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技術 テラヘルツ波分光測定システム

出願人 パナソニックIPマネジメント株式会社
発明者 藤原誠二内藤康幸富山盛央
出願日 2017年4月12日 (3年7ヶ月経過) 出願番号 2017-078614
公開日 2017年11月30日 (2年11ヶ月経過) 公開番号 2017-211369
状態 特許登録済
技術分野 光学的手段による材料の調査、分析
主要キーワード 中間底 保持基材 指紋スペクトル 接合関係 分光測定システム 測定対象物中 光伝導素子 テラヘルツ波領域
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年11月30日)のものです。
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図面 (20)

課題

測定対象物が水を含有している場合には、水の吸収スペクトル分析目的分子の吸収スペクトルが重なるため、分析目的分子を同定するための簡便な計算処理方法が必要であった。

解決手段

測定対象物が水を含有している場合でも、テラヘルツ波特有の水の吸収を表すベースライン関数を算出して減算処理を行うことで分析目的分子の同定、定量を簡便に行うことを可能にするテラヘルツ波分光測定システムを提供する。

概要

背景

近年、テラヘルツ(THz)領域の電磁波(以下、テラヘルツ波と示す)を応用した技術が注目されている。テラヘルツ波は、光と電波境界に相当するおよそ0.1THz〜30THzの周波数領域に相当する電磁波であり、未開拓の周波数領域であった。しかし、近年、フェムト秒レーザー技術、非線形光学技術、半導体デバイス技術などの発展により、テラヘルツ波の発生、検出、伝送に関する基盤技術進展し、その応用技術が開発されてきている。

テラヘルツ波はさまざまな物質の特徴的な吸収スペクトルが得られる領域であり、分子識別のための指紋スペクトルとしての応用が期待されている。特に、タンパク質、脂質、炭水化物などの生体関連分子有機分子における固有振動テラヘルツ波領域の周波数に対応していることから、テラヘルツ波の分光測定技術による生体関連分子の分析細胞に関する研究、および有機化学研究が注目されている。

ところで、水はテラヘルツ波を吸収しやすい物質である。特に、0.1THz〜10THzの領域では周波数の増加に応じて単調吸収度が増加していく。測定対象物が水を含んでいる場合、照射されたテラヘルツ波は主に水によって吸収される。テラヘルツ波に対して特徴的な吸収スペクトルを有する分析目的分子が水と共存している場合、水の吸収スペクトルと分析目的分子の吸収スペクトルが重なるため、その特徴的な吸収スペクトルを認識することが困難になることがあった。タンパク質、脂質、炭水化物などの生体関連分子は、水と共存して存在することも多く、それら分子固有の吸収スペクトルを検出して同定する簡便な方法が必要であった。

特許文献1には、種子中のタンパク質、脂質、炭水化物等の成分を測定する方法が開示されている。

また、特許文献2には、質量分析装置等で得られたスペクトルデータのベースライン補正方法が開示されている。

概要

測定対象物が水を含有している場合には、水の吸収スペクトルと分析目的分子の吸収スペクトルが重なるため、分析目的分子を同定するための簡便な計算処理方法が必要であった。測定対象物が水を含有している場合でも、テラヘルツ波特有の水の吸収を表すベースライン関数を算出して減算処理を行うことで分析目的分子の同定、定量を簡便に行うことを可能にするテラヘルツ波分光測定システムを提供する。

目的

本発明の目的は、さまざまな含水率の測定対象物においても、テラヘルツ波を照射することによって得られる吸収スペクトルを簡便に計算処理することによって測定対象物内の分析目的分子を同定および定量する方法を有するシステムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

テラヘルツ波分光測定システムであって、以下を具備する:被検物質にテラヘルツ波を照射するテラヘルツ波放射体、前記被検物質を透過するか、または前記被検物質上で反射したテラヘルツ波を受光する受光器、および信号処理部、ここで、前記信号処理部は、作動時に、前記テラヘルツ波の周波数fを増加または減少させながら前記被検物質に前記テラヘルツ波を照射するための照射信号を前記テラヘルツ波放射体に出力し、前記受光器を介して受光されたテラヘルツ波の強度を得、前記テラヘルツ波放射体から照射されたテラヘルツ波の強度および前記受光器により受光されたテラヘルツ波の強度に基づいて、前記被検物質を透過するか、または前記被検物質上で反射したテラヘルツ波の前記周波数fに対する吸収度を表す吸収スペクトル関数A(f)を得、前記関数A(f)を前記周波数fで微分し、関数A’(f)を得、前記周波数fの増加に伴って、前記関数A’(f)の値が負の値から正の値に変化する2以上の第1領域を検出し、m番目(mは2以上の整数)の前記第1領域において以下の数式(I)を充足する前記周波数fの値を底点周波数b1、b2、・・・bmと定義し、関数A’(bm)=0(I)数式(I) 各底点周波数bmでの前記関数A(bm)の値を算出し、座標(b1、f(b1))、座標(b2、f(b2))、・・・・座標(bm、f(bm))またはそれらの近傍を通過するベースライン関数B(f)を形成し、かつ前記吸収スペクトルから前記ベースライン関数を減算する、テラヘルツ波分光測定システム。

請求項2

請求項1に記載のテラヘルツ波分光測定システムであって、前記信号処理部は、前記周波数fの増加に伴って、前記関数A’(f)の値が正の値から負の値に変化する2以上の第2領域を検出し、m番目(mは2以上の整数)の前記第2領域において以下の数式(II)を充足する前記周波数fの値を頂点周波数p1、p2、・・・pmと定義し、関数A’(pm)=0(I)数式(II)各頂点周波数pmでの前記関数A(pm)の値を算出し、前記信号処理部は、以下の数式(III)が成立する場合には、座標(bs、f(bs))をベースライン関数B(f)を形成するための座標から排除する。f(ps)−f(bs)<g数式(III)ここで、sは2以上かつm未満の整数であり、かつgは所定の値である、テラヘルツ波分光測定システム。

