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技術 情報処理装置および情報処理方法

出願人 キヤノン株式会社
発明者 溝口真彦
出願日 2016年5月2日 (4年6ヶ月経過) 出願番号 2016-092384
公開日 2017年11月9日 (3年0ヶ月経過) 公開番号 2017-201237
状態 特許登録済
技術分野 感知要素の出力の伝達及び変換 電動機の制御一般
主要キーワード 電気信号パターン 演算行程 繰り返し演算回数 一連操作 検出位置毎 信号板 基準座標データ エンコーダ波形
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (17)

課題

本発明は、検出誤差補正用メモリ容量を抑えつつ、高精度に、移動体エンコーダ信号を処理することを目的とする。

解決手段

移動体を測定することにより得られた第一の相のアナログ波状信号と第二の相のアナログ波状信号とを取得する取得手段と、前記第一の相のアナログ波状信号に対して第一の余弦波および当該第一の余弦波よりも高調波である第二の余弦波を用い、前記第二の相のアナログ波状信号に対して第一の正弦波および当該第一の正弦波よりも高調波である第二の正弦波を用いた逆正接関係式を満たす位相の情報を、反復計算で前記逆正接の関係式に含まれる回転角収束させることにより算出する算出手段と、を有し、前記算出手段は、基準回転角回転演算をする複数の回転演算部を有し、当該複数の回転演算部で前記第一の余弦波と前記第二の余弦波と前記第一の正弦波と前記第二の正弦波とを算出することを特徴とする。

概要

背景

一般に、モータ等の移動体の移動量、角度、位置などを検出するために、光学式ロータリエンコーダが広く利用されている。光学式のロータリエンコーダでは、発光ダイオードLED等からなる発光素子から、信号の検出に必要なパターンが形成された回転信号板に対して均一光照射する。そして、パターンを透過した透過光、または信号板からの反射光を、フォトダイオードまたはフォトトランジスタ等の受光素子で検知する。検知結果から電気信号パターンを作成する。そして、当該電気信号パターンに基づいてエンコーダ出力信号を生成している。尚、エンコーダ出力信号は、機能的区分けとして、相対位置を出力するインクリメンタル方式と、絶対位置を出力するアブソリュート方式が知られている。ここでは、インクリメンタル方式について説明する。

インクリメンタル方式では、内挿処理により高精度な位置検出を実現する技術が知られている。これは、エンコーダ信号振幅及びオフセットの値が揃っており、互いの位相が90°異なる2相アナログ正弦波信号が出力されることを前提条件としている。

具体的な内挿処理の方法としては、抵抗分割による方法や、逆正接(arctan)演算による方法が知られている。

逆正接演算を行う方法としては、「CORDIC(COordinate Rotation DIgital Computer)アルゴリズム」と呼ばれる座標データの回転演算処理方法が知られている。CORDICでは、先ず入力信号を2次元座標データとして扱う。そして、この2次元座標データの座標回転を、ビットシフト加減算という単純な演算の繰返しのみを実行することで逆正接演算を実現することが可能になっている。

ただし、実際のエンコーダ出力信号には、高調波成分が含まれており、理想的な正弦波の信号でない。そのため、エンコーダ出力信号に対して、振幅、オフセット及び位相の誤差補正しても、厳密な正弦波信号とはならず、内挿処理を行う際に検出誤差が発生していた。

特許文献1に開示されている技術では、このような検出誤差を補正するため、エンコーダ検出変位量(検出角度)を微分した値、つまり、変位速度が一定となるような補正値を生成している。生成された補正値を検出位置毎に設定しておくことにより、検出位置を補正している。また、特許文献2に開示されている技術では、検出誤差の推移周期的であることを利用し、その検出誤差量を正弦波と近似することによって、検出誤差量を逐次演算し、検出位置を補正している。

概要

本発明は、検出誤差の補正用メモリ容量を抑えつつ、高精度に、移動体のエンコーダ信号を処理することを目的とする。 移動体を測定することにより得られた第一の相のアナログ波状信号と第二の相のアナログ波状信号とを取得する取得手段と、前記第一の相のアナログ波状信号に対して第一の余弦波および当該第一の余弦波よりも高調波である第二の余弦波を用い、前記第二の相のアナログ波状信号に対して第一の正弦波および当該第一の正弦波よりも高調波である第二の正弦波を用いた逆正接の関係式を満たす位相の情報を、反復計算で前記逆正接の関係式に含まれる回転角収束させることにより算出する算出手段と、を有し、前記算出手段は、基準回転角の回転演算をする複数の回転演算部を有し、当該複数の回転演算部で前記第一の余弦波と前記第二の余弦波と前記第一の正弦波と前記第二の正弦波とを算出することを特徴とする。

目的

本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、検出誤差の補正用のメモリ容量および演算回路の増大を抑えつつ、高精度に、移動体を測定することにより得られた信号を処理することを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

動体を測定することにより得られた第一の相のアナログ波状信号と第二の相のアナログ波状信号とを取得する取得手段と、前記第一の相のアナログ波状信号に対して第一の余弦波および当該第一の余弦波よりも高調波である第二の余弦波を用い、前記第二の相のアナログ波状信号に対して第一の正弦波および当該第一の正弦波よりも高調波である第二の正弦波を用いた逆正接関係式を満たす位相の情報を、反復計算で前記逆正接の関係式に含まれる回転角収束させることにより算出する算出手段と、を有し、前記算出手段は、基準回転角回転演算をする複数の回転演算部を有し、当該複数の回転演算部で前記第一の余弦波と前記第二の余弦波と前記第一の正弦波と前記第二の正弦波とを算出することを特徴とする情報処理装置

請求項2

前記反復計算は、CORDIC演算であることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。

請求項3

前記算出手段は、前記CORDIC演算における座標データの絶対値を補正する補正手段を有することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。

請求項4

前記算出手段は、前記第一の余弦波と前記第二の余弦波との算出では前記複数の回転演算部それぞれの回転演算の方向を異ならせ、前記第一の正弦波と前記第二の正弦波との算出では前記複数の回転演算部それぞれの回転演算の方向を異ならせることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理装置。

請求項5

前記複数の回転演算部は第一の複数の回転演算部と第二の複数の回転演算部とを有し、前記第一の複数の回転演算部で前記第一の余弦波と前記第一の正弦波とを算出し、前記第二の複数の回転演算部で前記第二の余弦波と前記第二の正弦波とを算出することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置。

請求項6

前記第一の余弦波と前記第二の余弦波との算出で、前記複数の回転演算部の内で共通の回転演算部を用い、前記第一の正弦波と前記第二の正弦波との算出で、前記複数の回転演算部の内で共通の回転演算部を用いることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置。

