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技術 神経変性疾患を処置する組成物及び方法

出願人 コグニションセラピューティクス,インコーポレイテッド
発明者 カタラーノ,スーザン,エム.リシュトン,ギルバートイッツォ,ニコラス,ジェイ.
出願日 2017年7月7日 (3年5ヶ月経過) 出願番号 2017-133600
公開日 2017年11月24日 (3年1ヶ月経過) 公開番号 2017-206545
状態 拒絶査定
技術分野 5員環以上窒素含有飽和複素環式化合物 その他のIN系複素環式化合物 窒素含有縮合複素環(3) 水添ピリジン系化合物 他の有機化合物及び無機化合物含有医薬 化合物または医薬の治療活性 インドール系化合物
主要キーワード 試験計器 下降部分 青色着色料 構造的状態 気体検出器 線形対数 記憶作用 分解カラム
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図面 (20)

課題

本発明は、アルツハイマー病などのAベータが誘発する病理に関連する疾患及び障害などの状態を処置することを目的とする。

解決手段

本発明は、シグマ−2受容体に結合する新規ジアリールアミノ化合物、及び該化合物を含む薬学的組成物、及びニューロン細胞中のシナプス消失阻害又は回復し、ニューロン細胞中の膜輸送変化を調節し、認知低下及び神経変性疾患及びそれに伴う障害を処置する方法を提供する。

概要

背景

[003]アルツハイマー病(AD)の処置には現在FDAに認可されている5つの薬物療法がある。4つはコリンエステラーゼ阻害剤、すなわちタクリン(Cognex(登録商標);Sciele)、ドネペジル(Aricept(登録商標);Pfizer)、リバスチグミン(Exelon(登録商標);Novartis)及びガランタミン(Razadyne(登録商標);Ortho-McNeil-Janssen)である。ドネペジル、リバスチグミン、及びガランタミンは、肝毒性の可能性があるので滅多に配合されない第一世代の化合物タクリンの後継者であり、ADの全ステージ認知性及び機能の症状を改善するのにほぼ同等に効力がある。5番目に認可された薬物療法はメマンチン(Namenda(登録商標);Forest)であり、これは親和性が低く、頻度依存性のN−メチル−D−アスパラギン酸グルタミン酸受容体拮抗物質であり、同様の利点があるが、重度のADに対する緩和のみである。これらの化合物の臨床効果は小さくて永続せず、疾患修飾剤としての使用を裏付ける決定的データは現在ない。例えばKerchner他の2010年のBapineuzumab(Expert Opin Biol Ther., 10(7):1121-1130)を参照されたい。ADを処置する代替アプローチが必要であることは明白である。

[004]ヒトアミロイドベータ(Aベータ又はAβ)は、アルツハイマー病患者の脳に見られる不溶性アミロイドプラーク沈着物の主成分である。プラークはAベータの原繊維集合体で構成される。アミロイドベータ原繊維は、アルツハイマー病の進行ステージと関連付けられている。

[005]初期アルツハイマー病(AD)の認知特徴は、新しい記憶を形成する能力が著しく欠けていることである。初期の記憶消失は、可溶性Aβオリゴマーにより引き起こされたシナプス障害と考えられている。これらのオリゴマーは、シナプス可塑性の古典的な実験パラダイムである長期残留記憶作用遮断し、ADの脳組織及び遺伝子組み換えADモデルで驚異的に上昇する。初期の記憶消失はニューロン死以前のシナプス障害が原因であり、シナプス障害は原細胞ではなく可溶性Aβオリゴマーの作用に由来すると仮定されてきた。Lacor他のSynaptic targeting by Alzheimer's-related amyloid β oligomers(J. Neurosci. 2004, 24(45):10191-10200)。

[006] Aベータは、ニューロンのシナプスへの集中が見られる膜内在性タンパク質であるアミロイド前駆体タンパク質APP)の開裂生成物である。アルツハイマー患者の脳及び組織には可溶性形のAベータが存在し、その存在は疾患の進行と相関する。Yu他の2009年のStructural characterization of a soluble amyloid beta-peptide oligomer(Biochemistry, 48(9):1870-1877)。可溶性アミロイドβオリゴマーは、学習及び記憶を遮断するニューロンのシナプスの変化を誘発することが実証されている。

[007] 比較的小さい可溶性Aβオリゴマーは、正常なシナプス可塑性にとって重要なシグナル伝達経路を幾つか妨害し、最終的に及びシナプスの消失が生じる。Selkoe他の2008年のSoluble oligomers of the amyloid beta-protein impair synaptic plasticity and behavior (Behav Brain Res 192(1): 106-113)。アルツハイマー病は、シナプス可塑性疾患として発病し、継続する。

[008] 可溶性Aβオリゴマーの存在は、前アルツハイマー病の脳における初期認知低下の原因になると考えられる。アミロイドベータオリゴマーはニューロンのシナプスに結合し、ニューロン及びグリアにはシグマ−2受容体が大量に存在することが知られている。

[009] 本発明は、一部は、シグマ−2受容体拮抗物質が、特定の要件を満たすと可溶性Aβオリゴマーの有害作用阻害するという広範な知見に基づいている。幾つかの実施形態では、シグマ−2受容体拮抗物質及び組成物を使用して、被験者シナプス機能不全を処置又は予防する。

概要

本発明は、アルツハイマー病などのAベータが誘発する病理に関連する疾患及び障害などの状態を処置することを目的とする。 本発明は、シグマ−2受容体に結合する新規ジアリールアミノ化合物、及び該化合物を含む薬学的組成物、及びニューロン細胞中のシナプス消失を阻害又は回復し、ニューロン細胞中の膜輸送変化を調節し、認知低下及び神経変性疾患及びそれに伴う障害を処置する方法を提供する。B

目的

幾つかの実施形態では、アルツハイマー病の早期ステージを処置するために、治療的に有効な量のシグマ−2機能性拮抗物質を投与することを含む方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

式Iの化合物又はその薬学的に許容可能な塩:〔式中、R1及びR2は、H、OH、ハロ、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルキル、C1−6ハロアルコキシ、(R16)(R17)N−C1−4アルキレン−O−からそれぞれ独立に選択されるか、又はR1とR2が相互に連結して−O−エチレン−O−基を形成し、ここで、R16及びR17はそれぞれ独立にC1−4アルキル又はベンジルであるか、又はR16及びR17が一緒窒素とともに以下の式から選択される環を形成し、式中、XはN又はOであり、R18はH又は非置換フェニルであり、ここで、R1及びR2のうち少なくとも一方はHではなく、R3は以下の式から選択され、R6、R7、R8、R9、及びR10は、H、ハロ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルキル、及びS(O)2−C1−6アルキルからそれぞれ独立に選択され、R20はHであり、nは1〜4であり、R4はC1−6アルキルであり、R4’はH又はC1−6アルキルであり、R5は、H、C1−6アルキル、及びC(O)O(C1−4アルキル)、C(O)(C1−4アルキル)、又はC(O)(C1−4ハロアルキル)であるか、又は、R3及びR5は窒素とともに以下の式から選択される環を形成し、式中、R11及びR12はH、ハロ、及びC1−6ハロアルキルからそれぞれ独立に選択され、YはCH又はNであり、R13は、H、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、非置換フェニル又はC1−6ハロアルキルで置換したフェニル、又は非置換ベンジルであり、R14及びR15はH及びハロからそれぞれ独立に選択され、R19はHである。〕、(但し、以下の化合物のラセミ混合物は除く:)。

請求項2

R1及びR2がH、OH、ハロ、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルキル、C1−6ハロアルコキシ、(R16)(R17)N−C1−4アルキレン−O−からそれぞれ独立に選択されるか、又はR1及びR2が相互に連結されて、−O−エチレン−O−基を形成し、ここで、R16及びR17がそれぞれ独立にC1−4アルキル又はベンジルであるか、又はR16及びR17が窒素とともに以下の式から選択される環を形成し、〔式中、XがN又はOであり、R18が存在しないか、又はH又は非置換フェニルであり、ここで、R1及びR2のうち少なくとも1つがHではない。〕、R3が以下の式から選択され、〔式中、R6、R7、R8、R9及びR10はH、ハロ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルキル、及びS(O)2−C1−6アルキルからそれぞれ独立に選択され、R20がHであり、nが1〜4である。〕、R4がC1−6アルキルであり、R4’がH又はC1−6アルキルであり、及びR5がH、C1−6アルキル、及びC(O)O(C1−4アルキル)、C(O)(C1−4アルキル)、又はC(O)(C1−4ハロアルキル)であるか、又はR1及びR5が窒素とともに以下の式から選択される環を形成し、〔式中、R11及びR12はH、ハロ、及びC1−6ハロアルキルからそれぞれ独立に選択され、YがCH又はNであり、R13がH、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、非置換フェニル又はC1−6ハロアルキルで置換したフェニル、又は非置換ベンジルであり、R14及びR15がH及びハロからそれぞれ独立に選択され、R19がHである。〕、及びその薬学的に許容可能な塩である、請求項1に記載の化合物。

請求項3

R1がOH、OMe、F、Cl、CF3、(R16)(R17)N−エチレン−O−から選択され、ここで、R16及びR17がそれぞれメチルイソプロピルn−ブチル又はベンジルであるか、又はR16及びR17が窒素とともに以下の式から選択される環を形成し、〔式中、XがN又はOであり、R18が存在しないか、又は非置換フェニルである。〕、R2がH、Cl、F、CF3、OMe、又はOCF3であり、R1及びR2が相互に連結されて、−O−エチレン−O−基を形成し、R3が以下の式から選択され、〔式中、R6がH、F、Cl、Me、イソプロピル、t−ブチル、OMe、CF3、又はS(O)2Meであり、R7及びR8がそれぞれ独立にH、OMe、F、Cl、又はCF3であり、R9及びR10がH、OMe、F、及びClからそれぞれ独立に選択され、R20がHであり、nが1である。〕、R4がMeであり、R4’がH又はMeであり、R5がHであるか、又はR3及びR5が窒素とともに以下の式から選択される環を形成し、〔式中、R11及びR12がH、Cl、及びCF3からそれぞれ独立に選択され、YがCH又はNであり、R13がH、Me、シクロヘキシル、非置換フェニル又はCF3で置換したフェニル、又は非置換ベンジルであり、R14及びR15がH及びClからそれぞれ独立に選択され、R19がHである。〕、及びその薬学的に許容可能な塩である、請求項1に記載の化合物。

請求項4

R1がOH、OMe、F、Cl、CF3、(R16)(R17)N−エチレン−O−から選択され、ここで、R16及びR17がそれぞれ、メチル、イソプロピル、n−ブチル又はベンジルであるか、又はR16及びR17が窒素とともに以下の式から選択される環を形成し、〔式中、XがN又はOであり、R18が存在しないか、又は非置換フェニルであり、R2がH、Cl、F、CF3、OMe、OCF3である。〕、又はR1及びR2が相互に連結して−O−エチレン−O−基を形成し、R3が以下の式から選択され、〔式中、R6がH、F、Cl、Me、イソプロピル、t−ブチル、OMe、CF3、又はS(O)2Meであり、R7及びR8がそれぞれ独立にH、OMe、F、Cl、又はCF3であり、R9及びR10がH、OMe、F、及びClからそれぞれ独立に選択され、nが1である。〕、R4がMeであり、R4’がHであり、R5がHであるか、又はR3及びR5が窒素とともに以下の式から選択される環を形成し、〔式中、R11及びR12がH、Cl、及びCF3からそれぞれ独立に選択され、YがCH又はNであり、R13がH、Me、シクロヘキシル、非置換フェニル又はCF3で置換したフェニル、又は非置換ベンジルであり、R14及びR15がH及びClからそれぞれ独立に選択され、R19がHである。〕、又はその薬学的に許容可能な塩である、請求項1に記載の化合物。

請求項5

式Iaの化合物又はその薬学的に許容可能な塩である、請求項1に記載の化合物: 〔式中、R4’がHであり、残基が請求項1に記載の通りである。〕。

請求項6

式IIaの化合物又はその薬学的に許容可能な塩:〔式中、R1がハロ、C1−6ハロアルキル、又はOHであり、R2がH、ハロ又はC1−6ハロアルキルであるか、又はR1及びR2が相互に連結されて−O−エチレン−O−基を形成し、R3がC1−6ハロアルキルであり、R4がC1−6アルキル〕。

請求項7

R1がCl、F、CF3、又はOHであり、R2がH、Cl、F、CF3であるか、又はR1及びR2が相互に連結されて−O−エチレン−O−基を形成し、R3がCF3であり、又はR4がメチルである、並びにその薬学的に許容可能な塩である、請求項6に記載の化合物。

請求項8

式IIbの化合物又はその薬学的に許容可能な塩である、請求項6に記載の化合物:〔式中、R1〜R4は請求項6に記載の通りである。〕。

請求項9

以下の化合物群から選択される化合物又はその薬学的に許容可能な塩:。

請求項10

前記化合物は以下の化合物群から選択される、請求項9に記載の化合物:

請求項11

式VIIIaの化合物又はその薬学的に許容可能な塩:〔式中、は、単結合又は二重結合であり、R1はC1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、非置換ベンジル又はハロ、C1−6アルキル、若しくはC1−6ハロアルキルで置換したベンジルであり、R2はHであるか、又はR1及びR2が窒素とともに以下の環を形成し、式中、XはCH、N、又はOであり、R4は存在しないか、又はH、C1−6アルキル、又は非置換フェニル又はハロ、C1−6アルキル、若しくはC1−6ハロアルキルで置換したフェニルであり、R3はC1−4アルキル、ハロ、又はC1−6ハロアルコキシである。〕、(但し、以下の化合物ラセミ混合物を除く:)。

請求項12

が、単結合又は二重結合であり、R1がイソブチル、ベンジル、又はクロロ、メチル、若しくはCF3で置換したベンジルであり、R2がHであるか、又はR1及びR2が窒素とともに以下の式の環を形成し、〔式中、XがCH、N、又はOであり、R4が存在しないか、又はH、イソプロピル、又は非置換フェニルである。〕、R3がオルト−Me、メタ−Me、パラ−Me、パラ−F、パラ−OCF3、又はその薬学的に許容可能な塩である、請求項11に記載の化合物。

請求項13

式VIIIbを有する化合物又はその薬学的に許容可能な塩である、請求項11に記載の化合物:〔式中、R1〜R3は請求項11に記載の通りである。〕。

請求項14

式VIIIcを有する化合物又はその薬学的に許容可能な塩である、請求項11に記載の化合物:〔式中、R1〜R3が請求項11に記載の通りである。〕。

請求項15

以下の化合物群から選択される化合物又はその薬学的に許容可能な塩:。

請求項16

前記化合物は以下の化合物群から選択される、請求項15に記載の化合物:。

請求項17

ニューロン細胞に対するアミロイドベータの効果を阻害するための方法/使用であって、前記細胞中でアミロイドベータオリゴマーの結合を阻害するのに有効な量の請求項1〜16のいずれか1項に記載の化合物、及び薬学的に許容可能な担体、を含む組成物を有効量だけ投与することを含む、方法/使用。

請求項18

前記化合物が、前記細胞膜輸送欠損を阻害するのにも有効な量で投与され、前記膜輸送効果が、可溶性アミロイドベータオリゴマーへの前記細胞の曝露に関連する、請求項17に記載の方法/使用。

請求項19

前記化合物が、前記細胞中で可溶性アミロイドベータオリゴマーに対する前記細胞の曝露に関連する前記オリゴマー結合及びシナプス消失の両方を阻害するのに有効な量である、請求項17及び18のいずれか1項に記載の方法/使用。

請求項20

前記化合物が、可溶性アミロイドベータオリゴマー媒介性認知効果を阻害するのに有効な量で投与される、請求項17〜19のいずれか1項に記載の方法/使用。

請求項21

前記認知効果が、認知低下動物モデル試験される認知低下である、請求項20に記載の方法/使用。

請求項22

前記認知低下が、恐怖条件付けアッセイで試験される学習の低下である、請求項21に記載の方法/使用。

請求項23

前記認知低下が、モリス水迷路試験で試験される空間学習及び記憶の低下である、請求項21に記載の方法/使用。

請求項24

前記認知低下が、アルツハイマー病遺伝子組み換え動物モデルで試験される海馬系の空間学習及び記憶の低下である、請求項21に記載の方法/使用。

請求項25

ニューロン細胞のアミロイドベータオリゴマー誘発のシナプス不全を阻害するために、前記細胞中でアミロイドベータオリゴマー結合を阻害するのに有効な量で、シグマ−2受容体拮抗物質化合物を含む前記組成物に前記細胞を接触させることを含み、前記不全が、前記細胞を可溶性アミロイドベータオリゴマーに曝露することに関連する、請求項17に記載の方法/使用。

請求項26

対象の長期残留記憶の抑制を阻害するために、それを必要とする前記対象に、シグマ−2受容体拮抗物質化合物を含む前記組成物を治療有効量投与することを含む、請求項17に記載の方法/使用。

請求項27

認知低下を呈するか、又はそれを呈するリスクがある対象の認知低下を阻害するために、シグマ−2受容体拮抗物質化合物を含む前記組成物の治療有効量を前記対象に投与することを含む、請求項17に記載の方法/使用。

請求項28

中枢ニューロンに対するアミロイドベータオリゴマーの効果に関連する対象の認知低下を阻害するために、シグマ−2受容体拮抗物質化合物を含む前記組成物の治療有効量を、前記認知低下に悩む対象に投与することを含む、請求項17に記載の方法/使用。

請求項29

必要とする対象のアルツハイマー病の軽度の認知障害処置するために、シグマ−2受容体拮抗物質化合物を含む前記組成物の治療有効量を前記対象に投与することを含む、請求項17に記載の方法/使用。

請求項30

シグマ−2拮抗物質化合物が以下の追加的特性のうち1つ又は複数を有する、請求項25〜27のいずれか1項に記載の方法/使用であって、すなわち、(a)1つ又は複数の非シグマCNS受容体と比較して、少なくとも10倍大きい、少なくとも20倍大きい、少なくとも50倍大きい、又は少なくとも100倍大きい親和性でシグマ−2受容体と選択的に結合し、前記化合物が200nM未満、150nM未満、100nM未満又は60nM未満のKiでシグマ−2受容体と結合する、(b)ニューロン細胞中のAベータオリゴマー結合又はシナプス消失を阻害し、前記消失がAベータオリゴマーに対する前記細胞の曝露に関連する、(c)中枢ニューロンにおける膜輸送異常を阻害し、前記異常が1つ又は複数のAベータオリゴマーに対する前記細胞の曝露に関連する、(d)アミロイドベータオリゴマーが存在しない状態で、中枢ニューロン中の輸送又はシナプス数に影響しない、方法/使用。

請求項31

前記化合物は式VIIIaの化合物又はその薬学的に許容可能な塩である、請求項11に記載の化合物:〔式中、が、単結合又は二重結合であり、R1がC1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、非置換ベンジル、又はハロ、C1−6アルキル、若しくはC1−6ハロアルキルで置換したベンジルであり、R2がHであるか、又はR1及びR2が窒素とともに以下の式の環を形成し、式中、XがCH、N、又はOであり、R4が存在しないか、又はH、C1−6アルキル、又は非置換フェニル、又はハロ、C1−6アルキル、若しくはC1−6ハロアルキルで置換したフェニルであり、R3がC1−4アルキル、ハロ、又はC1−6ハロアルコキシである。〕、(但し、以下の前記ラセミ混合物、及びそれが溶解する前記個々の化合物が除去される除く:)。

