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技術 作業車

出願人 株式会社クボタ
発明者 新海敦
出願日 2016年5月26日 (5年7ヶ月経過) 出願番号 2016-105364
公開日 2017年11月30日 (4年1ヶ月経過) 公開番号 2017-209069
状態 特許登録済
技術分野 農作業機用昇降装置
主要キーワード 境界づけられた 天井領域 切替操作具 SSモジュール 設定値群 動作機器 建設作業車 エンジン制御機器
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (5)

課題

作業車における不測の車速変動を適切に検知し、車速変動に応じた適切な制御が実行される技術が要望されている。

解決手段

作業車は、エンジンからの回転動力によって駆動する走行機構及び対地作業を行う作業装置と、エンジン負荷を示すエンジン負荷率を算出する負荷率算出部53と、衛星測位データを用いて車体の対地速度を算出する対地速度算出部51と、対地速度を用いて走行機構の地面に対するスリップを示すスリップ率を算出するスリップ率算出部52と、エンジンの回転数と作業装置の姿勢とを制御して適切な走行作業状態を作り出す走行作業制御部4と、エンジン負荷率とスリップ率とに基づいて走行作業状態の変更を指令する状態変更指令を出力する走行作業管理部50とを備えている。

概要

背景

このような作業車の1つとして、特許文献1によるトラクタでは、走行装置によって走行する車体に昇降自在に対地作業装置が備えられ、牽引負荷センサで検出される牽引負荷値に基づいて対地作業装置が昇降制御ドラフト制御)される。さらに、走行装置の地面に対するスリップ率を取得するスリップ率取得手段が備えられており、このスリップ率取得手段で取得したスリップ率が閾値を超えた場合には、対地作業装置が、ドラフト制御において前もって設定されている値より高い目標対機体レベル値まで上昇させられる。つまり、走行装置がスリップした場合には対地作業装置を適正に上昇させることにより、走行負荷を低減し、スリップの発生を抑制する。

また、特許文献2による作業車では、前輪及び後輪駆動力を伝達する四輪駆動状態と、後輪にのみ駆動力を伝達する二輪駆動状態とを切り換える駆動切換手段と、接地面に対する車輪のスリップ率を検出するスリップ率検出手段とが備えられ、作業車が前後方向に傾斜しているとともにスリップ率が閾値を超えた場合、二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り換えられ、傾斜とスリップ率が減少した場合、四輪駆動状態から二輪駆動状態に変更される。

概要

作業車における不測の車速変動を適切に検知し、車速変動に応じた適切な制御が実行される技術が要望されている。作業車は、エンジンからの回転動力によって駆動する走行機構及び対地作業を行う作業装置と、エンジン負荷を示すエンジン負荷率を算出する負荷率算出部53と、衛星測位データを用いて車体の対地速度を算出する対地速度算出部51と、対地速度を用いて走行機構の地面に対するスリップを示すスリップ率を算出するスリップ率算出部52と、エンジンの回転数と作業装置の姿勢とを制御して適切な走行作業状態を作り出す走行作業制御部4と、エンジン負荷率とスリップ率とに基づいて走行作業状態の変更を指令する状態変更指令を出力する走行作業管理部50とを備えている。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

エンジンを搭載した車体と、前記エンジンからの回転動力によって駆動する走行機構と、車体の走行にともなって対地作業を行う作業装置と、前記エンジンのエンジン負荷を示すエンジン負荷率を算出する負荷率算出部と、衛星測位データを用いて前記車体の対地速度を算出する対地速度算出部と、前記対地速度を用いて前記走行機構の地面に対するスリップを示すスリップ率を算出するスリップ率算出部と、前記エンジンの回転数と前記作業装置の姿勢とを制御して適切な走行作業状態を作り出す走行作業制御部と、前記エンジン負荷率と前記スリップ率とに基づいて、前記走行作業状態の変更を指令する状態変更指令を出力する走行作業管理部と、を備えた作業車

