図面 (/)

技術 光励起材料

出願人 富士通株式会社
発明者 穴澤俊久今中佳彦眞鍋敏夫天田英之井土幸夫熊坂文明淡路直樹
出願日 2016年5月31日 (4年5ヶ月経過) 出願番号 2016-108751
公開日 2017年12月7日 (2年10ヶ月経過) 公開番号 2017-213510
状態 特許登録済
技術分野 硫黄、窒素等及びそれらの化合物;過化合物 触媒
主要キーワード 平衡距離 反結合 スーパーセル内 各原子間 応答光 サイト間距離 頂上付近 人工光合成
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年12月7日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (12)

課題

光エネルギーを高い効率で利用可能な、狭禁制帯幅光励起材料の提供。

解決手段

ガリウムと、亜鉛と、窒素と、酸素とを含有するウルツ鉱型固溶体結晶である光励起材料であって、広域X線吸収微細構造分析から得られる、前記光励起材料におけるガリウム又は亜鉛の近接原子の距離と存在率との関係において、前記ガリウム又は前記亜鉛の第1近接原子である窒素又は酸素の存在率のピークAと、前記ガリウム又は前記亜鉛の第2近接原子であるガリウム又は亜鉛の存在率のピークBとが、下記関係式(1)を満たすことを特徴とする光励起材料。 A>B ・・・関係式(1)

概要

背景

近年、太陽光エネルギーを利用する技術として、人工光合成技術、光触媒技術などが盛んに開発されている。前記人工光合成技術では、水から水素ガスを生成したり、水と炭酸ガスから有機物を合成したりする。前記光触媒技術では、例えば、汚染物質を分解する。これらの技術には、光励起材料が用いられている。

前記光励起材料は、価電子帯と伝導帯との間に禁制帯を持つ半導体である。前記光励起材料においては、太陽光を吸収して前記価電子帯の電子が前記伝導帯に励起され、前記価電子帯には正孔が生じる。生成したそれらの励起電子又は正孔が、水や汚染物質を還元又は酸化する。ここで、太陽光エネルギーの利用率を高めるためには太陽光スペクトル短波長からできるだけ長波長まで吸収する光励起材料を開発する必要がある。そのためには、禁制帯のエネルギー幅を狭くしなければならない。

窒化ガリウム(GaN)及び酸化亜鉛(ZnO)は、禁制帯幅がそれぞれ約3.1eV及び約3.2eVの紫外光応答光励起材料である。GaN及びZnOは、両者ともウルツ鉱型結晶構造であり、任意の比率で混合して同じ結晶構造のGaxNxZn1−xO1−x固溶体を形成可能である(例えば、特許文献1参照)。

概要

光エネルギーを高い効率で利用可能な、狭禁制帯幅の光励起材料の提供。ガリウムと、亜鉛と、窒素と、酸素とを含有するウルツ鉱型固溶体結晶である光励起材料であって、広域X線吸収微細構造分析から得られる、前記光励起材料におけるガリウム又は亜鉛の近接原子の距離と存在率との関係において、前記ガリウム又は前記亜鉛の第1近接原子である窒素又は酸素の存在率のピークAと、前記ガリウム又は前記亜鉛の第2近接原子であるガリウム又は亜鉛の存在率のピークBとが、下記関係式(1)を満たすことを特徴とする光励起材料。 A>B ・・・関係式(1)A

目的

本発明は、光エネルギーを高い効率で利用可能な、狭禁制帯幅の光励起材料を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

ガリウムと、亜鉛と、窒素と、酸素とを含有するウルツ鉱型固溶体結晶である光励起材料であって、広域X線吸収微細構造分析から得られる、前記光励起材料におけるガリウム又は亜鉛の近接原子の距離と存在率との関係において、前記ガリウム又は前記亜鉛の第1近接原子である窒素又は酸素の存在率のピークAと、前記ガリウム又は前記亜鉛の第2近接原子であるガリウム又は亜鉛の存在率のピークBとが、下記関係式(1)を満たすことを特徴とする光励起材料。A>B・・・関係式(1)

請求項2

下記一般式(1)で表される請求項1に記載の光励起材料。GaxNxZn1.00−xO1.00−x・・・一般式(1)ただし、前記一般式(1)中、xは、0.00<x<1.00を満たす。

