図面 (/)

技術 炭素繊維の製造方法、炭素繊維及び電気二重層キャパシタ用電極

出願人 株式会社神戸製鋼所国立大学法人大分大学
発明者 濱口眞基和田祥平井上聡則豊田昌宏
出願日 2016年5月19日 (3年10ヶ月経過) 出願番号 2016-100345
公開日 2017年11月24日 (2年3ヶ月経過) 公開番号 2017-206794
状態 特許登録済
技術分野 紡糸方法及び装置 無機繊維 電気二重層コンデンサ等
主要キーワード コレクタ表面 伝熱材料 鋳型物質 石炭成分 電解紡糸 多孔質炭素繊維 重力沈降法 再固化温度
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年11月24日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (4)

課題

本発明は、比較的簡易な工程で多孔質炭素繊維を製造できる炭素繊維の製造方法、比較的簡易な工程で得られる炭素繊維、及びこの炭素繊維を用いた当該電気二重層キャパシタ用電極を提供することを課題とする。

解決手段

本発明の炭素繊維の製造方法は、石炭溶剤抽出処理により無灰炭を得る工程と、上記無灰炭取得工程で得られた無灰炭を溶剤と共に電界紡糸する工程と、上記電界紡糸工程で得られた繊維を炭素化する工程とを備える。上記炭素化を700℃以上1200℃以下まで糸状体を加熱することで行うとよい。また、本発明の炭素繊維は、石炭を原料とする炭素繊維であって、比表面積が300m2/g以上3000m2/g以下、平均径が0.5μm以上5μm以下、酸素含有量が0.4質量%以上であることを特徴とする。また、本発明の電気二重層キャパシタ用電極は、上記炭素繊維を用いる。

概要

背景

炭素繊維は、例えば樹脂コンクリートセラミック等の構造材料のための強化材として広く利用されている。また、他にも炭素繊維は、例えば断熱材、活性炭原料導電材料伝熱材料等としても利用される。炭素繊維の製造方法としては、石油又は石炭由来ピッチや樹脂等を電界紡糸する方法が公知である(特開2011−157668号公報及び国際公開第2011/070893号参照)。

一方で、微細な細孔を有する多孔質炭素繊維吸着材電極として有用である。このような多孔質炭素繊維を製造する方法としては、炭素繊維の表面を高温水蒸気強アルカリで処理することで侵食するいわゆる賦活と呼ばれる方法や、炭素繊維の原料のピッチや樹脂にMgO等の微粒子鋳型物質として混合し紡糸する方法などがある。

しかし、上述の方法では、表面処理や鋳型物質のような特殊な処理や材料が必要となるため、多孔質炭素繊維の製造コストが上昇するという課題がある。

概要

本発明は、比較的簡易な工程で多孔質の炭素繊維を製造できる炭素繊維の製造方法、比較的簡易な工程で得られる炭素繊維、及びこの炭素繊維を用いた当該電気二重層キャパシタ用電極を提供することを課題とする。本発明の炭素繊維の製造方法は、石炭溶剤抽出処理により無灰炭を得る工程と、上記無灰炭取得工程で得られた無灰炭を溶剤と共に電界紡糸する工程と、上記電界紡糸工程で得られた繊維を炭素化する工程とを備える。上記炭素化を700℃以上1200℃以下まで糸状体を加熱することで行うとよい。また、本発明の炭素繊維は、石炭を原料とする炭素繊維であって、比表面積が300m2/g以上3000m2/g以下、平均径が0.5μm以上5μm以下、酸素含有量が0.4質量%以上であることを特徴とする。また、本発明の電気二重層キャパシタ用電極は、上記炭素繊維を用いる。

目的

本発明は、比較的簡易な工程で多孔質の炭素繊維を製造できる炭素繊維の製造方法、並びに比較的簡易な工程で得られる炭素繊維及びこれを用いた電気二重層キャパシタ用電極を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

