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技術 オルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体及びその製造方法

出願人 信越化学工業株式会社
発明者 萩原守
出願日 2016年5月12日 (4年7ヶ月経過) 出願番号 2016-096464
公開日 2017年11月16日 (3年1ヶ月経過) 公開番号 2017-203127
状態 特許登録済
技術分野 グラフト、ブロック重合体 付加系(共)重合体、後処理、化学変成
主要キーワード 一般特性 シロキサン含有ポリ 熱可塑性高分子材料 オレイン酸第一錫 シリコーン溶媒 部分溶解 加熱成型 ジオール構造
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2017年11月16日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (1)

課題

解決手段

式1で表される構造単位を有する重合体。[M1、M2はH、アセチル基、又は式2で表されるシロキサン基

概要

背景

ポリビニルアルコールは、優れたガスバリアー性や透明性を有する熱可塑性高分子材料である。そのガラス転移温度は約80度と比較的低く加熱成型性に優れるため、フィルムシート容器等の原料として広く使用されている。また、他の樹脂フィルムやシートに被覆されて、耐油性やガスバリアー性を改良するために用いられている。しかしながら、ポリビニルアルコールは、一般的な有機溶媒に対する溶解性が乏しく、液状材料としての取り扱い性が非常に悪いという問題があった。また、新たな機能を付与するための変性剤との反応も乏しく、材料の改質が困難で用途も限られている。従って、ポリビニルアルコール特有性質を保ちつつ、溶剤溶解性が改善され、液状材料としての取り扱い性が非常に良いポリビニルアルコールが望まれていた。

この問題を解決することを目的として、特許文献1には、アルコキシ基を側鎖に有するポリマーが提案されている。しかしながら、溶解性を改善できる一方で、Siに結合した側鎖のアルコキシ基は加水分解性が強く、溶液定性に対して別の問題が発生する。また、安全性の高いシリコーン溶媒脂肪族炭化水素溶媒に対する溶解性については一切検討されていない。

また、特許文献2には、直鎖のシロキサンを側鎖に有するポリマーが提案されている。このポリマーは、トルエンキシレン等の芳香族炭化水素溶媒、N,N−ジメチルホルムアミドDMF)、メチルエチルケトン(MEK)等の極性溶媒に対する溶解性は向上するが、安全性の高いシリコーン溶媒や脂肪族炭化水素溶媒に対する溶解性が悪く、前記問題の根本的解決には至っていない。

また、特許文献3には、ポリビニルアルコールの造膜性、強靭性、優れたガスバリアー性や透明性等の一般特性と、分岐構造を有するシリコーンの有機溶媒への高い溶解性、液状材料としての優れた取り扱い性の両方の性質を併せ持つ材料として置換シリルアルキルカルバミド酸ポリビニルアルコールを提供している。しかし、一般のポリビニルアルコールとシリコーン変性剤反応性が低く、高い変性率の置換シリルアルキルカルバミド酸ポリビニルアルコールを得るには過剰量のシリコーン変性剤を用いなくてはならず、製造コストが高くなり、目的の使用用途に合わない場合が多い。

概要

皮膜形成性、透明性等の一般特性を有し、有機溶媒への溶解性が高いオルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体の提供。式1で表される構造単位を有する重合体。[M1、M2はH、アセチル基、又は式2で表されるシロキサン基]なし

目的

従って、ポリビニルアルコール特有の性質を保ちつつ、溶剤溶解性が改善され、液状材料としての取り扱い性が非常に良いポリビニルアルコールが望まれていた

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

下記一般式(1)で示される構造単位を有するものであることを特徴とするオルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体。(式中、M1及びM2は水素原子アセチル基、又は下記一般式(2)で示されるシロキサン基であって、M1及びM2のうち少なくとも一方は下記一般式(2)で示されるシロキサン基である。Aは単結合又は連結基を示す。)(式中、R1は炭素数1〜6の1価の有機基であり、R2、R3、及びR4は各々炭素数1〜6の1価の有機基又は−OSiR5R6R7で示されるシロキシ基であり、R5、R6、及びR7は各々炭素数1〜6の1価の有機基である。nは1〜10の整数、aは0〜2の整数である。)