請求項2

前記走行作業管理部は、前記エンジン負荷率が所定の負荷下方しきい値以下であるとともにと前記スリップ率が所定のスリップ下方しきい値以下である場合、前記走行作業状態をより効率的な走行作業状態に変更する状態変更指令を出力する請求項1に記載の作業車。

請求項3

前記走行作業管理部は、前記エンジン負荷率が所定の負荷下方しきい値以下であるとともに前記スリップ率が所定のスリップ上方しきい値以上である場合、前記作業装置の負荷を下げる状態変更指令を出力する請求項1または2に記載の作業車。

請求項4

前記走行作業管理部は、前記エンジン負荷率が所定の負荷上方しきい値以上であるとともに、かつ前記スリップ率が所定のスリップ下方しきい値以下である場合、前記エンジンの回転数を上げる状態変更指令を出力する請求項1から3のいずれか一項に記載の作業車。

請求項5

前記走行作業管理部は、定速走行作業中の前記対地速度の低下時に、前記対地速度の低下に対する前記スリップ率と前記エンジン負荷との誘因割合を推定する誘因推定部を有し、前記誘因割合に基づいて前記状態変更指令を出力する請求項1に記載の作業車。

請求項6

前記走行作業管理部は、前記スリップの誘因割合が前記エンジン負荷の誘因割合より所定しきい値を超えて高い場合、前記作業装置の負荷を下げる前記状態変更指令を出力する請求項5に記載の作業車。

請求項7

前記走行作業管理部は、前記エンジン負荷の誘因割合が前記スリップの誘因割合より所定しきい値を超えて高い場合、前記エンジンの回転数を上げる前記状態変更指令を出力する請求項5または6に記載の作業車。

技術分野

0001

本発明は、車体に搭載されたエンジンからの回転動力によって駆動する走行機構と、車体の走行にともなって対地作業を行う作業装置とを備えた作業車に関する。

背景技術

0002

このような作業車の1つとして、特許文献1によるトラクタでは、走行装置によって走行する車体に昇降自在に対地作業装置が備えられ、牽引負荷センサで検出される牽引負荷値に基づいて対地作業装置が昇降制御ドラフト制御)される。さらに、走行装置の地面に対するスリップ率を取得するスリップ率取得手段が備えられており、このスリップ率取得手段で取得したスリップ率が閾値を超えた場合には、対地作業装置が、ドラフト制御において前もって設定されている値より高い目標対機体レベル値まで上昇させられる。つまり、走行装置がスリップした場合には対地作業装置を適正に上昇させることにより、走行負荷を低減し、スリップの発生を抑制する。

0003

また、特許文献2による作業車では、前輪及び後輪駆動力を伝達する四輪駆動状態と、後輪にのみ駆動力を伝達する二輪駆動状態とを切り換える駆動切換手段と、接地面に対する車輪のスリップ率を検出するスリップ率検出手段とが備えられ、作業車が前後方向に傾斜しているとともにスリップ率が閾値を超えた場合、二輪駆動状態から四輪駆動状態に切り換えられ、傾斜とスリップ率が減少した場合、四輪駆動状態から二輪駆動状態に変更される。

先行技術

0004

特開2012−191857号公報
特開2014−094591号公報

発明が解決しようとする課題

0005

上述した従来の作業車では、測位衛星からの測位データに基づく車速(実速度、対地速度)と車輪回転に基づく車速(見かけの速度)とから算出されるスリップ率に応じて、作業状態走行状態が変更される。つまり、特許文献1による作業車では、スリップ率に応じて対地作業装置の昇降制御が行われる。特許文献2による作業車では、スリップ率に応じて、二輪駆動四輪駆動と間での駆動方式切替が行われる。対地作業車では、一定の速度で走行しながら作業を行う定速作業走行が頻繁に用いられるので、スリップによる速度低下を検知し、何らかの方策を講じることは重要である。しかしながら、作業車における不測の車速の低下の誘因には、スリップだけではなく、エンジン負荷の増大によるエンジン回転数の低下も含まれる。
このような実情に鑑み、作業車における不測の車速変動を適切に検知し、車速変動に応じた適切な制御が実行される技術が要望されている。

