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技術 電解研磨液および電解研磨された金属成形体の製造方法

出願人 株式会社カネカ
発明者 東亮吾
出願日 2016年5月31日 (4年5ヶ月経過) 出願番号 2016-108672
公開日 2017年12月7日 (2年11ヶ月経過) 公開番号 2017-214615
状態 特許登録済
技術分野 電解清浄、電解エッチング 医療用材料
主要キーワード ロータリーコネクタ 曇り面 アミノカルボン酸型キレート剤 切り抜き加工 クリップ形状 湾曲形 ピンバイス 線状金属
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年12月7日)のものです。
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図面 (19)

課題

金属成形体電解研磨における、実用性に優れ、電解研磨液研磨効果持続性に優れる電解研磨液及び電解研磨された金属成形体の製造方法を提供する。

解決手段

アルキルスルホン酸と1種以上のアミノカルボン酸型キレート剤とを含有することを特徴とする電解研磨液及びそれを用いた金属成形体の製造方法。

概要

背景

電解研磨は、種々の金属成形体の表面を鏡面に仕上げ加工方法で、一般的に、産業界において広く普及している。これまでに種々の金属成形体の電解研磨方法が開発されているが、例えば、表面が酸化されやすい卑金属である、鉄、クロムマグネシウムアルミニウムチタン等を含有する金属成形体は、表面に形成された酸化皮膜のために、電解研磨が困難な傾向があった。特に、チタンまたはチタン合金からなる金属成形体の電解研磨は、表面の酸化皮膜が除去(溶解)しにくいことから、その傾向が顕著であった。

チタンまたはチタン合金は、軽量、高強度、耐腐食性に優れる等、他の金属よりも優れた特性を有する。そのため、チタンまたはチタン合金は、半導体デバイス等の電子機器光学機器化学機器医療材料など広い分野で使用されている。特に、形状記憶特性超弾性特性を有するニッケルとチタンの原子比がおよそ1:1であるニッケルチタン合金は、医療材料としての使用が進んでおり、歯列矯正ワイヤガイドワイヤステント等の医療用具に広く用いられている。

このようなステントに代表される医療用具の表面は、非常に平滑であることが求められる。表面が粗いと人体内への移植中、もしくは移植後において体内組織を傷つけたり、あるいは過度刺激することによって、炎症の原因となりうるため、一般的には、金属製ステント等の金属製の医療用具の製造の後工程において、表面を平滑に仕上げる加工が施される。このような医療用具の表面を加工する方法としては、電解研磨方法が好適に用いられている。

金属成形体の電解研磨において、使用する電解研磨液の使用による劣化や、あるいは、長時間にわたる電解研磨により、電解研磨液中に発生する気泡温度変化液中イオン濃度勾配等の影響により、研磨面の一部あるいは全面に不均一に凹凸状の酸化金属皮膜層が形成され、白くった研磨表面となってしまうという課題があった。

電解研磨は、被研磨物アノードとして電解研磨液に浸漬し、アノード溶解アノード酸化バランスよく拮抗させて行うが、電解研磨能力が低下した、すなわち、アノード溶解能力が低下した電解研磨液を使用した場合に、アノード酸化が優勢となって、白色の曇り面の発生はより顕著となる傾向があった。

尚、電解研磨液の使用による劣化とは、電解研磨能力に寄与するイオン消費、あるいは、被研磨物金属成分の溶解により粘性抵抗が大きくなっている状態を指す。

特に、チタンを含む金属成形体において、形成される酸化チタン皮膜層が電解研磨により除去(溶解)しにくいことから、平坦な研磨表面を得るために、フッ化物を含有する電解研磨液を用いる電解研磨方法が多く考案されてきた。

例えば、特許文献1では、硫酸フッ化水素酸酢酸とを含有する電解研磨液を用いる電解研磨方法が例示されている。

特許文献2では、硫酸、フッ化アンモニウムヒドロキシカルボン酸とを含有する電解研磨液を用いる電解研磨方法が例示されている。

しかしながら、フッ化物を含有する電解研磨液は、健康面ならびに環境面へ負荷を伴うため、フッ化物を含まない電解研磨液が利用される様になっている。

例えば、特許文献3では、メタンスルホン酸アルカンジホスホン酸とを含有するフッ化物を含まない電解研磨液を用いる電解研磨方法が例示されている。

概要

金属成形体の電解研磨における、実用性に優れ、電解研磨液の研磨効果持続性に優れる電解研磨液及び電解研磨された金属成形体の製造方法を提供する。アルキルスルホン酸と1種以上のアミノカルボン酸型キレート剤とを含有することを特徴とする電解研磨液及びそれを用いた金属成形体の製造方法。なし

目的

本発明は、上記の課題を解決するために、金属成形体の電解研磨における、実用性に優れ、電解研磨液の研磨効果持続性に優れる電解研磨液及び金属成形体の電解研磨方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

金属成形体電解研磨するための電解研磨液であって、アルキルスルホン酸と1種以上のアミノカルボン酸型キレート剤とを含有することを特徴とする電解研磨液。

請求項2

アルキルスルホン酸の含有率が20重量%以上、99.9重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の電解研磨液。

請求項3

アミノカルボン酸型キレート剤の含有率が0.1重量%以上、5重量%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の電解研磨液。

請求項4

前記アミノカルボン酸型キレート剤がエチレンジアミン四酢酸およびエチレンジアミン四酢酸塩から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の電解研磨液。

請求項5

ノニオン界面活性剤を含有していることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の電解研磨液。

請求項6

前記ノニオン界面活性剤が、エチレンオキシド付加モル数が1〜30であるポリオキシエチレンアルキルエーテル、および、エチレンオキシドの付加モル数が1〜30であるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項5に記載の電解研磨液。

請求項7

前記ノニオン界面活性剤の含有率が、0.001重量%以上、0.1重量%以下であることを特徴とする請求項5または6に記載の電解研磨液。

請求項8

グリコール類を含有していることを特徴とする請求項1〜7に記載の電解研磨液。

請求項9

前記グリコール類がエチレングリコールであることを特徴とする、請求項8に記載の電解研磨液。

請求項10

前記グリコール類の含有率が1重量%以上、80重量%以下であることを特徴とする請求項8または9に記載の電解研磨液。

請求項11

請求項1〜10のいずれかに記載の電解研磨液を用い、電圧を一定時間印加する電解研磨工程を1回以上含むことを特徴とする金属成形体の製造方法。

請求項12

前記電解研磨液に、オルトエステル化合物を混合する工程を含むことを特徴とする請求項11に記載の金属成形体の製造方法。

請求項13

前記オルトエステル化合物が、オルトぎ酸トリイソプロピル、オルトぎ酸トリブチル、オルト酢酸トリエチル、オルト酢酸トリエチル、オルトぎ酸トリエチル、オルトプロピオン酸トリエチル、オルト吉草酸トリエチル、オルト酢酸トリメチル、オルト酪酸トリメチル、オルトぎ酸トリメチル、オルトイソ酪酸トリメチル、オルトプロピオン酸トリメチル、オルト吉草酸トリメチル、オルトぎ酸トリプロピルから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項12に記載の金属成形体の製造方法。

請求項14

前記オルトエステル化合物を、混合前の電解研磨液の重量に対し0.1重量%以上、40重量%以下混合することを特徴とする請求項12または13に記載の金属成形体の製造方法。

請求項15

前記金属成形体が卑金属からなる金属成形体であることを特徴とする請求項11〜14のいずれかに記載の金属成形体の製造方法。

請求項16

前記金属成形体が鉄、クロムマグネシウムアルミニウムチタンから選ばれる1種以上を含有する金属成形体であることを特徴とする請求項15に記載の金属成形体の製造方法。

請求項17

前記金属成形体がチタンまたはチタン合金であることを特徴とする請求項16に記載の金属成形体の製造方法。

請求項18

前記金属成形体がニッケルチタン合金であることを特徴とする、請求項17に記載の金属成形体の製造方法。

請求項19

前記金属成形体が医療用管状体であることを特徴とする、請求項11〜18のいずれかに記載の金属成形体の製造方法。

請求項20

前記医療用管状体が、ステントであることを特徴とする請求項19に記載の金属成形体の製造方法。

請求項21

請求項20に記載のステントを有する医療用カテーテルの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、電解研磨液および金属成形体を電解研磨液中で、電気化学的に研磨する金属成形体の製造方法に関する。