請求項2

前記オルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体が、さらに、下記一般式(3)で示される構造単位を有し、GPCで測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が5,000〜500,000であるものであることを特徴とする請求項1に記載のオルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体。(式中、M3は水素原子、アセチル基、又は前記一般式(2)で示されるシロキサン基である。)

請求項3

前記一般式(2)において、nが3であり、R2、R3、及びR4がメチル基であり、aが0であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のオルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体。

請求項4

下記一般式(4)で表される構造単位を含有するポリビニルアルコール系樹脂化合物と下記一般式(5)で表されるイソシアネート基含有オルガノポリシロキサンとを反応させることを特徴とするオルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体の製造方法。(式中、Aは単結合又は連結基を示す。)(式中、R1は炭素数1〜6の1価の有機基であり、R2、R3、及びR4は各々炭素数1〜6の1価の有機基又は−OSiR5R6R7で示されるシロキシ基であり、R5、R6、及びR7は各々炭素数1〜6の1価の有機基である。nは1〜10の整数、aは0〜2の整数である。)

請求項5

前記ポリビニルアルコール系樹脂化合物として、さらに、下記式(6)で表される構造単位を含有するものを用いることを特徴とする請求項4に記載のオルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体の製造方法。

請求項6

前記一般式(5)で示されるイソシアネート基含有オルガノポリシロキサンとして、トリストリメチルシロキシシリルプロピルイソシアネートを用いることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のオルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体の製造方法。

技術分野

0001

本発明はオルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体に関し、特に新規なオルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

ポリビニルアルコールは、優れたガスバリアー性や透明性を有する熱可塑性高分子材料である。そのガラス転移温度は約80度と比較的低く加熱成型性に優れるため、フィルムシート容器等の原料として広く使用されている。また、他の樹脂フィルムやシートに被覆されて、耐油性やガスバリアー性を改良するために用いられている。しかしながら、ポリビニルアルコールは、一般的な有機溶媒に対する溶解性が乏しく、液状材料としての取り扱い性が非常に悪いという問題があった。また、新たな機能を付与するための変性剤との反応も乏しく、材料の改質が困難で用途も限られている。従って、ポリビニルアルコール特有性質を保ちつつ、溶剤溶解性が改善され、液状材料としての取り扱い性が非常に良いポリビニルアルコールが望まれていた。

0003

この問題を解決することを目的として、特許文献1には、アルコキシ基を側鎖に有するポリマーが提案されている。しかしながら、溶解性を改善できる一方で、Siに結合した側鎖のアルコキシ基は加水分解性が強く、溶液定性に対して別の問題が発生する。また、安全性の高いシリコーン溶媒脂肪族炭化水素溶媒に対する溶解性については一切検討されていない。

0004

また、特許文献2には、直鎖のシロキサンを側鎖に有するポリマーが提案されている。このポリマーは、トルエンキシレン等の芳香族炭化水素溶媒、N,N−ジメチルホルムアミドDMF)、メチルエチルケトン(MEK)等の極性溶媒に対する溶解性は向上するが、安全性の高いシリコーン溶媒や脂肪族炭化水素溶媒に対する溶解性が悪く、前記問題の根本的解決には至っていない。

0005

また、特許文献3には、ポリビニルアルコールの造膜性、強靭性、優れたガスバリアー性や透明性等の一般特性と、分岐構造を有するシリコーンの有機溶媒への高い溶解性、液状材料としての優れた取り扱い性の両方の性質を併せ持つ材料として置換シリルアルキルカルバミド酸ポリビニルアルコールを提供している。しかし、一般のポリビニルアルコールとシリコーン変性剤反応性が低く、高い変性率の置換シリルアルキルカルバミド酸ポリビニルアルコールを得るには過剰量のシリコーン変性剤を用いなくてはならず、製造コストが高くなり、目的の使用用途に合わない場合が多い。

