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図面 (8)

課題

吸気管圧力センサが無い若しくは故障した場合でも、エンジン自動停止再始動における気筒内圧力を適正に制御して、再始動性を確保することのできるエンジンの制御装置を提供する。

解決手段

エンジンの制御装置は、自動停止判定手段によって自動停止条件成立と判定されている場合において、吸気管圧力推定手段によって推定された吸気管の圧力に基づいて、空気量調整手段により吸入空気量を調整する。

概要

背景

従来、アイドリング中のエネルギー消費削減とCO2排出量削減を目的として、運転者が車両を停止させた際に燃料カット気筒内への燃料噴射停止)によるエンジン自動停止を行い、運転者がアクセル操作等で車両を運転しようとした際に、例えばスタータによってエンジンをクランキングして再始動を行うアイドルストップ機能を搭載した車両が知られている。

近年では、このアイドルストップ機能を、車両の停止時のみならず、低車速領域で運転者がブレーキを踏んだ場合にエンジンの自動停止を行うコーストストップ機能や、高車速領域で運転者がトルクを必要としない場合(例えばアクセルオフ且つブレーキオフの状態が所定時間以上継続した時)にエンジンとクラッチ切り離し、エンジンの自動停止を行うセーリングストップ機能拡張することが提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。

上述したアイドルストップ機能において、運転者の発進操作(例えばアクセル操作やハンドル操作)が行われてエンジンの再始動要求が発生したときは、高い再始動性が求められている。ここでいう再始動性とは、再始動要求が発生してからエンジンが自律運転状態に入るまでに要する時間である。特に前述のセーリングストップ機能における再始動時は、車両が走行中であり、再始動性が100msの単位で求められる。

このようなエンジンの再始動は、自動停止要求により燃料カットが行われた直後のエンジン回転数が比較的高い領域においては、燃料噴射再開による燃焼(燃焼リカバ)によって行われる一方、燃焼による再始動が不可能であるエンジン回転数が低い領域またはエンジン静定(完全停止)後の領域においては、スタータのクランキングによって行われる。いずれの場合においても、再始動時には、前述した高い再始動性を確保するために燃焼を速やかに行えるだけの十分な空気が必要とされる。すなわち、自動停止中に再始動性を確保するためには、気筒内圧力が高いことが求められる。

一方、自動停止要求により燃料カットが行われた後の、エンジン停止直前の特に圧縮工程においては、気筒内の圧力にエンジンの惰性回転力が押し負けて、エンジンが逆回転する「揺り戻し」と呼ばれる現象が発生することが知られている。この揺り戻し発生時に再始動要求が発生した場合、スタータ耐久性保護の観点から、逆回転したエンジンにスタータを噛み込ませられない(具体的には、スタータの噛み込みを自動的に停止している)ため、揺り戻しが収束するまで再始動が遅れるという課題があった。

また、自動停止要求により燃料カットが行われた後の、エンジン回転数が低い領域(例えば200rpm以下)において、飛び込み式のスタータによるクランキングを行う場合、気筒内圧力が高いと惰性回転しているエンジンの回転変動が大きくなり、スタータとの回転の同期に失敗して再始動が遅れるという課題があった。

上述した課題を解決するためには、エンジンの自動停止中に吸気用スロットルバルブを閉じて、気筒内圧力を低下させることが有効であるが、一方で、スロットルバルブを閉じると再始動時の燃焼に必要な空気が不足し、再始動性が悪化するという二律背反の課題がある。

そこで、特許文献2では、エンジン自動停止が判定された後に、フィルタした吸気管圧力がエンジンの再始動に必要な所定の圧力以下である場合は、吸気管に設けられたスロットルバルブを所定の開度まで開き、吸気管圧力が再始動に必要な所定の圧力に達した後にその圧力を維持するようにスロットル開度を所定の開度まで閉じる技術が提案されている。

概要

吸気管圧力センサが無い若しくは故障した場合でも、エンジンの自動停止と再始動における気筒内圧力を適正に制御して、再始動性を確保することのできるエンジンの制御装置を提供する。エンジンの制御装置は、自動停止判定手段によって自動停止条件成立と判定されている場合において、吸気管圧力推定手段によって推定された吸気管の圧力に基づいて、空気量調整手段により吸入空気量を調整する。

