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技術 経口医薬組成物及び該組成物からなる粒子状製剤の製造方法

出願人 三生医薬株式会社
発明者 遠藤紀真平澤亙森淳深澤孝之
出願日 2016年5月24日 (3年10ヶ月経過) 出願番号 2016-103212
公開日 2017年11月30日 (2年3ヶ月経過) 公開番号 2017-210415
状態 特許登録済
技術分野 他の有機化合物及び無機化合物含有医薬 化合物または医薬の治療活性 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 医薬品製剤
主要キーワード 留意事項 二重ノズル 体内吸収量 治療薬物モニタリング 評価時間 後発医薬品 ヒューマンエラー 加熱熔融
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課題

用量調節が容易で服用性及び安全性に優れ、有効性や安全性等のプロファイル確立している標準製剤に対して、生物学的に同等で、しかも簡便に製造することが可能な経口医薬組成物を得る。

解決手段

(A)薬効成分0.1〜20質量部と、(B)疎水性液体1〜100質量部と、(C)水溶性高分子物質100質量部と、(D)賦形剤1〜300質量部とを含有し、かつ界面活性剤を含有せず、更に上記(A)薬効成分は上記(B)疎水性液体に含まれた状態であり、この(B)疎水性液体が、上記(C)水溶性高分子物質及び(D)賦形剤を含む組成物中に分散していることを特徴とする経口医薬組成物を提供する。

概要

背景

薬物療法においては、患者固体差食事内容の違いなどにより、薬物の吸収量の体内変動が大きくなる場合がある。また、治療上の薬効域が狭い薬物も多々存在する。これらの薬物においては、漠然とした画一的な薬物投与を続けると、薬物の吸収量の変動が原因で十分な治療効果を得るのが難しいことが知られている。これらの場合に、患者の症状に応じて投薬の用法や用量の設定をおこなうツールとして治療薬物モニタリング(Therapeutic Drug Monitoring, 以下「TDM」と略記する)が知られている。

TDMは、治療効果や副作用に関する因子モニタリングしながら、それぞれの患者に個別化した用法・用量を設定することである。TDMは、必ずしも全ての薬物に対して実施するものではなく、例えば・治療血中濃度範囲が狭く副作用発現域と近接している薬物、・体内動態に固体差が大きい薬物、・血中濃度と薬効・副作用の発現に強い相関がある薬物、・血中濃度依存的に生じる副作用が重篤である薬物、・服薬アドアランスを入念に確認する必要がある薬物などがTDMの対象とされる。

TDMをおこなうべき薬物の代表的なものとしては、ジギタリス製剤、テオフィリン製剤、不整脈用剤、抗てんかん剤抗生物質アミノ配糖体系グリコペプチド系、トリアゾール系など)、免疫抑制剤サリチル酸系製剤、メトトレキサートハロペリドール製剤、ブロムペリドール製剤、リチウム製剤、イマチニブエベロリムスが挙げられる(非特許文献1)。また、抗がん剤などの治療濃度域が狭く、薬理活性の高い、副作用が重篤になるおそれが高い薬物にも、それぞれの患者に個別化した用量調節が求められる。

これらの薬物において、それぞれの患者に個別化した用法・用量を設定するためには、調剤の際に市販製剤粉砕錠剤の場合)又は脱カプセル化硬カプセル剤の場合)し、必要に応じて乳糖などで賦形及び混和した後、服用量量し、自動分包機分包しているのが現状である。これらの作業は煩雑で生産性に劣り、薬物治療における効率性、適正性、迅速性、適時性などを低下させるばかりでなく、調剤作業者を高薬理活性成分曝露させてしまうおそれがあり、労働安全上の懸念もある。また、調剤時のヒューマンエラーが発生した場合は、薬物の溶出性や安定性が変化することによって、期待された有効性を発揮しなくなるおそれがあり、患者の医療上の利益を損なうことに繋がる場合もある(非特許文献2)。

更に、これらの薬物を服用する患者は、嚥下能力の低下、又は摂食嚥下障害を抱えている場合も多い。例えば、てんかんは、嚥下能力の低い小児及び高齢者有病率が高く、また精神活動の低下により摂食・嚥下障害を有しているとの報告がある。免疫抑制剤を服用する患者は、嚥下能力が低下している65以上の高齢者に多く、更に臓器移植手術前後の放射線療法により重度口腔内障害併発していることもあることから、摂食と嚥下に困難を抱えている場合がある。同様に抗がん剤治療は、主に薬物の副作用から口腔内乾燥、味覚障害食欲低下、嘔気嘔吐易感染症を引き起こす場合があり、摂食・嚥下障害を伴うことがある。このように、それぞれの患者に個別化した用法・用量を設定する必要のある薬物には、通常の薬物以上に服薬アドヒアランスへの適用性の向上が求められている(非特許文献3)。

一方、これらの薬物の中には難水溶性薬物も数多く含まれており、溶出性の改善に伴う生物学的利用能バイオアベイラビリティー)の向上が常に課題とされ、固体分散体SMDDS/SEDDS、塩形成、Co−crystal(共結晶)、メカノフュージョンシクロデキストリンによる包接などの製剤技術の応用による解決が試みられている。しかしながら、これらの製剤技術は、それぞれ課題や問題点を抱えているばかりか、溶出性の改善のために大量の賦形剤を用いる必要があることから製剤サイズの肥大化をもたらす場合が多いため、患者に大型の製剤を頻回服用することを強いる場合が多かった。結果として、服用を継続することが難しくなり、患者の医療上の利益を損なうことに繋がっている。

このように、個々の患者に個別化した用法・用量を設定する必要のある薬物においては、服薬アドヒアランス及び生物学的利用能の両立が常に望まれてきたにもかかわらず、この両立を達成した例が存在しないのが現状である。

服薬アドヒアランスや生物学的利用能を向上させるために利用された既存技術としては、下記の特許文献1〜8に例示されたシームレスカプセルによる製剤化が知られている。通常のシームレスカプセルは、二重ノズルを用いて、外側のノズルから水溶性皮膜液、内側のノズルから油性の内容液を、水性の皮膜液と相溶性のない冷却媒体中に同時に滴下し、界面張力を利用して製造される製剤である。特許文献1(特許第5788256号公報)では、水溶性薬物油性基剤に溶解して内容液としシームレスカプセルに製する方法が開示されている。難水溶性薬物の場合には、特許文献1と同様に油性基剤に溶解すると、特に分配係数logPが大きな正の値である薬物の場合は油性基剤にトラップされて溶出されなくなるため、体内吸収量が減って治療的効果を損なうおそれがある。

特許文献2(特許第5750278号公報)には、難水溶性薬物を親水性基剤に溶解させたのち、3層からなる多層のシームレスカプセルに製する方法が開示されているが、この方法では三重ノズルという特殊な設備が必要となり、また工程管理及び品質管理等が煩雑化するなど生産性の点に問題がある。また、特許文献3(特開2002−255793号公報)には、風味の強い水溶性成分をゼラチン水溶液中に溶解又は懸濁混合して粒子状に形成することで異味異臭マスキングする方法が開示されているが、これは薬物の溶出性を調節することを意図した方法ではない。

また、特許文献4(特許第5640079号公報)では、エマルジョン化した難水溶性薬物を固形ミニビーズ粒子状製剤)に成形することにより溶出性を調節する方法が開示されているが、溶出性向上のために親水性陰イオン性界面活性剤の使用を必須としている。一方、特許文献5(国際公開第2013/0354235号)では、界面活性剤を使用せずに、難水溶性薬物カンデサルタンシレキセチルを固形の粒子状製剤に成形する方法が開示されており、良好な溶出性が得られたことが記載されているが、本発明者らが追試したところによると、この溶出性は溶出試験液中に含まれるポリソルベート20(親水性非イオン性界面活性剤)の寄与によるもので、製剤の組成による寄与は小さいことが確認された。

ところで、高血圧症薬を含めた生活習慣病治療薬では多剤服用されていることが現実あり、医療従事者及び患者は配合剤による服用数量の低減を望んでいる。この観点からみると、特許文献2及び5では、高血圧症薬であるカンデサルタンシレキセチルをシームレスカプセル化して多数の粒状カプセルに分割することにより、用量調製が容易になり服用性も向上する旨が記載されているが、多数の粒状カプセルに分割することは上記の要望逆行することになる。