先行技術

0006

特公平5−53838号公報
特許第3167892号公報
特開2011−246642号公報

発明が解決しようとする課題

0007

本発明は、前記の問題点を解決するためになされたものであり、皮膜形成性や透明性等の一般特性を有し、有機溶媒への溶解性が高いことから液状材料としての取り扱い性に優れるオルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体を提供することを目的とする。
また、上記オルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体を効率よくかつ工業的に低コストで製造するための製造方法を提供することを別の目的とする。

課題を解決するための手段

0008

上記課題を解決するため、本発明では、下記一般式(1)で示される構造単位を有するオルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体を提供する。



(式中、M1及びM2は水素原子アセチル基、又は下記一般式(2)で示されるシロキサン基であって、M1及びM2のうち少なくとも一方は下記一般式(2)で示されるシロキサン基である。Aは単結合又は連結基を示す。)



(式中、R1は炭素数1〜6の1価の有機基であり、R2、R3、及びR4は各々炭素数1〜6の1価の有機基又は−OSiR5R6R7で示されるシロキシ基であり、R5、R6、及びR7は各々炭素数1〜6の1価の有機基である。nは1〜10の整数、aは0〜2の整数である。)

0009

このようなオルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体であれば、ポリビニルアルコールの高い結晶性下げることで、有機溶剤への溶解性が上がり変性剤との反応性がより高いものとなり、ポリビニルアルコールの皮膜形成性や透明性等の一般特性と、分岐構造を有するシリコーンの有機溶媒への高い溶解性、液状材料としての優れた取り扱い性の両方の性質を併せ持つ、安価で優れた材料となる。そのため、化粧料接着剤塗料等として好適に用いることができる。

0010

このとき、前記オルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体が、さらに、下記一般式(3)で示される構造単位を有し、GPCで測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が5,000〜500,000であるものであることが好ましい。



(式中、M3は水素原子、アセチル基、又は前記一般式(2)で示されるシロキサン基である。)

0011

このようなオルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体であれば、より確実に、ポリビニルアルコールの皮膜形成性や透明性等の一般特性と、分岐構造を有するシリコーンの有機溶媒への高い溶解性、液状材料としての優れた取り扱い性の両方の性質を併せ持つ、安価で優れた材料となる。また、フィルム強度の点で劣る恐れがなく、取り扱い性や溶解性の点で劣る恐れがない。

0012

またこのとき、前記一般式(2)において、nが3であり、R2、R3、及びR4がメチル基であり、aが0であることが好ましい。

0013

このように、前記一般式(2)において、nが3であり、R2、R3、及びR4がメチル基であり、aが0であれば、生産性、反応性等がより優れたものとなる。

0014

また、本発明では、下記一般式(4)で表される構造単位を含有するポリビニルアルコール系樹脂化合物と下記一般式(5)で表されるイソシアネート基含有オルガノポリシロキサンとを反応させるオルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体の製造方法を提供する。



(式中、Aは単結合又は連結基を示す。)



(式中、R1は炭素数1〜6の1価の有機基であり、R2、R3、及びR4は各々炭素数1〜6の1価の有機基又は−OSiR5R6R7で示されるシロキシ基であり、R5、R6、及びR7は各々炭素数1〜6の1価の有機基である。nは1〜10の整数、aは0〜2の整数である。)

0015

オルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体の原料となるポリビニルアルコール系樹脂化合物の中に上記一般式(4)で表される構造単位が含有されることで、該ポリビニルアルコール系樹脂化合物は有機溶剤に溶けやすくなり、かつ上記一般式(5)で表されるイソシアネート基含有オルガノポリシロキサンとの反応率を著しく向上させることができる。これにより、上記オルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体を効率よくかつ工業的に低コストで製造することができる。

