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技術 飼料に好適なアミノ酸組成である海産従属栄養性藻類を飼料のタンパク質成分として利用する方法

出願人 MoBiol株式会社
発明者 水間洋岡元浩伊藤純一渡邉信吉田昌樹伊藤順子多田清志
出願日 2016年5月17日 (4年7ヶ月経過) 出願番号 2016-099054
公開日 2017年11月24日 (3年1ヶ月経過) 公開番号 2017-205045
状態 未査定
技術分野 特定動物用飼料 微生物による化合物の製造 飼料(2)(一般) 微生物、その培養処理
主要キーワード 光合成藻類 脱皮殻 ペレットマシン 流加速度 テナガエビ 濾過海水 市場価値 シャコ
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年11月24日)のものです。
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図面 (3)

課題

水産用飼料タンパク質原料として好適なアミノ酸組成を有する微細藻類を提供すること、および当該微細藻類を配合した栄養組成物、当該栄養組成物を与えて魚介類養殖する方法を提供することを課題とする。

解決手段

発明者らは、培養条件培地成分を変えて微細藻類を培養することで、魚粉近似したアミノ酸組成の藻体生産することを可能にした。また、アミノ酸組成が魚粉と近似した微細藻類を魚粉の代替タンパク質源とすることで、魚粉飼料と同等の飼育成績が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。

概要

背景

魚介類養殖用飼料で使用されている主なタンパク質源魚粉であり、我が国はチリおよびペルーから主にカタクチイワシ、マアジ魚粉を輸入している。しかし、水産資源の減少や、世界的に養殖畜産業が盛んになったことによる魚粉の需要の増大により、魚粉価格が高騰している。その輸入価格は、平成16年には76円/kgであったのに対し、平成25年には154円/kgと2倍にまで高騰している。

魚粉は、魚介類養殖用飼料のみならず、ニワトリブタなどの飼料に配合され、さまざまな家畜動物性タンパク質源として利用されている。

近年では魚粉に頼らない低魚粉飼料の開発が盛んに行われている。低魚粉飼料は、魚粉の代わりに大豆粕やコーングルテンミール等の植物性タンパク質ミートミールフェザーミール等の動物性タンパク質が用いられているが、それらはアミノ酸組成が魚粉と大きく異なり、大豆粕ではメチオニンが、コーングルテンミールではリジンが第1制限アミノ酸となっている。それゆえ、低魚粉飼料には結晶アミノ酸を飼料に添加する必要があり、製造コスト押し上げることが障害となっている。また、植物性タンパク質源には、トリプシンインヒビターフィチン酸難消化性糖質などの生理阻害物質が含まれているため、配合量を高めると魚類成長阻害し、腸管の炎症等の抗病性の低下を招くことも報告されている。

ブリマダイ等の海水魚は、必須アミノ酸に加え、十分量のタウリン体内で合成することができないため、餌飼料からタウリンを摂取しなければならない。植物性タンパク質はタウリンが少なく、低魚粉飼料ではタウリン不足による成長の低下や緑肝症、脱がしばしば観察され、市場価値下げることが問題であった。平成21年にはタウリンの重要性が認められて飼料添加物認定され、低魚粉飼料の開発に拍車がかかった。

発明者らは、上記植物性タンパク質供給源のように生理阻害物質を含有せず、タウリンを含有する培養微細藻類の、低魚粉飼料への配合を検討した。斯かる低魚粉飼料に配合され得る微細藻類の例として、ラビリンチュラ類(Labyrinthulomycetes)に属する藻類が挙げられる。ラビリンチュラ類は様々な炭化水素や油脂を生産するものが報告されており、ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)等の高度不飽和脂肪酸を多量に蓄積する性質を有するもの(SR21株、特許文献1)や、スクアレンを生産するものが知られている(非特許文献1、2、3)。それらの増殖速度光合成藻類に比べて極めて速く、7日間の培養で乾燥重量100g/Lの藻体を生産することができ(非特許文献4)、高タンパク、高脂質要求の魚類にとって理想的な飼料原料である。