請求項3

xが、0.25≦x≦0.75を満たす請求項2に記載の光励起材料。

請求項4

バンドギャップエネルギーが2.5eV以下である請求項1から3のいずれかに記載の光励起材料。

技術分野

0001

本発明は、光エネルギーを高効率に利用可能な光励起材料に関する。

背景技術

0002

近年、太陽光エネルギーを利用する技術として、人工光合成技術、光触媒技術などが盛んに開発されている。前記人工光合成技術では、水から水素ガスを生成したり、水と炭酸ガスから有機物を合成したりする。前記光触媒技術では、例えば、汚染物質を分解する。これらの技術には、光励起材料が用いられている。

0003

前記光励起材料は、価電子帯と伝導帯との間に禁制帯を持つ半導体である。前記光励起材料においては、太陽光を吸収して前記価電子帯の電子が前記伝導帯に励起され、前記価電子帯には正孔が生じる。生成したそれらの励起電子又は正孔が、水や汚染物質を還元又は酸化する。ここで、太陽光エネルギーの利用率を高めるためには太陽光スペクトル短波長からできるだけ長波長まで吸収する光励起材料を開発する必要がある。そのためには、禁制帯のエネルギー幅を狭くしなければならない。

0004

窒化ガリウム(GaN)及び酸化亜鉛(ZnO)は、禁制帯幅がそれぞれ約3.1eV及び約3.2eVの紫外光応答光励起材料である。GaN及びZnOは、両者ともウルツ鉱型結晶構造であり、任意の比率で混合して同じ結晶構造のGaxNxZn1−xO1−x固溶体を形成可能である(例えば、特許文献1参照)。

先行技術

0005

特開2006−116415号公報

発明が解決しようとする課題

0006

GaxNxZn1−xO1−x固溶体では、禁制帯幅は、純水なGaN及びZnOよりも狭くなる。これは、GaxNxZn1−xO1−x固溶体においては、価電子帯の頂上付近に新たに(N 2p)−(Zn 4s, 4p)結合が生じるためと考えられる。
禁制帯幅の狭帯化は、光エネルギーの高利用効率化をもたらす。しかし、単純に、窒化ガリウム(GaN)及び酸化亜鉛(ZnO)を固溶体化しただけでは、禁制帯幅の狭帯化には限界がある。
そこで、本発明は、光エネルギーを高い効率で利用可能な、狭禁制帯幅の光励起材料を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

一つの態様では、光励起材料は、
ガリウムと、亜鉛と、窒素と、酸素とを含有するウルツ鉱型固溶体結晶である光励起材料であって、
広域X線吸収微細構造分析から得られる、前記光励起材料におけるガリウム又は亜鉛の近接原子の距離と存在率との関係において、前記ガリウム又は前記亜鉛の第1近接原子である窒素又は酸素の存在率のピークAと、前記ガリウム又は前記亜鉛の第2近接原子であるガリウム又は亜鉛の存在率のピークBとが、下記関係式(1)を満たす。
A>B ・・・関係式(1)

発明の効果

0008

一つの側面では、光エネルギーを高い効率で利用可能な、狭禁制帯幅の光励起材料を提供できる。

図面の簡単な説明

0009

図1は、GaxNxZn1−xO1−xの電子状態の模式図である。
図2は、GaxNxZn1−xO1−xの伝導帯の分散を説明する模式図である。
図3は、計算に用いたGa8Zn8N8O8スーパーセルの模式図である。
図4は、図3に示したモデルで、(a)ガリウムと窒素、及び(b)亜鉛と酸素の位置をc軸方向に変位させたときの変位量と禁制帯幅の関係を示すグラフである。
図5Aは、Ga0.5N0.5Zn0.5O0.5粉体写真である。
図5Bは、Ga0.5N0.5Zn0.5O0.5粉体をNPD成膜して得られる薄膜の写真である(その1)。
図5Cは、Ga0.5N0.5Zn0.5O0.5粉体をNPD成膜して得られる薄膜の写真である(その2)。
図6Aは、広域X線吸収微細構造によりGa原子について求めた隣接原子までの原子間距離配位数との関係を示すグラフである。
図6Bは、広域X線吸収微細構造によりZn原子について求めた隣接原子までの原子間距離と配位数との関係を示すグラフである。
図7は、図6A及び図6Bピーク強度原子位置のばらつきを説明するグラフである。
図8は、GaxNxZn1−xO1−x固溶体でxを変化させたときの禁制帯幅を、熱力学的に安定な粉体と条件SでNPD成膜した薄膜とについて示したグラフである。