目的

本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、吸気管圧力センサが無い若しくは故障した場合でも、エンジンの自動停止と再始動における気筒内圧力を適正に制御して、再始動性を確保することのできるエンジンの制御装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

エンジン気筒内への燃料噴射を停止すべく、予め設定された自動停止条件成立/非成立を判定する自動停止判定手段と、予め設定された再始動条件の成立/非成立を判定する再始動判定手段と、前記気筒内へ吸入される吸入空気量を調整する空気量調整手段と、前記エンジンの運転状態に基づいて前記気筒に繋がる吸気管内の圧力を推定する吸気管圧力推定手段とを備え、前記自動停止判定手段によって自動停止条件が成立と判定されている場合において、前記吸気管圧力推定手段によって推定された前記吸気管の圧力に基づいて、前記空気量調整手段により前記吸入空気量を調整することを特徴とするエンジンの制御装置

請求項2

前記吸気管圧力推定手段によって推定された前記吸気管の圧力が予め決められた第1の圧力より大きいと判定された場合は、前記空気量調整手段により前記吸入空気量を小さくし、前記吸気管圧力推定手段によって推定された前記吸気管の圧力が予め決められた第2の圧力より小さいと判定された場合は、前記空気量調整手段により前記吸入空気量を大きくすることを特徴とする、請求項1に記載のエンジンの制御装置。

請求項3

前記自動停止判定手段によって自動停止条件が成立と判定された後に、前記再始動判定手段によって再始動条件が成立と判定された場合、または、完全停止判定手段によって前記エンジンが完全停止状態と判定された場合は、前記吸気管圧力推定手段によって推定される前記吸気管の圧力が前記エンジンの再始動に必要な所定の圧力以上になるように、前記空気量調整手段により前記吸入空気量を大きくすることを特徴とする、請求項1に記載のエンジンの制御装置。

請求項4

前記自動停止判定手段によって自動停止条件が成立と判定された後に、前記エンジンが惰性回転中であって、前記エンジンの回転数が所定の回転数以下であると判定された場合は、前記吸気管圧力推定手段によって推定される前記吸気管の圧力が前記エンジンの再始動に必要な所定の圧力以上になるように、前記空気量調整手段により前記吸入空気量を大きくすることを特徴とする、請求項1に記載のエンジンの制御装置。

請求項5

前記吸気管圧力推定手段は、前記吸入空気量と、前記エンジンの回転数と、ガス定数と、前記エンジンの排気量と、エンジン領域で決まる非線形吸気効率とから、前記吸気管内の圧力を推定することを特徴とする、請求項1に記載のエンジンの制御装置。

技術分野

0001

本発明は、エンジン制御装置係り、特に、エンジンの自動停止再始動における吸入空気量を制御するエンジンの制御装置に関する。

背景技術

0002

従来、アイドリング中のエネルギー消費削減とCO2排出量削減を目的として、運転者が車両を停止させた際に燃料カット気筒内への燃料噴射停止)によるエンジンの自動停止を行い、運転者がアクセル操作等で車両を運転しようとした際に、例えばスタータによってエンジンをクランキングして再始動を行うアイドルストップ機能を搭載した車両が知られている。

0003

近年では、このアイドルストップ機能を、車両の停止時のみならず、低車速領域で運転者がブレーキを踏んだ場合にエンジンの自動停止を行うコーストストップ機能や、高車速領域で運転者がトルクを必要としない場合(例えばアクセルオフ且つブレーキオフの状態が所定時間以上継続した時)にエンジンとクラッチ切り離し、エンジンの自動停止を行うセーリングストップ機能拡張することが提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。

0004

上述したアイドルストップ機能において、運転者の発進操作(例えばアクセル操作やハンドル操作)が行われてエンジンの再始動要求が発生したときは、高い再始動性が求められている。ここでいう再始動性とは、再始動要求が発生してからエンジンが自律運転状態に入るまでに要する時間である。特に前述のセーリングストップ機能における再始動時は、車両が走行中であり、再始動性が100msの単位で求められる。

