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技術 エンジン始動装置

出願人 株式会社デンソー
発明者 久保祐輝中岡卓郎
出願日 2016年5月16日 (3年9ヶ月経過) 出願番号 2016-097891
公開日 2017年11月24日 (2年3ヶ月経過) 公開番号 2017-206966
状態 特許登録済
技術分野 内燃機関の始動装置 電動機,発電機と機械的装置等との結合 減速機2
主要キーワード 回転抑制部材 端面距離 係合プレート 軸方向動作 定速度指令 ダミーピン 軸方向モータ 外側磁極片
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (11)

課題

噛合い騒音の低減と噛み合い時間の短縮とを両立できるエンジン始動装置を提供する。

解決手段

制御装置3は、ピニオン8がリングギヤGに当接する前と当接する後のトルク変化を基に、ピニオン8とリングギヤGとの間の軸方向距離端面距離)を予め把握し、この端面距離に対応するモータ4の回転角度基準モータ回転角度として記憶する。 制御装置3は、モータ4への通電を開始した後、回転角センサ39で検出されるモータ4の回転角度が基準モータ回転角度に達する前にモータ4の回転を減速して、ピニオン8がリングギヤGに当接する前(望ましくは直前)にピニオン8の移動速度を抑制する。その結果、ピニオン8がリングギヤGに当接する際に生じる音を低減できる。また、モータ4の回転が減速された状態からピニオン8をリングギヤGに噛み合わせることができるので、ピニオン8とリングギヤGとの噛み合い時に生じる騒音も小さくなる。

概要

背景

従来、特許文献1に開示されたスタータがある。
同スタータは、出力軸捩れスプラインを介して嵌合するピニオンクラッチと、このピニオンクラッチの外周を押圧してピニオンクラッチの回転を抑制する回転抑制部材と、通電により磁界を発生して回転抑制部材をピニオンクラッチの外周に付勢する界磁コイル等を有する。ピニオンクラッチは、回転抑制部材により回転が抑制された状態で、出力軸がモータに駆動されて回転することにより、出力軸の軸上を移動してエンジンリングギヤに噛み合うことができる。

概要

噛合い騒音の低減と噛み合い時間の短縮とを両立できるエンジン始動装置を提供する。制御装置3は、ピニオン8がリングギヤGに当接する前と当接する後のトルク変化を基に、ピニオン8とリングギヤGとの間の軸方向距離端面距離)を予め把握し、この端面距離に対応するモータ4の回転角度基準モータ回転角度として記憶する。 制御装置3は、モータ4への通電を開始した後、回転角センサ39で検出されるモータ4の回転角度が基準モータ回転角度に達する前にモータ4の回転を減速して、ピニオン8がリングギヤGに当接する前(望ましくは直前)にピニオン8の移動速度を抑制する。その結果、ピニオン8がリングギヤGに当接する際に生じる音を低減できる。また、モータ4の回転が減速された状態からピニオン8をリングギヤGに噛み合わせることができるので、ピニオン8とリングギヤGとの噛み合い時に生じる騒音も小さくなる。

目的

本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、その目的は、噛合い騒音の低減と噛み合い時間の短縮とを両立できるエンジン始動装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ピニオン(8)を軸方向に移動させてエンジン(1)のリングギヤ(G)に噛み合わせ、且つ、モータ(4)に発生するトルクを前記ピニオンに伝達して前記エンジンをクランキングするスタータ(2)と、このスタータの動作を制御する制御装置(3)とを備えるエンジン始動装置であって、前記スタータは、前記モータの回転軸(4a)に設けられる太陽歯車(12)、この太陽歯車と同心に配置されて回転可能に設けられる内歯車(13)、前記太陽歯車と前記内歯車とに噛み合う遊星歯車(14)、および前記遊星歯車の公転運動を出力する遊星キャリア(15)を含んで構成される遊星歯車装置(5)と、前記遊星キャリアに連結されるブレーキ板(23)を有し、このブレーキ板に対し制動力を発生することで前記遊星キャリアの回転を抑制できるブレーキ装置(9)と、前記遊星キャリアの回転が抑制されることで前記ピニオンに軸方向の直線運動を与える軸方向動作部(10)と、前記遊星キャリアの回転が許容されることで前記ピニオンに回転運動を与える回転方向動作部(7)とを有し、前記ブレーキ装置により前記遊星キャリアの回転が抑制された状態で前記ピニオンを軸方向へ移動させるために必要なモータトルクと、前記ブレーキ装置の制動力に抗して前記ブレーキ板を滑らせることで前記遊星キャリアを回転させるために必要なモータトルクとが異なり、前記制御装置は、軸方向の初期位置に静止する前記ピニオンと前記リングギヤとの間の軸方向距離端面距離と呼ぶとき、前記ピニオンが前記リングギヤに当接する前と当接した後の前記モータのトルク変化を基に、前記端面距離に対応する前記モータの回転角度基準モータ回転角度として予め把握しておき、前記モータへの通電を開始した後、前記モータの回転角度が前記基準モータ回転角度に達するまでに前記モータの回転を減速することを特徴とするエンジン始動装置。

