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技術 銅及びマグネシウムからなる金属積層材及びその製造方法

出願人 東洋鋼鈑株式会社
発明者 黒川哲平橋本裕介
出願日 2016年5月31日 (5年0ヶ月経過) 出願番号 2016-108764
公開日 2017年12月7日 (3年6ヶ月経過) 公開番号 2017-213759
状態 特許登録済
技術分野 積層体(2) 非鉄金属または合金の熱処理
主要キーワード 長尺コイル マグネシウム合金層 安定化熱処理 圧延線 表面活性化接合法 ロール圧接 方位性 搬送材
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図面 (12)

課題

高い放熱性軽量性両立させ、さらに電気伝導性をも有するマグネシウム合金を用いた金属積層材を提供することを目的とする。

解決手段

銅層10/マグネシウム合金層20の2層構造を有し、界面に金属間化合物を有しない金属積層材1である。

概要

背景

金属積層材クラッド材)は、2種以上の異なる金属を互いに貼り合わせた材料であり、単独の材料では得られない複合特性を有する高機能性金属材料である。従来、このような金属積層材は、接合面の洗浄圧延接合等の各工程を経ることによって製造されている。

金属積層材の例として、ステンレスアルミニウムの金属積層材が知られている。この金属積層材は、アルミニウムの軽量性及びステンレスの強さの両方の特性を有しており、各々単一の材料と比べ、高い成形加工性及び放熱性を有するため、広く用いられている。

例えば、特許文献1には、外層材アルミニウム材として、芯材ステンレス鋼からなることを特徴とする3層クラッド構造を有する電子機器用放熱板素材が記載されている。

また、特許文献2には、ステンレス鋼板の一方の表面にAlを主成分とするAl基金属からなる硬質アルミニウム板を接合したクラッド材であって、前記ステンレス鋼板の硬度がHv400以下であり、一方前記硬質アルミニウム板の硬度がHv40以上であり、且つステンレス鋼板と硬質アルミニウム板との接合強度が0.3kgf/cm以上であるアルミニウム・ステンレス鋼クラッド材が記載されている。

しかし、モバイル電子機器等の各種電子機器への応用を考慮すると、電子機器のさらなる高機能化及び軽量化が進んだ場合、ステンレスとアルミニウムの金属積層材では軽量性と放熱性の高いレベルでの両立は困難である。

このような状況下、本発明者らは、金属積層材の構成材料としてマグネシウム合金に注目した。マグネシウム合金は、放熱性に優れ且つ軽量であり、アルミニウムよりも比強度が大きいという利点を有している。しかしながら、マグネシウム合金は、耐食性が悪く、また、すべり面が少ないため方位性があり、特に二軸方向の加工性極端に低いという問題があるため、マグネシウム合金を用いた金属積層材の従来例はアルミニウムを用いた金属積層材に比べると非常に限られている。

上記マグネシウム合金を用いた金属積層材の例として、特許文献3には、鋼で構成された第1の部材と、マグネシウム合金で構成された第2の部材とを接合する接合方法において、前記第1の部材と前記第2の部材との間に挿入部材を設置する挿入ステップと、前記挿入部材を設置した状態で前記第1の部材と前記第2の部材とを、前記挿入部材が溶融する所定温度まで加熱するステップとを備え、これにより前記第1の部材と前記第2の部材との界面に金属間化合物Fe2Al5を形成する接合方法が開示されている。この接合方法では、挿入部材を別途用いて溶融する温度まで加熱する必要があり、また得られる積層材は厚みが非常に大きく、積層材の用途が構造用部材に限られるという問題点がある。

また、特許文献4には、マグネシウム合金板及び鋼板材から構成され、前記マグネシウム合金板の表面と前記鋼板材の表面の間に1液性熱硬化型接着剤を介在させて積層した状態で、圧力を加えつつ加熱することにより、その1液性熱硬化型接着剤を硬化させた金属合金積層材が記載されている。この例では、接着剤を用いているため放熱性が低下する欠点があり、また、積層材の厚みが薄い範囲では放熱性の低下はより顕著になると予想される。

