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技術 テラヘルツ波分光測定システム

出願人 パナソニックIPマネジメント株式会社
発明者 藤原誠二内藤康幸富山盛央
出願日 2017年4月11日 (3年7ヶ月経過) 出願番号 2017-077968
公開日 2017年11月30日 (2年11ヶ月経過) 公開番号 2017-211368
状態 特許登録済
技術分野 光学的手段による材料の調査、分析
主要キーワード 水分除去器 保持基材 指紋スペクトル 接合関係 分光測定システム 測定開始指令 測定対象物中 分光検査
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年11月30日)のものです。
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図面 (15)

課題

測定対象物が水を含有する場合、加熱して水を除去するだけでは、測定対象物内の分析目的分子が、熱によって分解または変性を引き起こし、測定前の分析目的分子が消失してしまうことが想定される。

解決手段

測定対象物が水を含有する場合でも、吸収スペクトルの比較に応じて水分除去部を作動させて水を除去する動作を行うことで、測定対象物内の分析目的分子を分解または変性により消失することなく測定対象物の水を簡便に除去して同定できるテラヘルツ波分光測定システムを提供する。

概要

背景

近年、テラヘルツ(THz)領域の電磁波(以下、テラヘルツ波と示す)を応用した技術が注目されている。テラヘルツ波は、光と電波境界に相当するおよそ0.1THz〜30THzの周波数領域に相当する電磁波であり、未開拓の周波数領域であった。しかし、近年、フェムト秒レーザー技術、非線形光学技術、半導体デバイス技術などの発展により、テラヘルツ波の発生、検出、伝送に関する基盤技術進展し、その応用技術が開発されてきている。

テラヘルツ波はさまざまな物質の特徴的な吸収スペクトルが得られる領域であり、分子識別のための指紋スペクトルとしての応用が期待されている。特に、タンパク質、脂質、炭水化物などの生体関連分子有機分子における固有振動テラヘルツ波領域の周波数に対応していることから、テラヘルツ波の分光測定技術による生体関連分子の分析細胞に関する研究、および有機化学研究が注目されている。

ところで、水はテラヘルツ波を吸収しやすい物質である。特に、0.1THz〜10THzの領域では周波数の増加に応じて単調吸収度が増加していく。測定対象物が水を含んでいる場合、照射されたテラヘルツ波は主に水によって吸収される。テラヘルツ波に対して特徴的な吸収スペクトルを有する分析目的分子が水と共存している場合、水の吸収スペクトルと分析目的分子の吸収スペクトルが重なるため、その特徴的な吸収スペクトルを認識することが困難になることがあった。タンパク質、脂質、炭水化物などの生体関連分子は、水と共存して存在することも多く、それら分子固有の吸収スペクトルを検出して同定する簡便な方法が必要であった。

特許文献1では、測定対象物を相変化させるための相変化手段を有することで、測定対象物を凍結および加熱する手段が開示されている。テラヘルツ波の吸収率は水(液相)と固相)とで異なり、氷(固相)のほうがテラヘルツ波をよく透過することが知られている。そこで、測定対象物を凍結することによって、水(液相)を減らしてテラヘルツ波吸収の影響を抑制し、水以外の分析目的分子の吸収スペクトルを検出しやすくしている。また、凍結後に加熱することによって、試料交換回収を行っている。

概要

測定対象物が水を含有する場合、加熱して水を除去するだけでは、測定対象物内の分析目的分子が、熱によって分解または変性を引き起こし、測定前の分析目的分子が消失してしまうことが想定される。測定対象物が水を含有する場合でも、吸収スペクトルの比較に応じて水分除去部を作動させて水を除去する動作を行うことで、測定対象物内の分析目的分子を分解または変性により消失することなく測定対象物の水を簡便に除去して同定できるテラヘルツ波分光測定システムを提供する。

目的

本発明の目的は、測定対象物が水を含有する場合でも、測定対象物内の分析目的分子を分解または変性により消失することなく、測定対象物の水を簡便に除去して分析目的分子を同定する方法を有するシステムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

テラヘルツ波分光測定システムであって、以下を具備する:テラヘルツ波を被検物質照射するテラヘルツ波放射体、前記被検物質を透過するか、または前記被検物質上で反射したテラヘルツ波を受光する受光器、前記被検物質に含有される水分を除去するための水分除去器、および信号処理部、ここで、前記信号処理部は、前記被検物質に所定の周波数x1を有する前記テラヘルツ波を照射するための照射信号を前記テラヘルツ波放射体に出力し、前記受光器を介して受光されたテラヘルツ波の強度を得、前記受光器を介して受光されたテラヘルツ波の強度に基づいて、前記被検物質を透過するか、または前記被検物質上で反射したテラヘルツ波の前記所定の周波数x1に対する吸収度を得、前記所定の周波数x1に対する吸収度が、予め定められた値以上である場合には、前記水分除去器を作動させる乾燥信号を前記水分除去器に出力する、テラヘルツ波分光測定システム。

請求項2

テラヘルツ波分光測定システムであって、以下を具備する:被検物質にテラヘルツ波を照射するテラヘルツ波放射体、前記被検物質を透過するか、または前記被検物質上で反射したテラヘルツ波を受光する受光器、前記被検物質に含有される水分を除去するための水分除去器、および信号処理部、ここで、前記信号処理部は、前記テラヘルツ波の周波数xを増加または減少させながら前記被検物質に前記テラヘルツ波を照射するための照射信号を前記テラヘルツ波放射体に出力し、前記受光器を介して受光されたテラヘルツ波の強度を得、前記テラヘルツ波放射体から照射されたテラヘルツ波の強度および前記受光器により受光されたテラヘルツ波の強度に基づいて、前記周波数xに対する吸収度を表す第1吸収スペクトル関数f1(x)を算出し、前記第1吸収スペクトルに含まれる所定の周波数x1に対する吸収度が、予め定められた値以上である場合には、前記水分除去器を作動させる乾燥信号を、前記水分除去器に出力し、前記乾燥信号を出力した後、前記テラヘルツ波の周波数xを増加または減少させながら前記被検物質に前記テラヘルツ波を再度照射するための照射信号を前記テラヘルツ波放射体に出力し、前記受光器を介して再度受光されたテラヘルツ波の強度を得、前記テラヘルツ波放射体から再度照射されたテラヘルツ波の強度および前記受光器により再度受光されたテラヘルツ波の強度に基づいて、前記周波数xに対する吸収度を表す第2吸収スペクトルの関数f2(x)を算出する、テラヘルツ波分光測定システム。

