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技術 撮像装置及び撮像方法

出願人 キヤノン株式会社
発明者 吉田拓史トマシュバラッシュスキーマレックロザンスキーマチェイシュクルモフスキー
出願日 2017年8月10日 (3年4ヶ月経過) 出願番号 2017-155878
公開日 2017年12月7日 (3年0ヶ月経過) 公開番号 2017-213423
状態 特許登録済
技術分野 眼の診断装置
主要キーワード 実数形 複素数形 フーリエ変換信号 参照ダイ 受光処理 アンラッピング 位相ずれ量 参照物体
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (7)

課題

干渉光位相特性として分散を考慮して補正できる位相特性と、分散を考慮しても補正できない不規則な位相特性とが含まれる場合にも精度よく被検査物断層画像を取得すること。

解決手段

撮像装置は、測定光源の光を参照光測定光とに分割する分割部と、測定光に対する被検査物からの戻り光と参照光との干渉光の位相特性を示す情報を用いて、干渉光から干渉光の位相特性を示す情報が含まれる信号と、干渉光の位相特性を示す情報が含まれない信号とを分離する干渉信号補正部と、干渉光の位相特性を示す情報が含まれない信号を用いて、被検査物の断層画像を取得する断層画像取得部とを備える。

概要

背景

現在、光学機器を用いた眼科用機器として、様々なものが使用されている。例えば、眼を観察する機器として、前眼部撮影機眼底カメラ共焦点レーザ走査検眼鏡(Scanning Laser Ophthalmoscope:SLO)等、様々な機器が使用されている。中でも、多波長光波干渉を利用した光コヒーレンストモグラフィOCT:Optical Coherence Tomography)による光断層画像撮像装置は、試料断層画像高解像度に得ることができる装置である。そのため、光断層画像撮像装置は眼科用機器として網膜の専門外来では必要不可欠な装置になりつつある。

光断層画像撮像装置(以下、「OCT装置」)によると、低コヒーレント光である測定光を、被検査物照射し、その被検査物からの後方散乱光を、干渉系または干渉光学系を用いることで高感度に測定することができる。この低コヒーレント光は、その波長幅を広くすることで、高解像度の断層画像を得ることができるという特徴を持つ。また、OCT装置は測定光を、被検査物上走査することで、高解像度の断層画像を得ることができる。そのため、被検査物として被検眼眼底における網膜の断層画像が取得され、網膜の眼科診断等において広く利用されている。

OCT装置は、装置と被検眼のアライメント調整のために、眼底観察や前眼観察などの光学系が搭載されるのが一般的である。OCT装置をこれらの光学系と共用させるために、各光学系で異なる波長光源を使用し、ダイクロイックミラーなどの光路分岐部により波長分離をし、波長に応じた光路分離を行うことで装置が構成される。OCT装置により取得された断層画像は、測定光学部と参照光学部における光の分散を考慮し、光の分散によりシフトした位相を波長毎に戻す補正処理が行われる。例えば、特許文献1においては、眼底断層像に基づいて位相ずれ量を計算することで分散補正を行っている。

概要

干渉光位相特性として分散を考慮して補正できる位相特性と、分散を考慮しても補正できない不規則な位相特性とが含まれる場合にも精度よく被検査物の断層画像を取得すること。撮像装置は、測定光源の光を参照光と測定光とに分割する分割部と、測定光に対する被検査物からの戻り光と参照光との干渉光の位相特性を示す情報を用いて、干渉光から干渉光の位相特性を示す情報が含まれる信号と、干渉光の位相特性を示す情報が含まれない信号とを分離する干渉信号補正部と、干渉光の位相特性を示す情報が含まれない信号を用いて、被検査物の断層画像を取得する断層画像取得部とを備える。

目的

本発明は干渉光の位相特性として分散を考慮して補正できる位相特性と、分散を考慮しても補正できない不規則な位相特性とが含まれる場合にも精度よく被検査物の断層画像を取得可能な撮像技術を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

光源からの光を参照光測定光とに分割する分割手段と、前記分割手段と被検査物とを結ぶ測定光路中に設けられ、前記測定光を反射することで前記測定光を前記被検査物に導く光路分岐手段を構成する第1のダイクロイックミラーと、前記分割手段と参照物体とを結ぶ参照光路中に配置され、前記参照光を反射することで前記参照光を前記参照物体へ導く参照ダイクロイックミラーと、前記測定光が照射された前記被検査物からの第1戻り光と前記参照光が照射された前記参照物体からの参照戻り光との干渉光受光する受光手段と、を有し、前記参照光を導く参照光路中に配置されている前記参照ダイクロイックミラーは、前記光路分岐手段を構成する前記第1のダイクロイックミラーの前記光源の波長に対する位相特性に対応する位相特性を有することを特徴とする撮像装置

請求項2

前記第1のダイクロイックミラーが前記測定光に与える分散は前記参照ダイクロイックミラーが前記参照光に与える分散に対応していることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。

請求項3

前記第1のダイクロイックミラーが前記測定光に与える分散は前記参照ダイクロイックミラーが前記参照光に与える分散と同様であることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。

請求項4

前記第1のダイクロイックミラーおよび前記参照ダイクロイックミラーのそれぞれは複数の層により構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置。

請求項5

前記光源からの光とは異なる光に対する被検査物からの戻り光に基づき被検査物の所定の部位の画像を取得する撮像手段を更に備え、前記撮像手段は、前記光源の光の波長とは異なる第1の波長の光に対する前記被検査物からの戻り光に基づき前記被検査物の第1の部位の画像を取得する第1の撮像手段と、前記光源の光の波長および前記第1の波長とは異なる第2の波長の光に対する前記被検査物からの戻り光に基づき前記第1の部位とは異なる前記被検査物の第2の部位の画像を取得する第2の撮像手段と、を有し、前記第1の波長の光に対する前記被検査物からの戻り光は、前記第1のダイクロイックミラーを透過して前記第1の撮像手段に到達し、前記第2の波長の光に対する前記被検査物からの戻り光は、前記第1のダイクロイックミラーにより反射され、且つ、第2のダイクロイックミラーにより反射されて前記第2の撮像手段に到達し、前記測定光は前記第2のダイクロイックミラーを透過することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。

