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技術 硫化物系固体電解質及びナトリウム電池

出願人 国立大学法人東京工業大学株式会社リコー
発明者 竹内重雄菅野了次
出願日 2016年12月1日 (4年0ヶ月経過) 出願番号 2016-234390
公開日 2017年11月24日 (3年1ヶ月経過) 公開番号 2017-208324
状態 特許登録済
技術分野 二次電池(その他の蓄電池) 一次電池(その1) ガラス組成物(第三版) 導電材料 りん、その化合物
主要キーワード 表示圧力 原料仕込み組成 周波数応答解析 コバルト酸ナトリウム 環境負荷材料 負荷平準 試料ペレット 一軸プレス機
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図面 (7)

課題

リチウム二次電池用固体電解質導電率と同レベルの高い導電率が得られる硫化物系固体電解質の提供。

解決手段

Na元素、P元素、及びS元素を含み、かつNa3PS4の組成を有する硫化物系固体電解質であって、前記Na3PS4の結晶構造正方晶であり、前記Na3PS4の格子定数aが6.948Å以上6.970Å以下であり、前記Na3PS4の格子定数cが7.087Å以上7.096Å以下である硫化物系固体電解質である。

概要

背景

ナトリウム二次電池は、低環境負荷材料ナトリウム背景低コストの次世代電池として期待されている。現在、大規模電力貯蔵用として昼夜負荷平準などに用いられるナトリウム−硫黄電池NaS電池)は、β−アルミナ結晶体固体電解質として用いられているが、固体電解質のナトリウムイオン導電性を確保するため、その作動温度は300℃以上の高温に限られる。

このような背景の中で、常温における導電率が10−4S/cmと高いNa3PS4の組成を有する硫化物系固体電解質を使用することで、これまで高温でしか動作しなかったナトリウム−硫黄電池を常温で動作させることが可能となることが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。また、導電率が7×10−4S/cmという高いナトリウム導電体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、同じく電力貯蔵用電池として期待されるリチウム二次電池用固体電解質の導電率は約10−2S/cmと約一桁大きいことが報告されている(例えば、非特許文献2参照)。

概要

リチウム二次電池用固体電解質の導電率と同レベルの高い導電率が得られる硫化物系固体電解質の提供。Na元素、P元素、及びS元素を含み、かつNa3PS4の組成を有する硫化物系固体電解質であって、前記Na3PS4の結晶構造正方晶であり、前記Na3PS4の格子定数aが6.948Å以上6.970Å以下であり、前記Na3PS4の格子定数cが7.087Å以上7.096Å以下である硫化物系固体電解質である。なし

目的

本発明は、リチウム二次電池用固体電解質の導電率と同レベルの高い導電率が得られる硫化物系固体電解質を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

Na元素、P元素、及びS元素を含み、かつNa3PS4の組成を有する硫化物系固体電解質であって、前記Na3PS4の結晶構造正方晶であり、前記Na3PS4の格子定数aが6.948Å以上6.970Å以下であり、前記Na3PS4の格子定数cが7.087Å以上7.096Å以下であることを特徴とする硫化物系固体電解質。

請求項2

前記硫化物系固体電解質の正方晶Na3PS4のNaが、欠陥を有する請求項1に記載の硫化物系固体電解質。

請求項3

X線波長1.5418ÅのCu−Kα線による粉末X線回折測定において、17.8°、18.0°、31.0°、31.3°、36.1°、及び36.5°の回折角(2θ)付近ピークを有する請求項1から2のいずれかに記載の硫化物系固体電解質。

請求項4

交流インピーダンス法により測定した25℃でのNaイオン導電率が、1.5×10−4S/cm以上である請求項1から3のいずれかに記載の硫化物系固体電解質。

請求項5

正極、負極、及び請求項1から4のいずれかに記載の硫化物系固体電解質を有することを特徴とするナトリウム電池

請求項6

ナトリウム二次電池である請求項5に記載のナトリウム電池。

技術分野

0001

本発明は、硫化物系固体電解質、及びこれを用いたナトリウム電池に関する。

背景技術

0002

ナトリウム二次電池は、低環境負荷材料ナトリウム背景低コストの次世代電池として期待されている。現在、大規模電力貯蔵用として昼夜負荷平準などに用いられるナトリウム−硫黄電池NaS電池)は、β−アルミナ結晶体固体電解質として用いられているが、固体電解質のナトリウムイオン導電性を確保するため、その作動温度は300℃以上の高温に限られる。