請求項3

請求項2に記載のテラヘルツ波分光測定システムであって、前記第2吸収スペクトルに含まれる吸収ピークでの周波数が、前記第1吸収スペクトルに含まれる吸収ピークでの周波数と異なっている場合には、前記信号処理部は、前記水分除去器の出力を低下させる出力低下信号を前記水分除去器に出力する、テラヘルツ波分光測定システム。

請求項4

請求項2に記載のテラヘルツ波分光測定システムであって、第2吸収スペクトルに含まれる周波数x1での吸収ピークの高さが、第1吸収スペクトルに含まれる周波数x1での吸収ピークの高さよりも小さい場合には、前記信号処理部は、前記水分除去器の出力を低下させる出力低下信号を前記水分除去器に出力する、テラヘルツ波分光測定システム。

請求項5

請求項2に記載のテラヘルツ波分光測定システムであって、以下の数式(III)が充足される場合には、前記信号処理部は、前記水分除去器の出力を低下させる出力低下信号を前記水分除去器に出力する。(基準減算値)≧(対照減算値)(III)ここで、(基準減算値)=(第1吸収スペクトルに含まれる周波数x1での吸収ピークの高さ)−(第2吸収スペクトルに含まれる周波数x1での吸収ピークの高さ)(対照減算値)=(第1吸収スペクトルに含まれる周波数x2での吸収度)−(第2吸収スペクトルに含まれる周波数x2での吸収度)x1<x2

請求項6

被検物質に含有される水分を除去する方法であって、以下の工程を具備する:前記被検物質に所定の周波数x1を有するテラヘルツ波を照射する工程(a)、前記被検物質を透過するか、または前記被検物質上で反射した前記テラヘルツ波を、受光器を介して受光する工程(b)、前記受光器を介して受光されたテラヘルツ波の強度に基づいて、前記被検物質を透過するか、または前記被検物質上で反射したテラヘルツ波の前記所定の周波数x1に対する吸収度を得る工程(c)、および前記所定の周波数x1に対する吸収度が、予め定められた値以上である場合には、前記被検物質に含有される水分を除去する工程(d)。

請求項7

被検物質に含有される水分を除去する方法であって、以下の工程を具備する:テラヘルツ波の周波数xを増加または減少させながら前記被検物質に前記テラヘルツ波放射体から前記テラヘルツ波を照射する工程(a)、前記被検物質を透過するか、または前記被検物質上で反射した前記テラヘルツ波を、受光器を介して受光する工程(b)、前記テラヘルツ波放射体から照射されたテラヘルツ波の強度および前記受光器により受光されたテラヘルツ波の強度に基づいて、前記周波数xに対する吸収度を表す第1吸収スペクトルの関数f1(x)を算出する工程(c)、前記第1吸収スペクトルに含まれる所定の周波数x1に対する吸収度が、予め定められた値以上である場合には、前記被検物質を乾燥する工程(d)、前記テラヘルツ波の周波数xを増加または減少させながら前記被検物質に前記テラヘルツ波を再度照射する工程(e)、前記被検物質を透過するか、または前記被検物質上で反射した前記テラヘルツ波を、受光器を介して再度受光する工程(f)、および前記テラヘルツ波放射体から再度照射されたテラヘルツ波の強度および前記受光器により再度受光されたテラヘルツ波の強度に基づいて、前記周波数xに対する吸収度を表す第2吸収スペクトルの関数f2(x)を算出する工程(g)。

請求項8

請求項7に記載の方法であって、さらに以下の工程(cI)を工程(c)の後に具備する:(cI)前記第2吸収スペクトルに含まれる吸収ピークでの周波数が、前記第1吸収スペクトルに含まれる吸収ピークでの周波数と異なっている場合には、前記水分除去器の出力を低下させる工程。

請求項9

請求項7に記載の方法であって、さらに以下の工程(cII)を工程(c)の後に具備する:(cII)前記第2吸収スペクトルに含まれる周波数x1での吸収ピークの高さが、前記第1吸収スペクトルに含まれる周波数x1での吸収ピークの高さよりも小さい場合には、前記水分除去器の出力を低下させる工程。

請求項10

請求項7に記載の方法であって、さらに以下の工程(cIII)を工程(c)の後に具備する:(cIII)以下の数式(III)が充足される場合には、前記信号処理部は、前記水分除去器の出力を低下させる工程。(基準減算値)≧(対照減算値)(III)ここで、(基準減算値)=(第1吸収スペクトルに含まれる周波数x1での吸収ピークの高さ)−(第2吸収スペクトルに含まれる周波数x1での吸収ピークの高さ)(対照減算値)=(第1吸収スペクトルに含まれる周波数x2での吸収度)−(第2吸収スペクトルに含まれる周波数x2での吸収度)x1<x2。

技術分野

0001

本発明は、テラヘルツ波分光測定システムに関する。

背景技術

0002

近年、テラヘルツ(THz)領域の電磁波(以下、テラヘルツ波と示す)を応用した技術が注目されている。テラヘルツ波は、光と電波境界に相当するおよそ0.1THz〜30THzの周波数領域に相当する電磁波であり、未開拓の周波数領域であった。しかし、近年、フェムト秒レーザー技術、非線形光学技術、半導体デバイス技術などの発展により、テラヘルツ波の発生、検出、伝送に関する基盤技術進展し、その応用技術が開発されてきている。

0003

テラヘルツ波はさまざまな物質の特徴的な吸収スペクトルが得られる領域であり、分子識別のための指紋スペクトルとしての応用が期待されている。特に、タンパク質、脂質、炭水化物などの生体関連分子有機分子における固有振動テラヘルツ波領域の周波数に対応していることから、テラヘルツ波の分光測定技術による生体関連分子の分析細胞に関する研究、および有機化学研究が注目されている。

0004

ところで、水はテラヘルツ波を吸収しやすい物質である。特に、0.1THz〜10THzの領域では周波数の増加に応じて単調吸収度が増加していく。測定対象物が水を含んでいる場合、照射されたテラヘルツ波は主に水によって吸収される。テラヘルツ波に対して特徴的な吸収スペクトルを有する分析目的分子が水と共存している場合、水の吸収スペクトルと分析目的分子の吸収スペクトルが重なるため、その特徴的な吸収スペクトルを認識することが困難になることがあった。タンパク質、脂質、炭水化物などの生体関連分子は、水と共存して存在することも多く、それら分子固有の吸収スペクトルを検出して同定する簡便な方法が必要であった。