0005

このようなエンジンの再始動は、自動停止要求により燃料カットが行われた直後のエンジン回転数が比較的高い領域においては、燃料噴射再開による燃焼(燃焼リカバ)によって行われる一方、燃焼による再始動が不可能であるエンジン回転数が低い領域またはエンジン静定(完全停止)後の領域においては、スタータのクランキングによって行われる。いずれの場合においても、再始動時には、前述した高い再始動性を確保するために燃焼を速やかに行えるだけの十分な空気が必要とされる。すなわち、自動停止中に再始動性を確保するためには、気筒内圧力が高いことが求められる。

0006

一方、自動停止要求により燃料カットが行われた後の、エンジン停止直前の特に圧縮工程においては、気筒内の圧力にエンジンの惰性回転力が押し負けて、エンジンが逆回転する「揺り戻し」と呼ばれる現象が発生することが知られている。この揺り戻し発生時に再始動要求が発生した場合、スタータ耐久性保護の観点から、逆回転したエンジンにスタータを噛み込ませられない(具体的には、スタータの噛み込みを自動的に停止している)ため、揺り戻しが収束するまで再始動が遅れるという課題があった。

0007

また、自動停止要求により燃料カットが行われた後の、エンジン回転数が低い領域(例えば200rpm以下)において、飛び込み式のスタータによるクランキングを行う場合、気筒内圧力が高いと惰性回転しているエンジンの回転変動が大きくなり、スタータとの回転の同期に失敗して再始動が遅れるという課題があった。

0008

上述した課題を解決するためには、エンジンの自動停止中に吸気用スロットルバルブを閉じて、気筒内圧力を低下させることが有効であるが、一方で、スロットルバルブを閉じると再始動時の燃焼に必要な空気が不足し、再始動性が悪化するという二律背反の課題がある。

0009

そこで、特許文献2では、エンジン自動停止が判定された後に、フィルタした吸気管圧力がエンジンの再始動に必要な所定の圧力以下である場合は、吸気管に設けられたスロットルバルブを所定の開度まで開き、吸気管圧力が再始動に必要な所定の圧力に達した後にその圧力を維持するようにスロットル開度を所定の開度まで閉じる技術が提案されている。

先行技術

0010

特開2006−200370号公報
特開2012−225289号公報

発明が解決しようとする課題

0011

しかしながら、上記特許文献2に所載の従来技術では、吸気管圧力センサが必要であり、吸気管圧力センサが無い若しくは故障した場合に制御できなくなる。また、特許文献2に所載の従来技術の主たる目的は、エンジン回転速度の変動を抑制して再始動性を確保可能な吸気管圧力を維持することであり、前述した揺り戻しが発生する状況は考慮されていない。

0012

本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、吸気管圧力センサが無い若しくは故障した場合でも、エンジンの自動停止と再始動における気筒内圧力を適正に制御して、再始動性を確保することのできるエンジンの制御装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0013

前記課題を解決するために、本発明に係るエンジンの制御装置は、エンジンの気筒内への燃料噴射を停止すべく、予め設定された自動停止条件成立/非成立を判定する自動停止判定手段と、予め設定された再始動条件の成立/非成立を判定する再始動判定手段と、前記気筒内へ吸入される吸入空気量を調整する空気量調整手段と、前記エンジンの運転状態に基づいて前記気筒に繋がる吸気管内の圧力を推定する吸気管圧力推定手段とを備え、前記自動停止判定手段によって自動停止条件が成立と判定されている場合において、前記吸気管圧力推定手段によって推定された前記吸気管の圧力に基づいて、前記空気量調整手段により前記吸入空気量を調整することを特徴としている。

発明の効果

0014

本発明によれば、吸気管圧力センサを持たない若しくは吸気管圧力センサが故障した車両において、エンジンが自動停止してから完全停止するまでの間に、吸気管圧力推定手段によってエンジンの運転状態から推定された吸気管の圧力に基づき、空気量調整手段によって再始動可能な吸気管圧力(及び、気筒内圧力)を維持できるとともに、エンジンの逆転(揺り戻し)が発生する可能性を未然に低減することができるので、再始動性を確保することが可能となる。

