(a)本発明の第一の実施の形態に係る炭酸ガスレーザの励起媒質ガスにおける混合比を視覚的に示した図、(b)本発明の第一の実施の形態に係る炭酸ガスレーザの励起媒質ガスにおける混合比をボンベに入れた状態で視覚的に示した図、(c)本発明の第一の実施の形態に係る炭酸ガスレーザの励起媒質ガスを放電管に封入した状態で示した図。
本発明の第一の実施の形態に係る炭酸ガスレーザ装置の概略構成図。
本発明の第一の実施の形態に係る炭酸ガスレーザ装置のレーザ出力の推移を示した図。
本発明の第一の実施の形態に係る炭酸ガスレーザ装置のレーザ出力の推移の評価尺度を示した図。
本発明の第一の実施の形態に係る炭酸ガスレーザの励起媒質ガスにおける混合比の各条件に応じた評価結果を示した図。
(a)本発明の第一の実施の形態に係る炭酸ガスレーザの励起媒質ガスの混合比条件1(窒素分圧:0%)でのレーザ出力状況を示した図、(b)(a)の時間軸(X軸)を拡大してレーザ出力状況を示した図。
(a)本発明の第一の実施の形態に係る炭酸ガスレーザの励起媒質ガスの混合比条件2(窒素分圧:1.2%)でのレーザ出力状況を示した図、(b)(a)の時間軸(X軸)を拡大してレーザ出力状況を示した図。
(a)本発明の第一の実施の形態に係る炭酸ガスレーザの励起媒質ガスの混合比条件3(窒素分圧:2.4%)でのレーザ出力状況を示した図、(b)(a)の時間軸(X軸)を拡大してレーザ出力状況を示した図。
(a)本発明の第一の実施の形態に係る炭酸ガスレーザの励起媒質ガスの混合比条件4(窒素分圧:5.9%)でのレーザ出力状況を示した図、(b)(a)の時間軸(X軸)を拡大してレーザ出力状況を示した図。
(a)本発明の第一の実施の形態に係る炭酸ガスレーザの励起媒質ガスの混合比条件5(窒素分圧:11.1%)でのレーザ出力状況を示した図、(b)(a)の時間軸(X軸)を拡大してレーザ出力状況を示した図。
(a)本発明の第一の実施の形態に係る炭酸ガスレーザの励起媒質ガスの混合比条件6(窒素分圧:20.0%)でのレーザ出力状況を示した図、(b)(a)の時間軸(X軸)を拡大してレーザの出力状況を示した図。
(a)本発明の第一の実施の形態に係る炭酸ガスレーザの励起媒質ガスの混合比条件7(窒素分圧:33.3%)でのレーザ出力状況を示した図、(b)(a)の時間軸(X軸)を拡大してレーザの出力状況を示した図。
本発明の第一の実施の形態に係る炭酸ガスレーザの励起媒質ガスの混合比に応じた尖頭パルスのエネルギーとパルステールの評価結果の関係を示した図。
本発明の第二の実施の形態に係る炭酸ガスレーザを用いたマーキング装置の概略構成図。
従来の一般的な軸方向励起短パルス炭酸ガスレーザ装置の概略構成図。
従来の炭酸ガスレーザ装置のレーザ出力の推移を示した図。
(a)従来の炭酸ガスレーザの励起媒質ガスにおける混合比を視覚的に示した図、(b)従来の炭酸ガスレーザの励起媒質ガスにおける混合比をボンベに入れた状態で視覚的に示した図、(c)従来の炭酸ガスレーザの励起媒質ガスを放電管に封入した状態で示した図。
従来の炭酸ガスレーザ装置のレーザ出力の推移を示した図。
従来の炭酸ガスレーザ装置における炭酸ガス、窒素、ヘリウムを主成分とする励起媒質ガスとして望ましいとされていた混合比を示した図。
従来の炭酸ガスレーザ装置における炭酸ガス、窒素、ヘリウムを主成分とする励起媒質ガスとして望ましいとされていた混合比を窒素分圧に着目して示した図。