背景技術

0002

電解研磨は、種々の金属成形体の表面を鏡面に仕上げ加工方法で、一般的に、産業界において広く普及している。これまでに種々の金属成形体の電解研磨方法が開発されているが、例えば、表面が酸化されやすい卑金属である、鉄、クロムマグネシウムアルミニウムチタン等を含有する金属成形体は、表面に形成された酸化皮膜のために、電解研磨が困難な傾向があった。特に、チタンまたはチタン合金からなる金属成形体の電解研磨は、表面の酸化皮膜が除去(溶解)しにくいことから、その傾向が顕著であった。

0003

チタンまたはチタン合金は、軽量、高強度、耐腐食性に優れる等、他の金属よりも優れた特性を有する。そのため、チタンまたはチタン合金は、半導体デバイス等の電子機器光学機器化学機器医療材料など広い分野で使用されている。特に、形状記憶特性超弾性特性を有するニッケルとチタンの原子比がおよそ1:1であるニッケルチタン合金は、医療材料としての使用が進んでおり、歯列矯正ワイヤガイドワイヤステント等の医療用具に広く用いられている。

0004

このようなステントに代表される医療用具の表面は、非常に平滑であることが求められる。表面が粗いと人体内への移植中、もしくは移植後において体内組織を傷つけたり、あるいは過度刺激することによって、炎症の原因となりうるため、一般的には、金属製ステント等の金属製の医療用具の製造の後工程において、表面を平滑に仕上げる加工が施される。このような医療用具の表面を加工する方法としては、電解研磨方法が好適に用いられている。

0005

金属成形体の電解研磨において、使用する電解研磨液の使用による劣化や、あるいは、長時間にわたる電解研磨により、電解研磨液中に発生する気泡温度変化液中イオン濃度勾配等の影響により、研磨面の一部あるいは全面に不均一に凹凸状の酸化金属皮膜層が形成され、白くった研磨表面となってしまうという課題があった。

0006

電解研磨は、被研磨物アノードとして電解研磨液に浸漬し、アノード溶解アノード酸化バランスよく拮抗させて行うが、電解研磨能力が低下した、すなわち、アノード溶解能力が低下した電解研磨液を使用した場合に、アノード酸化が優勢となって、白色の曇り面の発生はより顕著となる傾向があった。

0007

尚、電解研磨液の使用による劣化とは、電解研磨能力に寄与するイオン消費、あるいは、被研磨物金属成分の溶解により粘性抵抗が大きくなっている状態を指す。

0008

特に、チタンを含む金属成形体において、形成される酸化チタン皮膜層が電解研磨により除去(溶解)しにくいことから、平坦な研磨表面を得るために、フッ化物を含有する電解研磨液を用いる電解研磨方法が多く考案されてきた。

0009

例えば、特許文献1では、硫酸フッ化水素酸酢酸とを含有する電解研磨液を用いる電解研磨方法が例示されている。

0010

特許文献2では、硫酸、フッ化アンモニウムヒドロキシカルボン酸とを含有する電解研磨液を用いる電解研磨方法が例示されている。

0011

しかしながら、フッ化物を含有する電解研磨液は、健康面ならびに環境面へ負荷を伴うため、フッ化物を含まない電解研磨液が利用される様になっている。

0012

例えば、特許文献3では、メタンスルホン酸アルカンジホスホン酸とを含有するフッ化物を含まない電解研磨液を用いる電解研磨方法が例示されている。

先行技術

0013

特表2003−513166号公報
特表2006−526071号公報
特開2008−223139号公報

発明が解決しようとする課題

0014

特許文献1ならびに特許文献2の電解研磨方法は、フッ化物を含有する電解研磨液を利用するため、健康面ならびに環境面への負荷を伴うという課題があった。

0015

一方で、特許文献3の電解研磨方法は、フッ化物を含まない電解研磨液を利用することによって、健康面ならびに環境面への負荷が低減された電解研磨方法であるものの、利用されるホスホン酸型キレート剤であるアルカンジホスホン酸(特に水分をあまり含まない)が、比較的高価であり、工業的に大量に使用する場合はコストがかかり実用面で課題があった。

0016

また、アルキルスルホン酸の高い吸湿性や、被研磨物表面の残存水分持ち込み等によって、電解研磨液は使用中に水分を吸湿しまうため、十分な研磨効果が得られず、改善する余地があった。特に吸湿による研磨効果の低下は、電解研磨により金属が多量に溶解している電解研磨液において顕著な課題であった。

0017

本発明は、上記の課題を解決するために、金属成形体の電解研磨における、実用性に優れ、電解研磨液の研磨効果持続性に優れる電解研磨液及び金属成形体の電解研磨方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0018

本発明者は、上記の課題解決のために鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、下記(1)〜(21)の電解研磨液、および電解研磨された金属成形体の製造方法を提供する。
(1).
金属成形体を電解研磨するための電解研磨液であって、アルキルスルホン酸と1種以上のアミノカルボン酸型キレート剤とを含有することを特徴とする電解研磨液、
(2).
アルキルスルホン酸の含有率が20重量%以上、99.9重量%以下であることを特徴とする(1)に記載の電解研磨液、
(3).
アミノカルボン酸型キレート剤の含有率が0.1重量%以上、5重量%以下であることを特徴とする(1)または(2)に記載の電解研磨液、
(4).
前記アミノカルボン酸型キレート剤がエチレンジアミン四酢酸およびエチレンジアミン四酢酸塩から選ばれる1種以上であることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載の電解研磨液、
(5).
ノニオン界面活性剤を含有していることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載の電解研磨液、
(6).
前記ノニオン界面活性剤が、エチレンオキシド付加モル数が1〜30であるポリオキシエチレンアルキルエーテル、および、エチレンオキシドの付加モル数が1〜30であるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルから選ばれる1種以上であることを特徴とする(5)に記載の電解研磨液、
(7).
前記ノニオン界面活性剤の含有率が、0.001重量%以上、0.1重量%以下であることを特徴とする(5)または(6)に記載の電解研磨液、
(8).
グリコール類を含有していることを特徴とする(1)〜(7)に記載の電解研磨液、
(9).
前記グリコール類がエチレングリコールであることを特徴とする(8)に記載の電解研磨液、
(10).
前記グリコール類の含有率が1重量%以上、80重量%以下であることを特徴とする(8)または(9)に記載の電解研磨液、
(11).
(1)〜(10)のいずれかに記載の電解研磨液を用い、電圧を一定時間印加する電解研磨工程を1回以上含むことを特徴とする金属成形体の製造方法、
(12).
前記電解研磨液に、オルトエステル化合物を混合する工程を含むことを特徴とする(11)に記載の金属成形体の製造方法、
(13).
前記オルトエステル化合物が、オルトぎ酸トリイソプロピル、オルトぎ酸トリブチル、オルト酢酸トリエチル、オルト酢酸トリエチル、オルトぎ酸トリエチル、オルトプロピオン酸トリエチル、オルト吉草酸トリエチル、オルト酢酸トリメチル、オルト酪酸トリメチル、オルトぎ酸トリメチル、オルトイソ酪酸トリメチル、オルトプロピオン酸トリメチル、オルト吉草酸トリメチル、オルトぎ酸トリプロピルから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、(12)に記載の金属成形体の製造方法、
(14).
前記オルトエステル化合物を、混合前の電解研磨液の重量に対し0.1重量%以上、40重量%以下混合することを特徴とする(12)または(13)に記載の金属成形体の製造方法、
(15).
前記金属成形体が卑金属からなる金属成形体であることを特徴とする(11)〜(14)のいずれかに記載の金属成形体の製造方法、
(16).
前記金属成形体が鉄、クロム、マグネシウム、アルミニウム、チタンから選ばれる1種以上を含有する金属成形体であることを特徴とする(15)に記載の金属成形体の製造方法、
(17).
前記金属成形体がチタンまたはチタン合金であることを特徴とする(16)に記載の金属成形体の製造方法、
(18).
前記金属成形体がニッケルチタン合金であることを特徴とする、(17)に記載の金属成形体の製造方法、
(19).
前記金属成形体が医療用管状体であることを特徴とする、(11)〜(18)のいずれかに記載の金属成形体の製造方法、
(20).
前記医療用管状体が、ステントであることを特徴とする(19)に記載の金属成形体の製造方法、
(21).
(20)に記載のステントを有する医療用カテーテルの製造方法、
に関する。