請求項7

前記複数の回転演算部の基準回転角には、基本回転角が含まれることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の情報処理装置。

請求項8

前記複数の回転演算部の基準回転角には、基本回転角の2倍角が含まれることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の情報処理装置。

請求項9

前記移動体は、モータの駆動により可動する可動部であり、前記位相の情報に基づき、前記モータの駆動を制御する制御手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の情報処理装置。

請求項10

取得手段が、移動体を測定することにより得られた第一の相のアナログ波状信号と第二の相のアナログ波状信号とを取得する取得工程と、算出手段が、前記第一の相のアナログ波状信号に対して第一の余弦波および当該第一の余弦波よりも高調波である第二の余弦波を用い、前記第二の相のアナログ波状信号に対して第一の正弦波および当該第一の正弦波よりも高調波である第二の正弦波を用いた逆正接の関係式を満たす位相の情報を、反復計算で前記逆正接の関係式に含まれる回転角を収束させることにより算出する算出工程と、を有し、前記算出手段は、基準回転角の回転演算をする複数の回転演算部を有し、前記算出工程において、当該複数の回転演算部で前記第一の余弦波と前記第二の余弦波と前記第一の正弦波と前記第二の正弦波とを算出することを特徴とする情報処理方法

技術分野

0001

本発明は、移動体を測定することにより得られた信号を処理する情報処理装置および情報処理方法に関するものである。

背景技術

0002

一般に、モータ等の移動体の移動量、角度、位置などを検出するために、光学式ロータリエンコーダが広く利用されている。光学式のロータリエンコーダでは、発光ダイオードLED等からなる発光素子から、信号の検出に必要なパターンが形成された回転信号板に対して均一光照射する。そして、パターンを透過した透過光、または信号板からの反射光を、フォトダイオードまたはフォトトランジスタ等の受光素子で検知する。検知結果から電気信号パターンを作成する。そして、当該電気信号パターンに基づいてエンコーダ出力信号を生成している。尚、エンコーダ出力信号は、機能的区分けとして、相対位置を出力するインクリメンタル方式と、絶対位置を出力するアブソリュート方式が知られている。ここでは、インクリメンタル方式について説明する。

0003

インクリメンタル方式では、内挿処理により高精度な位置検出を実現する技術が知られている。これは、エンコーダ信号振幅及びオフセットの値が揃っており、互いの位相が90°異なる2相アナログ正弦波信号が出力されることを前提条件としている。

0004

具体的な内挿処理の方法としては、抵抗分割による方法や、逆正接(arctan)演算による方法が知られている。

0005

逆正接演算を行う方法としては、「CORDIC(COordinate Rotation DIgital Computer)アルゴリズム」と呼ばれる座標データの回転演算処理方法が知られている。CORDICでは、先ず入力信号を2次元座標データとして扱う。そして、この2次元座標データの座標回転を、ビットシフト加減算という単純な演算の繰返しのみを実行することで逆正接演算を実現することが可能になっている。

0006

ただし、実際のエンコーダ出力信号には、高調波成分が含まれており、理想的な正弦波の信号でない。そのため、エンコーダ出力信号に対して、振幅、オフセット及び位相の誤差補正しても、厳密な正弦波信号とはならず、内挿処理を行う際に検出誤差が発生していた。

0007

特許文献1に開示されている技術では、このような検出誤差を補正するため、エンコーダ検出変位量(検出角度)を微分した値、つまり、変位速度が一定となるような補正値を生成している。生成された補正値を検出位置毎に設定しておくことにより、検出位置を補正している。また、特許文献2に開示されている技術では、検出誤差の推移周期的であることを利用し、その検出誤差量を正弦波と近似することによって、検出誤差量を逐次演算し、検出位置を補正している。

先行技術

0008

特開2009−303358号公報
特開2006−170837号公報

発明が解決しようとする課題

0009

しかしながら、例えば、特許文献1に示される方法では、検出位置の分解能分だけ補正値を用意する必要がある。よって、検出位置の高分解能化にともなって補正値を格納するメモリ領域が膨大になってしまう。また、補正用演算回路も増大する。一方、特許文献2では、まず、補正値を生成するための演算時間が必要になる。更に、検出誤差の推移が理想的な正弦波と近似できる場合であっても、検出誤差を演算するために用いている位置情報参照位置)が、誤差を含む検出位置であるので、原理的に検出誤差の演算精度が低くなってしまう。

0010

本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、検出誤差の補正用のメモリ容量および演算回路の増大を抑えつつ、高精度に、移動体を測定することにより得られた信号を処理することを目的とする。

課題を解決するための手段

0011

上述の問題点を解決するため、本発明の情報処理装置は、移動体を測定することにより得られた第一の相のアナログ波状信号と第二の相のアナログ波状信号とを取得する取得手段と、前記第一の相のアナログ波状信号に対して第一の余弦波および当該第一の余弦波よりも高調波である第二の余弦波を用い、前記第二の相のアナログ波状信号に対して第一の正弦波および当該第一の正弦波よりも高調波である第二の正弦波を用いた逆正接の関係式を満たす位相の情報を、反復計算で前記逆正接の関係式に含まれる回転角収束させることにより算出する算出手段と、を有し、前記算出手段は、基準回転角の回転演算をする複数の回転演算部を有し、当該複数の回転演算部で前記第一の余弦波と前記第二の余弦波と前記第一の正弦波と前記第二の正弦波とを算出することを特徴とする。

発明の効果

0012

本発明によれば、検出誤差の補正用のメモリ容量および演算回路の増大を抑えつつ、高精度に、移動体を測定することにより得られた信号を処理することが出来る。

図面の簡単な説明

0013

第1実施形態に係るモータ制御装置制御ブロック図。
第1実施形態に係る変位検出部の構成を示す図。
第1実施形態に係る内挿処理部の構成を示す図。
第1実施形態に係る逆正接演算部の構成を示す図。
第1実施形態に係る複数回転演算部の構成を示す図。
第2実施形態に係る逆正接演算部の構成を示す図。
第2実施形態に係る複数回転演算部の構成を示す図。
第3実施形態に係る複数回転演算部の構成を示す図。
第4実施形態に係る複数回転演算部の構成を示す図。
モータ制御装置の概略図。
2相エンコーダ出力信号を説明する図。
理想エンコーダ信号波形(正弦波)及び実際のエンコーダ信号波形を例示的に示す図。
モータの実際の変位に対する検出変位量及び検出誤差を例示的に示す図。
第1実施形態、第2実施形態における高調波歪エンコーダ信号波形を示す図。
第1実施形態における演算結果を示す図。
第2実施形態における演算結果を示す図。