実施例

0018

(本発明の第一の実施の形態)
本発明の特徴は、炭酸ガス、窒素、ヘリウムを主成分として混合する炭酸ガスレーザの励起媒質ガスとして、ガスの混合比を容積比で炭酸ガス:窒素:ヘリウム=20:1:5〜40で混合したことにある。炭酸ガスレーザ装置の構成は、一般的な軸方向励起短パルス炭酸ガスレーザ装置に、本発明のガスの混合比の励起媒質ガスを用いることで、尖頭パルスの半値幅が100nsec(ナノ秒)を中心とした70nsecから150nsecまでの範囲(70〜150nsec)で、尖頭パルスの照射エネルギーが10mJを超えると同時に、パルステールの生じさせない炭酸ガスレーザ装置としている。以下、図面とともに説明する。

0019

第一の実施の形態における炭酸ガスレーザの励起媒質ガスは、図1(a)に示すように、炭酸ガス、窒素、ヘリウムのガスを、容積比で20:1:20の割合で混合している。そして、図1(b)に示すように、炭酸ガス:窒素:ヘリウム=20:1:20の割合で混合した励起媒質ガス(以下、混合ガスともいう)をガスボンベ1に封入し、当該ガスボンベ1は炭酸ガスレーザ装置の放電管へと混合ガスを充填するものである。当該図1(b)のガスボンベから炭酸ガスレーザ装置の放電管に混合ガスを充填することで、図1(c)に示すように、放電管4内に炭酸ガス:窒素:ヘリウム=20:1:20の割合で混合された励起媒質ガスで満たされることとなる。

0020

なお、炭酸ガス:窒素を容積比で20:1とするのに対し、ヘリウムは放電管の長さや電源電圧等の他の条件によって得られる結果が異なるが、容積比で5〜40の範囲であれば本発明の効果が得られる。
図2を参照すると、本発明の第一の実施の形態に係る炭酸ガスレーザ装置の概略構成図が示されており、同図に基づき本実施形態のレーザ発振管15の構造と励起電源6の接続を説明する。なお、炭酸ガスレーザ装置の構成は基本的に図15に示した一般的な炭酸ガスレーザ装置を流用することができ、図15で示した構成と同じものには同じ符号を付して説明を省略する。

0021

図2において、レーザ発振管15は、放電管4の内部に図1で示した混合比の混合ガスが封入され、放電管4の両端には主電極8a、8bが配設されて縦方向励起方式のレーザ発振管として形成されている。このレーザ発振管15は、混合ガスを管内に封止した管状のレーザ発振管とし、管の軸方向両端に対向するよう配設した一対の主電極8a、8bと、その中間部に副電極9を有し、管軸方向である縦方向に放電をさせる構造になっている。そして主電極8a、8bには主電源10が、副電極9には副電源11が接続されている。

0022

このように構成されたレーザ発振管15は、主電極間8a、8bに主電源10から主パルス電圧を印加し一方の主電極8aと副電極9との間に主パルス電圧とは逆極性の副パルス電圧を副電源11から印加して副パルス電圧により発生するコロナ放電トリガとして主電極8a、8b間の発振媒体を励起してパルスレーザを出力させるものである。従って、当該レーザ発振管15は、高電圧スイッチ等を必要とせず、副電極9の印加電圧を制御することにより尖頭パルスのピーク幅を狭く、任意の高周波数パルスレーザ出力を得ることが可能である。

0023

具体的には、図3、4に本実施形態の炭酸ガスレーザ装置のレーザ出力の推移を示したとおり、レーザ出力は、尖頭パルスの半値幅が100nsecを中心とした70〜150nsecの範囲で、当該尖頭パルスのエネルギーが10mJを超え、パルステールが無いものが得られる。図3、4では、X軸を時間軸とし、Y軸をレーザ強度とし、本発明のレーザ出力の推移を太い実線で示した。また、従来と対比するため、想像線二点鎖線)で従来(特許文献1)の混合比の混合ガスを用いたときのレーザ出力波形を示した。