0016

このとき、前記ポリビニルアルコール系樹脂化合物として、さらに、下記式(6)で表される構造単位を含有するものを用いることが好ましい。

0017

このようなオルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体の製造方法であれば、反応性の高いイソシアネート基とポリビニルアルコール系樹脂化合物の水酸基を効果的に反応させることが可能であり、上記一般式(1)で示される構造単位を有するオルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体を容易に得ることができる。

0018

またこのとき、前記一般式(5)で示されるイソシアネート基含有オルガノポリシロキサンとして、トリストリメチルシロキシシリルプロピルイソシアネートを用いることが好ましい。

0019

このように、前記一般式(5)で示されるイソシアネート基含有オルガノポリシロキサンとして、トリストリメチルシロキシシリルプロピルイソシアネートを用いることによって、高い変性率を持つオルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体を効率よく得ることができる。

発明の効果

0020

本発明のオルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体であれば、ポリビニルアルコールの高い結晶性を下げることで有機溶剤への溶解性が上がり変性剤との反応性がより高いものとなり、ポリビニルアルコールの皮膜形成性や透明性等の一般特性と、分岐構造を有するシリコーンの有機溶媒への高い溶解性、液状材料としての優れた取り扱い性の両方の性質を併せ持つ安価な材料となる。そのため、化粧料、接着剤、塗料等として好適に用いることができる。
また、本発明のオルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体の製造方法であれば、反応性の高いイソシアネート基とポリビニルアルコール系樹脂化合物の水酸基をより効果的に反応させることができる。これにより、本発明のオルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体を容易かつ効率よく製造でき、さらに、工業的に低コスト即ち安価に得ることができる。

図面の簡単な説明

0021

実施例1で得られたポリマーのIR分析結果を示した図である。

0022

前述のように、ポリビニルアルコール特有の性質を保ちつつ、溶剤溶解性が改善され、液状材料としての取り扱い性が非常に良いポリビニルアルコールが望まれていた。

0023

本発明者らは、ポリビニルアルコール系重合体と分岐構造を有するシリコーンの両方の性質を併せ持つシロキサン含有ポリビニルアルコールを開発すべく鋭意検討を重ねた結果、後述の一般式(4)で示される構造単位を含むポリビニルアルコール系樹脂化合物の水酸基と後述の一般式(5)で示されるイソシアネート基含有オルガノポリシロキサンとを反応させると、ポリビニルアルコール系樹脂化合物の水酸基の反応性が高いものであるため、イソシアネート基含有オルガノポリシロキサンと効果的に反応して、下記一般式(1)で示される構造単位を有するオルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体が容易かつ効率よく得られることを見出した。また、本発明者らは、このようにして得られたオルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体が、新規なものであり、ポリビニルアルコールの皮膜形成性や透明性等の一般特性と、分岐構造を有するシリコーンの有機溶媒への高い溶解性、液状材料としての優れた取り扱い性の両方の性質を併せ持つ材料となることを見出して、本発明を完成させた。

0024

即ち、本発明は、下記一般式(1)で示される構造単位を有するオルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体である。



(式中、M1及びM2は水素原子、アセチル基、又は下記一般式(2)で示されるシロキサン基であって、M1及びM2のうち少なくとも一方は下記一般式(2)で示されるシロキサン基である。Aは単結合又は連結基を示す。)



(式中、R1は炭素数1〜6の1価の有機基であり、R2、R3、及びR4は各々炭素数1〜6の1価の有機基又は−OSiR5R6R7で示されるシロキシ基であり、R5、R6、及びR7は各々炭素数1〜6の1価の有機基である。nは1〜10の整数、aは0〜2の整数である。)

0025

以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、本発明では、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定に用いる溶媒テトラヒドロフラン(THF)を用いるものとする。

0026

[オルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体]
本発明のオルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体は、下記一般式(1)で示される構造単位を有するものである。



