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技術 析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露検出方法及び異常高温曝露検出装置

出願人 株式会社IHI
発明者 津野茜尾崎智道中野健中野賢治
出願日 2016年5月26日 (4年7ヶ月経過) 出願番号 2016-105045
公開日 2017年11月30日 (3年0ヶ月経過) 公開番号 2017-211291
状態 特許登録済
技術分野 電気的手段による材料の調査、分析 機械的応力負荷による材料の強さの調査 特有な方法による材料の調査、分析 磁気的手段による材料の調査、分析
主要キーワード マスター曲線 圧痕サイズ 導電率測定装置 ヌープ硬さ試験 ブリネル硬さ 鋳造部材 JIS規格 熱曝露
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (6)

課題

析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露検出方法において、異常高温曝露をより精度よく検出することである。

解決手段

析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露検出方法は、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率を測定する導電率測定工程(S10)と、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の硬さを測定する硬さ測定工程(S12)と、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化量と、硬さの変化量との関係と、予め求めておいた析出硬化型アルミニウム合金部材と同一組成既知の熱曝露を受けた析出硬化型アルミニウム合金における熱曝露前後の導電率の変化量と、硬さの変化量との関係と、を比較して、析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度が250℃未満か否かを判定することにより異常高温曝露を検出する異常高温曝露検出工程(S14)と、を備える。

概要

背景

過給機圧縮機等の運転温度の上昇により、析出硬化型アルミニウム合金で形成されたインペラ等の析出硬化型アルミニウム合金部材における使用環境は、材料の能力限界に近付いている。また、析出硬化型アルミニウム合金部材は、過給機、圧縮機等の異常運転等により使用環境温度を超えて異常高温曝露されると、材料特性劣化する可能性がある。このことから、析出硬化型アルミニウム合金部材の信頼性向上のために、析出硬化型アルミニウム合金部材が使用環境温度を超えて高温曝露されたか否かをより正確に把握する必要がある。

従来、析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度については、析出硬化型アルミニウム合金部材の周り雰囲気温度を測定して推定することが行われている(例えば、特許文献1参照)。

概要

析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露検出方法において、異常高温曝露をより精度よく検出することである。析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露検出方法は、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率を測定する導電率測定工程(S10)と、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の硬さを測定する硬さ測定工程(S12)と、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化量と、硬さの変化量との関係と、予め求めておいた析出硬化型アルミニウム合金部材と同一組成既知の熱曝露を受けた析出硬化型アルミニウム合金における熱曝露前後の導電率の変化量と、硬さの変化量との関係と、を比較して、析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度が250℃未満か否かを判定することにより異常高温曝露を検出する異常高温曝露検出工程(S14)と、を備える。

目的

本発明の目的は、析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露をより精度よく検出することが可能な析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露検出方法及び異常高温曝露検出装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

250℃未満の使用環境下で熱曝露される析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露を検出する析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露検出方法であって、前記析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率を測定する導電率測定工程と、前記析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の硬さを測定する硬さ測定工程と、前記析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化量と、硬さの変化量との関係と、予め求めておいた前記析出硬化型アルミニウム合金部材と同一組成既知の熱曝露を受けた析出硬化型アルミニウム合金における熱曝露前後の導電率の変化量と、硬さの変化量との関係と、を比較して、前記析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度が250℃未満か否かを判定することにより異常高温曝露を検出する異常高温曝露検出工程と、を備えることを特徴とする析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露検出方法。

請求項2

請求項1に記載の析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露検出方法であって、前記導電率測定工程は、渦電流式導電率測定法で測定することを特徴とする析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露検出方法。

請求項3

請求項1または2に記載の析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露検出方法であって、前記硬さ測定工程は、ビッカース硬さ測定法ロックウエル硬さ測定法、ブリネル硬さ測定法またはヌープ硬さ測定法で測定することを特徴とする析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露検出方法。

請求項4

250℃未満の使用環境下で熱曝露される析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露を検出する析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露検出装置であって、前記析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率を測定する導電率測定手段と、前記析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の硬さを測定する硬さ測定手段と、前記析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化量と、硬さの変化量との関係と、予め求めておいた前記析出硬化型アルミニウム合金部材と同一組成で既知の熱曝露を受けた析出硬化型アルミニウム合金における熱曝露前後の導電率の変化量と、硬さの変化量との関係と、を比較して、前記析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度が250℃未満か否かを判定することにより異常高温曝露を検出する異常高温曝露検出手段と、を備えることを特徴とする析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露検出装置。