実施例

0014

以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳しく説明する。

0015

(第1実施形態)
本発明に係る情報処理装置の第1実施形態として、モータ制御装置に実装され、エンコーダ信号に重畳される高調波歪を除去可能な情報処理装置について説明する。

0016

(モータ制御装置の構成)
図10は、本実施形態におけるモータ制御装置の概略図である。図10(a)はモータ制御装置1000の全体図を、図10(b)はエンコーダスケール1002の概略平面図を示している。また、モータ制御装置1000は、回転モータ1001のモータ軸の回転角(変位量)を検出する。

0017

検出は、回転スリット円板及び固定スリット円板を有するエンコーダスケール1002と、発光素子(発光ダイオード)と受光素子(フォトダイオード)を有するセンサ部1003とで行われる。回転スリット円板は、回転モータ1001のモータ軸に取付けられ、モータ軸とともに回転する。一方、固定スリット円板及びセンサ部1003は、基板に固定されている。発光素子と受光素子との間には、回転スリット円板と固定スリット円板が位置するよう構成されている。

0018

エンコーダスケール1002には、複数のスリット1005が設けられている。エンコーダスケール1002は、回転モータ1001のモータ軸の回転変位に伴い、モータ軸を回転軸中心として回転する。回転スリット円板が回転することにより、発光素子の光は、透過するか又は遮断されることになる。また、固定スリット円板は、エンコーダの出力信号を2相にするため、固定スリットが2つに分かれている。

0019

センサ部1003には2つの受光素子が設けられており、それぞれの受光素子は、スリット1005を通過し、さらに固定スリットによってA相パターンとB相パターンの二種にわけられた光を検出することにより2相の電気信号パターンを形成する。

0020

図11は、2相エンコーダ出力信号を説明する図である。図11に示すように、光学式エンコーダでは互いに位相が90°異なるA相信号とB相信号が生成される。これらは2相エンコーダ信号を得る場合であるが、複数相エンコーダ信号を得る場合は、固定スリット、受光素子はそれぞれ複数個用意される。なお、エンコーダの検出原理は光学式(透過式)に限られず、反射光を用いた光学式、静電式磁気式など他の方式を採用することも可能である。また、回転スリット円板はモータ軸ではなく、モータ制御装置1000によって駆動される被駆動体に取り付けられ、被駆動体の移動量を検出するものであってもよい。

0021

モータコントローラ1004は、回転モータ1001の回転駆動を制御する。モータコントローラ1004は、回転モータ1001を駆動する駆動手段、及び、この駆動手段を制御する制御手段を備える。モータコントローラ1004は、目標値であるモータ回転角目標変位量)と実測値であるモータ検出角度(検出変位量)とを比較する。そして、実測値が目標値に等しくなるようにフィードバック制御する。これは、クローズドループと呼ばれるモータ制御方式であるが、モータ検出角度(検出変位量)は取得するが、目標値と比較することなくモータを駆動するオープンループ制御方式の場合であっても採用可能である。

0022

図1は、本実施形態におけるモータ制御装置の制御ブロック図である。駆動手段101は、上位の制御手段であるモータコントローラ1004からの出力信号に基づいて、所定の駆動信号1を回転モータ1001に供給する。可動部102(被測定体)であるモータ軸は、駆動信号1が入力されることにより、所定の回転角度だけ変位する。変位検出部103は、可動部102の回転角度の変位量(位置変位量)を検出し、検出結果を出力する。

0023

図2は、本実施形態における変位検出部103の構成を示す図である。可動部102に連動したエンコーダ201は、変位量に応じて、図11に示すような、90度位相が異なる正弦波状2相信号のエンコーダ信号を生成し、内挿処理部202へ出力する。このエンコーダ信号は、図12の実際のエンコーダ信号(1相のみ図示)に示すように、理想的な正弦波ではなく、一般的に高調波成分を含んでいる。この高調波成分は、発光素子の光強度分布発生、固定スリットおよび回転スリットによる回折現象などの光学現象が複雑に相俟って発生する。ここで、エンコーダ201としては、例えば光学式のエンコーダが用いられる。しかし、高調波成分が発生および重畳する現象は、磁気式エンコーダにおいても、磁界分布歪や磁気抵抗歪などが原因で発生することが知られており、光学式のエンコーダに限定されるものではない。

0024

図3は、内挿処理部202の構成を示す図である。アナログ/デジタル(A/D)変換器301は、アナログ波状信号であるアナログA相信号4及びアナログB相信号5を、デジタル信号(デジタルA相信号6、デジタルB相信号7)に変換するためのものである。A/D変換前後のエンコーダ信号に含まれるノイズ分を除去するために、フィルタ回路や、ノイズ除去回路が内挿処理部202に搭載される。なお、このフィルタ回路やノイズ除去回路の構成は、公知のものが利用可能であるためここでは詳細な説明は省略する。

0025

オフセット・位相差補正部302では、デジタルA相信号6、デジタルB相信号7の各々について、それぞれの基準値に対してオフセット処理を施す。このオフセット処理によってA相、B相のエンコーダ信号は、0を基準に正負に変動する信号となる。

0026

また、位相差補正では、A相とB相の位相差が90°になるように補正処理を行う。この位相差補正処理では、位相差が90°からの誤差分だけ、一方のエンコーダ信号に回転演算処理を行うものや、A相とB相の和とA相とB相の差を新たな2相信号とすることで、新たな2相信号では90°位相が保証される手法などがある。このようにしてオフセット・位相差補正された調整デジタルA相信号8、調整デジタルB相信号9が得られる。

0027

領域判定部303は、調整デジタルA相信号8、調整デジタルB相信号9から作られるリサージュ象限(領域)を判定する。A相信号、B相信号がともに正の場合は第一象限、A相信号が負、B相信号が正の場合は第二象限、A相信号、B相信号がともに負の場合は第三象限、A相信号が正、B相信号が負の場合は第四象限とする。このとき象限の移動に伴って、エンコーダの位置情報がインクリメントあるいはディクリメントされ、荒い位置情報が得られる。この位置情報は、たとえばエンコーダスリット間隔を360°と規定した場合は、90°単位で位置を取得することが可能である。この荒い位置情報と後述する内挿位置を足したものが、検出変位量となるのだが、本説明では、内挿処理(内挿位置)にのみ着目するため、この荒い位置情報に関しては以降説明を省略する。