請求項2

請求項1に記載したエンジン始動装置において、前記モータのトルクまたはトルクに相関する物理量を検知できる検知装置(40)を有し、前記制御装置は、前記検知装置で検知される情報を基に前記モータのトルク変化を検出することを特徴とするエンジン始動装置。

請求項3

請求項1または2に記載したエンジン始動装置において、所定のエンジン停止条件成立した時に前記エンジンを自動停止させる動作をアイドリングストップと呼ぶとき、前記制御装置は、前記アイドリングストップが実行された後、前記始動要求が出力される前に、予め前記ピニオンを前記リングギヤ側へ移動させることを特徴とするエンジン始動装置。

請求項4

請求項1〜3のいずれか一項に記載したエンジン始動装置において、前記ピニオンが前記初期位置との間で軸方向に移動可能に設けられる最終位置規制するピニオンストッパ(22)を有し、前記制御装置は、前記ピニオンが前記リングギヤに噛み込む際に前記モータの回転を増速させた後、前記ピニオンが前記ピニオンストッパに当接するまでに前記モータの回転を減速させることを特徴とするエンジン始動装置。

請求項5

請求項1〜4のいずれか一項に記載したエンジン始動装置において、前記軸方向動作部は、前記遊星キャリアの回転が規制された状態で前記モータのトルクが前記内歯車を介して伝達される回転部材(32)と、この回転部材の回転運動を軸方向の直線運動に変換して前記ピニオンに伝達する運動方向変換部(34、35、36)とを有し、前記回転方向動作部は、前記遊星キャリアの回転が許容された状態で前記モータのトルクが前記遊星キャリアを介して伝達される出力軸(7)を有し、この出力軸の軸上に前記ピニオンがスプライン嵌合して配置されることを特徴とするエンジン始動装置。

技術分野

0001

本発明は、スタータによりエンジン始動を行うエンジン始動装置に関する。

背景技術

0002

従来、特許文献1に開示されたスタータがある。
同スタータは、出力軸捩れスプラインを介して嵌合するピニオンクラッチと、このピニオンクラッチの外周を押圧してピニオンクラッチの回転を抑制する回転抑制部材と、通電により磁界を発生して回転抑制部材をピニオンクラッチの外周に付勢する界磁コイル等を有する。ピニオンクラッチは、回転抑制部材により回転が抑制された状態で、出力軸がモータに駆動されて回転することにより、出力軸の軸上を移動してエンジンのリングギヤに噛み合うことができる。

先行技術

0003

特開平8−177691号公報

発明が解決しようとする課題

0004

ところが、特許文献1のスタータは、界磁コイルに通電した電流の一部をモータ(アーマチャ)に流すことでアーマチャを緩やかに回転させるため、モータに駆動されて回転する出力軸の回転速度が遅くなる。その結果、捩れスプラインの作用で出力軸の軸上を移動するピニオンクラッチの移動速度が遅くなるため、ピニオンがリングギヤに噛み合うまでの時間が長くなる。一方、モータに流れる電流を多くしてピニオンクラッチの移動速度を大きくしようとすると、ピニオンがリングギヤに噛み合う時に生じる衝突音歯打ち音等の噛合い騒音が大きくなる。

0005

すなわち、特許文献1のスタータは、界磁コイルに通電した電流の一部をモータに流すことでアーマチャを回転させる構成上、ピニオンクラッチの移動速度を適切に制御できないため、噛合い騒音の低減と噛み合い時間の短縮とを両立させることができない。
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、その目的は、噛合い騒音の低減と噛み合い時間の短縮とを両立できるエンジン始動装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0006