0003

このような背景の中で、常温における導電率が10−4S/cmと高いNa3PS4の組成を有する硫化物系固体電解質を使用することで、これまで高温でしか動作しなかったナトリウム−硫黄電池を常温で動作させることが可能となることが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。また、導電率が7×10−4S/cmという高いナトリウム導電体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、同じく電力貯蔵用電池として期待されるリチウム二次電池用固体電解質の導電率は約10−2S/cmと約一桁大きいことが報告されている(例えば、非特許文献2参照)。

発明が解決しようとする課題

0004

本発明は、リチウム二次電池用固体電解質の導電率と同レベルの高い導電率が得られる硫化物系固体電解質を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0005

前記課題を解決するための手段としての本発明の硫化物系固体電解質は、Na元素、P元素、及びS元素を含み、かつNa3PS4の組成を有する硫化物系固体電解質であって、
前記Na3PS4の結晶構造正方晶であり、
前記Na3PS4の格子定数aが6.948Å以上6.970Å以下であり、
前記Na3PS4の格子定数cが7.087Å以上7.096Å以下である。

発明の効果

0006

本発明によると、リチウム二次電池用固体電解質の導電率と同レベルの高い導電率が得られるナトリウム二次電池用の硫化物系固体電解質を提供することができる。

図面の簡単な説明

0007

図1は、実施例1〜4及び比較例1〜2の硫化物系固体電解質のX線回折図である。
図2は、実施例1〜4について、図1のX線回折図からリートベルト解析で求めた格子定数aと原料仕込み組成との関係を示す図である。
図3は、実施例1〜4について、図1のX線回折図からリートベルト解析で求めた格子定数cと原料仕込み組成との関係を示す図である。
図4は、実施例1〜4について、導電率と原料仕込み組成との関係を示す図である。
図5は、実施例5のナトリウム二次電池について充放電サイクルを繰り返したときの放電容量の推移を示す図である。
図6は、Na欠陥のない正方晶Na3PS4の結晶構造を示した図である。
図7は、本発明のNa欠陥を有する正方晶Na3PS4の結晶構造を示した図である。

0008

(硫化物系固体電解質)
本発明の硫化物系固体電解質は、Na元素、P元素、及びS元素を含み、かつNa3PS4の組成を有する硫化物系固体電解質であって、
前記Na3PS4の結晶構造が正方晶であり、
前記Na3PS4の格子定数aが6.948Å以上6.970Å以下であり、
前記Na3PS4の格子定数cが7.087Å以上7.096Å以下である。
更に、前記Na3PS4のNaが、欠陥を有することが好ましい。

0009

なお、既知の正方晶Na3PS4の格子定数aは6.9520Å、格子定数cは7.0757Åである(M.Jansen and U.Henseler, Synthesis, Structure Determination, and Ionic Conductivity of Sodium Tetrathiophosphate, JOURNALOF SOLID STATE CHEMISTRY, 99,110−119(1992)参照)。

0010

本発明の硫化物系固体電解質は、従来技術では、ナトリウム二次電池用固体電解質において、リチウム二次電池用固体電解質と導電率が同レベルのものは得られていないという知見に基づくものである。
本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、正方晶Na3PS4の格子定数a及び格子定数cを最適な範囲とすることにより、前記課題が解決できることを見出して、本発明を完成した。
したがって、本発明の硫化物系固体電解質は、Na元素、P元素、及びS元素を含み、かつNa3PS4の組成を有し、前記Na3PS4の結晶構造が正方晶であり、前記Na3PS4の格子定数aが6.948Å以上6.970Å以下であり、前記Na3PS4の格子定数cが7.087Å以上7.096Å以下であること、更に好ましくは前記Na3PS4のNaが欠陥を有することにより、リチウム二次電池用固体電解質の導電率と同レベルの高い導電率が得られ、ナトリウム二次電池用固体電解質として好適である。

0011

前記の格子定数範囲について、規定範囲より小さいと立体障害によりイオン動きにくくなり、導電率が落ちてしまい、逆に規定範囲より大きいとイオンが導電する際のイオンホッピングが円滑に進まず、この場合も導電率が落ちてしまう。つまり、本発明はこの適正な格子サイズが重要となる。更に、結晶中のNa欠陥も導電性に寄与する。本発明のNa欠陥は、フレンケル欠陥に該当し、格子点イオンが格子間に移り、その後に空孔が残った欠陥のことである。これについて、図6に欠陥のない正方晶Na3PS4、図7に欠陥が生じてNaが移動した構造を示した。図7のNaの移動について、Na1がNa4へ移り、Na2がNa3に移る。このような欠陥による隙が存在することで、イオンが動きやすくなり、本発明の導電性が向上につながる。また、格子間に移動したNa(Na3)が、イオン導電方向、つまりc軸方向に連なり、イオン導電パスが形成していることも導電率向上に寄与すると考えられる。