(式中、M1及びM2は水素原子、アセチル基、又は下記一般式(2)で示されるシロキサン基であって、M1及びM2のうち少なくとも一方は下記一般式(2)で示されるシロキサン基である。Aは単結合又は連結基を示す。)



(式中、R1は炭素数1〜6の1価の有機基であり、R2、R3、及びR4は各々炭素数1〜6の1価の有機基又は−OSiR5R6R7で示されるシロキシ基であり、R5、R6、及びR7は各々炭素数1〜6の1価の有機基である。nは1〜10の整数、aは0〜2の整数である。)

0027

ここで、R1,R2,R3,R4,R5,R6,及びR7は炭素数1〜6の1価の有機基であり、具体的には、メチル基、エチル基プロピル基ブチル基等のアルキル基シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基フェニル基等のアリール基ビニル基アリル基等のアルケニル基クロロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等の置換炭化水素基等が例示され、R1,R2,R3,R4,R5,R6,及びR7は、それぞれ同じであっても異なってもよい。また、R2,R3,及びR4は、各々−OSiR5R6R7で示されるシロキシ基であってもよく、このシロキシ基としては、トリメチルシロキシ基エチルジメチルシロキシ基、フェニルジメチルシロキシ基、ビニルジメチルシロキシ基、クロロメチルジメチルシロキシ基、3,3,3−トリフルオロプロピルジメチルシロキシ基等が例示される。

0028

上記一般式(2)中のaは0〜2の整数であり、好ましくは、上記一般式(2)において、nが3であり、R2、R3、及びR4がメチル基であり、aが0であることが好ましい。

0029

上記一般式(1)において、Aは単結合又は連結基を示すが、Aは単結合であることが好ましい。Aが単結合からなるオルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体であれば、工業的に生産性がより優れたものとなる。

0030

また、本発明のオルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体は、さらに、下記一般式(3)で示される構造単位を有し、GPCで測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が5,000〜500,000であるものであることが好ましい。



(式中、M3は水素原子、アセチル基、又は前記一般式(2)で示されるシロキサン基である。)

0031

本発明のオルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体の分子量は、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒とするGPCで測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が5,000〜5,000,000の範囲であればよく、好ましくは5,000〜500,000であり、より好ましくは10,000〜100,000である。数平均分子量が5,000以上であれば、フィルム強度の点で劣る恐れがなく、数平均分子量が500,000以下であれば、取り扱い性や溶解性の点で劣る恐れがない。

0032

(オルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体の製造方法)
また、本発明では、オルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体の製造方法を提供する。本発明のオルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体の製造方法では、下記一般式(4)で表される構造単位を含有するポリビニルアルコール系樹脂化合物と下記一般式(5)で表されるイソシアネート基含有オルガノポリシロキサンとを反応させる。



(式中、Aは単結合又は連結基を示す。)



(式中、R1は炭素数1〜6の1価の有機基であり、R2、R3、及びR4は各々炭素数1〜6の1価の有機基又は−OSiR5R6R7で示されるシロキシ基であり、R5、R6、及びR7は各々炭素数1〜6の1価の有機基である。nは1〜10の整数、aは0〜2の整数である。)

0033

オルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体の原料となるポリビニルアルコール系樹脂化合物の中に上記一般式(4)で表される構造単位が含有されることで、該ポリビニルアルコール系樹脂化合物は有機溶剤に溶けやすくなり、かつ上記一般式(5)で表されるイソシアネート基含有オルガノポリシロキサンとの反応率を著しく向上させることができる。

0034

また、前記ポリビニルアルコール系樹脂化合物として、さらに、下記式(6)で表される構造単位を含有するものを用いることが好ましい。

0035

上記一般式(4)で表される構造単位及び上記式(6)で表される構造単位を含有するポリビニルアルコール系樹脂化合物は、例えば下記一般式(7)で表される構造単位及び下記式(8)で表される構造単位を含むポリ酢酸ビニル系樹脂化合物をケン化することで得られる。