課題を解決するための手段

0006

本発明による作業車は、エンジンを搭載した車体と、前記エンジンからの回転動力によって駆動する走行機構と、車体の走行にともなって対地作業を行う作業装置と、前記エンジンのエンジン負荷を示すエンジン負荷率を算出する負荷率算出部と、衛星測位データを用いて前記車体の対地速度を算出する対地速度算出部と、前記対地速度を用いて前記走行機構の地面に対するスリップを示すスリップ率を算出するスリップ率算出部と、前記エンジンの回転数と前記作業装置の姿勢とを制御して適切な走行作業状態を作り出す走行作業制御部と、前記エンジン負荷率と前記スリップ率とに基づいて、前記走行作業状態の変更を指令する状態変更指令を出力する走行作業管理部とを備えている。

0007

この構成によれば、エンジンの回転数を制御することで走行機構に伝達される回転動力の速度やトルクを調整するとともに、作業装置の姿勢を制御することで作業装置に掛かる負荷を調整する走行作業制御部には、エンジン負荷率とスリップ率が入力される。つまり、走行作業制御部は、エンジン負荷率とスリップ率とに応じて、状態変更指令を適切な制御部、例えば、エンジン回転数を制御するエンジン制御部や作業装置の姿勢を制御する作業制御部や走行機構の変速装置を制御する走行制御部に出力し、走行作業状態を適切な状態に維持する。これにより、スリップ率の変動に応じて走行作業状態を変更していた従来技術に比べ、エンジン負荷率も走行作業状態変更のための入力パラメータとして利用するので、より適切な走行作業状態変更が可能となる。

0008

走行作業中において、エンジン負荷もスリップ量も増加しない場合、作業効率省エネルギ等を考慮すれば、より負荷を与えて効率の高い走行作業状態に移行できる可能性がある。したがって、エンジンや作業装置に対してより厳しい条件を与えながら、エンジン負荷とスリップ量の変化をチェックして、効率の良い適切な走行作業状態を探ることも重要である。このため、第1の制御ルールとして、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記走行作業管理部は、前記エンジン負荷率が所定の負荷下方しきい値以下であるとともに前記スリップ率が所定のスリップ下方しきい値以下である場合、前記走行作業状態をより効率的な走行作業状態に変更する状態変更指令を出力するように構成されている。

0009

走行作業中において、エンジン負荷率が増加せずにスリップ率が増加した場合は、エンジンに余裕があっても、作業装置の負荷が高くてスリップが生じているか、あるいは、地面が滑りやすいということが考えられる。したがって、一旦作業装置の負荷を下げて、スリップ率が予定通りに改善されるかどうかをチェックすることが好ましい。このため、第2の制御ルールとして、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記走行作業管理部は、前記エンジン負荷率が所定の負荷下方しきい値以下であるとともに前記スリップ率が所定のスリップ上方しきい値以上である場合、前記作業装置の負荷を下げる状態変更指令を出力するように構成されている。

0010

走行作業中において、エンジン負荷率が増加しているにも関わらずスリップ率が増加しない場合で、かつ作業装置がロータリ耕耘装置のような駆動力を作り出す装置の場合、作業が十分に行われておらず、作業装置によって車体が押されて、不測に対地速度が速くなっている可能性がある。したがって、一旦エンジン回転数を上げて、エンジン負荷の動向をチェックすることが好ましい。このため、第3の制御ルールとして、本発明の好適な実施形態の1つでは、走行作業管理部は、所定の負荷情報しきい値以上であるとともに、かつ前記スリップ率が所定のスリップ下方しきい値以下である場合、前記エンジンの回転数を上げる状態変更指令を出力するように構成されている。

0011

上述した3つの制御ルールにおいて、負荷下方しきい値は、標準的な走行作業におけるエンジン負荷の平均値と同じか、より低い値が適しており、負荷上方しきい値は、標準的な走行作業におけるエンジン負荷の平均値と同じか、より高い値が適している。また、スリップ下方しきい値は、標準的な走行作業におけるスリップ率の平均値と同じか、より低い低い値が適しており、スリップ上方しきい値は、標準的な走行作業におけるスリップ率の平均値と同じか、より高い値が適している。制御ルール毎で、各しきい値が異なっていてもよい。