概要

水産用飼料タンパク質原料として好適なアミノ酸組成を有する微細藻類を提供すること、および当該微細藻類を配合した栄養組成物、当該栄養組成物を与えて魚介類を養殖する方法を提供することを課題とする。発明者らは、培養条件培地成分を変えて微細藻類を培養することで、魚粉に近似したアミノ酸組成の藻体を生産することを可能にした。また、アミノ酸組成が魚粉と近似した微細藻類を魚粉の代替タンパク質源とすることで、魚粉飼料と同等の飼育成績が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。

目的

本発明は、アミノ酸組成を最適化した微細藻類を魚介類養殖用飼料のタンパク質源として利用する手法および養殖方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

タンパク質を構成する全アミノ酸中、メチオニンの占める割合が1.5−4.6質量%、イソロイシンの占める割合が2.2−6.5質量%、フェニルアラニンの占める割合が2.3−6.9質量%、リジンの占める割合が3.9−11.6質量%、である、海産従属栄養性藻類

請求項2

タンパク質を構成する全アミノ酸中、トレオニンの占める割合が2.5−7.6質量%、バリンの占める割合が2.9−8.8質量%、ロイシンの占める割合が3.4−10.2質量%、ヒスチジンの占める割合が1.7−5.0質量%、アルギニンの占める割合が2.8−8.5質量%である、請求項1に記載の海産従属栄養性藻類。

請求項3

タウリンを0.2−0.7質量%含む、請求項1又は2に記載の海産従属栄養性藻類。

請求項4

魚粉必須アミノ酸組成に基づく必須アミノ酸指数が90以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の海産従属栄養性藻類。

請求項5

オーラチオキトリウム属の藻類である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の海産従属栄養性藻類。

請求項6

オーランチオキトリウムFERMBP−11442株である、請求項5に記載の海産従属栄養性藻類。

請求項7

培養槽炭素源流加する培養工程を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の海産従属栄養性藻類の生産方法

請求項8

請求項1〜6のいずれか1項に記載の海産従属栄養性藻類を、全質量に対して、乾燥藻体換算で1.0〜75.0質量%含有する、魚介類養殖用飼料組成物

請求項9

請求項8に記載の飼料組成物給餌する工程を含む、魚介類の養殖方法

技術分野

0001

本発明は、飼料に好適なアミノ酸組成である微細藻類を飼料のタンパク質成分として利用する方法に関する。

背景技術

0002

魚介類養殖用飼料で使用されている主なタンパク質源魚粉であり、我が国はチリおよびペルーから主にカタクチイワシ、マアジ魚粉を輸入している。しかし、水産資源の減少や、世界的に養殖畜産業が盛んになったことによる魚粉の需要の増大により、魚粉価格が高騰している。その輸入価格は、平成16年には76円/kgであったのに対し、平成25年には154円/kgと2倍にまで高騰している。

0003

魚粉は、魚介類養殖用飼料のみならず、ニワトリブタなどの飼料に配合され、さまざまな家畜動物性タンパク質源として利用されている。

0004

近年では魚粉に頼らない低魚粉飼料の開発が盛んに行われている。低魚粉飼料は、魚粉の代わりに大豆粕やコーングルテンミール等の植物性タンパク質ミートミールフェザーミール等の動物性タンパク質が用いられているが、それらはアミノ酸組成が魚粉と大きく異なり、大豆粕ではメチオニンが、コーングルテンミールではリジンが第1制限アミノ酸となっている。それゆえ、低魚粉飼料には結晶アミノ酸を飼料に添加する必要があり、製造コスト押し上げることが障害となっている。また、植物性タンパク質源には、トリプシンインヒビターフィチン酸難消化性糖質などの生理阻害物質が含まれているため、配合量を高めると魚類成長阻害し、腸管の炎症等の抗病性の低下を招くことも報告されている。