実施例

0010

(光励起材料)
開示の光励起材料は、ガリウムと、亜鉛と、窒素と、酸素とを含有する。
前記光励起材料は、ウルツ鉱型の固溶体結晶である。
前記光励起材料は、広域X線吸収微細構造分析から得られる、前記光励起材料におけるガリウム又は亜鉛の近接原子の距離と存在率との関係において、ガリウム又は亜鉛の第1近接原子である窒素又は酸素の存在率のピークAと、ガリウム又は亜鉛の第2近接原子であるガリウム又は亜鉛の存在率のピークBとが、下記関係式(1)を満たす。
A>B ・・・関係式(1)

0011

前記光励起材料は、下記一般式(1)で表されることが好ましい。
GaxNxZn1.00−xO1.00−x ・・・一般式(1)
ただし、前記一般式(1)中、xは、0.00<x<1.00を満たし、0.25≦x≦0.75を満たすことが好ましい。

0012

前記光励起材料は、バンドギャップエネルギーが2.5eV以下であることが好ましく、2.2eV以下であることがより好ましい。前記バンドギャップエネルギーの下限値としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記バンドギャップエネルギーは、2.0eV以上などが挙げられる。

0013

前記光励起材料は、光を吸収して励起する材料である。

0014

本発明者らは、GaxNxZn1−xO1−x固溶体においてはxが0.5程度で最も禁制帯幅が狭くなることを見出している。このときの禁制帯幅(バンドギャップエネルギー)は約2.5eVである。
GaxNxZn1−xO1−xにおいてこれまでに得られている最も狭い禁制帯幅はxが0.5の場合の約2.5eVであるが、太陽光スペクトルで光子エネルギー2.5eV以上の輻射総エネルギー輻射の20%に過ぎない。そこでGaxNxZn1−xO1−xの禁制帯幅をさらに狭め、太陽光の利用効率を向上させることを目的に、本発明者らは検討を重ねた。

0015

本発明者らは、検討を重ねた結果、GaxNxZn1−xO1−x結晶を構成する金属イオン間(Ga3+−Ga3+、Zn2+−Zn2+、Ga3+−Zn2+)の距離を縮小することにより、GaxNxZn1−xO1−xの禁制帯幅をさらに狭くできることを見出した。

0016

なお、この場合、金属イオン(Ga3+又はZn2+)−陰イオン(N3−又はO2−)間の距離はできるだけ縮小させないことが好ましい。そのためには、金属イオンの位置を理想的な結晶構造で規定される位置からずらせばよい。その場合、一部の金属イオン間の距離は拡大されるが、他の一部の金属イオン間距離は縮小される。GaxNxZn1−xO1−x固溶体においては、金属イオンの位置がずれても金属イオンを取り囲む陰イオンとの距離はほぼ一定のままで、陰イオンが構成する四面体が歪むことで金属イオンの位置のずれが吸収される。

0017

GaxNxZn1−xO1−x固溶体において金属イオンの位置をずらすことは、結晶粉体に歪みを加えながら基板上に堆積させることで実現可能である。そのためには後述のナノ粒子堆積法(Nano Particle Deposition: NPD)が好適に利用できる。

0018

図1にGaxNxZn1−xO1−xの電子状態の模式図を示す。Ga又はZnの4s,4p軌道がO又はNの2p軌道と結合して、結合−反結合準位が形成される。ここで、GaxNxZn1−xO1−xはイオン性が強いため、金属4s,4p電子はイオン化してほぼ陰イオンの2p軌道に移動している。陰イオン2p軌道の性質を持つ結合準位は電子で占有され、金属4s,4p軌道の性質を持つ反結合準位は空準位となる。さらに結合準位は価電子帯を構成し反結合準位は伝導帯を構成する。