0012

定速作業走行時における作業車の対地速度(車速)の低下の誘因は、走行機構と地面との間でのスリップの発生とエンジン負荷の増大(エンジン回転数の低下)とが主である。スリップの発生がなく、エンジン負荷だけが増大している状況では、作業装置の負荷に比べてエンジンのトルクが不足している可能性が高い。したがって、エンジン回転数を上げるか、作業装置の負荷を下げる対策が考えられる。また、エンジン負荷の増大がなく、スリップだけが発生している状況では、エンジントルクには余裕があるが、作業装置の負荷が高すぎるか、走行機構がぬかるみ地や岩場を走行している可能性が高い。したがって、対地速度を下げるか作業装置の負荷を下げる対策が考えられる。しかしながら、対地速度の低下時に、スリップの発生とエンジン負荷の増大の両者が発生していることが少なくない。このため、対地速度の低下に対するスリップの発生とエンジン負荷の増大とが対地速度の低下を導く割合によって、エンジン回転数の変更や作業装置姿勢の変更などを伴う走行作業状態の変更を行うことが好ましい。このことから、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記走行作業管理部は、前記対地速度の低下時に、前記対地速度の低下に対する前記スリップ率と前記エンジン負荷との誘因割合を推定する誘因推定部を有し、前記誘因割合に基づいて前記状態変更指令を出力するように構成されている。

0013

この両者の誘因割合を入力パラメータとして、状態変更指令を構成する種々の動作機器への制御指令である出力パラメータ導出する制御機能部は、簡単にはルックアップテーブルのようなもので構築可能であるが、機械学習アルゴリズムを用いて構築してもよい。あるいは、ルールベースのような原理で構築する場合には、実験的かつ経験的に求められたしきい値を用いる好都合である。例えば、前記走行作業管理部は、前記スリップの誘因割合が前記エンジン負荷の誘因割合より所定しきい値を超えて高い場合、前記作業装置の負荷を下げる状態変更指令を出力するように構築することができる。さらには、走行作業管理部は、前記エンジン負荷の誘因割合が前記スリップの誘因割合より所定しきい値を超えて高い場合、前記エンジンの回転数を上げる状態変更指令を出力することができる。

図面の簡単な説明

0014

エンジン負荷率とスリップ率とに基づいて、走行作業状態の変更を行う制御の基本原理を説明する説明図である。
作業車の実施形態の1つを示すトラクタの側面図である。
トラクタの制御系を示す機能ブロック図である。
トラクタを用いた定車速での耕耘作業における、作業走行状態変更制御の一例を示す説明図である。

実施例

0015

本発明による作業車の具体的な実施形態を説明する前に、図1を用いて、作業車の対地作業時に、エンジン負荷率とスリップ率とに基づいて、走行作業状態の変更を行う制御の基本原理を説明する。ここでは、作業車は、動力源としてのエンジン20と、トランスミッション駆動輪からなる走行機構10と、走行にともなって対地作業を行う耕耘装置などの作業装置30とを備えている。さらに、この作業車には、GNSSモジュールなどによって構成される衛星測位モジュール80が備えられており、車体の座標位置(以下単に自車位置と称する)を示す測位データを出力する。なお、測位データで表される自車位置は、アンテナの位置が基準となるが、ここでは、自車位置は、アンテナの位置ではなく、車両の適切な位置、例えば、作業装置30の対地作用点などとなるような位置補正処理が行われる。

0016

衛星測位モジュール80からの測位データに基づいて所定時間間隔で得られる自車位置から、作業車の実際の移動速度である対地速度が算出可能である。さらに、走行機構10を構成する駆動輪の周速である回転速度(ここでは目標速度と称する)も、算出可能である。