概要

高い放熱性と軽量性を両立させ、さらに電気伝導性をも有するマグネシウム合金を用いた金属積層材を提供することを目的とする。銅層10/マグネシウム合金層20の2層構造を有し、界面に金属間化合物を有しない金属積層材1である。

目的

本発明は、高い放熱性と軽量性を両立させ、さらに電気伝導性をも有するマグネシウム合金を用いた金属積層材及びその製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

銅層マグネシウム合金層の2層構造を有し、界面に金属間化合物を有しない金属積層材

請求項2

厚みが0.03mm〜1mmである請求項1に記載の金属積層材。

請求項3

銅層の厚み比率が、全体の5%〜70%である請求項1又は2に記載の金属積層材。

請求項4

界面にマグネシウム合金酸化物層が存在する請求項1〜3のいずれかに記載の金属積層材。

請求項5

マグネシウム合金層の熱導電率に対し、1.2倍以上の熱伝導率を有する請求項1〜4のいずれかに記載の金属積層材。

請求項6

マグネシウム合金層の体積抵抗率に対し、2/3以下の体積抵抗率を有する請求項1〜5のいずれかに記載の金属積層材。

請求項7

請求項1に記載の金属積層材の製造方法であって、銅の板材もしくは箔をスパッタエッチングする工程と、マグネシウム合金の板材もしくは箔をスパッタエッチングする工程と、前記銅及びマグネシウム合金の板材もしくは箔におけるスパッタエッチングした面を圧接し、銅層/マグネシウム合金層の2層構造を形成する工程と、を含む、前記金属積層材の製造方法。

請求項8

請求項4に記載の金属積層材の製造方法であって、銅の板材もしくは箔をスパッタエッチングし、表面の酸化物層を除去する工程と、マグネシウム合金の板材もしくは箔を、表面の酸化物層を残存させつつスパッタエッチングする工程と、前記銅及びマグネシウム合金の板材もしくは箔におけるスパッタエッチングした面を圧接し、銅層/マグネシウム合金層の2層構造を形成する工程と、を含む、前記金属積層材の製造方法。

請求項9

請求項7又は8に記載の製造方法によって得られた金属積層材に対し、さらに100℃〜200℃で10分〜6時間の熱処理を行う工程を含む、金属積層材の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、銅及びマグネシウムからなる金属積層材及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

金属積層材(クラッド材)は、2種以上の異なる金属を互いに貼り合わせた材料であり、単独の材料では得られない複合特性を有する高機能性金属材料である。従来、このような金属積層材は、接合面の洗浄圧延接合等の各工程を経ることによって製造されている。

0003

金属積層材の例として、ステンレスアルミニウムの金属積層材が知られている。この金属積層材は、アルミニウムの軽量性及びステンレスの強さの両方の特性を有しており、各々単一の材料と比べ、高い成形加工性及び放熱性を有するため、広く用いられている。

0004

例えば、特許文献1には、外層材アルミニウム材として、芯材ステンレス鋼からなることを特徴とする3層クラッド構造を有する電子機器用放熱板素材が記載されている。

0005

また、特許文献2には、ステンレス鋼板の一方の表面にAlを主成分とするAl基金属からなる硬質アルミニウム板を接合したクラッド材であって、前記ステンレス鋼板の硬度がHv400以下であり、一方前記硬質アルミニウム板の硬度がHv40以上であり、且つステンレス鋼板と硬質アルミニウム板との接合強度が0.3kgf/cm以上であるアルミニウム・ステンレス鋼クラッド材が記載されている。

0006

しかし、モバイル電子機器等の各種電子機器への応用を考慮すると、電子機器のさらなる高機能化及び軽量化が進んだ場合、ステンレスとアルミニウムの金属積層材では軽量性と放熱性の高いレベルでの両立は困難である。

