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技術 プローブ、表皮電位測定装置、表皮電位測定方法、美容方法

出願人 国立大学法人東北大学
発明者 西澤松彦長峯邦明阿部結奈山崎研志
出願日 2016年5月27日 (4年11ヶ月経過) 出願番号 2016-106831
公開日 2017年11月30日 (3年5ヶ月経過) 公開番号 2017-209452
状態 特許登録済
技術分野 電気治療装置 診断用測定記録装置 生体の電気現象及び電気的特性の測定・記録
主要キーワード 大気プラズマ処理 計測電位 サーモ社製 Ag線 アガロース粉末 基準電極用 電極間電位 シリコーンゴムチューブ
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重要な関連分野

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図面 (12)

課題

本発明は、無痛針を適度な深さで刺入することで、低侵襲表皮電位測定を可能にする、プローブ、表皮電位測定装置、表皮電位測定方法美容方法を提供することを目的とする。

解決手段

外径0.003〜0.4mm、長さ0.2〜40mmの中空針を含み、中空針において先端と末端とが塩橋により連絡されている、プローブ、該プローブを含む表皮電位測定装置、該表皮電位測定装置を用いる表皮電位測定方法、該表皮電位測定装置を用いる美容方法。

概要

背景

皮膚の最外層角質層は、外界異物侵入体内の水分の蒸発を防ぐバリア機能を有している。例えば、皮膚疾患の1つであるアトピー性皮膚炎では、バリア機能不全のため炎症反応が生じ、患者のQOL(Quality Of Life:生活の質)は著しく低下する。こうした疾患の予防・治療法を開発するため、組織細胞のレベルでの発症メカニズム解明が求められている。しかしながら、皮膚内部のバリア機能の変化は外観のみからでは解析・判断が難しく、その変化を定量化できるシステムの開発が必要となる。

表皮電位とは、角質層直下の表皮の各層の厚み方向に形成される電位差であり、バリア機能不全により変化する性質がある。この点に関して、皮膚への電位印加により破壊されたバリア機能の治癒が促進させる電気治療法が報告されており(特許文献1参照)、かかるバリア機能の治癒の効果は表皮電位の制御によるものと考えられているが、詳細なメカニズムは不明である。特許文献1に記載の方法は、体表に貼った電極間電気刺激を行うものであるため、表皮電位に対して直接的に影響を与えることは困難であった。

概要

本発明は、無痛針を適度な深さで刺入することで、低侵襲な表皮電位測定を可能にする、プローブ、表皮電位測定装置、表皮電位測定方法美容方法を提供することを目的とする。外径0.003〜0.4mm、長さ0.2〜40mmの中空針を含み、中空針において先端と末端とが塩橋により連絡されている、プローブ、該プローブを含む表皮電位測定装置、該表皮電位測定装置を用いる表皮電位測定方法、該表皮電位測定装置を用いる美容方法。

目的

本発明は、無痛針を適度な深さで刺入することで、低侵襲な表皮電位測定を可能にする、プローブ、表皮電位測定装置、表皮電位測定方法、美容方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

外径0.003〜0.4mm、長さ0.2〜40mmの中空針を含み、前記中空針において先端と末端とが塩橋により連絡されていることを特徴とする、プローブ

請求項2

前記中空針の外表面に対する水の接触角が、1〜175°である、請求項1に記載のプローブ。

請求項3

前記中空針の外表面が紫外線オゾン処理されている、請求項1又は2に記載のプローブ。

請求項4

前記塩橋は、ハイドロゲルで構成される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプローブ。

請求項5

前記ハイドロゲルは、ハイドロゲル材料生理的食塩水とを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプローブ。

請求項6

請求項1〜5のいずれか一項に記載のプローブと、前記中空針の末端と塩橋により連絡されている第一の電極と、前記第一の電極と電子伝導性部材により接続されている第二の電極と、前記第二の電極と塩橋により連絡されている別のプローブとを含むことを特徴とする、表皮電位測定装置

請求項7

前記プローブの先端と前記別のプローブの先端との間の中空針の軸方向に直交する方向の距離が、1〜50mmである、請求項6に記載の表皮電位測定装置。

請求項8

前記中空針の前記先端と前記末端との間にスペーサーが設けられている、請求項6又は7に記載の表皮電位測定装置。

請求項9

請求項6〜8のいずれか一項に記載の表皮電位測定装置を用いて、前記プローブをその先端が真皮に達するように配置する工程と、前記別のプローブをその先端が皮膚表面に位置するように配置する工程と、を含むプローブ配置工程と、前記第一の電極と前記第二の電極との間で、電流印加して電圧計測する、又は、電圧を印加して電流を計測する、電圧・電流計測工程と、を含むことを特徴とする、表皮電位測定方法

請求項10

請求項6〜8のいずれか一項に記載の表皮電位測定装置を用いて、前記プローブをその先端が真皮に達するように配置する工程と、前記別のプローブをその先端が皮膚表面に位置するように配置する工程と、を含むプローブ配置工程と、前記第一の電極と前記第二の電極との間で、電圧又は電流を印加する、電圧・電流印加工程と、を含むことを特徴とする、美容方法

技術分野

0001

本発明は、プローブ表皮電位測定装置、表皮電位測定方法美容方法に関する。

背景技術

0002

皮膚の最外層角質層は、外界異物侵入体内の水分の蒸発を防ぐバリア機能を有している。例えば、皮膚疾患の1つであるアトピー性皮膚炎では、バリア機能不全のため炎症反応が生じ、患者のQOL(Quality Of Life:生活の質)は著しく低下する。こうした疾患の予防・治療法を開発するため、組織細胞のレベルでの発症メカニズム解明が求められている。しかしながら、皮膚内部のバリア機能の変化は外観のみからでは解析・判断が難しく、その変化を定量化できるシステムの開発が必要となる。

0003

表皮電位とは、角質層直下の表皮の各層の厚み方向に形成される電位差であり、バリア機能不全により変化する性質がある。この点に関して、皮膚への電位印加により破壊されたバリア機能の治癒が促進させる電気治療法が報告されており(特許文献1参照)、かかるバリア機能の治癒の効果は表皮電位の制御によるものと考えられているが、詳細なメカニズムは不明である。特許文献1に記載の方法は、体表に貼った電極間電気刺激を行うものであるため、表皮電位に対して直接的に影響を与えることは困難であった。