0005

特許文献1では、測定対象物を相変化させるための相変化手段を有することで、測定対象物を凍結および加熱する手段が開示されている。テラヘルツ波の吸収率は水(液相)と固相)とで異なり、氷(固相)のほうがテラヘルツ波をよく透過することが知られている。そこで、測定対象物を凍結することによって、水(液相)を減らしてテラヘルツ波吸収の影響を抑制し、水以外の分析目的分子の吸収スペクトルを検出しやすくしている。また、凍結後に加熱することによって、試料交換回収を行っている。

先行技術

0006

特許5164320号公報
米国特許出願公開第2006/0255277号明細書
米国特許出願公開第2012/0199743号明細書
米国特許出願公開第2015/0316475号明細書

発明が解決しようとする課題

0007

特許文献1では、測定対象物を設置する導波管ヒーターを備えて加熱できる構成をとっている。しかし、加熱するだけでは、測定対象物の分析目的分子が熱によって分解または変性を引き起こし、測定前に存在していた分析目的分子が消失してしまうことも想定される。また、測定対象物が食器等の容器であって容器表面を分析したい場合、容器が樹脂製等、熱に弱い材料であると、容器の変形や溶融が起きることも想定される。
本発明の目的は、測定対象物が水を含有する場合でも、測定対象物内の分析目的分子を分解または変性により消失することなく、測定対象物の水を簡便に除去して分析目的分子を同定する方法を有するシステムを提供することにある。

課題を解決するための手段

0008

測定対象物に向けて電磁波を発振するテラヘルツ波放射体と、前記テラヘルツ波放射体からの電磁波のうち前記測定対象物を透過または反射した電磁波を検出する受光部と、前記テラヘルツ波放射体から発振する電磁波の強度と前記受光部で検出する電磁波の強度から吸収スペクトルを算出する信号処理部と、測定対象物の含有水分を除去する水分除去部と、前記テラヘルツ波放射体と前記受光部と前記信号処理部と前記水分除去部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記水分除去部作動前に、前記テラヘルツ波放射体から電磁波を発振させて前記信号処理部に第1吸収スペクトルを算出させるステップと、前記第1吸収スペクトルに応じて、前記水分除去部を作動させるステップを有することを特徴とするテラヘルツ波分光測定システムである。

発明の効果

0009

本発明は、測定対象物が水を含有している場合でも、測定対象物内の分析目的分子を分解または変性により消失することなく、測定対象物の水を簡便に除去して分析目的分子を同定する方法を有するシステムを提供する。

図面の簡単な説明

0010

第1実施形態における透過測定用途のテラヘルツ波分光測定システム100の模式図。
第1実施形態における動作のフローチャートを表す図。
第1実施形態における検出した頂点を表す模式図。
第1実施形態における反射測定用途のテラヘルツ波分光測定システム200の模式図。
第2実施形態における検出した頂点と底点、および設定した吸収ピークと吸収ボトムを表す模式図。
第2実施形態における動作のフローチャートを表す図。
第3実施形態における動作のフローチャートを表す図。
第4実施形態における透過測定用途のテラヘルツ波分光測定システム300の模式図。
第4実施形態におけるテラヘルツ波分光測定システム400の模式図。
実施例1における測定対象物の第1吸収スペクトルを表す図。
実施例3における測定対象物の第1吸収スペクトルと第2吸収スペクトルを表す図。
実施例4におけるサンプルaとサンプルbの第1吸収スペクトルを表す図。
実施例4におけるサンプルaとサンプルbの同定を実行するステップで用いた吸収スペクトルを表す図。
比較例1におけるサンプルaとサンプルbの第1吸収スペクトルを表す図。

実施例

0011

(第1実施形態)
図1は、第1実施形態における透過測定用途のテラヘルツ波分光測定システム100の模式図を示す。

0012

図1は、測定対象物を透過したテラヘルツ波を計測するシステム構成をとっており、テラヘルツ波放射体101、受光部102、水分除去部103、第1信号処理部104、第2信号処理部105により構成される。測定対象物106は、テラヘルツ波放射体101と受光部102の間の光軸上に置かれる。信号処理部は、第1信号処理部104および第2信号処理部105を含む。

0013

テラヘルツ波を発生するテラヘルツ波放射体101としては、光伝導素子非線形光学結晶に数フェムト秒から数100フェムト秒のパルス幅をもつフェムト秒レーザーを照射することでテラヘルツ波を発振させるテラヘルツ波放射体等が主に用いられる。これらのテラヘルツ波放射体を用いることにより、0.1THz〜30THzの周波数範囲のテラヘルツ波を利用できる。

0014

テラヘルツ波放射体101が発振したテラヘルツ波は測定対象物106に向かって放射され、測定対象物106を透過したテラヘルツ波は受光部102に入射する。

0015

受光部102としては、広い波長感度特性をもつ光伝導素子、焦電検知器ボロメータなどが用いられる。

0016

また、テラヘルツ波放射体101と測定対象物106の間には、図示しないが、レンズ等によって構成される集光系を配置してもよい。レンズの材質としては、テラヘルツ波が透過するポリエチレン等のプラスチック材料等が用いられる。

0017

テラヘルツ波放射体101からのテラヘルツ波の発振強度と、受光部102でのテラヘルツ波の検出強度を信号処理部103で演算することによって、測定対象物の吸収スペクトルを算出することができる。算出された吸収スペクトルによって各周波数に対応する吸収度が分かる。

0018

吸収スペクトルは、特許文献3(その図6を参照せよ)、特許文献4(その図2Aを参照せよ)、および特許文献5(その図19を参照せよ)に開示されている。これらの特許文献を参照した当業者にとって、吸収スペクトルを得ることは容易であろう。図3も参照せよ。

0019

テラヘルツ波放射体101、受光部102、信号処理部103および水分除去部104は、第2信号処理部105によって制御される。

0020

図2は本実施形態における動作を表すフローチャートである。

0021

測定開始指令後、テラヘルツ波放射体101から測定対象物106にテラヘルツ波を照射し、発信部101から発振したテラヘルツ波の強度と、受光部102で検出されたテラヘルツ波の強度を信号処理部103で演算することによって、測定対象物106の第1吸収スペクトルを算出する。

0022

次に第1吸収スペクトルにおける所定周波数の吸収度が、予め設定した吸収度未満であるか判断する。予め設定した吸収度未満であれば、測定対象物中の分析目的分子の同定を行うステップを実行し、測定を終了する。予め設定した吸収度以上であれば、水分除去部103を作動させる。

0023

所定周波数と予め設定した吸収度とは、例えば、周波数2.5THzでの吸収度が0.5未満であるか否かを判定するというように設定でき、吸収度が0.5以上であれば水分除去部103を作動させることになる。

