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技術 複合容器

出願人 サムテック株式会社
発明者 阪口善樹東條千太鈴木純三
出願日 2016年6月1日 (4年5ヶ月経過) 出願番号 2016-110280
公開日 2017年12月7日 (2年11ヶ月経過) 公開番号 2017-215001
状態 特許登録済
技術分野 ガス貯蔵容器;ガスの充填・放出
主要キーワード 補強カラー 金属製ライナ 曲線面 樹脂製ライナ 金属ライナ 各補強部材 密封栓 胴部側
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年12月7日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (4)

課題

耐圧性能を効率的に高めるとともに重量増加を抑えた補強部材を用いた複合容器を提供する。

解決手段

ライナ11の左右一対ドーム部13全体の外周面およびドーム部13近傍のポート部14上の外周面に密着するように内周面が形成された一対の金属製の補強部材21と、ライナ11の外周面に密着するように取り付けられた補強部材21の一方の外周面から胴部12を経て他方の補強部材21の外周面までを樹脂含浸繊維によるヘリカル巻層33で覆うように巻装されるとともに、胴部12の外周面を樹脂含浸繊維によるフープ巻層32で巻装されるFRP層31とを備え、補強部材21は、胴部12とポート部14の両端部に近づくにつれてライナ11の外周面との境界部分で段差が生じないように両端部分の肉厚が薄くなるように形成され、中間部分の肉厚が両端部分よりも厚く形成されるようにする。

概要

背景

一般に、高圧ガス充填するための金属製ライナあるいは樹脂製ライナは、筒状の胴部と、胴部の左右両端部分に設けられた半球状のドーム部(椀部、鏡部とも称する)と、各ドーム部の中央に設けられる円筒状のポート部(ガス取出部、口金部ともいう)とを有している。ポート部の一方はガスの充填や取り出しを行うための出入口として利用される。ポート部の他方はライナの製造工程の都合上設けられるものであり、通常は密封栓封止してある。そして、筒状ライナの外周面に、炭素繊維ガラス繊維エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂含浸させた樹脂含浸繊維FRP)を巻き付けFRP層を形成することにより、強度を補強して耐圧性能を向上させた複合容器が種々の分野で使用されている。例えば燃料電池車では、水素ガスを充填する車載用高圧タンクとして、アルミニウム合金製の金属ライナの外周面にFRP層を形成した複合容器が使用されている。

複合容器では、ライナに対し、フィラメントワインディング法でFRP層を形成しているが、このFRP層の巻き方としては、ヘリカル巻フープ巻とが併用されている。
ここで、フープ巻とは、主として胴部の補強を行うための巻付方法であり、ライナの胴部にFRPを周方向巻回する。より具体的にはライナの胴部の軸線方向に対する巻付角(配向角)が86〜90度程度で巻回される。
一方、ヘリカル巻とは、主としてドーム部の補強を行うための巻付方法であり、ライナの一方のドーム部から胴部を経て他方のドーム部までを螺旋状に巻き付ける。より具体的には、巻付角が85度以下で巻回される。

このような複合容器において、耐圧性能を向上させるために、ライナを補強あるいはFRP層を補強する観点から、ライナのポート部やドーム部を補強部材で補強することが行われている。
すなわち、後記特許文献1の図1では、ライナのポート部全体およびポート部近傍のドーム部の実質的な厚みを増大させることを目的として、金属製の補強カラーをライナと一体になるように嵌着することが開示されている。この補強カラーは、ポート部全体をポート部とほぼ等しい厚みで覆い、ポート部近傍のドーム部上ではポート部から離れるにつれて次第に薄くなるようにして、ドーム部上に段差が生じないようにしている。

また、後記特許文献2では、胴部をフープ巻で巻装し、さらにその外周を、一方のドーム部からフープ巻が巻装された胴部を経て他方のドーム部までヘリカル巻で覆うように巻装する際に、フープ巻の端部に生じる段差(空隙)による耐圧性能の低下等を防ぐ目的で、片側端面が胴部とドーム部との境界部分に位置し、かつ、ドーム部からポート部にかけての部分を覆うように設けられ、前記端面における外径を胴部の外径よりも大きくした補強部を左右両側のドーム部上に設けることが開示されている。

