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技術 エピジェネティックおよび非エピジェネティックベースの人工多能性幹細胞誘導への応用を含む細胞リプログラミング

出願人 ザ・チャールズ・スターク・ドレイパ・ラボラトリー・インコーポレイテッドユニバーシティオブピッツバーグ-オブザコモンウェルスシステムオブハイヤーエデュケイション
発明者 ラミマンゴウビポールジェイ.サマックムクンドデサイネイサンローリー
出願日 2017年8月3日 (3年6ヶ月経過) 出願番号 2017-150974
公開日 2017年11月24日 (3年2ヶ月経過) 公開番号 2017-205125
状態 未査定
技術分野 微生物、その培養処理 酵素、微生物を含む測定、試験
主要キーワード 核半径 エッジ関数 時密度 多層領域 平滑データ 閉形式解 コントロール体 不規則変動
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年11月24日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (20)

課題

エピジェネティックおよび非エピジェネティックベース人工多能性幹細胞誘導への応用を含む細胞リプログラミングの提供。

解決手段

数理的および統計的画像解析法およびシステムを適用して、細胞のリプログラミングのプロセスを向上させて改善して、例えば、患者由来の細胞を注文に合った幹細胞改変する。具体的な実施形態において、本発明は、人工多能性幹細胞を識別するための方法であって、該方法は、(a)1つ以上の細胞の画像を得るステップと、(b)該画像を多数のピクセルとして表すステップと、(c)プロセッサーを使用して、該多数のピクセルから1つ以上の画像の特徴を抽出するステップと、(d)該1つ以上の画像の特徴を、1つ以上の多能性幹細胞から得た画像の特徴と比較するステップと、を含み、該プロセッサーが、1つ以上の統計的比較法を行って該画像の特徴を比較し、これにより人工多能性幹細胞を識別する、方法。

概要

背景

人工多能性幹細胞(iPSC)は、組織工学における細胞治療および疾患の研究に対して極めて有望である。この有望性は、あらゆる遺伝子源から多能性胚性幹様細胞を形成する能力による。患者特異的免疫適合細胞を、iPSCにリプログラミングするために親細胞系として選択することができる。次いで、このiPSCを使用して、拒絶反応のない患者許容する細胞および組織を作製する。iPSCはまた、疾患の機序および処置発見に使用するために遺伝病の患者から得ることもできる。他の多能性幹細胞と同様に、iPSCを使用して、薬物候補試験するため、薬物の有効性を評価するため、および/または薬物開発プロセス初期段階での薬物候補の毒作用を明らかにするための心臓、脳、網膜肝臓、および他の組織の細胞を作製することもできる。

例えば、幹細胞発現されるが、後に分化細胞サイレント化される遺伝子に転写因子を使用してスイッチを入れることによってiPSCを分化細胞から誘導することが可能である。遺伝子サイレンシングは、エピジェネティック変化、すなわち基礎をなすDNA配列を超えた機序によって引き起こされる表現型もしくは遺伝子発現の変化の1種である。細胞の分化に関連したエピジェネティック変化を逆転することができれば、多能性細胞の誘導の頻度および率を増加させることができ、iPSCコロニーの形成の安全性および効率が改善されるであろう。例えば、安全性は、癌性細胞が生じる確率を低下させることによって改善することができる(Okitaら、2007)。

概要

エピジェネティックおよび非エピジェネティックベースの人工多能性幹細胞誘導への応用を含む細胞リプログラミングの提供。数理的および統計的画像解析法およびシステムを適用して、細胞のリプログラミングのプロセスを向上させて改善して、例えば、患者由来の細胞を注文に合った幹細胞に改変する。具体的な実施形態において、本発明は、人工多能性幹細胞を識別するための方法であって、該方法は、(a)1つ以上の細胞の画像を得るステップと、(b)該画像を多数のピクセルとして表すステップと、(c)プロセッサーを使用して、該多数のピクセルから1つ以上の画像の特徴を抽出するステップと、(d)該1つ以上の画像の特徴を、1つ以上の多能性幹細胞から得た画像の特徴と比較するステップと、を含み、該プロセッサーが、1つ以上の統計的比較法を行って該画像の特徴を比較し、これにより人工多能性幹細胞を識別する、方法。

目的

本発明は、人工多能性幹細胞を識別するための改善された方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

図面に記載された発明。

技術分野

0001

関連出願への相互参照
この出願は、2009年10月13日に出願された米国仮出願第61/278,992号(この開示は、その全体が参考として本明細書に援用される)の利益を主張する。

0002

連邦政府による資金供与に関する声明
本明細書に記載された研究は、National Institutes of HealthおよびNational Institute of Biomedical Imaging and Bioengineering (NIBIB)によって付与された助成金第EB006161号、ならびにFlight Attendant Medical Research Institute Foundationによって付与された助成金第FAMRI26−3401−2150号によって、その全体またはその一部において資金の供与を受けた。

背景技術

0003

人工多能性幹細胞(iPSC)は、組織工学における細胞治療および疾患の研究に対して極めて有望である。この有望性は、あらゆる遺伝子源から多能性胚性幹様細胞を形成する能力による。患者特異的免疫適合細胞を、iPSCにリプログラミングするために親細胞系として選択することができる。次いで、このiPSCを使用して、拒絶反応のない患者許容する細胞および組織を作製する。iPSCはまた、疾患の機序および処置発見に使用するために遺伝病の患者から得ることもできる。他の多能性幹細胞と同様に、iPSCを使用して、薬物候補試験するため、薬物の有効性を評価するため、および/または薬物開発プロセス初期段階での薬物候補の毒作用を明らかにするための心臓、脳、網膜肝臓、および他の組織の細胞を作製することもできる。

0004

例えば、幹細胞発現されるが、後に分化細胞サイレント化される遺伝子に転写因子を使用してスイッチを入れることによってiPSCを分化細胞から誘導することが可能である。遺伝子サイレンシングは、エピジェネティック変化、すなわち基礎をなすDNA配列を超えた機序によって引き起こされる表現型もしくは遺伝子発現の変化の1種である。細胞の分化に関連したエピジェネティック変化を逆転することができれば、多能性細胞の誘導の頻度および率を増加させることができ、iPSCコロニーの形成の安全性および効率が改善されるであろう。例えば、安全性は、癌性細胞が生じる確率を低下させることによって改善することができる(Okitaら、2007)。

発明が解決しようとする課題

0005

加えて、iPSCが分化細胞から正常に誘導されるか否か、およびいつ誘導されるかを決定する必要がある。形態学的に異なる分化段階と多能性段階との間に明確な中間段階が存在するため、細胞集団を画像化して数理的画像解析を使用して、画像中の細胞がどの段階に達しているかを決定することが可能である。細胞のエピジェネティック操作との組み合わせでは、画像解析により、迅速かつ効率的に有用なiPSCの集団を誘導して評価する強力な方法が提供される。

0006

非破壊的かつ非侵襲的な方法で多能性を識別するためのスケーラブルかつ立証可能な方法が、体細胞からの希少iPSCの誘導にとって、または細胞治療用の多数のhESCコロニーの品質管理にとって理想的であろう。現在、ヒトhESCを分類する方法は、訓練を受けた顕微鏡使用者による生細胞目視検査、または生化学的もしくは免疫化学的染色に限られている。明視野顕微鏡法または位相差顕微鏡法を用いた目視観察は非侵襲的であるが、時間がかかり、非定量的であり、治療または商業的環境で期待される大量の細胞のために規模を拡大することができない。同様に、hESCの生化学的染色は、一貫性があり、定量的であり、かつ自動化可能であるが、この生化学的染色は、破壊的であり、サンプルが治療用途に適さなくなる(Sammakら、2008)。生細胞蛍光マーカーは、新生iPSCコロニーを認識するために使用することができるが(Chanら、2009)、このようなマーカーは、侵襲的であり、かつ時間と共に染料が減少するために動態アッセイに用途が限定される細胞外または膜永久染料を添加する必要がある。さらに、このような染料を検出するための蛍光染料および方法は、光受容細胞を損傷することがある。さらに、正確な品質管理は、細胞の形態の均質性尺度が必要であり、これは、非常に多数の細胞培養プレートに対して視覚的に行うのはほぼ不可能である。対照的に、形態学的測定は、細胞多能性または細胞分化終点指標として役立ち、細胞の実験作用物質リアルタイムの測定を可能にする。

課題を解決するための手段

0007

本発明は、人工多能性幹細胞を識別するための改善された方法を提供する。iPSCを識別するこのような改善された方法は、例えば、iPSCを最終分化および/または部分分化細胞から区別するため;iPSCを体細胞から誘導する方法を評価および最適化するため;化合物スクリーニングを容易にするため;および細胞の分化の状態を調節するための方法および技術の理解を容易にするために使用することができる。本明細書に記載される画像化および他の識別方法の様々な特徴および実施形態を組み合わせることができる。さらに、特徴のあらゆる組み合わせを含むこれらの方法は、多能性細胞を誘導する、および/または多能性細胞の分化状態を調節する他の1つ以上の方法と組み合わせることができる。

0008

本発明の一態様は、人工多能性幹細胞を識別する方法であって、(a)1つ以上の細胞の画像を得るステップと、(b)この画像を多数のピクセルとして表すステップと、(c)プロセッサーを使用して、前記多数のピクセルから1つ以上の画像の特徴を抽出するステップと、(d)この1つ以上の画像の特徴を、1つ以上の多能性幹細胞から得た画像の特徴と比較するステップと、を含み、このプロセッサーが、1つ以上の統計的比較法を行って画像の特徴を比較し;これにより人工多能性幹細胞を識別する、方法を提供する。

0009

この方法の一実施形態では、1つ以上の細胞は、細胞のコロニーである。この方法はまた、1つの細胞の核、または1つ以上の細胞を含む画像を特徴付けることもできる。一部の実施形態では、多数のピクセルから抽出された画像の特徴は、テクスチャーであり、このテクスチャーは、細胞の形態学的構造と対応する。一部の実施形態では、テクスチャーは、不均質である。

0010

別の実施形態では、この方法は、(e)前記画像の平滑化セグメント化を同時に行うステップと、(f)前記細胞の1つ以上の境界画定するステップと、(g)前記1つ以上の境界に近接した領域または小領域を識別するステップと、(h)領域または小領域の1つ以上の属性を得るステップと、(i)前記1つ以上の属性における変動を分析するステップと、をさらに含み;前記1つ以上の画像の特徴が、前記1つ以上の属性の成分を含む。一部の実施形態では、1つ以上の画像の特徴は、ウェーブレット分解アルゴリズムを用いて抽出される。さらなる実施形態では、このウェーブレットアルゴリズムは、1レベル当たり3つの詳細サブバンドを生成するn−レベル分解である。なおさらなる実施形態では、1レベル当たりの3つの詳細サブバンドのそれぞれは、水平方向、垂直方向、および対角線方向である。

0011

この方法のさらに別の実施形態では、1つ以上の統計的方法が、確率密度関数の比較である。さらなる実施形態では、1つ以上の画像の1つ以上の領域は、クラスター化アルゴリズムを用いて分類され、例示的なクラスター化アルゴリズムは、k−最近傍(kNN)アルゴリズムおよびサポートベクターマシンSVM)から選択される。一部の実施形態では、1つ以上の画像の特徴間の相違は、pdf推定量を用いて計算され、情報ダイバージェンスを用いて定量される。他の実施形態では、相違は、カルバックライブラーダイバージェンス(KLD)を用いて計算される。注目すべきは、一部の実施形態は、一般化ガウス密度モデル(GGD);対称α安定(SαS)密度モデル;Ahmad−Lin(A−L)KLD推定:およびLoftsgaarden−Quesenberry(L−Q)KLD推定から選択される、pdfおよびKLDを推定する方法を用いる。

0012

この方法のなお別の実施形態では、人工多能性幹細胞は、細胞の不均質な混合物に含められる。一部の実施形態は、1つ以上の細胞の画像を1つ以上のウインドウに細分するステップをさらに含む。さらなる実施形態では、1つ以上のウインドウは、分類され、細分され、そして再分類される。さらなる実施形態では、多能性細胞は、フィーダー細胞から分化する。

0013

本発明の別の態様は、人工多能性幹細胞(iPSC)を作製する方法であって:(a)線維芽細胞(または他の体細胞)を培養するステップと;(b)この線維芽細胞(または他の体細胞)を1つ以上の転写因子でトランスフェクトするステップと;(c)1つ以上のエピジェネティック制御因子活性を低下させるステップと、を含み;この線維芽細胞(または他の体細胞)が多能性幹細胞になるように誘導する、方法を提供する。本発明の態様は、本明細書に記載されるどの画像化法検出法、および定量法とも組み合わせることができることに留意されたい。

0014

本発明の一部の実施形態では、1つ以上の転写因子が、体細胞でのみ発現されるサイレント化遺伝子にスイッチを入れる。他の実施形態では、1つ以上の転写因子は、Oct4、Sox2(MKOS)、KLF4、およびcMycである。さらなる実施形態では、1つ以上のエピジェネティック制御因子は、ヒストンの調節またはクロマチン凝縮に関連する。なお他の実施形態では、1つ以上のエピジェネティック制御因子は、メチル−CpG結合ドメインタンパク質ヒストンデアセチラーゼ、およびDNAメチルトランスフェラーゼである。一部の実施形態では、ヒストンデアセチラーゼである。一部の実施形態では、ヒストンデアセチラーゼは、HDAC1および/またはHDAC2であり、かつ/またはDNAメチルトランスフェラーゼは、DNMT1、DNMT3a、および/またはDNMT3bである。

0015

この方法の他の実施形態では、1つ以上のエピジェネティック制御因子の活性を、RNAiによって低下させる。一部の実施形態では、RNAiはshRNAである。他の実施形態では、shRNAは、レンチウイルスで発現される。さらなる実施形態では、レンチウイルスは、ドキシサイクリンによって誘導される。

0016

この方法のさらなる実施形態では、薬物の添加により、1つ以上のエピジェネティック制御因子の活性を低下させる。一部の実施形態では、薬物は、バルプロ酸酪酸塩、またはトリコスタチンA(TSA)である。さらなる実施形態では、線維芽細胞は、フィーダーなし培養培地で培養される。