0004

特開2002−291909号公報
特開2002−177228号公報

先行技術

0005

K. S. Turner, D. O. N. W. Powell, C. N. Carney, R. O. Y. C. Orlando, 286 (1978).

発明が解決しようとする課題

0006

表皮電位を測定するためには、体表と体内(表皮直下の真皮層)とに電極を設置する必要がある。
現状は、皮膚を傷つけ真皮層を露出させてから電極を設置する侵襲的手法が、動物を用いた研究レベルで採用されているが、かかる手法の人への適用は危険性を伴う。非侵襲的手法としては、表皮下に代えて下に電極と連絡した塩橋を配置するものもあるが、舌下から遠い位置での電位の測定は定量性に乏しいものとなってしまう(特許文献2参照)。
関連研究として、気管消化管等の内臓粘膜組織に生じる経上皮電位を測定する実験が行われている(非特許文献1参照)。ここでは、上皮直下に電極を配置する際に、皮下注射針前腕部の表皮下に挿入して、電位の基準としている。しかしながら、使用されている針は、19G(直径約1.1mm)程度のものであり、ヒトに適用される注射針の中でもかなり太いものとなっている。この測定系をヒトの皮膚に適用して、長期的に測定を行うには、針の挿入による測定部付近の皮膚の損傷を抑制する等人への侵襲性を更に低減することが望ましい。
上記の通り、前述の従来の表皮電位測定方法では、侵襲性、定量性、長期使用性等の観点から、改善の余地が大きく残されている。

0007

そこで、本発明は、無痛針を適度な深さで刺入することで、低侵襲な表皮電位測定を可能にする、プローブ、表皮電位測定装置、表皮電位測定方法、美容方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明の要旨は以下の通りである。
本発明のプローブは、外径0.003〜0.4mm、長さ0.2〜40mmの中空針を含み、前記中空針において先端と末端とが塩橋により連絡されている、ことを特徴とする。
ここで、本発明のプローブでは、前記中空針の外表面に対する水の接触角が、1〜175°であることが好ましい。
また、本発明のプローブでは、前記中空針の外表面が紫外線オゾン処理されていることが好ましい。
更に、本発明のプローブでは、前記塩橋は、ハイドロゲルで構成されることが好ましい。
更に、本発明のプローブでは、前記ハイドロゲルは、ハイドロゲル材料生理的食塩水とを含むことが好ましい。

0009

本発明の表皮電位測定装置は、上記のプローブと、前記中空針の末端と塩橋により連絡されている第一の電極と、前記第一の電極と電子伝導性部材により接続されている第二の電極と、前記第二の電極と塩橋により連絡されている別のプローブとを含むことを特徴とする。
ここで、本発明の表皮電位測定装置では、前記プローブの先端と前記別のプローブの先端との間の中空針の軸方向に直交する方向の距離が、1〜50mmであることが好ましい。
また、本発明の表皮電位測定装置では、前記中空針の前記先端と前記末端との間にスペーサーが設けられていることが好ましい。

0010

本発明の表皮電位測定方法は、上記の表皮電位測定装置を用いて、前記プローブをその先端が真皮に達するように配置する工程と、前記別のプローブをその先端が皮膚表面に位置するように配置する工程と、を含むプローブ配置工程と、前記第一の電極と前記第二の電極との間で、電流印加して電圧計測する、又は、電圧を印加して電流を計測する、電圧・電流計測工程と、を含むことを特徴とする。

0011

本発明の美容方法は、上記の表皮電位測定装置を用いて、前記プローブをその先端が真皮に達するように配置する工程と、前記別のプローブをその先端が皮膚表面に位置するように配置する工程と、を含むプローブ配置工程と、前記第一の電極と前記第二の電極との間で、電圧又は電流を印加する、電圧・電流印加工程と、を含むことを特徴とする。

発明の効果

0012

本発明によれば、無痛針を適度な深さで刺入することで、低侵襲な表皮電位測定方法、美容方法を実現することができる。

図面の簡単な説明

0013

本発明の実施形態のプローブの一例及び本発明の実施形態の表皮電位測定装置の一例、並びにその製造方法を断面図にて示す図である。
本発明の実施形態のプローブの別の例及び本発明の実施形態の表皮電位測定装置の別の例、並びにその製造方法を断面図にて示す図である。
図1に示すプローブの一例及び表皮電位測定装置の一例を用いた本発明の実施形態の表皮電位測定方法の一例について示す図である。
図2に示すプローブの別の例及び表皮電位測定装置の別の例を用いた本発明の実施形態の表皮電位測定方法の別の例について示す図である。
本発明の実施形態の表皮電位測定方法の一例によりヘアレスマウスの表皮電位を計測したときの実験概要について示す図及び写真である。(a)は、実験原理を示す図であり、(b)は、実験の様子を示す写真である。
本発明の実施形態の表皮電位測定方法の一例によりヘアレスマウスの表皮電位を計測したときの結果について示す図である。(a)は、角質層除去処理を行った場合の結果を示す図であり、(b)は、脱脂処理を行った場合の結果を示す図である。(a)及び(b)中、縦線は3回の測定のエラーバー(平均±標準偏差)を示す。
本発明の実施形態におけるプローブの先端と別のプローブの先端との間の好適な距離についてブタ皮膚を用いて検討したときの実験概要及び結果について示す図である。(a)は、実験概要を示す図であり、(b)は、結果を示す図である。
本発明の実施形態のプローブの中空針の好適な長さ及び中空針の外表面の好適な処理について表皮除去処理を行ったブタ皮膚を用いて検討したときの実験概要及び結果について示す図である。(a)は、実験概要を示す図であり、(b)及び(c)は、結果を示す図である。(c)中、縦線は3回の測定のエラーバー(平均±標準偏差)を示す。
本発明の実施形態の表皮電位測定方法の別の例によりブタ皮膚における表皮電位を計測したときの実験概要及び結果について示す図である。(a)は、表皮電位測定装置を示す写真であり、(b)は、角質層除去処理を行った場合の実験概要及び結果、並びに脱脂処理を行った場合の実験概要及び結果を示す図を示す図及び写真である。(b)中、A及びCは、未処理の箇所を、Bは、処理の箇所を示す。
本発明の実施形態の表皮電位測定方法の別の例によりヒトの前腕における表皮電位を計測したときの実験概要について示す図である。(a)は、実験概要を示す図であり、(b)は、実験の様子を示す写真である。
本発明の実施形態の表皮電位測定方法の別の例によりヒトの前腕における表皮電位を計測したときの結果について示す図である。(a)は、脱脂処理後に1時間電圧を印加した場合の結果を示す図であり、(b)は、脱脂処理後に電圧の印加なく1時間放置した場合の結果を示す図である。