0012

ここで、前記格子定数a及びc、Naの占有率欠損)を求める際に使用したRietveld法について説明する。
前記Rietveld法は、粉末X線回折測定中性子回折測定により得られた回折図形から、精度の高い多くの構造パラメーターを得ることを可能とした構造解析法である。解析は、測定により得られた回折点に対して、予測される構造モデルから算出される積分強度ピーク形状、及びプロファイル近似により計算した回折点から当てはめ構造精密化を行うものである。
本発明においても、前記格子定数a及びc、Naの占有率(欠損)を求める際にはRietveld法を用い、解析プログラムにはZ−Rietveldを使用することができる。

0013

前記硫化物系固体電解質は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、X線波長1.5418オングストローム(Å)のCu−Kα線による粉末X線回折測定において、17.8°、18.0°、31.0°、31.3°、36.1°、36.5°の回折角(2θ)付近特徴的ピークを有することが好ましい。
ここで、図1に後述する実施例1〜4及び比較例1〜2の硫化物系固体電解質についての粉末X線回折図を示す。なお,Na3PS4の構造(正方晶又は立方晶)は、この回折パターンから同定することができる。

0014

前記硫化物系固体電解質を合成するための出発原料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナトリウム、硫黄リン硫化ナトリウム(Na2S)、硫化リン(P4S3、P2S5、P4S7)などが挙げられる。これらは、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。これらの中でも、硫化ナトリウム(Na2S)、五硫化二リン(P2S5)が好ましい。

0015

前記硫化物系固体電解質の合成方法については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記出発原料を混合した後に200℃以上500℃以下の温度で焼成することによって得られる。また、その後、600℃以上1,000℃以下の温度で焼成した後、水や氷水などを使用して試料急冷焼き入れ又はクエンチ)してもよいし、室温までゆっくり冷却してもよい。更に、200℃以上500℃以下の温度で焼成してもよい。この合成方法は、本発明の格子定数が大きく、かつNa欠陥を有する正方晶PS4に必要となる。

0016

本明細書において、「導電率」とは、Naイオンのイオン導電率を意味する。なお、以下では「Naイオンの導電率」を単に「イオン導電率」又は「導電率」ということがある。
前記硫化物系固体電解質に起因する高い導電率が阻害されなければ、本発明の固体電解質は、前記硫化物系固体電解質以外に他の固体電解質を含んでいてもよい。
前記硫化物系固体電解質のイオン導電率は、例えば、交流インピーダンス法により測定することができる。
前記硫化物系固体電解質は、25℃でのNaイオン導電率が1.5×10−4S/cm以上が好ましく、2.0×10−4S/cm以上がより好ましい。
前記導電率は、例えば、ソーラトロン社製のインピーダンスゲイフェーズアナライザー(solartron1260)などを用いて測定することができる。

0017

本発明の硫化物系固体電解質は、リチウム二次電池用固体電解質の導電率と同レベルの高い導電率が得られるので、各種用途に用いることができるが、以下に説明するナトリウム電池の固体電解質として特に好適である。

0018

(ナトリウム電池)
本発明のナトリウム電池は、正極、負極、及び本発明の硫化物系固体電解質を有し、更に必要に応じてその他の部材を有する。

0019

前記正極としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硫黄、硫化チタン等の硫化金属コバルト酸ナトリウムマンガン酸ナトリウムニッケル酸ナトリウム等の金属酸ナトリウムなどが挙げられる。
前記負極としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナトリウム金属ナトリウム合金、ナトリウムイオンでドープ乃至脱ドープ可能な材料から選ばれる電極活物質を含有する電極などが挙げられる。

0020

本発明のナトリウム電池は、一次電池であってもよく、二次電池であってもよいが、二次電池が好ましい。
前記ナトリウム電池の形状としては、容器の形状に従い、例えば、コイン型円筒型、角型などが挙げられる。
前記その他の部材としては、例えば、セパレータ外装缶電極取り出し線などが挙げられる。