発明の効果

0019

本発明によれば、実用性に優れ、電解研磨液の研磨効果持続性に優れる電解研磨液を製造することができる。

図面の簡単な説明

0020

本発明の実施の一形態である電解研磨装置を示す概略図である。
本発明の実施の一形態である電解研磨装置を示す概略図である。
本発明の実施例1に係るステントの実体顕微鏡画像である。
本発明の実施例2に係るワイヤの実体顕微鏡画像である。
本発明の実施例3に係るワイヤの実体顕微鏡画像である。
本発明の実施例4に係るステントの実体顕微鏡画像である。
本発明の実施例7に係るステントの実体顕微鏡画像である。
本発明の実施例10に係るステントの実体顕微鏡画像である。
本発明の実施例19に係るステントの実体顕微鏡画像である。
本発明の実施例20に係るステントの実体顕微鏡画像である。
本発明の実施例25に係るステントの実体顕微鏡画像である。
本発明の実施例28に係るワイヤの実体顕微鏡画像である。
本発明の実施例29に係るワイヤの実体顕微鏡画像である。
本発明の実施例30に係るワイヤの実体顕微鏡画像である。
本発明の比較例1に係るステントの実体顕微鏡画像である。
本発明の比較例2に係るステントの実体顕微鏡画像である。
本発明の比較例3に係るステントの実体顕微鏡画像である。
本発明の実施例1に係るステントの3D表面画像である。
本発明の比較例1に係るステントの3D表面画像である。

0021

本発明の電解研磨液は、アルキルスルホン酸と1種以上のアミノカルボン酸型キレート剤とを含むことを特徴としている。さらに、本発明の電解研磨液は、ノニオン界面活性剤や、グリコール類を適宜含有させることができる。

0022

また、本発明の金属成形体の電解研磨方法は、本発明の電解研磨液を用い、電圧を一定時間印加する電解研磨工程を1回以上含むことを特徴としている。さらに、本発明の電解研磨方法は、電解研磨効果を低下させる電解研磨液中の水分除去のため、または、電解研磨液の粘性抵抗を低下させる、あるいは、溶液表面張力を小さくして金属表面に対するぬれ性を向上させるため、電解研磨液にオルトエステル化合物を混合する工程を含むことができる。

0023

以下に、本発明に係る電解研磨液および金属成形体の電解研磨方法について、実施の一形態について図を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。

0024

<金属成形体>
本発明における被研磨体の金属成形体は、本発明の電解研磨液または電解研磨方法で電解研磨できる金属であれば特に限定されないが、表面が酸化されやすい卑金属からなる金属成形体が好適に用いられる。卑金属からなる金属成形体としては、例えば、鉄、クロム、マグネシウム、アルミニウム、チタンから選ばれる1種以上を含有する金属成形体が好適に用いられる。ここで言う卑金属とは、化学的に、イオン化傾向水素より大きい金属のことを言う。とりわけ、表面に強固な酸化皮膜を形成するチタンまたはチタン合金を含む金属成形体(以下、チタン系金属成形体と称することがある。)を特に好適に用いることが出来る。チタン系金属成形体は、純チタンからなる成形体のほか、チタンとその他の少なくとも1種の金属からなる成形体を含む。

0025

チタン系金属成形体は、純チタン、チタン合金及びチタン系形状記憶合金から選ばれる1種であることが好ましい。

0026

チタンまたはチタン合金の具体例としては、純チタン;Ti−15Mo、Ti−5Al−2.5Sn、Ti−6Al−4V、ELI、Ti−6Al−4V、Ti−6Al−7Nb、Ti−15Mo−5Zr、Ti−5Al−3Mo−4Zr、Ti−13Nb−13Ta、Ti−12Mo−6Zr−2Fe、Ti−15Zr−4Nb−2Ta−0.2Pd、Ti−35.3Nb−5.1Ta−4.6Zr、Ti−29Nb−13Ta−4.6Zr、Ti−15Sn−4Nb−2Ta−0.2Pd、その他Tiを多量に含む合金等;Ni−Ti系、Ni−Ti−Co系、Ni−Ti−Fe系、Ni−Ti−Cr系、Ni−Ti−Cu系、Ni−Ti−Cu−Cr系形状記憶合金、その他、Ni、Tiを主成分とする各種の形状記憶合金などが挙げられ、特に、ニッケルを含むニッケルチタン合金であることが好ましく、チタンとニッケルの原子比がおよそ1:1であるニッケルチタン合金であることがより好ましい。

0027

上述のニッケルチタン合金からなる金属成形体は、特に医療材料として好適に用いられており、その具体例としては、ステントに代表される医療用管状体、心房中隔欠損症治療用塞栓デバイス動脈瘤塞栓コイル血栓フィルター、ガイドワイヤ、歯列矯正アーチワイヤ脳動脈瘤ワイヤ等が挙げられる。

0028

ステントとは、血管などの狭窄拡張後再狭窄を防ぐ為に、体内に留置されるメッシュ状の管状体であり、医療用のステントには、例えば、(イ)1本の線状の金属もしくは高分子材料からなるコイル状のタイプ、(ロ)金属チューブレーザーなどによって切り抜き加工したタイプ、(ハ)線状の部材をレーザーなどで溶接して組み立てたタイプ、(ニ)複数の線状金属を織って作ったタイプ等がある。

0029

本発明におけるステントは、例えば、体内管腔構造に挿入される大きさである第1の径から、管状体の外表面の少なくとも一部が血管壁に接触する第2の径まで拡径する管状体が挙げられ、特に、血管、尿管胆管等の体内管腔構造の形成術に用いられる医療用管状体として好ましく用いることが出来る。

0030

ステントに用いられる材料としては、形状記憶特性・超弾性特性を有し、加工性にも優れる点でニッケルチタン合金を好ましく用いることができる。また、ニッケルチタン合金の中でも、特に約50%〜約60%のニッケルを含む、ニッケルチタン合金を好ましく用いることができる。

0031

金属製のステントを製造する方法としては、チューブ状材料をレーザーで網目状に切り抜き加工した後、電解研磨を行う方法を好ましく用いることができる。

0032

電解研磨は、ステントの屈曲した線状部分であるストラット部分レーザー加工、あるいはレーザー加工後熱処理等により生成した表面酸化皮膜の除去や、ストラットの断面の鋭利エッジの丸め(ラウンド形状)加工等を目的として行われる。電解研磨は、金属溶出の低減、疲労特性の向上、清潔性の向上等の様々な目的のために特に最終の仕上げの工程として施されることが好ましい。

0033

<電解研磨液>
本発明の電解研磨液は、アルキルスルホン酸と少なくとも1種のアミノカルボン酸型キレート剤とを含有していることを特徴としている。

0034

本発明に用いることの出来るアルキルスルホン酸は、電解研磨効果を有していれば特に限定されず、市販のアルキルスルホン酸を好適に用いることが出来る。市販のアルキルスルホン酸としては、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸プロパンスルホン酸ブタンスルホン酸ペンタンスルホン酸ヘキサンスルホン酸、ヘプタンスルホン酸、オクタンスルホン酸、などを挙げることができる。それらの中では、メタンスルホン酸が研磨効率が高いため好ましい。

0035

本発明において、アルキルスルホン酸の電解研磨液中の含有量の下限値は、粘性を確保する観点から、20重量%以上が好ましく30重量%以上がより好ましく、特に40重量%以上が好ましい。

0036

アルキルスルホン酸の電解研磨液中の含有量の上限値は、導電性を確保する観点から、99.9重量%以下が好ましく、99.5重量%以下がより好ましく、特に99重量%以下が好ましく、98.7重量%以下がさらにより好ましい。

0037

本発明の電解研磨液のpHは、2.0以下が好ましく、1.0以下がより好ましく、0.5以下がさらにより好ましい。

0038

本発明におけるアミノカルボン酸型キレート剤は、アミノ基とカルボキシル基とを有した化合物である。通常、カルボキシル基を複数備えた多価分子で、カルボキシル基がヒドロキシル基置換されたものや、カルボキシル基の水素がナトリウムカルシウム等で置換された誘導体の構造も含まれる。