0017

本願は特定の実施形態において例えば以下の項目を提供する:
(項目1)
人工多能性幹細胞を識別するための方法であって、該方法は:
(a)1つ以上の細胞の画像を得るステップと、
(b)該画像を多数のピクセルとして表すステップと、
(c)プロセッサーを使用して、該多数のピクセルから1つ以上の画像の特徴を抽出するステップと、
(d)該1つ以上の画像の特徴を、1つ以上の多能性幹細胞から得た画像の特徴と比較するステップと、を含み、該プロセッサーが、1つ以上の統計的比較法を行って該画像の特徴を比較し、これにより人工多能性幹細胞を識別する、方法。
(項目2)
前記1つ以上の細胞が、細胞のコロニーである、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記画像が、1つの細胞の核を含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記画像の特徴がテクスチャーである、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記テクスチャーが、前記細胞の形態学的構造と対応している、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記テクスチャーが不均質である、項目4に記載の方法。
(項目7)
(e)前記画像の平滑化とセグメント化を同時に行うステップと、
(f)前記細胞の1つ以上の境界を決定するステップと、
(g)該1つ以上の境界に近接した領域または小領域を特定するステップと、
(h)領域または小領域の1つ以上の属性を得るステップと、
(i)該1つ以上の属性における変動を分析するステップと、をさらに含み、
該1つ以上の画像の特徴が、該1つ以上の属性の成分を含む、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記1つ以上の画像の特徴が、ウェーブレット分解アルゴリズムを用いて抽出される、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記ウェーブレットアルゴリズムが、1レベル当たり3つの詳細サブバンドを生成するn−レベル分解である、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記1レベル当たり3つの詳細サブバンドのそれぞれが、水平方向、垂直方向、および対角線方向である、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記1つ以上の統計的比較法が、確率密度関数の比較である、項目1に記載の方法。
(項目12)
前記1つ以上の画像の1つ以上の領域が、クラスター化アルゴリズムを用いて分類される、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記クラスター化アルゴリズムが、k−最近傍(kNN)アルゴリズムおよびサポート・ベクター・マシン(SVM)から選択される、項目11に記載の方法。
(項目14)
前記1つ以上の画像の特徴間の相違が、pdf推定量を用いて計算され、情報ダイバージェンスを用いて定量される、項目12に記載の方法。
(項目15)
相違が、カルバック−ライブラーダイバージェンス(KLD)を用いて計算される、項目14に記載の方法。
(項目16)
pdfおよびKLDを推定するために使用される方法が、一般化ガウス密度モデル(GGD);対称なα安定(SαS)密度モデル;Ahmad−Lin(A−L)KLD推定:およびLoftsgaarden−Quesenberry(L−Q)KLD推定から選択される、項目14に記載の方法。
(項目17)
前記人工多能性幹細胞が、細胞の不均質な混合物に含まれている、項目1に記載の方法。
(項目18)
前記1つ以上の細胞の画像を1つ以上のウインドウに細分するステップをさらに含む、項目13に記載の方法。
(項目19)
前記1つ以上のウインドウが、分類され、細分され、そして再分類される、項目14に記載の方法。
(項目20)
多能性細胞が、フィーダー細胞から分化する、項目13に記載の方法。
本開示は、上記の態様および実施形態のあらゆる組み合わせ、ならびに以下の詳細な説明および実施例に記載されるあらゆる実施形態との組み合わせも企図する。

0018

本特許または本願は、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラーの図面(複数可)を含む本特許または本願のコピーは、必要な手数料を添えて特許申請すれば得られる。