請求項32

前記化合物は以下の化合物群から選択される化合物又はその薬学的に許容可能な塩である、請求項15に記載の化合物:。

技術分野

0001

[001] 本出願は、米国国有企業で米国以外の国全部で指名される出願人であるCognition Therapeutics, Inc.、及び米国のみで指名される出願人である米国国民のSusan M. Catalano、Gilbert Rishton及びNicholas J. Izzo, Jr.の名前PCT国際特許出願として2012年8月27日に出願され、2011年8月25日出願の米国仮特許出願第61/527,584号に対する優先権を主張し、その出願は全体が参照により本明細書に組み込まれている。

0002

[002] 本発明は、シグマ−2受容体に結合する新規ジアリールアミノ化合物、及び該化合物を含む医薬組成物に関し、さらにニューロン細胞シナプス消失を抑制又は回復し、ニューロン細胞中の膜輸送変化を調節し、認知低下及び神経変性疾患及びそれに伴う障害処置する方法に関する。

背景技術

0003

[003]アルツハイマー病(AD)の処置には現在FDAに認可されている5つの薬物療法がある。4つはコリンエステラーゼ阻害剤、すなわちタクリン(Cognex(登録商標);Sciele)、ドネペジル(Aricept(登録商標);Pfizer)、リバスチグミン(Exelon(登録商標);Novartis)及びガランタミン(Razadyne(登録商標);Ortho-McNeil-Janssen)である。ドネペジル、リバスチグミン、及びガランタミンは、肝毒性の可能性があるので滅多に配合されない第一世代の化合物タクリンの後継者であり、ADの全ステージ認知性及び機能の症状を改善するのにほぼ同等に効力がある。5番目に認可された薬物療法はメマンチン(Namenda(登録商標);Forest)であり、これは親和性が低く、頻度依存性のN−メチル−D−アスパラギン酸グルタミン酸受容体拮抗物質であり、同様の利点があるが、重度のADに対する緩和のみである。これらの化合物の臨床効果は小さくて永続せず、疾患修飾剤としての使用を裏付ける決定的データは現在ない。例えばKerchner他の2010年のBapineuzumab(Expert Opin Biol Ther., 10(7):1121-1130)を参照されたい。ADを処置する代替アプローチが必要であることは明白である。

0004

[004]ヒトアミロイドベータ(Aベータ又はAβ)は、アルツハイマー病患者の脳に見られる不溶性アミロイドプラーク沈着物の主成分である。プラークはAベータの原繊維集合体で構成される。アミロイドベータ原繊維は、アルツハイマー病の進行ステージと関連付けられている。

0005

[005]初期アルツハイマー病(AD)の認知特徴は、新しい記憶を形成する能力が著しく欠けていることである。初期の記憶消失は、可溶性Aβオリゴマーにより引き起こされたシナプス障害と考えられている。これらのオリゴマーは、シナプス可塑性の古典的な実験パラダイムである長期残留記憶作用遮断し、ADの脳組織及び遺伝子組み換えADモデルで驚異的に上昇する。初期の記憶消失はニューロン死以前のシナプス障害が原因であり、シナプス障害は原細胞ではなく可溶性Aβオリゴマーの作用に由来すると仮定されてきた。Lacor他のSynaptic targeting by Alzheimer's-related amyloid β oligomers(J. Neurosci. 2004, 24(45):10191-10200)。

0006

[006] Aベータは、ニューロンのシナプスへの集中が見られる膜内在性タンパク質であるアミロイド前駆体タンパク質APP)の開裂生成物である。アルツハイマー患者の脳及び組織には可溶性形のAベータが存在し、その存在は疾患の進行と相関する。Yu他の2009年のStructural characterization of a soluble amyloid beta-peptide oligomer(Biochemistry, 48(9):1870-1877)。可溶性アミロイドβオリゴマーは、学習及び記憶を遮断するニューロンのシナプスの変化を誘発することが実証されている。

0007

[007] 比較的小さい可溶性Aβオリゴマーは、正常なシナプス可塑性にとって重要なシグナル伝達経路を幾つか妨害し、最終的に及びシナプスの消失が生じる。Selkoe他の2008年のSoluble oligomers of the amyloid beta-protein impair synaptic plasticity and behavior (Behav Brain Res 192(1): 106-113)。アルツハイマー病は、シナプス可塑性疾患として発病し、継続する。

0008

[008] 可溶性Aβオリゴマーの存在は、前アルツハイマー病の脳における初期認知低下の原因になると考えられる。アミロイドベータオリゴマーはニューロンのシナプスに結合し、ニューロン及びグリアにはシグマ−2受容体が大量に存在することが知られている。

0009

[009] 本発明は、一部は、シグマ−2受容体拮抗物質が、特定の要件を満たすと可溶性Aβオリゴマーの有害作用阻害するという広範な知見に基づいている。幾つかの実施形態では、シグマ−2受容体拮抗物質及び組成物を使用して、被験者シナプス機能不全を処置又は予防する。

発明が解決しようとする課題

0010

[010] 本発明は、一部は、以下で規定するようにシグマ−2拮抗物質、好ましくは他の態様の特殊な治療表現型も呈するシグマ−2拮抗物質は、アミロイドベータ(「Aベータ」又は「Aβ」)ペプチド及びオリゴマー及びその他の可溶種の阻害に参加して、その効果を阻害し、その結果、アルツハイマー病などのAベータが誘発する病理に関連する疾患及び障害などの状態を処置するために使用できるという広範な知見に基づく。可溶性Aベータオリゴマーは、可逆性病理リガンドと同様に挙動するが、これは特定の受容体に結合して、正常なシナプスの可塑性にとって重大なシグナル伝達経路を妨害し、最終的に棘及びシナプスが消失する。シグマ−2受容体に結合し、機能的ニューロン拮抗物質として挙動する化合物は、Aベータオリゴマーとの薬理競合を呈することが発見された。したがって、本明細書で説明するようなシグマ−2拮抗物質化合物は、Aベータが誘発する細胞毒性のようなAベータオリゴマーの効果を低減又は防止することができる。本発明は、Aベータオリゴマー又は他の可溶性Aベータ種がニューロン細胞に及ぼす効果、及びさらに一般的にはアミロイドベータの病理を阻害し、細胞を本発明によるシグマ−2拮抗物質に接触させることを含む方法も包含する。幾つかの実施形態では、アルツハイマー病の早期ステージを処置するために、治療的に有効な量のシグマ−2機能性拮抗物質を投与することを含む方法を提供する。

課題を解決するための手段

0011

[011] 一実施形態では、本発明のシグマ−2拮抗物質は式Iで表される新規の化合物であり、




式中、
R1及びR2は、H、OH、ハロ、CN、NO2、NH2、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルキル、C1−6ハロアルコキシ、C3−7シクロアルキル、NH(C1−4アルキル)、N(C1−4アルキル)2、NH(C3−7シクロアルキル)、NHC(O)(C1−4アルキル)、(R16)(R17)N−C1−4アルキレン−O−、SH、S(C1−6アルキル)、C(O)OH、C(O)O(C1−4アルキル)、C(O)(C1−4アルキル)、及びC(O)NH(C1−4アルキル)から別個に選択されるか、又はR1とR2が相互に連結して−O−C1−2メチレン−O−基を形成し、ここで、
R16及びR17は、別個にH、C1−4アルキル、又はベンジルであるか、又はR16及びR17が一緒窒素とともに下式から選択される環を形成し、




式中、
XはCH2、N又はOであり、R18は存在しないか、又はH、非置換フェニル、又はOH、ハロ、CH、NO2、NH2、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルキル、C1−6ハロアルコキシで置換されたフェニルであり、
ここで、R1及びR2のうち少なくとも一方はHではなく、
R3は下式から選択され、




式中、
R6、R7、R8、R9、R10、及びR20は、H、OH、ハロ、CN、NO2、NH2、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルキル、C1−6ハロアルコキシ、C3−7シクロアルキル、NH(C1−4アルキル)、N(C1−4アルキル)2、NH(C3−7シクロアルキル)、NHC(O)(C1−4アルキル)、SH、S(C1−6アルキル)、S(O)2−C1−6アルキル、C(O)OH、C(O)O(C1−4アルキル)、C(O)(C1−4アルキル)、及びC(O)NH(C1−4アルキル)から別個に選択され、
nは1〜4であり、
R4はC1−6アルキルであり、
R4’はH又はC1−6アルキルであり、
R5は、H、C1−6アルキル、及びC(O)O(C1−4アルキル)、C(O)(C1−4アルキル)、又はC(O)(C1−4ハロアルキル)であるか、又は、
R3及びR5は一緒に窒素とともに下式から選択される環を形成し、




式中、
R11、R12、R14、R15、及びR19は、H、OH、ハロ、CN、NO2、NH2、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルキル、C1−6ハロアルコキシから別個に選択され、
YはCH、N、又はOであり、
R13は存在しないか、又はH、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、非置換フェニル、又はOH、ハロ、CN、NO2、NH2、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルキル、C1−6ハロアルコキシ、若しくは非置換ベンジルで置換したフェニル、又はOH、ハロ、CH、NO2、NH2、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルキル、C1−6ハロアルコキシ、若しくはその薬学的に許容可能な塩で置換されたベンジルである。

0012

[012] 別のさらに特定の実施形態では、本発明のシグマ−2拮抗物質は式IIで表される新規の化合物であり、




式中、
R1及びR2は、H、OH、ハロ、CN、NO2、NH2、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルキル、C1−6ハロアルコキシ、C3−7シクロアルキル、NH(C1−4アルキル)、NH(C1−4アルキル)2、NH(C3−7シクロアルキル)、NHC(O)(C1−4アルキル)、SH、S(C1−6アルキル)、C(O)OH、C(O)O(C1−4アルキル)、C(O)(C1−4アルキル)、及びC(O)NH(C1−4アルキル)から別個に選択されるか、又はR1及びR2は相互に連結されて、−O−C1−4メチレン−O−を形成し、R1、R2、R4、R5及びR6のうち少なくとも1つはHではなく、
R3は、H、ハロ、及びC1−6ハロアルキルから選択され、
R4=C1−6アルキル、
R5は、H、C1−6アルキル、及びC(O)O(C1−4アルキル)、C(O)(C1−4アルキル)、C(O)(C1−4ハロアルキル)であり、
R6、R7、R8、及びR9は、H、OH、ハロ、CN、NO2、NH2、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルキル、C1−6ハロアルコキシ、又はその薬学的に許容可能な塩から別個に選択される。

0013

[013] 幾つかの実施形態では、本発明のシグマ−2拮抗物質はシグマ−2受容体と結合し、Aβオリゴマーのニューロン、特にシナプスへの結合を阻害する。幾つかの実施形態では、シグマ−2拮抗物質は、ニューロン及び特にシナプスとのAβオリゴマーの結合と競合するか、又はAβオリゴマーの形成を妨害するか、Aβオリゴマーへの結合を妨害するか、又は場合によってはAβオリゴマーがニューロンへのその結合に伴うシグナル伝達機構を作動させる能力を妨害することによってなどの他の方法でAβオリゴマーがニューロンに結合する能力を破壊する。特定の実施形態では、シグマ−2拮抗物質はこのように、特に、膜輸送障害、シナプス不全、動物の記憶及び学習欠損、シナプス数の減少、樹状突起棘の長さ又は棘の形態の変化、又は長期残留記憶(LTP)の欠陥など、Aβの非致死性病理効果(「Aβの非致死的病理」又は「アミロイドベータの非致死的病理」)を阻害する。すなわち、本発明の発明者の観察では、本明細書で例証しているような他のアッセイ活性である本発明のシグマ−2拮抗物質は、ニューロンを正常状態に回復させるか、又はAβオリゴマー誘発のシナプス不全を妨害する能力を有する。理論に拘束されることなく、本発明のシグマ−2拮抗物質は、Aβオリゴマー構造、ニューロンに結合したAβオリゴマー、又はAβオリゴマーに誘発された分子シグナル伝達機構のうち1つ又は複数を妨害し、これはAβオリゴマーの非致死的効果を相殺し、可溶性Aβオリゴマー関連の病理の早期ステージを処置するのに役立つ。

0014

[014] 一実施形態では、本発明のシグマ−2拮抗物質は機能的ニューロン拮抗物質であり、ニューロン細胞のシナプス消失を阻害する方法に使用され、消失は、1つ又は複数のAベータオリゴマー又は他のAベータ複合体、又はさらに一般的にはモノマー又はオリゴマー又は他の可溶性複合体形態のAベータペプチドなどのAベータ種に細胞が曝露することに関連し(以下で規定するように)、この方法は、上記消失を回避又は減少させるか、又は上記細胞のシナプス数を曝露前のレベルに完全に回復させるのに有効な量の1つ又は複数のシグマ−2拮抗物質の量に上記細胞を接触させることを含む。

0015

[015] 別の実施形態では、本発明のシグマ−2拮抗物質は、ニューロン細胞の膜輸送変化を調節する方法に使用され、上記変化は1つ又は複数のAベータ種に対する上記細胞の曝露に関係し、上記方法は、上記膜輸送変化を回避又は減少させるか、又は上記Aベータ種に上記細胞が曝露する前に観察されたレベルに、又はそのレベル付近に維持するのに有効な量の1つ又は複数のシグマ−2拮抗物質の量に上記細胞を接触させることを含む。

0016

[016] 別の実施形態では、本発明のシグマ−2拮抗物質は本発明のシグマ−2拮抗物質の1つ又は複数を被験者に投与することを含む、認知低下を処置する方法に使用される。

0017

[017] さらに別の実施形態では、本発明のシグマ−2拮抗物質は認知低下又は神経変性障害又はシナプスの機能及び/又は数の欠陥を処置するために、本発明のシグマ−2拮抗物質の1つ又は複数を被験者に投与することを含む方法に使用される機能的ニューロンシグマ−2拮抗物質である。

0018

[018] 幾つかの実施形態では、本開示は、ニューロン細胞のアミロイドベータオリゴマー誘発のシナプス不全を阻害し、Aベータオリゴマーに対するニューロンの曝露によって引き起こされる海馬の長期残留記憶の抑制を阻害し、シグマ−2受容体拮抗物質を含む組成物及び方法を提供する。

0019

[019] 本発明は認知低下を阻害するか、又は神経変性疾患を処置する化合物を識別する方法を提供し、上記方法は、
シグマ−2受容体に結合する化合物に細胞を接触させることと、上記化合物が以下の追加的特性、すなわち、
(a)中枢ニューロンのシナプス消失を阻害することで、上記消失はAベータオリゴマーに対するニューロンの曝露に関連する、
(b)中枢ニューロンの膜輸送異常を阻害することで、異常は1つ又は複数のAベータオリゴマーに対する上記細胞の曝露に関連する、
(c)アルツハイマー病の動物モデルのAベータオリゴマーで仲介される認知効果を阻害すること、又は
(d)アルツハイマー病の動物モデルの海馬主体空間学習及び記憶低下を阻害することのうち少なくとも1つを有するかを判定することとを含む。
非致死的アミロイドベータ病理のこのような阻害は、認知低下を阻害し、ニューロン細胞のシナプス消失を阻害し、ニューロン細胞の膜輸送変化を阻害する方法を含む。