0024

図3に示すように、太い実線で示した本発明の尖頭パルスのレーザ強度は、想像線で示した従来に比べて数倍の強さまで出力されている。また、従来であれば、レーザ強度がピーク(P点)から、その1/4から1/5程度のQ点まで下がった後、Q点からレーザ強度がゼロとなるS点まで緩減衰するパルステールがあるのに対し、本発明では、レーザ強度がピークPから急減衰してパルステールが無くなっている。このように図3より、本発明の短パルスレーザの出力波形と、従来の短パルスレーザの出力波形の違いがある。

0025

本発明では、尖頭パルスの照射エネルギーが10mJを超えるような十分なエネルギーの炭酸ガスレーザを照射するものである。これは尖頭パルスの半値幅を100nsecとして計算するとレーザ強度は、下記式(1)より100kW程度となる。尖頭パルスの半値幅としては70〜150nsecが好ましく、その場合のレーザ強度は下記式(2)、(3)から67kW〜143kWとなる。
1J(ジュール)=1W・sec(ワット・秒)より、
10mJ=10W・msec=10,000,000W・nsec
10,000,000W・nsec/100nsec=100,000W=100kW・・・(1)
10,000,000W・nsec/70nsec=142,857W=143kW・・・(2)
10,000,000W・nsec/150nsec=66,666W=67kW・・・(3)

0026

レーザ強度が100kW程度あれば、薄板や紙などに照射して表面に瞬時に溝を彫ったり、孔を開けたりする加工等を良好に行うことができる。
また、パルステールがないため薄板や紙に短パルスレーザを照射して孔を開けたときに孔の周辺が焦げないという利点がある。
図4は、具体的にどの範囲の混合比まで本発明の効果が得られるかを実験する際の評価尺度を図示したもので、「尖頭パルスの評価」と「パルステールが無いこと」という2つの評価尺度を用いている。より具体的には、尖頭パルスの評価として、尖頭パルスが、半値幅70〜150nsecで、エネルギーが10mJを超えていることを基準としている。また、パルステールが無いという評価として、尖頭パルスのパルス発生後、急減衰しており、パルス発生後1μsec以内にエネルギーの90%が含まれていることを基準としている。それぞれについて、達成度の高いほうから、◎、○、△、×と評価している。なお、これらの評価には、レーザ光の波形を検出する波形検出器と、照射されたレーザ光全体のエネルギーを測定するエネルギーメータとを用いている。波形検出器により得られた波形から半値幅の特定とパルステールの有無を判定し、エネルギーメータにより得られたレーザ光全体のエネルギーから尖頭パルス部分のエネルギーを割り出すことで評価を行っている。

0027

尖頭パルスの評価については、半値幅が70〜150nsecであって、照射エネルギーが10mJを十分に超えている場合(例えば15mJを超えている)に◎を、照射エネルギーが10mJを超えている場合(例えば11mJを超えて15mJまでの範囲)に○を、照射エネルギーが10mJ程度の場合(例えば10mJ以上11mJまでの範囲)に△を、照射エネルギーが10mJ未満の場合に×を、それぞれ付して達成レベルを評価した。なお、パルステールについては、パルステールが無い場合、具体的には、尖頭パルスのパルス発生後急減衰して、パルス発生後1μsec以内にエネルギーの90%が含まれている場合に◎又は○を、小さいパルステールが生じてパルス発生後1μsec以内のエネルギーが全体の90%に少し足りない場合に△を、大きいパルステールが生じてパルス発生後1μsec以内のエネルギーが全体の90%に明らかに足りない場合に×を、それぞれ付して、達成レベルを評価した。