0028

また、領域判定部303以降の演算処理は正の値のみで実行できるようにするため、領域判定部303は、調整デジタルA相信号の絶対値であるA相データX10と、調整デジタルB相信号の絶対値であるB相データY11が出力される。

0029

逆正接演算部304は、A相データX10とB相データY11をもとにして逆正接値(arctan)演算を実行して内挿位置を計算し、0°〜90°つまり、1象限内の内挿位置12を出力する。

0030

角度変換部305は、逆正接演算部304により計算された0°〜90°の範囲の内挿位置12を領域判定部303による象限情報(4分割)によって補正する。具体的には、第一象限および第三象限の場合は、内挿位置12がそのまま検出変位量に、第二象限および第四象の場合に、90°−内挿位置が検出変位量となる。(荒い位置情報を考慮する場合は、ここで荒い位置情報を加算する)このようにして、変位検出部103は、エンコーダ信号から内挿処理を施した高精度な角度値を算出していく。ここで、従来の技術のように、逆正接演算部304による角度算出は理想的な正弦波であることを前提とした演算を行うと演算誤差が発生してしまう。これは、エンコーダ信号に含まれている高調波成分が原因であり、検出誤差が発生する。

0031

図12は、理想エンコーダ信号波形(正弦波)及び実際のエンコーダ信号波形を示す図である。また、図13は、図14に示す実際のエンコーダ信号波形が入力されたときの検出変位量と検出誤差を示す図である。なお、検出誤差とは駆動されたモータの実際の変位量と検出変位量の差分である。

0032

図13に示すように、検出誤差の影響により、検出変位量は実際の変位量に対して線形となっていない。つまり、グラフ上で曲線となっている。なお、エンコーダ信号が理想的な正弦波である場合は、変位検出誤差が発生せず、実際の変位量と検出変位量は線形となっている。つまり、グラフ上で直線となる。

0033

また、図13に示す検出誤差の変化から分かるように、検出誤差は、実際の変位量に対して周期的に、つまり、エンコーダ信号の高調波成分の発生量に依存しており、かつ、一つのエンコーダスリット間隔(360[deg])内で4周期分の変動を生じている。そして、約±5[deg]程度の誤差が発生している。ただし、これはエンコーダ信号が図14に示すエンコーダ波形の場合の特性例であり、これに限定されるものではない。尚、上記の傾向は余弦波でも同様である。

0034

以上で説明したように、エンコーダ信号には高調波成分が発生しており、高調波成分を考慮しない演算を行うと検出誤差が発生してしまう。本実施形態では、変位検出部103の検出精度を向上させるため、エンコーダ信号に含まれる高調波成分を考慮した逆正接演算(高調波歪補正CORDIC回転演算手法)を行う。以降、詳細に説明していく。

0035

(高調波成分を考慮した逆正接演算部の構成)
図4に、本実施形態における高調波歪補正可能なCORDIC回転演算を用いた逆正接演算部304の構成図を示す。尚、本実施形態においては、CORDIC演算を用いた説明をしているが、2分探索などの反復計算を用いて回転角を収束させ、求めても良い。第1実施形態で想定されるA相入力信号X(A相データX10)とB相入力信号Y(B相データY11)はそれぞれ、式1で示される。ただし、すでに説明したようにA相データX10とB相データY11は絶対値として入力されるため、実際には正の値のみをとるものとする。

0036

第1実施形態では式1に示すように3次高調波成分までを考慮し、また式1内のa1は基本波成分係数(強度)を、a3は3次高調波成分の係数(強度)を示しており、A相とB相でそれぞれ同じ場合を対象とする。ここで、逆正接演算を行う。具体的には、本実施形態では、数式1から求められる数式2に示す関係式を満たす回転角θをCORDIC回転演算の手法によって求める。

0037

41は強度情報(a1、a3)であり、既知情報として上位の制御手段から回転方向判別部401に入力される。この強度情報は、例えば、エンコーダ信号をあらかじめFFT高速フーリエ変換)によって周波数解析し、基本波および3次高調波強度成分を抽出する方法などで得られる。ただし必ずしも強度成分でなくてもよく、検出誤差が小さくなるような任意値を強度情報に相当する値として選択してもよい。

0038

(θ回転演算)
θ回転演算では、基本回転角θでの回転演算を実施し、これは、基本波成分に対応する座標データを求めるための、回転演算処理である。θ回転演算を構成する選択部402は、一連のCORDIC演算における回転演算の1回目基準座標データ42の固定値(1,0)を選択し、繰り返し演算となる2回目以降はCORDIC回転演算結果であるθ回転座標データ48が選択される。A相データX10やB相データY11が更新され、新たに逆正接演算を行う場合は、上記繰り返し演算がクリアされる。そして新たなCORDIC演算が開始されるものとなり、再帰的に回転演算1回目として基準座標データ42(1,0)が選択され、以降は回転座標データ48が選択される。

0039

θi回転部404は、θ回転選択座標データ44を回転方向δi47の方向にθiの回転角だけ回転する回転演算回路である。この回転演算は、CORDIC回転演算の特徴を有しており、繰り返し回演算回数iに対して数式3に示す回転演算を実行する。

0040

ここで(Xi−1、Yi−1)はθi回転部404の入力座標データであり、(Xi、Yi)はθi回転部404の出力座標データを表す。また、最終的な繰り返し演算回数mにたいして、繰り返し回転演算回数iは0からm−1の値をとる。また、数式3において繰り返し回転演算回数iが0の時、右辺の座標データが(X−1、Y−1)のとなるが、これは回転演算1回目として選択部402で選択される基準座標データ42(1,0)のことである。また、回転方向δi47は繰り返し回転演算回数iが0の時は1(正回転(左回り))固定であり、以降は回転方向判別部401の判別結果によって1あるいは‐1(逆回転(右回り))が選択される。さらに数式3で示される回転演算回数iに対する回転演算の実回転角θiは数式4で示される。

0041

図5に上述θ回転演算の実際の構成ブロックを示す。

0042

数式4で示す回転演算は、基準回転回路(式中の回転行列一つ)で構成され、それぞれθi回転部501、502、503に対応する。また、数式4ならびに図5で示しているように、基準回転回路のうち2つの回転方向は回転方向δiとは独立しており、回転方向が打ち消しあうように、θi回転部502の回転方向が+1、θi回転部503の回転方向が−1にそれぞれ固定されている。

