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技術 鉄製ワークの脱炭処理方法

出願人 高周波熱錬株式会社
発明者 細木真保田中嘉昌深沢剣吾三阪佳孝川嵜一博
出願日 2016年5月25日 (5年5ヶ月経過) 出願番号 2016-104034
公開日 2017年11月30日 (3年10ヶ月経過) 公開番号 2017-210648
状態 特許登録済
技術分野 熱処理 拡散による非金属の除去、鋳鉄の熱処理
主要キーワード 冷却対象部位 鋳鉄部材 局所位置 完成部品 炭素濃度分布 局所冷却 浸炭処理材 部分加熱
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年11月30日)のものです。
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図面 (3)

課題

製造コスト及び処理コストの増大を抑制しながらも、鉄製ワーク表面における所望箇所脱炭量を安定して制御可能な鉄製ワークの脱炭処理方法の提供を目的とする。

解決手段

鉄製ワークの表面の脱炭処理方法であって、当該鉄製ワークを水が50質量%以上含まれる脱炭水溶液中に浸漬した状態で、当該鉄製ワークの脱炭対象部位の表面を1000℃以上に高周波誘導加熱して脱炭することを特徴とする鉄製ワークの脱炭処理方法を採用する。

概要

背景

従来より、鉄製ワークに脱炭処理を施すことにより、当該鉄製ワークの溶接箇所の硬さを低くして他部品との接合性の向上を図る試み等がなされている。これらの試みに対し、従来より鉄製ワークに施す脱炭処理の方法は、鉄製ワークを加熱した際、酸素が当該鉄製ワークの中に侵入することで起こる酸化反応により炭素量が減少する現象を利用したものである。

例えば、特許文献1には、鋳鉄部材溶接性を向上させるための脱炭熱処理方法が開示されている。特許文献1に開示の鋳鉄部材の脱炭熱処理方法は、白心可鍛鋳鉄鋳物を、鋳造により製造された白銑鋳物素材砂鉄スケールなどの固体脱炭剤の中に埋めて、あるいはCO2を主体としたCO2、CO、H2O混合ガスなどの酸化性ガス雰囲気中において、1000〜1100℃前後の温度で60〜100h加熱し脱炭し、その後500〜600℃まで徐冷した後、放冷することを特徴としたものである。

概要

製造コスト及び処理コストの増大を抑制しながらも、鉄製ワーク表面における所望箇所の脱炭量を安定して制御可能な鉄製ワークの脱炭処理方法の提供を目的とする。鉄製ワークの表面の脱炭処理方法であって、当該鉄製ワークを水が50質量%以上含まれる脱炭水溶液中に浸漬した状態で、当該鉄製ワークの脱炭対象部位の表面を1000℃以上に高周波誘導加熱して脱炭することを特徴とする鉄製ワークの脱炭処理方法を採用する。

目的

以上のことから、本件発明は、製造コスト及び処理コストの増大を抑制しながらも、鉄製ワーク表面における所望箇所の脱炭量を安定して制御可能な鉄製ワークの脱炭処理方法の提供を目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

鉄製ワークの表面の脱炭処理方法であって、当該鉄製ワークを水が50質量%以上含まれる脱炭水溶液中に浸漬した状態で、当該鉄製ワークの脱炭対象部位の表面を高周波誘導加熱して脱炭することを特徴とする鉄製ワークの脱炭処理方法。