特許文献2の発明では、両側の補強部で挟まれた領域の胴部上にフープ巻で繊維を巻装し、このフープ巻の厚みが補強部の厚みと同じになるまで巻装する。これにより巻装したフープ巻の繊維の端部は各補強部の端面に当たることで位置が固定されるようになり、フープ巻の端部が滑ってずり落ちることがなくなる。さらに、フープ巻が補強部の端面と同じ厚さ(高さ)まで巻装され、段差のない状態でフープ巻の上方と補強部の上方とを横断するようにヘリカル巻で巻装するので、両者の間に空隙を生じさせることなくヘリカル巻で繊維を巻き付けることができ、これにより胴部とドーム部との境界近傍で段差なく連続巻装した複合容器にすることが記載されている。また、フープ巻端部での滑りが生じないことから、繊維の高速巻装が可能であることも記載されている。

概要

耐圧性能を効率的に高めるとともに重量増加を抑えた補強部材を用いた複合容器を提供する。ライナ11の左右一対のドーム部13全体の外周面およびドーム部13近傍のポート部14上の外周面に密着するように内周面が形成された一対の金属製の補強部材21と、ライナ11の外周面に密着するように取り付けられた補強部材21の一方の外周面から胴部12を経て他方の補強部材21の外周面までを樹脂含浸繊維によるヘリカル巻層33で覆うように巻装されるとともに、胴部12の外周面を樹脂含浸繊維によるフープ巻層32で巻装されるFRP層31とを備え、補強部材21は、胴部12とポート部14の両端部に近づくにつれてライナ11の外周面との境界部分で段差が生じないように両端部分の肉厚が薄くなるように形成され、中間部分の肉厚が両端部分よりも厚く形成されるようにする。

目的

本発明は、容器の全体重量と耐圧性能とのバランスを考慮し、ガス充填時の容器に生じる応力分布に対して効率的に補強を行うことができるとともに、容器全体の重量の増大を抑えることができる複合容器を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

筒状の胴部を挟んで左右両側に半球状のドーム部が形成され、前記各ドーム部の中央に円筒状のポート部が突出するように設けられたライナと、前記ライナの各ドーム部ほぼ全体の外周面、および、各ドーム部近傍の前記ポート部上の外周面に密着するように内周面が形成された一対の金属製の補強部材と、前記ライナの外周面に密着するように取り付けられた前記補強部材の一方の外周面から、前記胴部を経て他方の補強部材の外周面までを少なくとも1層の樹脂含浸繊維によるヘリカル巻層で覆うように巻装されるとともに、前記胴部の外周面を少なくとも1層の樹脂含浸繊維によるフープ巻層で巻装されるFRP層とを備えた複合容器であって、前記各補強部材は、前記胴部側および前記ポート部側の端部に近づくにつれて前記ライナの外周面との境界部分で段差が生じないように両端部分の肉厚が薄くなるように形成され、中間部分の肉厚が両端部分よりも厚く形成されていることを特徴とする複合容器。

請求項2

前記補強部材は、円筒状のポート部と半球状のドーム部との境界部分で肉厚が最大となる請求項1に記載の複合容器。

請求項3

前記補強部材は、前記ライナと同種類の金属材料である請求項1または請求項2に記載の複合容器。

請求項4

前記補強部材の剛性が前記ライナの剛性以上である請求項1〜請求項3のいずれかに記載の複合容器。

技術分野

0001

本発明は、高圧ガス充填する筒状のライナに、補強用繊維強化プラスチック層FRP層とも称する)を設けた複合容器に関する。

背景技術

0002

一般に、高圧ガスを充填するための金属製ライナあるいは樹脂製ライナは、筒状の胴部と、胴部の左右両端部分に設けられた半球状のドーム部(椀部、鏡部とも称する)と、各ドーム部の中央に設けられる円筒状のポート部(ガス取出部、口金部ともいう)とを有している。ポート部の一方はガスの充填や取り出しを行うための出入口として利用される。ポート部の他方はライナの製造工程の都合上設けられるものであり、通常は密封栓封止してある。そして、筒状ライナの外周面に、炭素繊維ガラス繊維エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂含浸させた樹脂含浸繊維FRP)を巻き付けたFRP層を形成することにより、強度を補強して耐圧性能を向上させた複合容器が種々の分野で使用されている。例えば燃料電池車では、水素ガスを充填する車載用高圧タンクとして、アルミニウム合金製の金属ライナの外周面にFRP層を形成した複合容器が使用されている。

