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技術 小型魚介類の加熱処理方法、小型魚介類の包装食品

出願人 株式会社木村海産
発明者 木村豪
出願日 2016年5月17日 (3年2ヶ月経過) 出願番号 2016-099038
公開日 2017年11月24日 (1年7ヶ月経過) 公開番号 2017-205044
状態 特許登録済
技術分野 肉,卵の保存
主要キーワード 加熱殺菌効果 含塩水 重量含水率 有底箱形 熱溶着装置 小型魚類 UVカットフィルム 平均含水率
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年11月24日)のものです。
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図面 (4)

課題

ボイル済みの小型魚介類変敗を抑制するとともに風味食感色合いを低下させることなく、素材である小型魚介類の保存性を向上させること。

解決手段

本発明の加熱処理方法は、太陽光を利用せずに行う非天日乾燥工程によって所定の含水率になるように乾燥されたボイル済みの小型魚介類を所定の容器密封包装した状態で、15分以上40分以下の時間範囲内で予め定められた設定時間だけ、60℃以上85℃以下の温度範囲内で予め定められた設定温度になるように加熱する加熱工程を行うことにより、前記ボイル済みの小型魚介類の変敗を抑制するとともに保存性を向上させる。

概要

背景

鰯の仔稚魚を使用した小型魚類加工食品(以下「仔稚魚加工食品」と称する。)として、釜揚げしらすしらす干し、ちりめんじゃこなどが知られている。これらはいずれも、素材である鰯の仔稚魚を塩茹でしたものであるが、塩茹で後の乾燥の程度によって呼び名が異なる。例えば、鰯の仔稚魚を塩茹でして水切りしたものは「釜揚げしらす」と呼ばれている。また、塩茹でした仔稚魚を軽く乾燥して適度な柔らかさを残した状態にしたものは「しらす干し」と呼ばれている。そして、塩茹でした仔稚魚をじっくりと乾燥したものは「ちりめんじゃこ」と呼ばれている。乾燥の程度は、加工後の仔稚魚の重量含水率水分含有率)で区分けすることができ、例えば、釜揚げしらすの含水率は概ね70%〜85%であり、しらす干しの含水率は概ね60%〜65%であり、ちりめんじゃこの含水率は概ね45%〜55%である。なお、上述の含水率は画一的なものではなく、含水率が25%〜35%のものがちりめんじゃこと呼ばれ、含水率が50%〜60%のものがしらす干しと呼ばれる場合もある。

上述の仔稚魚加工食品においては、塩茹でして乾燥した仔稚魚を容器密封包装し、その状態で容器ごと加熱殺菌することが従来から行われている。加熱殺菌は、細菌などの微生物による腐敗を防止して、加工食品の保存期間を長期化するために行われる。

概要

ボイル済みの小型魚介類変敗を抑制するとともに風味食感色合いを低下させることなく、素材である小型魚介類の保存性を向上させること。本発明の加熱処理方法は、太陽光を利用せずに行う非天日乾燥工程によって所定の含水率になるように乾燥されたボイル済みの小型魚介類を所定の容器に密封包装した状態で、15分以上40分以下の時間範囲内で予め定められた設定時間だけ、60℃以上85℃以下の温度範囲内で予め定められた設定温度になるように加熱する加熱工程を行うことにより、前記ボイル済みの小型魚介類の変敗を抑制するとともに保存性を向上させる。

目的

本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、ボイル済みの小型魚介類の変敗を抑制するとともに風味や食感、色合いを低下させることなく、素材である小型魚介類の保存性を向上させることが可能な小型魚介類の加熱処理方法、及びこの方法で加熱処理された小型魚介類の包装食品を提供する

効果

実績

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請求項1

太陽光を利用せずに行う非天日乾燥工程によって所定の含水率になるように乾燥されたボイル済みの小型魚介類を所定の容器密封包装した状態で、15分以上40分以下の時間範囲内で予め定められた設定時間だけ、60℃以上85℃以下の温度範囲内で予め定められた設定温度になるように加熱する加熱工程を行うことにより、前記ボイル済みの小型魚介類の変敗を抑制するとともに保存性を向上させる小型魚介類の加熱処理方法