0005

ブリマダイ等の海水魚は、必須アミノ酸に加え、十分量のタウリン体内で合成することができないため、餌飼料からタウリンを摂取しなければならない。植物性タンパク質はタウリンが少なく、低魚粉飼料ではタウリン不足による成長の低下や緑肝症、脱がしばしば観察され、市場価値下げることが問題であった。平成21年にはタウリンの重要性が認められて飼料添加物認定され、低魚粉飼料の開発に拍車がかかった。

0006

発明者らは、上記植物性タンパク質供給源のように生理阻害物質を含有せず、タウリンを含有する培養微細藻類の、低魚粉飼料への配合を検討した。斯かる低魚粉飼料に配合され得る微細藻類の例として、ラビリンチュラ類(Labyrinthulomycetes)に属する藻類が挙げられる。ラビリンチュラ類は様々な炭化水素や油脂を生産するものが報告されており、ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)等の高度不飽和脂肪酸を多量に蓄積する性質を有するもの(SR21株、特許文献1)や、スクアレンを生産するものが知られている(非特許文献1、2、3)。それらの増殖速度光合成藻類に比べて極めて速く、7日間の培養で乾燥重量100g/Lの藻体を生産することができ(非特許文献4)、高タンパク、高脂質要求の魚類にとって理想的な飼料原料である。

0007

:特許第2764572号公報

先行技術

0008

:G. Chen. et al. New Biotechnology 27, 382−289 (2010)
:Q. Li et al., J. Agric. Food Chem. 57(10), 4267−4272 (2009)
:K. W. Fan et al., World J. Microbiol. Biotechnol. 26, 1303−1309 (2010)
:A Jakobsen et al., Appl Microbiol Biotechnol 80(2), 297-306 (2008)
:Journal of Applied Phycology, February 2014, Vol. 26, Issue 1, 29−41

発明が解決しようとする課題

0009

本発明は、アミノ酸組成を最適化した微細藻類を魚介類養殖用飼料のタンパク質源として利用する手法および養殖方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

発明者らは、微細藻類のアミノ酸組成を、培養方法培地組成を調整することで、魚粉に近いアミノ酸組成に最適化させる技術を開発した。斯かる技術は、生産コスト増大を伴わずに低魚粉飼料の品質を向上させ、魚粉の価格、供給量に左右されることなく、魚介類養殖用飼料の安定生産および水産資源の保全に寄与することに繋がる。

0011

DHAを蓄積するオーラチオキトリウム・リマシナム(Aurantiochytrium limacinum)4W−1b株を通常のGT培地で培養したところ、収量は乾燥藻体13g/L、藻体の魚粉を基準とした必須アミノ酸指数(後述)は83.8であった。しかし、同株を、GTY培地に炭素源としてグルコース流加して培養を行ったところ、収量が乾燥藻体50g/Lに顕著に増大し、更に、藻体の魚粉を基準とした必須アミノ酸指数は96.4まで上昇した。これは、オーランチオキトリウム藻類を、炭素源を流加しながら培養することで、収量増大に加えて、そのアミノ酸組成を魚粉のアミノ酸組成に近付けることが出来ることを示す。

0012

また、炭素源流加を要さずに良好なアミノ酸組成をとる藻類も存在する。スクアレンを細胞内に蓄積するオーランチオキトリウムtsukuba−3株(受託番号:FERAP−220147)は、GTY培地で培養すると6g/Lの藻体が生産可能であり、必須アミノ酸指数は91.2と極めて魚粉に近いアミノ酸組成となり、魚粉の代替タンパク質源として有望である。

0013

発明者らは、このようなアミノ酸組成に優れるオーランチオキトリウム属藻類を配合した飼料を与えて魚介類を養殖することにより、魚粉主体の飼料と同等の飼育成績が得られることも明らかにした。