0024

所定周波数の設定に幅をもたせ、2.0THzから2.5THzの範囲内で吸収度0.5未満の値があるか否かを判断するということでもよい。2.0THzから2.5THzの範囲内すべてにおいて吸収度0.5以上を示したときに水分除去部103を作動させることになる。分析目的分子によっては、周波数2.5THzに吸収ピークが位置する場合には、所定周波数の設定に幅を持たせ、その範囲内の吸収度の値によって判断することが望ましい。

0025

水分除去部103は、第2信号処理部105によって作動の信号が送られると測定対象物106の水分を除去する動作を行う。本実施形態ではヒーター加熱部を用いた。なお、水分除去部103はその他の手段、温風加熱、電磁波加熱等の加熱手段や低湿度環境部、真空乾燥等の手段でもよい。

0026

水分除去部103が作動中に、再度テラヘルツ波放射体101から測定対象物106にテラヘルツ波を照射し、発信部101から発振したテラヘルツ波の強度と、受光部102で検出されたテラヘルツ波の強度を信号処理部103で演算することによって、測定対象物106の第2吸収スペクトルを算出する。

0027

次に第2吸収スペクトルの吸収ピークの周波数が、第1吸収スペクトルの吸収ピークの周波数と異なっていないか判断する。

0028

吸収ピークの周波数を判定するためには、吸収スペクトルから吸収ピークを判定する必要がある。以下に吸収ピークの判定方法について説明する。

0029

吸収スペクトルにおける各周波数に対して、一回微分することによって微分係数を計算し、その微分係数の符号が正の値である状態から一旦ゼロになり、その後に負の値に転換する領域を見つけ、そのゼロ値の位置を頂点とする。一回微分した値がゼロ値となる周波数値を求めるためには、微分計算を多くの周波数値に対して行う必要が生じるため、大きな情報処理負荷がかかる。そのため、微分係数が正の値から負の値に転換する領域を見つけ、その領域内の点を頂点とすることでも構わない。

0030

吸収スペクトルから頂点を検出した模式図を図3に示す。一回微分による微分係数が負の値から正の値に変わる領域にあるP1からP6を頂点として検出した。

0031

頂点はノイズ等に起因するごく微小凹凸形状波形の影響を受けるものも含まれる。凹凸形状となる頂点と隣接する底点との吸収度の差を算出し、予め設定した値以上のときの頂点を吸収ピークとして判定する。ここで底点とは、吸収度が高くなる山部が出た後のベースライン着地した部分を表す谷部の極小値であり、一回微分することによって微分係数を計算し、その符号が負の値である状態から一旦ゼロになり、その後に正の値に転換する領域を見つけ、そのゼロ値のことである。

0032

吸収度の差が例えば0.2以上のときの頂点を吸収ピークとして判定すると、図3において、P2、P4、P6が吸収ピークとして判定される。なお、吸収度の差として予め設定する値はこの限りではなく、受光部の感度や測定対象物の状態等を踏まえて設定することができる。

0033

第1吸収スペクトルの吸収ピークの周波数を記憶しておき、第2吸収スペクトルの吸収ピークの周波数が第1吸収スペクトルの吸収ピークの周波数と異なっていないか判断する。

0034

吸収ピークの周波数が異なっていない場合は、第2吸収スペクトルの所定周波数の吸収度が、予め設定した吸収度未満であれば、測定対象物中の分析目的分子の同定を行うステップを実行し、測定を終了する。予め設定した吸収度以上であれば、第3吸収スペクトルを算出する動作を行う。

0035

吸収ピークの周波数が異なる場合は、水分除去部103の出力を低下させる。吸収ピークの周波数が異なるということは、水分除去部103を作動させたことにより、第1吸収スペクトルで検出されている分析目的分子が分解または編成を引き起こし、別の分子が生成しつつある可能性を示している。このまま分解または変性が進行すると分析目的分子が消失して同定できなくなる可能性もあるため、水分除去部103の出力を低下させることによって、分析目的分子の分解による消失を抑制する。

0036

水分除去部103の出力低下後に、第3吸収スペクトルを算出する動作を行う。第3吸収スペクトルを算出した後は、第3吸収スペクトルの吸収ピークの周波数が第2吸収スペクトルの吸収ピークの周波数と異なっていないかを判断する。判断後のステップに応じて、第4、第5、・・・第N吸収スペクトルを算出し、都度第N吸収スペクトルの吸収ピークの周波数が、第N−1吸収スペクトルの吸収ピークの周波数と異なっていないかを判断する。以上の動作を第N吸収スペクトルの所定周波数の吸収度が予め設定した吸収度未満になるまで行い、測定対象物中の分析目的分子の同定を行うステップを実行し、測定を終了する。

0037

以上の動作により、測定対象物が水を含有する場合でも、測定対象物中の分析目的分子を消失させることなく水を簡便に除去して、同定することができる。

0038

第N吸収スペクトルにおいて、所定周波数の吸収度が予め設定した吸収度未満にならなかった場合は、測定不能ということで測定動作を停止させてもよい。

0039

水分除去部出力低下のステップにおいて、これ以上出力低下できない場合においては、測定不能ということで測定動作を停止させてもよい。

0040

水分除去部は出力低下ではなく、停止させてもよい。水分除去部停止後、第N吸収スペクトルを算出し、都度第N吸収スペクトルの吸収ピークの周波数が、第N−1吸収スペクトルの吸収ピークの周波数と異なっていないかを判断する。また、水分除去部停止後、一定時間経過後に、水分除去部を作動させてから、第N吸収スペクトルを算出させてもよい。一定時間とは例えば1分というように任意に設定することができる。

0041

測定対象物あるいは水分除去部に温度受光部を設けて、温度を測定しながら、所定の温度に制御するように水分除去部を作動させても構わない。

0042

水分除去部は間欠的に出力する等の動作を行ってもよい。

0043

ここまで透過測定に関して述べてきたが、テラヘルツ波に対する測定対象物の反射強度を測定しても同様の効果を得ることができる。

0044

反射測定の場合を以下に述べる。図4は、反射測定用途のテラヘルツ波分光測定システム200の模式図である。図4に示す反射型分光測定装置は、テラヘルツ波放射体201、受光部202、水分除去部203、信号処理部204、制御部205、発振側ミラー211、検出側ミラー212により構成される。テラヘルツ波放射体201から発信されたテラヘルツ波は、発振側ミラー211で反射し、測定対象物206に照射され、反射したテラヘルツ波が検出側ミラー212で反射して受光部202に入射する。

0045

反射測定の際も透過測定と同様にテラヘルツ波放射体201から発振したテラヘルツ波の強度と受光部202で検出されたテラヘルツ波の強度を信号処理部203で演算することによって、測定対象物206の吸収スペクトルを算出することができる。