請求項6

前記撮像手段で取得される画像と、前記受光手段の出力に基づいて取得される断層画像とを並べて表示する表示手段を更に備えることを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。

請求項7

前記光源からの光の中心波長は855nmであって、前記第1のダイクロイックミラーおよび前記参照ダイクロイックミラーはそれぞれ波長が855nmの光を反射し、波長が970nmの光を透過する特性を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の撮像装置。

請求項8

前記被検査物は被検眼眼底であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。

請求項9

前記第1戻り光は前記第1のダイクロイックミラーにより前記受光手段に向かって反射され、前記参照戻り光は前記参照ダイクロイックミラーにより前記受光手段に向かって反射されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の撮像装置。

請求項10

光源からの光を参照光と測定光とに分割する分割手段と、前記分割手段と被検査物とを結ぶ測定光路中に設けられ、前記測定光を反射することで前記測定光を前記被検査物に導く光路分岐手段を構成する第1のダイクロイックミラーと、前記分割手段と参照物体とを結ぶ参照光路中に配置され、前記参照光を反射することで前記参照光を前記参照物体へ導く参照ダイクロイックミラーと、を有し、前記参照光を導く参照光路中に配置されている前記参照ダイクロイックミラーは、前記光路分岐手段を構成する前記第1のダイクロイックミラーの前記光源の波長に対する位相特性に対応する位相特性を有している、撮像装置の撮像方法であって、前記測定光が照射された前記被検査物からの第1戻り光と前記参照光が照射された前記参照物体からの参照戻り光との干渉光を受光処理する受光工程を有することを特徴とする撮像方法。

請求項11

光源からの光を参照光と測定光とに分割する分割手段と、前記分割手段と被検査物とを結ぶ測定光路中に設けられた前記測定光を透過することで前記測定光を被検査物へ導くダイクロイックミラーと、前記分割手段と参照物体とを結ぶ参照光路中に設けられた前記参照光を透過することで前記参照光を前記参照物体へ導く参照ダイクロイックミラーと、前記ダイクロイックミラーにより透過された、前記測定光が照射された前記被検査物からの戻り光と、前記参照ダイクロイックミラーにより透過された、前記参照光が照射された前記参照物体からの参照戻り光との干渉光を受光する受光手段とを有し、前記参照光を導く参照光路中に配置されている前記参照ダイクロイックミラーは、前記ダイクロイックミラーの前記光源の波長に対する位相特性に対応する位相特性を備えることを特徴とする撮像装置。

請求項12

前記ダイクロイックミラーに対する前記測定光の入射角度と前記ダイクロイックミラーに対する前記参照光の入射角度とが同様になるように前記ダイクロイックミラーおよび前記参照ダイクロイックミラーが配置されていることを特徴とする請求項11に記載の撮像装置

請求項13

前記ダイクロイックミラーが前記測定光に与える分散は前記参照ダイクロイックミラーが前記参照光に与える分散に対応していることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の撮像装置。

請求項14

前記ダイクロイックミラーが前記測定光に与える分散は前記参照ダイクロイックミラーが前記参照光に与える分散と同様であることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の撮像装置。

請求項15

光源からの光を参照光と測定光とに分割する分割手段と、前記分割手段と被検査物とを結ぶ測定光路中に設けられた前記測定光を透過することで前記測定光を被検査物へ導くダイクロイックミラーと、前記分割手段と参照物体とを結ぶ参照光路中に設けられた前記参照光を透過することで前記参照光を前記参照物体へ導く参照ダイクロイックミラーと、を有し、前記参照光を導く参照光路中に配置されている前記参照ダイクロイックミラーは、前記ダイクロイックミラーの前記光源の波長に対する位相特性に対応する位相特性を備える撮像装置の撮像方法であって、前記ダイクロイックミラーにより透過された、前記測定光が照射された前記被検査物からの戻り光と、前記参照ダイクロイックミラーにより透過された、前記参照光が照射された前記参照物体からの参照戻り光との干渉光を受光処理する受光工程を有することを特徴とする撮像方法。

技術分野

0001

本発明は、撮像装置及び撮像方法に関する。

背景技術

0002

現在、光学機器を用いた眼科用機器として、様々なものが使用されている。例えば、眼を観察する機器として、前眼部撮影機眼底カメラ共焦点レーザ走査検眼鏡(Scanning Laser Ophthalmoscope:SLO)等、様々な機器が使用されている。中でも、多波長光波干渉を利用した光コヒーレンストモグラフィOCT:Optical Coherence Tomography)による光断層画像撮像装置は、試料断層画像高解像度に得ることができる装置である。そのため、光断層画像撮像装置は眼科用機器として網膜の専門外来では必要不可欠な装置になりつつある。

0003

光断層画像撮像装置(以下、「OCT装置」)によると、低コヒーレント光である測定光を、被検査物照射し、その被検査物からの後方散乱光を、干渉系または干渉光学系を用いることで高感度に測定することができる。この低コヒーレント光は、その波長幅を広くすることで、高解像度の断層画像を得ることができるという特徴を持つ。また、OCT装置は測定光を、被検査物上走査することで、高解像度の断層画像を得ることができる。そのため、被検査物として被検眼眼底における網膜の断層画像が取得され、網膜の眼科診断等において広く利用されている。