0014

以下、図面を参照して、本発明の表皮電位測定用プローブ、表皮電位測定装置、表皮電位測定方法、美容方法の実施形態について詳細に例示説明する。

0015

(プローブ)
本発明の実施形態(以下、「本実施形態」ともいう。)の表皮電位測定用プローブは、外径0.003〜0.4mm、長さ0.2〜40mmの中空針を含むものである。
ここで、本実施形態の表皮電位測定用プローブは、中空針において先端と末端とが塩橋により連絡されていることを特徴とする。

0016

本実施形態の表皮電位測定用プローブは、中空針の先端が真皮に達するように、配置して使用され、真皮と皮膚表面との間の電位、言い換えれば、表皮電位、を測定するのに好適に用いられる(後述)。
このとき、中空針の先端から末端まで塩橋により連絡されているため、先端と末端との間にイオン伝導性が確保され、中空針の先端付近における電位を、中空針の末端付近(必要に応じて、中空針の末端以遠)における電位として、捉えることが可能となる。
従来の表皮電位測定では、電極を真皮に刺入する等の侵襲性の高い操作が必要とされるところ、本実施形態の表皮電位測定では、低侵襲な表皮電位測定を実現することができる。

0017

図1に、本発明の実施形態のプローブの一例及び本発明の実施形態の表皮電位測定装置の一例、並びにその製造方法を断面図にて示す。
図2に、本発明の実施形態のプローブの別の例及び本発明の実施形態の表皮電位測定装置の別の例、並びにその製造方法を断面図にて示す。

0018

図1に示す一例のプローブと図2に示す別の例のプローブとは、一例では、プローブの末端と第一の電極とが直接的に連絡されているのに対して、別の例では、プローブの末端と第一の電極とが共に電解液図1参照)に浸されており、この電解液を介して連絡されているという点で異なっていること以外は、原理的に同じ構成を備えている。

0019

ここで、本実施形態の表皮電位測定用プローブでは、侵襲性を抑制する観点から、
中空針の外径としては、0.003mm以上であり、好ましくは0.005mm以上であり、更に好ましくは0.01mm以上であり、より好ましくは0.02mm以上であり、より更に好ましくは0.05mm以上であり、また、好ましくは0.4mm以下であり、更に好ましくは0.35mm以下であり、より好ましくは0.3mm以下であり、より更に好ましくは0.25mm以下である。
また、中空針の内径としては、好ましくは0.001mm以上であり、更に好ましくは0.002mm以上であり、より好ましくは0.005mm以上であり、より更に好ましくは0.01mm以上であり、また、好ましくは0.3mm以下であり、更に好ましくは0.25mm以下であり、より好ましくは0.2mm以下であり、より更に好ましくは0.15mm以下である。
なお、上記外径及び上記内径とは、先端部分における最大径をいうものとする。

0020

中空針のサイズとしては、規格では、27G、28G、29G、30G、31G、32G、33G、34Gとしてよい。

0021

中空針の長さとしては、0.2〜40mmである。
なお、中空針の長さとは、中空針の先端から末端までの長さをいい、より具体的には、刺入可能な部分の長さをいう。
一般に、ヒトの皮膚は、外表面側から順に、表皮(厚さ200μm)、真皮(厚さ1〜3mm)、皮下組織で、構成されているところ、中空針の長さを0.2mm以上とすれば、プローブ使用時に、中空針の先端を表皮を通過して真皮に到達させることが可能となる。ここで、中空針の長さは、皮膚の弾力性のため所定の長さが刺入されていない場合もあるため、好ましくは0.25mm以上であり、更に好ましくは0.3mm以上であり、より好ましくは0.5mm以上であり、より更に好ましくは0.7mm以上であり、特に好ましくは1mm以上である。
また、表皮電位測定の精度を高めるうえで、より短い長さの塩橋も要するところ、中空針の長さを40mm以下とすれば、中空針の先端付近における電位を、電位のロスなく、中空針の末端付近における電位として、取り出すことが可能となる。ここで、中空針の長さは、好ましくは38mm以下であり、更に好ましくは20mm以下であり、より好ましくは10mm以下であり、より更に好ましくは4mm以下であり、特に好ましくは2mm以下である。

0022

中空針の形状について、軸方向に沿った断面における外表面の輪郭線の形状は、特に、中空針の先端部において、該断面における中空針の中空部分の幅が末端側から先端側に向かって漸減するように、軸方向に直交する方向に関して片側又は両側において、テーパー形状としてよい。
また、中空針の形状について、軸方向に垂直な断面における外表面の輪郭線の形状は、円形(円、楕円等)、矩形正方形長方形三角形等)としてよく、ここで、矩形は角が丸みを帯びていてもよく、侵襲性を抑制する観点から、円形が好ましい。

0023

中空針の材質としては、特に限定されないが、例えば、樹脂酸化物、金属等が挙げられる。
樹脂としては、シリコーンポリカーボネートアクリロニトリルーブタジエンスチレン(ABS)樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
酸化物としては、無機酸化物及びその誘導体が挙げられ、ここで、無機酸化物としては酸化ケイ素酸化スズ酸化ジルコニア酸化チタン酸化ニオブ酸化タンタル酸化アルミニウム酸化タングステン酸化ハフニウム酸化亜鉛等が挙げられる。
金属としては、ニッケル、鉄、ステンレスコバルトクロム合金チタンチタン合金シリコン(Si)等が挙げられ、特に、機械的強度生体安全性の観点から、金属生体材料であるステンレス、コバルトクロム合金、チタン、チタン合金が好ましい。

0024

ここで、本実施形態では、中空針の外表面に対する水の接触角は、特に限定されることなく、1〜175°としてよく、刺入直後からの中空針と間質液との接触を迅速に形成させる観点から、好ましくは150°以下であり、更に好ましくは120°以下であり、より好ましくは90°以下であり、特に好ましくは60°以下であり、最も好ましくは30°以下であり、また、好ましくは1.5°以上であり、更に好ましくは2°以上であり、より好ましくは3°以上であり、特に好ましくは4°以上である。
なお、中空針の外表面に対する水の接触角とは、中空針の外表面の任意の数点において、JIS R3257に準拠して測定される接触角の平均値をいう。
また、本実施形態では、中空針の内表面に対する水の接触角も、前述の中空針の外表面の接触角と同様の範囲とすることが好ましい。

0025

本実施形態では、中空針の表面に対する水の接触角を上記範囲とするため、中空針の表面に対して表面処理が施されていてよい。
かかる表面処理としては、紫外線オゾン処理、酸素プラズマ処理シランカップリング剤による処理、酸やアルカリ等の化学薬品を用いるエッチング処理コロナ処理大気プラズマ処理火炎処理等が挙げられ、生体に影響し得る化学薬品を用いない安全な処理の観点から、オゾン処理、酸素プラズマ処理、コロナ処理、大気プラズマ処理が好ましい。