0046

反射測定の際も透過測定時と同様に、図2に示したフローチャートに沿って、得られた吸収スペクトルに応じて水分除去部103を作動させることによって、測定対象物中の分析目的分子を消失させることなく水を簡便に除去して、同定することができる。

0047

(第2実施形態)
第2実施形態においても第1実施形態と同様、図1に示す透過測定用途のテラヘルツ波分光測定システム100の模式図で説明する。

0048

本実施形態では、吸収ピークの周波数ではなく、吸収ピークの高さを算出し、その高さが低下したときに、分析目的分子の変性または分解が始まったとして、水分除去部を制御することを特徴とする。

0049

吸収ピークの高さを算出するためには、第1実施形態と同様の方法で頂点と底点の検出を行った後、頂点と隣接する底点との吸収度の差が予め設定した値以上の値のときの頂点を吸収ピークとして判定し、隣接する底点を吸収ボトムとして判定する。

0050

検出した頂点と底点、および吸収ピークと吸収ボトムを図5に示す。検出された頂点はP1からP6、底点はB1からB6であるが、吸収度の差が0.2以上のときの頂点を吸収ピークとして判定すると、吸収ピークはP2、P5、P6であり、吸収ボトムはB2、B5、B6である。吸収ピークと隣接する吸収ボトムとの吸収度の差から、吸収ピークの高さが算出できる。

0051

図6は第2実施形態における動作を表すフローチャートである。

0052

測定開始指令後、テラヘルツ波放射体101から測定対象物106にテラヘルツ波を照射し、発信部101から発振したテラヘルツ波の強度と、受光部102で検出されたテラヘルツ波の強度を信号処理部103で演算することによって、測定対象物106の第1吸収スペクトルを算出する。

0053

次に第1吸収スペクトルにおける所定周波数の吸収度が、予め設定した吸収度未満であるか判断する。予め設定した吸収度未満であれば、測定対象物中の分析目的分子の同定を行うステップを実行し、測定を終了する。予め設定した吸収度以上であれば、水分除去部103を作動させる。

0054

水分除去部103が作動中に、再度テラヘルツ波放射体101から測定対象物106にテラヘルツ波を照射し、発信部101から発振したテラヘルツ波の強度と、受光部102で検出されたテラヘルツ波の強度を信号処理部103で演算することによって、測定対象物106の第2吸収スペクトルを算出する。

0055

次に第2吸収スペクトルの吸収ピークの高さが、第1吸収スペクトルの吸収ピークの高さより小さくないか判断する。複数の吸収ピークがある場合は、任意の吸収ピークを1つ選択することで構わない。

0056

小さくない場合は、第2吸収スペクトルの所定周波数の吸収度が予め設定した吸収度未満であれば、測定対象物中の分析目的分子の同定を行うステップを実行し、測定を終了する。予め設定した吸収度以上であれば、第3吸収スペクトルを算出する動作を行う。

0057

小さい場合は、水分除去部103の出力を低下させる。吸収ピークの高さが小さいということは、水分除去部103を作動させたことで第1吸収スペクトルで検出されている分析目的分子が変性または分解等を引き起こし、分析目的分子が減少しつつある可能性を示している。そのため水分除去部103の出力を低下させることによって、分析目的分子の減少を抑制する。

0058

水分除去部103の出力低下後に、第3吸収スペクトルを算出する動作を行う。第3吸収スペクトルを算出した後は、第3吸収スペクトルの吸収ピークの高さが第2吸収スペクトルの吸収ピークの高さより小さくないか判断する。判断後のステップに応じて、第4、第5、・・・第N吸収スペクトルを算出し、都度第N吸収スペクトルの吸収ピークの高さが、第N−1吸収スペクトルの吸収ピークの高さより小さくないかを判断する。以上の動作を第N吸収スペクトルの所定周波数の吸収度が予め設定した吸収度未満になるまで行い、測定対象物中の分析目的分子の同定を行うステップを実行し、測定を終了する。

0059

以上の動作により、測定対象物が水を含有する場合でも、測定対象物中の分析目的分子を消失させることなく水を簡便に除去して、同定することができる。

0060

第N吸収スペクトルにおいて、所定周波数の吸収度が予め設定した吸収度未満にならなかった場合は、測定不能ということで測定動作を停止させてもよい。

0061

水分除去部出力低下のステップにおいて、これ以上出力低下できない場合においては、測定不能ということで測定動作を停止させてもよい。

0062

水分除去部は出力低下ではなく、停止させてもよい。水分除去部停止後、第N吸収スペクトルを算出し、都度第N吸収スペクトルの吸収ピークの高さが、第N−1吸収スペクトルの吸収ピークの高さと異なっているかどうかを判断する。また、水分除去部停止後、一定時間経過後に、水分除去部を作動させてから、第N吸収スペクトルを算出させてもよい。一定時間とは例えば1分というように任意に設定することができる。

0063

測定対象物あるいは水分除去部に温度受光部を設けて、温度を測定しながら、所定の温度に制御するように水分除去部を作動させても構わない。

0064

水分除去部は間欠的に出力する等の動作を行ってもよい。

0065

ここまで透過測定に関して述べてきたが、テラヘルツ波に対する測定対象物の反射強度を測定しても同様の効果を得ることができる。

0066

(第3実施形態)
第3実施形態においても第2実施形態と同様、図1に示す透過測定用途のテラヘルツ波分光測定システム100の模式図で説明する。

0067

本実施形態では、吸収ピークの高さの変化量を他の周波数領域の変化量と比較することによって、分析目的分子の変性または分解の状況を見極める。

0068

図7は第3実施形態における動作を表すフローチャートである。

0069

測定開始指令後、テラヘルツ波放射体101から測定対象物106にテラヘルツ波を照射し、発信部101から発振したテラヘルツ波の強度と、受光部102で検出されたテラヘルツ波の強度を信号処理部103で演算することによって、測定対象物106の第1吸収スペクトルを算出する。

0070

次に第1吸収スペクトルの所定周波数に対応する吸収度が、予め設定した吸収度未満であるか判断する。予め設定した吸収度未満であれば、測定対象物中の分析目的分子の同定を行うステップを実行し、測定を終了する。予め設定した吸収度以上であれば、水分除去部103を作動させる。

0071

水分除去部103が作動中に、再度テラヘルツ波放射体101から測定対象物106にテラヘルツ波を照射し、発信部101から発振したテラヘルツ波の強度と、受光部102で検出されたテラヘルツ波の強度を信号処理部103で演算することによって、測定対象物106の第2吸収スペクトルを算出する。