0004

OCT装置は、装置と被検眼のアライメント調整のために、眼底観察や前眼観察などの光学系が搭載されるのが一般的である。OCT装置をこれらの光学系と共用させるために、各光学系で異なる波長光源を使用し、ダイクロイックミラーなどの光路分岐部により波長分離をし、波長に応じた光路分離を行うことで装置が構成される。OCT装置により取得された断層画像は、測定光学部と参照光学部における光の分散を考慮し、光の分散によりシフトした位相を波長毎に戻す補正処理が行われる。例えば、特許文献1においては、眼底断層像に基づいて位相ずれ量を計算することで分散補正を行っている。

先行技術

0005

特開2010−12111号公報

発明が解決しようとする課題

0006

上記の光路分岐部であるダイクロイックミラーの波長分離の精度を高くすると、ダイクロイックミラーの膜数が多くなり、それによりダイクロイックミラーの位相特性が、光の波長に応じて任意の曲線(異なる位相特性)を示すようになる。異なる位相特性には分散を考慮して補正できる位相特性と、分散を考慮しても補正できない不規則(irregular)な位相特性が含まれる。不規則な位相特性に関しては、上述した分散を考慮した補正処理でOCT画像を補正することができなくなり、OCT画像(被検査物の断層画像)が光軸方向に滲んでしまうという課題が生じ得る。干渉光の位相特性として分散を考慮して補正できる位相特性と、分散を考慮しても補正できない不規則な位相特性とが含まれる場合にも精度よく被検査物の断層画像を取得できることが好ましい。

課題を解決するための手段

0007

上記の課題に鑑み、本発明は干渉光の位相特性として分散を考慮して補正できる位相特性と、分散を考慮しても補正できない不規則な位相特性とが含まれる場合にも精度よく被検査物の断層画像を取得可能な撮像技術を提供する。

0008

上記の目的を達成する本発明の一つの側面にかかる撮像装置は、光源からの光を参照光と測定光とに分割する分割手段と、
前記分割手段と被検査物とを結ぶ測定光路中に設けられ、前記測定光を反射することで前記測定光を前記被検査物に導く光路分岐手段を構成する第1のダイクロイックミラーと、
前記分割手段と参照物体とを結ぶ参照光路中に配置され、前記参照光を反射することで前記参照光を前記参照物体へ導く参照ダイクロイックミラーと、
前記測定光が照射された前記被検査物からの第1戻り光と前記参照光が照射された前記参照物体からの参照戻り光との干渉光を受光する受光手段と、を有し、
前記参照光を導く参照光路中に配置されている前記参照ダイクロイックミラーは、前記光路分岐手段を構成する前記第1のダイクロイックミラーの前記光源の波長に対する位相特性に対応する位相特性を有することを特徴とする。

0009

あるいは、本発明の他の側面にかかる撮像装置は、光源からの光を参照光と測定光とに分割する分割手段と、
前記分割手段と被検査物とを結ぶ測定光路中に設けられた前記測定光を透過することで前記測定光を被検査物へ導くダイクロイックミラーと、
前記分割手段と参照物体とを結ぶ参照光路中に設けられた前記参照光を透過することで前記参照光を前記参照物体へ導く参照ダイクロイックミラーと、
前記ダイクロイックミラーにより透過された、前記測定光が照射された前記被検査物からの戻り光と、前記参照ダイクロイックミラーにより透過された、前記参照光が照射された前記参照物体からの参照戻り光との干渉光を受光する受光手段とを有し、
前記参照光を導く参照光路中に配置されている前記参照ダイクロイックミラーは、前記ダイクロイックミラーの前記光源の波長に対する位相特性に対応する位相特性を備えることを特徴とする。

発明の効果

0010

本発明によれば、干渉光の位相特性として分散を考慮して補正できる位相特性と、分散を考慮しても補正できない不規則な位相特性とが含まれる場合にも精度よく被検査物の断層画像を取得することができる。

図面の簡単な説明

0011

第1実施形態の光断層画像撮像装置の概略構成を示す図。
被検査物に測定光を走査している例を示す図。
表示部の表示を例示する図。
第2実施形態の光断層画像撮像装置の処理の流れを説明する図。
干渉信号と干渉信号のフーリエ変換後信号波形を例示する図。
第2実施形態の光断層画像撮像装置の機能構成を示す図。

実施例

0012

以下、図面を参照して、本発明の実施形態を例示的に詳しく説明する。ただし、実施形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定されるのであって、以下の個別の実施形態によって限定されるわけではない。

0013

(第1実施形態)
図1は、撮像装置(光断層画像撮像装置:OCT装置)の概略構成を示す図であり、光学ヘッド900は被検査物(例えば、被検眼の前眼部、眼底)の画像(2次元の画像、3次元の断層画像)を取得する。

0014

光学ヘッド900部の内部には、対物レンズ101−1が被検査物(例えば、被検眼100)に対向する位置に配置されている。対物レンズ101−1の光路上(光軸上)には、光路分岐部を構成する第1のダイクロイックミラー102(第1の光学素子)が配置されている。また、第1のダイクロイックミラー102により反射される光の光路上(光軸上)には、光路分岐部を構成する第2のダイクロイックミラー103(第2の光学素子)が配置されている。

0015

第1のダイクロイックミラー102および第2のダイクロイックミラー103は光の波長帯域に応じて光を反射し、または透過して光を被検査物に導き、被検査物からの戻り光を波長に応じた光路に導く光路分岐部として機能する。第1のダイクロイックミラー102により光が反射され、第2のダイクロイックミラー103を透過する光の光路をOCT光学系の測定光路L1とする。第1のダイクロイックミラー102により光が反射され、更に、第2のダイクロイックミラー103により反射される光の光路を眼底観察光路および固視灯光路L2とする。第1のダイクロイックミラー102を透過する光の光路を前眼観察光路L3とする。

0016

前眼観察光路L3にはレンズ141、前眼部(第1の部位)を観察するための赤外線CCD142(第1の撮像部)が配置されている。この赤外線CCD142(第1の撮像部)は不図示の前眼観察用照明光の波長、具体的には970nm付近(第1の波長)に感度を持つものである。すなわち、不図示の前眼観察用照明光から射出され被検眼100により反射された光は第1のダイクロイックミラー102を透過して赤外線CCD142に至る。なお、波長の値等の数値は例示であり上記の値に限定されるものではない。以下に記載の波長の値等の数値についても同様である。