図面の簡単な説明

0020

[020]図1Aは、細胞内小胞が、膜輸送アッセイにおけるカーゴテトラゾリウム塩色素の取り込み及び化学還元の結果であるホルマザンを含有する状態で、インビトロで21日間維持された海馬及び皮質の1次培養物を示す顕微鏡写真である。
[021]図1Bは、ホルマザンの開口分泌後にニューロン及びグリアの細胞膜の外側に細胞外ホルマザン結晶が形成された状態で、姉妹培養物を示す顕微鏡写真であり、細胞が膜輸送アッセイでAベータオリゴマーに曝露している。この図は、ヒトAベータ1−42オリゴマーがカーゴ色素産物ホルマザンの表現型(細胞内小胞対細胞外結晶)を変化させ、したがって細胞膜輸送欠損を引き起こすことを示す。
[022]図1Cは、細胞内小胞を示す顕微鏡写真であり、細胞がAベータオリゴマーと、化合物(cpd)II、すなわち本発明による選択的で高親和性のシグマ−2拮抗物質化合物との両方に曝露している。この図は、化合物IIがAベータオリゴマーによって生じた膜輸送欠損を遮断することができ、膜輸送表現型を正常に回復することを示す。
[023]図1Dは、膜輸送アッセイの数量化を示し、y軸は、カーゴテトラゾリウム塩色素の投与後所定の時点における細胞内小胞に含有されるホルマザン産物のビヒクル処置値で正規化した量を表す。赤い円はAベータオリゴマーで処置した培養物を表し、青い四角ビヒクルで処置した対照培養物を表し、黒又はグレーの四角は、Aベータオリゴマーの前に化合物を添加(予防)した場合に、様々な濃度のcpdII+Aベータ、及びcpdIXa、IXb+Aベータで処置した培養物からの値を表す。横座標には化合物の濃度ログが使用されている。この図は、化合物が膜輸送に対するAベータオリゴマーの効果を用量依存的に阻害することを示す。
[024]図1Eは、図1Dと同じタイプのプロットであるが、Aベータオリゴマーの後に化合物を添加(処置)した場合の膜輸送アッセイの用量反応曲線を示す。横座標には化合物の濃度ログが使用されている。この図は、化合物が膜輸送に対するAベータオリゴマーの効果を用量依存的に阻害することを示す。
[025]図1Fは、様々な濃度の合成Aベータオリゴマーのみ(EC50 820nM)、及び様々な濃度の化合物II、及びその結果の小胞が各濃度で(%ビヒクルとして)存在する状態で、図1Dと同じタイプのプロットでの膜輸送アッセイを示す。化合物IIの濃度上昇が存在することにより、EC50の右方シフトシルド傾斜=−0.75)を呈した。この図は、cpdIIが膜輸送を媒介する分子標的アクセスするためにオリゴマーと薬理学的に競合し、したがって化合物IIの存在により合成Aベータオリゴマーのシナプス毒性が低下したことを実証している。
[026]図1Gは、様々な濃度の合成Aベータオリゴマーのみ、及び様々な濃度の化合物混合IXa、IXb、及びその結果の小胞が各濃度で(%ビヒクルとして)存在する状態で、図1Dと同じタイプのプロットでの膜輸送アッセイを示す。化合物混合IXa、IXbの濃度上昇が存在することにより、EC50の右方シフト(シルド傾斜=−0.51)を呈した。この図は、cpd混合IXa、IXbが膜輸送を媒介する分子標的にアクセスするためにオリゴマーと薬理学的に競合し、したがって化合物混合IXa、IXbの存在により合成Aベータオリゴマーのシナプス毒性が低下したことを実証している。
[027]図1Hは、ヒトアルツハイマー患者由来の様々な濃度の合成Aベータオリゴマーのみ、及び様々な濃度の化合物II、及びその結果の小胞が各濃度で(%ビヒクルとして)存在する状態で、図1Dと同じタイプのプロットでの膜輸送アッセイを示す。化合物IIの濃度上昇が存在することにより、EC50の右方シフトを呈した。この図は、cpdIIが膜輸送を媒介する分子標的にアクセスするためにオリゴマーと薬理学的に競合し、したがって化合物IIの存在によりヒトアルツハイマー病関連のAベータオリゴマーのシナプス毒性が低下したことを実証している。
[028]図1Iは、ヒトアルツハイマー患者由来の様々な濃度の合成Aベータオリゴマーのみ、及び様々な濃度の化合物混合IXa、IXB、及びその結果の小胞が各濃度で(%ビヒクルとして)存在する状態で、図1Dと同じタイプのプロットでの膜輸送アッセイを示す。化合物混合IXa、IXbの濃度上昇が存在することにより、EC50の右方シフトを呈した。この図は、cpd混合IXa、IXbが膜輸送を媒介する分子標的にアクセスするためにオリゴマーと薬理学的に競合し、したがって化合物混合IXa、IXbの存在によりヒトアルツハイマー病関連のAベータオリゴマーのシナプス毒性が低下したことを実証している。
[029]図1Jは、様々な濃度の合成Aベータオリゴマーのみ、及び様々な濃度の化合物CF、及びその結果の小胞が各濃度で(%ビヒクルとして)存在する状態で、図1Dと同じタイプのプロットでの膜輸送アッセイを示す。化合物CFの濃度上昇が存在することにより、EC50の右方シフトを呈した。この図は、cpdCFが膜輸送を媒介する分子標的にアクセスするためにオリゴマーと薬理学的に競合し、したがって化合物CFの存在により合成Aベータオリゴマーのシナプス毒性が低下したことを実証している。
[030]図1Kは、様々な濃度の合成Aベータオリゴマーのみ、及び様々な濃度の化合物W、及びその結果の小胞が各濃度で(%ビヒクルとして)存在する状態で、図1Dと同じタイプのプロットでの膜輸送アッセイを示す。化合物Wの濃度上昇が存在することにより、EC50の右方シフトを呈した。この図は、cpdWが膜輸送を媒介する分子標的にアクセスするためにオリゴマーと薬理学的に競合し、したがって化合物Wの存在により合成Aベータオリゴマーのシナプス毒性が低下したことを実証している。
[031]図1Lは、アルツハイマー病患者から単離したAベータオリゴマーを使用した膜輸送アッセイの結果を示す。化合物CF(20マイクロモル濃度)は、膜輸送を媒介する分子標的にアクセスするためにAD患者から分離したAベータオリゴマーとの薬理学的競合を呈し、したがって化合物CFの存在によりヒトアルツハイマー病関連のAベータオリゴマーのシナプス毒性が低下した。
[032]図1Mは、(i)ビヒクルのみ(1番目の棒)、(ii)ヒトアルツハイマー病患者の脳からのAベータオリゴマーの製剤(2番目の棒で、1番目の棒と比較して有意に減少している)、(ii)本明細書で開示した通りの化合物II+Aベータオリゴマー(3番目の棒、2番目の棒より有意に高い)、及び(iv)Aベータオリゴマーがない化合物II(4番目の棒、1番目の棒と有意な差がない)がある状態で識別(及び数量化)されたニューロンのホルマザン充填小胞百分率で示した輸送アッセイ結果棒グラフである。この図は、ヒトアルツハイマー病関連のAベータオリゴマーにより生じた膜輸送欠損を遮断し、膜輸送表現型を正常に回復させるが、Aベータオリゴマーが存在しない状態で単独で投与された場合に膜輸送に影響しないことを実証する。
[033]図1Nは、図Jと同一タイプであるが、年齢相応組織学的に正常なヒトの脳から単離したAベータオリゴマー製剤を使用して生成したデータを示す棒グラフである。この図は、正常なヒトの脳に由来するAベータオリゴマーは膜輸送に重大な影響を与えず、cpdIIはこのようなオリゴマーの有無にかかわらず膜輸送にさらに影響しないことを実証する。
[034]図2Aは、化合物IIの皮下(白抜きの三角形)及び静脈内(i.v.)(白抜きの円)単回投与後血漿内で(左側の縦座標、ng/mL)、及び化合物IIのi.v.単回投与塗りつぶした円)後に脳内で(右側の縦座標、ng/g)化合物IIの濃度を得た薬物動態学的データのプロットである。化合物IIは初回通過代謝の対象であることが知られており、したがって皮下投薬した。それにもかかわらず化合物IIは急投薬後に高度に脳に浸透していた。この図は、cpdIIが急皮下投薬後に高度に脳に浸透することを実証している。
[035]図2Bは、化合物IIを1日1回5日間、異なる量で皮下投与(0.5mg/kg/日:下向きの塗りつぶした三角形;0.35mg/kg/日:上向きの塗りつぶした三角形;及び0.1mg/日は塗りつぶした四角形)後に血漿内で(左側の縦座標)、及び化合物IIを同じ量だけ皮下投与(それぞれ下向きの白抜きの三角形、上向きの白抜きの三角形、及び白抜きの四角形)後に脳内で(右側の縦座標)化合物IIの濃度を得た薬物動態学的データのプロットである。化合物IIは初回通過代謝の対象であることが知られており、したがって皮下投薬した。それにもかかわらず化合物IIは長期投薬後に高度に脳に浸透していた。この図は、cpdIIが慢性皮下投薬後に高度に脳に浸透することを実証している。
[036]図2Cは、化合物CB(10mg/kg/日)の単回急経口投与後に血漿内で(左側の縦座標、閉じた三角形)、及び単回急経口投与後に脳内で(右側の縦座標、白抜きの三角形)化合物CBの濃度を得た薬物動態学的データのプロットである。化合物CBは急経口投薬後に高度に脳に浸透し、血漿半減期が3.5時間で50%の生物学的利用能を呈した。この図は、cpdCBが急経口投薬後に高度に脳に浸透することを実証している。
[037]図2Dは、化合物CBを1日1回、10mg/kg/日(三角形)又は30mg/kg/日(逆三角形)の量で5日間慢性経口投薬した後、血漿内(左側の縦座標、閉じた三角形)、及び脳内(右側の縦座標、白抜きの三角形)で化合物CBの濃度を得た薬物動態学的データのプロットである。化合物CBは慢性経口投薬後に高度に脳に浸透し、1日1回の経口投与5日間まで3の脳/血漿比を呈した。この図は、cpdCBが慢性経口投薬後に高度に脳に浸透することを実証している。
[038]図3AパネルAは、化合物IXa、IXbが存在しない状態でAベータオリゴマーにインビトロで21日間曝露したままの1次海馬及び皮質培養物の蛍光顕微鏡写真であり、Aベータ(モノクローナル抗体6E10の免疫標識視覚化してある)は、シナプスにてニューロンシナプス後棘を含む細胞膜に結合している。 [039]図3A−パネルBは、負の対照(図示せず)と比較してAベータオリゴマーが存在した状態でシナプス(シナプトフィジン免疫標識で視覚化してある)の数が減少していることを示す、図3AのパネルAで見たものと同じ視野である。 [040]図3A−パネルCは、化合物IXa、IXbが存在しない状態でAベータオリゴマーにインビトロで21日間曝露したままの1次海馬及び皮質培養物の倍率下げた蛍光顕微鏡写真であり、Aベータ(モノクローナル抗体6E10の免疫標識で視覚化してある)は、シナプスにてニューロンシナプス後棘を含む細胞膜に結合している。 [041]図3A−パネルDは、化合物IXa、IXbが存在する状態でAベータオリゴマーにインビトロで21日間曝露したままの1次海馬及び皮質培養物の姉妹培養物を示し、ニューロンシナプス後棘を含む細胞膜に結合しているAベータの量が目に見えて減少している。
[042]図3B−パネルAは、化合物IXa、IXbが存在する状態でAベータオリゴマーにインビトロで21日間曝露したままの1次海馬及び皮質培養物の姉妹培養物の蛍光顕微鏡写真を示し、ニューロンシナプス後棘を含む細胞膜に結合しているAベータの量が目に見えて減少している。この図は、化合物IXz、IXbが存在することで、(i)ニューロンシナプス後棘を含む細胞膜に結合したAベータオリゴマーの量が大幅に減少したことを実証している。化合物IIの存在下で同様の保護が見られた(データは図示せず)。 [043]図3B−パネルBは、図3Bと比較して、シナプトフィジンの視覚化が向上した化合物IXa、IXbが存在した状態でシナプス(シナプトフィジン免疫標識で視覚化してある)の数が回復していることを示す、図3AのパネルCで見たものと同じ視野である。この図は、化合物混合IXa、IXbがAベータオリゴマーが誘発するシナプス消失を大幅に遮断することを実証している。化合物IIの存在下で同様の保護が見られた(データは図示せず)。
[044]図3Cは、図3AのパネルA〜Dで示したデータをシナプス消失アッセイ実験の棒グラフで数量化したものである。シナプス消失は認知機能と最も近い相関を提供する。シナプス消失アッセイでは、Aベータオリゴマーがインビトロでビヒクルに対して18.2%のシナプス消失を引き起こした。化合物II又は化合物混合IXa、IXbの存在は、このシナプス退縮を完全に解消した。Aベータオリゴマーがない状態でビヒクルのみに入れた化合物を投薬しても、効果が見られなかった。特に、蛍光顕微鏡写真のシナプトフィジンで免疫標識した区域の数、強度及び面積画像処理に基づく数量化によりシナプスのカウントを計算して、ビヒクルのみ(第1の棒)、ビヒクル及び化合物IXa、IXb又はビヒクル及び化合物II(それぞれ第2及び第3の棒は、化合物がシナプスに与えた効果がないことを示す)、Aベータオリゴマー(第4の棒は第1の棒と比較してシナプスの数に有意な減少を示す)、及び化合物IXa、IXb又はIIの存在下でAベータオリゴマー(第5及び第6の棒)に曝露したニューロン中の負の対照(ビヒクル)のパーセントとして表す。この図は、化合物IXa、IXb及びIIが保護効果を呈し、Aベータオリゴマーが誘発するシナプス数の減少を阻止したことを実証している。
[045]図3Dは、Aベータのみをビヒクルに添加した場合(第1の棒グラフ)、及びAベータと化合物II又は化合物混合IXa、IXbが同時に存在した状態で大幅に減少した場合に、蛍光顕微鏡写真の6E10で免疫標識した区域の数、強度及び面積の画像処理に基づく数量化により計算したAベータ結合強度の棒グラフで、図3AのパネルA〜Dに示したデータを数量化したものである。この図は、化合物IXa、IXb及びIIが細胞膜に結合するAベータの量を減少させたことを実証している。
[046]図4は、ビヒクルのみ(第1の棒)、ビヒクル+Aベータオリゴマー(第2の棒)、化合物IIとAベータオリゴマー(第3の棒)及び化合物IIのみ(第4の棒)を投与したマウスについてベースライン訓練時及び訓練後24時間に、及びビヒクルのみ(第1の棒)、ビヒクルとAベータオリゴマー(大幅に減少した第2の棒)、化合物IIとAベータオリゴマー(第3の棒)及び化合物IIのみを投与した24時間後に、インビボ恐怖条件づけアッセイで測定したすくみ反応百分率の記憶能力の棒グラフである。Aベータオリゴマー(200ナノモル海馬内単回注射)は、ビヒクル(N=18)と比較して、3〜4月齢オスのwt C57BL/6マウス(N=16)で記憶形成の大幅な欠損を生成した。化合物II(オリゴマーの1時間前に2マイクロモルの単回海馬内注射)は、Aベータオリゴマーによって生じた記憶欠損を除去した(N=11)。化合物のみでは効果がなく、挙動に回避行動は認められなかった。この図は、化合物IIが、Aベータオリゴマーに誘発された記憶欠損を防止することができるが、単独で投薬された場合には記憶機能に効果を与えないことを実証している。
[047]図5は、動物を(i)ビヒクルのみ(第1の棒)、(ii)Aベータオリゴマー(第2の棒、試験動物が新しい記憶を獲得する能力の大幅な低下を示す)、(iii)化合物IXa、IXbの混合物(第3の棒、Aベータオリゴマーに誘発される記憶欠損の完全な(及び統計学的に有意な)阻害を示す)、又は(iv)Aベータオリゴマーが存在しない状態で化合物IXaとIXbの混合物(第4の棒、記憶に効果がないことを示す)で処置した場合に、図4を引き起こしたものと同じ文脈的恐怖条件づけアッセイにて、すくみ反応で測定した記憶機能を示す、図4と同じタイプの棒グラフである。挙動に回避行動は認められなかった。この図は、化合物混合IXa、IXbが、Aベータオリゴマーに誘発される記憶欠損を防止することができるが、単独で投薬された場合には記憶機能に効果を与えないことを実証している。
[048]図6Aは、(左側パネル)正常な患者、レビー小体型認知症(DLB)患者、又はアルツハイマー病(AD)患者のヒト前頭皮質組織切片における[3H]−(+)−ペンタゾシン(シグマ−1受容体リガンド)のオートラジオグラフィ結合を示し、BS特異的結合、BNSは非特異的結合であり、(右側パネルは)対照(正常)、DLB、又はAD患者のオートラジオグラフィ実験の[3H]ペンタゾシンの平均的な特異的結合のグラフを示す。シグマ−1受容体は、ADに見られるニューロン消失の程度と平行して、対照の年齢相応の脳と比較してアルツハイマー病の脳では大幅に低下している。この図は、シグマ−1受容体の発現がアルツハイマー病の脳で一定に維持されることがあることを実証している。
[049]図6Bは、(左側パネル)正常な患者、レビー小体型認知症(DLB)患者、又はアルツハイマー病(AD)患者の隣接的ヒト前頭皮質組織切片における[125I]−RHM−4(シグマ−2受容体リガンド)のオートラジオグラフィ結合を示し、(右側パネルは)対照(正常)、DLB、又はAD患者のオートラジオグラフィ実験の[125I]RHM−4の平均的な特異的結合のグラフを示す。シグマ−2受容体は、対照の年齢相応の脳と比較してアルツハイマー病及びレビー小体型認知症の脳では、これらの疾病でニューロン消失が見られるにもかかわらず、大幅に低下していない。この図は、生存ニューロン及び/又はグリアでのシグマ−2受容体の発現が、DLB及びアルツハイマー病の脳で上方調節されることがあることを実証している。
[050]図6Cは、(左側パネルは)サルの前頭皮質、サルの海馬又はヒトの側頭皮質で18.4nMの[3H]−RHM−1(シグマ−2受容体リガンド)がシグマ−2リガンドで置換されたことを示し、(右側パネルは)それぞれ1uMのシラメシン及び化合物IXa、IXb及びIIがある及びない状態で[3H]−RHM−1の結合密度を示すグラフである。この図は、化合物II及び混合物IXa、IXbが、サル及びヒトの脳組織切片中でシグマ−2受容体からの[3H]−RHM−1のような既知放射標識したシグマ−2リガンドと競合的に置換されることを実証している。
[051]図7Aは、シグマ化合物で48時間処置したSKOV−3ヒト卵巣癌細胞系でのMTSアッセイの細胞生存度として、シグマ−2受容体作用物質腫瘍細胞細胞障害性を示す。シグマ−2作用物質(シラメシン、SV−119、WC−26)は腫瘍細胞を死滅させる。シグマ−2拮抗物質(RHM−1、IXa、IXb及びII)は、作用物質が存在しない状態ではるかに高い濃度にした場合のみ、死滅させる。この図は、cpdII及びIXa、IXbが本アッセイでは既知のシグマ−2拮抗物質と同様に挙動することを実証し、したがって腫瘍細胞中のシグマ−2拮抗物質であることを示唆する。
[052]図7Bは、シグマ−2化合物を使用したニューロン培養物の24時間後の核強度の変動として、シグマ−2受容体作用物質のニューロン細胞の細胞傷害性を示す。シグマ−2作用物質(シラメシン、SV−119、WC−26)は、ニューロン中の異常な核形態を引き起こし、シグマ−2拮抗物質(RHM−1、IXa、IXb及びII)は引き起こさない。この図は、cpdII及びIXa、IXbが本アッセイでは既知のシグマ−2拮抗物質と同様に挙動することを実証し、したがって1次海馬及び皮質細胞のシグマ−2拮抗物質であることを示唆する。
[053]図8Aは、シグマ−2作用物質のシラメシンによって誘発されたSKOV−3ヒト卵巣癌細胞でのカスパーゼ−3の活性を示し、シグマ−2受容体拮抗物質RHM−1、化合物II及びIXa、IXbはカスパーゼ3の活性を誘発しなかった。Aベータオリゴマーは低レベルのカスパーゼ−3活性を引き起こして、LTDをもたらす。高レベルのオリゴマー及びカスパーゼ3は細胞死をもたらす。シグマ−2受容体作用物質(SV−119、シラメシン)は、腫瘍細胞及びニューロン中のカスパーゼ−3を活性化し、シグマ−2拮抗物質は活性化しない(図10A及び図10B)。この図は、cpdII及びIXa、IXbが本アッセイでは既知のシグマ−2拮抗物質と同様に挙動することを実証し、したがって腫瘍細胞中のシグマ−2拮抗物質であることを示唆する。
[054]図8Bは、シグマ−2作用物質のシラメシンによって誘発されたニューロンでのカスパーゼ3の活性を示し、シグマ−2受容体拮抗物質RHM−1、化合物II及びIXa、IXbはカスパーゼ−3の活性を誘発しなかった。この図は、cpdII及びIXa、IXbが本アッセイでは既知のシグマ−2拮抗物質と同様に挙動することを実証し、したがって1次海馬及び皮質細胞中のシグマ−2拮抗物質であることを示唆する。
[055]図8Cは、シグマ−2受容体作用物質SV−119によるSKOV−3ヒト卵巣腫瘍細胞中のカスパーゼ−3の活性を示す。シグマ−2受容体拮抗物質化合物IXa、IXb及びII、RHM−1は、腫瘍細胞中でシグマ−2受容体作用物質SV−119によって引き起こされるカスパーゼ−3の活性化を遮断しない。この図は、cpdII及びIXa、IXbが本アッセイでは既知のシグマ−2拮抗物質と同様に挙動することを実証し、したがって腫瘍細胞中のシグマ−2拮抗物質であることを示唆する。
[056]図8Dは、24時間後の様々な作用物質の濃度におけるシグマ−2受容体作用物質SV−119によるニューロン培養物中のカスパーゼ−3の活性化を示す。この図は、シグマ−2受容体拮抗物質化合物IXa、IXb及びIIが、1次海馬及び皮質細胞中でシグマ−2受容体作用物質SV−119によって引き起こされたカスパーゼ−3の活性化を遮断するが、RHM−1は遮断しなかったことを実証している。
[057]図9Aは、様々な用量でシグマ−2受容体拮抗物質化合物を5.5カ月経口投与した後、15月齢のオスの遺伝子導入アルツハイマー病マウスモデルで訓練後24時間の1〜3分に、インビボ恐怖条件づけアッセイで測定したすくみ反応百分率の記憶能力を示す。10及び30mg/kg/日のCB(p<0.05)及び30mg/kg/日のCF(p<0.005)で処置した遺伝子導入(Tg)動物では、ビヒクルで処置したTg動物と比較して、記憶欠損に有意の改善が生じた(マンホイットニーU検定)。この図は、慢性長期投与後にcmpdCB及びCFが遺伝子導入アルツハイマー病動物で定着した記憶欠損を逆転させることを実証している。
図9Bは、ビヒクルで処置した非遺伝子導入同腹子に対して、ビヒクルで39日間経口(p.o.)処置した場合にY迷路にて大幅な記憶欠損を呈した9月齢のメスの遺伝子導入(Tg)アルツハイマー病マウス(%交替)の挙動データの棒グラフを示す(すなわち、ビヒクル処置したTgマウスは機会で実行し、ビヒクル処置した非Tg同腹子は、機会よりもはるかに良好に実行した。各棒の近傍のアステリスク及び線を参照)。Tg動物の30mg/KG/日のCpd.CFでの経口処置は、欠損を改善した。挙動の回避行動は認められなかった。この図は、慢性短期投与後にcmpdCFが遺伝子導入アルツハイマー病マウスで定着した記憶欠損を逆転させることを実証している。