図面の簡単な説明

0019

図1は、どのようにヒストンおよびDNAのエピジェネティック修飾が、オープンユークロマチンを凝縮へテロクロマチンに変換するかを例示している。この多段階プロセスは、ヒストンの脱アセチル化(複数のHDACによる)、ならびにシトシンにおけるヒストン(メチルトランスフェラーゼ、HMTが特にH3リシン9および27を標的にする)およびDNAのメチル化(DNAメチルトランスフェラーゼによる)を含む、クロマチンのいくつかの酵素による翻訳後修飾の調整を必要とする。この図面は(Eggerら、2004)からである。
図2は、エピジェネティック酵素が、分化細胞中のヘテロクロマチンに結合した複合体に見られることを示している。研究により、HDAC1、HDAC2、SUV39H1、およびDNMT3bが、ヘテロクロマチンに結合してH3K9および5’Mec(右)をメチル化する、体細胞(右)中の複合体に会合することを示している。結合定数は、酵素によって異なる。多能性細胞では、我々の予備的な免疫蛍光データ(下)は、酵素が密に結合しないこと(左)を示している。
図3は、存在するiPSCコロニーおよびhESCコロニーの識別を示している。(A)細胞外マトリックスタンパク質の外側に300を超える細胞を含む、樹立された成熟iPSCコロニー。(B)画像の外部が赤色でマークされ、多能性コロニーが青色でマークされたコロニーのコンピューター画像解析。多重解像度テクスチャーアルゴリズムを適用して結果を得た。(C)同様のアルゴリズムも、フィーダー由来の新生iPSCに類似した状況である、継代の24時間後のフィーダー上で成長した非常に小さいコロニーの30のhESCを識別することができる。(D)周囲のフィーダーとのコロニーの判別
図4は、新生iPSCを例示している。左のパネルは、MKOS転写因子でのトランスフェクションから0時間後、23時間後、および59時間後の明視野画像である。右のパネルでは、rtTA−IRES−GFPノッキングが、59時間後にiPSCを新たに形成するが、それ以前は確実ではないことを明らかにしている。
図5は、微速度撮影解析の例を示している。(A−E)カラーオーバーレイ青色(t=0分)、緑色(t=1分)、および赤色(t=2分)による単一共焦点スライスに示されているGFP−H2B標識核。多能性核(A、B)は、分化(C、D)またはコントロール体細胞内皮核(E)と比較するとよりカラーであることを示している。定量テクスチャー解析(2行目、F)は、核(カラーの正方形)について示され、それぞれの正方形が10分間隔の10の画像を含む。カラーバーは、テクスチャー(M1〜M4)間のカルバック−ライブラー(K−L)ダイバージェンス(青色:最小距離、赤色:最大距離)の測度である。多能性核(A、B)は、大きいK−Lダイバージェンス(赤色)および(F)の黄色の体細胞核(E)とは異なっている。体細胞Eからの距離は、細胞が分化するにつれて減少する。
図6は、幹細胞クロマチンに適用された分類スキーム性能評価を実証している。曲線は、部分的または完全に分化した核からの多能性核の識別の偽陽性の確率に対する正確な識別の確率を表している。赤色の曲線は、最大偽陽性確率が0.003の場合に0.99の確率で多能性核(A)を体細胞(D)から正確に識別できること示している。2日目の分化核(B、青色の曲線)と比較すると、トレードオフは、0.96対0.02である。5週間目の分化核(C、黒色の曲線)では、トレードオフは、0.094対0.02である。
図7は、マトリックスエッジ(Matrix Edge)概念を例示している。(a)四角形ノイズのない画像、従来のセグメント化で処理(c1)された、(b)空間的に変化する強力なノイズ(四角形の左上の角のノイズが、他の角よりも強い)によって妨害された画像、エッジは、(c2)局所平滑化が行われる近傍が、サイズのみを局所的に変更するためぼやけているが、(d1)マトリックスエッジセグメント化では、エッジは、サイズに加えて、局所近傍の形状および向きを変更できるため(d2)、大幅に改善されている。
図8は、マトリックスエッジおよびオニオンピーリング(Onion Peeling)の幹細胞核への適用を示している。多能性核(上)および分化核(下)の(a)生の入力(左の列)、平滑化(中間)、およびエッジフィールド(右)出力画像。マトリックス・エッジ・フィールド出力(右の列)は、空間的に変化する細部が多い。エッジフィールド画像の層は、(b)タマネギの皮をむくように抽出され、(c)多能性核(上の曲線)と分化核(下の曲線)で値が異なる数値の特徴を抽出するように定量される
図9は、幹細胞核を示している。(a)核のセグメント化、青色の輪郭が、識別された核領域を示している;(b)正規化された画像、最も明るい領域が右下であることに留意されたい;(c)内部ウインドウの位置が、各分解レベルの中心にあり、赤色が、レベル3の内部ウインドウであり、オレンジ色が、レベル2であり、緑色が、レベル1である;(d)第3の水平サブバンドにおける係数分布のParzen推定対GGD推定。
図10は、H3K9me3およびHDAC1の抗原回収が、免疫検出均一性を改善することを示している。分化中のクロマチン再構成を、免疫蛍光によってhESCコロニーで評価した。HeLaおよびMEFを含むコントロール細胞での観察により、PFA固定またはMeOH固定を用いたヘテロクロマチン抗体での一貫性のない染色を実証した。一貫性のない抗体染色は、すべての細胞が洗剤で抽出され、他の核タンパク質、例えば、転写因子(不図示)を染色することができるため、抗体の一貫性のない浸透によるものではない。様々な固定後の抗原回収条件下で、H3K9me3(緑色)の免疫染色およびHDAC1(赤色)染色を評価した。最適なHDAC染色は、95℃のクエン酸塩、pH6.0、30分(著作権)で得られたが、この条件は、H3K9me3の弱い免疫染色をもたらした。H3K9me3の確実な染色がすべての細胞ではなかったため、良好であるが準最適のH3K9me3染色を、室温のクエン酸塩、pH7.4、5分で観察した。両方の抗原染色の優れた一貫性が、アルカリ条件(C)によって、または冷メタノールでのパラホルムアルデヒド処理後(D)得られた。メタノールは、アルカリ条件よりもやや優れている。これらの方法は、ほぼ100%の陽性抗原染色および低い細胞質バックグラウンド染色で、H3K9−3Me、H3K9ac、HDAC1、HDAC2、Crest、Oct−4、ネスチン、HP1α、HP1βを含む、これまで研究したすべての抗体に対して一貫性のある染色を可能にする。
図11は、適応ウインドウイングおよびテクスチャー解析を示している。(a)3段階テクスチャー分類の概念的なフローチャート。(b)〜(e)初期分化核のテクスチャー解析。(b)dの第1の垂直サブバンドにおける係数分布のParzen推定対GGD推定;(c)核のセグメント化、青色の輪郭は、識別された核領域を示している;(d)正規化画像、最も明るい領域は、右下であることに留意されたい;(e)各分解レベルで選択されたモデル化係数、赤色は、レベル4の係数であり、オレンジ色は、レベル3の係数であり、黄色は、レベル2の係数であり、シアンは、レベル1の係数であり;青色は、細胞の内部であるが、レベル1の外側である;濃い青色は、細胞の外部である。(f)〜(g)は、(c)〜(d)と同様であるが、多能性細胞用である。
図12は、多能性細胞マーカーおよび初期分化細胞マーカーを例示している。Oct4は、通常密度のフィーダー(A〜C)で成長したコロニーにおいて、転写因子、Hnf3b(A)、Nanog(B)、およびFoxd3(C)を含む多能性の追加のマーカーと共に核に共局在化する。低密度フィーダー(D)では、Oct4が存在せず、栄養外胚葉マーカー、Cdx2が、希少細胞に存在する。hESCを我々の低密度フィーダーで分化させるときは、神経外胚葉系譜が好ましい。
図13は、多能性系譜の初期発生段階の分子確認のための多能性パネルを例示している。2つの標準的な条件下−フィーダー上(DSR中およびゼラチン上)およびフィーダーなしの条件(StemPro中およびGeltrex(マトリゲル)上)でのH7の成長は、様々なレベルの多能性のマーカー、特にOct、Sox2、HNF3b、FoxD3、およびRex1を示している。特にRex1は、ICM様細胞のマーカー(StemPro、B)であり、FGF5Rは、着床後の胚盤葉上層の特性である(フィーダー+DSR、C)。ICMおよび胚盤葉上層は共に、多能性である。
図14は、核分類およびKLD最近傍分類を示している。クラス1(変形している多能性核):画像1〜11、クラス2(移行している多能性核):12〜22、クラス3(流動している2日目の分化核):23〜33、クラス4(ゲル様の5週間目の分化核):34〜43、クラス5(静止内皮細胞):44〜53。y軸上のそれぞれの核の画像では、5つの最近傍(最も低い合計KLD)は、x軸に沿った白色の正方形によって示されている。
図15は、多能性hESCコロニーの画像と分化栄養外胚葉コロニーの画像の形態学的比較を示している。多能性hESC培養物、系WA07(a、d、g、i)を、100ng/ml BMP4を用いた培養で、in vitroで4日間分化したhESC(b、e、h、j)と比較した。形成された扁平上皮単層は、栄養外胚葉であり、胚盤胞外殻に見られ、胎盤を形成する。固定されたコロニーを、DNA染色、Hoechst33342(a、b)ならびに多能性マーカーOCT4(d)および栄養外胚葉マーカー、CDX2(e)に対する抗体で染色した。広がるコロニーの特性である形態学的相違には、細胞の増加(c)および核のサイズ(f)が含まれる。4つのコロニーのHoechst画像を、核のサイズ、およびコロニーの面積当たりの核の数(平均細胞面積)について解析し、多能性コロニーの形態と栄養外胚葉コロニーの形態との間の相違が有意であり、スチューデントt検定によるとp<0.05であった。固定されずに(a〜f)で行われたように免疫染色された生細胞(g、h)のコロニーの形態は、画像の空間周波数分布(i、j)によって得られる。(g、h)における1mmの白色の線に沿った1Dラインプロフィールは、核のサイズおよび細胞のサイズの両方に依存するコロニー形態の統合測度となる。空間周波数は、TEコロニーよりも多能性コロニーで高く、画像テクスチャーのウェーブレット解析、一般化2D、マルチスカラー測度を用いてより完全に測定することができる。(e)のバーは、100μmであり、(g)および(h)のバーは、1,128μmである。(i)および(j)におけるラインスキャンの3つの詳細サブバンドの経験的確率密度関数(k〜l)は、空間周波数の概念を定量する。第2(k)のサブバンドおよび第3(l)のサブバンド(それぞれ、スケールが22および23ピクセル)では、多能性密度における厚い分布および広い裾は、より小さいスケールで比較的縁が多いことを示し、したがって多能性画像では、細胞の数が多くて細胞が小さい。この状態は、第6(k)の詳細サブバンド(スケールが26=64ピクセル)で逆転し、これは、多能性幹細胞および分化幹細胞(それぞれ、69±30ピクセルおよび82±40ピクセル、平均±SD、5つの独立したコロニー中に400細胞)のほぼ平均直径のスケールである。
図16は、核の分類を示している。(a)KLD最近傍分類。クラス1(初期分化核):画像1〜25、クラス2(多能性核):26〜53。y軸上の各核の画像では、10の最近傍(最も低い合計KLD)は、x軸に沿った白色の正方形によって示されている;(c)〜(d)変動するウェーブレットおよびpdf/KLD推定量のための2つおよび3つの分解レベルでの分類確度;分類確度は、分解レベルの数およびウェーブレットの選択に対して高いロバスト性であり、パラメトリック(GGD、SαS)法は、ノンパラメトリック(A−L、L−Q)法に匹敵する確度を示す。
図17は、hESCコロニーの分類を例示している。(a)2つのウインドウ間統計的相違測度(KLD)を、青色(類似)から赤色(相違)のマトリックスの各入口の色によって可視化する;したがって、対角線の要素はそれぞれ、各ウインドウがそれ自体テクスチャー的に同一であるため、濃い青色であり、類似のモデルを含むクラスは、対角線に沿った青みがかったブロックとして現れる;(b)多能性hESCコロニーのウインドウごとの分類;3つのパスを使用して元の画像を分類し、中間結果が、分類および境界検出段階の後に示される;青色が多能性であり、緑色が分化であり、赤色が外部であり、金色未知である;(c)多能性から明確に区別された分化コロニー;(d)分類子パラメーターの変化に対するアルゴリズムのロバスト性;(d〜i)は、一定ウェーブレット(Daubechies−4)、分類子パラメーター(k、kn)は変動する;青色が多能性であり、緑色が分化であり、赤色が外部である;バーは、90%信頼区間の範囲を示し、菱形は、確度の最大事後(MAP推定値である;(d−ii)は多能性であり、(d−iii)は分化であり、(d−iv)は外部であり、これらは、一定の分類子パラメーター(k、kn)=(7、5)および変動するウェーブレットを有する;(e)GGDモデルとSαSモデルとの間の比較、Daubechies−4ウェーブレット、(k、kn)=(7、5);性能は、ウェーブレットの選択、分類子パラメーターに対してロバストである;GGD性能は、SαS性能と同等以上である。
図18は、多能性hESC(A、B)、2日目の分化hESC(C)、および5週間目の分化hESC(D)、およびコントロール完全分化内皮細胞(E)由来のGFP−H2B標識された核の共焦点画像を示している;クロマチンの粒度は、分化中に増加し、コントロール細胞に近づく。各カラー画像は、0分(青色)、5分(緑色)、および10分(赤色)における画像のオーバーレイである。カラーバーは、核が時間と共に変化するか(多能性細胞で明るい色)、または時間と共に変化しないか(分化細胞でグレー)を視覚的に示す。Aのバーは10μmである。
図19は、パラメトリックアプローチ対ノンパラメトリックアプローチを示している。合計KLDは、細胞11(クラス1の一部)とクラス1および2との間の相違を示している。クラス1:画像1〜11、クラス2:12〜22。GGD統計モデルは上であり;Parzenは下である。Parzenの改善されたクラス分けに留意されたい。
図20は、さらなる適用例を示している。(a、b)混合された自然分化幹細胞コロニー(系UC06)についての概念の証明(a)分化上皮細胞(シアン、ライブラリーウインドウ1〜4)、色の濃い分化細胞(紫色、ライブラリーウインドウ5〜8)、外部フィーダー細胞(オレンジ色、ライブラリーウインドウ9〜16)、および多能性細胞(淡青色、ライブラリーウインドウ17〜20)を示し、バーは100μmである;多能性細胞は、(b)に示されているようなKLDが6の他のテクスチャーから区別することができ、KLDプロットは、混合画像(a)の対応する色の付いた領域についてのプロットである。(c、d)では、廃棄されたアカゲザル由来の分裂中期II卵子を、ホフマンモジュレーションコントラスト対物レンズで40倍で撮影し、環境室(c)内で10時間観察した。CO2を5%から大気濃度まで減少させて、フレーム30の前にpHを変更した。この卵子は、閉鎖性となり、細胞質の粒度が、卵子が死ぬにつれて細かい粒度から粗い粒度に変化した。KLDを、各フレームと最初のフレーム(青色の曲線、生きた卵子)および最後のフレーム(赤色の曲線、死んだ卵子)との間で計算した。最初は、青色の曲線が低い一方、赤色の曲線が高く、それぞれ、健常な細胞に対するテクスチャー類似性および死んだ細胞に対する相違性を示している;この変化は、卵子が損傷したフレーム30で始まっている。
図21は、継代後の小さいhESCコロニーが新生iPSCに類似しているように見えることを例示している。コロニーは、4×および10×のそれぞれで、3日目(C、F)に容易に検出可能である。しかしながら、1日目は、コロニーは、4×(A)ではなく10×(D)のみで区別される。したがって、新生iPSCの検出のための2つの変数は、形成後の時間ならびに画像検出のスケールおよび解像度である。4×の視野は、2mm×3mmである。
図22は、存在するiPSCコロニーおよびhESCコロニーの識別を実証している。(A)細胞外マトリックスタンパク質の外側に300を超える細胞を含む、樹立された成熟iPSCコロニー。(B)画像の外部が赤色でマークされ、多能性コロニーが青色でマークされたコロニーのコンピューター画像解析。多解像度テクスチャーアルゴリズムが、結果を得るために適用された。(C)同様のアルゴリズムも、フィーダー由来の新生iPSCに類似した状況である、継代の24時間後のフィーダー上で成長した非常に小さいコロニーの30のhESCを識別することができる。(D)周囲のフィーダーとのコロニーの判別。
図23は、mESCコロニーの成長および死の明視野微速度撮影を示している。高い倍率では、細胞の成長および死は、分化の特性である形態変化に加えて、細胞ごとに測定することができる。マウス胚性幹細胞(mESC)の分裂および死は、コロニーの拡大中に高周波数で起こる。接着mESC細胞の小さいコロニーを、微速度撮影ホフマン・モジュレーション・コントラスト顕微鏡法によって41時間、観察した。丸い細胞の分裂を観察できる34分の抜粋が、上に示されている。有糸分裂細胞染色体凝縮から中央体形成への移行は、迅速に進行した(28±7分、n=29、5回の6時間の微速度撮影のうち)。分裂および細胞死のデータを、上記の棒グラフに6時間間隔で記録した。細胞の総数は、培養培地が消耗するまで35時間、増加した。有糸分裂指数は、11〜36%と高かったが、死亡率も高く、コロニーの拡大を制限する。細胞死の大部分は、分裂終期の直後に起きた。
図24は、どのように分化中にユークロマチンマーカーが分離し、ヘテロクロマチンマーカーが同時発生するかを例示している。クロマチンマーカー(緑色または赤色)は、オーバーレイが黄色を生成する場合は共局在化している。共焦点チャンネルは、各チャンネル蛍光が等しくなるように調整した。DNAは、すべての図面で青色である。(A〜C)ヘテロクロマチンマーカー(H3K9me3およびH3K27me3)は、多能性細胞ではオーバーラップしないが、神経幹細胞および内皮細胞ではオーバーラップが増加する。(D〜F)ユークロマチンマーカーH3K9AchおよびH3K4me2は、分化中にオーバーラップが減少する。(G〜I)ユークロマチンマーカーとヘテロクロマチンマーカーはオーバーラップしない。多能性幹細胞は、分化細胞とは異なるヒストン翻訳後マーカーの構成を示す。ヘテロクロマチンの様々なマーカー(H3K9me3緑色およびH3K27me3赤色、図C5、A〜C)は、多能性細胞では異なる分布を有するが、神経分化細胞および体細胞ではより共局在化(黄色)している。逆に、ユークロマチン(H3K9ac、緑色、およびH3K4me2、赤色、図C5、D〜E)のマーカーは、多能性細胞でより共局在化している。ユークロマチンマーカーおよびヘテロクロマチンマーカーは、すべての段階で空間的に異なる(図C5、G〜I)。
図25は、Oct4のウエスタンブロット解析およびH3K9の修飾を示している。フィーダー上の細胞は、フィーダーなしの条件、馴化DSR培地およびmTeSRよりも低いレベルのOct4(黒色)およびH3K9acを有する。H3K9meのレベルは、フィーダーまたはフィーダー馴化培地上のhESCで、またはマトリゲル上のmTeSR中のhESCで高い。
図26は、iPSCクロマチンがhESCクロマチンに類似していることを示している。(A)H3K9ac(赤色)の分布は、核全体に拡散し、H3K9me3は、hESC(図6)と同様に、大きい染色中心(緑色)に局在化する。(B)iPSCの50%は、hESC(不図示)と同様にS期(緑色、EdU、デオキシウリジン類似体)にある。
図27は、どのようにiPSCの溶解が、hESCと同様にヒストンH2Bを除去するかを例示している。非溶解(A)iPSCおよび溶解(B)iPSCは、H2B(赤色)が大幅に減少するが、DNA(Hoechst、青色)、およびS期の細胞(緑色)に最近取り込まれたEdUヌクレオチド識別可能な減少が一切ないことを示している。細胞を、Ca2+を含まない緩衝液中で、0℃で5分間抽出した。同様の結果が、hESCで得られた(不図示)。抽出は、FRAP補完するヒストン交換の尺度である。
図28は、どのようにDNAメチルトランスフェラーゼおよびヒストンデアセチラーゼが、神経分化時に発現および位置を変更するかを示している。DNMT3b(A)およびDNMT3a(B)(赤色の核、右上)は、Oct4を発現する多能性hESC(緑色、右上)に存在するが、分化hESC(Hoechst、青色の核、左下)には存在しない。HDAC1(赤色)は、DNA(青色)およびOct4(緑色)のレベルと比較すると、多能性hESCで非常に様々なレベルで存在する(C)。(D)HDAC1、HDAC2、およびDNAの比率も、多能性細胞(右上、D)における位置によって様々であるが、分化細胞(左下、D)の核を除くと、核全体で一定である。多能性細胞におけるDNMTの存在にもかかわらず、活性は、5’meシトシンの低レベルによって示されているように低い(E)。また、HDAC1選択標的、H2BK5は、多能性hESC(F、右上)でなおアセチル化されているが、hESCおよびmESCの多能性および分化培養物中での一定レベルのHDACの発現にもかかわらず、神経系譜(F、左下)ではアセチル化されていない(G〜I)。Dのバーは、10μmである。
図29は、hESCにおけるshRNA HDAC1のノックダウンが、毒作用のない最大濃度の1nMTSAと同様に有効であることを実証している。Bの細胞は、レトロウイルスSM骨格内のOpen Biosystems HDAC1shRNAmirでヌクレオフェクト(核導入)した。細胞を、pMAXGFPを用いて同時トランスフェクトし、70〜80%の細胞がGFPを発現した。ヌクレオフェクション(核導入)の3日後に、コントロールコロニーを、細胞質GFPの欠損によって識別する一方(A)、pSM2 HDAC1bのトランスフェクションを、細胞質GFPを含む小さいコロニー内で同定した(B)。核HDAC1染色(赤色)の定量測定が、(D)のグラフに示されており、HDAC1ノックダウンが、1nM TSAに相当するレベルまで、HDAC1染色を30分の1に低下させている。
図30は、どのようにHDAC1またはHDAC2のノックダウンが、BMP4のTE分化を48時間遅らせるかを例示している。HDAC1またはHDAC2のノックダウンは、パネル(バー、短い核間距離)に示されているように、上皮形態によって測定される上皮化を防止する。核間距離(バー、上のパネル)は、コントロール(−ノックダウン)で非常に有意であり、P<0.05である。
図31は、神経分化(1、多能性)、多能性hESC(2、初期分化)神経外胚葉、および(3、後期分化)神経ロゼットの3段階の特性を示している。hESC、系H7(a〜b)およびHSF6(c〜g)は、MEFフィーダー上で多能性条件(多能性、a)で、および低密度フィーダー上で分化条件(b〜g)で調製した。単層中の平坦な分化細胞が、1週間後に低密度線維芽細胞上のコロニーの縁で同定され(初期分化、b)、大きい多層コロニーの内部は、2〜4週間後にロゼットを形成した(後期分化、c)。多能性細胞は、Oct4に対して陽性であり、ネスチンに対して陰性であったが(a)、初期分化細胞は、ネスチンに対して陽性であり、低レベルのOct4を有し(b)、これは神経外胚葉の特性である。後期分化培養物では、神経幹細胞のロゼットは、コロニー(WGAで標識された細胞表面、赤色、およびHoechst、青色)の中心の厚い部分内で、NCAM染色(緑色)の複数の星状アレイによって示されているように、2〜4週間で一般的である(c)。分化コロニーのトルイジン青色染色されエポン包埋された厚い部分の明視野画像は、透明な中心内腔および細胞の放射状アレイ(矢印、d)を含む複数のロゼットを示している。ロゼットは、有糸分裂および間期核の放射状アレイを含む(e)。ロゼットのコアに、線毛突出部を含む透明なゾーンが見られる(ボックス、fの拡大)。内腔を取り囲んでいるこれらの細胞の頂点は、密な細胞膜の付着を示し、内腔に近接した細胞間空間に好濃性媒染剤を有する(f)。中間フィラメントの束および微小管が、コアから放射状に伸び中心小体が、内腔近傍の頂点に見られ(矢印)、これは、機能的に極性化された神経上皮の特性である(g)。bのバーは、10μmであり;cおよびdのバーは、100μmであり;fのバーは、2μmであり;gのバーは、1μmである。
図32は、クロマチン凝縮が、分化中の癒着によって増加することを示している。多能性hESC、系HSF−6は、初期分化段階と後期分化段階との間で次第に顆粒状になる均一で平滑なクロマチンをもつ核を有する。多能性(列a〜j)、初期分化(列b〜k)、および後期分化(列c〜l)コロニーは、電子顕微鏡法(d〜fは、a〜cのボックスの拡大である)および染料Yoyo−1(g〜i)を用いた光学顕微鏡法によって検出されるように顆粒状度の上昇を示している。多能性細胞では、均一で細かい顆粒状のクロマチンは、神経外胚葉では、光学顕微鏡法(g)による検出限界よりも大きい凝集体を有しておらず、クロマチンの細かい凝集体は、0.2μm分離された好濃性凝集体の癒着によって形成され、光学顕微鏡法(h)によって分解可能であり、神経ロゼット(f)のクロマチンの粗い凝集体は、光学顕微鏡法(i)によって大きい凝集体として検出可能である。Yoyo−1染色DNAの共焦点部分の折れ線グラフは、多能性細胞(j)で徐々に変動する強度(低空間周波数)、初期分化細胞(k)における高周波数、小さい振幅変動、および後期分化細胞(i)における長い周波数であるが大きい振幅変動を示している(グラフは、強度およびサイズについて均一な縮尺である)。aのバーは、0.5μmであり、dのバーは、0.125μmであり、g〜iの黄色のバーは、10μmである。
図33は、神経分化中のヘテロクロマチン凝縮のテクスチャー解析を示している。クロマチンテクスチャーは、画像における物体のサイズの2次元マルチスカラー測度であり、折れ線グラフで表される線形空間周波数の一般化である。多能性(a、d)、初期分化(b〜e)、および後期分化(c〜f)コロニーを、DNA用のYoyo1(緑色)で染色した。多能性細胞を、コムギ胚芽凝集素(a、d、赤色)でさらに染色して細胞およびコロニー表面を明らかにした。核の共焦点画像(d、e、fはそれぞれ、a、b、cの白色の長方形の拡大である)は、多能性細胞におけるクロマチンが、比較的平滑で、核にわたって強度が徐々に変動し、細かい顆粒状の低コントラストパターン(e)に漸進的に凝縮し、際立って明るいまたは暗い(f)大きい顆粒状の高コントラストドメインになることを示し、それぞれ、ヘテロクロマチンおよびユークロマチンの特性である。(P)における2次元の定量的マルチスカラーウェーブレット解析を、核の境界を除く各区分の10の細胞に対して行った。細胞の各対のテクスチャー係数間のカルバック−ライブラー距離報告する。自己類似性を表す対角線KL距離は、0に設定する(暗い青色)。相互比較は、細胞の各クラスが、高い自己類似性(青色)および高い交差クラス相違性(赤色)を有することを示している。細かい顆粒状の初期分化核は、多能性および後期分化細胞とは大きく異なる一方(赤色、KL距離>20)、多能性および後期分化細胞は、平均8.2のKL距離を有し、多能性細胞と初期分化細胞との間の大きいテクスチャーの相違を示している。発生中、高次クロマチン構成は、癒着により均一密度から、細かい顆粒状の低コントラストの形態を経て、ヘテロクロマチンおよびユークロマチンの特性である大きい顆粒状の高コントラスト凝集体になる。aおよびdのバーは、10μmである。
図34は、H3K9アセチル化における正味の変化のない分化中の動原体進行性のヒストンH3K9メチル化を示している。多能性コロニー(列a)および5日目の分化単層(列b)におけるHSF−6の共焦点部分を、ヒストンH3K9me3(赤色、a〜d)、動原体(CREST血清、緑色、a〜d)、H3K9ac(緑色、e〜h)、およびDNAの広視野画像(青色、Hoechst33342、a〜h)で免疫染色した。殆どの動原体スポットは、分化細胞(b、d)では動原体周辺のH3K9me3によって取り囲まれているが、多能性細胞(a、c)では取り囲まれていない。前中期細胞(c、d)では、一部の染色体上の動原体が、検出不可能なメチル化を示す一方(c)、初期分化細胞では、動原体間の間質性ゾーンが、ほぼすべての染色体でメチル化されている(挿入、c、d)。動原体は、すべての分化細胞ではなく一部の分化細胞の核周辺に会合しているが(b)、多能性細胞では稀である(a)。H3K9acのレベルは、分化後により顆粒状であるが、全体のレベルは変化しない(e〜h)。核H3K9me3の総数が、分化の2日後に4倍に増加するが、CREST染色の面積は一定である(i)。H3K9me3と共局在化した動原体の割合は、分化の2日後に44%から80%に増加している(j)。分化中のヒトhESCのH3およびH4のメチル化およびアセチル化(Oct4のレベルによって示される)を、ウエスタンブロット(k)によって検出した。4つの独立した実験についての平均、SD、およびP値が、l、mに示され、マウスおよびヒトESCにおけるメチル化の有意な増加を実証している(l)。ウエスタンブロット(k)によって測定されたアセチル化のレベルは、免疫染色細胞(e〜h)における強度測定によって一定であり、マウスESCでは減少しているが、ヒトESCでは減少していない(m)。dのバーは、5μmである。
図35は、hESC分化中のヘテロクロマチンの形成が、シトシンにおけるヒストンH3K9およびDNAのメチル化、ならびに凝縮の増加を含むことを実証する。メチル化ヒストンおよびDNAは、分化中に次第に共局在化する。hESC系HSF−6の最大投影、コントラストストレッチ画像(a、b)、および線形共焦点部分(c〜h)が、メチル化H3K9me3(赤色)および5meC(緑色)の染色で示されている。分化しているコロニーの縁(a)では、5meC(緑色)が、コロニーの外部のみで検出可能となり、特にそれぞれの核の周辺で上昇している。分化の10日後までは、メチル化DNAおよびヒストンが、スポットに同時に発生するが(白色、c〜h)、特に核周辺のDNAメチル化は、H3K9me3染色の領域に制限されていない(b)。間期(c、d、e)および有糸分裂(f、g、h)細胞は、H3K9me3(赤色)、5meC(緑色)、および閾値よりも高い共局在化(白色)と共に示されている。間期の核では、多能性細胞は、H3K9me3を含み、5meCは、コロニーの縁の細胞に現れ、最初に核周辺に現れ(d)、最後にH3K9me3と共局在化する(e)。有糸分裂細胞では、動原体のH3K9me3が、有意な5meCを伴わずに現れる(f)。コロニーの縁では、5meCは、遠位染色体アーム優先的に現れるが(g)、H3K9m3とのオーバーラップは、染色体の近位領域に制限されている。メチル化ヒストンおよびDNAは、分化細胞の染色体アーム全体に沿って共局在化する(h)。パネルA、Bに示されているコロニーの共焦点スライスにおけるメチル化ヒストンとメチル化DNAの連続的な相関が、DNAメチル化およびヒストンメチル化の強度のピクセルごとの分布を示す細胞蛍光図(cytofluorogram)(i)に示されている。多能性細胞は、殆どDNAのメチル化のない共局在化(左側、A)を示していない(K)。赤色の線(i)は、この分布の中央値を示している。初期分化細胞(右側、a)は、中央値を中心に広く分布し、部分共局在化を示しているが、後期分化細胞(b)は、中央値を中心に密に分布し、1:1の化学量論との高い相関性を示している(i)。ピアソン係数(白色のバー、j)は、分化中の相関性の強化を示している(T検定による平均、SD、およびP値が示されている)。Van Steenselの相互相関は、画像の1つの20ピクセルのシフトの後のピアソン係数であり、共分布の空間的シャープさを測定する。Van Steenselの係数(黒色のバー、j)は、分化中に増大し、これは、分化後の、拡散の少ないより粒子状の分布を示している。bおよびhのバーは、10μmである。
図36は、多能性hESCでのエピジェネティック酵素の発現を示している。多能性hESCでは、エピジェネティック酵素、DNMT1、3a、および3bは、タンパク質レベルを上昇させたが、分化が始まるまではDNAおよびヒストン基質での活性が低かった。hESC、系H7では、DNMT1、3a、および3b(赤色の核、それぞれa〜c)は、Oct4(緑色、a〜c)を発現する多能性hESC(各パネルの左側)には存在するが、分化hESC(各パネルの右側、Hoechst、青色の核)には存在しない。赤色チャンネル緑色チャンネル、および青色チャンネルで陽性の多能性核は、ふじ色で現れる。DNMT3bおよび3aは、多能性細胞(一定のふじ色の色合い)の中ではOct4強度にしたがうが、DNMT1は、Oct4に関係なく多能性細胞で様々に現れる(緑色から赤色の様々な色合い)。分化後のDNMTのレベルは、DNMT1(a、e)については明らかにバックグラウンドよりも高いが、DNMT3a(b、f)およびDNMT3b(c、g)についてはほぼ検出不可能である。多能性細胞におけるDNMTの存在にかかわらず、DNMTの産物(5meC)が、非常に低いレベルで存在し、コロニーの周辺の初期分化細胞のみで上昇した(d)。HSF6細胞中の5meCの定量化は、多能性段階から、初期分化段階、そして後期分化段階にかけての全DNAメチル化の漸進的増加を示している(h)。cのバーは、10μmである。dのバーは、100μmである。
図37は、神経分化中に、HDAC1および2の共局在化およびデアセチラーゼ活性は増加するが、タンパク質レベルは変化しないことを示している。HDAC1、HDAC2、およびDNAの比率は、多色多能性細胞核によって例示されているように異なる核ドメイン間で異なるが(a、b、Oct4陽性、不図示)、分化細胞では一定である(a、c)。細胞蛍光図は、HDAC1および2の分布が、多能性細胞では相関していないが、初期分化細胞ではより密接に相関する(f)。HDAC1の選択基質(H2BK5ac)は、多能性細胞ではアセチル化したままであるが、分化細胞では脱アセチル化される(e、g)。ウエスタンブロット(h)により、マウスESCおよびヒトESCにおいてHDAC1をプローブし、HDAC2を再プローブし、多能性ESC(レーン1および2)および分化ESC(レーン3および4)のポンソーS染色を行った。HDAC1(i)およびHDAC2(j)の3つのサンプルの正規化平均およびSDは、マウスESCおよびヒトESCにおける多能性細胞と分化細胞との間で統計的に異なっていない。aおよびeのバーは、10μmである。
図38は、どのようにHP1βがH3K9me3と共に次第に共局在化し、有糸分裂染色体に結合し、そして分化細胞の溶解後に抽出しにくくなるかを実証している。多能性(a、d、c)hESC、H17は、拡散HP1β(a、赤色)を示すが、初期分化細胞は、HP1β(b)およびHP1α(c、赤色)の次第に局所的になる分布を示している。H3K9me3(d〜f、緑色)の分布は、拡散性かつ局所的であり、HP1βとの共局在化が、多能性および初期分化細胞(g、h、黄色および白色)における拡散H3K9me3と共に、ならびに初期分化細胞(b、白色)のみにおけるH3K9me3の局所スポットと共に起こる。HP1αは、Hp1βよりも、H3K9me3陽性染色体(c、i、薄い黄色および白色)との共局在化が少ない。強度分布の細胞蛍光図は、HP1βが低い化学量論での多能性細胞におけるH3K9me3との部分共局在化(中央値の線、赤色、j)、ほぼ1:1の化学量論での部分共局在化(中央値の線、赤色、k)を有し、HP1αは、殆どがノイズによる強度分布(原点近傍の低い強度、l)を有することを示す。ピアソンおよびVan Steenselの相関係数(m)は、H3K9me3が、HP1βと選択的に共局在化し、その分布が、初期分化細胞でよりシャープになること、およびHP1αが、H3K9me3と低い相関性を有することを示している。有糸分裂細胞では、HP1βは、細胞質分布を有し、多能性細胞の有糸分裂染色体に存在しないが(n)、初期分化細胞では、HP1βは、染色体に結合し、細胞質に存在しない(ob)。0.5%Tx−100での固定前の溶解は、多能性hESC(pc)からのHP1βの完全な抽出を示すが、初期分化細胞では見られない(q)。hESC系H7のウエスタンブロットレベルは、HP1αのレベルが、分化中にヒトESCでは変化しないが、マウスESCでは変化することを示している(r、t)。HP1γは、hESCで低レベルで発現する(s)。i(a〜i、p、q用)およびo(n、o用)のバーは、5μmである。
図39は、iPSC画像の適応ウインドウから得た結果を示している。表のそれぞれの四角形は、6つのコロニーのサンプルの2つコロニーを比較している。(a)〜(f)は、コロニー#1〜6に相当し、これらは、iPSCコロニーであり;(g)〜(h)は、コロニー#7〜8に相当し、これらは、分化コロニー(上半分および下半分)であり;(i)#9は、iPSCコロニー#4の小さいフラグメントである。(j)は、iPSCコロニー#9の係数マスクを示している。(k)は、iPSCコロニーおよび分化コロニーのKLDを例示している。コロニーの対が類似すればするほど、相違が小さくなる。コロニー#9とコロニー#1〜#6のすべてとの比較は、コロニー#9が、コロニー#7および#8よりもコロニー#1〜#6に近いことを示している。