特許文献6(再表2008/081829号)では、固体分散体技術を利用して生物学的利用能を向上させる方法が開示されている。固体分散体技術は、薬物を非晶質にして担体中に分散させる手法であり、主な製造方法としては、噴霧乾燥法加熱熔融法などが挙げられる。しかし、これらの製造方法はいずれも、製造工程が煩雑になり、工数が増えてコストの上昇を招くほか、含量低下類縁物質の増加、経時的な溶出性の低下の懸念などが認められる。噴霧乾燥法で有機溶媒を使用した場合には、残留溶媒の懸念があり、また加熱熔融法では特殊な混練装置が必要になるなどの問題点が認められる。

上記特許文献4や特許文献7(特許第5567909号公報)、特許文献8(特許第5491724号公報)では、自己乳化技術を利用して生物学的利用能を向上させる方法が開示されており、ポリオキシル35ヒマシ油ポリソルベート80などのような比較的刺激性の強い界面活性剤が使用されている。更に、特許文献7では、標準製剤アステラス製薬株式会社「プログラフカプセル5mg」)と比較し極めて良好な溶出性が得られたことが記載されているが、これは『後発医薬品生物学的同等性試験ガイドライン』に定められた標準製剤の溶出性に準拠しないため、後発医薬品としてのレギュレーションを満たさず、実際に治療に供される製剤としての利用性は不明である。

概要

用量調節が容易で服用性及び安全性に優れ、有効性や安全性等のプロファイル確立している標準製剤に対して、生物学的に同等で、しかも簡便に製造することが可能な経口医薬組成物を得る。(A)薬効成分0.1〜20質量部と、(B)疎水性液体1〜100質量部と、(C)水溶性高分子物質100質量部と、(D)賦形剤1〜300質量部とを含有し、かつ界面活性剤を含有せず、更に上記(A)薬効成分は上記(B)疎水性液体に含まれた状態であり、この(B)疎水性液体が、上記(C)水溶性高分子物質及び(D)賦形剤を含む組成物中に分散していることを特徴とする経口医薬組成物を提供する。なし

目的

TDMは、治療効果や副作用に関する因子をモニタリングしながら、それぞれの患者に個別化した用法・用量を設定することである

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

(A)薬効成分0.1〜20質量部と、(B)疎水性液体1〜100質量部と、(C)水溶性高分子物質100質量部と、(D)賦形剤1〜300質量部とを含有し、かつ界面活性剤を含有せず、更に上記(A)薬効成分は上記(B)疎水性液体に含まれた状態であり、この(B)疎水性液体が、上記(C)水溶性高分子物質及び(D)賦形剤を含む組成物中に分散していることを特徴とする経口医薬組成物

請求項2

上記(A)の薬効成分が、治療薬物モニタリングTDM)対象の薬物又は抗がん剤である請求項1記載の経口医薬組成物。

請求項3

上記(A)の薬効成分が、ジゴキシンテオフィリンプロカインアミド、N−アセチルプロカインアミド、アプリンジンジソピラミドリドカインピルジカイニドプロパフェノンメキシレチンフレカイニドキニジンコハク酸シベンゾリンアミオダロンピルメノール、ベプリジル、フェノバルビタールニトラゼパムプリミドンジアゼパムフェニトインカルバマゼピンゾニサミドエトスクシミドアセタゾールアミドクロバザムバルプロ酸ナトリウムトリメタジオンクロナゼパムスルチアムガバペンチンレベチラセタムトピラマートラモトリギンゲンタマイシンアミカシントブラマイシンアルベカシンバンコマイシンテイコプラニンボリコナゾールシクロスポリンタクロリムスエベロリムスミコフェノール酸モフェチルサリチル酸メトトレキサートハロペリドールブロムペリドール炭酸リチウムイマチニブから選ばれる1種又は併用可能な2種以上のTDM対象薬物、又は、シクロフォアミドイホスファミドメルファランブスルファンチオテパニムスチンラニムスチンダカルバジンプロカルバジンテモゾロミドカルムスチンストレプトゾシンベンダムスチンシスプラチンカルボプラチンオキサリプラチンネダプラチン、フルオロウラシルシタラビンゲムシタビンイリノテカンノギカンドキソルビシンエトポシドビンブラスチンビンクリスチンビンデシンビノレルビンマイトマイシンC、ドキソルビシン、エピルビシンダウノルビシンブレオマイシンゲフィチニブエルロチニブ、アファニブダサチニブボスチニブ、バンデタニブスニチニブアキシチニブパゾパニブレンバチニブ、ラパチニブ、ニンテダニブ、ニロチニブクリゾチニブ、アレクチニブ、ルキソリチニブ、トファシチニブ、ソラフェニブ、ベムラフェニブ、ボルテゾミブシロリムステムシロリムスから選ばれる1種又は併用可能な2種以上の抗がん剤である請求項2記載の経口医薬組成物。

請求項4

請求項5

上記(C)の水溶性高分子物質が、ゼラチンカラギーナンキサンタンガムローカストビーンガム寒天から選択される1種又は2種以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の経口医薬組成物。

請求項6

上記(D)の賦形剤が、イソマルトエリスリトールキシリトールグリセリンソルビトールマルチトールマンニトールラクチトール還元パラチノース還元水アメ粉末還元麦芽糖水アメから選択される1種又は2種以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載の経口医薬組成物。

請求項7

請求項1〜6のいずれか1項に記載の経口医薬組成物からなる粉末状乃至粒状の粒子状製剤を製造する方法であり、水に上記(C)水溶性高分子物質100質量部と(D)賦形剤1〜300質量部とを溶解させて水溶性高分子水溶液を調製すると共に、上記(B)疎水性液体1〜100質量部に(A)薬効成分0.1〜20質量部を溶解又は分散させて薬効成分溶液を調整し、この薬効成分溶液を上記水溶性高分子水溶液に混合して、上記(A)薬効成分を含む上記(B)疎水性液体が該水溶性高分子水溶液中に分散した状態の混合水溶液を得、この混合水溶液を、該水溶液と相溶性のない冷却媒体中又は空気中に滴下噴霧又は吐出して粉末状乃至粒状の粒子状成形し、水分量が1〜20質量%となるように乾燥させることを特徴とする粒子状製剤の製造方法。

請求項8

上記経口医薬組成物の水溶液を、該水溶液と相溶性のない冷却媒体中に滴下して成形して、粒径0.5〜10mmの粒状に製する請求項7記載の粒子状製剤の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、用量調節が容易で服用性が高く、かつ溶出性が最適化された、特に治療濃度域の狭い薬物の製剤化に好適な経口医薬組成物、及びその粒子状製剤の製造方法に関する。

背景技術

0002

薬物療法においては、患者固体差食事内容の違いなどにより、薬物の吸収量の体内変動が大きくなる場合がある。また、治療上の薬効域が狭い薬物も多々存在する。これらの薬物においては、漠然とした画一的な薬物投与を続けると、薬物の吸収量の変動が原因で十分な治療効果を得るのが難しいことが知られている。これらの場合に、患者の症状に応じて投薬の用法や用量の設定をおこなうツールとして治療薬物モニタリング(Therapeutic Drug Monitoring, 以下「TDM」と略記する)が知られている。

0003

TDMは、治療効果や副作用に関する因子モニタリングしながら、それぞれの患者に個別化した用法・用量を設定することである。TDMは、必ずしも全ての薬物に対して実施するものではなく、例えば・治療血中濃度範囲が狭く副作用発現域と近接している薬物、・体内動態に固体差が大きい薬物、・血中濃度と薬効・副作用の発現に強い相関がある薬物、・血中濃度依存的に生じる副作用が重篤である薬物、・服薬アドアランスを入念に確認する必要がある薬物などがTDMの対象とされる。