0007

このような状況下、本発明者らは、金属積層材の構成材料としてマグネシウム合金に注目した。マグネシウム合金は、放熱性に優れ且つ軽量であり、アルミニウムよりも比強度が大きいという利点を有している。しかしながら、マグネシウム合金は、耐食性が悪く、また、すべり面が少ないため方位性があり、特に二軸方向の加工性極端に低いという問題があるため、マグネシウム合金を用いた金属積層材の従来例はアルミニウムを用いた金属積層材に比べると非常に限られている。

0008

上記マグネシウム合金を用いた金属積層材の例として、特許文献3には、鋼で構成された第1の部材と、マグネシウム合金で構成された第2の部材とを接合する接合方法において、前記第1の部材と前記第2の部材との間に挿入部材を設置する挿入ステップと、前記挿入部材を設置した状態で前記第1の部材と前記第2の部材とを、前記挿入部材が溶融する所定温度まで加熱するステップとを備え、これにより前記第1の部材と前記第2の部材との界面に金属間化合物Fe2Al5を形成する接合方法が開示されている。この接合方法では、挿入部材を別途用いて溶融する温度まで加熱する必要があり、また得られる積層材は厚みが非常に大きく、積層材の用途が構造用部材に限られるという問題点がある。

0009

また、特許文献4には、マグネシウム合金板及び鋼板材から構成され、前記マグネシウム合金板の表面と前記鋼板材の表面の間に1液性熱硬化型接着剤を介在させて積層した状態で、圧力を加えつつ加熱することにより、その1液性熱硬化型接着剤を硬化させた金属合金積層材が記載されている。この例では、接着剤を用いているため放熱性が低下する欠点があり、また、積層材の厚みが薄い範囲では放熱性の低下はより顕著になると予想される。

先行技術

0010

特開2015−62922号公報
特開2000−312979号公報
特許第5323927号公報
特許第5372469号公報

発明が解決しようとする課題

0011

上記のとおり、金属積層材としてマグネシウム合金を用いたものが検討されているが、従来のマグネシウム合金の積層材はいずれも問題点を有し、なお改良の必要があった。また、電子機器の高機能化において電気伝導性が求められる場合があるが、マグネシウム合金単体では対応できなかった。そこで本発明は、高い放熱性と軽量性を両立させ、さらに電気伝導性をも有するマグネシウム合金を用いた金属積層材及びその製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0012

本発明者らが鋭意検討を行った結果、マグネシウム合金に対して銅を積層させ、その界面状態を制御することで上記課題が解決されることを見出し、発明を完成した。すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。

0013

(1)銅層マグネシウム合金層の2層構造を有し、界面に金属間化合物を有しない金属積層材。
(2)厚みが0.03mm〜1mmである前記(1)に記載の金属積層材。
(3)銅層の厚み比率が、全体の5%〜70%である前記(1)又は(2)に記載の金属積層材。
(4)界面にマグネシウム合金の酸化物層が存在する前記(1)〜(3)のいずれかに記載の金属積層材。
(5)マグネシウム合金層の熱導電率に対し、1.2倍以上の熱伝導率を有する前記(1)〜(4)のいずれかに記載の金属積層材。
(6)マグネシウム合金層の体積抵抗率に対し、2/3以下の体積抵抗率を有する前記(1)〜(5)のいずれかに記載の金属積層材。
(7)前記(1)に記載の金属積層材の製造方法であって、
銅の板材もしくは箔をスパッタエッチングする工程と、
マグネシウム合金の板材もしくは箔をスパッタエッチングする工程と、
前記銅及びマグネシウム合金の板材もしくは箔におけるスパッタエッチングした面を圧接し、銅層/マグネシウム合金層の2層構造を形成する工程と、
を含む、前記金属積層材の製造方法。
(8)前記(4)に記載の金属積層材の製造方法であって、
銅の板材もしくは箔をスパッタエッチングし、表面の酸化物層を除去する工程と、
マグネシウム合金の板材もしくは箔を、表面の酸化物層を残存させつつスパッタエッチングする工程と、
前記銅及びマグネシウム合金の板材もしくは箔におけるスパッタエッチングした面を圧接し、銅層/マグネシウム合金層の2層構造を形成する工程と、
を含む、前記金属積層材の製造方法。
(9)前記(7)又は(8)に記載の製造方法によって得られた金属積層材に対し、さらに100℃〜200℃で10分〜6時間の熱処理を行う工程を含む、金属積層材の製造方法。

