図面 (/)

技術 析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定方法及び熱履歴推定装置

出願人 株式会社IHI
発明者 津野茜尾崎智道中野健平田豊
出願日 2016年5月26日 (4年6ヶ月経過) 出願番号 2016-105279
公開日 2017年11月30日 (3年0ヶ月経過) 公開番号 2017-211303
状態 特許登録済
技術分野 温度及び熱量の測定
主要キーワード 寿命設計 マスター曲線 圧痕サイズ 導電率測定装置 略一定温度 ヌープ硬さ試験 ブリネル硬さ 鋳造部材
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年11月30日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (13)

課題

析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定方法であって、熱曝露された析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度を精度よく推定することである。

解決手段

析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定方法は、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率を測定する導電率測定工程(S10)と、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化量及び熱曝露時間と、予め求めておいた析出硬化型アルミニウム合金部材と同一組成既知の熱曝露を受けた析出硬化型アルミニウム合金における熱曝露前後の導電率の変化量及び熱曝露時間と、を比較して、析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度を推定する熱曝露温度推定工程(S12)と、を備える。

概要

背景

過給機圧縮機等の運転温度の上昇により、析出硬化型アルミニウム合金で形成されたインペラ等の析出硬化型アルミニウム合金部材における使用環境は、材料の能力限界に近付いている。析出硬化型アルミニウム合金部材の信頼性向上のために、高い精度での寿命設計が求められている。析出硬化型アルミニウム合金部材の寿命設計を高い精度で行うために、実環境での熱曝露温度をより正確に把握する必要がある。

従来、析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度については、析出硬化型アルミニウム合金部材の周り雰囲気温度を測定して推定することが行われている(例えば、特許文献1参照)。

概要

析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定方法であって、熱曝露された析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度を精度よく推定することである。析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定方法は、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率を測定する導電率測定工程(S10)と、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化量及び熱曝露時間と、予め求めておいた析出硬化型アルミニウム合金部材と同一組成既知の熱曝露を受けた析出硬化型アルミニウム合金における熱曝露前後の導電率の変化量及び熱曝露時間と、を比較して、析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度を推定する熱曝露温度推定工程(S12)と、を備える。

目的

本発明の目的は、熱曝露された析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度をより精度よく推定することが可能な析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定方法及び熱履歴推定装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

熱曝露された析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定方法であって、前記析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率を測定する導電率測定工程と、前記析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化量及び熱曝露時間と、予め求めておいた前記析出硬化型アルミニウム合金部材と同一組成既知の熱曝露を受けた析出硬化型アルミニウム合金における熱曝露前後の導電率の変化量及び熱曝露時間と、を比較して、前記析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度を推定する熱曝露温度推定工程と、を備えることを特徴とする析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定方法。

請求項2

請求項1に記載の析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定方法であって、前記析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の硬さを測定する硬さ測定工程と、前記析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化量と、前記析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の硬さの変化量と、を変数とした関係式に基づくD値を算出するD値算出工程と、を備え、前記熱曝露温度推定工程は、前記析出硬化型アルミニウム合金部材のD値及び熱曝露時間と、予め求めておいた前記析出硬化型アルミニウム合金部材と同一組成で既知の熱曝露を受けた析出硬化型アルミニウム合金のD値及び熱曝露時間と、を比較して、前記析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度を推定することを特徴とする析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定方法。

請求項3

請求項1または2に記載の析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定方法であって、前記導電率測定工程は、渦電流式導電率測定法で測定することを特徴とする析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定方法。

請求項4

請求項2または3に記載の析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定方法であって、前記硬さ測定工程は、ビッカース硬さ測定法ロックウエル硬さ測定法、ブリネル硬さ測定法またはヌープ硬さ測定法で測定することを特徴とする析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定方法。

請求項5

熱曝露された析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定装置であって、前記析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率を測定する導電率測定手段と、前記析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化量及び熱曝露時間と、予め求めておいた前記析出硬化型アルミニウム合金部材と同一組成で既知の熱曝露を受けた析出硬化型アルミニウム合金における熱曝露前後の導電率の変化量及び熱曝露時間と、を比較して、前記析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度を推定する熱曝露温度推定手段と、を備えることを特徴とする析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定装置。

請求項6

請求項5に記載の析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定装置であって、前記析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の硬さを測定する硬さ測定手段と、前記析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化量と、前記析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の硬さの変化量と、を変数とした関係式に基づくD値を算出するD値算出手段と、を備え、前記熱曝露温度推定手段は、前記析出硬化型アルミニウム合金部材のD値及び熱曝露時間と、予め求めておいた前記析出硬化型アルミニウム合金部材と同一組成で既知の熱曝露を受けた析出硬化型アルミニウム合金のD値及び熱曝露時間と、を比較して、前記析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度を推定することを特徴とする析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定装置。