0004

TDMをおこなうべき薬物の代表的なものとしては、ジギタリス製剤、テオフィリン製剤、不整脈用剤、抗てんかん剤抗生物質アミノ配糖体系グリコペプチド系、トリアゾール系など)、免疫抑制剤サリチル酸系製剤、メトトレキサートハロペリドール製剤、ブロムペリドール製剤、リチウム製剤、イマチニブエベロリムスが挙げられる(非特許文献1)。また、抗がん剤などの治療濃度域が狭く、薬理活性の高い、副作用が重篤になるおそれが高い薬物にも、それぞれの患者に個別化した用量調節が求められる。

0005

これらの薬物において、それぞれの患者に個別化した用法・用量を設定するためには、調剤の際に市販製剤粉砕錠剤の場合)又は脱カプセル化硬カプセル剤の場合)し、必要に応じて乳糖などで賦形及び混和した後、服用量量し、自動分包機分包しているのが現状である。これらの作業は煩雑で生産性に劣り、薬物治療における効率性、適正性、迅速性、適時性などを低下させるばかりでなく、調剤作業者を高薬理活性成分曝露させてしまうおそれがあり、労働安全上の懸念もある。また、調剤時のヒューマンエラーが発生した場合は、薬物の溶出性や安定性が変化することによって、期待された有効性を発揮しなくなるおそれがあり、患者の医療上の利益を損なうことに繋がる場合もある(非特許文献2)。

0006

更に、これらの薬物を服用する患者は、嚥下能力の低下、又は摂食嚥下障害を抱えている場合も多い。例えば、てんかんは、嚥下能力の低い小児及び高齢者有病率が高く、また精神活動の低下により摂食・嚥下障害を有しているとの報告がある。免疫抑制剤を服用する患者は、嚥下能力が低下している65以上の高齢者に多く、更に臓器移植手術前後の放射線療法により重度口腔内障害併発していることもあることから、摂食と嚥下に困難を抱えている場合がある。同様に抗がん剤治療は、主に薬物の副作用から口腔内乾燥、味覚障害食欲低下、嘔気嘔吐易感染症を引き起こす場合があり、摂食・嚥下障害を伴うことがある。このように、それぞれの患者に個別化した用法・用量を設定する必要のある薬物には、通常の薬物以上に服薬アドヒアランスへの適用性の向上が求められている(非特許文献3)。

0007

一方、これらの薬物の中には難水溶性薬物も数多く含まれており、溶出性の改善に伴う生物学的利用能バイオアベイラビリティー)の向上が常に課題とされ、固体分散体SMDDS/SEDDS、塩形成、Co−crystal(共結晶)、メカノフュージョンシクロデキストリンによる包接などの製剤技術の応用による解決が試みられている。しかしながら、これらの製剤技術は、それぞれ課題や問題点を抱えているばかりか、溶出性の改善のために大量の賦形剤を用いる必要があることから製剤サイズの肥大化をもたらす場合が多いため、患者に大型の製剤を頻回服用することを強いる場合が多かった。結果として、服用を継続することが難しくなり、患者の医療上の利益を損なうことに繋がっている。

0008

このように、個々の患者に個別化した用法・用量を設定する必要のある薬物においては、服薬アドヒアランス及び生物学的利用能の両立が常に望まれてきたにもかかわらず、この両立を達成した例が存在しないのが現状である。

0009

服薬アドヒアランスや生物学的利用能を向上させるために利用された既存技術としては、下記の特許文献1〜8に例示されたシームレスカプセルによる製剤化が知られている。通常のシームレスカプセルは、二重ノズルを用いて、外側のノズルから水溶性皮膜液、内側のノズルから油性の内容液を、水性の皮膜液と相溶性のない冷却媒体中に同時に滴下し、界面張力を利用して製造される製剤である。特許文献1(特許第5788256号公報)では、水溶性薬物油性基剤に溶解して内容液としシームレスカプセルに製する方法が開示されている。難水溶性薬物の場合には、特許文献1と同様に油性基剤に溶解すると、特に分配係数logPが大きな正の値である薬物の場合は油性基剤にトラップされて溶出されなくなるため、体内吸収量が減って治療的効果を損なうおそれがある。

0010

特許文献2(特許第5750278号公報)には、難水溶性薬物を親水性基剤に溶解させたのち、3層からなる多層のシームレスカプセルに製する方法が開示されているが、この方法では三重ノズルという特殊な設備が必要となり、また工程管理及び品質管理等が煩雑化するなど生産性の点に問題がある。また、特許文献3(特開2002−255793号公報)には、風味の強い水溶性成分をゼラチン水溶液中に溶解又は懸濁混合して粒子状に形成することで異味異臭マスキングする方法が開示されているが、これは薬物の溶出性を調節することを意図した方法ではない。

0011

また、特許文献4(特許第5640079号公報)では、エマルジョン化した難水溶性薬物を固形ミニビーズ(粒子状製剤)に成形することにより溶出性を調節する方法が開示されているが、溶出性向上のために親水性陰イオン性界面活性剤の使用を必須としている。一方、特許文献5(国際公開第2013/0354235号)では、界面活性剤を使用せずに、難水溶性薬物カンデサルタンシレキセチルを固形の粒子状製剤に成形する方法が開示されており、良好な溶出性が得られたことが記載されているが、本発明者らが追試したところによると、この溶出性は溶出試験液中に含まれるポリソルベート20(親水性非イオン性界面活性剤)の寄与によるもので、製剤の組成による寄与は小さいことが確認された。

0012

ところで、高血圧症薬を含めた生活習慣病治療薬では多剤服用されていることが現実あり、医療従事者及び患者は配合剤による服用数量の低減を望んでいる。この観点からみると、特許文献2及び5では、高血圧症薬であるカンデサルタンシレキセチルをシームレスカプセル化して多数の粒状カプセルに分割することにより、用量調製が容易になり服用性も向上する旨が記載されているが、多数の粒状カプセルに分割することは上記の要望逆行することになる。

0013

特許文献6(再表2008/081829号)では、固体分散体技術を利用して生物学的利用能を向上させる方法が開示されている。固体分散体技術は、薬物を非晶質にして担体中に分散させる手法であり、主な製造方法としては、噴霧乾燥法加熱熔融法などが挙げられる。しかし、これらの製造方法はいずれも、製造工程が煩雑になり、工数が増えてコストの上昇を招くほか、含量低下類縁物質の増加、経時的な溶出性の低下の懸念などが認められる。噴霧乾燥法で有機溶媒を使用した場合には、残留溶媒の懸念があり、また加熱熔融法では特殊な混練装置が必要になるなどの問題点が認められる。

0014

上記特許文献4や特許文献7(特許第5567909号公報)、特許文献8(特許第5491724号公報)では、自己乳化技術を利用して生物学的利用能を向上させる方法が開示されており、ポリオキシル35ヒマシ油ポリソルベート80などのような比較的刺激性の強い界面活性剤が使用されている。更に、特許文献7では、標準製剤アステラス製薬株式会社「プログラフカプセル5mg」)と比較し極めて良好な溶出性が得られたことが記載されているが、これは『後発医薬品生物学的同等性試験ガイドライン』に定められた標準製剤の溶出性に準拠しないため、後発医薬品としてのレギュレーションを満たさず、実際に治療に供される製剤としての利用性は不明である。

0015

特許第5788256号公報
特許第5750278号公報
特開2002−255793号公報
特許第5640079号公報
国際公開第2013/0354235号
再表2008/081829号
特許第5567909号公報
特許第5491724号公報

先行技術

0016

診療報酬算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知) 別添1(医科点数表)」平成24年3月5日保医発0305第1号
タクロリムス固体分散体製剤の効率的な0.1mg希釈調製方法確立」斉平ら薬剤学Vol.76(2016)
嚥下障害患者における薬剤投与」富田薬品株式会社 池川登紀子,あじさいVol.16(2007)

発明が解決しようとする課題

0017

本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、本発明は、用量調節が容易で服用性が高く、かつ界面活性剤を使用せずとも溶出性が最適化された、特に治療濃度域の狭い薬物の製剤化に好適な経口医薬組成物を提供することを目的とする。