発明の効果

0014

本発明によれば、実用合金の中で最も軽量であり、且つ比強度の高いマグネシウム合金を用い、それに対して熱伝導性及び電気伝導性に優れる銅を、界面に金属間化合物を有さない状態で積層させることで、優れた軽量性及び放熱性を有し、さらに電気伝導性が付与された金属積層材を得ることができる。このような金属積層材は、マグネシウム合金と銅を表面活性化接合法にて積層させることにより得ることができる。

図面の簡単な説明

0015

本発明の金属積層材の一実施形態を模式的に示す断面図である。
マグネシウム合金層の厚み比率と熱伝導率向上倍率との関係を示すグラフである。
異なる熱処理温度における熱処理時間とピール強度との関係を示すグラフである。
実施例1に係る金属積層材の集束イオンビーム走査電子顕微鏡(FIB−SEM)像である。
実施例1に係る金属積層材の集束イオンビーム走査電子顕微鏡(FIB−SEM)像である。
比較例1に係る金属積層材の集束イオンビーム走査電子顕微鏡(FIB−SEM)像である。
実施例4に係る金属積層材をピール強度試験により引き剥がした後の銅層の面の走査電子顕微鏡(SEM)像である。
実施例4に係る金属積層材をピール強度試験により引き剥がした後の銅層の面のエネルギー分散X線(EDX)分析結果を示す図である。
比較例1に係る金属積層材をピール強度試験により引き剥がした後の銅層の面の走査電子顕微鏡(SEM)像である。
比較例1に係る金属積層材をピール強度試験により引き剥がした後の銅層の面のエネルギー分散型X線(EDX)分析結果を示す図である。
実施例1に係る金属積層材の界面におけるX線光電子分光(XPS)分析結果を示す図である。

0016

以下、本発明を詳細に説明する。
図1に示すように、本発明の金属積層材1は、銅層10に、マグネシウム合金層20を積層させた2層構造を有しており、界面に金属間化合物を有しないことを特徴とする。金属間化合物の例として、Mg2Cu、Cu2Mg等が想定される。図1の金属積層材は、銅とマグネシウム合金の性質を併せ持つため、優れた放熱性を示し、且つ軽量であり、また電気伝導性を有する高機能材料である。なお、ここで「界面に金属間化合物を有しない」とは、界面を5000〜10000倍で観察することにより、界面の生成物の有無の確認が可能であり、本発明においては0.1μm以上の生成物の形成がない状態である。具体的には、金属積層材をピール強度試験機により銅層とマグネシウム合金層とに引き剥がし、その引き剥がした銅層の面についてエネルギー分散型X線(EDX)分析を行ったとき、その破断界面剥離である場合に、つまり母材内破断ではない場合に、観測されるマグネシウムの強度が、銅の強度の1000分の1未満であることをもって、「界面に金属間化合物を有しない」状態であるとする。なお、母材の銅合金にマグネシウムが含まれる場合は、銅合金単体のEDX分析結果と比較し、マグネシウム合金層由来マグネシウム量を特定した上で銅の強度と比較する。また、母材内破断と界面剥離との相違は、例えばマグネシウム合金層内で母材内破断している場合は、銅層側の剥離面においてオージェ電子分光法により分析したときにマグネシウム合金層に含まれる以外の元素(例えば銅)の検出がないことにより判断可能である。