請求項2

太陽光を利用せずに所定の含水率になるようにボイル済みの小型魚介類を乾燥する非天日乾燥工程と、前記非天日乾燥工程によって乾燥された前記ボイル済みの小型魚介類を所定の容器に密封包装した状態で、15分以上40分以下の時間範囲内で予め定められた設定時間だけ、60℃以上85℃以下の温度範囲内で予め定められた設定温度になるように加熱する加熱工程と、を実行することにより、前記ボイル済みの小型魚介類の変敗を抑制するとともに保存性を向上させる小型魚介類の加熱処理方法。

請求項3

太陽光を利用して行う天日乾燥工程によって乾燥された前記ボイル済みの小型魚介類を含塩水に浸漬させて前記ボイル済みの小型魚介類を前記所定の含水率以上にする浸漬工程を更に有し、前記非天日乾燥工程は、前記浸漬工程後の前記ボイル済みの小型魚介類を前記所定の含水率になるように乾燥する請求項2に記載の小型魚介類の加熱処理方法。

請求項4

前記加熱工程は、前記ボイル済みの小型魚介類が密封包装された前記容器の外部から前記容器内の前記ボイル済みの小型魚介類を間接的に加熱する請求項1から3のいずれかに記載の小型魚介類の加熱処理方法。

請求項5

前記所定の含水率は、30%以上85%以下の範囲に含まれる請求項1から4のいずれかに記載の小型魚介類の加熱処理方法。

請求項6

前記所定の含水率が70%以上85%以下である場合に、前記設定温度が概ね83℃であり、前記設定時間が概ね20分である請求項5に記載の小型魚介類の加熱処理方法。

請求項7

前記所定の含水率が30%以上60%未満である場合に、前記設定温度が概ね65℃であり、前記設定時間が概ね33分である請求項5に記載の小型魚介類の加熱処理方法。

請求項8

前記小型魚介類は、カタクチイワシマイワシウルメイワシアジサバ、及びイカナゴそれぞれの仔稚魚、又はエビであって、体長が60mm未満のものである請求項1から7のいずれかに記載の小型魚介類の加熱処理方法。

請求項9

請求項1から8のいずれかに記載の小型魚介類の加熱処理方法によって加熱されたボイル済みの小型魚介類が気密性を有する容器に密封包装されてなる小型魚介類の包装食品

技術分野

0001

本発明は、ボイル済みの小型魚介類を加熱する加熱処理方法、及び小型魚介類の包装食品に関する。

背景技術

0002

鰯の仔稚魚を使用した小型魚類加工食品(以下「仔稚魚加工食品」と称する。)として、釜揚げしらすしらす干し、ちりめんじゃこなどが知られている。これらはいずれも、素材である鰯の仔稚魚を塩茹でしたものであるが、塩茹で後の乾燥の程度によって呼び名が異なる。例えば、鰯の仔稚魚を塩茹でして水切りしたものは「釜揚げしらす」と呼ばれている。また、塩茹でした仔稚魚を軽く乾燥して適度な柔らかさを残した状態にしたものは「しらす干し」と呼ばれている。そして、塩茹でした仔稚魚をじっくりと乾燥したものは「ちりめんじゃこ」と呼ばれている。乾燥の程度は、加工後の仔稚魚の重量含水率水分含有率)で区分けすることができ、例えば、釜揚げしらすの含水率は概ね70%〜85%であり、しらす干しの含水率は概ね60%〜65%であり、ちりめんじゃこの含水率は概ね45%〜55%である。なお、上述の含水率は画一的なものではなく、含水率が25%〜35%のものがちりめんじゃこと呼ばれ、含水率が50%〜60%のものがしらす干しと呼ばれる場合もある。

0003

上述の仔稚魚加工食品においては、塩茹でして乾燥した仔稚魚を容器密封包装し、その状態で容器ごと加熱殺菌することが従来から行われている。加熱殺菌は、細菌などの微生物による腐敗を防止して、加工食品の保存期間を長期化するために行われる。