0072

次に第1吸収スペクトルの吸収ピークを示す周波数を基準周波数と設定する。さらに、基準周波数よりも高周波数側にある任意の周波数を対照周波数と設定する。吸収ピークの判定は第2実施形態と同様の方法で行う。

0073

次に第1吸収スペクトルの基準周波数における吸収度から、第2吸収スペクトルの基準周波数における吸収度を減算することにより、基準減算値を算出する。また、第1吸収スペクトルの対照周波数における吸収度から、第2吸収スペクトルの対照周波数における吸収度を減算することにより、対照減算値を算出する。

0074

次に基準減算値が対照減算値未満であるか判断する。

0075

基準減算値が対照減算値未満である場合は、第2吸収スペクトルの所定周波数の吸収度が予め設定した吸収度未満であれば、測定対象物中の分析目的分子の同定を行うステップを実行し、測定を終了する。予め設定した吸収度以上であれば、第3吸収スペクトルを算出する動作を行う。

0076

基準減算値が対照減算値以上である場合は、水分除去部103の出力を低下させる。この理由について以下に説明する。

0077

通常、水のテラヘルツ吸収スペクトルは、周波数が高くなるにつれて吸収度が指数関数または二次関数的に増加する。そのため、測定対象物が水を含有している場合には、全体的な吸収度は水の吸収スペクトルの影響を受けて、周波数が高くなるにつれて指数関数または二次関数的に増加する傾向となる。各周波数の吸収度は含有する水の量に比例することから、測定対象物中の水を除去していくと、吸収スペクトルは低周波数よりも、高周波数側において、吸収度の減算値が大きくなる。

0078

分析目的分子の吸収ピークは、水の吸収スペクトルに合算される形で現れるので、水が除去されるだけでは吸収ピークの高さは変わらずに、吸収度の値は水の吸収度の低下度合だけ低下していく。しかし、分析目的分子が分解または変性を起こして減少している場合は、吸収ピークの高さが低くなる。この場合、水の吸収度の低下と分析目的分子の減少による吸収度の低下が合わさる。よって、吸収ピークで設定した基準周波数での基準減算値は、それより高周波数側に設定した対照周波数での対照減算値よりも大きくなる。

0079

本実施形態では、上記現象を利用することによって、基準減算値が、それより高周波数に存在する対照減算値以上であるときは、吸収ピークが小さくなってきていると判断し、水分除去部の出力を低下させる。

0080

水分除去部103の出力低下後に、第3吸収スペクトルを算出する動作を行う。第3吸収スペクトルを算出した後は、第3吸収スペクトルと第2吸収スペクトルとから基準減算値と対照減算値を算出し、基準減算値が対照減算値未満であるか判断する。判断後のステップに応じて、第4、第5、・・・第N吸収スペクトルを算出し、基準減算値が対照減算値未満であるかを判断する。以上の動作を第N吸収スペクトルの所定周波数の吸収度が予め設定した吸収度未満になるまで行い、測定対象物中の分析目的分子の同定を行うステップを実行し、測定を終了する。

0081

以上の動作により、測定対象物が水を含有する場合でも、測定対象物中の分析目的分子を消失させることなく水を簡便に除去して、同定することができる。

0082

対照周波数の設定は、ノイズ等に起因するごく微小な凹凸形状波形の影響を受けないように、基準周波数より0.1THz以上高周波側に設定することが望ましい。

0083

第N吸収スペクトルにおいて、所定の周波数の吸収度が予め設定した吸収度未満にならなかった場合は、測定不能ということで測定動作を停止させてもよい。

0084

水分除去部出力低下のステップにおいて、これ以上出力低下できない場合においては、測定不能ということで測定動作を停止させてもよい。

0085

水分除去部は出力低下ではなく、停止させてもよい。水分除去部停止後、第N吸収スペクトルを算出し、吸収スペクトルを算出する動作を行う。第N吸収スペクトルを算出した後は、第N吸収スペクトルと第N−1吸収スペクトルとから基準減算値と対照減算値を算出し、基準減算値が対照減算値未満であるか判断する。また、水分除去部停止後、一定時間経過後に、水分除去部を作動させてから、第N吸収スペクトルを算出させてもよい。一定時間とは例えば1分というように任意に設定することができる。

0086

測定対象物あるいは水分除去部に温度受光部を設けて、温度を測定しながら、所定の温度に制御するように水分除去部を作動させても構わない。

0087

水分除去部は間欠的に出力する等の動作を自動的に行うようにしてもよい。

0088

基準周波数は吸収ピークを示す周波数でなくてもよい。この場合、基準減算値が対照減算値より大きくなるということは、対照周波数の吸収度の増加が示されていることである。そのため分析目的分子の分解による分析目的分子以外の分子の生成が想定される。そのため、水分除去部の出力を低下させて、分析目的分子の分解を抑制する。
ここまで透過測定に関して述べてきたが、テラヘルツ波に対する測定対象物の反射強度を測定しても同様の効果を得ることができる。

0089

(第4実施形態)
図8は第4実施形態による透過測定用途のテラヘルツ波分光測定システムの模式図200を示す。

0090

図8は、測定対象物を透過したテラヘルツ波を計測するシステム構成をとっており、テラヘルツ波放射体301、受光部302、水分除去部303、信号処理部304、制御部305により構成される。測定対象物306は、テラヘルツ波放射体301と受光部302の間の光軸上に置かれる。本実施形態では第1実施形態と異なる点として、測定対象物306の吸収スペクトル等を表示させることができる表示部310を設けたことが特徴である。

0091

本実施形態においても第1実施形態と同様に、テラヘルツ波放射体101からのテラヘルツ波の発振強度と、受光部102でのテラヘルツ波の検出強度を信号処理部103で演算することによって、測定対象物の吸収スペクトルを算出することができる。さらに、周波数に対する吸収度として表される吸収スペクトルを所定周波数範囲内において算出および記憶することができる。

0092

本実施形態では、制御部310によって測定対象物中の分析目的分子の同定を行うステップを実行したときの第N吸収スペクトルを表示部310に表示する。信号処理部304は同定を行うステップを実行したときの第N吸収スペクトルを複数記憶させておくことができるため、複数の第N吸収スペクトルを表示部310に重ね合わせて表示することができる。複数の測定対象物の水分除去後の吸収スペクトルにおけるベースラインを重ねて表示できるため、結果を視覚的に比較することができる。水の含有量が異なる測定対象物の吸収スペクトルは通常、周波数増加に伴う全体的な吸収度の増加が異なるため、第1吸収スペクトルは異なるベースラインを示す。よって複数の結果においてベースラインが重なっている表示を示すことは、ともに水分除去過程を経た結果であることを表している。