0028

放電管4としては内径10〜13mm、肉厚1〜2mm、軸長450〜600mmのセラミックス管が好ましく、図5は、放電管4として内径13mm、肉厚2m、軸長450mmのセラミックス管を用い、放電管4内のガス圧力は3KPa、駆動はダイレクトドライブ方式とし、炭酸ガスとヘリウムの容積比(体積比)をそれぞれ40とし、窒素の容積比(体積比)を0、1、2、5、10、20、40と変化させた条件1から条件7までの尖頭パルスの照射エネルギーとパルステールの状態を評価した結果を一覧表にまとめたものである。

0029

図5に示すように、尖頭パルスの照射エネルギーは、「条件3」の窒素分圧2.4%(容積比で炭酸ガス:窒素:ヘリウム=40:2:40)のときが最高である。そして、パルステールが無いといえるのは窒素分圧が「条件1」の0%(容積比で炭酸ガス:窒素:ヘリウム=40:0:40)、「条件2」の1.2%(容積比で炭酸ガス:窒素:ヘリウム=40:1:40)、「条件3」の2.4%(容積比で炭酸ガス:窒素:ヘリウム=40:2:40)、のときであり、図5における最も好ましい条件は条件3のときといえる。

0030

まず、図6(a)は、「条件1」の炭酸ガスとヘリウムの容積比をそれぞれ40とし、窒素の容積比(体積比)を0、つまり窒素分圧を0%としたときのレーザ強度の時間軸(1目盛:10μsec)上の変化を示している。図6(b)は、図6(a)の時間軸を10倍に拡大して時間軸の1目盛を1μsecとして示した図である。当該図6(a)、(b)に示すように、「条件1」では、尖頭パルスの半値幅が100nsecを中心とした70〜150nsecである。そして、当該尖頭パルスの照射エネルギーは10mJ程度であり(評価結果:△)、パルステールは無い(評価結果:◎)。

0031

図7(a)は、「条件2」の炭酸ガスとヘリウムの容積比をそれぞれ40とし、窒素の容積比(体積比)を1、つまり窒素分圧を1.2%としたときのレーザ強度の時間軸上の変化を示している。図7(b)は、図7(a)の時間軸を10倍に拡大して示した図である。当該図7(a)、(b)に示すように、「条件2」では、尖頭パルスの半値幅が100nsecを中心とした70〜150nsecで照射エネルギーが10mJを超えていた(評価結果:○)。そして、パルステールは無い(評価結果:◎)。

0032

図8(a)は、「条件3」の炭酸ガスとヘリウムの容積比をそれぞれ40とし、窒素の容積比(体積比)を2、つまり窒素分圧を2.4%としたときのレーザ強度の時間軸上の変化を示している。図8(b)は、図8(a)の時間軸を10倍に拡大して示した図である。当該図8(a)、(b)に示すように、「条件3」では、尖頭パルスの半値幅が100nsecを中心とした70〜150nsecで照射エネルギーが10mJを大きく超えていた(評価結果:◎)。そして、パルステールは無い(評価結果:◎)。

0033

図9(a)は、「条件4」の炭酸ガスとヘリウムの容積比をそれぞれ40とし、窒素の容積比(体積比)を5、つまり窒素分圧を5.9%としたときのレーザ強度の時間軸上の変化を示している。図9(b)は、図9(a)の時間軸を10倍に拡大して示した図である。当該図9(a)、(b)に示すように、「条件4」では、尖頭パルスの半値幅が100nsecを中心とした70〜150nsecで照射エネルギーが10mJを超えていた(評価結果:○)。一方、レーザ強度が尖頭パルス出力時の1/15程度であるが、パルステールが生じている(評価結果:△)。

0034

図10(a)は、「条件5」の炭酸ガスとヘリウムの容積比をそれぞれ40とし、窒素の容積比(体積比)を10、つまり窒素分圧を11.1%としたときのレーザ強度の時間軸上の変化を示している。図10(b)は、図10(a)の時間軸を10倍に拡大して示した図である。当該図10(a)、(b)に示すように、「条件5」では、尖頭パルスのピークの半値幅が100nsecを中心とした70〜150nsecで照射エネルギーが10mJを超えていた(評価結果:○)。レーザ強度が尖頭パルス出力時の1/15程度以下であるが、パルステールが生じている(評価結果:△)。