0026

本実施形態においては、図1及び図2に示すように、中空針の先端と末端との間にスペーサーが設けられていてもよい。特に、これらの例のプローブでは、リング状のスペーサーが中空針をその中央の孔に嵌め込むように設けられている。
なお、本実施形態においては、スペーサーが設けられている場合における中空針の長さは、中空針の先端からスペーサーまでの長さをいうものとする。
そして、スペーサーを設け、特に、その中空針の軸方向の長さを調整することによって、上記中空針の長さを、目的や用途に応じて、適宜調整することが可能となる。例えば、中空針の長さが4mmの場合は、スペーサーの長さを3mmに設定することで、中空針の先端1mmを突出させて、先端が真皮に到達できるようにする。

0027

スペーサーの軸方向の長さは、所望する中空針の長さに合わせて、適宜定められてよい。
スペーサーの材質としては、樹脂、酸化物、金属等が挙げられ、特に、加工性の観点から、樹脂が好ましい。

0028

ここで、本実施形態における塩橋としては、ハイドロゲル、イオノゲルイオン液体を含むゲル)、電解質溶液、イオン液体で構成されることが好ましい。塩橋は、これらのうち1種単独で又は2種以上を組み合わせて含むものとしてよい。
そして、ハイドロゲルは、製造上の容易性から、チューブ状部材充填して、用いられることが好ましい。

0029

ハイドロゲルとしては、ハイドロゲル材料と生理的食塩水とを含むことが好ましい。

0030

ハイドロゲル材料とは、水(分散媒)に分散させることによって、ハイドロゲルを形成する材料をいう。
ハイドロゲル材料としては、例えば、寒天ゼラチンアガロースキサンタンガムジェランガムスクレロチウガムアラビヤガム、トラガントガムカラヤガムセルロースガムタマリンドガムグアーガムローカストビーンガムグルコマンナンキトサンカラギーナンクインスシード、ガラクタンマンナンデンプンデキストリンカードランカゼインペクチンコラーゲンフィブリンペプチドコンドロイチン硫酸ナトリウム等のコンドロイチン硫酸塩ヒアルロン酸ムコ多糖類)及びヒアルロン酸ナトリウム等のヒアルロン酸塩アルギン酸アルギン酸ナトリウム、及びアルギン酸カルシウム等のアルギン酸塩、並びにこれらの誘導体等の天然高分子メチルセルロースヒドロキシメチルセルロースヒドロキシエチルセルロースヒドロキシプロピルセルロースヒドロキシプロピルメチルセルロースカルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体及びこれらの塩;ポリアクリル酸ポリメタクリル酸アクリル酸メタクリル酸アルキルコポリマー等のポリメタアクリル酸類及びこれらの塩;ポリビニルアルコールポリヒドロキシエチルメタクリレートポリアクリルアミド、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリビニルピロリドンポリスチレンスルホン酸ポリエチレングリコールカルボキシビニルポリマーアルキル変性カルボキシビニルポリマー無水マレイン酸コポリマーポリアルキレンオキサイド系樹脂、ポリ(メチルビニルエーテル−alt−マレイン酸無水物)とポリエチレングリコールとの架橋体、ポリエチレングリコール架橋体、N−ビニルアセトアミド架橋体、アクリルアミド架橋体、デンプン・アクリル酸塩グラフトコポリマー架橋物等の合成高分子;シリコーン;相互侵入網目構造ハイドロゲル及びセミ相互侵入網目構造ハイドロゲル;これらの2種以上の混合物等が挙げられる。
これらの中でも、ハイドロゲルを構成する材料としては、イオン伝導性が高く、電気的中性、生体安全性、構造的定性の観点から、寒天、アガロース、ゼラチンが好ましい。

0031

生理的食塩水としては、生理食塩水緩衝化した生理食塩水、リンゲル液(Ringer’s Solution)等が挙げられ、生体適合性の観点から、リンゲル液が好ましい。
生理食塩水としては、塩分濃度が0.85〜0.95質量%であるものが好ましい。
緩衝化した生理食塩水としては、市販の緩衝剤が添加された生理食塩水としてよく、例えば、リン酸緩衝生理食塩水、Tris緩衝生理食塩水HEES緩衝生理食塩水等が挙げられる。
リンゲル液としては、組成が、塩素イオン:0.53〜0.58質量%、塩化カルシウム・2水和物:0.03〜0.036質量%であるものが好ましい。リンゲル液の市販品としては、ソルラクトS、ラクテック、ハルマン、ポタコールR、ソルアセトF、ヴィーンF、フィジオ、ビカーボンが好適に用いられる。

0032

本実施形態の表皮電位測定用プローブの製造方法としては、特に限定されることなく、当該技術分野における通常の手法を用いた方法としてよく、具体的には、実施例に記載の方法が挙げられる(図1及び図2参照)。

0033

(表皮電位測定装置)
本実施形態の表皮電位測定装置は、本実施形態のプローブと、中空針の末端と塩橋により連絡されている第一の電極と、第一の電極と電子伝導性部材により接続されている第二の電極と、第二の電極と塩橋により連絡されている別のプローブとを含むことを特徴とする。
また、本実施形態の表皮電位測定装置では、通常、電圧計の機能を有する機器が、第一の電極と第二の電極との間に、電子伝導性部材を介して接続されていてよい(図3及び図4参照)。

0034

前述の通り、本実施形態の表皮電位測定装置は、本実施形態のプローブが、中空針の先端が真皮に達するように、配置して使用され、真皮と皮膚表面との間の電位、言い換えれば、表皮電位、が測定される。
ここで、中空針の先端から末端まで、該末端から第一の電極までが塩橋により連絡されており、一方で、別のプローブの先端から末端まで、該末端から第二の電極までが塩橋により連絡されているため、中空針の先端付近の真皮に対する別のプローブの先端の表皮表面の電位差を測定することが可能である。
前述の通り、従来の表皮電位測定では、電極を真皮に刺入する等の侵襲性の高い操作が必要とされるところ、本実施形態の表皮電位測定では、低侵襲な表皮電位測定を実現することができる。

0035

ここで、本実施形態では、プローブの先端と別のプローブの先端との中空針の軸方向に直交する方向の距離(図1図2図7参照)が、体内に発生する電位の影響を最小限に抑える観点から、好ましくは1mm以上であり、より好ましくは2mm以上であり、更に好ましくは3mm以上であり、また、好ましくは50mm以下であり、より好ましくは30mm以下であり、更に好ましくは20mm以下である。

0036

また、本実施形態では、プローブの先端と別のプローブの先端との中空針の軸方向の距離(図1図2図7参照)が、表皮を挟んで電極を設置する観点から、前述の中空針の長さを保持できる程度としてよい。