技術分野

0001

本発明は、熱曝露された析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定方法及び熱履歴推定装置に関する。

背景技術

0002

過給機圧縮機等の運転温度の上昇により、析出硬化型アルミニウム合金で形成されたインペラ等の析出硬化型アルミニウム合金部材における使用環境は、材料の能力限界に近付いている。析出硬化型アルミニウム合金部材の信頼性向上のために、高い精度での寿命設計が求められている。析出硬化型アルミニウム合金部材の寿命設計を高い精度で行うために、実環境での熱曝露温度をより正確に把握する必要がある。

0003

従来、析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度については、析出硬化型アルミニウム合金部材の周り雰囲気温度を測定して推定することが行われている(例えば、特許文献1参照)。

先行技術

0004

特開2012−2231号公報

発明が解決しようとする課題

0005

ところで、上記のように析出硬化型アルミニウム合金部材の周りの雰囲気温度を測定して熱曝露温度を推定する方法では、析出硬化型アルミニウム合金部材から直接情報を得ていないので、析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度を精度よく推定できない可能性がある。

0006

そこで、本発明の目的は、熱曝露された析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度をより精度よく推定することが可能な析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定方法及び熱履歴推定装置を提供することである。

課題を解決するための手段

0007

本発明に係る析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定方法は、熱曝露された析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定方法であって、前記析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率を測定する導電率測定工程と、前記析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化量及び熱曝露時間と、予め求めておいた前記析出硬化型アルミニウム合金部材と同一組成既知の熱曝露を受けた析出硬化型アルミニウム合金における熱曝露前後の導電率の変化量及び熱曝露時間と、を比較して、前記析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度を推定する熱曝露温度推定工程と、を備えることを特徴とする。

0008

本発明に係る析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定方法において、前記析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の硬さを測定する硬さ測定工程と、前記析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化量と、前記析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の硬さの変化量と、を変数とした関係式に基づくD値を算出するD値算出工程と、を備え、前記熱曝露温度推定工程は、前記析出硬化型アルミニウム合金部材のD値及び熱曝露時間と、予め求めておいた前記析出硬化型アルミニウム合金部材と同一組成で既知の熱曝露を受けた析出硬化型アルミニウム合金のD値及び熱曝露時間と、を比較して、前記析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度を推定することを特徴とする。

0009

本発明に係る析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定方法において、前記導電率測定工程は、渦電流式導電率測定法で測定することを特徴とする。

0010

本発明に係る析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定方法において、前記硬さ測定工程は、ビッカース硬さ測定法ロックウエル硬さ測定法、ブリネル硬さ測定法またはヌープ硬さ測定法で測定することを特徴とする。

0011

本発明に係る析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定装置は、熱曝露された析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定装置であって、前記析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率を測定する導電率測定手段と、前記析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化量及び熱曝露時間と、予め求めておいた前記析出硬化型アルミニウム合金部材と同一組成で既知の熱曝露を受けた析出硬化型アルミニウム合金における熱曝露前後の導電率の変化量及び熱曝露時間と、を比較して、前記析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度を推定する熱曝露温度推定手段と、を備えることを特徴とする。

0012

本発明に係る析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定装置において、前記析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の硬さを測定する硬さ測定手段と、前記析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化量と、前記析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の硬さの変化量と、を変数とした関係式に基づくD値を算出するD値算出手段と、を備え、前記熱曝露温度推定手段は、前記析出硬化型アルミニウム合金部材のD値及び熱曝露時間と、予め求めておいた前記析出硬化型アルミニウム合金部材と同一組成で既知の熱曝露を受けた析出硬化型アルミニウム合金のD値及び熱曝露時間と、を比較して、前記析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度を推定することを特徴とする。

発明の効果

0013

上記構成によれば、熱曝露された析出硬化型アルミニウム合金部材の導電率の変化に基づいて熱曝露温度を推定しているので、析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度をより精度よく推定することが可能となる。