0017

銅層10としては、銅の板材もしくは箔を用いることができる。銅は、金属積層材の用途にもよるが、放熱性や電気伝導性等をより高める場合には純度が高いものが好ましく、具体的には99.0質量%以上、より好ましくは99.5質量%以上であるが、これに限定されるものではない。銅箔としては、圧延銅箔電解銅箔メタライズによる銅箔等を用いることができる。銅に合金元素を添加して銅合金とする場合、これらの添加元素不可避的不純物との合計含有量は1.0質量%未満であることが好ましい。特に、銅に対して、Sn、Mn、Cr、Zn、Zr、Ni、Si、Mg及びAgの群から選ばれる少なくとも1種を合計で200〜2000質量ppm添加すると、純銅に比べて伸びが向上するため好ましい。また、銅の板材もしくは箔の厚みは、通常0.01mm以上であれば適用可能であり、得られる金属積層材の機械的強度及び加工性の観点から、0.01mm〜0.9mmであることが好ましく、0.01mm〜0.7mmであることがより好ましいが、この範囲に限定されるものではない。なお、本発明における板材もしくは箔の「厚み」は、マイクロメータ等によって測定可能であり、対象材料全範囲からランダムに選択した10点において測定した厚みの平均値をいう。また、用いる銅の板材もしくは箔については、10点の測定値の平均値からのずれ(以下、「厚みムラ」という)が全ての測定値で10%以内であることが好ましい。特に厚みが1mm未満の薄い箔を用いる場合には、厚みムラの値が大きいと放熱性にばらつきが出ることが懸念されるため、厚みムラの値は小さい方が好ましい。

0018

マグネシウム合金層20としては、マグネシウム合金の板材もしくは箔を用いることができる。マグネシウム合金の具体例として、AZ31、AZ61、AZ91、LZ91等を挙げることができる。また、マグネシウム合金の板材もしくは箔の表面硬度Hvは、大き過ぎると接合後の金属積層材の成形加工性が低下し、逆に小さ過ぎるとハンドリングが困難になるため、これらを考慮して適宜選択される。好ましくは30≦Hv≦100であるが、これに限定されるものではない。さらに、マグネシウム合金の板材もしくは箔の厚みは、通常0.01mm以上であれば適用可能であり、得られる金属積層材の機械的強度及び加工性の観点から、0.01mm〜0.99mmであることが好ましいが、この範囲に限定されるものではない。なお、金属積層材の厚みを薄くすることが目的である場合は、マグネシウム合金の板材もしくは箔の厚みは0.01mm〜0.7mmであることが好ましく、0.01mm〜0.5mmであることがより好ましい。厚みムラは、銅層の場合と同様に、全ての測定値で10%以内であることが好ましい。

0019

金属積層材1の厚み(図1におけるa+b)は、薄過ぎるとハンドリング性が困難となり、逆に厚過ぎると、銅層の厚みが厚い場合には軽量化のメリットが小さくなり、マグネシウム合金層の厚みが厚い場合にはリールtoリールでの連続生産が難しくなるため、これらのバランスを考慮して適宜設定される。具体的には、0.03mm〜1mm、特に0.05mm〜0.7mmであることが好ましい。

0020

また、金属積層材1全体に対する銅層10の厚み比率(a/(a+b)×100)は、特に限定されるものではないが、銅層及びマグネシウム合金層のそれぞれの特性を生かすため、5%〜70%の範囲が適当であり、特に8%〜50%の範囲であることが好ましい。なお、本発明において、銅層及びマグネシウム合金層の各層の厚みは、対象とする幅1mm×長さ1mの金属積層材の全範囲からランダムに選択した10点において測定した厚みの平均値をいう。なお、各層の厚みの測定は、例えば集束イオンビーム走査電子顕微鏡(FIB−SEM)の測長機能を利用することにより可能である。また、金属積層材の圧下率が0%である場合は、その金属積層材の製造に用いた銅及びマグネシウム合金の板材もしくは箔の厚みを、金属積層材における各層の厚みとしてそのまま利用することができる。