0093

複数の分析目的分子の同定を行うステップを実行したときの第N吸収スペクトルを並列して表示することもできる。

0094

本実施形態では透過測定に関して述べてきたが、テラヘルツ波に対する測定対象物の反射強度を測定しても同様の効果を得ることができる。

0095

(第5の実施形態)
図10は、本実施形態におけるテラヘルツ波分光検査装置400の模式図であり、食品用容器表面に有機分子や細菌類が付着しているか否かを判定する検査装置として機能する。

0096

食品用容器401は供給装置411より、搬送装置412を介して測定部413に送られる。測定部413は第1実施形態から第3実施形態のいずれかに述べたテラヘルツ波分光測定システム100の構成をとっている。

0097

測定部413で行われる食品用容器401に有機分子や細菌類が所定濃度以上付着していたか否かの判定結果を表示する表示部414を設けている。表示部414に表示された結果をもとに、食品用容器401に有機分子や細菌類が所定濃度以上付着していたか人が判断することができる。なお、表示部414は、吸収スペクトルを表示してもよい。

0098

測定部413で検査された食品用容器401は回収装置415に送られる。なお、回収装置415では、食品用容器401に有機分子や細菌類が付着したものと、付着していなかったものとを分別できる構成を取ってもよい。

0099

以上のような構成をとることにより、検査から、選別、および回収までのプロセスが一律に行える仕組みになっている。

0100

本実施形態において、食品用容器401表面上に水が存在する場合でも、分析目的分子を消失させることなく水を簡便に除去して、同定することができる。

0101

(実施例)
(実施例1)
チロシンポリエチレン粉末と混合させた後、水を含有させて測定対象物を形成した。その測定対象物のテラヘルツ波吸収スペクトルからチロシンの同定を行った。ポリエチレンはテラヘルツ波を透過しやすい物質で分析目的分子の吸収スペクトルに影響を与えないことから、測定対象物の混合剤に用いたり、サンプル保持基材に用いたりする。

0102

測定対象物は以下のように作成した。ポリエチレン粉末とチロシン粉末重量比で1:1となるように調合した後、全粉末に対して重量比5%となる水を含有させて、均一に混合することによって測定対象物を作成した。

0103

測定対象物の一部をポリエチレン板で形成されるサンプルホルダ(径10mm)上に厚みが均等になるように敷き詰めた。サンプルホルダはポリエチレン板の外周を金属性リングで取り囲んで、リング内のポリエチレン板面を径10mmにしている。ポリエチレン板表面と金属性のリングにより段差が形成されるため、ポリエチレン表面上に粉末を保持しやすい形状にしている。

0104

テラヘルツ波をサンプルホルダに敷き詰めた測定対象物上から照射(照射スポット径3mm)し、測定対象物およびサンプルホルダを透過したテラヘルツ波を検出することによって測定対象物の第1吸収スペクトルを算出した。周波数0.5THzから2.5THzの範囲において算出された吸収スペクトルの結果を図10に示す。周波数が増えるにつれて吸収度が全体的に単調に増加する傾向になった。第1吸収スペクトルの吸収ピークを算出したところ、周波数が1.0THz、1.9THz、2.1THzの点にあることを判定した。ノイズの影響を排除するため、吸収ピークと隣接する底点との吸収度の差が0.2未満のものは排除している。

0105

次に所定周波数の吸収度が予め設定した吸収度未満であるかを判断した。本実施例では2.0THzから2.5THzの範囲の周波数において、吸収度が0.5未満であるか否かを判断し、0.5未満ではなかったため、サンプルホルダ上に設けていた加熱ヒーター通電させ、輻射熱によって測定対象物を加熱することにより、測定対象物中の水分を除去した。

0106

次に第2吸収スペクトルを測定し、吸収ピークの周波数が1.0THz、1.9THz、2.1THzの点にあることを判定し、第1吸収スペクトルの吸収ピークの周波数と異なっていないことを確認した。2.0THzから2.5THzの範囲の周波数において、吸収度が0.5未満になるまで上記動作を繰り返し、同定を行った。

0107

以上の動作によって吸収スペクトルの周波数が異なっていないことを判断しながら水分除去部を作動させたため、測定対象物中のチロシンを変性または分解によって消失することなく同定できた。

0108

(実施例2)
本実施例では、吸収スペクトルにおけるピーク高さが小さくなっているかを判断しながら水分除去部を作動させる動作を行った。

0109

実施例1と同様に作成した測定対象物にテラヘルツ波を照射し、測定対象物およびサンプルホルダを透過したテラヘルツ波を検出することによって測定対象物の第1吸収スペクトルを算出した。第1吸収スペクトルの周波数1.0THzの吸収ピークの高さを算出したところ、2.1であった。

0110

2.0THzから2.5THzの範囲の周波数において、吸収度が0.5未満ではなかったため、サンプルホルダ上に設けていた加熱ヒーターを通電させ、輻射熱によって測定対象物を加熱することにより、測定対象物中の水分を除去した。

0111

次に第2吸収スペクトルを測定し、周波数1.0THzの吸収ピークの高さを算出したところ、2.1であり、第1吸収スペクトルの吸収ピーク高さから小さくなっていないことを判断した。

0112

2.0THzから2.5THzの範囲の周波数において、吸収度が0.5未満になるまで上記動作を繰り返し、同定を行った。

0113

以上の動作によって吸収スペクトルの吸収ピークの高さが小さくなっていないことを判断しながら水分除去部を作動させたため、測定対象物中のチロシンを変性または分解によって消失することなく同定できた。

0114

(実施例3)
本実施例では、基準減算値が対照減算値未満かを判断しながら水分除去部を作動させる動作を行った。

0115

測定対象物は以下のように作成した。ポリエチレン粉末とチロシン粉末を重量比で1:1となるように調合した後、全粉末に対して重量比10%となる水を含有させて、均一に混合することによって測定対象物を作成した。測定対象物にテラヘルツ波を照射し、測定対象物およびサンプルホルダを透過したテラヘルツ波を検出することによって測定対象物の第1吸収スペクトルを算出した。

0116

2.0THzから2.5THzの範囲の周波数において、吸収度が0.5未満ではなかったため、サンプルホルダ上に設けていた加熱ヒーターを通電させ、輻射熱によって測定対象物を加熱することにより、測定対象物中の水分を除去した。

0117

次に第2吸収スペクトルを測定し、吸収ピークのある周波数1.0THzを基準周波数、その高周波数側にある1.5THzを対照周波数と設定した。0.5THzから1.5THzの周波数範囲における第1吸収スペクトルと第2吸収スペクトルを図11に示す。破線が第1吸収スペクトル、実線が第2吸収スペクトルを表す。