0017

眼底観察光路および固視灯光路L2上には、第3ダイクロイックミラー104が配置されており、光の波長帯域に応じて第3ダイクロイックミラー104は光路を分岐する。第3ダイクロイックミラー104によって反射された光は眼底(第2の部位)を観察するためのCCD114(第2の撮像部)側に分岐し、固視灯113から射出された光は第3ダイクロイックミラー104を透過する。固視灯113は可視光を発生して被検者の固視を促すものである。

0018

眼底観察光路および固視灯光路L2にはレンズ101−2、111、112が配置されている。このうち、レンズ111はフォーカス調整用(合焦調整用)のレンズであり、固視灯および眼底観察用の合焦調整のため不図示のモータ駆動によって光路上を移動する。CCD114(第2の撮像部)は眼底観察用の画像を取得する。CCD114(第2の撮像部)は不図示の眼底観察用照明光の波長、具体的には780nm付近(第2の波長)に感度を持つものである。本実施形態においては、CCD114で眼底の観察画像を取得する構成としたが、異なる構成としてもよい。例えば、スキャナを用いてレーザからの光を眼底上に走査し、走査した眼底からの反射光受光素子(受光部)で受光し、眼底の観察画像を形成してもよい。

0019

測定光路L1は、OCT光学系を構成しており被検査物(例えば、被検眼100の眼底)の断層画像を取得するために、被検査物に光を照射し、かつ被検査物から戻された光を導くための光路である。測定光路L1には、レンズ101−3、ミラー121、光を被検査物上(例えば、被検眼100の眼底上)で走査するための測定光走査部(Xスキャナ122−1、Yスキャナ122−2)が配置されている。

0020

ファイバー端126は、測定光を測定光路L1に入射する測定光の光源であり、ファイバー端126は、被検査物(例えば、被検眼100の眼底)に対して光学的に共役位置に配置されている。Yスキャナ122−2とファイバー端126との間にはレンズ123、124が配置されている。このうち、レンズ123はフォーカス調整用(合焦調整用)のレンズであり、被検査物の測定用の合焦調整のため不図示のモータ駆動によって光路上を移動する。合焦調整は、ファイバー端126から出射する光を被検査物(例えば、被検眼100の眼底)上に結像するように行われる。Xスキャナ122−1、Yスキャナ122−2の間の光路は紙面内において構成されているが、実際は紙面垂直方向に構成されている。

0021

次に、測定光源130からの光路と参照光学系分光器の構成について説明する。参照光を導く参照光路には、光路分岐部を構成するダイクロイックミラーの位相特性に対応する位相特性を有する光学素子が配置されている。測定光源の波長に対する位相特性として、参照光路には光路分岐部を構成する光学素子(ダイクロイックミラー)の測定光源の波長に対する位相特性と同一の位相特性を有する光学素子が配置されている。尚、位相特性は同一のものに限定されるものではない。光学素子の製造プロセスで生じ得る誤差により位相特性は相違するものとなる。かかる誤差を考慮して、参照光路の光学素子と光路分岐部を構成する光学素子とが略同一の位相特性を有するものであればよい。

0022

測定光源130、光カプラー125、光カプラー125に接続されて一体化しているシングルモード光ファイバー125−1〜4、レンズ151、分散補償ガラス152、ミラー153、分光器180はマイケルソン干渉系を構成している。測定光源130から出射された光は光ファイバー125−1を通り、光カプラー125を介して光ファイバー125−2側の測定光と光ファイバー125−3側の参照光とに分割される。測定光は前述のOCT光学系の測定光路L1を通じ、観察対象である被検査物(例えば、被検眼100)に照射される。すなわち、測定光はミラー121に反射された後、第2のダイクロイックミラー103を透過し、第1のダイクロイックミラー102により反射されて被検査物100に至る。被検査物(被検眼100の場合、網膜)からの戻り光(反射光や散乱光を含む)は同じ測定光路L1を通じて光カプラー125に到達する。

0023

一方、参照光が通過する光路として、光ファイバー125−3、レンズ151、分散補償ガラス152、ミラー154−1、ミラー154−2、ガラス板155、ミラー153は参照光路を構成する。尚、ミラー154−1、ミラー154−2は、光学素子として光を反射するために表面を鏡面加工したプレートでもよい。参照光は、光ファイバー125−3、レンズ151、測定光と参照光との分散を合わせるために挿入された分散補償ガラス152を介し、ミラー154−1とミラー154−2で反射され、ガラス板155を透過して、ミラー153(参照ミラー)に到達する。ミラー153(参照ミラー)に到達した参照光は、ミラー153により元の方向へ反射され、同じ参照光路を戻り、光カプラー125に到達する。なお、ガラス板155を備えない構成とすることも可能である。

0024

ここで、ミラー154−1およびミラー154−2のうちいずれか一方は、第1のダイクロイックミラー102と同じ位相特性(入射する光の波長に対する位相特性)のミラーを使用している。例えば、ミラー154−1およびミラー154−2のうちいずれか一方は、第1のダイクロイックミラー102と同じミラーを用いている。また、ミラー154−1もしくはミラー154−2の光の入射角度と、第1のダイクロイックミラー102の光の入射角度とは同じ入射角度(例えば、略45°)になるように構成されている。なお、ミラー154−1もしくはミラー154−2の光の入射角度と、第1のダイクロイックミラー102の光の入射角度とは完全に同じ入射角度でなくともよく、略同じ入射角度であればよい。すなわち、本明細書において「同じ」とは完全に同一の場合および略同一の場合を含む概念である。第1のダイクロイックミラー102の位相特性と同じ位相特性のミラーを参照光路に配置し、同じ入射角度に配置する。これにより、測定光路L1と参照光路との間で、入射した光の波長に対する位相特性が相殺される。そして、第1のダイクロイックミラーが持っている光の波長に応じて異なる位相特性(分散を考慮して補正できる位相特性、および分散を考慮しても補正できない不規則な位相特性を含む位相特性)の影響を打ち消す(低減する)ことが可能になる。また、同様の目的で、第2のダイクロイックミラー103とガラス板155とは同じ位相特性を有している。例えば、ガラス板155は、第2のダイクロイックミラー103と同じミラーを用いている。また、第2のダイクロイックミラー103とガラス板155とは同じ入射角度(例えば、略45°)になるように配置されている。