請求項1のエンジン始動装置は、ピニオンを軸方向に移動させてエンジンのリングギヤに噛み合わせ、且つ、モータに発生するトルクを前記ピニオンに伝達して前記エンジンをクランキングするスタータと、このスタータの動作を制御する制御装置とを備える。
前記スタータは、前記モータの回転軸に設けられる太陽歯車、この太陽歯車と同心に配置されて回転可能に設けられる内歯車、前記太陽歯車と前記内歯車とに噛み合う遊星歯車、および前記遊星歯車の公転運動を出力する遊星キャリアを含んで構成される遊星歯車装置と、前記遊星キャリアに連結されるブレーキ板を有し、このブレーキ板に対し制動力を発生すことで前記遊星キャリアの回転を抑制できるブレーキ装置と、前記遊星キャリアの回転が抑制されることで前記ピニオンに軸方向の直線運動を与える軸方向動作部と、前記遊星キャリアの回転が許容されることで前記ピニオンに回転運動を与える回転方向動作部とを有し、前記ブレーキ装置により前記遊星キャリアの回転が抑制された状態で前記ピニオンを軸方向へ移動させるために必要なモータトルクと、前記ブレーキ装置の制動力に抗して前記ブレーキ板を滑らせることで前記遊星キャリアを回転させるために必要なモータトルクとが異なる。
前記制御装置は、軸方向の初期位置に静止する前記ピニオンと前記リングギヤとの間の軸方向距離端面距離と呼ぶとき、前記ピニオンが前記リングギヤに当接する前と当接した後の前記モータのトルク変化を基に、前記端面距離に対応する前記モータの回転角度基準モータ回転角度として予め把握しておき、前記モータへの通電を開始した後、前記モータの回転角度が前記基準モータ回転角度に達するまでに前記モータの回転を減速することを特徴とする。

0007

本発明では、ピニオンとリングギヤとの間の端面距離に対応するモータの回転角度(基準モータ回転角度)を予め把握しておくので、モータへの通電が開始された後、ピニオンがリングギヤに当接する手前でモータの回転を減速させることができる。つまり、モータへの通電を開始した後、モータの回転角度が基準モータ回転角度に達する前にモータの回転を減速することで、ピニオンがリングギヤに当接する際のピニオンの移動速度を低減できる。その結果、ピニオンがリングギヤに当接する際に生じる衝突音を低減できる。また、モータへの通電開始からピニオンの移動速度を遅くするのではなく、ピニオンがリングギヤに当接する手前でモータの回転を減速してピニオンの移動速度を低減することで、噛合い騒音の低減と噛合い時間の短縮を両立できる。

図面の簡単な説明

0008

エンジン始動装置の構成図である。
スタータの断面図である。
スタータの遊星歯車装置と周辺部品の分解斜視図である。
スタータの磁気ブレーキ装置の分解斜視図である。
スタータの軸方向動作部の分解斜視図である。
スタータの作動を説明する斜視図である。
リングギヤとピニオンとの位置関係を模式的に示す図である。
ピニオンの移動方向(軸方向と回転方向)とモータトルクの大小関係を示す図である。
ピニオン速度制御の一例を示す図である。
ピニオン速度制御の他の例を示す図である。

0009

本発明を実施するための形態を以下の実施例により詳細に説明する。

0010

〔実施例1〕
実施例1のエンジン始動装置は、図1に示すように、エンジン1をクランキングするためのスタータ2と、このスタータ2の動作を制御する制御装置3とを含んで構成される。
スタータ2は、以下に説明するモータ4、遊星歯車装置5、クラッチ6、出力軸7、ピニオン8、磁気ブレーキ装置9、および軸方向動作部10などを含んで構成される。
モータ4は、例えば、インバータ11よりステータ巻線(図示せず)に三相交流印加されて回転磁界を発生し、その回転磁界にロータ(図示せず)が吸引されて回転する交流モータである。インバータ11は、ステータ巻線に印加する電圧及び周波数可変してモータ4の回転速度および回転方向を制御できる。