技術分野

0001

本発明は、析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露検出方法及び異常高温曝露検出装置係り、特に、250℃未満の使用環境下で熱曝露される析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露を検出する析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露検出方法及び異常高温曝露検出装置に関する。

背景技術

0002

過給機圧縮機等の運転温度の上昇により、析出硬化型アルミニウム合金で形成されたインペラ等の析出硬化型アルミニウム合金部材における使用環境は、材料の能力限界に近付いている。また、析出硬化型アルミニウム合金部材は、過給機、圧縮機等の異常運転等により使用環境温度を超えて異常高温曝露されると、材料特性劣化する可能性がある。このことから、析出硬化型アルミニウム合金部材の信頼性向上のために、析出硬化型アルミニウム合金部材が使用環境温度を超えて高温曝露されたか否かをより正確に把握する必要がある。

0003

従来、析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度については、析出硬化型アルミニウム合金部材の周り雰囲気温度を測定して推定することが行われている(例えば、特許文献1参照)。

先行技術

0004

特開2012−2231号公報

発明が解決しようとする課題

0005

ところで、過給機、圧縮機等に用いられる析出硬化型アルミニウム合金部材は、250℃未満の使用環境下で熱曝露されている。上記のように析出硬化型アルミニウム合金部材の周りの雰囲気温度を測定して、析出硬化型アルミニウム合金部材が250℃以上で異常高温曝露されたか否かを検出する場合には、析出硬化型アルミニウム合金部材から直接情報を得ていないので、精度よく検出できない可能性がある。

0006

そこで、本発明の目的は、析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露をより精度よく検出することが可能な析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露検出方法及び異常高温曝露検出装置を提供することである。

課題を解決するための手段

0007

本発明に係る析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露検出方法は、250℃未満の使用環境下で熱曝露される析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露を検出する析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露検出方法であって、前記析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率を測定する導電率測定工程と、前記析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の硬さを測定する硬さ測定工程と、前記析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化量と、硬さの変化量との関係と、予め求めておいた前記析出硬化型アルミニウム合金部材と同一組成既知の熱曝露を受けた析出硬化型アルミニウム合金における熱曝露前後の導電率の変化量と、硬さの変化量との関係と、を比較して、前記析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度が250℃未満か否かを判定することにより異常高温曝露を検出する異常高温曝露検出工程と、を備えることを特徴とする。

0008

本発明に係る析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露検出方法において、前記導電率測定工程は、渦電流式導電率測定法で測定することを特徴とする。

0009

本発明に係る析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露検出方法において、前記硬さ測定工程は、ビッカース硬さ測定法ロックウエル硬さ測定法、ブリネル硬さ測定法またはヌープ硬さ測定法で測定することを特徴とする。

0010

本発明に係る析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露検出装置は、250℃未満の使用環境下で熱曝露される析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露を検出する析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露検出装置であって、前記析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率を測定する導電率測定手段と、前記析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の硬さを測定する硬さ測定手段と、前記析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化量と、硬さの変化量との関係と、予め求めておいた前記析出硬化型アルミニウム合金部材と同一組成で既知の熱曝露を受けた析出硬化型アルミニウム合金における熱曝露前後の導電率の変化量と、硬さの変化量との関係と、を比較して、前記析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度が250℃未満か否かを判定することにより異常高温曝露を検出する異常高温曝露検出手段と、を備えることを特徴とする。

発明の効果

0011

上記構成によれば、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化と、硬さの変化とに基づいて、析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露を検出しているので、検出精度を高めることが可能となる。

図面の簡単な説明

0012

本発明の実施の形態において、析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露検出方法の構成を示すフローチャートである。
本発明の実施の形態において、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化量と、硬さの変化量との関係を示すモデル図である。
本発明の実施の形態において、析出硬化型アルミニウム合金部材における異常高温曝露の検出方法を示すモデル図である。
本発明の実施の形態において、析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露検出装置の構成を示すブロック図である。
本発明の実施の形態において、マスター曲線を示すグラフである。

0013

以下に本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露検出方法の構成を示すフローチャートである。析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露検出方法は、導電率測定工程(S10)と、硬さ測定工程(S12)と、異常高温曝露検出工程(S14)と、を備えている。