0025

本実施形態では、ミラー154−1もしくはミラー154−2を第1のダイクロイックミラー102の位相特性と対応する位相特性にし、ガラス板155を第2のダイクロイックミラー103の位相特性と対応する位相特性にしたが、これに限定されない。光の分散によりシフトした位相を波長毎に戻す補正処理により光軸方向に滲まない断層画像の構築ができれば、参照光路に配置する光学素子を光路分岐部の光学素子の位相特性と対応する位相特性にしなくてもよい。例えば、光の分散によりシフトした位相を波長毎に戻す補正処理により被検査物の断層画像を取得できる場合、ミラー154−1もしくは154−2の位相特性を第1のダイクロイックミラー102の位相特性と対応する位相特性にしなくてもよい。または、ガラス板155の位相特性を第2のダイクロイックミラー103の位相特性と対応する位相特性にしなくてもよい。光の分散によりシフトした位相を波長毎に戻す補正処理により被検査物の断層画像を取得できる場合とは、例えば第1のダイクロイックミラー102と第2のダイクロイックミラー103とのどちらか一方に関して分散を考慮した補正処理が可能な場合である。例えば、一方のダイクロイックミラーの膜数が少なく分散を考慮しても補正できない不規則(irregular)な位相特性が含まれないか少ない場合には数値的な処理である補正処理により位相特性による影響を低減することができる。この場合、場合には一方のダイクロイックミラーに関しては参照光路にあるミラーまたはガラス板と対応する位相特性としなくともよい。また、補正処理を行ってみて一方のダイクロイックミラーに関する位相特性による影響を低減することができる場合には一方のダイクロイックミラーに関しては参照光路にあるミラーまたはガラス板と対応する位相特性としなくともよい。

0026

被検査物からの戻り光と、参照光路を介した参照光とは、光カプラー125によって合波され干渉光となる。ここで、測定光路の光路長と参照光路の光路長とがほぼ同一となったときに測定光と参照光との間で干渉が生じる。ミラー153は不図示のモータおよび駆動機構によって光軸方向に調整可能に保持され、被検査物(例えば、被検眼100)によって変わる測定光の光路長に参照光の光路長を合わせることが可能である。干渉光は光ファイバー125−4を介して分光器180に導かれる。

0027

分光器180はレンズ181、183、回折格子182、ラインセンサ184から構成される。光ファイバー117−4から出射された干渉光はレンズ181を介して略平行光となった後、回折格子182で分光され、レンズ183によってラインセンサ184に結像される。

0028

次に、測定光源130について説明する。測定光源130は、例えば、代表的な低コヒーレント光源であるSLD(Super Luminescent Diode)を用いることができる。中心波長は855nm、波長バンド幅は約100nmである。ここで、バンド幅は、得られる断層画像の光軸方向の分解能に影響するため、重要なパラメータである。また、光源の種類は、SLDに限定されるものではなく、低コヒーレント光が出射できればよく、ASE(Amplified Spontaneous Emission)等を用いることも可能である。中心波長は被検査物として、例えば、眼を測定することを鑑みると、近赤外光が適する。また、中心波長は得られる断層画像の横方向の分解能に影響するため、なるべく短波長であることが望ましい。双方の理由から中心波長を855nmとした。

0029

本実施形態では干渉計としてマイケルソン干渉計を用いたが、本発明の趣旨はこの例に限定されるものではなく、例えば、マッハツェンダー干渉計を用いてもよい。測定光と参照光との光量差に応じて光量差が大きい場合にはマッハツェンダー干渉計を、光量差が比較的小さい場合にはマイケルソン干渉計を用いることが望ましい。

0030

(断層画像の撮像方法)
図1の光断層画像撮像装置(OCT装置)を用いた被検査物の断層画像の撮像方法について説明する。光断層画像撮像装置(OCT装置)は測定光走査部(Xスキャナ122−1、Yスキャナ122−2)を制御することで、被検査物(例えば、被検眼100の眼底)における所望の部位の断層画像を取得することができる。

0031

図2は、被検査物(例えば、被検眼100)に測定光201を照射し、眼底202をx方向に測定光201を走査している様子を示している。眼底202におけるx方向の撮像範囲から所定の撮像本数の戻り光を図1のラインセンサ184で受光する。x方向のある位置で得られるラインセンサ184上の輝度分布高速フーリエ変換FFT)し、FFTで得られた線状の輝度分布をモニタに示すために濃度あるいはカラー情報に変換したものをAスキャン画像と呼ぶ。この複数のAスキャン画像を並べた2次元の画像をBスキャン画像と呼ぶ。1つのBスキャン画像を構築するための複数のAスキャン画像を撮像した後、y方向のスキャン位置を移動させて再びx方向のスキャンを行うことにより、複数のBスキャン画像を得る。複数のBスキャン画像、あるいは複数のBスキャン画像から構築した3次元の断層画像を表示部300(モニタ)に表示することで検者操作者)が被検眼の診断に用いることができる。

0032

図3は、表示部300(モニタ)の表示を例示する図である。表示部300は、2次元の前眼画像310、眼底画像311および断層画像312を並べて表示する。前眼画像310は赤外線CCD142の出力から処理され表示された画像であり、眼底画像311はCCD114の出力から処理され表示された画像であり、断層画像312はラインセンサ184の出力から前述の処理をされ構築されたものである。