石炭溶剤抽出処理により無灰炭を得る工程と、上記無灰炭取得工程で得られた無灰炭を溶剤と共に電界紡糸する工程と、上記電界紡糸工程で得られた糸状体炭素化する工程とを備える炭素繊維の製造方法。

請求項2

上記炭素化を700℃以上1200℃以下まで糸状体を加熱することで行う請求項1に記載の炭素繊維の製造方法。

請求項3

石炭を原料とする炭素繊維であって、比表面積が300m2/g以上3000m2/g以下、平均径が0.5μm以上5μm以下、酸素含有量が0.4質量%以上であることを特徴とする炭素繊維。

請求項4

請求項3に記載の炭素繊維を用いた電気二重層キャパシタ用電極

技術分野

0001

本発明は、炭素繊維の製造方法、炭素繊維及び電気二重層キャパシタ用電極に関する。

背景技術

0002

炭素繊維は、例えば樹脂コンクリートセラミック等の構造材料のための強化材として広く利用されている。また、他にも炭素繊維は、例えば断熱材、活性炭原料導電材料伝熱材料等としても利用される。炭素繊維の製造方法としては、石油又は石炭由来ピッチや樹脂等を電界紡糸する方法が公知である(特開2011−157668号公報及び国際公開第2011/070893号参照)。

0003

一方で、微細な細孔を有する多孔質炭素繊維吸着材電極として有用である。このような多孔質炭素繊維を製造する方法としては、炭素繊維の表面を高温水蒸気強アルカリで処理することで侵食するいわゆる賦活と呼ばれる方法や、炭素繊維の原料のピッチや樹脂にMgO等の微粒子鋳型物質として混合し紡糸する方法などがある。

0004

しかし、上述の方法では、表面処理や鋳型物質のような特殊な処理や材料が必要となるため、多孔質炭素繊維の製造コストが上昇するという課題がある。

先行技術

0005

特開2011−157668号公報
国際公開第2011/070893号

発明が解決しようとする課題

0006

上記不都合に鑑みて、本発明は、比較的簡易な工程で多孔質の炭素繊維を製造できる炭素繊維の製造方法、並びに比較的簡易な工程で得られる炭素繊維及びこれを用いた電気二重層キャパシタ用電極を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0007

上記課題を解決するためになされた発明は、石炭溶剤抽出処理により無灰炭を得る工程と、上記無灰炭取得工程で得られた無灰炭を溶剤と共に電界紡糸する工程と、上記電界紡糸工程で得られた糸状体炭素化する工程とを備える炭素繊維の製造方法である。

0008

当該炭素繊維の製造方法は、無灰炭を原料として用い、無灰炭を溶剤と共に電界紡糸した後に炭素化を行うことで、溶剤の揮発により微細孔が形成された多孔質の炭素繊維を得ることができる。つまり、当該炭素繊維の製造方法によれば、電界紡糸の後に炭素化を行う比較的簡易な工程で多孔質の炭素繊維を製造できる。

0009

上記炭素化を700℃以上1200℃以下まで糸状体を加熱することで行うとよい。このように炭素化を行うことで、容易かつ確実に多孔質の炭素繊維を得ることができる。

0010

上記課題を解決するためになされた別の発明は、石炭を原料とする炭素繊維であって、比表面積が300m2/g以上3000m2/g以下、平均径が0.5μm以上5μm以下、酸素含有量が0.4質量%以上であることを特徴とする。

0011

当該炭素繊維は、比表面積及び平均径がそれぞれ上記範囲であり、かつ酸素含有量が0.4質量%以上であるので、無灰炭を原料とし、この無灰炭を溶剤と共に電界紡糸した後に炭素化することで得られる。そのため、当該炭素繊維は、比較的簡易な工程で製造でき、かつ微細孔を多数有する多孔質材として有効使用できる。