実施例

0021

定義
[058] 本発明の化合物、組成物及び方法を詳細に説明する前に、説明する特定のプロセス、組成物、又は方法は変化することがあるので、本発明がこれに限定されないことを理解されたい。説明で使用する用語は、特定のバージョン又は実施形態を説明することのみが目的であり、請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定するものではないことも理解されたい。他に規定していない限り、本明細書で使用する全ての専門用語及び科学用語は、当業者が一般的に理解する通りの意味を有する。本明細書で説明するものと同様又は同等の方法及び材料は全て、本発明の実施形態の実践又は試験に使用することができるが、次に好ましい方法、装置、及び材料を説明する。

0022

[059]明快さを期して別個の実施形態の状況で説明する本発明の特定の特徴を、単一の実施形態で組み合わせても提供できることがさらに認識される。逆に、簡潔さを期して単一の実施形態の状況で説明する本発明の様々な形態を、別個に、又は任意の適切な下位組み合わせでも提供することができる。
定義

0023

[060]単数形の「ある」及び「上記」は、異なることが文脈で明白に規定していない限り、複数の表示を含む。したがって、例えばある「細胞」に言及した場合、それは1つ又は複数の細胞及び当業者に知られているその同等物などに言及したことになる。

0024

[061] 本明細書で使用する「約」という用語は、所与の値の±10%を意味する。例えば「約50%」は45%〜55%の範囲にあるという意味である。

0025

[062] 「シグマ−2リガンド」は、シグマ−2受容体に結合する化合物を意味し、作用物質、拮抗物質、部分作用物質逆作用物質、及び単純にこの受容体又はタンパク質の他のリガンドの競合物質を含む。

0026

[063] 「作用物質」という用語は、存在すると、ある受容体に対して自然に発生したリガンドの存在に起因する生物活性と同じである上記受容体の生物活性をもたらす化合物を指す。

0027

[064] 「部分作用物質」という用語は、存在すると、ある受容体に対して自然に発生したリガンドの存在に起因する生物活性と同じであるが、それより小さい大きさの上記受容体の生物活性をもたらす化合物を指す。

0028

[065] 「拮抗物質」という用語は、存在すると、受容体の生物活性の大きさが低下することになる実態、例えば化合物を指す。特定の実施形態では、拮抗物質が存在した結果、受容体の生物活性が完全に阻害される。シグマ−2受容体における「機能的拮抗物質」は、例えば膜輸送アッセイなどのインビトロアッセイ、又は挙動アッセイで、又はそれを必要とする患者などで見られるようなAベータオリゴマーに誘発されるシナプス不全を遮断する拮抗物質である。機能的拮抗物質は、例えばAベータオリゴマーなどの結合を阻害することによって直接的に作用するか、又はシグマ−2受容体に結合するAベータオリゴマーに由来する下流方向の信号伝達を妨害することによって間接的に作用する。

0029

[066] 「選択性」又は「選択的」という用語は、非シグマ受容体と比較したシグマ−2受容体の結合親和性Kiの差を指す。シグマ−2拮抗物質は、シナプスニューロン中のシグマ受容体に対して高い選択性を有する。シグマ−2受容体又はシグマ−2受容体及びシグマ1受容体の両方のKiが、非シグマ受容体のKiと比較される。一態様では、シグマ−2又はシグマ−1/シグマ−2選択的リガンドは、非シグマ受容体と比較して、シグマ受容体に対して親和性が少なくとも10倍、20倍、30倍、50倍、70倍、100倍、500倍高い、すなわちより選択的である。非シグマ受容体は、例えばムスカリン性M1−M4受容体、セロトニン5−HT)受容体、アルファアドレナリン性受容体、ベータアドレナリン性受容体、オピオイド受容体、セロトニン輸送体ドーパミン輸送体、アドレナリン性輸送体、ドーパミン受容体、又はNMDA受容体である。

0030

[067] 本出願では、「高親和性」という用語は、参照により本明細書に組み込まれ、シグマ−1及びシグマ−2受容体部位に対する化合物の結合親和性を測定したWeber他(Proc, Natl. Acad. Sci (USA) 83: 8784-8788 (1986))によって開示されたように、シグマ受容体結合アッセイにおいて例えば、[3H]−DTGに対して600nM未満、500nM未満、400nM未満、300nM未満、200nM未満、150nM未満、100nM未満、80nM未満、60nM未満、又は好ましくは50nM未満のKi値を呈する化合物を意味するものである。特に好ましいシグマリガンドは、[3H]−DTGに対して約150nM未満、好ましくは100nM未満、約60nM未満、約10nM未満、又は約1nM未満のKi値を呈する。

0031

[068] 「Aベータ種」又は「Aβ」は、可溶性アミロイドペプチド含有成分、例えばAベータモノマー、Aベータオリゴマー、他の可溶性ペプチド又はタンパク質さらにアミロイド前駆体タンパク質の任意の加工品を含む他の可溶性Aベータ集合との(単量体二量体、又は重合体形態の)Aベータペプチドの複合体などの組成物を含むものである。可溶性Aβオリゴマーは神経毒性であることが知られている。Aβ1−42二量体さえも、マウスの海馬切片でシナプスの可塑性を損なうことが知られている。当技術分野で知られている1つの理論では、天然Aβ1−42モノマーは、神経保護性であると考えられ、神経毒性になるにはAβモノマーが可溶性Aベータオリゴマーに自己会合する必要がある。しかし、特定のAβ突然変異モノマー(北極型突然変異(E22G))は、家族型ADに関連すると報告されている。例えば、Giuffrida他の、「β-Amyloid monomers are neuroprotective」(J. Neurosci. 2009 29(34):10582-10587)を参照されたい。Aベータ種を含む製剤の非制限的な例が、米国特許出願第13/021,872号、米国特許公開第2010/0240868号、国際特許出願WO/2004/067561号、国際特許出願WO/2010/011947号、米国特許公開第20070098721号、米国特許公開第20100209346号、国際特許出願WO/2007/005359号、米国特許公開第20080044356号、米国特許公開第20070218491号、WO/2007/126473号、米国特許公開第20050074763号、国際特許出願WO/2007/126473号、国際特許出願WO/2009/048631号、及び米国特許公開第20080044406号で開示され、これらはそれぞれ参照により本明細書に組み込まれている。

0032

[069] 「投与」は、本発明の化合物との組み合わせで使用する場合、標的組織内に又は上に化合物を直接投与するか、又は患者又は他の対象に化合物を全身又は局所的に投与することを意味する。

0033

[070] 本明細書で使用する「動物」という用語は、ヒト及び非ヒト脊椎動物、例えば野生動物家畜及び農場の動物を含むが、これらに限定されない。

0034

[071] 本明細書で使用する「対象」、「個体」及び「患者」という用語は、区別なく使用され、任意の動物、例えば哺乳類、マウス、ラット、他の齧歯類ウサギイヌネコブタウシヒツジウマ霊長類非ヒト霊長類、ヒトなどを指す。

0035

[072] 本明細書で使用する「接触」という用語は、2つのペプチド間又は1つのタンパク質と別のタンパク質又は他の分子、例えば小分子の間の非共有相互作用などの分子間相互作用を可能にする距離内になるように、分子同士を(又はある分子を細胞又は細胞膜のようにさらに高次の構造と)一緒にするか、又は組み合わせることを指す。幾つかの実施形態では、接触は、一般的な溶媒中で複合又は接触分子が混合され、自由に会合することができる溶液中で生じる。幾つかの実施形態では、接触は細胞で、又は他の方法で細胞内で、又は無細胞環境中で生じることがある。幾つかの実施形態では、無細胞環境は細胞から産生された溶解物である。幾つかの実施形態では、細胞溶解物全細胞溶解物核溶解物、細胞質溶解物、及びその組み合わせでよい。幾つかの実施形態では、無細胞溶解物は、核抽出及び単離により得られた溶解物であり、細胞集団の核を細胞から除去し、次に溶解させる。幾つかの実施形態では、核は溶解されないが、それでも無細胞環境と見なされる。分子は、渦巻き、振盪などの混合により一緒にすることができる。

0036

[073] 「改善する」という用語は、本発明が、それが提供、適用又は投与された組織の特徴及び/又は身体的属性を変化させることを伝えるために使用される。「改善する」という用語は、疾病状態と組み合わせて使用することもでき、したがって疾病状態が「改善」されると、疾病状態に関連する症状又は身体的特徴が減少、低下、消失、遅滞、又は回避される。

0037

[074] 「阻害」という用語は、特定の結果又はプロセスの妨害、忌避、又は逆の結果又はプロセスの回復を含む。本発明の化合物を投与することによる予防又は処置に関して、「阻害」は、症状に対して(部分的又は全体的に)保護するか、又はその発症遅延させるか、又は症状を緩和するか、又は疾患、状態又は障害に対して保護するか、それを減少させるか、又は消失させることを含む。

0038

[075] 「輸送欠損を阻害する」という用語は、細胞、好ましくはニューロン細胞中で可溶性Aβオリゴマーが誘発する膜輸送欠損を遮断する能力を指す。輸送欠損を阻害することができる化合物は、膜輸送アッセイで20uM未満、15uM未満、10uM未満、5uM未満、及び好ましくは1μM未満のEC50を有し、さらに、可溶性Aベータオリゴマーが誘発する膜輸送欠損のAベータオリゴマー効果を最大で少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、さらに好ましくは少なくとも70%阻害することができる。

0039

[076] 本明細書の様々な箇所で、本発明の化合物の置換基は複数の基又は範囲で開示されている。本発明の実施形態は、このような基及び範囲の要素の個別的下位組み合わせをそれぞれ全て含むことが特に意図される。例えば、「C1−6アルキル」という用語は、メチル(C1アルキル)、エチル(C2アルキル)、C3アルキル、C4アルキル、C5アルキル、及びC6アルキルを個別に開示していることが特に意図される。

0040

[077]変種が複数回現れる本発明の化合物の場合、各変種は、変種を規定するMarkush基から選択された異なる部分とすることができる。例えば、同じ化合物上に同時に存在する2つのR基を有する構造を説明する場合、この2つのR基はRについて規定されたMarkush基から選択された異なる部分を表すことができる。

0041

[078] nが整数である「n員」という用語は通常、ある部分の環形成原子の数を述べるものであり、環形成原子の数がnである。例えば、ピリジンは6員ヘテロアリール環の一例であり、チオフェンは5員ヘテロアリール基の一例である。

0042

[079] 本明細書で使用する「アルキル」という用語は、直鎖状又は分岐した飽和炭化水素基を指すものとする。例示的なアルキル基にはメチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(例えばn−プロピル及びイソプロピル)、ブチル(例えばn−ブチルイソブチル、t−ブチル)、ペンチル(例えばn−ペンチル、イソペンチルネオペンチル)などが含まれるが、これらに限定されない。アルキル基は1個〜約20個、2個〜約20個、1個〜約10個、1個〜約8個、1個〜約6個、1個〜約4個、又は1個〜約3個の炭素原子を含有することができる。「アルキレン」という用語は、二価アルキル連結基を指す。アルキレンの一例はメチレン(CH2)である。

0043

[080] 本明細書で使用する「ハロアルキル」は、1つ又は複数のハロゲン置換基を有するアルキル基を指す。例えば、ハロアルキル基にはCF3、C2F5、CHF2、CCl3、CHCl2、C2Cl5、CH2CF3などが含まれるが、これらに限定されない。

0044

[081] 本明細書で使用する「アリール」は、例えばフェニル、ナフチルアントラニルフェナントレニルインダニル、インデニルなどの一環又は多環(例えば2個、3個又は4個の縮合環を有する)芳香族炭化水素を指す。幾つかの実施形態では、アリール基は6個〜約20個の炭素原子を有する。幾つかの実施形態では、アリール基は6個〜約10個の炭素原子を有する。

0045

[082] 本明細書で使用する「シクロアルキル」は、最大20個の環形成炭素原子を有する環化アルキル、アルケニル、及びアルキニル基を含む非芳香族環炭化水素を指す。シクロアルキル基は、一環又は多環式(例えば2個、3個又は4個の縮合環を有する)環構造、さらにスピロ環構造を含むことができる。シクロアルキル基は3個〜約15個、3個〜約10個、3個〜約8個、3個〜約6個、4個〜約6個、3個〜約5個、又は5個〜約6個の環形成炭素原子を含有することができる。シクロアルキル基の環形成炭素原子は、任意選択オキソ又はスルフィドで置換することができる。例示的なシクロアルキル基にはシクロプロピルシクロブチルシクロペンチルシクロヘキシルシクロヘプチルシクロペンテニルシクロヘキセニルシクロヘキサジエニルシクロヘプタトリエニルノルボルニル、ノルピニル、ノルカルニル、アダマンチルなどが含まれるが、これらに限定されない。シクロアルキルの定義には、シクロアルキル環縮合した(すなわちそれと共通の原子化学結合を有する)1個又は複数個芳香環を有する部分、例えばペンタンペンテンヘキサンなどのベンゾ又はチエニル誘導体(例えば2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル、又は1H−インデン−2(3H)−オン−1−イル)も含まれる。「シクロアルキル」は、最大20個の環形成炭素原子を含有する環化アルキル基を指すことが好ましい。シクロアルキルの例にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチルなどが含まれることが好ましい。

0046

[083] 本明細書で使用する「ハロ」又は「ハロゲン」は、フルオロクロロ、ブロモ、及びヨードを含む。

0047

[084] 本明細書で使用する「アルコキシ」は−O−アルキル基を指す。例示的なアルコキシ基にはメトキシエトキシプロポキシ(例えばn−プロポキシ及びイソプロポキシ)、t−ブトキシなどが含まれる。

0048

[085] 本明細書で使用する「ハロアルコキシ」は、−O−ハロアルキル基を指す。例示的なハロアルコキシ基はOCF3である。本明細書で使用する「トリハロメトキシ」は3個のハロゲン置換基を有するメトキシ基を指す。トリハロメトキシ基の例には−OCF3、−OCClF2、−OCCl3などが含まれるが、これらに限定されない。

0049

[086] 本明細書で使用する「アミノ」はNH2を指す。

0050

[087] 本明細書で使用する「アルキルアミノ」はアミノ基をアルキル基で置換したものを指す。

0051

[088] 本明細書で使用する「ジアルキルアミノ」は、アミノ基を2個のアルキル基で置換したものを指す。

0052

[089] 本明細書で使用するC(O)はC(=O)を指す。

0053

[090] 本明細書で使用する「任意選択で置換」という用語は、置換が任意選択であり、したがって非置換及び置換原子及び部分の両方を含むという意味である。「置換」原子又は部分は、指定された原子又は部分の任意の水素が、その指定原子又は部分の正常な原子価を超えない限り、指示された置換基からの選択肢で置き換えることができ、置換した結果、安定した化合物になることを示す。例えば、メチル基(すなわちCH3)を任意選択で置換する場合、炭素原子上の3個の水素原子を指示されたとおりに置換基で置き換えることができる。

0054

[091] 本明細書で使用する「非致死的アミロイドベータ効果」は、Aベータ種と接触している細胞への効果、特に非致死的効果を指す。例えば、ニューロン細胞が可溶性アミロイドベータ(「Aベータ」)オリゴマーと接触している場合、オリゴマーはインビトロでニューロン細胞のサブセット上のシナプスのサブセットに結合することが判明している。この結合は、例えばインビトロでAベータオリゴマー結合を測定するアッセイで数量化することができる。記録されているAベータ種の別の効果は、シナプス数の減少であり、これはヒトの海馬では約18%になると報告されており(Scheff他、2007)、(例えばシナプス数を測定するアッセイで)数量化することができる。別の例として、ニューロン細胞がアミロイドベータ(「Aベータ」)オリゴマーと接触している場合、膜輸送が調節され、その後に膜輸送が変化することが判明している。この異常は、MTTアッセイを含むが、これに限定されない多くのアッセイで視覚化することができる。例えば、黄色いテトラゾリウム塩は細胞によって貪食され、エンドソーム経路内の小胞内に位置する酵素によって塩が紫の不溶性ホルマザンに還元される。紫のホルマザンのレベルは、培養物中で活発に代謝する細胞の数を反映し、ホルマザンの量の減少は培養物中の細胞死又は代謝毒性の尺度と見なされる。黄色いテトラゾリウム塩と接触している塩を顕微鏡で観察すると、最初に細胞を満たす細胞内小胞中に紫のホルマザンが見える。時間とともに、不溶性ホルマザンが水性媒質の環境に曝露するにつれ、小胞が貪食され、ホルマザンが血漿膜の外面上で針状結晶として沈殿する。Aベータ種のさらに他の効果には、新しい記憶を形成する能力の低下、及び記憶消失などの認知低下が含まれ、これは動物モデルを使用したアッセイでインビボで測定することができる。

0055

[092] 幾つかの実施形態では、試験化合物は、ニューロン細胞上の可溶性Aベータオリゴマー種に伴う効果を負の対照と比較して約10%超、好ましくは15%超、及び好ましくは20%超阻害できる場合に、認知低下又はそれに関連する疾病の処置に有効であると言われる。幾つかの実施形態では、試験薬剤は、アミロイド先駆タンパク質が媒介した効果を正の対照と比較して約10%超、好ましくは15%超、好ましくは20%超阻害できる場合、有効であると言われる。例えば、以下の実施例に示すように、Aベータオリゴマー結合を18%しか阻害しなくても、シナプスの減少を完全に阻害する。例えば図3C及び図3Dを参照されたい。本明細書ではニューロン代謝の異常やシナプス数の減少など、Aベータ種の非致死的効果の阻害に焦点を当てているが、これらは認知機能と相関することが示され、時間の経過とともに(未処置対象と比較して)アミロイド病理の測定可能な下流症状の減少をもたらすことがさらに予測され、症状とは、1)フロベタピル、PittB又は任意の他の造影剤のようなアミロイド造影剤によって測定される原繊維又はプラークの蓄積、2)FDG−PETで検出されるブドウ糖代謝低下によって測定されるようなシナプス消失又は細胞死、又は3)ELISAによって患者から得られた脳脊髄液、脳生検又は血漿中で撮像又はタンパク質/代謝物検出によって検出可能な脳又は身体中タンパク質発現又は代謝物量の変化(ELISAによって測定したAベータ42、リン酸化タウ、総タウのレベル及び比率の変化、又はELISAパネルで検出可能なタンパク質発現パターンの変化など)(参照文献:Wyss-Coray T.他の、「Modeling of pathological traits in Alzheimer's disease based on systemic extracellular signaling proteome」(Mol Cell Proteomics 2011 Jul 8)を参照されたい。これは全体が参照により本明細書に組み込まれている)、4)MRIによって検出可能な血管水腫又は微量出血の存在、及び撮像技術によって検出可能な任意の他の症状によって測定可能な脳血管異常、及び5)ADAS−Cog、MMSE、CBIC又は任意の他の認知試験計器のような任意の管理認知試験によって測定される認知消失、などの顕著な臨床症状である。