0003

複合容器では、ライナに対し、フィラメントワインディング法でFRP層を形成しているが、このFRP層の巻き方としては、ヘリカル巻フープ巻とが併用されている。
ここで、フープ巻とは、主として胴部の補強を行うための巻付方法であり、ライナの胴部にFRPを周方向巻回する。より具体的にはライナの胴部の軸線方向に対する巻付角(配向角)が86〜90度程度で巻回される。
一方、ヘリカル巻とは、主としてドーム部の補強を行うための巻付方法であり、ライナの一方のドーム部から胴部を経て他方のドーム部までを螺旋状に巻き付ける。より具体的には、巻付角が85度以下で巻回される。

0004

このような複合容器において、耐圧性能を向上させるために、ライナを補強あるいはFRP層を補強する観点から、ライナのポート部やドーム部を補強部材で補強することが行われている。
すなわち、後記特許文献1の図1では、ライナのポート部全体およびポート部近傍のドーム部の実質的な厚みを増大させることを目的として、金属製の補強カラーをライナと一体になるように嵌着することが開示されている。この補強カラーは、ポート部全体をポート部とほぼ等しい厚みで覆い、ポート部近傍のドーム部上ではポート部から離れるにつれて次第に薄くなるようにして、ドーム部上に段差が生じないようにしている。

0005

また、後記特許文献2では、胴部をフープ巻で巻装し、さらにその外周を、一方のドーム部からフープ巻が巻装された胴部を経て他方のドーム部までヘリカル巻で覆うように巻装する際に、フープ巻の端部に生じる段差(空隙)による耐圧性能の低下等を防ぐ目的で、片側端面が胴部とドーム部との境界部分に位置し、かつ、ドーム部からポート部にかけての部分を覆うように設けられ、前記端面における外径を胴部の外径よりも大きくした補強部を左右両側のドーム部上に設けることが開示されている。

0006

特許文献2の発明では、両側の補強部で挟まれた領域の胴部上にフープ巻で繊維を巻装し、このフープ巻の厚みが補強部の厚みと同じになるまで巻装する。これにより巻装したフープ巻の繊維の端部は各補強部の端面に当たることで位置が固定されるようになり、フープ巻の端部が滑ってずり落ちることがなくなる。さらに、フープ巻が補強部の端面と同じ厚さ(高さ)まで巻装され、段差のない状態でフープ巻の上方と補強部の上方とを横断するようにヘリカル巻で巻装するので、両者の間に空隙を生じさせることなくヘリカル巻で繊維を巻き付けることができ、これにより胴部とドーム部との境界近傍で段差なく連続巻装した複合容器にすることが記載されている。また、フープ巻端部での滑りが生じないことから、繊維の高速巻装が可能であることも記載されている。

先行技術

0007

特許第3527737号公報
特許第5238577号公報

発明が解決しようとする課題

0008

車載用の複合容器等では、ライナ重量とFRP層重量との合計である容器全体の重量をできるだけ軽量化することが求められている。したがって、補強部材やFRP層による補強を加えることで耐圧性能を高める際には、補強部材やFRP層による全体重量の増大を可能な限り抑制しつつ耐圧性能を向上させる必要がある。

0009

上述したように、複合容器の耐圧性能を向上させるための方法としては、ライナ自体を補強して耐圧性能を高める方法と、FRP層を補強して耐圧性能を高める方法とが開示されており、いずれの補強方法においてもポート部からドーム部の一部、あるいはドーム部全体にかけて、補強部材を設けるようにしている。

0010

しかしながら、補強方法の違いによって補強部材に必要な機能や作用が異なるため、補強部材の形状、材料、固定方法についても大きく異なっている。そして、上述した補強方法は、それぞれ以下に説明するような課題を有している。

0011

前者のライナ自体を補強部材で補強する方法では、金属製の「補強カラー」がライナのポート部分に嵌着させてある。これは、補強部材の重量による複合容器全体の重量増加を防ぐ観点から、補強カラーは必要最小限とすることが求められており、従来、ガスが充填された状態で補強が必要な場所はポート部と考えられていたため、ポート部全体だけを補強カラーで覆うようにしている。また、ヘリカル巻でドーム部にFRP層を形成する際に、補強カラーとドーム部との境界部分に段差が生じると、この段差部分で強度を安定させてFRPを巻き付けることが困難になるため、補強カラーはドーム部上に段差が生じないようにポート部近傍のドーム部上で次第に肉厚が薄くなるようにしてある。したがって、補強カラーによって補強される場所はポート部であり、ドーム部については補強カラーによる補強を積極的には行っていない。