請求項3

請求項2に記載のテラヘルツ波分光測定システムであって、前記所定の値は0.2である、テラヘルツ波分光測定システム。

請求項4

請求項2に記載のテラヘルツ波分光測定システムであって、前記信号処理部は、以下の数式(IV)が成立する場合には、座標(bs、f(bs))をベースライン関数B(f)を形成するための座標から排除する。|f(bs)−f(bs−1)|≧c数式(IV)ここで、sは2以上かつm未満の整数であり、かつcは所定の値である、テラヘルツ波分光測定システム。

請求項5

請求項2に記載のテラヘルツ波分光測定システムであって、前記信号処理部は、以下の数式(V)が成立する場合には、座標(bs、f(bs))をベースライン関数B(f)を形成するための座標から排除する。|f(ps)−f(ps−1)|<d数式(V)ここで、bsは、ps−1より大きく、かつps未満であり、sは2以上かつm未満の整数であり、かつdは所定の値である、テラヘルツ波分光測定システム。

請求項6

請求項4に記載のテラヘルツ波分光測定システムであって、前記信号処理部は、前記数式(IV)が成立せず、かつ、以下の数式(VI)が成立する場合には、座標(bs−1、f(bs−1))、および、座標(bs、f(bs))のいずれかをベースライン関数B(f)を形成するための座標から排除する。|f(bs)−f(bs−1)|<e数式(VI)ここで、sは2以上かつm未満の整数であり、かつeは所定の値である、テラヘルツ波分光測定システム。

請求項7

請求項1に記載のテラヘルツ波分光測定システムであって、前記信号処理部は、前記底点周波数に対応する前記座標のうち、測定周波数範囲における最小周波数に対応する前記座標を最小周波数底点と設定し、最大周波数に対応する前記座標を最大周波数底点と設定し、少なくとも、前記最小周波数底点と前記最大周波数底点の2点を通る前記ベースライン関数を算出する、テラヘルツ波分光測定システム。

請求項8

請求項7に記載のテラヘルツ波分光測定システムであって、前記信号処理部は、前記底点周波数に対応する前記座標のうち、前記最小周波数底点と前記最大周波数底点との間にある前記座標を中間底点と設定し、少なくとも、前記最小周波数底点と、前記最大周波数底点と、前記中間底点の3点を通る前記ベースライン関数を算出する、テラヘルツ波分光測定システム。

請求項9

請求項7に記載のテラヘルツ波分光測定システムであって、前記信号処理部は、前記周波数fの増加に伴って、前記関数A’(f)の値が正の値から負の値に変化する2以上の第2領域を受光し、m番目(mは2以上の整数)の前記第2領域において以下の数式(II)を充足する前記周波数fの値を頂点周波数p1、p2、・・・pmと定義し、関数A’(pm)=0(I)数式(II)各頂点周波数pmでの前記関数A(pm)の値を算出し、前記信号処理部は、以下の数式(III)が成立する場合には、座標(bs、f(bs))をベースライン関数B(f)を形成するための座標から排除する。f(ps)−f(bs)<g数式(III)ここで、psはbsより小さく、sは2以上かつm未満の整数であり、かつgは所定の値である、テラヘルツ波分光測定システム。

請求項10

請求項7に記載のテラヘルツ波分光測定システムであって、前記測定周波数範囲は、少なくとも1THzの範囲を有する、テラヘルツ波分光測定システム。

請求項11

請求項1に記載のテラヘルツ波分光測定システムであって、前記ベースライン関数は、指数関数または二次関数である、テラヘルツ波分光測定システム。

請求項12

請求項1に記載のテラヘルツ波分光測定システムであって、前記テラヘルツ波は0.1THzから10THzの周波数領域の範囲内である、テラヘルツ波分光測定システム。

請求項13

請求項1に記載のテラヘルツ波分光測定システムであって、表示部をさらに具備し、前記信号処理部は、前記吸収スペクトルから前記ベースライン関数を算出し、前記吸収スペクトルから前記ベースライン関数を減算することによって減算後吸収スペクトルを算出し、 前記表示部は、少なくとも前記減算後吸収スペクトルを表示する、テラヘルツ波分光測定システム。

請求項14

請求項13に記載のテラヘルツ波分光測定システムであって、前記表示部は、2種以上の前記被検物質の前記減算後吸収スペクトルのベースラインを合わせて表示する、テラヘルツ波分光測定システム。

請求項15

請求項13に記載のテラヘルツ波分光測定システムであって、前記表示部は、前記ベースライン関数によって減算された値を表示する、テラヘルツ波分光測定システム。

技術分野

0001

本発明は、テラヘルツ波分光測定システムに関する。

背景技術

0002

近年、テラヘルツ(THz)領域の電磁波(以下、テラヘルツ波と示す)を応用した技術が注目されている。テラヘルツ波は、光と電波境界に相当するおよそ0.1THz〜30THzの周波数領域に相当する電磁波であり、未開拓の周波数領域であった。しかし、近年、フェムト秒レーザー技術、非線形光学技術、半導体デバイス技術などの発展により、テラヘルツ波の発生、検出、伝送に関する基盤技術進展し、その応用技術が開発されてきている。

0003

テラヘルツ波はさまざまな物質の特徴的な吸収スペクトルが得られる領域であり、分子識別のための指紋スペクトルとしての応用が期待されている。特に、タンパク質、脂質、炭水化物などの生体関連分子有機分子における固有振動テラヘルツ波領域の周波数に対応していることから、テラヘルツ波の分光測定技術による生体関連分子の分析細胞に関する研究、および有機化学研究が注目されている。

0004

ところで、水はテラヘルツ波を吸収しやすい物質である。特に、0.1THz〜10THzの領域では周波数の増加に応じて単調吸収度が増加していく。測定対象物が水を含んでいる場合、照射されたテラヘルツ波は主に水によって吸収される。テラヘルツ波に対して特徴的な吸収スペクトルを有する分析目的分子が水と共存している場合、水の吸収スペクトルと分析目的分子の吸収スペクトルが重なるため、その特徴的な吸収スペクトルを認識することが困難になることがあった。タンパク質、脂質、炭水化物などの生体関連分子は、水と共存して存在することも多く、それら分子固有の吸収スペクトルを検出して同定する簡便な方法が必要であった。