先行技術

0004

特開平11−196760号公報

発明が解決しようとする課題

0005

ところで、従来の加熱殺菌方法として、オートクレーブ処理などのように120℃以上の高温で素材を短時間(例えば2〜3分)だけ加熱することにより、細菌はもとより芽胞をも不活化する方法が知られている。しかしながら、この方法を仔稚魚加工食品に適用した場合、仔稚魚加工食品の保存期間を長期化することはできても、高温加熱によって仔稚魚に含まれるタンパク質や脂質が熱変性して加工食品が変敗するという問題が生じる。具体的には、仔稚魚が変色したり、仔稚魚の風味食感が変わってしまって食用に適さなくなる。また、鰯の仔稚魚には、DHAや、DPA、EPAなどの多価不飽和脂肪酸が多く含まれており、これらは温度が高いと酸化変性し易い性質を有するため、高温加熱によって前記脂肪酸酸化して、風味を低下させるだけでなく、黄色に変色するという問題も生じる。また、含水率の高い仔稚魚加工食品が容器ごと高温に加熱されると、その加熱によって仔稚魚から水分が蒸気となって容器内に放出され、その後の冷却によって生じた水滴が仔稚魚に付着して、加工食品が水っぽくなり、商品価値が低下する場合もある。

0006

他の加熱殺菌方法として、比較的低い温度(例えば80℃以下の温度)で素材を長時間(数十分〜1時間程度)を加熱する低温殺菌方法が知られている。この低温殺菌方法としては、非耐熱性菌死滅する下限温度である63℃で30分間加熱殺菌する低温保持殺菌(LTLT法)が周知である。低温殺菌方法を仔稚魚加工食品に適用した場合、タンパク質や脂質の熱変性による変敗が抑制される。しかしながら、耐熱性菌や芽胞を死滅或いは不活化することができないため、仔稚魚加工食品の保存期間を長期化することができず、10℃の低温保存環境であっても食用に耐え得る状態は長くても5日又は6日程度しか保つことができない。

0007

本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、ボイル済みの小型魚介類の変敗を抑制するとともに風味や食感、色合いを低下させることなく、素材である小型魚介類の保存性を向上させることが可能な小型魚介類の加熱処理方法、及びこの方法で加熱処理された小型魚介類の包装食品を提供することにある。

課題を解決するための手段

0008

本発明は、太陽光を利用せずに行う非天日乾燥工程によって所定の含水率になるように乾燥されたボイル済みの小型魚介類を所定の容器に密封包装した状態で、15分以上40分以下の時間範囲内で予め定められた設定時間だけ、60℃以上85℃以下の温度範囲内で予め定められた設定温度になるように加熱する加熱工程を行うことにより、前記ボイル済みの小型魚介類の変敗を抑制するとともに保存性を向上させる小型魚介類の加熱処理方法である。

0009

また、本発明は、太陽光を利用せずに所定の含水率になるようにボイル済みの小型魚介類を乾燥する非天日乾燥工程と、前記非天日乾燥工程によって乾燥された前記ボイル済みの小型魚介類を所定の容器に密封包装した状態で、15分以上40分以下の時間範囲内で予め定められた設定時間だけ、60℃以上85℃以下の温度範囲内で予め定められた設定温度になるように加熱する加熱工程と、を実行することにより、前記ボイル済みの小型魚介類の変敗を抑制するとともに保存性を向上させる小型魚介類の加熱処理方法である。

0010

本発明は、太陽光を利用して行う天日乾燥工程によって乾燥された前記ボイル済みの小型魚介類を含塩水に浸漬させて前記ボイル済みの小型魚介類を前記所定の含水率以上にする浸漬工程を更に有する。この場合、前記非天日乾燥工程は、前記浸漬工程後の前記ボイル済みの小型魚介類を前記所定の含水率になるように水切り又は乾燥する。なお、前記含塩水は、例えば、pHが所定値に調整された塩水である。

0011

前記加熱工程は、前記ボイル済みの小型魚介類が所定の容器に密封包装された状態で前記容器の外部から前記容器内の前記ボイル済みの小型魚介類を間接的に加熱する。

0012

前記容器の高さサイズは、底面から20mm以上30mm以下であり、前記容器の高さサイズに対して30%以上40%以下の嵩となるように前記ボイル済みの小型魚介類が前記容器に密封包装されている。