0014

析出硬化型アルミニウム合金部材は、例えば、船舶用過給機、発電機、車両用過給機に用いられるコンプレッサインペラ等の展伸部材や鋳造部材である。このような析出硬化型アルミニウム合金部材は、250℃未満の使用環境下(例えば、約100℃以上250℃未満)で熱曝露されている。

0015

析出硬化型アルミニウム合金部材は、JIS規格等の析出硬化型アルミニウム合金で形成されている。析出硬化型アルミニウム合金は、溶体化処理した後に時効処理することにより、析出物析出させて強化させたアルミニウム合金である。析出硬化型アルミニウム合金部材は、例えば、Al−Cu系合金、Al−Cu−Mg系合金、Al−Mg−Si系合金、Al−Zn−Mg系合金、Al−Zn−Mg−Cu系合金等(2000系、6000系、7000系、AC1B、AC4A、AC4C、AC4CH等)で形成されている。

0016

導電率測定工程(S10)は、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率を測定する工程である。析出硬化型アルミニウム合金部材の導電率は、主に、析出硬化型アルミニウム合金におけるAl母相中溶質元素の固溶量に影響される。析出硬化型アルミニウム合金部材が熱曝露されると、Al母相中に固溶している溶質元素が析出物として析出し、Al母相中の溶質元素の固溶量が低下することにより、析出硬化型アルミニウム合金部材の導電率が変化する。このことから、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化により、析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露の影響を評価することができる。

0017

析出硬化型アルミニウム合金部材は、溶体化処理後の時効処理により、準安定相からなる析出物を析出させて強化させている。析出硬化型アルミニウム合金部材は、熱曝露されると、Al母相中に固溶している溶質元素が析出し、準安定相が増えるとともに準安定相の形態が変化し、最終的に安定相が形成される。熱曝露により、Al母相中に固溶している溶質元素が析出すると、Al母相中に固溶している溶質元素の固溶量が低下するので、析出硬化型アルミニウム合金部材の導電率が大きくなる傾向がある。また、熱曝露温度が高くなると、Al母相中に固溶している溶質元素の析出が促進されるので、Al母相中に固溶している溶質元素の固溶量の低下がより大きくなり、析出硬化型アルミニウム合金部材の導電率がより大きくなる傾向がある。

0018

例えば、析出硬化型アルミニウム合金部材がAl−Cu−Mg系合金で形成されている場合には、熱曝露により、Al母相中に固溶しているCu、Mg等の溶質元素が析出し、合金組織内で析出物がGPB(Guinier Preston Bagaryatsky ギニエ・プレストン・バガリツキ)(1)ゾーン→GPB(2)ゾーン(S”相)→S’相→S相(Al2CuMg)の過程で変化して、最終的に安定相であるS相(Al2CuMg)が形成される。熱曝露により、Al母相中に固溶しているCu、Mg等の溶質元素が析出すると、Al母相中に固溶しているCu、Mg等の溶質元素の固溶量が低下するので、析出硬化型アルミニウム合金部材の導電率が大きくなる。また、熱曝露温度が高くなると、Al母相中に固溶しているCu、Mg等の溶質元素の析出が促進されるので、Al母相中に固溶しているCu、Mg等の溶質元素の固溶量の低下が大きくなり、析出硬化型アルミニウム合金部材の導電率が大きくなる。このように、析出硬化型アルミニウム合金部材の導電率は、主に、Al母相中の溶質元素の固溶量に起因して変化する。

0019

析出硬化型アルミニウム合金部材の導電率は、一般的な金属材料導電率測定方法測定可能である。析出硬化型アルミニウム合金部材の導電率は、非破壊で測定可能であることから、渦電流式導電率測定法で測定されることが好ましい。渦電流式導電率測定法であれば、析出硬化型アルミニウム合金部材が設けられている現場でも測定可能である。

0020

硬さ測定工程(S12)は、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の硬さを測定する工程である。析出硬化型アルミニウム合金部材の硬さは、主に、析出硬化型アルミニウム合金の析出物の形態に影響される。

0021

析出硬化型アルミニウム合金部材は、熱曝露されると、Al母相中に固溶している溶質元素が析出し、準安定相が増えるとともに準安定相の形態が変化し、最終的に安定相が形成される。析出硬化型アルミニウム合金部材の硬さは、準安定相が析出物として析出している間は略一定となり、安定相が析出物として析出すると低下する傾向がある。析出硬化型アルミニウム合金部材の硬さは、安定相が析出した後においても、オストワルド成長等により更に低下する傾向がある。