0005

特許文献1には、種子中のタンパク質、脂質、炭水化物等の成分を測定する方法が開示されている。

0006

また、特許文献2には、質量分析装置等で得られたスペクトルデータのベースライン補正方法が開示されている。

先行技術

0007

特許5429657号公報
特開2015−200532号公報
米国特許出願公開第2006/0255277号明細書
米国特許出願公開第2012/0199743号明細書
米国特許出願公開第2015/0316475号明細書

発明が解決しようとする課題

0008

特許文献1では、含水率を10%程度まで抑えた種子を検査対象とし、種子にテラヘルツ波を照射し、透過したテラヘルツ波を検出することで種子中のタンパク質、脂質、炭水化物等の分析を可能としている。含水率が高くなると水へのテラヘルツ波の吸収が増加しスペクトルの同定が困難になることに言及しているが、具体的にどのように対応するかに言及していない。また、含水率が低いときには、物質に応じて特徴的な透過スペクトルを示すことによって、種子中のタンパク質、脂質、炭水化物等の分析を可能としているが、透過スペクトルの値は水分量に応じて異なり、水分量に応じたスペクトルの補正方法に関して言及していない。

0009

また、特許文献2では、質量分析装置で得られたスペクトルデータのベースラインの補正方法に言及している。各ピークの谷部の底点を結ぶラインをピークごとに都度設定することが開示されている。結果、得られた一つのスペクトル内で各底点間の区間ごとに個別の関数を持つベースラインを複数設定することが必要となり、計算処理に大きな負荷がかかる。テラヘルツ波に対する水の吸収スペクトルは周波数の増加に応じて単調に増加するため、一つのスペクトル内で複数のベースラインを設定する必要はなく、計算処理に負荷をかけずに簡便に行うことが望ましい。

0010

本発明の目的は、さまざまな含水率の測定対象物においても、テラヘルツ波を照射することによって得られる吸収スペクトルを簡便に計算処理することによって測定対象物内の分析目的分子を同定および定量する方法を有するシステムを提供することにある。

課題を解決するための手段

0011

本発明によるテラヘルツ波分光測定システムは、以下を具備する:
被検物質にテラヘルツ波を照射するテラヘルツ波放射体
前記被検物質を透過するか、または前記被検物質上で反射したテラヘルツ波を受光する受光器、および
信号処理部。
ここで、
前記信号処理部は、作動時に、
前記テラヘルツ波の周波数fを増加または減少させながら前記被検物質に前記テラヘルツ波を照射するための照射信号を前記テラヘルツ波放射体に出力し、
前記受光器を介して受光されたテラヘルツ波の強度を得、
前記テラヘルツ波放射体から照射されたテラヘルツ波の強度および前記受光器により受光されたテラヘルツ波の強度に基づいて、前記被検物質を透過するか、または前記被検物質上で反射したテラヘルツ波の前記周波数fに対する吸収度を表す吸収スペクトルの関数A(f)を得、
前記関数A(f)を前記周波数fで微分し、関数A’(f)を得、
前記周波数fの増加に伴って、前記関数A’(f)の値が負の値から正の値に変化する2以上の第1領域を検出し、
m番目(mは2以上の整数)の前記第1領域において以下の数式(I)を充足する前記周波数fの値を底点周波数b1、b2、・・・bmと定義し、
関数A’(bm)=0 (I) 数式(I)
各底点周波数bmでの前記関数A(bm)の値を算出し、
座標(b1、f(b1))、座標(b2、f(b2))、・・・・座標(bm、f(bm))またはそれらの近傍を通過するベースライン関数B(f)を形成し、かつ
前記吸収スペクトルから前記ベースライン関数を減算する。

発明の効果

0012

本発明は、測定対象物が水を含有していても、測定対象物内の分析目的分子を簡便に同定および定量することを可能とし、さらには複数の測定対象物を測定した結果の比較を視覚的に行うことを容易にするテラヘルツ波分光測定システムを提供する。

図面の簡単な説明

0013

第1実施形態における透過測定用途のテラヘルツ波分光測定システム100の模式図
分析目的分子のデータベースとなりうるテラヘルツ波吸収スペクトル例を表すグラフ
分析目的分子と水が混合している場合に得られるテラヘルツ波吸収スペクトル例を表すグラフ
第1実施形態における吸収スペクトルA(f)および検出した底点を表すグラフ
第1実施形態における吸収スペクトルA(f)とベースライン関数B(f)を重ねて表すグラフ
第1実施形態における減算後スペクトルZ(f)を表すグラフ
第1実施形態における反射測定用途のテラヘルツ波分光測定システム200の模式図。
第1実施形態における吸収スペクトルA(f)および検出した頂点を表すグラフ
第1実施形態における吸収ピークと吸収ボトムを表すグラフ
第2実施形態における透過測定用途のテラヘルツ波分光測定システム300の模式図。
実施例1における吸収スペクトルA(f)と最小周波数底点、最大周波数底点および中間底点を表すグラフ
実施例1における吸収スペクトルA(f)およびベースライン関数B(f)を表すグラフ
実施例1における減算後スペクトルZ(f)を表すグラフ
実施例2における吸収スペクトルA(f)と吸収ピークと吸収ボトムを表すグラフ
実施例2における吸収スペクトルA(f)およびベースライン関数B(f)を表すグラフ
実施例2における減算後スペクトルZ(f)を表すグラフ
実施例3におけるサンプルaおよびサンプルbの吸収スペクトルAa(f)およびBa(f)を表すグラフ
実施例3におけるサンプルaおよびサンプルbの吸収スペクトルAa(f)およびBa(f)、ベースライン関数Ba(f)およびBb(f)を表すグラフ
実施例3におけるサンプルaおよびサンプルbの減算処理後スペクトルZa(f)およびZb(f)を表すグラフ
実施例4におけるサンプルaおよびサンプルbの減算処理後スペクトルZa(f)およびZb(f)と、ベースライン関数Ba(f)およびBb(f)の値と、各吸収ピークで減算された値を表すグラフ
実施例5におけるサンプルaおよびサンプルbの減算処理後スペクトルZa(f)およびZb(f)と各吸収ボトムの値を表すグラフ
吸収ピークが底点Bxを含む吸収スペクトルA(f)を表すグラフ
第4実施形態における吸収ピークと吸収ボトムを表すグラフ