0018

本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究をおこなった結果、TDM対象薬物や抗がん剤などの薬効成分を疎水性液体中に含まれた状態とし、この薬効成分を含む疎水性液体の液滴が水溶性高分子物質及び賦形剤を含む組成物中に分散した状態の経口医薬組成物とすることにより、該経口医薬組成物の水溶液を冷却媒体中又は空気中に滴下、噴霧又は吐出して成形する簡便な方法により、粉末状乃至粒状の粒子状製剤、特に用量調節が容易で服用性が高い粒径0.5〜10mmの粒状の粒子状製剤に容易に製することができ、しかも界面活性剤を用いることなく良好な溶出性を示して十分な生物学的利用能が得られることを見い出し、本発明を完成したものである。

0019

従って、本発明は、下記経口医薬組成物及び該組成物からなる粒子状製剤の製造方法を提供するものである。
請求項1:
(A)薬効成分0.1〜20質量部と、
(B)疎水性液体1〜100質量部と、
(C)水溶性高分子物質100質量部と、
(D)賦形剤1〜300質量部と
を含有し、かつ界面活性剤を含有せず、更に上記(A)薬効成分は上記(B)疎水性液体に含まれた状態であり、この(B)疎水性液体が、上記(C)水溶性高分子物質及び(D)賦形剤を含む組成物中に分散していることを特徴とする経口医薬組成物。
請求項2:
上記(A)の薬効成分が、治療薬物モニタリング(TDM)対象の薬物又は抗がん剤である請求項1記載の経口医薬組成物。
請求項3:
上記(A)の薬効成分が、ジゴキシン、テオフィリン、プロカインアミド、N−アセチルプロカインアミド、アプリンジンジソピラミドリドカインピルジカイニドプロパフェノンメキシレチンフレカイニドキニジンコハク酸シベンゾリンアミオダロンピルメノール、ベプリジル、フェノバルビタールニトラゼパムプリミドンジアゼパムフェニトインカルバマゼピンゾニサミドエトスクシミドアセタゾールアミドクロバザムバルプロ酸ナトリウムトリメタジオンクロナゼパムスルチアムガバペンチンレベチラセタムトピラマートラモトリギンゲンタマイシンアミカシントブラマイシンアルベカシンバンコマイシンテイコプラニンボリコナゾールシクロスポリンタクロリムス、エベロリムス、ミコフェノール酸モフェチル、サリチル酸、メトトレキサート、ハロペリドール、ブロムペリドール、炭酸リチウム、イマチニブから選ばれる1種又は併用可能な2種以上のTDM対象薬物、又は、シクロフォアミドイホスファミドメルファランブスルファンチオテパニムスチンラニムスチンダカルバジンプロカルバジンテモゾロミドカルムスチンストレプトゾシンベンダムスチンシスプラチンカルボプラチンオキサリプラチンネダプラチン、フルオロウラシルシタラビンゲムシタビンイリノテカンノギカンドキソルビシンエトポシドビンブラスチンビンクリスチンビンデシンビノレルビンマイトマイシンC、ドキソルビシン、エピルビシンダウノルビシンブレオマイシンゲフィチニブエルロチニブ、アファニブダサチニブボスチニブ、バンデタニブスニチニブアキシチニブパゾパニブレンバチニブ、ラパチニブ、ニンテダニブ、ニロチニブクリゾチニブ、アレクチニブ、ルキソリチニブ、トファシチニブ、ソラフェニブ、ベムラフェニブ、ボルテゾミブシロリムステムシロリムスから選ばれる1種又は併用可能な2種以上の抗がん剤である請求項2記載の経口医薬組成物。
請求項4:
上記(B)の疎水性液体が、モノカプリル酸プロピレングリコールジカプリル酸プロピレングリコールジカプリン酸プロピレングリコールモノラウリンプロピレングリコールモノオレイン酸プロピレングリコール安息香酸ベンジルオクチデシルトリグリセリドオレイン酸クエン酸トリエチルジメチルポリシロキサンシンナムアルデヒド中鎖モノジグリセリド中鎖脂肪酸トリグリセリドトリアセチンピペロニルブトキシドフタル酸ジエチルフタル酸ジブチルブチルフタリルブチルグリコレートミリスチン酸オクチルドデシル酪酸エチルから選択される1種又は2種以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の経口医薬組成物。
請求項5:
上記(C)の水溶性高分子物質が、ゼラチンカラギーナンキサンタンガムローカストビーンガム寒天から選択される1種又は2種以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の経口医薬組成物。
請求項6:
上記(D)の賦形剤が、イソマルトエリスリトールキシリトールグリセリンソルビトールマルチトールマンニトールラクチトール還元パラチノース還元水アメ粉末還元麦芽糖水アメから選択される1種又は2種以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載の経口医薬組成物。
請求項7:
請求項1〜6のいずれか1項に記載の経口医薬組成物からなる粉末状乃至粒状の粒子状製剤を製造する方法であり、
水に上記(C)水溶性高分子物質100質量部と(D)賦形剤1〜300質量部とを溶解させて水溶性高分子水溶液を調製すると共に、上記(B)疎水性液体1〜100質量部に(A)薬効成分0.1〜20質量部を溶解又は分散させて薬効成分溶液を調整し、
この薬効成分溶液を上記水溶性高分子水溶液に混合して、上記(A)薬効成分を含む上記(B)疎水性液体が該水溶性高分子水溶液中に分散した状態の混合水溶液を得、
この混合水溶液を、該水溶液と相溶性のない冷却媒体中又は空気中に滴下、噴霧又は吐出して粉末状乃至粒状の粒子状に成形し、水分量が1〜20質量%となるように乾燥させることを特徴とする粒子状製剤の製造方法。
請求項8:
上記経口医薬組成物の水溶液を、該水溶液と相溶性のない冷却媒体中に滴下して成形して、粒径0.5〜10mmの粒状に製する請求項7記載の粒子状製剤の製造方法。

発明の効果

0020

本発明によれば、用量調節が容易で服用性が高く、かつ溶出性が最適化された、特に治療濃度域の狭い薬物の製剤化に好適な経口医薬組成物を比較的簡便な方法により容易に得ることができる。また、服用する患者にとっては服薬アトヒアランスの向上が期待でき、また調剤現場にとっては調剤作業の簡略化や省略が期待できる。

図面の簡単な説明

0021

実施例8において調製した「混合液」示す顕微鏡写真である。
実施例11Aにおいて調製した「混合液」示す顕微鏡写真である。
比較例1Aにおいて調製した「混合液」示す顕微鏡写真である。
比較例7において調製した「混合液」示す顕微鏡写真である。
pH1.2の試験液による溶出試験の結果を示すグラフである。
pH5.0の試験液による溶出試験の結果を示すグラフである。
pH6.8の試験液による溶出試験の結果を示すグラフである。
水による溶出試験の結果を示すグラフである。

0022

以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の経口医薬組成物は、上記のとおり、(A)薬効成分0.1〜20質量部と、(B)疎水性液体5〜100質量部と、(C)水溶性高分子物質100質量部と、(D)賦形剤1〜300質量部とを含有し、かつ界面活性剤を含有しないものであり、上記(A)薬効成分を含む(B)疎水性液体が上記(C)水溶性高分子物質及び(D)賦形剤を含む組成物中に分散したものである。

0023

上記(A)薬効成分としては、特に制限は無く、経口投与可能な薬剤であればいずれのものを用いることができるが、特に上述した治療薬物モニタリング(TDM)対象の薬物や抗がん剤に対して好適に適用することができる。この場合、特に制限されるものではないが、TDM対象薬物としては、ジゴキシン、テオフィリン、プロカインアミド、N−アセチルプロカインアミド、アプリンジン、ジソピラミド、リドカイン、ピルジカイニド、プロパフェノン、メキシレチン、フレカイニド、キニジン、コハク酸シベンゾリン、アミオダロン、ピルメノール、ベプリジル、フェノバルビタール、ニトラゼパム、プリミドン、ジアゼパム、フェニトイン、カルバマゼピン、ゾニサミド、エトスクシミド、アセタゾールアミド、クロバザム、バルプロ酸ナトリウム、トリメタジオン、クロナゼパム、スルチアム、ガバペンチン、レベチラセタム、トピラマート、ラモトリギン、ゲンタマイシン、アミカシン、トブラマイシン、アルベカシン、バンコマイシン、テイコプラニン、ボリコナゾール、シクロスポリン、タクロリムス、エベロリムス、ミコフェノール酸モフェチル、サリチル酸、メトトレキサート、ハロペリドール、ブロムペリドール、炭酸リチウム、イマチニブなどが例示され、これらの1種又は併用可能な2種以上を用いることができる。