0017

エンジン20は、走行のために走行機構10に回転動力を供給している。作業装置30は走行中に対地作業を行うので、その対地作業にともなう作業負荷が生じので、エンジン20には走行機構10を駆動するための走行負荷に加えて作業負荷も掛かってくる。従って、走行機構10の制御、エンジン20の制御、作業装置30の制御は、相互に連携して行われる。このため、走行作業制御部4には、走行機構10の状態を示す走行データ、エンジン20の状態を示す走行データ、走行機構10の状態を示す走行データが入力される。走行作業制御部4は、走行機構10の動作機器を制御する走行制御機能と、エンジン20の動作機器を制御するエンジン制御機能と、作業装置30の動作機器を制御する作業制御機能を有する。

0018

作業車は、エンジン20と走行機構10とを制御して、所定車速(目標速度)、例えば一定の車速(5km/hや10km/hなどの定車速)で走行しながら、作業装置30を対地作業する状態に制御する。但し、エンジン回転数が一定となるように制御していても、上述した走行負荷及び作業負荷が増大することによって、エンジン20に過大な負荷がかかると、エンジン回転数が低下する。したがって、目標エンジン回転数に対して実エンジン回転数が低くなると、エンジン20に過大な負荷が掛かっていると見なされる。負荷率算出部53は、この現象に基づいてエンジン負荷率を算出する。

0019

駆動輪と地面との間でスリップがなければ、目標速度と対地速度とは同一となるが、目標速度と対地速度とに差が生じると、駆動輪にスリップが発生していることになる。したがって、スリップ率算出部52は、目標速度と対地速度とからスリップ率を算出する。

0020

走行作業制御部4は、エンジン20の回転数と作業装置30の姿勢との組み合わせで適切な走行作業状態を作り出すために、エンジン20と作業装置30、必要の場合は走行機構10も制御する。適切な走行作業状態を作り出すための各種パラメータデフォルトデータとして設定されているが、これは理想的な条件によって実現するものであるので、実際の走行作業では調整が必要となる。本発明では、どのような条件においてもできる限り最適な作業結果(作業効率の向上等)を得るために、走行作業管理部50が、走行作業状態の変更を指令する状態変更指令を走行作業制御部4に出力する。この状態変更指令は、負荷率算出部53によって算出されるエンジン負荷率とスリップ率算出部52によって算出されるスリップ率とに基づいて導出される。状態変更指令は、基本的には、エンジン20と作業装置30に対する指令であり、例えば、エンジン負荷や作業負荷を適正化するために、エンジン回転数の上昇または下降、作業装置の姿勢や位置の変更を指令する。

0021

状態変更指令が出力される制御ルールの例を以下に示すが、これらの例に限定されるわけではない。
(1)エンジン負荷率が所定の負荷下方しきい値以下であるとともにスリップ率が所定のスリップ下方しきい値以下である場合、走行作業状態をより効率的な走行作業状態に変更する状態変更指令が出力される。ここで、効率的な相応作業状態とは、走行作業の速度アップや、走行作業の量的なアップを導く状態である。
(2)エンジン負荷率が所定の負荷下方しきい値以下であるとともにスリップ率が所定のスリップ上方しきい値以上である場合、作業装置30の負荷を下げる状態変更指令が出力される
(3)所定の負荷情報しきい値以上であるとともに、かつ前記スリップ率が所定のスリップ下方しきい値以下である場合、エンジン20の回転数を上げる状態変更指令が出力される。
各制御ルールで用いられるしきい値は、前もって統計的に求められた数値であってもよいし、各作業車の作業履歴に含まれるデータ群から演算によって導かれる数値であってもよい。

0022

エンジン負荷率とスリップ率とは、互いに依存して変動する場合や、それぞれが独立して変動する場合がある。また、エンジン負荷率及びスリップ率の増大は、作業車の対地速度の低下を導く。言い換えると、対地速度が低下した場合、エンジン負荷の増大とスリップの増大のどちらが、対地速度の低下の大きな誘因となったかを推定することで、適切な状態変更指令を出力することが可能となる。このためには、走行作業管理部50には、対地速度の低下に対するスリップ率とエンジン負荷との誘因割合を推定する誘因推定部501が構築され、当該誘因割合から状態変更指令を導出する機能が組み込まれる。