実施例

0014

(第1実施形態)
図1は、第1実施形態における透過測定用途のテラヘルツ波分光測定システム100の模式図を示す。

0015

図1は、測定対象物を透過したテラヘルツ波を計測するシステム構成をとっており、テラヘルツ波放射体101、受光部102、信号処理部103により構成される。測定対象物104は、テラヘルツ波放射体101と受光部102の間の光軸上に置かれる。

0016

テラヘルツ波を発生するテラヘルツ波放射体101としては、光伝導素子非線形光学結晶に数フェムト秒から数100フェムト秒のパルス幅をもつフェムト秒レーザーを照射することでテラヘルツ波を発振させるテラヘルツ波放射体等が主に用いられる。これらのテラヘルツ波放射体を用いることにより、0.1THz〜30THzの周波数範囲のテラヘルツ波を利用できる。

0017

テラヘルツ波放射体101が発振したテラヘルツ波は測定対象物104に向かって放射され、測定対象物104を透過したテラヘルツ波は受光部102に入射する。

0018

受光部102としては、広い波長感度特性をもつ光伝導素子、焦電検知器ボロメータなどが用いられる。

0019

また、テラヘルツ波放射体101と測定対象物104の間には、図示しないが、レンズ等によって構成される集光系を配置してもよい。レンズの材質としては、テラヘルツ波が透過するポリエチレン等のプラスチック材料等が用いられる。

0020

テラヘルツ波放射体101からのテラヘルツ波の発振強度と、受光部102でのテラヘルツ波の検出強度を信号処理部103で演算することによって、測定対象物の吸収スペクトルを算出することができる。算出された吸収スペクトルによって各周波数に対応する吸収度が分かる。

0021

ある分析目的分子のデータベースとなりうるテラヘルツ波吸収スペクトル例を表した模式図を図2に示す。上に凸となる形状を表す吸収ピークが、分析目的分子固有の周波数で固有の吸収度として表され、それらのスペクトル形状網羅したデータベースとして信号処理部103に記憶しておき、測定対象物の吸収スペクトルと比較することによって、測定対象物内の分析目的分子を同定することができる。また、吸収スペクトルの強度は、測定対象物内の分析目的分子濃度に比例するため、分析目的分子の濃度も定量することができる。

0022

一方で、分析目的分子と水が混合している場合に得られるテラヘルツ波吸収スペクトル例を表した模式図を図3に示す。図中において、上に凸となる形状を表す吸収ピークが数本得られるのは図2と同様であるが、周波数の増加に伴い、吸収度が全体的に単調に増加していく印象を与える。これは、分析目的分子の吸収スペクトルに加えて、水の吸収スペクトルも合わせて検出されるためである。水は、特に0.1THzから10THzの周波数領域において、周波数の増加に応じて吸収度が単調に増加する傾向がある。このことから、信号処理部103に記憶されている図2のようなスペクトル形状と比較する簡便な処理が必要となる。

0023

図3に示されるようなテラヘルツ波吸収スペクトルは、特許文献3(その図6を参照せよ)、特許文献4(その図2Aを参照せよ)、および特許文献5(その図19を参照せよ)にも開示されている。これらの特許文献を参照した当業者にとって、図3に示されるようなテラヘルツ波吸収スペクトルを得ることは容易であろう。

0024

吸収スペクトルからベースライン関数を算出し、吸収スペクトルからベースライン関数を減算し、減算後吸収スペクトルを算出する過程を以下に説明する。

0025

まず信号処理部103は、所定周波数の範囲内において検出強度と発振強度から吸収スペクトルA(f)を算出する(図4)。

0026

吸収スペクトルのベースライン関数を算出するためには、上に凸となる形状を表す吸収ピークには含まれない点、すなわち底点を検出する必要がある。

0027

底点の検出方法は、信号波形勾配、つまり一回微分することによって微分係数を計算し、その微分係数の符号が負の値である(つまりは信号波形の勾配が下り傾斜になる)状態から一旦ゼロになり、その後に正の値に転換する(つまりは信号波形の勾配が上り傾斜になる)領域を見つけ、そのゼロ値の位置を底点とする方法を行う。一回微分した値がゼロ値となる周波数値を求めるためには微分計算を多くの周波数値に対して行う必要が生じるため、大きな情報処理負荷がかかる。そのため、微分係数が負の値から正の値に転換する領域を見つけ、その領域内の点を底点とすることでも構わない。

0028

吸収スペクトルA(f)から底点を検出した図を図4に示す。一回微分による微分係数が負の値から正の値に変わる領域にあるB1からB6を底点として検出した。

0029

通常、検出される底点の数はm個(mは2以上の整数)である。底点B1、B2、・・・Bmでの周波数の値は、底点周波数b1、b2、・・・bmと定義される。それら複数の底点またはその近傍を結ぶ関数を指数関数として近似し、下記の式に当てはまるようなaおよびbを求め、その関数をベースライン関数B(f)とする。
B(f)=a・exp[b・f] f:周波数

0030

aおよびbを求めるには、最小二乗法等により近似することによって求められる。

0031

具体的には、底点周波数bmでの関数A(bm)の値が算出される。次いで、座標(b1、f(b1))、座標(b2、f(b2)、・・・・座標(bm、f(bm))を通過するベースライン関数B(f)を形成する。滑らかなベースライン関数B(f)を形成するために、少なくとも一部のこれらの座標は、それらの近傍の値に置換され得る。

0032

図5に吸収スペクトルA(f)とベースライン関数B(f)を重ねて記載した図を示す。図5では、滑らかなベースライン関数B(f)を形成するために、底点B2、B4、およびB6については、それぞれ、座標(B2、A(B2))、座標(B4、A(B4)、および座標(B6、A(B6)が用いられている。一方、底点B1、B3、およびB5については、それぞれ、座標(B1、A(B1))の近傍の座標(B1’、A(B1)’)、座標(B3、A(B3))の近傍の座標(B3’、A(B3)’)、および座標(B5、A(B5))の近傍の座標(B5’、A(B5)’)が、滑らかなベースライン関数B(f)を形成するために用いられている。