(式中、Aは上記と同様である。)

0036

なお、オルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体の原料であるポリビニルアルコール系樹脂化合物はポリ酢酸ビニル系化合物をケン化することで得ることができるが、該ポリビニルアルコール系樹脂化合物としては部分的にケン化されたものを用いることもできる。

0037

また、部分的にケン化されたポリビニルアルコール系樹脂化合物を用いてオルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体を合成した場合、代表的な化合物として上記一般式(7)で示される構造単位及び上記式(8)で示される構造単位を含むオルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体とすることができる。

0038

上記一般式(7)で示される構造単位及び上記式(8)で示される構造単位を含有するポリ酢酸ビニル系樹脂化合物は、下記一般式(9)で表される化合物と下記式(10)で表される化合物を重合することで得られる。



(式中、Aは上記と同様である。)

0039

上述のポリビニルアルコール系樹脂化合物の分子量としては、本発明のオルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体の分子量(即ち、GPCで測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn))が5,000〜5,000,000の範囲になるように適宜選ぶことが可能である。

0040

上述のポリビニルアルコール系樹脂化合物は、日本合成化学工業のG−PolymerTMとして製造販売され、入手することができる。具体的には、AZF8035W、OKS−6026、OKS−1011、OKS−8041、OKS−8049、OKS−1028、OKS−1027、OKS−1109、OKS−1083の中から選ぶことができる。

0041

本発明のオルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体の製造方法は、上記のようにポリビニルアルコール系樹脂化合物の水酸基とイソシアネート基含有オルガノポリシロキサンとを反応させることにより行われるが、このイソシアネート基含有オルガノポリシロキサンとしては、特にトリストリメチルシロキシシリルプロピルイソシアネート(即ち、上記一般式(5)において、nが3であり、R2、R3、及びR4がメチル基であり、aが0であるもの)を用いることが好ましい。トリストリメチルシロキシシリルプロピルイソシアネートとポリビニルアルコール系樹脂化合物とを反応させれば、トリトリメチルシロキシシリルプロピルカルバミド酸ポリビニルアルコール系重合体を得ることができる。これは、下記一般式(11)で示される構造単位を有するものである。



(式中、L1及びL2は水素原子、アセチル基、又は下記式(12)で示されるシロキサン基であって、L1及びL2のうち少なくとも一方は下記式(12)で示されるシロキサン基である。Aは単結合又は連結基を示す。)

0042

また、本発明のオルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体の製造方法は、上記のようにポリビニルアルコール系樹脂化合物の水酸基とイソシアネート基含有オルガノポリシロキサンとの反応により行われるが、このポリビニルアルコール系樹脂化合物はポリブテンジオール構造(即ち、上記一般式(4)において、Aが単結合であるもの)を含むことが好ましい。ポリブテンジオール構造を含むものであれば、有機溶媒への溶解性が高く、高い変性率を持つオルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体を効率よく得ることができる。これは、下記一般式(13)で示される構造単位を有するものである。



(式中、L1及びL2は上記と同様である。)

0043

なお、本発明のオルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体の製造方法は、ポリビニルアルコール系樹脂化合物の水酸基とイソシアネート基含有オルガノポリシロキサンとのウレタン結合生成反応による製造方法であるため、特別な反応条件反応装置を用いる必要はないが、ポリビニルアルコール系樹脂化合物とイソシアネート基含有オルガノポリシロキサンとの混合、反応効率、反応制御のためには溶媒を用いることが好ましい。この溶媒としては、酢酸メチル酢酸エチル酢酸ブチル等のエステル類アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類が例示されるが、これらは、1種単独でも2種以上を混合して用いても良い。