0056

[093] 本明細書で使用する「ニューロン細胞」という用語は、単一の細胞又は細胞集団を指すために使用することができる。幾つかの実施形態では、ニューロン細胞は1次ニューロン細胞である。幾つかの実施形態では、ニューロン細胞は不死化又は形質転換ニューロン細胞又は幹細胞である。1次ニューロン細胞とは、グリア細胞などの他のタイプのニューロン細胞に分化することができないニューロン細胞である。幹細胞は、ニューロン及びグリアなどの他のタイプのニューロン細胞に分化することができる細胞である。幾つかの実施形態では、少なくとも1つのニューロン細胞を含む組成物にはグリア細胞がない。幾つかの実施形態では、組成物は、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、又は約1%未満のグリア細胞を含み、これはAベータを内部移行させ、蓄積することが知られている。1次ニューロン細胞は、動物の脳の任意の区域から誘導することができる。幾つかの実施形態では、ニューロン細胞は海馬又は皮質細胞である。グリア細胞の存在は、任意の方法で判定することができる。幾つかの実施形態では、グリア細胞はGFAPの存在によって検出することができ、ニューロンは、MAP2に対して配向された抗体で陽染することによって検出することができる。

0057

[094] 「薬学的に許容可能な」というフレーズは、一般的に安全で非毒性であると見なされる分子要素及び組成物を指す。特に、本発明の薬学的組成物で使用する薬学的に許容可能な担体希釈剤又は他の賦形剤は、患者に投与した場合、生理学的に耐容性があり、他の成分と適合し、通常はアレルギー又は同様の有害反応(例えば急性蠕動眩暈など)を生じない。本明細書で使用する「薬学的に許容可能な」という用語は、動物、特にヒトに使用するために連邦又は州政府規制当局に認可されるか、又は米国薬局方又は他の一般的に認められている薬局方にリストされているという意味であることが好ましい。本明細書で使用する「薬学的に許容可能な塩」というフレーズは、哺乳類に使用するのに安全で効果的であり、所望の生物活性を有する本発明の化合物の塩を含む。薬学的に許容可能な塩には、本発明の化合物中に、又は本発明の方法により識別された化合物中に存在する酸性基又は塩基性基の塩が含まれる。薬学的に許容可能な酸添加塩には塩酸塩臭化水素酸塩ヨウ化水素酸塩、硝酸塩硫酸塩、重硫酸塩リン酸塩酸性リン酸塩イソニコチン酸塩、酢酸塩乳酸塩サリチル酸塩クエン酸塩酒石酸塩パントテン酸塩酒石酸水素塩アスコルビン酸塩コハク酸塩マレイン酸塩ゲンチシン酸塩フマル酸塩グルコン酸塩グルカル酸塩、サッカラート、蟻酸塩安息香酸塩グルタミン酸塩メタンスルホン酸塩エタンスルホン酸塩ベンゼンスルホン酸塩p−トルエンスルホン酸塩及びパモエート(すなわち1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸塩))塩が含まれるが、これらに限定されない。本発明の特定の化合物は、様々なアミノ酸で薬学的に許容可能な塩を形成することができる。適切な塩基塩にはアルミニウムカルシウムリチウムマグネシウムカリウムナトリウム亜鉛、鉄及びジエタノールアミン塩が含まれるが、これらに限定されない。薬学的に許容可能な塩基添加塩も、有機アミンなどのアミンで形成される。適切なアミンの例には、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカインコリン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン及びプロカインがある。

0058

[095] 本明細書で使用する「治療的」という用語は、対象の望ましくない状態又は疾病を処置、退治寛解、保護又は改善するために使用する薬剤を意味する。

0059

[096] 本明細書で使用する「有効量」という用語は、特定の疾患又は病態経過の少なくとも1つの症状又はパラメータの測定可能な阻害をもたらす量である。Aベータオリゴマーの存在下で測定可能なシナプス減少の低下を提供する本発明のシグマ−2リガンドの量は、有効量と認定される。何故なら、アミロイド病態の臨床症状が少なくとも即座には変化しなくても、病理経過を軽減するからである。

0060

[097] 本発明の化合物又は組成物の「治療学的有効量」又は「有効量」は、任意の医学的処置に適用可能な妥当な利益/リスクの比率で、処置した対象に治療効果を与える所定の量である。治療効果は客観的(すなわち何らかの試験又はマーカによって測定可能)又は主観的(すなわち対象が効果を示すか、又は感じるか、又は医師が変化を観察する)であってよい。本発明の化合物の有効量は、約0.01mg/Kg〜約500mg/Kg、約0.1mg/Kg〜約400mg/Kg、約1mg/Kg〜約300mg/Kg、約0.05〜約20mg/Kg、約0.1mg/Kg〜約10mg/Kg、又は約10mg/Kg〜約100mg/Kgの広い範囲でよい。本明細書で想定される効果には、適宜、医学的に治療及び/又は予防的処置の両方が含まれる。治療及び/又は予防効果を獲得するために本発明により投与される化合物の特定の用量は、言うまでもなく症例を取り巻く特定の環境によって決定される。例えば、患者の投与化合物、投与経路、他の活性成分同時投与、処置中の状態、使用する特定の化合物の活性、使用する特定の組成物、年齢、体重、全体的健康、性及び食事と、処置の投与時間、投与経路、使用する特定の化合物の排出率及び継続時間などである。投与される有効量は、上記関連する環境及び健全な医学的判断を行使することに鑑みて、医師が決定する。本発明の化合物の治療的有効量は、通常は、生理学的に耐容性がある賦形剤組成物で投与すると、有効な全身濃度又は組織の局所濃度を達成するのに十分であるような量である。単回量又は分割量でヒト又は他の動物に投与される本発明の化合物の総1日量は、1日に体重当たり例えば、0.01mg/Kg〜約500mg/Kg、約0.1mg/Kg〜約400mg/Kg、約1mg/Kg〜約300mg/Kg、約10mg/Kg〜約100mg/Kg、又はさらに一般的には0.1〜25mg/kgの量でよい。単回量の組成物は、このような量又は1日量を構成するその約量を含有することができる。一般的に、このような治療を必要とする患者への投与を含む本発明による処置療法は、通常、単回量又は多回量で1日当たり本発明の化合物約1mg〜約5000mg、10mg〜約2000mg、20〜1000mg、好ましくは20〜500mg及び最も好ましくは約50mg含む。

0061

[098] 本明細書で使用する「処置する」、「処置した」、又は「処置」という用語は、治療処置と予防措置との両方を指し、その目的は、望ましくない生理学的状態、障害又は疾病から(部分的又は全体的に)保護するか、又はそれを減速させる(軽減する)、又は異常になった、又は異常になるようなパラメータ、値、機能又は結果の低下を部分的又は全体的に回復又は阻害するような有利又は所望の臨床結果を得ることである。本発明では、有利又は所望の臨床結果には、症状の緩和、状態、障害又は疾病の程度又は勢い又は速度の減少、状態、障害又は疾病の安定化(すなわち悪化させないこと)、状態、障害又は疾病の発症の遅滞又はその進行の減速、状態、障害又は疾病状態の寛解、及び実際の臨床症状の即座の軽減、状態、障害又は疾病の増強又は改善に移行するか移行しないかにかかわらず(部分的又は全体的)緩解が含まれるが、これらに限定されない。処置は、過度なレベルの副作用がない状態で臨床的に重大な応答を引き出すことを目指す。処置は、処置を受けない場合に予測される生存期間と比較して生存期間を延長することも含む。

0062

[099] 一般的に、「組織」という用語は、特定の機能を実行する際に一体化される同様に特殊化した細胞の任意の集合を指す。

0063

[0100] 本明細書で使用する「認知低下」は、動物の認知機能における任意の負の変化とすることができる。例えば、認知低下は記憶消失(挙動記憶消失)、新しい記憶の獲得失敗混乱、判断障害、人格変化見当識障害、又はその任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない。したがって、認知低下の処置に効果的である化合物が効果的になり得るのは、長期ニューロン残留記憶(LTP)又は長期ニューロン抑鬱(LTD)又は電気生理学的に測定したシナプス可塑性バランスを回復する、神経変性を阻害、処置及び/又は寛解する、一般的アミロイドーシスを阻害、処置及び/又は寛解する、アミロイド産生、アミロイド集合、アミロイド凝集、及びアミロイドオリゴマー結合のうち1つ又は複数を阻害、処置、寛解する、1つ又は複数のAベータ種がニューロン細胞に及ぼす非致死的効果(シナプス消失又は不全及び異常な膜輸送など)を阻害、処置、及び/又は寛解する、及びその任意の組み合わせによるものである。また、その化合物はAベータ関連の神経変性疾病及び障害の処置にも効果的であることがあり、その疾病及び障害には軽度のアルツハイマー病を含むアルツハイマー病(AD)、ダウン症候群血管性認知症(脳アミロイド血管障害及び卒中)、レビー小体型認知症、HIV認知症、軽度の認知障害(MCI)を含むが、これらに限定されない認知症と、年齢に伴う記憶障害(AAMI)と、年齢関連性認知低下(ARCD)、症状発現前のアルツハイマー病(PCAD)と、認知症なし認知障害(CIND)とが含まれるが、これらに限定されない。本明細書で使用する「自然リガンド」という用語は、対象の体内に存在し、タンパク質、受容体、膜脂質、又は他の結合パートナーとインビボで結合することができるか、又はインビトロで再現することができるリガンドを指す。自然リガンドは起源が合成でもよいが、自然に、且つ対象内でヒトの介入がない状態でも存在していなければならない。例えば、Aベータオリゴマーはヒト対象に存在することが知られている。したがって、対象の体内に見られるAベータオリゴマーは自然リガンドと見なされる。Aベータオリゴマーの結合パートナーとの結合は、組み換え技術又は合成技術を使用してインビトロで再現することができるが、Aベータオリゴマーの調製又は製造方法にかかわらず、Aベータオリゴマーはなお自然リガンドと見なされる。これも同じ結合パートナーに結合することができる合成小分子は、対象の体内に存在しない場合、自然リガンドではない。例えば、本明細書で説明する化合物IIは、通常は対象の体内に存在せず、したがって自然リガンドとは見なされない。
本発明の新規の化合物

0064

[0101] 本明細書で説明する化合物は、本明細書で説明する方法により、又はWO2011/014880号(出願第PCT/US2010/044136号)、WO2010/118055号(出願第PCT/US2010/030130号)、出願第PCT/US2011/026530号、及びWO2012/106426号(出願第PCT/US2012/023483号)の説明通りに合成することができ、それぞれが全体的に参照により本明細書に組み込まれている。これらの化合物を調製する追加の選択肢を以下で詳細に検討する。

0065

[0102] 幾つかの実施形態では、本発明のシグマ−2拮抗物質は以下の式Iの通りであり、




式中、
R1及びR2は、H、OH、ハロ、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルキル、C1−6ハロアルコキシ、(R16)(R17)N−C1−4アルキレン−O−から別個に選択されるか、又はR1とR2が相互に連結されて−O−C1−2メチレン−O−基を形成し、ここで、
R16及びR17はそれぞれ、C1−4アルキル又はベンジルであるか、又はR16とR17は窒素とともに下式から選択される環を形成し、




式中、
XはN又はOであり、R18はH又は非置換フェニルであり、
ここで、R1及びR2の少なくとも一方はHではなく、
R3は下式から選択され、




式中、
R6、R7、R8、R9、及びR10はそれぞれ、H、ハロ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルキル、及びS(O)2−C1−6アルキルから選択され、
R20はHであり、
nは1〜4であり、
R4はC1−6アルキルであり、
R4’はH又はC1−6アルキルであり、
R5はH、C1−6アルキル、及びC(O)O(C1−4アルキル)、C(O)(C1−4アルキル)、又はC(O)(C1−4ハロアルキル)であるか、又は
R3及びR5は窒素とともに下式から選択される環を形成し、




式中、
R11及びR12はそれぞれ、H、ハロ、及びC1−6ハロアルキルから選択され、
YはCH又はNであり、
R13は、H、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、非置換フェニル又はC1−6ハロアルキルで置換したフェニル、又は非置換ベンジルであり、
R14及びR15はそれぞれ、H及びハロから選択され、
R19は、H、又はその薬学的に許容可能な塩である。

0066

[0103] 幾つかの実施形態では、本発明のシグマ−2拮抗物質は式Iの通りであり、




式中、
R1及びR2は別個にH、OH、ハロ、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルキル、C1−6ハロアルコキシ、(R16)(R17)N−C1−4アルキレン−O−から選択されるか、又はR1とR2は相互に連結して−O−C1−2メチレン−O−基を形成し、ここで、
R16及びR17は別個にC1−4アルキル又はベンジルであるか、又はR16及びR17は窒素とともに下式から選択される環を形成し、




式中、
XはN又はOであり、R18は存在しないか、又はH又は非置換フェニルであり、
ここでR1及びR2のうち少なくとも一方はHではなく、
R3は下式から選択され、




式中、
R6、R7、R8、R9、及びR10は、別個にH、ハロ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルキル、及びS(O)2−C1−6アルキルから選択され、
R20はHであり、
nは1〜4であり、
R4はC1−6アルキルであり、
R4’はH又はC1−6アルキルであり、
R5はH、C1−6アルキル、及びC(O)O(C1−4アルキル)、C(O)(C1−4アルキル)、又はC(O)(C1−4ハロアルキル)であるか、又は、
R3及びR5は窒素とともに下式から選択される環を形成し、




式中、
R11及びR12は、別個にH、ハロ、及びC1−6ハロアルキルから選択され、
YはCH又はNであり、
R13は、H、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、非置換フェニル又はC1−6ハロアルキルで置換したフェニル、又は非置換ベンジルであり、
R14及びR15は、別個にH及びハロから選択され、
R19はHであるか、又はその薬学的に許容可能な塩である。

0067

[0104] 幾つかの実施形態では、本発明のシグマ−2拮抗物質は式Iの通りであり、




式中、
R1は、OH、OMe、F、Cl、CF3、(R16)(R17)N−エチレン−O−から選択され、ここで、
R16及びR17はそれぞれメチル、イソプロピル、n−ブチル又はベンジルであるか、又はR16及びR17は窒素とともに下式から選択される環を形成し、




式中、
XはN又はOであり、R18は存在しないか、又は非置換フェニルであり、
R2は、H、Cl、F、CF3、OMe、OCF3であるか、又は
R1とR2は相互に連結されて−O−C1−2メチレン−O−基を形成し、
R3は下式から選択され、




式中、
R6は、H、F、Cl、Me、イソプロピル、t−ブチル、OMe、CF3、又はS(O)2Meであり、
R7及びR8は、別個に、H、OMe、F、Cl、又はCF3であり、
R9及びR10は、別個に、H、OMe、F及びClから選択され、
R20はHであり、
nは1であり、
R4はMeであり、
R4’はH又はMeであり、
R5はHであるか、又は
R3及びR5は窒素とともに下式から選択される環を形成し、




式中、
R11及びR12は別個にH、Cl、及びCF3から選択され、
YはCH又はNであり、
R13は、H、Me、シクロヘキシル、非置換フェニル又はCF3で置換したフェニル、又は非置換ベンジルであり、
R14及びR15は別個にH及びClから選択され、
R19はH、又はその薬学的に許容可能な塩である。

0068

[0105] 幾つかの実施形態では、本発明のシグマ−2拮抗物質は式Iの通りであり、




式中、
R1は、OH、OMe、F、Cl、CF3、(R16)(R17)N−エチレン−O−であり、ここで、
R16及びR17はそれぞれ、メチル、イソプロピル、n−ブチル又はベンジルであるか、又はR16及びR17は窒素とともに下式から選択される環を形成し、




式中、
XはN又はOであり、R18は存在しないか、又は非置換フェニルであり、
R2は、H、Cl、F、CF3、OMe、OCF3であるか、又は
R1とR2は相互に連結されて−O−C1−2メチレン−O−基を形成し、
R3は下式から選択され、




式中、
R6は、H、F、Cl、Me、イソプロピル、t−ブチル、OMe、CF3、又はS(O)2Meであり、
R7及びR8は、別個にH、OMe、F、Cl、又はCF3であり、
R9及びR10は、別個にH、OMe、F、及びClから選択され、
nは1であり、
R4はMeであり、
R4’はHであり、
R5はHであるか、又は
R3及びR5は窒素とともに下式から選択される環を形成し、




式中、
R11及びR12は別個にH、Cl、及びCF3から選択され、
YはCH又はNであり、
R13は、H、Me、シクロヘキシル、非置換フェニル又はCF3で置換したフェニル、又は非置換ベンジルであり、
R14及びR15は別個にH及びClから選択され、
R19はH、又はその薬学的に許容可能な塩である。

0069

[0106] 幾つかのさらに特定の実施形態では、本発明のシグマ−2拮抗物質は式Iaの通りであり、




式中、R4’はHであり、残りの基は式Iの化合物に関して上記で規定された通りであるか、又はその薬学的に許容可能な塩である。

0070

[0107] 幾つかの実施形態では、本発明のシグマ−2拮抗物質は式IIaの通りであり、




式中、
R1=ハロ、C1−6ハロアルキル、又はOH、
R2=H、ハロ又はC1−6ハロアルキル、又はR1とR2は相互に連結されて−O−メチレン−O−基を形成し、
R3=C1−6ハロアルキル、及び
R4=C1−6アルキル、又はその薬学的に許容可能な塩である。

0071

[0108] 幾つかのさらに特定の実施形態では、本発明のシグマ−2拮抗物質は式IIaの通りであり、




式中、
R1=Cl、F、CF3、又はOH、
R2=H、Cl、F、CF3、又はR1とR2が相互に連結されて−O−エチレン−O−基を形成し、
R3=CF3、及び
R4=メチル、又はその薬学的に許容可能な塩である。

0072

[0109] 幾つかのさらに特定の実施形態では、本発明のシグマ−2拮抗物質は式IIbの通りであり、




式中R1〜R4は、式IIaの化合物に関して上記で規定した通りであるか、又はその薬学的に許容可能な塩である。

0073

[0110] 本発明の特定の例示的化合物は、下表で示したもの、




























































又はその薬学的に許容可能な塩である。

0074

[0111] 本発明で使用する好ましい塩には、以下を含め、上記化合物の塩酸塩が含まれる。

0075

[0112] これらは、本明細書で提供する一般的方法及び特定の合成例により合成されており、任意の追加のステップは十分に当技術分野の範囲内である。これらの化合物のうち幾つかを、本明細書で詳述するように様々なアッセイで試験し、活性であることが判明した。試験した化合物は、WO2010/110855号に開示された化合物を基準として生物学的利用能の上昇も示した。

0076

[0113]化合物IIは下式を有する。

0077

[0114] 幾つかの実施形態では、上記一般式はそれぞれ、式IIの化合物を除去するという条件を含むことがある。

0078

[0115] 幾つかの実施形態では、上記一般式はそれぞれ、以下の化合物のうち1つ又は複数を除去するという条件を含むことがある。

0079

[0116] 別の実施形態では、本発明のシグマ−2拮抗物質は式VIIIaの通りであり、




式中、




は、単結合又は二重結合であり、
R1はC1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、非置換ベンジル又はハロ、C1−6アルキル若しくはC1−6ハロアルキルで置換したベンジルであり、
R2はHであるか、又は
R1及びR2は窒素とともに下式の環を形成し、




式中、
XはCH、N、又はOであり、
R4は存在しないか、又はH、C1−6アルキル、又は非置換フェニル、又はハロ、C1−6アルキル若しくはC1−6ハロアルキルで置換したフェニルであり、
R3はC1−4アルキル、ハロ、又はC1−6ハロアルコキシ、又はその薬学的に許容可能な塩である。