0033

本実施形態によれば、測定光学部の光路分岐部の位相特性として、分散を考慮して補正できる位相特性と、分散を考慮しても補正できない不規則な位相特性とが含まれる場合にも精度よく被検査物の断層画像を取得ことが可能になる。

0034

(第2実施形態)
第1実施形態では、光路分岐部の位相特性を補正する構成として、参照光を導く参照光路に、光路分岐部を構成するダイクロイックミラーの位相特性と対応する位相特性を有する光学素子が配置されている構成を説明した。本実施形態では戻り光と参照光との干渉光を受光するための測定光学部の全体(測定光路L1上の光路分岐部、レンズ、ミラー、光ファイバー等)について位相特性の影響を数値的な演算処理(補正処理)により取り除く構成を説明する。本実施形態で説明する測定光学部全体の光の波長に応じて異なる位相特性には、分散を考慮して補正できる位相特性と、分散を考慮しても補正できない不規則な位相特性とが含まれる。本実施形態で説明する演算処理(補正処理)は、これら2つの位相特性を補正するものである。なお、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせて実施することとしてもよい。例えば、第1実施形態において第1のダイクロイックミラー102とミラー154−1とを対応する位相特性としたが、それぞれに対する光の入射角度にズレがある場合にも以下に示す処理により入射角度にズレによる影響を低減し、確実に精度の良い被検査物の断層画像を取得することができる。

0035

第2実施形態にかかる撮像装置(光断層画像撮像装置:OCT装置)の基本的な構成は、図1で説明した第1実施形態の装置構成と同様である。以下の説明では、第1実施形態の装置構成と相違する部分について説明する。本実施形態では、参照光路の光学素子(ミラー154−1もしくはミラー154−2、およびガラス板155)の位相特性は光路分岐部を構成するダイクロイックミラーの位相特性と同一でなくてもよい。ミラー154−1もしくはミラー154−2は金属膜アルミ、銀、金、銅等)を有するミラーでも良く、また第1のダイクロイックミラー102と同じ位相特性のミラーでも良い。また、ガラス板155も通常の反射防止膜を施していても、第2のダイクロイックミラー103と同じ位相特性のガラスでも良い。

0036

図6は、本実施形態にかかる撮像装置(光断層画像撮像装置:OCT装置)の機能構成を説明する図である。光学ヘッド900について、ミラー154−1もしくはミラー154−2、およびガラス板155の位相特性は限定されない点で第1実施形態の構成と相違する。その他の光学ヘッド900および分光器180の構成は第1実施形態と同じである。撮像部615は、光源からの光に対する被検査物からの戻り光に基づき被検査物の所定の部位の画像を取得する。尚、光学ヘッド900には、光を被検査物に導き、被検査物からの戻り光を波長に応じた光路に導く光路分岐部(第1のダイクロイックミラー102、第2のダイクロイックミラー103)が含まれる。

0037

分割部601は、前眼部(第1の部位)、または眼底(第2の部位)を撮像するための光源の波長とは異なる波長の測定光源130の光を参照光と測定光とに分割する。

0038

干渉信号取得部602はラインセンサ184で受光された干渉光のスペクトルを取得して、波長に対する干渉光のスペクトルの強度分布波数に対する強度分布に変換する。ここで、ラインセンサ184は測定光に対する被検査物からの戻り光と参照光との干渉光を受光する受光部として機能する。そして、干渉信号取得部602は波数に対する強度分布の変換結果(干渉光の強度を示す信号)から、参照光の強度の測定結果(参照光の強度を示す信号)および測定光の強度の測定結果(測定光の強度を示す信号)の差分を求める。この差分演算の結果により、干渉信号取得部602は、光路分岐部を介して導かれた測定光に対する被検査物からの戻り光と参照光との干渉光の干渉信号を取得する。

0039

フーリエ変換部603は、干渉信号取得部602により取得された干渉信号に対してフーリエ変換を行う。ハイパスフィルター処理部604は、フーリエ変換部603によるフーリエ変換後の信号に対してハイパスフィルター処理を行う。ハイパスフィルター処理により、フーリエ変換部603のフーリエ変換によって得られた正負フーリエ変換信号のうち、正成分の信号のみを取得する。逆フーリエ変換部605は、ハイパスフィルター処理部604によってハイパスフィルター処理された信号に対して逆フーリエ変換を行う。

0040

位相測定部606は、干渉信号取得部602により取得された干渉信号の偏角成分を取得することにより干渉信号の位相を測定する。位相アンラッピング部607は、位相測定部606により測定された位相に対して位相アンラッピング処理を行い不連続の位相を連続的な位相する。

0041

絶対値算出部608はハイパスフィルター処理部604のハイパスフィルター処理により得られた正成分の信号を絶対値に変換する。周波数検出部609は、絶対値算出部608により得られた絶対値の信号のピーク位置を検出することにより、(2)式の干渉信号の周波数を検出する。位相算出部610は、周波数検出部609により検出された干渉信号の周波数から干渉信号の位相を算出する。

0042

位相特性取得部611は位相アンラッピング部607で得られた実信号の位相から位相算出部610で算出された位相を引くことで、干渉信号から干渉光の位相特性を示す情報(位相関数)を取得する。

0043

干渉信号補正部620は、干渉信号取得部602により取得された干渉信号を複素数形式にし、同様に、位相特性取得部611で取得された位相特性を示す情報(位相関数)を複素数形式にして、両者を乗算する演算処理を行う。干渉信号補正部620の演算結果により、(2)式の干渉信号から干渉光の位相特性を示す情報が含まれる被検査物の情報(信号)と、干渉光の位相特性を示す情報が含まれない被検査物の情報(信号)とを分離する。