0013

前記所定の含水率は、30%以上85%以下の範囲に含まれる。前記所定の含水率が70%以上85%以下である場合に、前記設定温度が概ね83℃であり、前記設定時間が概ね20分である。また、前記所定の含水率が30%以上60%未満である場合に、前記設定温度が概ね65℃であり、前記設定時間が概ね33分である。

0014

前記小型魚介類は、カタクチイワシマイワシウルメイワシアジサバ、及びイカナゴそれぞれの仔稚魚、又はエビであって、体長が60mm未満のものである。

0015

本発明は、上述の小型魚介類の加熱処理方法によって加熱されたボイル済みの小型魚介類が気密性を有する容器に密封包装されてなる小型魚介類の包装食品である。

発明の効果

0016

本発明の小型魚介類の加熱処理方法によれば、ボイル済みの小型魚介類の変敗を抑制するとともに風味や食感、色合いを低下させることなく、素材である小型魚介類の保存性を向上させることが可能である。

0017

また、本発明の小型魚介類の包装食品であれば、ボイル済みの小型魚介類の変敗を抑制するとともに風味や食感、色合いを低下させることなく、長期間保存することが可能である。

図面の簡単な説明

0018

本発明の実施形態に係る包装食品の一例を示す図であり、図1(A)は斜視図であり、図1(B)は図1(A)における切断線IB−IBの断面図である。
図1の包装食品に対する加熱処理における加熱時間と加熱温度との関係を示すグラフである。
図1の包装食品に対する加熱処理における保存性及び変色に対する評価を示すグラフであり、図3(A)は含水率70〜85%の釜揚げしらすを加熱対象としたときの評価を示し、図3(B)は含水率30〜60%のしらす干しを加熱対象としたときの評価を示す。。

0019

以下、添付図を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。

0020

図1は、本発明の実施形態に係る包装食品10の構成を示す図である。図1に示されるように、包装食品10は、上面が開放された有底箱形状の容器11の内部に加工食品13を収納し、内部に空気を含ませた状態で、容器11の上部開口にフィルム12を貼り合わせて容器11の内部を気密状密封したものである。

0021

容器11は、上下方向よりも水平方向に大きい直方体形状に形成されており、ガスバリア性(気密性)を有する。容器11は、その高さサイズが、底面から18mm以上30mm以下のものが採用される。容器11は、例えば、プラスチック原料ブロー成形することにより、或いは、プラスチックシート真空成形することにより製造される。容器11は、ガスバリア性を有するものであれば如何なる形状のものであってもよく、如何なる材質のものであってもよい。例えば、一定の形状を有するものでなく、袋状の容器であってもよい。容器11の材質の具体例としては、ポリエチレンポリプロピレンポリ塩化ビニルポリ塩化ビニリデンポリエチレンテレフタラートABS樹脂エチレン酢酸ビニル樹脂、エチレン−ビニルアルコール樹脂ポリアミドポリカーボネートなどが挙げられる。

0022

フィルム12は、合成樹脂などの高分子成分などを薄い膜状に成型したものである。このフィルム12は、不図示の熱溶着装置によって容器11の上部開口の周縁熱溶着されるものであって、ガスバリア性を有する材質で構成されている。フィルム12は、有色であっても無色であってもよいが、容器11の内部に収容された加工食品13を外部から視認できるように、透明又は半透明であることが好ましい。また、フィルム12が透明又は半透明である場合は、紫外線を透過させないUVカットフィルムであることが好ましい。フィルム12としては、例えば、ポリエチレンフィルムポリ塩化ビニルフィルムポリビニルアルコールフィルムポリプロピレンフィルムポリエステルフィルムポリカーボネートフィルムポリスチレンフィルムナイロンフィルムなどが挙げられる。