0012

また、ヘリカル巻で巻装されるFRP層では、ライナの軸線方向と垂直方向に位置する円筒状のポート部の外周面をしっかりと固定することができないため、補強カラーは「焼き嵌め」によりポート部に嵌着させる必要がある。そのため、ライナの製造工程中に「焼き嵌め」工程を組み込むこととなり、ライナ製造工程での手間と時間を要するとともに、製造コストの増加にもつながっていた。

0013

一方、後者のFRP層を補強部材で補強する方法では、ドーム部全体とポート部とを覆う「補強部」が取り付けてある。補強部の材質は、上記特許文献では補強繊維と同じ材質(FRP)が好ましく、樹脂、金属、セラミック等でもよいと記載されているが、いずれの材質であっても、補強部には胴部に巻装するフープ巻の厚み相当分の補強部をドーム部全体にわたって取り付けることになるため、この補強部の厚みに比例して容器全体の重量が増大することになる(特に金属製の場合は顕著である)。また、補強部とFRP層との境界部分において応力が不連続となることによって、この部分に応力のピークが発生することとなる。したがって、境界部分以外の部位の耐圧性能が向上したとしても、応力のピークが生じる境界部分で耐圧性能が低くなってしまうため、結果的に耐圧性能を十分に向上させることが困難になる。

0014

そこで本発明は、容器の全体重量と耐圧性能とのバランスを考慮し、ガス充填時の容器に生じる応力分布に対して効率的に補強を行うことができるとともに、容器全体の重量の増大を抑えることができる複合容器を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0015

上記課題を解決するため、容器重量の増大を抑えつつ複合容器を効果的に補強する最適な方法を検討するにあたり、ガス充填時において実際に応力が集中する場所を、有限要素法を用いた解析計算により求めた。その結果、応力はポート部よりドーム部に集中していることが判明した。そして、解析計算で得られた応力の分布に応じて、耐圧性能を向上させることができる金属製の補強部材の形状、さらには補強部材の取り付け位置や固定方法を検討することで、本発明の複合容器を完成するに至った。

0016

すなわち、本発明の複合容器は、筒状の胴部を挟んで左右両側に半球状のドーム部が形成され、前記各ドーム部の中央に円筒状のポート部が突出するように設けられたライナと、前記ライナの各ドーム部ほぼ全体の外周面、および、各ドーム部近傍の前記ポート部上の外周面に密着するように内周面が形成された一対の金属製の補強部材と、前記ライナの外周面に密着するように取り付けられた前記補強部材の一方の外周面から、前記胴部を経て他方の補強部材の外周面までを少なくとも1層の樹脂含浸繊維によるヘリカル巻で覆うように巻装されるとともに、前記胴部の外周面を少なくとも1層の樹脂含浸繊維によるフープ巻で巻装されるFRP層とを備えた複合容器であって、前記各補強部材は、前記胴部側および前記ポート部側の端部に近づくにつれて前記ライナの外周面との境界部分で段差が生じないように両端部分の肉厚が薄くなるように形成され、中間部分の肉厚が両端部分よりも厚く形成されるようにしてある。

0017

本発明によれば、補強部材の内周面が、半球状のドーム部およびドーム部近傍のポート部上の外周面に密着可能な形状に加工してあり、これをライナの該当する位置の外周面に密着させる。補強部材の肉厚は、両端部分の肉厚よりも中間部分の肉厚が厚くなるように形成され、さらに胴部側の端部およびポート部側の端部とライナ外周面との境界部分で段差が生じないように、両端部に近づくにつれて補強部材の厚みを次第に薄くして両端部分での厚みを抑制するようにしてある。
そして、ライナを補強するための樹脂含浸繊維(FRP)を巻装してFRP層を形成する際には、一方の補強部材の外周面から胴部を経て他方の補強部材の外周面までを少なくとも1層のヘリカル巻で巻装することで、「焼き嵌め」を行うことなく補強部材全体をライナに固定する。

発明の効果

0018

本発明によれば、金属製の補強部材を、樹脂含浸繊維(FRP)を巻装するだけでライナに固定することができるので、補強部材をポート部の外側に「焼き嵌め」で固定する必要がなくなる。そして、ドーム部のほぼ全体を覆う金属製の補強部材で補強することにより、応力が集中するドーム部を補強部材で補強することができ、また補強部材端部の肉厚を薄くして段差が生じないように補強しているので、境界部分で応力が不連続になることによってこの部分に応力のピークが発生することを防止して、ドーム部全体をまんべんなく連続的に補強することができる。さらに、FRP層を形成する樹脂含浸繊維は、補強部材とライナとの境界部分でも段差のない滑らかな外周面上を巻装することができるので、巻きずれが生じにくく安定した巻装が可能になる。
その結果、従来と同じ耐圧性能を得るために必要であったFRP層の厚みを薄くすることが可能となり、ヘリカル巻のFRPの長さ(特にヘリカル巻での胴部への巻装分)を大幅に減らしてその分の重量が削減でき、同じ耐圧性能の複合容器を従来よりも軽量化して製造することができるようになる。