0015

上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。

図面の簡単な説明

0016

本発明に係るエンジンの制御装置が搭載されたエンジンの全体構成の一例を示す全体構成図。
本発明に係るエンジンの制御装置の内部構成の一例を示す内部構成図。
本発明に係るエンジンの制御装置の制御ブロック構成の一例を示すブロック構成図。
エンジンの吸気系の物理モデルの一例を示す図。
図3に示す吸気管圧力推定手段において吸気管圧力を求める演算処理の一例を説明する図。
本発明に係るエンジンの制御装置の、エンジン自動停止中または再始動中のスロットル開度を求める処理フローの一例を説明するフローチャート
本発明に係るエンジンの制御装置が搭載されたエンジンの運転状態の一例を時系列で示すタイムチャート

実施例

0017

以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。

0018

図1は、本発明に係るエンジンの制御装置(ECU:Engine Control Unit)が搭載されたエンジン100の制御システムにおける全体構成の一例を示したものである。

0019

本制御システムには、エンジン100の運転・停止のメインスイッチであるイグニッションスイッチ116が備えられている。気筒125に繋がる(気筒125内に空気を送り込むための)吸気管104の最上流には、エアクリーナ(図示しない)が備えられており、エアクリーナの下流には、吸入空気量計測手段としてのエアフローセンサ吸入空気量センサともいう)101が備えられている。このエアフローセンサ101によってその下流のスロットルバルブ102を通過する空気(吸気)量が計測される。スロットルバルブ102は、スロットルバルブ駆動モータ221(図2参照)によって開度が操作され、スロットルバルブ開度を検出するスロットルバルブ開度センサ122が一体化されている。また、スロットルバルブ102をバイパスして吸気管104へ接続された流路流路面積を制御するアイドルスピードコントロールバルブ103が備えられており、ECU119からの指令値に従って、スロットルバルブ102、アイドルスピードコントロールバルブ103の操作を行い、吸気管104から気筒125へ吸入される吸入空気量を制御している。なお、エアフローセンサ101には、吸気の温度を計測する吸気温センサ123が一体化されている。

0020

さらに、エンジン100には、ECU119からの噴射指令パルスに基づいて燃料噴射する燃料噴射装置インジェクタともいう)105と、ECU119からの点火信号に基づいて点火エネルギーを供給する点火モジュール107が備えられている。カム106で吸気バルブ114を開くことで、吸気管104から気筒125内(燃焼室115)へ取り入れた空気と前記燃料噴射装置105から噴射される燃料とを混合した混合空気に、点火モジュール107で点火することで、気筒125内(燃焼室115)に爆発を起こし、車両の駆動力として、クランクシャフト120へトルクを出力している。

0021

この爆発(燃焼)後の排気ガスは、排気バルブ108から排気管111を通り、三元触媒等の触媒(図示しない)で排気ガス中の有害ガスを除去した後、車外排気される。この際、排気管111に取り付けられた酸素濃度センサ110によって、排気ガスの空燃比又はリッチ側/リーン側を検出している。

0022

また、エンジン100には、冷却水温を検出するエンジン水温センサ109が備えられるとともに、クランクシャフト120の回転数(エンジン回転数)を検出するクランク角度センサ112と、クランクシャフト120の逆転を検出するための逆転検知クランク角度センサ113と、カム106の角度を検出するカム角度センサ121が備えられている。ECU119は、クランク角度センサ112と逆転検知クランク角度センサ113の出力信号からエンジン100が逆転したことを判定し、クランク角度センサ112とカム角度センサ121の出力信号から現在の気筒位置を判定する。

0023

さらにまた、エンジン100には、運転者の動作要求を判定するアクセルペダルセンサアクセル開度センサともいう)117と、運転者からの停止要求を判定するブレーキペダルセンサブレーキスイッチともいう)118と、車速を検出する車速センサ124が備えられており、ECU119は、これらの操作量等に従い、エンジン100を制御するようになっている。