0043

なお、上述固定される回転方向は、回転方向が打ち消しあうように決定されればよく、θi回転部502の回転方向が−1、θi回転部503の回転方向が+1であってもよい。また回転方向が固定されるのではなく、θi回転部502の回転方向がδi、θi回転部503の回転方向が−δi、もしくはθi回転部502の回転方向が−δi、θi回転部503の回転方向がδiであってもよい。さらにはすべての基準回転回路の順番は任意である。言い換えると、入れ替えても効果は変わらない。

0044

この回転方向の打消しによって、θ回転選択座標データ44に対して、3つの基準回転回路を実行しても、実質は回転方向δiに回転角θiの回転演算された結果が得られる。
以上の一連操作が、基本的なCORDIC演算(θ回転演算)における、繰り返し回転演算1回に相当する。

0045

本実施形態では、この基本的なCORDIC演算(θ回転演算)と同時に、3θ回転演算も実行される。

0046

(3θ回転演算)
複数回転演算部404内に構成される3θ回転演算は、CORDIC回転演算の特徴を有しており、繰り返し回転演算回数iに対して数式5に示す回転演算を実行する。

0047

ここで(Xi−1、Yi−1′)は3θi回転部405の入力座標データであり、(Xi′、Yi′)は3θi回転部405の出力座標データ(回転座標データ49(COS3θ,SIN3θ))を表す。また、数式5において繰り返し回転演算回数iが0の時、右辺の座標データが(X−1′、Y−1′)のとなるが、これは回転演算1回目として選択部403で選択される基準座標データ43(1,0)のことである。さらに数式5で示される回転演算回数iに対する回転演算の実回転角3θiは数式6で示される。

0048

図5に、上述3θ回転演算の実際の構成ブロックを示す。数式5で示す回転演算は、基準回転回路(式中の回転行列一つ)で構成され、それぞれθi回転部504、505、506に対応する。また、数式5ならびに図5で示しているように、上述基準回転回路の回転方向はすべて回転方向δiとなる。

0049

以上の一連操作が、本実施形態の特徴の一つであるCORDIC演算(3θ回転演算)における、繰り返し回転演算1回に相当する。ここで求められた回転座標データ49(COS3θ,SIN3θ)がエンコーダ信号に含まれる3次高調波成分に相当する。

0050

以上のように、θ回転演算と3θ回転演算によって回転座標データ48(COSθ,SINθ)、および回転座標データ49(COS3θ,SIN3θ)が得られた。

0051

ここで、実際にはCORDIC回転演算の特性により、基準回転回路を実行するたびに絶対値が大きくなるため、回転座標データ48と回転座標データ49には、ある係数がかかっている。繰り返し回転演算回数iの時の一回の実行時の絶対値の変化を数式7に示す。

0052

しかし、すでに述べたθ回転演算における打ち消しあう2つの基準回転回路の存在によって、θ回転演算と3θ回転演算の基準回転回路の数が等しくなるため、互いの座標データの係数はそろっている状態である。そのため、以降説明する回転方向判別部での演算結果には直接影響しないため、その係数の表記は省略するものとする。

0053

なお、上記では基準座標データ42、43は(1,0)としているが、これは正弦成分がゼロであり、すべての余弦成分が共通であれば、任意の座標データをとっても良い。たとえば(2,0)でもよいし、(0.5,0)でもよい。

0054

(回転方向の判別)
回転方向判別部401には、以下のデータが入力される。θ回転演算と3θ回転演算で得られた回転座標データ48(COSθ,SINθ)、および回転座標データ49(COS3θ,SIN3θ)である。さらに、上位の制御手段から与えられる強度情報41(a1およびa3)とエンコーダ信号入力であるA相データX10とB相データY11も入力される。回転方向判別部401では、方向判別演算式判別条件)によって次回の繰り返し回転演算の回転方向δi47が決定される。判別式を数式8に示す。

0055

数式8が真の時、正回転(左回り)となり、δiは1、数式8がの時、逆回転(右回り)となり、δiは‐1の値をとる。ただし、数式8は数学的に導出が可能であるため、判別式は数式8に限定されるものではない。たとえば、数式9に示すように、分母を払い、除算を省略した判別式を用いてもよい。数式8の数学的意味を保存しつつ導出可能な式はすべて本実施形態で採用されてもよい。

0056

このように3次高調波成分である(COS3θ,SIN3θ)が判別式に含まれており、これが3次高調波の補正効果を成している。以上のように回転方向δi47が決定されることによって、次回の繰り返し回転演算が実行可能となる。

0057

(内挿位置算出)
以上のθ回転演算、3θ回転演算、回転方向判別を、最終的な繰り返し演算回数m実行されることによって、数式2を満足する回転座標データ48、49と回転角情報となるδiデータ列(データの履歴)が得られる。最後の演算行程として偏角演算部407では、δiデータ列に対し数式10に示す演算を行うことによって、回転座標データ48が成す偏角θ、つまり高調波成分が除去された内挿位置12(θ)が求められる。

0058

以上で説明したとおり本実施形態によれば、エンコーダ出力信号に含まれる高調波成分を3次まで除外した偏角算出(逆正接演算)が可能となる。結果として、3次高調波成分による検出誤差が除去(補正)された高精度な検出位置を得ることができる。図13に示すエンコーダ信号を入力した際の本実施形態での演算結果を図15に示す。なお、演算結果は、基本波成分強度a1が1、3次高調波成分強度a3が−0.094の場合となっている。図示の通り、検出誤差が約±0.15[deg]程度と補正しない場合に比べ大幅に誤差が減少している。その結果、検出変位量も理想変位量とほぼ一致している。(グラフ上では重なっている)
これまで説明してきたように、3次高調波成分の演算(3θ回転演算)は、従来のCORDIC演算(θ回転演算に相当する)と同時に演算が行われるものである。そして、方向判別も従来のCORDIC演算のものに対し3次高調波分を追加した判別式に改良されたものである。演算処理速度としては従来のCORDIC演算(θ回転演算のみの場合)と比較して遜色ない。また、検出誤差の補正用メモリの増加を抑えることも可能となっている。尚、本実施形態は他の形態に適用することも可能である。例えば、上述の説明においては、可動部として回転モータを用いているが、これに代えて直動機構を用いてもよい。また、駆動手段として、モータやピエゾなどのアクチュエータより駆動してもよい。

0059

(第2実施形態)
第2実施形態では、逆正接演算部304の他の構成について説明する。具体的には、5次高調波成分まで考慮した構成であり、5θの回転演算が追加されている。また、方向判別式が異なる。以降の説明では、主に、第1実施形態と異なる点について説明する。