0023

容器11内に密封包装される加工食品13としては、カタクチイワシ、マイワシ、ウルメイワシ、アジ、サバ、及びイカナゴそれぞれの仔稚魚(所謂シラス)などの小型魚類をボイルして、その後に水切り又は乾燥させたものが用いられる。具体的には、塩分が所定濃度熱水で前記仔稚魚を塩茹でし、その後、所定の含水率となるように水切り又は人工乾燥させたものである。本実施形態では、塩茹で後の前記仔稚魚を30%以上85%以下の含水率となるように水切り又は人工乾燥する。加工食品13として、カタクチイワシ、マイワシ、ウルメイワシなどの鰯類の仔稚魚が好適であるが、もちろん、それ以外のの仔稚魚であってもよい。加工食品13の原料としての仔稚魚は、その体長が60mm未満のものであって、ボイル後の体色が白色となるものが用いられる。加工食品13の具体例としては、例えば、釜揚げしらす、しらす干し、ちりめんじゃこなどが挙げられる。なお、本実施形態では、小型魚類の仔稚魚を例にして説明するが、60mm未満の小型のエビを加工食品13の素材として用いてもよい。

0024

容器11には、その高さサイズに対して30%以上40%以下の嵩となるように加工食品13が収容されて、密封包装されることが好ましい。本実施形態では、容器11の高さサイズに対して3分の1の嵩となるように加工食品13が容器11に密封包装される。

0025

前記人工乾燥を行う人工乾燥工程は、太陽光を利用しない方法で行う乾燥であればよい。つまり、人工乾燥工程は、非天日乾燥によってボイル後の仔稚魚を乾燥する。前記人工乾燥工程としては、素材の形状を崩さずに乾燥させることができる送風乾燥が好適である。なお、形状を崩さずに乾燥する方法として、影干しによる乾燥を適用してもよい。

0026

前記人工乾燥工程として、太陽光を利用した天日乾燥は好ましくない。経験的に、ボイル後に天日乾燥させた仔稚魚は、その後の加熱処理の内容や保存日数に影響して、ピンク色や褐色に変色するものが多く現れることが知られており、これにより、商品価値が下がる。ピンク色や褐色などの変色は、素材となる仔稚魚の漁獲時期や魚種海水の環境、プランクトン)等によって異なる。変色の要因として、カニエビ類幼生捕食した仔稚魚がボイル後に天日乾燥された場合に、前記幼生に含まれていた色素が影響すると考えられている。また、太陽光の熱又は太陽光に含まれる光線などによってタンパク質が褐変して変色するとも考えられている。なお、カニやエビ類の幼生を捕食した仔稚魚であっても、人工乾燥されたものはピンク色や褐色に変色しないことが経験的に知られている。

0027

以下、図2を参照して、加工食品13が密封包装された包装食品10を加熱殺菌する加熱処理方法(加熱殺菌処理方法)について説明する。

0028

包装食品10は、加熱殺菌炉内で加熱処理(加熱殺菌処理)される。この加熱処理を行う工程が本発明の加熱工程である。加熱殺菌炉は、予め定められた設定温度の温水が炉内の天井から散布されるようになっている。炉内は複数の包装食品10が収容可能に構成されており、収容された複数の包装食品10に対して熱水が天井から散布される。熱水は、63℃以上85℃以下の温度範囲内で予め定められた設定温度に昇温されたものである。この熱水が包装食品10に散布されることによって、包装食品10が加熱される。これにより、容器11の内部に収容された加工食品13が容器11の外部から間接的に加熱される。

0029

ここで、一般に、非耐熱性菌は概ね60℃以上の温度で死滅する。このことに鑑みて、前記設定温度の下限値を60℃としている。また、一般に、タンパク質は、その種類によって熱変性を引き起こす温度が異なり、例えば、約60℃以上になると周囲に軽く結びつき水和状態をつくって変性し始めるものもあれば、80℃以上にならなければ熱変性を生じないものもある。本出願人は、含水率の異なる複数の仔稚魚を異なる加熱温度で加熱した多数のサンプルを生成し、これらのサンプルの変色の有無と加熱温度との関係に着目することにより、体長が60mm未満の鰯の仔稚魚を加熱させたときの熱変性が生じ始める温度が85℃よりも高い温度であることを突き止めた。このことに鑑みて、前記設定温度の上限値を85℃としている。