0023

次に、本発明の作業車の具体的な実施形態の1つを説明する。この実施形態では、作業車は、図2に示されているように、畦によって境界づけられた圃場作業地)に対して耕耘作業などの農作業を行うロータリ耕耘装置などの作業装置30を装備したトラクタである。このトラクタは、走行機構10の構成要素である前輪11と後輪12とによって支持された車体1の中央部に操縦領域が設けられている。走行機構10は前輪11や後輪12以外に変速装置を含むトランスミッションなどを備えている。車体の前部には、走行機構10に回転動力を伝達するエンジン20が搭載されている。車体1の後部には油圧式昇降機構31を介してロータリ耕耘装置である作業装置30が装備されている。ロータリ耕耘装置の回転力は、エンジン20によって供給される。したがって、車体1の走行速度(対地速度)が速くなればなるほど、ロータリ耕耘装置の耕耘深さが深くなればなるほど、エンジン20に大きな負荷が掛かってくる。前輪11は操向輪として機能し、その操舵角を変更することでトラクタの走行方向が変更される。前輪11の操舵角は操舵機構13の動作によって変更される。操舵機構13には自動操舵のための操舵モータ14が含まれている。手動走行の際には、操縦領域に配置されている前輪11の操舵ステアリングホイール22の操作によって可能である。トラクタのキャビン21には、GNSSモジュールとして構成されている衛星測位モジュール80が設けられている。図示されていないが、GPS信号GNSS信号を受信するための衛星用アンテナがキャビン21の天井領域に取り付けられている。なお、衛星測位モジュール80には、衛星航法補完するために、ジャイロ加速度センサ磁気方位センサを組み込んだ慣性航法モジュールを含めることができる。もちろん、慣性航法モジュールは、衛星測位モジュール80とは別の場所に設けてもよい

0024

図3には、このトラクタに構築されている制御系が示されている。この制御系は、図1を用いて説明された基本原理を採用している。この制御系の中核要素である制御ユニット5には、入出力インタフェースとして機能する、出力処理部7、入力処理部8、通信処理部70が備えられている。出力処理部7は、車両走行機器群71、作業装置機器群72、報知デバイス73などと接続している。車両走行機器群71には、車両走行に関する制御機器、例えばエンジン制御機器変速制御機器制動制御機器、操舵制御機器などが含まれている。作業装置機器群72には、この実施形態ではロータリ耕耘装置である作業装置30の動力制御機器や、ロータリ耕耘装置を昇降させる昇降機構31の昇降シリンダ制御機器などが含まれている。通信処理部70は、制御ユニット5で処理されたデータを遠隔地管理センタに構築された管理コンピュータ100に送信するとともに、管理コンピュータ100から種々のデータを受信する機能を有する。報知デバイス73には、フラットパネルディスプレイランプブザーが含まれており、運転者報知したい種々の情報を視覚的または聴覚的の形態で運転者や操作者に対して報知する。報知デバイス73と出力処理部7との間の信号伝送は、有線または無線で行われる。

0025

入力処理部8には、衛星測位モジュール80、走行系検出センサ群81、作業系検出センサ群82、自動/手動切替操作具83などが接続されている。走行系検出センサ群81には、エンジン回転数や変速位置などの走行に関する機器の状態を検出するセンサが含まれている。作業系検出センサ群82には、作業装置30の位置や傾きを検出するセンサ、作業負荷などを検出するセンサなどが含まれている。自動/手動切替操作具83は、自動操舵で走行する自動走行モード手動操舵で走行する手動操舵モードとのいずれかを選択するスイッチである。例えば、自動操舵モードで走行中に自動/手動切替操作具83を操作することで、手動操舵での走行に切り替えられ、自動操舵での走行中に自動/手動切替操作具83を操作することで、自動操舵での走行に切り替えられる。