0021

以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。

0022

(実施例1)
−硫化物系固体電解質1の作製−
アルゴン雰囲気グローブボックス内で、出発原料の硫化ナトリウム(Na2S)を22.079g、五硫化二リン(P2S5)を1.921g量り取り、メノウ乳鉢で10分間混合後、更に振動ミルを使用して出発原料を混合した。
振動ミルとしては、CMT社製TI−100を使用し、その中には、出発原料と一緒アルミナ製の粉砕媒体を入れて、回転数1,440rpmで30分間処理を実施した。なお、粉砕媒体としては直径5.3cm×5.5cmのロッド状のものを用いた。
その後、処理した試料0.1gを、一軸プレス機理研精機株式会社製、P−6)を用いて、表示圧力10MPaで直径1mmのペレットを作製し、あらかじめ炭素コーティングした石英管石英との反応を防ぐための炭素コーティング)に入れ、約30Paで真空封入した。
この真空封入された試料を、電気炉で3時間かけて450℃まで昇温し、450℃で8時間維持して、その後室温(25℃)まで徐冷した。
更に、電気炉で3時間かけて700℃まで昇温し、700℃で8時間維持して、その後試料が入った石英管を氷水に入れて急冷し、3時間保持した。
そして、それを再度電気炉で3時間かけて450℃まで昇温し、450℃で8時間維持して、その後、室温(25℃)まで徐冷した。以上により、[硫化物系固体電解質1]を得た。
得られた[硫化物系固体電解質1]の組成は、仕込み量で、Na3−5xP1−xS4(x=0.01)であった。

0023

(実施例2)
−硫化物系固体電解質2の作製−
実施例1において、出発原料の配合量を下記のように変更した以外は、実施例1と同様にして、[硫化物系固体電解質2]を作製した。
・硫化ナトリウム(Na2S):2.052g
・五硫化二リン(P2S5):1.948g
得られた[硫化物系固体電解質2]の組成は、仕込み量で、Na3−5xP1−xS4(x=0.00)であった。

0024

(実施例3)
−硫化物系固体電解質3の作製−
実施例1において、出発原料の配合量を下記のように変更した以外は、実施例1と同様にして、[硫化物系固体電解質3]を作製した。
・硫化ナトリウム(Na2S):2.025g
・五硫化二リン(P2S5):1.975g
得られた[硫化物系固体電解質3]の組成は、仕込み量で、Na3−5xP1−xS4(x=−0.01)であった。

0025

(実施例4)
−硫化物系固体電解質4の作製−
実施例1において、出発原料の配合量を下記のように変更した以外は、実施例1と同様にして、[硫化物系固体電解質4]を作製した。
・硫化ナトリウム(Na2S):1.998g
・五硫化二リン(P2S5):2.002g
得られた[硫化物系固体電解質4]の組成は、仕込み量で、Na3−5xP1−xS4(x=−0.02)であった。

0026

(比較例1)
−比較硫化物系固体電解質1の作製−
アルゴン雰囲気のグローブボックス内で、出発原料の硫化ナトリウム(Na2S)を22.025g、五硫化二リン(P2S5)を1.975g量り取り、メノウ乳鉢で10分間混合後、更に振動ミルを使用して出発原料を混合した。
振動ミルには、CMT社製TI−100を使用し、その中には、試料と一緒にアルミナ製の粉砕媒体を入れて、回転数1,440rpmで30分間処理を実施した。なお、粉砕媒体としては直径5.3cm×5.5cmのロッド状のものを用いた。
その後、処理した試料0.1gを、一軸プレス機(理研精機株式会社製、P−6)を用いて、表示圧力10MPaで直径1mmのペレットを作製し、あらかじめ炭素コーティングした石英管(石英との反応を防ぐための炭素コーティング)に入れ、約30Paで真空封入した。
この真空封入された試料を、電気炉で3時間かけて450℃まで昇温し、450℃で8時間維持して、その後室温まで徐冷した。
また、更に、電気炉で3時間かけて700℃まで昇温し、700℃で8時間維持して、その後試料が入った石英管を氷水に入れて急冷し、3時間保持した。以上により、[比較硫化物系固体電解質1](正方晶Na3PS4)を作製した。
得られた[比較硫化物系固体電解質1]の組成は、仕込み量で、Na3−5xP1−xS4(x=−0.01)であった。