0012

上記課題を解決するためになされたさらに別の発明は、当該炭素繊維を用いた電気二重層キャパシタ用電極である。当該電気二重層キャパシタ用電極は、当該炭素繊維を用いるため製造コストに優れる。

0013

ここで、「比表面積」とは、JIS−Z8830(2013)に準拠して測定される値を意味する。「酸素含有量」とは、酸素分子だけでなく他の原子と結合している原子を含む酸素原子含有率を意味し、具体的にはJIS−M8813(2004)に準拠して測定される値を意味する。

発明の効果

0014

以上のように、当該炭素繊維の製造方法は、比較的簡易な工程で多孔質の炭素繊維を製造できる。また、当該炭素繊維は比較的簡易な工程で得られ、これを用いた当該電気二重層キャパシタ用電極は製造コストに優れる。

図面の簡単な説明

0015

本発明の一実施形態の炭素繊維の製造方法の手順を示すフローである。
実施例1の炭素繊維の細孔分布を示すグラフである。
実施例1の炭素繊維の走査電子顕微鏡写真である。

0016

以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。

0017

[炭素繊維の製造方法]
当該炭素繊維の製造方法は、図1に示すように、石炭の溶剤抽出処理により無灰炭を得る無灰炭取得工程S1と、無灰炭取得工程S1で得られた無灰炭を溶剤と共に電界紡糸する電界紡糸工程S2と、電界紡糸工程S2で得られた糸状体を炭素化する炭素化工程S3とを主に備える。

0018

<無灰炭取得工程>
無灰炭取得工程S1では、原料の石炭を溶剤抽出処理し、無灰炭を得る。具体的には、原料石炭と溶剤とを混合したスラリーを原料石炭の熱分解温度以上に加熱して、熱分解した原料石炭の可溶成分を溶剤に抽出し、この熱分解温度における不溶成分をスラリーから分離することによって無灰炭を得る。なお、「無灰炭」とは、石炭を改質した改質炭であり、灰分含有量が5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下であるものをいう。なお、「灰分」とは、JIS−M8812(2004)に準拠して測定される値を意味する。

0019

無灰炭の原料とされる石炭としては、石炭化度が高い順に、無煙炭瀝青炭亜瀝青炭褐炭等が挙げられ、中でも中程度の石炭化度を有する瀝青炭又は亜瀝青炭が好ましい。

0020

上記溶剤としては、原料石炭を溶解する性質を有するものであれば特に限定されず、例えばベンゼントルエンキシレン等の単環芳香族化合物ナフタレンメチルナフタレンジメチルナフタレントリメチルナフタレン等の2環芳香族化合物アントラセン等の3環芳香族化合物などを用いることができる。なお、上記2環芳香族化合物には、脂肪族鎖を有するナフタレン類長鎖脂肪族鎖を有するビフェニル類等が含まれる。

0021

上記溶剤の中でも、石炭乾留生成物から精製した石炭誘導体である2環芳香族化合物が好ましい。石炭誘導体の2環芳香族化合物は、加熱状態でも安定しており、石炭との親和性に優れている。そのため、溶剤としてこのような2環芳香族化合物を用いることで、溶剤に抽出される石炭成分の割合を高めることができると共に、蒸留等の方法で容易に溶剤を回収循環使用することができる。

0022

スラリーの加熱温度(熱分解抽出温度)の下限としては、300℃が好ましく、350℃がより好ましく、380℃がさらに好ましい。一方、スラリーの加熱温度の上限としては、450℃が好ましく、420℃がより好ましい。スラリーの加熱温度が上記下限に満たない場合、石炭を構成する分子間の結合を十分に弱めることができないため、例えば原料石炭として低品位炭を使用した場合に、抽出される無灰炭の再固化温度を高めることができないおそれや、収率が低く不経済となるおそれがある。逆に、スラリーの加熱温度が上記上限を超える場合、石炭の熱分解反応が非常に活発になるため、無灰炭の酸素含有量が低下するおそれや、生成した熱分解ラジカル再結合が起こることで無灰炭の抽出率が低下するおそれがある。