0019

上記発明において、補強部材は、円筒状のポート部と半球状のドーム部との境界部分で肉厚が最大となるようにしてもよい。
円筒状のポート部と半球状のドーム部との境界部分では、ライナ表面の曲線面が急激に変化するためヘリカル巻での巻きずれが生じやすいが、この部分の肉厚を厚くすることで曲面を緩やかにすることができ、ヘリカル巻での巻装を安定して行うことができる。

0020

上記発明において、補強部材は、ライナと同種類の金属材料にすることが望ましい。これにより、電蝕の発生を防ぐことができる。
上記発明において、補強部材の剛性はライナの剛性以上にすることが望ましい。これにより耐圧性能をより効果的にすることができる。

図面の簡単な説明

0021

ライナに加わる応力分布を示す図。
本発明の一実施例である複合容器の要部の断面構造を示す図。
同程度の耐圧性能に必要なFRP層の厚さを示す比較図。

実施例

0022

以下、本発明に係る複合容器について図面に基づいて説明する。
まず、ガス充填時にライナに加わる応力分布についての解析計算の結果について説明する。
図1は、設計圧力99MPaの条件下でライナに発生する応力を解析計算したときの応力分布を色分けで示した図(グレースケール表示)である。なお、図1における応力分布の傾向をより明確に表現するため、応力の大きさを大きい順にA〜Eの5段階に分け、ライナの外側表面および内側表面の各位置での応力をA〜Eで示している。

0023

解析の結果、応力はドーム部が最も大きく、ついで胴部が大きく、ポート部が最も小さくなっている。また、ドーム部および胴部では外側の方が内側よりも応力が大きくなる傾向があり、ドーム部とポート部との境界部分(最大肉厚部分)では反転して内側が外側より応力が少し大きくなっている。
ドーム部においては、ポート部との境界近傍に応力の最大領域があり、胴部に近づくにつれて小さくなる傾向がある。そして、ドーム部とポート部との境界近傍からは応力が急激に減少し、ポート部では応力が最も小さくなっている。

0024

その結果、上記特許文献1の「焼き嵌め」でポート部の外周に補強部材を取り付ける構造は、ポート部にしっかり嵌着できる点では優れているが、耐圧補強の効果についてはむしろポート部よりもドーム部ほぼ全体(特にポート部近傍側)を補強部材で補強する方が有効である。
そこで、このような応力分布の解析結果に基づいて、金属製の補強部材の形状、補強部材の取付位置、補強部材の固定方法を改良した。

0025

図2は本発明の一実施例である複合容器10の要部の断面構造を示す図である。複合容器10は、ライナ11と、補強部材21と、FRP層31とからなる。
ライナ11は金属材料からなり、本実施例では軽量化の観点からアルミニウム合金を使用した。ライナ11は、大径で円筒状の胴部12と、胴部12の左右両端部分から軸方向に延設される一対の半球状のドーム部13と、ドーム部13の中央から胴部12の中心軸に沿って突出するように延設される小径で円筒状のポート部14とからなる。

0026

ライナ11の肉厚は、胴部12の肉厚がドーム部13よりも薄くなるようにしてある。これは、ドーム部13がFRP層31のうちのフープ巻層32(後述する)によって耐圧補強が可能なためである。ドーム部13の肉厚は胴部12に近い側からポート部14に近づくにつれて徐々に厚くなり、ポート部14との境界部分で最大厚さとなるようにしてある。ポート部14の肉厚は、ドーム部13との接続部分では必然的に厚くなるが、ドーム部13から離れた位置では一定の厚さの円筒状となるようにしてある。

0027

補強部材21は、ライナ11との接触面での電蝕を防ぐために、ライナ11と同種の金属材料(本実施例ではアルミニウム合金)が使用される。補強部材21は半球状の形状をなし、中央にポート部14を貫通させる開口が形成してある。また、内周面はライナ11のドーム部13全体の外周面上、および、ドーム部13近傍のポート部14の外周面上に密着可能な形状に加工してある。

