図面 (/)
課題
解決手段
概要
背景
例えば茶畝を刈取対象とした刈取作業のため、いわゆる乗用型の茶刈機が普及している。このものは茶畝を跨いで走行する走行機体と、この走行機体に取り付けられ、刈取作業を直接担う刈取機体と、この刈取機体の後段に設けられ刈り取った刈取枝葉を収容可能とする収容部と、刈り取った刈取枝葉を刈取機体から収容部へ移送する移送装置とを具え、目的に応じた茶園管理等を行うものである。
この移送装置は、本出願人が商標的に指称するスリットジェットタイプの機構を具えるものであって、刈取機体によって刈り取られた刈取枝葉は移送装置における移送ダクト内に流す搬送風によりこの中を一旦上昇移送され、取付装置後方のコンテナ等を適用した収容部に送られている。
このような移送装置についてみると、これを構成する上でいくつかの主としてスペース面での制約があり、結果的にこの制約を回避するため次のような構成が主流となっており、且つ技術常識として定着している。
即ち特許文献1たる特許第4349999号「茶枝葉の移送方法並びにその移送装置並びにこれを具えた茶刈機」に開示されているように、刈取装置後方からほぼ垂直上方に延びる移送ダクトは、その周囲に移送風を供給するためのスペースを容易に確保できなかったことから、まず、移送風を刈取幅全幅にわたって供給するための送風ダクトの一部を偏平に構成して、移送ダクトの後背面のわずかなスペースを利用してここに配設している。
一方、この送風ダクトに搬送風を供給するためのフレキシブルの送風ホースは、要求送風量の関係でかなり太径となり、その合理的配置としては、前記特許文献1に開示されているように、移送ダクトの上方中央を分割して、ここに送風ダクトとの接続スペースを確保する構成が採られ、この態様が技術常識として定着している。
しかし乍ら一方で、移送ダクト本来の機能からすると、移送ダクトの内部スペースである移送管路は、上昇移送の途中で分岐した形状となっている。換言すれば充分幅方向に移送管路が確保されていたものが、途中で中央に移送を阻害する仕切壁状の分岐部が存在するような形状となっている。
このため、実作業時には、刈取寸法が短いものの場合には、円滑な移送がなされるが、予期しない程の刈取寸法が長いものや、つる状のものが刈り取られたときには、分流部で滞留が生じてしまう場合もあった。
このようなことから、移送ダクトにあっては、上流で分岐しない単管状のものが要望されていたが、上記技術的制約から、実機として市場に提供されていない。
もちろん分岐しないタイプの移送ダクトについても先の特許文献1に提案されているが、実用的に満足できる作動状態を得るには、送風ホースの具体的配設態様や、関連諸部材の配設態様について更に技術的解決を図る必要があり、現実には市場への提供はなされていない。結果的に移送ダクトは上方分岐タイプのものが最善の形態として認識され、固定概念となってこのレイアウトが踏襲されている。
このような背景を考慮して本発明者らは、刈取枝葉が長寸のものであっても円滑に移送できるように、移送ダクトを途中で分岐しない単管状のものとすることを実現すべく、前記種々の制約を受けながらも、新たな着眼の下に関連諸部材の構成や配設に関し、新規な態様を鋭意開発している。
しかし乍ら一方でこのような単管タイプの移送ダクトとした場合、刈取装置後方の視界は完全に阻まれてしまい、刈取装置における移送ダクト後方に配設される収容部(コンテナ)への茶葉等の刈取枝葉の状況等の目視確認が不可能となってしまう。
概要
刈取枝葉の移送機能に優れた単管状の移送ダクトを採用した場合であっても充分後方の視界や移送ダクト内を移送されている刈取枝葉の挙動等を目視確認を可能とする新規な状況確認を容易にした刈取枝葉の移送装置並びにこれを具えた刈取装置を開発すること技術課題とした。 刈取対象の茶畝Tの幅方向に作用する刈刃31に対してその後段に付設され、送風ダクト6から供給される搬送風W1の作用で刈取枝葉Aを刈刃31直後方から一旦上昇させて所定の位置まで移送ダクト6内を移送する装置であって、前記移送ダクト6は、移送管路が途中で分岐しない単管状に構成され、且つその横断面形状は、刈刃31の幅方向に長い前後の前面板6Fと背面板6R及びこれらを結ぶ両側面板6Sとにより、偏平な断面形状を具え、この前面板6Fと背面板6Rとに透視窓66、67を設けたことを特徴とする。
目的