0024

図2は、本発明に係るエンジンの制御装置(ECU)の内部構成の一例を示したものである。

0025

ECU119は、基本的に、CPU(中央演算処理装置)201とドライバ225から構成されており、CPU201の内部には、エンジンに設置された各センサの電気的信号デジタル演算処理用の制御信号に変換、および、デジタル演算用の制御信号を実際のアクチュエータ駆動信号に変換するI/O(Input/Output)部202が設定されている。I/O部202には、吸気温センサ123、エンジン水温センサ109、クランク角度センサ112、カム角度センサ121、酸素濃度センサ110、エアフローセンサ101、スロットルバルブ開度センサ122、アクセル開度センサ117、イグニッションスイッチ116、車速センサ124、ブレーキスイッチ118、逆転検知クランク角度センサ113等から得られる電気的信号が入力されている。CPU201からの出力信号(駆動信号)は、ドライバ225を介して、燃料噴射装置(ここでは、3気筒分の燃料噴射装置)105a〜105c、点火モジュール(ここでは、3気筒分の点火モジュール)107a〜107c、スロットルバルブ102を駆動するスロットルバルブ駆動モータ221へ送られるとともに、電池リレースイッチ222を介して始動装置駆動ソレノイド223および始動装置駆動モータ224へ送られる。

0026

図3は、本発明に係るエンジンの制御装置(ECU)の制御ブロック構成の一例を示したものである。

0027

ブロック301(エンジン自動停止判定手段)では、イグニッションスイッチ116の出力、ブレーキスイッチ118の出力、アクセル開度センサ117の出力(アクセル開度)、車速センサ124の出力(車速)、後述のブロック303で判定されるエンジン再始動要求判定値、後述のブロック304で判定されるクラッチ遮断要求判定値から、燃料カット(気筒内への燃料噴射停止)によるエンジン自動停止(エンジン自動停止条件の成立/非成立)を判定する。ブロック302(システム再始動要求判定手段)では、システム再始動要求を判定する。本ブロック302では、エンジン自動停止中において、車両システム部品や機能に対して性能低下や異常検知が発生した場合、エアコン作動の要求が発生した場合、発電の要求が発生した場合、外界認識情報に基づいて車両前方物体との衝突回避のために車両の減速度増加要求が発生した場合、のうち少なくとも一つを含む、運転者のアクセル操作以外でのエンジン始動が必要であるか否かを判定する。ブロック303(エンジン再始動判定手段)では、アクセル開度センサ117の出力(アクセル開度)、後述のブロック305で判定されるエンジンの逆転判定値、ブロック306(エンジン回転数演算手段)でクランク角度センサ112の出力から演算したエンジン回転数、ブロック301で判定されるエンジン自動停止判定値、ブロック302で判定されるシステム再始動要求判定値から、エンジン再始動要求(エンジン再始動条件の成立/非成立)を判定する。ブロック304(クラッチ遮断要求判定手段)では、ブロック301で判定されるエンジン自動停止判定値、ブロック303で判定されるエンジン再始動要求判定値、車速センサ124の出力(車速)、ブロック306で演算したエンジン回転数、変速機側からのクラッチ遮断許可判定値から、クラッチ遮断要求を判定する。本ブロック304では、エンジン100と車輪との間のクラッチを遮断させて車両を惰性走行させる要求があるか否かを判定し、その判定結果をクラッチ遮断要求判定値として変速機側の制御装置(ユニット)に送信する。変速機側のユニットでは、本判定結果を含めたエンジン側の情報(エンジン回転数、車速、スロットルバルブ開度等)や変速機側の情報に基づいて、最適な変速比制御を実施する。

0028

ブロック305(逆転検知判定手段)では、逆転検知クランク角度センサ113の出力、クランク角度センサ112の出力の位相より、エンジン100の逆転判定値を出力する。ブロック307(エンジン完全停止判定手段)では、クランク角度センサ112の出力、またはブロック306で演算したエンジン回転数から、エンジン100の完全停止を判定する。

0029

なお、上述のブロック301〜307における処理内容は、従来知られたものとほぼ同様であるので、ここでは、その詳細説明割愛する(例えば、特許文献2を併せて参照)。

0030

一方、ブロック308(吸気管圧力推定手段)では、エアフローセンサ101の出力、吸気温センサ123の出力、スロットルバルブ開度センサ122の出力、エンジン水温センサ109の出力、ブロック306で演算したエンジン回転数から、吸気管圧力推定値を出力する(後で詳述)。ブロック309(空気量調整手段であるスロットル開度演算手段)では、ブロック301で判定されるエンジン自動停止判定値、ブロック303で判定されるエンジン再始動要求判定値、ブロック305で判定される逆転判定値、ブロック307で判定されるエンジン完全停止判定値、ブロック306で演算したエンジン回転数、ブロック308で演算した吸気管圧力推定値から、後述するスロットル開度演算ロジックによって、エンジン自動停止中または再始動中のスロットル開度を演算し、演算したスロットル開度に基づいて、スロットルバルブ102を駆動して開度を操作するスロットルバルブ駆動モータ221を制御する。