0024

また、抗がん剤としては、シクロフォスアミド、イホスファミド、メルファラン、ブスルファン、チオテパ、ニムスチン、ラニムスチン、ダカルバジン、プロカルバジン、テモゾロミド、カルムスチン、ストレプトゾシン、ベンダムスチン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、フルオロウラシル、シタラビン、ゲムシタビン、イリノテカン、ノギテカン、ドキソルビシン、エトポシド、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、マイトマイシンC、ドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、ブレオマイシン、ゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブ、ダサチニブ、ボスチニブ、バンデタニブ、スニチニブ、アキシチニブ、パゾパニブ、レンバチニブ、ラパチニブ、ニンテダニブ、ニロチニブ、クリゾチニブ、アレクチニブ、ルキソリチニブ、トファシチニブ、ソラフェニブ、ベムラフェニブ、ボルテゾミブ、シロリムス、テムシロリムスなどが例示され、これらの1種又は併用可能な2種以上を用いることができる。

0025

この(A)薬効成分の配合量は、上記とおり(C)水溶性高分子物質100質量部に対して、0.1〜20質量部であり、好ましくは0.5〜10質量部、より好ましくは1〜5質量部である。(A)薬効成分の配合量が0.1質量部未満であると、(A)薬効成分の種類にもよるが適量投与によって十分な治療効果を得ることが困難となって医薬品としての有用性に劣るものとなる。一方20質量部を超えると、(A)薬効成分の(B)疎水性液体に対する溶解度にもよるが、(B)疎水性液体の配合量が多くなり、組成物の成形性が低下して例えば粒子状の形態に成形することが困難になるなどの不都合を生じる場合がある。

0026

上記(B)疎水性液体は、上記(A)の薬効成分を良好に溶解又は分散することができる界面活性剤ではない疎水性液体であればよい。この場合、この(B)疎水性液体における「疎水性」とは、後述する(C)水溶性高分子物質及び(D)賦形剤を含む水系組成物に溶解することなく、(A)の薬効成分を含んだ液粒の状態で分散するものであればよい。より具体的には、例えば20℃で液体であり、かつ20℃における水への溶解度が10質量%以下のものであれば上記(B)の疎水性液体として用いることができる。この「疎水性」が不十分であると、上記(A)薬効成分を含んだ状態で組成物中に分散した状態を維持することが困難となり、(A)薬効成分の全部又は多くが結晶状態で組成物中に含まれた状態となって、本発明の目的を達成することができない。

0027

この(B)疎水性液体として具体的には、モノカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸プロピレングリコール、安息香酸ベンジル、オクチルデシルトリグリセリド、オレイン酸、クエン酸トリエチル、ジメチルポリシロキサン、シンナムアルデヒド、中鎖モノ・ジグリセリド、中鎖脂肪酸トリグリセリド、トリアセチン、ピペロニルブトキシド、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、ミリスチン酸オクチルドデシル、酪酸エチルなどを例示することができ、これらの1種又は2種以上を好適に使用することができる。

0028

この(B)疎水性液体の配合量は、上記とおり(C)水溶性高分子物質100質量部に対して、1〜100質量部であり、好ましくは1〜50質量部、より好ましくは10〜30質量部である。(B)疎水性液体の配合量が1質量部未満であると、上記(A)の薬効成分の配合量にもよるが該薬効成分をこの(B)疎水性液体中に良好に包含しておくことができず、該薬効成分の多くが直接組成物中に存在する状態となり、このような状態となると薬効成分の溶出性が低下することとなる。一方100質量部を超えると、上記のとおり組成物の成形性が低下して例えば粒子状の形態に成形することが困難になる。

0029

上記(C)水溶性高分子物質は、上記(D)賦形剤と共に本発明経口医薬組成物の基剤となるものであり、その役割を果たすことができるものであればよく、適宜選択して用いればよい。具体的には、特に制限されるものではないが、例えばゼラチン、カラギーナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、寒天などを例示することができ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。

0030

また、上記(D)賦形剤としては、公知の材料から適宜選択して用いることができ、特に制限されるものではないが、例えばイソマルト、エリスリトール、キシリトール、グリセリン、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、ラクチトール、還元パラチノース、還元水アメ、粉末還元麦芽糖水アメなどを例示することができ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。

0031

この(D)賦形剤の配合量は、上記(C)水溶性高分子物質100質量部に対して1〜300質量部、好ましくは50〜200質量部、より好ましくは100〜170質量部であり、この範囲で経口医薬組成物の形態や賦形剤の種類に応じて適宜設定すればよい。配合量が1質量部未満であると、成形性が低下して例えば粒子状に良好に成形することが困難になる、溶出性が低く(A)薬効成分の治療効果が十分に得られないおそれがあるなどの不都合を生じる場合がある。一方、300質量部を超えると組成物成形時の流動性が低下して、組成物の調製が困難になったり、成形法剤形によっては所望の形態に成形することが困難となる。

0032

本発明の経口医薬組成物は、例えば粉末状乃至粒状の粒子状製剤とする場合には、特に他の添加剤を必要とせず、通常上記(A)〜(D)の4成分と水とからなる粒子状製剤とされるが、剤形等に応じて、本発明の目的を逸脱しない範囲で公知の添加剤を配合してもよい。例えば、甘味料着色料保存料滑沢剤増粘剤、安定剤、酸化防止剤漂白剤香料酸味料調味料pH調整剤、その他の各種製造用剤などを適量配合することができる。

0033

ここで、本発明の経口医薬組成物においては、界面活性剤を含有しないことを特徴とする。この場合、本発明において「界面活性剤を含有しない」とは、
(1)界面活性作用を有する成分を経口医薬組成物に一切含有しない場合、並びに、
(2)界面活性作用を有する成分を経口医薬組成物に含有する場合であっても、その含有量が、(C)水溶性高分子物質及び(D)賦形剤を含む水系組成物における(B)疎水性液体の分散状態を有意に変化させる量に満たない場合をいう。

0034

上記(2)における「疎水性液体の分散状態を有意に変化させる量」とは、例えば、後述の方法により調製した混合水溶液中の(B)疎水性液体の液粒最大直径を顕微鏡で観察したときに、当該成分を添加しない場合に比較して(B)疎水性液体の液粒の最大直径を20%以上変化させる量を指す。すなわち、「界面活性剤を含有しない」とは、(B)疎水性液体の混合水溶液における分散状態を有意に変化させない量であれば、本発明の経口医薬組成物に界面活性作用を有する成分が含有されていることを許容するものである。つまり、本発明においては、界面活性作用を有する成分を含有していても実質的な界面活性作用を発揮するだけの含有量に満たない場合には、その成分は界面活性剤ではないとするものである。

0035

より具体的に説明すれば、これらに限られるものではないが、「医薬品添加物辞典2016(薬事日報社)」において用途に「界面活性剤」と記載のある医薬品添加物を界面活性剤として有効量添加した場合には、本発明における「界面活性剤」に該当する。例えば、カプリロカプロイルポリオキシグリセリドコレステロールショ糖脂肪酸エステルステアリルアルコールステアリン酸ポリオキシル40セタノールソルビタン脂肪酸エステルソルビタンセスキオレイン酸エステルトリオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリオキシル35ヒマシ油、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート80、マロゴール400、モノオレイン酸ソルビタンモノステアリン酸グリセリンモノラウリン酸ソルビタンラウリル硫酸ナトリウムラウロマクロゴールなどを有効量添加した場合である。

0036

本発明の経口医薬組成物は、上述のように、上記(A)薬効成分を含む(B)疎水性液体が上記(C)水溶性高分子物質及び(D)賦形剤を含む組成物中に分散した状態に調整されるものであり、その調製方法に制限はないが、例えば下記の方法により、粉末状乃至粒状の粒子状製剤とすることが好ましく、この方法によれば、用量調節が容易で服用性が高くTDM対象薬物や抗がん剤に好適な粒径0.5〜10mmの粒状の粒子状製剤を容易に製造することができる。