本発明はこのような問題を考慮してなされたものであって、刈取枝葉の移送機能に優れた単管状の移送ダクトを採用した場合であっても充分後方の視界や移送ダクト内を移送されている刈取枝葉の挙動等を目視確認を可能とする新規な状況確認を容易にした刈取枝葉の移送装置並びにこれを具えた刈取装置を開発することを技術課題とした
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
刈取対象の畝の幅方向に作用する刈刃に対してその後段に付設され、送風ダクトから供給される搬送風の作用で刈取枝葉を刈刃直後方から一旦上昇させて所定の位置まで移送ダクト内を移送する装置であって、前記移送ダクトは、移送管路が途中で分岐しない単管状に構成され、且つその横断面形状は、刈刃の幅方向に長い前後の前面板と背面板及びこれらを結ぶ両側面板とにより、偏平な断面形状を具え、この前面板と背面板とに透視窓を設けたことを特徴とする状況確認を容易にした刈取枝葉の移送装置。
請求項2
前記透視窓は、前面板に設けられる前透視窓と、後面板に設けられる後透視窓とから成り、前透視窓と後透視窓とのいずれか一方または双方は、上下方向に分割された複数の窓単体の組み合わせとして構成されていることを特徴とする請求項1記載の状況確認を容易にした刈取枝葉の移送装置。
請求項3
前記透視窓は、前透視窓と後透視窓との双方がそれぞれ複数の窓単体の組み合わせにより構成され、且つ移送ダクトを立設させた状態において、前透視窓と後透視窓とは、高さ方向の形成位置を段違い状にずらせて形成していることを特徴とする請求項1または2記載の状況確認を容易にした刈取枝葉の移送装置。
請求項4
前記送風ダクトは、移送ダクトの背面に重なるように設けられた偏平な形状の分配背面ダクトと、この分配背面ダクトに搬送風を供給する導流中継ダクトとを具え、この導流中継ダクトは、その上部に送風ホースを接続する導入口を有し、この導流中継ダクトは、移送ダクトの側面に沿うように配設され、この位置から分配背面ダクト内に搬送風を供給して、圧力風を畝幅方向に拡散分配し、移送ダクト内に移送作用を行う搬送風を吹き出すようにしたことを特徴とする請求項1、2または3記載の状況確認を容易にした刈取枝葉の移送装置。
請求項5
前記移送ダクトは、下方から上方にかけてその幅方向寸法を上すぼまり状とした肩部を有し、前記導流中継ダクトは、この肩部に設けられ、正面視で導流中継ダクトは、移送ダクトの下端部より幅方向において張り出さない状態に設けられていることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の状況確認を容易にした刈取枝葉の移送装置。
請求項6
技術分野
0001
本発明は、例えば収穫される茶葉や、茶畝整形のために刈り取られる茶枝葉を、刈取装置上で移送するための刈取枝葉の移送装置並びにこれを具えた刈取装置に関するものであって、特に茶枝葉等の移送状況や、その後の収容状況、更には刈取装置の後方状況等の確認を容易にできるようにした新規な装置に係るものである。
背景技術
0002
例えば茶畝を刈取対象とした刈取作業のため、いわゆる乗用型の茶刈機が普及している。このものは茶畝を跨いで走行する走行機体と、この走行機体に取り付けられ、刈取作業を直接担う刈取機体と、この刈取機体の後段に設けられ刈り取った刈取枝葉を収容可能とする収容部と、刈り取った刈取枝葉を刈取機体から収容部へ移送する移送装置とを具え、目的に応じた茶園管理等を行うものである。
この移送装置は、本出願人が商標的に指称するスリットジェットタイプの機構を具えるものであって、刈取機体によって刈り取られた刈取枝葉は移送装置における移送ダクト内に流す搬送風によりこの中を一旦上昇移送され、取付装置後方のコンテナ等を適用した収容部に送られている。
0003
このような移送装置についてみると、これを構成する上でいくつかの主としてスペース面での制約があり、結果的にこの制約を回避するため次のような構成が主流となっており、且つ技術常識として定着している。
即ち特許文献1たる特許第4349999号「茶枝葉の移送方法並びにその移送装置並びにこれを具えた茶刈機」に開示されているように、刈取装置後方からほぼ垂直上方に延びる移送ダクトは、その周囲に移送風を供給するためのスペースを容易に確保できなかったことから、まず、移送風を刈取幅全幅にわたって供給するための送風ダクトの一部を偏平に構成して、移送ダクトの後背面のわずかなスペースを利用してここに配設している。