0031

上記したブロック308(吸気管圧力推定手段)による吸気管圧力推定値(絶対圧)の演算方法を詳説する。

0032

図4は、エンジンの吸気系の物理モデルの一例を示したものである。

0033

本吸気系の吸気管404の入り口には、エアフローセンサ401が設定されており、スロットルバルブ403の開閉操作によって変動する、エンジン(の気筒内)に吸入される空気量(吸入空気量)QA00402を検出する。シリンダ流入空気量QAR406は、前記吸気管404内の圧力(吸気管圧力)PMMHG405、エンジン回転数、エンジン排気量吸気温度、及びエンジン領域で決まる非線形吸気効率で決まる。

0034

図5は、図3に示す吸気管圧力推定手段(ブロック308)において吸気管圧力を求める演算処理の一例を説明したものである。

0035

ブロック501は、吸気管圧力PMMHGを計算(推定)するブロックである。ブロック501では、エンジンに吸入される空気量QA00、吸気温度THA前回計算されたシリンダ流入空気量QAR、及び前回計算された吸気管圧力PMMHGを用いて、今回の吸気管圧力PMMHGを計算する。ブロック502では、エンジン回転数Ne及び前記吸気管圧力PMMHGから、非線形要素である吸気効率ηをマップ検索して求める。吸気効率ηは、前記吸気管圧力PMMHGに基づいて求めるシリンダ流入空気量QARの理論値からのズレ補正するものである。また、ブロック503では、前記ブロック502で求めた吸気効率η、前記ブロック501で求めた吸気管圧力PMMHG、吸気温度THA、及びエンジン回転数Neから、シリンダ流入空気量QARを計算する。このシリンダ流入空気量QARは、基本燃料等を計算するために用い、吸気管圧力PMMHGの推定に用いる。なお、エンジン100に吸気温センサが設定されていない場合は、吸気温度THAを所定の値(例えば27℃)に固定して計算しても、誤差は問題にならない程度である。

0036

以下の数1は、前述の図5における吸気管圧力PMMHG及びシリンダ流入空気量QARを求める理論式を示している。

0037

(数1)

0038

上記数1の(1)は、連続域での理論式を示しており、吸気管(スロットルバルブ−吸気バルブ間)への微小時間での空気の流入/流出が吸気管内の圧力勾配となることを示している。数1の(2)は、数1の(1)の式を離散化したものであり、本式を実行することで、吸気管圧力PMMHGを求める。数1の(3)は、前記数1の(2)で求められた吸気管圧力PMMHGからシリンダ流入空気量QARを求める式を表しており、基本は理想気体の状態方程式であるが、吸気バルブの開く状況及び排気バルブの開く状況に応じて理論値から外れるため、非線形要素として吸気効率η、及び吸気効率補正係数VVTCRGを乗じている。また、前述したように吸気温度THAは所定の値に固定しておいてもよい。

0039

このような演算により、吸気管圧力センサを持たない若しくは吸気管圧力センサが故障した車両においても、ブロック308(吸気管圧力推定手段)で、エンジン100の運転状態、具体的には、吸入空気量QA00と、エンジン回転数Neと、ガス定数Rと、エンジン排気量KSVと、エンジン領域で決まる非線形な吸気効率ηとから、吸気管圧力(絶対圧)PMMHGを計算(推定)できるとともに、ブロック309(スロットル開度演算手段)で、スロットルバルブ駆動モータ221を制御するためのスロットル開度を算出するためのシリンダ流入空気量QARを計算できる。

0040

図6は、本発明に係るエンジンの制御装置(ECU)の、エンジン自動停止中または再始動中のスロットル開度演算の処理フローの一例を説明したものである。本処理フローでは、主に、エンジン100の自動停止中におけるスロットルバルブ102の開度(値)を演算する。