0020

本発明のさらなる詳細の説明を続ける前に、特定の組成物またはプロセスのステップが変化し得るため、これらに本発明が限定されないことを理解されたい。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「ある(「a」および「an」)」および「その(「the」)」は、文脈で明確に他の意味を示さない限り、複数の指示物も含むことに留意されたい。

0021

特段の記載がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明に関連する技術分野の一般的な技術者が通常理解するのと同じ意味を有する。

0022

本願の方法は、人工多能性幹細胞を分化細胞から区別する形態学的特徴および他の分子の特性に基づいて、人工多能性幹細胞の識別に適用することができる。この方法は、統計的分類法、例えば、それぞれ参照によりその全容が本明細書に組み入れられる、米国特許第7,711,174号および米国特許出願第12/321,360号に開示されている方法を使用する。

0023

本願の方法は、例えば、iPSCの高スループット解析および識別の自動化された方法を提供することによって、再生医療の分野に広く適用することができる。本明細書に開示されるこの方法は、幹細胞コロニーおよび胚葉体高スループットの作製の自動化された分類にも適用することができる。例えば、幹細胞凝集体の分化状態の評価(Ungrinら、2008)は、in vivoで奇形腫に適用することができる(Bhagavatulaら、2010)。さらなる例として、ゼブラフィッシュ胚および他のを、薬物スクリーニングに使用することができる(Vogtら、2009)。開示される方法にしたがって自動化された非侵襲性幹細胞分類を使用して、特定の系譜の発生(Bushwayら、2006;Huangら、2008;Ichidaら、2009;Zong−Yunら、2010;Huangfuら、2008;Fazzioら、2008)に影響を及ぼす小分子のスクリーニングを向上させる他、幹細胞の発生(Seilerら、2004;Sinha、2005;Changら、2004)を阻害または促進する、あるいは特定の系譜、例えば、iPSCもしくはhESC(Cezar、2007)に由来する肝細胞(Garethら、2009)、心筋細胞、またはニューロン(Schrattenholzら、2007)に影響を与える化合物および薬物の毒性研究のツールを向上させることができる。

0024

画像をベースとする方法論は、hESCまたはiPSCの成長、維持、および解析にかかわる生物学者および臨床家の統計的および定量的支援として役立ち、非破壊的方法で多能性の程度を自動的に評価およびモニタリングする自動化された画像取得および解析の可能性を有している。定量的なテクスチャーをベースとする統計学は、適切な非侵襲性、非破壊的バイオマーカーである。本明細書に記載される方法は、再生医療の分野に広く適用することができ、例えば、ヒトを含むあらゆる種由来のあらゆる体細胞型からiPSCを識別し、そしてiPSCの作製および識別を最適化するために使用することができる。

0025

(人工多能性幹細胞の誘導)
iPSCの信頼性の高い集団の誘導が、疾患の細胞治療および処置に対するiPSCの可能性を明らかにする最初のステップである。本明細書に詳述される1つのアプローチは、多能性細胞に対する分化細胞の異なるエピジェネティック制御を利用する。一部の実施形態では、記載される方法にしたがったiPSCの誘導により、より効率的なiPSCの誘導がもたらされる、すなわちより迅速により多くのiPSCが得られ、しかも健常な細胞の取得および識別の確率が高い。

0026

iPSCは、現在は、分化細胞を脱分化またはリプログラミングして原始系譜へ戻すことよって多能性を誘導する4つの転写因子(cMyc、KLF4、Oct4、Sox2/MKOS)で体細胞を形質転換することによって作製される。細胞表現型のリプログラミングは、異所性の遺伝子発現の要求が一時的であるため、細胞の遺伝的同一性を変更する必要がない。さらに、一旦iPSCが作製されれば、細胞は、内在性遺伝子の発現に依存する。したがって、現在の方法を用いてリプログラミング中に生成される分化状態の変化は、遺伝子構造ではなく遺伝子発現の変化によって媒介される。

0027

一部の実施形態では、多能性に必要な長期サイレント化遺伝子を再発現する方法が、ヘテロクロマチンにある遺伝子の永続的なサイレンシングを逆転することによって発現に影響を及ぼすエピジェネティック機構によって達成される。一実施形態では、へテロクロマチンにおけるメチル化依存遺伝子のサイレンシングに影響を及ぼす酵素が操作される。他の実施形態では、遺伝子サイレンシングに関係する重要な分子が、リプログラミングのプロセスの改善に役立つ他の標的を識別するために操作される。上記のいずれか1つ以上を使用して、多能性細胞を作製する、例えば、体細胞からiPSCを作製することができる。さらに、本明細書に記載される画像化法および解析法を使用して、多能性状態に脱分化した細胞を識別する他、リアルタイムで脱分化の進行を追うことができる。上記の任意の一定の実施形態では、このような画像化法および解析法は、非破壊的かつ非侵襲的である。

0028

一部の実施形態では、線維芽細胞または他の体細胞のリプログラミングは、多能性細胞に見られる遺伝子を評価して、異所性遺伝子で細胞を形質転換することによって達成される。以前に、分化細胞に多能性を誘導するために必要な最小セットの4つの()転写因子が見出された(Okitaら、2007;Takahashiら、2006)。遺伝子を導入する1つの方法は、cMyc、Klf4、Oct4、およびSox2(MKOS)のウイルス導入(Takahashiら、2006;Parkら、2009;Parkら、2008)、またはOCT4、SOX2、NANOG、およびLIN28の導入(Yuら、2007)によるものである。異所性遺伝子は、ウイルス形質転換(Zengら、2009)によって、およびプラスミドトランスフェクション(Okitaら、2008)を含む非ウイルス法によって導入されるが、異所性遺伝子を導入することなく、可逆PiggyBacベクターPB−MKOS系(Zengら、2009;Okitaら、2008)および組換えタンパク質直接添加して多能性を誘導することができる(Zhouら、2009)。シグナル伝達活性を有する小分子(Marsonら、2008)またはエピジェネティックスを変更する小分子を使用して、リプログラミングに必要な異所性遺伝子の効率を上げる、または異所性遺伝子の数を少なくする(Fengら、2009;Shiら、2008)。環境の変化だけでも、線維芽細胞における内在性多能性マーカー(Pageら、2009)の発現を増加させるのに十分であり、これは、培地の組成が重要であり、リプログラミングのために培地の組成を最適化できることを示している。前記のいずれか1つ以上を使用して、多能性細胞を作製する、例えば、体細胞からiPSCを作製することができる。加えて、これらの方法の任意の組み合わせ(例えば、ウイルスを使用する転写因子の導入とエピジェネティックな特徴(複数可)の変更に基づいた方法)を使用して、多能性細胞を作製する、例えば、体細胞からiPSCを作製することができる。さらに、本明細書に記載される画像法および解析法を使用して、多能性状態に脱分化した細胞を識別する他、リアルタイムで脱分化の進行を追うことができる。上記の任意の一定の実施形態では、このような画像化法および解析法は、非破壊的かつ非侵襲的である。

0029

一部の実施形態では、バルプロ酸によるヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の阻害(Zhouら、2009)は、リプログラミングの効率を改善することができる。さらに、酪酸塩(butrate)またはトリコスタチンA(TSA)によるHDACの薬物阻害が、フィーダーまたは組換え成長因子とは無関係に、hESCにおける自己再生プログラムを活性化する(Wareら、2009)。より選択的な方法によるヒストンの脱アセチル化および続くメチル化の阻害(図1)が、リプログラミングとヘテロクロマチン安定性との間の相互接続を明らかにする。