0004
一方、この送風ダクトに搬送風を供給するためのフレキシブルの送風ホースは、要求送風量の関係でかなり太径となり、その合理的配置としては、前記特許文献1に開示されているように、移送ダクトの上方中央を分割して、ここに送風ダクトとの接続スペースを確保する構成が採られ、この態様が技術常識として定着している。
しかし乍ら一方で、移送ダクト本来の機能からすると、移送ダクトの内部スペースである移送管路は、上昇移送の途中で分岐した形状となっている。換言すれば充分幅方向に移送管路が確保されていたものが、途中で中央に移送を阻害する仕切壁状の分岐部が存在するような形状となっている。
このため、実作業時には、刈取寸法が短いものの場合には、円滑な移送がなされるが、予期しない程の刈取寸法が長いものや、つる状のものが刈り取られたときには、分流部で滞留が生じてしまう場合もあった。
0005
このようなことから、移送ダクトにあっては、上流で分岐しない単管状のものが要望されていたが、上記技術的制約から、実機として市場に提供されていない。
もちろん分岐しないタイプの移送ダクトについても先の特許文献1に提案されているが、実用的に満足できる作動状態を得るには、送風ホースの具体的配設態様や、関連諸部材の配設態様について更に技術的解決を図る必要があり、現実には市場への提供はなされていない。結果的に移送ダクトは上方分岐タイプのものが最善の形態として認識され、固定概念となってこのレイアウトが踏襲されている。
0006
このような背景を考慮して本発明者らは、刈取枝葉が長寸のものであっても円滑に移送できるように、移送ダクトを途中で分岐しない単管状のものとすることを実現すべく、前記種々の制約を受けながらも、新たな着眼の下に関連諸部材の構成や配設に関し、新規な態様を鋭意開発している。
しかし乍ら一方でこのような単管タイプの移送ダクトとした場合、刈取装置後方の視界は完全に阻まれてしまい、刈取装置における移送ダクト後方に配設される収容部(コンテナ)への茶葉等の刈取枝葉の状況等の目視確認が不可能となってしまう。
先行技術
0007
特許第4349999号公報
発明が解決しようとする課題
0008
本発明はこのような問題を考慮してなされたものであって、刈取枝葉の移送機能に優れた単管状の移送ダクトを採用した場合であっても充分後方の視界や移送ダクト内を移送されている刈取枝葉の挙動等を目視確認を可能とする新規な状況確認を容易にした刈取枝葉の移送装置並びにこれを具えた刈取装置を開発することを技術課題としたものである。
課題を解決するための手段
0009
すなわち請求項1記載の状況確認を容易にした刈取枝葉の移送装置は、刈取対象の畝の幅方向に作用する刈刃に対してその後段に付設され、送風ダクトから供給される搬送風の作用で刈取枝葉を刈刃直後方から一旦上昇させて所定の位置まで移送ダクト内を移送する装置であって、前記移送ダクトは、移送管路が途中で分岐しない単管状に構成され、
且つその横断面形状は、刈刃の幅方向に長い前後の前面板と背面板及びこれらを結ぶ両側面板とにより、偏平な断面形状を具え、この前面板と背面板とに透視窓を設けたことを特徴として成るものである。
0010
また請求項2記載の状況確認を容易にした刈取枝葉の移送装置は、前記請求項1記載の要件に加え、前記透視窓は、前面板に設けられる前透視窓と、後面板に設けられる後透視窓とから成り、前透視窓と後透視窓とのいずれか一方または双方は、上下方向に分割された複数の窓単体の組み合わせとして構成されていることを特徴として成るものである。
0011
更にまた請求項3記載の状況確認を容易にした刈取枝葉の移送装置は、前記請求項1または2記載の要件に加え、前記透視窓は、前透視窓と後透視窓との双方がそれぞれ複数の窓単体の組み合わせにより構成され、且つ移送ダクトを立設させた状態において、前透視窓と後透視窓とは、高さ方向の形成位置を段違い状にずらせて形成していることを特徴として成るものである。
0012
また請求項4記載の状況確認を容易にした刈取枝葉の移送装置は、前記請求項1、2または3記載の要件に加え、前記送風ダクトは、移送ダクトの背面に重なるように設けられた偏平な形状の分配背面ダクトと、この分配背面ダクトに搬送風を供給する導流中継ダクトとを具え、この導流中継ダクトは、その上部に送風ホースを接続する導入口を有し、この導流中継ダクトは、移送ダクトの側面に沿うように配設され、この位置から分配背面ダクト内に搬送風を供給して、圧力風を畝幅方向に拡散分配し、移送ダクト内に移送作用を行う搬送風を吹き出すようにしたことを特徴として成るものである。