0039

アミノカルボン酸型キレート剤は、電解研磨により被研磨物から溶出した金属に配位して錯イオンを形成することで、電解研磨液中に金属化合物浮遊物が生成するのを防止し、無秩序なアノード溶解を抑えて安定化させ、電解研磨能力を維持するという効果を発揮する。

0040

アミノカルボン酸型キレート剤の具体例としては、例えば、イミノ二酢酸ヒドロキシエチルイミノ二酢酸ニトリロ三酢酸ニトリロ三プロピオン酸、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸ヘキサメチレンジアミン四酢酸ジエチレントリアミン五酢酸トリエチレンテトラミン六酢酸、trans−1,2−ジアミノシクロヘキサン四酢酸、ビス(2−ヒドロキシエチルグリシンジアミノプロパノール四酢酸、エチレンジアミン−2−プロピオン酸グリコールエーテルジアミン四酢酸、ビス(2−ヒドロキシベンジル)エチレンジアミン二酢酸、またはそれらの塩などが挙げられる。特に、コストの観点からも優れている、エチレンジアミン四酢酸またはその塩が好適に用いられる。

0041

本発明において、アミノカルボン酸型キレート剤の含有量の下限値は、金属配位効果を維持する観点から、電解研磨液中に0.1重量%以上が好ましく、0.3重量%以上がより好ましく、0.5重量%以上が特に好ましい。

0042

また、アミノカルボン酸型キレート剤の含有量の上限値は、金属配位効果が強すぎるとアノード溶解を抑え過ぎて電解研磨効果を阻害してしまうことから、5重量%以下が好ましく、3重量%以下がより好ましく、2重量%以下が特に好ましい。
本発明の電解研磨液においてアミノカルボン酸型キレート剤は、1種を用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。

0043

本発明の電解研磨液は、更にノニオン界面活性剤を含有させることができる。ノニオン界面活性剤は、液中に溶解したときにイオン性を示さないが、界面活性を呈する界面活性剤である。

0044

ノニオン界面活性剤は、電解研磨液の被研磨物に対するぬれ性を向上させ、電極から発生するガス離脱を促すことで、研磨ムラの少ない均一な研磨面を得られるという効果を発揮する。また、ノニオン界面活性剤は、非イオン性であるため、他の電解研磨液中の成分の影響を受けにくく、分散性に優れ、泡立ちが少ないことから、好適に用いられる。

0045

ノニオン界面活性剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、更にはパーフルオロアルキル基含有エチレンオキシド付加物などが挙げられる。好ましくは、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、または、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルを用いる。これらのエチレンオキシドの付加モル数は、好ましくは1〜30、より好ましくは2〜15である。

0046

本発明において、ノニオン界面活性剤の含有量の下限値は、ぬれ性の向上の観点から、0.001重量%以上が好ましく、0.003重量%以上がより好ましく、0.005重量%以上が特に好ましい。

0047

また、ノニオン界面活性剤の含有量の上限値は、界面活性剤の影響で電解研磨液中に泡が立ち過ぎると電解研磨効果を阻害してしまうことから、0.1重量%以下が好ましく、0.05重量%以下がより好ましく、0.02重量%以下が特に好ましい。

0048

本発明の電解研磨液においてノニオン界面活性剤は、1種を用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。

0049

本発明の電解研磨液は、更にグリコール類を含有させることができる。グリコール類は、鎖式脂肪族炭化水素または環式脂肪族炭化水素の2つの炭素原子に1つずつヒドロキシル基が置換している構造を持つ化合物であり、ジオール化合物とも呼ばれる。

0050

グリコール類は、電解研磨液の粘度を調節して、研磨ムラの少ない均一な研磨面を得られるという効果を発揮する。電解研磨液中の被研磨物の極表面では、金属イオンと電解研磨液が絡み合って粘液層を形成し、この粘液層の電気抵抗の大きさゆえに被研磨物表面の凹凸部のうち凸部に電流が流れやすくなるため、表面の平滑化が進行する。このため、電解研磨液の粘度を調節することは非常に重要である。

0051

グリコール類の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコールトリエチレングリコールテトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、、ジプロピレングリコールトリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等が挙げられる。特に、エチレングリコールが好適に用いられる。

0052

本発明において、グリコール類の含有量の下限値は、粘度を調節する観点から、1重量%以上が好ましく、5重量%以上がより好ましく、10重量%以上が特に好ましい。

0053

また、グリコール類の含有量の上限値は、粘度が上がり過ぎると流動性低下により導電性の低下や泡切れが悪くなり、電解研磨効果を阻害することから、80重量%以下が好ましく、70重量%以下がより好ましく、60重量%以下が特に好ましい。

0054

電解研磨液は、使用環境により、空気中の水分を吸湿したり、被研磨物の残存水分の影響などにより、電解研磨液の水分含有量が高くなることがある。特に、2重量%を超える水分を含有すると、チタン系金属成形体の電解研磨後の研磨面に白色の曇り面が発生しやすくなったり、更には表面の平滑性が十分に得られない傾向がある。電解研磨液の水分の含有量は、電解研磨液の全体量に対して、実質的に無水分であることが好ましいが、多くても2重量%以下の含有量であることが好ましく、1重量%以下の含有量であることがより好ましい。電解研磨液の水分量の測定は、公知の方法によって行うことが可能であり、例えばカールフィッシャー法が例示される。

0055

また、本発明の電解研磨液はフッ化物を含有させないことが好ましい。フッ化物としては、例えば、フッ化ナトリウムフッ化カリウム、フッ化リチウム、フッ化アンモニウム、フッ化水素等が挙げられる。フッ化物を含有した電解研磨液の使用は、健康面ならびに環境面へのリスクを伴うため、フッ化物を含まない電解研磨液を使用することが好ましい。本発明の電解研磨液中のフッ化物の濃度は0.5重量%以下が好ましく、0.1重量%以下がさらに好ましく、0.01重量%以下がさらにより好ましい。

0056

なお、電解研磨液の各成分の含有量は、電解研磨する金属成形体の種類、形状、電解研磨面積の大きさ等に応じて適宜調整できる。

0057

本発明の電解研磨液は、液を構成する成分により吸湿しても、水分による研磨効果阻害の影響を受けにくいため、研磨効果持続性に優れている。

0058

<電解研磨方法>
本発明における電解研磨方法では、本発明の電解研磨液中にカソードと、金属成形体からなるアノードとを浸漬し、両電極間に電圧を印加して金属成形体の表面の研磨を行う電解研磨工程を1回以上含んでいる。

0059

電解研磨される金属成形体の形状や研磨面積に応じて、金属成形体を固定するために、電極と金属成形体を電気的に導通できるアノード導電性部材を使用することができる。

0060

図1は、被研磨物である金属成形体14に電極を接触させて電解研磨する電解研磨装置を示している。

0061

電解研磨は、電解研磨液槽15に貯留された電解研磨液17中において、導電性ワイヤ12aで電源11のプラス極と接続されたアノード導電性部材13が金属成形体14に接している。また、導電性ワイヤ12bで電源11のマイナス極と接続されたカソード16が金属成形体14から乖離して設置される。このような配置状態において、アノード導電性部材13とカソード16との間に電圧が印加されると、アノードとして作用する金属成形体14において表面の金属元素が電解研磨液17中に溶解する。これにより、金属成形体14は、電解研磨され、表面が平滑になり光沢を生じさせることができる。

0062

アノード導電性部材13の材料としては、使用される電解研磨液の種類に応じて適宜選択でき、十分な導電性を有していれば特に限定されないが、例えば、ステンレス鋼、チタン、銅、アルミニウム、白金、金等の金属あるいはそれらの合金を挙げることができる。

0063

アノード導電性部材13の形状は、使用される金属成形体の種類や形状に応じて適宜選択でき、被研磨物の金属成形体14を導通して固定可能であれば特に限定されないが、例えば、板状、ワイヤ状ロッド状、芯状であっても良いし、図1に示したような、クリップ形状であってもよい。

0064

カソード16の材料としては、使用される電解研磨液の種類に応じて適宜選択でき、十分な導電性を有していれば特に限定されないが、例えば、ステンレス鋼、チタン、銅、アルミニウム、白金、金等の金属あるいはそれらの合金を挙げることができる。