0011

遊星歯車装置5は、図2及び図3に示すように、モータ4の回転軸(以下、モータ軸4aと呼ぶ)に設けられる太陽歯車12と、太陽歯車12の回転中心と同心に配置されるリング状の内歯車13と、太陽歯車12と内歯車13とに噛み合う遊星歯車14と、遊星歯車14の公転運動を出力する遊星キャリア15とを有する。
遊星歯車14は、遊星キャリア15に設けられる自転軸16に軸受を介して回転自在に支持され、自転軸16を中心に回転する自転運動と、太陽歯車12の周囲を公転する公転運動とが可能である。遊星キャリア15は、クラッチ6のアウタ17と一体に設けられ、遊星歯車14の公転運動を拾ってアウタ17に伝達する。

0012

クラッチ6は、カム室に配置されるローラ18を介してアウタ17からインナ19へトルクを伝達する一方、インナ19からアウタ17へのトルク伝達遮断する一方向クラッチである。
出力軸7は、図2に示すように、モータ軸4aと同一軸線上に配置されて、反モータ側(図示左側)の端部が軸受20を介してスタータハウジング21に回転自在に支持され、モータ側(図示右側)の端部にクラッチ6のインナ19が一体に設けられる。出力軸7の略中央部には、雄側の捩れスプライン7aが設けられている。この出力軸7は、モータ4に駆動されて回転することでピニオン8に回転運動を与える本発明の回転方向動作部として機能する。

0013

ピニオン8は、内周雌側の捩れスプライン8a(図5参照)が設けられ、この捩れスプライン8aが出力軸7の捩れスプライン7aに噛み合って出力軸7の軸上を初期位置と最終位置との間で移動可能に配置される。
ピニオン8の初期位置は、例えば、出力軸7に設けられるストッパ部(図示せず)にピニオン8の一部(例えば、捩れスプライン8aを形成するスプライン歯のモータ側端部)が当接することで規制される。
ピニオン8の最終位置は、ピニオン8がエンジン1のクランク軸1aに取り付けられるリングギヤG(図1参照)に噛み合った状態であり、図2二点鎖線で示すように、ピニオン8の反モータ側端面(図示左端面)が出力軸7に取り付けられるピニオンストッパ22に当接することで規制される。

0014

磁気ブレーキ装置9は、図4に示すように、強磁性体のブレーキ板23と、このブレーキ板23の反モータ側に配置される摩擦板24と、この摩擦板24を介してブレーキ板23を吸引する磁力発生部(下述する)と、ブレーキ解除コイル25等より構成される。
ブレーキ板23は、遊星キャリア15に設けられるダミーピン26(図3参照)にネジ27を結合して遊星キャリア15に支持され、且つ、ダミーピン26の外周に装着されるコイルスプリング28により反摩擦板側へ付勢される。
摩擦板24は、ブレーキ板23と略同一の外径を有するリング状のプレートであり、下記の位置決め部材29に係合して回転規制されている。

0015

磁力発生部は、永久磁石30と、この永久磁石30によって磁化されるブレーキ磁極片31とを有する。
永久磁石30は、樹脂等の非磁性材料で形成される位置決め部材29を介して周方向の4カ所に位置決めされ、それぞれ径方向着磁されている。
ブレーキ磁極片31は、永久磁石30の径方向外側に配置される外側磁極片31aと、永久磁石30の径方向内側に配置される内側磁極片31bとを有する。
ブレーキ解除コイル25は、通電によって磁力を発生し、その磁力がブレーキ磁極片31に対して永久磁石30の磁力を打ち消す方向に働く。

0016

軸方向動作部10は、係合プレート37を介して内歯車13に連結される押出シリンダ32と、この押出シリンダ32の回転運動を軸方向の直線運動に変換してピニオン8に伝達する運動方向変換部(以下に説明する)とで構成される。
押出シリンダ32は、請求項5に記載した本発明の回転部材であり、スタータハウジング21に形成される円筒内周面に回転可能に保持される筒形状を有し、係合プレート37を介して内歯車13と一体に回転可能に設けられる。この押出シリンダ32には、図5に示すように、捩れ溝33が形成されている。捩れ溝33は、軸方向モータ側の始端と反モータ側の終端との間で押出シリンダ32の周方向へ捩れて形成される。