0013
また請求項5記載の状況確認を容易にした刈取枝葉の移送装置は、前記請求項1、2、3または4記載の要件に加え、前記移送ダクトは、下方から上方にかけてその幅方向寸法を上すぼまり状とした肩部を有し、前記導流中継ダクトは、この肩部に設けられ、正面視で導流中継ダクトは、移送ダクトの下端部より幅方向において張り出さない状態に設けられていることを特徴として成るものである。
0014
また請求項6記載の状況確認を容易にした刈取枝葉の移送装置を具えた刈取装置は、刈取対象の畝を跨いで走行する走行機体と、
この走行機体に取り付けられ、刈取作業を直接担う刈取機体と、
この刈取機体の後段に設けられ、刈り取った刈取枝葉を収容可能とする収容部と、
刈り取った刈取枝葉を刈取機体から収容部へ移送する移送装置とを具え、
目的に応じた刈取作業を行う刈取装置であって、
前記移送装置は、前記請求項1、2、3、4または5いずれかに記載の装置が適用されることを特徴として成るものである。
そしてこれら各請求項記載の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
発明の効果
0015
まず請求項1記載の発明によれば、刈取枝葉の移送機能に優れた単管状の移送ダクトを採用した場合であっても、移送ダクトの後方に位置する収容部内及びその後方を視認することができる。また移送ダクト内の刈取枝葉の状況を視認することができる。
0016
また請求項2記載の発明によれば、透視窓を形成することによる前面板及び後面板の著しい強度低下を回避することができる。
また特に前面板、後面板が屈曲形成される場合には、透視窓を構成する透明素材の形成及びその設置を容易に行うことが可能となる。
更にまた、コンタミが発生した場合には、コンタミが発生した個所の透視窓のみ取り外して清掃を行うことにより、メンテナンス効率を向上することができる。
0017
また請求項3記載の発明によれば、前透視窓と後透視窓とが高さ方向の形成位置が段違い状にずらせて形成されているため、見る角度によって、前透視窓と後透視窓との双方を透過する視界と、前透視窓のみを透過してその後方を移送ダクトの内壁に遮られる視界とのいずれかを選択することが可能となる。
このため、前透視窓と後透視窓との双方を透過する視界を選択した場合には、移送ダクトの後方に位置する収容部内及びその後方を視認することができる。
一方、前透視窓のみを透過してその後方を移送ダクトの内壁に遮られる視界を選択した場合には、移送ダクト内を移送されている刈取枝葉の挙動等を、刈取枝葉が背景に埋もれてしまうことなく明確に目視確認することができる。
0018
更にまた請求項4記載の発明によれば、刈取枝葉が長寸のものであっても円滑に移送できるように、移送ダクトを途中で分岐しない単管状のものとすることができる。
0019
また請求項5記載の発明によれば、移送ダクトの上部における搬送風の流速低下を防止することができ、刈取枝葉の搬送を円滑に行うことができる。
また圧力風の効率を落とすことのないように送風ホースを取り廻すことができ、且つシンプルな外観形状とすることができる。
0020
また請求項6記載の発明によれば、刈取枝葉の移送機能に優れた単管状の移送ダクトを採用した場合であっても充分後方の視界や移送ダクト内を移送されている刈取枝葉の挙動等を目視確認を可能とする。
図面の簡単な説明
0021
本発明の移送装置と、これを適用した本発明の刈取装置とを示す斜視図である。
同上、側面図(a)及び正面図(b)である。
本発明の移送装置を示す分解斜視図である。
本発明の移送装置を示す正面図(a)、側面図(b)及び背面図(c)である。
刈刃後方から上向きの搬送風を作用させることによって、刈り取り直後の茶枝葉を刈刃のほぼ真上に上昇移送する様子を示す説明図である。
0022
本発明の最良の形態は、以下の実施例に述べるとおりである。なお説明にあたっては、まず本発明の刈取装置として摘採機を例に挙げながら、その全体構成を概略的に説明し、併せて本発明装置である刈取枝葉の移送装置について説明する。また、この摘採機としては、刈り取った茶葉Aを上昇移送して収容部に収容する、いわゆる大型の乗用式摘採機(茶畝跨走型摘採機1)を例に挙げて説明する。