0065

カソード16の形状としては、使用される金属成形体の種類や形状に応じて適宜選択でき、金属成形体14が電解研磨可能であれば特に限定されないが、例えば、板状、芯状、棒状、ワイヤ状等を挙げる事ができ、カソード16の表面積を大きくとるために、また電解研磨時に発生した気泡、温度変化や液中イオンの濃度勾配を避ける目的で、カソード16にメッシュ形状パンチング形状を形成させてもよい。また、研磨する製品の形状に応じて、電流が均一に流れるような形状にすることが好ましく、例えば、被研磨物を囲むような円筒状とすることができる。

0066

本発明の電解研磨液は研磨能力が高いため、物理的な研磨、例えば、研磨パッド研磨布研磨紙砥石砥粒スラリー等による研磨を併用することなく、金属成形体を均一に研磨することができる。

0067

本発明における電解研磨工程では、電源11により、電圧がアノードとしての金属成形体14及びカソード16に一定時間印可されて、金属成形体14を所望の滑らかさに電解研磨することができる。また、本発明における電解研磨工程では、一定の電圧を一定時間印加することが好ましい。一定の電圧を印加すると、電圧印加直後電流密度が急激に増大し、その後漸減しながら安定化していくため、平滑な研磨表面が得られやすい。

0068

尚、本発明における電流密度とは、所望の電圧に到達して示される極大値から、電解研磨終了時までに測定された値の範囲を示し、また、電圧(電流密度)が印加されている時間を電解研磨時間と称する。

0069

本発明の電解研磨方法の電解研磨工程において、電解研磨液の液温は10℃以上、80℃以下であることがことが好ましく、特に、20℃以上、40℃以下であることが好ましく、25℃以上、30℃以下であることが更に好ましい。

0070

本発明の電解研磨方法の電解研磨工程における電圧値は、10V以上、45V以下であることが好ましく、15V以上、35V以下であることがより好ましい。

0071

なお、電解研磨工程における電流密度は、40mA/cm2以上であることが好ましく、50〜5000mA/cm2であることがより好ましい。

0072

また、電解研磨工程の電圧を印加している電解研磨時間としては、下限が1秒以上であることが好ましく、20秒以上であることが特に好ましい、また上限は60秒以内が好ましく、40秒以内が特に好ましい。

0073

より均一な電解研磨ができ、平坦な研磨表面が得られやすい点で、電解研磨は、2回以上行うことが好ましい。電解研磨の好適な回数は、平滑な表面が得られれば特に限定されないが、より均一な電解研磨ができる点で、2〜30回繰り返すことが好ましい。

0074

また、電解研磨工程ごとに金属成形体14を一旦、電解研磨液17から取り出し、アルコール、水、硝酸、またはそれらを組み合わせた溶液で金属成形体14を洗浄することが好ましく、更に、電解研磨を数回繰り返した後、超音波浴中に室温で1〜30分間浸漬して洗浄するのが好ましい。

0075

本発明の電解研磨方法において、電解研磨液に含有された水分を除去するためや、被研磨物の金属成形体の溶解成分により上昇した電解研磨液の粘性抵抗を低下させる、あるいは、電解研磨液の表面張力を小さくして金属表面に対するぬれ性を向上させる目的で、電解研磨液に対してオルトエステル化合物を混合する工程を含んでいることが好ましい。

0076

本発明で用いることのできるオルトエステル化合物とは、同一の炭素の上に3個のアルコキシ基を持つ有機化合物をいう。3個のアルコキシ基は同じ種類でもよいし、異なる種類であってもよい。また、アルコキシ基のアルキル基は、直鎖状でもよいし分鎖状でもよいし、置換されていてもよいし無置換でもよい。

0077

オルトエステル化合物1molの加水分解により、相当するエステル化合物1molと相当するアルコール2molが生成する。また、オルトエステル化合物は、通常、常温液体の化合物である。

0078

オルトエステル化合物は、電解研磨液中の水分と反応することで容易に加水分解し、アルコール化合物等の揮発性成分に変化する。これにより、電解研磨に効果のある成分系を阻害することなく、十分な脱水作用を得ることができる。

0079

オルトエステル化合物の具体例としては、例えば、オルトぎ酸エステル、オルト酢酸エステル、オルトプロピオン酸エステル、オルト酪酸エステル、オルトぎ酸ジエチルフェニル、オルトクロロ酢酸トリエチル、オルトジクロロ酢酸トリエチル、オルトぎ酸トリイソプロピル、オルトぎ酸トリブチル、オルト酢酸トリエチル、オルト酢酸トリエチル、オルトギ酸トリエチル、オルトプロピオン酸トリエチル、オルト吉草酸トリエチル、オルト酢酸トリメチル、オルト酪酸トリメチル、オルトぎ酸トリメチル、オルトイソ酪酸トリメチル、オルトプロピオン酸トリメチル、オルト吉草酸トリメチル、オルトぎ酸トリプロピル等が挙げられる。これらの中でも、入手容易性の観点から、オルトぎ酸トリイソプロピル、オルトぎ酸トリブチル、オルト酢酸トリエチル、オルト酢酸トリエチル、オルトぎ酸トリエチル、オルトプロピオン酸トリエチル、オルト吉草酸トリエチル、オルト酢酸トリメチル、オルト酪酸トリメチル、オルトぎ酸トリメチル、オルトイソ酪酸トリメチル、オルトプロピオン酸トリメチル、オルト吉草酸トリメチル、オルトぎ酸トリプロピル等が好ましく用いられる。

0080

本発明において、オルトエステル化合物の混合量の下限値は、電解研磨液中の水分を十分除去するために、0.1重量%以上が好ましく、1重量%以上がより好ましく、5重量%以上混合させるのが特に好ましい。

0081

また、オルトエステル化合物の混合量の上限値は、電解研磨液に影響を与えない観点から、40重量%以下が好ましく、30重量%以下がより好ましく、20重量%以下混合させるのが特に好ましい。

0082

オルトエステル化合物を混合するタイミングとしては、安定的な電解研磨の実施の観点からは、あらかじめ電解研磨液に添加して混合させておいてもよく、保存安定性を向上させる観点からは、ある程度使用し環境中の水分を吸湿した段階で電解研磨液に添加して混合してもよい。

0083

本発明に係るオルトエステル化合物の添加混合操作において、電解研磨液中に反応に用いられず残ったオルトエステル化合物やその反応生成物は、電解研磨液の粘性抵抗を低下させる、あるいは、表面張力を小さくしてぬれ性を向上させる効果が期待できる。

0084

尚、残存したオルトエステル化合物や反応生成物の一部あるいは全部を電解研磨液から除去する場合は、常圧や減圧下、あるいは加圧下で加熱することにより除去することが出来る。

0085

さらに、脱水効果を向上させる観点から、オルトエステル化合物とともに、アルキルスルホン酸以外の酸を混合させることができる。アルキルスルホン酸以外の酸としては、酸触媒としての機能を果たせばどんな物質でも良いが、例えば、硫酸、p−トルエンスルホン酸ベンゼンスルホン酸、2,4−ジメチルベンゼンスルホン酸、10−カンファースルホン酸トリフルオロメタンスルホン酸等が挙げられ、特に水分をほとんど含んでいない強酸を好ましく用いることが出来る。

0086

また、オルトエステル化合物を混合する工程は、電解研磨前や電解研磨工程間等複数回含んでいてもよい。

0087

本発明の電解研磨方法は、簡便に平滑な表面が得られやすいため、医療用の管状体、例えばステント、に好ましく用いることができる。

0088

以下に、本発明の電解研磨方法について、金属成形体としてステントを例に図2を参照しながらより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。

0089

図2に示した電解研磨装置は、ステント214などを電解研磨するための電解研磨装置である。主に、電源211、電解研磨液217、アノード導電性部材213、カソード216、電解液槽215で構成され、ステント214を、実質的に円形になるようにほぼ均等に拡径した状態で、ステント214の内面を支持するアノード導電性部材213を有している。

0090

アノード導電性部材213は、ステント214と4点の電気接点218で接するように4本の細長部材21を有している。各細長部材21がステント214の長手方向全長に亘って延在しており、その横断面において電気接点218を4点形成している。また、細長部材21同士が接合した頂点から外側へ延在する延長部22が接合されている。アノード導電性部材213は、電解研磨装置本体のアノード導電性部材213を固定するためのアノード接続部23に電気的に導通して接続されている。