0019

ここで図2に示すように、伝導帯は、ブリルアンゾーンの中心(Γ点)では、反結合準位からなる波動関数位相が結晶の各サイト間でそろった結合的な状態であり、最もエネルギーが低くなっている(伝導帯底:CBM)。逆に、伝導帯は、ブリルアンゾーンの端では、各サイト間で波動関数が逆位相であり、各サイト間で反結合的な相互作用を与える場合には最もエネルギーが高い。この、最高最低エネルギー差バンド幅であり、サイト間の距離を平衡距離から近づけることにより相互作用を強めてバンド幅を拡大することができる。バンド幅が拡大されれば禁制帯幅は逆に縮小される。以上の原理によって、伝導帯を構成するサイト間距離すなわち金属イオン間距離を縮小することで、禁制帯幅を縮減することが可能となる。

0020

なお、金属イオン間の距離を全て縮小するためには結晶全体の寸法を縮小しなければならないが、この場合には必然的に金属原子間のみならず金属イオン−陰イオン間距離も縮小される。金属イオン−陰イオン間の距離が近づけば図1に示した結合−反結合準位の分離幅が大きくなり、禁制帯幅は逆に広がってしまうため、主に金属イオン間距離のみを近づけることが必要である。金属イオンの位置を理想的な結晶構造で決まる位置からずらすことにより、一部は遠ざかるものの、一部は近づけることができる。この場合、距離が遠ざかった部分では伝導帯幅は狭くなり禁制帯幅が広がることになるが、結晶全体で見れば距離が近づいた部分で広がった伝導帯が存在するために、結局禁制帯幅は狭くなる。

0021

<第一原理密度汎関数理論シミュレーション
金属イオンの位置を理想的な結晶構造で決められる位置からずらしたGaxNxZn1−xO1−xの禁制帯幅を、第一原理(ab initio)密度汎関数理論(Density Functional Theory:DFT)シミュレーションで求めた。xは禁制帯幅が最も狭くなる0.5とし、計算モデルとしてはGa8Zn8N8O8の32原子スーパーセルを用いた。

0022

ウルツ鉱型結晶構造の単位セルは2種類の原子(典型的には陽イオンと陰イオン)が1個ずつ計2原子の原子を含んだ菱面体である。しかし、陽イオン(あるいは金属イオン)と陰イオンがそれぞれ複数成分で構成される固溶体は、周期性という観点からの厳密な意味での結晶とは異なるものである。しかし、固溶体を構成する陽イオン及び陰イオンをそれぞれ同じものとみなせば、広い意味でのウルツ鉱型結晶と呼ぶことができる。本発明では、ウルツ鉱型結晶構造という用語は全てこの意味で用い、単位セルもこれに対応した2原子(イオンセルを指す。ここで、固溶体では各部分で各単位セルを構成する元素が異なるため、ウルツ鉱型結晶構造の単位セルを2個組み合わせ、セルの境界格子定数整数倍移動して4原子の菱形柱セルとした。この4原子菱形柱セルをさらにa軸、b軸、c軸方向にそれぞれ2倍、都合8倍して32原子スーパーセルを構成した。スーパーセル内におけるGa、N、Zn、Oの各原子の配列はSpecial quasirandom structureとした。a・b軸、c軸の寸法はGa0.5Zn0.5N0.5O0.5に対してX線回折(XRD)で実測した値とした。その後、XRDで得られたa・b軸とc軸の比を保ったままシミュレーションで得られる全エネルギーが最もエネルギーが小さくなるようにセルの寸法を最適化した。さらにシミュレーションから求められる各原子間に働く力が十分に低くなるように各原子のセル内配置を緩和させた。このようにして得られたスーパーセルの構造を図3に示す。このとき禁制帯幅は0.7eVであった。この値は実験値(2.5eV)よりも小さくなっている。しかし、禁制帯幅が実験値よりも小さく計算されるのはDFTシミュレーションで一般的に見られることである。DFTシミュレーションは、絶対値は異なるものの禁制帯幅の増減傾向や、価電子帯及び伝導帯の電子構造実験結果をよく再現することが知られている。