0021

金属積層材1において、マグネシウム合金層及び銅層の厚み比率をそれぞれaMg、aCuとし、マグネシウム合金層及び銅層の熱伝導率をそれぞれKMg、KCuとすると、金属積層材の熱伝導率KCLADは次式により表される。
KCLAD=aMg・KMg+aCu・KCu
上式に基づき、マグネシウム合金層(AZ31)の厚み比率が100%(すなわち、マグネシウム合金層単体)の熱伝導率を1倍としたときの、マグネシウム合金層の厚み比率の減少(銅層の厚み比率の増加)に伴う熱伝導率向上倍率の変化を図2に示す。図2に示すように、銅層10の厚み比率を増加させることにより、全体の熱伝導率を向上させることができる。電子機器への応用を考慮すると、金属積層材1の熱伝導率は、マグネシウム合金層の熱伝導率の1.2倍以上であることが好ましく、特に好ましくは1.5倍以上である。

0022

また、マグネシウム合金層に対し銅層を積層することで、得られる金属積層材の体積抵抗率を減少させ、電気伝導性を付与することができる。体積抵抗率の減少幅は、銅層の厚み比率が大きい程大きくなり、用途に応じて適宜設計することができるが、特に、金属積層材の体積抵抗率が、マグネシウム合金層の2/3以下であることが好ましい。

0023

さらに、金属積層材1における界面とは反対側の銅層10の面及びマグネシウム合金層20の面には、必要に応じて、目的となる導電性、放熱性を妨げない程度に、耐食性、酸化防止変色防止等を目的として保護層を設けることができる。銅層10に対する保護層の例としては、化成処理層Niめっき層等を挙げることができる。また、マグネシウム合金層20に対する保護層の例としては、銅やアルミニウム等の金属層リン酸系、クロメート系陽極酸化処理といった化成処理層を挙げることができるが、マグネシウム合金層が最表層にあることが必要な場合には設ける必要はない。

0024

金属積層材1を製造するに際しては、銅の板材もしくは箔と、マグネシウム合金の板材もしくは箔を準備し、これらを冷間圧延接合、熱間圧延接合表面活性化接合等の各種の方法により互いに接合して行うことができる。冷間圧延接合の場合、圧下率を高くするとマグネシウム合金層が割れて接合が困難になるため、マグネシウム合金層が割れない条件下で接合することが必要である。また、接合した後には安定化熱処理を施すことが好ましい。熱間圧延接合は、接合材再結晶温度以上の熱を加えながら圧延接合する方法であり、冷間圧延接合に比べて低い力で接合することができるが、接合界面に金属間化合物を生成し易い。したがって、金属間化合物を生成しないよう、加熱温度、加熱時間の条件の選択に留意するものとする。

0025

金属積層材1を製造する方法として好ましい態様は次のとおりである。まず、銅の板材もしくは箔(以下、「箔等」という場合がある)をスパッタエッチングする工程と、マグネシウム合金の板材もしくは箔をスパッタエッチングする工程とを経て、銅の板材もしくは箔及びマグネシウム合金の板材もしくは箔におけるスパッタエッチングした面を圧接し、銅層/マグネシウム合金層の2層構造を形成することにより図1に示す金属積層材1を製造することができる。この方法は、圧下率を低くすることができ(数%以下)、常温でもマグネシウム合金層が割れることなく接合することが可能であるため好ましい。

0026

スパッタエッチング処理は、例えば、銅の箔等及びマグネシウム合金の箔等を、幅100mm〜600mmの長尺コイルとして用意し、接合面を有する銅とマグネシウム合金をそれぞれアース接地した一方の電極とし、絶縁支持された他の電極との間に1MHz〜50MHzの交流印加してグロー放電を発生させ、且つグロー放電によって生じたプラズマ中に露出される電極の面積を前記の他の電極の面積の1/3以下として行うことができる。スパッタエッチング処理中は、アース接地した電極が冷却ロールの形をとっており、各搬送材温度上昇を防いでいる。