0037

即ち、まず、水に上記(C)水溶性高分子物質100質量部と(D)賦形剤1〜300質量部とを溶解した水溶性高分子水溶液を調製し、また上記(B)疎水性液体1〜100質量部に(A)薬効成分0.1〜20質量部を溶解又は分散させて薬効成分溶液を調整する。そして、この薬効成分溶液を上記水溶性高分子水溶液に混合して、上記(A)薬効成分を含む上記(B)疎水性液体が該水溶性高分子水溶液中に分散した状態の混合水溶液を得、この混合水溶液を、該水溶液と相溶性のない冷却媒体中又は空気中に滴下、噴霧又は吐出して粉末状乃至粒状の粒子状に成形し、水分量が1〜20質量%となるように乾燥させる方法により、上記本発明の経口医薬組成物からなる粉末状乃至粒状の粒子状製剤を得ることができる。

0038

この場合、上記混合水溶液を、該水溶液と相溶性のない冷却媒体中に滴下する成形法を採用することにより、粒径0.5〜10mm、好ましくは1〜5mm、より好ましくは2〜4mmの粒状に容易に製することができ、用量調節が容易で服用性が高くTDM対象薬物や抗がん剤に好適な粒子状製剤を容易に得ることができるものである。

0039

以下、実施例,比較例を示し、本発明をより具体的に示すが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。

0040

[実施例1]
精製水7.738gにゼラチン2.496g及びラクチトール2.496gを加え、55〜65℃で加温して、ゼラチン及びラクチトールを溶解させ、「ゼラチン水溶液」(水溶性高分子水溶液)を得た。一方、フタル酸ジエチル2.247gにシロリムス0.022gを加え、55〜65℃で加温してシロリムスを溶解させ、「薬効成分溶液」を得た。「ゼラチン水溶液」を55〜65℃で攪拌しながら「薬効成分溶液」を徐々に加えて、「混合液」(混合水溶液)を得た。この「混合液」は、シロリムスを完全に溶解したフタル酸ジエチルの液滴が、「ゼラチン水溶液」中に均一に分散されたものであった。

0041

上記「混合液」を10〜15℃に冷却した250mLの中鎖脂肪酸トリグリセリド中に25〜40mgずつ滴下して粒状に固化させ、5分後に回収した。回収した未乾燥粒子の総質量は13.5gだった。この未乾燥粒子を10〜20℃下(相対湿度20〜40%)で16時間風乾して経口医薬組成物の粒子状製剤を得た。このとき、上記乾燥処理によって総質量が38.6質量%に相当する5.21g減量し、8.29gとなっていた。この粒子状製剤の乾燥減量は12.0%であり、1粒当たりの質量は平均20.1mg(水分量:約13.0質量%)、粒径は2.6〜3.3mmであった。

0042

[実施例2]
精製水8.672gにキサンタンガム0.011g及びローカストビーンガム0.011gを加え、75〜80℃で加温して、キサンタンガム及びローカストビーンガムを溶解させ、室温で2時間放冷した。この水溶液に、ゼラチン2.168g及びラクチトール2.168gを加え、55〜65℃で加温して、ゼラチン及びラクチトールを溶解させ、「ゼラチン水溶液」を得た。一方、モノカプリル酸プロピレングリコール1.951gにシロリムス0.020gを加え、55〜65℃で加温してシロリムスを溶解させ、「薬効成分溶液」を得た。「ゼラチン水溶液」を55〜65℃で攪拌しながら「薬効成分溶液」を徐々に加えて、「混合液」を得た。この「混合液」は、シロリムスを完全に溶解したモノカプリル酸プロピレングリコールの液滴が、「ゼラチン水溶液」中に均一に分散されたものであった。

0043

この「混合液」を10〜15℃に冷却した250mLの中鎖脂肪酸トリグリセリド中に25〜40mgずつ滴下して固化させ、5分後に回収した。回収した未乾燥粒子の総質量は13.2gだった。この未乾燥粒子を10〜20℃下(相対湿度20〜40%)で16時間風乾して経口医薬組成物の粒子状製剤を得た。このとき、上記乾燥処理によって総質量が45.3質量%に相当する5.98g減量し、7.22gとなっていた。この粒子状製剤の乾燥減量は11.7%であり、1粒当たりの質量は平均19.5mg(水分量:約12.5質量%)、粒径は2.5〜3.1mmであった。

0044

[実施例3]
実施例1の「ゼラチン水溶液」において、精製水7.181g、ゼラチン2.688g及び還元水アメ3.840gを用い、かつ「薬効成分溶液」において、カルバマゼピン0.042gとフタル酸ジエチル1.250gを用いたこと以外は実施例1と同様に調製して、粒子状製剤7.67gを得た。この粒子状製剤の乾燥減量は10.5%であり、1粒当たりの質量は平均21.3mg(水分量:約11.2質量%)、粒径は2.8〜3.4mmであった。

0045

[実施例4]
実施例3の「薬効成分溶液」において、フタル酸ジエチルに代えて、クエン酸トリエチルを用いたこと以外は実施例3と同様に調製して、粒子状製剤7.83gを得た。この粒子状製剤の乾燥減量は10.8%であり、1粒当たりの質量は平均21.0mg(水分量:約11.5質量%)、粒径は2.9〜3.4mmであった。

0046

[実施例5]
実施例3の「薬効成分溶液」において、フタル酸ジエチルに代えて、オレイン酸を用いたこと以外は実施例3と同様に調製して、粒子状製剤7.45gを得た。この粒子状製剤の乾燥減量は10.0%であり、1粒当たりの質量は平均20.3mg(水分量:約10.8質量%)、粒径は2.8〜3.3mmであった。

0047

[実施例6]
実施例1の「ゼラチン水溶液」において、精製水7.381g、ゼラチン2.381g及びラクチトール3.968gを用い、かつ「薬効成分溶液」において、シクロスポリン0.423gとモノカプリル酸プロピレングリコール0.847gを用いたこと以外は実施例1と同様に調製して、粒子状製剤8.41gを得た。この粒子状製剤の乾燥減量は12.9%であり、1粒当たりの質量は平均23.9mg(水分量:約12.9質量%)、粒径は2.9〜3.5mmであった。

0048

[実施例7]
実施例1の「ゼラチン水溶液」において、精製水7.254g、ゼラチン2.340g及びラクチトール3.900gを用い、かつ「薬効成分溶液」において、シクロスポリン0.430gとオレイン酸1.076gを用いたこと以外は実施例1と同様に調製して、粒子状製剤8.13gを得た。この粒子状製剤の乾燥減量は11.1%であり、1粒当たりの質量は平均22.8mg(水分量:約11.9質量%)、粒径は2.8〜3.4mmであった。

0049

[実施例8]
実施例1の「ゼラチン水溶液」において、精製水7.122g、ゼラチン2.298g及びラクチトール3.829gを用い、かつ「薬効成分溶液」において、シクロスポリン0.438gとクエン酸トリエチル1.313gを用いたこと以外は実施例1と同様に調製して、粒子状製剤8.38gを得た。この粒子状製剤の乾燥減量は11.1%であり、1粒当たりの質量は平均22.8mg(水分量:約12.5質量%)、粒径は2.8〜3.4mmであった。本例の調製における上記「混合液」の顕微鏡写真を図1に示す。図1のとおり、シクロスポリンを完全に溶解したクエン酸トリエチルの液滴が、「ゼラチン水溶液」中に均一に分散された「混合液」であることが確認された。

0050

[実施例9]
実施例1の「ゼラチン水溶液」において、精製水7.529g、ゼラチン2.818g及び還元水アメ4.026を用い、かつ「薬効成分溶液」において、エベロリムス0.039gと中鎖脂肪酸トリグリセリド0.588gを用いたこと以外は実施例1と同様に調製して、粒子状製剤7.54gを得た。この粒子状製剤の乾燥減量は10.0%であり、1粒当たりの質量は平均19.8mg(水分量:約11.1質量%)、粒径は2.8〜3.3mmであった。