0023

次に、図3のスーパーセルで、Ga又はZnの位置をずらした。ウルツ鉱型結晶構造では、各原子はc軸方向に比較的移動しやすいことが知られているため、移動はc軸方向とした。ここで、単純にGa又はZnの位置のみをc軸方向に移動させると、c軸方向で直接結合しているN又はOとの距離が大きく変化してしまう。そのため、そのN又はOも同じ方向に同じ大きさだけ移動させた。この場合、Ga又はZnと、そのGa又はZnと直接結合しているc軸方向に無い他の3個のN又はOとの距離も厳密には変化するが、Ga又はZnとN又はOとの結合と、Ga又はZnの移動方向とが110°程度の角をなすため、変化量は小さい。

0024

図4に、図3のスーパーセルでc軸方向に(a)[Ga−N]、及び(b)[Zn−O]の位置を変化させたときの禁制帯幅の変化の例を示す。移動させた原子組([Ga−N]か[Zn−O]か)及び移動方向(c軸の正方向か負方向か)によって効果の大きさは異なるものの、いずれの場合も禁制帯幅が縮減された。Ga0.5N0.5Zn0.5O0.5において、金属原子の位置を結晶構造で決められる位置からずらすことにより、従来よりも禁制帯幅が小さい光励起材料を創成することができた。

0025

<ナノ粒子堆積法による成膜>
ナノ粒子堆積法(Nano Particle Deposition: NPD)で実際に成膜した薄膜を開示する。
NPDはマイクロメートル径程度の粉体を原料とし、不活性キャリアガスとともにノズルから真空中に前記原料を噴出して基板上に前記原料を堆積する成膜法である。NPDではキャリアガスの高速気流により原料粉体同士がノズル中で衝突ナノメートルサイズにまで破砕される。破砕片の破砕表面は未結合手露出した表面エネルギーの高い状態となっている。その破砕片は基板上に吹き付けられ、基板と又は他の粒子と未結合手を介して強固な結合を形成する。NPDはバインダーを用いることなく、複雑な組成の原料もそのままの組成で成膜可能であり、また破砕片を堆積するため、条件によっては多孔質的な薄膜を成膜することも可能である。さらに、条件を選べば原料粉体同士を強く衝突させ、あるいは破砕片を基板上に強く打ちつけることにより結晶格子局所的な歪みを導入することができる。

0026

図5AにはGa0.5N0.5Zn0.5O0.5の粉体の写真を示す。
図5B及び図5Cには、Ga0.5N0.5Zn0.5O0.5の粉体をNPD成膜して得られた薄膜の写真を示す。
Ga0.5N0.5Zn0.5O0.5の禁制帯幅は前述の通り2.5eVであり原料粉体は黄色を呈す(図5A)。この固溶体粉体をXRDで測定したところ、ウルツ鉱型結晶構造であった。この粉体を原料にして通常の条件(N2キャリアガス、流量14L/min、以下、条件N)でNPD成膜を行なうと、原料粉体と同様の黄色薄膜が得られた(図5B)。ところが、NPD成膜の条件を変えてキャリアガスをHeとする(以下、条件S)と褐色の薄膜が得られた(図5C)。これは禁制帯幅が縮減されたことを示す。可視紫外反射吸収分光によりこの試料の禁制帯幅を測定したところ、2.0eVであった。

0027

この褐色薄膜試料の結晶構造をXRDで調べたところ、原料黄色粉体と同様にウルツ鉱型結晶構造で、原料黄色粉体よりごくわずかにc軸が収縮していた。しかし、DFTシミュレーションではその程度の収縮はバンド構造にほとんど影響を与えなかった。

0028

図6A及び図6Bには広域X線吸収微細構造(Extended X−ray Absorption Fine Structure: EXAFS)によりGa原子(図6A)又はZn原子(図6B)について求めた隣接原子の配位距離と配位数との関係を示す。
細線が原料黄色粉体で、太線が褐色NPD膜である。両者とも3〜4個のピークが観測されるが、1.数ÅのピークがGa又はZnに最近接のN又はOであり、約3Åのピークが第二近接のGa又はZnである。原料粉体を前記条件SでNPD成膜すると、Ga又はZnから見た最近接のN又はOの距離とピーク強度はあまり変化しない。一方、Ga又はZnから見た第二近接のGa又はZnのピーク強度が減少しているのが分かる。