0060

(高調波成分を考慮した逆正接演算部の構成)
図6に、本実施形態における5次高調波歪まで補正可能なCORDIC回転演算を用いた逆正接演算部304の構成図を示す。第2実施形態で想定されるA相データX10とB相データY11はそれぞれ、数式11で示される。ただし、すでに説明したようにA相データX10とB相データY11は絶対値として入力されるため、実際には正の値のみをとるものとする。

0061

本実施形態では数式11に示すように5次高調波成分までを考慮し、また数式11内のa1は基本波成分の強度を、a3は3次高調波成分の強度を、a5は5次高調波成分を示しており、A相とB相でそれぞれ同じ場合を対象とする。ここで、逆正接演算を行う。具体的には、本実施形態では、数式11から求められる数式12に示す関係式を満たすθをCORDIC回転演算の手法によって求める。

0062

61は強度情報(a1、a3、a5)であり、既知情報として上位の制御手段から回転方向判別部601に入力される。この強度情報は、例えば、エンコーダ信号をあらかじめFFT(高速フーリエ変換)によって周波数解析し、基本波、3次高調波および5次高調波の強度成分を抽出する方法などで得られる。

0063

(座標データ選択
第1実施形態に対して、5θ回転演算が追加されている。5θ回転演算では、回転角5θでの回転演算を実施し、これは、5次高調波成分に対応する座標データを求めるための、回転演算処理である。5θ回転演算を構成する選択部602は、一連のCORDIC演算(5θ)における回転演算の1回目は基準座標データ63(1,0)を選択し、繰り返し演算となる2回目以降はCORDIC回転演算結果である3θ回転座標データ65が選択される。A相データX10やB相データY11が更新され、新たに逆正接演算を行う場合は、上記繰り返し演算がクリアされる。そして、新たなCORDIC演算が開始されるものとなり、再び回転演算1回目として基準座標データ63(1,0)が選択され、以降は回転座標データ65が選択される。選択された座標データは5θ回転選択座標データ64として、複数回転演算部603に入力される。複数回転演算部603は、入力されるθ回転選択座標データ44、3θ回転選択座標データ45ならびに5θ回転選択座標データ64に対して、回転方向δi47の方向にそれぞれθiの回転角、3θiの回転角ならびに5θiだけ回転する回転演算を実行する。

0064

(θ回転演算)
複数回転演算部603内に構成されるθ回転演算は、CORDIC回転演算の特徴を有しており、繰り返し回転演算回数iに対して数式13に示す回転演算を実行する。

0065

図7に上述θ回転演算の実際の構成ブロックを示す。

0066

数式13で示す回転演算は、基準回転回路(式中の回転行列一つ)で構成され、それぞれθi回転部701、702、703、704、705に対応する。また、数式13ならびに図7で示しているように、基準回転回路のうち4つの回転方向は回転方向δiとは独立している。具体的には回転方向が打ち消しあうように、θi回転部702の回転方向が+1、θi回転部703の回転方向が−1、θi回転部704の回転方向が+1、θi回転部705の回転方向が−1にそれぞれ固定されている。なお、上述固定される回転方向は、第1実施形態と同様に、回転方向が打ち消しあうように決定されればよい。

0067

この回転方向の打消しによって、θ回転選択座標データ44に対して、5つの基準回転回路を実行しても、実質は回転方向δiに回転角θiの回転演算された結果が得られる。
以上の一連操作が、CORDIC演算(θ回転演算)における繰り返し回転演算1回に相当する。本実施形態では、このθ回転演算と同時に、3θ回転演算、5θ回転演算も実行される。

0068

(3θ回転演算)
複数回転演算部603内に構成される3θ回転演算は、CORDIC回転演算の特徴を有しており、繰り返し回転演算回数iに対して数式14に示す回転演算を実行する。

0069

図7に上述3θ回転演算の実際の構成ブロックを示す。数式14で示す回転演算は、基準回転回路(式中の回転行列一つ)で構成され、それぞれθi回転部706、707、708、709、710に対応する。また、数式14ならびに図7で示しているように、基準回転回路のうち2つの回転方向は回転方向δiとは独立しており、回転方向が打ち消しあうように、θi回転部709の回転方向が+1、θi回転部710の回転方向が−1にそれぞれ固定されている。

0070

以上の一連操作が、CORDIC演算(3θ回転演算)における、繰り返し回転演算1回に相当する。ここで求められた回転座標データ49(COS3θ,SIN3θ)がエンコーダ信号に含まれる3次高調波成分に相当する。

0071

(5θ回転演算)
複数回転演算部603内に構成される5θ回転演算は、CORDIC回転演算の特徴を有しており、繰り返し回転演算回数iに対して数式15に示す回転演算を実行する。

0072

ここで(Xi−1″、Yi−1″)は5θ回転演算の入力座標データ(5θ回転選択座標データ64)である。(Xi″、Yi″)は35回転演算の出力座標データとなる回転座標データ65(COS5θ,SIN5θ)を表す。また、最終的な繰り返し演算回数mに対して、繰り返し回転演算回数iは0からm−1の値をとる。また、数式15において繰り返し回転演算回数iが0の時、右辺の座標データが(X−1″、Y−1″)となる。これは回転演算1回目として選択部602で選択される基準座標データ64(1,0)のことである。さらに数式15で示される回転演算回数iに対する回転演算の実回転角5θiは数式16で示される。

0073

図7に上述5θ回転演算の実際の構成ブロックを示す。数式15で示す回転演算は、基準回転回路(式中の回転行列一つ)で構成され、それぞれθi回転部711,712,713,714,715に対応する。また、数式15ならびに図7で示しているように、上述基準回転回路の回転方向はすべて回転方向δiとなる。以上の一連操作が、CORDIC演算(5θ回転演算)における、繰り返し回転演算1回に相当する。ここで求められた回転座標データ65(COS5θ,SIN5θ)がエンコーダ信号に含まれる5次高調波成分に相当する。以上のように、θ回転演算と3θ回転演算ならびに5θ回転演算によって回転座標データ48(COSθ,SINθ)、および回転座標データ49(COS3θ,SIN3θ)、ならびに回転座標データ65(COS5θ,SIN5θ)が得られた。

0074

ここで、すでに述べたように実際にはCORDIC回転演算の特性により、基準回転回路を実行するたびに絶対値が大きくなるため、回転座標データ48と回転座標データ49には、ある係数がかかっている。繰り返し回転演算回数iの時の基準回転回路一回の実行時の絶対値の変化を式7に示した通りである。