図面の簡単な説明

0014

本発明の第一実施形態において、析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定方法を示すフローチャートである。
本発明の第一実施形態において、析出硬化型アルミニウム合金部材における導電率と熱曝露時間との関係を示すモデル図である。
本発明の第一実施形態において、熱曝露温度の推定方法を示すモデル図である。
本発明の第一実施形態において、析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定装置の構成を示すブロック図である。
本発明の第二実施形態において、析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定方法を示すフローチャートである。
本発明の第二実施形態において、析出硬化型アルミニウム合金部材における硬さと熱曝露時間との関係を示すモデル図である。
本発明の第二実施形態において、D値と、熱曝露時間と、熱曝露温度との関係を示すモデル図である。
本発明の第二実施形態において、熱曝露温度の推定方法を示すモデル図である。
本発明の第二実施形態において、析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定装置の構成を示すブロック図である。
本発明の実施例1において、マスター曲線を示すグラフである。
本発明の実施例2において、熱曝露前後の硬さの変化量と、熱曝露時間と、熱曝露温度との関係を示すグラフである。
本発明の実施例2において、マスター曲線を示すグラフである。

0015

以下に本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。

0016

[第一実施形態]
本発明の第一実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定方法を示すフローチャートである。析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定方法は、導電率測定工程(S10)と、熱曝露温度推定工程(S12)と、を備えている。

0017

析出硬化型アルミニウム合金部材は、例えば、船舶用過給機、発電機、車両用過給機に用いられるコンプレッサインペラ等の展伸部材や鋳造部材である。このような析出硬化型アルミニウム合金部材は、例えば、過給機等の装置の運転中に、約100℃から約200℃で熱曝露されている。

0018

析出硬化型アルミニウム合金部材は、JIS規格等の析出硬化型アルミニウム合金で形成されている。析出硬化型アルミニウム合金は、溶体化処理した後に時効処理することにより、析出物析出させて強化させたアルミニウム合金である。析出硬化型アルミニウム合金部材は、例えば、Al−Cu系合金、Al−Cu−Mg系合金、Al−Mg−Si系合金、Al−Zn−Mg系合金、Al−Zn−Mg−Cu系合金等(2000系、6000系、7000系、AC1B、AC4A、AC4C、AC4CH等)で形成されている。

0019

導電率測定工程(S10)は、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率を測定する工程である。析出硬化型アルミニウム合金部材の導電率は、主に、析出硬化型アルミニウム合金におけるAl母相中溶質元素の固溶量に影響される。析出硬化型アルミニウム合金部材が熱曝露されると、Al母相中に固溶している溶質元素が析出物として析出し、Al母相中の溶質元素の固溶量が低下することにより、析出硬化型アルミニウム合金部材の導電率が変化する。このことから、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化により、析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露の影響を評価することができる。

0020

図2は、析出硬化型アルミニウム合金部材における導電率と熱曝露時間との関係を示すモデル図である。図2では、横軸に熱曝露時間を取り、縦軸に導電率を取り、導電率の変化を実線で示している。また、熱曝露温度T1は、熱曝露温度T2より高温であることを示している。

0021

析出硬化型アルミニウム合金部材の導電率は、熱曝露開始から熱曝露時間の経過とともに大きくなる傾向がある。また、析出硬化型アルミニウム合金部材の導電率は、熱曝露時間が同じである場合には、熱曝露温度が高いほど大きくなる傾向がある。

0022

析出硬化型アルミニウム合金部材は、溶体化処理後の時効処理により、準安定相からなる析出物を析出させて強化させている。析出硬化型アルミニウム合金部材は、熱曝露されると、Al母相中に固溶している溶質元素が析出し、準安定相が増えるとともに準安定相の形態が変化し、最終的に安定相が形成される。熱曝露により、Al母相中に固溶している溶質元素が析出すると、Al母相中に固溶している溶質元素の固溶量が低下するので、析出硬化型アルミニウム合金部材の導電率が大きくなる傾向がある。また、熱曝露温度が高くなると、Al母相中に固溶している溶質元素の析出が促進されるので、Al母相中に固溶している溶質元素の固溶量の低下がより大きくなり、析出硬化型アルミニウム合金部材の導電率がより大きくなる傾向がある。

0023

例えば、析出硬化型アルミニウム合金部材がAl−Cu−Mg系合金で形成されている場合には、熱曝露により、Al母相中に固溶しているCu、Mg等の溶質元素が析出し、合金組織内で析出物がGPB(Guinier Preston Bagaryatsky ギニエ・プレストン・バガリツキ)(1)ゾーン→GPB(2)ゾーン(S”相)→S’相→S相(Al2CuMg)の過程で変化して、最終的に安定相であるS相(Al2CuMg)が形成される。熱曝露により、Al母相中に固溶しているCu、Mg等の溶質元素が析出すると、Al母相中に固溶しているCu、Mg等の溶質元素の固溶量が低下するので、析出硬化型アルミニウム合金部材の導電率が大きくなる。また、熱曝露温度が高くなると、Al母相中に固溶しているCu、Mg等の溶質元素の析出が促進されるので、Al母相中に固溶しているCu、Mg等の溶質元素の固溶量の低下が大きくなり、析出硬化型アルミニウム合金部材の導電率が大きくなる。このように、析出硬化型アルミニウム合金部材の導電率は、主に、Al母相中の溶質元素の固溶量に起因して変化する。