0022

また、析出硬化型アルミニウム合金部材の硬さは、熱曝露温度が高温の場合には、準安定相の析出速度や形態の変化が速くなり、安定相に移行し易くなるので、低下が大きくなる傾向がある。一方、析出硬化型アルミニウム合金部材の硬さは、熱曝露温度が比較的低温の場合には、準安定相の析出速度や形態の変化が遅くなり、安定相に移行し難くなるので、低下し難くなる傾向がある。

0023

例えば、析出硬化型アルミニウム合金部材がAl−Cu−Mg系合金で形成されている場合には、析出硬化型アルミニウム合金部材の硬さは、GPB(1)ゾーン、GPB(2)ゾーン(S”相)及びS’相からなる準安定相が析出物として析出している間は略一定となるが、S相(Al2CuMg)からなる安定相が析出物として析出すると低下する傾向がある。このように、析出硬化型アルミニウム合金部材の硬さは、主に、析出物の形態に起因して変化する。

0024

硬さ測定は、例えば、マイクロビッカース硬さ測定法等のビッカース硬さ測定法、ロックウエル硬さ測定法、ブリネル硬さ測定法、ヌープ硬さ測定法等を用いることが可能である。硬さ測定は、析出硬化型アルミニウム合金部材を直接測定してもよいし、サンプルを切り出して樹脂埋めし、耐水研磨紙アルミナコロイダルシリカ等の研磨材研磨してから測定してもよい。また、硬さ測定は、マイクロビッカース硬さ測定法によることが好ましい。マイクロビッカース硬さ測定法によれば、圧痕サイズが小さいので、析出硬化型アルミニウム合金部材が小さくても硬さを複数箇所測定することができる。

0025

異常高温曝露検出工程(S14)は、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化量と、硬さの変化量との関係と、予め求めておいた析出硬化型アルミニウム合金部材と同一組成で既知の熱曝露を受けた析出硬化型アルミニウム合金における熱曝露前後の導電率の変化量と、硬さの変化量との関係と、を比較して、析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度が250℃未満か否かを判定することにより異常高温曝露を検出する工程である。

0026

後述する実施例で明らかとなるように、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化量と、硬さの変化量との関係は、熱曝露温度が250℃未満の場合と、熱曝露温度が250℃以上の場合とでは、大きく異なる傾向を示すことを見出した。

0027

図2は、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化量と、硬さの変化量との関係を示すモデル図である。図2では、横軸に硬さの変化量を取り、縦軸に導電率の変化量を取り、熱曝露温度が250℃未満のときの熱曝露前後の導電率の変化量と、硬さの変化量との関係を示す曲線を曲線Aで示し、熱曝露温度が250℃以上のときの熱曝露前後の導電率の変化量と、硬さの変化量との関係を示す曲線を曲線Bで示している。

0028

析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度が250℃未満の場合には、熱曝露前後の導電率の変化量と、硬さの変化量との関係は、曲線Aで示される曲線と略同じになる。例えば、熱曝露温度が120℃の場合や、180℃の場合でも、熱曝露前後の導電率の変化量と、硬さの変化量との関係は、曲線Aと略一致する。

0029

一方、析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度が250℃以上の場合には、熱曝露前後の導電率の変化量と、硬さの変化量との関係は、曲線Bで示される曲線と略同じになる。例えば、熱曝露温度が250℃の場合や、350℃の場合でも、熱曝露前後の導電率の変化量と、硬さの変化量との関係は、曲線Bと略一致する。また、析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度が、連続して長時間の間、250℃以上となる場合だけでなく、一時的に短時間の間、250℃以上となる場合でも、熱曝露前後の導電率の変化量と、硬さの変化量との関係は、曲線Bで示される曲線と略同じになる。

0030

このように、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化量と、硬さの変化量との関係は、熱曝露温度250℃を境にして、2つの曲線に区分できることを見出した。この理由については、熱曝露温度が250℃以上となると、析出硬化型アルミニウム合金部材の金属組織中の析出物が、準安定相から安定相に急速に移行すること等によると考えられる。したがって、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化量と、硬さの変化量との関係から、熱曝露温度が250℃未満か否かを判定して、異常高温曝露を検出することが可能となる。