0027

スパッタエッチング処理では、真空下で銅とマグネシウム合金の接合する面を不活性ガスによりスパッタすることにより、表面の吸着物を完全に除去し、且つ表面の酸化物層の一部又は全部を除去する。マグネシウム合金の場合は特に、酸化物層は必ずしも完全に除去する必要はなく、一部残存した状態であっても十分な接合力を得ることができる。酸化物層を残存させつつスパッタエッチングを行うことにより、酸化物層を完全に除去する場合に比べてスパッタエッチング処理時間を大幅に減少させ、金属積層材の生産性を向上させることができる。一方、銅の酸化物層は完全に除去することが好ましい。不活性ガスとしては、アルゴンネオンキセノンクリプトン等や、これらを少なくとも1種類含む混合気体を適用することができる。銅及びマグネシウム合金のいずれについても、表面の吸着物は、エッチング量約1nm程度で完全に除去することができ、銅の酸化物層は通常5nm〜12nm(SiO2換算)程度で除去が可能である。

0028

銅についてのスパッタエッチング処理は、真空下で、例えば、100W〜10kWのプラズマ出力ライン速度0.5m/分〜30m/分で行うことができる。この時の真空度は、表面への再吸着物を防止するため高い方が好ましいが、例えば、1×10−5Pa〜10Paであれば良い。スパッタエッチング処理において、銅の温度は、好ましくは常温〜150℃に保たれる。

0029

マグネシウム合金についてのスパッタエッチング処理は、真空下で、例えば、100W〜10kWのプラズマ出力、ライン速度0.5m/分〜30m/分で行うことができる。この時の真空度は、表面への再吸着物を防止するため高い方が好ましいが、1×10−5Pa〜10Paであれば良い。

0030

銅の箔等とマグネシウム合金の箔等との圧接は、ロール圧接により行うことができる。ロール圧接の圧延線荷重は、特に限定されずに、例えば、0.1〜10tf/cmの範囲に設定して行うことができる。またロール圧接による接合時の温度は、特に限定されずに、例えば、常温〜150℃である。

0031

圧接する際の圧下率は、10%を超えると厚みムラが悪くなる傾向があるため、好ましくは8%以下、さらに好ましくは5%以下である。なお、圧接の前後で厚さは変わらなくても良いため、圧下率の下限値は0%である。

0032

ロール圧接による接合は、銅とマグネシウム合金表面への酸素の再吸着によって両者間の接合強度が低下するのを防止するため、非酸化雰囲気中、例えばAr等の不活性ガス雰囲気中で行うことが好ましい。

0033

圧接により得られた2層構造を有する金属積層材は、必要に応じて、さらに熱処理を行うことが好ましい。熱処理によって、マグネシウム合金層の加工ひずみが除かれ、層間の密着性を向上させることができる。この熱処理は、高温で長時間行うと、界面に金属間化合物を生成し、密着性(ピール強度)が低下する傾向があるため、適切な条件下で行う必要がある。例えば、100℃〜200℃で10分〜6時間の熱処理を行うことが好ましい。
以上の工程により2層構造の金属積層材を得ることができる。

0034

以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

0035

(体積抵抗率調査
厚みがそれぞれ16μm、50μm及び100μmの銅箔と、マグネシウム合金の箔として厚み44μmのAZ31を用いた。これらを圧接するにあたり、銅箔とマグネシウム合金の箔に対してスパッタエッチング処理を施した。銅箔についてのスパッタエッチングは、0.1Pa下で、プラズマ出力700W、20分間の条件にて実施し、マグネシウム合金の箔についてのスパッタエッチングは、0.1Pa下で、プラズマ出力700W、20分間の条件にて実施し、銅箔及びマグネシウム合金の箔の表面の吸着物を完全に除去した。スパッタエッチング処理後の銅箔とマグネシウム合金の箔とを、常温で、圧延線荷重1.5tf/cmにてロール圧接により接合して2層構造を有する金属積層材を製造した。最終的に得られた積層材の圧下率は下記式1により算出され、厚みが16μm、50μm及び100μmの銅箔を用いたものについて全て0%であった。
供試材の各厚みの総和−積層材の厚み)/(供試材の各厚みの総和)×100(%)・・・式(1)