0091

本発明の電解研磨方法における電解研磨工程は、図2の状態において電源211を作動させて、ステント214とカソード216との間に電圧を印加し電解研磨することができる。

0092

尚、アノード接続部23の構造はピンバイス構造であり、電解研磨工程間にアノード導電性部材213をアノード接続部23から取り外し、アノード導電性部材213にステント214を取り付けたまま洗浄することができる。また、各電解研磨工程ごとに円周方向にステント214を移動させてステント214とアノード導電性部材213の細長部材21との電気接点218を変えることが好ましい。

0093

アノード接続部23上にアノード回転部24を有し、更に、アノード支持部25の上にアノード全体回転部26を有しているため、電解研磨工程においてステント214やアノード支持部25全体を回転させることができる。電解研磨液217に濃度勾配や温度差を生じにくいため、平滑な研磨表面を得られやすい。

0094

なお、回転と電力の供給のため、アノード全体回転部26ならびにアノード回転部24にはロータリーコネクタを用いることができる。

0095

また、カソード216は、ステント214との電極間距離が実質的に等距離となるように、各ステント214の外周の周囲を囲むような円筒形状を有している。
電解研磨液217の温度を一定に保持するために、電解液槽215は、循環水入口27および循環水出口28を有している。

0096

マグネチックスターラー200でスターラーバー29を回転させることにより、電解研磨液217を撹拌し液の均一な状態を保つことが出来る。

0097

以上のように、本発明の実施の形態にかかる金属成形体の電解研磨方法について具体例を用いて説明したが、本発明は上記実施の形態によって制限を受けるものでなく、前・後記の主旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。

0098

以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。なお、以下の実施例はすべて、図2に示した電解研磨装置を用いて、電解研磨を実施した。

0099

下記に本発明の実施形態について、本発明に係る電解研磨液の製造例1〜20、ならびに、本発明に係る実施例1〜30、比較例1〜5を具体的に示す。なお、製造例1〜20の電解研磨液の成分組成を表1、2に示す。

0100

0101

0102

(製造例1)
990gのメタンスルホン酸に10gのエチレンジアミン四酢酸を溶解し、電解研磨液1を調整した。

0103

(製造例2)
990gのメタンスルホン酸に10gのエチレンジアミン四酢酸と0.1gのポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテルを溶解して電解研磨液2を調整した。

0104

(製造例3)
990gのメタンスルホン酸に10gのエチレンジアミン四酢酸と0.1gのポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテルと1500gのエチレングリコールを溶解して電解研磨液3を調整した。

0105

(製造例4)
990gのメタンスルホン酸に10gのエチレンジアミン四酢酸を溶解して電解研磨液41を調整した。次いで、1000gの電解研磨液41にオルト酢酸トリエチルを100g混合して電解研磨液42を調整した。

0106

(製造例5)
990gのメタンスルホン酸に10gのエチレンジアミン四酢酸と0.1gのポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテルを溶解して電解研磨液51を調整した。次いで、1000.1gの電解研磨液51にオルト酢酸トリエチルを100g混合し電解研磨液52を調整した。

0107

(製造例6)
990gのメタンスルホン酸に10gのエチレンジアミン四酢酸と0.1gのポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテルと1500gのエチレングリコールを溶解して電解研磨液61を調整した。次いで、2500.1gの電解研磨液51にオルト酢酸トリエチルを100g混合して電解研磨液62を調整した。

0108

(製造例7)
990gのメタンスルホン酸に10gのエチレンジアミン四酢酸を溶解して電解研磨液71を調整した。次いで、1000gの電解研磨液71にオルト酢酸トリエチルを100g混合し、次いで、ニッケルチタン合金(ASTMF2063−05に適合)を4g/L電解研磨にて溶解させ、水を30g添加して電解研磨液72を調整した。

0109

(製造例8)
990gのメタンスルホン酸に10gのエチレンジアミン四酢酸を溶解して電解研磨液81を調整した。次いで、1000gの電解研磨液81にニッケルチタン合金(ASTMF2063−05に適合)を4g/L電解研磨にて溶解させ、次いで、水を30g添加し、次いで、オルト酢酸トリエチルを100g混合し電解研磨液82を調整した。

0110

(製造例9)
990gのメタンスルホン酸に10gのエチレンジアミン四酢酸と0.1gのポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテルを溶解して電解研磨液91を調整した。次いで、1000.1gの電解研磨液91にオルト酢酸トリエチルを100g混合し、次いで、ニッケルチタン合金を4g/L電解研磨にて溶解させ、次いで、水を30g添加して電解研磨液92を調整した。

0111

(製造例10)
990gのメタンスルホン酸に10gのエチレンジアミン四酢酸と0.1gのポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテルを溶解して電解研磨液101を調整した。次いで、1000.1gの電解研磨液101にニッケルチタン合金(ASTMF2063−05に適合)を4g/L電解研磨にて溶解させ、次いで、水を30g添加し、次いで、オルト酢酸トリエチルを100g混合して電解研磨液102を調整した。

0112

(製造例11)
990gのメタンスルホン酸に10gのエチレンジアミン四酢酸と0.1gのポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテルと1500gのエチレングリコールを溶解して電解研磨液111を調整した。次いで、2500.1gの電解研磨液111にオルト酢酸トリエチルを100g混合し、次いで、ニッケルチタン合金(ASTMF2063−05に適合)を4g/L電解研磨にて溶解させ、次いで、水を30g添加して電解研磨液112を調整した。

0113

(製造例12)
990gのメタンスルホン酸に10gのエチレンジアミン四酢酸と0.1gのポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテルと1500gのエチレングリコールを溶解して電解研磨液121を調整した。次いで、2500.1gの電解研磨液121にニッケルチタン合金(ASTMF2063−05に適合)を4g/L電解研磨にて溶解させ、水を30g添加し、次いで、オルト酢酸トリエチルを100g混合し電解研磨液122を調整した。

0114

(製造例13)
990gのメタンスルホン酸に10gのエチレンジアミン四酢酸を溶解して電解研磨液131を調整した。次いで、1000gの電解研磨液131にニッケルチタン合金(ASTMF2063−05に適合)を4g/L電解研磨にて溶解させ、次いで、水を30g添加し電解研磨液132を調整した。

0115

(製造例14)
990gのメタンスルホン酸に10gのエチレンジアミン四酢酸と0.1gのポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテルを溶解して電解研磨液141を調整した。次いで、1000.1gの電解研磨液141にニッケルチタン合金(ASTMF2063−05に適合)を4g/L電解研磨にて溶解させ、次いで、水を30g添加し電解研磨液142を調整した。

0116

(製造例15)
990gのメタンスルホン酸に10gのエチレンジアミン四酢酸と0.1gのポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテルと1500gのエチレングリコールを溶解して電解研磨液151を調整した。次いで、2500.1gの電解研磨液151にニッケルチタン合金(ASTMF2063−05に適合)を4g/L電解研磨にて溶解させ、次いで、水を30g添加し電解研磨液152を調整した。

0117

(製造例16)
990gのメタンスルホン酸に10gのマロン酸を溶解し、電解研磨液16を調整した。

0118

(製造例17)
990gのメタンスルホン酸に10gのエチドロン酸を溶解し、電解研磨液17を調整した。

0119

(製造例18)
990gのメタンスルホン酸に10gのN,N,N’,N’−エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸)を溶解し、電解研磨液18を調整した。

0120

(製造例19)
1000gのメタンスルホン酸のみからなる電解研磨液19を調整した。

0121

(製造例20)
1000gのメタンスルホン酸のみからなる電解研磨液201を調整した。次いで、1000gの電解研磨液201にニッケルチタン合金(ASTMF2063−05に適合)を4g/L電解研磨にて溶解させ、次いで、水を30g添加し電解研磨液202を調整した。

0122

(実施例1)
被研磨物として、内径が10.0mmのニッケルチタン合金(ASTMF2063−05に適合)製のステントを用意した。

0123

被研磨物を外径が10.5mmのSUS304製のアノード導電性部材に対して、被研磨物が均等に拡径するように挿通して、被研磨物の全長の断面においてステントの内面がアノード導電性部材の細長部材と4点で電気接点を形成するように固定した。アノード導電性部材の細長部材は、その外径が1.2mmの円柱状の部材を用いた。