0031

予め析出硬化型アルミニウム合金部材と同一組成で既知の熱曝露を受けた析出硬化型アルミニウム合金における熱曝露前後の導電率の変化量と、硬さの変化量との関係を実験等により求めて、例えば、マスター曲線等を作成する。そして、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化量及び硬さの変化量の関係から、析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露を検出する。

0032

図3は、析出硬化型アルミニウム合金部材における異常高温曝露の検出方法を示すモデル図である。図3では、横軸に硬さの変化量を取り、縦軸に導電率の変化量を取り、熱曝露温度が250℃未満のときの熱曝露前後の導電率の変化量と、硬さの変化量との関係を示す曲線を曲線Aで示し、熱曝露温度が250℃以上のときの熱曝露前後の導電率の変化量と、硬さの変化量との関係を示す曲線を曲線Bで示している。

0033

例えば、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化量がΔE1であり、硬さの変化量がΔH1である場合には、曲線Aに対応しているので、熱曝露温度が250℃未満であると判定され、異常高温曝露が生じていないと判断される。一方、析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露前後の導電率の変化量がΔE2であり、硬さの変化量がΔH2である場合には、曲線Bに対応しているので、熱曝露温度が250℃以上であると判定されて、異常高温曝露が検出される。このようにして、析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露を検出することができる。

0034

また、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化量と、硬さの変化量との関係から、析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露を検出することから、析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露時間を考慮する必要がないので、熱曝露時間が不明な場合でも異常高温曝露を検出することが可能となる。

0035

なお、熱曝露前後の導電率の変化量及び硬さの変化量に基づいて異常高温曝露を検出することにより、熱曝露前(未曝露)のときの析出硬化型アルミニウム合金部材の調質状態や加工状態等が異なる場合でも、同じマスター曲線を用いて異常高温曝露を検出することができる。より詳細には、同一組成の析出硬化型アルミニウム合金で形成されており、熱処理条件加工条件が異なる析出硬化型アルミニウム合金部材の場合でも、熱曝露前後の導電率の変化量及び硬さの変化量に基づいて検出することから、熱曝露前の影響を除くことができる。これにより、調質状態や加工状態等が異なる析出硬化型アルミニウム合金部材の場合でも、同じマスター曲線を用いて異常高温曝露を検出することが可能となる。

0036

次に、析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露検出装置について説明する。図4は、析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露検出装置10の構成を示すブロック図である。析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露検出装置10は、導電率測定手段12と、硬さ測定手段14と、制御手段16と、出力手段18と、を備えている。

0037

導電率測定手段12は、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率を測定する機能を有している。導電率測定手段12は、渦電流式導電率測定装置等で構成されている。

0038

硬さ測定手段14は、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の硬さを測定する機能を有している。硬さ測定手段14は、ビッカース硬さ試験機、ロックウエル硬さ試験機ブリネル硬さ試験機ヌープ硬さ試験機、超音波硬度計等で構成されている。

0039

制御手段16は、異常高温曝露検出手段20と、記憶手段22と、を有している。制御手段16は、例えば、一般的なパーソナルコンピュータ等で構成されている。

0040

異常高温曝露検出手段20は、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化量と、硬さの変化量との関係と、予め求めておいた前記析出硬化型アルミニウム合金部材と同一組成で既知の熱曝露を受けた析出硬化型アルミニウム合金における熱曝露前後の導電率の変化量と、硬さの変化量との関係と、を比較して、析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度が250℃未満か否かを判定することにより異常高温曝露を検出する機能を有している。

0041

記憶手段22は、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化量及び硬さの変化量、予め求めておいた析出硬化型アルミニウム合金部材と同一組成で既知の熱曝露を受けた析出硬化型アルミニウム合金における熱曝露前後の導電率の変化量及び硬さの変化量、導電率の変化量及び硬さの変化量の関係を示すマスター曲線等のデータを記憶する機能を有している。

0042

出力手段18は、析出硬化型アルミニウム合金部材の熱曝露温度が250℃未満か否かを出力する機能を有している。出力手段18は、ディスプレイプリンタ等で構成されている。