0028

補強部材21の肉厚は、胴部12近傍側の端部22からドーム部13の中央部分23を経て、ドーム部13とポート部14との境界となる接続部分24に至るまで徐々に厚くなっていき、接続部分24で肉厚が最大になり、ポート部14上の被覆部分は端部25まで急激に肉厚が薄くなるようにしてある。そして、胴部12近傍側の端部22、ポート部14側の端部25で肉厚がなくなり、ライナ11と補強部材21との境界部分が滑らかにつながるようにして境界部分に不連続な段差面が生じないようにしてある。
なお、この補強部材21は、後述するFRP層31の巻装前は、一次的に接着剤等による仮止めでライナ11に密着させてあり、FRP層31の巻装後はFRP層31によって密着するようになる。

0029

FRP層31は、エポキシ樹脂等の熱硬化樹脂を含浸させた樹脂含浸繊維(以下FRPとも称する)を用いて、少なくともフープ巻とヘリカル巻とを1層ずつ巻装した補強繊維層からなる。なお、フープ巻層とヘリカル巻層の各層は、FRPを2〜6周巻装することにより形成される。
本実施例では、炭素繊維を用いてフープ巻、ヘリカル巻、フープ巻、ヘリカル巻、フープ巻、ヘリカル巻の順に、フープ巻層32、ヘリカル巻層33を3層ずつ形成するようにしてある。なお、フープ巻層32の端部は、各層間、各層内ともに、上層になるほど端部の位置が中央側にシフトするように巻くことで傾斜面が形成されるようにして、急な段差や巻きずれが生じないように巻装してある。また、補強部材21は、ヘリカル巻層33を構成する前にエポキシ樹脂系接着剤で予め仮接着してある。

0030

ヘリカル巻層33を構成するFRPは、一方(図2の左側)の補強部材21上からフープ巻層32上を経て他方(図示しない右側)の補強部材21上までを2〜6周巻装するようにしてある。このヘリカル巻層33により補強部材21はライナ11に密着し、補強部材21とヘリカル巻層33とによりドーム部13全体に加わる応力への耐圧性能を補強するようにしてある。
このように、補強部材21をドーム部13のほぼ全体に設けて補強を強化することにより、ドーム部13に加わる応力に対するヘリカル巻層33の補強を減らすことができ、ヘリカル巻層33の巻数を減らしてFRPの重量を削減することができる。特に、ヘリカル巻層33では胴部12を横断するように繊維が巻かれているので、胴部12部分のFRPの重量を大幅に削減することができる。

0031

一方、補強部材21は補強が必要な応力の大きい領域(すなわちドーム部13全体)を覆う一方で、ポート部14についてはドーム部13との境界近傍にあたる接続部分24以外は補強部材21を設けない形状としたため、補強部材21による全体重量の増加を必要最小限に抑えることができる。これにより、FRP重量の減少分が補強部材21による容器重量の増加分を相殺し、容器全体としての重量を削減することができる。

0032

図3は、本発明と従来例での複合容器において、同じ耐圧性能(設計圧力99MPa)を得るために必要なFRP層の厚さ(重量)を比較した図である。なお、以下では炭素繊維のFRP層をCFRP層と称する。
図3(a)は、ドーム部13全体を覆う補強部材21でライナ11を補強した本発明の図2の構成に係る複合容器であり、このときのCFRP層は外周面42(実線)を形成している。
図3(b)は、ライナ11のポート部14全体に金属製補強カラー41を嵌着した特許文献1の図1の構成に係る複合容器を示す比較例であり、このときのCFRP層は外周面43(破線)を形成している。
図3(c)は、上記(a)および(b)のCFRP層の外周面42、43を比較するために、両者のライナ11部分を重ね合わせて示した図である。
同じ耐圧性能を得るために必要なCFRP層の厚さ(重量)は、本発明の構成の方が明らかに減っている。具体的には、図3(a)の本発明で必要なCFRP層重量が380Kgであるとき、図3(b)の比較例では421Kgであって、約1割のCFRP層重量の削減を実現した。

0033

本発明は、筒状のライナに補強層を設けて耐圧性能を高めた複合容器に利用することができる。

0034

10複合容器
11ライナ
12胴部
13ドーム部
14ポート部
21補強部材
22 補強部材の胴部近傍側端部
23 補強部材の中央部分
24 補強部材のドーム部とポート部の接続部分
25 補強部材のポート部側の端部
31FRP層(CFRP層)
32フープ巻層
33 ヘリカル巻層

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