0033

本実施形態では指数関数としたが、二次関数であってもよい。このときも複数の底点から算出する際には最小二乗法等によりすることによって求められる。

0034

得られた吸収スペクトルA(f)から、ベースライン関数B(f)を下式のように減算することによって、減算後スペクトルZ(f)を求める。
Z(f)=A(f)−B(f)

0035

図6に減算後スペクトルZ(f)を示す。減算後スペクトルZ(f)をデータベースに記憶している吸収スペクトルと比較することにより、分析目的分子の同定または定量することができる。

0036

ベースライン関数B(f)を算出するためには、検出されたすべての底点を設定しなくてもよいが、少なくとも2点、望ましくは3点以上設定する。

0037

設定する底点の範囲は広い方が望ましい。測定周波数範囲において、検出された底点のうち、最小周波数にある底点を最小周波数底点と設定し、最大周波数にある底点を最大周波数底点として設定する。少なくともそれら2点からベースライン関数B(f)を算出する。それによって、広い範囲を近似するベースライン関数B(f)を算出することができる。

0038

最小周波数底点と最大周波数底点の中間に存在する底点を中間底点として設定し、少なくとも最小周波数底点と最大周波数底点と中間底点の3点を通るベースライン関数B(f)を算出することで、より正確な値を得ることができる。

0039

測定周波数範囲の設定は広い範囲が望ましいため、0.5から10THzの周波数のうち、1THz以上の範囲を設定することが望ましい。

0040

ここまで透過測定に関して述べてきたが、テラヘルツ波に対する測定対象物の反射強度を測定しても同様の効果を得ることができる。

0041

反射測定の場合を以下に述べる。図7は、反射測定用途のテラツル波分光測定システム200の模式図である。図7に示す反射型分光測定装置は、テラヘルツ波放射体201、受光部202、信号処理部203、発振側ミラー211、検出側ミラー212により構成される。テラヘルツ波放射体201から発振されたテラヘルツ波は、発振側ミラー211で反射し、測定対象物204に照射され、反射したテラヘルツ波が検出側ミラー212で反射して受光部202に入射する。

0042

反射測定の際も透過測定と同様にテラヘルツ波放射体201から発振したテラヘルツ波の強度と受光部202で検出されたテラヘルツ波の強度を信号処理部203で演算することによって、測定対象物204の吸収度を算出することができる。

0043

反射測定の際も透過測定時と同様に得られた吸収スペクトルAref(f)からベースライン関数Bref(f)を求めて減算処理をすることによって減算後スペクトルZref(f)を算出することにより、水の影響を排除した分析目的分子特有の吸収スペクトルを得ることができ、分析目的分子の同定またはその濃度を判定することができる。

0044

図22に示されるように、吸収ピークが底点Bxを含む場合、当該底点Bxは、ベースライン関数B(f)の形成から除外される。言い換えれば、ベースライン関数B(f)の形成時に、座標(bs、f(bs))は排除される。

0045

隣接する2つの底点Bs−1および底点Bs(sは2以上m以下の整数)での吸収スペクトルA(Bs−1)の値および吸収スペクトルA(B)の値が、一定の値c以上であることが充足される場合、底点Bsは吸収ピークに含まれると判定される。この場合、座標(bs、f(bs))を有する底点Bsは、ベースライン関数B(f)の形成から排除される。次いで、同様に、底点Bsを無視して隣接する2つの底点Bs−1および底点Bs+1での吸収スペクトルA(Bs−1)の値および吸収スペクトルA(B+1)の値が、一定の値c以上であるかどうかが判定される。

0046

(第2実施形態)
ベースライン関数B(f)を算出するための底点は、吸収ピークに使い位置の方がより正確な同定をすることができる。特に吸収ピーク後のベースラインに着地した部分の底点を吸収ボトムとして設定し、その吸収ボトムからベースライン関数B(f)を算出することが望ましい。以下に吸収ピークと吸収ボトムを設定する方法について述べる。

0047

一回微分することによって微分係数を計算し、その微分係数の符号が正の値である状態から一旦ゼロになり、その後に負の値に転換する領域を見つけ、そのゼロ値の位置を頂点と設定する。一回微分した値がゼロ値となる周波数値を求めるためには、微分計算を多くの周波数値に対して行う必要が生じるため、大きな情報処理負荷がかかる。そのため、微分係数が正の値から負の値に転換する領域を見つけ、その領域内の点を頂点とすることでも構わない。

0048

吸収スペクトルから頂点を検出した図を図8に示す。一回微分による微分係数が負の値から正の値に変わる領域にあるP1からP6を頂点として検出した。

0049

頂点はノイズ等に起因するごく微小凹凸形状波形の影響を受けるものも含まれる。凹凸形状となる頂点と隣接する底点との吸収度の差を算出し、予め設定した値以上のときの頂点を吸収ピークとして設定する。吸収度の差が例えば0.2以上のときは吸収ピークと判定して、0.2未満のときはノイズ起因の頂点と判定する。なお、設定する値はこの限りではなく、受光部の感度や測定対象物の状態等を踏まえて設定することができる。

0050

次に吸収ピークに隣接する底点を吸収ボトムと判定する。吸収度が0.2のときに吸収ピークと判定したときの吸収ピークと吸収ボトムを図9に示す。吸収ピークはP2、P5、P6であり、吸収ボトムはB2、B5、B6である。その吸収ボトムからベースライン関数B(f)を算出する。