0037

上記中空針の軸方向に直交する方向の距離、及び上記中空針の軸方向の距離は、図2に示す別の例の表皮電位測定装置のように、第一の電極を含む部分と第二の電極を含む部分とを一体化することによって、適宜調節することができる。

0038

(表皮電位測定方法)
本実施形態の表皮電位測定方法は、本実施形態の表皮電位測定装置を用いて、本実施形態のプローブをその先端が真皮に達するように配置する工程と、本実施形態のプローブとは別のプローブをその先端が皮膚表面に位置するように配置する工程と、を含むプローブ配置工程と、第一の電極と前記第二の電極との間で、電流を印加して電圧を計測する、又は、電圧を印加して電流を計測する、電圧・電流計測工程と、を含むことを特徴とする。
ここで、本実施形態のプローブは、基準電極用プローブとしてよく、本実施形態のプローブとは別のプローブは、表皮電位測定用プローブとしてよい。

0039

図3に、図1に示すプローブの一例及び表皮電位測定装置の一例を用いた本発明の実施形態の表皮電位測定方法の一例について示す。
図4に、図2に示すプローブの別の例及び表皮電位測定装置の別の例を用いた本発明の実施形態の表皮電位測定方法の別の例について示す。

0040

図3に示す一例の方法と図4に示す別の例の方法とは、前述の一例のプローブと別の例のプローブとの相違に加えて、一例では、プローブの先端と別のプローブの先端との距離(後述)を適宜調節可能であるのに対して、別の例では、かかる距離が最小限であるという点で異なる以外は、原理的に同じ構成を備えている。

0041

((プローブ配置工程))
プローブ配置工程におけるプローブの配置にあたっては、前述の本実施形態のプローブを皮膚表面に貼り付けてよく、プローブの中空針を皮膚表面から生体内方に向かって刺入することで、中空針の先端を真皮に到達させてよい。かかる手法は、穿刺等の外科的処置に該当しないものが好ましく、医療行為に該当しないものが好ましい。
そして、中空針の先端は、真皮よりも生体内側に位置する皮下組織には到達しないことが好ましい。

0042

このとき、刺入を一回で行う、すなわち、中空針の出し入れを行わないようにすれば、表皮電位測定の精度を高めることができるため、好ましい。
また、中空針を皮膚表面に対して垂直に刺入するようにすれば、設計通りの深さに先端を到達させることができ、且つ、皮膚の表皮の刺入操作による破壊・損傷を抑制することができるため、好ましい。
また、この工程では、本実施形態の表皮電位測定装置の中空針の長さを調節することによって、プローブの先端が真皮に達するように調整することが可能である。

0043

一方、プローブ配置工程における別のプローブの配置にあたっては、別のプローブの先端を皮膚表面に押し付けてよい。

0044

((電圧・電流計測工程))
電圧・電流計測工程において印加する電流の電流値及び印加する電圧の電圧値としては、実験条件に応じて適宜定められてよいが、通常、バリア機能を備えた健康な肌を得る観点からは、真皮中の電位を基準としたときの皮膚表面の電位は負(マイナス)となるようにすることが好ましい。

0045

本実施形態では、電圧・電流計測工程において、所与の時点において測定される電圧又は電流の所与の標準電圧又は標準電流に対する大小関係によって、操作を異ならせてよい。

0046

発明者らは、別の観点において、バリア機能が低下している皮膚に対して、例えば、−0.5Vの電圧を印加することによって、皮膚のバリア機能が向上するという現象が存在することを知見している。

0047

本実施形態では、かかる知見を鑑みて、下記の形態も好適なものとして挙げられる。
電圧・電流計測工程において、電圧を測定し、電圧の印加を行う場合には、所与の時点で、測定される電圧が所与の標準電圧よりも大きい場合には、所与の時点より後、測定される電圧が前記所与の標準電圧以下となるまで電圧の印加を行った後に更に電圧を計測することが好ましい。
例えば、標準電圧が−10mVである場合、ある時点で、測定される電圧が−5mVであったときに、それより後、測定される電圧が−15mVとなるまで電圧を印加した後に更に電圧を計測してよい。
電圧・電流計測工程において、電流を測定し、電流の印加を行う場合には、所与の時点で、測定される電流が所与の標準電流よりも小さい場合には、所与の時点より後、測定される電流が前記所与の標準電流以上となるまで電流の印加を行った後に更に電流を計測することが好ましい。
例えば、標準電流が−0.2mA/cm2である場合、ある時点で、測定される電流が−0.3mA/cm2であったときに、それより後、測定される電流が−0.1mA/cm2となるまで電流を印加した後に更に電流を計測してよい。

0048

ここで、所与の標準電圧又は標準電流とは、健常者において測定される電圧又は電流としてよい。
また、測定されるものが電圧である場合には、測定値を標準電圧と比較して大小関係を定め、測定されるものが電流である場合には、測定値を標準電流と比較して大小関係を定める。

0049

電圧又は電流の印加においては、印加電圧としては、中空針の先端付近の真皮に対する別のプローブの先端の表皮表面の電位を−3V以上0V未満としてよく、好ましくは−2V以上0V未満である。印加電流としては、−1〜0mA/cm2としてよく、好ましくは−0.5〜0mA/cm2である。印加時間としては、0〜180分としてよく、好ましくは0〜120分である。

0050

かかる実施形態によれば、表皮電位測定により皮膚のバリア機能が低下していることを検出した後、皮膚への電圧又は電流の印加によりバリア機能を向上させながら、更に表皮電位測定を行うことが可能となる。また、かかる実施形態では、別の観点からは、表皮電位測定により表皮電位をモニタリングしながら、皮膚のバリア機能を改善させる効果を得ることが可能となる。

0051

一方、本実施形態では、下記の形態も好適なものとして挙げられる。
電圧・電流計測工程において、電圧を測定し、電圧の印加を行う場合には、所与の時点で、測定される電圧が前記所与の標準電圧よりも小さい場合には、電圧の計測を停止することが好ましい。
例えば、標準電圧が−10mVである場合、ある時点で、測定される電圧が−15mVであったときに、電圧の計測を停止してよい。
電圧・電流計測工程において、電流を測定し、電流の印加を行う場合には、所与の時点で、測定される電流が所与の標準電流よりも大きい場合には、電圧の計測を停止することが好ましい。
例えば、標準電圧が−0.2mA/cm2である場合、ある時点で、測定される電流が−0.1mA/cm2であったときに、電圧の計測を停止してよい。
かかる実施形態によれば、皮膚に無用な損傷や影響等を与えることなく、必要最小限の時間で、表皮電位測定を行うことが可能となる。