0043

以上、上記構成によれば、析出硬化型アルミニウム合金部材における熱曝露前後の導電率の変化量及び硬さの変化量の関係から、析出硬化型アルミニウム合金部材の異常高温曝露を検出することにより、析出硬化型アルミニウム合金部材から直接情報を得て検出しているので、異常高温曝露をより精度よく検出することが可能となる。

0044

過給機等に用いられるコンプレッサインペラにおいて、異常高温曝露を検出する場合について説明する。コンプレッサインペラは、Al−Cu−Mg系合金である2618合金(調質状態T6:溶体化処理後の人工時効処理)で形成されている。コンプレッサインペラの使用環境温度は、250℃未満である。まず、コンプレッサインペラの異常高温曝露を検出するためのマスター曲線の作成について説明する。

0045

マスター曲線用供試体には、コンプレッサインペラと同一組成の2618合金材(調質状態T6)を、120℃から350℃(120℃、140℃、160℃、180℃、200℃、250℃、300℃、350℃)の各熱曝露温度で最長10000時間まで各々熱曝露したものと、未曝露のものと、を使用した。

0046

マスター曲線用供試体について、室温で、熱曝露前後の導電率を測定した。導電率測定は、渦電流式導電率測定法で行った。測定装置には、GE社製シグマテスタautoSigma3000(渦電流式)を用いた。

0047

マスター曲線用供試体について、室温で、熱曝露前後の硬さ測定を行った。硬さ測定は、マイクロビッカース硬さ測定法により行った。硬さ測定用サンプルについては、マスター曲線用供試体から小片(長さ10mm×幅5mm×厚み3mmt)を切り出して樹脂埋めし、耐水研磨紙(エメリー紙)で#2000番まで研磨して用意した。硬さ試験機には、明石製作所製 AKASHI MVK−Hardness Testerを用いた。試験条件は、荷重1kgf、負荷時間15sとした。

0048

熱曝露前後の導電率の変化量と、硬さの変化量との関係を示すマスター曲線を作成した。図5は、マスター曲線を示すグラフである。図5のグラフでは、横軸に硬さの変化量を取り、縦軸に導電率の変化量を取り、熱曝露温度が250℃未満の場合の熱曝露前後の導電率の変化量と、硬さの変化量との関係を示す曲線を実線で表し、熱曝露温度が250℃以上の場合の熱曝露前後の導電率の変化量と、硬さの変化量との関係を示す曲線を破線で表している。

0049

熱曝露温度が250℃未満の場合の曲線と、熱曝露温度が250℃以上の場合の曲線とは、異なる曲線となり、2つの曲線に区分できることを見出した。このように、熱曝露温度が250℃未満の場合と、熱曝露温度が250℃以上の場合とは、熱曝露前後の導電率の変化量と、硬さの変化量との関係を示す曲線が異なることが明らかとなった。

0050

次に、250℃未満の使用環境下で熱曝露されたコンプレッサインペラの異常高温曝露を検出する方法について説明する。まず、コンプレッサインペラにおける熱曝露前後の導電率を、渦電流式導電率測定法で測定する。そして、コンプレッサインペラにおける熱曝露前後の導電率の変化量を算出する。コンプレッサインペラにおける熱曝露前後の硬さを、マイクロビッカース硬さ試験法で測定する。そして、コンプレッサインペラにおける熱曝露前後の硬さの変化量を算出する。

実施例

0051

予め求めておいたマスター曲線用供試体における熱曝露前後の導電率の変化量及び硬さの変化量との関係を示すデータとして、図5に示すマスター曲線を用いることにより、コンプレッサインペラの異常高温曝露を検出する。例えば、コンプレッサインペラにおける熱曝露前後の導電率の変化量が3.0(%IACS)で、硬さの変化量ΔHVが−10である場合には、図5の実線で示した曲線に対応する。これにより、コンプレッサインペラの熱曝露温度は250℃未満であると判定されて、異常高温曝露が生じていないと判断される。また、例えば、コンプレッサインペラにおける熱曝露前後の導電率の変化量が5.0(%IACS)で、硬さの変化量ΔHVが−50である場合には、図5の破線で示した曲線に対応する。これにより、コンプレッサインペラの熱曝露温度は250℃以上であると判定されて、異常高温曝露が検出される。

0052

10 異常高温曝露検出装置
12導電率測定手段
14 硬さ測定手段
16 制御手段
18 出力手段
20 異常高温曝露検出手段
22 記憶手段

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