0017

運動方向変換部は、捩れ溝33と交差して軸方向に延びるストレート溝34と、ピニオン8に対し相対回転可能に組み付けられる押出カラー35と、この押出カラー35に保持されて捩れ溝33とストレート溝34とに係合する係合ピン36等を有する。
ストレート溝34は、スタータハウジング21の円筒内周面に形成される。
押出カラー35は、図2に示すように、ピニオン8の歯部よりモータ側に組み付けられて押出シリンダ32の内周に挿入され、押出シリンダ32に対し相対回転可能かつ軸方向へ移動可能に配置される。この押出カラー35には、係合ピン36を挿入するためのピン挿入孔35aが形成される。
係合ピン36は、一方の端部がピン挿入孔35aに挿入され、他方の端部が捩れ溝33とストレート溝34とが交差する部位に係合している。

0018

続いて、スタータ2の動作を説明する。
磁気ブレーキ装置9は、ブレーキ解除コイル25が非励磁の時に、ブレーキ板23が吸引されて摩擦板24に摩擦接触することでブレーキ板23の回転が規制される。ブレーキ板23は、遊星キャリア15に対し相対回転が規制されているので、ブレーキ板23の回転が規制されることで遊星キャリア15の回転も規制される。一方、ブレーキ解除コイル25が励磁されると、ブレーキ板23を吸引する磁力が打ち消されるため、ブレーキ板23がコイルスプリング28に付勢されて摩擦板24から離れることで、遊星キャリア15の回転規制が解除される。以下、ブレーキ解除コイル25が非励磁の状態をブレーキモードと呼び、ブレーキ解除コイル25が励磁された状態をブレーキ解除モードと呼ぶ。

0019

ブレーキモード時にモータ4が正方向に回転すると、遊星歯車14の自転運動により内歯車13が太陽歯車12の回転方向と逆方向に回転する。内歯車13の回転は、係合プレート37を介して押出シリンダ32に伝達され、押出シリンダ32が内歯車13と同一方向(図6に示す矢印方向)に回転する。押出シリンダ32が回転すると、その回転運動が運動方向変換部により軸方向の直線運動に変換されてピニオン8に伝達される。具体的には、押出シリンダ32の回転によって係合ピン36が捩れ溝33内を移動しながらストレート溝34内を反モータ方向へ移動し、その係合ピン36の移動が押出カラー35を介してピニオン8に作用する。つまり、ピニオン8に軸方向の押出力が働くことで、ピニオン8が出力軸7の軸上を初期位置から最終位置へ向かって移動する。

0020

ピニオン8がリングギヤGに当接して軸方向の移動が一旦停止すると、押出シリンダ32の回転が規制されて内歯車13の回転が停止する。この後、モータ4の軸トルクがブレーキ板23と摩擦板24との間に働く摩擦トルクより大きくなると、摩擦板24とブレーキ板23との間に滑りが生じて遊星キャリア15の回転が許容される。これにより、モータ4のトルクがクラッチ6を介して出力軸7に伝達され、出力軸7が回転してピニオン8がリングギヤGと噛み合い可能な位置まで回転すると、押出シリンダ32が再び回転してピニオン8に軸方向の押出力が付与される。この押出力を受けてピニオン8の歯がリングギヤGの歯と歯の間に入り込むことができる。リングギヤGに噛み合ったピニオン8は、出力軸7に取り付けられるピニオンストッパ22に当接して軸方向の移動が規制される。

0021

ピニオン8がピニオンストッパ22に当接した後、ブレーキ解除コイル25に通電されてブレーキ解除モードに切り替わると、遊星キャリア15の回転規制が解除されるので、モータ4のトルクがピニオン8からリングギヤGに伝達されてエンジン1をクランキングする。
エンジン1が完爆した後、ブレーキ解除コイル25への通電が停止されてブレーキモードに切り替わり、モータ4が逆方向に回転すると、内歯車13がクランキング時とは逆方向に回転するため、ピニオン8に軸方向の戻し力が働く。戻し力とは、ピニオン8を反リングギヤ方向へ押し戻す力である。この戻し力によりピニオン8が出力軸7の軸上を後退して初期位置まで移動した後、モータ4への通電が停止される。