0014

従って、本願は、以下の発明を提供する。
1.タンパク質を構成する全アミノ酸中、メチオニンの占める割合が1.5−4.6質量%、イソロイシンの占める割合が2.2−6.5質量%、フェニルアラニンの占める割合が2.3−6.9質量%、リジンの占める割合が3.9−11.6質量%、である、海産従属栄養性藻類
2.タンパク質を構成する全アミノ酸中、トレオニンの占める割合が2.5−7.6質量%、バリンの占める割合が2.9−8.8質量%、ロイシンの占める割合が3.4−10.2質量%、ヒスチジンの占める割合が1.7−5.0質量%、アルギニンの占める割合が2.8−8.5質量%である、項目1に記載の海産従属栄養性藻類。
3.タウリンを0.2−0.7質量%含む、項目1又は2に記載の海産従属栄養性藻類。
4.魚粉の必須アミノ酸組成に基づく必須アミノ酸指数が90以上である、項目1〜3のいずれか1項に記載の海産従属栄養性藻類。
5.オーランチオキトリウム属の藻類である、項目1〜4のいずれか1項に記載の海産従属栄養性藻類。
6.オーランチオキトリウムFERM BP−11442株である、項目5に記載の海産従属栄養性藻類。
7.培養槽に炭素源を流加する培養工程を含む、項目1〜6のいずれか1項に記載の海産従属栄養性藻類の生産方法
8.項目1〜6のいずれか1項に記載の海産従属栄養性藻類を、全質量に対して、乾燥藻体換算で1.0〜75.0質量%含有する、魚介類養殖用飼料組成物
9.項目8に記載の飼料組成物給餌する工程を含む、魚介類の養殖方法。

発明の効果

0015

本発明により、魚粉の代替として利用可能な優れたアミノ酸組成を有する微細藻類を養殖飼料のタンパク質源として利用することができれば、水産資源量や魚粉価格に左右されずに、安定的に高品質の魚介類養殖用飼料を供給することが可能になる。下記実施例にて示すように、本発明に係るオーランチオキトリウムの乾燥藻体を配合した養殖飼料を用いてクルマエビ飼育試験を行った結果、タウリンおよび結晶のアミノ酸の補足なしで、魚粉主体の飼料と同等の成績が得られることが見出された。従って、本発明に係る藻類は、魚介類養殖用飼料のタンパク質源として非常に優れていると言え、水産養殖において画期的な進歩をもたらすものである。

図面の簡単な説明

0016

図1は、GTY培地で培養した藻類の、魚粉を基準とした必須アミノ酸組成を示す。
図2は、GTY培地にグルコースを流加した培養方法で培養した藻類の、魚粉を基準とした必須アミノ酸組成を示す。

0017

本発明において、魚粉の代替として利用可能な微細藻類は、海産従属栄養性藻類である。当該藻類の例として、限定されないが、オーランチオキトリウム属、シゾキトリウム属、パリエティキトリウム属、ボトリオキトリウム属、スラウストキトリウム属、アプラノキトリウム属、シキオイドキトリウム属などのヤブレツボカビ科の藻類、またはこれらを起源とする藻類変異体組換え藻類が挙げられる。好ましくは、本発明の微細藻類は、オーランチオキトリウム属藻類である。

0018

本発明の微細藻類は、増殖能力の優れた株を用いるのが好ましい。そのような藻類株は、天然採取及び分離されたものであっても、突然変異誘導及びスクリーニングを経てクローニングされたものであっても、あるいは遺伝子組み換え技術を利用して樹立されたものであってもよい。当該藻類株において改善され得る特性は、増殖効率、最適ではない培養条件日照、栄養、温度、pH、成分組成等)に対する耐性、又は藻体が飼料として配合された場合の魚介類の成長速度等、本発明において飼料に配合されるタンパク質源として調製されるのに有利な任意の特性である。