0124

電解研磨液槽内に、製造例1の電解研磨液1を投入後25℃にて貯留し、被研磨物との電極間距離が45mm〜55mmに実質的に等距離になるように湾曲形状のSUS304製のカソードを設置した。
電圧20Vで20秒間、電解研磨液に対して電力供給し、この電解研磨液に被研磨物が浸されることで、被研磨物の表面の電解研磨が行われた。電力供給完了後、被研磨物を水で洗浄して乾燥させ、被研磨物とアノード導電性部材の電気接点を変更した。

0125

上記工程を連続して10回繰り返し実施した。すべての電解研磨時の電流密度は100〜1000mA/cm2の範囲内であった。

0126

(実施例2)
被研磨物として、外径が1.0mmの純チタン製のワイヤを用意した。
アノード導電性部材の延長部を取り外し、直接ワイヤをアノード接続部に取り付けた。

0127

それ以外は、実施例1と同様の方法で電解研磨を実施した。すべての電解研磨時の電流密度は100〜1000mA/cm2の範囲内であった。

0128

(実施例3)
被研磨物として、外径が1.0mmのチタン合金Ti−6Al−4V製のワイヤを用意した。
アノード導電性部材の延長部を取り外し、直接ワイヤをアノード接続部に取り付けた。

0129

それ以外は、実施例1と同様の方法で電解研磨を実施した。すべての電解研磨時の電流密度は100〜1000mA/cm2の範囲内であった。

0130

(実施例4)
被研磨物として、内径が10.0mmのニッケルチタン合金(ASTMF2063−05に適合)製のステントを用意した。
製造例2の電解研磨液2を用いた以外は、実施例1と同様の方法で電解研磨を実施した。すべての電解研磨時の電流密度は100〜1000mA/cm2の範囲内であった。

0131

(実施例5)
被研磨物として、外径が1.0mmの純チタン製のワイヤを用意した。
アノード導電性部材の延長部を取り外し、直接ワイヤをアノード接続部に取り付けた。
製造例2の電解研磨液2を用いた以外は、実施例1と同様の方法で電解研磨を実施した。すべての電解研磨時の電流密度は100〜1000mA/cm2の範囲内であった。

0132

(実施例6)
被研磨物として、外径が1.0mmのチタン合金Ti−6Al−4V製のワイヤを用意した。
アノード導電性部材の延長部を取り外し、直接ワイヤをアノード接続部に取り付けた。
製造例2の電解研磨液2を用いた以外は、実施例1と同様の方法で電解研磨を実施した。すべての電解研磨時の電流密度は100〜1000mA/cm2の範囲内であった。

0133

(実施例7)
被研磨物として、内径が10.0mmのニッケルチタン合金(ASTMF2063−05に適合)製のステントを用意した。
製造例3の電解研磨液3を用いた以外は、実施例1と同様の方法で電解研磨を実施した。すべての電解研磨時の電流密度は100〜1000mA/cm2の範囲内であった。

0134

(実施例8)
被研磨物として、外径が1.0mmの純チタン製のワイヤを用意した。
アノード導電性部材の延長部を取り外し、直接ワイヤをアノード接続部に取り付けた。
製造例3の電解研磨液3を用いた以外は、実施例1と同様の方法で電解研磨を実施した。すべての電解研磨時の電流密度は100〜1000mA/cm2の範囲内であった。

0135

(実施例9)
被研磨物として、外径が1.0mmのチタン合金Ti−6Al−4V製のワイヤを用意した。
アノード導電性部材の延長部を取り外し、直接ワイヤをアノード接続部に取り付けた。
製造例3の電解研磨液3を用いた以外は、実施例1と同様の方法で電解研磨を実施した。すべての電解研磨時の電流密度は100〜1000mA/cm2の範囲内であった。

0136

(実施例10)
被研磨物として、内径が10.0mmのニッケルチタン合金(ASTMF2063−05に適合)製のステントを用意した。
製造例4の電解研磨液42を用いた以外は、実施例1と同様の方法で電解研磨を実施した。すべての電解研磨時の電流密度は100〜1000mA/cm2の範囲内であった。

0137

(実施例11)
被研磨物として、外径が1.0mmの純チタン製のワイヤを用意した。
アノード導電性部材の延長部を取り外し、直接ワイヤをアノード接続部に取り付けた。
製造例4の電解研磨液42を用いた以外は、実施例1と同様の方法で電解研磨を実施した。すべての電解研磨時の電流密度は100〜1000mA/cm2の範囲内であった。

0138

(実施例12)
被研磨物として、外径が1.0mmのチタン合金Ti−6Al−4V製のワイヤを用意した。
アノード導電性部材の延長部を取り外し、直接ワイヤをアノード接続部に取り付けた。
製造例4の電解研磨液42を用いた以外は、実施例1と同様の方法で電解研磨を実施した。すべての電解研磨時の電流密度は100〜1000mA/cm2の範囲内であった。

0139

(実施例13)
被研磨物として、内径が10.0mmのニッケルチタン合金(ASTMF2063−05に適合)製のステントを用意した。
製造例5の電解研磨液52を用いた以外は、実施例1と同様の方法で電解研磨を実施した。すべての電解研磨時の電流密度は100〜1000mA/cm2の範囲内であった。

0140

(実施例14)
被研磨物として、外径が1.0mmの純チタン製のワイヤを用意した。
アノード導電性部材の延長部を取り外し、直接ワイヤをアノード接続部に取り付けた。
製造例5の電解研磨液52を用いた以外は、実施例1と同様の方法で電解研磨を実施した。すべての電解研磨時の電流密度は100〜1000mA/cm2の範囲内であった。

0141

(実施例15)
被研磨物として、外径が1.0mmのチタン合金Ti−6Al−4V製のワイヤを用意した。
アノード導電性部材の延長部を取り外し、直接ワイヤをアノード接続部に取り付けた。
製造例5の電解研磨液52を用いた以外は、実施例1と同様の方法で電解研磨を実施した。すべての電解研磨時の電流密度は100〜1000mA/cm2の範囲内であった。

0142

(実施例16)
被研磨物として、内径が10.0mmのニッケルチタン合金(ASTMF2063−05に適合)製のステントを用意した。
製造例6の電解研磨液62を用いた以外は、実施例1と同様の方法で電解研磨を実施した。すべての電解研磨時の電流密度は100〜1000mA/cm2の範囲内であった。

0143

(実施例17)
被研磨物として、外径が1.0mmの純チタン製のワイヤを用意した。
アノード導電性部材の延長部を取り外し、直接ワイヤをアノード接続部に取り付けた。
製造例6の電解研磨液62を用いた以外は、実施例1と同様の方法で電解研磨を実施した。すべての電解研磨時の電流密度は100〜1000mA/cm2の範囲内であった。

0144

(実施例18)
被研磨物として、外径が1.0mmのチタン合金Ti−6Al−4V製のワイヤを用意した。
アノード導電性部材の延長部を取り外し、直接ワイヤをアノード接続部に取り付けた。
製造例6の電解研磨液62を用いた以外は、実施例1と同様の方法で電解研磨を実施した。すべての電解研磨時の電流密度は100〜1000mA/cm2の範囲内であった。

0145

(実施例19)
被研磨物として、内径が10.0mmのニッケルチタン合金(ASTMF2063−05に適合)製のステントを用意した。
製造例7の電解研磨液72を用いた以外は、実施例1と同様の方法で電解研磨を実施した。すべての電解研磨時の電流密度は100〜1000mA/cm2の範囲内であった。

0146

(実施例20)
被研磨物として、内径が10.0mmのニッケルチタン合金(ASTMF2063−05に適合)製のステントを用意した。
製造例8の電解研磨液82を用いた以外は、実施例1と同様の方法で電解研磨を実施した。すべての電解研磨時の電流密度は100〜1000mA/cm2の範囲内であった。

0147

(実施例21)
被研磨物として、内径が10.0mmのニッケルチタン合金(ASTMF2063−05に適合)製のステントを用意した。
製造例9の電解研磨液92を用いた以外は、実施例1と同様の方法で電解研磨を実施した。すべての電解研磨時の電流密度は100〜1000mA/cm2の範囲内であった。