0041

テップS601では、再始動判定が成立しているか否かを判定する(エンジン再始動判定手段303)。再始動判定が不成立と判定された場合は、ステップS602へ進む。ステップS602では、エンジン完全停止判定が成立しているか否かを判定する(エンジン完全停止判定手段307)。エンジン完全停止判定が不成立と判定された場合は、後述するステップS603へ進む。前述のステップS601で再始動判定が成立と判定された場合、及び、ステップS602でエンジン完全停止判定が成立と判定された場合は、ステップS611に進み、スロットルバルブ102のスロットル開度をK1とする(スロットル開度演算手段309)。ここで、K1の値はほぼ全開に近い値とすると良い。これは、再始動判定が成立と判定された場合やエンジン完全停止判定が成立と判定された場合は、揺り戻し低減を考慮する必要がなく、始動性を良くするために、できるだけ多くの空気量を確保する(具体的には、上記数1で計算した推定吸気管圧力PMMHGがエンジン100の再始動に必要な所定の圧力以上になるようにする)ためである。

0042

ステップS603では、自動停止判定が成立しているか否かを判定する(エンジン自動停止判定手段301)。自動停止判定が成立していると判定された場合は、後述するステップS604へ進む。自動停止判定が不成立と判定された場合は、自動停止中または再始動中でないと判定し、ステップS608に進み、自動停止中または再始動中におけるスロットル開度をクリアする(スロットル開度演算手段309)。

0043

ステップS604では、燃料カットの自動停止中のエンジン惰性回転中において、エンジン回転数が0近傍か否かを、エンジン回転数Neが所定のエンジン回転数NE2より下回っているか否かで判定する。NeがNE2を下回っていないと判定された場合は、後述するステップS605へ進む。NeがNE2を下回った(NE2より小さい)と判定された場合は、ステップS611に進み、スロットル開度をK1に設定する(スロットル開度演算手段309)。これは、エンジン回転数Neが低い領域(0に近い領域)では、揺り戻しの恐れが少なく、エンジン静定(完全停止)後の再始動性を良くするためである。この時、スロットルバルブ102を開いてからの空気マニフォールド圧力の変化によって、気筒125に空気が流入するまでに遅れが発生するが、短い時間であれば気筒125内の空気量(揺り戻し発生)に与える影響が少ない。また、揺り戻しが発生したとしても、揺り戻し発生中はマニフォールド内が負圧であるため、空気が排気バルブ108側から吸気バルブ114側へ流れる。この時にスロットルバルブ102を開くと、マニフォールドの負圧が解消されるため、揺り戻しの大きさ(期間)に影響を与えない。上記を鑑みて、NE2は、エンジン回転数が0回転よりやや高い値に設定してもよい。

0044

ステップS605では、上記数1で計算した推定吸気管圧力PMMHGを用いて、吸気管圧力PMMHGが所定圧BT1より大きいか否かを判定する。吸気管圧力PMMHGがBT1以下と判定された場合は、後述するステップS606へ進む。吸気管圧力PMMHGがBT1より大きいと判定された場合は、ステップS609に進み、スロットル開度をK3に小さく設定する(スロットル開度演算手段309)。BT1は、自動停止中に再始動要求があった場合に必要な空気量を確保可能な吸気管圧力(例えば-75mmHg)とするとよく、これは、揺り戻しを低減することと、再始動性を良くすることを目的として、エンジン惰性回転中の必要最低限の吸気管圧力にマージンをのせた値とすると良い。このように、推定吸気管圧力PMMHGを使用することで、吸気管圧力センサを用いずに吸入空気量を調整することが可能となる。ここで、K3の値は、スロットルバルブ102の全閉開度相当とすることで、エンジン回転(数)の変動を少なくし、エンジンが逆転すること(揺り戻し)を未然に防止できる。

0045

ステップS606では、推定吸気管圧力PMMHGが所定圧BT2(<BT1)より小さいか否かを判定する。吸気管圧力PMMHGがBT2以上と判定された場合は、後述するステップS607に進む。吸気管圧力PMMHGがBT2より小さいと判定された場合は、ステップS610に進み、スロットル開度をK2(K1<K2<K3)に大きく設定する(スロットル開度演算手段309)。BT2は、自動停止中に再始動要求があった場合に必要最低限の吸気管圧力(例えば-80mmHg)とするとよい。ここで、K2の値は、エンジン100の回転変動が大きくならない開度に設定することで、急なエンジン回転(数)の変動を抑えつつ、必要な空気量を確保できる。