0051

ベースライン関数を算出するためにはすべて吸収ボトムである必要はなく、その他の底点と混合してもよい。

0052

ノイズ等に起因するごく微小な凹凸形状波形の影響を除去するためには、前後の値で平均化することによる平滑化処理等を行ってもよく、その後で吸収ボトムを判定してもよい。

0053

測定周波数範囲は吸収ボトムを含むように設定することが望ましい。

0054

(第3実施形態)
図10は第3実施形態による透過測定用途のテラヘルツ波分光測定システム300の模式図を示す。

0055

図10は、測定対象物を透過したテラヘルツ波を計測するシステム構成をとっており、テラヘルツ波放射体301、受光部302、信号処理部303により構成される。測定対象物304は、テラヘルツ波放射体301と検出器302の間の光軸上に置かれる。本実施形態では第1実施形態と異なる点として、測定対象物304の吸収スペクトル等を表示させることができる表示部310を設けたことが特徴である。

0056

本実施形態においても第1実施形態と同様に、テラヘルツ波放射体301から発振されたテラヘルツ波は測定対象物304に照射され、透過したテラヘルツ波が受光部302に入射する。発信器301から発振されたテラヘルツ波の強度と、受光部302で検出されたテラヘルツ波の強度を信号処理部303で演算することによって、測定対象物304の吸収度を算出することができる。さらに、周波数に対する吸収度として表される吸収スペクトルを所定周波数範囲内において算出および記憶することができる。

0057

第3実施形態では、信号処理部303が、吸収スペクトルA(f)からベースライン関数B(f)を算出した後、減算処理をすることによって算出した減算後スペクトルZ(f)を表示部310に表示することができる。

0058

信号処理部103は測定対象物の減算後スペクトルZ(f)を複数記憶させておくことができるため、表示部310では、複数の測定対象物の減算後スペクトルZ(f)を1つのグラフ上に重ねて表示することもできる。複数の測定対象物の減算後スペクトルZ(f)のベースラインが重なることになるため、結果を視覚的に比較することができる。水の含有量が異なる測定対象物の吸収スペクトルは通常、周波数増加につれての全体的な吸収度の増加が異なるため、吸収スペクトルA(f)は異なるベースラインを示す。よって複数の結果においてベースラインが重なっている表示を示すことは、ともに減算処理過程を経た結果であることを表している。

0059

複数の減算後吸収スペクトルZ(f)を並列して表示することもできる。

0060

吸収スペクトルA(f)からベースライン関数B(f)によって減算された値を表示してもよい。

0061

表示部310へは吸収スペクトルA(f)またはベースライン関数B(f)を表示してもよい。

0062

ベースライン関数B(f)を算出するために使用された吸収ボトム、または底点を表示してもよい。

0063

本実施形態では透過測定に関して述べてきたが、テラヘルツ波に対する測定対象物の反射強度を測定しても同様の効果を得ることができる。

0064

(第4実施形態)
図23に示されるように、吸収ピークが底点Bxを含む場合、当該底点Bxは、ベースライン関数B(f)の形成から除外される。言い換えれば、ベースライン関数B(f)の形成時に、座標(bs、f(bs))は排除される。

0065

隣接する2つの底点Bs−1および底点Bs(sは2以上m以下の整数)での吸収スペクトルA(Bs−1)の値および吸収スペクトルA(Bs)の値の差が、一定の値c以上であることが充足される場合、底点Bsは吸収ピークに含まれると判定される。この場合、座標(bs、f(bs))を有する底点Bsは、ベースライン関数B(f)の形成から排除される。次いで、同様に、底点Bsを無視して隣接する2つの底点Bs−1および底点Bs+1での吸収スペクトルA(Bs−1)の値および吸収スペクトルA(Bs+1)の値が、一定の値c以上であるかどうかが判定される。

0066

図23において一定の値cを例えば0.1と設定する場合、A(B12)とA(Bx)の値を比較し、その差が0.1以上であるため底点Bxは排除される。次いで、A(B12)とA(B13)の値を比較し、その差が0.1未満であるため底点B12または底点B13の少なくともどちらかを用いてベースライン関数B(f)を形成する。

0067

なお、一定の値cを0.1とした例を示したがこの限りではなく、受光部の感度や測定対象物の状態等を踏まえて設定することができる。

0068

(第5実施形態)
図23に示されるように、吸収ピークが底点Bxを含む場合、当該底点Bxは、ベースライン関数B(f)の形成から除外される。言い換えれば、ベースライン関数B(f)の形成時に、座標(bs、f(bs))は排除される。

0069

微分係数が負の値から正の値に変わる点を頂点と設定し、隣接する2つの頂点Ps−1および頂点Ps(sは2以上m以下の整数)での吸収スペクトルA(Ps−1)の値および吸収スペクトルA(Ps)の値の差が、一定の値d未満であることが充足される場合、頂点Ps−1および頂点Psの間にある底点Bsは吸収ピークに含まれないと判定される。この場合、座標(bs、f(bs))を有する底点Bsは、ベースライン関数B(f)の形成から排除される。次いで、吸収スペクトルA(Ps−1)の値と吸収スペクトルA(Ps)の値のうち大きい値と、頂点Ps+1での吸収スペクトルA(Ps+1)の値との差が、一定の値d未満であるかどうかが判定される。

0070

図23において一定の値dを例えば0.1と設定する場合、A(P12)とA(P13)の値を比較し、その差が0.1未満であるためA(P12)とA(P13)の間にある底点Bxは排除される。次いで、A(P12)の値とA(P13)の値のうち大きい値のA(P12)とA(P14)とを比較し、その差が0.1以上であるため底点B13を用いてベースライン関数B(f)を形成する。

0071

なお、一定の値dを0.1とした例を示したがこの限りではなく、受光部の感度や測定対象物の状態等を踏まえて設定することができる。

0072

(第6実施形態)
図23に示されるように、吸収ピークの幅が一定以上を充足しない場合の当該底点B11は、ベースライン関数B(f)の形成から除外される。言い換えれば、ベースライン関数B(f)の形成時に、座標(b11、f(b11))および座標(b12、f(b12))のいずれかは排除される。なお、吸収スペクトルA(Bs−1)の値および吸収スペクトルA(Bs)の値の差が、一定の値c以上であることが充足される場合、底点Bsは吸収ピークに含まれると判定されるため、当該底点で吸収ピークの幅は形成されない。