0019

上記微細藻類の培養は、当該技術分野において確立された方法を基礎とする。即ち、通常の維持培養は、適切に成分調製した培地に藻類を播種し、定法に従い行われる。

0020

微細藻類を培養するための培地は、本質的に、塩分、炭素供給源及び窒素供給源を含有する。一般的に、微細藻類の培養には、いわゆるGTY培地(人工海水塩10−40g/L、D(+)グルコース20−200g/L、トリプトン10−60g/L、酵母抽出物5−40g/L)が用いられる。本発明に関する培地も、基本的にはこれらの3つの要素を組み合わせて構成される。

0021

炭素源としてはグルコース、フルクトーススクロース等の糖類がある。これらの炭素源を、例えば、培地1リットル当たり20〜200gの濃度で添加する。

0023

海洋性藻類を培養する場合、培地には適切な量の人工海水又は天然海水が添加される。好ましくは、人工海水は、最終的な培地の塩分濃度海水(塩分濃度3.4%(w/v))の約10%(v/v)〜約100%(v/v)、例えば塩分濃度が約1.0〜3.0%(w/v)となるように添加される。

0024

微細藻類の培養は、培養温度5〜40℃、好ましくは10〜35℃、より好ましくは15〜30℃にて行われる。継代は、藻類株の増殖速度に応じて、通常1〜10日間、好ましくは3〜7日間置きに行われる。培養は通気攪拌培養振とう培養又は静置培養で行うことができるが、好ましくは通気攪拌培養又は振とう培養で培養する。藻類株の長期の保存には、液体培地に1.0〜3.0%濃度の寒天を加えて凝固させた寒天培地を用いてもよく、より長期の保存に際しては、藻類株は定法に従い凍結保存されてもよい。

0025

好ましい態様において、本発明の微細藻類は、炭素源が流加される条件下で培養される。流加プロセスにおいては、微細藻類の培養系に、所望の炭素源が逐次添加される。斯かる流加により、培養系中に存在する炭素源の濃度が微細藻類による消費に拘らず一定のレベルに維持される。炭素源の流加の条件(流加系の設計、炭素源の種類、濃度、流加速度等)は、具体的な培養条件、培養する藻類種、目標とするアミノ酸組成に応じて当業者が適宜調整することが出来る。

0026

流加される炭素源としてはグルコース、フルクトース、スクロース等の糖類がある。当該炭素源は、当初の培養培地に添加されている炭素源と同一であっても異なるものであってもよい。好ましくは、流加される炭素源はグルコースである。好ましい態様において、炭素源は、1日当たり5〜100g/L、10〜80g/L、15〜60g/L、又は20〜40g/Lの濃度で添加される。好ましくは、培養過程で添加される炭素源の量は、合計で60〜240g/L、80〜220g/L、100〜200g/L、120〜170g/L、又は130〜150g/Lとなる。好ましい態様において、グルコースの流加量は、培養系内のグルコースが枯渇せず、かつ過剰なグルコースが藻類の増殖を阻害しないように、適宜調整される。

0027

培養によって取得された微細藻類は、必須アミノ酸の組成が評価される。好ましくは、本発明の培養によって取得された微細藻類は、タンパク質を構成する全アミノ酸中、メチオニンを1.5−4.6質量%、イソロイシンを2.2−6.5質量%、フェニルアラニンを2.3−6.9質量%、リジンを3.9−11.6質量%含有する。より好ましくは、当該藻類は、タンパク質を構成する全アミノ酸中、トレオニンを2.5−7.6質量%、バリンを2.9−8.8質量%、ロイシンを3.4−10.2質量%、ヒスチジンを1.7−5.0質量%、アルギニンを2.8−8.5質量%含有する。尚もより好ましくは、当該藻類は、タウリンを0.2−0.7質量%含む。

0028

前記微細藻類の必須アミノ酸組成は、魚粉を基準にした必須アミノ酸指数の値によって評価されてもよい。好ましくは、本発明の微細藻類の魚粉を基準にした必須アミノ酸指数は、85以上、86以上、87以上、88以上、89以上、90以上、91以上、92以上、93以上、94以上、95以上、96以上、97以上、98以上又は99以上である。