0024

析出硬化型アルミニウム合金部材の導電率は、一般的な金属材料導電率測定方法測定可能である。析出硬化型アルミニウム合金部材の導電率は、非破壊で測定可能であることから、渦電流式導電率測定法で測定されることが好ましい。渦電流式導電率測定法であれば、析出硬化型アルミニウム合金部材が設けられている現場でも測定可能である。

0025

熱曝露温度推定工程(S12)は、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化量及び熱曝露時間と、予め求めておいた析出硬化型アルミニウム合金部材と同一組成で既知の熱曝露を受けた析出硬化型アルミニウム合金における熱曝露前後の導電率の変化量及び熱曝露時間と、を比較して、析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度を推定する工程である。

0026

予め析出硬化型アルミニウム合金部材と同一組成で既知の熱曝露を受けた析出硬化型アルミニウム合金における熱曝露前後の導電率の変化量と、熱曝露時間との関係を実験等により求めて、例えば、マスター曲線等を作成する。析出硬化型アルミニウム合金の熱曝露については、例えば、析出硬化型アルミニウム合金部材が設けられる装置の運転から解析等で想定される複数の熱曝露温度で行うとよい。例えば、析出硬化型アルミニウム合金部材が、装置の運転から100℃、120℃、140℃、160℃、180℃、200℃のいずれかの熱曝露温度に曝される可能性がある場合には、これらの温度で熱曝露すればよい。そして、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化量及び熱曝露時間から、析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度を推定する。

0027

図3は、熱曝露温度の推定方法を示すモデル図である。図3では、横軸に熱曝露時間を取り、縦軸に導電率の変化量を取り、導電率の変化量を実線で示している。また、熱曝露温度T1は、熱曝露温度T2より高温であることを示している。例えば、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化量がΔE1であり、熱曝露時間がt1である場合には、熱曝露温度がT1と推定される。析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露前後の導電率がΔE2であり、熱曝露時間がt2である場合には、熱曝露温度がT2と推定される。このようにして、析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度が推定される

0028

また、熱曝露前後の導電率の変化量に基づいて熱曝露温度を推定することにより、熱曝露前(未曝露)のときの析出硬化型アルミニウム合金部材の調質状態や加工状態等が異なる場合でも、同じマスター曲線を用いて熱曝露温度を推定することができる。より詳細には、同一組成の析出硬化型アルミニウム合金で形成されており、熱処理条件加工条件が異なる析出硬化型アルミニウム合金部材の場合でも、熱曝露前後の導電率の変化量に基づいて推定することから、熱曝露前の影響を除くことができる。これにより、調質状態や加工状態等が異なる析出硬化型アルミニウム合金部材の場合でも、同じマスター曲線を用いて熱曝露温度を推定することが可能となる。

0029

次に、析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定装置について説明する。図4は、析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定装置10の構成を示すブロック図である。析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定装置10は、導電率測定手段12と、制御手段14と、出力手段16と、を備えている。

0030

導電率測定手段12は、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率を測定する機能を有している。導電率測定手段12は、渦電流式導電率測定装置等で構成されている。

0031

制御手段14は、熱曝露温度推定手段18と、記憶手段20と、を有している。制御手段14は、例えば、一般的なパーソナルコンピュータ等で構成されている。

0032

熱曝露温度推定手段18は、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化量及び熱曝露時間と、予め求めておいた析出硬化型アルミニウム合金部材と同一組成で既知の熱曝露を受けた析出硬化型アルミニウム合金における熱曝露前後の導電率の変化量及び熱曝露時間と、を比較して、析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度を推定する機能を有している。

0033

記憶手段20は、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化量及び熱曝露時間、予め求めておいた析出硬化型アルミニウム合金部材と同一組成で既知の熱曝露を受けた析出硬化型アルミニウム合金における熱曝露前後の導電率の変化量及び熱曝露時間、導電率の変化量及び熱曝露時間の関係を示すマスター曲線等のデータを記憶する機能を有している。

0034

出力手段16は、推定された析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度等を出力する機能を有している。出力手段16は、ディスプレイプリンタ等で構成されている。