0030

本願の一態様は、iPSCを作製する方法であって、線維芽細胞または他の体細胞を培養するステップと、この線維芽細胞(または他の細胞)を1つ以上の転写因子でトランスフェクトするステップと、1つ以上のエピジェネティック因子の活性を低下させるステップと、を含み、この線維芽細胞(または他の体細胞)が多能性幹細胞になるように導入する、方法を記載する。一部の実施形態では、エピジェネティック因子は、ヒストンの修飾、クロマチンの凝縮、および活性化因子またはリプレッサーへのアクセスに関係している。本明細書に記載される画像化法および解析法を使用して、多能性状態に脱分化した細胞を識別する他、リアルタイムで脱分化の進行を追うことができる。上記の任意の一定の実施形態では、このような画像化法および解析法は、非破壊的かつ非侵襲的である。

0031

遺伝子発現は、遺伝機構、エピジェネティック機構、および核機構の階層によって制御される(O’Brienら、2003;van Drielら、2003)。遺伝子サイレンシングは、核構造によって制御され、核構造は、ヒストンの修飾、クロマチンの凝縮、および活性化因子またはリプレッサーへのアクセスを制御する(Feuerbachら、2002;Caiら、2003;Teixeiraら、2002)。ヒストンH3リシン9(H3−K9)のメチル化(Grewalら、2003)およびヒストン変異体置換(Mizuguchiら、2004)によるヘテロクロマチン内のサイレンシングは、遺伝子不活化の重要な機構である(図2)。H3K9のメチル化は、凝縮されて動的に維持される(Cheutinら、2003)不活性なクロマチン(Pal−Bhadraら、2004;Cheutinら、2003)の広い近接部にヘテロクロマチンタンパク質1(HP1αおよびHP1β)をリクルートする。H3K27のメチル化は、促進性へテロクロマチンに関係している。H3K27のトリメチル化は、発現される遺伝子、発現の準備ができた遺伝子、または安定的に発現される遺伝子を識別する、したがって細胞の状態および系譜の可能性を反映する。リシン36のトリメチル化は、一次コーディング転写物および非コーディング転写物をマークし、遺伝子の注釈付けを容易にする。リシン4およびリシン9のトリメチル化は、インプリンティング制御領域をマークする(Mikkelsenら、2007)。H3K27およびH3K4のメチル化が、保存された非コーディング配列に2価として作用して、多能性細胞内のコーディング配列の発現を制御するという別の仮説も考えられた(Bernsteinら、2006)。クロマチンのリモデリングは、ヒストンの翻訳後修飾によってだけではなく、オープンクロマチン構造を制御し、かつ多能性を維持するChd1を含むクロマチンリモデリングタンパク質によって制御される(Gaspar−Maiaら、2009)。

0032

哺乳動物の発生に不可欠なシトシン残基のDNAメチル化は、遺伝子サイレンシングにかかわる別の十分に研究されたエピジェネティック機構である(Bird、2002)。DNAのメチル化は、メチル−CpG結合ドメインタンパク質(MBD)のリクルートによってある程度は遺伝子を抑制し、MBDは、クロマチン構造に影響を与える複数のタンパク質リプレッサー複合体を構築して遺伝子を不活化させる。MeCP2は、転写抑制ドメイン、Sin3Aと複合体を形成して、ヒストンからアセチル基を除去して遺伝子サイレンシングをもたらすHDAC1または2をリクルートすることによって転写沈黙させるタンパク質の1つである(Jonesら、1998;Nanら、1998)。HDACは、HMTと協調して、ヒストンH3k9のアセチル基をメチル基で置換する。哺乳動物細胞の狭動原体領域(Eggerら、2004)では、H3k9のトリメチル化に関与するHMTは、SUV39H1であり、この酵素の減少により、有糸分裂染色体が減少する(Reaら、2000)。この特殊な複合体および得られるH3k9me3は、DNMT3によるDNAサテライト反復のメチル化に関与する(Lehnertzら、2003)。さらに、免疫沈降およびプルダウン実験により、DNMT3bが、クロマチンリモデリング酵素hSNF2H、HDAC1および2、HP1タンパク質、ならびにSUV39H1と相互作用するだけではなく、HeLa細胞のヘテロクロマチンにあるエピジェネティック機構のこれらの構成要素と共に局在化もすることが実証されている(Geimanら、2004;Silversteinら、2005)。上記のエピジェネティックな方法のいずれか1つ以上を使用して、多能性細胞を作製する、例えば、iPSCを体細胞から作製することができる。このようなエピジェネティックな方法は、任意選択で、転写因子、例えば、Oct4、Sox2などの遺伝子発現を上方制御する方法と組み合わせることができる。さらに、本明細書に記載される画像化法および解析法を使用して、多能性状態に脱分化した細胞を識別する他、リアルタイムで脱分化の進行を追うことができる。上記の任意の一定の実施形態では、このような画像化法および解析法は、非破壊的かつ非侵襲的である。

0033

他の実施形態では、分化細胞の培養培地は、リプログラミングプロセスを促進することができる。例えば、標準的なMKOS形質転換を使用することができるが、培養培地を様々にすることができる。環境条件が、線維芽細胞における内在性多能性マーカーに影響を与えることが実証され(Pageら、2009)、iPSCコロニーの形成を促進する最適化培地を決定することができる。本発明は、上記のいずれかと組み合わせたこの特徴の使用を企図する。本明細書に記載される画像化法および解析法を使用して、多能性状態に脱分化した細胞を識別する他、リアルタイムで脱分化の進行を追うことができる。上記の任意の一定の実施形態では、このような画像化法および解析法は、非破壊的かつ非侵襲的である。

0034

(多能性幹細胞を区別する分子的な方法)
人工多能性幹細胞は、分化細胞と区別しなければならない。一部の実施形態では、分化の特定のマーカーを用いて分化細胞を識別することができる。異なる分化状態の細胞を区別する方法は、様々な遺伝子発現プロフィールまたは細胞に存在するエピジェネティックな特質を利用することができる。分化の分子マーカーは、任意の体細胞から得ることができる。同様に、多能性細胞の分子マーカーも、胚性幹細胞、例えば、ヒト胚性幹細胞(hESC)または人工多能性幹細胞(iPSC)から得ることができる。

0035

体細胞では、組織の同一性は、組織特異的遺伝子発現プログラムの細胞記憶によって維持される。細胞記憶は、遺伝子座のサイレンシングを持続させるヘテロクロマチンの差次的形成によって達成される(Lunyakら、2002;Misteli、2005;O’Brienら、2003;van Drielら、2003)。組織表現型は、最終分化細胞の組織に不適当な遺伝子座をサイレンシングすることによって確立される(de Witおよびvan Steensel、2009)。発生的に、細胞同一性は、最終分化まで、ある程度は可塑性を維持するべきである。

0036

一部の実施形態では、へテロクロマチンの消失は、ヘテロクロマチンが、特殊化し始める胚性幹細胞(ESC)として最初に現れる、分化に酷似したプロセスで、体細胞が脱分化し始めていることを示す。ヘテロクロマチン凝集体が、いくつかの基準によるとhESCにほぼ存在しなくなり、これは、多能性細胞における細胞記憶および有糸分裂染色体の安定を示唆する。

0037

クロマチンは、ヒストンの翻訳後修飾およびヌクレオソーム構造(Annunziatoら、1981;KimuraおよびCook、2001)から、多重遺伝子座を含むヘテロクロマチンの動的形成(Cheutinら、2003)、そして最終的に核内の全染色体の高次位置決め(Misteli、2005;O’Brienら、2003;van
Drielら、2003)に階層的に組織化されている。局在化した遺伝子特異的なエピジェネティック修飾は、多重遺伝子座の顕微鏡で検出可能なヘテロクロマチン凝集体への高次クロマチン再構成によって補完され、ヘテロクロマチン凝集体は、転写活性化因子またはリプレッサーへのプロモーターのアクセスを物理的な障害によって制限する(GrewalおよびMoazed、2003;Hattoriら、2004)。

0038

ヒト胚性幹細胞(hESC)の例に目を向けると、これらの細胞は、発生段階中にエピジェネティック的にユニークである。これらの細胞は、関連プロモーターが、着床前発生中に低メチル化され、続いて着床直後に過剰メチル化される内部細胞塊から誘導される(Li、2002)。エピジェネティック修飾には、H3K4、H3K9、およびH3K27を含む重要なリシン残基におけるH3アセチル化およびメチル化が含まれる(Azuaraら、2006b;Jorgensenら、2006;Leeら、2006;Panら、2007)。刺激性H3K4ジメチル化およびトリメチル化の挿入ドメインを有する阻害ドメイン、H3K27における全体的にメチル化された2価のドメインが、発生的に関連した転写因子のプロモーターに存在する(Azuaraら、2006a;Bernsteinら、2006;Golebiewskaら、2009;Kuら、2008;Panら、2007)。ゲノム全体のH3K9acが、分化中に減少する(Krejciら、2009)。ヒストンアルギニンメチル化R17およびR26転写活性もまた、マウスESCの多能性に必要である(Wuら、2009)。エピジェネティック修飾は、デアセチラーゼおよびメチルトランスフェラーゼによって制御される。ヌクレオソームリモデリング(NuRD)複合体中のヒストンデアセチラーゼ1および2(HDAC1および2)は、段階特異的に動原体周辺のへテロクロマチンに作用し、脱アセチル化を開始し、動原体周辺のヒストンH3のメチル化が続く(Kantorら、2003)。DNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT3a、3b)もまた、DNA維持メチル化(DNMT1)(DingおよびChaillet、2002; Goyalら、2006)と比べて、動原体の5’メチルシトシン(5meC)におけるDNAのメチル化(Bachmanら、2001;Gopalakrishnanら、2009)の開始に対して選択的効果を有する。両方とも、有糸分裂中の適切なクロマチンの分離に必要である(Gopalakrishnanら、2009;Kantorら、2003)。一般に、多能性細胞は、転写的に活性なゲノム外領域を含む高レベルのオープンクロマチンを有する(Efroniら、2008;Gaspar−Maiaら、2009)。したがって、発生的に可塑性の多能性ESCにおける転写活性および遺伝子制御は、体細胞とは根本的に異なり、この相違が、クロマチン構造に反映される。一部の実施形態では、クロマチン構造における相違を使用して、iPSCと分化細胞とを区別する。

0039

着床前発生中のDNAおよびヒストンの過剰メチル化は、ヘテロクロマチンの圧縮に影響を与えることが予想され得る。圧縮は、通常はDNAメチル化に強く関係しているが、凝縮が、H3K9me2およびH3K9me3(Wuら、2005)を含む他のエピジェネティック制御因子、低アセチル化(Gorischら、2005;Popovaら、2009)、ならびにリンカーヒストン活性(Cheutinら、2003;Karymovら、2001)による影響を受けるため、独立して生じ得る(Gilbertら、2007)。条件的ヘテロクロマチンは、ゲノムのコーディング領域で発生するが、構成的ヘテロクロマチンは、非コーディングおよび高反復領域、例えば、動原体周辺ドメインで発生する(Allisら、2007)。構成的ヘテロクロマチンは、より持続性であるが、なお動的であり(Lamら、2006)、H3K9me3で豊富であり(Petersら、2002)、そして高次クロマチン構造の基礎である(Grigoryevら、2004;Maisonら、2002;NatarajanおよびSchmid、1971)。体細胞におけるサイレンシングは、DNAメチル化、ヒストン修飾、およびクロマチンリモデリングの相乗効果によって制御される(Lippmanら、2003)。例えば、H3K9トリメチル化は、へテロクロマチン内で起こり(GrewalおよびMoazed、2003)、hESCの神経分化(Golebiewskaら、2009)中の遺伝子サイレンシング(Kouzaridesら、2002)に関連した重要なヒストン修飾である。H3K9me3は、凝縮されて持続的であるが動的に活性である不活性なクロマチンの広い近接部に対するヘテロクロマチン結合タンパク質(HP1)の結合親和性を高める(Cheutinら、2003)。実際、HP1レベルは減少し、特にHP1βの分布が、hESCで非局在化する(Bartovaら、2008b)。加えて、H3K9me3は、動原体周辺へテロクロマチンの構造的構成を制御する(Henikoffら、2000;Lehnertzら、2003)。狭動原体ヘテロクロマチンの集合(Petersら、2001;Reaら、2000)および動原体でのヒストンメチル化(Eot−Houllierら、2009;Kondoら、2008)は共に、有糸分裂中の適切な染色分体分離およびゲノム安定性に不可欠である。

0040

体細胞では、核周辺は、サイレント化クロマチンが豊富であり、hESC細胞では、核周辺は、許容ドメインおよび抑制ドメインの混合であり(Luoら、2009)、動原体が少ない。hESCは、活性遺伝子およびヒストンH3修飾パターンを放射状に構成し、殆どの活性遺伝子が核の中心にある(Bartovaら、2008a;Strasakら、2009a;Wiblinら、2005)。エピジェネティック機構は、ヒストンデアセチラーゼおよびメチルトランスフェラーゼの阻害が放射状の染色体の位置決めおよび染色中心の完全性に影響を与え得るため、核構成により大規模なゲノム制御に直接影響を与える(Harnicarova Horakovaら)。mESCでは、多能性mESCの特性である運動過多構造クロマチンタンパク質が、高次クロマチン構造が初期分化中に構築されるため、分化時に活動性が弱まる(Meshorerら、2006)。

0041

核構成およびクロマチン動態の測定における1つの障害は、クロマチンの凝縮の程度を定量するための測定ツールが存在しないことである。クロマチンの不定形の構造は、長さまたは面積の測定に適していないが、コンピュータービジョンをベースとしたテクスチャー解析を使用すれば、エピジェネティック変化に一致する幹細胞の分化中のクロマチンの進行性の構造的変化を定量的および統計的に実証することができる。これに合わせて、核構成の多能性特異的特徴を、多能性のマーカーとして使用することができる。したがって、試験細胞におけるこのようなマーカーの発現を、基準細胞における発現または基準細胞の画像と比較することができる。統計的比較法を用いて試験細胞が基準細胞にどの程度近いかを決定することにより、多能性幹細胞を識別する。本願の方法は、この目標を達成する。

0042

(非侵襲的なビデオ顕微鏡法による細胞の分化、成長、および死の測定)
一部の実施形態では、細胞を損傷させる、かつ/または細胞を増殖培地から取り出すことなく、細胞を、分化状態についてアッセイすることができる。非侵襲的技術は、細胞に接触することなく細胞の連続的なモニタリングを可能にするため、細胞および/またはコロニーを、他の細胞または細胞が成長しているウェルから機械的に分離する必要がない。非侵襲的方法の使用はまた、さらなる処理、例えば、顕微鏡法の免疫染色または固定のために細胞のサンプルを取り出す必要もない。しばしば、細胞は、その特徴を解析できるようになる前に透過化処理して固定しなければならない、または細胞は、小分子色素および/または分子プローブで標識しなければならない。すなわち、選択細胞が、解析のために犠牲になり、この選択細胞を、この選択細胞が成長した全集団の代表と見なす。したがって、特定の細胞またはコロニーの分化の進行をモニタリングすることが不可能な場合があり、代わりに、アッセイされる細胞に基づいた概算に依存しなければならない。たとえ均質な集団内の細胞でも、常に同じ速度で分化するわけではないため、侵襲的なサンプリング法は、分化の正確な状態にある細胞が必要な目的に適し得ない。

0043

本明細書に記載される非侵襲的な方法を使用すると、細胞培養物の成長、分化、および/またはリプログラミングをモニタリングすることができ、細胞の分化状態を、細胞の画像の取得および後述の方法にしたがった画像情報の処理によって決定することができる。細胞は、解析のために集団からサンプリングすることができ、または特定の細胞および/またはコロニーを、一定時間にわたって連続的にモニタリングすることができる。例示的な一実施形態では、画像は、生細胞または細胞コロニーの位相差顕微鏡法によって得ることができる。