なお本発明の移送手法そのものは、茶芽を刈り取る摘採作業のみならず、樹形を整え樹勢の回復を図るために枝幹を剪除する剪枝作業にも利用でき、このようなことに因み、本発明の名称中や請求項等に記載した「茶枝葉」とは、摘採した茶葉Aと剪除した枝幹とを総称するものである(茶枝葉にも茶葉と同一の符号Aを付す)。また、「茶刈」もしくは「茶刈機」とは、摘採(摘採機)と剪枝(剪枝機)とを総称するものである。なお剪枝作業の具体的形態については後述する。
0023
本発明の移送装置を具えた刈取装置の一例である茶畝跨走型摘採機1は、図1、2に示すように、茶畝Tを跨ぐように走行する走行機体2と、この走行機体2によって茶畝T上面に位置するように支持される刈取機体3と、刈取機体3の後方に設けられ摘採した茶葉Aを収容する収容部4と、摘採した茶葉Aを刈取機体3から収容部4まで移送する移送装置5とを具えて成るものである。以下、各構成部について説明する。
0024
まず走行機体2について説明する。このものは、茶畝Tを跨いで茶畝間の畝地を接地走行するものであり、走行方向から見て概ね門型状に形成されたフレーム21を骨格部材とする。このフレーム21は、畝間に立ち上げ状態に設けられる脚部フレーム21Aと、この脚部フレーム21Aを繋ぐ連結フレーム21Bと、脚部フレーム21Aに対し昇降自在に取り付けられる昇降ブラケット21Cとを具えて成るものである。そして、脚部フレーム21Aの下端には一例としてクローラを適用した走行体22を設ける。もちろん、この走行体22は、このようなクローラに限らず、畝地を過剰に押し付けないような空気タイヤ、あるいは双方を適用した形態(例えば前側に空気タイヤ、後側にクローラを適用した形態)等が適宜採り得る。
0025
更に連結フレーム21Bの上部には、茶畝跨走型摘採機1に乗車した作業者が座る操縦者用シート23、操縦桿24及び茶畝跨走型摘採機1の制御や操作等を行うためのコントロールボックス25が設けられる。そして操縦者用シート23の側傍には、例えばディーゼルエンジン等を適用した原動機26を搭載するものであり、一例として、この原動機26により図示を省略する油圧ポンプを駆動し、この油圧ポンプにより供給される作動油によって前記走行体22の駆動や、後述する刈取機体3の刈刃31の駆動、更には前記昇降ブラケット21Cの昇降動を担うシリンダ(図示略)等の駆動を行う。
0026
また前記連結フレーム21B上には、刈刃31によって刈り取った茶葉Aを風送するための送風機27を設けるものであって、この送風機27は前記原動機26により直接駆動される。そして、この送風機27からは送風ダクト28を介して圧力風が移送装置5(刈取機体3側)に供給される。なお送風ダクト28は、一部または全部が、フレキシブルダクトを適用した送風ホース28Aによって構成され、移送装置5に接続されている。
なおこの実施例では、図2(b)に示すように正面視で原動機26の左側、すなわち走行機体2のほぼ中央に送風機27が配設されるようにしたが、後述するように導流中継ダクト7Bの導入口77が正面視で右端に位置するため、正面視で原動機26の右側に送風機27を配設するようにしてもよい。
0027
次に刈取機体3について説明する。このものは茶葉Aの摘採を実質的に行うものであり、刈刃31を主要部材として成るものである。この刈刃31は、例えば上下一対の刈刃体32と、これら刈刃体32を摺動自在に支持する刈刃支持フレーム33と、刈刃体32を偏心板やエキセントリックシャフト等によって往復摺動させる駆動部34とを具えて成り、上下一対の刈刃体32を交互に往復動させることで、各刈刃体32に形成した刃(歯)のバリカン作用により茶葉Aを刈り取るものである。
0028
このように刈刃31は、刈刃体32、刈刃支持フレーム33、駆動部34等を一体的に組み付けた、いわゆるカセット式替刃の形態を採り、刈刃31の取り替えにより、容易に摘採機から浅刈機・中刈機等の剪枝機に仕様変更できるものである。なお図中符号35は、このようなカセット式の刈刃31を着脱自在に保持する側板部であり、この側板部35が上記昇降ブラケット21Cに支持され、刈刃31の高さが自在に設定できる構成となっている。
0029