0035

以上、上記構成によれば、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化量及び熱曝露時間から、析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度を推定することにより、析出硬化型アルミニウム合金部材から直接情報を得て推定しているので、熱曝露温度をより精度よく推定することが可能となる。

0036

[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、第一実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。図5は、析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定方法を示すフローチャートである。析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定方法は、導電率測定工程(S10)と、硬さ測定工程(S20)と、D値算出工程(S22)と、熱曝露温度推定工程(S24)と、を備えている。

0037

導電率測定工程(S10)は、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率を測定する工程である。導電率測定工程(S10)は、第一実施形態の導電率測定工程(S10)と同じであるので詳細な説明を省略する。

0038

硬さ測定工程(S20)は、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の硬さを測定する工程である。析出硬化型アルミニウム合金部材の硬さは、主に、析出硬化型アルミニウム合金の析出物の形態に影響される。

0039

図6は、析出硬化型アルミニウム合金部材における硬さと熱曝露時間との関係を示すモデル図である。図6のモデル図では、横軸に熱曝露時間を取り、縦軸に硬さを取り、硬さの変化を実線で示している。また、熱曝露温度T1は、熱曝露温度T2より高温であることを示している。

0040

熱曝露温度が比較的低い温度T2(例えば、140℃以下)の場合には、析出硬化型アルミニウム合金部材の硬さは、熱曝露の初期では略一定であり、所定の熱曝露時間の経過後に低下を開始する。また、熱曝露温度が比較的高い温度T1(例えば、160℃以上)の場合には、析出硬化型アルミニウム合金部材の硬さは、熱曝露の初期から緩やかに低下し、所定の熱曝露時間の経過後に低下が大きくなる。このように、析出硬化型アルミニウム合金の硬さは、熱曝露温度が高温になるほどより早く低下すると共に、低下の度合いが大きくなる。

0041

析出硬化型アルミニウム合金部材は、熱曝露されると、Al母相中に固溶している溶質元素が析出し、準安定相が増えるとともに準安定相の形態が変化し、最終的に安定相が形成される。析出硬化型アルミニウム合金部材の硬さは、準安定相が析出物として析出している間は略一定となり、安定相が析出物として析出すると低下する傾向がある。析出硬化型アルミニウム合金部材の硬さは、安定相が析出した後においても、オストワルド成長等により更に低下する傾向がある。また、析出硬化型アルミニウム合金部材の硬さは、熱曝露温度が比較的低温の場合(例えば、140℃以下の熱曝露温度)には、準安定相の析出速度や形態の変化が遅くなり、安定相に移行し難くなるので、熱曝露時間が長くても略一定となる傾向がある。

0042

例えば、析出硬化型アルミニウム合金部材がAl−Cu−Mg系合金で形成されている場合には、析出硬化型アルミニウム合金部材の硬さは、GPB(1)ゾーン、GPB(2)ゾーン(S”相)及びS’相からなる準安定相が析出物として析出している間は略一定となるが、S相(Al2CuMg)からなる安定相が析出物として析出すると低下する傾向がある。このように、析出硬化型アルミニウム合金部材の硬さは、主に、析出物の形態に起因して変化する。

0043

硬さ測定は、例えば、マイクロビッカース硬さ測定法等のビッカース硬さ測定法、ロックウエル硬さ測定法、ブリネル硬さ測定法、ヌープ硬さ測定法等を用いることが可能である。硬さ測定は、析出硬化型アルミニウム合金部材を直接測定してもよいし、サンプルを切り出して樹脂埋めし、耐水研磨紙アルミナコロイダルシリカ等の研磨材研磨してから測定してもよい。また、硬さ測定は、マイクロビッカース硬さ測定法によることが好ましい。マイクロビッカース硬さ測定法によれば、圧痕サイズが小さいので、析出硬化型アルミニウム合金部材が小さくても硬さを複数箇所測定することができる。

0044

D値算出工程(S22)は、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化量と、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の硬さの変化量と、を変数とした関係式に基づくD値を算出する工程である。

0045

析出硬化型アルミニウム合金部材の導電率は、主に、Al母相中に固溶している溶質元素の固溶量に起因しており、熱曝露によりAl母相中の溶質元素が析出して、Al母相中の溶質元素の固溶量が減ることにより変化する。このことから、析出硬化型アルミニウム合金部材の導電率は、熱曝露の初期から変化の度合いが大きくなる傾向がある。一方、析出硬化型アルミニウム合金部材の導電率は、Al母相中に固溶している溶質元素がほとんど析出すると、Al母相中の溶質元素の固溶量が少なくなるので、変化の度合いが小さくなる傾向がある。