0080

[0117] 幾つかの実施形態では、本発明のシグマ−2拮抗物質は式VIIIaの通りであり、




式中、




は、単結合又は二重結合であり、
R1はイソブチル、ベンジル、又はクロロ、メチル、又はCF3で置換したベンジルであり、
R2はHであるか、又は
R1及びR2は窒素とともに環を形成し、




式中、
XはCH、N、又はOであり、
R4は存在しないか、又はH、イソプロピル、又は非置換フェニルであり、
R3はオルト−Me、メタ−Me、パラ−Me、パラ−F、又はパラ−OCF3、又はその薬学的に許容可能な塩である。

0081

[0118] 幾つかのさらに特定の実施形態では、本発明のシグマ−2拮抗物質は式VIIIbの通りであり、




式中、R1〜R3は式VIIIaに関して上記で規定した通り、又はその薬学的に許容可能な塩である。

0082

[0119] 幾つかのさらに特定の実施形態では、本発明のシグマ−2拮抗物質は式VIIIcの通りであり、




式中、R1〜R3は式VIIIaに関して上記で規定した通り、又はその薬学的に許容可能な塩である。

0083

[0120] 本発明の特定の例示的化合物は下表で示したもの、




















又はその薬学的に許容可能な塩である。
本発明に使用する好ましい塩には、以下を含め、上記化合物の塩酸塩が含まれる。

0084

[0121] 幾つかの実施形態では、上記一般式はそれぞれ、以下の化合物:




のうち1つ又は複数を除去するという条件を含むことがある。

0085

[0122] 追加的に、ジアステレオマーの混合物である式IXa及びIXbの化合物を開示する。

0086

[0123]シグマ−2拮抗物質
[0124] 理論に拘束されることなく、シグマ−2受容体はニューロン中のAベータオリゴマーの受容体であると提案される。プリオンタンパク質インスリン受容体、ベータアドレナリン様受容体及びRAGE(進行したグリケーション最終産物)など、可溶性Aベータオリゴマーに関して、文献で様々な受容体が提案されている。Lauren, J.他の2009年のNature(457(7233): 1128-1132)、Townsend, M.他のJ. Biol. Chem.(2007, 282:33305-33312)、Sturchler, E.他の2008年のJ. Neurosci.(28(20):5149-5158)。実際、Aベータオリゴマーが複数の受容体タンパク質に結合し得ると多くの研究者が考えている。理論に拘束されることなく、本明細書に提示された証拠に基づき、本発明の発明者は、(必ずしも排他的ではなく)ニューロン中に位置するAベータオリゴマーの追加の受容体を仮定する。

0087

[0125] 理論に拘束されることなく、Aベータオリゴマーは、シグマタンパク質複合体に結合し、迷走性輸送及びシナプス消失を引き起こすシグマ受容体拮抗物質である。ニューロン中のこの相互作用及び/又はシグマ受容体機能に拮抗する高親和性シグマ−2リガンドは、Aベータオリゴマーと競合し、ニューロン応答を正常に復帰させることが本明細書で実証されている。このようなリガンドは、機能的シグマ−2受容体拮抗物質と見なされ、このように、又はより簡単にシグマ−2受容体拮抗物質、又はシグマ−2拮抗物質と呼ばれる。

0088

[0126] 幾つかの実施形態では、本発明のシグマ−2受容体拮抗物質化合物は、膜輸送アッセイで可溶性Aベータオリゴマーが誘発するシナプス消失を阻害し、可溶性Aベータオリゴマーが誘発する欠陥を阻害し、シグマ−2受容体にて高親和性を呈し、さらに任意の他の非シグマ受容体と比較して1つ又は複数のシグマ受容体に対して高い選択性を有し、及び良好な薬物様特性を呈することに関して、ニューロン細胞中で機能的拮抗物質として作用する。

0089

[0127] 幾つかの実施形態では、本明細書で詳述する特定のインビトロアッセイの基準に適合するシグマ−2受容体の機能的拮抗物質は、本明細書で開示するような1つ又は複数の関連する動物の挙動モデルにおいて、挙動有効性を呈するか、又は挙動有効性を有すると予想される。幾つかの実施形態では、挙動有効性はp.o.で10mg/kg以下で判定される。

0090

[0128] 幾つかの実施形態では、開示は高親和性のシグマ−2受容体リガンドの挙動有効性を予測するインビトロアッセイのプラットホームを提供する。インビトロアッセイのプラットホームによると、リガンドは高親和性でシグマ−2受容体と結合し、ニューロン中でAベータオリゴマーが誘発した効果に対して機能的拮抗物質として作用し、中枢ニューロン中でAベータオリゴマーが誘発するシナプス消失を阻害するか、又はニューロンへのAベータオリゴマー結合を減少させてシナプス消失を阻害し、Aベータオリゴマーが存在しない状態で輸送又はシナプス数に影響を与えない。インビトロアッセイにおけるこの活性パターンを「治療表現型」と呼ぶ。Aベータオリゴマーが存在しない状態で、シグマ−2受容体拮抗物質が正常な機能に影響せずに、成熟ニューロン中のAベータオリゴマーの効果を遮断する能力は、治療表現型の基準に適合する。次に、治療表現型を有する選択的シグマ−2拮抗物質は、Aベータオリゴマーが誘発するシナプス不全を遮断できることを開示する。

0091

[0129] 幾つかの実施形態では、必要とする患者のAベータオリゴマーが誘発したシナプス不全を治療するために、以下の特徴も有する治療表現型を有する高親和性の選択的シグマ−2拮抗物質が、治療候補として適切である。すなわち、シグマ受容体における高い親和性、他の非シグマCNS受容体と比較してシグマ受容体に対する高い選択性、シグマ−2及びシグマ−1受容体におけるシグマ−2受容体の例えば1桁以内の高い親和性又は同等の親和性、中枢神経系に関する他の受容体とは対照的なシグマ受容体に対する選択性、及び良好な薬物様特性である。薬物様特性には、例えば肝ミクロソームに曝露することによって測定されるような許容可能な脳浸透性血液脳関門を通過する能力)、血漿中の良好な安定性及び良好な代謝安定性が含まれる。理論に拘束されることなく、高親和性のシグマ−2受容体拮抗物質はAベータオリゴマーと競合し、及び/又はアルツハイマー病につながる病理学的なシグマ受容体のシグナル伝達を停止する。

0092

[0130] 幾つかの実施形態では、必要とする患者のAベータオリゴマーが誘発したシナプス不全を治療するために、以下の特徴も有する治療表現型を有するシグマ−2拮抗物質が、治療候補として適切である。すなわち、シグマ受容体における高い親和性、他の非シグマCNS受容体と比較してシグマ受容体に対する高い選択性、シグマ−2受容体に対する高い親和性、又はシグマ−2及びシグマ−1受容体における同等の親和性、及び良好な薬物様特性である。薬物様特性には、高い脳浸透性、血漿安定性、及び代謝安定性が含まれる。

0093

[0131] 幾つかの実施形態では、結合活性研究で、最大約600nM、最大約500nM、最大約400nM、最大約300nM、最大約200nM、最大約150nM、最大約100nM、好ましくは最大約75nM、好ましくは最大約60nM、好ましくは最大40nM、さらに好ましくは最大10nM、最も好ましくは最大1nMのIC50又はKi値は、シグマ受容体結合部位に対して高い結合親和性を示す。

0094

[0132] 幾つかの実施形態では、他の非シグマCNS又は標的受容体と比較してシグマ受容体に対して約20倍超、約30倍超、約50倍超、約70倍超、又は好ましくは約100倍超の選択性を有して、脳浸透性及び良好な代謝及び/又は血漿安定性を含む良好な薬物様特性を有し、治療表現型を有するシグマ−2受容体にて、親和性が高い(好ましくはKiが、約600nM未満、約500nM未満、約400nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約150nM未満、約100nM未満、約70nM未満、約60nM未満、約50nM未満、約30nM未満、又は約10nM未満の)シグマ−2受容体拮抗物質は、挙動有効性を有すると予想され、必要とする患者でAベータオリゴマーが誘発したシナプス不全の処置に使用することができる。

0095

[0133] 本明細書で使用する「脳浸透性」という用語は、薬物、抗体又はフラグメントが血液脳関門を通過する能力を指す。幾つかの実施形態では、動物の薬物動態学(pK)的研究、例えばマウスの薬物動態学/血液脳関門研究を用いて、脳浸透性を判定又は予想することができる。幾つかの実施形態では、例えば動物モデルで、様々な濃度、例えば3mg/kg、10mg/kg及び30mg/kgの薬物を例えばp.o.で5日間投与することができ、様々なpK特性を測定することができる。幾つかの実施形態では、用量関連の血漿及び脳レベルを判定する。幾つかの実施形態では、脳のCmaxは、100ng/mL超、300ng/mL超、600ng/mL超、1000ng/mL超、1300ng/mL超、1600ng/mL超、又は1900ng/mL超である。幾つかの実施形態では、良好な脳浸透性とは、0.1超、0.3超、0.5超、0.7超、0.8超、0.9超、好ましくは、1超、さらに好ましくは、2超、5超、又は10超の脳/血漿比と定義される。他の実施形態では、良好な脳浸透性は、所定の期間の後にBBBを通過した投与量の約0.1%超、約1%超、約5%超、約10%超、及び好ましくは、約15%超と定義される。特定の実施形態では、用量は経口(p.o.)投与される。他の実施形態では、用量はpK特性を測定する前に静脈内(i.v.)投与される。アッセイ及び脳浸透性については実施例7で説明し、化合物IIのデータを図2A及び図2Bに示す。化合物IIは初回通過代謝を受けることが知られ、したがって皮下投薬したが、それでも化合物IIは急性及び慢性投薬の後も脳浸透性が高かった。化合物IIの脳/血漿比は8を超えていた。

0096

[0134] 本明細書で使用する「血漿安定性」という用語は、例えばヒドロラーゼ及びエステラーゼなどによる血漿中の化合物の分解を指す。様々なインビトロアッセイのいずれかを使用することができる。薬物を血漿中で様々な期間インキュベートする。各時点にて残存する親化合物検体)百分率は血漿安定性を反映する。安定性の特徴が不良な場合、生物学的利用能が低くなる傾向があり得る。良好な血漿安定性とは、30分後の残存検体が50%を超える、45分後の残存検体が50%を超える、及び好ましくは60分後の残存検体が50%を超えると定義することができる。

0097

本明細書で使用する「代謝安定性」という用語は、化合物が初回通過代謝(経口投与された薬物の腸内及び肝臓分解又は抱合)を乗り越える能力を指す。これは、例えば化合物をマウス又はヒトの肝ミクロソームに曝露させることによってインビトロで評価することができる。幾つかの実施形態では、良好な代謝安定性とは、化合物をマウス又はヒトの肝ミクロソームに曝露した後、t1/2>5分、>10分、>15分、>20分、及び好ましくは、>30分であることを指す。幾つかの実施形態では、良好な代謝安定性とは、固有クリアランス率(Clint)が300uL/分/mg未満、好ましくは、200uL/分/mg以下、及びさらに好ましくは、100uL/分/mg以下であることを指す。
本発明の新規の化合物の塩、溶媒和物立体異性体、誘導体、プロドラッグ及び活性代謝物

0098

[0135] 本発明は、式Iの化合物の塩、溶媒和物、立体異性体、プロドラッグ及び活性代謝物をさらに包含する。

0099

[0136] 「塩」という用語は、遊離塩基の酸添加塩又は添加塩を含むことができる。塩は薬物学的に許容可能であることが好ましい。薬学的に許容可能な酸添加塩を形成するために使用できる酸の例には、硝酸リン酸、硫酸、又は臭化水素酸、ヨウ化水素酸、フッ化水素酸亜リン酸などの非毒性無機酸由来の塩、さらに脂肪族一塩基酸及びジカルボン酸フェニル置換アルカノン酸、ヒドロキシルアルカノン酸、アルカンジオン酸芳香族酸脂肪族酸及び芳香族スルホン酸、及び酢酸マレイン酸コハク酸、又はクエン酸などの非毒性有機酸由来の塩が含まれるが、これらに限定されない。このような塩の非限定的な例にはナパジシル酸塩ベシル酸塩、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩重亜硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、一水素リン酸塩二水素リン酸塩メタリン酸塩ピロリン酸塩塩素ホウ素、ヨウ素、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩プロピオン酸塩カプリル酸塩、イソブチル酸塩シュウ酸塩マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、フタル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩酢酸フェニル、クエン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩などが含まれる。アルギン酸塩など及びグルコン酸塩、ガラクツロン酸塩などのアミノ酸の塩も想定される(例えば、Berge他の、「Pharmaceutical Salts」(J. Pharma. Sci. 1977;66: 1)を参照されたい)。

0100

[0137] 式Iの化合物の酸添加塩は、従来の方法で遊離塩基形を十分な量の所望の酸と接触させ、塩を生成することによって調製することができる。遊離塩基形は、従来の方法で塩形を塩基と接触させ、遊離塩基を単離することによって再生することができる。遊離塩基形は、その個々の塩形とは、極性溶媒中の可溶性など特定の物理的特性が多少異なるが、それ以外では、塩は本発明の趣旨ではその個々の自由塩基と同等である。

0101

[0138] 全塩及び部分塩も含まれる。すなわち式Iの化合物の酸1モル当たり1個、2個又は3個、好ましくは2個の塩基等価物があるか、又は式Iの化合物の塩基1モル当たり1濃、2個又は3個、好ましくは1個の酸等価物がある。

0102

[0139] 単離又は精製のために、薬学的に許容不能な塩を使用することも可能である。しかし、治療には薬学的に許容可能な非毒性塩のみ使用し、したがってこれが好ましい。

0103

[0140]薬学的に許容可能な塩基添加塩は、アルカリ及びアルカリ土類金属又は有機アミンなどの金属又はアミンで形成される。カチオンとして使用される金属の例にはナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどがある。適切なアミンの例にはN,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン、及びプロカインがある。

0104

[0141] 上記酸性化合物の塩基添加塩は、従来の方法で遊離酸形を十分な量の望ましい塩基と接触させ、塩を産生することによって調製される。遊離酸形は、塩を酸と接触させ、遊離酸を単離することによって再生することができる。

0105

[0142] 本発明の化合物は、塩基性中心酸性中心の両方を有することができ、したがって双性イオン又は内塩の形態とすることができる。

0106

[0143] 通常、式Iの化合物の薬学的に許容可能な塩は、所望の酸又は塩基を適宜使用することによって容易に調製することができる。塩は、溶液から沈殿させ、濾過によって採取するか、溶媒の蒸発によって回収することができる。例えば、塩酸などの酸の水溶液を式Iの化合物の水性懸濁液に添加し、その結果の混合物を乾燥するまで蒸発させ(凍結乾燥させ)、酸添加塩を固体として獲得することができる。あるいは、式Iの化合物を例えばイソプロパノールのようなアルコールなどの適切な溶媒に溶解させることができ、酸を同じ溶媒又は別の適切な溶媒に添加することができる。この結果となる酸添加塩を、次に直接沈殿させるか、又はジイソプロピルエーテル又はヘキサンのようなこれより極性が低い溶媒を添加することにより、濾過で単離することができる。

0107

[0144]有機化学の当業者には、多くの有機化合物が、それが反応する溶媒、又はそれが沈殿又は結晶化する元となる溶媒と複合体を形成できることが認識される。これらの複合体は「溶媒和物」として知られている。例えば、水との複合体は「水和物」として知られる。本発明の化合物の溶媒和物は、本発明の範囲に入る。式Iの化合物の塩は溶媒和物(例えば水和物)を形成することができ、本発明はこのような溶媒和物も全て含む。「溶媒和物」という言葉の意味は、当業者には溶媒と溶質との相互作用(すなわち溶媒和)によって形成された化合物として知られている。溶媒を調製する技術は当技術分野で十分確立されている(例えばBrittainの、「Polymorphism in Pharmaceutical solids」(Marcel Decker、ニューヨーク、1999)を参照されたい)。

0108

[0145] 本発明は、式Iの化合物のN−オキシドも包含する。「N−オキシド」という用語は、他に置換していないsp2N原子を含有するヘテロ環の場合、N原子は共有結合したO原子を含むことができる、すなわち−N→Oであることを意味する。このようなN−オキシド置換ヘテロ環の例には、ピリジルN−オキシド、ピリミジルN−オキシド、ピラジニルN−オキシド及びピラゾリルN−オキシドが含まれる。

0109

[0146] 式Iの化合物は、1つ又は複数のキラル中心を有することができ、個々の置換基の性質に応じて、幾何異性体も有することができる。空間における原子の配置構成が異なる異性体を「立体異性体」と呼ぶ。相互に鏡像ではない立体異性体を「ジアステレオマー」と呼び、相互に重ね合わせることができない鏡像であるものを「鏡像異性体」と呼ぶ。ある化合物がキラル中心を有する場合は、1対の鏡像異性体が可能である。鏡像異性体はその非対称中心絶対配置を特徴とすることができ、カーン及びブレローグのR−及びS−配列決定規則によって、分子が偏光面を回転する方法によって説明され、右旋性又は左旋性(すなわちそれぞれ(+)又は(−)異性体)と呼ばれる。キラル化合物は、個々の鏡像異性体として、又は鏡像異性体の混合物として存在することができる。等しい割合の鏡像異性体を含有する混合物を「ラセミ混合物」と呼ぶ。含有する鏡像異性体の部分が等しくない混合物は、R又はS化合物の「鏡像異性体過剰率」(ee)を有すると言う。ある混合物の1つの鏡像異性体の過剰率は、下式によって決定される鏡像異性体過剰率(%ee)値で述べることが多い。
%ee=(R)−(S)/(R)+(S)

0110

[0147]鏡像異性体の比率は「光学純度」で定義することもでき、鏡像異性体の混合物が面偏光を回転する程度を、光学的に純粋な個々のR化合物及びS化合物と比較する。光学純度は、下式を使用して判定することができる。
光学純度=鏡像異性体major/(鏡像異性体major+鏡像異性体minor)

0111

[0148]化合物は、本明細書で説明する化合物の実質的に純粋な(+)又は(−)鏡像異性体でもよい。幾つかの実施形態では、実質的に純粋な鏡像異性体を含む組成物は、一方の鏡像異性体の少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、又は99%を含む。幾つかの実施形態では、実質的に純粋な鏡像異性体を含む組成物は少なくとも99.5%が一方の鏡像異性体である。幾つかの実施形態では、組成物は本明細書で説明する化合物の一方の鏡像異性体のみを含む。

0112

[0149] 本発明は式Iの化合物の個々の異性体を全て含む。本明細書及び請求の範囲で特定の化合物について説明し、その名前を挙げる場合、それは個々の鏡像異性体及びその混合物、ラセミ体又はその他の両方を含むものとする。立体異性体の立体化学を判定し、分解又は定位合成する方法は、当技術分野で周知である。特に、一般式I及びIIの化合物中に示され、1組の鏡像異性体を生じさせるキラル中心がある。置換基に応じて、追加のキラル中心が存在することがある。

0113

[0150] 多くの用途で、実質的に光学的に純粋な材料を生成するように、立体選択的合成を実行する及び/又は反応生成物を適切な精製ステップにかけることが好ましい。ラセミ混合物を精製して光学的に純粋な画分にする手順と同様に、光学的に純粋な材料を生成するために適切な立体選択的合成手順が当技術分野で周知である。本発明の化合物が多型形で存在することができ、化合物が様々な形で結晶化できることが、当業者にはさらに認識される。多形を識別し、分離する適切な方法が当技術分野で知られている。