0030

加熱殺菌炉における加熱時間は、15分以上40分以下の時間範囲内で予め定められた設定時間である。つまり、加熱殺菌炉において、包装食品10の内部の加工食品13は、容器11を介して前記設定温度の熱水によって、前記設定時間だけ加熱される。これにより、内部の加工食品13は、次第に熱水と同じ温度、つまり、前記設定温度に加熱される。

0031

加熱処理における前記設定時間は、加熱に用いられる前記熱水の前記設定温度に委ねられる。詳細には、前記設定時間と前記設定温度とが、図2に示される直線L1(図2実線参照)に沿って延びる帯状の範囲L2(図2において破線で囲まれた範囲)に含まれるように、各設定値が定められる。ここで、直線L1は、図2において加熱温度が85℃であり加熱時間が15分となるポイントP1(座標点)と、加熱温度が60℃であり加熱時間が40分となるポイントP2(座標点)とを結ぶ線分である。また、範囲L2は、直線L1上の各ポイントにおいて、加熱温度方向(縦軸方向)へ±約5℃を隔てた地点、及び、加熱時間方向(横軸方向)へ±約5分を隔てた地点を境界とする帯状の範囲である。ただし、範囲L2において、加熱温度の下限は60℃であり、上限は85℃である。また、範囲L2において、加熱時間の下限は15分であり、上限は40分である。この範囲L2内に含まれる前記設定時間及び前記設定温度で包装食品10を加熱処理することにより、包装食品10に含まれる加工食品13の変敗を効果的に抑制するとともに、風味や食感、色合いを低下させることなく、素材である鰯の仔稚魚の保存性を向上させることが可能となる。

0032

ところで、一般に、加熱時間を一定にして加熱処理をした場合、含水率が高いほど、タンパク質や脂質が変敗し始める温度が高く、含水率が低いほど、タンパク質や脂質が変敗し始める温度が低い(図3参照)。言い換えると、含水率が高いほど、加熱温度の設定値を高くすることができ、含水率が低いほど、加熱温度の設定値を低くしなければならない。また、加熱温度が高いほど加熱殺菌効果が高く現れ、保存期間を長くすることができることは従来から知られている。本出願人は、鋭意研究を重ねた結果、含水率が70%以上85%以下の加工食品13に対しては、図3(A)に示されるように、加熱温度が83℃よりも高い温度で変敗が一気に進むことを突き止めた。また、含水率が30%以上60%以下の加工食品13に対しては、図3(B)に示されるように、加熱温度が65℃よりも高い温度で変敗が一気に進むことを突き止めた。このため、本発明の加熱処理方法においては、加工食品13の含水率が70%以上85%以下である場合に、前記設定温度が概ね83℃であり、前記設定時間が概ね20分という条件で、包装食品10の加熱処理が行われる。また、加工食品13の含水率が30%以上60%以下である場合に、前記設定温度が概ね65℃であり、前記設定時間が概ね33分という条件で、包装食品10の加熱処理が行われる。このように、加工食品13の含水率に応じた適切な条件で加熱処理を行うことにより、風味や食感、色合いを低下させることなく加工食品13の変敗をより効果的に抑制することができ、更に、保存期間も長期化することができる。

0033

なお、上述の実施形態では、包装食品10に対して加熱殺菌炉で加熱処理を行う例について説明したが、本発明は、所定の含水率になるようにボイル済みの前記仔稚魚(小型魚類)を前記人工乾燥などで乾燥する工程(非天日乾燥工程)を行い、これにより乾燥された仔稚魚を容器11に密封包装し、密封包装した状態で、包装食品10ごと前記加熱処理する工程を行う加熱処理方法であってもよい。