0073

隣接する2つの底点Bs−1および底点Bs(sは2以上m以下の整数)での吸収スペクトルA(Bs−1)の値および吸収スペクトルA(Bs)の値の差が、一定の値c未満である場合に、吸収スペクトルA(Bs−1)における座標(bs−1、f(bs−1))と吸収スペクトルA(Bs)における座標(bs、f(bs))のbs−1とbsの差を吸収ピーク幅と設定する。吸収ピーク幅が一定の幅e以上である場合、吸収スペクトルA(Bs−1)および吸収スペクトルA(Bs)のどちらかを用いてベースライン関数B(f)を形成する。

0074

図23においては一定の値cを例えば0.1と設定し、一定の値eを例えば0.05と設定する場合、まずA(B11)とA(B12)の値を比較し、その差が0.1未満であるため、吸収スペクトルA(B11)の座標(b11、A(b11))と吸収スペクトルA(B12)の座標(b12、A(b12))のb11とb12の差を吸収ピーク幅と設定する。その吸収ピーク幅が0.05未満であるため、底点B11または底点B12のどちらかを用いてベースライン関数B(f)を形成するとは判定されない。

0075

次いで、A(B12)とA(Bx)の値を比較し、その差が0.1以上であるため底点Bxは排除される。次いで、A(B12)とA(B13)の値を比較し、その差が0.1未満であるため、吸収スペクトルA(B12)の座標(b12、A(b12))と吸収スペクトルA(B13)の座標(b13、A(b13))のb12とb13の差を吸収ピーク幅と設定する。その吸収ピーク幅が0.05以上であるため、底点B12または底点B13の少なくともどちらかを用いてベースライン関数B(f)を形成すると判定される。

0076

なお、一定の値cを0.1、一定の値eを0.05とした例を示したがこの限りではなく、受光部の感度や測定対象物の状態等を踏まえて設定することができる。

0077

信号処理部(circuitry)は、半導体装置半導体集積回路(IC)、又はLSI(large
scale integration)を含む一つ又は一つ以上複数の電子回路によって構成されてもよい。LSI又はICは、一つのチップ集積されてもよいし、複数のチップを組み合わせて構成されてもよい。例えば、記憶素子以外の機能ブロックは、一つのチップに集積されてもよい。ここでは、LSIやICと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSIVLSI(very large scale integration)、若しくはULSI(ultra large scale integration) と呼ばれるかもしれないものであってもよい。 LSIの製造後にプログラムされる、Field Programmable Gate Array (FPGA)、又はLSI内部の接合関係再構成又はLSI内部の回路区画セットアップができるreconfigurable logicdeviceも同じ目的で使うことができる。

0078

信号処理部における各工程は、コンピュータに含まれているソフトウエア処理によって実行することが可能である。この場合、ソフトウエアは一つ又は複数のROM、光学ディスクハードディスクドライブ、などの非一時的記録媒体に記録され、ソフトウエアが、コンピュータのような処理装置(processor)によって実行された場合ときに、ソフトウエアは、そのソフトウエア内で特定された機能を、処理装置(processor)および周辺装置によって実行される。システム又は装置は、ソフトウエアが記録されている一つ又は複数の非一時的記録媒体、処理装置(processor)、及び必要とされるハードウエアデバイス、例えばインターフェース、を備えていても良い。

0079

(実施例)
(実施例1)
チロシンポリエチレン粉末と混合させた後、水を含有させて測定対象物を形成した。その測定対象物にのテラヘルツ波吸収スペクトルからチロシンの同定および定量を行った。ポリエチレンはテラヘルツ波を透過しやすい物質で分析目的分子の吸収スペクトルに影響を与えないことから、測定対象物の混合剤に用いたり、サンプル保持基材に用いたりする。

0080

測定対象物は以下のように作成した。ポリエチレン粉末とチロシン粉末重量比で1:1となるように調合した後、全粉末に対して重量比1%となる水を含有させて、均一に混合することによって測定対象物を作成した。

0081

測定対象物の一部をポリエチレン板で形成されるサンプルホルダ(径10mm)上に厚みが均等になるように敷き詰めた。サンプルホルダはポリエチレン板の外周を金属性リングで取り囲んで、リング内のポリエチレン板面を径10mmにしている。ポリエチレン板表面と金属性のリングにより段差が形成されるため、ポリエチレン表面上に粉末を保持しやすい形状にしている。

0082

テラヘルツ波をサンプルホルダに敷き詰めた測定対象物上から照射(照射スポット径3mm)し、測定対象物およびサンプルホルダを透過したテラヘルツ波を検出することによって測定対象物の吸収スペクトルを算出した。周波数0.5THzから2.5THzの範囲において算出された吸収スペクトルA(f)の結果を図11に示す。周波数が増えるにつれて吸収度が全体的に単調に増加する傾向になった。

0083

吸収スペクトルA(f)の一回微分を行うことで微分係数を算出し、負から正にかわる点における領域の一部を底点とした。

0084

本実施例の測定周波数範囲である0.5THzから2.5THzの範囲における最小周波数底点と最大周波数底点、および中間底点の3点を選択した。選択した点を図11に合わせて示す。

0085

選択した3点の底点を用いて、指数関数としてのベースライン関数B(f)は最小二乗法により下式のように求められた。
B(f)=0.0077・exp[2.0・f] f:周波数

0086

吸収スペクトルA(f)および算出されたベースライン関数B(f)を図12に示す。

0087

続いて吸収スペクトルA(f)からベースライン関数B(f)を減算することによって、減算後スペクトルZ(f)を算出した。結果を図13に示す。減算後スペクトルZ(f)から測定対象物中のチロシンが同定できた。また、定量も行うことができ、平均誤差は1.2%であった。

0088

(実施例2)
本実施例では、吸収ボトムを算出することによってベースライン関数B(f)を算出した。

0089

実施例1と同様の測定対象物から得られた吸収スペクトルA(f)の一回微分を行うことで微分係数を算出し、負から正にかわる点における領域の一部を底点とした。

0090

正から負にかわる点における領域の一部を頂点とした。

0091

次に、頂点に対応する吸収度と、頂点の高周波数側に隣接する底点に対応する吸収度の差が0.2以上のときに、その頂点を吸収ピーク、その底点を吸収ボトムと設定した。設定した各点を図14に示す。