0046

析出硬化型アルミニウム合金部材の硬さは、主に、析出物の形態に起因しているので、準安定相が析出物として析出している熱曝露の初期では、変化の度合いが小さくなる傾向がある。一方、析出硬化型アルミニウム合金部材の硬さは、熱曝露時間の経過とともに析出物の形態が変化して安定相が析出されると変化の度合いが大きくなる傾向がある。また、析出硬化型アルミニウム合金部材の硬さは、安定相が形成された後でも、オストワルド成長等により変化の度合いが大きくなる傾向がある。

0047

そこで、導電率の変化量と、硬さの変化量とを変数とした関係式に基づくD値をパラメータとすることにより、熱曝露の初期における硬さの変化の度合いが小さい期間では、主に、導電率の変化によりD値が変化し、熱曝露時間が長くなり、導電率の変化の度合が小さくなる期間では、主に、硬さの変化によりD値が変化する。このように、D値をパラメータとすることにより、熱曝露の全期間において析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度を精度よく推定することができる。

0048

D値は、熱曝露前後における導電率の変化量をΔE、熱曝露前後における硬さの変化量をΔHとしたとき、D=(ΔH+100)/(ΔE+100)で算出されるとよい。D値をこのような簡素なパラメータに設定することにより、析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度の推定が容易になるからである。

0049

図7は、D値と、熱曝露時間と、熱曝露温度との関係を示すモデル図である。図7のモデル図では、横軸に熱曝露時間を取り、縦軸にD値を取り、D値を実線で示している。なお、熱曝露温度T1は、熱曝露温度T2より高温の場合を示している。また、図7のモデル図では、図2の導電率と熱曝露時間との関係を示すモデル図と、図6の硬さと熱曝露時間との関係を示すモデル図とを用いることにより、導電率の変化量をΔE、硬さの変化量をΔHとしたとき、D=(ΔH+100)/(ΔE+100)でD値を算出している。

0050

この場合のD値は、熱曝露の初期では、硬さが略一定か緩やかに低下し、導電率が徐々に大きくなるので、熱曝露時間の経過とともに緩やかに低下する。そして、熱曝露時間が更に経過すると、硬さが更に低下し、導電率が更に大きくなるので、D値の低下が大きくなる。このようにD値は、熱曝露時間に依存して変化する。また、熱曝露温度T1及びT2のときのD値は、熱曝露時間に対してお互いに異なる変化を示す。

0051

熱曝露温度推定工程(S24)は、析出硬化型アルミニウム合金部材のD値及び熱曝露時間と、予め求めておいた析出硬化型アルミニウム合金部材と同一組成で既知の熱曝露を受けた析出硬化型アルミニウム合金のD値及び熱曝露時間と、を比較して、析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度を推定する工程である。

0052

予め析出硬化型アルミニウム合金部材と同一組成で既知の熱曝露を受けた析出硬化型アルミニウム合金のD値と熱曝露時間との関係を実験等により求めて、例えば、図7に示すようなマスター曲線を作成する。析出硬化型アルミニウム合金の熱曝露については、例えば、析出硬化型アルミニウム合金部材が設けられる装置の運転から解析等で想定される複数の熱曝露温度で行うとよい。そして、析出硬化型アルミニウム合金部材のD値及び熱曝露時間から、析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度を推定する。

0053

図8は、熱曝露温度の推定方法を示すモデル図である。図8のモデル図では、図7のモデル図を用いて析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度を推定する方法を示している。例えば、熱曝露された析出硬化型アルミニウム合金部材のD値がD1であり、熱曝露時間がt1である場合には、熱曝露温度はT1と推定される。また、熱曝露された析出硬化型アルミニウム合金部材のD値がD2であり、熱曝露時間がt2である場合には、熱曝露温度はT2と推定される。このようにして、析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度が推定される。

0054

次に、析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定装置について説明する。図9は、析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定装置22の構成を示すブロック図である。析出硬化型アルミニウム合金部材の熱履歴推定装置22は、導電率測定手段12と、硬さ測定手段24と、制御手段26と、出力手段28と、を備えている。

0055

導電率測定手段12は、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率を測定する機能を有している。導電率測定手段12は、第一実施形態の導電率測定手段12と同じであるので、詳細な説明を省略する。

0056

硬さ測定手段24は、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の硬さを測定する機能を有している。硬さ測定手段24は、ビッカース硬さ試験機、ロックウエル硬さ試験機ブリネル硬さ試験機ヌープ硬さ試験機、超音波硬度計等で構成されている。