0044

一部の実施形態では、リプログラミング中にiPSCを識別する1つの基準は、コロニーの形態である(Ellisら、2009)。形態を、非侵襲的に決定することができ、蛍光生細胞マーカーによって妨げられない細胞の測定が可能となる。ここで、新たな多能性幹細胞コロニーを識別するために多数の細胞を形態についてスクリーニングする非侵襲的な方法を説明する。図21は、フィーダー線維芽細胞継代培養された後の非常に小さいhESCのコロニーを示している。位相差画像を、4倍および10倍で、継代から1日目、2日目、および3日目に撮影した。矢印は、各フレーム内の1つのコロニーを指している。図21aおよび図21dのコロニーは、15の細胞を含み、目視によって線維芽細胞から区別することができる。別のコロニーが、2日目(図21b、図21e)および3日目(図21c、図21f)に検出されるが、15の細胞の閾値よりも下のこれらのコロニーの検出は、目視では確実には識別することができない。本明細書に記載される方法では、多能性細胞のコロニーの検出は、テクスチャー解析を使用し、経験豊かな観察者の目視検出限界に一致する(図22)。さらに、完全多能性iPSCに類似した形態の部分的にリプログラムされた細胞となり得る、転写因子のリプログラミングパネルに依存するリプログラミングの中間状態および様々な動態が存在する(Nakagawaら、2008)。一部の実施形態では、中間状態または不完全にリプログラムされた状態の同定には、形態学的基準だけで十分であり得る。

0045

一部の実施形態では、iPSC(図22b)およびhESC(図22a、図22b)の両方の多能性細胞のテクスチャーを、ウェーブレット解析(Mangoubiら、2007;Sammakら、2008)によって検出して、mTeSR培地の細胞外マトリックスまたはDSR培地のフィーダー線維芽細胞と区別することができる。さらに、多能性コロニーのテクスチャーは、上皮形態および線維芽細胞形態を有する分化細胞のコロニーのテクスチャーと区別することができる。さらに、ビデオ顕微鏡法を使用して、幹細胞のコロニーの有糸分裂指数および死亡率を測定することができる(図23)。したがって、一部の例示的な実施形態では、アルゴリズムデザインを使用して、様々な条件下での多能性の誘導中の成長、死、およびリプログラミング形態の1つ以上(1つ、2つ、または3つ)を測定する。このプロセスを繰り返して、細胞を繰り返し画像化して処理することができ、この方法を自動化することができる。

0046

画像解析法:マトリックスエッジ)
iPSCを誘導するプロセスの最中および後の両方で、細胞がいつ、適切な多能性状態に完全に脱分化されるかを決定することが重要である。一部の実施形態では、画像解析法を、細胞の画像に対して行うことができる。画像の収集は、非侵襲性または最小侵襲性であり得るため、細胞を傷つけ足り、細胞の成長を妨げずに、同じ1つ以上の細胞の画像を様々な時点で解析することができる。さらに、所定の集団における分化の範囲をモニタリングし、かつ/または細胞の脱プログラミングに対する環境の変化の影響を評価するために、分化状態のリアルタイムの画像化を行うことができる。細胞の破壊または外来性マーカーの追加なしに、コロニーを、成長および分化の動態ならびに/または治療前の品質管理について連続的に評価することができる。

0047

一部の実施形態では、新たにリプログラミングされた細胞は、それらの形態に基づいて親細胞から区別する。加えて、それぞれの細胞型の核構成およびコロニー構成が、細胞間の区別の基礎となり得る。例示的な一実施形態では、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)およびDNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)のような核酵素を操作して、上記のように、細胞リプログラミングに影響を与える。

0048

一部の実施形態では、多能性幹細胞または幹細胞コロニーは、統計的多重解像度テクスチャー画像解析を用いて非侵襲的および非破壊的に識別する。コロニーは、当技術分野で公知の顕微鏡技術で画像にすることができる。一部の実施形態では、位相差顕微鏡法を使用する。画像をベースとしたアルゴリズムを用いて、多能性コロニーを識別して、分化コロニーおよびその外部から統計的に区別することができる(Mangoubiら、2007;Sammakら、2008;Desaiら、2009;Mangoubiら、2008、図3)。

0049

テクスチャーは、細胞形態の不定形の非幾何的性質、特に核および細胞質のサイズおよび縁を測定する定量可能方法である。様々な細胞生物学的機能が、細胞のサイズおよび形状に反映されるため、細胞形態は、幹細胞および分化細胞産物の総合的な尺度である。形態だけでは、特定の分子の活性を決定するには不十分な場合があるが、多くの場合、分子活性に基づいた細胞型の決定には十分である。統計的多重解像度テクスチャー解析は、hESC細胞およびコロニーの両方の画像を区別および分類するための非破壊的な光学法である。コロニーの場合、化学物質は必要ない。

0050

本明細書に記載されるテクスチャー分類アルゴリズムを、多様な培養条件下で、様々なhESCおよび既存のiPSC系に使用することができる。結果は、多能性および分化の分子マーカーを用いて検証することができる。例えば、iPSC誘導法の質は、非侵襲的動態法によって評価することができ、かつ/または得られるiPSCの質は、多能性マーカーパネルおよびエピジェネティック・マーカー・パネルを用いた単一細胞の定量的な免疫染色によって評価することができる。

0051

一部の実施形態では、マークのない画像を使用して、新生iPSCコロニーがヒト線維芽細胞から最初に誘導されたときに一次継代で新生iPSCコロニーを検出して同定することができる。新生iPSCコロニーは、単一細胞または細胞の小さなクラスターとして出発し(図4、(Woltjenら、2009)から)、これらの細胞の検出閾値を確立することができる。加えて、生細胞の動態特性を、リプログラミング中間体を決定するために比較することができる。最後に、iPSCの質は、多能性マーカーおよびエピジェネティックマーカーの分子パネルを用いて初期段階で検証することができる。このアプローチは、一定の実施形態では、静止画像および/または微速度撮影画像のテクスチャー解析の方法を使用して、動態の特徴の抽出を可能にし、新たなiPSCの出現の検出を容易にする。注目すべきは、統計的方法は、小領域が不規則な形状の小さい不均質なテクスチャーの同時平滑化およびセグメント化(Parkら、2009)に使用することができる。例えば、明確な多能性形態は、継代直後に形成されたコロニーのように非常に小さいコロニー、および/または単一細胞として分散された細胞における形態で識別することができる。

0052

注目すべきは、画像をベースとしたアルゴリズムを、染色された核の画像に使用することができ、かつ単一多能性細胞核におけるクロマチン構成の分類に使用することができる(図5および図6)(Desaiら、2009;Mangoubiら、2008)。一定の実施形態では、このアルゴリズムを、自動化して、(i)望ましいiPSCを背景細胞から識別して分離し、そして(ii)定量的なコロニーの特徴を提供する、方法に組み入れる。

0053

(マトリックス・エッジ・オニオン・ピール(Matrix Edge Onion Peel)・アルゴリズム)
テクスチャー解析のアルゴリズムでは、通常は、比較的均質なサブテクスチャーの長方形の小領域を含むように、解析される領域を十分に大きくする必要がある。しかしながら、単一細胞および新生iPSCコロニーは、通常は、このような要望;小領域が小さく、不均質性、そして不規則な形状である、を満たさない。このような形状の解析には、これらのコロニーに適した改善されたアルゴリズムが必要である。新しいマトリックス・エッジ・オニオン・ピール(MEOP)アルゴリズム(Desaiら、2009)が本明細書に記載され、このアルゴリズムは、新生iPSCに起因するテクスチャーに関する3つの課題:(1)小さいサイズ、(2)不均質性、および(3)不規則な形状の領域に対処する。このアルゴリズムを使用して、多能性幹細胞および/またはコロニーをそれらのテクスチャーに基づいて識別することができる。テクスチャー領域が十分に大きい一部の実施形態では、テクスチャーウェーブレット解析アルゴリズムを、小さいサイズのテクスチャー領域用のMEOPアルゴリズムと組み合わせて使用することができる。

0054

MEOPの方法は、オニオン層(onion layer)型テクスチャーの変分を有する不均質なテクスチャーに対処するため、他のテクスチャー解析法の限界を超えている。ここでは、層内の挙動は、不均質であると見なされるが、層間には変分があり得る。オニオン層の形状は、データに依存し;放射対称を必要としない。エネルギー関数アプローチを、同時平滑化およびセグメント化に使用することができる。このアプローチは、2つの特徴:マトリックス・エッジ・フィールド、および平滑化プロセスモデルに対する測定値適応重み付けに依存する。このマトリックスエッジ関数は、テクスチャーの様々な領域に対する平滑化近傍の形状、サイズ、および向きを適応的および暗黙的に調節する。したがって、このマトリックスエッジ関数は、より一般的なスカラー・エッジ・フィールドをベースとしたアプローチでは得られないテクスチャーについての方向の情報を提供する。この適応測定値重み付けは、各ピクセルの測定値間の重み付けが異なる。
(マトリックス・エッジ・フィールドおよび適応重み付け:変分の式)
変分最適化の問題の検討

0055

式中、Eは、領域Rの積分であり、この画像領域は、

0056

であり、gは、平滑化されるべき入力画像であり、νおよびVはそれぞれ、平滑化画像およびその関連した2×2の対称エッジ・マトリックス・フィールドであり、Xは、g、ν、Vが定義されている2D空間を表す。上記において、下付き文字Xは、空間勾配演算子を表す。第1項は、平滑フィデリティー項(fidelity term)であり、エッジに位置していないピクセルのみで平滑化が起こるように、νの勾配(1−V)をペナライズ(penalize)する。第2項は、入力データから平滑データ偏差をペナライズするデータフィデリティー項である。スカラー項G(V)は、エッジ強度をペナライズし、F(VX)は、エッジが平滑である必要があるが、なおキンクを認識する。

0057

(Okitaら、2007)の式では、マトリックス・エッジ・フィールドは、スカラー・エッジ・フィールドV(X)が使用される以前の式、例えば、Mumfordら、1985およびAmbrosioら、1990の式の一般化である。スカラー・エッジ・フィールドは、局所平滑化が行われる円形の近傍のサイズを調節し、より一般的なマトリックス・エッジ・フィールドは、楕円形の局所平滑化近傍を用いてサイズ、形状、および向きを調節する。したがって、この平滑化は、より効果的である。

0058

(近傍の形状、向き、およびサイズ)
不均質なテクスチャーを同時に平滑化およびセグメント化するプロセスでは、アルゴリズムの2つの特徴は、(i)現行方式のように異なるサイズだけではなく、異なる形状および向きの局所近傍を画定して、細かくセグメント化された画像を提供する能力、および(ii)空間的に変化するノイズに適応する能力である。これらの特徴のために、少数のピクセルを有する狭い領域で画像をセグメント化することが可能である。図7は、マトリックス・エッジ・セグメント化の効果、すなわち、ぴったりのサイズと比較するとサイズ、形状、および向きが様々である近傍の平滑化の使用を例示している。

0059

図8は、アルゴリズムの初期バージョンの幹細胞核への適用を例示し、別の要素:不均質なテクスチャーのオニオンピーリング(onion peeling)を説明する。このアルゴリズムを使用して、検出されたら小さい細胞をトラッキングして、細胞が最小サイズに成長したらそのテクスチャーを解析することができる。最後に、このアルゴリズムは、非侵襲的かつ非破壊的にiPSC誘導法を比較する、評価する、および改善するために必要な特徴および統計を提供することができる。

0060

(画像解析法:ノンパラメトリック法
一部の実施形態では、幹細胞核をセグメント化および分類するためのノンパラメトリック法を使用することができる。このアプローチは、幹細胞の成長および発達のモニタリングを自動化することができ、レベルセット法、多重解像度ウェーブレット解析、および分解からのウェーブレット係数密度関数のノンパラメトリック推定の組み合わせに基づいている。加えて、最大の内接長方形ウインドウが、多重解像度解析にとって十分な数のピクセルを含み得ない小さいサイズのテクスチャーに対処するために、我々は、細長く不規則な形状の核の多重解像度解析を可能にする調節可能なウインドウイング法を提案する。一部の例示的な実施形態では、ノンパラメトリック密度モデルと組み合わせた調節可能なウインドウイングアプローチは、ウェーブレット係数のパラメトリック密度モデリングが、適用できない、または適用可能であるがロバスト性が低い場合に良好な分類を提供する。

0061

多重解像度テクスチャー解析は、テクスチャーの回収(DoおよびVetterli、2002)および分類(Mangoubiら、2007)の有効な方法であり得、テクスチャーの性質が、多能性の程度の質的表示である(Mangoubiら、2007)、幹細胞コロニーの分類で特に成功する。非侵襲的であるが、顕微鏡法による従来のコロニー解析は、費用が嵩み、主観的であり、そして時間がかかり、訓練を受けた専門家注意払う必要がある。あるいは、化学染色は、迅速であり、自動化可能であり、そして一貫性があるが、破壊的であり、染色された要素が、組織の成長または薬物試験での使用に適さなくなる。

0062

対照的に、画像ベースの幹細胞コロニーテクスチャー解析は、自動化可能であり、非侵襲的であり、一貫性があり、そして後の生物医学的用途のためにコロニーを保存する。さらに、このテクスチャー解析は、多重時空間解像度で幹細胞の成長のマルチスケール質的モニタリングを可能にする。核解像度レベルでは、たとえ染色が必要であってもなお、この画像ベースの方法は、自動化され、一貫性があり、かつ迅速な幹細胞核の定量的な分類で使用される(Mangoubiら、2008)。コロニー解析と同様に、このような定量は、多能性および直接分化を維持する能力に対して様々なタンパク質が有する効果を理解するために使用することができる。

0063

上記の参考文献では、統計的多重解像度ウェーブレットテクスチャー解析は、詳細サブバンドにおいてウェーブレット係数を表すために使用されるパラメトリック統計モデル、一般化ガウス密度(GGD)と組み合わせられると効果的であることが示された。しかしながら、既に実現されているパラメトリック統計的多重解像度ウェーブレット解析には制限がある:(1)テクスチャー解析を可能にする十分なサイズの長方形のテクスチャー的に均質な領域をユーザー手動で選択する必要がある、および(2)係数の分布が対称、単一モード、かつバイアスされていないと仮定するが、これは、一部のテクスチャーには当てはまらないことがある。上記のように、マトリックス・エッジ・オニオン・ピール・アルゴリズムは、「オニオン層」テクスチャー変分、すなわち核半径関数として変化するテクスチャー特性を有する小さいサイズの不規則な形状の核に使用することができる。

0064

一部の実施形態では、あるアルゴリズムを、核を自動的にセグメント化するために使用することができ、調節可能なウインドウイング法を、小さい不規則な形状(すなわち非長方形)の領域の多重解像度分解から得られる係数の数を最大にするために使用することができる。これらのステップは、複数の幹細胞核を含む画像の自動解析を可能にし、テクスチャー解析を行うために人間がウインドウを手動で選択する必要がない。最後に、ノンパラメトリック統計解析を、パラメトリックGGDモデルが適用できない場合に適用することができる。このステップにより、パラメトリックモデルが適用できない場合のこのパラメトリックモデルに比べて優れた性能を提供する。

0065

4つの非ガウス方法は、統計的相違を推定するために使用することができ、かつ個別細胞の時系列画像および全hESCコロニーの位相差画像の一方または両方を分類するために適用することができる非ガウス方法の例示である。

0066

(テクスチャー解析:ウェーブレットベースのテクスチャーモデル
それぞれのウェーブレット詳細サブバンドにおける係数の経験的確率密度関数(pdf)が、多くの場合、対称で単一モードの一般化ガウス分布