請求項2

前記高周波誘導加熱の温度が900℃以上である請求項1に記載の鉄製ワークの脱炭処理方法。

請求項3

前記脱炭水溶液がアルコールを含有する請求項1又は請求項2に記載の鉄製ワークの脱炭処理方法。

請求項4

前記脱炭水溶液が水のみからなる請求項1又は請求項2に記載の鉄製ワークの脱炭処理方法。

請求項5

前記脱炭水溶液中において、前記鉄製ワークを回転させる請求項1〜請求項4のいずれかに記載の鉄製ワークの脱炭処理方法。

請求項6

前記脱炭水溶液を攪拌する請求項1〜請求項5のいずれかに記載の鉄製ワークの脱炭処理方法。

請求項7

前記脱炭水溶液の温度を10℃〜50℃に保持する請求項1〜請求項6のいずれかに記載の鉄製ワークの脱炭処理方法。

請求項8

前記鉄製ワークの脱炭対象部位近傍に位置する脱炭非対象部位の表面を局所冷却する請求項1〜請求項7のいずれかに記載の鉄製ワークの脱炭処理方法。

請求項9

高周波誘導加熱終了後の前記鉄製ワークを大気中で放冷する請求項1〜請求項8のいずれかに記載の鉄製ワークの脱炭処理方法。

技術分野

0001

本件発明は、鉄製ワークの脱炭処理方法に関する。

背景技術

0002

従来より、鉄製ワークに脱炭処理を施すことにより、当該鉄製ワークの溶接箇所の硬さを低くして他部品との接合性の向上を図る試み等がなされている。これらの試みに対し、従来より鉄製ワークに施す脱炭処理の方法は、鉄製ワークを加熱した際、酸素が当該鉄製ワークの中に侵入することで起こる酸化反応により炭素量が減少する現象を利用したものである。

0003

例えば、特許文献1には、鋳鉄部材溶接性を向上させるための脱炭熱処理方法が開示されている。特許文献1に開示の鋳鉄部材の脱炭熱処理方法は、白心可鍛鋳鉄鋳物を、鋳造により製造された白銑鋳物素材砂鉄スケールなどの固体脱炭剤の中に埋めて、あるいはCO2を主体としたCO2、CO、H2O混合ガスなどの酸化性ガス雰囲気中において、1000〜1100℃前後の温度で60〜100h加熱し脱炭し、その後500〜600℃まで徐冷した後、放冷することを特徴としたものである。

先行技術

0004

特開2000−45019号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、特許文献1に開示の熱処理炉を含めた従来の熱処理炉においては、鉄製ワーク全体を脱炭することになり、当該鉄製ワークを部分的に脱炭することが出来ないという不都合があった。また、特許文献1に開示の技術では、処理時間に多くの時間を要し製造コストの増大を招くという問題があった。そして、特許文献1に開示の技術では、流動層熱処理炉という特殊な設備の導入が必要となる等の理由から、汎用性に欠けるという問題があった。更に、特許文献1に開示の脱炭熱処理方法においては、流動ガスの管理が煩雑であり、ひいては品質管理が煩雑となり、鉄製ワーク表面の脱炭量を安定して制御することが困難であった。

0006

以上のことから、本件発明は、製造コスト及び処理コストの増大を抑制しながらも、鉄製ワーク表面における所望箇所の脱炭量を安定して制御可能な鉄製ワークの脱炭処理方法の提供を目的とする。

課題を解決するための手段

0007

そこで、本件発明者等は、鋭意研究を行った結果、以下の方法を採用することで、上記目的を達成するに到った。

0008

本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法は、鉄製ワークの表面の脱炭処理方法であって、当該鉄製ワークを水が50質量%以上含まれる脱炭水溶液中に浸漬した状態で、当該鉄製ワークの脱炭対象部位の表面を高周波誘導加熱して脱炭することを特徴とする。

0009

また、本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法は、前記高周波誘導加熱の温度が900℃以上であることが好ましい。

0010

また、本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法において、前記脱炭水溶液がアルコールを含有することが好ましい。

0011

また、本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法において、前記脱炭水溶液は水のみからなることも好ましい。

0012

また、本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法は、前記脱炭水溶液中において、前記鉄製ワークを回転させることが好ましい。

0013

また、本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法は、前記脱炭水溶液を攪拌することが好ましい。

0014

また、本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法は、前記脱炭水溶液の温度を10℃〜50℃に保持することが好ましい。

0015

また、本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法は、前記鉄製ワークの脱炭対象部位近傍に位置する脱炭非対象部位の表面を局所冷却することが好ましい。

0016

また、本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法は、高周波誘導加熱終了後の前記鉄製ワークを大気中で放冷することも好ましい。

発明の効果

0017

本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法は、脱炭水溶液中での高周波誘導加熱によって行われるものであるため、脱炭させたい部位のみに当該鉄製ワークの脱炭処理を行うことが可能となる。これによって、脱炭対象部位以外では、不要な炭素量の低下、硬度の低下、組織変化が生じることはない。また、本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法では、高周波誘導加熱を採用することで、脱炭処理を簡易且つ短時間で行え、多大な設備投資を行うことなく脱炭処理することが可能であるため、製造コスト及び処理コストの増大を抑制することが出来る。