0026

図1を用いて既に説明した機能部である、走行作業制御部4、対地速度算出部51、スリップ率算出部52、負荷率算出部53、走行作業管理部50が、制御ユニット5に構築されている。走行作業制御部4は、走行機構10の動作機器を制御する走行制御部41と、作業装置30の動作機器を制御する作業制御部42と、エンジン20の動作機器を制御するエンジン制御部43とを備えている。走行作業制御部4は、車体1に装備されている作業装置30と圃場の状態とから、作業装置30の作業効率が最適となる目標走行作業状態を作り出すように、エンジン回転数、変速位置、作業装置30の姿勢(耕耘深さ)を設定する。このような目標走行作業状態を作り出す各種制御機器に対する設定は予め決定することができるが、圃場状態によるスリップの発生や、エンジン負荷増大によるエンジン回転数の低下などによって、現状の走行作業状態が目標走行作業状態から外れた場合、走行作業管理部50が現状の走行作業状態を変更すべく、エンジン負荷率やスリップ率に基づいて状態変更指令を走行作業制御部4に与える。

0027

対地速度算出部51は、衛星測位モジュール80から逐次送られてくる測位データに基づいて算出した自車位置と算出された2つの自車位置の走行に要した時間とから車体1の対地速度(実車速)を求める。スリップ率算出部52は、後輪12の車軸回転数から算出される見かけの車速と、対地速度算出部51によって算出された実車速とから算出される。

0028

無負荷時のエンジン回転数である基準回転数からのエンジン回転数の低下量(エンジンドロップ量)とトルク変化との間のアクセル開度別に作成されたグラフ(テーブル)を予め求めておき、このグラフを用いて、現在のエンジン回転数から算定される部分負荷度最大負荷度とからエンジン負荷率が算出される。ここでは、簡単に、エンジン回転数の低下が大きいほど高くなる値としてエンジン負荷率を定義しておく。このようなエンジン負荷率は、エンジン制御に用いられるので、エンジン制御部43でエンジン負荷率を取り扱っている場合、負荷率算出部53は、当該エンジン負荷率を流用してもよい。

0029

走行作業管理部50は、対地速度とスリップ率とエンジン負荷率とに基づいて、走行作業制御部4によって作り出されている走行作業状態を変更すべきであると判定した場合、作業効率が改善されるように、状態変更指令を走行作業制御部4に与える。例えば、定速作業走行中において、対地速度が低下した場合、作業装置30の耕耘ピッチが細かくなり過ぎるので、エンジン回転数の上昇、耕耘深さの減少、変速比の変更などを実行する。また、対地速度が維持されているとともに、エンジン回転数の低下もない場合には、作業が順調となるが、逆に走行作業に余裕があると考えられるので、車速の微増や更新深さの微増などを通じてさらに作業効率を向上させるような状態変更指令を出力することも可能である。

0030

さらに、対地速度の低下には、エンジン負荷の増大によりエンジン回転数の低下とスリップの発生の2つの大きな誘因がある。このことから、この実施形態の走行作業管理部50には、対地速度の低下に対するスリップ率とエンジン負荷との誘因割合を推定する誘因推定部501が構築されており、誘因割合に応じて、状態変更指令の内容を決定する機能も備えている。

0031

このトラクタは、自動走行(自動操舵)と手動走行(手動操舵)の両方で走行可能である。このため、走行制御部41には、手動走行制御部411とともに自動走行制御部412が含まれている。自動走行制御部412による自動走行では、予め設定された目標走行経路に沿って走行するので、この目標走行経路を設定する経路設定部61が備えられている。

0032

目標走行経路の生成は、制御ユニット5または管理コンピュータ100あるいはその両方で行われる。制御ユニット5で、目標走行経路の作成を行う場合には、経路生成アルゴリズムを有する経路生成部62が制御ユニット5に備えられる。管理コンピュータ100で目標走行経路が生成される場合は、生成された目標走行経路が制御ユニット5に送られ、経路設定部61によって設定される。自動走行制御部412は、目標走行経路と自車位置との間の方位ずれ及び位置ずれを算出し、自動操舵指令を生成し、出力処理部7を介して車両走行機器群71に含まれる操舵モータ14(図2参照)に出力する。走行制御部41を構成する手動走行制御部411及び自動走行制御部412のいずれもが、操作指示により、走行機構10に一定車速での走行を命じる定車速指令を与えることができる。これにより、自動走行と手動走行のいずれであっても、自動的に一定車速(直進走行旋回走行とで異なる車速を採用してもよい)を維持して走行する定車速走行が可能である。