0035

図11(a)は、「条件6」の炭酸ガスとヘリウムの容積比をそれぞれ40とし、窒素の容積比(体積比)を20、つまり窒素分圧を20%としたときのレーザ強度の時間軸上の変化を示している。図11(b)は、図11(a)の時間軸を10倍に拡大して示した図である。当該図11(a)、(b)に示すように、「条件6」では、尖頭パルスの半値幅が100nsecを中心とした70〜150nsecで照射エネルギーが10mJを超えていた(評価結果:○)。一方、パルステールが生じている(評価結果:×)。

0036

図12(a)は、「条件7」の炭酸ガスとヘリウムの容積比をそれぞれ40とし、窒素の容積比(体積比)を40、つまり窒素分圧を33.3%としたときのレーザ強度の時間軸上の変化を示している。図12(b)は、図12(a)の時間軸を10倍に拡大して示した図である。当該図12(a)、(b)に示すように、「条件7」では、尖頭パルスの半値幅が100nsecを中心とした70〜150nsecであるが、照射エネルギーが10mJ未満であった(評価結果:×)。また、パルステールが生じている(評価結果:×)。

0037

以上、図6から図12に示した、炭酸ガス、窒素、ヘリウムの混合比の「条件1」から「条件7」の実験結果からすると、炭酸ガス、窒素、ヘリウムを主成分として混合する炭酸ガスレーザの励起媒質ガスとして、ガスの混合比を、容積比で、窒素分圧(濃度)が2.4%の割合で混合したとき、より具体的には、炭酸ガス:窒素:ヘリウム=40:2:40(=20:1:20)の割合で混合した図8の「条件3」のときに、尖頭パルスの半値幅が100nsecを中心とした70〜150nsecで照射エネルギーが10mJより最も大きく超えていることと、パルステールが無いことがわかる。

0038

これらのことから本発明は、軸方向励起短パルス炭酸ガスレーザ装置の技術分野の一般的技術常識の範囲にない新しい範囲での設定条件見出すため、実験を行った結果、ガスの混合比を、容積比で、炭酸ガス:窒素:ヘリウム=20:1:5〜40で混合したときに、パルステールが無い状態で、尖頭パルスの照射エネルギーが10mJより超えることを見出した。

0039

図13に、本発明の第一の実施の形態に係るレーザ光の励起媒質ガスの混合比(窒素分圧)と尖頭パルスとパルステールの評価結果の関係をそれぞれ示した。図13では、窒素分圧をX軸(横軸)に、評価レベルをY軸(縦軸)に示した。当該図13に示すように、尖頭パルスの評価とパルステールの評価の両方が高い領域、つまりパルステールが無く、尖頭パルスについて、半値幅70〜150nsecで10mJを超える短パルスレーザを発生させることができる範囲は、「条件2」から「条件4」の範囲内、より好ましくは「条件3」である。

0040

このことから、励起媒質ガスの混合比を、容積比で、炭酸ガス:窒素:ヘリウム=20:1:5〜40とすることで、パルステールが無く、ピークパワーが10mJを超える短パルスレーザを発生させることができるといえる。
この混合比の励起媒質ガスを図1(b)のようにボンベ1に詰め、図1(c)のように放電管4に移して封入し、図2のように、短パルスで励起することで、パルステールが無く、尖頭パルスの半値幅70nsec〜150nsecで10mJを超える十分なエネルギーの短パルスレーザを発生させる炭酸ガスレーザ装置を実現することができる。