図面の簡単な説明

0018

本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法で使用する脱炭処理装置の概略断面図の一例を示す。
浸炭処理材と当該浸炭処理材を脱炭処理した脱炭処理材との表面から深さ方向の炭素濃度分布を示したグラフである。

0019

以下、本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法の一実施形態について説明する。

0020

本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法は、鉄製ワークの表面の脱炭処理方法であって、当該鉄製ワークを水が50質量%以上含まれる脱炭水溶液中に浸漬した状態で、当該鉄製ワークの脱炭対象部位の表面を高周波誘導加熱して脱炭することを特徴としている。

0021

本件発明の鉄製ワークは、その材質に関して特段の限定はなく、鋼製鋳鉄製のワークを用いることが出来る。また、この鉄製ワークの形状やサイズに関しても、特段の限定は無く、円筒形状、ロッド形状、角柱形状等の種々の形状のワークを対象とすることが出来る。

0022

また、本件発明における脱炭水溶液は、水が50質量%以上含まれることで、この脱炭水溶液中にて高周波誘導加熱された鋼材では、水を主体とした脱炭反応を生じる。下記式[化1]は、脱炭水溶液として水のみを用いた場合の脱炭反応式を示す。本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法では、水が気化して生じた水蒸気と炭素とが反応して、一酸化炭素となって脱炭が進行する。

0023

0024

ここで、本件発明における脱炭水溶液が含有する水に関しては、特に限定されるものではなく、水道水地下水蒸留水等を用いることが出来る。また、本件発明における脱炭水溶液は、鉄製ワークに脱炭処理を施したときに、当該鉄製ワークの表面で生じる気泡を小さく且つ均一として当該鉄製ワーク表面の均一加熱を促進する、沸点が低く比熱の小さい水溶性物質を含んでも良い。その結果、本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法によれば、当該鉄製ワークの表面における脱炭量の均一化を安定的に図ることが可能となる。

0025

特に、本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法において、上述した水溶性物質はアルコールであることが好ましい。本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法は、アルコールを含有した脱炭水溶液を用いることで、鉄製ワークの表面で沸騰時に生じる気泡を安定的に小さくすることが出来る。また、アルコールは、水と比較して比熱が小さいため、当該気泡の移動や蒸気膜の一時的な破れによって脱炭水溶液が鉄製ワークに直接接触しても当該鉄製ワークの温度低下が抑えられ、再度気泡が発生し易くなる効果がある。よって、本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法では、鉄製ワークを均一に加熱することができ、上記式[化1]に示す脱炭反応の進行が促進され、鉄製ワークの脱炭対象表面を効率良く脱炭することが出来る。ただし、脱炭水溶液のアルコール濃度が50質量%を超えると、生じた浸炭性ガスのCOにより浸炭反応の進行が優先され、脱炭処理が進行し難くなる。よって、本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法では、脱炭水溶液に含ませるアルコールは、50質量%以下である必要がある。

0026

上述したように、本件発明における脱炭水溶液は、50質量%以下のアルコールを含有させることで、鉄製ワークを均一に加熱して脱炭量の均一化を図ることが可能であるが、鉄製ワークの脱炭対象表面をより効率的に脱炭する上では、15質量%以下のアルコールを含有させることがより好ましい。

0027

なお、ここで言う「アルコール」は、炭化水素基水酸基とが結合した構造を備えるものであり、メタノール(CH3−OH)、エタノール(CH3−CH2−OH)、プロパノール(CH3−(CH2)2−OH)等様々な種類が挙げられる。

0028

以上に、本件発明における脱炭水溶液にアルコール成分を含めたときの利点を述べたが、本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法は、脱炭水溶液に含める水溶性物質としてアルコールを用いる場合にはメタノールを用いることがより好ましい。メタノールは、市場において、安価で、且つ、入手が容易である。また、メタノールは、人体に与える影響も少なく、廃棄の際の環境負荷も抑制することが出来る。