0023

スラリーの加熱時間(抽出時間)の上限としては、120分が好ましく、60分がより好ましく、30分がさらに好ましい。一方、スラリーの加熱時間の下限としては、10分が好ましい。スラリーの加熱時間が上記上限を超える場合、石炭の熱分解反応が進行しすぎてラジカル重合反応が進むことで抽出率が低下するおそれがある。逆に、スラリーの加熱時間が上記下限未満の場合、石炭の可溶性分の抽出が不十分となるおそれがある。

0024

スラリーを加熱した後、熱分解反応を抑制するためにスラリーを冷却することが好ましい。スラリーの冷却温度としては、300℃以上370℃以下が好ましい。スラリーの冷却温度が上記上限を超える場合、熱分解反応を十分に抑制できないおそれがある。逆に、スラリーの冷却温度が上記下限未満の場合、溶剤の溶解力が低下して、一旦抽出された石炭成分の再析出が起き、無灰炭の回収率が低下するおそれがある。

0025

なお、スラリーの加熱抽出非酸化性雰囲気で行うことが好ましい。具体的には、スラリーの加熱抽出を窒素等の不活性ガスの存在下で行うことが好ましい。窒素等の不活性ガスを用いることで、加熱抽出の際にスラリーが酸素に接触して発火することを低コストで防止できる。

0026

スラリーの加熱抽出時の圧力は、加熱温度や用いる溶剤の蒸気圧にもよるが、例えば1MPa以上2MPa以下とすることができる。加熱抽出時の圧力が溶剤の蒸気圧より低い場合には、溶剤が揮発して石炭の可溶性分を液相に閉じ込められず、可溶性分を抽出できない。一方、加熱抽出時の圧力が高すぎると、機器コスト、運転コスト等が上昇する。

0027

スラリーからの不溶成分の分離方法としては、特に限定されず、濾過法遠心分離法重力沈降法等の公知の分離方法、あるいはこれらのうちの2法の組合せを採用できる。これらの中でも、流体連続操作が可能であり、低コストで大量の処理にも適しており、かつ不溶成分を確実に除去できる遠心分離法と濾過法との組合せが好ましい。

0028

無灰炭の石炭からの抽出率(収率)としては、原料となる石炭の品質にもよるが、瀝青炭又は亜瀝青炭の場合には例えば20質量%以上60質量%以下とされる。

0029

無灰炭の酸素含有量の下限としては、1質量%が好ましく、1.5質量%が好ましく、2質量%がより好ましい。一方、無灰炭の酸素含有量の上限としては、5質量%が好ましく、4質量%がより好ましく、3.5質量%がさらに好ましい。無灰炭の酸素含有量が上記下限に満たない場合、芳香族化合物が多くなることで電界紡糸における結晶発達を十分に抑制することができず、得られる炭素繊維の多孔質化が不十分となるおそれがある。逆に、無灰炭の酸素含有量が上記上限を超える場合、炭素化時質量減少率が大きく、炭素繊維の収率が低下することにより炭素繊維の製造コストが上昇するおそれがある。

0030

<電界紡糸工程>
電界紡糸工程S2では、無灰炭取得工程S1で得られた無灰炭と溶剤との混合液(無灰炭の溶解液)を原料液として電界紡糸を行う。

0031

上記溶剤は、無灰炭取得工程S1で用いた無灰炭の抽出溶剤をそのまま用いるとよい。つまり、無灰炭取得工程S1で加熱後(無灰炭抽出後)に不溶成分を分離した溶剤を上記混合液として電界紡糸に供するとよい。これにより、工程の簡略化を図ることができる。

0032

また、無灰炭取得工程S1で不溶成分を分離した溶剤から固形の無灰炭を分離し、分離した無灰炭に改めて溶剤を混合してもよい。この溶剤としては、無灰炭の抽出で使用可能なものと同様のものが使用できる。上記分離方法としては、一般的な蒸留法蒸発法(例えばスプレードライ法)等を用いることができる。