0034

ここで、包装食品10を製造するにあたり、太陽光を利用した天日乾燥工程(天日干し)によって乾燥されたボイル済みの仔稚魚を使用する場合がある。上述したように、天日乾燥させた仔稚魚は、ピンク色に変色するものが多く現れる。本出願人は、このような仔稚魚を使用する場合に、ピンク色の変色が生じなくなる条件を鋭意研究の結果見出すことができた。具体的には、天日乾燥によって乾燥された仔稚魚を使用する場合は、当該ボイル済みの仔稚魚を所定の濃度の含塩水に一旦浸漬させて前記ボイル済みの仔稚魚を所定の含水率以上(具体的には85%以上)にする浸漬工程を付加的に行う。前記含塩水としては、pHが所定値(例えば9.0以上)に調整された塩水を適用する。そして、その後に水切りをした仔稚魚を前記非天日乾燥工程において前記人工乾燥によって所望の含水率になるように調整する。このように、天日乾燥させた仔稚魚を含塩水に一旦浸漬させる工程を経て再び前記人工乾燥によって乾燥させる工程を行うことにより、ピンク色などの変色が生じなくなる。これにより、天日乾燥によるボイル済みの仔稚魚を使用した場合でも、風味や食感、色合いを低下させることなく加工食品13の変敗をより効果的に抑制することができ、更に、保存期間も長期化する包装食品10を得ることができる。

0035

以下、本発明の実施例について説明する。

0036

(実施例1)
実施例1として、平均含水率が概ね78%となるように人工乾燥されたボイル済みの鰯の仔稚魚(釜揚げしらす)が密封包装された9個の包装食品10Aを用意した。包装食品10Aの容器11は、PET(ポリエチレンテレフタラート)樹脂で構成された厚さ0.25〜0.3μm、横幅110mm×長さ180mm×深さ20mmの角形トレイ(容器)を用いた。これら包装食品10Aを検体1〜9とし、それぞれに対して、前記加熱殺菌炉において、設定温度83℃の熱水を用いて設定時間20分散布して加熱処理を行った。各検体1〜9を一定温度10℃の下で冷蔵保管して微生物検査及び官能検査をしたところ、表1の結果が得られた。表1によると、製造直後の測定開始時の検体1に含まれる一般生菌個体数は検出されず、大腸菌検査陰性、臭いは良、外観は良、味覚は良であった。測定初日から1週間毎に次の検体に対して順次微生物検査及び官能検査を継続したところ、検体4に対する検査結果以降から一般生菌数が次第に増加するものの、7週間経過後の検体9であっても、加熱処理された加工食品に課される安全基準値(1.0×105個/g)を大幅に下回る結果が得られ、また、他の検査項目については、検体2〜9の全てにおいて初日の検査結果と同じ結果が得られた。

0037

0038

(結論)
実施例1の検査結果に明らかなように、実施例1の包装食品10Aは、内部の加工食品13の変敗を効果的に抑制するとともに、風味や食感、色合いを低下させることなく、素材である小型魚介類の保存性を向上させることができ、その結果、10℃の冷蔵環境下において、49日間の保存が可能であることが判明した。

0039

(実施例2)
実施例2として、含水率が概ね52%となるように人工乾燥されたボイル済みの鰯の仔稚魚(ちりめんじゃこ)が密封包装された9個の包装食品10Bを用意した。包装食品10Bの容器11は、実施例1と同じものを用いた。これら包装食品10Bを検体21〜29とし、それぞれに対して、前記加熱殺菌炉において、設定温度65℃の熱水を用いて設定時間33分散布して加熱処理を行った。各検体21〜29を一定温度10℃の下で冷蔵保管して微生物検査及び官能検査をしたところ、表2の結果が得られた。表2によると、製造直後の測定開始時の検体21に含まれる一般生菌の個体数は640個/g、大腸菌検査は陰性、臭いは良、外観は良、味覚は良であった。測定初日から1週間毎に次の検体に対して順次微生物検査及び官能検査を継続したところ、一般生菌数が次第に増加するものの、7週間経過後の検体29であっても、前記安全基準値(1.0×105個/g)を大幅に下回る結果が得られ、また、他の検査項目については、検体22〜29の全てにおいて初日の検査結果と同じ結果が得られた。

0040

実施例

0041

(結論)
実施例2の検査結果に明らかなように、実施例2の包装食品10Bは、内部の加工食品13の変敗を効果的に抑制するとともに、風味や食感、色合いを低下させることなく、素材である小型魚介類の保存性を向上させることができ、その結果、10℃の冷蔵環境下において、49日間の保存が可能であることが判明した。

0042

10:包装食品
11:容器
12:フィルム
13:加工食品

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