0029

また、本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法においては、脱炭水溶液が水のみからなることも好ましい。本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法では、アルコール濃度がゼロである、水のみからなる脱炭水溶液を用いることで、脱炭水溶液としての取り扱いが簡易となることが期待でき、工業的なメリットも高くなる。

0030

本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法では、鉄製ワークの脱炭対象部位の表面を高周波誘導加熱により急速加熱する。ここで、高周波誘導加熱は、公知の急速加熱手段であり、脱炭処理を行う所定温度まで、鉄製ワークの表面を秒単位の短時間で昇温することが可能である。そして、本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法において、高周波誘導加熱を採用した場合、鉄製ワークの表面を加熱するための加熱コイル電源出力の変更により、昇温速度、加熱時間、加熱温度等の諸条件を任意に調節することが容易となり、生成する脱炭層炭素濃度をより適切に制御することが可能となる。なお、昇温速度、加熱時間、加熱温度等の高周波誘導加熱の諸条件は、製品に求められる仕様(脱炭層の硬度、脱炭深さ、脱炭部位の炭素濃度、脱炭材としての物性等)を考慮して、任意に設定可能であり、特段の限定は無い。

0031

さらに、高周波誘導加熱によれば、部分加熱することも可能であるため、鉄製ワークの局所位置の脱炭処理を行うことが出来る。よって、本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法では、高周波誘導加熱を採用して、浸炭焼入部品と他部品との接合において接合部のみの局所脱炭を行うことで、脱炭が必要な部品のみ脱炭を行った後に他部品と接合して完成部品とすることが出来る。その結果、本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法によれば、脱炭処理部品の小型化が図られ、安価に部品等を製造することが可能となる。

0032

また、本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法では、鉄製ワークの脱炭対象表面を900℃以上に加熱することで、脱炭現象が起こり易くなって脱炭処理時間を短縮させることが可能となり、製造コストの低減化を図る上で好ましい。ただし、鉄製ワークの脱炭対象表面の加熱温度が高くなり過ぎると、鉄製ワークの溶損が生じるため、加熱温度の上限は加熱される鉄製ワークの溶損温度以下とする。

0033

そして、本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法では、脱炭水溶液中において、鉄製ワークを回転させることが好ましい。本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法は、鉄製ワークの形状に応じて、当該鉄製ワークの回転の有無を適宜選択することが出来る。しかし本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法では、鉄製ワークが円柱形状に挙げられるような回転体である場合に脱炭水溶液中で当該鉄製ワークを回転させることで、当該鉄製ワークを脱炭処理する際に効果的に均一に高温加熱、脱炭させることが可能となる。また、アルコール等の水溶性物質を含む脱炭水溶液を用いた場合には、更に鉄製ワーク表面の均一加熱を促進させることが出来る。ここで、鉄製ワークを回転させる方法としては、特に限定されず、例えば鉄製ワークを保持した保持手段を駆動源によって回転させる方法を採用することが出来る。

0034

また、本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法では、脱炭水溶液を攪拌することも好ましい。本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法は、脱炭水溶液を攪拌することで、当該鉄製ワークを脱炭処理する際に効果的に均一に高温加熱、脱炭させることが可能となる。また、アルコール等の水溶性物質を含む脱炭水溶液を用いた場合には、更に鉄製ワーク表面の均一加熱を促進させることが出来る。ここで、脱炭水溶液を攪拌する方法としては、特に限定されず、例えば脱炭水溶液中に攪拌翼を配設し、これを回転させて液の流れをつくり出す方法等を採用することが出来る。

0035

そして、本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法では、脱炭水溶液の温度を10℃〜50℃に保持することが好ましい。本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法では、脱炭水溶液の沸騰温度を一定にする等の理由により、脱炭水溶液の温度が10℃〜50℃に保持されるよう温度管理することが好ましい。本件発明における脱炭水溶液中には、加熱処理によって高温となった鉄製ワークが浸漬した状態で配置されるため、脱炭処理を連続的に行えば、当該脱炭水溶液の全体的温度も上昇し、脱炭処理に変動をもたらす要因となる。そのため、脱炭水溶液の液温を一定に保つことは、鉄製ワークを均一加熱する観点から重要である。また、脱炭水溶液が高温にならないように10℃〜50℃に保つことは、脱炭水溶液中に鉄製ワークと共に浸漬されている高周波誘導加熱コイル寿命を高める点でも好ましい。ここで、上述した効果を得るに際し、より好ましい脱炭水溶液の保持温度は、20℃〜40℃である。