0033

制御ユニット5に入力されたデータや制御ユニット5で生成されたデータは、記録部55に記録され、記録されたデータのなかで指定されたものは、リアルタイム処理またはバッジ処理で、管理コンピュータ100に転送される。

0034

制御ユニット5で取り扱われる各種データが、所定の許容範囲を超えた場合や、走行作業管理部50によって状態変更指令が出力された場合には報知デバイス73を通じてその内容を報知するための報知データを生成する報知部56も備えられている。

0035

次に図4を用いて、トラクタを用いた所定の定車速での耕耘作業における、作業走行状態変更の一例を簡単に説明する。まず、走行作業開始時:P0に、各種制御機器を制御する走行作業制御部4の走行作業制御設定値群にこの圃場及び作業装置30に最適とみなされる初期値デフォルト値)を設定する。走行作業を開始し、ある地点:P1において、しきい値以上の車速低下(対地速度の低下)が生じる。その時点で算出されたエンジン負荷率とスリップ率とから車速低下に対するそれらの誘因割合が推定される。車速低下量、エンジン負荷率、スリップ率に基づいて、現状の作業走行状態を変更すべきかどうかが、判定される。作業走行状態の変更が不要との判定結果であっても、しきい値以上の車速低下が生じている限り、この判定処理続行される。地点:P2で作業走行状態の変更が必要との判定結果が出力されると、車速低下量、エンジン負荷率、スリップ率、車速低下量を入力パラメータとして、現状の作業走行状態を適正に変更することができる状態変更指令が走行作業管理部50で生成され、走行作業制御部4に与えられる。状態変更指令にはエンジン回転数の微増または微増、耕耘深さの微減または微増、定車速値の微減または微増などが含まれる。このような作業走行状態の変更を繰り返すことで、最適な作業走行状態が実現するように作業走行が行われる。

0036

図4を用いた例では、作業走行状態変更は、車速低下に対するエンジン負荷率及びスリップ率の誘因割合に基づいて行われていたが、これに代えて、上述したしきい値を用いた制御ルールに基づいて行われてもよい。さらに、誘因割合を用いた作業走行状態変更と制御ルール用いた作業走行状態変更とを選択する構成や、両者を混在させる構成を採用してもよい。

0037

〔別実施の形態〕
(1)上述した実施形態では、作業車として、ロータリ耕耘機を作業装置30として装備したトラクタを、作業車として取り上げたが、そのようなトラクタ以外にも、例えば、田植機施肥機コンバインなどの農作業車、あるいは作業装置30としてドーザローラ等を備える建設作業車等の種々の作業車も、実施形態として採用することができる。
(2)図1及び図2で示された機能ブロック図における各機能部は、主に説明目的で区分けされている。実際には、各機能部は他の機能部と統合または複数の機能部に分けることができる。

0038

本発明は、衛星測位データを用いて対地速度を把握しながら、対地作業を行う作業車に適用される。

0039

1 :車体
4 :走行作業制御部
5 :制御ユニット
7 :出力処理部
8 :入力処理部
10 :走行機構
20 :エンジン
30 :作業装置
31 :昇降機構
41 :走行制御部
411 :手動走行制御部
412 :自動走行制御部
42 :作業制御部
43 :エンジン制御部
50 :走行作業管理部
501 :誘因推定部
51 :対地速度算出部
52 :スリップ率算出部
53 :負荷率算出部
55 :記録部
56 :報知部
70 :通信処理部
71 :車両走行機器群
72 :作業装置機器群
73 :報知デバイス
100 :管理コンピュータ

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