また、上記刈刃31の駆動部34も、前記油圧ポンプ(走行機体2に搭載された原動機26によって駆動される)から供給される作動油によって駆動することが望ましい構成であるが、刈刃31の駆動は別途エンジンによって行うことも可能である。
なお刈刃31としては、必ずしもこのようなバリカン式のものに限らず、例えばロータリー式の回転刃を適用することも可能である。
0031
次に本発明の移送装置5について説明する。移送装置5は、刈り取った茶葉Aを所定の位置に向けて移送する部位であり、ここでは茶葉Aを刈取機体3から収容部4まで中継移送するものである。具体的には刈り取り直後の茶葉Aを収容部4に向けて刈刃31のほぼ真上に上昇移送する形態を採る。ここで、茶葉Aの移送は空気流、つまりダクト内に圧力風Wを送り込んで収容部4に移送するものであり、ここでは複数のダクト部材を用いることに因み、これらをダクトユニット5Aと総称する。
0032
ダクトユニット5Aは、一例として図1〜3に示すように、移送ダクト6と送風ダクト7とを主要部材として成るものである。このうち移送ダクト6は、刈刃31の直上部からほぼ真っ直ぐに立ち上げられた後、収容部4上方に臨むように形成されるものである。
また送風ダクト7は、刈刃31の後方側、すなわち摘採方向に対して後方となる刈刃31の背面側から圧力風Wを送り込み、前記移送ダクト6内に上昇流となる搬送風W1を生起させるものである。以下、これら移送ダクト6や送風ダクト7等について更に詳細に説明する。
0033
まず移送ダクト6について説明する。このものは図3、4、5に示すように刈刃31のほぼ真上に立ち上げられ、刈り取り直後の茶葉Aを収容部4まで移送するものである。ここで移送ダクト6において茶葉Aの移送が開始される部位(下部)を移送開始部62とし、茶葉Aの移送が終わる部位(上部)を移送終端部63とする。
また、この実施例では、移送開始部62は、下方側に開口され、平面視において、刈刃31を取り囲むように形成されている。
また移送ダクト6は例えば図4(a)、(c)に示すように、移送管路が途中で分岐しない単管状に構成され、更に下方から上方にかけてその幅方向寸法を上すぼまり状とした肩部61を有する形状とする。
0034
また前記移送ダクト6の上部に延長ダクト6Aが装着されるものであり、この延長ダクト6Aに形成される吐出口64が収容部4に臨むように適宜湾曲形成される。因みにこの場合、吐出口64が実質的に前記移送終端部63となる。
なお移送ダクト6は、移送開始部62から吐出口64(移送終端部63)に至る移送途中において、幅寸法や断面積等を急激に変化させないことが好ましく、これは移送に伴う茶葉Aの傷みを極力低減させるためである。
また、このような移送ダクト6及び延長ダクト6Aは、少なくとも一部が入れ子状もしくはフレキシブル状に形成され、刈刃31とともに上下動できる構成とすることもできる。
0035
ここで上述のように移送ダクト6は、移送管路が途中で分岐しない単管状に構成されており、且つその横断面形状は、刈刃31の幅方向に長い前後の前面板6Fと後面板6R及びこれらを結ぶ両側面板6Sとにより、偏平な断面形状を具え、この前面板6Fと後面板6Rとに透視窓が設けられるものである。この透視窓は、前面板6Fに設けられる前透視窓66と、後面板6Rに設けられる後透視窓67とからなり、前透視窓66と後透視窓67とのいずれか一方または双方は、上下方向に分割された複数の窓単体の組み合わせとして構成されている。このため、透視窓を形成することによる前面板6F及び後面板6Rの著しい強度低下を回避することができる。また特に前面板6F、後面板6Rが屈曲形成される場合には、屈曲部位を有する透視窓の寸法を抑えることにより、透視窓を構成する透明素材の形成及びその設置を容易に行うことが可能となる。
前記透視窓は具体的には、一例として図3、4に示すように前透視窓66と後透視窓67との双方がそれぞれ複数の窓単体の組み合わせにより構成され、且つ移送ダクト6を立設させた状態において、前透視窓66と後透視窓67とは、高さ方向の形成位置を段違い状にずらせて形成されている。
0036
なお前記前透視窓66と後透視窓67は、前面板6F、後面板6Rを切り欠いて形成された切り欠き部分を、ビニル、アクリル、プラスチック、ガラス等の透明素材によって閉鎖することにより構成されるものであり、この実施例では一例として透明な塩化ビニルシートを外側から張設するようにした。