0033

上記混合液に用いる溶剤の沸点の下限としては、50℃が好ましく、100℃がより好ましい。一方、溶剤の沸点の上限としては、150℃が好ましく、130℃がより好ましい。溶剤の沸点を上記範囲とすることで、炭素繊維の多孔質化を促進することができる。このような溶剤としては例えばピリジンテトラヒドロフランが挙げられる。

0034

上記混合液における無灰炭の含有率の下限としては、3質量%が好ましく、5質量%がより好ましく、10質量%がさらに好ましい。一方、上記混合液における無灰炭の含有率の上限としては、50質量%が好ましく、40質量%がより好ましい。上記混合液における無灰炭の含有率が上記下限に満たない場合、炭素繊維の製造効率が低下し、不経済となるおそれがある。逆に、上記混合液における無灰炭の含有率が上記上限を超える場合、紡糸が困難となるおそれや、炭素繊維の多孔質化が不十分となるおそれがある。

0035

電界紡糸は、原料液を電界中で曳糸しつつ原料液を電荷反発力噴流化させ、糸状体を得る公知の方法である。具体的には、原料液を噴出するノズルと、このノズルに対向するドラム状のコレクタとを1対の電極とし、これらの電極により原料液に高圧電圧印可することで、コレクタ表面上に原料液に含まれる無灰炭由来の炭素を骨格とする糸状体が形成される。

0036

この電解紡糸の条件として、例えば電圧は1kV以上50kV以下、原料液流量は0.1ml/h以上2ml/h以下、ノズルとコレクタとの距離は1cm以上50cm以下、ノズルの直径は0.1mm以上1mm以下とすることができる。

0037

上記糸状体は、ノズルからの噴出時に溶剤が揮発し、無灰炭を構成する分子がランダムに積層することで多孔質化される。また、糸状体がコレクタ上に形成された状態では炭素骨格と共に噴出後に揮発しなかった一部の溶剤を含む。この溶剤は次の炭素化工程S3により除去される。

0038

<炭素化工程>
炭素化工程S3では、電界紡糸工程S2で得られた溶剤を含む糸状体を加熱して炭素化(黒鉛化)することによって、多孔質の炭素繊維を得る。

0039

具体的には、糸状体を電気炉等の任意の加熱装置装入し、内部を非酸化性ガス置換した後、この加熱装置内へ非酸化性ガスを吹き込みながら一定温度まで加熱する。

0040

炭素化工程における加熱温度の下限としては、700℃が好ましく、800℃がより好ましい。一方、加熱温度の上限としては、1200℃が好ましく、1000℃がより好ましい。加熱温度が上記下限に満たない場合、炭素化が不十分となるおそれがある。逆に、加熱温度が上記上限を超える場合、設備耐熱性向上や燃料消費量の観点から製造コストが上昇するおそれがある。

0041

炭素化工程における昇温も含めた加熱時間としては、15分以上10時間以下が好ましい。また、昇温速度としては、1℃/分以上5℃/分以下が好ましい。

0042

上記非酸化性ガスとしては、炭素材料酸化を抑えられるものであれば特に限定されないが、経済的観点から窒素ガスが好ましい。

0043

なお、当該炭素繊維の製造方法は、繊維の変形や溶融を防止するために、炭素化工程S3の前に、糸状体を軽度に酸化する酸化処理工程を備えてもよい。この酸化処理としては、例えば300℃以下の酸素を含む雰囲気下での加熱や、酸化性薬剤による処理などを用いることができる。

0044

[炭素繊維]
当該炭素繊維は、石炭を原料とし、比表面積が300m2/g以上3000m2/g以下、平均径が0.5μm以上5μm以下、酸素含有量が0.4質量%以上である。当該炭素繊維は、上述の当該炭素繊維の製造方法により得ることができる。