0029

培養によって取得された微細藻類は、飼料に配合するための適切な形態に加工される。本発明の飼料に配合する微細藻類の形態は、培養物濃縮藻体、乾燥藻体、ホモジネート脂質抽出後残渣等、性状は問わないが、いずれも簡素な手順で調製が可能なものである。例えば、前記培養物から遠心分離にて固形分を回収することでウェットな藻体を得て、これをスプレードライドラム乾燥機等で乾燥することで乾燥藻体を取得する。特定の態様において、飼料への培養微細藻類の配合率は、乾燥藻体換算で0.5〜80質量%、好ましくは1.0〜30.0質量%、より好ましくは2.5〜20.0質量%であるが、実際の配合率は、養殖される魚介類の種類や配合される藻類の種類、タンパク質含量に応じて、当業者が容易に決定できる。

0030

本発明において、前記魚介類養殖用飼料は、魚粉と代替可能な養殖用飼料に好適なアミノ酸組成を有する微細藻類を含有する。

0031

本発明において、魚介類養殖用飼料は、魚介類の養殖に適切な任意の飼料成分を含有する。当業者は、養殖する魚介類の種類や具体的な養殖の条件を考慮して、適切な飼料を選択し、又は飼料成分を配合することを承知している。

0032

前記飼料成分として、好ましくは、具体的な魚介類の養殖の条件に適合するように、動物又は植物由来加工物又は抽出物、油脂、炭水化物有機酸ビタミンミネラル抗生物質香料着色料保存料賦形剤増量剤増粘剤接着剤水和剤崩壊剤乳化剤pH調整剤等の、飼料調製に通常利用される材料を含有する。

0033

前記魚介類養殖用飼料は、任意の適切な形態、例えばペースト粉末モイストペレットドライペレットエクストルーダーペレットフレーク、ケーキ若しくは錠剤の形態であってもよい。

0034

本発明において、当該培養微細藻類を配合した飼料を与えて、魚介類が養殖される。養殖の諸条件は、養殖される魚介類の種類に応じて当業者が適宜選択することが出来る。

0035

本発明の魚介類養殖用飼料を与えて養殖される魚介類としては、当該飼料によって養殖が可能なあらゆる養殖魚介類が想定され、限定されないが、ブリ、マダイ、カワハギカンパチ、マグロフグシマアジ、スズキ、ヒラメ、アジ、サバハタ類、サーモンなどの海産養殖魚類、また、ニジマスコイウナギアユアマゴイワナなどの淡水養殖魚類、クルマエビ、ウシエビホワイトシュリンプ、タイショウエビ、テンジクエビ、ブルーシュリンプ、オニテナガエビ等の海産および淡水エビ類、ガザミ、タラガニズワイガニケガニ、シャコ等のカニ類を含む。

0036

以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定するものではない。また、実施例中「%」で表示されているものは、特記されていなければ「質量%」の意味である。

0037

実施例1.オーランチオキトリウムの培養
オーランチオキトリウム・リマシナム(Aurantiochytrium limacinum)4W−1b株の凍結保存品1.2mlを、坂口フラスコ中の200mlのGTY培地に植菌し、100rpm、25℃で3日間振盪培養した。この培養物1mlを、500mlフラスコ中のGTY培地に植菌し、100rpm、25℃で7日間培養した。得られた培養物から単離した藻類のアミノ酸組成を、図1に示す。

0038

炭素源を流加する培養は、上記の7日間の振盪培養において、1日当たりグルコースを20〜40g/Lの濃度で添加し、培養過程で添加したグルコース量は、合計で130〜150g/Lであった。得られた培養物から単離した藻類のアミノ酸組成を、図2に示す。