0037
更に前記移送ダクト6における後面板6Rの内側面のうち、前透視窓66を通じて前方側から視認することができる範囲を、異調色に着色することが好ましい。
ここで前記異調色とは、茶畝跨走型摘採機1に乗車した作業者が後方を向いたときに、前透視窓66を通じて視界に入るものとは異なる色調を呈する色を意味するものとするものであり、一例として刈取枝葉Aの色(枝:茶褐色、葉:緑)、背景の色(空:青、灰色雲:白、灰色茶樹:緑)とは異なる色調が選択される。この実施例では一例として黄色を採用する。
0038
なお前面板6Fと後面板6R及びこれらを結ぶ両側面板6Sとにより構成される移送ダクト6を、強度の確保された透明樹脂素材等によって構成することができる場合には、前面板6Fの全域を前透視窓66として、後面板6Rの全域を後透視窓67として機能させることができる。
0039
以上述べたように、この実施例では、茶葉Aを上昇移送するにあたり刈刃後方側への移送を伴わないため、移送装置5ひいては刈取機体3の前後長を短縮化できるものであるが、これに加え、刈取機体3を側面から視た場合、後述する導流中継ダクト7Bを、移送ダクト6とほぼ重なるように設けたことも、ダクトユニット5A(移送装置5)としての厚み寸法を薄くすることができ、刈取機体3の前後長短縮化に寄与するものである。
0040
次に送風ダクト7について説明する。このものは、前記移送ダクト6の背面に重なるように設けられる偏平な形状の分配背面ダクト7Aと、この分配背面ダクト7Aに圧力風Wを供給する導流中継ダクト7Bとを具えて成るものである。
まず前記分配背面ダクト7Aは、図4(c)に示すように背面視で導流中継ダクト7Bとの接続位置(左側)から反対側(右側)に向かって先すぼまり状に形成されている。すなわち分配背面ダクト7Aの下部は、移送ダクト6における移送開始部62全域にわたって圧力風Wを畝幅方向に拡散分配するため、この部分に馴染んだ形状とされ、ここを底辺としたほぼ三角形状に形成される。
このような分配背面ダクト7Aは、二枚の板材71、72を支柱73によって所定の間隔を保つように固定することにより、板材71、72の間の空間を圧力風Wの通路とするものである。
更に分配背面ダクト7Aの下部は、図3、5に示すように前方に向かって屈曲形成され、側面視で移送ダクト6における移送開始部62全域にわたって圧力風Wを拡散分配するため吹出口74が上向きに形成されている。
一方、背面視ほぼ三角形状の分配背面ダクト7Aの短辺には、圧力風Wの給気口76が形成される。
0041
更に板材71、72の間の空間には、整流板75が配設されるものであり、この整流板75は、給気口76から取り込んだ圧力風Wを刈刃31の幅方向にわたって、ほぼ均一に流すための部材であり、配設される個所に応じて適宜の形状とされるものである。
具体的には、一例として図4(c)及び図5に併せて示すように、断面L字状のブラケットを複数(この実施例では一例として二十枚程度)用い、これを正面視で吹出口74の幅方向に沿って適宜の間隔で取り付ける。そして、この整流板75によって、偏倚した位置に設けられた給気口76から圧力風Wを取り込んでも、刈刃31の幅方向にほぼ均一に案内し、刈刃31の全幅にわたって同程度の強さの搬送風W1に変換し得るものである。
0042
次に前記導流中継ダクト7Bは図3に示すように、下すぼまり状の角管形状に構成されるものであり、その上部にフレキシブルダクトを適用した送風ホース28Aを接続するための導入口77が設けられ、更に角管の一側面に排出口78が形成される。
0043
そして分配背面ダクト7Aにおける給気口76と、導流中継ダクト7Bにおける排出口78とを連接するようにこれら二部材を一体化することにより、送風ダクト7が構成される。
更にこの送風ダクト7と前記移送ダクト6とを一体化するものであり、送風ダクト7の前面と移送ダクト6の背面とが密接状態とさせるとともに、図5に示すように送風ダクト7における吹出口74が移送ダクト6における移送開始部62に臨むようにする。
このような組み付け状態において前記導流中継ダクト7Bは、図3、4に示すように移送ダクト6の側面に沿うように肩部61付近に配設され、更に正面視で移送ダクト6の下端部より幅方向において張り出さない状態に設けられる。