0027

(比較例2)
−比較硫化物系固体電解質2の作製−
アルゴン雰囲気のグローブボックス内で、出発原料の硫化ナトリウム(Na2S)を22.105g、五硫化二リン(P2S5)を1.895gは量り取り、メノウ乳鉢で10分間混合後、更に振動ミルを使用して出発原料を混合した。
振動ミルには、CMT社製TI−100を使用し、その中には、試料と一緒にアルミナ製の粉砕媒体を入れて、回転数1,440rpmで30分間処理を実施した。なお、粉砕媒体としては直径5.3cm×5.5cmのロッド状のものを用いた。
その後、処理した試料0.1gを、一軸プレス機(理研精機株式会社製、P−6)を用いて、表示圧力10MPaで直径1mmのペレットを作製し、あらかじめ炭素コーティングした石英管(石英との反応を防ぐための炭素コーティング)に入れ、約30Paで真空封入した。
この真空封入された試料を、電気炉で3時間かけて450℃まで昇温し、450℃で8時間維持して、その後、室温(25℃)まで徐冷した。
また、更に、電気炉で3時間かけて700℃まで昇温し、700℃で8時間維持して、その後試料が入った石英管を氷水に入れて急冷し、3時間保持した。以上により、[比較硫化物系固体電解質2](立方晶Na3PS4)を作製した。
得られた[比較硫化物系固体電解質2]の組成は、仕込み量で、Na3−5xP1−xS4(x=0.02)であった。

0028

次に、作製した各硫化物系固体電解質について、以下のようにして、結晶構造、格子定数a、格子定数c、Naの占有率(欠損)、及び導電率を測定した。結果を表1及び表2に示した。

0029

<結晶構造>
実施例1〜4と比較例1〜2で得られた硫化物系固体電解質について、X線波長1.5418オングストローム(Å)のCu−Kα線による粉末X線回折測定装置(Smart−Lab、Rigaku社製)により、図1に示すX線回折パターンを求め、この回折パターンから結晶構造を同定することができる。

0030

<格子定数a、格子定数c、及びNaの占有率(欠損)>
実施例1〜4及び比較例1〜2で得られた硫化物系固体電解質について、図1に示すX線回折パターンからRietveld法を用い、解析プログラムにはZ−Rietveldを使用して、格子定数a、格子定数c、及びNaの占有率(欠損)を求めた。
具体的には、測定で得られたX線回折図形に,仮定される構造モデルから算出される回折図形を当てはめてカーブフィッティングすることにより、格子定数a、格子定数c、及びNaの占有率(欠損)を求めた。
図2は、実施例1〜4について、図1のX線回折図からリートベルト解析で求めた格子定数aと原料仕込み組成との関係を示す図である。
図3は、実施例1〜4について、図1のX線回折図からリートベルト解析で求めた格子定数cと原料仕込み組成との関係を示す図である。
図4は、実施例1〜4について、導電率と原料仕込み組成との関係を示す図である。
図6は、比較例2のNa欠陥のない正方晶Na3PS4の結晶構造を示した図である。
図7は、実施例1〜4及び比較例1のNa欠陥を有する正方晶Na3PS4の結晶構造を示した図である。

0031

<導電率>
実施例1〜4と比較例1〜2で得られた硫化物系固体電解質について、交流インピーダンス法により25℃でのNaイオン導電率を測定した。
まず、アルゴン雰囲気のグローブボックス内で、試料ペレットの両面に、金粉末ニラコ社製、樹状粒径約10μm)を約10mg載せて、均一にペレット表面上に分散させ、表示圧力30MPa(成型圧力約560MPa)で成型した。その後、得られたペレットを、アルゴン雰囲気を維持できる密閉式電気化学セルに入れた。
測定には、周波数応答解析装置FRA(Frequency Response Analyzer)として、ソーラトロン社製のインピーダンス・ゲインフェーズアナライザー(solartron1260)を用い、恒温装置として小型環境試験機(Espec corp、SU−241)を用いた。
測定は交流電圧10mV〜1,000mV、周波数範囲1Hz〜10MHz、積算時間0.2秒間、温度25℃の条件で、高周波領域から測定を開始し、導電率を求めた。

0032

0033

表1の結果から、実施例1〜4は、格子定数aが6.948Å〜6.970Å、格子定数cが7.087Å〜7.096Åであり、導電率が高くなることがわかった。
実施例1〜4の中で最も高い導電率を示す実施例2の導電率は、3.393×10−3[S/cm]であり、比較例1及び2と比べて、30倍〜2,000倍も導電率が高かった。
更に、表2の結果から、通常の正方晶Na3PS4のNa1、Na2の占有率が100%以下となる。つまりNa1、Na2が欠陥を有することで、導電率が高くなることがわかった。