0045

当該炭素繊維は、酸素含有量が上記下限以上であることで、多環芳香族化合物の割合が小さい。そのため、当該炭素繊維では、含有する化合物の分子の平面性が低く、環サイズが小さいため、分子が配向し難い。つまり、上述のように電界紡糸時に分子がランダムに積層されるため、当該炭素繊維は多孔質性に優れる。

0046

当該炭素繊維の比表面積の下限としては、350m2/gが好ましく、400m2/gがより好ましい。一方、比表面積の上限としては、2500m2/gが好ましく、1000m2/gがより好ましい。比表面積が上記下限に満たない場合、細孔の数が不十分となり、吸着材等としての適性が低下するおそれがある。逆に、比表面積が上記上限を超える場合、炭素繊維の強度が不十分となるおそれがある。

0047

当該炭素繊維の平均径の下限としては、0.8μmが好ましい。一方、平均径の上限としては、1.5μmが好ましい。平均径が上記下限に満たない場合、炭素繊維の強度が不十分となるおそれがある。逆に、平均径が上記上限を超える場合、吸着材等の構成材料としての適性が低下するおそれがある。

0048

当該炭素繊維の酸素含有量の下限としては、0.5質量%が好ましい。一方、酸素含有量の上限としては、特に限定されないが、例えば5質量%である。酸素含有量が上記下限に満たない場合、芳香族化合物が多くなることで炭素繊維が多孔質化し難くなり、吸着材等としての適性が低下するおそれがある。逆に、酸素含有量が上記上限を超える場合、炭素繊維の製造が困難となるおそれがある。

0049

[電気二重層キャパシタ用電極]
当該電気二重層キャパシタ用電極は、当該炭素繊維を用いて形成される。具体的には、当該電気二重層キャパシタ用電極は、当該炭素繊維に結着用の助剤を混合し、繊維が互いに絡み合うように積層することで得られる。

0050

[利点]
当該炭素繊維の製造方法は、無灰炭を原料として用い、無灰炭を溶剤と共に電界紡糸した後に炭素化を行うことで、溶剤の揮発により微細孔が形成された多孔質の炭素繊維を得ることができる。つまり、当該炭素繊維の製造方法によれば、電界紡糸の後に炭素化を行う比較的簡易な工程で多孔質の炭素繊維を製造できる。

0051

また、当該炭素繊維は、比較的簡易な工程で製造でき、かつ微細孔を多数有する多孔質材として有効使用できる。さらに、当該電気二重層キャパシタ用電極は、当該炭素繊維を用いるため製造コストに優れる。

0052

[その他の実施形態]
当該炭素繊維の製造方法は、上記実施形態に限定されるものではない。

0053

当該炭素繊維の製造方法は、必要に応じて上述以外の工程を備えてもよい。具体的には、各工程に悪影響を与えない範囲において、各工程間又は前後に、例えば原料石炭を粉砕する工程、異物等を除去する工程等の工程があってもよい。

0054

以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。

0055

<実施例1、2>
原料石炭として1mm以下に粉砕した瀝青炭1kgをメチルナフタレン5kgに混合してオートクレーブ装填し、窒素雰囲気中で400℃で1時間保持してから冷却して熱分解物を得た。次に、この熱分解物を濾過し、得られた濾液減圧蒸留して可溶成分を分離し、固形の無灰炭を得た。この無灰炭の元素分析値を表1に示す。なお、酸素の含有量は、それ以外の元素の含有量からの差分により算出した。

0056

得られた無灰炭にピリジンを混合し、無灰炭の濃度が35.9質量%の無灰炭溶解液を得た。この無灰炭溶解液を用いて、電圧14〜18kV、流量0.7〜0.9ml/h、ノズルとコレクタとの距離(紡糸間距離)15cm、ノズル内径0.48mmとして、電界紡糸を行い、アルミニウム箔上に糸状体を形成した。なお、実施例1と実施例2とでは糸条件を変えて電界紡糸をした。