0044

干渉信号補正部620は干渉光の位相特性を示す情報が含まれる被検査物の情報(信号)と、干渉光の位相特性を示す情報が含まれない被検査物の情報(信号)とを分離後、複素数形式で演算された演算結果を実数形式に変換する。干渉信号補正部620の演算処理によって、干渉信号は、干渉光の位相特性を示す情報が含まれる被検査物の情報(信号)と、干渉光の位相特性を示す情報が含まれない被検査物の情報(信号)とに分離される。そして、干渉信号補正部620は、分離した情報(信号)のうち、干渉光の位相特性を示す情報が含まれない被検査物の情報(信号)を、補正した干渉信号として断層画像取得部622に出力する。

0045

断層画像取得部622は、干渉信号補正部620の数値処理(補正処理)の結果に基づき、干渉信号から分離された干渉光の位相特性を示す情報が含まれない被検査物の情報(信号)を用いて被検査物の断層画像を取得する。

0046

表示部300は撮像部615により取得された2次元の前眼画像、眼底画像および断層画像取得部622により取得された断層画像を並べて表示する(図3)。

0047

(断層画像の撮像方法)
次に、撮像装置を用いた断層画像の撮像方法について説明する。第1実施形態と同様に、撮像装置はXスキャナ122−1、Yスキャナ122−2を制御することで、被検査物(例えば、被検眼100の眼底)における所望の部位の断層画像を取得することができる。例えば、図2に示すように、被検眼100に測定光201を照射し、眼底202をx方向に走査し、眼底202におけるx方向の撮像範囲から所定の撮像本数の情報をラインセンサ184で取得する。

0048

図4は本実施形態にかかる撮像装置の測定光学部全体の位相特性を取得するキャリブレーションと、キャリブレーションの結果により干渉信号を補正して断層画像を取得する処理の流れを説明する図である。

0049

(撮像装置の位相特性の取得(キャリブレーション))
まず、始めに撮像装置(OCT装置)の測定光学部全体の位相特性を取得するキャリブレーションの流れを説明する。ステップS401では、被検眼100の代わりに眼と同じ分散量を持つガラスと、被検眼100の眼底位置に相当する位置(za)に反射物であるミラーと、を被検査物として配置する。このミラーから反射された戻り光は、光路分岐部(第1のダイクロイックミラー102、第2のダイクロイックミラー103)に導かれてファイバー端126に戻される。干渉信号取得部602は、戻り光と参照光路から戻された参照光とを光カプラー125によって合波して干渉光を生成する。生成された干渉光は、光ファイバー125−4を介して分光器180のラインセンサ184で受光される。ラインセンサ184は、測定光に対する被検査物からの戻り光と参照光との干渉光を受光する受光部として機能する。干渉信号取得部602はラインセンサ184で受光された干渉光のスペクトルを取得する。

0050

ステップS402において、干渉信号取得部602は波長に対する干渉光のスペクトルの強度分布を波数に対する強度分布に変換する。波長と波数の関係は、k=2π/λ(kは波数、λは波長)で表わされる。波数に対する強度分布を以下の式で定義する。

0051

0052

ここで、Iref 、Iobjはそれぞれ参照光の強度を示す信号、測定光の強度を示す信号である。zaは図1のZ方向に配置されるミラーの座標である。φ(k)は、測定光学部の全体の位相特性を示す情報(位相関数)である。例えば、測定光学部を構成する光学素子として、光路分岐部(ダイクロイックミラー)に着目した場合、光路分岐部の位相特性を示す位相関数である。φ(k)がここで求めるべき位相関数である。また参照光路、測定光路にそれぞれに設けた不図示のシャッター等の光遮断部によりそれぞれ片方の光路を遮断し、Iref 、Iobjの測定をそれぞれ行う。干渉信号取得部602は、(1)式の波数に対する強度分布の変換結果から測定により得られた測定結果(Iref 、Iobj)の差分をとることにより、(2)式の干渉信号を取得する。

0053

0054

通常、ミラー位置に対応する単一の周波数のみが観測される。ダイクロイックミラーの位相特性が分散を考慮して補正できる位相特性及び分散を考慮しても補正できない不規則な位相特性を含む位相特性を示す場合、波数(k)に応じたφ(k)が付加された複数の干渉信号の周波数が観測される。

0055

ステップS403において、フーリエ変換部603は先のステップS402で取得された干渉信号に対してフーリエ変換を行う。

0056

ステップS404において、ハイパスフィルター処理部604はフーリエ変換後の信号をハイパスフィルター処理により、ステップS403で得られた正負のフーリエ変換信号のうち、正成分の信号のみを取得する。

0057

ステップS405において、逆フーリエ変換部605はステップS404でハイパスフィルター処理により取得された正成分の信号に対して逆フーリエ変換を行う。

0058

ステップS406において、位相測定部606は干渉信号の位相を測定する。ステップS404のハイパスフィルター処理により正成分のみの信号にすることにより極座標表記で表わすことができる。位相測定部606は極座標表記された干渉信号から偏角成分を取得することにより干渉信号の位相を測定することができる。

0059

ステップS407において、位相アンラッピング部607はステップS406で測定された位相に対して位相アンラッピング処理を行い、例えば、−360°から+360°の間で不連続の位相を連続的な位相にする。ここで得られた位相をΨ(k)とする(kは波数)。

0060

ステップS408において、絶対値算出部608はステップS404のハイパスフィルター処理により得られた正成分の信号を絶対値に変換する。

0061

ステップS409において、周波数検出部609はステップS408の処理により得られた正成分の絶対値の信号のピーク位置を検出することにより、(2)式の干渉信号の周波数を検出する。

0062

ステップS410において、位相算出部610はステップS409で検出された干渉信号の周波数から(3)式で示される位相を算出する。

0063

0064

y(k)は位相、kは波数、Nはラインセンサ184の画素数である。ここで、位相算出部610はステップS409で得られた周波数fを用いた(3)式の演算処理により干渉信号の位相(位相成分)を算出する。