0118

第1吸収スペクトルの基準周波数の吸収度は3.4であり、対照周波数の吸収度は2.1であった。また、第2吸収スペクトルの基準周波数の吸収度は2.6であり、対照周波数の吸収度は0.8であった。

0119

基準減算値は0.8、対照減算値は1.3であり、基準減算値が対照減算値未満であった。

0120

2.0THzから2.5THzの範囲の周波数において、吸収度が0.5未満であるか否かを判定し、吸収度が0.5未満になるまで上記動作を繰り返し、同定を行った。

0121

以上の動作によって基準減算値が対照減算値未満であることを判断しながら水分除去部を作動させたため、測定対象物中のチロシン変性または分解によって消失することなく同定できた。

0122

(実施例4)
本実施例では、2種類の測定対象物を測定し、同定に用いた第N吸収スペクトルを表示部に表示させた。

0123

測定対象物は以下のように作成した。ポリエチレン粉末とチロシン粉末を重量比で1:1となるように調合した後、全粉末に対して重量比10%となる水を含有させて、均一に混合することによってサンプルaを作成した。また、ポリエチレン粉末とチロシン粉末を重量比で1:1となるように調合した後、全粉末に対して重量比5%となる水を含有させて、均一に混合することによってサンプルbを作成した。

0124

サンプルaおよびサンプルbにテラヘルツ波を照射し、測定対象物およびサンプルホルダを透過したテラヘルツ波を検出することによって、それぞれの第1吸収スペクトルを算出した。結果を図12に示す実線がサンプルaの第1吸収スペクトル、破線がサンプルbの第1吸収スペクトルを表す。

0125

サンプルホルダ上に設けていた加熱ヒーターを通電させ、輻射熱によって測定対象物を加熱することにより、測定対象物中の水分を除去した。次に第2吸収スペクトルを測定し、実施例1と同様に吸収スペクトルの周波数が異なっていないことを判断しながら水分除去部を作動させた。

0126

上記動作を繰り返し、サンプルaおよびサンプルbの同定を行った。同定に用いた吸収スペクトルを図13に示す。実線がサンプルaの吸収スペクトル、破線がサンプルbの吸収スペクトルを表す。

0127

それぞれの第1吸収スペクトルは水の含有量が異なっていたため、視覚的な比較は困難であったが、水の影響を排除した後に、重ねて表示させることで、それぞれのチロシン含有量が同一であることを視覚的に表すことができた。

0128

また、吸収スペクトルの周波数が異なっていないことを判断しながら水分除去部を作動させたため、測定対象物中のチロシンを変性または分解によって消失することなく同定できた。

0129

(比較例)
本比較例では、吸収スペクトルにおけるピーク高さが小さくなっているかを判断せずに水分除去部を作動させる動作を行った。

0130

リン脂質のジミストイルホスファチジルグリセロール(以下、DMPGと示す)粉末に対して重量比10%となる水を含有させて、均一に混合することによって測定対象物を作成した。

0131

実施例1と同様に作成した測定対象物にテラヘルツ波を照射し、測定対象物およびサンプルホルダを透過したテラヘルツ波を検出することによって測定対象物の第1吸収スペクトルを算出した。周波数0.5THzから2.0THzの範囲において算出された吸収スペクトルの結果を図14の実線に示す。第1吸収スペクトルの周波数1.1THzに吸収度が極大値を示す吸収ピークが得られた。

0132

本比較例では、サンプルホルダ上に設けていた加熱ヒーターを通電させ、輻射熱によって測定対象物を加熱することにより、測定対象物中の水分を除去した。本比較例では加熱ヒーターの停止または出力低下制御を行わずに通電を長時間行った後、第2吸収スペクトルを測定した。結果を図14の破線に示す。第1吸収スペクトルにおいて周波数1.1THzで現れていた吸収ピークが検出されなかった。以上のように吸収スペクトルにおけるピーク高さが小さくなっているかを判断せずに水分除去部を作動させたため、測定対象物中のDMPGが変性または分解によって消失してしまい、吸収ピークが検出されず同定ができなかった。なお、吸収スペクトルの吸収ピークの高さが小さくなっていないことを判断しながら水分除去部を作動させた場合では、測定対象物中のDMPGを変性または分解によって消失することなく同定できたことは言うまでもない。

0133

本発明は、テラヘルツ波分光測定システムを提供する。測定対象物が水を含有している場合でも、測定対象物内の分析目的分子を分解または変性により消失することなく、測定対象物の水を簡便に除去して、分析目的分子を同定する方法を有するシステムを提供する。

0134

信号処理部(circuitry)は、半導体装置半導体集積回路(IC)、又はLSI(large scale integration)を含む一つ又は一つ以上複数の電子回路によって構成されてもよい。LSI又はICは、一つのチップ集積されてもよいし、複数のチップを組み合わせて構成されてもよい。例えば、記憶素子以外の機能ブロックは、一つのチップに集積されてもよい。ここでは、LSIやICと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSIVLSI(very large scale integration)、若しくはULSI(ultra large scale integration) と呼ばれるかもしれないものであってもよい。 LSIの製造後にプログラムされる、Field Programmable Gate Array (FPGA)、又はLSI内部の接合関係再構成又はLSI内部の回路区画セットアップができるreconfigurable logic deviceも同じ目的で使うことができる。

0135

信号処理部における各工程は、コンピュータに含まれているソフトウエア処理によって実行することが可能である。この場合、ソフトウエアは一つ又は複数のROM、光学ディスクハードディスクドライブ、などの非一時的記録媒体に記録され、ソフトウエアが、コンピュータのような処理装置(processor)によって実行された場合ときに、ソフトウエアは、そのソフトウエア内で特定された機能を、処理装置(processor)および周辺装置によって実行される。システム又は装置は、ソフトウエアが記録されている一つ又は複数の非一時的記録媒体、処理装置(processor)、及び必要とされるハードウエアデバイス、例えばインターフェース、を備えていても良い。

0136

100テラヘルツ波分光測定システム
101 テラヘルツ波放射体
102受光部
103水分除去部
104信号処理部
105 制御部
106測定対象物
200 テラヘルツ波分光測定システム
201 テラヘルツ波放射体
202 受光部
203 水分除去部
204 信号処理部
205 制御部
206 測定対象物
211発振側ミラー
212 検出側ミラー
300 テラヘルツ波分光測定システム
301 テラヘルツ波放射体
302 受光部
303 水分除去部
304 信号処理部
305 制御部
306 測定対象物
310 表示部
400 テラヘルツ波分光測定システム
401供給装置
402搬送装置
403測定部
404 表示部
405 回収装置

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