0036

得られた金属積層材について、日置電機ミリオームハイテスタ3540を用いて体積抵抗率(μΩcm)を測定した。その結果を、マグネシウム合金の箔単体の体積抵抗率とともに表1に示す。表1の結果から、マグネシウム合金層に対し銅層を積層させることで、体積抵抗率をマグネシウム合金層単体の60%以下にできることが分かった。また、銅層の厚み比率が27%の場合と53%の場合とでは、体積抵抗率は同程度に小さいことが明らかとなった。

0037

0038

(熱処理による影響調査)
次に、厚み16μmの銅箔と厚み44μmのマグネシウム合金の箔から製造した上記の金属積層材を実施例1として、この金属積層材に対し表2に示す各条件で熱処理を施した。熱処理後、オリエンテックテンシロン万能試験機RTC−1210Aを用いて、ピール強度(180°)を測定し密着性を調べた。その結果を表2及び図3に示す。また、実施例1(熱処理なし)の金属積層材の断面の集束イオンビーム走査電子顕微鏡(FIB−SEM)像(FIB−SEM:日本電子製JEM−9320FIB)を図4及び5に、比較例1(300℃×6時間の熱処理)の金属積層材の断面のFIB−SEM像図6にそれぞれ示す。

0039

0040

図4及び5に示すように、熱処理を行わない実施例1の金属積層材においては、銅層とマグネシウム合金層との界面に生成物は確認されなかった。一方、300℃で6時間の熱処理を行った比較例1の金属積層材では、図6に示すように界面において厚み0.1μm以上の生成物層が観測された。また、比較例1の金属積層材は、図3に示すように、熱処理を行わない実施例1の金属積層材に比べてピール強度が低下した。この結果は、300℃、6時間の熱処理によって現れる界面の生成物層によるものと考えられる。

0041

次に、100℃で6時間の熱処理を行った実施例4の金属積層材について、ピール試験後の銅層側の剥離面のSEM観察を行った(SEM:日立ハイテクノロジーズ製SU8020)。その結果を図7に示す。また、その剥離面についてエネルギー分散型X線(EDX)分析を行った(EDX:AMETEK製OCTANE SUPER)。その結果を図8に示す。同様にして、300℃で6時間の熱処理を行った比較例1の剥離面のSEM像を図9に、EDX分析結果を図10にそれぞれ示す。

0042

実施例4(図7)と比較例1(図9)では剥離後の表面において比較例1の方が明らかに凹凸が大きく、破壊形態脆性破壊と考えられた。また、図8及び図10に示すように、実施例4ではCuのみが検出されたのに対し、比較例1ではCu及びMgの両元素が検出された。これらの観察結果から、比較例1の300℃×6時間の熱処理では、界面に銅とマグネシウムの金属間化合物が生成し、これにより脆性破壊が生じるためピール強度が低下するものと考えられた。

0043

(酸化物層の測定)
金属積層材の界面における酸化物層について、XPS(X線光電子分光)(アルバックファイ社製PHI5000VersaProbeII)を用いて確認した。
図11は、実施例1の金属積層材において、銅層側からエッチングを行い測定したものである。なお、XPSでの測定にあたっては、銅層をある程度研磨した後にエッチングを開始した。

0044

図11に示すように、銅層内では酸素は検出されないが、マグネシウムの検出値増加とともに酸素の検出も増加し、界面からマグネシウム合金層内へとエッチングが進むと酸素の検出が減少した。このことから、銅層表面の酸化物層は接合時のスパッタエッチングにより除去されており、マグネシウム合金層表面の酸化物層に由来する酸素が検出されたものと考えられ、マグネシウム合金の酸化物層が金属積層材の界面に存在することが確認された。

実施例

0045

マグネシウム合金の酸化物層の厚みは、厳密には測定できないが、XPSにおいてエッチングレートをSiO2換算として、エッチング時間とかけあわせて算出される酸化物層の厚みは2000nm〜5000nm程度であった。

0046

1金属積層材
10銅層
20 マグネシウム合金層

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