0075

しかし、すでに述べたθ回転演算における打ち消しあう4つの基準回転回路、および3θ回転演算における打ち消しあう2つの基準回転回路の存在によって、θ回転演算と3θ回転演算と5θ回転演算の基準回転回路の数が等しくなる(全て5つとなる)。よって互いの座標データの係数はそろっている状態である。そのため、以降説明する回転方向判別部での演算結果には直接影響しないため、その係数の表記は省略するものとする。

0076

なお、上記では基準座標データ42、43、63は(1,0)としているが、これは正弦成分がゼロであり、すべての余弦成分が共通であれば、任意の座標データをとっても良い。たとえば(2,0)でもよいし、(0.5,0)でもよい。

0077

(回転方向判別)
θ回転演算と3θ回転演算および5θ回転演算で得られた回転座標データ48(COSθ,SINθ)、回転座標データ49(COS3θ,SIN3θ)、および回転座標データ65(COS5θ,SIN5θ)が回転方向判別部601に入力される。さらに上位の制御手段から与えられる強度情報61(a1およびa3およびa5)とエンコーダ信号入力であるA相データX10とB相データY11が回転方向判別部601に入力される。方向判別部では、方向判別の演算式によって次回の繰り返し回転演算の回転方向δi47が決定される。判別式を数式17に示す。

0078

数式17が真の時、正回転(左回り)となり、δiは1、数式17が偽の時、逆回転(右回り)となり、δiは‐1の値をとる。ただし、第1実施形態と同様に、数式17は数学的に導出が可能であるため、判別式は数式17に限定されるものではない。数学的意味を保存しつつ導出可能な式はすべて本実施形態で採用されてもよい。

0079

このように3次高調波成分(COS3θ,SIN3θ)と5次高調波成分(COS5θ,SIN5θ)が判別式に含まれており、これが5次高調波までの補正効果を成している。
以上のように回転方向δi47が決定されることによって、次回の繰り返し回転演算が実行可能となる。

0080

(内挿位置算出)
以上のθ回転演算、3θ回転演算、5θ回転演算、回転方向判別を、最終的な繰り返し演算回数mだけ実行されることによって、数式11を満足する回転座標データ48、49、65が得られる。最後の演算行程として、偏角演算部407では、数式10に示す演算を行うことによって、内挿位置12(θ)が求められる。

0081

以上で説明したとおり第2実施形態によれば、エンコーダ出力信号に含まれる高調波成分を5次まで除外した逆正接演算が可能となる。結果として、3次および5次高調波成分による検出誤差が除去(補正)され、第1実施形態よりさらに高精度な検出位置を得ることができる。

0082

第1実施形態と同様に、3次高調波成分の演算(3θ回転演算)ならびに5次高調波成分の演算(5θ回転演算)は、従来のCORDIC演算(θ回転演算に相当する)と同時に演算が行われるものである。そして方向判別も従来のCORDIC演算のものに対し3次高調波分、5次高調波分を追加した判別式に改良されたものである。演算処理速度としては従来のCORDIC演算(θ回転演算のみの場合)と比較して遜色ない。また本実施形態では、θ回転演算と3θ回転演算ならびに5θ回転演算の基準回転回路の数をそろえており、式7に示した繰り返し回転演算回数i時の基準回転回路一回の実行時の絶対値ズレ量を補正するために特別な回路を必要としない。よって小回路規模での実現も可能となる。図13に示すエンコーダ信号を入力した際の第2実施形態での演算結果を図16に示す。なお、基本波成分強度a1が1、3次高調波成分強度a3が−0.094、5次高調波成分強度a5が−0.0023の場合の演算結果である。検出誤差が約±0.02[deg]程度と第1実施形態の3次高調波までの補正時に比べさらに誤差が減少している。

0083

また、第2実施形態では5次高調波までの補正方法を示したが、第1実施形態に対する第2実施形態の構成拡張を同様に実施することで、余弦成分COS(nθ)、正弦成分(nθ)(nは正で奇数)の高調波成分の補正が可能である。具体的には、nθ回転演算までの回転演算追加と回転方向判別部における判別式の変更である。このように本実施形態では、容易に高次の高調波成分除去可能な逆正接演算を提供できる。

0084

(第3実施形態)
第3実施形態では、第2実施形態で述べた複数回転演算部603の別の構成について説明する。以降の説明では、第2実施形態と異なる点について主に説明する。

0085

(θ回転演算、3θ回転演算、5θ回転演算)
第3実施形態における回転演算も、第1、第2実施形態同様に、CORDIC回転演算の特徴を有しており、繰り返し回転演算回数iに対して数式18に示す回転演算を実行する。

0086

図8(a)に上述θ回転演算の実際の構成ブロックを示す。ここで、第3実施形態では各回転演算を多重化して処理することを特徴としており、θ回転演算、3θ回転演算、5θ回転演算のすべてを、図8(a)に示す、各θi回転部801、802、803、804、805で実行する。まず、座標データ切り替え部806は、実行する回転演算の回転角に応じて、入力座標を選択して、θi回転部801出力する。具体的にはθ回転演算の場合はθ回転選択座標データ44を、3θ回転演算の場合は3θ回転選択座標データ45を、5θ回転演算の場合は、5θ回転選択座標データ64を選択する。

0087

数式18で示す回転演算は、基準回転回路(式中の回転行列一つ)で構成され、それぞれθi回転部801、802、803、804、805に対応する。ここで各θi回転演算部に与えられる回転方向γ1(81)、γ2(82)、γ3(83)、γ4(84)、γ5(85)は回転方向制御部808によって供給される。この回転方向は、実行する回転演算の回転角(θ回転演算、3θ回転演算、5θ回転演算)に応じて、図8(b)に示すように選択される。

0088

θ回転演算の場合はγ2とγ4が+1、γ3とγ5が−1となっている。つまり、基準回転回路のうち4つの回転方向は回転方向δiとは独立しており、回転方向が打ち消しあう。

0089

なお、上述固定される回転方向は、第2実施形態と同様に、回転方向が打ち消しあうように決定されればよい。この回転方向の打消しによりθ回転選択座標データ44に対して5つの基準回転回路を実行しても、実質は回転方向δiに回転角θiの回転演算された結果が得られる。

0090

3θ回転演算の場合はγ4が+1、γ5が−1となっている。つまり基準回転回路のうち2つの回転方向は回転方向δiとは独立しており、回転方向が打ち消しあう。

0091

なお、上述固定される回転方向は、第2実施形態と同様に、回転方向が打ち消しあうように決定されればよい。この回転方向の打消しにより3θ回転選択座標データ45に対して5つの基準回転回路を実行しても、実質は回転方向δiに回転角3θiの回転演算された結果が得られる。