0067

に類似していることが以前に指摘された(Mallat、1989)。

0068

式中、xは、確率変数(詳細係数)であり、αおよびβは、密度を定義する幅および形状パラメーターである。

0069

この統計的一致は、テクスチャーモデル−テクスチャー的に均質な領域のウェーブレット詳細サブバンドを特徴付ける推定GGDのセットを提案する。このモデルは、サブバンド全体の統計的独立および近似バンドにおけるテクスチャー的に関連した情報の欠如の両方を仮定するが、いくつかのテクスチャーについて検証され、αパラメーターおよびβパラメーターを計算する技術が、Van de Wouwerら、(1999)およびDoおよびVetterli(2002)によって、コンテンツベース画像検索で使用するために開発された。この方法は、幹細胞の画像分類に適用することに成功した(Mangoubiら、2008;Mangoubiら、2007)。

0070

一部の実施形態では、GGDモデルは、広いスケールのサブバンドで適用できなくなる。左から右に移動するにつれて平均強度の顕著な増加を示す図9の画像を参照されたい。図10のpdfプロットから分かるように、この勾配が、第3の水平サブバンドに結合し、これにより、顕著にバイアスされてGGDによって不完全にモデル化されたウェーブレット係数分布となり、この分布は、原点を中心に対称に拘束されている。これは、ガウス平滑化によって係数ヒストグラムをpdfに効率的に変換する、ガウス核(ThompsonおよびTapia、1990)を用いるParzen密度推定量を用いた係数pdfのモデル化によって説明される:

0071

同様に、xは、確率変数(詳細係数)であり、{xi}は、特定のサブバンドについて計算されたN詳細係数のセットである。幅パラメーターσは、カーネルの有効平滑半径を調節し、サブバンド全体を正規化するためにヒストグラムサポートの一定の割合に等しく設定する。

0072

テクスチャーモデルが、各サブバンドについての推定pdfのセットであるため、モデル間の相違測度は、カルバック−ライブラーダイバージェンス(KLD)に基づいており、このKLDは、2つのpdf f1とf2との間で定義される:

0073

KLDは、非対称であるが、対称バージョンは、KLDsym(1,2)=DKL(1,2)+DKL(2,1)を用いて得られる。次いで、この距離を、詳細サブバンドにわたって合計する。Parzenモデルを使用する場合は、KLDは、数値積分法によって決定することができる。

0074

(小さい不規則な形状の領域から係数を抽出するための適応ウインドウイング)
ウェーブレットピラミッド解析は、正方形または長方形の領域における2次元信号を分解する。多くの適用例では、これは許容され得る;画像は、モデル化のためのテクスチャー均質長方形領域を分離するべく、タイル表示またはクロッピングするのに十分な大きさにすることができる。

0075

しかしながら、小さいまたは不規則な形状の物体、例えば、幹細胞核に関係する一部の実施形態では、適切なサイズの長方形領域を分離することは不可能であると思われる。高度に可塑性または可動性の核は、時間と共にかなり変形する不規則な形状を有することがあり、正確な統計を推定するのに十分なサイズでの解析のためのあらゆる長方形の領域の識別を妨げる。また、様々なマトリックス延長技術(例えば、ピリオダイゼーション対称化など)も、統計的アーチファクトを取り込み得る。

0076

このような領域の多重解像度ウェーブレット分解の各サブバンドから可能な限り多くの係数を抽出するために、調節可能なウインドウイング(Lowryら、2010)を導入する。処置手順を説明すると、画像内の目的の領域を示すセグメント化マスクが存在すると仮定し、マスク内の一部の特定のピクセルを考える。ピクセルの左、上、および対角線上の左上のピクセルもマスクの範囲内である場合は、右下の角がそのピクセルである2×2のウインドウもマスクの範囲内である。ここで、この2×2のウインドウを考える。このウインドウのすぐ左、上、および対角線上の左上のピクセルもマスクの範囲内である場合は、最初のピクセルで終端している3×3のウインドウはすべて、マスクの範囲内である。このプロセスを繰り返して、特定のピクセルで始まり、すべてがマスクの範囲内に維持され得る最大ウインドウ長さを決定することができる。

0077

より正確には、目的の領域が1とマークされ、その外部が0とマークされる、一部のセグメント化マスクM1が存在すると仮定する。画像に長さkのフィルターをかけると、マスクMkは、完全にM1の範囲内に位置する情報から得られた、フィルター処理された出力を示し、以下のように再帰的に計算することができる:

0078

式中、

0079

は、iピクセルが右にシフトし、jピクセルが下にシフトしたマスクMkを表す。

0080

次いで、定常ウェーブレット変換(SWT)(Pesquetら、1996)を適用する。このSWTは、画像への出力をダウンサンプリングするのではなくフィルターをアップサンプリングするため、詳細サブバンドが、最初の画像と同じサイズである。基準フィルター長さnfの場合、レベルdにおけるSWT分解ウインドウは、以下の長さを有する:

0081

したがって、上記の帰納的プロセスにより、どの係数が、各レベルにおける目的の領域に単独で属するかを決定することが可能である。このプロセスは、図11c〜図11eに例示されている。図11cは、最初の画像を示している。図11dでは、細胞の最も軽い4分の1区分が右下に来るように画像が回転され、ウェーブレット分解のどの非対称も、最初の右側にバイアスされる。図11は、各分解レベルで選択された係数を示し;赤が表示レベル4、オレンジがレベル3、黄色がレベル2、そしてシアンがレベル1である。

0082

(PDFおよびテクスチャーの相違の推定)
テクスチャーパッチ間の相違を計算するために、pdf推定量を選択して、それぞれの3n詳細サブバンドに適用することができ、次いで情報ダイバージェンス(すなわち、カルバック−ライブラーダイバージェンスまたはKLD)を用いて相違を定量することができる。他のダイバージェンス測定、例えば、L1ダイバージェンス(∫|f1−f2|)およびバタチャリヤ距離(Bhattacharyya distance)も存在するが、情報ダイバージェンスは、我々の2つのpdfモデルに対する扱いやすい閉形式解を許容するため、特に便利である。2つのpdf fおよびgの場合、情報ダイバージェンスは以下のように定義される:

0083

n分解レベルのテクスチャーの場合は、2つのモデル間の全相違は以下の通りである:

0084

一般に、DKL(f||g)≠DKL(g||f)であるため、正規化するために両方が加えられる。同様に、{k}は、特定のサブバンドiに割り当てられる単純な重みである。一般に、すべてki=1と設定するが、従来の知識にしたがって一定のバンドを強調またはペナライズするために使用されることもあり得る。

0085

多種多様な方法を使用して、ウェーブレット係数のpdfおよびその対応するKLDを推定することができる;4つの例示的な方法を後述する。実際に、モデルの選択では、計算の単純さ(パラメトリックモデル、例えば、GGDおよびSαS)と正確さ(より詳細には、ノンパラメトリックモデル、例えば、A−LおよびL−Q)とがトレードオフされる。

0086

(1、一般化ガウス密度(GGD)モデル)
詳細係数のpdfが、対称で単一モードの一般化ガウス分布(GDD):

0087

に類似している場合が多いことが以前に指摘された(Mallat、1989)。
式中、xは、確率変数(詳細係数)であり、αおよびβはそれぞれ、幅因子および形状パラメーターである。Γは、γ関数を表している。位置パラメーター(すなわち、プロセス平均)は、ゼロになると仮定する。

0088

GGDを使用して、多種多様な対称で単一モードの密度関数をモデル化することができる。実際、特殊なケースとして、標準偏差σの場合、

0089

、および均一(β→∞)密度が含まれる。GGDプロセスの標準偏差σは、以下のとおりである:

0090

テクスチャーの特徴付けにおけるこの密度関数の利用は、それぞれ、αおよびβを計算するためのモーメントマッチングおよび最尤法を開発した(Van de Wouwerら、1999)および(Doら、2002)に示されていた。

0091

この方法の1つの重要な利点は、2つのGGDプロセス(DOら、2002)間のKLDに対する閉形式解が存在することであり、計算を容易にする:

0092

(2.対称α安定(SαS)密度モデル)
テクスチャーの分類に使用される別の密度族は、GDDによって許容されるよりも重い裾確率を有する分布をモデル化するために使用される対称α安定密度(SαS)である。SαSの特性関数のための複数のパラメーター化が存在するが、以下(Tzagkarakisら、2004)のタイプ2にしたがう:

0093

式中、ωは、周波数であり、αおよびγはそれぞれ、特性指数(0<α≦2)および分散(γ>0)である。GGDと同様に、位置パラメーターを0と仮定する。GGDとは異なり、SαSのpdfは、コーシー(α=1、スケールγ)および

0094

分布を含む2、3の特殊なケースの閉形式のみで存在する。

0095

したがって、正規化特性関数

0096

が有効pdfを生成することを指摘して、この密度をテクスチャー解析に適用した(Tzagkarakisら、2004)の方法にしたがった:

0097

2つの正規化SαS特性関数間の閉形式KLDは、以下のとおりである:

0098

SαSパラメーターは、(Nolan、1997)および(Veillete、2009)に詳細に記載されている最尤法を用いて計算することができる。

0099

(3.Ahmad−Lin(A−L)KLD推定)
上記のpdf族は共に、分布が、原点における処理平均と対称であると仮定する。これらの仮定は、一般に妥当であり、特に、前処理における平均にしたがって画像を正規化するときに妥当であり、詳細係数は、広域フィルターの出力である。場合によって、例えば、図11eに示されているhESC核では、細胞を横断して見ると、強度の顕著な増加が見られる。この勾配が、広いスケールの詳細サブバンドに結合し、これにより、顕著に非対称にバイアスされ(2b)、したがってGGDまたはSαS分布によって不完全にモデル化された係数分布となる。

0100

一部の実施形態では、下側の分布の形状を仮定しないKLD推定量を使用するのが望ましいであろう。例示的な一実施形態は、Ahmad−Lin(A−L)エントロピー推定量(Ahmad,ら、1976)に基づいている:

0101

式中、XおよびYは、詳細係数の2つのセットであり、|X|は、セットXにおける要素の数を表す。K(x)は、核関数を表す。一例として、帯域幅を有するParzen(ガウス)核を使用した(Boltzら、2007):

0102

式中、Ωは、推定のデータのセットであり(XまたはY)、σ^は、経験的標準分布であり、ρ^は、4分位範囲である。

0103

GGDおよびSαS分布との比較では、ノンパラメトリック法は、一般化の著しい利点を有し;分布の下側の形状について何も仮定をしない。しかしながら、このような推定は、一般に、計算に費用がかかり、全分解の保存または再計算を必要とする。結果として、この推定量は、経験的係数分布が、著しい非対称または多様式を示す場合に最も有効に適用される。

0104

(4.Loftsgaarden−Quesenberry(L−Q)KLD推定)
Ahmad−Lin推定量のようなカーネルベースの方法は、帯域幅σに対して非常に敏感である。これを回避する試みでは、(Boltzら、2007)が、Ahmad−Linエントロピー推定量とLoftsgaarden−Quesenberry(L−Q)pdf推定量(Loftsgaardenら、1965)とを組み合わせた:

0105

次元は、一変量の場合には1であるdであり、ρk(Y,x)は、xに位置するあらゆる要素を除く、セットYにおいてxからk番目に近い要素までの距離である。近傍サイズkは、事前に選択しなければならず;一般的な選択は、

0106

である。(Boltzら、2007)は、一般に、KLD推定が、σよりもkの選択に対して感受性が低いことを主張している。

0107

(分類)
KLD相違度を用いて、hESCテクスチャーパッチを、当技術分野で公知の方法にしたがって、任意の従来の分類またはクラスター化アルゴリズムによって分類することができる。例示的な分類法は、参照によりその全容が本明細書に組み入れられる、米国特許第7,711,174号および米国特許出願第12/321,360号に記載されている。例えば、k−最近傍(kNN)アルゴリズムを適用することができ、またはサポート・ベクター・マシン(SVM)を適用することができる(Mangoubiら、2007)。

0108

(技術の組み合わせ)
一部の実施形態では、本明細書に記載される技術の組み合わせを使用することができる。例えば、人工多能性幹細胞用の当技術分野で公知の任意の方法を、マトリックス・エッジ・オニオン・ピール・アルゴリズムおよび/または細胞の画像解析用の適応ウインドウイング法と組み合わせることができる。同様に、多能性幹細胞を、記載されるエピジェネティックな方法にしたがって誘導することができ、かつ他の細胞画像解析用の統計的方法を使用することができる。これらの方法によると、限定されるものではないが、線維芽細胞および他の体細胞を含む任意の細胞を、iPSCを誘導するための開始点として使用することができる。さらに、iPSCは、実質的にあらゆる生物、例えば、マウス、ラットブタ非ヒト霊長類、およびヒトの細胞から作製することができる。

0109

加えて、一部の実施形態は、体細胞から人工多能性幹細胞を誘導してiPSCを識別する方法であって、線維芽細胞を培養するステップと、線維芽細胞を1つ以上の転写因子でトランスフェクトするステップと、1つ以上のエピジェネティック制御因子の活性を低下させるステップと、線維芽細胞が、多能性幹細胞になるように誘導され、さらに、1つ以上の細胞の画像を得るステップと、画像を複数のピクセルとして表すステップと、プロセッサーを使用して複数のピクセルから1つ以上の画像の特徴を抽出するステップと、この1つ以上の画像の特徴を、1つ以上の多能性幹細胞から得た画像の特徴と比較するステップと、を含み、このプロセッサーが、1つ以上の統計的比較方法を行って、これらの画像の特徴を比較し、これによりiPSCを導き出して識別する、方法を提供する。本発明を一般的に記載して、出願者は、一般的に記載された本発明の理解を容易にするために以下の例示的な実施例について述べる。これらの特定の実施例は、本発明の一定の態様および実施形態を単に例示するために含められ、いかなる場合も本発明を限定するものではない。しかしながら、実施例に記載される一定の一般的な原理は、一般に、本発明の他の態様または実施形態に適用することができる。本発明は、上記および下記の態様、実施形態、および他の特徴のいずれか1つ以上を組み合わせ得ることを企図する。

0110

(実施例1:リプログラミングの分子特徴付けおよび検証)
リプログラミングの非侵襲的な測定を検証するために、免疫染色アプローチを、Oct4、Nanog、Sox2、FGF5R、HNF3b、FoxD3、およびRex1を含む、多能性の特性である核および細胞質因子のパネルに使用する。Gata6、Bracyury、およびAFP(不図示)を含む、後期分化段階のマーカーも、多能性細胞で異なる。早期着床前および着床後の多能性系譜の区別に有用な別のマーカーも、マウスESC用に同定された(Tesarら、2007)。予備的研究により、多能性hESCでこれらのマーカーを見出したが、神経分化細胞では見出せなかった。しかしながら、様々な培地で成長した核型的に正常なhESC系H7はすべて、陽性免疫染色であったが、自動顕微鏡法での定量により、非常に様々なプロフィールであることが判明している。ノックアウト血清代替培地を含むDSRDMEM中のマウス胚線維芽細胞フィーダー上のH7の多能性パネルは、フィーダーなし培地、StemPro(Invitrogen)で成長したH7の多能性パネルよりも大幅に低い。マーカーRex1およびFGF5Rの予備的評価は、高レベルのRex1および低レベルのFGF5Rを有する内部細胞塊様細胞(Tesarら、2007;Peltonら、2002;Chambersら、2009)ではなく、高レベルのFGF5Rおよび低レベルのRex1を有する(図13a、図13b)多能性胚盤葉上層様細胞または初期内胚葉細胞(Rathjenら、1999;Peltonら、2002)をフィーダーが促進し得ることを示唆している。特に、Rex1は、StemPro培養中で1日目から5日目に時間と共に発生する(図13b)。最適化フィーダーなし培養培地は、リプログラミングを促進し得る。この実施例は、特に、定量的および自動アプローチを用いた幹細胞構造および遺伝子発現の解析により、他の方法では観察または確認できない差異を明らかにすることを示唆している。