0036

さらに、本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法では、鉄製ワークの脱炭対象部位近傍に位置する脱炭非対象部位の表面を局所冷却することが好ましい。本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法は、適宜脱炭水溶液中にて鉄製ワークの脱炭対象表面以外の硬度を維持したい箇所を必要に応じて局所的に冷却することで、鉄製ワークの脱炭箇所以外に熱影響が及ばないようにして、製品の品質を向上させることが出来る。ここで、鉄製ワークの脱炭非対象部位の表面を局所冷却する方法としては、特に限定されず、例えば冷却対象部位へ冷却手段を用いて冷却した脱炭水溶液を噴射する方法を採用することが出来る。

0037

また、本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法では、高周波誘導加熱終了後の鉄製ワークを大気中で放冷することも好ましい。本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法では、高周波誘導加熱終了後の鉄製ワークの脱炭部位を焼入れせずに冷却することで、当該鉄製ワークの割れや変形の抑制を図ることが出来る。

0038

本件発明者は本件発明の効果を実証するための試験を行った。なお、本件発明の効果を確認するに際し、図1に示す脱炭処理装置を用いたが、本件発明はこれに限定されるものではない。

0039

図1には、本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法で使用する脱炭処理装置の概略断面図の一例を示す。以下に示す試験では、図1に示す構成の脱炭処理装置1を用いた。この脱炭処理装置1は、脱炭水溶液Sを収容する脱炭処理槽5と、脱炭処理槽5内において鉄製ワークWを保持する保持手段4と、鉄製ワークWの周囲に配置される加熱手段2と、鉄製ワークWの脱炭対象表面Wa以外の表面を局所的に冷却する冷却手段3と、脱炭水溶液を攪拌するための攪拌手段6とを備える。

0040

また、以下に示す各試験では、鉄製ワークWとして、クロムモリブデン鋼SCM420)製の円柱状のものを用いた。また、加熱手段2として、高周波誘導加熱コイルを用いた。また、鉄製ワークWは、モータ(不図示)により保持手段4を介して回転(図1中矢印方向)させると共に、冷却手段3により鉄製ワークWの脱炭対象表面Wa以外の部位を冷却しながら脱炭処理を行った。

0041

<浸炭された鉄製ワークに対するアルコールを含まない水中での高周波誘導加熱による脱炭処理例>
ここでは予め浸炭処理を行って得られたワーク(浸炭処理ワーク)に対して水を脱炭水溶液Sとして用いて加熱処理を行った。この場合の加熱温度は、1250℃〜1300℃とし、加熱処理時間を30s、60s、120sとした。その結果を図2に示す。

実施例

0042

図2は、浸炭処理材と当該浸炭処理材を脱炭処理した脱炭処理材との表面から深さ方向の炭素濃度分布を示したグラフである。図2より、脱炭処理前の浸炭処理材は試料表面からの距離が近いほど炭素濃度が高くなるのに対し、脱炭処理材は試料表面の炭素濃度が低下することが確認出来た。特に、脱炭処理材の加熱時間を120s程度に長くすることで、当該脱炭処理材の試料表面における炭素濃度低下が顕著となることが確認出来た。以上の結果より、水中に浸漬した状態で、鉄製ワークWの脱炭対象表面Waを900℃以上に加熱して脱炭することで、形成される脱炭層内の炭素濃度を効果的に低下させることが可能であることが分かる。

0043

本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法によれば、処理コストの増大を抑制しながらも、鉄製ワークの表面に形成する脱炭層の炭素濃度を均一且つ安定的に低下させることが出来る。従って、本件発明に係る鉄製ワークの脱炭処理方法によれば、用途に応じ求められる脱炭層を生成することができ、機械部品等様々な用途に適した製品を安価に提供することが出来る。

0044

1脱炭処理装置
2 加熱手段(高周波誘導加熱コイル)
3 冷却手段
4保持手段(鉄製ワーク用)
5脱炭処理槽
6攪拌手段
S脱炭水溶液
W 鉄製ワーク
Wa 脱炭対象表面

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