0114

[0151]ジアステレオマーは物理的特性と化学反応性の両方で異なる。ジアステレオマーの混合物は、可溶性、画分の結晶化又はクロマトグラフ特性、例えば薄層クロマトグラフィカラムクロマトグラフィ又はHPLCに基づいて鏡像異性体の対に分離することができる。

0115

[0152]ジアステレオマーの複雑な混合物を精製して鏡像異性体にするには、通常、2つのステップが必要である。第1のステップでは、ジアステレオマーの混合物を上述したように鏡像異性体の対に分解する。第2のステップでは、鏡像異性体対をさらに精製して、一方又は他方の鏡像異性体が豊富になった組成物にするか、さらに好ましくは純粋な鏡像異性体を含む組成物中に分解させる。鏡像異性体を分解するには通常、例えば溶媒又はカラム基質などのキラル剤との反応又は分子相互作用が必要である。分解は、例えば第2の剤、すなわち分解剤の純粋な鏡像異性体と反応させることにより、例えばラセミ混合物などの鏡像異性体の混合物をジアステレオマーに変換することなどによって達成することができる。これで、その結果である2つのジアステレオマー産物を分離することができる。次に、初期の化学変質を逆転させることにより、分離したジアステレオマーを純粋な鏡像異性体に再転換する。

0116

[0153]鏡像異性体の分解は、キラル物質に対する非共有結合の差によって、例えばホモキラル吸着剤クロマトグラフィによって達成することもできる。鏡像異性体とクロマトグラフィ吸着剤との非共有結合は、ジアステレオマー複合体を確立し、クロマトグラフィシステムの移動及び結合状態での分配差につながる。したがって、2つの鏡像異性体は、例えばカラムなどのクロマトグラフィシステムを異なる速度で移動し、それによって分離することができる。

0117

[0154]キラル分解カラムは当技術分野で周知であり、(例えば、カリフォルニアレークフォレストのANSYS Technologies, Inc.の一部門であるMetaChem Technologies Inc.から)市販されている。鏡像異性体は、例えばHPLCのキラル固定相(CSP)を使用して分析及び精製することができる。キラルHPLCカラムは通常、シリカ充填材料の表面に固定化された鏡像異性体化合物の一形態を含有する。

0118

[0155] D−フェニルグリシン及びL−ロイシンI型CSPの例であり、π−π相互作用、水素結合双極子−双極子相互作用、及び立体化学的相互作用の組み合わせを使用して、キラル認知を達成する。I型カラム上で分解するには、検体鏡像異性体は、検体がCSPとの基本的相互作用を経験するように、CSPのそれに対して相補的な機能性を含まなければならない。サンプルは以下の官能基のうち1つを含むことが好ましい。すなわちπ−酸、π−塩基、水素結合供与体及び/受容体、又はアミド双極子である。時には、これらがない化合物に相互作用部位を加えるために、誘導体化を用いる。最も一般的な誘導体は、アミン及びカルボン酸からのアミドの形成を伴う。

0119

[0156] MetaChiralODM(商標)は、II型CSPの一例である。溶質−CSP複合体を形成する主なメカニズム引力相互作用であるが、包含複合体も重要な役割を果たす。水素結合、π−π相互作用、及び双極子スタッキングは、MetaChiral(商標)ODM上でキラルが分解するために重要である。溶質分子が溶質−カラム相互作用に必要な基を含有していない場合、誘導体化が必要になることがある。アミン及びカルボン酸のような極性が高い一部の分子は、非特異的立体相互作用を通して固定相と強力に相互作用してしまい、その分子には誘導体化、通常はベンジルアミドへの誘導体化が必要になることがある。

0120

[0157] 適宜、式I、又はIIの化合物は、例えばカラムクロマトグラフィ又はTLCによるシリカゲル上での分離によってジアステレオマー対に分離することができる。これらのジアステレオマー対を、本明細書では上TLC Rfのジアステレオマー及び下TLC Rfのジアステレオマーと呼ぶ。ジアステレオマーはさらに、本明細書で説明するような当技術分野で周知の方法を用いて、特定の鏡像異性体を増強するか、又は単一鏡像異性体中に分解することができる。

0121

[0158]ジアステレオマー対の相対配置は、理論的モデル又は規則(例えばクラム則、フェルキンアン模型)を適用して、又は計算機化学プログラムにより生成したさらに確実な3次元模型を使用して演繹することができる。多くの場合、これらの方法は、いずれのジアステレオマーがキメラ形質転換のエネルギー的に好ましい産物であるか予想することができる。代替法として、ジアステレオマー対の相対配置は、ジアステレオマー対の一方(又は両方)の単一鏡像異性体の絶対配置を発見することにより、間接的に判定することができる。

0122

[0159]立体中心の絶対配置は、当業者に非常によく知られた方法(例えばX線回折円偏光二色性)で判定することができる。絶対配置の判定は、理論模型の予測精度を確認するためにも有用なことがあり、同様のメカニズムとの反応(例えば、ケトン還元及び水素化物によるケトンの還元アミン化)によって調製された同様の分子にこれらの模型の使用を拡大するために役立つことがある。

0123

[0160] 本発明は、直接に連結していない二重結合に対するR2−R3置換基により、Z−E型の立体異性体、及びその混合物も包含することができる。mが1ではなく、mとnとが異なる場合は、追加のZ−E立体異性体に遭遇する。二重結合置換基の二重結合の面にある個々の位置により、立体異性体がZかEかを判定するために、カーン−インゴールドプレログ優先則を適用する。優先性最高の2つの基がC=C結合を通る基準面の同じ側にある場合、その立体異性体をZ(zusammen=一緒)と呼ぶ。他の立体異性体をE(entgegen=反対)と呼ぶ。

0124

[0161] E−Z型の立体異性体の混合物は、これらの化合物の様々な化学物理的特性に基づく古典的な精製方法を使用して、その成分に分離する(及び/又は特徴付ける)ことができる。これらの方法には、分別結晶作用、低、中又は高圧技術により実行するクロマトグラフィ、分別蒸留、及び当業者に非常によく知られている任意の他の方法が含まれる。

0125

[0162] 本発明は、式I又はIIの化合物、すなわち哺乳類対象に投与された場合に式I又はIIによってインビボで活性薬物を放出する化合物のプロドラッグも包含する。プロドラッグとは、形質転換により薬学的に活性な薬剤に変換する薬学的に活性、又はさらに一般的には不活性な化合物である。式Iの化合物のプロドラッグは、修飾剤をインビボで分割して親化合物を放出できるような方法で、式Iの化合物中に存在する官能基を修飾することによって調製される。プロドラッグは、生理学的状態でインビボにて容易に化学変化を起こし(例えば加水分解されるか、又は自然に発生する酵素の作用を受け)、その結果、薬学的に活性な薬剤が遊離する。プロドラッグは式I又はIIの化合物を含み、ここでヒドロキシ、アミノ、又はカルボキシ基が、インビボで分割して遊離ヒドロキシ、アミノ又はカルボキシ基を再生することができる任意の基に結合する。プロドラッグの例には式Iの化合物のエステル(例えば、酢酸塩、蟻酸塩、及び安息香酸塩誘導体)、又は生理学的pHにするか酵素作用を受けると活性の親薬物に変換される任意の他の誘導体が含まれるが、これらに限定されない。適切なプロドラッグ誘導体を選択し、調製するための従来の手順が、当技術分野で説明されている(例えば、Bundgaardの「Design of Prodrugs」(Elsevier, 1985)を参照されたい)。

0126

[0163]プロドラッグは、その転換先の活性成分と同じ方法で投与することができるか、又は、例えば経皮パッチ、又は(酵素又は他の適切な試薬を提供することによって)プロドラッグを時間をかけて徐々に活性成分に変換し、活性成分を患者に送達することができるように適応した他の貯蔵所などの貯蔵形態で送達することができる。

0127

[0164] 特に指示しない限り、「活性成分」という用語は、本明細書で定義するような式Iの化合物を指すものと理解されたい。

0128

[0165] 本発明は代謝物も包含する。本明細書で開示する化合物の「代謝物」は、化合物が代謝された場合に形成される化合物の誘導体である。「活性代謝物」という用語は、化合物が代謝された場合に形成される化合物の生物学的活性誘導体を指す。「代謝された」という用語は、生体内で特定の物質が変化するプロセスの総和を指す。簡潔に言うと、体内に存在する全化合物は、身体からエネルギーを引き出す、及び/又はそれらを除去するために体内で酵素によって操作される。特定の酵素は化合物に特定の構造的変化を生成する。例えば、シトクロムP450は様々な酸化還元反応触媒作用を及ぼし、ウリジン二リン酸グルクロン酸転移酵素は、活性化したグルクロン酸分子の芳香族アルコール脂肪族アルコール、カルボン酸、アミン、及び遊離メルカプト基への転移に触媒作用を及ぼす。代謝に関するさらなる情報は、「The Pharmacological Basis of Therapeutics」第9版(McGraw-Hill (1996)、11〜17ページ)で入手することができる。本明細書で開示する化合物の代謝物は、化合物を受容者に投与して、受容者からの組織サンプルを分析することによって、又は化合物を肝細胞とともにインビトロでインキュベートし、その結果の化合物を分析することによって識別することができる。両方の方法とも当技術分野で周知である。
シグマ−2受容体組成物

0129

[0166] 幾つかの実施形態では、本発明はシグマ−2受容体を含む結合アッセイ混合物などの組成物、例えば式I又はIIによるシグマ−2受容体及びシグマ−2リガンド化合物、例えば限定なく本明細書で特に説明した個々の化合物を含む組成物を提供する。

0130

[0167] 幾つかの実施形態では、シグマ−2受容体はシグマ−2リガンド化合物と複合体を形成する。幾つかの実施形態では、シグマ−2受容体を含む組成物は単離組成物である。シグマ−2受容体に関して本明細書で使用する「単離組成物」という用語は、細胞がない、又は自然環境から取り出されたシグマ−2受容体を指す。幾つかの実施形態では、自然環境は溶解していない、又は他の方法で破壊されていない細胞である。細胞からのシグマ−2受容体の単離は、(非限定的な例により、競合放射リガンド法を使用して)様々な細胞成分を分離し、それぞれにシグマ−2受容体が存在するか試験するなど、日常的な既知の方法で実行することができる。したがって、単離したシグマ−2受容体は、細胞質中に、又はミトコンドリア又は小胞体、エンドソーム又はリソソームのような細胞の様々な亜区画中に、又は自然環境におけるシグマ−2受容体の物理的位置となることもある脂質ラフト中に存在することができる。脂質ラフトは通常小さく(10〜200nm)、不均一で高度に動的な集合であり、コレステロール及びスフィンゴ脂質を含むがこれらに限定されない特定の成分中に濃縮される。脂質ラフトの他の成分にはグルタミン酸受容体(例えば向イオン性(カチオン特異的イオンチャネル)及び/又は向代謝性(G−タンパク結合)、mGluR5)、コレステロール、脂質、BACE、γ−セクレターゼ完全長APP(アミロイド前駆体タンパク)、ガングリオシド(例えばガングリオシドGM1)、タンパク質1(APLP1)、膜内外タンパク質30B(TMEM30B)、アルファ7ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChRα7)、進行グリコシル化最終産物受容体(RAGE)、N−メチル−D−アスパラギン酸受容体(NMDAR)、神経成長因子受容体(NGFR)(例えばTrkA及びp75ニューロトロフィン受容体)、インスリン受容体サブユニット、又はその任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。Rushworth他のInternational Journal of Alzheimer's Disease第2011巻、論文ID603052の14ページを参照されたい。これは全体が参照により本明細書に組み込まれている。脂質ラフトは細胞から単離することができ、単離した脂質ラフトはシグマ−2受容体を含有することができる。

0131

[0168] 幾つかの実施形態では、シグマ−2受容体は、アミロイド−ベータオリゴマーと会合するか、又はそれと複合体になるように、Aベータオリゴマー又は他のAベータ種に曝露する。幾つかの実施形態では、アミロイド−ベータオリゴマーは細胞から単離されている。幾つかの実施形態では、アミロイド−ベータオリゴマーは合成で作成するか、又はインビトロで調製されている。アミロイド−ベータオリゴマー及び種の非限定的な例を本明細書で説明する。

0132

[0169] 幾つかの実施形態では、シグマ−2受容体を含む組成物は、追加的に他の受容体又はそのパネルを含む。その例にはグルタミン酸受容体(例えば向イオン性(カチオン特異的イオンチャネル)及び/又は向代謝性(G−タンパク結合)、mGLuR5として知られる)、α7ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChRα7)、進行グリコシル化最終産物受容体(RAGE)、N−メチル−D−アスパラギン酸受容体(NMDAR)、神経成長因子受容体(NGFR)(例えばTrkA及びp75ニューロトロフィン受容体)、インスリン受容体サブユニット、又はその任意の組み合わせがある。組成物の可能な他の成分にはコレステロール、脂質、BACE、γ−セクレターゼ、完全長APP(アミロイド前駆体タンパク質)、ガングリオシド(例えばガングリオシドGM1)、細胞プリオンタンパク質、膜内外タンパク質、アミロイド−β前駆体様タンパク1(APLP1)、膜内外タンパク質30B(TMEM30B)が含まれる。

0133

[0170]シグマ−2受容体、シグマ−2リガンド、及び脂質ラフト又はタンパク質、脂質、コレステロール、又は脂質ラフトからの他の成分を含む組成物は、例えばシグマ−2受容体を細胞から単離し、シグマ−2受容体をシグマ−2リガンドと接触させることによって調製される。幾つかの実施形態では、シグマ−2リガンドとシグマ−2受容体は、複合体を形成するのに十分な状態で接触する。幾つかの実施形態では、複合体はアミロイドベータオリゴマーの存在下で形成される。

0134

[0171]プリオンタンパク質、インスリン受容体、ベータアドレナリン様受容体、及びRAGE(進行グリコシル化最終産物の受容体)を含むAベータオリゴマーに関する文献で、様々な受容体が提案されている。Lauren, J.他、2009、Nature(457(7233): 1128-1132)、Townsend, M.他、J. Biol. Chem.(2007, 282:33305-33312)、Sturchler, E.他、2008、J. Neurosci.(28(20): 5149-5158)を参照されたい。実際、多くの研究者がAベータオリゴマーは複数の受容体タンパク質に結合できると考えている。Krafft GA、Klein WL Neuropharmacology((2010)Sep-Oct; 59(4-5): 230-42)。本明細書で、及び本出願と同日に出願された共願特許出願でも提示された証拠に基づき、本発明の発明者は、(必ずしも排他的ではなく)ニューロン中にAベータオリゴマーの追加の受容体が位置すると仮定している。理論に拘束されることなく、シグマ−2受容体は、ニューロン中のAベータオリゴマーの受容体であると提案される。幾つかの実施形態では、本発明はニューロン中に発現したAベータオリゴマー受容体、及びAベータオリゴマーを含む組成物を提供する。このような組成物は、Aベータオリゴマー受容体ではない1つ又は複数のニューロンタンパク質を追加的に含むことができる。幾つかの実施形態では、Aベータオリゴマー受容体はシグマ−2受容体である。幾つかの実施形態では、シグマ−2受容体は活性化した受容体である。幾つかの実施形態では、シグマ−2受容体は不活性又は脱感作受容体である。幾つかの実施形態では、組成物は脂質ラフトタンパク質を含む。脂質ラフトタンパク質の例を本明細書で述べるが、例は限定的ではない。ニューロンタンパク質は、ニューロン細胞中に、又は少なくとも中枢神経系に特異的に発現するタンパク質である。幾つかの実施形態では、ニューロンタンパク質は脳に特異的に発現する。幾つかの実施形態では、ニューロンタンパク質はニューロン中で発現し、他の組織又は細胞型には発現しないタンパク質である。幾つかの実施形態では、ニューロンタンパク質は、ニューロン中で発現し、精巣以外の他の組織又は細胞型には発現しないタンパク質である。幾つかの実施形態では、追加的タンパク質は、ニューロン中のAベータオリゴマーの有害作用を促進することがある。

0135

[0172]シグマ−2受容体を含有する上記組成物は、この受容体に結合し、したがってシナプス消失又は膜輸送異常に対して保護し、これを軽減又は逆転させる際に活性化する可能性があり、さらに認知低下の阻止及びMCI及びアルツハイマー病の処置に活性化するさらなる化合物を識別するアッセイに使用することができる。例えば、このようなアッセイには、標識したシグマ−2リガンドの標識がない候補シグマ−2リガンドによる置換を測定することができるアッセイが含まれるが、これに限定されない。活性化合物を識別するこのような競合的結合アッセイは、製薬業で数十年間使用されており、当業者に知られている。
本発明の化合物の使用

0136

[0173] 幾つかの実施形態では、本発明は、ニューロン細胞がAベータ種に曝露することに伴うシナプス数の低下又は膜輸送異常を阻害する方法を提供する。本発明は、患者の認知低下及び/又は神経変性症、例えばアルツハイマー病又は軽度の認知障害(MCI)を処置し、本明細書で説明するシグマ−2リガンド、又はその薬学的に許容可能な塩を投与することを含む方法も提供する。幾つかの実施形態では、認知低下及び/又は神経変性症、例えばアルツハイマー病を阻害、又は処置する方法は、記憶消失、錯乱、判断障害、人格変化、見当識障害、及び言語技能の消失からなる群から選択された認知低下の1つ又は複数の症状の阻害、又は処置を含む。幾つかの実施形態では、上記方法は、Aベータオリゴマーによって仲介されるか、又はそれに関連する疾病又は障害又は状態の阻害、又は処置を含む(パラグラフ002参照)。幾つかの実施形態では、認知低下及び/又は神経変性症、例えばアルツハイマー病を阻害、又は治療する方法は、(i)電気生理学的測定によって検出可能な長期残留記憶(LTP)、LTD又はシナプス可塑性、又は上記用語の定義で言及したような認知機能の他のネガティブな変化を回復すること、(ii)神経変性を阻害又は処置すること、及び/又は(iii)一般的アミロイドーシスを阻害又は処置すること、(iv)アミロイド酸性、アミロイド集合、アミロイド凝集、及びアミロイドオリゴマー結合、及びアミロイド沈着のうち1つ又は複数を阻害又は治療すること、及び/又は(v)ニューロン細胞上の1つ又は複数のAベータオリゴマーの効果、特に非致死的効果を阻害、処置及び/又は寛解することのうち1つ又は複数を含む。幾つかの実施形態では、認知低下及び/又は神経変性症、例えばアルツハイマー病を阻害、処置及び/又は寛解する方法は、アミロイド産生、アミロイド集合、1つ又は複数のAベータオリゴマーがニューロン細胞、アミロイド凝集、アミロイド結合、及びアミロイド沈着のうち1つ又は複数に与える作用/効果の阻害、処置及び/又は寛解することを含む。幾つかの実施形態では、認知低下及び/又は神経変性症、例えばアルツハイマー病を阻害、処置及び/又は寛解する方法は、ニューロン細胞に1つ又は複数のAベータオリゴマーが与える作用/効果のうち1つ又は複数を阻害、処置及び/又は寛解することを含む。

0137

[0174] 幾つかの実施形態では、1つ又は複数のAベータオリゴマーがニューロン細胞、アミロイド凝集、アミロイド結合、及びアミロイド沈着に与える作用/効果は、Aベータオリゴマーが膜輸送又はシナプス数に与える効果である。幾つかの実施形態では、シグマ−2リガンドは、膜輸送又はシナプス数又はAベータオリゴマー結合に対するAベータオリゴマーの効果を阻害する。