0044

また、ここに使用する溶媒の種類により異なるが、この反応は通常は20〜150℃で1〜24時間とすればよく、この場合には、触媒としてトリエチルアミントリエチレンジアミンN−メチルモルホリン等のアミン類ジラウリン酸ジn−ブチル錫、オレイン酸第一錫等の有機金属化合物のようなウレタン結合形成に際して用いられる公知の触媒を添加してもよい。反応終了後は、洗浄、乾燥すれば目的とするオルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体を得ることができる。

0045

以下、本発明を実施例及び比較例によってさらに詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。

0046

[実施例1]
滴下ロート冷却管温度計、及び攪拌装置を備えたフラスコに、上記一般式(4)で示される構造単位を含有するポリビニルアルコール系樹脂化合物として、日本合成化学工業から入手したG−Polymer(OKS−1011;重合度300、ケン化率%98.5%)を20g、N−メチルピロリドンを180g、トリエチルアミンを0.6g、トリストリメチルシロキシシリルプロピルイソシアネートを52.5g仕込み、90℃で4時間反応を行った。反応終了後、水とメタノール混合液中にて生成物析出させ、さらに水とメタノール混合液で繰り返し洗浄後、70℃で24時間減圧乾燥を行い58.0gのポリマーを得た。図1にこのポリマーのIR分析結果を示す。このIR分析結果より、イソシアネート基の2,270cm−1の吸収がほぼ消失し、得られたポリマーが上記一般式(1)で示される構造単位を有するトリストリメチルシロキシシリルプロピルカルバミド酸ポリビニルアルコールであることが確認された。THFを溶媒としたGPCにより測定された数平均分子量(Mn)は、ポリスチレン換算で26,000であり、分子量分布は1.61であった。得られたポリマーの各種溶剤への溶解性を表1に示す。また、この反応における変性率と、得られたポリマーを5質量%でイソプロパノールに溶解させ溶液流延法で作製した皮膜膜厚300μm)の外観の結果を表2に示す。

0047

[実施例2]
実施例1と同様の装置を使用し、上記一般式(4)で示される構造単位を含有するポリビニルアルコール系樹脂化合物として、日本合成化学工業から入手したG−Polymer(OKS−1083;重合度1,900、ケン化率%99.8%)を20g、N−メチルピロリドンを180g、トリエチルアミンを0.6g、トリストリメチルシロキシシリルプロピルイソシアネートを52.5g仕込み、90℃で4時間反応を行った。反応終了後、水とメタノールの混合液中にて生成物を析出させ、さらに水とメタノール混合液で繰り返し洗浄後、70℃で24時間減圧乾燥を行い65.5gのポリマーを得た。IR分析結果より、イソシアネート基の2,270cm−1の吸収がほぼ消失し、得られたポリマーが上記一般式(1)で示される構造単位を有するトリストリメチルシロキシシリルプロピルカルバミド酸ポリビニルアルコールであることが確認された。THFを溶媒としたGPCにより測定された数平均分子量(Mn)は、ポリスチレン換算で68,000であり、分子量分布は1.23であった。得られたポリマーの各種溶剤への溶解性を表1に示す。また、この反応における変性率と、得られたポリマーを5質量%でイソプロパノールに溶解させ溶液流延法で作製した皮膜(膜厚300μm)の外観の結果を表2に示す。

0048

[実施例3]
実施例1と同様の装置を使用し、上記一般式(4)で示される構造単位を含有するポリビニルアルコール系樹脂化合物として、日本合成化学工業から入手したG−Polymer(OKS−1083;重合度1,900、ケン化率%99.8%)を20g、N−メチルピロリドンを180g、トリエチルアミンを0.6g、トリストリメチルシロキシシリルプロピルイソシアネートを105g仕込み、90℃で4時間反応を行った。反応終了後、水とメタノールの混合液中にて生成物を析出させ、さらに水とメタノール混合液で繰り返し洗浄後、70℃で24時間減圧乾燥を行い96.4gのポリマーを得た。IR分析結果より、イソシアネート基の2,270cm−1の吸収がほぼ消失し、得られたポリマーが上記一般式(1)で示される構造単位を有するトリストリメチルシロキシシリルプロピルカルバミド酸ポリビニルアルコールであることが確認された。THFを溶媒としたGPCにより測定された数平均分子量(Mn)は、ポリスチレン換算で135,000であり、分子量分布は1.59であった。得られたポリマーの各種溶剤への溶解性を表1に示す。また、この反応における変性率と、得られたポリマーを5質量%でイソプロパノールに溶解させ溶液流延法で作製した皮膜(膜厚300μm)の外観の結果を表2に示す。