0057

制御手段26は、D値算出手段30と、熱曝露温度推定手段32と、記憶手段34と、を有している。制御手段26は、例えば、一般的なパーソナルコンピュータ等で構成されている。

0058

D値算出手段30は、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化量と、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の硬さの変化量と、を変数とした関係式に基づくD値を算出する機能を有している。

0059

熱曝露温度推定手段32は、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化量及び熱曝露時間と、予め求めておいた析出硬化型アルミニウム合金部材と同一組成で既知の熱曝露を受けた析出硬化型アルミニウム合金における熱曝露前後の導電率の変化量及び熱曝露時間と、を比較して、析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度を推定する機能を有している。

0060

記憶手段34は、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化量、熱曝露前後の硬さの変化量、D値及び熱曝露時間、予め求めておいた析出硬化型アルミニウム合金部材と同一組成で既知の熱曝露を受けた析出硬化型アルミニウム合金における熱曝露前後の導電率の変化量、熱曝露前後の硬さの変化量、D値及び熱曝露時間、D値及び熱曝露時間の関係を示すマスター曲線等のデータを記憶する機能を有している。

0061

出力手段28は、推定された析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度等を出力する機能を有している。出力手段28は、ディスプレイやプリンタ等で構成されている。

0062

以上、上記構成によれば、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化量と、熱曝露前後の硬さの変化量と、に基づいて析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度を推定することにより、析出硬化型アルミニウム合金部材から直接情報を得て推定しているので、熱曝露温度をより精度よく推定することが可能となる。

0063

[実施例1]
過給機等に用いられるコンプレッサインペラにおいて、熱曝露温度を推定する場合について説明する。コンプレッサインペラは、Al−Cu−Mg系合金である2014合金(調質状態T6:溶体化処理後の人工時効処理)で形成されている。コンプレッサインペラは、120℃から200℃の間の略一定温度で熱曝露されている。まず、コンプレッサインペラの熱曝露温度を推定するためのマスター曲線の作成について説明する。

0064

マスター曲線用供試体には、コンプレッサインペラと同一組成の2014合金材(調質状態T6)を、120℃、140℃、160℃、180℃及び200℃の各熱曝露温度、所定の熱曝露時間で各々熱曝露したものと、未曝露のものと、を使用した。

0065

マスター曲線用供試体について、室温で、熱曝露前後の導電率を測定した。導電率測定は、渦電流式導電率測定法で行った。測定装置には、GE社製シグマテスタautoSigma3000(渦電流式)を用いた。

0066

熱曝露前後の導電率の変化量と、熱曝露時間と、熱曝露温度との関係を示すマスター曲線を作成した。図10は、マスター曲線を示すグラフである。図10のグラフでは、横軸に熱曝露時間を取り、縦軸に導電率の変化量を取り、120℃のときを白菱形、140℃のときを白四角形、160℃のときを黒三角形、180℃のときを黒四角形、200℃のときを黒菱形で示している。各熱曝露温度において、熱曝露時間が長くなるほど導電率が大きくなり、熱曝露前後の導電率の変化量が大きくなった。また、熱曝露時間が同じである場合には、熱曝露温度が高いほど、熱曝露前後の導電率の変化量が大きくなった。このように、熱曝露前後の導電率の変化量は、熱曝露温度及び熱曝露時間ごとに異なる値を示すことが明らかとなった。

0067

次に、熱曝露されたコンプレッサインペラの熱曝露温度を推定する方法について説明する。まず、コンプレッサインペラにおける熱曝露前後の導電率を、渦電流式導電率測定法で測定する。そして、コンプレッサインペラにおける熱曝露前後の導電率の変化量を算出する。予め求めておいたマスター曲線用供試体における熱曝露前後の導電率の変化量及び熱曝露時間のデータとして、図10に示すマスター曲線を用いることにより、コンプレッサインペラの熱曝露温度を推定する。例えば、コンプレッサインペラにおける熱曝露前後の導電率の変化量が6(%IACS)で、熱曝露時間が100時間である場合には、図10のマスター曲線から熱曝露温度が約200℃と推定される。

0068

[実施例2]
次に、マスター曲線として、熱曝露前後の導電率の変化量と、熱曝露前後の硬さの変化量と、を変数とした関係式に基づくD値を用いて、コンプレッサインペラの熱曝露温度を推定する場合について説明する。まず、マスター曲線の作成方法について説明する。なお、熱曝露前後の導電率の変化量については、実施例1におけるマスター曲線用供試体のデータを使用した。