0138

[0175] 幾つかの実施形態では、本発明はタンパク質感応症を処置する方法を提供する。幾つかの実施形態では、上記方法はタンパク質感応症を有する対象を本発明のシグマ−2リガンドに、又はそれを含有してシグマ−2受容体に結合する組成物に接触させることを含む。

0139

[0176] 幾つかの実施形態では、タンパク質感応症はCNSタンパク質感応であり、MCI、ダウン症候群、黄斑変性症又はアルツハイマー病などのAベータタンパク質の増加を特徴とする。

0140

[0177] 幾つかの実施形態では、本発明は、本発明によるシグマ−2リガンドを投与することにより、1つ又は複数の軽度の認知障害(MCI)、又は認知症を処置する方法を提供する。幾つかの実施形態では、本発明はMIC及び認知症を処置する方法を提供する。

0141

[0178] 幾つかの実施形態では、本発明は、対象の細胞を、AベータオリゴマーなどのAベータ種による有害作用を受けた機能に関して正常な表現型に部分的又は全体的に回復するために、本発明によるシグマ−2リガンドで個体を処置する方法を提供する。その例には、シナプス数の減少及び膜輸送異常があり、これは本明細書で説明するアッセイなどの様々な方法で測定することができる。正常な表現型とは、例えば正常な膜輸送とすることができる。幾つかの実施形態では、正常な表現型は正常な認知能力である。「正常な」表現型は、対象の結果を正常な対象のサンプルと比較することによって判断することができる。サンプルは、わずか1の対象又は1のサンプルのこともあれば、10より多くのサンプル又は対象のこともあり、基準は複数の対象に基づいて計算された平均である。

0142

[0179] 幾つかの実施形態では、上記方法は、認知低下又は神経変性症に苦しむ対象に、シグマ−2タンパク質に結合してベータ−アミロイド病変を阻害する化合物又は組成物を投与することを含む。幾つかの実施形態では、ベータ−アミロイド病変は、膜輸送欠陥、シナプス数の減少、樹状突起棘数の減少、樹枝状突起棘の形態変化、LTPの変化、LTDの変化、動物の記憶及び学習手段の欠陥、又はその任意の組み合わせなどである。以上は、下記のように本発明により提示される証拠の結果を利用する。

0143

[0180] 本明細書では、式I及びII、特に式IIの化合物が、合成製剤又はアルツハイマーのヒトの脳から単離された製剤(後者の方がアミロイド病変をインビトロで仲介する効力が実質的により高い)中で、ニューロン細胞中のAベータに関連するシナプス減少を阻害し、Aベータオリゴマー導入の前又は後に添加すると、Aベータオリゴマーに対するニューロン細胞の曝露に伴うこのような細胞中の膜輸送の異常を(例えば以下で述べるMTTアッセイを使用して)阻害することを示してきた。式I及びII中の他の化合物も、膜輸送の異常を阻害することを示してきた。化合物IIも本明細書で、本明細書で説明したようなアルツハイマー病の遺伝子組み換え及び誘導動物モデルが呈した、認知低下及び記憶消失と相関する認知欠陥を阻害することを示してきた。化合物II、さらに化合物B及びIIのような式I内の他の化合物も、薬物動態学で全身で吸収され、血液脳関門を通過して生物学的利用能があることを示してきた。このような特性の結果、及び最新技術により、早期ステージのアルツハイマー病などのアミロイド病変の発生ではAベータオリゴマー及びAベータ集合体に大きい役割があるとされていることから、化合物IIは、軽度の認知障害の処置及び保護、及びアルツハイマー病の(本明細書で定義したような)処置に有効であると予測される。さらに、化合物IIに構造的に類似していることから、及び以上で特に開示されたものの中でも、化合物IIのインビトロの活性、式I及びIIの代表的な数の他の化合物の薬物動態学的特性及びシグマ−2リガンドの状態が以上で確認されていることから、式I及びIIの化合物は全て、インビボで同様の活性があると予想される。

0144

[0181]化合物IIの挙動有効性:マウスの恐怖条件付けにおけるAベータオリゴマー誘発の記憶障害は、コロンビア大学のOttavio Arancio博士ラボラトリで確立されたモデルである(Puzzo '08)。幾つかの製薬会社が、努力発見でこの同じモデルを使用している。文脈的恐怖条件付けは、ヒトの認知機能、特に新しい記憶の生成に相関する連想記憶形成の公認モデルである(Delgado '06)。Aベータオリゴマーを、条件付け訓練の直前野生型動物の海馬に注入し、24時間後にすくみ反応を介して記憶を評価する。詳細を実施例9に提供する。ここで、化合物IIは単独で投薬した場合に、記憶を阻害したり、いかなる挙動又は運動毒性も引き起こしたりせずに、マウスの記憶障害を完全に解消することができた。このモデル系を選択したのは、オリゴマーの海馬内投与によって化合物の活性及び標的外毒性の迅速な比較評価が可能だからである。結果を図4のグラフで示す。

0145

[0182]化合物IIは、Aベータオリゴマー関連の記憶消失を逆転させる化合物の効果を示すために、2匹の遺伝子組み換えアルツハイマーモデルでインビボで試験することもできた。特に、化合物IIは、加齢により記憶消失を特徴とする認知低下を漸進的に発症する2匹の異なる突然変異型マウスモデルが、記憶消失の発現前に獲得したスキル思い出す能力を回復した。また、化合物IIは、野生型マウスの海馬がAベータオリゴマーに曝露する効果を大幅に阻害し、マウスが新しい記憶を獲得する能力を保持した。

0146

[0183] これらの挙動研究は全体的に、化合物IIが、短期又は長期投与後に2つの異なるモデルのアルツハイマー病での両性での2つの異なる挙動タスクで、学習及び記憶の改善を引き起こすことを実証し、インビトロアッセイはインビボ活性と相関することを実証している。したがって、化合物IIがシグマ−2受容体と結合し、それがAベータ関連病理をインビトロで阻害することを示すデータと組み合わせると、これらの結果は、化合物IIを使用してアルツハイマー病などの神経変性症を処置できることを示す。式I及びIIの他の化合物も、シグマ−2受容体に結合し、化合物IIと同じインビトロ活性を有することが判明した。化合物IIと、及び化合物IIが模倣するAベータオリゴマーのファルマコフォアとの類似性に基づき、これはインビトロ及びインビボで化合物IIと同じ活性を有すると予想される。実際、これらの化合物をインビトロで試験している限り、化合物IIと同じタイプの活性を有し、したがってインビボでの同じ活性を、及び同じ治療指標を有すると予想される。式I又はII内の幾つかの他のシグマ−2リガンド化合物を、本明細書で説明したシナプス減少及び/又は膜輸送アッセイで試験してきた、又は今後試験し、Aベータオリゴマー関連のシナプス消失の阻害、及びAベータオリゴマー関連の膜輸送異常の阻害に活性を有し、認知低下の阻害及びアルツハイマー病の処置の処置に同様の活性があることが予想される。

0147

[0184] 上記結論は、アルツハイマー病及び軽度の認知障害に関する以下の背景に基づいている。本明細書で検討するように、膜輸送によって仲介されたニューロン表面受容体の発現のAベータオリゴマーが仲介した減少が、オリゴマー阻害に関してシナプス可塑性(LTP)の、したがって学習及び記憶の電気生理学的尺度のベースであることを、証拠は示唆している(Kamenetz F、Tomita T、Hsieh H、Seabrook G、Borchelt D、Iwatsubo T、Sisodia S、Malinow Rの、「APP processing and synaptic function」(Neuron. 2003 Mar 27;37(6):925-37)、及びHsieh H、Boehm J、Sato C、Iwatsubo T、Tomita T、Sisodia S、Malinow Rの、「AMPAR removal underlies Abeta-induced synaptic depression and dendritic spine loss」(Neuron. 2006 Dec 7;52(5):831-43)を参照されたい)。Aベータオリゴマー遮断薬を発見するために、ホルマザンの形態学シフトを介してオリゴマーにより誘発された膜輸送速度変化の測定が複数の細胞系で使用されてきており[Maezawa I、Hong HS、Wu HC、BattinaSK、Rana S、Iwamoto T、Radke GA、Pettersson E、MartinGM、Hua DH、JinLW、「A novel tricyclic pyrone compound ameliorates cell death associated with intracellular amyloid-beta oligomeric complexes」(J Neurochem. 2006 Jul;98(1):57-67);Liu Y、Schubert D、「Cytotoxic amyloid peptides inhibit cellular 3-(4,5-dimethylthiazol-2-yl)-2,5-diphenyltetrazolium bromide (MTT) reduction by enhancing MTT formazan exocytosis」(J Neurochem. 1997 Dec;69(6):2285-93);Liu Y、Dargusch R、Banh C、Miller CA、Schubert D、「Detecting bioactive amyloid beta peptide species in Alzheimer's disease」(J Neurochem. 2004 Nov;91(3):648-56);Liu Y、Schubert D、「Treating Alzheimer's disease by inactivating bioactive amyloid beta peptide」(Curr Alzheimer Res. 2006 Apr;3(2):129-35);Rana S、Hong HS、Barrigan L、Jin LW、Hua DH、「Syntheses of tricyclic pyrones and pyridinones and protection of Abeta-peptide induced MC65 neuronal cell death」(Bioorg Med Chem Lett. 2009 Feb 1;19(3):670-4. Epub 2008 Dec 24);及びHong HS、Maezawa I、Budamagunta M、Rana S、Shi A、Vassar R、Liu R、Lam KS、Cheng RH、Hua DH、Voss JC、Jin LW、「Candidate anti-Abeta fluorene compoundsselected from analogs of amyloid imaging agents」(Neurobiol Aging. 2008 Nov 18. (Epub ahead of print))]、Aベータオリゴマー遮断薬はインビボで齧歯類の脳Aベータレベルを低下させる[Hong HS、Rana S、Barrigan L、Shi A、Zhang Y、Zhou F、Jin LW、Hua DH、「Inhibition of Alzheimer's amyloid toxicity with a tricyclic pyrone molecule in vitro and in vivo」(J Neurochem. 2009 Feb;108(4):1097-1108)]。したがって、上記試験は、アルツハイマー病及び軽度の認知障害を処置する化合物を識別する際の妥当性を確立している。

0148

[0185] 幾つかの実施形態では、ある化合物は、ニューロン(脳内ニューロンなど)、アミロイド集合又はその破壊、及びアミロイド(アミロイドオリゴマーを含む)結合、及びアミロイド沈着に対するAベータオリゴマーの効果のうち1つ又は複数を阻害することに関して、100μM未満、50μM未満、20μM未満、15μM未満、10μM未満、5μM未満、1μM未満、500nM未満、100nM未満、50nM未満、又は10nM未満のIC50値を有する。幾つかの実施形態では、その化合物は、ニューロン(中枢ニューロンなど)に対するオリゴマーなどのAベータ種の活性/効果を阻害することに関して、100μM未満、50μM未満、20μM未満、15μM未満、10μM未満、5μM未満、1μM未満、500nM未満、100nM未満、50nM未満、又は10nM未満のIC50値を有する。

0149

[0186] 幾つかの実施形態では、本発明の化合物がニューロン(脳内ニューロンなど)に対するオリゴマーなどのAベータ種の効果、例えばシナプスに対するアミロイド(アミロイドオリゴマーを含む)結合、及びAベータオリゴマーに仲介された膜輸送の異常のうち1つ又は複数を阻害する百分率が、10nM〜10μMの濃度で測定された。幾つかの実施形態では、測定した阻害百分率は約1%〜約20%、約20%〜約50%、約1%〜約50%、又は約1%〜約80%である。阻害は、例えばアミロイドベータ種に対する曝露前及び曝露後にニューロンのシナプス数を数量化するか、又はシグマ−2リガンドとAベータ種の両方の存在下でシナプスの数を数量化することによって評価することができ、ここでシグマ−2リガンドはAベータ種の曝露と同時、又はその前又はその後である。別の例として、阻害は、本発明によりAベータ種が存在する、及び存在しない状態、及びシグマ−2リガンドが存在する、及び存在しない状態で、膜輸送を判定し、開口分泌率及び提訴、取り込み率及び程度、又は細胞代謝の他の指標を測定する1つ又は複数のパラメータを比較することによって評価することができる。本発明の発明者は、本発明の化合物もアミロイド凝集を呈するという生化学的アッセイの証拠を提示している。

0150

[0187] 幾つかの実施形態では、本明細書で説明する化合物はシグマ−2受容体に特異的に結合する。特定の受容体に特異的に結合する化合物とは、1つの受容体に対して別の受容体よりも優先性を示す化合物を指す。例えば、ある化合物はシグマ−1受容体とシグマ−2受容体の両方に結合することができるが、シグマ−1受容体に対するよりも結合親和性が少なくとも10%大きい状態で結合する場合、その化合物はシグマ−2受容体に対して特異的であると言うことができる。幾つかの実施形態では、特異性は、一方の結合パートナー(例えば受容体)が第2の結合パートナーより少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、又は1000%大きい。

0151

[0188] 幾つかの実施形態では、本発明は標識付けしたシグマ−2リガンドを使用して、動物でベータ−アミロイド関連の認知低下を測定する方法を提供する。幾つかの実施形態では、上記方法は、動物を本発明により標識付けしたシグマ−2リガンドに接触させることと、シグマ−2の活性又は発現を測定することと、を含む。幾つかの実施形態では、上記方法は、動物のシグマ−2活性又は発現を、ベータ−アミロイド誘発認知低下を有することが分かっている動物と比較することを含む。活性又は発現が、ベータ−アミロイド誘発認知低下を有することが分かっている動物と同じである場合、その動物は同レベルの認知低下を有すると言われる。動物は、様々なステージのベータアミロイド誘発認知低下で知られている活性又は発現との類似性に従ってランク付けすることができる。本明細書で説明するシグマ−2リガンドのいずれも、標識付けしたシグマ−2リガンドをインビボで使用できるように標識を付けることができる。

0152

[0189]上式のいずれかの化合物、及び以上でシグマ−2拮抗物質として説明した他の化合物が、本明細書で説明する様々な状態の処置に有効であるかを判定する際に、インビトロアッセイを使用することができる。インビトロアッセイは、化合物IIを使用したインビボの効果と関連付けられてきた。例えば、化合物IIとの構造的類似性を有する式III−IVの化合物が、例えば本明細書で説明するインビトロアッセイで活性である場合、これをインビボでも使用して、本明細書で説明する状態を処置又は寛解する、例えばシナプス消失を阻害又は回復する、ニューロン細胞の膜輸送変化を調節する、記憶消失から保護するか、又はそれを回復する、及び認知低下状態、疾病、及び障害、例えばMCI及びアルツハイマー病を処置することができる。アッセイは部分的に、アミロイドβオリゴマー、及びシナプスにてニューロンに結合する際のその機能に、及びアミロイドβオリゴマーがインビトロでニューロンに及ぼす効果に基づいている。幾つかの実施形態では、本発明の発明者がシグマ−2タンパク質を含むと考えるニューロン中のAベータオリゴマー受容体が、本明細書で説明するようにアミロイドベータ集合体と接触し、シグマ−2タンパク質と結合する式I、II又はVIIIによる化合物が、受容体に対するアミロイドベータ集合体の結合を阻害する。競合的放射性リガンド結合アッセイで、本発明の発明者は、本発明の化合物がシグマ−2受容体に対して特異的であることを示した。本発明の発明者は、本発明の化合物がニューロンの表面上でこれまで識別されていない受容体に対するAベータオリゴマーの結合を阻害することも示した。幾つかの実施形態では、ニューロンのシグナル伝達における上記いずれかの式の化合物のシグマ−2リガンドの有効性を判定する方法を提供する。幾つかの実施形態では、上記方法は、1次ニューロンを含むがこれに限定されない細胞をシグマ−2リガンドと接触させることと、ニューロン機能を測定することとを含む。幾つかの実施形態では、細胞をインビトロで接触させる。幾つかの実施形態では、細胞をインビボで接触させる。ニューロン活性とは、シグナル伝達活性電気的活性、シナプスタンパク質の産生又は放出などとすることができる。信号伝達を増強又は回復するシグマ−2拮抗物質は、ニューロン活性を調節する際に有効な化合物として識別される。幾つかの実施形態では、細胞は病理学的サンプル由来である。幾つかの実施形態では、細胞は神経変性症を有する対象由来である。幾つかの実施形態では、神経変性症はMCI又はアルツハイマー病、特に軽度のアルツハイマー病である。

0153

[0190]アミロイドベータ集合体及び集合体を使用する方法の実施例を本明細書及び以下で説明し、これはWO2011/014880号(出願第PCT/US2010/044136号)、WO2010/118055号(出願第PCT/US2010/030130号)、及び出願第PCT/US2011/026530号にも説明され、これはそれぞれ全体が参照により本明細書に組み込まれている。使用できる膜輸送アッセイ及び/又は恐怖条件付けアッセイなどの他のアッセイも使用することができる。これらの方法は本明細書で、及びWO2011/014880号(出願第PCT/US2010/044136号)、WO2010/118055号(出願第PCT/US2010/030130号)、及び出願第PCT/US2011/026530号で説明され、それぞれ全体が参照により本明細書に組み込まれている。
受容体結合アッセイ及び化合物のスクリーニング

0154

[0191] 本発明は、認知低下を阻害するか、又は神経変性症を処置する別の化合物を識別する方法も提供する。幾つかの実施形態では、上記方法は、シグマ−2受容体に結合する化合物に細胞を接触させることを含む。幾つかの実施形態では、上記方法は、化合物がベータ−アミロイド病変を阻害するか判定することを含み、ベータ−アミロイド病変を阻害する化合物は、シグマ−2受容体に結合し、認知低下を阻害するか、又は神経変性症を処置する化合物として識別される。幾つかの実施形態では、上記方法は、シグマ−2受容体に結合する追加の化合物を識別することも含む。幾つかの実施形態では、シグマ−2受容体に結合する化合物を識別する方法は、競合的結合アッセイを含み、試験化合物を、本発明の化合物などの既知のシグマ−2リガンドの存在下でシグマ−2受容体と接触させ、既知のリガンドの結合を競合的に阻害する試験化合物をシグマ−2受容体リガンドとして識別する。

0155

[0192]化合物がシグマ−2受容体に結合できるかを判定する方法が知られており、任意の方法を使用することができる。例えば、受託調査機構によって試験が実施されており、化合物がシグマ−2に結合するか判定するために使用することができる。様々なアッセイを実施して、化合物がシグマ−2受容体に結合するか判定することができる。幾つかの実施形態では、ヒト胚性HEK293)、ジャーカット細胞、又はシグマ−2受容体を含むがこれらに限定されないヒト受容体の均質集団を安定的に発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などであるが、これらに限定されない細胞を使用する。他の事例では、齧歯類の新皮質などのシグマ−2受容体の組織源を使用する。この一例を本明細書の実施例のセクションで説明する。

0156

[0193] 幾つかの実施形態では、試験化合物を細胞又は細胞膜と接触させ、試験化合物がシグマ−2受容体と結合できるか判定する。幾つかの実施形態では、試験化合物をジメチルスルホキシドなどであるがこれらに限定されない担体又はビヒクル中に溶解させる。幾つかの実施形態では、融合するまで細胞を培養する。幾つかの実施形態では、融合すると、穏やかに掻き取ることで細胞を引き離すことができる。幾つかの実施形態では、細胞はトリプシン処理によって、又は任意の他の適切な引き離し手段によって引き離す。

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