0046

ステップS607(つまり、自動停止中のエンジン惰性回転中において、Ne≧NE2、かつ、BT1≧PMMHG≧BT2)では、スロットル開度の前回値がK2か否かを判定する。スロットル開度の前回値がK2であった場合は、ステップS610に進み、スロットル開度を再びK2とする(スロットル開度演算手段309)。スロットル開度の前回値がK2でない場合は、揺り戻しを低減するとともに、再始動性を確保するために、ステップS609に進み、スロットル開度をK3とする(スロットル開度演算手段309)。

0047

このような図6に示す処理を実行することによって、吸気管圧力センサを持たない若しくは吸気管圧力センサが故障した車両において、エンジン100が自動停止してから完全停止するまでの間に、吸気管圧力推定手段308によってエンジン100の運転状態から推定された吸気管104の圧力PMMHGに基づき、スロットル操作を制御するスロットル開度演算手段309によって再始動可能な吸気管圧力(及び、気筒内圧力)を維持できるとともに、エンジン100の逆転(揺り戻し)が発生する可能性を未然に低減することができるので、再始動性を確保することが可能となる。

0048

図7は、本発明に係るエンジンの制御装置(ECU)が搭載されたエンジンの運転状態の一例を示したものである。図中、実線が、本発明を適用したもの、点線が、本発明を適用しないものを示している。

0049

本発明を適用しないもの(点線)では、時間t1においてエンジンの自動停止判定フラグ706が成立して燃料噴射を停止する前後で、スロットル開度705をアイドル開度で一定にしている。燃料噴射を停止した後に一定の空気量を吸入することで、吸気管圧力703は次第に大きくなり、気筒内の空気量が大きくなるため、エンジン回転数701の回転変動が大きくなる。そして、エンジンの惰性回転力が気筒内の空気圧力に押し負けて、遂には逆転することになる。

0050

一方、本発明を適用したもの(実線)では、時間t1においてエンジンの自動停止判定フラグ706が成立した後、(吸気管圧力PMMHGがBT1より大きいので)時間t2にかけてスロットル開度704をK3(アイドル開度より小)まで閉じ、時間t2において、吸気管圧力PMMHGがBT2(<BT1)より小さい場合は、スロットル開度704をK2(アイドル開度より大)まで開く。時刻t3において、吸気管圧力PMMHGがBT1を上回ったと判定された後は、エンジン完全停止までの再始動時に必要最低限の空気(量)が確保できたと判定し、スロットル開度704を再びK3まで閉じる。これにより、エンジン回転数700の変動を小さくするとともに、エンジンが逆転する可能性を排除する。次に、時間t4において、エンジン回転数700がNE2を下回ったと判定された時点で、逆転(揺り戻し)に影響はないと判断し、スロットル開度704をK1まで開く。これにより、エンジン静定後の再始動要求時の空気量を早く確保する。時間t4の処理は、時間t5において、エンジン完全停止判定フラグ707が成立した後に行っても良い。よって、本発明を適用しない場合のエンジン回転数701と比べて、本発明を適用した場合のエンジン回転数700では、逆転(揺り戻し)が抑えられ、かつ、燃焼に必要な空気量を迅速に確保できる。

0051

なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形形態が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。

0052

また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラム解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスクSSD(Solid State Drive)等の記憶装置、または、ICカードSDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。

0053

また、制御線情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。

0054

100エンジン
101エアフローセンサ
102スロットルバルブ
104吸気管
105燃料噴射装置
107点火モジュール
108排気バルブ
111排気管
112クランク角度センサ
113逆転検知クランク角度センサ
114吸気バルブ
115燃焼室
116イグニッションスイッチ
117アクセルペダルセンサ
118ブレーキペダルセンサ
119 ECU(Engine Control Unit)(エンジンの制御装置)
120クランクシャフト
125気筒
301エンジン自動停止判定手段
302システム再始動要求判定手段
303エンジン再始動判定手段
304クラッチ遮断要求判定手段
305 逆転検知判定手段
306エンジン回転数演算手段
307 エンジン完全停止判定手段
308吸気管圧力推定手段
309スロットル開度演算手段(空気量調整手段)

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