0069

マスター曲線用供試体には、実施例1と同様に、コンプレッサインペラと同一組成の2014合金材(調質状態T6)を、120℃、140℃、160℃、180℃及び200℃の各熱曝露温度、所定の熱曝露時間で各々熱曝露したものと、未曝露のものと、を使用した。マスター曲線用供試体について、室温で、硬さ測定を行った。硬さ測定は、マイクロビッカース硬さ測定法により行った。硬さ測定用サンプルについては、マスター曲線用供試体から小片(長さ10mm×幅5mm×厚み3mmt)を切り出して樹脂埋めし、耐水研磨紙(エメリー紙)で#2000番まで研磨して用意した。硬さ試験機には、明石製作所製 AKASHI MVK−Hardness Testerを用いた。試験条件は、荷重1kgf、負荷時間15sとした。

0070

図11は、熱曝露前後の硬さの変化量と、熱曝露時間と、熱曝露温度との関係を示すグラフである。図11のグラフでは、横軸に熱曝露時間を取り、縦軸に硬さの変化量を取り、120℃のときを白三角形、140℃のときを白四角形、160℃のときを黒三角形、180℃のときを黒四角形、200℃のときを黒菱形で示している。熱曝露時間が長くなるほど硬さが低下し、熱曝露前後の硬さの変化量が大きくなった。また、熱曝露時間が同じである場合には、熱曝露温度が高いほど、熱曝露前後の硬さの変化量が大きくなった。更に、熱曝露温度が140℃以下の場合には、硬さは、約30時間まで略一定であった。

0071

熱曝露前後の導電率の変化量ΔEと、熱曝露前後の硬さの変化量ΔHとからD値を求めた。D値については、D=(ΔH+100)/(ΔE+100)の式から算出した。そして、D値と、熱曝露時間と、熱曝露温度との関係を示すマスター曲線を作成した。図12は、マスター曲線を示すグラフである。図12のグラフでは、横軸に熱曝露時間を取り、縦軸にD値を取り、120℃のときを白菱形、140℃のときを白四角形、160℃のときを黒三角形、180℃のときを黒四角形、200℃のときを黒菱形で示している。図12のグラフから、D値は、熱曝露温度及び熱曝露時間ごとに異なる値を示すことが明らかとなった。

0072

次に、熱曝露されたコンプレッサインペラにおける熱曝露温度の推定方法を説明する。コンプレッサインペラにおける熱曝露前後の導電率を、渦電流式導電率測定法で測定する。コンプレッサインペラにおける熱曝露前後の硬さを、マイクロビッカース硬さ試験法で測定する。そして、熱曝露前後の導電率の変化量ΔEと、熱曝露前後の硬さの変化量ΔHとを算出し、D=(ΔH+100)/(ΔE+100)の式からD値を算出する。

実施例

0073

予め求めておいたマスター曲線用供試体のD値及び熱曝露時間のデータとして、図12に示すマスター曲線を用いることにより、コンプレッサインペラの熱曝露温度を推定する。例えば、熱曝露されたコンプレッサインペラにおけるD値が0.45で、熱曝露時間が100時間である場合には、図12のマスター曲線から熱曝露温度が約200℃と推定される。

0074

10、22熱履歴推定装置
12導電率測定手段
14、26 制御手段
16、28 出力手段
18、32熱曝露温度推定手段
20、34 記憶手段
24 硬さ測定手段
30D値算出手段

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 株式会社岡崎製作所の「 シース熱電対」が 公開されました。( 2020/10/29)

    【課題】高放射線環境におけるシースおよびスリーブ内の絶縁物の絶縁性能の低下を抑制することおよび真空環境でガス放出を抑制することができるシース熱電対を提供すること。【解決手段】熱電対素線3と、熱電対素線... 詳細

  • 株式会社デンソーの「 温度検出回路」が 公開されました。( 2020/10/29)

    【課題】 第1検出値と第2検出値を共通の信号配線によって制御回路に送信することが可能であるとともに、制御回路が第1スイッチング素子の温度の検出値を受信した後に素早く第2スイッチング素子の温度を認識す... 詳細

  • 株式会社ジェイテクトの「 温度計測装置及び温度計測方法」が 公開されました。( 2020/10/29)

    【課題】流体温度の計測に関して、精度が高く、低コストで実施可能とする。【解決手段】温度計測装置10は、レーザ光Lの照射により反射光としてラマン散乱光を拡散する粒子7が多数混入された流体8を溜めるケース... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