0065

ステップS411において、位相特性取得部611は、(4)式に従って、ステップS407で得られた実信号の位相(Ψ(k))から、ステップS410で算出された位相(y(k))の差分を求める。位相特性取得部611は、干渉信号から干渉光の位相特性を示す情報(位相関数φ(k))を(4)式の差分処理により取得する。

0066

0067

位相特性が分散を考慮して補正できる位相特性、および分散を考慮しても補正できない不規則な位相特性を含む位相特性を示す場合、(4)式で示される干渉光の位相特性を示す情報(位相関数φ(k))が(2)式に付加される。この場合、キャリブレーションにより取得された位相特性を示す情報(位相関数φ(k))を用いて、干渉信号から位相特性の影響を取り除く補正処理を行うため、ステップS420以降の処理を行う。

0068

尚、本実施形態では、OCT装置内部の演算処理によりOCT装置における測定光学部全体の位相特性を取得する例を説明した。本発明の趣旨はこの例に限定されず、OCT装置の外部に予め測定光学部全体の位相特性を測定した測定結果を記憶しておき、外部のデータベース、またはサーバからOCT装置の測定光学部全体の位相特性の測定結果を取得してもよい。この場合、OCT装置は、外部のデータベース、またはサーバと通信し、データを取得するための通信部612を備える。表示部300は通信部612を介して取得したデータを表示し、検者(操作者)は通信部612を介して取得されたデータを確認することも可能である。

0069

次に干渉信号から測定光学部全体の位相特性の影響を数値的な演算処理により取り除く補正処理を行い、補正された干渉信号に基づき断層画像を取得する処理の流れを説明する。

0070

(断層画像の取得)
ステップS420で、干渉信号補正部620は(2)式の干渉信号から干渉光の位相特性を示す情報が含まれる被検査物の情報(信号)と、干渉光の位相特性を示す情報が含まれない被検査物の情報(信号)とを分離する。

0071

本ステップでは、まず、干渉信号補正部620は、ステップS402で抽出された干渉信号((2)式))を複素数形式に変換する。同様に、干渉信号補正部620は、ステップS411で取得された位相((4)式)を複素数形式(例えば、e-iφ(k))に変換する。そして、干渉信号補正部620は、複素数形式に変換された干渉信号と位相とを乗算する演算処理を行う。この演算処理の結果は(5)式となる。

0072

0073

(5)式を展開し、√IrefIobjを省略すると、(6)式となる。

0074

0075

(6)式の第二項は測定光学部の全体の位相特性を示す情報(位相関数φ(k))を含む信号(干渉光の位相特性を示す情報が含まれる信号)として抽出される。(6)式の第一項は測定光学部の全体の位相特性を示す情報(位相関数φ(k))の影響がない信号(干渉光の位相特性を示す情報が含まれない信号)となる。OCT装置の測定光学部全体(例えば、第1のダイクロイックミラー102、第2のダイクロイックミラー103、ミラー121、光ファイバー125−2等)の影響を除いた被検査物の情報のみが抽出される。

0076

図5は干渉信号(original signal)501と干渉信号をフーリエ変換した後の信号の波形を例示する図である。干渉信号(original signal)501は正側の信号および負側の信号ともにピークが低く、ピークの立ち上がりが緩やかであり、ピークのすその間隔がブロードな波形である。positive signal502は(6)式の信号をフーリエ変換したもので、正側のピークの立ち上がりがシャープであり、かつ波形のピークが高くなる。これは(6)式の第一項(eikz)に対応する信号である。第一項に対する信号は測定光学部の全体の位相特性を示す情報を含まない信号(干渉光の位相特性を示す情報が含まれない信号)であり、この信号は被検査物のみの情報と対応している。

0077

それに対して、positive signal502の負側は干渉信号(original signal)501よりもピークが低く、さらにピークの立ち上がりが緩やかであり、ピークのすその間隔が干渉信号501よりもブロードな波形となっている。これは式(6)の第二項(e-i(kz+2φ(k)) )に対応する信号である。第二項に対する信号は測定光学部の全体の位相特性を示す情報が含まれる信号(干渉光の位相特性を示す情報が含まれる信号)である。

0078

ステップS420の演算処理では、位相関数の複素数形式として、e-iφ(k)を干渉信号に掛けた例を説明した。位相関数の複素数形式として、e+iφ(k)を干渉信号に掛けると、図5のnegative signal503に示すように負側のピークの立ち上がりがシャープとなり、かつ波形のピークが高くなる。

0079

これにより、正の信号をOCT信号として使う場合には、e-iφ(k)を干渉信号(original signal)501に掛けるのが良い。また、負の信号をOCT信号として使う場合には、e+iφ(k)を干渉信号(original signal)501に掛けるのが良いことが分かる。ステップS420の処理をAスキャンごとに行う。

0080

ステップS421において、干渉信号補正部620は、先のステップS420で複素数形式により演算された(6)式を実数形式に変換する。干渉信号補正部620は、分離した信号のうち、測定光学部の全体の位相特性を示す情報が含まれない被検査物の信号(干渉光の位相特性を示す情報が含まれない信号)を、補正した干渉信号として断層画像取得部622に出力する。

0081

ステップS422において、断層画像取得部622は、ステップS420、S421で干渉信号から分離された干渉光の位相特性を示す情報が含まれない信号を用いて被検査物の断層画像を取得する(断層画像の構築)。Aスキャン画像からBスキャン画像を構築する方法は第1実施形態と同様である。取得された断層画像は、第1実施形態と同様に表示部300に表示される(図3)。干渉光の位相特性を示す情報が含まれない信号を用いることで、測定光学部全体の位相特性として分散を考慮して補正できる位相特性と、分散を考慮しても補正できない不規則な位相特性とが含まれる場合にも精度よく被検査物の断層画像を取得することができる。

0082

(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアプログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

0083

180:分光器、300:表示部、601:分割部、
615:撮像部、620:干渉信号補正部、622:断層画像取得部

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