0092

5θ回転演算の場合、回転方向は全てδiとなっているため、5つの基準回転回路の実行により、回転方向δiに回転角5θiの回転演算された結果が得られる。

0093

以上のようにして、θi回転部801、802、803、804、805の回転方向を、回転演算の回転角に応じて制御することによって、同一のθi回転部を用いて、各回転演算(θ、3θ、5θ)が実行可能となる。

0094

座標データ保持部807は、前述の回転演算結果を保持するとともに、所定の出力線に出力する。具体的にはθ回転演算の演算結果は回転座標データ48(COSθ,SINθ)として出力する。3θ回転演算の演算結果は回転座標データ49(COS3θ,SIN3θ)として出力する。また5θ回転演算の演算結果は回転座標データ65(COS5θ,SIN5θ)として出力する。

0095

以上説明した通り、第3実施形態によれば、回転演算の多重化処理を実現することにより、第2実施形態と比較し、回転演算部の回路規模を削減することが可能となる。逆正接の演算精度は第2実施形態と同等である。また第2実施形態同様に、θ回転演算と3θ回転演算ならびに5θ回転演算の基準回転回路の数をそろえており、式7に示した繰り返し回転演算回数i時の基準回転回路一回の実行時の絶対値ズレ量を補正するために特別な回路を必要としない。

0096

(第4実施形態)
第4実施形態では、第3実施形態で述べた複数回転演算部603内の基準回転角を2種とした構成について説明する。以降の説明では、第3実施形態同様、第2実施形態と異なる点について主に説明する。

0097

(θ回転演算、3θ回転演算、5θ回転演算)
第3実施形態における回転演算も、第1、第2実施形態同様に、CORDIC回転演算の特徴を有しており、繰り返し回転演算回数iに対して数式19に示す回転演算を実行する。

0098

図9(a)に上述θ回転演算の実際の構成ブロックを示す。ここで、第4実施形態では各回転演算を多重化して処理することを特徴としている。θ回転演算、3θ回転演算、5θ回転演算のすべては、図9(a)に示す、θi回転部901および2倍角である2θi回転部902、903、で実行される。まず座標データ切り替え部806は、実行する回転演算の回転角に応じて、入力座標を選択して、θi回転部801出力する。具体的にはθ回転演算の場合はθ回転選択座標データ44を、3θ回転演算の場合は3θ回転選択座標データ45を、5θ回転演算の場合は、5θ回転選択座標データ64を選択する。

0099

数式19で示す回転演算は、2つの基準回転回路で構成され、1つ目の基準回転回路は、数式19の右辺の1つ目の回転行列であり、θi回転部901に対応する。2つ目の基準回転回路は、数式19右辺の2つ目、3つ目の回転行列であり、2θi回転部902、903に対応する。ここでθi回転部901に与えられる回転方向γ1(91)、ならびに2θi回転部902、903に与えられる回転方向γ2(92)、γ3(93)は回転方向制御部808によって供給される。この回転方向は、実行する回転演算の回転角(θ回転演算、3θ回転演算、5θ回転演算)に応じて、図9(b)に示すように選択される。

0100

θ回転演算の場合はγ2が+1、γ3が−1となっており、2つの2θi回転演算の回転方向が打ち消しあう。

0101

なお、上述固定される回転方向は、第2実施形態と同様に、回転方向が打ち消しあうように決定されればよい。この回転方向の打消しによりθ回転選択座標データ44に対して実質は回転方向δiに回転角θiの回転演算された結果が得られる。

0102

3θ回転演算の場合はγ1が−δi、γ2とγ3がδiとなっており、これも回転方向の打消しによって、3θ回転選択座標データ45に対して実質は回転方向δiに回転角3θiの回転演算された結果が得られる。なお、上述固定される回転方向は、第2実施形態と同様に、回転方向が打ち消しあうように決定されればよい。5θ回転演算の場合、回転方向は全てδiとなっているため、回転方向δiに回転角5θiの回転演算された結果が得られる。以上のようにして、θi回転部901ならびに2θi回転部902、903の回転方向を、回転演算の回転角に応じて制御することによって、同一の回転部を用いても、各回転演算(θ、3θ、5θ)が実行可能となる。座標データ保持部807は、前述の回転演算結果を保持するとともに、所定の出力線に出力する。具体的にはθ回転演算の演算結果は回転座標データ48(COSθ,SINθ)として出力する。3θ回転演算の演算結果は回転座標データ49(COS3θ,SIN3θ)として出力する。また5θ回転演算の演算結果は回転座標データ65(COS5θ,SIN5θ)として出力する。

0103

以上説明したとおり第4実施形態によれば、回転演算の多重化処理を実現することにより、第2実施形態と比較し、回転演算部の回路規模を削減することが可能となる。また第3実施形態と比較すると、回転方向制御部の制御信号が削減しており、これも回路規模の削減につながる。

0104

逆正接の演算精度は第2実施形態と同等である。また第2実施形態同様に、θ回転演算と3θ回転演算ならびに5θ回転演算の基準回転回路の数をそろえており、数式7に示した繰り返し回転演算回数i時の基準回転回路一回の実行時の絶対値ズレ量を補正するために特別な回路を必要としない。

0105

(その他の実施形態)
上記実施形態では、単一の回転部を複数回の繰り返し回転演算処理操作を行う再帰処理型の構成をとっている。しかしながら、同じ回転演算部内に複数段の回転部を持ち、それらがパイプライン状に接続されて、回転演算処理操作を行うパイプライン処理型の構成でも実現可能である。尚、上述のモータ制御装置をネットワークカメラ製造装置ステージなどの雲台に利用し、雲台の動作の滑らかさを向上させることができる。ネットワークカメラは、CPU、ROM、RAM、撮像部、雲台、ネットワークインターフェースを備える。

0106

また、上記実施形態では、位置を検出するための2相エンコーダ信号が高調波成分を含む場合を述べてきた。しかしながら、エンコーダ信号に限定されず、高調波成分を含む2相信号全般に適用することも可能である。

0107

例えば、三相ブラシレスモータを駆動した場合の駆動電流から、モータ回転角に対応した2相信号を検出することができる。つまり検出した2相信号からATAN処理によってモータ回転角を算出することが可能である。

0108

この2相信号には、高調波成分が重畳することが知られている。よって、本実施形態を適用することで2相信号の高調波成分の影響を除去し、正確なモータ回転角を検出することが可能となる。

0109

401 回転方向判別部
402 選択部(θ回転演算)
403 選択部(3θ回転演算)
404 θi回転部
405 3θi回転部
406 2θ回転補正
407偏角演算部

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