0092

本実施例の測定周波数範囲である0.5THzから2.5THzの範囲における吸収ボトム3点を用いて、指数関数としてのベースライン関数B(f)は最小二乗法により下式のように求められた。
B(f)=0.022・exp[1.6・f] f:周波数

0093

吸収スペクトルA(f)およびベースライン関数B(f)を図15に示す。

0094

続いて吸収スペクトルA(f)からベースライン関数B(f)を減算することによって、減算後スペクトルZ(f)を算出した。結果を図16に示す。減算後スペクトルZ(f)から測定対象物中のチロシンが同定できた。また、定量も行うことができ、平均誤差は1.2%であった。

0095

(実施例3)
チロシンをポリエチレン粉末と混合させた後、水を含有させて測定対象物を形成した。本実施例では、異なる水の含有量となるような2種類の測定対象物を作成して、それぞれの測定対象物のテラヘルツ波吸収スペクトルを測定した。

0096

測定対象物は以下のように作成した。ポリエチレン粉末とチロシン粉末を重量比で1:1となるように調合した後、全粉末に対して重量比1%となる水を含有させて、均一に混合することによってサンプルaを作成した。一方、全粉末に対して重量比3%となる水を含有させて、均一に混合することによってサンプルbを作成した。

0097

サンプルaの一部とサンプルbの一部をそれぞれ、ポリエチレン板で形成されるサンプルホルダ(径10mm)上に厚みが均等になるように敷き詰め、テラヘルツ波をサンプルホルダ上から照射(照射スポット径3mm)し、サンプルaおよびサンプルbそれぞれの吸収スペクトルを算出した。周波数0.5THzから2.5THzの範囲において算出されたそれぞれの吸収スペクトルAa(f)およびAb(f)の結果を図17に示す。実線が吸収スペクトルAa(f)、破線が吸収スペクトルAb(f)を表す。ともに周波数が増えるにつれて全体的に吸収度が右肩あがりで大きくなっており、サンプルbの吸収スペクトルAb(f)の傾きがサンプルaの吸収スペクトルAa(f)の傾きより大きくなった。

0098

サンプルaとサンプルbの吸収ボトムを3点ずつ検出し、指数関数としてのベースライン関数Ba(f)およびBb(f)は最小二乗法により下式のように求められた。
Ba(f)=0.022・exp[1.6・f] f:周波数
Bb(f)=0.18・exp[0.99・f] f:周波数

0099

吸収スペクトルAa(f)およびAb(f)、ベースライン関数Ba(f)およびBb(f)を図18に示す。実線が吸収スペクトルBa(f)、破線が吸収スペクトルBb(f)を表す。

0100

続いて吸収スペクトルAa(f)およびAb(f)から、ベースライン関数Ba(f)およびBb(f)を減算することによって、減算後スペクトルZa(f)およびZb(f)を算出した。重ね合わせて表した結果を図19に示す。実線が吸収スペクトルZa(f)、破線が吸収スペクトルZb(f)を表す。図19の結果を表示部に表示した。

0101

減算後スペクトルを表示させることによってサンプルaとサンプルbのチロシン含有量は同じであることを視覚的に判断することができた。

0102

(実施例4)
減算後スペクトルを表示させる際に、吸収スペクトルからベースライン関数によって減算された値を表示することで、使用者に減算処理の結果を伝えることができる。

0103

実施例3と同様に吸収スペクトルAa(f)およびAb(f)を測定し、吸収ボトムを判定することによってベースライン関数Ba(f)およびBb(f)を算出し、減算処理によって減算後スペクトルZa(f)およびZb(f)を算出した。

0104

本実施例では吸収ピークも算出し、減算後スペクトルZa(f)およびZb(f)の吸収ピークが、吸収スペクトルAa(f)およびAb(f)からベースライン関数Ba(f)およびBb(f)によって減算された値を表示させた。合わせてベースライン関数Ba(f)およびBb(f)も表示させた図を図20に示す。このように表示することによって、減算後スペクトルがどれだけ減算された結果によるものか視覚的に知ることができる。

0105

(実施例5)
減算後スペクトルを表示させる際に、どの吸収ボトムを用いてベースライン関数を算出したかを表示することで、使用者に減算処理の過程を伝えることができる。

0106

実施例3と同様に吸収スペクトルAa(f)およびAb(f)を測定し、吸収ボトムを判定することによってベースライン関数Ba(f)およびBb(f)を算出し、減算処理によって減算後スペクトルZa(f)およびZb(f)を算出した。

0107

ベースライン関数を算出するために判定した吸収ボトムを減算後スペクトルZa(f)およびZb(f)と合わせて表示させた図を図21に示す。このように表示することによって、どの点を用いて減算処理過程を行っているかを視覚的に知ることができる。

0108

(比較例)
図23において微分係数が正の値から負の値に変わる領域を底点として検出したB11、B12、Bx、B13をすべて用いてベースライン関数B(f)を算出した。吸収スペクトルA(f)からベースライン関数B(f)を減算して、減算後スペクトルZ(f)を求めた。本来ならB12からB13にかけて一つの吸収ピークとして認識すべきところが、B12からBxまでの吸収ピーク、およびBxからB13までの吸収ピークという2つの吸収ピークとして認識されてしまったため、同定が正しく行われなかった。

0109

測定対象物が水を含有している場合でも、テラヘルツ波特有の水の吸収を表すベースライン関数を算出して減算処理を行うことで分析目的分子の同定、定量を簡便に行うことを可能とし、さらには複数の測定対象物を測定した結果の比較を視覚的に行うことを容易にするテラヘルツ波分光測定システムを提供する。

0110

100テラヘルツ波分光測定システム
101 テラヘルツ波放射体
102受光部
103信号処理部
104測定対象物
200 テラヘルツ波分光測定システム
201 テラヘルツ波放射体
202 受光部
203 信号処理部
204 測定対象物
211発振側ミラー
212 検出側ミラー
300 テラヘルツ波分光測定システム
301 テラヘルツ波放射体
302 受光部
303 信号処理部
304 測定対象物
310 表示部

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