0029

EXAFSは、X線によりある原子から放出された光電子と周囲にある他の原子で1回以上散乱されて戻って来た光電子との干渉により吸収に波長依存性が発生する現象である。そのため、EXAFSの解析により得られる配位数は、ある定まった距離に配位する原子までの距離とその存在率のみであり、ランダムに存在する隣接原子までの距離や存在率の分布を求めることはできない。隣接原子までの距離にばらつきが生じるとピークの幅が広がるのではなく、ピークの強度が減少するのみである。図6Aは、前記条件SでNPD成膜された薄膜では、Gaから見てO又はNは原料粉体と同様の距離に存在するのに対してGa同士又はGaとZnの距離はばらついていることを示している。Znから見たO又はN、及び同じくZnから見たGa又はZnの距離でもGaからと同様の傾向を示す(図6B)。この結果はGa又はZnが結晶構造で決められる位置からばらついており、それに対応して陰イオンは金属−陰イオンの結合距離をある程度一定に保ったまま移動して陰イオンの構成する四面体が歪んだり回転したりしていると解釈される。

0030

原料粉体も、前記条件Sで成膜されたNPD薄膜も、共にウルツ鉱型結晶構造であり、Gaを取り囲むGa又はZnの総数は同じである。配位距離のばらつきが正規分布をとると仮定すると、図6A及び図6Bに見られるピーク強度の変化(褐色NPD膜が原料粉体の70%)から褐色NPD薄膜におけるGa又はZnの分布を見積もることができる。
図7にはDFT計算による安定構造での動径分布関数から求めた標準偏差(σ=0.14Å)を持つガウス分布(細線)と、ピーク強度がその70%である標準偏差(σ=0.20Å)を持つガウス分布(太線)を示す。両方のガウス分布の積分面積は、同じである。安定構造(細線)では、大多数の原子が、DFT計算でバンドギャップエネルギーがあまり変わらない0.2Å以下の変位であるのに対し、EXAFSの結果から推定した分布(太線)では0.2Å以上変位している原子が多くなっている。以上開示したように、特定の条件でNPD成膜をすることにより、結晶格子に局所的な歪みを与えて、本発明を効果的に実施することが可能である。

0031

<禁制帯幅>
図8にはGaxNxZn1−xO1−x固溶体でxを変化させ、前述と同様に原料粉体(破線)及び前記条件SでNPD成膜して得られた薄膜(実線)の禁制帯幅を測定した結果を示す(x=0はZnO、x=1はGaNである。)。なお、GaxNxZn1−xO1−x固溶体である原料粉体は、Ga2O3とZnOとを、ボールミルにて所定のxとなるように混合し、続いて、アンモニア気流中で20時間焼成することで作製した。純物質であるx=0及びx=1を除き、いずれの組成においてもNPD成膜した薄膜の方が禁制帯幅は小さくなっているが、その中でもx=0.5で最も大きな禁制帯幅低減効果が得られた。このとき禁制帯幅は2.0eVとなり、これまでに知られるGaxNxZn1−xO1−x系固溶体の中で最も狭い禁制帯幅の光励起材料が得られた。

0032

以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
ガリウムと、亜鉛と、窒素と、酸素とを含有するウルツ鉱型の固溶体結晶である光励起材料であって、
広域X線吸収微細構造分析から得られる、前記光励起材料におけるガリウム又は亜鉛の近接原子の距離と存在率との関係において、前記ガリウム又は前記亜鉛の第1近接原子である窒素又は酸素の存在率のピークAと、前記ガリウム又は前記亜鉛の第2近接原子であるガリウム又は亜鉛の存在率のピークBとが、下記関係式(1)を満たすことを特徴とする光励起材料。
A>B ・・・関係式(1)
(付記2)
下記一般式(1)で表される付記1に記載の光励起材料。
GaxNxZn1.00−xO1.00−x ・・・一般式(1)
ただし、前記一般式(1)中、xは、0.00<x<1.00を満たす。
(付記3)
xが、0.25≦x≦0.75を満たす付記2に記載の光励起材料。
(付記4)
バンドギャップエネルギーが2.5eV以下である付記1から3のいずれかに記載の光励起材料。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