0022

制御装置3は、図1に示すように、モード切替スイッチ38を介して磁気ブレーキ装置9の動作を制御するブレーキ制御部3aと、インバータ11を介してモータ4の動作を制御するモータ制御部3bとを有する。
ブレーキ制御部3aは、ブレーキモードからブレーキ解除モードに切り替える時に、モード切替スイッチ38をオン制御してブレーキ解除コイル25に通電する。一方、ブレーキ解除モードからブレーキモードに切り替える時に、モード切替スイッチ38をオフ制御してブレーキ解除コイル25への通電を停止する。
モータ制御部3bは、ピニオン8がリングギヤGに当接する手前およびピニオンストッパ22に当接する手前でピニオン8の移動速度を抑制するピニオン速度制御を実行する。

0023

ピニオン速度制御は、初期位置に静止するピニオン8とリングギヤGとの間の軸方向距離d1(図7参照)を基に行われる。以下、軸方向距離d1を端面距離と呼ぶ。この端面距離は、スタータ2とエンジン1との組み付け公差バラツキによって変化する。従って、ピニオン速度制御を行うためには、スタータ2がエンジン1に搭載された状態で予め端面距離を正確に把握しておく必要がある。ピニオン8とリングギヤGとの間の端面距離は、モータ4の回転角度に相関する。つまり、ピニオン8が初期位置から軸方向に移動してリングギヤGに当接するまでの間に回転するモータ4の回転角度に相当する。

0024

図8は、モータ4を一定速度指令で回転させた時のモータトルクの変化を表すグラフであり、時刻t1でピニオン8がリングギヤGに当接して軸方向の移動が停止した後、モータトルクが変化(増大)している。その後、ピニオン8がリングギヤGに噛み合い可能な位置(時刻t2)まで回転した後、再びモータトルクが変化(減少)する。さらに、時刻t3でピニオン8がピニオンストッパ22に到達してピニオン8の移動が停止した後、モータトルクが変化(増加)する。このように、ピニオン8を軸方向へ移動させるために必要なモータトルクと、ピニオン8の移動が規制された状態でブレーキ板23を滑らせることによりピニオン8を回転させるために必要なモータトルクとが異なる。すなわち、ピニオン8がリングギヤGに当接する前と当接した後とで所定のトルク変化が現れるため、モータ4に通電してから所定のトルク変化が現れるまでのモータ4の回転角度を検知することで端面距離を把握できる。

0025

モータ4の回転角度は、例えば、エンコーダレゾルバ等の回転角センサ39(図1参照)によって検出できる。また、モータ4のトルクは、例えば、インバータ11よりモータ4に流れる電流を電流センサ40(図1参照)で検出し、その検出された電流値より推定できる。モータ4のトルク変化を基に把握される端面距離は、その端面距離に対応するモータ4の回転角度(以下、基準モータ回転角度と言う)としてモータ制御部3bに予め記憶される。

0026

以下、モータ制御部3bによるピニオン速度制御の一例を説明する。
モータ制御部3bは、例えば、図9または図10に示すように、ピニオン8がリングギヤGに当接する手前およびピニオンストッパ22に当接する手前でピニオン8の移動速度が抑制されるように、モータ4の回転速度を次第に小さく(減速)する。望ましくは、ピニオン8がリングギヤGに当接する直前およびピニオンストッパ22に当接する直前でピニオン8の移動速度が0となるように制御する。なお、図9は、ピニオン8とリングギヤGとの間の端面距離d1が比較的小さい時のピニオン速度制御の一例であり、図10は、端面距離d1が比較的大きい時のピニオン速度制御の一例である。また、ピニオン8とピニオンストッパ22との間の軸方向距離d2(図7参照)は、スタータ2とエンジン1との組み付け公差の影響を受けることはなく一定である。

0027

〔実施例1の作用効果
モータ制御部3bは、ピニオン8とリングギヤGとの間の端面距離に対応するモータ4の回転角度(基準モータ回転角度)を予め記憶しているので、モータ4への通電が開始された後、ピニオン8がリングギヤGに当接する手前でピニオン8の移動速度を抑制できる。つまり、モータ4への通電を開始した後、回転角センサ39で検出されるモータ4の回転角度が基準モータ回転角度に達する前にモータ4の回転を減速することで、ピニオン8がリングギヤGに当接する前にピニオン8の移動速度を抑制できる。望ましくは、ピニオン8がリングギヤGに当接する直前にピニオン8の移動速度を0にする。その結果、ピニオン8がリングギヤGに当接する際に生じる音を低減できる。
また、モータ4の回転が減速された状態からピニオン8をリングギヤGに噛み合わせることができるので、ピニオン8とリングギヤGとの噛み合い時に生じる騒音も小さくなる。