上述のようにこの実施例では、前記導流中継ダクト7Bは一基のみ設けられ、分配背面ダクト7Aは一基で移送ダクト6全幅に圧力風Wを供給することができるものである。
0045
(1)搬送風の形成
はじめに移送ダクト6内に搬送風W1を生じさせるに、原動機26を駆動して送風機27によって圧力風Wを生起する。生起された圧力風Wは、その後、送風ダクト28(送風ホース28A)を通じて導入口77から導流中継ダクト7B内に導かれ、ここで下すぼまり状の角管形状に因み、流速が増した状態で排出口78、給気口76を通じて分配背面ダクト7A内に取り込まれる。
0046
分配背面ダクト7A内に導入された圧力風Wは、図3に示すように給気口76から吹出口74に向かって拡散しながら移動するものであり、この過程で整流板75によって乱流の発生が防止されるとともに、吹出口74の幅方向にわたってほぼ均一に拡散分配され、流れ方向が直下方向に整えられる。
次いで刈刃31後方の吹出口74から上方に向けて吹き出された圧力風Wは、移送開始部62から移送ダクト6内に進入するものであり、搬送風W1として移送ダクト6内を上昇する。
この搬送風W1は図5に示すように、刈刃31の後方から、ほぼ真上に向かう上昇流であり、少なくとも茶葉Aを移送ダクト6の吐出口64(移送終端部63)まで搬送する移送能力を有する。
0047
(2)茶葉の移送態様
そしてこのような搬送風W1によって茶葉Aは、刈り取り直後に刈刃31の後方側に引き寄せられる。これは、刈刃31の後方から圧力風W(搬送風W1)を吹き出すことにより、刈刃31の後方付近、具体的には吹出口74近傍に負圧が形成され、茶葉Aが刈刃31部分から吹出口74側に引き寄せられるものと考えられる。
そして、吹出口74側に引き付けられた茶葉Aは、その後、上昇流を形成する搬送風W1に乗って移送ダクト6内を上昇し、吐出口64から収容部4に設けられた茶袋B内に送り込まれてここに収容される。
0048
この際、茶畝跨走型摘採機1に乗車した作業者は、後方を向いて直接的に、あるいは後写鏡Mにより間接的に後方を視認することにより、移送ダクト6内における茶葉Aがの移送状況または茶畝跨走型摘採機1の後方を確認することができる。
具体的には、前透視窓66と後透視窓67とは高さ方向の形成位置が段違い状にずらせて形成されているため、見る角度によって、前透視窓66と後透視窓67との双方を透過する視界と、前透視窓66のみを透過してその後方を移送ダクト6の内壁(後面板6R)に遮られる視界とのいずれかを選択することが可能となる。
この結果、前透視窓66と後透視窓67との双方を透過する視界を選択した場合には、移送ダクト6の後方に位置する収容部4内及びその後方を視認することができる。
0049
一方、前透視窓66のみを透過してその後方を移送ダクト6の内壁すなわち後面板6Rの内側面に遮られる視界を選択した場合には、移送ダクト6内を移送されている刈取枝葉Aの挙動等を、刈取枝葉Aが背景となる茶畝等に埋もれてしまうことなく明確に目視確認することができる。この際、後面板6Rの内側面のうち、前透視窓66を通じて前方側から視認することができる範囲は、異調色に着色されているため、刈取枝葉Aを鮮明に視認することができる。
実施例
0050
また本発明の移送装置5を、茶畝跨走型摘採機1を茶樹以外の畝仕立とされる作物の刈り取りに用いる場合にも適用することができる。更に本発明の移送装置5を、茶畝跨走型摘採機1を桑等の枝葉の刈り取りや、大麦等の穀物や野菜の葉の刈り取りに用いる場合にも適用することができる。
0051
1茶畝跨走型摘採機(刈取装置)
2走行機体
21フレーム
21A脚部フレーム
21B連結フレーム
21C昇降ブラケット
22走行体
23操縦者用シート
24操縦桿
25コントロールボックス
26原動機
27送風機
28送風ダクト
28A送風ホース
3刈取機体
31刈刃
32刈刃体
33刈刃支持フレーム
34 駆動部
35側板部
4 収容部
41 フレーム部
5移送装置
5Aダクトユニット
6移送ダクト
6A延長ダクト
6F前面板
6R後面板
6S側面板
61肩部
62移送開始部
63移送終端部
64吐出口
66 前透視窓
67 後透視窓
7 送風ダクト
7A分配背面ダクト
7B 導流中継ダクト
71板材
72 板材
73支柱
74吹出口
75整流板
76給気口
77 導入口
78 排出口
A茶葉(刈取枝葉)
B茶袋
M後写鏡
T 茶畝
W圧力風
W1 搬送風