0041

当該炭酸ガスレーザ装置による短パルスのレーザ出力を板や紙などに照射すれば、溝や孔を開け加工したときに、孔や溝の周辺を焦がすことなく精度よく所望の溝や孔を形成することができる。また、本発明の混合比の励起媒質ガスを用いた軸方向励起短パルス炭酸ガスレーザ発生方法で、瞬時に薄板や紙に孔あけしたりすることができる。
また、炭酸ガスレーザの励起媒質ガスは繰り返し使用により性能が劣化するので、本発明の混合比の励起媒質ガスをボンベ1に封入したものを予め多数準備しておき、レーザの品質に応じて、放電管内4の劣化した励起媒質ガスを新規な励起媒質ガスと入れ替えていることで容易に且つ安定的に炭酸ガスレーザの品質を維持できる。また、放電管内4の励起媒質ガスを循環式として、劣化した励起媒質ガスを新規な励起媒質ガスに順次入れ替えるようにしてもよい。

0042

(本発明の第二の実施の形態)
本発明の混合比の励起媒質ガスを用いて、加工の対象物であるガラス等の表面に溝を彫って任意の図形や文字等のマークを形成する軸方向励起短パルス炭酸ガスレーザによるマーキング装置を作ることができる。本発明の第二の実施の形態として、本発明による軸方向励起短パルス炭酸ガスレーザによるマーキング装置を説明する。

0043

図14に、本発明の第二の実施の形態に係る炭酸ガスレーザを用いたマーキング装置の概略構成図を示す。図14のマーキング装置は、ベース30の上に設置した多関節ロボット20で、同じくベース30の上に設置したワーク載置台40上のガラス材料50の表面に三次元的に変化する溝51を彫るよう構成している。多関節ロボット20は、駆動制御部21から延びたロボットアーム22を有し、当該ロボットアーム22に取り付けたロボットアーム先端部23内に、本発明のレーザ発振管15、即ち励起媒質ガスの混合比が炭酸ガス:窒素:ヘリウム=20:1:5〜40である炭酸ガスレーザのレーザ発振管を組み込んでいる。多関節ロボット20のロボットアーム22は、図14紙面垂直方向にも動き、駆動制御部21によって、ロボットアーム先端部23をワーク載置台40上に固定した立体的なガラス材料50の表面に沿って移動させる。そして移動時にレーザ発振管15から短パルスレーザを照射して、ガラス材料50の表面に溝51を彫ることで所定の図形や文字をマーキングする。

0044

このように、本実施形態では、上記第一の実施の形態における炭酸ガスレーザのレーザ発振管をマーキング装置に組み込み、尖頭パルスの半値幅が70nsecから150nsecまでの範囲で、当該尖頭パルスの照射エネルギーが10mJを超えており、当該尖頭パルスの照射エネルギーの90%以上がパルス発生後1μsec以内に含まれる短パルスレーザを発生させて対象物に対しマーキング加工を行う。これにより、十分なエネルギーのレーザ光で、且つ精度の良いマーキング加工を行うことができる。

0045

なお、図14では、レーザ発振管15を多関節ロボット20のロボットアーム先端部23内に組み込んで立体的に動かし、ワーク載置台40上に固定した立体的なガラス材料50の表面に三次元に変化する溝51を彫ってマーキングするマーキング装置を示したが、本発明では、炭酸ガスレーザ装置部分を小型にして、手に持ってレーザ光を照射するハンディタイプの炭酸ガスレーザ装置や、歯科治療用炭酸ガスレーザ装置等として用いることもできる。

0046

また、本発明の混合比の励起媒質ガスを用いた軸方向励起短パルス炭酸ガスレーザによるマーキング方法で、ガラス等の表面に溝を彫って任意のマークを形成したりすることができる。

0047

本発明は、薄板、紙に孔を開ける炭酸ガスレーザ装置の他に、歯科治療用炭酸ガスレーザ装置に適用することができる。

0048

1ボンベ
4放電管
5、15レーザ発振管
発振管の励起電源
制御装置
8a、8b主電極
9 副電極
10主電源
11 副電源
20多関節ロボット
21駆動制御部
22ロボットアーム
23ロボットアーム先端部
30ベース
40 ワーク載置台
50ガラス材料
51 溝

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