0028

さらに、ピニオン8の歯がリングギヤGの歯と歯の間に入り込んだ後、ピニオン8の移動速度を一旦大きくしてから、ピニオン8がピニオンストッパ22に当接する手前(望ましくは直前)でピニオン8の移動速度を抑制しているので、ピニオン8がピニオンストッパ22に当たる時に生じる当接音も低減できる。
また、図9および図10に示すピニオン速度制御では、ピニオン8が端面距離d1の略中間位置へ移動するまでモータ4の回転速度を次第に大きくし、その後、ピニオン8がリングギヤGに当接するまでの間にモータ4の回転速度を次第に小さくしている。この場合、ピニオンクラッチの移動速度を適切に制御できない特許文献1の従来技術と比較して、ピニオン8がリングギヤGに噛み合うまでの時間を短縮することが可能である。これにより、実施例1のエンジン始動装置は、ピニオン8とリングギヤGとの噛み合い音の低減と、ピニオン8がリングギヤGに噛み合うまでの噛合い時間の短縮とを両立できる。

0029

以下、本発明に係る他の実施例について説明する。
なお、実施例1と共通する部品および構成を示すものは、実施例1と同一の符号を付与し、詳細な説明は省略(実施例1を参照)する。
〔実施例2〕
実施例2は、エンジン1の始動要求が制御装置3に出力される前に、予めピニオン8をリングギヤGに向けて移動させる始動準備モードの一例を説明する。
エンジン1の始動要求は、例えば、アイドリングストップが実行された後、運転者により発進操作ブレーキペダルを緩める、シフトレバーをDレンジに入れる等の動作)が行われた時にエンジンECU(図示せず)から制御装置3へ出力される。

0030

制御装置3は、始動準備指令応答して始動準備モードを実行する。始動準備指令は、例えば、アイドリングストップが実行された後、エンジン1の始動要求が出力される前に、エンジン回転数所定回転数以下(例えば500rpm以下)まで低下した時にエンジンECUから制御装置3へ出力される。
始動準備モードは、ブレーキ制御部3aによりモード切替スイッチ38がオフ制御された状態(ブレーキモード)でモータ制御部3bにより行われる。

0031

モータ制御部3bは、ピニオン8がリングギヤGに当接する手前でピニオン8が停止するようにモータ4の回転速度を制御する。つまり、ピニオン8がリングギヤGに当接する手前(望ましくはピニオン8がリングギヤGに当接する直前)でピニオン8の移動速度が0になるようにモータ4の回転を減速する。
この実施例2では、始動準備モードによって予めピニオン8をリングギヤG側へ移動させておくので、エンジン1の始動要求に応答してピニオン8をリングギヤGに噛み合わせる際の騒音を小さくできる。また、エンジン1の始動要求が発生してからピニオン8を押し出してリングギヤGに噛み合わせる場合と比較してエンジン1の始動時間を短縮できる。

実施例

0032

〔変形例〕
実施例1では、交流モータ4を使用する事例を記載したが、回転方向を切り替えるための正逆転回路を備えた直流モータを採用することも可能である。
実施例1に記載した磁石ブレーキ装置は、永久磁石35の磁力を利用してブレーキ板29を吸引する構成であるが、永久磁石35ではなく電磁石の磁力を利用してブレーキ板29を吸引する構成でも良い。
実施例1で説明したスタータ2は、ピニオン8がリングギヤGに当接する前と当接した後のモータ4のトルク変化を基に端面距離d1を把握しているが、このトルク変化を基に端面距離d1を把握する方法は、例えば、特許文献1のスタータに適用することも可能である。

0033

1エンジン2スタータ
3制御装置4モータ
4aモータ軸(モータの回転軸)
5遊星歯車装置7出力軸(回転方向動作部)
8ピニオン9磁気ブレーキ装置(ブレーキ装置)
10軸方向動作部 12太陽歯車
13内歯車14遊星歯車
15遊星キャリア22ピニオンストッパ
23ブレーキ板32押出シリンダ(回転部材)
40電流センサ(検知装置) G リングギヤ

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