0049

[比較例1]
実施例1と同様の装置を使用し、上記一般式(4)で示される構造単位を含有していないポリビニルアルコール系樹脂化合物として、一般高ケン化型ポバール(重合度550、ケン化率%98.5%)を20g、N−メチルピロリドンを380g、トリエチルアミンを0.6g、トリストリメチルシロキシシリルプロピルイソシアネートを42.0g仕込み、90℃で6時間反応を行った。反応終了後、水とメタノールの混合液中にて生成物を析出させ、さらに水とメタノール混合液で繰り返し洗浄後、70℃で24時間減圧乾燥を行い40.0gのポリマーを得た。IR分析結果より、イソシアネート基の2,270cm−1の吸収がほぼ消失し、得られたポリマーが上記一般式(1)で示される構造単位を有さないトリストリメチルシロキシシリルプロピルカルバミド酸ポリビニルアルコールであることが確認された。THFを溶媒としたGPCにより測定された数平均分子量(Mn)は、ポリスチレン換算で60,000であり、分子量分布は1.85であった。得られたポリマーの各種溶剤への溶解性を表1に示す。また、この反応における変性率と、得られたポリマーを5質量%でイソプロパノールに溶解させ溶液流延法で作製した皮膜(膜厚300μm)の外観の結果を表2に示す。

0050

[比較例2]
実施例1と同様の装置を使用し、トリストリメチルシロキシシリルプロピルイソシアネートを83.4g使用した以外は比較例1と同様に行った結果、82.0gのポリマーを得た。IR分析結果より、イソシアネート基の2,270cm−1の吸収がほぼ消失し、得られたポリマーが上記一般式(1)で示される構造単位を有さないトリストリメチルシロキシシリルプロピルカルバミド酸ポリビニルアルコールであることが確認された。THFを溶媒としたGPCにより測定された数平均分子量(Mn)は、ポリスチレン換算で76,000であり、分子量分布は2.52であった。得られたポリマーの各種溶剤への溶解性を表1に示す。また、この反応における変性率と、得られたポリマーを5質量%でイソプロパノールに溶解させ溶液流延法で作製した皮膜(膜厚300μm)の外観の結果を表2に示す。

0051

1)溶解性は10質量%溶液を調製して評価した。○:溶解、△:部分溶解、×:不溶
2)D5:デカメチルシクロペンタシロキサン

0052

0053

表1及び表2に示されるように、実施例1〜3では、少ないシリコーン変性剤で効率よく反応を行って、本発明の上記一般式(1)で示される構造単位を有するオルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体を得ることができ、得られたものは優れた有機溶媒への溶解性、透明性、製膜性即ち皮膜形成性を有することがわかった。

0054

一方、上記一般式(1)で示される構造単位を有さない比較例1は、イソドデカンデカメチルシクロペンタシロキサンへの溶解性が低く、トルエンには不溶であった。また、上記一般式(1)で示される構造単位を有さない比較例1,2を用いて作製した皮膜は、透明性に劣るものとなった。

0055

以上の結果より、本発明のオルガノシロキサングラフトポリビニルアルコール系重合体が、ポリビニルアルコールの皮膜形成性や透明性等の一般特性と、分岐構造を有するシリコーンの有機溶媒への高い溶解性、液状材料としての優れた取り扱い性の両方の性質を併せ持つこと、及びこの重合体が低コストで製造できることが示された。

実施例

0056

なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

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