0051

[実施例10]
実施例9の「薬効成分溶液」において、中鎖脂肪酸トリグリセリドに代えて、ピペロニルブトキシドを用いたこと以外は実施例10と同様に調製して、粒子状製剤7.31gを得た。この粒子状製剤の乾燥減量は9.70%であり、1粒当たりの質量は平均19.1mg(水分量:約10.5質量%)、粒径は2.8〜3.2mmであった。

0052

[実施例11A]
実施例1の「ゼラチン水溶液」において、精製水8.757g、ゼラチン2.825g及び粉末還元麦芽糖水アメ2.825gを用い、かつ「薬効成分溶液」において、タクロリムス水和物0.039gとクエン酸トリエチル0.555gを用いたこと以外は実施例1と同様に調製して、粒子状製剤7.42gを得た。この粒子状製剤の乾燥減量は9.40%であり、1粒当たりの質量は平均18.9mg(水分量:約10.3質量%)、粒径は2.9〜3.2mmであった。本例の調製における「混合液」の顕微鏡写真を図2に示す。図2のとおり、タクロリムス水和物を完全に溶解したクエン酸トリエチルの液滴が、「ゼラチン水溶液」中に均一に分散された「混合液」であることが確認された。

0053

[実施例11B]
実施例11Aの「ゼラチン水溶液」において、精製水8.280g、ゼラチン2.671g及び粉末還元麦芽糖水アメ2.671gを用い、かつ「薬効成分溶液」において、タクロリムス水和物0.042gとクエン酸トリエチル1.336gを用いたこと以外は実施例11Aと同様に調製して、粒子状製剤7.21gを得た。この粒子状製剤の乾燥減量は9.00%であり、1粒当たりの質量は平均19.2mg(水分量:約9.80質量%)、粒径は2.9〜3.2mmであった。

0054

[実施例12]
実施例11Aの「薬効成分溶液」において、クエン酸トリエチルに代えて、トリアセチン用いたこと以外は実施例11Aと同様に調製して、粒子状製剤7.37gを得た。この粒子状製剤の乾燥減量は9.50%であり、1粒当たりの質量は平均19.3mg(水分量:約10.7質量%)、粒径は2.9〜3.3mmであった。

0055

[実施例13]
実施例11Aの「薬効成分溶液」において、クエン酸トリエチルに代えて、ブチルフタリルブチルグリコレートを用いたこと以外は実施例11Aと同様に調製して、粒子状製剤7.27gを得た。この粒子状製剤の乾燥減量は10.3%であり、1粒当たりの質量は平均19.9mg(水分量:約11.1質量%)、粒径は2.8〜3.3mmであった。

0056

[比較例1A]
精製水9.095gにゼラチン2.934g及び粉末還元麦芽糖水アメ2.934gを加え、55〜65℃で加温してゼラチン及び粉末還元麦芽糖水アメを溶解させ、「ゼラチン水溶液」を得た。この「ゼラチン水溶液」を55〜65℃で攪拌しながらタクロリムス水和物0.037gを徐々に加えて、「混合液」を得た。この「混合液」の顕微鏡写真を図3に示す。図3のとおり、この「混合液」は、タクロリムス水和物の結晶物が、「ゼラチン水溶液」に溶解せず分散されたものであることが確認された。

0057

この「混合液」を10〜15℃に冷却した250mLの中鎖脂肪酸トリグリセリド中に25〜40mgずつ滴下して固化させ、5分後に回収した。回収した未乾燥粒子の総質量は13.4gだった。この未乾燥粒子を10〜20℃下(相対湿度20〜40%)で16時間風乾して経口医薬組成物の粒子状製剤を得た。このとき、上記乾燥処理によって総質量が49.1質量%に相当する6.58g減量し、6.82gとなっていた。この粒子状製剤の乾燥減量は10.2%であり、1粒当たりの質量は平均18.9mg(水分量:約11.5質量%)、粒径は2.8〜3.2mmであった。

0058

[比較例1B]
精製水9.081gにゼラチン2.929g及び粉末還元麦芽糖水アメ2.929gを加え、55〜65℃で加温してゼラチン及び粉末還元麦芽糖水アメを溶解させ、「ゼラチン水溶液」を得た。一方、クエン酸トリエチル0.023g(上記ゼラチン100質量部に対して約0.8質量部)にタクロリムス水和物0.037gを加え、55〜65℃で30分間加温したが、タクロリムス水和物の溶け残りが認められた。「ゼラチン水溶液」を55〜65℃で攪拌しながら、前記のタクロリムス水和物とクエン酸トリエチルの分散液を加えて「混合液」を得た。この「混合液」を顕微鏡で観察したところ、タクロリムス水和物が溶解したクエン酸トリエチルの液滴とタクロリムス水和物の結晶物の両方が「ゼラチン水溶液」中に分散している様子が認められた。

0059

この「混合液」を10〜15℃に冷却した250mLの中鎖脂肪酸トリグリセリド中に25〜40mgずつ滴下して固化させ、5分後に回収した。回収した未乾燥粒子の総質量は13.5gだった。この未乾燥粒子を10〜20℃下(相対湿度20〜40%)で16時間風乾して経口医薬組成物の粒子状製剤を得た。このとき、上記乾燥処理によって
総質量が49.3質量%に相当する6.66g減量し、6.84gとなっていた。この粒子状製剤の乾燥減量は10.0%であり、1粒当たりの質量は平均19.2mg(水分量:約11.2質量%)、粒径は2.7〜3.2mmであった。

0060

[比較例1C]
精製水7.242gにゼラチン2.336g及び粉末還元麦芽糖水アメ2.336gを加え、55〜65℃で加温して、ゼラチン及び粉末還元麦芽糖水アメを溶解させ、「ゼラチン水溶液」を得た。一方、クエン酸トリエチル3.037g(上記ゼラチン100質量部に対して約130質量部)にタクロリムス水和物0.048gを加え、55〜65℃で加温してタクロリムス水和物を溶解させ、「薬効成分溶液」を得た。「ゼラチン水溶液」を55〜65℃で攪拌しながら「薬効成分溶液」を徐々に加えて、「混合液」を得た。この「混合液」は、タクロリムス水和物を完全に溶解したクエン酸トリエチルの液滴が、「ゼラチン水溶液」中に均一に分散されたものであった。

0061

この「混合液」を10〜15℃に冷却した250mLの中鎖脂肪酸トリグリセリド中に25〜40mgずつ滴下して60分後に回収したが、固化していなかったため粒子状製剤を得ることはできなかった。

0062

[比較例2]
精製水8.757gにゼラチン2.825g及び粉末還元麦芽糖水アメ2.825gを加え、55〜65℃で加温して、ゼラチン及び粉末還元麦芽糖水アメを溶解させ、「ゼラチン水溶液」を得た。一方、ポリオキシル35ヒマシ油(界面活性剤)0.555gにタクロリムス水和物0.039gを加え、55〜65℃で加温してタクロリムス水和物を溶解させ、「薬効成分溶液」を得た。「ゼラチン水溶液」を55〜65℃で攪拌しながら「薬効成分溶液」を徐々に加えて、「混合液」を得た。この「混合液」は、タクロリムス水和物を完全に溶解したポリオキシル35ヒマシ油の液滴が、「ゼラチン水溶液」中に均一に分散されたものであった。

0063

この「混合液」を10〜15℃に冷却した250mLの中鎖脂肪酸トリグリセリド中に25〜40mgずつ滴下したが、中鎖脂肪酸トリグリセリドに混和して球形に固化しなかったため、粒子状製剤を得ることは出来なかった。

0064

[比較例3]
精製水8.757gにゼラチン2.825g及び粉末還元麦芽糖水アメ2.825gを加え、55〜65℃で加温して、ゼラチン及び粉末還元麦芽糖水アメを溶解させ、「ゼラチン水溶液」を得た。一方、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(界面活性剤)0.555gにタクロリムス水和物0.039gを加え、55〜65℃で加温してタクロリムス水和物を溶解させ、「薬効成分溶液」を得た。「ゼラチン水溶液」を55〜65℃で攪拌しながら「薬効成分溶液」を徐々に加えたところ、「混合液」にタクロリムス水和物の結晶物の析出が確認された。また、この「混合液」を10〜15℃に冷却した250mLの中鎖脂肪酸トリグリセリド中に25〜40mgずつ滴下したが、中鎖脂肪酸トリグリセリドに混和して球形に固化しなかったため、粒子状製剤を得ることはできなかった。