0052

(美容方法)
本実施形態の美容方法は、本実施形態の表皮電位測定装置を用いて、プローブをその先端が真皮に達するように配置する工程と、別のプローブをその先端が皮膚表面に位置するように配置する工程と、を含むプローブ配置工程と、第一の電極と前記第二の電極との間で、電圧又は電流を印加する、電圧・電流印加工程と、を含むことを特徴とする。

0053

本実施形態の美容方法は、治療方法に該当しないものが好ましい。
また、本実施形態の美容方法の対象は、ヒト及び非ヒトとしてよい。

0054

((プローブ配置工程))
本実施形態の美容方法におけるプローブ配置工程は、前述の本実施形態の表皮電位測定方法におけるプローブ配置工程と同様としてよい。

0055

((電圧・電流印加工程))
本実施形態の美容方法における電圧・電流印加工程における印加電圧としては、中空針の先端付近の真皮に対する別のプローブの先端の表皮表面の電位を−3V以上0V未満としてよく、好ましくは−2V以上0V未満である。バリア機能を備えた健康な肌を得る観点からは、プローブの電位に対する別のプローブの電位は、負(マイナス)であり、且つ、当該負(マイナス)の値の絶対値がより大きいことが好ましい。
また、電圧・電流印加工程における印加電流としては、−1〜0mA/cm2としてよく、好ましくは−0.5〜0mA/cm2である。バリア機能を備えた健康な肌を得る観点から、プローブから別のプローブに向かって流れる電流は、より大きいことが好ましく、例えば、電流が負(マイナス)である場合には当該負(マイナス)の値の絶対値がより小さいことが好ましい。
印加時間としては、0〜180分としてよく、好ましくは0〜120分である。

0056

本実施形態の美容方法によれば、皮膚のバリア機能を改善させる効果を得ることができる。

0057

以上、図面を参照して、本発明のプローブ、表皮電位測定装置、表皮電位測定方法、美容方法の実施形態について例示説明したが、上記実施形態には、適宜変更を加えることができ、本発明のプローブ、表皮電位測定装置、表皮電位測定方法、美容方法は、上記例示の実施形態に限定されることはない。

0058

以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。

0059

A.材料
A−1.試薬
・アガロース(DOJINDO社製)
・NaCl(和光純薬工業社製)
・KCl(和光純薬工業社製)
・CaCl2・2H2O(和光純薬工業社製)
・HCl(和光純薬工業社製)
γ−ブチロラクトン(SigmaAldrich社製)
アセトン(和光純薬工業社製)

0060

A−2.動物
・ヘアレスマウスHR−1(星野試験動物飼育所より)
・ヒト(36男性の健常者)

0061

A−3.物品
ナノパスニードルII 34G(外径0.18mm、長さ4mm、テルモ社製)
シリコーンゴムチューブ(内径3mm、外径5mm、AS ONE社製)
ゴムチューブ(内径7.9mm、外径11.2mm、SAINT−GOBAIN社製)
生検トレパン(Kai Medical社製)
ガラス管(内径2mm、外径3mm、IWAKI社製)
Pt線(直径0.4mm、田中貴金属工業社製)
Ag線(直径0.5mm、田中貴金属工業社製)
・Ag/AgCl電極(BAS社製)
パラフィルム(AS ONE社製)
シリコーンゴムシート(AS ONE社製)
ブタから採取した皮膚(フナコシ社製)
セロハンテープ(ニチバン社製)
コットン(ニチバン社製、白十字社製)

0062

A−4.装置
・卓上型表面処理装置(ModelSSP17−110、SenLights社):UVオゾン処理
電気化学アナライザALS760C、BAS社製):電圧計
水分蒸散量測定器(H4300、日機装サーモ社製

0063

B.表皮電位測定装置の作製
B−1.塩橋針の作製
0.02gのアガロース粉末溶液を、1mLのリンゲル液(4.3g NaCl、0.15g KCl、0.165g CaCl2・2H2Oを500mLの蒸留水に溶解して調製)に添加し、加熱して粉末を溶解し、2wt%アガロース溶液を調製した。
ナノパスニードルを5分間紫外線オゾン処理(条件:強度15mW・cm2で5分間照射)し、表面を親水化した(外表面の接触角5°)。
表面処理したナノパスニードルを50℃程度に加温した蒸留水に浸し、針全体を温めた。
温めたナノパスニードルの末端側(カートリッジ側)から2wt%アガロース溶液をシリンジ注入し、室温に冷やすことで針内部にアガロースゲルを充填した。
生検トレパン(直径5mm)を用いて、ナノパスニードルのカートリッジの側面に塩橋ゴムチューブ(後述)を挿入する穴を開けた。
得られたプローブ用中空針を、使用直前まで、リンゲル液中に保存した。
プローブ用中空針の使用時には、スペーサーとしてシリコーンゴムリング(内径3mm、外径6mm、厚さ2.5〜3mm、アズワン社製)を、針の先端に装着した。

0064

B−2.塩橋ゴムチューブの作製
0.02gのアガロース粉末溶液を、1mLのリンゲル液(4.3g NaCl、0.15g KCl、0.165g CaCl2・2H2Oを500mLの蒸留水に溶解して調製)に添加し、加熱して粉末を溶解し、2wt%アガロース溶液を調製した。
シリコーンゴムチューブ(内径3mm、外径5mm)内に2wt%アガロース溶液を注入し、室温に冷却することでチューブ内にアガロースゲルを充填した。

0065

B−3.Ag/AgCl電極の作製
ガラス管を長さ20mmに切断した。
ガラス管の一端に、Pt線(直径0.4mm、長さ10mm)を挿入し、その部分をガスバーナで加熱することでガラス管を溶解し、Pt線をガラス管で封止した。
封止した側とは反対側から飽和KCl水溶液を注入し充填した。
ガラス管内にKClの粉末とAgClの粉末とを添加し、先端部に析出させた。
Ag線(作用極)、Pt線(対極)、Ag/AgCl電極(参照極)を1mMHCl水溶液に浸漬し、Ag線に対して0.6Vの定電位を300秒印加し、表面にAgClを電解析出させ、Ag/AgCl線を作製した。
KClとAgClとを析出させたガラス管にAg/AgCl線を挿入し、パラフィルムで密封した。
得られたAg/AgCl電極を、使用直前まで、飽和KCl水溶液に浸漬した。