0148

(実施例22)
被研磨物として、内径が10.0mmのニッケルチタン合金(ASTMF2063−05に適合)製のステントを用意した。
製造例10の電解研磨液102を用いた以外は、実施例1と同様の方法で電解研磨を実施した。すべての電解研磨時の電流密度は100〜1000mA/cm2の範囲内であった。

0149

(実施例23)
被研磨物として、内径が10.0mmのニッケルチタン合金(ASTMF2063−05に適合)製のステントを用意した。
製造例11の電解研磨液112を用いた以外は、実施例1と同様の方法で電解研磨を実施した。すべての電解研磨時の電流密度は100〜1000mA/cm2の範囲内であった。

0150

(実施例24)
被研磨物として、内径が10.0mmのニッケルチタン合金(ASTMF2063−05に適合)製のステントを用意した。
製造例12の電解研磨液122を用いた以外は、実施例1と同様の方法で電解研磨を実施した。すべての電解研磨時の電流密度は100〜1000mA/cm2の範囲内であった。

0151

(実施例25)
被研磨物として、内径が10.0mmのニッケルチタン合金(ASTMF2063−05に適合)製のステントを用意した。
製造例13の電解研磨液132を用いた以外は、実施例1と同様の方法で電解研磨を実施した。すべての電解研磨時の電流密度は100〜1000mA/cm2の範囲内であった。

0152

(実施例26)
被研磨物として、内径が10.0mmのニッケルチタン合金(ASTMF2063−05に適合)製のステントを用意した。
製造例14の電解研磨液142を用いた以外は、実施例1と同様の方法で電解研磨を実施した。すべての電解研磨時の電流密度は100〜1000mA/cm2の範囲内であった。

0153

(実施例27)
被研磨物として、内径が10.0mmのニッケルチタン合金(ASTMF2063−05に適合)製のステントを用意した。
製造例15の電解研磨液152を用いた以外は、実施例1と同様の方法で電解研磨を実施した。すべての電解研磨時の電流密度は100〜1000mA/cm2の範囲内であった。

0154

(実施例28)
被研磨物として、外径が1.2mmのステンレス鋼SUS304製のワイヤを用意した。
アノード導電性部材の延長部を取り外し、直接ワイヤをアノード接続部に取り付けた。
それ以外は、実施例1と同様の方法で電解研磨を実施した。すべての電解研磨時の電流密度は100〜1000mA/cm2の範囲内であった。

0155

(実施例29)
被研磨物として、外径が1.6mmのマグネシウム合金AZ61製のワイヤを用意した。
アノード導電性部材の延長部を取り外し、直接ワイヤをアノード接続部に取り付けた。
それ以外は、実施例1と同様の方法で電解研磨を実施した。すべての電解研磨時の電流密度は100〜1000mA/cm2の範囲内であった。

0156

(実施例30)
被研磨物として、外径が1.5mmの純アルミニウムA1070製のワイヤを用意した。
アノード導電性部材の延長部を取り外し、直接ワイヤをアノード接続部に取り付けた。
それ以外は、実施例1と同様の方法で電解研磨を実施した。すべての電解研磨時の電流密度は100〜1000mA/cm2の範囲内であった。

0157

(比較例1)
被研磨物として、内径が10.0mmのニッケルチタン合金(ASTMF2063−05に適合)製のステントを用意した。
製造例16の電解研磨液16を用いた以外は、実施例1と同様の方法で電解研磨を実施した。すべての電解研磨時の電流密度は100〜1000mA/cm2の範囲内であった。

0158

(比較例2)
被研磨物として、内径が10.0mmのニッケルチタン合金(ASTMF2063−05に適合)製のステントを用意した。
製造例17の電解研磨液17を用いた以外は、実施例1と同様の方法で電解研磨を実施した。すべての電解研磨時の電流密度は100〜1000mA/cm2の範囲内であった。

0159

(比較例3)
被研磨物として、内径が10.0mmのニッケルチタン合金(ASTMF2063−05に適合)製のステントを用意した。
製造例18の電解研磨液18を用いた以外は、実施例1と同様の方法で電解研磨を実施した。すべての電解研磨時の電流密度は100〜1000mA/cm2の範囲内であった。

0160

(比較例4)
被研磨物として、内径が10.0mmのニッケルチタン合金(ASTMF2063−05に適合)製のステントを用意した。
製造例19の電解研磨液19を用いた以外は、実施例1と同様の方法で電解研磨を実施した。すべての電解研磨時の電流密度は100〜1000mA/cm2の範囲内であった。

0161

(比較例5)
被研磨物として、内径が10.0mmのニッケルチタン合金(ASTMF2063−05に適合)製のステントを用意した。
製造例20の電解研磨液202を用いた以外は、実施例1と同様の方法で電解研磨を実施した。すべての電解研磨時の電流密度は100〜1000mA/cm2の範囲内であった。

0162

実体顕微鏡による外観評価
各実施例で作製した金属成形体について、実体顕微鏡(Nikon製 MM−400)を用いて、50倍の倍率表面外観を観察することにより外観評価を行った。実施例1〜4、7、10、19、20、25、28〜30、比較例1〜3について、実体顕微鏡にデジタル一眼レフカメラ(Canon製 EOS Kiss X5)を接続して拡大写真撮影した表面観察結果をそれぞれ図3〜17に示した。また、その結果を表3に示した。

0163

0164

その結果、実施例1〜24では、全部の表面が非常に平滑性に優れていることを確認した。また、実施例25〜27では、部分的に白色の曇り面が確認されたものの、ほとんど全部の表面が平滑性に優れていることを確認した。実施例28〜30では、全部の表面が非常に平滑性に優れていることを確認した。

0165

比較例1〜4では、ほとんど全部の表面において研磨ムラが発生していることを確認した。比較例5では、ほとんど全部の表面において研磨ムラが発生しており、更に、部分的に白色の曇り面が確認された。

0166

レーザー顕微鏡による表面粗さ測定)
実施例1および比較例1で作製した金属成形体について、レーザー顕微鏡(KEYENCE製、VK−9510)を用いて、JIS B0601−1994に基づき、算術平均粗さRaと最大高さRyを測定した。実施例1および比較例1の表面粗さ測定結果を表4に示した。実施例1のほうが比較例1よりも算術平均粗さRaと最大高さRyがともに小さく、実施例1は比較例1よりも平滑性に優れていることがわかった。また、実施例1および比較例1で作製した金属成形体について、レーザー顕微鏡(KEYENCE製、VK−9510)を用いて、1000倍で観察した3D表面画像を図18、19にそれぞれ示した。

0167

0168

(結果)
実施例1〜30では、本発明の効果により、金属成形体を電解研磨して、平滑性に優れた研磨面が得られることが確認された。なお、実施例25〜27の結果からわかるように、研磨効果の低下した電解研磨液においても、部分的に白色の曇り面が見られたものの、概ね全体的には平滑な研磨面が得られることが確認された。

0169

一方、比較例1〜4では、ステント表面の多くの部分で研磨ムラが確認された。研磨効果の低下した電解研磨液を使用した比較例5では、ステント表面の多くの部分で研磨ムラが発生しており、更に、部分的に白色の曇り面が確認された。なお、比較例1〜3では、本発明で用いられるキレート剤とは異なる型のキレート剤を含有する電解研磨液を使用したが、逆に研磨ムラを発生させてしまい、すべてのキレート剤が必ずしも研磨効果に貢献するわけではないことがわかる。

0170

また、実施例19〜24の結果からわかるように、さらなる本発明の効果により、電解研磨による金属成形体成分を含んだ電解研磨液であっても、白色の曇り面が見られることなく、電解研磨液の初期状態と同様の非常に平滑な研磨面が得られることが確認された。

実施例

0171

このことから、本発明によって、実用性に優れた簡便な方法で、優れた研磨効果を持続させることができ、研磨ムラを少なく均一な研磨面を有する金属成形体を製造することができる。

0172

11電源
12a、12b導電性ワイヤ
13アノード導電性部材
14金属成形体
15電解研磨液槽
16カソード
17 電解研磨液
18電気接点
21細長部材
22延長部
23アノード接続部
24 アノード回転部
25アノード支持部
26 アノード全体回転部
27循環水入口
28循環水出口
29スターラーバー
200マグネチックスターラー
211 電源
212 導電性ワイヤ
213 アノード導電性部材
214ステント
215 電解研磨液槽
216 カソード
217 電解研磨液
218 電気接点

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