0065

[比較例4]
比較例3の「薬効成分溶液」において、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60に代えて、ポリソルベート80(界面活性剤)を用いたこと以外は比較例3と同様に調製したが、比較例3と同様に、「混合液」にタクロリムス水和物の結晶物の析出が確認され、また、中鎖脂肪酸トリグリセリドに混和して球形に固化しなかったため、粒子状製剤を得ることはできなかった。

0066

[比較例5]
比較例3の「薬効成分溶液」において、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60に代えて、カプリロカプロイルポリオキシグリセリド(界面活性剤)を用いたこと以外は比較例4と同様に調製したが、比較例3と同様に、「混合液」にタクロリムス水和物の結晶物の析出が確認され、また、中鎖脂肪酸トリグリセリドに混和して球形に固化しなかったため、粒子状製剤を得ることは出来なかった。

0067

[比較例6]
精製水8.757gにゼラチン2.825g及び粉末還元麦芽糖水アメ2.825gを加え、55〜65℃で加温して、ゼラチン及び粉末還元麦芽糖水アメを溶解させ、「ゼラチン水溶液」を得た。一方、プロピレングリコール(20℃における水への溶解度:10質量部を超える量が均一に溶解)0.555gにタクロリムス水和物0.039gを加え、55〜65℃で加温してタクロリムス水和物を溶解させ、「薬効成分溶液」を得た。「ゼラチン水溶液」を55〜65℃で攪拌しながら「薬効成分溶液」を徐々に加えたところ、「混合液」にタクロリムス水和物の結晶物の析出が確認された。

0068

この「混合液」を10〜15℃に冷却した250mLの中鎖脂肪酸トリグリセリド中に25〜40mgずつ滴下して固化させ、5分後に回収した。回収した未乾燥粒子の総質量は13.8gだった。この未乾燥粒子を10〜20℃下(相対湿度20〜40%)で16時間風乾して経口医薬組成物の粒子状製剤を得た。このとき、上記乾燥処理によって総質量が45.4質量%に相当する6.27g減量して、7.53gとなっていた。この粒子状製剤の乾燥減量は11.5%であり、1粒当たりの質量は平均20.8mg(水分量:約13.0質量%)、粒径は2.6〜3.3mmであった。

0069

[比較例7]
比較例6の「薬効成分溶液」において、プロピレングリコールに代えて、マクロゴール400(界面活性剤)を用いたこと以外は比較例6と同様に調製した。得られた粒子状製剤の乾燥減量は11.3%であり、1粒当たりの質量は平均21.0mg(水分量:約12.4質量%)、粒径は2.7〜3.2mmであった。本例の調製における「混合液」の顕微鏡写真を図4に示す。図4のとおり、比較例7と同様に「混合液」にタクロリムス水和物の結晶物の析出が確認された。

0070

上記各実施例及び比較例にも記載があるとおり、各例での製造時における薬効成分の状態、析出の有無、成形性を下記の方法で評価した。結果を表1,2に示す。また、各例で得られた経口医薬組成物の粒子状製剤につき、下記方法で溶出試験を実施して溶出性を評価した。結果を表1,2に示す。

0071

[薬効成分の状態]
上記各実施例及び比較例において、「薬効成分溶液」の調製工程で、薬効成分に疎水性液体を添加して攪拌し55〜65℃で30分間加温後に、薬効成分が溶解したかを目視で観察し、薬効成分の状態を評価した。結果を表1,2に示す。表中の評価記号の意味は下記のとおりである。
○:溶解していた。
×:不要物が認められた。
−:薬効成分溶液を調製せず。

0072

[析出の有無]
上記各実施例及び比較例において、「混合液」について薬効成分の析出が認められるかを顕微鏡で観察した。結果を表1,2に示す。表中の評価記号の意味は下記のとおりである。
○:薬効成分の析出が確認されなかった。
×:薬効成分の析出が確認された。

0073

[成形性]
上記各実施例及び比較例において、粒子状製剤調製時に「混合液」から粒子状製剤が成形可能であるか判定した。結果を表1,2に示す。表中の評価記号の意味は下記のとおりである。
○:成形可能であった。
×:成形することができなかった。

0074

[溶出性]
上記実施例1〜13及び比較例1A、1B及び比較例6、7で得られた粒子状製剤につき、薬効成分に応じて下記条件で溶出性試験を実施し、規定時間にベッセル中の製剤、薬効成分が残存しているかを目視で観察した。結果を表1,2に示す。表中の評価記号の意味は下記のとおりである。
○:粒子状製剤と薬効成分の残存物は認められなかった。
×:粒子状製剤と薬効成分の残存物が認められた。
−:粒子状製剤を製することができなかったため溶出性試験を実施できなかった。

0075

試験条件
(実施例1、2(成分:シロリムス))
試験方法:溶出試験第2法(パドル法
試験液:0.4%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液、500mL、37℃
回転数:100rpm
投入量:1mg(シロリムスとして)
評価時間:60分

0076

(実施例3〜5(成分:カルバマゼピン))
試験方法:溶出試験第2法(パドル法)
試験液:水、900mL、37℃
回転数:75rpm
投入量:200mg(カルバマゼピンとして)
評価時間:45分

0077

(実施例6〜8(成分:シクロスポリン))
試験方法:溶出試験第2法(パドル法)
試験液:水、900mL、37℃
回転数:50rpm
投入量:50mg(シクロスポリンとして)
評価時間:45分

0078

(実施例9〜10(成分:エベロリムス))
試験方法:溶出試験第2法(パドル法)
試験液:水、900mL、37℃
回転数:50rpm
投入量:10mg(エベロリムスして)
評価時間:60分

0079

(実施例11A〜13、比較例1A、1B及び比較例6、7(成分:タクロリムス水和物))
試験方法:溶出試験第2法(パドル法)
試験液:水、900mL、37℃
回転数:100rpm
投入量:5mg(タクロリムスとして)
評価時間:45分

0080

0081

0082

上記表1,2のとおり、本発明の経口医薬組成物によれば、粒径0.5〜10mmの粒子状製剤を容易に得ることができ、しかも得られた経口医薬組成物の粒子状製剤は、薬効成分の溶出性に優れるものであることが確認された。

0083

[タクロリムス水和物配合粒子状製剤の溶出試験]
薬効成分としてタクロリムス水和物を配合した上記実施例11A、比較例1A及び比較例7の各粒子状製剤並びに標準製剤(アステラス製薬株式会社「プログラフカプセル5mg」)について、下記条件で溶出試験を実施した。結果を図5〜8に示す。なお、比較例1A及び比較例7は、水のみで溶出試験を実施した。

0084

<試験条件>
試験液:各試験液とも900mL、37℃
(1)pH1.2(日本薬局方溶出試験第1液)
(2)pH5.0(薄めたMcIlvaine緩衝液
(3)pH6.8(日本薬局方溶出試験第2液)
(4)水
回転数:50rpm
投入量:5mg(タクロリムスとして)
試験方法:溶出試験第2法(パドル法)により上記条件で溶出試験を開始してから15、30、60、120分の各時点において試験液を採取し、孔径0.45μmのメンブランフィルターでろ過した。初めのろ液1mLを除き、次のろ液1mLを採取して、これをエタノールで2倍に希釈し、試料溶液とした。

0085

分析条件
高速液体クロマトグラフ:Shimadzu Prominence
検出器紫外吸光光度計測定波長:220nm)
カラム:YMC−Triart C18(5μm) 150×4.6mmI.D.
カラム温度:50℃
移動相:水/2−プロパノールテトラヒドロフラン混液(5:2:2)
流速:0.725mL/min
注入量:40μL

実施例

0086

図5〜8のとおり、本発明の経口医薬組成物からなるタクロリムスの粒子状製剤は、標準製剤と比較しても劣ることのない良好な溶出性を有することが確認された。

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