0057

上記糸状体をアルミニウム箔から剥離後、3.3℃/分の昇温束度で900℃まで加熱し炭素化することで、平均径1μmの炭素繊維を得た。

0058

<比較例>
石炭の高温乾溜プロセス(製鉄コークスの製造工程)で副生するタールから製造された市販の石炭系ピッチを電界紡糸の原料として用い、実施例と同じ条件で電界紡糸を行うことで平均径1μmの炭素繊維を得た。なお、原料として用いた石炭系ピッチの元素分析値を表1に示す。

0059

0060

<参考例>
ヤシガラを原料とし、水蒸気賦活法で多孔質化することで径が50μm以下の粉末状の活性炭を得た。

0061

<評価>
上記実施例及び比較例の炭素繊維の酸素含有量を測定した。また、実施例及び比較例の炭素繊維並びに参考例の活性炭について、比表面積及び静電容量を測定した。これらの結果を表2に示す。また、実施例1の炭素繊維について、細孔分布の測定結果図2に、走査電子顕微鏡写真を図3に示す。

0062

なお、比表面積はマイクロトラックベル社の「BELSORP−max」を用いて測定した。また、静電容量は、炭素繊維又は活性炭を用いて電気二重層キャパシタ用電極を作成し、この電極を使用したキャパシタにおいて、1MのH2SO4電解液中での充放電特性計測し、100mA/gにおける静電容量を求めた。

0063

0064

表2から、無灰炭を原料とし、溶剤と共に無灰炭を電界紡糸した後に炭素化した実施例1、2の炭素繊維は、比較例に比べて比表面積が大きく、十分に多孔質化されていることがわかる。実施例1については、図2からもわかるように、微細孔の径はほぼ10nm以下である。さらに、図3より求めた繊維の平均径は1.1μmであった。また、実施例1、2の炭素繊維は比較例の炭素繊維及び参考例の活性炭に比べて静電容量にも優れる。

0065

比較例の炭素繊維は、芳香族化合物の割合が高い石炭系ピッチを用いたため、電界紡糸において分子が平行に積層する配向を形成しながら凝縮することで、結晶性が高く細孔が発達しない構造となったと推測される。

実施例

0066

一方、参考例の活性炭は、比表面積は実施例1、2の炭素繊維よりも大きいが、静電容量が小さい。これは孔構造の違いによるものと考えられる。

0067

当該炭素繊維の製造方法で得られる炭素繊維及び当該炭素繊維は、比較的簡易な工程で多孔質の炭素繊維を製造できるので、吸着材や電極の原料として好適に使用できる。

0068

S1無灰炭取得工程
S2電界紡糸工程
S3炭素化工程

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 株式会社豊田自動織機の「 蓄電装置」が 公開されました。( 2019/09/12)

    【課題】絶縁カバーが抜け落ちることを抑制できる蓄電装置を提供する。【解決手段】内側絶縁部材35は、正極導電部材19及び負極導電部材20の端子接合部19b,20bと蓋14との間に配置される。絶縁カバー5... 詳細

  • 株式会社豊田自動織機の「 蓄電装置」が 公開されました。( 2019/09/12)

    【課題】絶縁部材又は導電部材に対し爪部を係止できる蓄電装置を提供する。【解決手段】内側絶縁部材35は、導電部材17と蓋14とを絶縁する。絶縁カバー50は、積層方向の一端側においてタブ群15とケース本体... 詳細

  • 株式会社豊田自動織機の「 蓄電装置」が 公開されました。( 2019/09/12)

    【課題】絶縁部材又は導電部材に対し爪部を係止できる蓄電装置を提供する。【解決手段】内側絶縁部材35は、導電部材17と蓋14とを絶縁する。絶縁カバー50は、積層方向の一端側においてタブ群15とケース本体... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