0111

(実施例2:体細胞と比較した多能性幹細胞のエピジェネティック状態)
ヘテロクロマチンの様々なマーカー(H3K9me3[緑色]およびH3K27me3[赤色]、図24A〜図24C)は、多能性細胞では異なる分布を有するが、神経分化細胞および体細胞ではより共局在化(黄色)している。反対に、ユークロマチンのマーカー(H3K9ac[緑色]、H3K4me2[赤色]、図24d〜図24e)は、多能性細胞でより共局在化している。ユークロマチンマーカーおよびヘテロクロマチンマーカーは、すべての段階で空間的に異なっている(図24g〜図24i)。

0112

多能性幹細胞は、分化細胞とは異なるヒストン翻訳後マーカーの構成を示している。ヘテロクロマチンの様々なマーカー(H3K9me3[緑色]およびH3K27me3[赤色]、図24a〜図24c)は、多能性細胞では異なる分布を有するが、神経分化細胞および体細胞ではより共局在化(黄色)している。反対に、ユークロマチンのマーカー(H3K9ac[緑色]、H3K4me2[赤色]、図24d〜図24e)は、多能性細胞においてよりも共局在化している。ユークロマチンマーカーおよびヘテロクロマチンマーカーは、すべての段階で空間的に異なっている(図24g〜図24i)。

0113

多能性細胞のエピジェネティック状態は、環境の条件および系譜段階によって異なる。ヒストンメチル化は、ICM様状態と胚盤葉上層様hESC状態では異なる。フィーダーおよびゼラチン(DSR培地)上の胚盤葉上層様hESCは、マトリゲル上のmTeSR中のフィーダーなし条件のICM様hESCよりも低いレベルのOct4およびH3K9のアセチル化および高いレベルのH3K9のメチル化を有するが(図25)、フィーダー馴化培地は、最も高いレベルのH3K9のメチル化を示している。StemProで培養されたiPSCは、hESCと同様のエピジェネティックヒストン状態を有する。S期におけるヒストンH3K9acおよびH3K9meならびに細胞の割合は、iPSCと同様であるが(図26)、塩を添加しない洗剤溶解後のH2Bの抽出は、hESCと同様であるが(不図示)、分化細胞よりも多く抽出可能であり、ヒストン結合が、両方の多能性細胞で不安定であることを示している。リプログラミング中のiPSCのエピジェネティック状態が、特徴付けられるため、中間リプログラミング状態を区別するための基準に加えられる。

0114

(実施例3:hESCの誘導HDAC1、2ノックダウン系の樹立および分化の抑制)
多能性細胞は、DNMT1、3a、3b、およびHDAC1および2を含むいくつかのエピジェネティック酵素を発現する(図28a〜図28d)。場合によっては、高レベルの酵素にもかかわらず、多能性細胞で酵素活性が低いが、これは、DNAの低メチル化(図28e)またはヒストンH2BK5の脱アセチル化(図28f)の反映である。例外は、分化が始まったコロニー周辺の多能性細胞である。注目すべきは、HDACのレベルが、フィーダー上での分化中に変化しないことである。

0115

hESCにおけるHDAC1および2のレベルは、HDAC1および2ノックダウンおよび非サイレンシングコントロール用のtet−誘導レンチウイルスで変更した(図29図30)。安定に形質転換されたhESCのいくつかの系を樹立し、ノックダウンの効果の最初の試験は、BMP4で分化するように誘発されたときに、ドキシサイクリン誘導HDAC1および2ノックダウン系での分化速度の抑制を示している(図30)。HDAC KD線維芽細胞も樹立し、リプログラミングの効率に対する影響を決定する。

0116

(実施例4:ヒト線維芽細胞からのiPSCの誘導)
ヒト線維芽細胞、系IRM90(ATCCCCL186)を使用してiPSCを誘導する(Yuら、2007;Yuら、2008)。4つの転写因子、c−Myc、Klf4、Oct−4、およびSox2(MKOS)の異所性発現を、PiggyBacベクターPB−MKOS系(Woltjenら、2009;Kajiら、2009)を用いてこれらの細胞で誘導する。この系の利点には、異所性遺伝子によるさらなる活性を防止する多能性の誘導後の挿入DNAのトランスポゼース切断が含まれる。加えて、この非ウイルス系は、高い形質転換効率を有し、3つの異なる2Aペプチド配列によって分離された4つのリプログラミング導入遺伝子多シストロン性発現のための単一カセットを使用する(Hasegawaら、2007)。単一インサート由来のMKOS転写因子の最適共発現は、不完全なリプログラミングを引き起こすMKOS転写因子の不完全なセットの発現の頻度を最小限にする。この発現カセットは、構成的に活性なCAG−rtTAトランス活性化因子コンストラクトの共発現およびドキシサイクリンの培地への添加によって誘導される(Woltjenら、2009;Kajiら、2009)。tet−誘導MKOS導入遺伝子用の市販のレンチウイルスコンストラクトも利用可能である(StemGent)。hESCのレンチウイルス形質転換、およびピューロマイシンを用いた安定な形質転換細胞系の選択を行う。

0117

ヒト線維芽細胞の形質転換を、エピジェネティック制御因子のshRNA媒介ノックダウンと組み合わせて行う。系IRM90由来の線維芽細胞を、HDAC1または2およびDNMT1、3a、または3bおよび非サイレンシング配列用のドキシサイクリン誘導性レンチウイルスノックダウン(KD)shRNAで形質転換する。HDACまたはDNMT KD IRM90系が樹立されたら、細胞をMKOS転写因子で形質転換する。コロニーの形質転換を、エピジェネティック変化を開始するドキシサイクリンの存在下、またはドキシサイクリンの非存在下のコントロール条件下で比較する。形質転換効率(形態学的に変換されたコロニー/フィーダー細胞数の割合)、リプログラミング効率(多能性マーカーを有するコロニーの割合)、および効率のレート(効率/時間)を、2つの方法:
(i)核密度を用いた形態によって検出されたコロニーのカウントによって、および(ii)Hoechst染色(形態学的に変換されたコロニーにおける核密度)およびAlexa546−ファロイジン染色(線維芽細胞張繊維の非存在、幹細胞における周辺アクチンバンドの出現、データは不図示)およびSSEA4(リプログラミング)での細胞骨格再構築によって決定する。これらの検証のカウントは、上記の方法によって決定されるコロニーカウントに関連している。最後に、条件間統計的有意差を、リプログラミング前のエピジェネティックプライミング(epigenetic priming)の有効性を評価するために決定する。

0118

1つのレンチウイルス(Open Biosystems)は、赤色蛍光タンパク質およびピューロマイシン選択マーカーを含むtet−誘導shRNA pTRIPZコンストラクトを含む。tet誘導発現系を、HEK293細胞(不図示)およびhESCで樹立した。安定なhESCの選択は、ピューロマイシン選択によって確立した(図6)。HDAC1 KDの有効性が、図12に実証されている。レトロウイルスプラスミドにおけるHDAC1 shRNAのヌクレオフェクションでは、トランスフェクション効率は、細胞の80%であり、KD有効性は、30倍であり、阻害剤、トリコスタチンA(TSA)によるHDAC1の阻害に類似していた。

0119

(実施例5:線維芽細胞のリプログラミングのための環境因子の変更)
線維芽細胞を、多能性を裏付けるために様々な培地で、MKOS転写因子で形質転換する。多能性を支えるiPSCリプログラミング用の4つの例示的な培地には以下が含まれる:
1.ゼラチン・マトリックス・タンパク質上のMEFフィーダー細胞およびDSR(DMEMw/ノックアウト血清代替物)(供給者からの標準的なプロトコル
2.Geltrexマトリックスタンパク質上のStemPro培地(Invitrogen)
3.マトリゲル・マトリックス・タンパク質上のmTeSR培地(Stem Cell Technologies)
4.FGF2、アクチビンA、Neruegulin、およびマトリゲルを含む、ならびに含まないGeltrexマトリックスタンパク質上の、EMPM(DMEM、NEAA、グルタミン、1%ITS、2%BSA)、カスタム最小多能性培地。

0120

ある標準的なプロトコルは、iPSCをフィーダーおよびDSR上で成長させるが、hESCおよびiPSCの成長速度、高レベルの多能性マーカー、および低レベルのヒストンメチル化にとっては、StemProおよびmTeSRが好ましい。すべてのこれらの条件は、リプログラミングを支持するはずである。基本培地、EMPMは、インスリンを除く成長因子の非存在下でのhESCの1〜2週間の生存を促進する。この培地は、単一成長因子FGF2、アクチビンA、Neruegulinを用いて、および用いないで、ゼラチンの代わりにマトリゲルで評価する。線維芽細胞に添加すると、FGF2だけが、内因性多能性マーカーの発現を増加させた(Pageら、2009)。

0121

生細胞の実験では、生細胞の微速度撮影を非侵襲性位相差で記録し、リプログラミング因子活性のためのrtTA−IRES−GFP発現を確認するために少なくとも初期に蛍光を用いた。様々な倍率で評価するが、10×の倍率では、最小で10以下の細胞のコロニーを検出できる可能性が高い(図4)。微速度撮影の間隔は、コロニーのカウントを1日に1回望むか否か、またはリプログラミングに応じた単一細胞の成長率および死亡率が必要であるか否かによって異なる。

0122

微速度撮影ビデオによる生細胞の測定基準には以下が含まれる:
1.コントロール線維芽細胞およびコントロールiPSCと比較したテクスチャー基準
2.分化形態への逆戻りの存在
3.閾値が検出できるトランスフェクション後の時間
4.新生コロニーの成長率(面積)
5.閾値検出時のコロニーのサイズ
6.コロニーにおける細胞の死亡率(細胞溶解
7.線維芽細胞とiPSC形態との間の形態学的中間状態の存在
8.コロニーにおける細胞の細胞分裂率 。

0123

(実施例6:初期iPSCコロニーの検証)
MKOS形質転換後の線維芽細胞の不完全なリプログラミングが起きて「」iPSCが作製される可能性がある。したがって、iPSC形成(図4、グレーのスクリーン)の形態学的決定は、多能性の分子マーカーの測定によって確認する(図4、緑色のスクリーン)。まず、位相差画像(灰色のスクリーン)をテクスチャー解析によって解析し、別の蛍光画像を、多能性の細胞外マーカー、例えば、SSEA4を用いて同じコロニーから得る。SSEA4に対する抗体の染色は、TRA1−60、TRA1−81、またはSSEA3よりもH7でより均一である。新生iPSCコロニーにおいて、細胞が多能性であることを確認するために、4つのカラー免疫染色を行い、Thermo Fisher Arrayscanを用いて自動的に定量する。新生iPSCおよび線維芽細胞の定量的測定は、核間距離によって線維芽細胞から区別することができる(Sammakら、2008)。1つの多能性転写因子の発現だけでは、多能性状態を特徴付けるのに不十分であるため、固定細胞表示を用いた生細胞実験の検証が必要である(図13)。それぞれの実験条件では、誘導して、多能性およびエピジェネティック状態のマーカーに対する抗体のパネルで免疫染色した後の様々な時点で細胞を固定する。多能性のマーカーを表1に示し、広範囲のエピジェネティック状態のマーカーを表2に示す。

0124

(実施例7〜14:幹細胞を分化細胞から区別するための別の方法およびアッセイ)
(実施例7:低密度MEFフィーダー上での多能性hESCおよび神経分化の特徴付け)
hESCのコロニーを、3つの異なる発生段階:多能性段階(多能性)、多分化能神経外胚葉段階(初期分化)、および神経系譜に制限された神経ロゼット段階(後期分化)で特徴付けた(Ozolekら、2009;Ozolekら、2007)。神経分化を、低密度MEF(5,000/cm2)上で開始させた(Ozolekら、2009;Ozolekら、2007)。多能性を、転写因子Oct4(図31a、図31b)、Hhf3b、FoxD3、およびNanog(図12)の免疫染色、ならびに分化マーカー、ネスチン(図31a)、Cdx2(図12d)、Gata6、AFP、およびブラキュリ(brachyury)(不図示)の非存在によって決定した。ネスチン、神経外胚葉マーカーは、多能性H7でまれに存在したが(図31a)、特にコロニーの縁では、初期分化神経外胚葉で上方制御されていた(図31b)。初期分化細胞は、類上皮単層で成長し、大きい核直径および長い核間距離によって特徴付けられた(図31b、図32b、図33b、図33e、および図36a)。GFAP、O4、NCAM、またはβ−3−チューブリンを含む神経系譜専用のマーカーは、神経外胚葉細胞において、僅かにバックグラウンドレベルで存在した(不図示)。神経外胚葉は、多能性であり、乏突起膠細胞、放射状グリア、およびそれほどではないが星状膠細胞を形成することができる(Ozolekら、2009;Ozolekら、2007)。後期分化コロニーが、2〜4週間後に高密度コロニーから形成され、神経ロゼット(図1c、図1d)で豊富であったが、これは、機能的に極性化された神経管上皮細胞の特性である(Bacallaoら、1989)。初期分化神経外胚葉とは対照的に、後期分化神経ロゼットは、多層領域内に存在し、NCAM陽性であった(図31c)。

0125

in vitroロゼットは、組織化3次元組織のいくつかの特性を有していた。ロゼットコア(図31e)の電子顕微鏡法により、絨毛を含む液体で満たされた透明ゾーンが明らかになった(図31f)。これは、分泌細胞の特性である。頂端細胞の細胞膜は、細胞間隙におけるオスミウム親和性媒染剤に密着していた(図31g、fのボックス)。中間径フィラメントの束および微小管が、コアから放射状に伸び、中心小体の極性分布が、内腔近傍のいくつかの細胞の頂部に見られ得る(図31g)。これは、分泌上皮の特性である。したがって、in vitro細胞培養系は、3つの異なる発生段階:(1)多能性段階(多能性)、(2)多分化能段階(初期分化)、および(3)単分化能神経系譜段階(後期分化)でヘテロクロマチン集合を評価するための機能性発生モデルを提供する。

0126

(実施例8:分化中の癒着によるクロマチン凝縮が増加する)
ヘテロクロマチンの形態学的変換を、光学および電子顕微鏡法によって3つの異なる発生段階で評価した。分化中のクロマチンの凝縮を、電子顕微鏡法によって、オスミウム親和性染色の増加によって検証した(図32a〜図32cの白色で囲まれた領域の拡大である図32d〜図32fを比較)。透過電子顕微鏡法では、オスミウム親和性染色が、多能性hESCでの光学顕微鏡法による検出レベルよりも低い、非常に微細粒子均一構造図32a、図32d)から、光学顕微鏡解像度限界(0.2μm)によって漸く区別された初期分化細胞における微細粒子凝集体(図32b、図32e)を経て、後期分化hESCにおける粗粒子凝集体(図32c、図32f)に進んだ。DNA密度は、ヘテロクロマチンドメインおよびユークロマチンドメインを示す蛍光色素で測定することができる(Grigoryevら、2006;Mateos−Langerakら、2007)。多能性細胞は、形態学的に異なるユークロマチンおよびヘテロクロマチンを有していなかったが、代わりに、クロマチン密度が、多能性細胞(図32j)では、核(低い空間周波数)にわたって徐々に異なり、初期分化細胞(図32k)では、高周波数の小さい振幅変動を示し、後期分化細胞(図32l)では、中間周波数の大きい振幅変動を示した。ヘテロクロマチンは、大きいドメインに凝縮する小さい凝集体によって特徴付けられる中間段階によって凝縮し、これは、癒着と呼ばれる身体現象である。

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