0066

B−4.表皮電位測定装置(一体型)の作製
図2に示す構成の一体型の表皮電位測定装置を作製した。
ナノパスニードルのカートリッジ部分を外し、針部分のみ取り出した。
シリコーンゴムチューブの一端に取り出した針部分を挿入し、他端からリンゲル液で調製した2wt%アガロース溶液を注入し、充填した。これを室温まで冷却し、チューブ内にアガロースゲルを調整した。
ゴムチューブの他端側(アガロース溶液を注入した方の側)に、上述のAg/AgCl電極を挿入した。
ナノパスニードルの先端に、スペーサーとしてシリコーンゴムリング(内径1.5mm、外径4mm、厚さ2mm、アズワン社製)を装着した。
よりサイズの大きいゴムチューブ(内径7.9mm、外径11.2mm)内に、針部分−アガロースゲル−Ag/AgCl電極の構造体、及び、別途調整したAg/AgCl電極を挿入した。
そして、別途調整したAg/AgCl電極の先端の空間に、リンゲル液で調製した2wt%アガロース溶液を注入し、冷却・固化させた。

0067

B−5.表皮電位測定装置(分離型)の作製
B−4.の方法に倣って、図1に示す構成の分離型の表皮電位測定装置も作製した。

0068

C.表皮電位測定
C−1.ヘアレスマウスの表皮測定
図3に示す表皮電位測定方法を用いた。
図5に、本発明の実施形態の表皮電位測定方法の一例によりヘアレスマウスの表皮電位を計測したときの実験概要について示す図及び写真を示す。(a)に、実験原理を示す図を示し、(b)に、実験の様子を示す写真を示す。
動物実験施設内の温度を23℃、湿度を25%に設定した。
ヘアレスマウスに麻酔薬(γ−ブチロラクトン、PBS溶液原液を30倍希釈して使用)を注射し、以下の操作を麻酔のかかった状態で行った。
左右の側腹部の皮膚のそれぞれの水分蒸散量を計測した。
図5セットアップを用い、塩橋チューブ(別のプローブ)の先端を左右の側腹部の皮膚表面に、塩橋針(プローブ)を背中の真皮に刺入し、表皮電位を計測した。
従来法との比較のため、図5のセットアップにおいて、塩橋チューブを左右の側腹部の皮膚表面に、塩橋針を外した塩橋ゴムチューブ先端をマウス背中に形成した傷口(約3mm角)に接触させ(内部電極用)、表皮電位を計測した。
側腹計測部において、セロハンテープ(1cm角)を貼ってその後剥がすという操作を2〜3回繰り返し、この箇所の角質層を除去した。
右側腹の計測部において、アセトンを染み込ませたコットン(1cm角)を5分間接触させ、角質層を脱脂処理した。
角質層除去処理した箇所及び脱脂処理した箇所における水分蒸散量及び表皮電位を前述の手法に従って計測した。

0069

図6に、本発明の実施形態の表皮電位測定方法の一例によりヘアレスマウスの表皮電位を計測したときの結果について示す図を示す。(a)に、角質層除去処理を行った場合の結果を示す図を示し、(b)に、脱脂処理を行った場合の結果を示す図を示す。(a)及び(b)中、縦線は3回の測定のエラーバー(平均±標準偏差)を示す。
図6に示すのは、角質層除去処理前後で計測した表皮電位及び脱脂処理前後で計測した表皮電位である。60秒間の計測値の平均値を棒グラフとして示した。
角質層除去処理及び脱脂処理の完了は、皮膚からの水分蒸散量が50%以上増加することを測定器で計測することで確認した。
各処理により表皮電位には減少が見られ(図6白色棒)、過去の文献値と同様の典型的な変化を示した。また、得られた値は、従来の計測方法(内部電極として、マウスの背中に形成した傷口に塩橋ゴムチューブを接触させる計測方法)により得られた値(図示せず)とほぼ同様であった。更には、3回の計測値(マウス3匹で行った別々の計測値)のばらつきも小さかった。
以上から、塩橋針を用いた表皮電位測定方法の再現性と定量性とを確認することができた。

0070

C−2.ブタ皮膚の表皮電位測定(詳細検討)
図3に示す表皮電位測定方法を用いた。
図7に、本発明の実施形態におけるプローブの先端と別のプローブの先端との間の好適な距離についてブタ皮膚を用いて検討したときの実験概要及び結果について示す図を示す。(a)に、実験概要を示す図を示し、(b)に、結果を示す図を示す。
ブタの皮膚を、その厚さの半分以下程度までリンゲル液に浸した。
飽和KCl水溶液を満たした容器を2つ準備し、それぞれにAg/AgCl電極を1本ずつ浸漬した。
準備した容器の1つに、塩橋ゴムチューブの一端を浸漬し、他端を上記ブタ皮膚表面に接触させ表面電極として用いた(別のプローブの調製)。
準備した容器のもう1つに、塩橋ゴムチューブの一端を浸漬し、他端を塩橋針のカートリッジ側面に挿入した(プローブの調製)。
2本のAg/AgCl電極を電圧計に接続し、電極間電位の計測を開始した。
計測開始2秒後に塩橋針をブタの皮膚に刺入して内部電極として使用し、表皮電位を計測した。
なお、真皮内部の電位差を計測する場合は、ブタ皮膚表面の任意の1か所において表皮を生検トレパン(直径8mm)で除去し、そこへ上記の塩橋ゴムチューブの先端(別のプローブの先端)を接触させる一方、塩橋針をその先端(プローブの先端)が真皮に達するまで皮膚に刺入して、電位差を計測した。
計測電位から、2本のAg/AgCl電極自身が持つ電位差(約5mV)分を引いた値を表皮電位とした。

0071

図7(b)に示す通り、皮膚表面に設置した塩橋ゴムチューブ(表面電極)と、真皮層に刺入した塩橋針電極間の電位差を計測した。
図7(b)で示したように、真皮層内は等電位であるため、計測された電位差は、表面電極直下の表皮電位を反映する。塩橋針刺入直後、約−15mVの安定した電位を計測できた(図7(b)の実線)。また、塩橋針と表面電極間の距離を20mmから10mm、2mmと近づけても表皮電位は同程度の値を示した(図7(b)の長破線(10mm)、図7(b)の短破線(2mm))。
これより、表面電極近傍に塩橋針を刺入しても計測電位に影響しないことが示された。
このことは、表面電極と内部針電極の一体化が可能であることを示している。