0034

(実施例5)
<ナトリウム電池の作製>
−電極の作製−
電極活物質としてTiS2粉末和光純薬工業株式会社製)、導電剤としてアセチレンブラック電気化学工業株式会社製)、及び電極形成剤としてポリフッ化ビニリデンPVdF、株式会社クレハ製、#1300)を、電極活物質:導電剤:電極形成剤=8:1:1(質量比)の組成となるようにそれぞれ量した。
まず、前記電極形成剤をメノウ乳鉢に加え、そこへ溶剤としてのN−メチル−2−ピロリドン(NMP、東京化成工業株式会社製)を適量加えて充分に混合して前記電極形成剤が溶解したことを確認した後、更に前記電極活物質及び前記導電剤を加えて充分に混合することにより電極合剤ペーストを得た。
次に、得られた電極合剤ペーストを、銅箔アプリケータを用いて100μmの厚みで塗布し、これを真空乾燥機に入れ、溶剤を除去させながら、十分に乾燥することによって電極シートを得た。
得られた電極シートをロールプレスにて十分に圧着した後、電極打ち抜き機で直径1.0cmに打ち抜くことにより、ナトリウム電池用正極を得た。

0035

−固体電解質の作製−
実施例2で作製した硫化物系固体電解質2を用いて、直径1.0cm、厚み0.70mmの円板状の固体電解質Aを作製した。

0036

−ナトリウム二次電池の作製−
コインセル(宝株式会社製)の下側パーツの窪みに、正極としての上記電極の活物質面を上に向けて置き、前記固体電解質A、及び負極としてナトリウム金属(関東化学株式会社製)を組み合わせて、ナトリウム二次電池を作製した。なお、電池の組み立てはアルゴン雰囲気のグローブボックス内で行った。

0037

<ナトリウム二次電池の評価>
ナトリウム二次電池の充放電条件として、充電レストポテンシャルから2.5Vまで1.0mA/cm2で定電流充電を行った。放電は1.0mA/cm2で定電流放電を行い、電圧1.3Vでカットオフした。この充放電を50サイクル繰り返し、その放電容量の推移を図5に示した。なお、放電容量は、TOSCAT3100(東洋システム株式会社製)を用いて測定した。
図5の結果から、放電容量は安定的に推移したことから、本発明で用いる硫化物系固体電解質は、ナトリウム二次電池として問題なく使用できることが明らかであった。

0038

本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> Na元素、P元素、及びS元素を含み、かつNa3PS4の組成を有する硫化物系固体電解質であって、
前記Na3PS4の結晶構造が正方晶であり、
前記Na3PS4の格子定数aが6.948Å以上6.970Å以下であり、
前記Na3PS4の格子定数cが7.087Å以上7.096Å以下であることを特徴とする硫化物系固体電解質である。
<2> 前記硫化物系固体電解質の正方晶Na3PS4のNaが、欠陥を有する前記<1>に記載の硫化物系固体電解質である。
<3>X線波長1.5418ÅのCu−Kα線による粉末X線回折測定において、17.8°、18.0°、31.0°、31.3°、36.1°、及び36.5°の回折角(2θ)付近にピークを有する前記<1>から<2>のいずれかに記載の硫化物系固体電解質である。
<4>交流インピーダンス法により測定した25℃でのNaイオン導電率が、1.5×10−4S/cm以上である前記<1>から<3>のいずれかに記載の硫化物系固体電解質である。
<5> 正極、負極、及び前記<1>から<4>のいずれかに記載の硫化物系固体電解質を有することを特徴とするナトリウム電池である。
<6>ナトリウム二次電池である前記<5>に記載のナトリウム電池である。

実施例

0039

前記<1>から<4>のいずれかに記載の硫化物系固体電解質、及び前記<5>から<6>のいずれかに記載のナトリウム電池によると、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。

0040

国際公開第2013/133020号パンフレット

先行技術

0041

A.Hayashi et.al, Superionic Glass−Ceramic Electrolytes for Room−Temperature Rechargeable Sodium Batteries,Nature Communications,3 (2012)856:1−5
Noriaki Kamaya, et.al, A lithium superionic conductor,Nature Materials,10,682−686(2011)

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