0039

上記両単離藻類のアミノ酸組成を、魚粉の必須アミノ酸組成を基準とした、必須アミノ酸指数によって評価した。必須アミノ酸指数は、
(100a/ae×100b/be×100c/ce×・・・・×100j/je)1/n
で求められ、ここで、
a,b,c・・・j=試験タンパク質の各必須アミノ酸含量(%)
ae,be,ce・・・je=魚粉の各必須アミノ酸含量(%)
n=必須アミノ酸の数
である。魚類における必須アミノ酸は、メチオニン、イソロイシン、フェニルアラニン、リジン、トレオニン、バリン、ロイシン、ヒスチジン、アルギニン及びトリプトファンの10種類であるが、本試験において、魚粉の必須アミノ酸は、トリプトファンの分析を行わなかったため、残りの9種類の必須アミノ酸に関して評価を行った。いずれかの必須アミノ酸において藻類における含量が魚粉における含量を上回るとその項の値が100を超えるが、その場合はその項の値を100として必須アミノ酸指数を求めた。

0040

魚粉を基準とした必須アミノ酸指数は、最大で100となり(必須アミノ酸組成が魚粉と同一)、必須アミノ酸組成が魚粉に近い程大きくなる。図1にアミノ酸組成を示す通常の培養で得られた藻類の必須アミノ酸指数は、83.8であった。一方、図2にアミノ酸組成を示す、炭素源の流加を行った培養で得られた藻類の必須アミノ酸指数は、96.4であった。この結果は、炭素源の流加により、培養藻類の必須アミノ酸組成が、魚粉に近いものに改質したことを示す。

0041

魚介類の理想的なアミノ酸組成は、同魚介類の全魚体または筋肉中のアミノ酸組成であると言われており、藻類株、培養方法、培地成分を任意に変えることによって、同魚介類に最適なアミノ酸組成のタンパク質源を作り出すことができる。

0042

実施例2.クルマエビにおける飼育試験
オーランチオキトリウム・マングロベイ(Aurantiochytrium mangrovei)を定法に従い培養し、藻体を回収し、乾燥藻体を調製した。斯かる乾燥藻体の魚粉を基準とした必須アミノ酸指数を上記のようにして求めたところ、91.2であった。クルマエビ養殖用飼料の魚粉の代わりに当該乾燥藻体を0、2.5、5.0、10.0、20.0%配合した飼料を作製し、それらを与えてクルマエビにおける代替タンパク源としての評価を行った。

0043

供試および飼育方法
株式会社ヒガシマルの臨海研究所で人工種苗生産した平均体重1.09gのクルマエビを、100L容角型水槽に15尾ずつ収容して5試験区を設けた。各水槽には加温濾過海水注水し、期間中の平均水温は19.0℃であった。

0044

表1に示した試験飼料組成に従い、試験飼料を作製した。各原料量・混合した後、微粉砕し、外割で30%の水を加えて混練した後、ペレットマシンを用いて直径約2mmのペレット成型した。これを熱風乾燥機により乾燥し試験飼料を作製した。飼育期間は56日間とし、1日1回日没後に各試験飼料給与した。翌残餌脱皮殻を回収し、残餌量に応じて給餌量を決定した。試験区は各試験飼料につき3反復区を設けたが、飼育試験終了後は同一試験区である45尾の供試魚をプールし、ミンチにして分析に用いた。統計処理に関して、得られた結果は一元分散分析有意差を確認した後、Tukeyの多重比較検定法各試験区における平均値の有意差判定を行った(p<0.05)。

0045

飼育成績
飼育成績を表2に示した。平均体重、平均増重率、生残率飼料効率に有意差はないが、日間摂率は試験区4が有意に高くなったことから、オーランチオキトリウム藻体は摂餌を促進させる効果があることが示唆された。これらの結果から、オーランチオキトリウムは成長に関して魚粉主体の飼料と差はないことが確認された。

実施例

0046

表3に開始時および終了時における全魚体の一般成分を示した。魚粉主体の対照飼料と全ての区で差は認められなかった。

0047

FERMAP−220147
FERM BP−11442

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