0072

C−3.ブタ皮膚の表皮電位測定(詳細検討)
図3に示す表皮電位測定方法を用いた。但し、このとき、第二の電極用プローブの先端が配置される皮膚表面に対して、表皮除去処理を施した。
図8に、本発明の実施形態のプローブの中空針の好適な長さ及び中空針の外表面の好適な処理について表皮除去処理を行ったブタ皮膚を用いて検討したときの実験概要及び結果について示す図を示す。(a)に、実験概要を示す図を示し、(b)及び(c)に、結果を示す図を示す。(c)中、縦線は3回の測定のエラーバー(平均±標準偏差)を示す。
塩橋針の皮膚への刺入後の電位安定性を調べた。図8のセットアップを用い、一方の塩橋ゴムチューブ電極先端を表皮除去部分に接触させ、もう一方の塩橋針を皮膚に刺入しながら両電極間の電位差を計測した。この時、両電極は皮膚の真皮層に設置されるため、理想的には電位差を生じない。

0073

図8(b)及び図8(c)に示す通り、計測開始2秒後に塩橋針を刺入し始めた。刺入前は電位が計測できずグラフ振動しているが、刺入直後には約0mV(電位差無し)の安定した電位が計測された(図8(b)の実線)。一方、先端にスペーサーが無い場合(図8(b)の短破線)、計測電位差は0mVから大きくずれてしまい、かつその値は電極毎に大きくばらついた。これは、針先端疎水性皮下脂肪層に到達し、計測電位に影響したためと考えられる。また、スペーサーを取り付けて針先端を真皮層に留めても、UVオゾンによる親水化処理を行わないと0mVへの迅速な推移と電位の安定化が見られなかった(図8(b)の長破線)。これは、ナノパスニードル表面が疎水性のため、真皮層の間質液と針内部のアガロースゲルとの迅速な接触を妨げたと考えられる。
図8(c)は、計測開始10秒から60秒後の電位ドリフト量である。スペーサーを取り付け、かつ親水化した塩橋針は電位ドリフトが小さくなった(図8(c)の白色棒)。以上の結果より、スペーサーを取り付け、かつ親水化した塩橋針は、適切な深さに刺入されることで迅速かつ安定した電位計測が可能となった。

0074

C−4.ブタ皮膚の表皮電位測定
図4に示す表皮電位測定方法を用いた。
図9に、本発明の実施形態の表皮電位測定方法の別の例によりブタ皮膚における表皮電位を計測したときの実験概要及び結果について示す図を示す。(a)に、表皮電位測定装置を示す写真を示し、(b)に、角質層除去処理を行った場合の実験概要及び結果、並びに脱脂処理を行った場合の実験概要及び結果を示す図を示す図及び写真を示す。(b)中、A及びCは、未処理の箇所を、Bは、処理の箇所を示す。
表面電極と内部針電極を一体化したプローブを作製した(図9(a))。注射針の先端と塩橋チューブの先端との間の軸方向に直交する方向の距離は、図7で検討した最短電極間距離である2mmに設定した。また、注射針の先端と塩橋チューブの先端との間の軸方向の距離は、1mmに設定した。ブタの皮膚局所(1cm角)に角質除去部、あるいは脱脂処理部を形成し、その周囲との表皮電位の違いをプローブ電極で計測した。

0075

図9(b)に示す通り、一体型プローブ電極で計測したブタ皮膚の表皮電位である。図の写真A(正常部)、B(処理部)、C(正常部)にプローブを連続して、100秒ずつ接触させ、その時の表皮電位を計測した。図9(b)では、100秒の計測時間のうちの50秒間の表皮電位の平均値を棒グラフとして示した。ヘアレスマウスでの実験結果と同様に、処理部で表皮電位が減少する、という結果が得られた。また測定値は、従来法(内部電極として、ブタ皮膚の一部の表皮を除去し塩橋ゴムチューブを接触させる計測方法。)とほぼ同様であり、繰り返し計測での定量性を示すことができた。

0076

C−5.ヒトの表皮電位測定
図3に示す表皮電位測定方法を用いた。但し、このとき、別のプローブの先端が配置される皮膚表面に対して、アセトンによる脱脂処理を施した。
図10に、本発明の実施形態の表皮電位測定方法の別の例によりヒトの前腕における表皮電位を計測したときの実験概要について示す図を示す。(a)に、実験概要を示す図を示し、(b)に、実験の様子を示す写真を示す。
部屋の温度と湿度を確認した(温度:28.4℃、湿度:40.4%)。
図10(b)の写真に示した上腕部に2つの電極(表面電極用ゴムチューブ及び内部電極用の塩橋針)を設置し、表皮電位を計測した。電極間距離は4cmに設定した。また、針電極の刺入深さは1.5mmに設定した。刺入時に針の出し入れは行わなかった。針の先端が真皮に達していることは、針を同様の操作で2本刺入した時に測定された電位差が、2本のAg/AgCl電極自身が持つ電位差と同等になることから確認された。
電極を外し、表面電極設置個所へアセトンを染み込ませたコットン(1cm角)を5分間接触させ、角質層を脱脂処理した。
プローブ等の配置を元に戻し、脱脂処理後の表皮電位を計測した。
このとき、表面電極と皮膚との間に2cm角のコラーゲンフィルム(CLF−01、株式会社高研製。リンゲル液を染み込ませて使用。)を挟むことで表面電極の面積を広げ、脱脂処理した箇所の全体を覆うようにした(図10参照)。
その後、内部電極に対して表面電極に−0.5Vの定電圧を1時間印加した。比較例の場合は、コラーゲンフィルムを脱脂処理した箇所に貼っただけで、電圧を印加しなかった。
コラーゲンフィルムを剥がして、プローブ等の配置を元に戻し、電気刺激後の表皮電位を計測した。
以上の計測電位から、2本のAg/AgCl電極自身が持つ電位差分を引いた値を表皮電位とした。

実施例

0077

図11に、本発明の実施形態の表皮電位測定方法の別の例によりヒトの前腕における表皮電位を計測したときの結果について示す図を示す。(a)に、脱脂処理後に1時間電圧を印加した場合の結果を示す図を示し、(b)に、脱脂処理後に電圧の印加なく1時間放置した場合の結果を示す図を示す。
図11は、アセトンによる脱脂処理前後、及び電気刺激前後に計測した表皮電位である。60秒間の計測値の平均値を棒グラフとして示した。脱脂処理後、ヘアレスマウスの場合と同様に表皮電位は減少した。表面電極に対し−0.5Vの定電圧を1時間印加したところ表皮電位は増加した(図11の白色棒)。一方、刺激を加えず1時間放置した場合、表皮電位は減少した(図11斜線棒)。これらの結果から、本発明による電気刺激が表皮電位の増加、つまり回復に有効であることが示された。

0078

本発明によれば、無痛針を適度な深さで刺入することで、低侵襲な表皮電位測定を実現することができる。本発明に従う表皮電位測定装置及び表皮電位測定方法は、皮膚のバリア機能の治療診断に大きく貢献する可能性を有している。

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